説明

平板状ケーブル用コネクタ

【課題】平板状ケーブルの導体部と相手端子とを確実に導通させることができる平板状ケーブル用コネクタを提供する。
【解決手段】複数の導体部が設けられた平板状ケーブル3と、この平板状ケーブル3を挿入する挿入口31が一側に設けられたコネクタ5と、平板状ケーブル3の厚み方向から挟み込み導体部に対して導通されるフォーク形状の相手端子7とを備えた平板状ケーブル用コネクタ1において、平板状ケーブル3に、導体部の厚み方向の一方の面を覆う樹脂からなるスライダ11を設け、コネクタ5に、挿入口31と連通されスライダ11を収容し平板状ケーブル3のコネクタ5への挿入方向の移動を規制する収容部33を設け、スライダ11のコネクタ5の他側の端部を、収容部33からコネクタ5の外部に向けて突出し、相手端子7に挟み込ませて平板状ケーブル3の導体部と相手端子7とを導通した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平板状ケーブル用コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、平板状ケーブル用コネクタとしては、フレキシブル回路基板(FPC)やフレキシブルフラットケーブル(FFC)などの可撓性を有する平板状ケーブルと、この平板状ケーブルの端部が挿入されて収容されるコネクタと、このコネクタに収容され平板状ケーブルの厚み方向から挟み込み平板状ケーブルの導体部に対して導通されるフォーク形状の相手端子とを備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この平板状ケーブル用コネクタは、平板状ケーブルに耳部を設け、コネクタに変位可能な掛止部を設け、平板状ケーブルをコネクタに挿入した際に、掛止部が耳部に掛止することによって平板状ケーブルの抜け止めを行うと共に、掛止部の下方への変位を防止して掛止部の耳部に対する掛止解除を防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−33978号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような平板状ケーブル用コネクタでは、平板状ケーブルの導体部に対して導通される相手端子がフォーク形状に形成されて導体部を挟み込む構成であるので、平板状ケーブルの導体部と相手端子との間で十分な接触荷重を得ることができず、平板状ケーブルと相手端子との導通が不十分になる可能性があった。
【0006】
そこで、この発明は、平板状ケーブルの導体部と相手端子とを確実に導通させることができる平板状ケーブル用コネクタの提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、複数の導体部が設けられた平板状ケーブルと、この平板状ケーブルを挿入する挿入口が一側に設けられたコネクタと、前記平板状ケーブルの厚み方向から挟み込み前記導体部に対して導通されるフォーク形状の相手端子とを備えた平板状ケーブル用コネクタであって、前記平板状ケーブルには、前記導体部の厚み方向のいずれか一方の面を覆う樹脂からなるスライダが設けられ、前記コネクタには、前記挿入口と連通され前記スライダを収容し前記平板状ケーブルの前記コネクタへの挿入方向の移動を規制する収容部が設けられ、前記スライダの前記コネクタの他側の端部は、前記収容部から前記コネクタの外部に向けて突出され、前記相手端子に挟み込まれて前記平板状ケーブルの導体部と前記相手端子とが導通されていることを特徴とする。
【0008】
この平板状ケーブル用コネクタでは、相手端子がスライダと平板状ケーブルの導体部とを挟み込むので、樹脂からなるスライダの厚みを調整することにより、平板状ケーブルの導体部と相手端子との間に十分な接触荷重を与えることができる。
【0009】
従って、この平板状ケーブル用コネクタでは、平板状ケーブルの導体部と相手端子とを確実に導通させることができる。
【0010】
また、平板状ケーブルの導体部の厚み方向のいずれか一方の面は、スライダに覆われているので、平板状ケーブルの破損を防止することができる。
【0011】
さらに、コネクタには、スライダを収容し平板状ケーブルのコネクタへの挿入方向の移動を規制する収容部が設けられているので、平板状ケーブルのコネクタに対する挿入位置を位置決めすることができ、平板状ケーブルのコネクタへの挿入を容易に行うことができる。加えて、平板状ケーブルの導体部の位置ズレを防止でき、相手端子と導体部とを確実に導通させることができる。
【0012】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の平板状ケーブル用コネクタであって、前記平板状ケーブルには、前記平板状ケーブルと前記コネクタの挿入口との間をシールする第1シール部材が設けられていることを特徴とする。
【0013】
この平板状ケーブル用コネクタでは、平板状ケーブルに平板状ケーブルとコネクタの挿入口との間をシールする第1シール部材が設けられているので、コネクタの挿入口側からコネクタ内へ水が侵入することを防止することができる。
【0014】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の平板状ケーブル用コネクタであって、前記相手端子は、前記コネクタの他側に形成された間口から挿入されて前記収容部の外周を覆うように前記コネクタと嵌合する相手コネクタの端子収容部に収容され、前記コネクタの収容部の外周には、前記相手コネクタと前記コネクタの収容部の外周との間をシールする第2シール部材が設けられていることを特徴とする。
【0015】
この平板状ケーブル用コネクタでは、相手端子がコネクタに嵌合される相手コネクタの端子収容部に収容されているので、相手端子を保持して平板状ケーブルの導体部と相手端子との導通を安定させることができる。
【0016】
また、コネクタの収容部の外周に相手コネクタとコネクタの収容部の外周との間をシールする第2シール部材が設けられているので、コネクタの間口側からコネクタ内へ水が侵入することを防止することができる。
【0017】
請求項4記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の平板状ケーブル用コネクタであって、前記コネクタの挿入口には、前記平板状ケーブルを挿通して保持し前記平板状ケーブルの前記コネクタからの抜け方向の移動を規制するホルダが組み付けられていることを特徴とする。
【0018】
この平板状ケーブル用コネクタでは、コネクタの挿入口に平板状ケーブルを挿通して保持し平板状ケーブルのコネクタからの抜け方向の移動を規制するホルダが組み付けられているので、平板状ケーブルのコネクタに対する保持を安定させることができると共に、平板状ケーブルのコネクタからの抜けを防止して平板状ケーブルの導体部と相手端子との導通を安定させることができる。
【0019】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の平板状ケーブル用コネクタであって、前記ホルダは、両側面のいずれか一方の側面が開口されたコ字状に形成され、前記平板状ケーブルは、前記ホルダの開口から挿入されて前記ホルダに支持され、前記ホルダの両側面には、複数のリブが対称にそれぞれ設けられ、前記コネクタの挿入口の両側面には、前記複数のリブがそれぞれ係合する係合溝が対称にそれぞれ設けられていることを特徴とする。
【0020】
この平板状ケーブル用コネクタでは、ホルダが一方の側面が開口されたコ字状に形成されているので、リブと係合溝とを係合させることにより、ホルダが開口から拡張する方向への変形を防止することができる。
【0021】
また、複数のリブと複数の係合溝とがそれぞれ対称に設けられているので、コ字状のホルダを平板状ケーブルを挿通しつつコネクタの挿入口のどちらの側面に対してもリブと係合溝とを係合させて組み付けることができ、ホルダのコネクタに対する組付性を向上することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、平板状ケーブルの導体部と相手端子とを確実に導通させることができる平板状ケーブル用コネクタを提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1実施形態に係る平板状ケーブル用コネクタの斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る平板状ケーブル用コネクタの断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る平板状ケーブル用コネクタのケーブル組立体の斜視図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る平板状ケーブル用コネクタのケーブル組立体の断面図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る平板状ケーブル用コネクタのケーブル組立体の分解斜視図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係る平板状ケーブル用コネクタのコネクタの斜視図である。
【図7】本発明の第1実施形態に係る平板状ケーブル用コネクタのコネクタの断面図である。
【図8】本発明の第1実施形態に係る平板状ケーブル用コネクタの相手端子の斜視図である。
【図9】本発明の第1実施形態に係る平板状ケーブル用コネクタの相手コネクタの斜視図である。
【図10】本発明の第1実施形態に係る平板状ケーブル用コネクタの相手コネクタの正面図である。
【図11】本発明の第1実施形態に係る平板状ケーブル用コネクタの相手端子と相手コネクタとを組み付けたときの断面図である。
【図12】本発明の第2実施形態に係る平板状ケーブル用コネクタの斜視図である。
【図13】本発明の第2実施形態に係る平板状ケーブル用コネクタの断面図である。
【図14】本発明の第2実施形態に係る平板状ケーブル用コネクタのホルダの斜視図である。
【図15】本発明の第2実施形態に係る平板状ケーブル用コネクタのホルダの正面図である。
【図16】本発明の第2実施形態に係る平板状ケーブル用コネクタのコネクタの斜視図である。
【図17】本発明の第2実施形態に係る平板状ケーブル用コネクタのホルダをコネクタに組み付けるときの斜視図である。
【図18】(a)は本発明の第2実施形態に係る平板状ケーブル用コネクタのホルダを一方側からコネクタに組み付けるときの正面図である。(b)は本発明の第2実施形態に係る平板状ケーブル用コネクタのホルダを他方側からコネクタに組み付けるときの正面図である。
【図19】本発明の第2実施形態に係る平板状ケーブル用コネクタのホルダをコネクタに組み付けるときの斜視図及び要部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1〜図19を用いて本発明の実施の形態に係る平板状ケーブル用コネクタについて説明する。
【0025】
(第1実施形態)
図1〜図11を用いて第1実施形態について説明する。
【0026】
本実施の形態に係る平板状ケーブル用コネクタ1は、図1,図2に示すように、平板状ケーブル3と、コネクタ5と、相手端子7と、相手コネクタ9とを備えている。
【0027】
図3〜図5に示すように、平板状ケーブル3は、FPCやFFCなどの可撓性を有する平板状のケーブルからなり、複数の導体部(不図示)を備えている。この平板状ケーブル3には、スライダ11と第1シール部材としてのシール材13とが組み付けられてケーブル組立体15が構成されている。
【0028】
スライダ11は、樹脂材料からなり、スライダ本体17と、スライダカバー19とを備えている。スライダ本体17は、平板状ケーブル3の導体部を覆うように平板状ケーブル3の上面に組み付けられる。また、スライダ本体17の平板状ケーブル3側の面(下面)には、複数(ここでは2つ)のボス21が突設されている。このボス21は、平板状ケーブル3に設けられたボス穴23に挿通され、平板状ケーブル3に対してスライダ本体17が位置決め固定される。また、スライダ本体17の両側面には、ビーク25が突設され、スライダカバー19が固定される。
【0029】
スライダカバー19は、スライダ本体17で覆われた平板状ケーブル3の導体部の一部を外部に露出させるように平板状ケーブル3の下面に組み付けられる。また、スライダカバー19には、平板状ケーブル3のボス穴23を挿通して突出されたスライダ本体17のボス21が挿通されるボス穴27が設けられている。これらのボス21とボス穴23,27との係合により、スライダ11が平板状ケーブル3に対して位置決め固定される。また、スライダカバー19の両側面には、スライダ本体17のビーク25と係合するロック29が設けられている。このロック29とビーク25との係合により、スライダ本体17とスライダカバー19とが固定される。
【0030】
シール材13は、ゴムなどの弾性材料からなり、中央部に平板状ケーブル3が密着して挿通されている。なお、シール材13と平板状ケーブル3とを別部材で形成させて組み付けてもよいが、シール材13を平板状ケーブル3に一体成型させてもよい。このシール材13の外周は、図2に示すように、コネクタ5の挿入口31内で挿入口31の内周面と弾性的に密着し、コネクタ5と平板状ケーブル3との間をシールする。
【0031】
このような平板状ケーブル3にスライダ11とシール材13とが組み付けられたケーブル組立体15は、コネクタ5の挿入口31から挿入されてコネクタ5に組み付けられる。
【0032】
図6,図7に示すように、コネクタ5は、樹脂材料からなり、挿入口31と、収容部33と、間口35と、相手コネクタ収容部37とを備えている。挿入口31は、コネクタ5の一側に向けて開口されている。この挿入口31からケーブル組立体15が挿入され、ケーブル組立体15がコネクタ5に組み付けられる。この挿入口31には、ケーブル組立体15のシール材13が収容され、コネクタ5と平板状ケーブル3との間がシールされる。
【0033】
収容部33は、挿入口31よりもコネクタ5の内部側に設けられ、挿入口31と連通されて筒状に形成されている。また、収容部33の底部には、貫通孔39が設けられている。この収容部33には、図2に示すように、ケーブル組立体15のスライダ11が収容され、スライダ11の一部が貫通孔39を挿通して相手コネクタ収容部37内に突出される。このスライダ11の突出された部分は、相手端子7に挟み込まれる接続部41となる。このようにスライダ11を収容部33に収容することにより、スライダ11の接続部41の基端側が収容部33の底部に当接され、ケーブル組立体15のコネクタ5への挿入方向の移動を規制することができる。
【0034】
間口35は、コネクタ5の他側に向けて開口されている。この間口35から相手コネクタ9が挿入され、相手コネクタ9がコネクタ5に組み付けられる。この間口35は、相手コネクタ9を収容する相手コネクタ収容部37と連通されている。
【0035】
相手コネクタ収容部37は、コネクタ5の内部で収容部33の外周側に設けられている。この相手コネクタ収容部37には、間口35から挿入される相手コネクタ9が収容部33の外周を覆うように収容される。なお、この相手コネクタ収容部37には、操作部43とロック部45とを有し揺動可能に設けられたロックアーム47のロック部45が位置されており、相手コネクタ9がコネクタ5に対して固定される。
【0036】
このように構成されたコネクタ5は、回路基板などの基板(不図示)上に実装され、電子部品などに接続された平板状ケーブル3と、基板に接続された相手端子7とを導通させるために適用される。
【0037】
図8に示すように、相手端子7は、導電性の金属材料からなり、L字状に形成されて一端側に設けられた導通部49が基板に接続され、他端側に狭持部51が設けられている。狭持部51は、先端側が弾性変形可能に開口されたフォーク形状をなしている。この狭持部51には、図2に示すように、ケーブル組立体15の接続部41が挟み込まれ、平板状ケーブル3の導体部と相手端子7とが導通される。
【0038】
ここで、狭持部51の挟み込みによる平板状ケーブル3の導体部と狭持部51との接触荷重の調整は、接続部41におけるスライダ11のスライダ本体17の厚みを変更することによって行われる。これにより、例えば、平板状ケーブル3の厚みが薄く、狭持部51の変位量の幅が小さい場合にも、スライダ本体17の厚みを変更することによって、狭持部51に変位量の幅をもたせることができ、接触荷重の調整を行うことができる。
【0039】
このような相手端子7は、相手コネクタ9に収容され、相手コネクタ9とコネクタ5とを嵌合させることにより、平板状ケーブル3と導通される。
【0040】
図9〜図11に示すように、相手コネクタ9は、樹脂材料からなり、嵌合部53と、端子収容部55とを備えている。嵌合部53は、筒状に形成され、コネクタ5の収容部33の外周を覆うようにコネクタ5の相手コネクタ収容部37に収容される。また、嵌合部53の外周の上面には、コネクタ5のロックアーム47のロック部45と係合する一対のビーク部57,59が突設されている。この一対のビーク部57,59のうち、相手コネクタ9の挿入方向前方に位置する一方のビーク部57は、他方のビーク部59よりも突出高さが低く設定され、挿入方向の前面が傾斜面となっている。このため、相手コネクタ9をコネクタ5に嵌合させることにより、ロックアーム47のロック部45が一方のビーク部57の傾斜面を乗り越え、他方のビーク部59と当接し、一対のビーク部57,59間に係合される。この一対のビーク部57,59とロックアーム47のロック部45との係合により、相手コネクタ9のコネクタ5に対する嵌合位置が保持される。なお、この係合は、ロックアーム47の操作部43を押し下げることによって解除させることができ、コネクタ5と相手コネクタ9との嵌合を解除することができる。
【0041】
ここで、コネクタ5の収容部33の外周には、図7に示すように、相手コネクタ9とコネクタ5の収容部33の外周との間をシールする第2シール部材としてのゴムパッキン61が設けられている。このゴムパッキン61は、図2に示すように、内周が収容部33の外周面に密着されており、外周が相手コネクタ9の嵌合部53の内周面と弾性的に密着し、コネクタ5と相手コネクタ9との間をシールする。このような嵌合部53は、端子収容部55と連通されている。
【0042】
端子収容部55は、図10に示すように、相手コネクタ9の幅方向に延びる貫通孔となっており、複数の相手端子7が収容される。なお、相手端子7の収容数は、設定された回路に応じて適宜選択される。また、端子収容部55には、図2に示すように、ケーブル組立体15の接続部41が挿入され、平板状ケーブル3と相手端子7とが導通される。このように端子収容部55内で平板状ケーブル3と相手端子7とを導通させることにより、互いの位置ズレを防止することができる。
【0043】
このような平板状ケーブル用コネクタ1では、相手端子7がスライダ11と平板状ケーブル3の導体部とを挟み込むので、樹脂からなるスライダ11の厚みを調整することにより、平板状ケーブル3の導体部と相手端子7との間に十分な接触荷重を与えることができる。
【0044】
従って、この平板状ケーブル用コネクタ1では、平板状ケーブル3の導体部と相手端子7とを確実に導通させることができる。
【0045】
また、平板状ケーブル3の導体部の厚み方向の一方の面は、スライダ11に覆われているので、平板状ケーブル3の破損を防止することができる。
【0046】
さらに、コネクタ5には、スライダ11を収容し平板状ケーブル3のコネクタ5への挿入方向の移動を規制する収容部33が設けられているので、平板状ケーブル3のコネクタ5に対する挿入位置を位置決めすることができ、平板状ケーブル3のコネクタ5への挿入を容易に行うことができる。加えて、平板状ケーブル3の導体部の位置ズレを防止でき、相手端子7と導体部とを確実に導通させることができる。
【0047】
また、平板状ケーブル3に平板状ケーブル3とコネクタ5の挿入口31との間をシールするシール材13が設けられているので、コネクタ5の挿入口31側からコネクタ5内へ水が侵入することを防止することができる。
【0048】
さらに、相手端子7がコネクタ5に嵌合される相手コネクタ9の端子収容部55に収容されているので、相手端子7を保持して平板状ケーブル3の導体部と相手端子7との導通を安定させることができる。
【0049】
また、コネクタ5の収容部33の外周に相手コネクタ9とコネクタ5の収容部33の外周との間をシールするゴムパッキン61が設けられているので、コネクタ5の間口35側からコネクタ5内へ水が侵入することを防止することができる。
【0050】
(第2実施形態)
図12〜図19を用いて第2実施形態について説明する。
【0051】
本実施の形態に係る平板状ケーブル用コネクタ101は、図12,図13に示すように、ホルダ103を備えている。なお、第1実施形態と同一の構成には、同一の記号を記して説明を省略するが、第1実施形態と同一の構成であるので、構成及び機能説明は第1実施形態を参照するものとし省略するが、得られる効果は同一である。
【0052】
図14,図15に示すように、ホルダ103は、樹脂材料からなり、一方の側面が開口されたコ字状に形成されている。このホルダ103は、図17に示すように、開口から平板状ケーブル3に挿入され、コネクタ5の挿入口31の外周を覆うようにコネクタ5に組み付けられる。このホルダ103をコネクタ5に組み付けることにより、平板状ケーブル3がコネクタ5からの抜け方向の移動を規制され、平板状ケーブル3をコネクタ5に保持することができる。このホルダ103の内部の両側面には、複数(ここではそれぞれ2つ)のリブ105が設けられている。
【0053】
複数のリブ105は、ホルダ103の内部に向けて両側面から突設されている。この複数のリブ105は、図19に示すように、コネクタ5の挿入口31の両側面に設けられた複数(ここではそれぞれ2つ)の係合溝107に係合される。また、複数のリブ105と複数の係合溝107とは、図13,図15,図16に示すように、ホルダ103の両側面とコネクタ5の挿入口31の両側面とにそれぞれ対称に設けられている。このため、図18に示すように、ホルダ103を平板状ケーブル3の幅方向のどちらの側から挿入しても、リブ105と係合溝107とを係合させることができ、位置合わせなどの作業を省略させて組付作業性を向上することができる。また、ホルダ103の上下面には、コネクタ5の挿入口31の上下面にそれぞれ突設されたビーク部109(片側のみ図示)と係合するロック部111がそれぞれ設けられている。このロック部111は、ホルダ103を組付方向に移動させると、ビーク部109の先端の傾斜面を乗り越え、ビーク部109の後端面に係止される。
【0054】
ここで、ホルダ103は、コ字状に形成されているため、例えば、ロック部111とビーク部109との係合のときのように、開口から拡張する方向に力が加わると、開口とは反対側の側面に応力が集中して変形や破損が起こる可能性がある。しかしながら、ホルダ103では、リブ105と係合溝107との係合により、ホルダ103に開口から拡張する方向に力が加わることが防止され、ホルダ103の変形や破損を防止することができる。加えて、ホルダ103が開口から拡張することがないので、ロック部111とビーク部109との係合を保持することができる。
【0055】
このような平板状ケーブル用コネクタ101では、コネクタ5の挿入口31に平板状ケーブル3を挿通して保持し平板状ケーブル3のコネクタ5からの抜け方向の移動を規制するホルダ103が組み付けられているので、平板状ケーブル3のコネクタ5に対する保持を安定させることができると共に、平板状ケーブル3のコネクタ5からの抜けを防止して平板状ケーブル3の導体部と相手端子7(例えば、図2参照)との導通を安定させることができる。
【0056】
また、ホルダ103が一方の側面が開口されたコ字状に形成されているので、リブ105と係合溝107とを係合させることにより、ホルダ103が開口から拡張する方向への変形を防止することができる。
【0057】
さらに、複数のリブ105と複数の係合溝107とがそれぞれ対称に設けられているので、コ字状のホルダ103を平板状ケーブル3を挿通しつつコネクタ5の挿入口31のどちらの側面に対してもリブ105と係合溝107とを係合させて組み付けることができ、ホルダ103のコネクタ5に対する組付性を向上することができる。
【0058】
なお、本発明の実施の形態に係る平板状ケーブル用コネクタでは、相手端子を相手コネクタに収容させる構成としているが、コネクタの間口側に相手端子を収容する収容部を設けてコネクタに相手端子を収容させる構成としてもよい。
【0059】
また、ホルダとコネクタの挿入口とに設けられたリブと係合溝とがそれぞれ両側面に対称に設けられている構成としているが、これに限らず、例えば、ホルダとコネクタの挿入口との上下面に対称に設けてもよい。
【符号の説明】
【0060】
1,101…平板状ケーブル用コネクタ
3…平板状ケーブル
5…コネクタ
7…相手端子
9…相手コネクタ
11…スライダ
13…シール材(第1シール部材)
31…挿入口
33…収容部
35…間口
55…端子収容部
61…ゴムパッキン(第2シール部材)
103…ホルダ
105…リブ
107…係合溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の導体部が設けられた平板状ケーブルと、この平板状ケーブルを挿入する挿入口が一側に設けられたコネクタと、前記平板状ケーブルの厚み方向から挟み込み前記導体部に対して導通されるフォーク形状の相手端子とを備えた平板状ケーブル用コネクタであって、
前記平板状ケーブルには、前記導体部の厚み方向のいずれか一方の面を覆う樹脂からなるスライダが設けられ、前記コネクタには、前記挿入口と連通され前記スライダを収容し前記平板状ケーブルの前記コネクタへの挿入方向の移動を規制する収容部が設けられ、
前記スライダの前記コネクタの他側の端部は、前記収容部から前記コネクタの外部に向けて突出され、前記相手端子に挟み込まれて前記平板状ケーブルの導体部と前記相手端子とが導通されていることを特徴とする平板状ケーブル用コネクタ。
【請求項2】
請求項1記載の平板状ケーブル用コネクタであって、
前記平板状ケーブルには、前記平板状ケーブルと前記コネクタの挿入口との間をシールする第1シール部材が設けられていることを特徴とする平板状ケーブル用コネクタ。
【請求項3】
請求項1又は2記載の平板状ケーブル用コネクタであって、
前記相手端子は、前記コネクタの他側に形成された間口から挿入されて前記収容部の外周を覆うように前記コネクタと嵌合する相手コネクタの端子収容部に収容され、前記コネクタの収容部の外周には、前記相手コネクタと前記コネクタの収容部の外周との間をシールする第2シール部材が設けられていることを特徴とする平板状ケーブル用コネクタ。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の平板状ケーブル用コネクタであって、
前記コネクタの挿入口には、前記平板状ケーブルを挿通して保持し前記平板状ケーブルの前記コネクタからの抜け方向の移動を規制するホルダが組み付けられていることを特徴とする平板状ケーブル用コネクタ。
【請求項5】
請求項4記載の平板状ケーブル用コネクタであって、
前記ホルダは、両側面のいずれか一方の側面が開口されたコ字状に形成され、前記平板状ケーブルは、前記ホルダの開口から挿入されて前記ホルダに支持され、前記ホルダの両側面には、複数のリブが対称にそれぞれ設けられ、前記コネクタの挿入口の両側面には、前記複数のリブがそれぞれ係合する係合溝が対称にそれぞれ設けられていることを特徴とする平板状ケーブル用コネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−38640(P2012−38640A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−179339(P2010−179339)
【出願日】平成22年8月10日(2010.8.10)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】