説明

座標測定機に使用するための測定プローブ

【課題】より正確な測定を可能にする新規な測定プローブを得ること。
【解決手段】座標測定機に使用するための測定プローブが、座標測定機に接続された基部1、測定チップ4、および測定チップ4の第1の端部に配置された球5を有している。測定チップ4は、基部1によって支持される少なくとも3つのリジッドな支持体2を用いてその第2の端部で支持され、それにより支持体2が球形の接続部によって測定チップに接続され、支持体2をその長さ方向に沿って基部1に対して移動させることが可能になる。支持体2は、程度にかかわらず基部1の測定チップ・ホルダ3と反対の側に突出することによって基部1を貫通すること、およびその長さ方向に沿って移動させることができるように配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、座標測定機に使用するための測定プローブに関する。
【背景技術】
【0002】
測定プローブは、座標測定機において測定する測定対象物に接触させるためのデバイスとして使用され、このデバイスは、測定対象物に接触したときに信号を発生させるように可動アームの端部に配置され、それによって座標系におけるプローブ位置の位置決めを行う。あるいは、測定対象物に対して正確な位置に配置されたときに前述の信号を発生させるために、光学デバイス、すなわち非接触デバイスを用いることもできる。
【0003】
プローブは、自由端となる測定チップを有し、この自由端には通常、測定対象物と接触するように球が配置されている。球が測定対象物と接触すると測定チップの取付け部に変位を与えるように測定チップはプローブに取り付けられ、その変位の大きさと方向を決定して、球と測定対象物の間の正確な接触点を決定することが可能である。
【0004】
そのような測定プローブを有する既存の座標測定機では、測定チップの取付け部は、通常、多数の要素が順に接続されるように構成されており、またこれらの要素は、これらの要素に垂直な1つの方向のみに曲げることができるようになっており、それによって一体となって測定チップを自由に決められた方向にある程度変位させることができるようになっている。プローブがさらに変位するのを防ぐために変位が検知され、また測定対象物の現在位置を計算するためにプローブの現在位置、および必要な場合には測定チップの変位が記録される。そのような測定プローブの実施例を、英国特許第1551218号明細書に見ることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述のタイプの測定プローブに伴う1つの問題は、それらが記録する誤差が蓄積され、この方法では一連の誤差が生じることである。
【0006】
したがって本発明の目的は、前述のタイプの誤差の原因を除くことが可能な、より正確な測定を可能にする新規な測定プローブを得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述の目的は、座標測定機に接続された基部、測定チップ・ホルダ、およびこのホルダによって支持された測定チップを有する測定プローブであって、測定チップ・ホルダが少なくとも3つのリジッドな(すなわち剛直な)支持体を用いて基部によって支持され、それにより支持体が球形の接続部によって測定チップ・ホルダに接続され、また支持体は、測定チップ・ホルダと基部の間の角度を変更することができるように、支持体の長さ方向に沿って基部に対して移動させることが可能であり、それにより支持体は、程度にかかわらず基部の測定チップ・ホルダと反対の側に突出することによって、基部を貫通すること、および支持体の長さ方向に沿って移動させることができるように配置された、本発明による測定プローブによって達成される。
【0008】
一実施例では、測定チップ・ホルダ、したがってその球を有する測定チップを自己変位によって調整することができるような駆動手段を備えるように、支持体は配置される。
【0009】
第2の実施例による測定チップは、その端部に配置された球を有する物理的な測定チップを備えている。
【0010】
他の実施例による測定チップは仮想的なチップによって構成され、仮想的なチップの測定対象物への接近を検知するために、光学センサが配置される。このような光学センサは、例えばレーザ、CCDカメラまたはそれに類するものとすることができる。
【0011】
より一般的には、本発明は、基部と測定チップ・ホルダの間に6つの支持体による接続を含み、これらの支持体を基部に対して別々に移動させることが可能である。この場合、測定チップ・ホルダは、各支持体または支持体の組合せが測定チップ・ホルダに対して利用可能な6つの自由度(x、y、z、φ、θ、η)を制御するような形で設計される。ただし本明細書では、本発明をいくつかの簡易化された非限定的な設計について記述する。
【0012】
次に本発明を、添付図面によって示す1対の実施例の形でさらに詳しく記述する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】測定プローブの一般的な斜視図である。
【図2】基部を貫通し、その長さ方向に沿って移動させることができるように配置された支持体を有する、本発明による測定プローブの設計の斜視図である。
【図3】図2に示したものと同等であるが、測定チップ、したがって測定チップ・ホルダが斜めに配置された原理図である。
【実施例】
【0014】
したがって図1は、基部1、ここでは3本の棒の形を有する3つの支持体2を備えた測定プローブを概略的に示しており、支持体は球形の接合部によって測定チップ・ホルダ3を支持している。
【0015】
測定チップ・ホルダ3は、測定対象物と接触することを可能にするための測定プローブの要素である球5をその自由端に備えた、測定チップ4を支持している。例えば棒2の端部に配置された接合部であって、測定チップ・ホルダ3の内側球形ハウジング内に載置される球からなることが可能な球形の接合部により、棒2は測定チップ・ホルダ3に対して自由に任意の角度をとることができる。
【0016】
プローブの球が測定対象物と接触しているときに球の位置を決定するために、測定システムは、測定チップ・ホルダの位置、したがって、例えば基部1上の基準点に対する球の位置を測定するように接続される。ただし、本発明にとって測定システムそれ自体は重要ではなく、本技術領域の当業者による選択が可能である。
【0017】
図2は、測定チップ4および球5を有する測定チップ・ホルダ3を支持する支持体2が、基体1を貫通し、その上面より上、すなわち基部の測定チップ・ホルダ3と反対の側に突出するように配置された、本発明による測定プローブの実施例を示している。支持体2は、ある範囲内で矢印L1、L2およびL3によって示すその長さ方向に沿って移動され、程度に関わらず基部1の上面より上に突出することができるように基部1内に配置される。球5が対象物に接触しているとき、個々の支持体2をそれぞれ、他の支持体とは無関係に基部に対して移動させることができる。したがって、基部1に対する支持体2の位置を、例えばそれらの上に測定目盛を配置することによって決定することが可能であり、またこのようにして球5の正確な位置を計算することも可能になる。
【0018】
例えば光学測定システムを用いて測定チップ・ホルダ3の位置を測定することが可能であり、そのシステムによって基部1における開始点からの距離を測定する。そのような測定は、例えば基部と測定チップ・ホルダ3上のいくつかの固定点との間で行うことができる。すべての変形が支持体2によって吸収されるため、球が測定対象物と接触しているときに測定チップまたは球の変形は生じないので、測定チップ・ホルダ3上のこれらの固定点と球5との間の距離は常に一定である。
【0019】
測定チップ・ホルダ3と基部1の間に、別個の測定棒を配置することも可能である。この場合、これらの測定棒を、図2による実施例に関連して支持体について記述したものと同等の形で設計および配置することが適切であり、したがってその場合、これらの測定棒は基部を貫通し、それらをその長さ方向に沿って移動させることが可能であり、それによって、測定棒が基部1に対するその位置を決定できるような測定目盛を備えるようにし、またこのようにして球5の位置も計算することも可能になる。
【0020】
したがって本発明による測定プローブにより、他の要素によって変形が吸収されるために、測定チップおよび球に対してきわめて厳密な配置を達成することが可能になり、それによって球の位置をきわめて正確に決定することが可能になる。
【0021】
本明細書では、本発明を、その端部に取り付けられた球を有する物理的チップによって測定チップが構成されるように記述してきたが、先に言及したように、この物理的チップを仮想的なチップに置き換えることが可能であり、その場合、測定は測定チップ・ホルダからある距離をおいたところにある点に対して行われ、この点は測定チップ・ホルダに対して固定される。
【符号の説明】
【0022】
1 基部
2 支持体、棒
3 測定チップ・ホルダ
4 測定チップ
5 球

【特許請求の範囲】
【請求項1】
座標測定機に使用するための測定プローブであって、座標測定機に接続された基部(1)と、測定チップ・ホルダ(3)と、このホルダによって支持された測定チップ(4)とを有する測定プローブにおいて、
前記測定チップ・ホルダ(3)が少なくとも3つのリジッドな支持体(2)によって前記基部(1)によって支持され、それにより前記支持体(2)が球形の接続部によって前記測定チップ・ホルダ(3)に接続され、また前記各支持体(2)は、前記基部(1)に対する前記測定チップ・ホルダ(3)の角度を変更することができるように、該支持体(2)の長さ方向に沿って、前記測定チップ・ホルダ(3)に接続された他の支持体とは無関係に前記基部(1)に対して移動させることが可能であり、それにより前記支持体(2)は、程度にかかわらず前記基部(1)の前記測定チップ・ホルダ(3)と反対の側に突出することによって、前記基部(1)を貫通すること、および該支持体(2)の長さ方向(L1、L2、L3)に沿って変位することができるように配置されていることを特徴とする測定プローブ。
【請求項2】
前記支持体(2)が、前記基部(1)に対するその位置を決定することができるような測定目盛を有すること、およびこのようにして前記測定チップ(4)の位置を計算することが可能であることを特徴とする請求項1に記載の測定プローブ。
【請求項3】
複数の別々の測定棒が前記測定チップ・ホルダ(3)と前記基部(1)の間に配置され、該測定棒は、その長さ方向に沿って移動させること、および前記基部を貫通することが可能であり、それによって前記測定棒が、前記基部(1)に対するその位置を決定することができるような測定目盛を有すること、および
このようにして前記測定チップ(4)の位置を計算することが可能になることを特徴とする請求項1に記載の測定プローブ。
【請求項4】
前記基部(1)に対する前記測定チップ(4)の距離を測定するために、光学測定システムが配置されていることを特徴とする請求項1に記載の測定プローブ。
【請求項5】
前記測定チップ(4)が、その端部に配置された球(5)を有する物理的な測定チップ(4)を含むことを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の測定プローブ。
【請求項6】
前記測定チップが仮想的なチップによって構成され、前記仮想的なチップの測定対象物への接近を検知するために、光学センサが配置されていることを特徴とする請求項1に記載の測定プローブ。
【請求項7】
前記各支持体(2)が、他のいずれの支持体によっても平衡位置に向かって付勢されないことを特徴とする請求項1に記載の測定プローブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−81014(P2011−81014A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−281742(P2010−281742)
【出願日】平成22年12月17日(2010.12.17)
【分割の表示】特願2007−519155(P2007−519155)の分割
【原出願日】平成17年6月20日(2005.6.20)
【出願人】(506360309)ヘキサゴン メトロロジー エービー (9)
【Fターム(参考)】