説明

帳票データ管理システム、及び、帳票データ管理システムの制御方法

【課題】控えが必要とされる帳票を、複写用紙を用いることなく作成できるようにする。
【解決手段】帳票データ管理システム1は、複写してユーザに提供すべき帳票の原本を読み取って帳票画像データを生成し、生成した帳票画像データを帳票画像データDB20に格納し、この帳票画像データDB20に格納された帳票画像データにアクセスするためのアクセス用コードを生成し、生成したアクセス用コードをユーザに出力し、このアクセス用コードに基づいてユーザ側端末14からアクセスされた場合に、アクセス用コードに対応する帳票画像データを帳票画像DB290から読み出すとともに、ユーザ側端末14を操作するユーザの属性を判別し、この属性に基づいて決定した範囲の帳票画像データを、ユーザ側端末14に出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帳票に関するデータを記憶する帳票データ管理システム、及び、帳票データ管理システムの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、契約書や申込書等の帳票及びこの帳票の控えの作成に際し、例えば、複写用紙を含む契約書が顧客に渡され、顧客が契約書へ執筆して契約書の原本を作成するのと同時に、複写用紙を利用して紙媒体の顧客用の控えや経理部用の控えが作成される、という業務が広く行われている。この他、ドットインパクトプリンタ等、複写用紙への印刷機能を有するプリンタが知られており(例えば、特許文献1参照)、このプリンタを利用して、原本の他、控えを同時に作成することが行われている。
【特許文献1】特開2002−137452号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上述の場合、複写用紙を利用して原本と同時に作成した顧客用の控えや経理部用の控えは、紙媒体のまま顧客や経理部の担当者に渡されることとなるが、この控えを保管するスペースが必要になる、紙の使用を節約できない等の問題があった。しかしながら、複写紙を用いることなく効率よく控えの書面を作成する手法は無かった。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、控えが必要とされる帳票を、複写用紙を用いることなく作成できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために、本発明は、複写してユーザに提供すべき帳票の原本を読み取って帳票画像データを生成する帳票画像データ生成部と、前記帳票画像データを格納するデータベースと、このデータベースに格納された前記帳票画像データにアクセスするためのアクセス用コードを生成するアクセス用コード生成部と、前記アクセス用コードを前記ユーザに出力するアクセス用コード出力部と、前記アクセス用コード出力部が出力した前記アクセス用コードに基づいて、外部の端末からアクセスされた場合に、前記アクセス用コードに対応する前記帳票画像データを前記データベースから読み出して、前記外部の端末に出力する帳票画像データ出力部と、を備え、前記帳票画像データ出力部は、前記外部の装置を操作してアクセスしたユーザの属性を判別し、判別した属性に基づいて、前記帳票画像データのうち前記外部の端末に出力する範囲を決定し、決定した範囲のみを出力すること、を特徴とする帳票データ管理システムを提供する。
この構成によれば、帳票画像データ生成部が生成した帳票画像データがデータベースに格納され、アクセス用コード生成部によってアクセス用コードが生成されて、ユーザに通知される。ここで、ユーザが端末を操作してアクセス用コードに基づいて帳票画像データ出力部にアクセスすると、アクセス用コードに対応する帳票画像データが、ユーザが操作する端末に出力される。これにより、ユーザは、アクセス用コードに基づいて帳票を読み取って得られた帳票画像データを見ることができるので、帳票の原本の控えに代えてアクセス用コードを持っていれば、帳票の控えの書面を保管する必要がなくなる。これにより、書面による控えが不要になるので、複写用紙を用いることなく、控えの必要な帳票の記入及び作成が可能となる。また、ユーザが操作する端末に対しては、帳票画像データのうち、ユーザの属性に基づいて決定された範囲のみが出力されるので、帳票の控えとしての機能を保ちながら、ユーザが必要としていない情報を送信しない、或いは、広く公開するのが適しない情報や秘匿すべき情報を隠す等の対応が可能となる。これにより、帳票の控えと同等の利便性を確保しながら、情報の保護を図ることができる。
【0005】
ここで、上記発明の帳票データ管理システムにおいて、前記アクセス用コードを印刷可能なコード印刷装置をさらに備え、前記アクセス用コード出力部は、前記アクセス用コードを前記コード印刷装置によって印刷出力させてもよい。
この構成によれば、ユーザに対して、例えば紙や合成樹脂等のシートにアクセス用コードが印刷された形態で出力されるので、アクセス用コードの受け渡し及び保管が容易になる。ここで、アクセス用コードを印刷するための記録媒体の大きさは帳票自体に比較して小さくすることが可能なため、書面の控えを保管する場合に比べて、保管のために確保すべきスペースを縮小でき、保管に係る労力を削減できる。
この構成において、印刷されたアクセス用コードが、ユーザが使用する端末によって読み取り可能な形態で印刷される構成とした場合、ユーザがキーボード等を利用してアクセス用コードを入力する必要がなく、簡易な動作によって、ミスなく、帳票画像データを取得するためのアクセスを行うことができ、ユーザの利便性が向上する。
【0006】
また、上記発明の帳票データ管理システムにおいて、前記アクセス用コード出力部は、前記ユーザが使用する端末として予め設定された端末に対し、前記アクセス用コードを電子メールの形態で出力してもよい。
この構成によれば、アクセス用コードをユーザに出力する際に紙等が必要なくなるため、さらなる紙の消費量の削減や保管スペースの節約を図ることができる。
【0007】
また、上記発明の帳票データ管理システムにおいて、前記帳票画像データ生成部は、前記原本を印刷する帳票印刷装置と、この帳票印刷装置により印刷された前記原本を自動でスキャンして前記帳票画像データを生成するスキャナと、を備えるようにしてもよい。
この構成によれば、帳票印刷装置によって出力された帳票の原本が自動的にスキャンされて帳票画像データが生成されるので、複写紙を用いずに印刷を行って帳票の原本を作成するだけで、速やかに、かつ簡単に帳票画像データを生成できる。
【0008】
また、上記発明の帳票データ管理システムにおいて、前記帳票画像データ出力部は、前記データベースから読み出した前記帳票画像データを、予め設定された制限回数に達するまでの間のみ、前記外部の端末に出力するようにしてもよい。
この構成によれば、帳票画像データが主力される回数を制限することが可能なため、例えば、必要以上に帳票画像データが出力されることが防止でき、これにより、帳票画像データが不正に利用されるといった懸念がなく、信頼性の向上を図ることができる。
【0009】
また、上記目的を達成するために、本発明は、複写してユーザに提供すべき帳票の原本を読み取った帳票画像データを管理する帳票データ管理システムの制御方法であって、帳票画像データ生成部によって複写してユーザに提供すべき帳票の原本を読み取って帳票画像データを生成し、生成した前記帳票画像データをデータベースに格納し、前記データベースに格納された前記帳票画像データにアクセスするためのアクセス用コードを、アクセス用コード生成部によって生成し、前記アクセス用コードをアクセス用コード出力部によって前記ユーザに出力し、帳票画像データ出力部によって、前記アクセス用コード出力部が出力した前記アクセス用コードに基づいて外部の端末からアクセスされた場合に、前記アクセス用コードに対応する前記帳票画像データを前記データベースから読み出すとともに、前記外部の装置を操作してアクセスしたユーザの属性を判別し、判別した属性に基づいて、前記帳票画像データのうち前記外部の端末に出力する範囲を決定し、決定した範囲の前記帳票画像データのみを出力すること、を特徴とする帳票データ管理システムの制御方法を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ユーザに対して帳票の原本の控えに代えてアクセス用コードを出力することで、ユーザがアクセス用コードに基づいて帳票画像データを見ることができるので、帳票の控えの書面を保管する必要がなくなり、複写用紙を用いることなく、控えの必要な帳票の記入及び作成が可能となる。また、帳票画像データのうち、ユーザの属性情報に応じた範囲のみが出力されるため、帳票の控えと同等の利便性を確保しながら、情報の保護を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る帳票データ管理システム1の構成を示す図である。この帳票データ管理システム1は、複写してユーザに提供すべき帳票を、紙媒体として提供するのではなく、電子帳票として提供するシステムであり、帳票画像データ生成部10と、DB(データベース)部11と、帳票画像データ生成部10及びDB部11と図示せぬインターフェースを介して通信可能に接続されたホスト12を備えている。このホスト12には、インターネットや移動通信網等のネットワーク13を介してユーザ側端末14が接続されている。
なお、以下の説明において、帳票とは、契約書や申込書、伝票等の書面として作成され、効力を持つものであって、一般的に原本の他に控えを作成することが求められる種類のものを指し、公的であるか私的であるかを問わず、帳票が有する効力の種類や根拠についても何ら制限はない。
電子帳票とは、ユーザが操作する端末としてのユーザ側端末14の表示部27に、帳票画像データが表示された状態で、表示中の帳票画像データを指す。この表示中の帳票画像データは、書面の帳票を電子化したものに相当するからである。「ユーザに電子帳票を発行する」動作とは、具体的には、そのユーザが操作する端末の画面に、帳票画像データを表示させる動作を指す。
また、ユーザとは、原本に基づいて作成された電子帳票の提供を受けるべきもののことを言い、一般的な顧客のみならず、例えば、経理部門の担当者等も示す。
【0012】
帳票画像データ生成部10は、プリンタ16とスキャナ17とを備えている。
プリンタ16は、紙や合成樹脂等からなるシート状の記録媒体に、文字を含む画像を印刷する印刷装置である。本実施形態では、紙製の記録媒体(以下、紙媒体という)に文字を含む画像を印刷して、帳票を印刷出力する。プリンタ16は、ホスト12から紙媒体に印刷すべき画像のデータ(以下、「印刷データ」という)として送られてきたデータに基づいて、印刷を実行する。プリンタ16は、帳票の原本を印刷する帳票印刷装置として機能する他、後述するアクセス用コードを印刷するコード印刷装置として機能し、帳票を印刷する際に用いる大判或いは通常判の紙媒体と、アクセス用コードを印刷する際に用いる小型の紙媒体とを使用可能である。
スキャナ17は、CCDやCMOS等の撮像素子を有する読み取り部(図示略)を備え、ホスト12の制御に従って、読み取り部によって紙や合成樹脂等からなるシート状の媒体に記録された文字や画像を読み取って、読み取り画像データを生成する装置である。本実施形態では、所定の用紙に手書きで記入がなされた帳票、及び、プリンタ16により印刷出力された帳票を読み取って、「帳票画像データ」を生成する。
【0013】
ここで、本実施形態に係るプリンタ16及びスキャナ17は、プリンタ16が印刷出力した帳票が、そのままスキャナ17の読み取り部(図示略)に搬送されるハードウェア構造を備えている。このため、ホスト12の制御のもとに、プリンタ16とスキャナ17を協働して動作させることにより、プリンタ16が出力した帳票を自動的にスキャナ17によって読み取り、帳票画像データを生成することができる。具体的には、ホスト12から帳票の原本に係る印刷データが送られてきた場合、この印刷データに基づいてプリンタ16が帳票の原本を印刷・出力し、この出力された帳票の原本が図示せぬ搬送手段によってスキャナ17の所定の位置まで搬送された後、スキャナ17が帳票の原本を読み取り、帳票画像データを生成する。
DB部11は、データベースとしてユーザ情報DB19と、帳票画像データDB20とを備えている。
【0014】
図2は、DB部11の各データベースに格納される情報の構成例を模式的に示す図であり、図2(A)は、ユーザ情報DB19に格納される情報を示し、図2(B)は、帳票画像データDB20に格納される情報を示している。
ユーザ情報DB19は、ユーザに係る各種情報をユーザ毎に格納するデータベースであり、図2(A)に示すように、ユーザ毎に一意に付与されるユーザIDと、氏名、住所等のユーザの個人情報を含む情報であるユーザ情報と、ユーザの認証を行うためのパスワード等を含む認証情報と、ユーザの属性を示す属性情報と、が対応付けて格納されている。ユーザの属性とは、予め定められたグループのうちユーザが所属するグループのことであり、本実施形態では、一般顧客を示す「顧客」及び経理部を示す「経理部」が存在する。
帳票画像データDB20は、帳票画像データ生成部10が生成した帳票画像データを格納するデータベースであり、図2(B)に示すように、ユーザIDと対応付けて、このユーザIDに係るユーザに提供すべき帳票画像データと、この帳票画像データにネットワーク13に接続されたユーザ側端末14からアクセスするためのURL(Uniform Resource Locator)が格納される。
【0015】
ホスト12は、帳票データ管理システム1全体を制御するものであり、上述したように帳票画像データ生成部10のプリンタ16及びスキャナ17と印刷データ等の各種データを送受信し、また、DB部11の各データベースにアクセスする。このホスト12は、図1に示すように、アクセス用コード生成部21と、認証部22と、属性取得部23と、イメージデータ加工部24と、を備えている。
アクセス用コード生成部21は、帳票画像データDB20に格納されている帳票画像データにアクセスするためのコードであって、ユーザ側端末14により読み取り可能なコードである。具体的には、帳票画像データを帳票画像データDB20に格納する際、ホスト12は、ユーザ側端末14からこの帳票画像データにアクセスするための上述したURLを生成し、このURLと、帳票画像データと、ユーザIDとを対応付けて帳票画像データDB20に格納する。このとき、アクセス用コード生成部21は、生成されたURLに基づいて、このURLを示す情報を含んだアクセス用コードに係るデータを生成する。アクセス用コードの具体的な例としては、一方向に並ぶ黒と空白の2色の領域により情報を表示するバーコード(JANコード、EAN、UPC、ITFコード、CODE39、CODE128、NW-7等)、及び、水平方向と垂直方向に並ぶ黒領域と空白領域とにより情報を表示する2次元コード(QRコード(登録商標)、PDF417、CODE49等)等が挙げられる。本実施形態の帳票データ管理システム1では、アクセス用コードの一例として、2次元コードを適用している。
【0016】
認証部22は、ユーザ側端末14からネットワーク13を介してホスト12に対してアクセスがあったときに、このユーザ側端末14を利用するユーザの認証を行うものである。具体的には、ユーザ側端末14からホスト12に対してアクセスがあったときに、必要に応じて、ユーザ側端末14に対し、ユーザIDや、パスワードの入力を求め、この求めに応じて入力されたユーザIDに基づいて、DB部11のユーザ情報DB19にアクセスし、ユーザIDとパスワードとの照合を含む各種認証動作を行う。
属性取得部23は、ユーザ側端末14からホスト12に対し帳票画像データDB20に格納された帳票画像データの取得要求があった場合に、帳票画像データのユーザ側端末への出力に先んじてユーザの属性情報を取得するものである。具体的には、属性取得部23は、ユーザ側端末14からホスト12に対し帳票画像データDB20に格納された帳票画像データへのアクセス要求があった場合、ユーザ情報DB19にアクセスし、ホスト12にアクセスしたユーザ側端末14に係るユーザのユーザIDに基づいて、このユーザの属性情報を取得する。
イメージデータ加工部24は、ユーザ側端末14に対し帳票画像データを出力する際に、属性取得部23によって取得した属性情報に応じて、出力する帳票画像データの範囲を変更して出力するものである。なお、属性情報と出力する帳票画像データの範囲との具体的対応、すなわち、どういった属性情報のときにどういった範囲で帳票画像データを出力するのかといった具体例、及び、その効果については、後に詳述する。
【0017】
一方、ネットワーク13を介してホスト12に接続されたユーザ側端末14は、アクセス用コードを読み取るコード読取部26と、ホスト12から出力された複写紙画像データを視認可能に表示する表示部27と、を少なくとも備えた装置であり、例えば、2次元コードを読み取るための2次元コードリーダを備えるパーソナルコンピュータや、2次元コードを読み取り可能に構成されたカメラ付き携帯電話等がある。
【0018】
次いで、帳票データ管理システム1の動作について説明する。
なお、以下の説明では、ユーザとして、一般的な顧客(以下、単に「顧客」という)及び経理部の担当者(以下、単に「経理部」という)が存在するものとし、この顧客及び経理部に対し電子帳票を発行するものとする。また、顧客及び経理部に対しては、既にユーザIDが付与されており、ユーザ情報、認証情報、及び、属性情報と共に、ユーザ情報DB19に格納されているものとする。また、顧客には属性情報として「顧客」が、経理部には属性情報として「経理部」が付与されているものとする。また、事前に顧客が帳票として契約書の原本を作成しているものとし、この契約書の原本には、複写用紙が使用されておらず、顧客による契約書の原本の執筆と共に契約書の控えが作成されることはないものとする。
【0019】
図3は、契約書の原本がスキャナ17によって読み取られた後、帳票画像データDB20に格納された帳票画像データにアクセスするためのアクセス用コードがユーザに出力されるまでの一連の動作を示すフローチャートである。図3において、(A)はホスト12の動作を示し、(B)は帳票画像データ生成部10の動作を示す。
まず、帳票画像データ生成部10のスキャナ17によって顧客が執筆した契約書の原本が読み取られ、この原本に係る帳票画像データ(以下、説明の便宜のため、ここで生成された帳票画像データを「契約書画像データ」という)が生成される(ステップSB1)。このステップSB1で生成された契約書画像データは、顧客が執筆した契約書の原本に基づいて生成されるため、顧客の筆跡や押印されたハンコ等のイメージに係るデータを含むことになる。
次いで、帳票画像データ生成部10は、生成した契約書画像データをホスト12に送信する(ステップSB2)。
【0020】
契約書画像データを受信したホスト12は、この契約書画像データを帳票画像データDB20に格納する(ステップSA1)。その際、ホスト12は、ユーザ側端末14からこの契約書画像データにアクセスするためのURLを生成し、このURLと、契約書画像データと、ユーザIDとを対応付けて帳票画像データDB20に格納する。これと共に、ホスト12のアクセス用コード生成部21は、生成されたURLに基づいて、このURLを示す情報を含んだアクセス用コードに係るデータを生成する(ステップSA2)。そして、ホスト12は、生成したアクセス用コードに係るデータを印刷データとして帳票画像データ生成部10のプリンタ16に送信する(ステップSA3)。その際、ホスト12は、アクセス用コードが記載された紙媒体を、顧客に提供する分と経理部に提供する分との2部印刷するため、印刷データとして顧客用であることを示すデータと共にアクセス用コードに係るデータをプリンタ16に送信し、これとは別に、印刷データとして経理部用であることを示すデータと共にアクセス用コードに係るデータをプリンタ16に送信する。
【0021】
図4は、プリンタ16によって印刷された紙媒体の例を示す図であり、(A)は、顧客に提供される紙媒体を示し、(B)は、経理部に提供される紙媒体を示す。
アクセス用コードに係る印刷データを受信した帳票画像データ生成部10のプリンタ16は、このアクセス用コードを紙媒体(以下、「提供用紙媒体」という)に印刷する(ステップSB3)。具体的には、顧客用であることを示すデータと共に送信されたアクセス用コードの印刷データに基づいて、図4(A)に示すように、アクセス用コード及び顧客用である旨(図4(A)の「お客様用」という記載)が印刷された提供用紙媒体を出力すると共に、経理部用であることを示すデータと共に送信されたアクセス用コードに係る印刷データに基づいて、図4(B)に示すように、アクセス用コード及び経理部用である旨(図4(B)の「経理部用」という記載)が印刷された提供用紙媒体を出力する。ここで出力された提供用紙媒体は、ユーザ及び経理部に提供(出力)される(ステップSB4)。つまり、プリンタ16は、提供用紙媒体を印刷することによりアクセス用コード出力部として機能する。
【0022】
このように、本実施形態では、顧客が契約書の原本を執筆した後、契約書の控えに代えて、図4に示すようなアクセス用コードが印刷された提供用紙媒体が顧客及び経理部に提供されることになる。ここで、従来は、複写用紙を利用して原本と同時に作成した顧客用の控えや経理部用の控えが顧客や経理部に渡されていたが、これら控えは、契約内容や顧客情報、各種注意書き等が記載されるものでありしばしば大型であった。しかしながら、本実施形態では、提供用紙媒体に対しアクセス用コード及び簡単な情報が印字できれば足りるため、提供用紙媒体の小型化が実現でき、紙の節約になる。さらに、保管のために確保すべきスペースを縮小でき、提供用紙媒体の保管に係る労力を削減できる。特に、従来の契約書等の控えは、契約の内容や種類によって大きさが違うことも多いが、本実施形態では、全ての提供用紙媒体についてアクセス用コード及び簡単な情報だけが印刷されていればよいため、提供用紙媒体の大きさを均一化でき、保管に係る作業を容易化することができる。また、複写用紙が必要なくなるため、複写用紙分のコスト削減になる。
さらに、従来の書面による控えは、顧客の名前や住所等の個人情報や、契約の内容等、秘匿すべき情報が含まれていることも多かった。本実施形態で渡される提供用紙媒体には、帳票自体に含まれる情報が印刷されないため、情報の保護を図ることができる。
【0023】
次いで、ユーザが契約書画像データに係る画像を閲覧すべく、ユーザ側端末14によってホスト12にアクセスしてから、ユーザ側端末14に契約書画像データが出力され、電子帳票として表示部27に表示されるまでの一連の動作について図5のフローチャートを用いて説明する。
まず、ホスト12は、ユーザ側端末14から契約書画像データの取得要求があったか否かを監視する(ステップSC1)。ここで、ユーザ側端末14による契約書画像データの取得要求時の動作について説明すると、契約書画像データに係る画像を閲覧したいと思ったユーザは、まずユーザ側端末14のコード読取部26によって提供用紙媒体に印刷されたアクセス用コードを読み取る。これにより、アクセス用コードに付加されたURLの情報に基づいて、ホスト12に対しこのURLに係る契約書画像データの取得要求がなされる。
このように、本実施形態の帳票データ管理システム1では、ユーザ側端末によって契約書画像データを取得するためにホスト12にアクセスする場合、例えば、キーボードを利用してURLを打ち込んだりする必要がなく、アクセス用コードをコード読取部26によって読み取るという簡易な動作によってアクセスできるため、ユーザの利便性が向上する。
【0024】
契約書画像データの取得要求があった場合(ステップSC1:YES)、ホスト12の認証部22は、認証動作を行い、正当なユーザから契約書画像データの取得要求が行われていることを確かめる(ステップSC2)。このように、本実施形態では、契約書画像データの取得要求があった場合、認証動作を実行する。このため、ユーザが提供用紙媒体を紛失し、この紛失した提供用紙媒体を他人が取得してしまった場合であっても、この他人が契約書画像データを取得することがなく、セキュリティが向上する。
次いで、ホスト12の属性取得部23は、ユーザの属性情報を取得することにより、このユーザの属性を判別する(ステップSC3)。さらに、ホスト12は、帳票画像データDB20にアクセスし、ユーザ側端末14からアクセスがあったときのURLに係る契約書画像データを取得する(ステップSC4)。
契約書画像データを取得した後、ホスト12のイメージデータ加工部24は、属性取得部23が取得したユーザの属性情報、すなわち判別された属性に応じて、ユーザ側端末14に出力すべき契約書画像データの範囲を決定(変更)し、この決定(変更)した範囲を出力するように、契約書画像データを加工する(ステップSC5)。ここで、ステップSC5の動作について詳述する。
【0025】
本実施形態の帳票データ管理システム1においては、予め、ホスト12のユーザの属性毎に、ユーザ側端末14に出力すべき契約書画像データの範囲が設定されている。
具体的には、顧客の電子帳票には、顧客名や住所等の個人情報を含む全ての情報が表示されたほうが、契約書の控えとして適切な役割を果たす。このため、ホスト12の利用者は、属性情報が「顧客」の場合、契約書画像データの全ての範囲が出力対象となるよう定めている。一方、経理部の電子帳票には、顧客名や住所等の個人情報や、顧客が押印したハンコの画像等が表示されていない場合であっても業務に差し支えなく行えることがある。そして、これら個人情報は、漏洩防止の観点から経理部の電子帳票には表示されないことが求められる。このため、ホスト12の利用者は、属性情報が「経理部」の場合、個人情報及びハンコの画像について出力対象としないよう定める。なお、上述した機能は、ホスト12に実装された専用のプログラムによって実現されるものである。
【0026】
そして、ステップSC5において、ホスト12のイメージデータ加工部24は、ホスト12の利用者が予め定めた契約書画像データの範囲がユーザ側端末14に出力されるよう、属性情報毎に、契約書画像データを加工し、ユーザ側端末14に出力すべき契約書画像データの範囲を変更する。その際、イメージデータ加工部24は、顧客のユーザ側端末14に対して出力する契約書画像データに対しては顧客用である旨を示すデータを付加すると共に、経理部のユーザ側端末14に対して出力する契約書画像データに対しては経理部用である旨を示すデータを付加する。
イメージデータ加工部24によって契約書画像データを加工した後、ホスト12は、ネットワーク13を介して、加工した契約書画像データをユーザ側端末14に出力する(ステップSC6)。これにより、契約書画像データに係る電子帳票がユーザ側端末14の表示部27に表示可能となると共に、ユーザがこの電子帳票を視認することができるようになる。
なお、上記のステップSC5〜SC6に示す動作において、ホスト12は、帳票画像データ出力部として機能する。
【0027】
図6は、ユーザ側端末14の表示部27に表示される電子帳票の例を示す図であり、(A)は、顧客のユーザ側端末14の表示部27を示し、(B)は、経理部のユーザ側端末14の表示部27を示す。
図6(A)に示すように、顧客のユーザ側端末14に電子帳票が表示される際は、顧客用の控えである旨を示す表示(図6(A)における「お客様控え」という表示)と共に、顧客が執筆した契約書の原本のイメージがそのまま表示されることになる。このため、顧客は、顧客の筆跡や、押印したハンコのイメージを参照することができ、表示部27に表示された電子帳票が間違いなく契約書の原本に基づいて作成されていることを認識することができる。
一方、図6(B)に示すように、経理部のユーザ側端末14に電子帳票が表示される際は、経理部用の控えである旨を示す表示(図6(B)における「経理部用」という表示)と共に、契約書の原本のイメージが表示される。その際、図6(A)と比較すると明らかなように、顧客の名前に関する情報、住所に関する情報、及び、押印されたハンコのイメージが表示されない状態となっている。これにより、顧客の個人情報の漏洩を確実に防止することができる。
【0028】
以上説明したように、本実施形態によれば、帳票画像データ生成部10が生成した帳票画像データが帳票画像データDB20に格納されると共に、アクセス用コード生成部21によってアクセス用コードが生成され、ユーザには、帳票の原本の控えに代えて、このアクセス用コードが印刷された提供用紙媒体が提供されることになる。ここで、従来は、複写用紙を利用して原本と同時に作成した顧客用の控えや経理部用の控えが顧客や経理部に渡されていたが、これら控えは、契約内容や顧客情報、各種注意書き等が記載されるものでありしばしば大型であった。しかしながら、本実施形態では、提供用紙媒体に対しアクセス用コード及び簡単な情報が印字できれば足りるため、提供用紙媒体の小型化が実現でき、紙の節約になる。さらに、保管のために確保すべきスペースを縮小でき、提供用紙媒体の保管に係る労力を削減できる。
また、提供用紙媒体に印刷されたアクセス用コードに基づいてホスト12に対し、帳票画像データの取得要求があったときは、ホスト12の属性取得部23によってユーザの属性情報が取得され、この属性情報に応じて、ユーザ側端末14に出力される帳票画像データの範囲が変更される。これにより、電子帳票を表示部27に表示する際、不要な情報が表示されないので、情報の保護を図ることができる。
【0029】
また、本実施の形態によれば、アクセス用コードが記載された提供用紙媒体がプリンタ16によって印刷され、この提供用紙媒体がユーザに提供されることにより、アクセス用コードがユーザに提供(出力)される。これにより、上述したように、提供用紙媒体に対しアクセス用コード及び簡単な情報が印字できれば足りるため、提供用紙媒体の小型化が実現でき、紙の節約になる。さらに、保管のために確保すべきスペースを縮小でき、提供用紙媒体の保管に係る労力を削減できる。さらに、ユーザがユーザ側端末14によって契約書画像データを取得するべくホスト12にアクセスする場合、例えば、キーボードを利用してURLを打ち込んだりする必要がなく、提供用紙媒体に記載されたアクセス用コードをコード読取部26によって読み取るという簡易な動作によって、ミスなく、所望の帳票画像データにアクセスでき、ユーザの利便性が向上する。
【0030】
なお、上述した実施の形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の範囲内で任意に変形および応用が可能である。
上述した実施形態では、提供用紙媒体がユーザに提供されることにより、アクセス用コードがユーザに提供(出力)されているが、アクセス用コードのユーザへの提供方法はこれに限らない。例えば、アクセス用コード生成部21によって生成したアクセス用コードに係るデータを、ユーザが使用する端末装置として予め設定されたユーザ端末14や他のパーソナルコンピュータや携帯電話機に対応するメールアドレスに宛てて、電子メールによってユーザに送信し、これによりアクセス用コードをユーザに提供するようにしてもよい。
この構成によれば、アクセス用コードをユーザに提供する際に紙が必要なくなるため、さらなる紙の削減を実現できる。
【0031】
また、上述した実施形態では、図3のステップSB1において、スキャナ17によって契約書の原本が読み取られることにより帳票画像データが生成されているが、帳票画像データの生成方法はこれに限らない。例えば、上述したように、ホスト12から帳票の原本に係る印刷データをプリンタ16に出力し、この印刷データに基づいてプリンタ16が帳票の原本を印刷出力し、出力された帳票の原本が図示せぬ搬送手段によってスキャナ17の所定の位置まで搬送された後、スキャナ17が帳票の原本を読み取り、帳票画像データを生成するようにしてもよい。
この構成によれば、プリンタ16によって出力された帳票の原本に基づいて自動で帳票画像データが生成されることになるため、帳票画像データの生成が簡易化する。
【0032】
また、上述した実施形態では、帳票画像データがユーザ側端末14に出力される回数に制限はなかったが、この出力の回数に制限を設けるようにしてもよい。例えば、帳票画像データDBに帳票画像データを格納する際、ホスト12は、出力の回数を示すデータと共に格納する。そして、帳票画像データの出力要求があったときは、ホスト12は、この出力の回数を示すデータを参照し、設定された制限回数に達するまでの間のみ帳票画像データを出力する動作を行って、予め定められた回数を越えて帳票画像データが出力されることを防止する。この場合の制限回数は、帳票画像データ毎に設定されるものであってもよいし、ユーザ毎、或いは、ユーザと帳票画像データとの組合せ毎に設定されるものであってもよい。
この構成によれば、例えば、必要以上に帳票画像データが出力されることが防止でき、これにより、他人が不正に帳票画像データを取得することが防止でき、信頼性の向上を図ることができる。
また、上述した実施形態で、帳票画像データ生成部10が生成した帳票画像データを帳票画像データDB20に格納する際に、当該データを暗号化してもよい。
この構成によれば、暗号化された帳票画像データは信頼性が高い唯一のデータとして、紙による帳票の原本と同様の扱いが可能となる。
【0033】
また、上述した実施形態では、図3及び図5のフローチャートにおいて帳票として契約書を例にして説明したが、帳票は契約書に限らず、申込書、伝票、その他控えが必要な帳票に幅広く適用することができる。
また、上述した実施形態では、経理部用の電子帳票において顧客の個人情報が表示されないようにしていたが、表示されないようにする情報はこれに限らず、業務に応じて適宜設計することができる。
また、上述した実施形態では、提供用紙媒体に記載されるアクセス用バーコードは顧客と経理部とで同一であった。しかし、帳票画像データを帳票画像データDB20に格納するときに、ホスト12は、顧客と経理部とで別々のURLに格納し、顧客と経理部とが自身のURLに係る帳票画像データにアクセスできるよう、提供用紙媒体に別々のアクセス用バーコードを記載するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本実施形態に係る帳票データ管理システムの構成を示す図である。
【図2】データベースに格納される情報を模式的に示す図である。
【図3】帳票データ管理システムの動作を示すフローチャートである。
【図4】アクセス用コードが記載された紙媒体の例を示す図である。
【図5】帳票データ管理システムの動作を示すフローチャートである。
【図6】端末の表示部に表示される電子帳票の例を示す図である。
【符号の説明】
【0035】
1…帳票データ管理システム、10…帳票画像データ生成部、12…ホスト(帳票画像データ出力部)、14…ユーザ側端末(端末)、16…プリンタ(コード印刷装置、帳票印刷装置)、17…スキャナ、21…アクセス用コード生成部、23…属性取得部,24…イメージデータ加工部、19…ユーザ情報DB、20…帳票画像データDB(データベース)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複写してユーザに提供すべき帳票の原本を読み取って帳票画像データを生成する帳票画像データ生成部と、
前記帳票画像データを格納するデータベースと、
このデータベースに格納された前記帳票画像データにアクセスするためのアクセス用コードを生成するアクセス用コード生成部と、
前記アクセス用コードを前記ユーザに出力するアクセス用コード出力部と、
前記アクセス用コード出力部が出力した前記アクセス用コードに基づいて、外部の端末からアクセスされた場合に、前記アクセス用コードに対応する前記帳票画像データを前記データベースから読み出して、前記外部の端末に出力する帳票画像データ出力部と、を備え、
前記帳票画像データ出力部は、前記外部の装置を操作してアクセスしたユーザの属性を判別し、判別した属性に基づいて、前記帳票画像データのうち前記外部の端末に出力する範囲を決定し、決定した範囲のみを出力すること、
を特徴とする帳票データ管理システム。
【請求項2】
前記アクセス用コードを印刷可能なコード印刷装置をさらに備え、
前記アクセス用コード出力部は、前記アクセス用コードを前記コード印刷装置によって印刷出力させること、
を特徴とする請求項1に記載の帳票データ管理システム。
【請求項3】
前記アクセス用コード出力部は、前記ユーザが使用する端末として予め設定された装置に対し、前記アクセス用コードを電子メールの形態で出力すること、
を特徴とする請求項1に記載の帳票データ管理システム。
【請求項4】
前記帳票画像データ生成部は、前記原本を印刷する帳票印刷装置と、この帳票印刷装置により印刷された前記原本を自動でスキャンして前記帳票画像データを生成するスキャナと、を備えること、
を特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の帳票データ管理システム。
【請求項5】
前記帳票画像データ出力部は、前記データベースから読み出した前記帳票画像データを、予め設定された制限回数に達するまでの間のみ、前記外部の端末に出力すること、
を特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の帳票データ管理システム。
【請求項6】
複写してユーザに提供すべき帳票の原本を読み取った帳票画像データを管理する帳票データ管理システムの制御方法であって、
帳票画像データ生成部によって複写してユーザに提供すべき帳票の原本を読み取って帳票画像データを生成し、
生成した前記帳票画像データをデータベースに格納し、
前記データベースに格納された前記帳票画像データにアクセスするためのアクセス用コードを、アクセス用コード生成部によって生成し、
前記アクセス用コードをアクセス用コード出力部によって前記ユーザに出力し、
帳票画像データ出力部によって、前記アクセス用コード出力部が出力した前記アクセス用コードに基づいて外部の端末からアクセスされた場合に、前記アクセス用コードに対応する前記帳票画像データを前記データベースから読み出すとともに、前記外部の装置を操作してアクセスしたユーザの属性を判別し、判別した属性に基づいて、前記帳票画像データのうち前記外部の端末に出力する範囲を決定し、決定した範囲の前記帳票画像データのみを出力すること、
を特徴とする帳票データ管理システムの制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−238092(P2009−238092A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−85745(P2008−85745)
【出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】