説明

床材用立体編物および床材

【課題】 木質フローリングやその下地材として用いる際に、軽量床衝撃音の防音性に優れ、歩行感が良好で、かつ圧縮耐久性が良好で長期間使用しても厚みが減少し難く、さらには、断熱性及び衝撃吸収性の良好な立体編物及び床材を提供する。
【解決手段】 表裏二層の編地とこれらを連結する連結糸からなる立体編物であって、立体編物の連結糸が30〜1000デシテックスのモノフィラメントからなり、立体編物の厚みが2〜10mmであり、かつ直径200mmの円盤により立体編物を25%圧縮する際の圧縮硬さが60〜600Nである床材用立体編物、およびこれと発泡樹脂シートを積層した床材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木質フローリング等の床用の下地材としての立体編物および床材に関し、さらに詳しくは、軽量床衝撃音の防音性に優れ、歩行感が良好であり、圧縮耐久性が良好で長期間使用しても厚みが減少し難く、かつ断熱性及び衝撃吸収性の良好な床材用立体編物および立体編物を積層した床材に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に住宅建築物の床材においては、ダニやほこりなどのハウスダストが出にくくかつ高級感などの理由から、木質フローリングが広く利用されている。
しかしながら、木質フローリングを使用する場合、階下への軽量床衝撃音が発生しやすいため、これを抑制し、音が伝わることを防止することが重要な課題である。床衝撃音は軽く硬いものが床に衝撃を与える時に発生するコンコン、カンカンといった中高音域の軽量床衝撃音と、子供が飛び跳ねたりするときに発生するドンドンといった低音域の重量床衝撃音に大きく分類される。
【0003】
重量床衝撃音の場合、床、階下の天井、階下の壁を一体とした構造と建築材の両面から防音対策を図ることが必要となるが、軽量床衝撃音の場合は木質フローリングの下地に不織布、発泡樹脂シート、ゴムシートやこれらの複合体等の緩衝材を用いることや、木質フローリングの基材に、ある一定間隔に切込みを入れ、基材自体の断面剛性を落とし、衝撃に対する緩衝効果を与えることにより、防音性能を持たせるのが一般的である。
【0004】
軽量床衝撃音の防音性を高めるためには、柔軟な材料を下地材として用い、衝撃エネルギーを吸収することが効果的であるが、柔軟な材料を用いる場合、歩行感が悪くなるという問題があった。歩行感を良好にして軽量床衝撃音の防音性を高めるため、特許文献1には、表面層に樹脂発泡体を用い、裏面層に立体編物を用いた2層構造の床用シート材が提案されている。しかしながら特許文献1の床用シート材は立体編物の厚みと重量のみが考慮されているのみで、表裏層を支える連結糸の構成が何ら配慮されていないため、床材としての圧縮耐久性が不十分で長期間使用する際に厚みが減少し易かったり、また、断熱性及び衝撃吸収性も不十分なものであった。
【特許文献1】特開2000−104396号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は前記問題点を解決し、木質フローリングやその下地材として用いる際に、軽量床衝撃音の防音性に優れ、歩行感が良好で、かつ圧縮耐久性が良好で長期間使用しても厚みが減少し難く、断熱性及び衝撃吸収性の良好な立体編物および立体編物を積層した床材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は上記の目的を達成するため、立体編物の性量、物性、連結糸の形態、発泡樹脂シートの性量、物性を鋭意検討した結果、軽量床衝撃音の防音性に優れ、歩行感が良好で、かつ圧縮耐久性が良好で長期間使用しても厚みが減少し難く、断熱性及び衝撃吸収性に優れた床材用立体編物及び床材が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本願で特許請求される発明は以下の通りである。
(1)表裏二層の編地とこれらを連結する連結糸からなる立体編物であって、立体編物の連結糸が30〜1000デシテックスのモノフィラメントからなり、立体編物の厚みが2〜10mmであり、かつ直径200mmの円盤により立体編物を25%圧縮する際の圧縮硬さが60〜600Nであることを特徴とする床材用立体編物。
(2)立体編物2.54cm平方(6.45cm)の面積中にある連結糸の本数をN(本/6.45cm)、連結糸の繊度(dtex)をD(g/1×10cm)、連結糸の比重をρ(g/cm)とした時、立体編物2.54cm平方(6.45cm)の面積中にある連結糸の総断面積(N・D/1×10・ρ)が0.02〜0.2cmであることを特徴とする(1)に記載の床材用立体編物。
(3)(1)または(2)に記載の立体編物と発泡樹脂シートが積層されていることを特徴とする床用積層材。
(4)発泡樹脂シートの見掛け密度が0.02〜0.1g/cmであることを特徴とする(3)に記載の床用積層材。
(5)発泡樹脂シートの厚みが6〜12mmであることを特徴とする(3)または(4)に記載の床用積層材。
(6)(1)または(2)に記載の立体編物に木質系仕上げ材が表層として積層されていることを特徴とする床材。
(7)(3)〜(5)のいずれかに記載の床用積層材に木質系仕上げ材が表層として積層されていることを特徴とする床材。
【発明の効果】
【0008】
本発明の立体編物は、連結糸に適正な繊度のモノフィラメントを用い、圧縮硬さを特殊範囲とすることにより、木質フローリングやその下地材として用いる際に、軽量床衝撃音の防音性に優れ、歩行感が良好で、かつ圧縮耐久性が良好で長期間使用しても厚み減少し難く、衝撃吸収性に優れた床材用立体編物となる。また、前記立体編物と特定物性の発泡樹脂シートを積層することにより、更に良好な防音性、歩行感、断熱性を有する、床用積層材が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に用いる立体編物とは、表裏二層の編地を連結糸で連結した立体的な編地のことをいい、ダブルラッセル編機やダブル丸編機等、2列の針列を有する編機で形成される編地を指す。
【0010】
立体編物の連結糸のモノフィラメントに用いる繊維素材としては、ポリトリメチレンテレフタレート繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維、ポリアミド繊維、ポリプロピレン繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリエステル系エラストマー繊維等、任意の合成繊維を用いることができるが、リサイクルを容易にするにはポリエステル系の繊維を用いることが好ましく、また、長期使用時の圧縮耐久性を向上させ厚み減少を抑えるためには、ポリトリメチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維、ポリアミド繊維を用いることが好ましく、ポリトリメチレンテレフタレート繊維がさらに好ましい。
【0011】
また、表裏の編地を形成する繊維素材としては、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリアクリル系繊維、ポリプロピレン系繊維等の合成繊維、綿、麻、ウール等の天然繊維、キュプラレーヨン、ビスコースレーヨン、リヨセル等の再生繊維等の任意の繊維を用いることができる。
【0012】
表裏の編地を形成する繊維の繊度は50〜1500デシテックスのものを好ましく用いることができる。
また、立体編物は、表裏の繊維の少なくとも一方の繊維を用いずに、連結糸の編目のみで表又は裏側の編地(編目列)を形成させると、表又は裏側の繊維が不要になり、軽量で低コストな立体編物が得られるため好ましい。
【0013】
本発明の床用シート材に用いる立体編物は、連結糸に30〜1000デシテックスのモノフィラメントを用い、かつ、直径200mmの円盤により立体編物を25%圧縮する際の圧縮硬さを60〜600Nにすることが必要である。
【0014】
連結糸の繊度が30デシテックス未満かまたは圧縮硬さが60N未満であると、防音性は良好なものの歩行感が悪くなると共に、圧縮耐久性が低下し長期間使用する際に厚み減少し易くなり、さらには衝撃吸収性も劣るものとなる。また、連結糸の繊度が1000デシテックスを超えるかまたは圧縮硬さが600Nを超えると、歩行感は良好になるものの防音性が劣るものとなり、また、重く、取り扱い性の悪いものとなる。
【0015】
連結糸の繊度のより好ましい範囲は50〜700デシテックスであり、さらに好ましくは100〜400デシテックである。また、圧縮硬さのより好ましい範囲は70〜500Nであり、さらに好ましくは80〜450Nである。
【0016】
尚、立体編物の内部空気量をより多くして軽量床衝撃音の固体伝搬量を減らして防音性を向上させると同時に、良好な歩行感を維持し、かつ長期使用時の圧縮耐久性を向上させる上で、立体編物2.54cm平方(6.45cm)の面積中にある連結糸の本数をN(本/6.45cm)、連結糸の繊度(dtex)をD(g/1×10 cm)、連結糸の比重をρ(g/cm)とした時、立体編物2.54cm平方(6.45cm)の面積中にある連結糸の総断面積(N・D/1×10・ρ)が0.02〜0.2cmであることが好ましい。
【0017】
連結糸の総断面積が0.02未満になると歩行感及び、圧縮耐久性が低下する傾向にあり、また、総断面積が0.2を超えると、内部空気量の多い立体編物ならではの防音効果が低下する傾向にある。連結糸の総断面積のより好ましい範囲は0.05〜0.17である。
【0018】
本発明に用いる立体編物は連結糸の形態により硬さや圧縮耐久性が変化するが、立体編物が圧縮される際に表裏の編地がせん断によりずれて圧縮されるのを防止し、長期間圧縮される際の耐久性を向上させ厚み減少を防止する上で、立体編物の連結糸は編み始め方向の断面から見て、少なくとも2本の連結糸が表裏の編地を互いに逆方向に斜めに傾斜してクロス状(X状)またはトラス状に連結されていることが好ましい。この際、クロス状、トラス状共に連結糸が2本の連結糸で構成されていてもよく、1本の同一の連結糸が表または裏面で折り返し、見かけ上2本となっている場合であっても良い。また、クロス状、トラス状の形状は、同一コース上で形成されていても良く、異なるコース上で形成されていても良い。
【0019】
立体編物の厚みは2〜10mmである必要があり、2mm未満では歩行感は良好になるものの防音性能が不十分となる。また、10mmを超えると防音性能は良好となるが、歩行感が悪く圧縮耐久性に劣るものとなる。立体編物の厚みのより好ましい範囲は3〜7mmである。
【0020】
立体編物は立体形状を安定化させ、長期使用時の圧縮耐久性を向上させるため、生機を編成後、温度が150〜200℃、セット時間が30秒〜3分の範囲で熱セットすることが好ましい。立体編物の表裏の編地がメッシュ形状の場合は、熱セット時にメッシュサイズを固定するための幅出しを行いながら熱セットされる。熱セットの際に、立体編物の表裏面や連結糸に抗菌、坑カビ、消臭、防ダニ等の薬剤をバインダー等で固着させ、立体編物に前記機能を付与したり、機能性樹脂で樹脂加工すると床材及び、室内の快適性が向上しより好ましい。
【0021】
本発明の立体編物は木質系仕上げ材の裏面に積層して用いることにより、防音性、歩行感、圧縮耐久性に優れた床材が得られる。
本発明でいう木質系床仕上げ材とは、住宅などで使用される床仕上げ材の一種で、一般的にはフローリングといわれる。主として厚さは12〜18mm程度で、積層材や合板を基材としてその表面にナラ、ブナ、チーク、オーク、けやきなどの化粧用単板が張られているもの等のことをいう。積層の方法は例えば立体編物と発泡樹脂シートの間に接着剤や両面接着シート等を介在させて、全面や部分的に接着する方法が裁断性や施工性の上で好ましい。
【0022】
また、木質系仕上げ材と立体編物の間や、立体編物の裏面に樹脂シート、不織布、フィルム等の他のシート材が積層されていても良い。
本発明の立体編物は発泡樹脂シートと積層することにより、立体編物単独に比べ歩行感、断熱性が改善されると共に、建築現場での裁断性や施工性が良好なものとなり好ましい。
【0023】
本発明に用いる発泡樹脂シートには、発泡可能な合成樹脂、例えばポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリウレタン等の樹脂を発泡させて2〜15mm程度の厚さのシート状に形成したものが好ましく使用される。
【0024】
発泡樹脂シートは見掛け密度が0.02〜0.1g/cmであることが好ましい。見掛け密度が0.02未満であると、歩行感が悪くなると共に耐久性が不十分で長期使用により厚み減少し易くなる。また、見掛け密度が0.1g/cmを超えると防音性能が低下すると共に、重く、取り扱い性や施工性が悪くなる。
【0025】
発泡樹脂シートの圧縮強度はJIS−Z−0235に準拠して測定される方法で0.04〜0.24MPaであることが好ましい。0.04MPaを超えると防音性が劣るものとなり、0.04未満では歩行感及び圧縮耐久性が劣るものとなる。
また、発泡樹脂シートは厚みが2〜15mmものを用いることができるが、より好ましい厚みは、6〜12mmである。厚みが6mm以上であるとより断熱性が向上するため好ましいが、12mmを超えると取り扱い性や施工性が悪くなる。
【0026】
立体編物と発泡樹脂シートが積層されて形成される床用積層材の、積層の方法は何ら限定されるものではないが、例えば立体編物と発泡樹脂シートの間に接着剤や両面接着シート等を介在させて、全面や部分的に接着する方法が裁断性や施工性の上で好ましい。尚、立体編物と発泡樹脂シートは必ずしも接着されて積層されている必要はなく、非接着の状態で建築現場で積層する方法を用いても良い。
【0027】
本発明の床用積層材は少なくとも立体編物と発泡樹脂シートが積層された構造であれば良く、必要に応じて、立体編物と発泡樹脂シートの間や、2層の外層にその他の防音性のシート材や防水フィルム等のシート材が積層されていても良い。
【0028】
本発明の床用積層材を床に施工する際は、立体編物と発泡樹脂シートのどちら側を木質系仕上げ材側に用いても良いが、立体編物側を木質仕上げ材側に用いると、木質仕上げ材との接着、剥離が容易でリフォームし易いものとなり好ましく、発泡樹脂シート側を木質系仕上げ材側に用いると、床材の断熱性能が向上して好ましい。
【実施例】
【0029】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、例中の各特性の評価および測定は下記の方法で行った。
(1)立体編物及び発泡樹脂シートの厚み(mm)
立体編物または発泡樹脂シートを10cm角切り取り、(株)尾崎製作所製、JA型特殊ダイヤルシックネスゲージ(ピーコック)用い、直径30mmの測定板で挟んだ状態で厚みを測定する。測定は5回行い平均値を求める。
(2)圧縮硬さ(N)
島津オートグラフAG−B型((株)島津製作所製)を用い、直径200mmの圧縮板により、剛体平面上に置いた25cm角の立体編物を100mm/minの速度で立体編物の初期の厚みの25%を圧縮した後、直ぐに100mm/minの速度で開放する。この際の25%圧縮時の荷重(N)を測定する。
【0030】
(3)発泡樹脂シートの見掛け密度ρ1(g/cm
発泡樹脂シートを25cm角切り取り、重量W(g)厚みT1(mm)を測定し、以下の式にて見掛け密度(g/cm)を算出する。
見掛け密度ρ1=W×10/(T1×625)
(4)断熱性
カトーテック(株)製サーモラボIIを使用し、20℃、65%RH環境下で、30℃の熱板(熱板全体が12cm角、その内、計測用熱板が10cm角、周囲に幅1cmのガード熱板あり)に、15cm角の床用シート材を、発泡樹脂シート側を熱板に接触させるように置き、更に床用シート材の上の周囲(2.5cm幅)に樹脂製の枠を錘として置いて固定し、風速0.3m/secにおいて熱板を30℃に保つ際の放熱量(W/m/℃)を測定する。
【0031】
(5)圧縮耐久性
本発明の床用シート材を10cm角切り取り、上から下面がφ200の円盤で重量が20kg(196N)の錘を乗せ24時間放置する。24時間後に錘を取り除き、30分放置後の床用シート材の厚みT(mm)を測定し、初期の厚みT(mm)に対して以下の計算式にて、残留ひずみS(%)を算出する。
S(%)=(T−T)×100/T
(6)衝撃吸収性
JIS−T−8131安全帽に規定する装置を用い、防災頭巾の衝撃吸収性試験法に準じ、立体編物を試験機にセットし、φ12.7mmの平面の衝撃面を有し重量が5Kgの円柱の衝撃ストライカーを、100mmの高さから落下させて衝撃値(ピーク値)(kN)を測定し、下記式にて衝撃吸収率(%)を算出する。
衝撃吸収率(%)=(1−衝撃値/29.4)×100
(7)防音性
JIS−A−1418−1、JIS−A−1419−2従い、床衝撃音遮断性能(L値)を評価する。
【0032】
(8)歩行感
コンクリート床(平面)の上に本発明の床用シート材(60cm幅×90cm長)を立体編物側を下にして置き、更に上に市販の木質系仕上げ材を配置し、木質系仕上げ材の上を体重65Kgの男性が歩行し、以下の基準で歩行感を評価した。
◎:適度な硬さで歩き易い、○:やや柔らかいが歩き易い、△:硬過ぎて歩き難い、×:柔らか過ぎて歩き難い
【0033】
[参考例]
[実施例1〜4]
6枚筬を装備した18ゲージ、釜間6.5mmのダブルラッセル編機を用い、表側の編地を形成する筬(L1、L2)から167dtex/48フィラメントのポリエチレンテレフタレート原糸を、連結糸用の筬(L3、L4)から200dtexのナイロン6モノフィラメントを、また、裏側の編地を形成する筬(L5、L6)から、167dtex/48フィラメントのポリエチレンテレフタレート原糸を、L1、L4、L5の筬に1イン1アウトの配列で、L2、L3、L6の筬に1アウト1インの配列で供給した。(編組織1)に示す編組織で、機上コース20コース/2.54cmの密度で生機を編成し、得られた生機を70℃で精錬後、180℃×2分で幅出し乾熱ヒートセットを行い、28コース/2.54cm、8.9ウエール/2.54cm、厚さ4.0mmの立体編物を得た。
【0034】
(編組織1)
L1:(2022/2422)×5/2022/2444/
(4644/4244)×5/4644/4222/
L2:(4644/4244)×5/4644/4222/
(2022/2422)×5/2022/2444/
L3:4242/810810/(4242/4646)×3/4242/
810810/4242/4646/
6868/2020/(6868/6464)×3/6868/
2020/6868/6464/
L4:6868/2020/(6868/6464)×3/6868/
2020/6868/6464/
4242/810810/(4242/4646)×3/4242/
810810/4242/4646/
L5:(2220/2224)×5/2220/2224/
(4446/4442)×5/4446/4442/
L6:(4446/4442)×5/4446/4442/
(2220/2224)×5/2220/2224/
【0035】
得られた立体編物と、見掛け密度0.04g/cmの発泡ポリエチレン(旭化成ライフ&リビング社製商品名:サンテックフォームQ25)の4mm厚、6mm厚、8mm厚、12mm厚のものを市販の両面テープで貼り合わせて床用積層材を得た。得られた床用積層材の各種特性を表1に示す。
発泡ポリエチレンが4mm厚のものはやや歩行感と断熱性が低下するが、いずれも防音性、歩行感に優れるものであった。
【0036】
[実施例5、6、7、8、比較例1]
実施例1において、立体編物の連結糸に用いる繊維を、ナイロン6モノフィラメント(22dtex、56dtex、110dtexおよび280dtex)、また、ポリトリメチレンテレフタレートモノフィラメント(200dtex)とし、さらに編密度及び仕上げ密度を変更して、連結糸の繊度、コース、ウエール数の異なる立体編物を得た。これらの立体編物と見掛け密度0.04g/cm、厚み8mmの発泡ポリエチレン(旭化成ライフ&リビング社製商品名:サンテックフォームQ25)を市販の両面テープで貼り合わせて床用積層材を得た。得られた床用積層材の各種特性を表1に示す。立体編物の繊度が22dtexの比較例1は圧縮耐久性及び歩行感が悪く不適切なものであった。その他は、連結糸の繊度が56dtex、110dtexのものが若干、歩行感が低下するものの、いずれも防音性、歩行感に優れるものであった。また、連結糸がポリトリメチレンテレフタレートモノフィラメントのものは、圧縮耐久性が極めて良好であった。
【0037】
[実施例9、比較例2、3]
実施例1において、ダブルラッセル編機の釜間を2mm、8mm、12mmとした以外は実施例1と同様にして立体編物を得た。得られた立体編物と見掛け密度0.04g/cm、厚み8mmの発泡ポリエチレン(旭化成ライフ&リビング社製商品名:サンテックフォームQ25)を市販の両面テープで貼り合わせて床用積層材を得た。得られた床用積層材の各種特性を表1に示す。
釜間2mm(仕上げ厚さ1.6mm)の立体編物を用いたものは防音性が不十分であり、釜間12mm(仕上げ厚さ10.2mm)の立体編物を用いたものは歩行感及び圧縮耐久性が劣るものであった。
【0038】
[実施例10]
6枚筬を装備した9ゲージ、釜間6.5mmのダブルラッセル編機を用い、表側の編地を形成する筬(L1、L2)から500dtex/144フィラメントのポリエチレンテレフタレート仮撚加工糸を、連結糸用の筬(L3、L4)から440dtexのナイロン6モノフィラメントを、また、裏側の編地を形成する筬(L5、L6)から、500dtex/144フィラメントのポリエチレンテレフタレート仮撚加工糸を、L1、L3の筬に1イン1アウトの配列で、L2、L4の筬に1アウト1インの配列で、L5、L6の筬にオールインの配列で供給した。(編組織2)に示す編組織で、機上コース12コース/2.54cmの密度で生機を編成し、得られた生機を180℃×2分で乾熱ヒートセットを行い、14コース/2.54cm、9ウエール/2.54cm、厚さ4.2mmの立体編物を得た。
【0039】
(編組織2)
L1:2022/4644/
L2:4644/2022/
L3:2042/4624/
L4:4624/2042/
L5:2220/2224/
L6:4446/2220/
得られた立体編物と見掛け密度0.04g/cm、厚み8mmの発泡ポリエチレン(旭化成ライフ&リビング社製商品名:サンテックフォームQ25)を市販の両面テープで貼り合わせて床用積層材を得た。得られた床用シート材の各種特性を表1に示す。本床用積層材は防音性、歩行感ともに良好なものであった。
【0040】
[比較例4]
実施例10において、連結糸に用いる繊維に1090dtexのナイロン6モノフィラメントを用いた以外は実施例と同様にして、12コース/2.54cm、9ウエール/2.54cm、厚さ4.4mmの立体編物を得た。
【0041】
得られた立体編物と見掛け密度0.04g/cm、厚み8mmの発泡ポリエチレン(旭化成ライフ&リビング社製商品名:サンテックフォームQ25)を市販の両面テープで貼り合わせて床用積層材を得た。得られた床用積層材の各種特性を表1に示す。本床用積層材は歩行感に優れるものの、立体編物の25%圧縮硬さ及び連結糸の総断面積が高すぎるため防音性が劣るのであった。
【0042】
[比較例5]
5枚筬を装備した22ゲージ、釜間6.5mmのダブルラッセル編機を用い、表側の編地を形成する筬(L1、L2)から167dtex/48フィラメントのポリエチレンテレフタレート原糸をいずれもオールインの配列で、連結糸用の筬(L3)から33dtexのナイロン6モノフィラメントをオールインの配列で、また、裏側の編地を形成する筬(L5、L6)から167dtex/48フィラメントのポリエチレンテレフタレート原糸をL5から2アウト3イン1アウトの配列で、L6から3イン1アウトの配列で供給した。(編組織3)に示す編組織で、機上コース28コース/2.54cmの密度で生機を編成し、得られた生機を180℃×2分で幅出しヒートを行い、33コース/2.54cm、22ウエール/2.54cm、厚さ4.1mmの立体編物を得た。
【0043】
(編組織3)
L1:2022/2422/
L2:4644/2000/
L3:2020/0202/
L5:4420/2224/2220/2224/4468/6664/
6668/6664/
L6:4468/6664/6668/6664/4420/2224/
2220/2224/
得られた立体編物と見掛け密度0.04g/cm、厚み8mmの発泡ポリエチレン(旭化成ライフ&リビング社製商品名:サンテックフォームQ25)を市販の両面テープで貼り合わせて床用積層材を得た。得られた床用積層材の各種特性を表1に示す。本床用積層材は防音性は良好であるものの、立体編物の連結糸がコース列方向に倒れ易いことが原因で立体編物の25%圧縮硬さが低すぎる為、歩行感が悪く、また、圧縮耐久性に劣るものであった。
【0044】
[実施例11、12]
実施例1と同様の立体編物と、見掛け密度0.098g/cm、厚み8mmの発泡ポリエチレン(旭化成ライフ&リビング社製商品名:サンテックフォームQ05)、及び見掛け密度0.027g/cm、厚み8mmの発泡ポリエチレン(旭化成ライフ&リビング社製商品名:サンテックフォームB45)を市販の両面テープで貼り合わせて床用積層材を得た。得られた床用積層材の各種特性を表1に示す。本床用積層材は防音性、歩行感ともに良好なものであった。
【0045】
[実施例13]
実施例1と同様の立体編物を市販の木質系仕上げ材の裏面に、市販の両面テープで貼り合わせて床材を得た。本床材の各種特性を表1に示す。本床材は、発泡樹脂シートとの床用積層材より歩行感、防音性が若干低下するものの、何れも良好な性能であった。
【0046】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、木質フローリング等の床用の下地材及び床材に関し、木質フローリングにおいて発生しやすい軽量床衝撃音の防音性に優れ、特に階下に床衝撃音が伝わることを防止することができると同時に、良好な歩行感が得られる床用立体編物及び床材である。さらに、圧縮耐久性が良好で長期間使用しても厚みが減少し難く、断熱性及び衝撃吸収性に優れた床用積層材であり、木質フローリングの下地材や床材として広く利用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表裏二層の編地とこれらを連結する連結糸からなる立体編物であって、立体編物の連結糸が30〜1000デシテックスのモノフィラメントからなり、立体編物の厚みが2〜10mmであり、かつ直径200mmの円盤により立体編物を25%圧縮する際の圧縮硬さが60〜600Nであることを特徴とする床材用立体編物。
【請求項2】
立体編物2.54cm平方(6.45cm)の面積中にある連結糸の本数をN(本/6.45cm)、連結糸の繊度(dtex)をD(g/1×10cm)、連結糸の比重をρ(g/cm)とした時、立体編物2.54cm平方(6.45cm)の面積中にある連結糸の総断面積(N・D/1×10・ρ)が0.02〜0.2cmであることを特徴とする請求項1に記載の床材用立体編物。
【請求項3】
請求項1または2に記載の立体編物と発泡樹脂シートが積層されていることを特徴とする床用積層材。
【請求項4】
発泡樹脂シートの見掛け密度が0.02〜0.1g/cmであることを特徴とする請求項3に記載の床用積層材。
【請求項5】
発泡樹脂シートの厚みが6〜12mmであることを特徴とする請求項3または4に記載の床用積層材。
【請求項6】
請求項1または2に記載の立体編物に木質系仕上げ材が表層として積層されていることを特徴とする床材。
【請求項7】
請求項3〜5のいずれかに記載の床用積層材に木質系仕上げ材が表層として積層されていることを特徴とする床材。

【公開番号】特開2008−25042(P2008−25042A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−196774(P2006−196774)
【出願日】平成18年7月19日(2006.7.19)
【出願人】(303046303)旭化成せんい株式会社 (548)
【出願人】(303046244)旭化成ホームズ株式会社 (703)
【Fターム(参考)】