説明

平面型画像表示装置

【課題】 薄型化、軽量化を実現する高強度ガラス材を用いた平面型画像表示装置を提供する。
【解決手段】 二枚の基板SUB1とSUB2、該二枚の基板の間に設けられた発光部PMGを有し、少なくとも一枚の基板がSiO2を主成分とし、La、Sc、Y、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luより選ばれた少なくとも一種を1〜20重量%含有するガラス材で構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマ・ディスプレイ装置やフィールド・エミッション・ディスプレイ装置などで知られる所謂、フラットタイプの平板の表示パネルを用いた平面型画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマ・ディスプレイ装置(PDP)やフィールド・エミッション・ディスプレイ装置(FED)など、平板の表示パネルを用いた平面型画像表示装置(フラット・パネル・ディスプレイ:FPD)は、その構成材としてガラス材が多く用いられる。例えば、プラズマ・ディスプレイ装置では、画素選択機構を形成する一方の基板と選択された複数の画素で表示される二次元画像を担持する他方の基板、これら二枚の基板をその周辺で貼り合わせてガス封入空間を形成する枠材(封止枠)などはガラス材である。また、フィールド・エミッション・ディスプレイ装置では、同じく画素選択機構を形成する一方の基板と選択された複数の画素で表示される二次元画像を担持する他方の基板、これら二枚の基板をその周辺で貼り合わせて真空容器を構成する封止枠(枠材)などにはガラス材が用いられる。
【0003】
なお、フィールド・エミッション・ディスプレイ装置では、上記の構成材の外に上記二枚の基板(背面基板と前面基板、通例はパネルガラスとも称する)の間の間隔を所定値に保持するために当該二枚の基板(パネルガラス)の間を橋絡して植立固定される間隔保持部材(スペーサ)、あるいはこれらの各構成材を接合して固定する接合材もガラス材を主材としている。
【0004】
上記した二枚の基板については、その強度(耐破損性などの物理的強度)を向上すれば板厚を薄くすることが可能となり、軽量化を実現できる。また、画像表示面側の基板の前に外力印加による耐破損性を確保するためのフィルタガラスを設置しているものがあるが、パネルガラスの強度が向上すれば、このようなフィルタガラスの設置が不要となり、軽量化とともに多重反射による画質劣化が抑制される。
【0005】
フィールド・エミッション・ディスプレイ装置は、二枚のパネルガラスの間に複数のスペーサを植立させて両基板間の間隔を所定値に保持している。このスペーサもガラス材が用いられている。スペーサの強度が向上すれば、スペーサの設置数を削減でき、軽量化につながる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
平面型画像表示装置は、安価で簡単に据付できる壁掛けテレビとしての利用が考えられている。しかしながら、例えば、現在市販されている公称32インチのプラズマ・ディスプレイ装置の重量は、表示部だけでも20kgを超える。これを一般家庭の壁などに設置するためには、壁の補強などの工事を必要とする。従って、このような理由からも、平面型画像表示装置の更なる軽量化や薄型化を図ることが要求されている。
【0007】
平面型画像表示装置の表示用パネルに用いられているパネルガラスには、高い透光性、耐熱性、化学的安定性、他部材との熱膨張係数のマッチングなどが要求されており、その要求特性から、化学強化ガラスや結晶化ガラスなどのような強化処理を施したガラス材を用いることができない。そのため、所定の強度を確保するためには所定の厚さが必要とされ、平面型画像表示装置の薄板化・軽量化に対する課題となっている。
【0008】
例えば、プラズマ・ディスプレイ装置では、全重量のうち、基板などで用いられているガラス材の重量が1/3程度を占めており、プラズマ・ディスプレイ装置の軽量化を図るためには、パネルガラスなどのガラス材の薄型化軽量化を図ることが必要である。
【0009】
また、フィールド・エミッション・ディスプレイ装置では、ガラス基板のほか、スペーサ、周辺部を封止して内部を真空に保持するための封止枠(枠ガラスとも言う)などが必要であり、これらについても高強度化を図ることが必要である。
【0010】
本発明の目的は、薄型化、軽量化を実現する高強度ガラス材を用いた平面型画像表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明は、表示パネルを構成する二枚のガラス基板(パネルガラス)間に発光部を設けた平面型画像表示装置、または二枚のガラス基板間に発光部を設けた表示パネルの表示面側にフィルタガラスを設けた平面型画像表示装置における、前記ガラス基板(パネルガラス)、フィルタ、スペーサ、枠ガラスなどの構成部材の少なくともいずれかに、所定の希土類元素を含有してクラックが発生し難く、耐破損性の高い高強度としたガラス材を用いたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、薄型軽量で高強度なガラス材を用いた平面型画像表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を実施例により詳細に説明する。
【実施例1】
【0014】
図1は、一般的な平面型画像表示装置を構成する表示パネルを説明する模式図である。この表示パネルPNLは、一方のガラス基板(背面基板)SUB1と他方のガラス基板(前面基板)SUB2の間に作像部(発光部)PMGを挟持して構成される。図2は、平面型画像表示装置の一例であるプラズマ・ディスプレイ装置を示す模式図である。このプラズマ・ディスプレイ装置は、表示パネルPNL、駆動回路DCT、電源PWUおよび表示パネルPNLの前面に設置されたフィルタガラスFLGを筐体CASに収納して構成されている。
【0015】
本実施例のプラズマ・ディスプレイ装置では、表示パネルPNLの前面基板SUB2や背面基板SUB1に用いるガラス材の厚さを、従来のガラス基板(例えば、2.8mm厚)に比べて薄板化することが可能であり、その結果平面型画像表示装置の薄型化や軽量化を図ることが可能となる。
【0016】
また、フィールド・エミッション・ディスプレイ装置は、対向して配置された前面基板と背面基板およびこれらの基板間に配置されたスペーサや、両基板の周縁に挟持させて設置された枠ガラス(封止枠)などより構成されている。本発明のガラス材を用いることにより、プラズマ・ディスプレイ装置と同様に、前面基板、背面基板の薄型化や軽量化を図ることができる。なお、フィールド・エミッション・ディスプレイ装置にも同様のフィルタガラスFLGが設置される場合もある。
【0017】
また、スペーサは、電子源の設置間隔にも依存するが、高さ数mm、幅数100μm程度の極めて薄く、かつアスペクト比に大きな形状が要求されている。このような形状のスペーサを構成するガラス材を圧縮応力が作用する減圧環境下で長期間安定的に使用するためには、ガラス材自体の強度を高めることが必須である。この点、以下に示すように従来材に比べ高い強度を有する本発明材はスペーサ材として極めて有効である。
【0018】
図3は、ガラス基板の高強度化を図ることで得られる効果を説明する図である。図3に示すように、ガラス基板の高強度化を図ることにより、プラズマ・ディスプレイ装置、フィールド・エミッション・ディスプレイ装置のいずれにおいても、前面フィルタガラスが不要な構造が可能となり、さらに平面型画像表示装置の薄型化、軽量化を図ることができる。
【0019】
このような前面フィルタガラスを除いた構造の場合でも、本実施例のガラス材を用いることにより、現在、前面フィルタガラスに形成している電気的特性を調整する層や光学的特性を調整する層などを表示パネルの前面板に形成することができる。また、万が一、ガラス基板が破損した場合に備えて、破損によるガラスの飛散を防止する飛散防止層を形成することができる。飛散防止層としては、通常は樹脂フィルムが用いられる。
【0020】
さらに、用途により、前面フィルタガラスが必要な場合でも、前面フィルタガラスに本発明のガラス材を用いることにより、前面フィルタガラスを薄型化することができるため、全体として平面型画像表示装置の薄型化、軽量化を図ることが可能である。
【0021】
さらに、薄型化のメリットとしては、上記のような軽量化のほかに、平面型画像表示装置の表示性能の向上を挙げることができる。図4は、前面基板の薄型化で得られる混色の抑制を説明する模式図である。図4(a)は前面基板SUB2を薄型化する前の表示状態を示し、図4(b)は前面基板SUB2を薄型化した場合の表示状態を示す。図4(a)、図4(b)において、前面基板SUB2の内面には3色(赤、緑、青)の蛍光体PH(R)、PH(G)、PH(B)が遮光膜(ブラックマトリクス)BMで区画されて塗布されている。なお、蛍光体PH(R)、PH(G)、PH(B)の上層は陽極(アノード)で被覆されているが、図示していない。
【0022】
図4(a)において、蛍光体PH(R)、PH(G)、PH(B)は電子e-の射突で励起されてそれぞれの色波長の光を発生する。発生した光は前面基板SUB2を通って表示面外に出射する。前面基板SUB2を構成するガラス材の厚みが大きいと、例えば蛍光体PH(G)の光は隣接する蛍光体PH(R)とPH(B)から出射する光と重なる。図4(a)では、この重なりをハッチングを付して示す。この結果、色のにじみ(混色)が生じ、色純度が低下する(表示品質が劣化する)。
【0023】
これに対し、図4(b)に示すように、前面基板SUB2を構成するガラス材の厚さを薄くすることで、蛍光体PH(R)とPH(B)から出射する光の広がりや各色光同士が重なる領域を低減することが可能となる。、これにより平面型画像表示装置の高品質化が実現でき、また蛍光体のサイズを小さくできることから、表示画像の高精細化を図ることができる。蛍光体PH(R)とPH(B)から出射する光の広がりや重なり領域の低減量は、ガラス材の屈折率や厚さなどにより変化するが、屈折率が同じ場合、ガラス材の厚さを半分にすることにより、広がりや重なり領域の大きさを半分程度にすることが可能である。
【0024】
次に、本実施例のガラス材について説明する。1m×1mのような実際の画像表示装置用大型ガラス基板は、例えばフロート法などで作製されるが、以下では、ガラス材の各種特性を評価する試作ガラス材の作製方法について説明する。
【0025】
「ガラス材の試作」
まず、定められた量の原料粉末を白金製のるつぼに秤量して入れ、混合した後、電気炉中で1600℃で溶解した。原料が十分に溶解した後、白金製の撹拌羽をガラス融液に挿入し、約40分撹拌した。その後、撹拌羽を取り出し、20分静置した後、約400℃に加熱された黒鉛製の治具にガラス融液を流し込んで急冷することによりガラスブロックを得た。その後、各ガラスのガラス転移温度付近までガラスブロックを再加熱し、1〜2℃/分の冷却速度で徐冷することにより歪とりを行った。
【0026】
「試作ガラス材の評価」
マイクロビッカース硬さ(Hv)は、印加荷重500g,荷重印加時間15秒の条件で10ヶ所測定し、その平均値とした。なお測定は荷重印加後20分経過してから行った。試験片の形は4mm×4mm×15mmとした。
【0027】
クラック発生率の測定は、前記マイクロビッカース硬さ測定と同様の条件で、印加荷重のみを変化させて測定を行った。なお、測定は荷重印加後30秒以内に行った。
【0028】
透過率は、分光光度計を用いて可視光波長領域(380〜770nm)でガラスに対して垂直に入射した光の透過前後の強度比から測定した。試料ガラスの形状は15mm×25mm×1mmである。
【0029】
「ガラス組成」
本実施例のガラス材の成分は以下のとおりである。すなわち、
SiO2を主成分とし、La、Sc、Y、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luより選ばれた少なくとも一種を含有する。
【0030】
また、上記の各成分の比率は次の(1)又は(2)に示すとおりである。すなわち、
(1)酸化物換算でSiO2:40〜80重量%、B23:0〜20重量%、Al23:0〜25重量%、R2O(Rはアルカリ金属):5〜20重量%、R'O(R'はアルカリ土類金属):0〜25重量%、Ln23(Lnは、La、Sc、Y、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luより選ばれた少なくとも一種):1〜20重量%。
【0031】
(2)酸化物換算で、SiO2:50〜70重量%、B23:0〜15重量%、Al23:5〜25重量%、R2O(Rはアルカリ金属):7〜20重量%、R'O(R'はアルカリ土類金属):0〜20重量%、Ln23(Lnは、La、Y、Gd、Yb、Luより選ばれた少なくとも一種):1〜10重量%。
【0032】
希土類酸化物の含有量は、20重量%を超えると未溶解部やガラスの不均一化などにより機械的特性が低下し、好ましくなかった。また、1重量%未満では機械的強度向上の効果が小さかった。従って、希土類酸化物の含有量は1〜20重量%であることが好ましい。但し、含有量が10重量%を超えると、ガラス材が失透し始め、光透過率が低下したため、1〜10重量%であればさらに好ましい。
【0033】
次に、ガラス材の組成の検討を行った。SiO2の含有量が40重量%未満では機械的強度、化学的安定性が損なわれるため、好ましくなかった。また、SiO2含有量が80重量%を超えると溶融性が低下し脈理が多く発生した。以上のことから、SiO2の含有量は40〜80重量%であることが好ましく、さらに50〜70重量%であればより好ましい。
【0034】
このガラス材にB23を含有させたところ、流動性に優れたガラスが得られた。しかし、その含有量が20重量%を超えると、希土類含有による機械的強度向上の効果が小さくなった。このため、B23の含有量は20重量%以下であることが好ましい。さらに15重量%以下であればより好ましい。但し、アルカリ金属酸化物とB23が混在した場合、ガラス溶融中にアルカリ金属の蒸発が促進され、溶解炉の炉壁材などを傷めて、コスト上昇の要因となるため、特に量産段階ではアルカリ金属酸化物とB23を混在させないことが好ましい。
【0035】
次に、アルカリ金属酸化物の検討を行った。アルカリ金属酸化物(Li2O,Na2O,K2O)の含有量の合計が20重量%を超えると、化学的安定性が低下した。但し、アルカリ金属酸化物の添加はガラス材の熱膨張係数を大きくする働きがあるため、アルカリ金属酸化物の含有量の合計は、5〜20重量%であることが好ましく、さらに7〜20重量%であればより好ましい。
【0036】
また、アルカリ土類金属酸化物の場合、25重量%を超えると、化学的安定性が低下した。但し、アルカリ金属酸化物と同様に、アルカリ土類酸化物の添加もガラス材の熱膨張係数を大きくする働きがあり、アルカリ金属酸化物に比べ、ガラス材の転移点を低下させないため、アルカリ土類金属酸化物の含有量は25重量%以下が好ましく、さらに20重量%以下であればより好ましい。
【0037】
また、アルカリ金属酸化物とアルカリ土類金属酸化物は、ガラスを低融点化させる意味では同様の効果が見られたが、その合計量が5重量%未満では流動性が悪く、脈理が多く発生した。また、40重量%を超えると、化学的安定性が低下した。このことから、アルカリ金属酸化物,アルカリ土類金属酸化物の含有量の合計は、5重量%以上、40重量%未満であることが好ましい。
【0038】
Al23はガラスの機械的強度や化学的安定性を増加させるのに効果的であり、5重量%以上ではその効果が顕著であった。但し、含有量が25重量%を超えると、ガラスの流動性が低下し、好ましくなかった。従って、Al23の含有量は、25重量%以下であることが好ましく、さらに5〜25重量%であればより好ましい
【0039】
また、上記の酸化物のほかに、ZnO、ZrO2なども添加することができる。ZnOを添加すると、ガラスの溶解が促進するとともに、ガラスの耐久性を向上させる効果がある。特に、0.5重量%以上含有させるとその効果がより顕著になって好ましい。しかし、10重量%を超えるとガラスの失透性が増し、均質性の高いガラスが得られなくなる。
【0040】
ZrO2を添加すると、ガラスの耐久性を向上させる効果がある。特に0.5〜5重量%の範囲で含有させるとその効果がより顕著になって好ましい。しかし5重量%を超えて含有させるとガラス溶融が困難になるとともに、ガラスの失透性が増大する。
【0041】
表1に本発明の実施例を示す。ここに示すように、本発明のガラスはいずれもクラック発生率が50%になる荷重が5000mNより大きな値を示しており、また転移点は450℃以上、熱膨張係数は60〜90×10-7/℃の値を示した。
【表1】

【0042】
「表面処理の効果」
また、本発明のガラス材は、加工による微小傷を取り除くために、その外周の端面や面取り面が、弗酸,弗硝酸,弗硫酸,バッファード弗酸等でエッチング処理されていることが好ましい。この処理がなされると、少なくとも30%程度の曲げ強度の向上を図ることができる。特に、ガラス成分として希土類酸化物を含有したガラスに対してエッチングを行うと、非常に高い強度を得ることができる。
【0043】
「表面強化ガラスとの比較」
本発明のガラス材は、希土類元素を添加したことにより、十分な強度を得ている。従って、従来のガラス材の強化法である化学強化のような表面強化処理が不要である。すなわち、ガラス表面に残留応力を生じさせた圧縮強化層がないことを特徴としている。表面の圧縮強化層の有無は、例えばレーザ光線を表面から照射し、反射光をプリズムを用いて分光する方法により測定できる。本発明のガラス材を上記方法で測定すると、ガラス材内部と表面での残留応力差がほとんどない、すなわち表面応力層がないことが確認された。
【0044】
本実施例のガラス材の表面部には圧縮強化層が存在せず、ガラス内部の応力分布が実質的に均一であることを特徴とする。この結果、本実施例のガラスの表面に化学強化ガラスの圧縮強化層深さと同程度の深さのキズが入ったとしても、化学強化ガラスのように全体が粉々に破損することはない。
【0045】
また、化学強化ガラスでは、表面に圧縮強化相を、内部にはバランスをとるための引張り相を形成しているため、所定の強度を有するためには、その強度に応じて厚さが制限されるという問題点があるが、これに対し、本実施例のガラス材は表面応力層を存在させる必要が無いため、化学強化ガラスの場合のような厚さの制約がなく、より薄いガラスを作製することが可能である。従来のガラス基板は機械的強度を確保するため、厚さが2.8mm程度必要であるが、本実施例のガラスでは、特別な強化処理を施すことなく、ガラス材を強化しているため、ガラス基板の厚さも従来材より薄くすることが可能となり、平面型画像表示装置の薄型軽量化が可能となる。
【0046】
「ガラスの特性」
図5は、本発明の実施例のガラス材と現行陰極線管(CRT)やプラズマ・ディスプレイ装置(PDP)に用いられているガラス材および液晶表示装置(LCD)に用いられているガラス材の印加荷重とクラック発生率との関係を示す図である。現行CRT、PDPに用いられているガラス材では、印加荷重100g程度でクラック発生率100%であるのに対して、本実施例のガラス材は印加荷重2000gにてクラック発生率50%程度と現行CRT、PDPに比べて極めてクラックが入りにくいことがわかる。また、現行LCDに用いられているガラス材はPDP用ガラス材よりは良好なクラック発生特性を示しているが、本実施例のガラス材より若干劣る。
【0047】
図6は、図5で説明した各ガラス材の50%クラック発生荷重と熱膨張係数の関係を示す図である。図6に示すように、本実施例のガラス材は、現行CRT、PDP用ガラス材と同程度の熱膨張係数を有しており、50%クラック発生荷重は現行CRT、PDP用ガラス材に比べて、極めて高い値を示している。なお、現行CRT、PDP用ガラス材に比べて良好なクラック特性を示したLCD用ガラス材は、PDPやFEDなどにくらべて熱膨張係数が小さく、平面型画像表示装置用のガラス材に要求される熱膨張特性にはマッチングしない。
【0048】
本実施例の表示パネルおよび平面型画像表示装置では、そのガラス基板を構成するガラス材を薄くすることができるため、ガラス材の重量、ひいては表示パネルや平面型画像表示装置の重量を低減することができる。その反面、ガラス材の密度が大きくなっては、ガラス基板の薄板化による重量減少効果が低減するため、ガラス材の密度は2.8g/cm3以下であることが好ましく、さらに2.6g/cm3以下であればより好ましい。
【0049】
本実施例のガラス材の転移点は450℃以上であることが好ましく、さらに600℃以上であればより好ましい。これは、表示パネルの製造過程で、接合工程や真空排気工程などの高温に加熱する熱処理を施しており、ガラス材の転移点が各表示パネルの製造工程で実施又は想定されている熱処理工程の最高温度より低い場合、ガラス基板中に残留応力が発生し、表示パネルの不具合や破損を招くためである。
【0050】
本実施例のガラス材の熱膨張係数は封止ガラス材などの他の部材の熱膨張係数との関係から、60〜90×10-7/℃であると好ましく、さらに70〜90×10-7/℃であるとより好ましい。これは、熱膨張係数がこれより大きい又は小さいと、熱膨張係数差に起因して接合部付近に残留応力が発生し、パネルの不具合や破損をもたらすためである。
【0051】
本実施例のガラス材のヤング率、比弾性率(ヤング率を密度で除した値)は、各々80GPa、30GPa/(g/cm3)以上であることが好ましい。これは、ヤング率、比弾性率の値がこれより小さくなるを、ガラス基板の撓み量が現行材より大きくなり、ハンドリング性の低下に伴い、製造工程での不具合や歩留まりの悪化を招くためである。
【0052】
本実施例では、従来のガラス基板材に比べ、ガラス材の密度を大きく変化させることはなく、ガラス基板の厚さを現行材より薄くすることが可能なため、平面型画像表示装置の薄型軽量化が期待できる。さらに、平面型画像表示装置の軽量化を図ることにより、装置の運搬、設置の手間、コストの軽減が期待できる。さらには、平面型画像表示装置を壁などに直接設置することが可能となる。
【0053】
特に、現行のプラズマ・ディスプレイ装置の場合、モニター部(画像表示部)の重量のうち、ガラス材が占める割合は約35%であるが、ガラス基板を薄くすることにより、この割合を低下させるともに、装置の重量を低下させることができる。
【0054】
ガラス基板の厚さを薄くした場合、2.5mmでは、現行の約21%となり、20%以上ガラス基板(2枚)の重量を低減することが可能となり、1.5mmの場合ではさらに大幅に低減することができる。そのため、ガラス基板の厚さとしては、2.5mm以下が好ましく、さらに1.5mm以下であればより好ましい。
【0055】
本実施例のガラス材は強化機構の関係上、ガラス一枚当たりの厚さの薄いものを作製可能なので、特に強度の必要な用途向けには、二枚以上のガラスを樹脂フィルムを介して積層することでさらに強度を高めることが可能である。このような積層ガラスを前面フィルタに用いることにより、平面型画像表示装置の信頼性をさらに向上することができる。但し、積層枚数に比例してガラス材の合計重量が増加するため、重量が過大にならぬよう、積層ガラス材の合計厚さは1枚材と同等以下であることが望ましい。
【0056】
また、この積層ガラス材の場合、ガラス積層の際に、樹脂層内に金属、セラミックス、カーボンファイバー、グラスファイバー等のワイアを配置して、さらに強度を高めることが可能である。
【0057】
さらに、前記ガラス材内にワイアを配置する方法として、ガラス内部に金属、セラミックス等のワイアを配置することもできる。この場合はガラス材原料が高温で溶融状態にあるときに、耐熱性の金属、セラミックス等のワイアを挿入し冷却、固化することでワイア入りのガラス板とすることができる。前記透明ガラス内にワイアを配置することで、重量物の衝突によるガラス破片の落下・飛散の防止が期待でき、特に屋外に設置する平面型表示装置に好適である。
【0058】
本実施例のガラス材は、種々の元素を含有することにより、ガラス材を着色させることができる。着色元素としては、希土類元素のほかに、鉄、コバルト、ニッケル、クロム、マンガン、バナジウム、セレン、銅、金、銀などがあげられる。これらを用途に応じて適量添加してガラス材に着色を施すことにより、平面型表示装置のコントラスト向上を図ることが可能となる。
【0059】
耐水性をみると、本実施例のガラス材は化学強化ガラスに比べて溶出アルカリ量が少なく、化学的安定性が良好であった。同様に、耐熱性試験においても、化学強化ガラスでは表面層に多くのアルカリ元素が検出され、イオンの移動が起こっていることが分かった。しかし、本実施例のガラス材では、そのようなことはなかった。
【0060】
以上のように、化学強化したガラス基板ではアルカリ元素の移動が生じやすく、不安定であったのに対し、本発明のガラス基板では、熱的,化学的な安定性が良好であった。
【0061】
次に、表面粗さを見ると、本実施例のガラス材では、表面粗さRa=0.1〜0.3nmと、良好な平滑性が得られた。また、耐水性試験後の表面粗さもRa=0.2〜0.4nmと高い平滑性を示した。一方、化学強化ガラスでは、Ra=0.9nm、耐水試験後ではRa=1.5と大きな値となった。さらに、希土類酸化物を添加していないガラス材とくらべても良好な結果が得られた。このように、本実施例のガラス材は化学的安定性に優れているため、ガラス材の上に透明導電膜や反射防止膜などを形成した場合でも、これらの膜の経時安定性に優れている。
【0062】
次に、ガラス基板の長期耐候性を模擬する目的で、高温・耐湿試験を行った。本実施例のガラス材と従来の化学強化ガラス材を比較例とし、同じ85℃、湿度85%の環境下に置いて変化を観察した。比較例の化学強化ガラスは試験開始後500時間の時点で表面の白化が観察されたが、本発明材は特に変化は見られなかった。
【0063】
表面の白化はガラス材内のアルカリ元素が周囲の湿気などによってガラス表面に移動し析出することで発生すると考えられる。表示側のガラス基板を構成するガラス材で白化が生じると、表示される画像の品質劣化をもたらす。化学強化ガラスではガラス材内のアルカリ元素がガラス材表面に移動しやすいことから、この白化が起こりやすいと考えられる。一方、本実施例のガラス材では、ガラス材内のアルカリ元素がガラス材表面に移動し難いので、この白化が起こり難く、その分耐候性が高いと期待される。
【0064】
前記の図3に示すように、前面フィルタガラスを除いた構造の場合、表示パネルの前面基板に電気的特性を調整する層や光学的特性を調整する層、および、万が一、ガラス基板が破損した場合に備えて、破損によるガラスの飛散を防止する飛散防止層などを形成するが、本実施例のガラス材は、上記のようにアルカリ成分がガラス材表面へ移動し難く、化学的に安定であるので、ガラス材の表面にこれらの層を形成した場合でも、当該層の剥離や性能劣化などが起こり難いと言う利点を有する。
【0065】
平面型画像表示装置を屋外に設置した場合、長期間の屋外放置によって当然、その表面に汚れが付着し、結果として画像表示性能が低下することが懸念される。ガラス基板の表面に光触媒層を形成することで、光のエネルギーによりガラス表面に付着した汚れが分解され、降水時の洗浄効果も相まって、表面の清浄さを維持しやすくなり、結果として画像表示性能の低下を抑制することができる。
【0066】
このとき、従来の化学強化ガラスを使用していると、ガラス材内部からのアルカリ元素の移動により、光触媒層が剥離しやすい。一方、本実施例のガラス材ではガラス材内のアルカリ元素がガラス材の表面に移動し難く、化学強化ガラス材に比べて、アルカリ溶出量を1/5以下に低減することが可能であるため、光触媒層が剥離しにくく、化学強化ガラスに比べ5倍以上の長期間の維持管理が容易である。
【0067】
図7は、MIM型電子源を用いた平面型画像表示装置を構成するパネルの1画素の表示原理を説明する図である。このパネルは背面基板SUB1で構成された背面パネルPNL1と前面基板SUB2で構成された前面パネルPNL2を図示しない封止枠すなわち枠ガラス(図示せず)で貼り合せ、内部空間を真空状態に保持される。背面パネルPNL1は、本発明によるガラス材で構成した背面基板SUB1の主面(内側表面)にアルミニウムAl膜を好適とする電子源の下部電極を構成する画像信号配線(所謂、データ線)d、下部電極のアルミニウムを陽極酸化した陽極酸化膜からなる第1の絶縁膜INS1(所謂、トンネル絶縁膜あるいは電子加速層)、窒化シリコン膜SiNを好適とする第2の絶縁膜INS2、給電電極(後述の上部電極を走査信号配線sに接続する接続電極)ELC、アルミニウムAlを好適とする走査信号配線s、走査信号配線sに接続した画素の電子源を構成する上部電極AEDが形成されている。
【0068】
電子源は、画像信号配線dを下部電極とし、下部電極の上に位置する第1の絶縁膜INS1の一部を形成する薄膜部分INS3、前記薄膜部分INS3の上層に積層する上部電極AEDの部分とで構成される。上部電極AEDは、走査信号配線sと給電電極ELCの一部とを覆って形成されている。薄膜部分INS3は、上記のトンネル膜である。この構成で、所謂ダイオード電子源が形成される。
【0069】
一方、前面パネルPNL2は、透明なガラス基板を好適とする前面基板SUB2の主面に遮光膜(ブラックマトリクス)BMで隣接画素と区画された蛍光体PH、アルミニウム蒸着膜を好適とする陽極(アノード)ADが形成されている。
【0070】
背面パネルPNL1と前面パネルPNL2の間の間隔は3mmないし5mm前後であり、この間隔をスペーサSPCで維持している。図7では、分かり易くするために各構成層の厚みを強調して示してあるが、走査信号配線sの膜厚は例えば3μmである。
【0071】
この様な構成において、背面パネルPNL1の上部電極AEDと前面パネルPNL2の陽極ADの間に加速電圧(2、3kV乃至10kV程度、図16では約5kV)を印加すると、下部電極である画像信号配線dに供給される表示データの大きさに応じた電子e-が出射し、加速電圧によって蛍光体PHに射突し、これを励起して所定周波数(当該蛍光体PHの発光周波数)の光Lを前面パネルPNL2の外部に出射する。なお、フルカラー表示の場合は、この単位画素はカラーの副画素(サブピクセル)であり、通常は赤(R)、緑(G)、青(B)の3つの副画素で1カラー画素を構成する。
【0072】
図8は、平面型画像表示装置の全体構成例を説明する模式平面図である。背面パネルを構成する背面基板SUB1の内面上には画像信号配線d(d1,d2,・・・dn)が形成され、その上に走査信号配線s(s1,s2,s3,・・・sm)が交差して形成されている。図8では、走査信号配線s1の上にスペーサSPCを有し、画像信号配線dの上に位置する電子源ELSは接続電極ELCで走査信号配線s(s1,s2,s3,・・・sm)から電流が供給される。
【0073】
前面パネルを構成する前面基板SUB2の内面上に形成された3色の蛍光体PH(PH(R)、PH(G)、PH(B))を覆って陽極ADが設けられている。なお、陽極ADの下に3色の蛍光体PH(PH(R)、PH(G)、PH(B))を形成することもできる。蛍光体PH(PH(R)、PH(G)、PH(B))が遮光層(ブラックマトリクス)BMで区画されている。
【0074】
なお、陽極ADはベタ電極として示してあるが、走査信号配線s(s1,s2,s3,・・・sm)と交差して画素列ごとに分割されたストライプ状電極とすることもできる。電子源ELSから放射される電子を加速して対応する副画素を構成する蛍光体層PH(PH(R)、PH(G)、PH(B))に射突させる。これにより、該蛍光体層PHが所定の色光で発光し、他の副画素の蛍光体の発光色と混合されて所定の色のカラー画素を構成する。
【0075】
図9は、本発明による平面型画像表示装置のより具体的な全体構造の一例を模式的に説明する一部破断して示す斜視図である。また、図10は、図9のA−A’線に沿って切断した断面図である。この平面型画像表示装置もMIM型電子源を用いた表示装置であるが、他の薄膜型カソード等を備えた平面型画像表示装置でも同様の構造とされる。背面基板SUB1の内面には画像信号配線dと走査信号配線sを有し、画像信号配線dと走査信号配線sの交差部分に電子源が形成され、全体として背面パネルPNL1が構成されている。
【0076】
画像信号配線dの端部には画像信号配線引出線CLTが形成され、走査信号配線sの端部には走査信号配線引出線GLTが形成されている。画像信号配線引出線CLTは図示しない画像信号線駆動回路(データドライバ)に接続され、走査信号配線GLTは図示しない走査信号線駆動回路(スキャンドライバ)に接続される。
【0077】
前面基板SUB2の内面にはアノード(陽極)ADと蛍光体層PHが形成されて、全体として前面パネルPNL2を構成している。背面基板SUB1と前面基板SUB2とは、その周縁に封止枠(枠ガラス)MFLを介在させて貼り合わされる。貼り合わせた背面基板SUB1と前面基板SUB2との間の間隔を所定値に保持するため、両基板の間にガラス板を好適とするスペーサSPCを植立させている。図10はこのスペーサSPCに沿った断面で、スペーサSPCは各走査信号配線GLの上に3枚設置したものとして図示してあるが、実際の装置ではこれに限られない。
【0078】
一般的に、スペーサSPCは、立てる本数を少なくして製造工程を簡略化し、かつ表示画面全面を保持するため、帯状の平板の長方形板を画面に対して略垂直に立てて用いられる。スペーサSPCの帯状の平板の長尺方向(長手方向)を垂直に切断したの断面形状は4つの角を有する形状、すなわち細長い矩形が一般的であるが、4つ以上の角を有する形状であってもよい。たとえば、長手方向の断面形状が6角形や8角形、それ以上多角形でよい。さtらに楕円形状でもよい。また、ガラス材の強度が向上できることから、スペーサSPCの長手方向の断面の長軸と短軸の比であるアスペクト比が100より小さくすることができる。
【0079】
なお、背面パネルPNL1と前面パネルPNL2および枠ガラスMFLで密封された内部空間は、背面パネルPNL1の一部に設けた排気管EXCから排気して所定の真空状態に保持される。枠ガラスMFLは、当該枠ガラスの各枠辺の全てが一体形成されたものでもよい。
【0080】
図11は、平面型画像表示装置の等価回路例を説明する図である。図11中に破線で示した領域は表示領域ARであり、この表示領域ARにn本の画素信号配線dとm本の走査信号配線sが互いに交差して配置されてn×mのマトリクスが形成されている。マトリクスの各交差部は副画素を構成し、図中の3つの単位画素、あるいは、副画素("R","G","B"の1グループでカラー1画素)を構成する。なお、電子源の構成やスペーサは図示を省いた。画像信号配線dは、画像信号配線引出端子CLTでデータドライバDDRに接続され、走査信号配線引出端子GLTはスキャンドライバSDRに接続されている。データドライバDDRには外部信号源から表示信号NSが入力され、スキャンドライバSDRには同様に走査信号SSが入力される。
【0081】
これにより、順次選択される走査信号配線sに交差する画像信号配線dに表示信号(画像信号など)を供給することで、二次元のフルカラー画像を表示することができる。本構成例の表示装置を用いることにより、比較的低電圧で高効率の自発光平面型の画像表示装置が実現される。
【0082】
本発明のガラス材は、上記したFEDやPDP等の平面型画像表示装置の前面基板、背面基板、スペーサ、枠ガラス、あるいは表面フィルタガラスなどの構成材に限るものではなく、太陽光発電パネル用保護ガラス材、建材用窓ガラス、車両用窓ガラス、HDD用ガラス基板、其の他の各種ガラス材を用いる構造体、機械器具、日常使用される各種器具、道具に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】一般的な平面型画像表示装置を構成する表示パネルを説明する模式図である。
【図2】平面型画像表示装置の一例であるプラズマ・ディスプレイ装置を示す模式図である。
【図3】ガラス基板の高強度化を図ることで得られる効果を説明する図である。
【図4】前面基板の薄型化で得られる混色の抑制を説明する模式図である。
【図5】本発明の実施例のガラス材と現行陰極線管(CRT)やプラズマ・ディスプレイ装置(PDP)に用いられているガラス材および液晶表示装置(LCD)に用いられているガラス材の印加荷重とクラック発生率との関係を示す図である。
【図6】図5で説明した各ガラス材の50%クラック発生荷重と熱膨張係数の関係を示す図である。
【図7】MIM型電子源を用いた平面型画像表示装置を構成するパネルの1画素の表示原理を説明する図である。
【図8】平面型画像表示装置の全体構成例を説明する模式平面図である。
【図9】本発明による平面型画像表示装置のより具体的な全体構造の一例を模式的に説明する一部破断して示す斜視図である。
【図10】図9のA−A’線に沿って切断した断面図である。
【図11】平面型画像表示装置の等価回路例を説明する図である。
【符号の説明】
【0084】
PNL・・・表示パネル
PNL1・・・背面パネル
PNL2・・・前面パネル
SUB1・・・一方のガラス基板(背面基板)
SUB2・・・他方のガラス基板(前面基板)
PMG・・・作像部(発光部)
DCT・・・駆動回路
PWU・・・電源
FLG・・・フィルタガラス
CAS・・・筐体
PH(R)、PH(G)、PH(B)・・・蛍光体
BM・・・遮光膜(ブラックマトリクス。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、二枚の基板と、該二枚の基板の間に設けられた発光部を有する平面型画像表示装置であって、
前記二枚の基板のうち少なくとも一枚の基板がSiO2を主成分とし、La、Sc、Y、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luより選ばれた少なくとも一種を1〜20重量%含有するガラス材であることを特徴とする平面型画像表示装置。
【請求項2】
少なくとも、二枚の基板と、該二枚の基板の間に設けられた発光部を有する平面型画像表示装置であって、
前記二枚の基板のうち少なくとも一枚の基板がSiO2を主成分とし、La、Y、Gd、Yb、Luより選ばれた少なくとも一種を1〜20重量%含有し、クラック発生率が50%になる荷重が5000mN以上であるガラス材であることを特徴とする平面型画像表示装置。
【請求項3】
少なくとも、二枚の基板および該二枚の基板の間に設けられた発光部よりなる表示パネルと、該表示パネルの表示面側に設置されたフィルタガラスとを有する平面型画像表示装置であって、
前記フィルタガラスはSiO2を主成分とし、La、Sc、Y、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luより選ばれた少なくとも一種を1〜20重量%含有するガラス材であることを特徴とする平面型画像表示装置。
【請求項4】
少なくとも、二枚の基板および該二枚の基板の間に設けられた発光部よりなる表示パネルと、該表示パネルの表示面側に設置されたフィルタガラスとを有する平面型画像表示装置であって、
前記フィルタガラスはSiO2を主成分とし、La、Y、Gd、Yb、Luより選ばれた少なくとも一種を1〜20重量%含有し、クラック発生率が50%になる荷重が5000mN以上であるガラス材であることを特徴とする平面型画像表示装置。
【請求項5】
前記フィルタガラスは接着層により二枚以上のガラス材を積層した積層材であることを特徴とする請求項3又は4に記載の平面型画像表示装置。
【請求項6】
内面に電子源アレイを備えた背面基板と、内面に前記電子源アレイに対応した配列を有する蛍光体パターンと加速電極とを備えて、その外面を表示面とする前面基板とからなり、前記背面基板と前記前面基板の各内面を対向させて両基板の周縁に有する封止部を封着材により封着してなる真空容器を有する平面型画像表示装置であって、
前記背面基板と前記前面基板のうち少なくとも一方の基板がSiO2を主成分とし、La、Sc、Y、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luより選ばれた少なくとも一種を1〜20重量%含有するガラス材であることを特徴とする平面型画像表示装置。
【請求項7】
内面に電子源アレイを備えた背面基板と、内面に前記電子源アレイに対応した配列を有する蛍光体パターンと加速電極とを備えて、その外面を表示面とする前面基板とからなり、前記背面基板と前記前面基板の各内面を対向させて両基板の周縁に有する封止部を封着材により封着してなる真空容器を有する平面型画像表示装置であって、
前記背面基板と前記前面基板のうち少なくとも一方の基板がSiO2を主成分とし、La、Sc、Y、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luより選ばれた少なくとも一種を1〜20重量%含有し、クラック発生率が50%になる荷重が5000mN以上であるガラス材であることを特徴とする平面型画像表示装置。
【請求項8】
前記背面基板が平坦で、前記前面基板の周縁に枠ガラスを一体的に有し、前記背面基板と前記前面基板の各内面を対向させて前記枠ガラスの端面と前記背面基板とを封着材を介在させて封止することを特徴とする請求項6又は7に記載の平面型画像表示装置。
【請求項9】
前記背面基板と前記前面基板の各周縁に、当該背面基板および前面基板とは別体の枠ガラスを配置し、前記背面基板と前記前面基板および前記枠ガラスとの間に封着材を介在させて封止してなり、
前記枠ガラスがSiO2を主成分とし、La、Sc、Y、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luより選ばれた少なくとも一種を1〜20重量%含有するガラス材であることを特徴とする請求項6乃至8のいずれかに記載の平面型画像表示装置。
【請求項10】
前記背面基板と前記前面基板の各周縁に、当該背面基板および前面基板とは別体の枠ガラスを有し、前記背面基板と前記前面基板および前記枠ガラスとの間に封着材を介在させて封止してなり、
前記枠ガラスがSiO2を主成分とし、La、Sc、Y、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luより選ばれた少なくとも一種を1〜20重量%含有し、クラック発生率が50%になる荷重が5000mN以上であるガラス材であることを特徴とする請求項6乃至9のいずれかに記載の平面型画像表示装置。
【請求項11】
前記背面基板と前記前面基板を封止して形成された真空容器の内部に、当該背面基板と前面基板の間隙を保持するためのスペーサを有し、該スペーサと前記背面基板と前記前面基板とを封止材を介在させて封止してなり、
前記スペーサがSiO2を主成分とし、La、Sc、Y、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luより選ばれた少なくとも一種を1〜20重量%含有するガラス材であることを特徴とする請求項6乃至10の何れかに記載の平面型画像表示装置。
【請求項12】
前記背面基板と前記前面基板を封止して形成された真空容器の内部に、当該背面基板と前面基板の間隙を保持するためのスペーサを有し、該スペーサと前記背面基板と前記前面基板とを封止材を介在させて封止してなり、
前記スペーサがSiO2を主成分とし、La、Sc、Y、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luより選ばれた少なくとも一種を1〜20重量%含有し、クラック発生率が50%になる荷重が5000mN以上であるガラス材であることを特徴とする請求項6乃至10の何れかに記載の平面型画像表示装置。
【請求項13】
前記ガラス材は酸化物換算でSiO2が40〜80重量%、B23が0〜20重量%、Al23が0〜25重量%、R2O(Rはアルカリ金属)が5〜20重量%、R'O(R'はアルカリ土類金属)が0〜25重量%、Ln23(Lnは、La、Sc、Y、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luより選ばれた少なくとも一種)が1〜20重量%の組成であることを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載の平面型画像表示装置。
【請求項14】
前記ガラス材は酸化物換算で、SiO2が50〜70重量%、B23が0〜15重量%、Al23が5〜25重量%、R2O(Rはアルカリ金属)が7〜20重量%、R'O(R'はアルカリ土類金属)が0〜20重量%、Ln23(Lnは、La、Y、Gd、Yb、Luより選ばれた少なくとも一種)が1〜10重量%であることを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載の平面型画像表示装置。
【請求項15】
前記ガラス材は着色成分を含有していることを特徴とする請求項13又は14に記載の平面型画像表示装置。
【請求項16】
前記ガラス材の密度が2.6g/cm3以下であることを特徴とする請求項13乃至15のいずれかに記載の平面型画像表示装置。
平面型表示装置。
【請求項17】
前記ガラス材の転移点は450℃以上であることを特徴とする請求項13乃至16のいずれかに記載の平面型画像表示装置。
平面型表示装置。
【請求項18】
前記ガラス材の転移点は600℃以上であることを特徴とする請求項13乃至16のいずれかに記載の平面型画像表示装置。
【請求項19】
前記ガラス材の熱膨張係数が60〜90×10-7/℃であることを特徴とする請求項13乃至16のいずれかに記載の平面型画像表示装置。
【請求項20】
前記ガラス材の熱膨張係数が70〜90×10-7/℃であることを特徴とする請求項13乃至16のいずれかに記載の平面型画像表示装置。
【請求項21】
前記ガラス材のヤング率が80GPa以上であることを特徴とする請求項13乃至16のいずれかに記載の平面型画像表示装置。
【請求項22】
前記ガラス材のヤング率を密度で除した比ヤング率が30GPa/(g/cm3)以上であることを特徴とする請求項13乃至16のいずれかに記載の平面型画像表示装置。
【請求項23】
前記二枚の基板の少なくとも一方、又は前記背面基板若しくは前記前面基板の少なくとも一方の厚さが2.5mm以下であることを特徴とする請求項1から22のいずれかに記載の平面型画像表示装置。
【請求項24】
前記二枚の基板の少なくとも一方、又は前記背面基板若しくは前記前面基板の少なくとも一方の厚さが1.5mm以下であることを特徴とする請求項1乃至22のいずれかに記載の平面型画像表示装置。
【請求項25】
前記二枚の基板の少なくとも一方、又は前記背面基板若しくは前記前面基板の少なくとも一方に、破壊された時のガラス材の飛散量を減少させる飛散防止層を有していることを特徴とする請求項1乃至22のいずれかに記載の平面型表示装置。
【請求項26】
前記スペーサの断面形状が4つ以上の角を有する形状であることを特徴とする請求項6から12のいずれかに記載の平面型表示装置。
【請求項27】
前記スペーサの断面形状が楕円形状であることを特徴とする請求項6乃至12のいずれかに記載の平面型画像表示装置。
【請求項28】
前記スペーサの断面の長軸と短軸の比であるアスペクト比が100より小さいことを特徴とする請求項6乃至12のいずれかに記載の平面型画像表示装置。
【請求項29】
前記枠ガラスは、当該枠ガラスの各枠辺の全てが一体形成されていることを特徴とする請求項9、10、26乃至28のいずれかに記載の平面型画像表示装置。
【請求項30】
前記枠ガラスは、当該枠ガラスの各枠辺は接合材で接合されていることを特徴とする請求項9、10、26乃至28のいずれかに記載の平面型画像表示装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−298691(P2006−298691A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−122003(P2005−122003)
【出願日】平成17年4月20日(2005.4.20)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【出願人】(502356528)株式会社 日立ディスプレイズ (2,552)
【Fターム(参考)】