説明

廃棄物の好気性堆肥化発酵装置

【課題】水平回転攪拌装置を備えた台車をその長さ方向の中心部を中心として回転させる際、小さい動力ですみ、発酵装置に故障が少なくなり、発酵装置の大型化に対処できる利点を有しつつ、発酵装置の中心で被発酵物の目詰まりが生じ、故障を生じ易くなるという新たな問題を解決できる好気性堆肥化発酵装置を提供する。
【解決手段】台車5と撹拌装置4との相互の長さ方向の中心線の方向を一致させ、被発酵物9を発酵装置1の外周に集め、発酵槽2に設けられた開口部203から直接、又は、当該発酵槽を内体部2としてその外側に外体部3を設け、被発酵物9を内体部2の開口部203から外体部3に送出して、外体部3から発酵装置1の外部に排出するようにした。その際に、攪拌装置4を、台車5の中心部を境にして対称位置に各々同数ずつ上下方向に複数配置しそれらを共に正逆同一方向に回転するか又は正逆異なった方向に回転するように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃棄物の好気性堆肥化発酵装置に関し、特に、家庭ごみ、各種汚泥、農畜産廃棄物等の有機系廃棄物を堆肥化することのできる発酵装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
堆肥は、わら、野草などに動物の排泄物を混合し、これを野外に堆積し、長時間かけて発酵させることにより製造されているが、労力を要する等の理由から、これを機械的な撹拌装置(攪拌機)を有する発酵装置(発酵槽)を用いて製造することが行われており、例えば、化学肥料や農薬等を使用しない家庭ごみ、各種汚泥、農畜産廃棄物等の有機系廃棄物を、おが屑や好気性バクテリアなどと共に、発酵槽に入れて、機械的に攪拌し、好気性のバクテリアを活性化し、有機系廃棄物の発酵を促進させて堆肥としての発酵肥料を得ることが行われている。
当該発酵装置においては、撹拌装置が下部(裏面)に取付けられた台車を用い、当該台車の移動と共に当該撹拌装置を移動させて、当該発酵肥料を得ることが行われている。
当該撹拌装置が下部(裏面)に取付けられた台車の移動を、円筒容器(発酵槽)の中心点を中心として、当該円筒容器の半径上を周回させる機構がある(特開平10−118478号公報)。しかし、当該機構では、当該中心点における回転軸に大きな力の回転モ−メントが働き、その損傷が激しいのみならず、当該台車を回転させる駆動動力が大きいものを要する等という問題がある。
それに対して、当該円筒容器の直径方向に攪拌装置を備えた台車を積載し、当該台車を、当該台車の長さ方向の中心部を中心として回転させてなる機構がある(特開2002−273392号公報、特開2005−75709号公報)。当該機構によれば、小さな力の回転モ−メントで当該台車を回転させることができるので、上記のような回転軸に大きな力の回転モーメントが働きその損傷が激しいという事態を回避できると共に、攪拌装置を備えた台車を回転させる動力も小さくて済むと共に、発酵装置に故障が少なくなるので、その点検・取扱が容易となってその点検・取扱に要する費用も安くすることができ、小さな力の回転モ−メントで台車を回転させることができる等のことから、当該発酵装置の大型化にも対処できるようになった。
又、当該発酵装置における撹拌装置にあっては、縦軸に回転するようにしてなる撹拌装置がある一方で(特開2007−283158号公報)、その水平軸を中心として回転させてなる撹拌装置もある(特開2002−273392号公報、特開2005−75709号公報)。
更に、当該水平軸を中心として回転させる撹拌装置を当該台車に取付ける場合、当該攪拌機の長さ方向の中心線と当該台車の長さ方向の中心線との方向を一致させている場合がある(特開平10−118478号公報)。その一方で、当該攪拌機の長さ方向の中心線と当該台車の長さ方向の中心線との方向を一致させないで適度の角度を設けてなる場合がある(特開2002−273392号公報、特開2005−75709号公報)。
当該前者の当該攪拌機の長さ方向の中心線と当該台車の長さ方向の中心線との方向を一致させる場合も、後者の当該攪拌機の長さ方向の中心線と当該台車の長さ方向の中心線との方向を一致させないで角度を設ける場合も、共に、当該台車の旋回につれ、被発酵物を、円筒容器の外周よりその中心に移動させて当該中心にて当該被発酵物を排出できるようにする為であるが、前者の台車を円筒容器の半径上を周回させる機構では、当該発酵装置の大型化に伴い、被発酵物の中心への移動も効率的に行われないという問題がある一方で、後者の特開2002−273392号公報及び特開2005−75709号公報では、当該攪拌機の長さ方向の中心線と当該台車の長さ方向の中心線との方向を一致させないで角度を設けるようにすることにより、当該台車の旋回に伴う当該撹拌装置の回転攪拌により、被発酵物を、当該発酵装置の外周から、その中心に効率的に移動させ、効率的に当該発酵装置の中心部で発酵肥料を排出させることができるようにし、当該問題を解決している。
しかるに、当該攪拌装置の長さ方向の中心線と当該台車の長さ方向の中心線との方向を一致させないで角度を設け、当該台車の旋回に伴う当該撹拌装置の回転攪拌により、被発酵物を、当該発酵装置の外周から、その中心に、効率的に移動させ、効率的に当該発酵装置の中心部で発酵肥料を排出させるようにする場合、当該発酵装置の中心で被発酵物の目詰まりが生じ易く、その為に、当該発酵装置に故障を生じ易くなるという新たな問題を生起するようになった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−118478号公報、特開2007−283158号公報、特開2002−273392号公報、特開2005−75709号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記発酵装置の利点を活かしつつその有する欠点を解消することの出来る技術を提供することを目的としたものである。
本発明の他の目的や新規な特徴については本件明細書及び図面の記載からも明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の特許請求の範囲は、次の通りである。
(請求項1)廃棄物を発酵させて堆肥化することができる廃棄物の堆肥化発酵装置であって、当該発酵装置は、廃棄物を攪拌し発酵させることができる内体部と当該内体部の外側の外体部とを備え、当該内体部の上部直径方向に水平軸を中心として回転する水平回転攪拌装置を備えた台車を積載してなり、当該台車は、当該台車の長さ方向の中心部を中心として当該内体部の上部を当該撹拌装置と共に回転させてなるように構成し、当該台車と当該撹拌装置とは相互の長さ方向の中心線の方向が一致しており、当該攪拌装置は、当該台車の中心部を境にして対称位置に各々同数ずつ複数配置してなると共に、上下方向に複数配置してなり、当該複数の攪拌装置は、共に正逆同一方向に回転するか又は正逆異なった方向に回転するように構成され、当該内体部にて処理された廃棄物は、当該内体部に設けられた開口部から当該内体部の外側の当該外体部に送出されて当該外体部から排出されるようになっており、当該堆肥化発酵装置では、空気噴射装置を備え、当該空気噴射装置から当該内体部の内部の廃棄物中に空気が送出されるようになっていることを特徴とする廃棄物の好気性堆肥化発酵装置。
(請求項2)廃棄物を発酵させて堆肥化することができる廃棄物の堆肥化発酵装置であって、当該発酵装置は、廃棄物を攪拌し発酵させることができる発酵槽の上部直径方向に水平軸を中心として回転する水平回転攪拌装置を備えた台車を積載してなり、当該台車は、当該台車の長さ方向の中心部を中心として当該発酵槽の上部を当該撹拌装置と共に回転させてなるように構成し、当該台車と当該撹拌装置とは相互の長さ方向の中心線の方向が一致しており、当該攪拌装置は、当該台車の中心部を境にして対称位置に各々同数ずつ複数配置してなると共に、上下方向に複数配置してなり、当該複数の攪拌装置は、共に正逆同一方向に回転するか又は正逆異なった方向に回転するように構成され、当該発酵槽にて処理された廃棄物は、当該発酵槽に設けられた開口部から外部に排出されるようになっており、当該堆肥化発酵装置では、空気噴射装置を備え、当該空気噴射装置から当該発酵槽の内部の廃棄物中に空気が送出されるようになっていることを特徴とする廃棄物の好気性堆肥化発酵装置。
【発明の効果】
【0006】
本発明の請求項1によれば、発酵装置における廃棄物を攪拌し発酵させることができる内体部(発酵槽)の上部直径方向に水平軸を中心として回転する水平回転攪拌装置を備えた台車を積載し、当該台車を、当該台車の長さ方向の中心部を中心として当該内体部の上部を当該撹拌装置と共に回転させることによる利点を活かしつつ、改良された当該発酵装置を提供することができる。
即ち、当該発酵装置における内体部の上部直径方向に水平軸を中心として回転する水平回転攪拌装置を備えた台車を積載し、当該台車は、当該台車の長さ方向の中心部を中心として当該内体部の上部を当該撹拌装置と共に回転させることにより、小さな力の回転モーメントで台車を回転させることができるので、前記従来例の発酵装置に見られた回転軸に大きな力の回転モ−メントが働きその損傷が激しいという事態を回避できると共に、攪拌装置を備えた台車を回転させる動力(モ−タ)も小さくて済み、又、発酵装置に故障が少なくなるので、その点検・取扱が容易となるのみならず、その点検・取扱に要する費用も安くすることができ、小さな力の回転モーメントで台車を回転させることができる等のことから、発酵装置が大型化すればする程、増々、有効になり、当該発酵装置の大型化に対処できる。
その際に、従来例とは異なり、当該攪拌装置の長さ方向の中心線と台車の長さ方向の中心線との間に角度は持たせずに、当該攪拌装置の長さ方向の中心線と台車の長さ方向の中心線との方向を一致させて、従来例の当該攪拌装置の長さ方向の中心線と台車の長さ方向の中心線との間に角度を持たせて被発酵物を当該発酵装置の外周からその中心に移動させ当該発酵装置の中心部で発酵肥料を排出させる場合の欠点である廃棄物の目詰まりやそれに伴う当該発酵装置の故障を回避できるようにした。
即ち、本発明では、当該攪拌装置の長さ方向の中心線と台車の長さ方向の中心線との方向を一致させることにより、被発酵物を、当該内体部(発酵槽)の外周に、攪拌発酵しつつ、移送することができるようにし、その為に、当該発酵装置にあっては、廃棄物を攪拌し発酵させることができる内体部の外側に外体部を備えるようにし、且つ、当該内体部に開口部を設け、被発酵物を当該開口部から当該外体部に送出して当該外体部から排出されるようにしたので、被発酵物が当該発酵装置の中央に集中して目詰まりやそれに伴う故障を回避できるようになった。
又、本発明では、攪拌装置を備えた台車において、当該攪拌装置を、複数の攪拌装置で構成し、当該複数の攪拌装置を、台車の中心部を境にして対称位置に各々同数ずつ配置して、当該台車に作用する力を左右対称で安定化し、当該台車の両端に作用する回転モーメントを小さくし、又、当該攪拌装置を備えた台車を回転させる動力を小さく済ませ、更には、当該攪拌装置を、当該台車の中心部を境にして対称位置に各々同数ずつ複数配置する場合に、上下方向に複数配置するようにして、当該複数の攪拌装置が、共に正逆同一方向に回転するか又は正逆異なった方向に回転するように構成することにより、より効率的な攪拌延いては発酵をすることができるようになった。
更に、本発明による当該堆肥化発酵装置では、空気噴射装置を備えるようにして、当該空気噴射装置から当該発酵槽の内部の被発酵物中に空気を送出されるようにした。
これにより、廃棄物として家庭ごみ、各種汚泥、農畜産廃棄物等の有機系廃棄物とおが屑や好気性バクテリアなどとの混合物を、当該発酵槽に供給して、水平回転攪拌機で機械的に攪拌し、被発酵物中の好気性のバクテリアを活性化し、有機系廃棄物の発酵を促進させて堆肥としての発酵肥料を得る際に、好気性のバクテリアをより一層活性化し、又、上記のように、複数の攪拌装置を上下方向に複数配置して、当該複数の攪拌装置が共に正逆同一方向に回転するか又は正逆異なった方向に回転する時に、被発酵物中にエア−が効率的に噴射され、好気性のバクテリアをより一層活性化することができるようになった。
本発明の請求項2によれば、請求項1と同様に、発酵装置における廃棄物を攪拌し発酵させることができる内体部(発酵槽)の上部直径方向に水平軸を中心として回転する水平回転攪拌装置を備えた台車を積載し、当該台車を、当該台車の長さ方向の中心部を中心として当該内体部の上部を当該撹拌装置と共に回転させることによる利点を活かしつつ、改良された当該発酵装置を提供することができる。
当該請求項2では、請求項1のように、内体部と外体部とを備えた発酵装置では無く、当該内体部に相当する発酵槽のみとし、当該発酵槽に開口部を設け、被発酵物を当該開口部から直接外部に排出されるようにしており、他の基本的な構成は、当該請求項1の発酵装置と同様とした。当該請求項1の発酵装置と同様の利点を有し、又、外体部を要しない点などから設備費も易く済む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
次に、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【0008】
図1及び図2に示すように、本発明による廃棄物の好気性堆肥化発酵装置1は、内体部2と外体部3とを備えてなる。
当該内体部2は、例えば、円筒容器よりなり、廃棄物を攪拌し発酵させることができる。
当該外体部3は、当該内体部2の外側に位置し、当該内体部2から送出されてきた被発酵物を貯留する。当該外体部3は、例えば、柱を立脚し壁組を構築したり、又は、当該内体部2と同様に円筒容器よりなっていればよい。
本発明では、被発酵物を当該内体部(発酵槽)の外周に攪拌発酵しつつ移送し、当該内体部の外側に備えた外体部に被発酵物を貯留するようにし、当該内体部に開口部を設け、被発酵物を当該内体部の開口部から当該外体部に送出して当該外体部から排出されるようにした。
これにより、被発酵物が当該発酵装置の中央に集中して目詰まりやそれに伴う故障を生起することを回避できるようになった。
【0009】
当該内体部(発酵槽)2には、その上端部200の一端縁部201から他端縁部202にかけて攪拌装置4を備えた台車5を積載してなる。即ち、当該攪拌装置4を備えた台車5は、当該発酵槽2の直径方向に積載してなる。
当該台車5は、その下部側に、車輪6を有し、当該図2に示す実施例では、円筒容器よりなる内体部2の上端部200の一端縁部201側に2個の車輪6を有し、又、その他端縁部202側にも、同様に、2個の車輪6を有している。
当該台車5は、その長さ方向の中心部500を中心として、当該車輪6により、当該内体部2の上端部200の端縁部を回転する。
当該台車5の中心部500は、図示のように、当該内体部2の中央部に構築された橋梁構造物7の上に積載されている。当該橋梁構造物7は、例えば円型状に構成され、当該内体部2と同心円上に構成されている。
当該台車5の中心部500には、4個の車輪6が取り付けられている。当該台車5の中心部500は、当該橋梁構造物7の上を、当該車輪6により回転する。
【0010】
台車5に付設された攪拌装置4は、複数の攪拌装置より構成される。当該複数の攪拌装置は、図1に示すように、台車5の中心部500を境にして対称位置に各々2ヶずつ配置してなる。
当該攪拌装置4は、図1及び図3に示す実施例では、上下方向に2個配置されている。
当該攪拌装置4は、水平軸を中心として回転する。当該攪拌装置4は、水平回転攪拌機により構成されている。当該攪拌装置4には、図3に示すように、それらを駆動するモ−タが取り付けられている。
当該上下方向に2個配置されている攪拌装置4は、図1及び図3に示すように、共に正逆同一方向に回転するか又は正逆異なった方向に回転するように構成される。
図3に示すように、制御装置8により当該正逆回転方向を制御することができる
当該複数の攪拌装置4,4で、且つ、共に正逆同一方向に回転するか又は正逆異なった方向に回転するように構成されることにより、効果的な攪拌・発酵をなし得る。
【0011】
図2に示すように、当該台車5の長さ方向の中心線と当該攪拌装置4の長さ方向の中心線とは同じ方向とする。
図1及び図2に示すように、当該発酵槽2において、当該攪拌装置4付き台車5を、当該台車5の長さ方向の1/2の中心点500を中心として、矢標に示すように、平面回転させ、同時に、攪拌装置4を水平回転させると、当該台車5に取付られた攪拌装置4の攪拌羽根は、当該台車5の平面回転による移動に伴い、被発酵物9を後方又は前方へ攪拌移送する。 台車5に取付られた攪拌装置4は、台車5に対し、相互の長さ方向の中心線の方向が一致し、同一方向に設けられているので、被発酵物9を、当該発酵槽2の外周に、攪拌発酵しつつ、移送する。
図2に示すように、被発酵物9は、矢標で示すように、当該台車5の回転方向とは逆の方向又は同一方向に攪拌移送される。
当該発酵槽2にて処理された被発酵物は、当該発酵槽2に設けられた開口部203から当該発酵槽2の外側の外体部3に送出されて、当該外体部3の底部開口300から外部に排出される。
図1及び図4に示すように、被発酵物9は、当該外体部3の底部開口300から排出されて、コンベア10に落下され外部へと取り出され、図示していないが、造粒機などに掛けられ発酵肥料にされる。
【0012】
当該発酵槽2においては、被発酵物9として家庭ごみ、各種汚泥、農畜産廃棄物等の有機系廃棄物とおが屑や好気性バクテリアなどとの混合物を、当該発酵槽2に供給して、攪拌装置4で機械的に攪拌し、被発酵物9中の好気性のバクテリアを活性化し、有機系廃棄物の発酵を促進させて堆肥としての発酵肥料を得るので、例えば、図1に示すように、空気(エア−)の噴射装置11を用いて、被発酵物9中にエア−を噴射するようにする。
図4に示すように、当該空気(エア−)の噴射装置11には、送風機12から空気を供給することができるようになっている。尚、当該送風機12は、脱臭装置13に接続されて、当該発酵装置1からの脱臭を行うことが出来る。
図4に示すように、被発酵物9は、コンベア14などにより、当該発酵槽2に供給することができる。
【0013】
本発明では、発酵装置1において、内体部2の上端部200の一端縁部201から他端縁部202にかけて攪拌装置4を備えた台車5を積載する。当該内体部2が、ここで例示するような円筒容器よりなる円筒型発酵装置(槽)の場合には、攪拌装置4付き台車5を、当該円筒容器2の直径方向に積載し、当該攪拌装置4付き台車5を、当該台車5の長さ方向の1/2の中心点500を中心として、平面回転させるので、従来例の円筒容器の半径上を周回させる機構に比較して1/2の力で回転させることができ、動力(モータ)が小さいもので済むので、故障も少なく、点検・取扱が容易となるのみならず、点検・取扱に要する費用も安く済む。従来例の発酵装置に見られた回転軸に大きな力の回転モ−メントが働きその損傷が激しいという事態を回避できると共に、小さな力の回転モ−メントで台車5を回転させることができる等のことから、発酵装置1が大型化すればする程、増々、有効になり、当該発酵装置1の大型化に対処できる。
本発明では、その発酵装置1において、従来例とは異なり、当該攪拌装置4の長さ方向の中心線と台車5の長さ方向の中心線との間に角度は持たせずに、当該攪拌装置4の長さ方向の中心線と台車5の長さ方向の中心線との方向を一致させて、従来例の当該攪拌装置の長さ方向の中心線と台車の長さ方向の中心線との間に角度を持たせて被発酵物を当該発酵装置の外周からその中心に移動させ当該発酵装置の中心部で発酵肥料を排出させる場合の欠点である廃棄物の目詰まりやそれに伴う当該発酵装置の故障を回避できるようにした。
即ち、当該攪拌装置4の長さ方向の中心線と台車5の長さ方向の中心線との方向を一致させることにより、本発明では、被発酵物9を、当該内体部(発酵槽)2の外周に、攪拌発酵しつつ、移送することができるようになり、その為に、当該発酵装置1にあっては、廃棄物を攪拌し発酵させることができる内体部2の外側に外体部3を備えるようにし、且つ、当該内体部2に開口部203を設け、被発酵物9を当該開口部203から当該外体部3に送出して当該外体部3から排出されるようにした。これにより、本発明では、被発酵物9が当該発酵装置1の中央に集中して目詰まりやそれに伴う故障を回避できるようになった。
又、本発明では、攪拌装置4を備えた台車5において、当該攪拌装置4を、複数の攪拌装置4,4で構成し、当該複数の攪拌装置4,4を、台車5の中心部500を境にして対称位置に各々同数ずつ配置して、当該台車5に作用する力を左右対称で安定化し、当該台車5の両端に作用する回転モ−メントを小さくし、又、当該攪拌装置4を備えた台車5を回転させる動力を小さく済ませ、更には、当該攪拌装置4を、当該台車5の中心部500を境にして対称位置に各々同数ずつ複数配置する場合に、上下方向に複数配置するようにして、当該複数の攪拌装置4,4が、共に正逆同一方向に回転するか又は正逆異なった方向に回転するように構成することにより、より効率的な攪拌延いては発酵をすることができるようになった。
更に、本発明による当該堆肥化発酵装置1では、空気噴射装置11を備えるようにして、当該空気噴射装置11から当該発酵槽2の内部の被発酵物中に空気を送出されるようにした。
これにより、廃棄物として家庭ごみ、各種汚泥、農畜産廃棄物等の有機系廃棄物とおが屑や好気性バクテリアなどとの混合物を、当該発酵槽に供給して、水平回転攪拌装置で機械的に攪拌し、被発酵物中の好気性のバクテリアを活性化し、有機系廃棄物の発酵を促進させて堆肥としての発酵肥料を得る際に、好気性のバクテリアをより一層活性化し、又、上記のように、複数の攪拌装置4,4を上下方向に複数配置して、当該複数の攪拌装置4,4が共に正逆同一方向に回転するか又は正逆異なった方向に回転する時に、被発酵物中にエア−が効率的に噴射され、好気性のバクテリアをより一層活性化することができるようになった。
上記から、本発明によれば、発酵装置1における廃棄物を攪拌し発酵させることができる内体部(発酵槽)2の上部直径方向に水平軸を中心として回転する水平回転攪拌装置4を備えた台車5を積載し、当該台車5を、当該台車5の長さ方向の中心部500を中心として当該内体部2の上部200を当該撹拌装置4と共に回転させることによる利点を活かしつつ、改良された当該発酵装置を提供することができた。
【0014】
次に、本発明の他の実施例を図面に基づいて説明する。
図5及び図6に示すように、上記実施例1のような外体部を備えた発酵装置では無く、当該内体部に相当する発酵槽2のみとした発酵装置1とし、当該発酵槽2に開口部203を設け、被発酵物を当該発酵槽2の開口部203から配管15により直接外部に排出されるようにした。当該実施例2における他の基本的な構成は、当該実施例1の発酵装置1と同様であり、その説明を省略する。
当該実施例2の発酵装置1は、実施例1の発酵装置1と同様の利点を有し、又、実施例1の発酵装置1とは外体部を要しない点などから設備費も易く済む。
【0015】
本発明の実施例2の発酵装置1によれば、実施例1の発酵装置1と同様に、発酵装置1において、廃棄物を攪拌し発酵させることができる発酵槽2の上部200直径方向に水平軸を中心として回転する水平回転攪拌装置4を備えた台車5を積載し、当該台車5を、当該台車5の長さ方向の中心部を中心として当該発酵槽2の上部を当該撹拌装置4と共に回転させることによる利点を活かしつつ、改良された当該発酵装置を提供することができる。
【0016】
本発明は、適宜変更が可能であり、例えば、前記実施例では、内体部(発酵槽)として円筒型発酵槽を例示したが、角型等の他の発酵槽に適用してもよい。又、外体部として円筒型を例示したが、角型等の他の形態であってもよい。更に、前記実施例では、台車の中心部が、発酵槽の中央部に構築された橋梁構造物の上に積載され、当該台車が当該橋梁構造物の上を回転する例を示したが、ベアリングなどにより、回転させるようにしてもよい。更に又、複数の攪拌装置において、一方の撹拌装置の径を細くする等の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0017】
本発明は、各種の廃棄物に対応できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施例を示す廃棄物の好気性堆肥化発酵装置の断面図である。
【図2】本発明の実施例を示す廃棄物の好気性堆肥化発酵装置の平面図である。
【図3】本発明の実施例を示す廃棄物の好気性堆肥化発酵装置の左半分の側面図である。
【図4】本発明の実施例を示す廃棄物の好気性堆肥化発酵装置の全体模式構成図である。
【図5】本発明の他の実施例を示す廃棄物の好気性堆肥化発酵装置の断面図である。
【図6】本発明の他の実施例を示す廃棄物の好気性堆肥化発酵装置の平面図である。
【符号の説明】
【0019】
1 廃棄物の好気性堆肥化発酵装置
2 内体部
3 外体部
4 攪拌装置
5 台車
6 車輪
7 橋梁構造物
8 制御装置
9 被発酵物
10 コンベア
11 空気の噴射装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄物を発酵させて堆肥化することができる廃棄物の堆肥化発酵装置であって、当該発酵装置は、廃棄物を攪拌し発酵させることができる内体部と当該内体部の外側の外体部とを備え、当該内体部の上部直径方向に水平軸を中心として回転する水平回転攪拌装置を備えた台車を積載してなり、当該台車は、当該台車の長さ方向の中心部を中心として当該内体部の上部を当該撹拌装置と共に回転させてなるように構成し、当該台車と当該撹拌装置とは相互の長さ方向の中心線の方向が一致しており、当該攪拌装置は、当該台車の中心部を境にして対称位置に各々同数ずつ複数配置してなると共に、上下方向に複数配置してなり、当該複数の攪拌装置は、共に正逆同一方向に回転するか又は正逆異なった方向に回転するように構成され、当該内体部にて処理された廃棄物は、当該内体部に設けられた開口部から当該内体部の外側の当該外体部に送出されて当該外体部から排出されるようになっており、当該堆肥化発酵装置では、空気噴射装置を備え、当該空気噴射装置から当該内体部の内部の廃棄物中に空気が送出されるようになっていることを特徴とする廃棄物の好気性堆肥化発酵装置。
【請求項2】
廃棄物を発酵させて堆肥化することができる廃棄物の堆肥化発酵装置であって、当該発酵装置は、廃棄物を攪拌し発酵させることができる発酵槽の上部直径方向に水平軸を中心として回転する水平回転攪拌装置を備えた台車を積載してなり、当該台車は、当該台車の長さ方向の中心部を中心として当該発酵槽の上部を当該撹拌装置と共に回転させてなるように構成し、当該台車と当該撹拌装置とは相互の長さ方向の中心線の方向が一致しており、当該攪拌装置は、当該台車の中心部を境にして対称位置に各々同数ずつ複数配置してなると共に、上下方向に複数配置してなり、当該複数の攪拌装置は、共に正逆同一方向に回転するか又は正逆異なった方向に回転するように構成され、当該発酵槽にて処理された廃棄物は、当該発酵槽に設けられた開口部から外部に排出されるようになっており、当該堆肥化発酵装置では、空気噴射装置を備え、当該空気噴射装置から当該発酵槽の内部の廃棄物中に空気が送出されるようになっていることを特徴とする廃棄物の好気性堆肥化発酵装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−68525(P2011−68525A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−222027(P2009−222027)
【出願日】平成21年9月28日(2009.9.28)
【出願人】(598163112)光地環整工研株式会社 (2)
【Fターム(参考)】