説明

廃棄物処理システム

【課題】 伝染性の強い家禽類廃棄物を、より衛生的、かつ、迅速に、安い処理費用で処理できる、車両に搭載可能な廃棄物処理システムを提供する。
【解決手段】 本発明の廃棄物処理システムは、廃棄物処理システムであって、廃棄物が投入される粉砕タンクと、前記粉砕タンク内に投入された廃棄物を粉砕してスラリー化する粉砕手段と、前記粉砕タンクに連結されて前記粉砕タンク内のスラリーを加熱乾燥する加熱乾燥タンクと、前記加熱乾燥タンクを加熱する加熱装置と、前記スラリーの加熱乾燥により発生する水蒸気を排出する水蒸気排出手段と、前記加熱乾燥されたスラリーを排出するスラリードレイン手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は廃棄物処理システムに関し、更に詳細には、伝染性の強い家禽類廃棄物が発生した場所に速かに移動して短時間内に大量の伝染性家禽類の廃棄物を処理できるように車両に搭載できる高効率の移動型廃棄物処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、鶏やアヒル、ガチョウなどの家禽類は伝染病又は悪化した飼育環境などにより大量斃死が頻繁に発生し、その場合は伝染病の広がりを防ぐために、その家禽類廃棄物を地中に埋めて処理している。
【0003】
しかしながら、このように地中に埋めて処理する方法は、家禽類廃棄物内の伝染性細菌や腐敗した廃棄物などにより汚染した浸出水を排出するようになることから、土壌や地下水、空気などに汚染物質が伝達され、各種伝染病が広がる可能性が非常に高いという問題点がある。
【0004】
一方、廃棄物処理装置として、下記の特許文献1(医療廃棄物廃棄装置)及び特許文献2(名称:医療廃棄物滅菌装置)には電気モータを駆動源とする回転ドラムとドラムの内壁にある破砕ブレードによって廃棄物を粉砕した後、熱媒体を投入して殺菌し、圧縮ピストンを用いて廃棄物を圧搾、排出する装置が開示されている。
【0005】
また、下記の特許文献3(名称:生ゴミ処理用自動車の移送脱水装置)には、生ゴミを低速の粉砕ロールで粉砕し、バレル(タンク)の内部を真空処理する真空脱水方式が開示されている。
【0006】
このような先行技術は、生ゴミの粉砕効率を低下させ、生体組織と体液からなる家禽類廃棄物の処理に適していない。
【0007】
更に、下記の非特許文献1は、韓国における医療廃棄物の管理に関する研究内容であって、廃棄物の生成、分類、移送、そして処理に関する内容と問題点、及びその代案について開示しているが、臓器摘出物だけでなく、プラスチック製品が多量に含まれている複合廃棄物である医療廃棄物の処理方法に関するものであり、これも生体組織と体液などからなる家禽類廃棄物の処理には適していない。
【0008】
そのため、伝染性の強い家禽類廃棄物に対して、より衛生的かつ迅速な、処理費用も安い処理装置の開発が切実に求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】韓国公開実用新案公報第2000−0000340号明細書
【特許文献2】韓国登録特許第0287075号明細書
【特許文献3】韓国公開特許公報第1998−56356号明細書
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Y.C. Jang et al., 2006 “Medical Waste Management in Korea”, J. of Envirommental Management, Vol 80, pp107−115
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、伝染性の強い家禽類廃棄物を、より衛生的かつ迅速に、安い処理費用で処理できる、車両搭載可能な廃棄物処理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的を達成するために、本発明による廃棄物処理システムは、廃棄物処理システムであって、廃棄物が投入される粉砕タンクと、前記粉砕タンク内に投入された廃棄物を粉砕してスラリー化する粉砕手段と、前記粉砕タンクに連結されて前記粉砕タンク内のスラリーを加熱乾燥する加熱乾燥タンクと、前記加熱乾燥タンクを加熱する加熱装置と、前記スラリーの加熱乾燥により発生する水蒸気を排出する水蒸気排出手段と、前記加熱乾燥されたスラリーを排出するスラリードレイン手段とを備える。
【発明の効果】
【0013】
本発明による廃棄物処理システムは、自動車などの移送手段に搭載可能な移動型にでき、廃棄物の発生場所に速やかに移動して処理作業を行えるので、伝染性の強い家禽類廃棄物の放置による伝染病の広がりを防止でき、かつ別途の動力源がなくても自動車のエンジンの駆動力により駆動される油圧装置を用いることで、システム全体を簡単に製作できるだけでなく、高速で回転する粉砕ブレードを用いることで、家禽類廃棄物の粉砕効率に優れているという効果を奏する。
【0014】
また、本発明の廃棄物処理システムは、粉砕した廃棄物を高温の加熱装置を用いて殺菌させるため、鳥インフルエンザなどに感染して伝染性の強い家禽類廃棄物を安全な一般廃棄物に転換できると共に、乾燥させることにより、最終廃棄物の量を顕著に減らすことができるので、その処理費用も画期的に低減できるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の好適な実施形態による廃棄物処理システムの構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付の図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態を更に詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明の好適な実施形態による廃棄物処理システムの構成を示す図であり、図示されるように、本発明の廃棄物処理システムは、家禽類などの廃棄物が投入される粉砕タンク30と、前記粉砕タンク30内に投入された廃棄物を粉砕してスラリー化する粉砕手段20と、前記粉砕タンク30に連結されて前記粉砕タンク30内のスラリー2を加熱乾燥する加熱乾燥タンク40と、前記加熱乾燥タンク40を加熱する加熱装置50と、前記スラリー2の加熱乾燥により発生する水蒸気を排出する水蒸気排出手段60と、前記加熱乾燥されたスラリー2を排出するスラリードレイン手段70と、前記廃棄物処理システムの作動を制御する制御手段80とを備え、車両に搭載される。
【0018】
粉砕手段20は、動力発生源10と、オイルが貯蔵されるオイルタンク24と、前記動力発生源により駆動される油圧ポンプ22と、前記油圧ポンプ22により前記オイルタンク24内のオイルに与えられた油圧により作動する油圧モータ26と、回転軸32が前記油圧モータ26に連結されて前記粉砕タンク30内に設けられる粉砕用ブレード28とからなる。しかし、動力発生源10は廃棄物処理装置が搭載された自動車のエンジンとなり得る。このとき、前記油圧ポンプ22と自動車のエンジンは周知の方法で連結される。また、回転軸32は粉砕タンク30の長手方向に沿って移動可能に固定され、粉砕用ブレード28は長手方向に移動しながら粉砕タンク30内に投入される家禽類を粉砕する。これとは異なり、回転軸32が長手方向に移動できないように構成され、粉砕用ブレード28が長手方向に移動できない状態で粉砕できるように構成できることはもちろんである。
【0019】
粉砕タンク30は、具体的に示してはいないが、その壁面又は内部に攪拌装置を更に備えるか、粉砕タンク30自体を回転自在に設置することが家禽類の粉砕効率を向上させる点で好ましい。また、粉砕タンク30には供給装置が更に備えられて廃棄物を所定量ずつ順次供給する。
【0020】
粉砕タンク30内で粉砕されたスラリー2は移送管34を介して加熱乾燥タンク40に移送され、移送管34には流体ポンプ(図示せず)と弁42が装着されてスラリー2の移送量を調節する。
【0021】
加熱乾燥タンク40に移送されたスラリー2は加熱装置50により約75℃以上の高温で加熱されて殺菌処理される。このような加熱乾燥タンク40は、加熱及び乾燥効率を向上させるために、その外部を保温又は断熱処理する。加熱装置50は、加熱源として電気、化石燃料、化学物質、高温の水とスチーム、高温のオイルのいずれか1つを用いて、加熱乾燥タンク40の内部に設置するか、又は外部に設置することもできるが、加熱及び乾燥効率の面では内外部に同時に設置されることが好ましい。
【0022】
また、加熱乾燥タンク40には生石灰、炭粉、泥、おがくず、古紙粉砕物、酵母菌などを適切に組み合わせて投入することで、加熱及び乾燥効率を向上させる。
【0023】
加熱乾燥タンク40には、水蒸気排出管66と、この配管66上に設置される送風器62と殺菌フィルタ64とからなる水蒸気排出手段60が提供され、また、ドレイン管72と、この配管72上に設置されるドレイン排出器74とからなるスラリードレイン手段70が提供される。
【0024】
以上のように構成される本発明の廃棄物排出システムの作動を説明すれば、以下の通りである。
【0025】
家禽類などの伝染性の強い廃棄物が発生すれば、本発明の廃棄物処理システムは、車両に搭載され得るので、廃棄物の発生場所に速かに移動した後、車両エンジンで発生する動力により油圧ポンプ22を稼動してオイルタンク24内のオイルに油圧を与えることで、油圧モータ26を回転させるようになる。これにより、油圧モータ26に連結されている粉砕用ブレード28が高速で回転するようになる。
【0026】
粉砕用ブレード28は、廃棄物が投入される粉砕タンク30の長手方向に設けられた回転軸32に位置して左右に移動するので、粉砕用ブレード28の高速回転により廃棄物が細かく粉砕される。粉砕された廃棄物は、家禽類の筋肉や骨などの生体組織、血液などの各種体液が混合されたスラリー2になった後、流体ポンプ(図示せず)と弁42が設置された移送管34を介して加熱乾燥タンク40に移送される。
【0027】
加熱乾燥タンク40は、その内外部に設置される加熱装置50により加熱されて高温に達するので、移送されたスラリー2は水分が蒸発しながら乾燥すると同時に、高温殺菌が行われる。例えば、最近、全世界にわたって発生し、焦眉の関心を集めている鳥インフルエンザの場合、75℃以上に加熱すれば、伝染の危険を防ぐことができるようになる。
【0028】
このように、加熱乾燥タンク40が加熱装置50により加熱されると、加熱乾燥タンク40内のスラリー2から水蒸気が発生して蒸発するようになる。この際に発生する水蒸気は、水蒸気排出手段60の水蒸気排出管66上に設置された送風器62と殺菌フィルタ64により水蒸気の内部に含まれている各種細菌や汚染粒子がろ過されて加熱乾燥タンク40の外部に排出される。
【0029】
一方、加熱乾燥タンク40内で乾燥が完了したスラリー2の廃棄物の残りはスラリードレイン手段70により加熱乾燥タンク40の外部に排出された後、ゴミ袋などのようなものに入れて一般ゴミと同じ処理過程で廃棄する。
【0030】
このように、本発明の廃棄物処理システムは、家禽類廃棄物を高温で殺菌処理することで、伝染の危険性のない一般廃棄物に転換させて一般家庭ゴミのように廃棄できると同時に、乾燥に伴う処理費用が画期的に安くなる。
【0031】
以上で説明した本発明による廃棄物処理システムは、好適な一実施形態に過ぎないものであり、前述した実施形態に限定されるものではない。例えば、1つの粉砕タンクに複数の加熱乾燥タンクが直列又は並列に連結されることもできる。このように、当該発明が属する分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲によって規定されるような本発明の範囲及び技術的精神を逸脱することなく、多様な変更を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0032】
10 動力発生源
20 粉砕手段
22 油圧ポンプ
24 オイルタンク
26 油圧モータ
28 粉砕用ブレード
30 粉砕タンク
40 加熱乾燥タンク
42 弁
50 加熱装置
60 水蒸気排出手段
70 スラリードレイン手段
80 制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄物処理システムであって、
廃棄物が投入される粉砕タンクと、
前記粉砕タンク内に投入された廃棄物を粉砕してスラリー化する粉砕手段と、
前記粉砕タンクに連結されて前記粉砕タンク内のスラリーを加熱乾燥する加熱乾燥タンクと、
前記加熱乾燥タンクを加熱する加熱装置と、
前記スラリーの加熱乾燥により発生する水蒸気を排出する水蒸気排出手段と、
前記加熱乾燥されたスラリーを排出するスラリードレイン手段と
を備える廃棄物処理システム。
【請求項2】
前記粉砕手段は、
動力発生源と、
オイルが貯蔵されるオイルタンクと、
前記動力発生源により駆動されて前記オイルを加圧する油圧ポンプと、
前記油圧ポンプにより前記オイルタンク内のオイルに与えられた油圧により作動する油圧モータと、
回転軸が前記油圧モータに連結されて前記粉砕タンク内に設けられる粉砕用ブレードと
を備えることを特徴とする請求項1に記載の廃棄物処理システム。
【請求項3】
前記粉砕用ブレードは、前記粉砕タンクの長手方向に沿って移動されることを特徴とする請求項2に記載の廃棄物処理システム。
【請求項4】
前記粉砕タンクの壁面又は内部には攪拌装置を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の廃棄物処理システム。
【請求項5】
前記粉砕タンクは、回転自在に設けられることを特徴とする請求項1に記載の廃棄物処理システム。
【請求項6】
前記粉砕タンクには、一定量の廃棄物を順次供給する供給装置を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の廃棄物処理システム。
【請求項7】
前記スラリーは、前記加熱乾燥タンク内において高温で加熱されて殺菌処理されることを特徴とする請求項1に記載の廃棄物処理システム。
【請求項8】
前記加熱乾燥タンクは、その外部を保温又は断熱処理することを特徴とする請求項1に記載の廃棄物処理システム。
【請求項9】
前記加熱装置は、電気、化石燃料、化学物質、高温の水とスチーム、高温のオイルのいずれか1つを用いることを特徴とする請求項1に記載の廃棄物処理システム。
【請求項10】
前記加熱装置は、前記加熱乾燥タンクの内部又は外部に同時に設けられることを特徴とする請求項1に記載の廃棄物処理システム。
【請求項11】
前記加熱乾燥タンクには、生石灰、炭粉、泥、おがくず、古紙粉砕物、酵母菌のいずれか1つまたはその組合が投入されることを特徴とする請求項1に記載の廃棄物処理システム。
【請求項12】
前記粉砕タンクには、複数の加熱乾燥タンクが直列又は並列に連結されることを特徴とする請求項1に記載の廃棄物処理システム。
【請求項13】
前記廃棄物処理システムは、車両に搭載されることを特徴とする請求項2に記載の廃棄物処理システム。
【請求項14】
前記動力発生源は、前記車両のエンジンであることを特徴とする請求項13に記載の廃棄物処理システム。

【図1】
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【公開番号】特開2009−233664(P2009−233664A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−74099(P2009−74099)
【出願日】平成21年3月25日(2009.3.25)
【出願人】(595001181)コリア インスティテュート オブ サイエンス アンド テクノロジー (25)
【Fターム(参考)】