説明

廃棄物処理装置

【課題】ガス改質炉の炉壁の耐用寿命を長期化することが可能な廃棄物処理装置の提供。
【解決手段】廃棄物を部分酸化・ガス化、溶融するガス化溶融炉5と、ガス化溶融炉の上部に接続して設けられ酸素含有ガス供給口44を有し、ガス化溶融炉で生成したガスを改質する円筒形状のガス改質炉5bとを有する廃棄物処理装置において、ガス改質炉からガスを排出するガスダクト40がガス改質炉の頂部周壁に設けられており、ガス改質炉の水平断面におけるガスダクトの方向が、下記(A)及び(B)のいずれかの条件を満たしており、ガス改質炉内に旋回流を形成するようになっていることを特徴とする廃棄物処理装置。(A)接線方向であること、(B)ガス改質炉の中心からガスダクトの設けられた頂部周壁の位置に向かう方向に対して所定角度偏向した方向であること

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃棄物をガス化、溶融処理する廃棄物処理装置に関し、ガス改質炉の炉壁の耐用寿命を長期化することが可能な廃棄物処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、廃棄物処理場の不足が顕著化しており、産業廃棄物あるいは一般廃棄物の多くは、発生したままの姿で、あるいは何らかの事前処理の上、焼却処理し減容化した後に、埋立などの最終処分が行われる場合が多い。上記した焼却処理の方法として種々の方法が挙げられるが、近年、焼却場における発生ガス中のダイオキシン類など有害物質の管理が問題となっており、高温酸化雰囲気で有害物を分解することが可能な処理方法が求められている。
【0003】
このような高温処理が可能な廃棄物処理方法として、特許文献1〜4に開示された廃棄物処理プロセスが挙げられる。上記したプロセスは、廃棄物を圧縮成形後、乾燥、熱分解、炭化し、生成した炭化生成物を燃焼し、不燃分を溶融して、燃料ガスおよびスラグ、金属を得る廃棄物処理プロセスである。
【0004】
図5は従来の廃棄物処理設備の一例を側断面図によって示したものである。
図5において、1は廃棄物を回分的(バッチ的)に加圧、圧縮する圧縮装置、2は圧縮用ピストン、3は圧縮支持盤、4は圧縮された廃棄物(圧縮廃棄物)(以下圧縮成形物とも記す)を乾燥、熱分解するための水平型トンネル式加熱炉(以下、トンネル式加熱炉とも記す)、4aは圧縮成形物の乾燥領域、4bは圧縮成形物の熱分解領域、4eはトンネル式加熱炉4の入口、4fは高温反応炉5の側壁に設けられた圧縮成形物入口(:トンネル式加熱炉4の出口)、5は竪型の高温反応炉(上部はガス改質炉5a、下部はガス化溶融炉5b)、6a、6bはそれぞれトンネル式加熱炉4の側壁内に配設された加熱用高温ガスの流通パイプ、10a、10iは圧縮成形物、11i、11nは乾燥された圧縮成形物、12は乾燥、熱分解された廃棄物11の堆積層(以下、廃棄物堆積層とも記す)、14は溶融物、14Hは溶融物排出口、15はガス化溶融炉5bの下部へ酸素含有ガスを供給する酸素含有ガス供給管、15aは酸素含有ガス供給口、16は高温反応炉5の下部側壁に接続された水平型筒状加熱炉である溶融物加熱・保温炉、16eは溶融物加熱・保温炉の入口、17は溶融物加熱・保温炉内に高温燃焼ガスを供給する燃焼ガス供給装置(バーナ)、18はガス改質炉5aへ酸素含有ガスを供給する酸素含有ガス供給管、19はガス改質炉5aから改質ガスを排出するガスダクト、20は廃棄物投入口、21は廃棄物投入口の蓋、30は高温反応炉5から排出される高温反応炉発生ガスの急冷装置、31はガス精製装置、32はガス改質炉5aの改質ガス排出口、33は精製ガス、fは圧縮成形物10a、10iの移動方向、fは乾燥された圧縮成形物11i、11nの移動方向、fはトンネル式加熱炉4内で生成した熱分解ガスの流れ方向、fは高温反応炉5内への酸素含有ガスの吹き込み方向、fは圧縮用ピストン2の移動方向、fは圧縮支持盤3の移動方向、fは廃棄物投入口20の蓋21の回転方向を示す。
【0005】
図5に示す廃棄物処理設備においては、先ず、廃棄物投入口20から圧縮装置1内へ所定量供給した廃棄物を、回分的(バッチ的)に圧縮し、ち密な圧縮成形物10aとする。次に、この圧縮成形物10aを、外部から加熱された細長いトンネル式加熱炉4内へ押し込む。
【0006】
圧縮成形物10aの断面形状は、トンネル式加熱炉4の入口4eの内壁断面と同形、同一寸法であり、圧縮成形物10aはトンネル式加熱炉4の内壁と接触状態を保ったまま押し込まれるため、トンネル式加熱炉入口で加熱炉内雰囲気をシールできる。圧縮成形物10iは、順次新しい圧縮成形物が押し込まれる毎に、トンネル式加熱炉4内を滑りながら移動する。
【0007】
トンネル式加熱炉4は前記したように外部から加熱されており、内部は600℃程度まで昇温され、圧縮成形物10iの移動、昇温過程において、圧縮成形物10i中の水分と揮発分が蒸発、揮発され乾燥、熱分解される。乾燥、熱分解された圧縮成形物11nおよび熱分解により発生した熱分解ガスは、高温反応炉5の側壁に設けられた圧縮成形物入口4fから1000℃以上に維持された高温反応炉5内へ装入、供給される。
【0008】
高温反応炉5内へ供給された乾燥、熱分解された圧縮成形物11nは、高温反応炉5の下部(ガス化溶融炉5b)に乾燥、熱分解された廃棄物11の堆積層(廃棄物堆積層12)を形成する。ガス化溶融炉5bの下部に設けられた酸素含有ガス供給口15aから廃棄物堆積層12中へ酸素含有ガスが供給され、廃棄物11の熱分解炭素などの可燃物を燃焼させ、その熱エネルギーで廃棄物11の部分酸化・ガス化をさらに行うとともに、廃棄物11中の不燃分(金属、灰分など)を溶融し溶融物14を生成する。高温反応炉5の下部側壁に接続された溶融物加熱・保温炉16において、溶融物14を、バーナなどの燃焼ガス供給装置17から供給される高温燃焼ガスで加熱し、溶融物に含まれる微量の炭素などをガス化、除去し、溶融物14は溶融物排出口14Hから溶融スラグ、溶融金属として排出される。
【0009】
トンネル式加熱炉4から高温反応炉5に装入された熱分解ガスと、ガス化溶融炉5bの廃棄物堆積層12から発生したガスとは、高温反応炉5の上部(ガス改質炉5a)において、酸素含有ガス供給口18から酸素含有ガスが供給され一部が燃焼されて、ガス温度を1200℃以上にした領域で2秒以上滞留されて、タール分のクラッキング等が行われ、一酸化炭素と水素、水蒸気、二酸化炭素を主に含むガスに改質され、炉頂部の改質ガス排出口32からガスダクト19に排出され急冷装置30での冷却、ガス精製装置31での精製の後、燃料用の精製ガス33として回収される。
【0010】
ガス化溶融炉及びガス改質炉では炉内温度が高温となるため、炉本体は外側の鉄皮を耐火物で内張する構造となっている。ガス改質炉においては炉壁の耐火物は高温ガスと接しているため溶損等による消耗が激しく、耐火物が消耗すれば操業を停止して耐火物の張替え等の補修を行う必要があるが、補修を頻繁に行う必要があると処理設備の稼動効率が低下し処理コストの上昇を招くので、補修の頻度を低下させるべく、ガス改質炉壁の耐火物の耐用寿命を長期化することが必要である。
【0011】
特許文献5には、熱分解ガスを改質炉頂部から吹き込み、酸素を改質炉側壁部の高さ方向に複数段に分割して吹き込み、水蒸気を上から第一段目の酸素と共に改質炉内に斜め下向きの旋回流を形成するように導入することによって、従来のバーナー方式に比べて炉壁から離れた位置に燃焼フレームを形成し、加えて改質反応促進のガス化剤である水蒸気を第一段目の酸素ノズルから集中して吹き込むことによって、熱分解ガスの酸素燃焼による急激な温度上昇を緩和して、ノズル損耗や炉壁損耗を抑制することが記載されている。
また、特許文献6には、縦型改質炉において、中心向きから水平方向に30度以下偏心させた酸素供給ノズルによって炉内に酸素ガスを供給して炉内で旋回流を発生させ、これによって被改質ガスと酸素とを均一に混合させて改質部温度を均一にし、改質部耐火物の損傷を小さくすることが記載されている。
しかしながら、前記のような方法によってもなお耐火物の損傷は避けるには十分ではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平6−26626号公報
【特許文献2】特開平6−79252号公報
【特許文献3】特開平7−323270号公報
【特許文献4】特開平11−218313号公報
【特許文献5】特開2004−277647号公報
【特許文献6】特開2006−112714号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、前記した問題点を解決するため、廃棄物を部分酸化・ガス化、溶融する廃棄物処理装置において、ガス改質炉の炉壁の耐用寿命を長期化することが可能な廃棄物処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者等は、ガス改質炉の炉壁の耐用寿命を長期化するべく鋭意検討を進めた結果、ガス改質炉から改質ガスを抜き出す方向を特定の方向とすることにより炉壁の耐火物表面に過剰に高温のガスが接触することがなく耐火物の耐用寿命を長期化することができること、これと併せて、ガス改質炉への酸素含有ガス供給口の先端位置と方向を適切にすることにより耐火物の耐用寿命の更に長期化することができることを見出して本発明を完成した。
すなわち、本発明は以下に記載するとおりの廃棄物処理装置である。
【0015】
(1)廃棄物を部分酸化・ガス化、溶融するガス化溶融炉と、ガス化溶融炉の上部に接続して設けられ酸素含有ガス供給口を有しガス化溶融炉で生成したガスを改質する円筒形状のガス改質炉とを有する廃棄物処理装置において、ガス改質炉からガスを排出するガスダクトがガス改質炉の頂部周壁に設けられており、ガス改質炉の水平断面におけるガスダクトの方向が、下記(A)及び(B)のいずれかの条件を満たしており、ガス改質炉内に旋回流を形成するようになっていることを特徴とする廃棄物処理装置。
(A)接線方向であること、
(B)ガス改質炉の中心からガスダクトの設けられた頂部周壁の位置に向かう方向に対して所定角度偏向した方向であること
(2)前記酸素含有ガス供給口の先端位置がガス改質炉内壁からガス改質炉半径の10%以上30%以下の距離だけ中心側であることを特徴とする(1)に記載の廃棄物処理装置。
(3)前記酸素含有ガス供給口は、酸素含有ガス供給口が設けられた炉周壁の位置からガス改質炉中心に向かう方向に対して1度以上7度以下の角度だけ偏向した方向で設けられていることを特徴とする(2)に記載の廃棄物処理装置。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、廃棄物を部分酸化・ガス化、溶融する廃棄物処理装置、廃棄物処理方法において、ガス改質炉の炉壁の耐用寿命を長期化することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の廃棄物処理設備の一例を示す側断面図である。
【図2】本発明のガス改質炉のガスダクトの設置状態を示す水平断面図である。
【図3】本発明のガス改質炉の酸素含有ガス供給口の設置状態を示す水平断面図である。
【図4】本発明のガス改質炉の酸素含有ガス供給口の設置状態を示す水平断面図である。
【図5】従来の廃棄物処理設備を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を図1〜4に基づいてさらに詳細に説明する。
図1は、本発明の廃棄物処理設備の一例を側断面図によって示したものである。
なお、図1において、40はガス改質炉5aから改質ガスを排出するガスダクト、41は改質ガスの排出口、42は旋回流、44はガス改質炉5aの下部に酸素含有ガスを供給する酸素含有ガス供給管、44aは酸素含有ガス供給口の先端部を示し、その他の符号は図5と同一の内容を示す。
【0019】
ガスダクト40は、円筒形状のガス改質炉5aの頂部周壁に設けられた改質ガスの排出口41に接続されており、ガス改質炉の水平断面におけるガスダクトの方向が、図2a、bに示すような方向となるように設けられる。
図2(a)に示したものにおいては、ガスダクトの接続方向がガス改質炉に対して接線方向となるように設けられている。
図2(b)に示したものにおいては、ガスダクトの接続方向がガス改質炉の中心から改質ガスの排出口41に向かう方向に対して所定角度偏向した方向となるように設けられている。
なお、ここで、ガス改質炉の中心とは円形の炉断面の中心をいう。また、方向を偏向させる所定角度としては、10度以上90度未満が好ましい。偏向させる角度が10度より小さいと、ガス改質炉からガスが排出される方向がガス改質炉の中心からの半径方向とほぼ同じ方向となり、旋回流を形成することが困難であり、偏向させる角度が90度より大きいと、ガスダクトをガス改質炉の頂部周壁に接続することができない。
ガス改質炉内で改質されたガスは、改質ガスの排出口41から抜き出される方向が上記のように設定されているため、ガス改質炉内で旋回流42を形成する。
【0020】
トンネル式加熱炉から高温反応炉に装入された熱分解ガスと、ガス化溶融炉の廃棄物堆積層から発生したガスとは、ガス改質炉において、酸素含有ガス供給口から酸素含有ガスが供給され一部が燃焼されて温度が上昇し、ガス温度を1200℃以上にした領域で2秒以上滞留されて、タール分のクラッキング等が行われ、一酸化炭素と水素、水蒸気、二酸化炭素を主に含むガスに改質される。
そして、ガス改質炉内のガスは、一部が燃焼されて温度が上昇し、さらに前記したように旋回流が形成されるため、図1に示すようにガス改質炉の下部から上部へ向かって螺旋状の軌跡で旋回しながら上昇する。
ここで温度が比較的低いガスは高密度であり、温度が比較的高いガスは低密度であるので、旋回するガス改質炉内ガスは遠心力の影響を受けて、高密度の温度が比較的低いガスは炉壁側に、低密度の温度が比較的高いガスは炉中心側に流れる。そのため、炉壁の耐火物表面には温度が比較的低いガスが接するようにすることができるため、耐火物は過剰に高温のガスと接触することがなく耐火物の耐用寿命を長期化することができる。
【0021】
また、本発明は酸素ガス供給口による酸素ガスの供給の仕方にも特徴がある。
図4(a)は従来法における酸素含有ガス供給口付近の燃焼状況を示したものであるが、ガス改質炉の下部に設けられた酸素含有ガス供給口の先端では、ガス改質炉に導かれた熱分解ガスが酸素含有ガスにより燃焼し高温火点が形成され、熱分解ガスを高温に加熱している。従来のものでは、酸素含有ガス供給口の先端がガス改質炉の炉壁に開口しており、前記の高温火点45が炉壁近傍に形成されるため炉壁が消耗しやすくなる。
【0022】
これに対し、本発明ではガス改質炉に酸素含有ガスを供給する酸素含有ガス供給管を図3に示すような配置とする。
すなわち、図3に示すように酸素含有ガス供給口の先端部44aの位置を、先端部44aとガス改質炉内壁との距離(L)が、ガス改質炉半径(R)の10%以上30%以下の距離だけ中心側であるように設ける。このようにすることにより、酸素含有ガス供給口先端の高温火点を炉内の中心側に形成することができ、炉壁から離れた位置に高温火点を存在させるため、炉壁耐火物が過剰に高温となることを防ぎ、耐火物の耐用寿命を長期化することができる。
【0023】
酸素含有ガス供給管を図3に示すように配置した場合には、図4(b)に示すように、ガス改質炉の下部の酸素含有ガス供給口付近で炉内の中心側に高温火点45を形成することにより、ガス化溶融炉から上昇してくる比較的温度の低い熱分解ガスは炉壁近傍に多く流れることになり、この点でも炉壁耐火物が過剰に高温となることを防ぎ、耐火物の耐用寿命を長期化することができる。
【0024】
酸素含有ガス供給口の先端部44aの位置を、先端部44aとガス改質炉内壁との距離(L)が、ガス改質炉半径(R)の10%より短くなるように設けると、酸素含有ガス供給口先端に形成される高温火点がガス化改質炉の内壁に近いため、耐火物が過剰に高温に加熱され耐用寿命が短くなるため好ましくない。
また、酸素含有ガス供給口の先端部44aの位置を、先端部44aとガス改質炉内壁との距離(L)が、ガス改質炉半径(R)の30%より長くなるように設けると、酸素含有ガス供給口先端の高温火点が炉内の中心に近づき過ぎて形成されるため、高温領域が小さくなり炉内のガスを加熱する効率が低くなるので好ましくない。
【0025】
さらに、本発明の別の態様としては、図4(c)に示すように、ガス改質炉の下部の酸素含有ガス供給口の先端部44aの位置をガス改質炉内壁からガス改質炉半径の10%以上30%以下の距離だけ中心側であるように設けるとともに、酸素含有ガス供給口を、酸素含有ガス供給口が設けられた炉周壁の位置からガス改質炉中心に向かう方向に対して1度以上7度以下の角度だけ偏向した方向に設ける。これにより、ガス改質炉の下部でも旋回流を形成することができ、高密度の温度が比較的低いガスは遠心力の影響を受け炉壁側に、低密度の温度が比較的高いガスは炉中心側に流れることとなる。そのため、炉壁の耐火物表面には温度が比較的低いガスが接するようにすることができるため、耐火物の耐用寿命を長期化することができる。
【0026】
ガス改質炉の下部の酸素含有ガス供給口を酸素含有ガス供給口が設けられた炉周壁の位置からガス改質炉中心に向かう方向に対して7度より大きい角度で偏向した方向に設けると、酸素含有ガス供給口先端に形成される高温火点がガス化改質炉の内壁に接触するか近くなるため、耐火物が過剰に高温に加熱され耐用寿命が短くなるため好ましくない。また、酸素含有ガス供給口を酸素含有ガス供給口が設けられた炉周壁の位置からガス改質炉中心に向かう方向に対して1度より小さい角度で偏向した方向に設けても、ガス改質炉の下部で旋回流を形成することが困難であるため、好ましくない。
【0027】
本発明の廃棄物処理装置による廃棄物処理の工程を以下に説明する
図1に示す廃棄物処理設備においては、圧縮成形した廃棄物(圧縮成形物10i)を乾燥、熱分解し、乾燥された圧縮成形物11nを、高温反応炉5の側壁に設けられた廃棄物入口4fから高温反応炉5内に装入し、高温反応炉5のガス化溶融炉5b内に廃棄物11の廃棄物堆積層12が形成される。
【0028】
ガス化溶融炉5bの下部に設けられた酸素含有ガス下部供給口15aから廃棄物堆積層12の下部へ酸素含有ガスが供給され、廃棄物堆積層12の上部から降下した廃棄物11の熱分解炭素などの可燃物を燃焼させ、その熱エネルギーで廃棄物11の部分酸化・ガス化をさらに行うとともに、廃棄物11中の不燃分(金属、灰分など)を溶融し溶融物14を生成する。高温反応炉5の下部側壁に接続された溶融物加熱・保温炉16において、溶融物14を、バーナなどの燃焼ガス供給装置17から供給される高温燃焼ガスで加熱し、溶融物に含まれる微量の炭素などをガス化、除去し、溶融物14は溶融物排出口14Hから溶融スラグ、溶融金属として排出される。
【0029】
トンネル式加熱炉4から高温反応炉5に装入された熱分解ガスと、ガス化溶融炉5bの廃棄物堆積層12から発生したガスとは、高温反応炉5の上部(ガス改質炉5a)で一部が燃焼されて、ガス温度を1200℃以上にした領域で2秒以上滞留されて、一酸化炭素と水素、水蒸気、二酸化炭素を主に含むガスに改質され、改質ガスは旋回流42となり、過度に改質炉の炉壁を加熱することなく、発生ガス排出口41からガスダクト40に排出され急冷装置30での冷却、ガス精製装置31での精製の後、燃料用の精製ガス33として回収される。
このようにして、廃棄物11を部分酸化・ガス化、溶融することによって、ガス改質炉の炉壁の消耗を抑制しながら廃棄物の処理を行う。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明によれば、炉壁耐火物の損傷を防ぐことができ、ガス化改質炉等を長期にわたって安定して操業することができるので廃棄物ガス化装置において好適に使用することができる。
【符号の説明】
【0031】
1 圧縮装置
2 圧縮用ピストン
3 圧縮支持盤
4 トンネル式加熱炉
4a 圧縮成形物の乾燥領域
4b 圧縮成形物の熱分解領域
4e トンネル式加熱炉の入口(圧縮成形物の入口)
4f トンネル式加熱炉の出口(乾燥された圧縮生成物の出口)
5 高温反応炉
5a ガス化溶融炉
5b ガス改質炉
6a、6b 加熱用高温ガスの流通パイプ
10a、10i 圧縮成形物
11 廃棄物
11i、11n 乾燥された圧縮生成物
12 廃棄物堆積層
14 溶融物
14H 溶融物排出口
15 ガス化溶融炉酸素含有ガス供給管
15a ガス化溶融炉酸素含有ガス供給口
16 溶融物加熱・保温炉
16e 溶融物加熱・保温炉の入口(溶融物の入口)
17 燃焼ガス供給装置(バーナ)
17a 燃焼ガス供給口
18 改質ガス排出口
19 ガスダクト
20 廃棄物投入口
21 廃棄物投入口の蓋
30 高温反応炉改質ガスの急冷装置
31 ガス精製装置
32 改質ガス排出口
33 精製ガス
40 ガスダクト
41 改質ガス排出口
42 旋回流
44 ガス改質炉酸素含有ガス供給管
44a ガス改質炉酸素含有ガス供給口
45 高温火点
圧縮成形物の移動方向
乾燥された圧縮成形物の移動方向
トンネル式加熱炉内で生成した熱分解ガスの流れ方向
ガス化溶融炉下部への酸素含有ガスの吹き込み方向
圧縮用ピストンの移動方向
圧縮支持盤の移動方向
廃棄物投入口の蓋の回転方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄物を部分酸化・ガス化、溶融するガス化溶融炉と、ガス化溶融炉の上部に接続して設けられ酸素含有ガス供給口を有しガス化溶融炉で生成したガスを改質する円筒形状のガス改質炉とを有する廃棄物処理装置において、ガス改質炉からガスを排出するガスダクトがガス改質炉の頂部周壁に設けられており、ガス改質炉の水平断面におけるガスダクトの方向が、下記(A)及び(B)のいずれかの条件を満たしており、ガス改質炉内に旋回流を形成するようになっていることを特徴とする廃棄物処理装置。
(A)接線方向であること、
(B)ガス改質炉の中心からガスダクトの設けられた頂部周壁の位置に向かう方向に対して所定角度偏向した方向であること
【請求項2】
前記酸素含有ガス供給口の先端位置がガス改質炉内壁からガス改質炉半径の10%以上30%以下の距離だけ中心側であることを特徴とする請求項1に記載の廃棄物処理装置。
【請求項3】
前記酸素含有ガス供給口は、酸素含有ガス供給口が設けられた炉周壁の位置からガス改質炉中心に向かう方向に対して1度以上7度以下の角度だけ偏向した方向で設けられていることを特徴とする請求項2に記載の廃棄物処理装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−216781(P2010−216781A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−67260(P2009−67260)
【出願日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(000004123)JFEエンジニアリング株式会社 (1,044)
【Fターム(参考)】