説明

廃棄物熱分解チャーの冷却方法及び装置

【課題】 チャーを湿らすことなく効率よく冷却できるようにする。
【解決手段】 廃棄物熱分解ガス化装置1の分離室11のチャー取出口11bに、二重フラップダンパ19と間接冷却装置22とを順に接続する。間接冷却装置22の受入ホッパ24の上部位置に冷却水31の噴霧ノズル32を設けて、流量制御弁34付きの冷却水供給管33を接続する。受入ホッパ24内のチャー13の温度を検出し、その検出温度に基づいて流量制御弁34を制御する温度制御器35を備える。廃棄物熱分解ガス化装置1より二重フラップダンパ10の作動により抜き出されるチャー13が間接冷却装置22の受入ホッパ24へ落下されるときに、噴霧ノズル32から冷却水31を噴霧して約110℃まで直接冷却させ、その後、間接冷却装置22により70〜80℃まで間接冷却させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、都市ごみ等の廃棄物を熱分解して熱分解ガスとチャーとに分離できるようにしてある熱分解ガス化装置より取り出されるチャーを冷却するための廃棄物熱分解チャーの冷却方法及び装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
都市ごみ等の廃棄物の処理システムとしては、廃棄物を焼却炉で燃焼させるようにした燃焼方式に代るものとして、近年では、廃棄物を低酸素雰囲気で加熱することにより熱分解させて、可燃性の熱分解ガスと、熱分解残渣となるチャー(炭化物)を発生させ、しかる後、該熱分解ガスとチャーとを共に溶融炉へ導いて、高温で燃焼させることにより、上記廃棄物に含まれていた灰分を溶融スラグとして取り出すことができるようにした熱分解ガス化溶融方式や、上記と同様の廃棄物の熱分解処理により熱分解ガスとチャーとを発生させた後、チャーを回収して、外部の各種施設の石炭焚きボイラ等で燃料として利用することによりサーマルリサイクルを図る一方、上記熱分解ガスは燃焼させて、上記廃棄物を熱分解させるための熱源として利用するようにした炭化処理方式による廃棄物の処理設備が開発され、実用化されてきている。
【0003】
上記のように廃棄物を熱分解ガスとチャーとに熱分解させるために用いる装置としては、図2にその一例の概略を示す如き外熱キルン式の廃棄物熱分解ガス化装置がある。
【0004】
すなわち、図2に示す上記外熱キルン式の廃棄物熱分解ガス化装置1は、一端の入口4側に供給管4aを一体に接続し且つ他端の出口5側に排出管5aを一体に接続した内筒3と、該内筒3の外側に同心状に配置した外筒6との間に、加熱流路7を形成し、上記外筒6と内筒3を一体で回転できるようにした熱分解キルン炉2を、一端の入口4側よりも他端の出口5側が僅かに低くなるように傾斜させて横向きに配置し、図示しない駆動装置により低速で回転するようにしてある。
【0005】
又、上記熱分解キルン炉2の入口4には、給じん機8が供給管4a内に挿入されて設けてあり、投入ホッパ9に投入された廃棄物10を給じん機8により入口4へ供給するようにしてある。一方、上記熱分解キルン炉2の出口5には、熱分解ガス12と熱分解残渣として生じるチャー13とを分離して上部の熱分解ガス取出口11aより熱分解ガス12を、又、底部のチャー取出口11bよりチャー13をそれぞれ取り出すための分離室11を設けるようにしてある。
【0006】
更に、上記熱分解キルン炉2の出口5側には、加熱ガス入口14が設けてあり、図示しない熱風発生炉で発生した高温の加熱ガス15を、上記加熱ガス入口14へ供給し、加熱流路7を流通させて、入口4側に設けた加熱ガス出口16より排出させることにより、上記加熱流路7内を流通する高温の加熱ガス15による外熱によって内筒3内の廃棄物10を間接加熱して熱分解させ、上記熱分解ガス12とチャー13とを発生させるようにしてある(たとえば、特許文献1参照)。
【0007】
その後、たとえば、熱分解ガス化溶融処理を行う廃棄物処理施設では、図3に示す如く、上記と同様の廃棄物熱分解ガス化装置1における廃棄物10の熱分解により発生する熱分解ガス12とチャー13のうち、熱分解ガス12は、分離室11の熱分解ガス取出口11aに接続した熱分解ガスライン17を通して溶融炉18へ送られる。
【0008】
一方、上記分離室11で熱分解ガス12と分離されるチャー13は、該分離室11のチャー取出口11bより外部へ取り出すようにするが、この際、可燃性の熱分解ガス12が発生している状態の熱分解キルン2内へ大気(空気)が逆流して侵入することを防ぐ必要がある。そのために、上記分離室11のチャー取出口11bには、取出装置として、フラップダンパ20a,20bを各々内蔵したホッパケーシング21a,21bを上下2段に重ねてなる二重フラップダンパ19を取り付けて、上記上段と下段のフラップダンパ20aと20bを、互いの開放・閉止動作のサイクルが重ならないように交互に開閉することによって、少なくとも一方のフラップダンパ20a又は20bが閉じた状態となるようにして、空気の逆流を防止しながら上記分離室11内よりチャー13を半連続的に抜き出すようにしてある。
【0009】
更に、上記分離室11より取り出されるチャー13は、450℃程度の高温を有していると共に、灰分と固定炭素と揮発分が1:1:1程度の割合で含まれている。このため、上記チャー13が高温を有したまま大気に接すると発火する可能性があることから、チャー13を外部へ取り出す際には冷却が必要とされる。そのため、従来は、冷却装置の入口側となる長手方向の一端側上部に受入ホッパ24を設け且つ出口側となる他端側下部に排出口25を設けた筒状のケーシング23内に、スクリュー26を回転駆動可能に収納し、更に、上記ケーシング23の外周に、水冷ジャケット27を備えてなるスクリューコンベヤ形式の間接冷却装置(チャー抜出装置)22を設け、該間接冷却装置22の上記受入ホッパ24を、上記二重フラップダンパ19の下端に接続した構成としてある。これにより、上記二重フラップダンパ19より受入ホッパ24へ落下されるチャー13を、上記スクリュー26の回転駆動によりケーシング23内を通して排出口25側へ搬送する間に、上記水冷ジャケット27に流通させる冷却水と熱交換させて間接冷却することで70〜80℃程度まで冷却してから外部へ取り出すようにしてある。
【0010】
上記間接冷却装置22を経て冷却された後、取り出されたチャー13は、その後、たとえば、分別装置28にて金属等の大型の不燃物が分別除去された後、不燃物分離装置29にて小形の不燃物が除去されてから上記溶融炉18へ送られるようにして、上記熱分解ガス12と一緒に低空気比の高温で燃焼されて溶融スラグ30とされるようにしてある(たとえば、特許文献2参照)。
【0011】
なお、上記間接冷却装置22は、通常、受入ホッパ24内のチャー13の貯留レベルに応じて上記スクリュー26の回転駆動を制御することにより、受入ホッパ24内に常時所定量のチャー13を貯留させてマテリアルシールを形成できるようにしてある。又、上記二重フラップダンパ19や間接冷却装置22には、通常、窒素パージを行うことにより、内部を正圧に保持して大気の侵入を防止できるようにしてある。
【0012】
ところで、冷却機能を備えたスクリューコンベヤ式の搬送装置においては、スクリューを収納するケーシングに冷却水を流通させる水冷ジャケットを設けることに加えて、スクリュー軸の中心部にも長手方向に延びる冷却水流路を設けて、被搬送物を上記スクリュー軸の内部を流通させる冷却水と熱交換させることによっても間接冷却できるようにして、冷却効率の向上化を図ることが従来提案されてきている(たとえば、特許文献3参照)。
【0013】
【特許文献1】特開2003−277760号公報
【特許文献2】特開2002−168420号公報
【特許文献3】特開平8−166116号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
ところが、図2に示した如き廃棄物熱分解ガス化装置1における廃棄物10の熱分解により生じるチャー13は、粉状のものばかりでなくフレーク状のものが多いため密度が小さく伝熱性が低い。そのため、上記図3に示した如きスクリューコンベヤ形式の間接冷却装置22における間接冷却方式では冷却効率をあまり高めることができない。このような間接冷却だけでは、相当な滞留時間と大きな撹拌能力を持った冷却装置にしないと、十分に温度が下がりきらず、又、冷却にむらが生じる虞がある。更に、チャー13が十分に温度が下がりきっていない状態で大気に接触すると、発火する火種が残った状態のまま排出されることになり、これを排除するために、上記間接冷却装置22は、滞留時間の長い大型の装置とする必要が生じていた。
【0015】
又、廃棄物熱分解ガス化装置1の分離室11の下側に上記二重フラップダンパ19と間接冷却装置22とを順に設ける配置とする関係上、上記間接冷却装置22は、地下に設置されることが多いが、地下部分に大型の間接冷却装置22を設置するための大きなスペースを設けることは、廃棄物処理施設の建設費が嵩む要因となっていた。
【0016】
一方、廃棄物熱分解ガス化装置1より取り出されるチャー13に、冷却水を直接噴霧して直接冷却を行う手法は、高い冷却効率を得るためには有効であると考えられるが、このような水の直接噴霧を行う場合には、回収されるチャー13が湿ることになり、回収されるチャー13が湿った状態となると、チャー13を燃焼させる際の発熱量が低下したり、機器への付着やハンドリング等の問題が生じるために、上記水の直接噴霧によるチャー13の直接冷却は従来採用されていないというのが実状である。
【0017】
そこで、本発明は、廃棄物熱分解ガス化装置より取り出されるチャーを、直接冷却と間接冷却との併用により効率よく且つ確実に冷却することができ、しかも、チャーを湿らせることなく回収できるようにするための廃棄物熱分解チャーの冷却方法及び装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、上記課題を解決するために、廃棄物熱分解ガス化装置にて廃棄物を熱分解した後、熱分解ガスと分離して取り出されるチャーに対し、該チャーを100℃以上の温度範囲に保持できるように量を調整した冷却水を噴霧して直接冷却を行い、しかる後、上記チャーを間接冷却して100℃以下の所要温度まで冷却する廃棄物熱分解チャーの冷却方法、及び、廃棄物熱分解ガス化装置より廃棄物の熱分解により発生するチャーを取り出すためのチャー取出口の下流側に、上記チャー取出口より取り出されるチャーに対し冷却水を噴霧して直接冷却する直接冷却ゾーンと、チャーを間接冷却するための間接冷却装置とを順に設け、更に、上記直接冷却ゾーンを通過して上記間接冷却装置へ受けられるチャーの温度を検出し、該チャーの検出温度が100℃以上の温度範囲に保持されるように上記直接冷却ゾーンにて噴霧する冷却水の量を調整する装置を備えた構成を有する廃棄物熱分解チャーの冷却装置とする。
【0019】
又、廃棄物熱分解ガス化装置にて廃棄物を熱分解した後、熱分解ガスと分離して取り出されるチャーを、冷却水の噴霧による直接冷却を行いながら、該直接冷却された後のチャーの温度を検出して、該チャーの検出温度が100℃以上の温度範囲となるように、上記噴霧する冷却水の量を調整するようにし、更に、上記直接冷却された後のチャーを間接冷却して100℃以下の所要温度まで冷却する方法、及び、廃棄物熱分解ガス化装置のチャー取出口に、二重フラップダンパを取り付けると共に、該二重フラップダンパの下側に、間接冷却装置の受入ホッパを接続し、上記二重フラップダンパの下段ホッパケーシングの下部位置、又は、上記間接冷却装置の受入ホッパの上部位置に冷却水の噴霧ノズルを設けて、該噴霧ノズル付近に、上記二重フラップダンパより上記受入ホッパの底部へ向けて落下するチャーに対し冷却水を噴霧できるようにしてなる直接冷却ゾーンを形成させるようにした構成とし、更に、間接冷却装置の受入ホッパに、該受入ホッパ内へ受けられるチャーの温度を検出すると共に、噴霧ノズルに接続してある冷却水供給管上の流量制御弁を制御する機能を有する温度制御器を設けるようにした構成を有する装置とする。
【0020】
更に、上記構成において、二重フラップダンパの下段ホッパケーシングと、廃棄物熱分解ガス化装置の所要個所とを開閉弁付きの蒸気排出管で接続し、且つ温度制御器に、冷却水供給管上の流量制御弁の開閉制御に対応して上記蒸気排出管上の開閉弁を制御する機能も備えるようにした構成とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、以下の如き優れた効果を発揮する。
(1)廃棄物熱分解ガス化装置にて廃棄物を熱分解した後、熱分解ガスと分離して取り出されるチャーに対し、該チャーを100℃以上の温度範囲に保持できるように量を調整した冷却水を噴霧して直接冷却を行い、しかる後、上記チャーを間接冷却して100℃以下の所要温度まで冷却する熱分解チャーの冷却方法、及び、廃棄物熱分解ガス化装置より廃棄物の熱分解により発生するチャーを取り出すためのチャー取出口の下流側に、上記チャー取出口より取り出されるチャーに対し冷却水を噴霧して直接冷却する直接冷却ゾーンと、チャーを間接冷却するための間接冷却装置とを順に設け、更に、上記直接冷却ゾーンを通過して上記間接冷却装置へ受けられるチャーの温度を検出し、該チャーの検出温度が100℃以上の温度範囲に保持されるように上記直接冷却ゾーンにて噴霧する冷却水の量を調整する装置を備えた構成を有する廃棄物熱分解チャーの冷却装置としてあるので、廃棄物熱分解ガス化装置より抜き出される450℃程度の高温を有するチャーは、噴霧される冷却水による直接冷却により効率よく冷却させることができるため、その後の間接冷却で冷却すべき温度幅を低減させることができる。したがって、上記チャーを、直接冷却と間接冷却との併用により効率よく且つ確実に冷却することができる。しかも、上記直接冷却を行うために噴霧する冷却水の量は、チャーを100℃以上の温度範囲に保持できるように調整してあるため、該チャーの直接冷却のために噴霧する冷却水はすべて蒸発させることができ、このため、チャーが湿る虞を解消できる。したがって、取り出された後のチャーを燃焼させる際に発熱量が低下したり、機器への付着やハンドリング等の問題が生じる虞を解消できる。
(2)更に、上記間接冷却を行う間接冷却装置としては、上記したように間接冷却で冷却すべき温度幅を低減させることができることから、該間接冷却装置に要求される冷却能力を、450℃程度のチャーを間接冷却のみで所要温度まで冷却するために要求される冷却能力に比して低減できる。したがって、上記間接冷却装置を、滞留時間の長い大型の装置とする必要を解消できて、間接冷却装置を地下スペースに設ける場合は、地下部分に大きなスペースを設ける必要を解消できるため、廃棄物処理施設の建設費を軽減することが可能になる。
(3)廃棄物熱分解ガス化装置にて廃棄物を熱分解した後、熱分解ガスと分離して取り出されるチャーを、冷却水の噴霧による直接冷却を行いながら、該直接冷却された後のチャーの温度を検出して、該チャーの検出温度が100℃以上の温度範囲となるように、上記噴霧する冷却水の量を調整するようにし、更に、上記直接冷却された後のチャーを間接冷却して100℃以下の所要温度まで冷却する方法、及び、廃棄物熱分解ガス化装置のチャー取出口に、二重フラップダンパを取り付けると共に、該二重フラップダンパの下側に、間接冷却装置の受入ホッパを接続し、上記二重フラップダンパの下段ホッパケーシングの下部位置、又は、上記間接冷却装置の受入ホッパの上部位置に冷却水の噴霧ノズルを設けて、該噴霧ノズル付近に、上記二重フラップダンパより上記受入ホッパの底部へ向けて落下するチャーに対し冷却水を噴霧できるようにしてなる直接冷却ゾーンを形成させるようにした構成とし、更に、間接冷却装置の受入ホッパに、該受入ホッパ内へ受けられるチャーの温度を検出すると共に、噴霧ノズルに接続してある冷却水供給管上の流量制御弁を制御する機能を有する温度制御器を設けるようにした構成を有する装置とすることにより、チャーに冷却水を噴霧して直接冷却を行うための装置構成を、一般的なシーケンス制御装置とすることが可能な温度制御器と、冷却水を定量噴霧するための噴霧ノズル、流量制御弁付きの冷却水供給管を設けるだけの簡単な装備により実現できるため、コストを安価なものとすることができると共に、廃棄物熱分解ガス化装置のチャー取出口に二重フラップダンパを取り付け、該二重フラップダンパの下側に間接冷却装置の受入ホッパを接続してなる形式の従来の廃棄物処理施設にも容易に設置することができる。
(4)二重フラップダンパの下段ホッパケーシングと、廃棄物熱分解ガス化装置の所要個所とを開閉弁付きの蒸気排出管で接続し、且つ温度制御器に、冷却水供給管上の流量制御弁の開閉制御に対応して上記蒸気排出管上の開閉弁を制御する機能も備えるようにした構成とすることにより、チャーの直接冷却に供するために噴霧した冷却水が蒸発して発生する蒸気が、二重フラップダンパの下段ホッパケーシングと間接冷却装置の受入ホッパに過剰に充満する虞を解消できると共に、上記蒸気排出管を通して排出される余剰の蒸気を、廃棄物熱分解ガス化装置へ送って不活性ガスとして利用することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面を参照して説明する。
【0023】
図1は本発明の廃棄物熱分解チャーの冷却方法及び装置を示すもので、図2に示したと同様の廃棄物熱分解ガス化装置1における分離室11のチャー取出口11bの下流側に、図3に示したと同様に、二重フラップダンパ19と、水冷ジャケット27を具備してなるスクリューコンベヤ形式の間接冷却装置22とを順に設けてなる構成において、上記二重フラップダンパ19における下段フラップダンパ20bのホッパケーシング21bの下部位置、又は、上記間接冷却装置22の受入ホッパ24の上部位置に、冷却水31の噴霧ノズル32を設ける(図では、受入ホッパ24の上部位置に噴霧ノズル32を設けた状態を示してある)。該噴霧ノズル32は、流量制御弁34付きの冷却水供給管33を介し図示しない冷却水供給部に接続することにより、上記噴霧ノズル32の設置個所付近に、下段フラップダンパ20bのホッパケーシング21bから上記受入ホッパ24の底部へ向けて落下するチャー13に対して冷却水31を噴霧して直接冷却するための直接冷却ゾーンAを形成する。又、上記間接冷却装置22の受入ホッパ24に、該ホッパ24内に受け入れられるチャー13の温度を検出すると共に、チャー13の検出温度に応じて、上記冷却水供給管33上の流量制御弁34をフィードバック制御する温度制御器35を設ける。これにより、上記二重フラップダンパ19の上部と下部のフラップダンパ20aと20bを従来と同様に交互に開閉することによって上記廃棄物熱分解ガス化装置1の分離室11より半連続的に抜き出されるチャー13が、上記直接冷却ゾーンAを経て間接冷却装置22の受入ホッパ24の底部へ向けて落下するときに、上記噴霧ノズル32より所要量の冷却水31を噴霧してチャー13の直接冷却を行うようにし、更に、上記冷却水31をチャー13へ噴霧する際、上記温度制御器35にて検出される間接冷却装置22の受入ホッパ24内のチャー13の温度が100℃以上の所要温度、たとえば、約110℃となるように、該温度制御器35により冷却水供給管33上の流量制御弁34を制御して、上記噴霧ノズル32より噴霧させる冷却水31の噴霧量を調整させるようにする。上記冷却水31の噴霧による直接冷却により受入ホッパ24内で約110℃となるように冷却されたチャー13は、その後、間接冷却装置22にて、従来と同様に、スクリュー26の回転駆動によってケーシング23内を排出口25側へ搬送する間に、水冷ジャケット27に流通させる冷却水31により間接冷却させて70〜80℃まで冷却した後、排出口25より外部へ取り出すようにする。
【0024】
以下、詳述する。
【0025】
上記間接冷却装置22は、受入ホッパ24の下部位置と上部位置にそれぞれリミットスイッチ36b,36aを備えて、該ホッパ24内に貯留されるチャー13のレベルが下部リミットスイッチ36bにより検出できなくなると、運転制御器37を介してスクリュー26の回転駆動装置38を停止させることにより、上記受入ホッパ24内に、図1に二点鎖線で示す如く、少なくとも下部リミットスイッチ36bのレベルまでチャー13を常時貯留させて、マテリアルシールを形成できるようにしてある。一方、上部リミットスイッチ36aにより受入ホッパ24内に貯留されるチャー13のレベルが検出されるようになるときには、運転制御器37を介して回転駆動装置38によるスクリュー26の回転数を増速させて、該スクリュー26によるチャー13の搬送速度を増加させることができるようにしてある。
【0026】
上記温度制御器35は、上記間接冷却装置22の受入ホッパ24内のチャー13の温度を確実に検出できるようにするために、該受入ホッパ24における上記下部リミットスイッチ36bよりもやや下方位置に取り付けるようにしてある。
【0027】
更に、上記二重フラップダンパ19における下段フラップダンパ20bを内蔵している下段ホッパケーシング21bの上部位置に、上記温度制御器35にて制御される開閉弁40付きの蒸気排出管39の一端部を接続すると共に、該蒸気排出管39の他端部を、上記廃棄物熱分解ガス化装置1における所要個所、たとえば、分離室11に接続してなる構成とする。
【0028】
ここで、上記温度制御器35による制御を具体的に説明する。
【0029】
上記温度制御器35は、上記二重フラップダンパ19における下段フラップダンパ20bの開放動作と同期、あるいは、下段フラップダンパ20bの開放動作にやや遅れて流量制御弁34を開操作させるようにしてあり、これにより、上記二重フラップダンパ19により廃棄物熱分解ガス化装置1の分離室11より抜き出され、上記下段フラップダンパ20bの開放動作によって下段ホッパケーシング21bを通して上記間接冷却装置22の受入ホッパ24へ落下させられる450℃程度の高温を有しているチャー13が上記直接冷却ゾーンAを通過するときに、噴霧ノズル32より冷却水31を噴霧して、該噴霧された冷却水31によるチャー13の直接冷却を行うことができるようにしてある。更に、この際、上記温度制御器35は、受入ホッパ24内に落下されて貯留されるチャー13の温度を検出して、該チャー13の検出温度が約110℃となるように、上記流量制御弁34の開度を調整して上記噴霧ノズル32よりチャー13に対して噴霧する冷却水31の噴霧量を調整するようにしてある。
【0030】
上記においては、冷却水31の噴霧により直接冷却された後にもチャー13が約110℃と水の蒸発温度以上の温度を保有するようにしてあるため、上記チャー13に対して噴霧された冷却水31はすべて蒸発されて正圧の蒸気41が発生するようになる。かかる蒸気41は、間接冷却装置22の受入ホッパ24及び二重フラップダンパ19の下段ホッパケーシング21b内に充満するようになることから、上記温度制御器35は、上記流量制御弁34の開操作に同期するか又は少し遅れて蒸気排出管39上の開閉弁40を開操作するようにして、上記チャー13の冷却に供した冷却水31の蒸発によって発生する蒸気41の過剰分を、上記下段ホッパケーシング21bより蒸気排出管39を通し排出させて、微負圧に保たれている廃棄物熱分解ガス化装置1の分離室11へ送ることができるようにしてある。
【0031】
その後、上記二重フラップダンパ19の下段フラップダンパ20bが閉止動作されるときには、上記温度制御器35は、流量制御弁34を閉操作して、噴霧ノズル32からの冷却水31の噴霧を停止させると共に、上記開閉弁40を閉操作して、蒸気排出管39における蒸気41の流通を遮断するようにする。
【0032】
しかる後、上記温度制御器35は、二重フラップダンパ19の下段フラップダンパ20bの開放・閉止動作に対応して上述した流量制御弁34と開閉弁40の開閉動作を繰り返すようにしてある。このような制御を行っている際、上記温度制御器35にて検出される上記間接冷却装置22の受入ホッパ24内のチャー13の温度が110℃を下回るように下がり過ぎた場合には、上記下段フラップダンパ20bの開放動作に対応した流量制御弁34の開操作を一時中断して、チャー13に対する噴霧ノズル32からの冷却水31の噴霧を一時停止させることにより、上記間接冷却装置22の受入ホッパ24内のチャー13の温度を上昇させて、水の蒸発温度以上の温度である約110℃に保つようにしてある。
このように流量制御弁34の開操作を一時中断して噴霧ノズル32からの冷却水31の噴霧を一時停止する場合には、チャー13の冷却水31による直接冷却に伴う蒸気41の発生はないため、蒸気排出管39上の開閉弁40の開操作もキャンセルするようにしてある。
【0033】
本発明における間接冷却装置22は、冷却効率の向上化を図るために、スクリュー26のスクリュー軸26aの軸心部にも冷却水31の流路(図示せず)を設けて、スクリュー軸26a内を流通させる冷却水31によってもチャー13の間接冷却を行うようにした形式のものとしてある。又、図1における符号42は、上記間接冷却装置22の排出口25近傍に設けて該間接冷却装置22より排出されるチャー13の温度を常時監視するための温度検出器であり、該温度検出器42にて検出されるチャー13の温度が所望する70〜80℃よりも高温となっている場合には、上記冷却水31の噴霧によるチャー13の直接冷却や、間接冷却装置22による間接冷却がうまく行われていないとして、警報を発したり、廃棄物10の熱分解処理を行うシステム全体を停止させるようにしてもよい。43は上記間接冷却装置22の排出口25より取り出される冷却後のチャー13を下流側の所要個所、たとえば、図示しない溶融炉へ搬送するためコンベヤである。又、図示してはいないが、上記間接冷却装置22の下流側のコンベヤ43内や二重フラップダンパ19の上段ホッパケーシング21a内、間接冷却装置22のケーシング23内等の所要個所には、適宜従来と同様に窒素パージを行うことにより、内部を正圧に保持して大気の進入を防止できるようにしてある。その他、図2及び図3に示したものと同一のものには同一符号が付してある。
【0034】
以上の構成としてある本発明の廃棄物熱分解チャーの冷却方法及び冷却装置によれば、廃棄物熱分解ガス化装置1より抜き出されるチャー13は、先ず、噴霧ノズル32より噴霧する冷却水31により約110℃まで直接冷却するようにした後、間接冷却装置22にて、上記約110℃のチャー13を70〜80℃まで冷却するようにしてあるため、上記チャー13を、直接冷却と間接冷却との併用により効率よく且つ確実に冷却することができる。
【0035】
更に、上記冷却水31の噴霧による直接冷却を行った後のチャー13が、水の蒸発温度以上の温度である約110℃となるように上記噴霧する冷却水31の量を調整するようにしてあるため、上記チャー13の直接冷却のために噴霧する冷却水31をすべて蒸発させることができて、チャー13が湿る虞を解消できる。したがって、取り出された後のチャー13を燃焼させる際に発熱量が低下したり、機器への付着やハンドリング等の問題が生じる虞を解消できる。
【0036】
上記チャー13に冷却水31を噴霧して直接冷却を行うための装置構成としては、一般的なシーケンス制御装置とすることが可能な温度制御器35と、冷却水31を定量噴霧するための噴霧ノズル32、流量制御弁34付きの冷却水供給管33を設けるだけの簡単な装備であるため、コストを安価なものとすることができると共に、図3に示した如き従来の廃棄物処理施設にも容易に設置することができる。
【0037】
又、上記間接冷却装置22では、噴霧ノズル32より噴霧される冷却水31により廃棄物熱分解ガス化装置1より抜き出された450℃程度の高温状態から約110℃まで直接冷却された後のチャー13を、70〜80℃まで冷却すればよいため、上記間接冷却装置22に要求される冷却能力を、従来要求されていた450℃程度のチャー13を70〜80℃まで冷却できるようにするための冷却能力に比して、低減できる。したがって、該間接冷却装置22を、滞留時間の長い大型の装置とする必要を解消できて、間接冷却装置22を設置するために地下部分に大きなスペースを設ける必要をなくすことができるため、廃棄物処理施設の建設費を軽減することが可能になる。
【0038】
しかも、上記二重フラップダンパ19の下段ホッパケーシング21bでは、副次的に、チャー13の直接冷却に供される冷却水31の蒸発により発生する不活性ガスである蒸気41により内部を正圧に保つことができるため、廃棄物熱分解ガス化装置1のシール性を向上させる効果が期待できると共に、外気を遮断して、熱分解ガス12の漏洩を防止する機能も期待できる。
【0039】
なお、本発明は上記実施の形態のみに限定されるものではなく、下段フラップダンパ2bの開放動作により落下されるチャー13に冷却水31を直接噴霧することができれば、噴霧ノズル32は、二重フラップダンパ19における下段ホッパケーシング21bの下部又は間接冷却装置22の受入ホッパ24の上部に、たとえば、周方向に複数配置したり、上下方向に多段に配置する等、配置や数を任意に変更してもよい。
【0040】
間接冷却装置22の受入ホッパ24内のチャー13の温度検出と、冷却水供給管33上の流量制御弁34の制御を介した冷却水31の噴霧量の制御とを、温度制御器35により行わせるものとして示したが、上記受入ホッパ24に設置してチャー13の温度検出を行う温度検出器と、該温度検出器より入力される信号を基に上記流量制御弁34を制御する制御器とを別体とするようにしてもよい。更には、上記温度制御器35における制御機能を、廃棄物熱分解ガス化装置1の図示しない運転制御器や、間接冷却装置22における上下のリミットスイッチ36a,36bからの入力の基づいてスクリュー26の回転駆動装置38を制御する運転制御器37等の別の制御器の機能と統合するようにしてもよい。
その他本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の廃棄物熱分解チャーの冷却方法及び装置の実施の一形態を示す概要図である。
【図2】従来提案されている廃棄物熱分解ガス化装置の一例を示す概要図である。
【図3】従来提案されている廃棄物の熱分解ガス化溶融処理を行う形式の廃棄物処理施設の一例を示す概要図である。
【符号の説明】
【0042】
1 廃棄物熱分解ガス化装置
10 廃棄物
11b チャー取出口
12 熱分解ガス
13 チャー
19 二重フラップダンパ
21a,21b ホッパケーシング
22 間接冷却装置
24 受入ホッパ
31 冷却水
32 噴霧ノズル
33 冷却水供給管
34 流量制御弁
35 温度制御器
39 蒸気排出管
40 開閉弁
A 直接冷却ゾーン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄物熱分解ガス化装置にて廃棄物を熱分解した後、熱分解ガスと分離して取り出されるチャーに対し、該チャーを100℃以上の温度範囲に保持できるように量を調整した冷却水を噴霧して直接冷却を行い、しかる後、上記チャーを間接冷却して100℃以下の所要温度まで冷却することを特徴とする廃棄物熱分解チャーの冷却方法。
【請求項2】
廃棄物熱分解ガス化装置にて廃棄物を熱分解した後、熱分解ガスと分離して取り出されるチャーを、冷却水の噴霧による直接冷却を行いながら、該直接冷却された後のチャーの温度を検出して、該チャーの検出温度が100℃以上の温度範囲となるように、上記噴霧する冷却水の量を調整するようにし、更に、上記直接冷却された後のチャーを間接冷却して100℃以下の所要温度まで冷却することを特徴とする廃棄物熱分解チャーの冷却方法。
【請求項3】
廃棄物熱分解ガス化装置より廃棄物の熱分解により発生するチャーを取り出すためのチャー取出口の下流側に、上記チャー取出口より取り出されるチャーに対し冷却水を噴霧して直接冷却する直接冷却ゾーンと、チャーを間接冷却するための間接冷却装置とを順に設け、更に、上記直接冷却ゾーンを通過して上記間接冷却装置へ受けられるチャーの温度を検出し、該チャーの検出温度が100℃以上の温度範囲に保持されるように上記直接冷却ゾーンにて噴霧する冷却水の量を調整する装置を備えた構成を有することを特徴とする廃棄物熱分解チャーの冷却装置。
【請求項4】
廃棄物熱分解ガス化装置のチャー取出口に、二重フラップダンパを取り付けると共に、該二重フラップダンパの下側に、間接冷却装置の受入ホッパを接続し、上記二重フラップダンパの下段ホッパケーシングの下部位置、又は、上記間接冷却装置の受入ホッパの上部位置に冷却水の噴霧ノズルを設けて、該噴霧ノズル付近に、上記二重フラップダンパより上記受入ホッパの底部へ向けて落下するチャーに対し冷却水を噴霧できるようにしてなる直接冷却ゾーンを形成させるようにした請求項3記載の廃棄物熱分解チャーの冷却装置。
【請求項5】
間接冷却装置の受入ホッパに、該受入ホッパ内へ受けられるチャーの温度を検出すると共に、噴霧ノズルに接続してある冷却水供給管上の流量制御弁を制御する機能を有する温度制御器を設けるようにした請求項4記載の廃棄物熱分解チャーの冷却装置。
【請求項6】
二重フラップダンパの下段ホッパケーシングと、廃棄物熱分解ガス化装置の所要個所とを開閉弁付きの蒸気排出管で接続し、且つ温度制御器に、冷却水供給管上の流量制御弁の開閉制御に対応して上記蒸気排出管上の開閉弁を制御する機能も備えるようにした請求項5記載の廃棄物熱分解チャーの冷却装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−155231(P2007−155231A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−351858(P2005−351858)
【出願日】平成17年12月6日(2005.12.6)
【出願人】(000000099)石川島播磨重工業株式会社 (5,014)
【Fターム(参考)】