説明

平版印刷版材料の製造方法及び平版印刷版材料

【課題】 フィラーを含有し、溶媒の60質量%以上が水である塗布液をコータで塗布するとき、スライド面からの蒸発を抑制し、均一な塗布面を確保しながら、生産性が低下しない、簡易で安価な平版印刷版材料の製造方法及び平版印刷版材料の提供。
【解決手段】 バックロールで塗布反対面が保持され、連続搬送される帯状支持体へ、同時重層用スライド型コータを用いて、該帯状支持体上に粒子物を含有する少なくとも1層から構成される層を設けてなる平版印刷版材料の製造方法において、前記塗布液は少なくとも一種類のフィラーを含有し、溶媒の60質量%以上が水であり、該同時重層用スライド型コータは、最下層用の塗布液を吐出するスリットの両端に塗布補助液を供給する塗布補助液供給手段を有し、該塗布補助液供給手段より前記塗布液の吐出量の10質量%以下の該塗布補助液を供給しながら塗布することを特徴とする平版印刷版材料の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、同時重層用スライド型コータを用いた平版印刷版材料の製造方法及び平版印刷版材料に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に感光材料や磁気記録材料等の塗布装置には高速、薄膜、多層同時塗布が可能であることから、同時重層用スライド型コータ(以下、コータとも言う)が広く用いられている。このタイプのコータは、コータを構成しているバーとバーの間のスリットから押出された塗布液が、コータの上面であるスライド面を流下し、走行する帯状支持体に塗布することで知られている。
【0003】
一般的にこのようなコータを使い塗布を行う場合は、スリットへの異物詰まり、気泡付着による塗布故障、スライド面上の塗布液の蒸発に伴う塗布故障が発生しないように管理しながら塗布を行っている。スリットへの異物詰まり、気泡付着に対しては、フィルターを通した塗布液を使用しているのであるが、長時間使用することでコータへの塗布液供給経路内で発生する気泡、沈殿物、異物等がスリットに付着したり、詰まらせたりすることがしばしば生じる。これらが発生するとすぐに塗布筋故障となるため、作業者はコータのスライド面を流れる塗布液の状態を観察し、スリットへの異物付着、詰まりの発生を見つけた場合は、直ちに取り除き塗布故障を最小限に抑えながら塗布を行っている。
【0004】
特に、塗布液中にフィラーが含まれる場合、コータの両端は、液流速が遅くなること、蒸発により固形分濃度の上昇が生じるため、フィラーが固着、凝集することによる塗布ムラや筋故障の発生に伴う塗布性の悪化が生じていた。これらの塗布故障が発生した場合は製品とならないため製品の収率は極めて低くなる。
【0005】
このため塗布液の流速を制御するため、コータのスリット幅を制御したり、精度を上げる等の検討がされてきた。
【0006】
例えば、スリット面の加工精度を向上し、塗布液の流量分布を安定化して塗布製品の膜圧の均一化が図れる技術が開示されている(例えば、特許文献1参照。)が、フィラーを含むスライド面に固着しやすい塗布液に対しては、十分な対策にはならない。
【0007】
又、スライド面上の塗布液の蒸発を抑制し、スライド面上のガス濃度を高く保つことで、蒸発起因の塗布ムラ故障、筋故障の発生を抑制出来るため、スライド面上の塗布液の蒸発抑制に対しては、種々の検討がなされて来た。
【0008】
例えば、有機溶剤系塗布装置のスライド面上方にフードを付ける技術が開示されている(例えば、特許文献2参照。)が、かなり大がかりなフードのため、スライド面上のガス濃度は低くなってしまい、蒸発が促進され十分な対策とはなっていない。
【0009】
塗布液の温度と塗布液に接する空気の温度差により生じる空気の対流の発生を防止するため、シールド手段と称するスライドカバーをスライド面から出来るだけ近くに設け、且つシールド手段を塗布液温度と同じ温度にする技術が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。しかしながら、シールド手段を塗布液温度まで常時加温するため相当量のエネルギーを使うことになり、コストアップに繋がる。
【0010】
又、スライド面からの蒸発を防止するため遮風手段を設けた構造からなるカバーをスライド面上に近接し設ける技術が開示されている(例えば、特許文献4参照。)。しかし、構造が複雑であり、スライド面上を流れる塗布液の状態を見ることが出来ないため、スリットへの異物付着、異物詰まりの発見が遅れ、これに伴い製品にならない塗布を行ってしまうために塗布液のムダも多くコストアップになっている。
【0011】
このような状況の中、フィラーを含有した塗布液をコータで塗布するとき、スライド面からの蒸発を抑制し、均一な塗布面を確保しながら、生産性低下のない、簡易で安価な平版印刷版材料の製造方法及び平版印刷版材料の開発が望まれている。
【特許文献1】特開平11−192452号公報
【特許文献2】特開昭55−75758号公報
【特許文献3】特公平6−27929号公報
【特許文献4】特開平9−225380号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は上記状況に鑑みなされたものであり、その目的は、フィラーを含有し、溶媒の60質量%以上が水である塗布液をコータで塗布するとき、スライド面からの蒸発を抑制し、均一な塗布面を確保しながら、生産性が低下しない、簡易で安価な平版印刷版材料の製造方法及び平版印刷版材料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題は、以下の構成により解決することが出来た。
【0014】
(請求項1)
バックロールで塗布反対面が保持され、連続搬送される帯状支持体へ、それぞれ別々に塗布液を押出す少なくとも2つのスリットと、該スリットを構成する少なくとも3本のバーとを有し、該塗布液を同時に塗布する同時重層用スライド型コータを用いて、該帯状支持体上に粒子物を含有する少なくとも1層から構成される層を設けてなる平版印刷版材料の製造方法において、
前記塗布液は少なくとも一種類のフィラーを含有し、溶媒の60質量%以上が水であり、
該同時重層用スライド型コータは、最下層用の塗布液を吐出するスリットの両端に塗布補助液を供給する塗布補助液供給手段を有し、
該塗布補助液供給手段より前記塗布液の吐出量の10質量%以下の該塗布補助液を供給しながら塗布することを特徴とする平版印刷版材料の製造方法。
【0015】
(請求項2)
前記同時重層用スライド型コータはスライド面、側面及び後面を覆うカバーを有することを特徴とする請求項1に記載の平版印刷版材料の製造方法。
【0016】
(請求項3)
前記塗布補助液が塗布液と同じ組成を有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の平版印刷版材料の製造方法。
【0017】
(請求項4)
前記塗布補助液が塗布液と近似組成を有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の平版印刷版材料の製造方法。
【0018】
(請求項5)
前記塗布補助液が水であることを特徴とする請求項1又は2に記載の平版印刷版材料の製造方法。
【0019】
(請求項6)
前記塗布液が親水性層用の塗布液又は画像形成層用の塗布液であることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の平版印刷版材料の製造方法。
【0020】
(請求項7)
前記帯状支持体上に、少なくとも1層の親水性層用の塗布液を塗布・乾燥し、親水性層を形成した後、該親水性層の上に少なくとも1層の画像形成層用の塗布液を塗布・乾燥し、画像形成層を形成することを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の平版印刷版材料の製造方法。
【0021】
(請求項8)
前記親水性層用の塗布液は少なくとも一種のフィラーと、光熱変換剤とを含有することを特徴とする請求項6又は7に記載の平版印刷版材料の製造方法。
【0022】
(請求項9)
前記画像形成層用の塗布液は少なくとも一種のフィラーと、熱融着性微粒子とを含有することを特徴とする請求項6〜8の何れか1項に記載の平版印刷版材料の製造方法。
【0023】
(請求項10)
請求項1〜9の何れか1項に記載の平版印刷版材料の製造方法により得られる平版印刷版材料において、画像記録した後、水現像又は印刷機上で湿し水現像することを特徴とする平版印刷版材料。
【発明の効果】
【0024】
フィラーを含有し、溶媒の60質量%以上が水である塗布液をコータで塗布するとき、スライド面からの蒸発を抑制し、均一な塗布面を確保しながら、生産性が低下しない、簡易で安価な平版印刷版材料の製造方法及び平版印刷版材料を提供することが出来、塗布膜厚が安定した高品質の平版印刷版材料の生産が可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下に、図1〜図5を参照しながら本発明の実施の形態に付き説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0026】
図1はコータを使用し塗布するスライド塗布方式の概略図である。図1の(a)はバックロールで塗布反対面を保持された帯状支持体の保持部へ、コータを使用しビードを形成して塗布するスライド塗布方式の模式図である。図1の(b)は図1で示されるスライド型コータの拡大概略図である。
【0027】
図中、1aはコータを示し、2はバックアップロールを示し、3は上流から下流に向かって(図中の矢印方向)連続搬送される帯状支持体を示す。101はコータ1aを構成しているバーを示す。バーの数は固定されているのではなく、塗布する塗布液の数に応じて増減することが可能である。例えば、塗布液が2種類の場合は3本のバーでコータを構成することになる。本図は4本のバー101a〜101dでコータ1aが構成されて3層同時塗布可能のコータの場合を示している。バーに使用される材質は一般的にはステンレス(SUS304、SUS316、PSL(日立金属〔株〕製)等)である。バックアップロールとはコータ1と帯状支持体3を挟んで帯状支持体3の塗布反対面側に設置された搬送ロールを指し、その円筒度がコータ1と同様に塗布幅手間隙精度に影響大のため、直径が200mm以上と大径の金属で構成されている。
【0028】
102はバー101により作られた塗布液の流出口であるスリットを示す。スリットの数はコータを構成している各バーの数により変わるが、通常は1〜20である。本図に示されるコータ1は4本のバー101a〜101dで構成され、4本のバー101a〜101dの間に作られた3つのスリット102a〜102cを有するコータを示す。103はスリット102から吐出された塗布液が流下するスライド面を示し、各バー101a〜101dの各スライド面103a〜103cを有している。
【0029】
104はスライド型コータ1を構成している各バー101a〜101dにより構成されたスライド面103上を流下する塗布液の幅方向の広がりを規制するためにスライド面103の両端に設けられた塗布幅規制プレートを示す。塗布幅規制プレート104は塗布液の種類により温度を制御することを可能にすることが好ましい。
【0030】
塗布液供給系4の調製釜401a〜401cで調製された塗布液を各送液ポンプ402a〜402cにより各供給管403a〜403cを通して、各バー101a〜101dの間に作られた塗布液供給流路部108a〜108cを通り、各ポケット部107a〜107cに供給され、各スリット102a〜102cから吐出された塗布液は、スリット102aから吐出された塗布液の上に、スリット102bから吐出された塗布液が乗り、この上にスリット102cから吐出された塗布液が乗った状態で塗布幅規制プレート104により塗布幅が規制された各スライド面103a〜103cを流下し、リップ部105を介してビード5を形成し、バックロール2により塗布反対面を保持され搬送される帯状光学フィルム3の保持部に塗布される。
【0031】
109は塗布補助液供給手段を示し、塗布補助液供給管109aと、塗布補助液供給口109b(図2を参照)とを有している。塗布補助液供給管109aは、塗布補助液供給用のポンプ(不図示)に繋がっている。塗布時に塗布補助液供給管109aより供給された塗布補助液は塗布補助液供給口109b(図2を参照)より塗布液と共にスライド面103を流下する。
【0032】
W1は帯状支持体3にコータ1により塗布液を塗布する塗布点を示し、通常バックロールの中心を通る水平軸より上方0〜20度の位置が好ましい。
【0033】
6は塗布の安定化のためコータ1の下部に設けられた減圧室を示し、601は吸引管を示し、602は排液管を示す。塗布開始時の減圧室の減圧度は、定常状態の塗布時の減圧度に対して、ビードの安定形成、塗布幅の全幅へのビードの短時間の形成、塗布開始時のロス低減を考慮し、50〜600Paとすることが好ましい。
【0034】
7は支持体に塗布された塗布層を示す。コータ1は、開始塗布開始時は塗布点W1に向けて待機位置(不図示)より移動し、塗布終了後には待機位置(不図示)に戻る様に移動可能に載置台(不図示)に載せられている。
【0035】
図2は図1に示すコータの概略斜視図である。
【0036】
図中、109bは塗布補助液供給口水流出口を示す。他の符号は図1と同義である。塗布幅規制プレート104はスライド面103の両端に設けられており、塗布補助液供給口109bは両端に設けられた塗布幅規制プレート104の最下層形成用の塗布液(本発明では親水性層用塗布液が該当する)を吐出するスリット102aに当たる位置に設けられている。最下層形成用の塗布液(本発明では親水性層用塗布液が該当する)を吐出するスリットの両端に塗布補助液を供給する手段としては特に限定はなく、例えば、ノズルを直接コータに取り付けてもよいし、本図に示す様に塗布幅規制プレートに塗布補助液の供給孔を設けてもよい。必要に応じて選択することが可能である。
【0037】
塗布補助液としては塗布液に使用している溶媒と相溶性があれば特に限定はなく、例えば、塗布液と同じ組成を有している溶媒、塗布液と近似組成を有している溶媒、水等が挙げられる。水を使用する場合は純水を使用することが好ましい。これらの溶媒は、必要に応じて適宜選択して使用することが可能である。
【0038】
塗布時に塗布補助液供給口109bから供給する塗布補助液の量は、供給位置から、塗布点までの距離、コータ面とバックロールの中心軸を通る水平軸の角度により適宜調整することが好ましいが、最下層形成用の塗布液(本発明では親水性層用塗布液が該当する)の吐出量の10質量%以下が好ましく、更には0.5〜7.5質量%が好ましく、特に2〜5%が好ましい。供給する塗布補助液の量を最下層形成用の塗布液(本発明では親水性層用塗布液が該当する)の吐出量の10質量%を越えた場合は、塗布液と塗布補助液の接触面における乱流が発生し、塗布性の劣化を招き、安定した塗布が出来なくなるため好ましくない。
【0039】
図1、図2に示すコータを使用して、塗布を開始するに当たり、先ず、必要とする量の塗布補助液を塗布補助液供給口109bからスライド面に供給し、その後、最下層塗布液をスリットから吐出し、順次、上層の塗布液をスリットから吐出することが好ましい。
【0040】
本図に示す様に最下層形成用の塗布液(本発明では親水性層用塗布液が該当する)を吐出するスリットの両端から、最下層形成用の塗布液(本発明では親水性層用塗布液が該当する)の吐出量の10質量%以下の塗布補助液を供給することで、次の効果が得られる。
【0041】
1)スライド面を流下する塗布液から、溶媒の蒸発を抑える(特に、両端からの溶媒の蒸発を抑える)ことが可能になるため、安定した塗布が可能となった。
【0042】
2)スライド面を流下する塗布液から、溶媒の蒸発を抑えることが可能になるため、塗布液に使用する溶媒の使用範囲を広げることが可能となり、より高度な機能を有する塗布層の形成が可能となった。
【0043】
3)塗布液からの溶媒の蒸発に起因する塗布故障が抑えられるため、生産管理が容易になった。
【0044】
4)塗布故障が減少し、生産効率の向上が可能となった。
【0045】
図3は図1に示すコータにスライド面を覆うカバーを設けたコータを使用し塗布するスライド塗布方式の概略図である。図3の(a)は図1に示すコータにスライド面を覆うカバーと、冷却媒体を使用した冷却手段を設けたコータを使用し塗布するスライド塗布方式の概略図である。図3の(b)は図1に示すコータにスライド面を覆うカバーと、電子冷却手段を使用した冷却手段を設けたコータを使用し塗布するスライド塗布方式の概略図である。
【0046】
図中、1bは図1に示すコータ1aにスライド面を覆うカバーと、冷却媒体を使用した冷却手段を設けたコータを示す。1cは図1に示すコータにスライド面を覆うカバーと、電子冷却手段を使用した冷却手段を設けたコータを示す。8はスライド面103(図2を参照)を覆うカバーを示す。カバー8でスライド面103(図2を参照)を覆うことで、スライド面103(図2を参照)からの溶媒の蒸発を防止することが可能となり、塗布安定性に有効である。カバー8に関しては図4で説明する。
【0047】
9はコータ1を冷却するため冷却媒体を使用した冷却手段を示す。901は冷却水製造装置を示し、902は循環ポンプを示し、903は冷却水循環用配管を示す。904はコータ1を構成している各バー101a〜101dの幅手方向全幅に設けられた冷却媒体を循環させる冷却管を取り付ける取り付け部材を示す。冷却媒体としては一般に知られている冷却媒体であるならば特に限定はない。例えば、冷却水、エチレングリコール等を使用することが出来る。冷却管を通す位置は特に限定はなく、コータの大きさ、供給管の設置位置により一番適切な位置へ設置することが可能である。
【0048】
10はコータ1を冷却するため電子冷却手段を使用した冷却手段を示す。10aは電子冷却手段の制御盤を示し、10bは電源を示し、10cは配線を示す。10dはコータ1を構成している各バー101a〜101dの幅手方向全幅に設けられた電子冷却手段を示す。電子冷却手段としては例えばペリチェ素子が挙げられる。電子冷却手段を配設する位置は特に限定はなく、コータの大きさ、供給管の設置位置により一番適切な位置へ設置することが可能である。勿論電子冷却手段の能力によっては幅手方向全幅に配設する必要はない。他の符号は図1と同義である。
【0049】
冷却手段によりコータのスライド面の温度を管理することが可能となる。管理温度としては、温度の維持に費用、スライド面からの溶媒の蒸発量等を考慮し、2〜10℃が好ましく、より好ましくは3〜8℃である。スライド面の温度を下げることで、スライド面上を流下する塗布液の液温度が低下し、スライド面上を流下する間の溶媒の蒸発が大幅に抑制される。これと同時に外気の温度も低下させ溶媒の蒸発防止に対し効果的に作用する。尚、冷却手段は必要に応じて使用することが可能となっており、使用、不使用を適宜選定することが可能となっている。
【0050】
図4は図3に示すコータの部分概略斜視図である。尚、冷却手段は省略してある。
【0051】
図中、103a〜103dは各バー101a〜101d(図3を参照)の上面であるスライド面を示す。各スリット102a〜102cから押出された塗布液はこれらスライド面103a〜103c上を積層した状態で流下し、バックロール2(図3を参照)で支持された帯状支持体3(図3を参照)に塗布される。塗布するときのスライド面の角度は10〜60度が好ましい。スライド面の角度とはバックロールの中心を通る水平軸とスライド面の延長線が交わった角度を示す。
【0052】
801はカバー8の上面の不透明部分を示し、802は透明部分を示し、803a、803bは短辺側の側壁を示す。803cはカバー8の長辺側の側壁を示す。透明部分802の大きさは、スライド面の監視のし易さ、カバーの作製容易性、カバーの作製費用等を考慮し、コータ1b(1c)の上面の面積に対して50〜90%が見える大きさが好ましい。50〜90%の透明部分を設けることで、塗布開始時及び塗布中にはスライド面上の塗布液状態の確認が容易になると同時に、スリットへの異物付着、気泡付着、異物詰まりの発見が早くなり塗布ロスを最小限に抑えることが出来、生産効率も向上される。尚、透明部分は必要に応じて配設することが可能である。804a、804b、804c、804dはカバー8を着脱する際、着脱装置との係合部材を示す。部材の配設位置は側面であってもかまわない。カバーが小さい場合は取手としても勿論使用出来る。
【0053】
805a、805bはカバー8をコータ1b(1c)に設置するとき、コータ1b(1c)の上面とカバー8との位置を規制するためにカバー8の両側壁803a、803bの内側に一体に取り付けられた位置規制部材を示す。806は、側壁803cの内側に一体に取り付けられている空気遮断部材を示す。
【0054】
位置規制部材805a、805bと空気遮断部材806によりカバー8をコータ1b(1c)の上面に安定に設置出来ると同時にコータ下部からの空気の流れを遮断することが出来るため、カバー8で覆われたコータ上面からの溶媒の蒸発を防止することが出来るため、塗布安定性が向上する。カバー8の長辺側の側壁804dは、短辺側の側壁803a(803b)と同じ鉛直方向の長さを持ち、短辺側の側壁803aと一体化しており、コータ1b(1c)の上部近傍周面を覆う様になっている。カバー8の長辺側の側壁804d、短辺側の側壁803a(803b)の長さは、必要に応じて変更することが可能となっている。他の符号は図1と同義である。
【0055】
図5は図4のA−A′に沿った概略断面図である。
【0056】
図中、Xはスライド面とカバー上面内側との距離を示し、スライド面上の積層された塗布液のカバー上面内側への接触、塗布液の溶媒の蒸気で飽和させるのに最適な時間のカバー内側の容積、着脱作業性等を考慮し、距離Xとしては2〜20mmが好ましい。Yはカバー8の奥行きを示し、スライド面の空気に曝される面積、帯状支持体に塗布された塗布層表面への接触等を考慮し、コータ1b(1c)のスライド面に対して90〜100%が好ましい。Zは側面部の鉛直方向の長さを示し、コータ上面への安定した固定、着脱時の作業性等を考慮し、長さZは25〜40mmが好ましい。本図では示されていないカバー8の幅は、カバーの着脱時の作業性を考慮し、コータ1b(1c)の幅より5〜10mm広いのが好ましい。他の符号は図3と同義である。
【0057】
図3〜図5に示すコータを使用することで次の効果が更に得られる。
【0058】
1)スライド面を流下する塗布液から、溶媒の蒸発を抑えることが可能になるため、図1、図2に示したコータよりも、更に安定した塗布が可能となった。
【0059】
2)スライド面を流下する塗布液から、溶媒の蒸発を抑えることが可能になるため、塗布液に使用する溶媒の使用範囲を広げることが可能となり、図1、図2に示したコータよりも、更により高度な機能を有する塗布層の形成が可能となった。
【0060】
3)塗布液からの溶媒の蒸発に起因する塗布故障が抑えられるため、図1、図2に示したコータよりも、更に生産管理が容易になった。
【0061】
4)図1、図2に示したコータよりも、更に塗布故障が減少し、生産効率の向上が可能となった。
【0062】
本発明に係わるスライド面を覆うカバーに使用する材質としては特に限定はない。好ましい材料としては、例えばチタン、ステンレス等の金属、ポリエチレン樹脂、塩化ビニル樹脂等の高分子材料で被覆された金属材料、ポリエチレン樹脂、塩化ビニル樹脂等の高分子材料等、ガラスが挙げられる。勿論これらの材料を組み合わせて作ることも可能である。例えば上面のスライド面を観察する窓の部分はガラスにし、枠はステンレスにしてもよい。
【0063】
本発明に係わる帯状支持体としては、特に大きな制限なく、金属、プラスチックフィルム、ポリオレフィン等で処理された紙、更にこれら材料を適宜貼り合わせた複合基材等も用いることが出来る。プラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリイミド、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、アセテート、ナイロン、ポリエーテルイミド、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリフェニレンサルファイド、セルロースエステル類、シンジオタクチック−ポリスチレン、アタクチック−ポリスチレン、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、ポリメチルメタクリレート等を挙げることが出来る。これらプラスチックフィルムは塗布層との接着性を向上させるために、塗布面に易接着処理や下塗り層塗布を行うことが好ましい。易接着処理としては、コロナ放電処理、火炎処理、紫外線照射処理等が挙げられる。又、下塗り層としては、ゼラチンやラテックスを含む層等が挙げられる
本発明に係わる平版印刷版材料用の塗布液は、溶媒の60質量%以上が水であることが好ましい。有機溶剤を使用し、溶剤が残存した場合、平版印刷版材料における親水性/親油性のバランスに影響を与えるため、安定性の面からも、溶媒の60質量%以上が水であることが好ましい。
【0064】
以下に本発明に係わる平版印刷版材料用の製造に使用する親水性層を形成する親水性層用の塗布液及び画像形成層を形成する画像形成層用の塗布液に付き説明する。
【0065】
親水性層用の塗布液に付き説明する。親水性層用の塗布液とは、印刷時に水とインクの乳化した溶液が来た際、水をより多く取り込むことの出来る親水性層を形成するための塗布液と定義する。親水性層の表面は、PS版のアルミ砂目のように0.1〜50μmピッチの凹凸構造を有することが好ましく、この凹凸により保水性や画像部の保持性が向上する。このような凹凸構造は、親水性層用の塗布液に適切な粒径のフィラーを適切な量含有させて形成することも可能であるが、親水性層用の塗布液に後述のアルカリ性コロイダルシリカと後述の水溶性多糖類とを含有させ、親水性層用の塗布液を塗布、乾燥させる際に相分離を生じさせて形成することがより良好な印刷性能を有する構造を得ることが出来、好ましい。
凹凸構造の形態(ピッチ及び表面粗さなど)はアルカリ性コロイダルシリカの種類及び添加量、水溶性多糖類の種類及び添加量、その他添加材の種類及び添加量、塗布液の固形分濃度、ウェット膜厚、乾燥条件等で適宜コントロールすることが可能である。
【0066】
凹凸構造のピッチとしては0.2〜30μmであることがより好ましく、0.5〜20μmであることが更に好ましい。又、ピッチの大きな凹凸構造の上に、それよりもピッチの小さい凹凸構造が形成されているような多重構造の凹凸構造が形成されていてもよい。表面粗さとしては、Raで100〜1000nmが好ましく、150〜600nmがより好ましい。又、親水性層の膜厚としては、0.01〜50μmであり、好ましくは0.2〜10μmであり、更に好ましくは0.5〜3μmである。
【0067】
親水性層用の塗布液に用いられる素材としては、金属酸化物が好ましい。金属酸化物としては、金属酸化物微粒子を含むことが好ましい。例えば、コロイダルシリカ、アルミナゾル、チタニアゾル、その他の金属酸化物のゾルが挙げられる。該金属酸化物微粒子の形態としては、球状、針状、羽毛状、その他の何れの形態でもよい。平均粒径としては、3〜100nmであることが好ましく、平均粒径が異なる数種の金属酸化物微粒子を併用することも出来る。又、粒子表面に表面処理がなされていてもよい。上記、金属酸化物微粒子はその造膜性を利用して結合剤としての使用が可能である。有機の結合剤を用いるよりも親水性の低下が少なく、親水性層への使用に適している。
【0068】
上記金属酸化物の中でも特にコロイダルシリカが好ましく使用出来る。コロイダルシリカは比較的低温の乾燥条件であっても造膜性が高いという利点があり、炭素原子を含まない素材が91質量%以上と言うような層においても良好な強度を得ることが出来る。コロイダルシリカとしては、後述するネックレス状コロイダルシリカ、平均粒径20nm以下の微粒子コロイダルシリカを含むことが好ましく、更に、コロイダルシリカはコロイド溶液としてアルカリ性を呈することが好ましい。
【0069】
ネックレス状コロイダルシリカとは1次粒子径がnmのオーダーである球状シリカの水分散系の総称である。ネックレス状コロイダルシリカとは1次粒粒子径が10〜50nmの球状コロイダルシリカが50〜400nmの長さに結合した「パールネックレス状」のコロイダルシリカを意味する。パールネックレス状(即ち真珠ネックレス状)とは、コロイダルシリカのシリカ粒子が連なって結合した状態のイメージが真珠ネックレスの様な形状をしていることを意味している。ネックレス状コロイダルシリカを構成するシリカ粒子同士の結合は、シリカ粒子表面に存在する−SiOH基が脱水結合した−Si−O−Si−と推定される。ネックレス状のコロイダルシリカとしては、具体的には日産化学工業(株)製の「スノーテックス−PS」シリーズなどが挙げられる。製品名としては「スノーテックス−PS−S(連結した状態の平均粒子径は110nm程度)」、「スノーテックス−PS−M(連結した状態の平均粒子径は120nm程度)」及び「スノーテックス−PS−L(連結した状態の平均粒子径は170nm程度)」があり、これらにそれぞれ対応する酸性の製品が「スノーテックス−PS−S−O」、「スノーテックス−PS−M−O」及び「スノーテックス−PS−L−O」である。ネックレス状コロイダルシリカを添加することにより、層の多孔性を確保しつつ、強度を維持することが可能となり、層の多孔質化材として好ましく使用出来る。これらの中でも、アルカリ性である「スノーテックスPS−S」、「スノーテックスPS−M」、「スノーテックスPS−L」を用いると、親水性層の強度が向上し、又、印刷枚数が多い場合でも地汚れの発生が抑制され、特に好ましい。
【0070】
又、コロイダルシリカは粒子径が小さいほど結合力が強くなることが知られており、本発明には平均粒径が20nm以下であるコロイダルシリカを用いることが好ましく、3〜15nmであることが更に好ましい。又、前述のようにコロイダルシリカの中ではアルカリ性のものが地汚れ発生を抑制する効果が高いため、アルカリ性のコロイダルシリカを使用することが特に好ましい。平均粒径がこの範囲にあるアルカリ性のコロイダルシリカとしては日産化学社製の「スノーテックス−20(粒子径10〜20nm)」、「スノーテックス−30(粒子径10〜20nm)」、「スノーテックス−40(粒子径10〜20nm)」、「スノーテックス−N(粒子径10〜20nm)」、「スノーテックス−S(粒子径8〜11nm)」、「スノーテックス−XS(粒子径4〜6nm)」が挙げられる。
【0071】
平均粒径が20nm以下であるコロイダルシリカは前述のネックレス状コロイダルシリカと併用することで、層の多孔質性を維持しながら、強度を更に向上させることが可能となり、特に好ましい。平均粒径が20nm以下であるコロイダルシリカ/ネックレス状コロイダルシリカの比率は95/5〜5/95が好ましく、70/30〜20/80がより好ましく、60/40〜30/70が更に好ましい。
【0072】
又、本発明に係わる親水性層用の塗布液は金属酸化物として、層状粘度鉱物粒子を含んでもよい。該層状鉱物粒子としては、カオリナイト、ハロイサイト、タルク、スメクタイト(モンモリロナイト、バイデライト、ヘクトライト、サボナイト等)、バーミキュライト、マイカ(雲母)、クロライトといった粘土鉱物及び、ハイドロタルサイト、層状ポリケイ酸塩(カネマイト、マカタイト、アイアライト、マガディアイト、ケニヤアイト等)等が挙げられる。中でも、単位層(ユニットレイヤー)の電荷密度が高いほど極性が高く、親水性も高いと考えられる。好ましい電荷密度としては0.25以上、更に好ましくは0.6以上である。このような電荷密度を有する層状鉱物としては、スメクタイト(電荷密度0.25〜0.6;陰電荷)、バーミキュライト(電荷密度0.6〜0.9;陰電荷)等が挙げられる。特に、合成フッ素雲母は粒径等安定した品質のものを入手することが出来好ましい。又、合成フッ素雲母の中でも、膨潤性であるものが好ましく、自由膨潤であるものが更に好ましい。
【0073】
又、上記の層状鉱物のインターカレーション化合物(ピラードクリスタル等)や、イオン交換処理を施したもの、表面処理(シランカップリング処理、有機バインダとの複合化処理等)を施したものも使用することが出来る。
【0074】
平板状層状鉱物粒子のサイズとしては、層中に含有されている状態で(膨潤工程、分散剥離工程を経た場合も含めて)、平均粒径(粒子の最大長)が20μm以下であり、又平均アスペクト比(粒子の最大長/粒子の厚さ)が20以上の薄層状であることが好ましく、平均粒径が5μm以下であり、平均アスペクト比が50以上であることが更に好ましく、平均粒径が1μm以下であり、平均アスペクト比が50以上であることが更に好ましい。粒子サイズが上記範囲にある場合、薄層状粒子の特徴である平面方向の連続性及び柔軟性が塗膜に付与され、クラックが入りにくく乾燥状態で強靭な塗膜とすることが出来る。又、粒子物を多く含有する塗布液においては、層状粘土鉱物の増粘効果によって、粒子物の沈降を抑制することが出来る。粒子径が上記範囲をはずれると、引っかきによるキズ抑制効果が低下する場合がある。又、アスペクト比が上記範囲以下である場合、柔軟性が不十分となり、同様に引っかきによるキズ抑制効果が低下する場合がある。
【0075】
層状鉱物粒子の含有量としては、層全体の0.1〜30質量%であることが好ましく、1〜10質量%であることがより好ましい。特に膨潤性合成フッ素雲母やスメクタイトは少量の添加でも効果が見られるため好ましい。層状鉱物粒子は、塗布液に粉体で添加してもよいが、簡便な調液方法(メディア分散等の分散工程を必要としない)でも良好な分散度を得るために、層状鉱物粒子を単独で水に膨潤させたゲルを作製した後、塗布液に添加することが好ましい。
【0076】
本発明に用いられるフィラーとしては、同一種類、もしくは異なる種類何れを用いてもよいが、突出量の異なったフィラーを併用すると、外部からの圧力(=取り扱い時のキズ、印刷時の磨耗)を効率よく分散し、キズや印刷時の圧力に対し非常に高い耐性を持たせられるので、複数のフィラーを併用することが好ましい。フィラー添加量は特に制限なく用いられるが、塗布性、膜安定性から親水性層固形分に対して5〜20質量%の範囲が好ましい。
【0077】
フィラー種としては、特に制限なく用いることが出来る。多孔質、無孔質、有機樹脂粒子、無機微粒子を問わず用いてもよいが、多孔質無機フィラーが最もよい。多孔質無機フィラーとしては、例えば、1)多孔質シリカ、2)アルミノケイ酸塩、3)ゼオライト等が挙げられる。多孔質シリカは一般に湿式法又は乾式法により製造される。湿式法ではケイ酸塩水溶液を中和して得られるゲルを乾燥、粉砕するか、中和して析出した沈降物を粉砕することで得ることが出来る。乾式法では四塩化珪素を水素と酸素と共に燃焼し、シリカを析出することで得られる。これらの粒子は製造条件の調整により多孔性や粒径を制御することが可能である。多孔質シリカ粒子としては、湿式法のゲルから得られるものが特に好ましい。
【0078】
アルミノケイ酸塩は例えば特開平10−71764号に記載されている方法により製造される。即ち、アルミニウムアルコキシドと珪素アルコキシドを主成分として加水分解法により合成された非晶質な複合体粒子である。粒子中のアルミナとシリカの比率は1:4〜4:1の範囲で合成することが可能である。又、製造時にその他の金属のアルコキシドを添加して3成分以上の複合体粒子として製造したものも本発明に使用出来る。これらの複合体粒子も製造条件の調整により多孔性や粒径を制御することが可能である。
【0079】
粒子の多孔性としては、分散前の状態で細孔容積で1.0ml/g以上であることが好ましく、1.2ml/g以上であることがより好ましく、1.8〜2.5ml/gの範囲であることが更に好ましい。細孔容積は塗膜の保水性と密接に関連しており、細孔容積が大きいほど保水性が良好となって印刷時に汚れにくく、水量ラチチュードも広くなるが、2.5ml/gよりも大きくなると粒子自体が非常に脆くなるため塗膜の耐久性が低下する。細孔容積が1.0ml/g未満の場合には、印刷時の汚れにくさ、水量ラチチュードの広さが不十分となる。
【0080】
粒径としては、親水性層用の塗布液により形成された親水性層に含有されている状態で(例えば分散時に破砕された場合も含めて)、実質的に1μm以下であることが好ましく、0.5μm以下であることが更に好ましい。不必要に粗大な粒子が存在すると親水性層表面に多孔質で急峻な突起が形成され、突起周囲にインクが残りやすくなって非画線部汚れやブランケット汚れが劣化する場合がある。
【0081】
ゼオライトは結晶性のアルミノケイ酸塩であり、細孔径が0.3〜1nmの規則正しい三次元網目構造の空隙を有する多孔質体である。天然及び合成ゼオライトを合わせた一般式は、次のように表される。
(M1、M21/2m(AlmSin2(m+n))・xH2
ここで、M1、M2は交換性のカチオンであって、M1はLi+、Na+、K+、Tl+、Me4+(TMA)、Et4+(TEA)、Pr4+(TPA)、C7152+、C816+等であり、M2はCa2+、Mg2+、Ba2+、Sr2+、C81822+等である。又、n≧mであり、m/nの値つまりはAl/Si比率は1以下となる。Al/Si比率が高いほど交換性カチオンの量が多く含まれるため極性が高く、従って親水性も高い。好ましいAl/Si比率は0.4〜1.0であり、更に好ましくは0.8〜1.0である。xは整数を表す。
【0082】
本発明に用いられるゼオライト粒子としては、Al/Si比率が安定しており、又粒径分布も比較的シャープである合成ゼオライトが好ましく、例えばゼオライトA:Na12(Al12Si1248)・27H2O;Al/Si比率1.0、ゼオライトX:Na86(Al86Si106384)・264H2O;Al/Si比率0.811、ゼオライトY:Na56(Al56Si136384)・250H2O;Al/Si比率0.412等が挙げられる。
【0083】
Al/Si比率が0.4〜1.0である親水性の高い多孔質粒子を含有することで親水性層自体の親水性も大きく向上し、印刷時に汚れにくく、水量ラチチュードも広くなる。又、指紋跡の汚れも大きく改善される。Al/Si比率が0.4未満では親水性が不十分であり、上記性能の改善効果が小さくなる。
【0084】
多孔質無機粒子の粒径としては、親水性層用の塗布液により形成された親水性層に含有されている状態で、実質的に1μm以下であることが好ましく、0.5μm以下であることが更に好ましい。
【0085】
有機樹脂粒子としては、例えば合成樹脂粒子、天然高分子粒子等が挙げられ、メラミン樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリエチレンイミン、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリウレア、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、デンプン、キチン、キトサン等である。コア粒子の平均粒径は0.1〜15μmが好ましく、より好ましくは平均粒径1〜10μmである。
【0086】
無機粒子としては、例えば、金属粉体、金属酸化物、金属窒化物及びこれらの複合化合物が挙げられ、好ましくは金属酸化物であり、より好ましくは金属、ガラス、SiO2、TiO2、ZnO、Fe23、ZrO2、SnO2等の粒子である粒子の平均粒径は0.005〜5μmが好ましく、より好ましくは平均粒径0.01〜2μmである。
【0087】
コア粒子表面に小粒子表面を固着させて表面に凹凸を有する粒子において、小粒子の平均粒径はコア粒子の平均粒径の1/3以下が好ましく、より好ましくは1/10以下である。表面凹凸粒子の平均粒径は、15μmを越えないことが好ましく、又0.1μm以上であることが好ましい。
【0088】
表面凹凸粒子は、例えば、東レリサーチセンター社製編「微粒子ポリマーの新展開」に記載のヘテロ凝集法を利用する方法、コア粒子表面からの重合反応による方法、粉体工学会編「粒子設計工学」に記載のハイプリダイザーを用いる乾式凝集撹拌法等を用いて容易に製造することが出来る。又、ある種の表面凹凸粒子はコア粒子の表面に小粒子を析出させることにより製造出来る。
【0089】
本発明に係わる親水性層用の塗布液は黒色酸化鉄粒子、もしくは、黒色酸化鉄被覆粒子以外の光熱変換素材を含有することが出来る。光熱変換素材としては下記のような素材を挙げることが出来る。一般的な赤外吸収色素であるシアニン系色素、クロコニウム系色素、ポリメチン系色素、アズレニウム系色素、スクワリウム系色素、チオピリリウム系色素、ナフトキノン系色素、アントラキノン系色素などの有機化合物、フタロシアニン系、ナフタロシアニン系、アゾ系、チオアミド系、ジチオール系、インドアニリン系の有機金属錯体などが挙げられる。具体的には、特開昭63−139191号、特開昭64−33547号、特開平1−160683号、特開平1−280750号、特開平1−293342号、特開平2−2074号、特開平3−26593号、特開平3−30991号、特開平3−34891号、特開平3−36093号、特開平3−36094号、特開平3−36095号、特開平3−42281号、特開平3−97589号、特開平3−103476号等に記載の化合物が挙げられる。これらは一種又は二種以上を組み合わせて用いることが出来る。
【0090】
顔料としては、カーボン、グラファイト、金属、金属酸化物等が挙げられる。カーボンとしては特にファーネスブラックやアセチレンブラックの使用が好ましい。粒度(d50)は100nm以下であることが好ましく、50nm以下であることが更に好ましい。
【0091】
グラファイトとしては粒径が0.5μm以下、好ましくは100nm以下、更に好ましくは50nm以下の微粒子を使用することが出来る。
【0092】
金属としては粒径が0.5μm以下、好ましくは100nm以下、更に好ましくは50nm以下の微粒子であれば何れの金属であっても使用することが出来る。形状としては球状、片状、針状等何れの形状でもよい。特にコロイド状金属微粒子(Ag、Au等)が好ましい。
【0093】
金属酸化物としては、可視光域で黒色を呈している素材、又は素材自体が導電性を有するか、半導体であるような素材を使用することが出来る。可視光域で黒色を呈している素材としては、二種以上の金属を含有する黒色複合金属酸化物が挙げられる。素材自体が導電性を有するか、半導体であるような素材としては、例えばSbをドープしたSnO2(ATO)、Snを添加したIn23(ITO)、TiO2、TiO2を還元したTiO(酸化窒化チタン、一般的にはチタンブラック)などが挙げられる。又、これらの金属酸化物で芯材(BaSO4、TiO2、9Al23・2B2O、K2O・nTiO2等)を被覆したものも使用することが出来る。これらの粒径は、0.5μm以下、好ましくは100nm以下、更に好ましくは50nm以下である。
【0094】
これらの光熱変換素材の内、二種以上の金属を含有する黒色複合金属酸化物がより好ましい素材として挙げられる。具体的には、Al、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Sb、Baから選ばれる二種以上の金属からなる複合金属酸化物である。これらは、特開平8−27393号、特開平9−25126号、特開平9−237570号、特開平9−241529号、特開平10−231441号等に開示されている方法により製造することが出来る。
【0095】
本発明に用いる複合金属酸化物としては、特にCu−Cr−Mn系又はCu−Fe−Mn系の複合金属酸化物であることが好ましい。Cu−Cr−Mn系の場合には、6価クロムの溶出を低減させるために、特開平8−27393号に開示されている処理を施すことが好ましい。これらの複合金属酸化物は添加量に対する着色、つまり、光熱変換効率が良好である。これらの複合金属酸化物は平均1次粒子径が1μm以下であることが好ましく、平均1次粒子径が0.01〜0.5μmの範囲にあることがより好ましい。平均1次粒子径を1μm以下とすることで、添加量に対する光熱変換能がより良好となり、平均1次粒子径を0.01〜0.5μmの範囲とすることで添加量に対する光熱変換能がより良好となる。ただし、添加量に対する光熱変換能は、粒子の分散度にも大きく影響を受け、分散が良好であるほど良好となる。従って、これらの複合金属酸化物粒子は、層の塗布液に添加する前に、別途公知の方法により分散して、分散液(ペースト)としておくことが好ましい。平均1次粒子径が0.01未満となると分散が困難となるため好ましくない。分散には適宜分散剤を使用することが出来る。分散剤の添加量は複合金属酸化物粒子に対して0.01〜5質量%が好ましく、0.1〜2質量%がより好ましい。
【0096】
本発明に係わる親水性層用の塗布液にはその他の添加素材として、ケイ酸塩水溶液も使用することが出来る。ケイ酸Na、ケイ酸K、ケイ酸Liといったアルカリ金属ケイ酸塩が好ましく、そのSiO2/M2O比率はケイ酸塩を添加した際の塗布液全体のpHが13を超えない範囲となるように選択することが無機粒子の溶解を防止する上で好ましい。
【0097】
又、金属アルコキシドを用いた、いわゆるゾル−ゲル法による無機ポリマーもしくは有機−無機ハイブリッドポリマーも使用することが出来る。ゾル−ゲル法による無機ポリマーもしくは有機−無機ハイブリッドポリマーの形成については、例えば「ゾル−ゲル法の応用」(作花済夫著/アグネ承風社発行)に記載されているか、又は本書に引用されている文献に記載されている公知の方法を使用することが出来る。
【0098】
又、本発明に係わる親水性層用の塗布液には、塗布性改善等の目的で水溶性の界面活性剤を含有させることが出来る。Si系、又はF系等の界面活性剤を使用することが出来るが、特にSi元素を含む界面活性剤を使用することが印刷汚れを生じる懸念がなく、好ましい。該界面活性剤の含有量は親水性層全体(塗布液としては固形分)の0.01〜3質量%が好ましく、0.03〜1質量%が更に好ましい。
【0099】
又、本発明に係わる親水性層用の塗布液はリン酸塩を含むことが出来る。本発明では親水性層の塗布液がアルカリ性であることが好ましいため、リン酸塩としてはリン酸三ナトリウムやリン酸水素二ナトリウムとして添加することが好ましい。リン酸塩を添加することで、印刷時の網の目開きを改善する効果が得られる。リン酸塩の添加量としては、水和物を除いた有効量として、0.1〜5質量%が好ましく、0.5〜2質量%が更に好ましい。
【0100】
本発明に係わる親水性層用の塗布液には親水性有機樹脂を含有させてもよい。親水性有機樹脂としては、例えばポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルエーテル、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体の共役ジエン系重合体ラテックス、アクリル系重合体ラテックス、ビニル系重合体ラテックス、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン等の樹脂が挙げられる。
【0101】
又、カチオン性樹脂を含有してもよく、カチオン性樹脂としては、ポリエチレンアミン、ポリプロピレンポリアミン等のようなポリアルキレンポリアミン類又はその誘導体、第3級アミノ基や第4級アンモニウム基を有するアクリル樹脂、ジアクリルアミン等が挙げられる。カチオン性樹脂は微粒子状の形態で添加してもよい。これは、例えば特開平6−161101号に記載のカチオン性マイクロゲルが挙げられる。
【0102】
本発明に係わるより好ましい態様としては、親水性層用の塗布液に含有される親水性有機樹脂は水溶性であり、且つ、少なくともその一部が水溶性の状態のまま、水に溶出可能な状態で存在することが挙げられる。水溶性の素材であっても、架橋剤等によって架橋し、水に不溶の状態になると、その親水性は低下して印刷性能を劣化させる懸念がある。
【0103】
本発明に係わる親水性層に含有される炭素原子を含む水溶性素材としては、糖類が好ましい。親水性層用の塗布液により形成された親水性層に糖類を含有させることにより、後述する画像形成能を有する機能層との組み合わせにおいて、画像形成の解像度を向上させたり、耐刷性を向上させたりする効果が得られる。糖類としては、後述するオリゴ糖を用いることも出来るが、特に多糖類を用いることが好ましい。多糖類としては、デンプン類、セルロース類、ポリウロン酸、プルランなどが使用可能であるが、特にメチルセルロース塩、カルボキシメチルセルロース塩、ヒドロキシエチルセルロース塩等のセルロース誘導体が好ましく、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩やアンモニウム塩がより好ましい。これは、親水性層用の塗布液により形成された親水性層に多糖類を含有させることにより、親水性層の表面形状を好ましい状態に形成する効果が得られるためである。
【0104】
親水性層用の塗布液に親水性バインダを含んでもよい。添加量は特に制限なく用いられるが、塗布性、膜安定性から親水性層固形分に対して0.02〜20質量%の範囲が好ましい。親水性バインダとは、塗布乾燥後の膜が水で溶解、膨潤出来うるものであれば特に制限なく用いることが出来る。親水性バインダとしては、具体的には、ポリビニルアルコール(PVA)、カルボキシ変性PVA等の変性PVA、デンプン及びその誘導体、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースのようなセルロース誘導体、アルギン酸アンモニウム、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、ポリエチレンオキサイド、水溶性ウレタン樹脂、水溶性ポリエステル樹脂、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート系ポリマー、N−ビニルカルボン酸アミドポリマー、カゼイン、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体等の水溶性樹脂等が挙げられる。
【0105】
アラビアゴム、デンプン誘導体、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩、セルロースアセテート、アルギン酸ナトリウム、酢酸ビニル−マレイン酸コポリマー類、スチレン−マレイン酸コポリマー類、ポリアクリル酸類及びそれらの塩、ポリメタクリル酸類及びそれらの塩、ヒドロキシエチルメタクリレートのホモポリマー及びコポリマー、ヒドロキシエチルアクリレートのホモポリマー及びコポリマー、ヒドロキシプロピルメタクリレートのホモポリマー及びコポリマー、ヒドロキシプロピルアクリレートのホモポリマー及びコポリマー、ヒドロキシブチルメタクリレートのホモポリマー及びコポリマー、ヒドロキシブチルアクリレートのホモポリマー及びコポリマー、ポリエチレングリコール類、ヒドロキシプロピレンポリマー類、ポリビニルアルコール類の加水分解度が少なくとも60質量%、好ましくは少なくとも80質量%の加水分解ポリビニルアセテート、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、アクリルアミドのホモポリマー及びコポリマー、メタクリルアミドのホモポリマー及びポリマー、N−メチロールアクリルアミドのホモポリマー及びコポリマー等を挙げることが出来る。
【0106】
本発明では、基材と親水性層の間にはその他の層を形成してもよい。例えば、親水性層の接着性を改善する下引き層や、長波長の緩やかな粗さを付与するうねり形成層、親水性層が受ける応力を緩和するクッション層等である。又、これら何れかの層が光熱変換素材を含有していてもよい。
【0107】
画像形成層用の塗布液に付き説明する。本発明に係わる平版印刷版材料の画像形成層用の塗布液は、熱により融着可能な熱溶融性粒子及び熱により親油性を発現する物質の内から選択して含有することが出来る。
【0108】
熱により融着可能な熱溶融性粒子としては、ワックス類、アクリル系樹脂、アイオノマー樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、合成ゴム類、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン樹脂等の水に分散されたラテックスやエマルジョンから得られるものが挙げられる。これらの内その融点が70〜180℃のものが好ましく、表面エネルギーの親水性成分が100μN/cm2以下であることが好ましい。融点がこの温度より低い場合には、保存時における性能劣化がし易く、この温度より高い場合には画像の強度が得られず耐刷性が劣化しやすい。又表面エネルギーがこの範囲であると画像部のインク着肉性が良好になる。このような点で熱溶融性物質としてはワックス類、アクリル系樹脂、合成ゴム類が特に好ましい。
【0109】
本発明に利用可能なワックス類としては、カルナバワックス、蜜ろう、鯨ろう、木ろう、ホホバ油、ラノリン、オゾケライト、パラフィンワックス、モンタンワックス類、キャンデリラワックス、セレシンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ライスワックス等の天然ワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャートロプシュワックス、モンタンワックス誘導体、パラフィンワックス誘導体、マイクロクリスタリンワックス誘導体、高級脂肪酸等が挙げられる。又、乳化しやすくするためにこれらのワックスを酸化し、水酸基、エステル基、カルボキシル基、アルデヒド基、ペルオキシド基等の極性基を導入することも出来る。アクリル系樹脂では、例えばメタクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、スチレン等の一種もしくは二種以上を共重合したものが、又合成ゴム類ではポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリル酸エステル−ブタジエン共重合体、メタアクリル酸エステル−ブタジエン共重合体、イソブチレン−イソプレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−イソプレン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体等が挙げられる。又その他に、アイオノマー樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン樹脂等が利用出来る。これらの親油化剤は水分散体の形で利用することが塗工のし易さの面で好ましい。又、別の形態のものとして、熱破壊可能な親水性被覆材に覆われている熱架橋剤、熱により解離する保護基により官能基がブロックされた熱架橋剤が挙げられる。これら熱架橋剤は特開平7−1849号、同7−1850号、同9−311443号、同10−6468号、同10−1141168号にマイクロカプセル化された親油性成分として記載されている。
【0110】
熱により融着可能な熱溶融性粒子を含有する画像形成層には、レーザー露光時の粒子の融着性を阻害しない範囲で画像形成層の皮膜性を付与するために親水性結着剤を含有させてもよい。利用可能な親水性結着剤としては、例えばポリビニルアルコール、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリビニルメチルエーテル、又は天然結合剤、例えばゼラチン、多糖類、例えば出来ストラン、プルラン、セルロース、アラビアゴム、アルギニン酸が挙げられる。又親水性結着剤は、フェノール性ヒドロキシ基及び/又はカルボキシル基を有する、水に不溶性、アルカリ溶解性又は膨潤性樹脂であってもよい。又種々の界面活性剤、コロイダルシリカ等も利用出来る。
【0111】
画像形成層用の塗布液には後述の光熱変換素材を含有させることが出来る。画像形成層用の塗布液により形成された画像形成層は一部が機上現像されるため、可視光での着色の少ない素材を用いることが好ましく、色素を用いることが好ましい。
【0112】
光熱変換素材として、赤外吸収色素、顔料が使用出来る。赤外吸収色素としてシアニン系色素、クロコニウム系色素、ポリメチン系色素、アズレニウム系色素、スクワリウム系色素、チオピリリウム系色素、ナフトキノン系色素、アントラキノン系色素などの有機化合物、フタロシアニン系、ナフタロシアニン系、アゾ系、チオアミド系、ジチオール系、インドアニリン系の有機金属錯体などが挙げられる。具体的には、特開昭63−139191号、特開昭64−33547号、特開平1−160683号、特開平1−280750号、特開平1−293342号、特開平2−2074号、特開平3−26593号、特開平3−30991号、特開平3−34891号、特開平3−36093号、特開平3−36094号、特開平3−36095号、特開平3−42281号、特開平3−97589号、特開平3−103476号等に記載の化合物が挙げられる。これらは一種又は二種以上を組み合わせて用いることが出来る。又、特開平11−240270号、特開平11−265062号、特開2000−309174号、特開2002−49147号、特開2001−162965号、特開2002−144750号、特開2001−219667号に記載の化合物も好ましく用いることが出来る。
【0113】
顔料としては、カーボン、グラファイト、金属、金属酸化物等が挙げられる。カーボンとしては特にファーネスブラックやアセチレンブラックの使用が好ましい。粒度(d50)は100nm以下であることが好ましく、50nm以下であることが更に好ましい。
【0114】
グラファイトとしては粒径が0.5μm以下、好ましくは100nm以下、更に好ましくは50nm以下の微粒子を使用することが出来る。
【0115】
金属としては粒径が0.5μm以下、好ましくは100nm以下、更に好ましくは50nm以下の微粒子であれば何れの金属であっても使用することが出来る。形状としては球状、片状、針状等何れの形状でもよい。特にコロイド状金属微粒子(Ag、Au等)が好ましい。
【0116】
金属酸化物としては、可視光域で黒色を呈している素材、又は素材自体が導電性を有するか、半導体であるような素材を使用することが出来る。可視光域で黒色を呈している素材としては、黒色酸化鉄や二種以上の金属を含有する黒色複合金属酸化物が挙げられる。素材自体が導電性を有するか、半導体であるような素材とては、例えばSbをドープしたSnO2(ATO)、Snを添加したIn23(ITO)、TiO2、TiO2を還元したTiO(酸化窒化チタン、一般的にはチタンブラック)などが挙げられる。又、これらの金属酸化物で芯材(BaSO4、TiO2、9Al23・2B2O、K2O・nTiO2等)を被覆したものも使用することが出来る。これらの粒径は、0.5μm以下、好ましくは100nm以下、更に好ましくは50nm以下である。これらの光熱変換素材の内、黒色酸化鉄や二種以上の金属を含有する黒色複合金属酸化物がより好ましい素材として挙げられる。
【0117】
黒色酸化鉄(Fe34)としては、平均粒子径0.01〜1μmであり、針状比(長軸径/短軸径)が1〜1.5の範囲の粒子であることが好ましく、実質的に球状(針状比1)であるか、もしくは、八面体形状(針状比約1.4)を有していることが好ましい。
【0118】
このような黒色酸化鉄粒子としては、例えば、チタン工業社製のTAROXシリーズが挙げられる。球状粒子としては、BL−100(粒径0.2〜0.6μm)、BL−500(粒径0.3〜1.0μm)等を好ましく用いることが出来る。又、八面体形状粒子としては、ABL−203(粒径0.4〜0.5μm)、ABL−204(粒径0.3〜0.4μm)、ABL−205(粒径0.2〜0.3μm)、ABL−207(粒径0.2μm)等を好ましく用いることが出来る。
【0119】
更に、これらの粒子表面をSiO2等の無機物でコーティングした粒子も好ましく用いることが出来、そのような粒子としては、SiO2でコーティングされた球状粒子:BL−200(粒径0.2〜0.3μm)、八面体形状粒子:ABL−207A(粒径0.2μm)が挙げられる。
【0120】
黒色複合金属酸化物としては、具体的には、Al、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Sb、Baから選ばれる二種以上の金属からなる複合金属酸化物である。これらは、特開平8−27393号公報、特開平9−25126号公報、特開平9−237570号公報、特開平9−241529号公報、特開平10−231441号公報等に開示されている方法により製造することが出来る。
【0121】
本発明に用いる複合金属酸化物としては、特にCu−Cr−Mn系又はCu−Fe−Mn系の複合金属酸化物であることが好ましい。Cu−Cr−Mn系の場合には、6価クロムの溶出を低減させるために、特開平8−27393号公報に開示されている処理を施すことが好ましい。これらの複合金属酸化物は添加量に対する着色、つまり、光熱変換効率が良好である。
【0122】
これらの複合金属酸化物は平均1次粒子径が1μm以下であることが好ましく、平均1次粒子径が0.01〜0.5μmの範囲にあることがより好ましい。平均1次粒子径が1μm以下とすることで、添加量に対する光熱変換能がより良好となり、平均1次粒子径が0.01〜0.5μmの範囲とすることで添加量に対する光熱変換能がより良好となる。ただし、添加量に対する光熱変換能は、粒子の分散度にも大きく影響を受け、分散が良好であるほど良好となる。従って、これらの複合金属酸化物粒子は、層の塗布液に添加する前に、別途公知の方法により分散して、分散液(ペースト)としておくことが好ましい。平均1次粒子径が0.01未満となると分散が困難となるため好ましくない。分散には適宜分散剤を使用することが出来る。分散剤の添加量は複合金属酸化物粒子に対して0.01〜5質量%が好ましく、0.1〜2質量%がより好ましい。
【0123】
以下、実施例を挙げて本発明の具体的な効果を示すが、本発明の態様はこれに限定されるものではない。
【実施例】
【0124】
以下に示す方法に従って、平版印刷版材料を作製した。
【0125】
(フィルム支持体の作製)
フィルム支持体としてシンジオタクチック−ポリスチレンフィルム支持体を次に示す方法で作製した。反応溶媒としてトルエンを6リットル使用し、触媒としてテトラエトキシチタンを5ミリモル及びメチルアルミノキサンをアルミニウム原子として500ミリモル添加し、50℃においてモル比でスチレン48.94:p−メチルスチレン1.06とを加え、2時間重合反応を行った。反応終了後、生成物を塩酸とメタノールとの混合液で洗浄して、触媒成分を分解除去した。次いで乾燥することにより共重合体640gを得た。この共重合体の重量平均分子量(Mw)が44万であり、数平均分子量(Mn)が24万であった。この共重合体中のp−メチルスチレン単位の含有割合は5質量%であった。又、この共重合体は13C−NMRによる分析から、145.11ppm、145.22ppm、142.09ppmに吸収が認められ、そのピーク面積から算出したスチレン単位のラセミペンタッドでのシンジオタクティシティーは72%であった。これを150℃、5時間減圧下で乾燥後280℃で押出し、50℃の冷却ドラムの上で未延伸シートを得た。これを115℃で3.3倍に縦延伸を行った後、120℃で3.5倍に横延伸を行い、更に180℃で30秒熱固定を実施した後、横方向に3%緩和しながら220℃で熱弛緩を行った。このようにして120μmの2軸延伸s−ポリスチレンフィルム支持体を得た。
【0126】
(下引き層、バック層の塗設)
作製した2軸延伸s−ポリスチレンフィルム支持体の両面に、8W/m2・分のコロナ放電処理を施し、次いで、一方の面に下記下引き塗布液aを乾燥膜厚0.8μmになるように塗設後、コロナ放電処理(8W/m2・分)を行いながら下引き塗布液bを乾燥膜厚0.1μmになるように塗布し、各々180℃、4分間乾燥させた(下引き面A)。又、反対側の面に、下記下引き塗布液cを乾燥膜厚0.8μmになるように塗設後、コロナ放電処理(8W/m2・分)を行いながら下引き塗布液dを乾燥膜厚1.0μmになるように塗布し、各々180℃、4分間乾燥させた(下引き面B)
《下引き塗布液a》
スチレン/グリシジルメタクリレート/ブチルアクリレート=60/39/1の
3元系共重合ラテックス(Tg=75℃) 6.3質量%
(固形分基準)
スチレン/グリシジルメタクリレート/ブチルアクリレート=20/40/40
の3元系共重合ラテックス 1.6質量%
アニオン系界面活性剤S−1 0.1質量%
水 92.0質量%
《下引き塗布液b》
ゼラチン 1質量%
アニオン系界面活性剤S−1 0.05質量%
硬膜剤H−1 0.02質量%
マット剤(シリカ,平均粒径3.5μm) 0.02質量%
防黴剤F−1 0.01質量%
水 98.9質量%
【0127】
【化1】

【0128】
《下引き塗布液c》
スチレン/グリシジルメタクリレート/ブチルアクリレート=20/40/40
の3元系共重合ラテックス 0.4質量%
(固形分基準)
スチレン/グリシジルメタクリレート/ブチルアクリレート/アセトアセトキシエチルメタクリレート=39/40/20/1の4元系共重合ラテックス
7.6質量%
ポリ塩化ビニリデン樹脂 0.5質量%
アニオン系界面活性剤S−1 0.1質量%
水 91.4質量%
《下引き塗布液d》
成分d−11/成分d−12/成分d−13=66/31/1の導電性組成物
6.4質量%
硬膜剤H−2 0.7質量%
アニオン系界面活性剤S−1 0.07質量%
マット剤(シリカ、平均粒径3.5μm) 0.03質量%
水 93.4質量%
成分d−11;
スチレンスルホン酸ナトリウム/マレイン酸=50/50の共重合体からなるアニオン性高分子化合物
成分d−12;
スチレン/グリシジルメタクリレート/ブチルアクリレート=40/40/20からなる3成分系共重合ラテックス
成分d−13;
スチレン/イソプレンスルホン酸ナトリウム=80/20からなる高分子活性剤
【0129】
【化2】

【0130】
《プラズマ処理》
次いで、下引き層、バック層の塗設を終了した2軸延伸s−ポリスチレンフィルム支持体の各々の下引き層表面に下記プラズマ処理条件でプラズマ処理を施した。バッチ式の大気圧プラズマ処理装置(イーシー化学(株)製、AP−I−H−340)を用いて、高周波出力が4.5kW、周波数が5kHz、処理時間が5秒及びガス条件としてアルゴン、窒素及び水素の体積比をそれぞれ90%及び5%でプラズマ処理を行い、2.25m幅にスリットした。
【0131】
《親水性層用の塗布液の塗布》
プラズマ処理を終了した下引き層を有する2軸延伸s−ポリスチレンフィルム支持体のA面上に、図1、図2に示すスライドコータを用いて、下記に示す、最下層となる第1親水性層用の塗布液を、乾燥付き量が2.8g/m2、最下層の上になる第2親水性層用の塗布液を、乾燥付き量が0.6g/m2になるように2層同時重層により1500m連続塗布し、2層の親水性層を有する2軸延伸s−ポリスチレンフィルム支持体を作製しNo.1−1とした。尚、2軸延伸s−ポリスチレンフィルム支持体の搬送速度は50m/min、第1親水性層用の塗布液のスリット幅を2m、供給量を280g/min、第2親水性層用の塗布液のスリット幅を1.98m、供給量60g/minに調整した。第1親水性層の塗布液を吐出するスリットの両端から1cmの位置に塗布補助液供給口を設け、塗布補助液として純水を21g/minで供給しながら重層塗布し、120℃で3分間乾燥したのちに60℃で24時間の加熱処理を施した。尚、比較試料として、第1親水性層用の塗布液、第2親水性層用の塗布液を同時重層するときに第1親水性層用の塗布液を吐出するスリットの両端から純水を供給しなかった他は全て同じ条件で親水性層用の塗布液の塗布を行い2層の親水性層を有する2軸延伸s−ポリスチレンフィルム支持体を作製しNo.1−2とした。
【0132】
《第1親水性層用の塗布液》
下記に記載の各素材を、ホモジナイザを用いて十分に攪拌混合し、第1親水性層用の塗布液とした。
スノーテックス−XS(日産化学社製コロイダルシリカ、20質量%) 83質量%
スノーテックス−ZL(日産化学社製コロイダルシリカ、40質量%) 3質量%
TM−3550ブラック粉体 3質量%
(大日精化工業社製Cu−Fe−Mn系黒色顔料、40質量%)
ミネラルコロイドMO 5質量%
(Southern Clay Product社製層状鉱物粒子、5質量%の水膨潤ゲル)
カルボキシメチルセルロース水溶液(4質量%) 3質量%
リン酸3ナトリウム水溶液(10質量%) 0.5質量%
シルトンJC−40(水澤化学社製多孔質金属酸化物粒子) 2.5質量%
《第2親水性層用の塗布液》
下記に記載の各素材を、ホモジナイザを用いて十分に攪拌混合した。
スノーテックス−S(日産化学社製コロイダルシリカ、30質量%) 14質量%
スノーテックス−PSM 45質量%
(日産化学社製ネックレス状コロイダルシリカ、20質量%)
TM−3550ブラック粉体 4.5質量%
(大日精化工業社製Cu−Fe−Mn系黒色顔料、40質量%)
ミネラルコロイドMO 8質量%
(Southern Clay Product社製層状鉱物粒子、5質量%の水膨潤ゲル)
カルボキシメチルセルロース水溶液(5質量%) 5質量%
リン酸3ナトリウム水溶液(10質量%) 1質量%
シルトンAMT08(水澤化学社製多孔質金属酸化物粒子、20質量%)12.5質量%
シルトンJC−20(水澤化学社製多孔質金属酸化物粒子) 2質量%
純水 8質量%
《画像形成層用の塗布液の塗布》
作製した2層の親水性層を有する各2軸延伸s−ポリスチレンフィルム支持体No.1−1、No.1−2を使用し、第2親水性層上に画像形成層用の塗布液を、親水性層用の塗布液を塗布に使用したスライドコータを用いて、乾燥付き量が、0.5g/m2になるように塗布し、50℃で3分間乾燥したのちに、50℃で72時間のシーズニング処理を施した。又、画像形成層用の塗布液を塗布し乾燥した後、下引き済み支持体の各々のB面上に、バック層用の塗布液を、同じスライドコータを用いて、乾燥付き量が1.5gになるように塗布し、50℃で20分間乾燥し、平版印刷版材料を作製し試料No.101、102とした。
【0133】
《画像形成層用の塗布液》
下記に記載の各素材を、ホモジナイザを用いて十分に攪拌混合した。尚、数値は質量部を表す。
カルバナワックスエマルジョンA118 29質量%
(岐阜セラック社製、5質量%に純水で希釈した分散液)
ハイミクロンL271(中京油脂) 5質量%
トレハロース(林原生物研究所) 47質量%
純水 10質量%
《バック層用の塗布液》
コロイダルシリカ:スノーテックス−XS 33.6質量%
(日産化学社製、固形分20質量%)
アクレルエマルジョン:DK−05 14質量%
(岐阜セラック社製、固形分48質量%)
マット剤(PMMA平均粒径5.5μm) 0.56質量%
純水 51.84質量%
評価
作製した試料No.101、102に付き、以下に示す方法で塗布安定性を評価し、その結果を表1に示す。
【0134】
塗布安定性の評価方法
各試料の塗布開始時、500m、1000m、1500m(塗布終了端)の各箇所において試料の中心から左右両幅方向に90cmを1cm間隔で透過濃度測定し、平均値を求めた。この平均値に対して試料の中心から左幅方向で透過濃度が±0.1以上となる位置P1と、右幅方向で透過濃度が±0.1以上となる位置P2とを求め、位置P1と位置P2との距離を測定した。距離が離れていることは塗布が安定していることを示し、距離が短いことは塗布が不安定であることを示す。表中の数字は距離(m)を示す。
【0135】
【表1】

【0136】
比較試料No.102では、塗布開始後から、1500m連続塗布することで、平均透過濃度に対して±0.1以上となる中心からの幅方向の位置が狭くなることが確認され、不安定な塗布が行われるのに対して、本発明の試料No.101では、塗布開始後から、1500m連続塗布しても、均透過濃度に対して±0.1以上となる中心からの幅方向の位置が広く安定しており、安定な塗布が行うことが出来ることが確認出来た。
【図面の簡単な説明】
【0137】
【図1】コータを使用し塗布するスライド塗布方式の概略図である。
【図2】図1に示すコータの概略斜視図である。
【図3】図1に示すコータにスライド面を覆うカバーを設けたコータを使用し塗布するスライド塗布方式の概略図である。
【図4】図3に示すコータの部分概略斜視図である。
【図5】図4のA−A′に沿った概略断面図である。
【符号の説明】
【0138】
1a、1b コータ
101、101a〜101d バー
102、102a〜102c スリット
103、103a〜103d スライド面
104 塗布幅規制プレート
109 塗布補助液供給手段
109a 塗布補助液供給管
109b 塗布補助液供給口
8 カバー
801 不透明部分
802 透明部分
803a〜803c 側壁
9、10 冷却手段
W1 塗布点
X 距離
Y、Z 長さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バックロールで塗布反対面が保持され、連続搬送される帯状支持体へ、それぞれ別々に塗布液を押出す少なくとも2つのスリットと、該スリットを構成する少なくとも3本のバーとを有し、該塗布液を同時に塗布する同時重層用スライド型コータを用いて、該帯状支持体上に粒子物を含有する少なくとも1層から構成される層を設けてなる平版印刷版材料の製造方法において、
前記塗布液は少なくとも一種類のフィラーを含有し、溶媒の60質量%以上が水であり、
該同時重層用スライド型コータは、最下層用の塗布液を吐出するスリットの両端に塗布補助液を供給する塗布補助液供給手段を有し、
該塗布補助液供給手段より前記塗布液の吐出量の10質量%以下の該塗布補助液を供給しながら塗布することを特徴とする平版印刷版材料の製造方法。
【請求項2】
前記同時重層用スライド型コータはスライド面、側面及び後面を覆うカバーを有することを特徴とする請求項1に記載の平版印刷版材料の製造方法。
【請求項3】
前記塗布補助液が塗布液と同じ組成を有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の平版印刷版材料の製造方法。
【請求項4】
前記塗布補助液が塗布液と近似組成を有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の平版印刷版材料の製造方法。
【請求項5】
前記塗布補助液が水であることを特徴とする請求項1又は2に記載の平版印刷版材料の製造方法。
【請求項6】
前記塗布液が親水性層用の塗布液又は画像形成層用の塗布液であることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の平版印刷版材料の製造方法。
【請求項7】
前記帯状支持体上に、少なくとも1層の親水性層用の塗布液を塗布・乾燥し、親水性層を形成した後、該親水性層の上に少なくとも1層の画像形成層用の塗布液を塗布・乾燥し、画像形成層を形成することを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の平版印刷版材料の製造方法。
【請求項8】
前記親水性層用の塗布液は少なくとも一種のフィラーと、光熱変換剤とを含有することを特徴とする請求項6又は7に記載の平版印刷版材料の製造方法。
【請求項9】
前記画像形成層用の塗布液は少なくとも一種のフィラーと、熱融着性微粒子とを含有することを特徴とする請求項6〜8の何れか1項に記載の平版印刷版材料の製造方法。
【請求項10】
請求項1〜9の何れか1項に記載の平版印刷版材料の製造方法により得られる平版印刷版材料において、画像記録した後、水現像又は印刷機上で湿し水現像することを特徴とする平版印刷版材料。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−231671(P2006−231671A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−48714(P2005−48714)
【出願日】平成17年2月24日(2005.2.24)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】