説明

廃棄物分解炉

【課題】極めて簡単な構造で、外気と遮断された状態で定量ずつ廃棄物を燃焼室に投入することができる新規な廃棄物分解炉を提供する。
【解決手段】有機廃棄物を収容する分解炉本体2と、この分解炉本体2にそれぞれ形成された一方及び他方の開口20a,31aと、上記一方の開口20aを上記分解炉本体2の外側から開閉する一方の外側開閉蓋21と、上記他方の開口31aを上記分解炉本体2の外側から開閉する他方の外側開閉蓋33と、を備え、上記分解炉本体2には、上記一方の開口20a又は他方の開口31aの何れかを該分解炉本体2の内側から択一的に閉塞する内側開閉蓋40が配置されてなり、この内側開閉蓋40の上面と上記一方又は他方の外側開閉蓋21,33との間は、有機廃棄物の収容空間として離間してなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃棄物を処理するために使用される廃棄物分解炉に関し、特に熱により廃棄物を分解する廃棄物分解炉に関するものである。
【背景技術】
【0002】
これまで有機廃棄物を熱分解する分解炉は、焼却炉として広く使用されてきた。これまで使用されてきた焼却炉の基本的構成は、有機廃棄物が収容される焼却炉本体と、有機廃棄物をこの焼却炉本体に投入する開口及びこの開口を開閉する開閉蓋と、上記焼却炉本体に接続された排気管とを備えているものである。そして、こうした従来の焼却炉の使用方法は、上記開閉蓋を開蓋し、開放された開口から焼却炉本体内に有機廃棄物を投入し、着火させるものであり、着火した有機廃棄物が熱分解されることにより発生するガスは、上記排気管を介して大気に放出される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、近年、有機物を焼却処理することにより発生するダイオキシン類は、人体に悪影響を及ぼすという理由から、こうした焼却炉には、廃棄物の処理及び清掃に関する法律やダイオキシン類対策特別措置法による規制を受け、こうした規制を満足するものでなければ製造販売することはできない。特に、こうした規制には、焼却温度に関する条件、外気との接触条件、燃焼に必要な量の空気の通風に関する条件等以外に、外気と遮断された状態で定量ずつ廃棄物を燃焼室に投入することができるものであることが盛り込まれている。
【0004】
そこで、本発明は、上述した従来の焼却炉が有する課題を解決するために提案されたものであって、極めて簡単な構造で、外気と遮断された状態で定量ずつ廃棄物を燃焼室に投入することができる新規な廃棄物分解炉を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した目的を達成するため、第1の発明(請求項1記載の発明)は、有機廃棄物を収容する分解炉本体と、この分解炉本体にそれぞれ形成された一方及び他方の開口と、上記一方の開口を上記分解炉本体の外側から開閉する一方の外側開閉蓋と、上記他方の開口を上記分解炉本体の外側から開閉する他方の外側開閉蓋と、を備え、上記分解炉本体には、上記一方の開口又は他方の開口の何れかを該分解炉本体の内側から択一的に閉塞する内側開閉蓋が配置されてなり、この内側開閉蓋の上面と上記一方又は他方の外側開閉蓋との間は、有機廃棄物の収容空間として離間してなることを特徴とするものである。
【0006】
上記第1の発明では、内側開閉蓋は、一方の開口又は他方の開口の何れかを該分解炉本体の内側から択一的に閉塞するものであり、また、内側開閉蓋の上面と上記一方又は他方の外側開閉蓋との間は、有機廃棄物の収容空間として離間してなることから、例えば、この内側開閉蓋により、上記第1の開口を内側から閉塞した状態で、一方の外側開閉蓋を開放し、該内側開閉蓋上に形成された収容空間に有機廃棄物を収容し、次いで、上記一方の外側開閉蓋を閉塞し、その後に、上記内側開閉蓋を開放することにより、有機廃棄物は分解炉本体内に収容・投入される。
【0007】
なお、この第1の発明では、少なくとも一方及び他方の開口が分解炉本体に形成され、これら一方又は他方の開口の何れかを分解炉本体の内側から択一的に閉塞する内側開閉蓋が配置されていれば良く、上記一方の開口と他方の開口との位置関係は特に限定されるものではないとともに、上記内側開閉蓋の開閉機構についても、少なくともこの第1の発明においては限定されるものではなく、後述する第2の発明のように、ハンドルの回動操作によるものばかりではなく、スライド機構によるものであっても良いし、さらに、こうした内側開閉蓋の動作は、必ずしも手動によるものばかりではなく、所定のボタンスイッチやセンサなどを介して自動的に開閉操作をするものであっても良い。
【0008】
また、第2の発明(請求項2記載の発明)は、上記第1の発明において、前記一方の開口と他方の開口とは互いに隣接してなるとともに、前記内側開閉蓋は、前記分解炉本体の外側に配置された回動操作ハンドルを介して、一方の開口又は他方の開口を該分解炉本体の内側において択一的に閉塞操作可能とされてなることを特徴とするものである。
【0009】
この第2の発明では、回動操作ハンドルを回動操作することにより、前記内側開閉蓋は、分解炉本体の内側において択一的に閉塞操作可能とされてなるものである。すなわち、内側開閉蓋は、一方の開口を閉塞する位置から他方の開口を閉塞する位置までの回動範囲を有するものである。
【0010】
また、第3の発明(請求項3記載の発明)は、上記第1又は第2の何れかの発明において、前記分解炉本体には、該分解炉内のガスを排気するとともに鉛直方向に長さを有し上端は閉塞されてなる第1の排気管と、この第1の排気管の近傍に配置され上端は大気に開放されてなる第2の排気管とを備え、上記第1の排気管と第2の排気管とは、該第1の排気管及び第2の排気管よりも小径の接続管を介して互いに連通してなるとともに、この接続管と上記第1の排気管との接続位置よりも第2の排気管と接続管との接続位置が上方とされてなることを特徴とするものである。
【0011】
この第3の発明では、分解炉本体内において熱分解されることにより発生するガスは、上記第1の排気管内に流入し、次いで接続管を介して第2の排気管に流入するとともに該第2の排気管の上端から大気に放出される。そして、上記接続管は、第1の排気管や第2の排気管よりも小径であることから外気により冷却され、液体に変化する。さらに、この発明では、接続管と上記第1の排気管との接続位置よりも第2の排気管と接続管との接続位置が上方とされてなることから、発生した上記液体は、上記第1の排気管内に流入する。
【0012】
なお、上記第3の発明において、上記第1の排気管や第2の排気管の数は特に限定されるものではなく、また、接続管に関してもその数は限定されるものではない。例えば、第1及び第2の排気管をそれぞれ2つずつ配置し、それぞれが接続管により接続されてなるものであっても良いし、第1の排気管を複数配置し、これらの第1の排気管に接続管を介して単一の第2の排気管に接続したものであっても良い。
【0013】
また、第4の発明(請求項4記載の発明)は、上記第3の発明において、前記第1の排気管の下端には、前記分解炉から排気されたガスが該第1の排気管又は前記接続管内において冷却されることにより発生した液体を外部に排出する排出バルブが配置されてなることを特徴とするものである。
【0014】
この第4の発明では、第1の排気管の下端に配置された排出バルブが開放操作されると、該第1の排気管内に貯留された液体が排出される。なお、こうした排出バルブは、第2の排気管にも配置されていても良い。
【発明の効果】
【0015】
上記第1の発明(請求項1記載の発明)では、内側開閉蓋は、一方の開口又は他方の開口の何れかを該分解炉本体の内側から択一的に閉塞するものであり、また、内側開閉蓋の上面と上記一方又は他方の外側開閉蓋との間は、有機廃棄物の収容空間として離間してなることから、分解炉本体内と外気とが互いに遮断された状態で定量ずつ廃棄物を燃焼室に投入することができ、有機廃棄物を一方の開口又は他方の開口を介して分解炉本体内に投入する際に、該分解炉本体内のガスが、該一方又は他方の開口を通って外部に排出されてしまうことを有効に防止することができる。
【0016】
また、第2の発明(請求項2記載の発明)では、回動操作ハンドルを回動操作することにより、前記内側開閉蓋は、分解炉本体の内側において択一的に閉塞操作可能とされてなることから、簡単な構成となり、製造コストを低減することができる。
【0017】
また、第3の発明(請求項3記載の発明)では、分解炉本体内において熱分解されることにより発生するガスは、上記第1の排気管内に流入し、次いで接続管を介して第2の排気管に流入するとともに該第2の排気管の上端から大気に放出されることから、有害なガスの放出を十分抑制することが可能となる。
【0018】
また、第4の発明(請求項4記載の発明)では、第1の排気管の下端には、前記分解炉本体から排気されたガス(排煙)が該第1の排気管又は前記接続管内において冷却されることにより発生した液体を外部に排出する排出バルブが配置されてなることから、第1の排気管内に貯留した液体を簡単に排出することができ、また、該液体を他の用途に利用することも可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。この実施の形態に係る廃棄物分解炉1は、図1に示すように、やや箱状に成形された分解炉本体2と、この分解炉本体2の背面側に配置された第1及び第2の短尺排気管3,4(図2参照)と、上記第1および第2の短尺排気管3,4の間に配置された長尺排気管5とを備えている。なお、上記短尺排気管3,4は、本発明を構成する第1の排気管であり、上記長尺排気管5は、本発明を構成する第2の排気管である。
【0020】
そして、上記分解炉本体2は、図3又は図4若しくは図1に示すように、鉄板を溶接することにより略箱状に成形されてなる外側筺体6と内側筺体7とから構成されてなる二重構造とされており、上記外側筺体6は、長方形状に成形された外側平面板部6aと、この外側平面板部6aの正面側端部より傾斜してなる外側傾斜板部6b(図1参照)と、この外側傾斜板部6bの下端から垂下してなる外側正面板部6cと、上記外側平面板部6aの後ろ端から垂下してなる外側背面板部6dと、外側左側板部6e及び外側右側板部6f(図4参照)と、外側底面板部6g(図3参照)と、を備えている。なお、図3に示すように、この外側筺体6を構成する外側底面板部6gの下面には、筒状に成形された2つの脚部8,9が溶接されている。一方、上記内側筺体7は、上記外側平面板部6aに対向する内側平面板部7aと、この内側平面板部6aの正面側端部より傾斜してなり上記外側傾斜板部6bと対向してなる内側傾斜板部7bと、この外側傾斜板部7bの下端から垂下してなるとともに上記外側正面板部6cと対向してなる内側正面板部7cと、上記内側平面板部7aの後ろ端から垂下してなるとともに上記外側背面板部6d対向してなる内側背面板部7dと、上記外側左側板部6eに対向してなる内側左側板部7e及び上記外側右側板部6fに対向してなる内側右側板部7f(図4参照)と、上記外側底面板部6gに対向してなる内側底面板部7gとから構成されている。なお、上記内側筺体7を構成する上記内側底面板部7gの下面には、図3に示すように、右の脚部10,11が溶接され、この内側筺体7はこれらの脚部10,11を介して外側底面板部6g上に支持されている。
【0021】
そして、上記外側傾斜板部6bと内側傾斜板部7bとには、同一の長さ幅となされた長方形状の大型開口(符号は省略する。)がそれぞれ形成され、上記外側傾斜板部6bに形成された大型開口は、図1に示す大型開閉蓋13により開閉自在とされている。この大型開閉蓋13は、上記外側傾斜板部6bに形成された大型開口を閉塞し得る面積を備えた板状体であり、上記外側平面板部6aの上面と該大型開閉蓋13の後ろ側とを接続する第1の蝶番機構14(図3参照)により開閉自在となされている。また、この大型開閉蓋13の手前側には、コ字状に成形された開閉ハンドル15の基端が溶接されている。この開閉ハンドル15は、上記外側正面板部6cの正面側に位置してなり、本実施の形態に係る廃棄物分解炉1では、この開閉ハンドル15を把持しながら上記蝶番機構14を介して上記外側傾斜板部6bに形成された大型開口を開閉操作することができるように構成されている。なお、この大型開閉蓋13の手前側には、ロック片16が僅かに回動可能に配置され、このロック片16の先端側中途部には、長孔16aが形成されている。一方、上記外側正面板部6cの上端側中途部には、上記ロック片16に形成された長孔16a内に挿通される起立片17の基端が溶接されており、この起立片17には、図示しない錠が挿通される挿通穴17aが穿設されている。したがって、この実施の形態に係る有機物解炉1では、上記長孔16a内に挿通された上記起立片17の挿通孔(符号は省略する。)に図示しない錠を挿通しロックすることにより、上記大型開閉蓋13が回動操作できないように構成されている。
【0022】
そして、上記大型開閉蓋13には、図3に示すように、長方形状の一方の開口13aが形成されている。そして、この一方の開口13aの内周面には、長方形状の第1の筒状体20の中途部が溶接されており、該第1の筒状体20の上端側は、図1に示すように、傾斜した大型開閉蓋13の上面より垂直に突出し、下端側は、図3に示すように、上記内側傾斜板部7bに形成された開口を通過し、上記分解炉本体2内に突出している。そして、この第1の筒状体20の上端は、図1に示す第1の外側開閉蓋21により閉塞されている。この第1の外側開閉蓋21は、本発明を構成する一方の外側開閉蓋であり、上記第1の筒状体20の上端側背面と該第1の外側開閉蓋21とを接続する蝶番機構22により第1の筒状体20の開口20aを開閉自在とされている。なお、この第1の外側開閉蓋21の左右両側には、図1に示すように、該第1の外側開閉蓋21を開閉操作する際に使用者が把持するコ字状の把手24,25が固定され、手前側には、図1に示すように、第1の外側開閉蓋21による上記第1の筒状体20の開口20aの閉塞状態をロックし、分解炉本体2内のガスを遮断するするロック機構26,27が配置されている。なお、この第1の外側開閉蓋21にも、長孔28aが形成されたロック片28が回動可能に取り付けられてなる一方、上記第1の筒状体20の正面には、上記長孔28aに挿通されるとともに図示しない錠が挿通される挿通孔(符号は省略する。)が穿設された起立片29の基端が溶接されており、上記長孔28aに挿通された起立片に錠を挿通しロックすることで、上記第1の外側開閉蓋21の開蓋を規制することができるように構成されている。
【0023】
また、上記分解炉本体2を構成する上記外側平面板部6aと内側平面板部7aには、図3及び図5に示すように、それぞれ他方の開口6h,7hが形成されており、これら各他方の開口6h,7hの内周には、第2の筒状体31の中途部が溶接されている。この第2の筒状体31の下端側は、上記分解炉本体2内にやや突出してなり、上端側は、上記外側平面板部6aの上面よりもやや上方に突出している。なお、この第2の筒状体31の上下両端にはフランジ部(符号は省略する。)がそれぞれ形成されている。そして、この第2の筒状体31の上端には、該第2の筒状体31の開口31aを閉塞する第2の外側開閉蓋33が図示しないボルトを介して固定されている。この第2の開閉蓋33は、本発明を構成する他方の外側開閉蓋である。
【0024】
また、上記分解炉本体2を構成する外側正面板部6cの下端側と内側正面板部7cとには、図3に示すように、それぞれ開口6i,7iが形成され、該開口6i,7iには、第3の筒状体35の中途部が溶接されている。この第3の筒状体35の一端は、上記外側正面板部6cよりも手前に突出してなり、他端は上記内側正面板部7cの背面よりも内側に突出している。そして、この第3の筒状体35の開口35aは、開閉蓋36により閉塞されている。なお、上記開口35aは、横方向に長さを有してなるものであり、後述するように、上記分解炉本体2(内側筺体7)内で減溶化した図示しない残渣を外部に排出する際に使用されるものである。また、上記開閉蓋36は、図1に示すように、上記外側正面板部6cと該第3の開閉蓋36とを接続するとともに外側正面板部6cに形成された開口を開閉自在となす第3の蝶番機構37により支持されている。また、この第3の開閉蓋36には、図1に示す閉塞状態をロックするためのロック機構38が設けられている。
【0025】
そして、図3に示すように、上記分解炉本体2を構成する内側筺体7の内部には、内側開閉蓋40が配置されている。この内側開閉蓋40は、上記第1の筒状体20に形成された開口20aと上記第2の筒状体31の開口31aを択一的に閉塞するものである。この内側開閉蓋40は、分解炉本体2内であって、上記第1の筒状体20と第2の筒状体31との中間位置に水平に配置された回動軸41に一側が溶接されてなるものであり、この回動軸41の一端は、図5に示すように、外側左側板部6eに固定された一方の軸受け43により回動自在に支持され、他端側中途部は、外側右側板部6fの外側面に固定された他方の軸受け44により回動自在に支持されている。そして、上記回動軸41には、ウォームホイール45が固定され、このウォームホイール45には図示しないウォームギアが噛合している。一方、上記外側右側板部6fの外側面には、図1及び図5に示すように、ギアボックス46が固定され、このギアボックス46内には、上記ウォームホイール45及びウォームギアが内蔵されているとともに、該ウォームギアは先端に回動操作ハンドル47が固定された図示しない回動操作軸に固定されている。すなわち、この回動操作軸の一端は、上記ギアボックス46内から正面側に露出しているとともに上記回動操作ハンドル47がこの露出した部位に固定されている。したがって、後述するように、作業者がこの回動操作ハンドル47を回動操作することにより、上記回動軸41及び内側開閉蓋40が回動する。
【0026】
また、上記分解炉本体2を構成する内側筺体7の内部の下方には、図3,図4又は図5に示すように、それぞれ内側底面板部7gに支持されてなる第1ないし第4の傾斜板51・・・54が配置されている。これら第1ないし第4の傾斜板51・・・54は、図4に示すように、それぞれ内側正面板部7c,内側右側板部7f,内側背面板部7d又は内側左側側板部7eに当接してなる幅狭な水平板部(符号は省略する。)と、この水平板部の一側から折曲され徐々に上記内側正面板部7c,内側右側板部7f,内側背面板部7d又は内側左側側板部7eから離間するよう傾斜してなり下端はそれぞれ上記内側底面板部7gに当接してなるものであり、各両端は互いに溶接されることにより接続されている。そして、上記各水平板部は、波上の切欠き部(符号は省略する。)が形成されている。
【0027】
また、図4に示すように、上記外側筺体6を構成する外側左側板部6eの下端側中途部には、第1及び第2の空気導入管55,56が配置され、また、上記外側右側板部6fの下端側中途部には、第3及び第4の空気導入管57,58が配置されている。上記第1及び第2の空気導入管55,56の一端は、上記外側左側板部6eよりも外側に突出し、該突出した部位には、第1又は第2の手動バルブ59,60が取り付けられている。また、これら第1及び第2の空気導入管55,56の他端は、上記内側左側板部7eと上記第4の傾斜板54との間に位置している。また、上記第3及び第4の空気導入管57,58の一端は、上記外側右側板部6fよりも外側に突出し、該突出した部位には、第3又は第4の手動バルブ61,62が取り付けられている。また、これら第3及び第4の空気導入管57,58の他端は、上記内側左側板部7fと上記第2の傾斜板52との間に位置している。なお、この実施の形態に係る廃棄物分解炉1では、上記第1ないし第4の空気導入管57・・・60には、図示しない永久磁石が配置され、上記内側筺体7内には、磁界処理された空気が流入するように構成されている。また、上記第1及び第2の空気導入管55,56であって上記外側左側板部6eから突出した部位は、左保護カバー63により上記第1又は第2の手動バルブ59,60が外部に露出した状態でおおわれ、第3及び第4の空気導入管57,58は、上記第3及び第4の手動バルブ61,62が外部に露出した状態で右保護カバー64によりおおわれている。なお、この実施の形態に係る廃棄物分解炉1では、上記第1ないし第4の空気導入管55・・・58以外に、図4に示すように、外側背面板部6dの左右両側の下側には、第1及び第2の塵埃回収管66,67が設けられ、上記外側左側板部6eの下側には第3の塵埃回収管68が、上記外側右側板部6fの下側には第4の塵埃回収管69がそれぞれ設けられている。なお、上記第1ないし第4の塵埃回収管66・・・69は、それぞれ内側筺体6内の塵埃を外部に排出・回収するために使用される部材であり、それぞれ先端には、キャップ66a・・・69aが取り付けられている。
【0028】
また、上記内側背面板部7dと外側背面板部6dの上端側の左右両側には、それぞれ図示しない円形状の開口が形成され、これらの開口には単一の左円筒体及び右円筒体(符号は省略する。)が固定され、この左円筒体には、左接続管70を介して上記第1の短尺排気管3が固定され、上記右円筒体には、右接続管71を介して上記第2の短尺排気管4が固定されている。上記第1及び第2の短尺排気管3,4は、図2に示すように、上記左接続管70又は右接続管71に固定されているストレーナ75,76と、これらのストレーナ75,76の下端に固定され後述する木酢液が貯留される貯留槽77a,78aを備えた第1又は第2の木酢液貯留部材77,78と、上記ストレーナ75,76の上端に固定され上端は閉塞されてなる排気管本体79,80とから構成されている。上記各ストレーナ75,76は、第2の短尺排気管4を示す図3からも明らかなように、中途部には、上記右接続管71の一端が挿入固定される円形状の開口(符号は省略する。)が形成され、上下両端には、フランジ部76a,76bが形成されている。また、図2に示すように、上記第1又は第2の木酢液貯留部材77,78の下面中央には、木酢液排出パイプ77b,78bが固定され、これら木酢液排出パイプ77b,78bには、それぞれ手動バルブ77c,78cが取り付けられており、それぞれ上端には、上記フランジ部75a,76aに固定されるフランジ部77d,78dが形成されている。また、図6に示すように、上記第1の短尺排気管79の中途部には、基端側から先端側にかけて上方に傾斜してなる第1ないし第4の下方分岐管部79a・・・79dが形成され、また、上記第2の短尺排気管80の中途部にも、基端側から先端側にかけて上方に傾斜してなる第5ないし第6の下方分岐管部80a・・・80dが形成されている。
【0029】
また、上記第1の短尺排気管3と第2の短尺排気管4との間には、前述したように、長尺排気管5が固定されている。この長尺排気管5は、図2、図6及び図7に示すように、円筒状に成形され上下両端にはそれぞれフランジ部82a,82bが形成された排気管本体82と、この排気管本体82の下端に固定された第3の木酢液貯留部材83と、上記排気管本体82の上端に固定された排煙処理管84とを備えている。上記排気管本体82は、図7に示すように、上記分解炉本体2の外側筐体6を構成する外側背面板部6dの上端に固定された支持金具85を介して該分解炉本体2に固定されてなるものであり、上端側中途部には、図6に示すように、第1ないし第8の上方分岐管部82c・・・82jが水平に形成されている。そして、図2に示すように、上記第1の下方分岐管部79aと第1の上方分岐管部82cとは、第1の小径接続管88により接続され、上記第2の下方分岐管部79bと第2の上方分岐管部82dとは、第2の小径接続管89により接続され、上記第3の下方分岐管部79cと第3の上方分岐管部82eとは、第3の小径接続管90により接続され、上記第3の下方分岐管部79dと第3の上方分岐管部82fとは、第3の小径接続管91により接続され、上記第4の下方分岐管部79eと第4の上方分岐管部82gとは、第4の小径接続管92により接続されている。また、上記第5の下方分岐管部80aと第5の上方分岐管部82hとは、第5の小径接続管93により接続され、上記第6の下方分岐管部80bと第6の上方分岐管部82iとは、第6の小径接続管94により接続され、上記第7の下方分岐管部80cと第7の上方分岐管部82jとは、第7の小径接続管95により接続され、上記第8の下方分岐管部80dと第8の上方分岐管部82kとは、第8の小径接続管96により接続されている。なお、上記第1ないし第8の小径接続管88・・・95は、それぞれ上記各排気管本体79,80,82内径よりも短い内径に成形されてなるとともに、円環状の凹凸が多数形成された所謂フレキシブルパイプである。また、上記排気管本体82は、図7に示すように、外側管82lと内側管82mとからなる二重構造とされ、該外側管82lの内周面と内側管82mの外周面との間には円環状の空間が形成されている。なお、上記内側管82mの上端は、上記外側管82lの上端位置と一致している一方、下端は、該外側管82lの下端よりもやや上方に位置している。なお、これら外側管82lと内側管82mとは、互いに周回り方向に90度ずつずれた位置に配置された4つの(図7では二つが図示されている。)固定部材98により固定されている。そして、この円環状の空間の上方は上記フランジ部82aにより閉塞されている一方、下端側は開放されている。したがって、後述するように、上記第1ないし第8の小径接続管88・・・95を介してこの排気管本体82内に流入したガス(排煙)は、上記外側管82lと内側管82mとの間に形成された円環状の空間を通って下方に移動し、その後に該内側管82mの内側を通って上方に移動する。
【0030】
また、上記排気管本体82の下端に固定された上記第3の木酢液貯留部材83は、上端にフランジ部83aが該排気管本体82に形成されたフランジ部82bに固定されたフランジ部83aが形成され、下面中央には、木酢液排出パイプ83bが固定されている。そして、この木酢液排出パイプ83bには、それぞれ手動バルブ83cが取り付けられている。一方、上記排気管本体82の上端に固定された排煙処理管84は、図7に示すように、処理管本体97と、この処理管本体97の外周に取り付けられた保温材98と、上記処理管本体97の上端側から挿入されてなる挿入管99とを備えている。上記処理管本体97は、上下両端にフランジ部97a,97bが形成され、このフランジ部97bは、間に中空状の円板(符号は省略する。)を介して上記排気管本体82の上端に形成されたフランジ部82aに固定されている。また、この処理管本体97内の下側には、図示しないハニカム状の穴が多数成形された円柱状のセラミックフィルタ100が配置され、このセラミックフィルタ100の上方には、円筒状のヒータ101が配置されている。なお、このヒータ101には、図7中二点鎖線で示す電気コード102の基端が接続されている。また、上記挿入管99の外周中途部にはフランジ部99aが形成され、このフランジ部997aは、上記処理管本体97に形成されたフランジ部97aに固定されている。そして、この挿入管99内の下方には、一方の触媒体103と他方の触媒体104とが間にスペーサ105を介して配置されている。上記一方及び他方の触媒体91,92は、白金からなり、何れもハニカム状の穴が多数形成されている。
【0031】
以下、上述した実施の形態に係る廃棄物分解炉1の使用方法を説明しながら作用効果を説明する。先ず、上記分解炉本体2内に、図示しない有機廃棄物を投入する場合、特に分解炉本体2内が空の場合には、図1に示す上記開閉ハンドル15を把持し、図3に示す第1の蝶番機構14を介して同図中時計回り方向に回転させる。こうした操作によって、上記大型開閉蓋13が開蓋し、これまで閉塞されていた大型開口が開放され、有機廃棄物を分解炉本体2内に投入することができる。なお、こうした有機廃棄物の投入は、言うまでもなく、上記第1の外側開閉蓋21を開蓋し、または、上記第2の外側開閉蓋33を開蓋することによって行っても良い。そして、このように有機廃棄物の投入が終了した場合には、該有機廃棄物に着火するとともに、上記大型開閉蓋13又は第1の外側開閉蓋21若しくは第2の外側開閉蓋33を閉蓋し、また、第1ないし第4の手動バルブ59・・・62を回動操作することにより所定に空気が分解炉本体2内に流入するようにしておく。こうした作業により、上記分解炉本体2内の有機排気物は、徐々に熱分解される。そして、このように有機廃棄物が熱分解されている状態において、有機廃棄物を分解炉本体2内に投入する場合には、上記把手24,25を把持しながら、第1の外側開閉蓋21を開蓋操作する。このとき、上記回動操作ハンドル47を回動操作させることにより、予め上記内側開閉蓋40により、上記第1の筒状体20に形成された開口20aを閉塞し、その上で、上記第1の外側開閉蓋21を開蓋操作する。したがって、上記分解炉本体2内で発生したガス(排煙)は、上記開口20aを通過して外部に漏出されない。そして、このように第1の筒状体20内に有機廃棄物を投入する作業が終了すると、次いで、上記回動操作ハンドル47を回動操作させ、上記内側開閉蓋40を反時計回り方向に回転させる。すると、この内側開閉蓋40上に載置されていた有機廃棄物は、分解炉本体2内に落下する。また、上記第2の外側開閉蓋33を開蓋することによって有機廃棄物を投入する場合には、該第2の外側開閉蓋33により第2の筒状体31の開口31aを閉塞した上で、図3に示すように、上記内側開閉蓋40により該開口31aを内側から閉塞し、その後、上記第2の外側開閉蓋33を開蓋し、有機廃棄物を投入する(内側開閉蓋40上に載置する)。そして、上記第2の外側開閉蓋33により第2の筒状体31の開口31aを閉塞し、その後内側開閉蓋40を回転させる。こうした作業により、有機廃棄物は、分解炉本体2内に投入されるとともに、該分解炉本体2内のガス(排煙)は、外部に流出することはない。
【0032】
また、上述した有機廃棄物が分解炉本体2内において熱分解することにより発生したガス(煙)は、先ず上記左接続管70及び右接続管71を通過して、上記第1の短尺排気管3及び第2の短尺排気管4内に流入し、さらに、上記第1ないし第8の小径接続管88・・・95内を通過して長尺排気管82を構成する上記外側管82lと内側管82mとの間に形成された円環状の空間を通って下方に移動し、その後に該内側管82mの内側を通って上方に移動する。なお、上記第1ないし第8の小径接続管88・・・95の内径は、上記第1の短尺排気管3及び第2の短尺排気管4の内径(上記各排気管本体79,80,82内径)よりも短い内径に成形されてなるとともに、円環状の凹凸が多数形成されていることから、上記ガス(排煙)は、外気により冷却・凝縮され木酢液となって下方に流れ、最終的には、上記第1又は第2の木酢液貯留部材77,78内に貯留される。また、上記外側管82lと内側管82mとの間に形成された円環状の空間を通って下方に移動した際に、外気により冷却・凝縮された木酢液は、上記第3の木酢液貯留部材83内に貯留される。そして、このように第1又は第2若しくは第3の木酢液貯留部材77,78,83内に貯留された木酢液は、上記各手動バルブ77c,78c,83cを回動操作することにより、外部に排出される。
【0033】
また、上記長尺排気管5を構成する内側管82m内を通過したガス(排煙)は、上記排煙処理管84内に配置されたセラミックフィルタ100により濾過され、その後、ヒータ101により加熱され、さらに、上記一方及び他方の白金からなる触媒体103,104により有毒ガスが分解・処理された状態で大気に放出される。なお、上記分解炉本体2内で熱処理され減容可した残渣は、上記第1ないし第4の塵埃回収管66・・・69から回収される。
【0034】
したがって、この実施の形態に係る廃棄物分解炉1によれば、上記内側開閉蓋40の回動操作により、分解炉本体2内と外気とが互いに遮断された状態で定量ずつ有機廃棄物を燃焼室である該分解炉本体2内に投入することができるので、有機廃棄物を一方の開口20a又は他方の開口31aを介して分解炉本体2内に投入する際に、該分解炉本体2内のガスが、該一方又は他方の開口20a,31aを通って外部に排出されてしまうことを有効に防止することができる。また、上記内側開閉蓋20の回動操作は、回動操作ハンドル47を回動操作することにより、分解炉本体2の内側において択一的に閉塞操作可能とされてなることから、簡単な構成となり、製造コストを低減することができる。さらに、この実施の形態に係る廃棄物分解炉1では、分解炉本体2内において熱分解されることにより発生するガス(排煙)は、第1の排気管である上記第1の短尺排気管3及び第2の短尺排気管4内に流入し、第2の排気管である上記長尺排気管82に流入するとともに該長尺排気管82の上端から大気に放出されることから、有害なガスの放出を十分抑制することが可能となる。特に、この廃棄物分解炉1では、セラミックフィルタ100により濾過され、その後、ヒータ101により加熱され、さらに、上記一方及び他方の白金からなる触媒体103,104により有毒ガスが分解・処理された状態で大気に放出されることから、より一層人体に悪影響を及ぼさないものとすることができる。さらに、この廃棄物分解炉1では、上記第1の短尺排気管3及び第2の短尺排気管4の下端には、分解炉本体2から排気されたガス(排煙)が第1ないし第8の小径接続管88・・・95内において冷却されることにより発生した液体を外部に排出する各手動バルブ77c,78c,83cが配置されてなることから、第1の短尺排気管3及び第2の短尺排気管4内に貯留した木酢液を簡単に排出することができ、また、該木酢液を他の用途に利用することも可能となる。特に、この廃棄物分解炉1では、第2の排気管である長尺排気管5は、外側管82lと内側管82mとからなる二重構造となされ、ガス(排煙)は、これら外側管82lと内側管82mとの間に形成された円環状の空間を通って下方に移動し、その後に該内側管82mの内側を通って上方に移動するよう構成されていることから、より安全で環境に適合したものとすることができる。
【0035】
なお、上記実施の形態では、第1の排気管として2つの排気管(第1及び第2の短尺排気管3,4)を廃棄物分解炉1の構成要素としたが、該第1の排気管は単一であっても良いし、3つ或いはそれ以上の数からなるものであっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】実施の形態に係る廃棄物分解炉の外観を示す斜視図である。
【図2】廃棄物分解炉の背面側の構成の一部を示す背面図である。
【図3】廃棄物分解炉の側断面図である。
【図4】廃棄物分解炉の一部を切り欠いた平面図である。
【図5】分解炉本体の正断面図である。
【図6】廃棄物分解炉の背面図である。
【図7】長尺排気管の構成を示す側断面図である。
【符号の説明】
【0037】
1 廃棄物分解炉
2 分解炉本体
3 第1の短尺排気管
4 第2の短尺排気管
5 長尺排気管
20a 開口
21 第1の外側開閉蓋
31a 開口
33 第2の外側開閉蓋
40 内側開閉蓋
41 回動軸
47 回動操作ハンドル
77c,78c,83c 手動バルブ
88・・・95 第1ないし第8の小径接続管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機廃棄物を収容する分解炉本体と、この分解炉本体にそれぞれ形成された一方及び他方の開口と、上記一方の開口を上記分解炉本体の外側から開閉する一方の外側開閉蓋と、上記他方の開口を上記分解炉本体の外側から開閉する他方の外側開閉蓋と、を備え、
上記分解炉本体には、上記一方の開口又は他方の開口の何れかを該分解炉本体の内側から択一的に閉塞する内側開閉蓋が配置されてなり、この内側開閉蓋の上面と上記一方又は他方の外側開閉蓋との間は、有機廃棄物の収容空間として離間してなることを特徴とする廃棄物熱分解炉。
【請求項2】
前記一方の開口と他方の開口とは互いに隣接してなるとともに、前記内側開閉蓋は、前記分解炉本体の外側に配置された回動操作ハンドルを介して、一方の開口又は他方の開口を該分解炉本体の内側において択一的に閉塞操作可能とされてなることを特徴とする請求項1記載の廃棄物分解炉。
【請求項3】
前記分解炉本体には、該分解炉内のガスを排気するとともに鉛直方向に長さを有し上端は閉塞されてなる第1の排気管と、この第1の排気管の近傍に配置され上端は大気に開放されてなる第2の排気管とを備え、上記第1の排気管と第2の排気管とは、該第1の排気管及び第2の排気管よりも小径の接続管を介して互いに連通してなるとともに、この接続管と上記第1の排気管との接続位置よりも第2の排気管と接続管との接続位置が上方とされてなることを特徴とする請求項1又は2記載の廃棄物熱分解炉。
【請求項4】
前記第1の排気管の下端には、前記分解炉から排気されたガスが該第1の排気管又は前記接続管内において冷却されることにより発生した液体を外部に排出する排出バルブが配置されてなることを特徴とする請求項3記載の廃棄物分解炉。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−284602(P2007−284602A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−114934(P2006−114934)
【出願日】平成18年4月18日(2006.4.18)
【出願人】(502266962)株式会社ネクサス (2)
【出願人】(500179161)
【Fターム(参考)】