広ダイナミックレンジ撮像装置
【課題】低照度の環境においても撮像フレームレートを低下させず、移動体を撮像する場合であっても複数の画像の合成処理を行う際の合成画像毎のズレを小さくする広ダイナミックレンジ撮像装置の提供。
【解決手段】撮像光学系により被写体の光学像を結像する撮像素子と、前記撮像素子に結像された光学像に基づいて、少なくとも2つの異なる光量レベルで取得した撮像信号から複数の画像信号を生成する複数画像信号生成部と、閾値が設定された閾値設定部と、前記閾値に基づいて、前記複数の各画像信号から選択される部分画像信号を抽出する部分画像信号抽出部と、抽出された部分画像信号に基づいて、被写体の撮影画像全体に対応する1つの合成画像信号として生成する合成画像信号生成部とを備えた広ダイナミックレンジ撮像装置において、撮像する被写体に光を照射する照明部と、前記撮像信号を取得する撮像時ごとに前記照明部の光量を制御する照明制御部と、を備えることを特徴とする。
【解決手段】撮像光学系により被写体の光学像を結像する撮像素子と、前記撮像素子に結像された光学像に基づいて、少なくとも2つの異なる光量レベルで取得した撮像信号から複数の画像信号を生成する複数画像信号生成部と、閾値が設定された閾値設定部と、前記閾値に基づいて、前記複数の各画像信号から選択される部分画像信号を抽出する部分画像信号抽出部と、抽出された部分画像信号に基づいて、被写体の撮影画像全体に対応する1つの合成画像信号として生成する合成画像信号生成部とを備えた広ダイナミックレンジ撮像装置において、撮像する被写体に光を照射する照明部と、前記撮像信号を取得する撮像時ごとに前記照明部の光量を制御する照明制御部と、を備えることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載、監視、工業用等において、被写体を撮像する広ダイナミックレンジ撮像装置に係わり、特に、照明の制御により、光量の異なる複数の撮影画像から広ダイナミックレンジの撮像画像を生成する広ダイナミックレンジ撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、静止画撮影を行う際、照明としての光を照射する発光手段を有し、第1の露出値に応じた光量を第1の露光時間にて被写体に向けて発光手段から発光させ、第2の露出値に応じた光量を第2の露光時間にて被写体に向けて発光させることを特徴とする露出制御手段を備える撮像装置が記載されており<請求項7>、より具体的には、2つの露光時間において被写体に対して発光部を発光させて撮像を行う際に、第2の露光時間における発光時間を露光時間よりも短く設定し、第1および第2の各露光時間に応じた露出比に対応する発光光量を被写体に向けて照射することにより、光量の異なる複数の撮影画像を取得する撮像装置が記載されている<0076>。
【0003】
特許文献2には、発光の形態を制御可能な閃光発光手段を有し、第1の露光時間および第2の露光時間でそれぞれ閃光発光手段を発光せしめるときに、第2の露光時間における総露光量が、第1の露光時間における総露光量を超えないように閃光発光手段の発光の形態を制御し、且つ、閃光発光手段の各発光について単位時間当たりの発光量を制御することにより当該発光による露光量を制御するための発光制御手段を備えていることを特徴とする撮像装置が記載されており<請求項3>、より具体的には、連続する2つの露光時間のうち、撮像素子の電子シャッタ動作を行った比較的短時間の信号蓄積時間のフィールドの時には、この信号蓄積時間の間に光量の小さい発光を行い、電子シャッタ動作を行わない比較的長時間の信号蓄積時間のフィールドの時には、この信号蓄積時間の間に光量の大きい発光を行なうことにより、撮像素子の短時間の信号蓄積時間の時には小さい露光量の画像、長時間の信号蓄積時間の時には大きい露光量の画像というように、光量の異なる複数の撮影画像を取得する撮像装置が記載されている<0024、0027>。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−054009号公報
【特許文献2】特開平9−326963号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1記載の撮像装置においては、複数の露光期間において、撮像装置の撮像時間とその撮像時間との関係で定められる発光時間を変化させて撮像することにより、光量の異なる複数の画像を生成・合成している。この場合、低照度での環境において被写体を撮像する場合には、露光時間を長く設定して光量を得るため、撮像フレームレートが低下する問題がある。また、露光時間を長く設定することにより、長時間露光と短時間露光の撮像タイミングの時間差が大きくなるため、移動体を撮像する場合などでは、複数の画像の合成処理を行った際、合成画像毎のズレが顕著になり、安定した広ダイナミックレンジ画像が得られない問題がある。
【0006】
また、特許文献2記載の撮像装置においては、複数の露光期間において、撮像装置の撮像時間と、その撮像時間との関係で定められる閃光の発光時間および単位時間当たりの発光光量とを変化させて撮像することにより、光量の異なる複数の画像を生成・合成している。この場合、撮像素子にCMOS構造を採用する撮像装置においては、一画面内の場所によって明るさの差が生じる問題がある。すなわち、CCDの蓄積方式であるグローバルシャッター方式においては、同一時間内に画素内のPD(フォトダイオード)へ入射した光を信号電荷として蓄積し、全ての画素を同時に垂直CCDへ読み出すことができるが、一般的なCMOSイメージセンサの蓄積方式であるローリングシャッター方式においては、信号を出力した画素はその時点から再び光電変換した信号の蓄積を開始するため、撮像面の走査方法、タイミングにより、蓄積時間にずれが生じ、フラッシュやストロボ等の発光期間の短い照明成分がある場合には、一画面内の場所によって明るさの差が生じる。
また、最近CMOSイメージセンサにおいても、グローバルシャッター方式で撮像するものがあるが、信号電荷の基本的な蓄積・読み出し方法には変わりはないため、一度に読み出すことのできる画素数には限界があり、取得する画像が小さなものとなったり、一度に読み出す必要性から、開口面を小さくしなければならないので画面が暗くなるという問題がある。
【0007】
本発明は、上記の事情に鑑みて成されたものであり、その目的とするところは、光量の異なる複数の撮影画像から広ダイナミックレンジの撮像画像を生成する広ダイナミックレンジ撮像装置において、撮像面に入射する光を露光時間や絞りにより制御することに着目するのではなく、被写体に照射する照明を制御することに着目することにより、低照度の環境においても撮像フレームレートを低下させず、移動体を撮像する場合であっても複数の画像の合成処理を行う際の合成画像毎のズレを小さくし、また、CMOS構造の撮像素子を有する撮像装置においても画面の明るさを確保し、さらに、ローリングシャッター方式のCMOS構造の撮像素子である場合でも、一画面内の場所によって明るさに差を生じることがない広ダイナミックレンジ撮像装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記の課題を解決するために、次のような手段を採用した。
第1の手段は、撮像光学系により被写体の光学像を結像する撮像素子と、前記撮像素子に結像された光学像に基づいて、少なくとも2つの異なる光量レベルで取得した撮像信号から複数の画像信号を生成する複数画像信号生成部と、閾値が設定された閾値設定部と、前記閾値に基づいて、前記複数の各画像信号から選択される部分画像信号を抽出する部分画像信号抽出部と、抽出された部分画像信号に基づいて、被写体の撮影画像全体に対応する1つの合成画像信号として生成する合成画像信号生成部とを備えた広ダイナミックレンジ撮像装置において、撮像する被写体に光を照射する照明部と、前記撮像信号を取得する撮像時ごとに前記照明部の光量を制御する照明制御部と、を備えることを特徴とする広ダイナミックレンジ撮像装置である。
この構成によれば、撮像時ごとに照明部の光量を制御し撮像信号を取得することにより、光量の異なる複数の撮影画像を取得することが可能となり、低照度環境での高フレームレート化及び移動体合成画像でのズレの最小化を可能にする広ダイナミックレンジ撮像装置を実現できる。
【0009】
第2の手段は、第1の手段において、複数画像信号生成部は、一連の前記撮像時ごとの露光時間を一定にして前記撮像信号を取得し、前記複数の画像信号を生成することを特徴とする広ダイナミックレンジ撮像装置である。
この構成によれば、撮像時ごとの露光時間を一定にして、撮像時ごとに照明部の光量を制御し撮像信号を取得することにより、露光時間を変化させることなく、光量の異なる複数の撮影画像を取得することが可能となり、低照度環境での高フレームレート化及び移動体合成画像でのズレの最小化を可能にする広ダイナミックレンジ撮像装置を実現できる。
【0010】
第3の手段は、第2の手段において、前記照明部は、前記照明制御部の制御により、少なくとも2つの異なる光度または点灯時間で被写体に光を照射することを特徴とする広ダイナミックレンジ撮像装置である。
この構成によれば、撮像時ごとの露光時間を一定にして、撮像時ごとに照明部の光度または点灯時間を制御し撮像信号を取得することにより、露光時間を変化させることなく、光量の異なる複数の撮影画像を取得することが可能となり、低照度環境での高フレームレート化及び移動体合成画像でのズレの最小化を可能にする広ダイナミックレンジ撮像装置を実現できる。
【0011】
第4の手段は、第1の手段において、前記複数画像信号生成部は、一連の前記撮像時ごとの露光時間を変化させて前記撮像信号を取得する際、前記照明部は、前記照明制御部の制御により、最も長い露光時間となる撮像時に最も大きい光度で被写体に光を照射することにより、前記複数の画像信号を生成することを特徴とする広ダイナミックレンジ撮像装置である。
この構成によれば、撮像時ごとの露光時間を変化させるとともに、最も長い露光時間となる撮像時に最も大きい光度で被写体に光を照射し、撮像信号を取得することにより、最も長い露光となる露光時間を長くせずに、光量の異なる複数の撮影画像を取得することが可能となり、低照度環境での高フレームレート化及び移動体合成画像でのズレの最小化を可能にする広ダイナミックレンジ撮像装置を実現できる。
【0012】
第5の手段は、第4の手段において、前記複数画像信号生成部は、前記最も長い露光時間となる撮像時以外の撮像時には前記最も大きい光度よりも小さい一定の光度で被写体に光を照射することにより、前記複数の画像信号を生成することを特徴とする広ダイナミックレンジ撮像装置である。
この構成によれば、撮像時ごとの露光時間を変化させるとともに、最も長い露光時間となる撮像時に最も大きい光度で被写体に光を照射し、それ以外の撮像時にはそれよりも小さい一定の光度で被写体に光を照射し、撮像時ごとに照明部の光量を制御し撮像信号を取得することにより、最も長い露光となる露光時間を長くせずに、光量の異なる複数の撮影画像を取得することが可能となり、低照度環境での高フレームレート化及び移動体合成画像でのズレの最小化を可能にする広ダイナミックレンジ撮像装置を実現できる。
【0013】
第6の手段は、第1の手段において、前記撮像素子は、CMOS構造であってローリングシャッター方式により露光の制御を行うことを特徴とする広ダイナミックレンジ撮像装置である。
この構成によれば、撮像時ごとに照明部の光量を制御し撮像信号を取得することにより、ローリングシャッター方式を採用するCMOS構造の撮像素子を有する撮像装置においても、画像が小さくなったり、暗くなったりすることがなく、一画面内の場所により明るさに差を生ずることのない、低照度環境での高フレームレート化及び移動体合成画像でのズレの最小化を可能にする広ダイナミックレンジ撮像装置を実現できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、低照度の環境においても撮像フレームレートを低下させず、移動体を撮像する場合であっても複数の画像の合成処理を行う際の合成画像毎のズレを小さくし、また、CMOS構造の撮像素子を有する撮像装置においても画面の明るさを確保し、さらに、ローリングシャッター方式のCMOS構造の撮像素子である場合でも、一画面内の場所によって明るさに差を生じることがない広ダイナミックレンジ撮像装置を提供することが可能となり、また、120dB以上の非常に高コントラスト画像においてもフレームレートの低下を抑えて撮影することが可能となり、従来実用化の困難だった分野の安全性、保安性、信頼性の向上に貢献する広ダイナミックレンジ撮像装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る広ダイナミックレンジ撮像装置の外観を示す斜視図である。
【図2】本発明の広ダイナミックレンジ撮像装置に適用される光路と平行な切断面から見た撮像光学系1の断面図である。
【図3】本発明に係る広ダイナミックレンジ撮像装置の制御系統を示すブロック図である。
【図4】撮像素子4から取得された光量の異なる複数個の画像信号(1)〜(4)と撮影環境の明るさとの関係、閾値設定部72における閾値の設定例、および抽出された部分画像信号(1’)〜(4’)と撮影画像の明るさとの関係を示す図である。
【図5】本発明に係る照明と複数画像合成による広ダイナミックレンジシステム図(その1)
【図6】本発明に係るダイナミックレンジ拡大のフローチャート(その1)
【図7】本発明に係る照明と複数画像合成による広ダイナミックレンジシステム図(その2)
【図8】本発明に係るダイナミックレンジ拡大のフローチャート(その2)
【図9】本発明に係る広ダイナミックレンジ撮像装置を車載用カメラに適用した場合の説明図である。
【図10】本発明に係る広ダイナミックレンジ撮像装置をATMコーナーなどの監視用カメラに適用した場合の説明図である。
【図11】本発明に係る広ダイナミックレンジ撮像装置を工場内のFAカメラに適用した場合の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態を図1ないし図11を用いて説明する。
図1は、本実施形態の発明に係る広ダイナミックレンジ撮像装置の外観を示す斜視図である。
図2は、本発明の広ダイナミックレンジ撮像装置に適用される光路と平行な切断面から見た撮像光学系1の断面図である。
同図において、1は撮像光学系、2は撮像光学系1を構成する筐体、3は撮像光学系1における結像光学系を構成するために配置された複数枚の反射ミラー、4は撮像素子、5は広ダイナミックレンジカメラシステム基板、6は撮像光学系1に入射された光が撮像素子4に入射されるまでの光路である。
【0017】
図3は、本発明に係る広ダイナミックレンジ撮像装置の制御系統を示すブロック図である。
同図において、7は制御回路部、71は撮像素子4に結像された光学像に基づいて、複数の異なる光量レベルを有する画像信号を生成する複数画像信号生成部、72は部分画像信号抽出用の閾値が設定されている閾値設定部、73は、閾値設定部72に設定されている閾値に基づいて、複数画像信号生成部71で生成された複数の各画像信号から選択されるべき部分画像信号を抽出する部分画像信号抽出部、74は部分画像信号抽出部73から出力された撮像画像の明るさが補正された部分画像信号を合成して合成画像信号を生成する合成画像信号生成部、75は合成画像信号生成部74で生成された合成画像信号を出力する合成画像信号出力部、76は、撮像信号を取得する際、照明部10を制御する照明制御部、77は撮像素子4及び照明制御部76に対して撮像の同期を制御する撮像駆動部、8は合成画像を表示する画像表示部、10は照明制御部76の制御により被写体に光を照射する照明部である。なお、その他の構成は図2に示した同符号の構成に対応する。
【0018】
図4(a)は、撮像素子4から取得された光量の異なる複数個の画像信号(1)〜(4)と撮影環境の明るさとの関係を示す図であり、図4(b)は、閾値設定部72における閾値の設定例を示す図であり、図4(c)は、部分画像信号抽出部73において、取得された画像信号(1)〜(4)から、閾値設定部72において設定された閾値に基づいて、抽出された部分画像信号(1’)〜(4’)と撮影画像の明るさとの関係を示す図である。
【0019】
次に、図3に示したブロック図に基づいて、本発明に係る広ダイナミックレンジ撮像装置の動作について説明する。
照明制御部76は、後述の設定値に基づき、撮像時ごとに照明部10の光量(点灯時間又は光度)を制御する。照明部10は、照明制御部76により制御され、被写体に光を照射する。照射を受けた被写体は、撮像光学系1を通して、その光学像をCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)構造であってローリングシャッター方式により露光される撮像素子4に結像する。その際、撮像駆動部77は、撮像素子4及び照明制御部76に対して撮像の同期を制御する。複数画像信号生成部71は、撮像素子4で結像された光学像に基づいて、複数の異なる露光レベルの画像信号を生成する。部分画像信号抽出部73は、複数画像信号生成部71で生成された光量の異なる複数の画像信号を、閾値設定部72において設定された閾値に基づいて、部分画像信号を抽出する。合成画像信号生成部74は、部分画像信号抽出部73において抽出された部分画像信号に基づいて、被写体の撮影画像全体に対応する1つの合成画像信号を生成する。
【0020】
図5は、本発明に係る照明と複数画像合成による広ダイナミックレンジシステム図(その1)である。また、図6は、本発明に係るダイナミックレンジ拡大のフローチャート(その1)である。
図5及び図6を用いて、本実施形態における広ダイナミックレンジシステム全体の処理手順を説明する。本実施形態は、上記第5の手段に対応するものであり、撮像時ごとの露光時間を変化させるとともに、最も長い露光時間となる撮像時に最も大きい光度で被写体に光を照射し、それ以外の撮像時にはそれよりも小さい一定の光度で被写体に光を照射し、光量の異なる複数の撮影画像を取得する広ダイナミックレンジ撮像装置である。なお、複数画像取得枚数は4枚を例にして述べる。
【0021】
図5においては、露光時間と光量の関係を表しており、露光時間を1/1、1/32、1/480、1/4030と変化させつつ4回撮像し、最初の撮像時に、即ち、最も長い露光時間となる撮像時には、最も大きい光度で被写体に光を照射し、2回目以降の撮像時にはそれよりも小さい一定の光度で被写体に光を照射し、撮像している。なお、この実施例では、2回目以降の光度を一定にしているが、各回の光度を変化させてもよいし、光を照射しなくてもよい。また、最初の撮像時最も長い露光時間となる撮像を行っているが、上記4回の撮像を1セットとして周期的に繰り返すので、「最も長い露光時間となる撮像時」とは、「4回の撮像の中で最も長い露光時間となる撮像時」のことである。
【0022】
図6は、広ダイナミックレンジシステムにおけるメイン関数をフローチャートで表したものである。
まず、ステップS1において、本広ダイナミックレンジ撮像装置の電源が投入される。電源の投入は人間が行ってもよいし、タイマーなどの装置が行ってもよい。
ステップS2において、制御部内のCMOSレジスタ(図示せず)の設定を含め、周辺回路の初期設定を行う。この設定は、電源投入後に人間が行ってもよいが、好ましくは、記憶部(図示せず)に設定値を保存しておき、電源投入後に本システムが該記憶部に保存された値を取り出し、該CMOSレジスタなどに設定を行うとよい。CMOSレジスタの種類には、露光時間の異なる画像取得枚数、各撮像時の露光時間、各撮像時の光量(点灯時間および光度)などがある。該画像取得枚数は、少なくとも2枚以上の露光時間の異なる画像を取り込むように設定する。本実施形態では、画像取得枚数は4枚とし、各撮像時の露光時間は、それぞれ1/1、1/32、1/480、1/4030とする。また、各撮像時の光量は、例えば、最初の撮像時の照明の光量を、即ち、図5との関係で述べれば、最も長い露光時間となる撮像時の照明の光量は100とし、2回目以降の撮像時の照明の光量は10とするといった具合に設定する。
ステップS3において、本システム、好適には撮像駆動部77が、該設定に基づいた画像取り込みとそのデータの転送を撮像素子4に要求する。
ステップS4において、さらに、本システム、好適には撮像駆動部77は、撮像素子4の画像取り込みと同期するように照明制御部76を制御し、照明制御部76は、該設定に基づいた光量で光を照射するように照明部10を制御する。照明部10は、好適には、明るさの立ち上がり・立ち下り特性が良いLEDランプやキセノンランプを用いると良い。
ステップS5において、CMOSの撮像素子4から転送された画像データをメモリへ取り込む。
ステップS6において、上記ステップS4とS5を、該設定に基づいた枚数分繰り返し、ここの例では4枚になった場合は、次のステップS7を行う。
ステップS7において、複数枚、ここでは4枚の画像を合成する。図4に基づき具体的に説明すれば、取得された複数の異なる光量レベルを有する画像信号(1)〜(4)に基づき、部分画像信号抽出部73において、閾値設定部72において設定された閾値に基づいて、各画像信号(1)〜(4)から選択されるべき画像信号部分をそれぞれ部分画像信号(1’)〜(4’)として抽出する。次に、合成画像生成部74において、抽出された部分画像信号(1’)〜(4’)に基づいて、被写体の撮影画像全体に対応する1つの合成画像信号を生成する。
ステップS8において、得られた合成画像を合成画像出力部75に出力し、画像表示部8、具体的にはPC(Personal Computer)モニター等の外部表示機器に表示される。
ステップS9において、終了要求がある場合は終了処理を行い、終了要求ない場合はステップS4に戻る。
【0023】
このように、最も長い露光となる撮像時に最も大きな光量の光を被写体に照射することにより、該最も長い露光となる露光時間をあまり長くする必要がなくなり、その結果、低照度環境での高フレームレート化及び移動体合成画像でのズレの最小化を可能にする広ダイナミックレンジ撮像装置を実現できる。
【0024】
図7は、本発明に係る照明と複数画像合成による広ダイナミックレンジシステム図(その2)である。また、図8は、本発明に係るダイナミックレンジ拡大のフローチャート(その2)である。
図7及び図8を用いて、本実施形態における広ダイナミックレンジシステム全体の処理手順を説明する。本実施形態は、上記第3の手段に対応するものであり、撮像時ごとの露光時間を一定にして、撮像時ごとに照明部の光度を変化させ被写体に光を照射し、光量の異なる複数の撮影画像を取得する広ダイナミックレンジ撮像装置である。なお、複数画像取得枚数は4枚を例にして述べる。
【0025】
図7においては、露光時間と光量の関係を表しており、露光時間は、各撮像時を通して、1/1と一定である。最初の撮像時に、最も大きい光度で被写体に光を照射し、2回目の撮像時には1回目の撮像時の光度よりも小さい光度で被写体に光を照射し、3回目の撮像時には2回目の撮像時の光度よりも小さい光度で被写体に光を照射し、4回目の撮像時には3回目の撮像時の光度よりも小さい光度で被写体に光を照射し、撮像している。なお、この実施例では、全ての撮像時において光を照射しているが、例えば、最後の撮像時には光を照射しなくてもよい。また、最初の撮像時に最も大きな光度の光を照射し撮像を行っているが、上記4回の撮像を1セットとして周期的に繰り返すので、「最初の撮像時に最も大きな光度の光を照射」とは、「4回の撮像の中で最も大きな光度の光を照射」のことである。
【0026】
図8は、広ダイナミックレンジシステムにおけるメイン関数をフローチャートで表したものである。
まず、ステップS11において、本広ダイナミックレンジ撮像装置の電源が投入される。電源の投入は人間が行ってもよいし、タイマーなどの装置が行ってもよい。
ステップS12において、制御部内のCMOSレジスタ(図示せず)の設定を含め、周辺回路の初期設定を行う。この設定は、電源投入後に人間が行ってもよいが、好ましくは、記憶部(図示せず)に設定値を保存しておき、電源投入後に本システムが該記憶部に保存された値を取り出し、該CMOSレジスタなどに設定を行うとよい。CMOSレジスタの種類には、露光時間の異なる画像取得枚数、各撮像時の露光時間、各撮像時の光量(点灯時間および光度)などがある。該画像取得枚数は、少なくとも2枚以上の一定の露光時間で画像を取り込むように設定する。本実施形態では、画像取得枚数は4枚とし、各撮像時の露光時間は、すべて1/1とする。また、各撮像時の光量は、例えば、最初の撮像時の照明の光量を、即ち、図7との関係で述べれば、最初の撮像時の照明の光量は100、2回目の撮像時の照明の光量は50、3回目の撮像時の照明の光量は25、4回目の撮像時の照明の光量は10といった具合に設定する。
ステップS13において、本システム、好適には撮像駆動部77が、該設定に基づいた画像取り込みとそのデータの転送を撮像素子4に要求する。
ステップS14において、さらに、本システム、好適には撮像駆動部77は、撮像素子4の画像取り込みと同期するように照明制御部76を制御し、照明制御部76は、該設定に基づいた光量で光を照射するように照明部10を制御する。照明部10は、好適には、明るさの立ち上がり・立ち下り特性が良いLEDランプやキセノンランプを用いると良い。
ステップS15において、CMOSの撮像素子4から転送された画像データをメモリへ取り込む。
ステップS16において、上記ステップS14とS15を、該設定に基づいた枚数分繰り返し、ここの例では4枚になった場合は、次のステップS17を行う。
ステップS17において、複数枚、ここでは4枚の画像を合成する。図4に基づき具体的に説明すれば、取得された複数の異なる光量レベルを有する画像信号(1)〜(4)に基づき、部分画像信号抽出部73において、閾値設定部72において設定された閾値に基づいて、各画像信号(1)〜(4)から選択されるべき画像信号部分をそれぞれ部分画像信号(1’)〜(4’)として抽出する。次に、合成画像生成部74において、抽出された部分画像信号(1’)〜(4’)に基づいて、被写体の撮影画像全体に対応する1つの合成画像信号を生成する。
ステップS18において、得られた合成画像を合成画像出力部75に出力し、画像表示部8、具体的にはPC(Personal Computer)モニター等の外部表示機器に表示される。
ステップS19において、終了要求がある場合は終了処理を行い、終了要求ない場合はステップS14に戻る。
【0027】
このように、撮像時ごとの露光時間を一定にし、照明部の光度のみを変化させて、光量の異なる複数の撮影画像を取得することにより、低照度環境での高フレームレート化及び移動体合成画像でのズレの最小化を可能にする広ダイナミックレンジ撮像装置を実現できる。尚、照明部の点灯時間のみを変化させてもよい。
【0028】
図9は、本発明に係る撮像装置を広ダイナミックレンジの車載用カメラに適用した場合の説明図である。
同図に示すように、高レスポンスが要求される車載用カメラ11として適用された広ダイナミックレンジの撮像装置を、車両の左右のヘッドライト付近に装着し、ヘッドライト12の光量を制御し、相対的に移動する道路の白線を認識することに用いると、ヘッドライトを点灯しなければならない低照度環境下においてもフレームレートを低下させないため、カメラから見ると白線は常に動いているが、その合成画像ごとのズレは小さく抑えることができ、極めて有効な車載用カメラを提供できる。
【0029】
図10は、本発明に係る撮像装置をATM(Automated Teller Machine:現金自動預け払い機)コーナーなどの広ダイナミックレンジの監視用カメラに適用した場合の説明図である。
同図に示すように、監視用カメラ13として適用された広ダイナミックレンジの撮像装置を、ATMコーナーでの人の振る舞いを監視するためにATM周辺を撮影できる場所などに照明14と共に設置し、常時監視を行うことにより、低照度環境の場所であってもフレームレートが低下しないため、人の振る舞いの抜けが小さくなり、一部始終を捉えることができるので、保安上極めて有効な監視カメラを提供できる。
【0030】
図11は、本発明に係る撮像装置を工場内の広ダイナミックレンジのFA(Factory Automation)用カメラに適用した場合の説明図である。
同図に示すように、FA用カメラ15として適用された広ダイナミックレンジの撮像装置を、例えば、レーザー半田付け装置付近に装備し、電子部品とプリント基板の半田付けの様子を、照明16の光量を制御しながら撮像し、その撮像画像をTVモニターなどに表示する。これによって、作業者はレーザーの危険に曝されずに、レーザー加工状況を安全に確認することができ、撮像素子が飽和せずに安定した画像が得られるため、その画像を画像処理し、半田付け状況を正確に観察して自動半田を行うためのアシスト機能を実現することができる。
【符号の説明】
【0031】
1 撮像光学系
2 筐体
3 反射ミラー
4 撮像素子
5 ダイナミックレンジカメラシステム基板
6 光路
7 制御回路部
71 複数画像信号生成部
72 閾値設定部
73 部分画像信号抽出部
74 合成画像生成部
75 合成画像出力部
76 照明制御部
77 撮像駆動部
8 画像表示部
9 透明板(カバーガラス)
10 照明部
11 車載用カメラ
12 ヘッドライト
13 監視カメラ
14 監視用照明
15 FAカメラ
16 FA用照明
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載、監視、工業用等において、被写体を撮像する広ダイナミックレンジ撮像装置に係わり、特に、照明の制御により、光量の異なる複数の撮影画像から広ダイナミックレンジの撮像画像を生成する広ダイナミックレンジ撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、静止画撮影を行う際、照明としての光を照射する発光手段を有し、第1の露出値に応じた光量を第1の露光時間にて被写体に向けて発光手段から発光させ、第2の露出値に応じた光量を第2の露光時間にて被写体に向けて発光させることを特徴とする露出制御手段を備える撮像装置が記載されており<請求項7>、より具体的には、2つの露光時間において被写体に対して発光部を発光させて撮像を行う際に、第2の露光時間における発光時間を露光時間よりも短く設定し、第1および第2の各露光時間に応じた露出比に対応する発光光量を被写体に向けて照射することにより、光量の異なる複数の撮影画像を取得する撮像装置が記載されている<0076>。
【0003】
特許文献2には、発光の形態を制御可能な閃光発光手段を有し、第1の露光時間および第2の露光時間でそれぞれ閃光発光手段を発光せしめるときに、第2の露光時間における総露光量が、第1の露光時間における総露光量を超えないように閃光発光手段の発光の形態を制御し、且つ、閃光発光手段の各発光について単位時間当たりの発光量を制御することにより当該発光による露光量を制御するための発光制御手段を備えていることを特徴とする撮像装置が記載されており<請求項3>、より具体的には、連続する2つの露光時間のうち、撮像素子の電子シャッタ動作を行った比較的短時間の信号蓄積時間のフィールドの時には、この信号蓄積時間の間に光量の小さい発光を行い、電子シャッタ動作を行わない比較的長時間の信号蓄積時間のフィールドの時には、この信号蓄積時間の間に光量の大きい発光を行なうことにより、撮像素子の短時間の信号蓄積時間の時には小さい露光量の画像、長時間の信号蓄積時間の時には大きい露光量の画像というように、光量の異なる複数の撮影画像を取得する撮像装置が記載されている<0024、0027>。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−054009号公報
【特許文献2】特開平9−326963号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1記載の撮像装置においては、複数の露光期間において、撮像装置の撮像時間とその撮像時間との関係で定められる発光時間を変化させて撮像することにより、光量の異なる複数の画像を生成・合成している。この場合、低照度での環境において被写体を撮像する場合には、露光時間を長く設定して光量を得るため、撮像フレームレートが低下する問題がある。また、露光時間を長く設定することにより、長時間露光と短時間露光の撮像タイミングの時間差が大きくなるため、移動体を撮像する場合などでは、複数の画像の合成処理を行った際、合成画像毎のズレが顕著になり、安定した広ダイナミックレンジ画像が得られない問題がある。
【0006】
また、特許文献2記載の撮像装置においては、複数の露光期間において、撮像装置の撮像時間と、その撮像時間との関係で定められる閃光の発光時間および単位時間当たりの発光光量とを変化させて撮像することにより、光量の異なる複数の画像を生成・合成している。この場合、撮像素子にCMOS構造を採用する撮像装置においては、一画面内の場所によって明るさの差が生じる問題がある。すなわち、CCDの蓄積方式であるグローバルシャッター方式においては、同一時間内に画素内のPD(フォトダイオード)へ入射した光を信号電荷として蓄積し、全ての画素を同時に垂直CCDへ読み出すことができるが、一般的なCMOSイメージセンサの蓄積方式であるローリングシャッター方式においては、信号を出力した画素はその時点から再び光電変換した信号の蓄積を開始するため、撮像面の走査方法、タイミングにより、蓄積時間にずれが生じ、フラッシュやストロボ等の発光期間の短い照明成分がある場合には、一画面内の場所によって明るさの差が生じる。
また、最近CMOSイメージセンサにおいても、グローバルシャッター方式で撮像するものがあるが、信号電荷の基本的な蓄積・読み出し方法には変わりはないため、一度に読み出すことのできる画素数には限界があり、取得する画像が小さなものとなったり、一度に読み出す必要性から、開口面を小さくしなければならないので画面が暗くなるという問題がある。
【0007】
本発明は、上記の事情に鑑みて成されたものであり、その目的とするところは、光量の異なる複数の撮影画像から広ダイナミックレンジの撮像画像を生成する広ダイナミックレンジ撮像装置において、撮像面に入射する光を露光時間や絞りにより制御することに着目するのではなく、被写体に照射する照明を制御することに着目することにより、低照度の環境においても撮像フレームレートを低下させず、移動体を撮像する場合であっても複数の画像の合成処理を行う際の合成画像毎のズレを小さくし、また、CMOS構造の撮像素子を有する撮像装置においても画面の明るさを確保し、さらに、ローリングシャッター方式のCMOS構造の撮像素子である場合でも、一画面内の場所によって明るさに差を生じることがない広ダイナミックレンジ撮像装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記の課題を解決するために、次のような手段を採用した。
第1の手段は、撮像光学系により被写体の光学像を結像する撮像素子と、前記撮像素子に結像された光学像に基づいて、少なくとも2つの異なる光量レベルで取得した撮像信号から複数の画像信号を生成する複数画像信号生成部と、閾値が設定された閾値設定部と、前記閾値に基づいて、前記複数の各画像信号から選択される部分画像信号を抽出する部分画像信号抽出部と、抽出された部分画像信号に基づいて、被写体の撮影画像全体に対応する1つの合成画像信号として生成する合成画像信号生成部とを備えた広ダイナミックレンジ撮像装置において、撮像する被写体に光を照射する照明部と、前記撮像信号を取得する撮像時ごとに前記照明部の光量を制御する照明制御部と、を備えることを特徴とする広ダイナミックレンジ撮像装置である。
この構成によれば、撮像時ごとに照明部の光量を制御し撮像信号を取得することにより、光量の異なる複数の撮影画像を取得することが可能となり、低照度環境での高フレームレート化及び移動体合成画像でのズレの最小化を可能にする広ダイナミックレンジ撮像装置を実現できる。
【0009】
第2の手段は、第1の手段において、複数画像信号生成部は、一連の前記撮像時ごとの露光時間を一定にして前記撮像信号を取得し、前記複数の画像信号を生成することを特徴とする広ダイナミックレンジ撮像装置である。
この構成によれば、撮像時ごとの露光時間を一定にして、撮像時ごとに照明部の光量を制御し撮像信号を取得することにより、露光時間を変化させることなく、光量の異なる複数の撮影画像を取得することが可能となり、低照度環境での高フレームレート化及び移動体合成画像でのズレの最小化を可能にする広ダイナミックレンジ撮像装置を実現できる。
【0010】
第3の手段は、第2の手段において、前記照明部は、前記照明制御部の制御により、少なくとも2つの異なる光度または点灯時間で被写体に光を照射することを特徴とする広ダイナミックレンジ撮像装置である。
この構成によれば、撮像時ごとの露光時間を一定にして、撮像時ごとに照明部の光度または点灯時間を制御し撮像信号を取得することにより、露光時間を変化させることなく、光量の異なる複数の撮影画像を取得することが可能となり、低照度環境での高フレームレート化及び移動体合成画像でのズレの最小化を可能にする広ダイナミックレンジ撮像装置を実現できる。
【0011】
第4の手段は、第1の手段において、前記複数画像信号生成部は、一連の前記撮像時ごとの露光時間を変化させて前記撮像信号を取得する際、前記照明部は、前記照明制御部の制御により、最も長い露光時間となる撮像時に最も大きい光度で被写体に光を照射することにより、前記複数の画像信号を生成することを特徴とする広ダイナミックレンジ撮像装置である。
この構成によれば、撮像時ごとの露光時間を変化させるとともに、最も長い露光時間となる撮像時に最も大きい光度で被写体に光を照射し、撮像信号を取得することにより、最も長い露光となる露光時間を長くせずに、光量の異なる複数の撮影画像を取得することが可能となり、低照度環境での高フレームレート化及び移動体合成画像でのズレの最小化を可能にする広ダイナミックレンジ撮像装置を実現できる。
【0012】
第5の手段は、第4の手段において、前記複数画像信号生成部は、前記最も長い露光時間となる撮像時以外の撮像時には前記最も大きい光度よりも小さい一定の光度で被写体に光を照射することにより、前記複数の画像信号を生成することを特徴とする広ダイナミックレンジ撮像装置である。
この構成によれば、撮像時ごとの露光時間を変化させるとともに、最も長い露光時間となる撮像時に最も大きい光度で被写体に光を照射し、それ以外の撮像時にはそれよりも小さい一定の光度で被写体に光を照射し、撮像時ごとに照明部の光量を制御し撮像信号を取得することにより、最も長い露光となる露光時間を長くせずに、光量の異なる複数の撮影画像を取得することが可能となり、低照度環境での高フレームレート化及び移動体合成画像でのズレの最小化を可能にする広ダイナミックレンジ撮像装置を実現できる。
【0013】
第6の手段は、第1の手段において、前記撮像素子は、CMOS構造であってローリングシャッター方式により露光の制御を行うことを特徴とする広ダイナミックレンジ撮像装置である。
この構成によれば、撮像時ごとに照明部の光量を制御し撮像信号を取得することにより、ローリングシャッター方式を採用するCMOS構造の撮像素子を有する撮像装置においても、画像が小さくなったり、暗くなったりすることがなく、一画面内の場所により明るさに差を生ずることのない、低照度環境での高フレームレート化及び移動体合成画像でのズレの最小化を可能にする広ダイナミックレンジ撮像装置を実現できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、低照度の環境においても撮像フレームレートを低下させず、移動体を撮像する場合であっても複数の画像の合成処理を行う際の合成画像毎のズレを小さくし、また、CMOS構造の撮像素子を有する撮像装置においても画面の明るさを確保し、さらに、ローリングシャッター方式のCMOS構造の撮像素子である場合でも、一画面内の場所によって明るさに差を生じることがない広ダイナミックレンジ撮像装置を提供することが可能となり、また、120dB以上の非常に高コントラスト画像においてもフレームレートの低下を抑えて撮影することが可能となり、従来実用化の困難だった分野の安全性、保安性、信頼性の向上に貢献する広ダイナミックレンジ撮像装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る広ダイナミックレンジ撮像装置の外観を示す斜視図である。
【図2】本発明の広ダイナミックレンジ撮像装置に適用される光路と平行な切断面から見た撮像光学系1の断面図である。
【図3】本発明に係る広ダイナミックレンジ撮像装置の制御系統を示すブロック図である。
【図4】撮像素子4から取得された光量の異なる複数個の画像信号(1)〜(4)と撮影環境の明るさとの関係、閾値設定部72における閾値の設定例、および抽出された部分画像信号(1’)〜(4’)と撮影画像の明るさとの関係を示す図である。
【図5】本発明に係る照明と複数画像合成による広ダイナミックレンジシステム図(その1)
【図6】本発明に係るダイナミックレンジ拡大のフローチャート(その1)
【図7】本発明に係る照明と複数画像合成による広ダイナミックレンジシステム図(その2)
【図8】本発明に係るダイナミックレンジ拡大のフローチャート(その2)
【図9】本発明に係る広ダイナミックレンジ撮像装置を車載用カメラに適用した場合の説明図である。
【図10】本発明に係る広ダイナミックレンジ撮像装置をATMコーナーなどの監視用カメラに適用した場合の説明図である。
【図11】本発明に係る広ダイナミックレンジ撮像装置を工場内のFAカメラに適用した場合の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態を図1ないし図11を用いて説明する。
図1は、本実施形態の発明に係る広ダイナミックレンジ撮像装置の外観を示す斜視図である。
図2は、本発明の広ダイナミックレンジ撮像装置に適用される光路と平行な切断面から見た撮像光学系1の断面図である。
同図において、1は撮像光学系、2は撮像光学系1を構成する筐体、3は撮像光学系1における結像光学系を構成するために配置された複数枚の反射ミラー、4は撮像素子、5は広ダイナミックレンジカメラシステム基板、6は撮像光学系1に入射された光が撮像素子4に入射されるまでの光路である。
【0017】
図3は、本発明に係る広ダイナミックレンジ撮像装置の制御系統を示すブロック図である。
同図において、7は制御回路部、71は撮像素子4に結像された光学像に基づいて、複数の異なる光量レベルを有する画像信号を生成する複数画像信号生成部、72は部分画像信号抽出用の閾値が設定されている閾値設定部、73は、閾値設定部72に設定されている閾値に基づいて、複数画像信号生成部71で生成された複数の各画像信号から選択されるべき部分画像信号を抽出する部分画像信号抽出部、74は部分画像信号抽出部73から出力された撮像画像の明るさが補正された部分画像信号を合成して合成画像信号を生成する合成画像信号生成部、75は合成画像信号生成部74で生成された合成画像信号を出力する合成画像信号出力部、76は、撮像信号を取得する際、照明部10を制御する照明制御部、77は撮像素子4及び照明制御部76に対して撮像の同期を制御する撮像駆動部、8は合成画像を表示する画像表示部、10は照明制御部76の制御により被写体に光を照射する照明部である。なお、その他の構成は図2に示した同符号の構成に対応する。
【0018】
図4(a)は、撮像素子4から取得された光量の異なる複数個の画像信号(1)〜(4)と撮影環境の明るさとの関係を示す図であり、図4(b)は、閾値設定部72における閾値の設定例を示す図であり、図4(c)は、部分画像信号抽出部73において、取得された画像信号(1)〜(4)から、閾値設定部72において設定された閾値に基づいて、抽出された部分画像信号(1’)〜(4’)と撮影画像の明るさとの関係を示す図である。
【0019】
次に、図3に示したブロック図に基づいて、本発明に係る広ダイナミックレンジ撮像装置の動作について説明する。
照明制御部76は、後述の設定値に基づき、撮像時ごとに照明部10の光量(点灯時間又は光度)を制御する。照明部10は、照明制御部76により制御され、被写体に光を照射する。照射を受けた被写体は、撮像光学系1を通して、その光学像をCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)構造であってローリングシャッター方式により露光される撮像素子4に結像する。その際、撮像駆動部77は、撮像素子4及び照明制御部76に対して撮像の同期を制御する。複数画像信号生成部71は、撮像素子4で結像された光学像に基づいて、複数の異なる露光レベルの画像信号を生成する。部分画像信号抽出部73は、複数画像信号生成部71で生成された光量の異なる複数の画像信号を、閾値設定部72において設定された閾値に基づいて、部分画像信号を抽出する。合成画像信号生成部74は、部分画像信号抽出部73において抽出された部分画像信号に基づいて、被写体の撮影画像全体に対応する1つの合成画像信号を生成する。
【0020】
図5は、本発明に係る照明と複数画像合成による広ダイナミックレンジシステム図(その1)である。また、図6は、本発明に係るダイナミックレンジ拡大のフローチャート(その1)である。
図5及び図6を用いて、本実施形態における広ダイナミックレンジシステム全体の処理手順を説明する。本実施形態は、上記第5の手段に対応するものであり、撮像時ごとの露光時間を変化させるとともに、最も長い露光時間となる撮像時に最も大きい光度で被写体に光を照射し、それ以外の撮像時にはそれよりも小さい一定の光度で被写体に光を照射し、光量の異なる複数の撮影画像を取得する広ダイナミックレンジ撮像装置である。なお、複数画像取得枚数は4枚を例にして述べる。
【0021】
図5においては、露光時間と光量の関係を表しており、露光時間を1/1、1/32、1/480、1/4030と変化させつつ4回撮像し、最初の撮像時に、即ち、最も長い露光時間となる撮像時には、最も大きい光度で被写体に光を照射し、2回目以降の撮像時にはそれよりも小さい一定の光度で被写体に光を照射し、撮像している。なお、この実施例では、2回目以降の光度を一定にしているが、各回の光度を変化させてもよいし、光を照射しなくてもよい。また、最初の撮像時最も長い露光時間となる撮像を行っているが、上記4回の撮像を1セットとして周期的に繰り返すので、「最も長い露光時間となる撮像時」とは、「4回の撮像の中で最も長い露光時間となる撮像時」のことである。
【0022】
図6は、広ダイナミックレンジシステムにおけるメイン関数をフローチャートで表したものである。
まず、ステップS1において、本広ダイナミックレンジ撮像装置の電源が投入される。電源の投入は人間が行ってもよいし、タイマーなどの装置が行ってもよい。
ステップS2において、制御部内のCMOSレジスタ(図示せず)の設定を含め、周辺回路の初期設定を行う。この設定は、電源投入後に人間が行ってもよいが、好ましくは、記憶部(図示せず)に設定値を保存しておき、電源投入後に本システムが該記憶部に保存された値を取り出し、該CMOSレジスタなどに設定を行うとよい。CMOSレジスタの種類には、露光時間の異なる画像取得枚数、各撮像時の露光時間、各撮像時の光量(点灯時間および光度)などがある。該画像取得枚数は、少なくとも2枚以上の露光時間の異なる画像を取り込むように設定する。本実施形態では、画像取得枚数は4枚とし、各撮像時の露光時間は、それぞれ1/1、1/32、1/480、1/4030とする。また、各撮像時の光量は、例えば、最初の撮像時の照明の光量を、即ち、図5との関係で述べれば、最も長い露光時間となる撮像時の照明の光量は100とし、2回目以降の撮像時の照明の光量は10とするといった具合に設定する。
ステップS3において、本システム、好適には撮像駆動部77が、該設定に基づいた画像取り込みとそのデータの転送を撮像素子4に要求する。
ステップS4において、さらに、本システム、好適には撮像駆動部77は、撮像素子4の画像取り込みと同期するように照明制御部76を制御し、照明制御部76は、該設定に基づいた光量で光を照射するように照明部10を制御する。照明部10は、好適には、明るさの立ち上がり・立ち下り特性が良いLEDランプやキセノンランプを用いると良い。
ステップS5において、CMOSの撮像素子4から転送された画像データをメモリへ取り込む。
ステップS6において、上記ステップS4とS5を、該設定に基づいた枚数分繰り返し、ここの例では4枚になった場合は、次のステップS7を行う。
ステップS7において、複数枚、ここでは4枚の画像を合成する。図4に基づき具体的に説明すれば、取得された複数の異なる光量レベルを有する画像信号(1)〜(4)に基づき、部分画像信号抽出部73において、閾値設定部72において設定された閾値に基づいて、各画像信号(1)〜(4)から選択されるべき画像信号部分をそれぞれ部分画像信号(1’)〜(4’)として抽出する。次に、合成画像生成部74において、抽出された部分画像信号(1’)〜(4’)に基づいて、被写体の撮影画像全体に対応する1つの合成画像信号を生成する。
ステップS8において、得られた合成画像を合成画像出力部75に出力し、画像表示部8、具体的にはPC(Personal Computer)モニター等の外部表示機器に表示される。
ステップS9において、終了要求がある場合は終了処理を行い、終了要求ない場合はステップS4に戻る。
【0023】
このように、最も長い露光となる撮像時に最も大きな光量の光を被写体に照射することにより、該最も長い露光となる露光時間をあまり長くする必要がなくなり、その結果、低照度環境での高フレームレート化及び移動体合成画像でのズレの最小化を可能にする広ダイナミックレンジ撮像装置を実現できる。
【0024】
図7は、本発明に係る照明と複数画像合成による広ダイナミックレンジシステム図(その2)である。また、図8は、本発明に係るダイナミックレンジ拡大のフローチャート(その2)である。
図7及び図8を用いて、本実施形態における広ダイナミックレンジシステム全体の処理手順を説明する。本実施形態は、上記第3の手段に対応するものであり、撮像時ごとの露光時間を一定にして、撮像時ごとに照明部の光度を変化させ被写体に光を照射し、光量の異なる複数の撮影画像を取得する広ダイナミックレンジ撮像装置である。なお、複数画像取得枚数は4枚を例にして述べる。
【0025】
図7においては、露光時間と光量の関係を表しており、露光時間は、各撮像時を通して、1/1と一定である。最初の撮像時に、最も大きい光度で被写体に光を照射し、2回目の撮像時には1回目の撮像時の光度よりも小さい光度で被写体に光を照射し、3回目の撮像時には2回目の撮像時の光度よりも小さい光度で被写体に光を照射し、4回目の撮像時には3回目の撮像時の光度よりも小さい光度で被写体に光を照射し、撮像している。なお、この実施例では、全ての撮像時において光を照射しているが、例えば、最後の撮像時には光を照射しなくてもよい。また、最初の撮像時に最も大きな光度の光を照射し撮像を行っているが、上記4回の撮像を1セットとして周期的に繰り返すので、「最初の撮像時に最も大きな光度の光を照射」とは、「4回の撮像の中で最も大きな光度の光を照射」のことである。
【0026】
図8は、広ダイナミックレンジシステムにおけるメイン関数をフローチャートで表したものである。
まず、ステップS11において、本広ダイナミックレンジ撮像装置の電源が投入される。電源の投入は人間が行ってもよいし、タイマーなどの装置が行ってもよい。
ステップS12において、制御部内のCMOSレジスタ(図示せず)の設定を含め、周辺回路の初期設定を行う。この設定は、電源投入後に人間が行ってもよいが、好ましくは、記憶部(図示せず)に設定値を保存しておき、電源投入後に本システムが該記憶部に保存された値を取り出し、該CMOSレジスタなどに設定を行うとよい。CMOSレジスタの種類には、露光時間の異なる画像取得枚数、各撮像時の露光時間、各撮像時の光量(点灯時間および光度)などがある。該画像取得枚数は、少なくとも2枚以上の一定の露光時間で画像を取り込むように設定する。本実施形態では、画像取得枚数は4枚とし、各撮像時の露光時間は、すべて1/1とする。また、各撮像時の光量は、例えば、最初の撮像時の照明の光量を、即ち、図7との関係で述べれば、最初の撮像時の照明の光量は100、2回目の撮像時の照明の光量は50、3回目の撮像時の照明の光量は25、4回目の撮像時の照明の光量は10といった具合に設定する。
ステップS13において、本システム、好適には撮像駆動部77が、該設定に基づいた画像取り込みとそのデータの転送を撮像素子4に要求する。
ステップS14において、さらに、本システム、好適には撮像駆動部77は、撮像素子4の画像取り込みと同期するように照明制御部76を制御し、照明制御部76は、該設定に基づいた光量で光を照射するように照明部10を制御する。照明部10は、好適には、明るさの立ち上がり・立ち下り特性が良いLEDランプやキセノンランプを用いると良い。
ステップS15において、CMOSの撮像素子4から転送された画像データをメモリへ取り込む。
ステップS16において、上記ステップS14とS15を、該設定に基づいた枚数分繰り返し、ここの例では4枚になった場合は、次のステップS17を行う。
ステップS17において、複数枚、ここでは4枚の画像を合成する。図4に基づき具体的に説明すれば、取得された複数の異なる光量レベルを有する画像信号(1)〜(4)に基づき、部分画像信号抽出部73において、閾値設定部72において設定された閾値に基づいて、各画像信号(1)〜(4)から選択されるべき画像信号部分をそれぞれ部分画像信号(1’)〜(4’)として抽出する。次に、合成画像生成部74において、抽出された部分画像信号(1’)〜(4’)に基づいて、被写体の撮影画像全体に対応する1つの合成画像信号を生成する。
ステップS18において、得られた合成画像を合成画像出力部75に出力し、画像表示部8、具体的にはPC(Personal Computer)モニター等の外部表示機器に表示される。
ステップS19において、終了要求がある場合は終了処理を行い、終了要求ない場合はステップS14に戻る。
【0027】
このように、撮像時ごとの露光時間を一定にし、照明部の光度のみを変化させて、光量の異なる複数の撮影画像を取得することにより、低照度環境での高フレームレート化及び移動体合成画像でのズレの最小化を可能にする広ダイナミックレンジ撮像装置を実現できる。尚、照明部の点灯時間のみを変化させてもよい。
【0028】
図9は、本発明に係る撮像装置を広ダイナミックレンジの車載用カメラに適用した場合の説明図である。
同図に示すように、高レスポンスが要求される車載用カメラ11として適用された広ダイナミックレンジの撮像装置を、車両の左右のヘッドライト付近に装着し、ヘッドライト12の光量を制御し、相対的に移動する道路の白線を認識することに用いると、ヘッドライトを点灯しなければならない低照度環境下においてもフレームレートを低下させないため、カメラから見ると白線は常に動いているが、その合成画像ごとのズレは小さく抑えることができ、極めて有効な車載用カメラを提供できる。
【0029】
図10は、本発明に係る撮像装置をATM(Automated Teller Machine:現金自動預け払い機)コーナーなどの広ダイナミックレンジの監視用カメラに適用した場合の説明図である。
同図に示すように、監視用カメラ13として適用された広ダイナミックレンジの撮像装置を、ATMコーナーでの人の振る舞いを監視するためにATM周辺を撮影できる場所などに照明14と共に設置し、常時監視を行うことにより、低照度環境の場所であってもフレームレートが低下しないため、人の振る舞いの抜けが小さくなり、一部始終を捉えることができるので、保安上極めて有効な監視カメラを提供できる。
【0030】
図11は、本発明に係る撮像装置を工場内の広ダイナミックレンジのFA(Factory Automation)用カメラに適用した場合の説明図である。
同図に示すように、FA用カメラ15として適用された広ダイナミックレンジの撮像装置を、例えば、レーザー半田付け装置付近に装備し、電子部品とプリント基板の半田付けの様子を、照明16の光量を制御しながら撮像し、その撮像画像をTVモニターなどに表示する。これによって、作業者はレーザーの危険に曝されずに、レーザー加工状況を安全に確認することができ、撮像素子が飽和せずに安定した画像が得られるため、その画像を画像処理し、半田付け状況を正確に観察して自動半田を行うためのアシスト機能を実現することができる。
【符号の説明】
【0031】
1 撮像光学系
2 筐体
3 反射ミラー
4 撮像素子
5 ダイナミックレンジカメラシステム基板
6 光路
7 制御回路部
71 複数画像信号生成部
72 閾値設定部
73 部分画像信号抽出部
74 合成画像生成部
75 合成画像出力部
76 照明制御部
77 撮像駆動部
8 画像表示部
9 透明板(カバーガラス)
10 照明部
11 車載用カメラ
12 ヘッドライト
13 監視カメラ
14 監視用照明
15 FAカメラ
16 FA用照明
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像光学系により被写体の光学像を結像する撮像素子と、前記撮像素子に結像された光学像に基づいて、少なくとも2つの異なる光量レベルで取得した撮像信号から複数の画像信号を生成する複数画像信号生成部と、閾値が設定された閾値設定部と、前記閾値に基づいて、前記複数の各画像信号から選択される部分画像信号を抽出する部分画像信号抽出部と、抽出された部分画像信号に基づいて、被写体の撮影画像全体に対応する1つの合成画像信号として生成する合成画像信号生成部とを備えた広ダイナミックレンジ撮像装置において、
撮像する被写体に光を照射する照明部と、前記撮像信号を取得する撮像時ごとに前記照明部の光量を制御する照明制御部と、を備えることを特徴とする広ダイナミックレンジ撮像装置。
【請求項2】
前記複数画像信号生成部は、一連の前記撮像時ごとの露光時間を一定にして前記撮像信号を取得し、前記複数の画像信号を生成することを特徴とする請求項1に記載の広ダイナミックレンジ撮像装置。
【請求項3】
前記照明部は、前記照明制御部の制御により、少なくとも2つの異なる光度または点灯時間で被写体に光を照射することを特徴とする請求項2に記載の広ダイナミックレンジ撮像装置。
【請求項4】
前記複数画像信号生成部は、一連の前記撮像時ごとの露光時間を変化させて前記撮像信号を取得する際、前記照明部は、前記照明制御部の制御により、最も長い露光時間となる撮像時に最も大きい光度で被写体に光を照射することにより、前記複数の画像信号を生成することを特徴とする請求項1に記載の広ダイナミックレンジ撮像装置。
【請求項5】
前記複数画像信号生成部は、前記最も長い露光時間となる撮像時以外の撮像時には前記最も大きい光度よりも小さい一定の光度で被写体に光を照射することにより、前記複数の画像信号を生成することを特徴とする請求項4に記載の広ダイナミックレンジ撮像装置。
【請求項6】
前記撮像素子は、CMOS構造であってローリングシャッター方式により露光の制御をおこなうことを特徴とする請求項1に記載の広ダイナミックレンジ撮像装置。
【請求項1】
撮像光学系により被写体の光学像を結像する撮像素子と、前記撮像素子に結像された光学像に基づいて、少なくとも2つの異なる光量レベルで取得した撮像信号から複数の画像信号を生成する複数画像信号生成部と、閾値が設定された閾値設定部と、前記閾値に基づいて、前記複数の各画像信号から選択される部分画像信号を抽出する部分画像信号抽出部と、抽出された部分画像信号に基づいて、被写体の撮影画像全体に対応する1つの合成画像信号として生成する合成画像信号生成部とを備えた広ダイナミックレンジ撮像装置において、
撮像する被写体に光を照射する照明部と、前記撮像信号を取得する撮像時ごとに前記照明部の光量を制御する照明制御部と、を備えることを特徴とする広ダイナミックレンジ撮像装置。
【請求項2】
前記複数画像信号生成部は、一連の前記撮像時ごとの露光時間を一定にして前記撮像信号を取得し、前記複数の画像信号を生成することを特徴とする請求項1に記載の広ダイナミックレンジ撮像装置。
【請求項3】
前記照明部は、前記照明制御部の制御により、少なくとも2つの異なる光度または点灯時間で被写体に光を照射することを特徴とする請求項2に記載の広ダイナミックレンジ撮像装置。
【請求項4】
前記複数画像信号生成部は、一連の前記撮像時ごとの露光時間を変化させて前記撮像信号を取得する際、前記照明部は、前記照明制御部の制御により、最も長い露光時間となる撮像時に最も大きい光度で被写体に光を照射することにより、前記複数の画像信号を生成することを特徴とする請求項1に記載の広ダイナミックレンジ撮像装置。
【請求項5】
前記複数画像信号生成部は、前記最も長い露光時間となる撮像時以外の撮像時には前記最も大きい光度よりも小さい一定の光度で被写体に光を照射することにより、前記複数の画像信号を生成することを特徴とする請求項4に記載の広ダイナミックレンジ撮像装置。
【請求項6】
前記撮像素子は、CMOS構造であってローリングシャッター方式により露光の制御をおこなうことを特徴とする請求項1に記載の広ダイナミックレンジ撮像装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−160133(P2011−160133A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−19337(P2010−19337)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(000001225)日本電産コパル株式会社 (755)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(000001225)日本電産コパル株式会社 (755)
【Fターム(参考)】
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