説明

廃水処理の方法および廃水処理のシステム

【課題】従来の廃水処理は、操業に大量のエネルギーを必要とする。更に、高価で処分困難な大量の生物廃棄固形物の生成をもたらす。そこで、改善方法が低コストで再生水の増産をもたらす効率向上を提供する廃水処理に必要とされる。
【解決手段】廃水処理システム(100)の方法とシステムにおいて、生物固形物の高い生成無くして商業的に優れた処理を提供するために、嫌気性生物処理(60)との好ましい組み合わせで膜プロセス(30,50)を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広く知られた方法を越える利点を提供する廃水処理の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
社会の隅々まで人口の増加と工業化が進み、きれいな水の要求は増加し続けている。このことは、経済的および技術的に実行可能なとき、水の再生と再利用を望ましくする。廃水は、再生と再利用のための立派な水源である、しかし処理済みの水は、所望の利用に依存して変わる政府機関によって設定された品質基準を満足しなければならない。例えば、都市の灌漑用の水質基準は、水が直接的に再利用されないとき、受けとる水(受水)への排水用の基準より厳しい。これらの変化する基準の結果として、廃水処理と水再生は、明らかに異なるプロセスの組み合わせとして歴史的に存在した。
【0003】
従来の廃水処理は、一般的に、受水への排水用の廃水の処理で成功している。そのような施設は、通常、沈殿や浮上などの一次処理方法、続いて散水濾床処理装置と活性汚泥などの有酸素生物処理を取り入れる二次処理方法を採用している。しかしながら、従来の廃水処理は、非飲料あるいは飲料再利用用に要求される更に厳しい水質基準を達成することは出来ない。対照的に、水再生方法は、従来の廃水処理トレイン(処理トレイン=異なる処理技術の組み合わせの意味)に追加の処理方式を加えることにより再利用水質基準を成功裏に達成している。この「追加」のアプローチにおいて、水再生プロジェクトは、従来の廃水処理施設から二次処理済排水を受け取る、そして処理トレインへの砂あるいは膜濾過プロセスなどの「追加」の三次技術を追加する。このアプローチは、従来処理方法の置き換えよりはむしろ、補填に使われている。
【0004】
今日、従来の廃水処理施設が2次および3次処理排水再生プロジェクトを提供する多くの例がある。1例は、カリフォルニア州オレンジ郡の水工場21プラントである。図1は、水工場21処理トレインのプロセス図を示す。膜プロセス(工程)での更なる開発は、水再生のための最新技術のアプローチに導く、図2に示す。この方法においては、水工場21プラントで利用された石灰処理のプロセスと3次濾過が精密濾過(Micro Filtration:MF)により置き換えられた。精密濾過は、通常、粒子を0.1から10ミクロン範囲に分離するために働く膜の使用を要件とする。精密濾過は、逆浸透(Reverse Osmosis:RO)を用いる処理への優れた前処理ステップであることが示される。逆浸透は、溶液からイオンと同じほど小さい粒子を取り除くために膜の使用を要件とする。現在、2次処理済廃水から水再生に、精密濾過/逆浸透アプローチを用いるいくつかの水再生施設がある。他の公知の膜濾過の形式は、略10,000ドルトン(原子質量単位)より大きい分子量の溶液から粒子を濾過するために使用される限外濾過(Ultra Filtration:UF)および略1000ドルトンより大きい分子量の溶液から粒子を濾過するために使用されるナノ濾過(Nano Filtration:NF)を含む。
【0005】
旧世代と新世代の水再生システム間の類似性は、それらすべてが「追加」アプローチを用いる、つまり、許容品質への廃水処理は、所望の最終品質に達するまでプロセスに加えることによる水質増進である。
【0006】
この従来のアプローチは一般的に所望水質の達成に成功するが、それは数々の問題を提示する。まず、従来のアプローチは、土地に対する高い必要性をもたらす。存在するストリームへの高度な技術プロセスの追加は、広い土地を占有する長い処理トレインをもたらす。次に、従来のアプローチは、必要とされる多くの廃水処理施設に関連する高コストをもたらす。
【0007】
更に、従来のアプローチは、操業に大量のエネルギーを必要とする。最後に、従来のアプローチは、高価で処分困難な大量の生物廃棄固形物の生成をもたらす。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記に鑑み、改善方法が低コストで再生水の増産をもたらす効率向上を提供する廃水処理に必要とされることは明らかである。本発明はこの要求を満たし、更に関連便益を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、膜濾過用に適する排出物を生成するための廃水処理、実質的に有酸素生物処理のないプロセスを組み入れた処理と、そして実質的に精製された水から成る透過ストリームと可溶性の有機物質と無機塩から成る廃棄物ストリームを生成するための膜濾過システムを用いる排出物処理と、から成る廃水処理の方法である。膜濾過に適する排出物を生成する廃水処理のステップは、廃水から大きい固形物を取り除くために沈殿あるいはふるい分け(スクリーニング)のような従来の一次廃水処理を備えることが望ましい。
【0010】
膜濾過システムが、精密濾過システム、限外濾過システム、ナノ濾過システム、逆浸透システム あるいは、それらの組み合わせより成るグループから選ばれることが望ましい。方法は、可溶性有機物質を安定化し、メタンから成るバイオガスを生成するために、廃棄物ストリームを上向流嫌気性汚泥ブランケット・システムのような高速度嫌気性消化プロセスに通す経路を備えることが望ましい。
【0011】
方法を用いて生成した浸透物は、海へ決まった経路で送ることができる。
【0012】
本発明は、更に、廃水から浮遊固形物を除去するためのふるい分け装置に廃水を導くこと、精密濾過排出物を生成するために、精密濾過システムにふるい分け済排出物を導くこと、実質的に精製された水から成る透過ストリームと可溶性の有機物質と無機塩から成る廃棄物ストリームを生成するために、逆浸透システム、ナノ濾過システム、限外濾過システム、あるいは、それらの組み合わせより成るグループから選ばれた膜濾過システムに精密濾過排出物を導くこと、可溶性物質を安定化し、バイオガス、メタンから成る前記バイオガスを生成するために、廃棄物ストリームを上向流嫌気性汚泥ブランケット・システムに通す経路、から成る廃水処理の方法である。
【0013】
本発明は、廃水流入と接続する実質的に有酸素生物処理のない前処理、と、前処理システムと接続するふるい分け要素、そこで、ふるい分け要素は、その中に略10から1000ミクロンのサイズ範囲で形成された隙間を備えることを特徴とする、と、ふるい分け要素と接続する第一膜要素、と、第一膜要素と接続する第二膜要素、そこで、第二膜要素は、排出物ストリーム出力と凝縮排出物ストリーム出力を備えることを特徴とし、と、第一膜要素に接続する固形物濃縮要素および濃縮固形物ストリームを嫌気性消化プロセスに接続する、ことから成る廃水処理のシステムである。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、追加膜処理へ引き継ぐ完全二次廃水処理の従来型アプローチに対して多くの利点を有する。新しい組み合わせプロセスは、より低い総合電力の必要条件を有することができ、二次活性汚泥処理を必要とせず、大きなバイオガスの生成および実質的に少ない生物固形物の生成を与え、これら固形物の処分費用を低減する。
【0015】
本発明の方法は、低資本および低運用費用を必要条件としながら、従来方法を用いて生成されるものと等価な高品質水を生成することができる。
【0016】
本発明の方法は、処理済ストリームの有機構成要素を低コストの高速度嫌気性生物プロセスを用いて処理できる小さなストリームへ濃縮することにより、従来処理の問題に対処する。結果として、従来の二次処理を使用するときより非常に少ない量の廃棄固形物が生成され、それにより処理プラントの費用を低減する。
【0017】
更に、システムの全体エネルギー消費を低減するために、生成された大きな量のバイオガスを燃料として利用できる。
【0018】
また、本発明の方法(あるいはシステム)は、二次処理施設の使用を省略し、統合した膜システムの使用を取り入れることができるので、それは、短い処理トレインを与え、土地の要求条件を低減する。これは、本発明の方法を、例えば、下水道から直接に生活廃水を抽出し、処理済水ストリームを生成するためにそれを処理し、それから廃棄物ストリームを下水道に戻す居住地区に置かれたオンサイト処理施設で使うことを可能にする。
【0019】
本発明の他の特徴や便益は、方法例により本発明の原理を表す添付の図面を参考にして、以下の好ましい方法の記述から明らかになるべきである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下の詳細な記述は、本発明を実施するための最良の最新熟慮モデルを提示する。記述は、限定的に取りえるものではなく、本発明の一般的な原理を説明する目的のためのみに作成されている。
【0021】
本発明は、現状必要とされているような二次有酸素生物処理を用いることなく、高品質の水を生成するために、随意の嫌気性の生物処理との組み合わせの膜プロセスを用いる処理(廃水)のための方法とシステムである。
【0022】
本発明の方法は、図3および図8に示すように、経済的アプローチで、廃水処理と水再生をひとつに統合する、そして、上記で確認した現在の処理方法の問題を軽減する。
【0023】
公知の廃水処理方法は、処理済ストリーム内の可溶性有機化合物のレベルを低減するために二次処理を用いていた、その結果、比較的大量の固形物が生成されていた。高濃度有機化合物を含むストリームおよび二次処理を受けてない廃水に一般的に見出される固形物へ、精密濾過(MF)に使われたもののような膜を服従させるのは非実的であると考えられていた。膜システムを、高濃度有機化合物を含むストリームおよび固形物で運用し、廃水中の有機化合物を分離・濃縮するためにこれらの膜を使うことが可能であることが発見された。
【0024】
方法は、膜濾過装置、好ましくは精密濾過(MF)への流れに適切な一次排出物を十分に生成するために、沈殿槽、ふるい分け(以下、スクリーンと呼ぶ。)あるいは他の従来の一次処理のような一次処理を用いる。一次排出物は、一次排出物から実質的にすべての不溶性物質を取り除く精密濾過装置に流れこむ。精密濾過(MF)が使われた場合、精密濾過排出物は、それから、(生物化学的酸素要求量(BOD)によって測定できる)濃縮済可溶性有機化合物および再利用に適する高品質排水を生成するために、逆浸透(RO)、ナノ濾過(NF)あるいは限外濾過(UF)のような、処理済ストリームの更なる浄化のための追加の膜システムに流れ込む。浮遊物質のない廃棄物ストリームは、従来の二次活性汚泥処理の必要性を取り除き、エネルギー生産に用いることができるバイオガス(一次メタン)を生成する高速度嫌気性消化プロセスを用いて処理される。
【0025】
図3に本発明の方法の流れ図を示す。処理の第一ステップ(段階)は、従来の一次廃水沈殿を用いることである。これは、精密濾過(MF)に送られ、そこで一次排出物の可溶性および残存の不溶性有機物質が分離される。精密濾過膜で取り除かれた固形物質は、嫌気性消化器(それはまた一次沈殿ステップの間に生成された固形物を受け取る)に戻される。
【0026】
そして、可溶性有機物質を含む精密濾過生成物ストリームは、処理されるべく逆浸透プロセスに流れ込む。その上、逆浸透、ナノ濾過あるいは限外濾過処理プロセスが、生成する2個のストリーム:最終消毒および利用が可能な高品質水の透過ストリームおよび除去塩および濃縮済可溶性有機物質を含む濃縮廃棄物ストリーム:に使用できる。
【0027】
本発明の方法において、浮遊物質のない有機の豊富な廃棄物ストリームは、約8時間の滞留時間である高速度嫌気性消化プロセスを使用して安定化される。このプロセスにおいて、廃棄物ストリームの有機物質は、嫌気性バクテリアにより消費される。廃棄物ストリーム内の硫酸塩濃度に依存して、有機物質のほとんどの部分が、硫酸塩減少バクテリアによって消費される。それゆえ、生成水は、ほとんど硫酸塩を含まず、そして有機構成成分はほとんど消費される。上述のように、本発明の方法は、従来の二次活性汚泥処理の必要性および関連した大量の生成固形物をなくする。
【0028】
図3および図8を参照して、廃水処理システム10は、一次処理システムあるいは前処理システム12によって受け取られる地域源、産業源あるいは双方の混合からの未処理下水のような廃水流入100を受け取る。前に述べたように、この前処理システム12は、存在する廃水処理施設であり、そして廃水ストリームから5mmサイズ未満へ大きい固形物を取り除くためのふるい分け(スクリーニング)および/また沈殿(セッテイング)を備える。嫌気性消化システム80は、更に、前処理システム12から送られた一次廃棄固形物82を処理するために使用される。廃水処理システム10の目的のために、図2に示すように、従来の廃水処理に用いられた有酸素生物システムを伝統的に有するすべての二次処理要素90を取り除く。
【0029】
前処理排出物14は、運ばれた繊維、髪の毛などの固形物の除去のために導管あるいは他の方法によりスクリーン要素20へ送られる。スクリーン要素20は、一次膜要素30による処理に適切なふるい分け済排出物24を生成する略10から1000ミクロンの間の隙間サイズを有する。一次膜要素30は、孔径が略0.03から0.3ミクロンの範囲の精密濾過プロセスあるいは限外濾過あるいはナノ濾過範囲の膜でありえる。一次膜要素30からの排出流動32は、少なくとも廃水流入100の75%流量であり、処分でき、あるいは有益に用いることができる。
【0030】
排出流動32は、また、更なる処理のために二次膜要素50で処理される。二次膜要素50は、逆浸透、限外濾過あるいはナノ濾過プロセスでありえる。プロセスの選択は、排出物ストリーム52の所望の最終品質に依存する。排出物ストリーム52に対する水回収レベルは、選択された二次膜要素50プロセスに依存する。排出物ストリーム52は、放出できあるいは有益に利用できる。
【0031】
一次膜要素30からの廃棄物ストリーム34の存在浮遊固形物は、固形物ストリーム42内で略2.5から5.0%固形物濃度で、濃縮済固形物ストリーム42出力を生成するための浮遊プロセスである固形物濃縮要素40において濃縮される。濃縮済固形物ストリーム42は、濃縮済固形物ストリーム42からメタンガスの形でエネルギーを回収するために嫌気性消化プロセスへ送られる。固形物濃縮要素40の部分として、循環(リサイクル)ストリーム16は、廃水流入100と混合するために前処理12へ送られる。
【0032】
二次膜要素50の濃縮物排出ストリーム54は、排出流動32よりも更に濃縮され分解された有機物質を有する。濃縮物排出ストリーム54は、処分され、あるいは可溶性有機物質をメタンガス62の形のエネルギーに変換するために高速度嫌気性消化システム60に送られる。高速度嫌気性消化システム60は、16時間かそれ以下の水理学的滞留時間を有する。高速度嫌気性消化システム60は、例えば、上向流嫌気性汚泥床(UASB)、上向流嫌気性汚泥ブランケット、上向流嫌気性汚泥反応器あるいはUASBプロセスでありえる。消化システム流動排出物64は、廃水処理システム10からの最終廃棄物ストリームである。このストリームは、蒸発池あるいは他の妥当な処分選択肢に送られる。
【0033】
濃縮物排出ストリーム54は、2者択一的に、処分されるか、分解済有機化合物の濃縮および/または副産物としてシステムから除去されるアンモニア、のために、分離プロセス70に送られる。分離プロセス70は、最終処分に対して分離ストリーム72および更なる濃縮済処分ストリーム74を生成するために、例えば、水蒸気、不揮発性有機化合物および/または無機化合物から分離すべきアンモニアを許容する蒸留プロセスあるいはフラッシュ蒸発プロセスである。分離プロセス70に依存して、水蒸気、不揮発性有機化合物およびアンモニアは、これら成分に対して処分オプションに準拠する分離ストリーム72を形成する1個以上のストリームに存在している。処分ストリーム74は、蒸発池あるいは他の妥当な処分選択肢に送る廃水システム10からの最終廃棄物ストリームである。
【0034】
実例
本発明を組み入れたパイロットプラントが構築され、いくつかのフェーズ(段階)で試験された。図4は、このパイロットプラントの詳細流れ図を提供する。パイロットプラントの各ユニットを以下に記述する。
【0035】
1.使用された装置
a:一次処理
パイロット試験の初期フェーズにおいて、3/64インチ(1190ミクロン)の間隙の静的スクリーンが二重機械式濾過器(ニュージャジー州エリザベスのヘイワード産業社製のHayward Mode500二重濾過器)に用いられた。後に、自動濾過器(イリノイ州レイクブラフのパークソン(株)社製のHycor ディスコ濾過器ユニット・モデル DS 391)が、手動運用および静的なスクリーンに関する清掃要求を減らすために装置された。Hycorパイロットユニットは、車輪直径39インチのディスクを覆った一対のワイヤーメッシュを有した。ユニットは、75から600ミクロンのスクリーンサイズに使うことが可能である。600ミクロンの間隙のスクリーンが、パイロット試験に使用された。
【0036】
b:精密濾過(MF)
ふるい分け済一次排出物は、カリフォルニア州パームデザートのUSフィルター(株)社製のMemcor6M10C連続精密濾過(CMF)ユニットを使用して精密濾過された。連続精密濾過ユニットは、並列および終端モードで動作する6個のモジュールを含んでいた。各モジュールは、裏返し中空繊維構成ポリプロピレンに配列した名目孔径0.2ミクロンのポリプロピレン膜を内蔵した。各モジュールで利用可能な膜の外部表面領域は、370スクエアフィート(34.6スクエアメータ:平米)であった。しかしながら、パイロット試験の一部の間、6モジュールのうちの4個のみが、連続精密濾過ユニット内で動作していた。期間の後、モジュールの1個が修理された、結果として、パイロット試験の残りの期間に対して5個の運用モジュールであった。
【0037】
連続精密濾過ユニットから上流、濾過済一次排出物への塩素処理の可変用量を提供するためにシステムが構成された。また、手動制御弁(バルブ)は、生成物流量を維持調整するために、連続精密濾過ユニットの下流に置かれた。
【0038】
連続精密濾過ユニットは、化学洗浄および流体洗浄に対して構成された。使用した化学洗浄アプローチは、2重の洗濯計画であった。第一洗濯は、クエン酸(pH2.0)を用いて仕上げられた、そして第二洗濯は、40%苛性ソーダ溶液およびpH11の洗浄溶液(カリフォルニア州パームデザートのUSフィルター(株)社製のMemclean溶液として市販されている)の混合物を用いて仕上げられた。生成物流量と供給および生成物ストリーム圧力は、1回の運用シフトに対して2度記録された。膜は、12分運用後ごとに空気逆洗(バックウオシュ)/供水フラシュ・システムの組み合わせにより流体力学的に洗浄された。各逆洗(バックウオシュ)行事は、略80ガロンの廃棄物を生成し、それは汚水タンクに集められ、そして重力式に排出された。
【0039】
c:逆浸透(RO)
逆浸透(RO)ユニットは、それぞれは螺旋巻き構成の3個の膜要素(それぞれ直径4インチ、長さ40インチ)を含む6個の圧力容器が取り付けられた。圧力容器は、2:2:1:1の構成をもつ4個の堤内に配置された。試験の最初のフェーズにおいて、逆浸透膜(マサチューセッツ州ウィルミントンのKoch Membrane Systems(株)を通じて利用できる流体システムTFC 4821-ULP)が使用された。それぞれは、80ft2(スクエアフィート)の膜領域を有し、結果として、全膜領域は1440ft2(スクエアフィート)であった。パイロット試験ののちのフェーズにおいて、新しい逆浸透膜(カリフォルニア州オシャンサイドのHydranautics(株)を通じて利用できるHydranauticsLFCI-4040)が使用された。それぞれの新逆浸透膜は、85ft2(スクエアフィート)の膜領域を有し、結果として、全膜領域は1530ft2(スクエアフィート)であった。システムは、逆浸透供給ストリームへ少量の水質調整剤(anti-scalant)と硫酸の双方を加えるために構成された。逆浸透膜は、温度40℃)およびpH11でトリポリリン酸ナトリウムとナトリウムドデシルベンゼンスルホン酸の混合を用いて科学的に洗浄された。パイロット試験のために、除去あるいは濃縮物ストリームが直接に以下に記述の上向流(型)嫌気性汚泥床(UASB)パイロットユニットに導かれている間、逆浸透ユニットからの生成物ストリームは排水溝に処分された。
【0040】
d:上向流(型)嫌気性汚泥床(UASB)
上向流(型)嫌気性汚泥床(UASB)ユニットは、逆浸透ユニットから濃縮物を受け取った。USAB反応器は、供給調整タンクおよびオランダのPaques, B. V.社製の上向流流動床反応器で構成された。反応器は、供給ストリームからメタンおよび二酸化炭素ガスに変換する有機物質パレット化汚泥を含んでいた。
【0041】
手動調整制御弁は、UASB供給調整タンクへ選択済供給速度を維持するために、逆浸透濃縮物供給ラインにそって置かれた。UASB反応器から供給調整タンクへの排出物ストリームの循環(リサイクル)速度が調整された。供給ライン内の流量計がUASBへの供給速度を表示した。供給調整タンクからの超過濃縮物は、排水溝へ放出された。代わりの方法で、この超過濃縮物を、望めば、再度プラント内でリサイクル(循環)出来る。供給pHは、水酸化ナトリウムを加えることにより、7.8から8.5の範囲内で調整された。調整タンクにナトリウム過熱器が、内容物の温度を必要な37℃付近に調整するために使われた。給水タンクの大きさは、水圧式の滞留時間を略1時間から6時間まで変えられるように調整可能であった。
【0042】
ポンプは、調整済供給物をUASB反応器の底に注入する。反応器は、66ガロン(250リットル)の水力量を有し、ステンレス枠内に平たいHDPE(高密度ポリエチレン)板に結合されたHDPEパイプDn450 pn6で構築された。反応器は、4個のボール弁・サンプル点と1個の排水溝弁が装備された。BIOPAQ(登録商標)三相分離器(あるいはセトラーモジュール)が反応器の頂上に置かれた。分離機は、3つのレベル、排出溝およびバイオガス収集室に分けられたガスフードに合った長方形のプロピレン箱から構成された。分離器は、すべての固形物(生物ペレット)、ガスおよび反応器排出物を分離するために動作した。ガス相は測定され、それから汚濁空調システムへ排出された。
【0043】
2:運用
a: 一次処理
精密濾過(MF)に先立ち、一次排出物は、インラインのステンレススクリーン(ふるい分け器)を通してプラントにくみ上げられた。このふるい分けは、膜システムを詰まらせるすべての大きな固形粒子を除去した。
【0044】
b:精密濾過(MF)
精密濾過(MF)プロセスは、最初、ふるい分けされた一次排出物に次亜塩素酸ナトリウムを加えることなく試験された。引き続きのフェーズで、精密濾過供給水の塩素処理が、精密濾過生成水内に3.0mg/L(ミリグラム/リットル)の結合塩素残留を維持する狙いの塩素用量で、実施された。塩素処理が達成されたとき、次亜塩素酸ナトリウム溶液が、直接MF給水タンクに投入された。
【0045】
それから、ふるい分けされた一次排出物は、精密濾過ユニットを通じて処理された。このステップ(段階)は、通常、ほとんど全ての浮遊固形物と廃水中の自然発生バクテリア、原虫およびウイルスの大きな部分を取り除く。試験全体に渡って、精密濾過ユニットは、生成物流量が拡張された試験期間に対して略同じ値で維持されるように制御された。異なる生成物流量が、システム回収及びプロセス運用を最適化する部分として、試験された。これは、モジュールの手動流量制御弁下流を調整することにより達成された。
【0046】
供給ポンプにより一定の供給圧が膜にかけられる。この運用で、膜間圧力差(TMP)が膜詰まりとして増加する。膜間圧力差は、通常、約5psiの初期低レベルから増加することが期待された。膜間圧力差が増加したとき、生成物流制御弁は、与えられた流量を維持するために開かれる。弁は、運用スタッフによりシフト毎に2回調整された。
【0047】
一定流実験は、10から15(ガロン/スクエアフィート/日)(=(gfd))の間の透過流動に応じて、略15(ガロン/分)(=(gpm))の目標生成物流量で達成された。
【0048】
膜間圧力差が約15psiの目標値を超えたとき、膜の化学洗浄がなされた。この値は、製造会社推奨を基礎に選ばれた。洗浄運用は、洗浄期間、精密濾過ユニットをラインから外すことを要求した。異なる逆洗間隔がシステム運用を最適化するために試験された。
【0049】
精密濾過ユニットの性能を改善するためにパイロットプラントの運用の間、次の特別な試験実施要綱がとられた。
【0050】
初期運用:最初に、ユニットはいかなる化学物質の付加なしで運用された。この運用の期間は、膜の性能のために基準条件を提供する。
【0051】
供給水の塩素処理:二次廃水の精密濾過処理の前の研究において、供給水の塩素処理の存在は化学洗浄間の期間を延ばすことに役立つことが示された。試験実施要綱の第二ステップとして、精密濾過ユニットへの一次排出供給水に次亜塩素酸ナトリウムを投入した。膜は、自由塩素に抵抗力がない、しかし、それらはクロラミン(結合塩素)の存在を許容でき、そして、生成水内の全体の塩素の濃度3mg/Lが目標であった。目標濃度は、精密濾過生成水内の全残留塩素を手動で測定し、給水タンクへの投入率を手動で調整することにより得られた。
【0052】
運用流動値:初期プラントは、13(gpm)から20(gpm)間の目標生成物流量で精密濾過ユニットを運用することであった。これは、10.1(gfd)から15.6(gfd)の透過流の範囲と同等とみなされる。より速い流動は、より頻繁な化学洗浄(傾向)をもたらすことが見込まれる。可能なより頻繁な化学洗浄の効果が、より大量の生成物生産と総合回収に対して評価された。
【0053】
逆洗(バックウオシュ)頻度:初期の逆洗頻度は、10分に設定された。頻度は、観測された性能に依存して異なる値に調整された。
【0054】
表1は、目標回収率を透過流量および/または逆洗間隔の調整により変えたときの期間を列挙する。示すように、70から78%間の7個の異なる回収率値が試験された。試験期間の特別なポイントでの回収への調整は、性能結果および試験のそのポイントまで観測された流動の持続性に基づいてなされた。条件2から7は、条件1が5個の動作モジュールによる、一方、条件1は4個の動作モジュールによる。条件1,6および7は、最高目標回収を有する。
【0055】
【表1】

【0056】
c:逆浸透(RO)
二次的な流出物〔放流〕を扱っている前の仕事と精密濾過製品の詳細な化学的な分析が流れ出る。水質調整剤(anti-scalant)と酸の初期投入率は、二次排出物処理の以前の作業および精密濾過生成物ストリームの詳細な分析を基に設定された。逆浸透(RO)プラントは、精密濾過(MF)パイロットプラントの生成物流限界のため、その通常設計容量以下で故意に運転された。逆浸透(RO)パイロットは、目標供給流量10(gpm)および総合回収率80%で運転された。
【0057】
d:上向流(型)嫌気性汚泥床(UASB)
精密濾過(MF)や逆浸透(RO)と異なり、生物および低速成長システムの嫌気性プロセスは、安定化のために比較的に長い時間を要する。嫌気性プロセスに対して、パイロットプラントで発生する不可避のプロセス中断が、連続プロセス運用および複雑化した分析にさせる。UASBパイロットプラントの初期の多くの運用は順応フェーズであった、その間、逆浸透濃縮物が供給調整タンクへバッジ(batch)で加えられるのでMFおよびROプラントの運用における中断は小さな影響しかなかった。反応器生成物ストリームは、この期間に、供給タンクにすべて再循環(リサイクル)された。
【0058】
順応フェーズの目的は、ペレット化された汚泥を逆浸透濃縮物ストリーム内の有機物に慣させることであった。後で、逆浸透濃縮物が連続して導入され、再循環は止められた。逆浸透膜が置き換えられた後に逆浸透濃縮物だけの連続加算が生じた。
【0059】
3:運用結果
a:精密濾過(MF)
i:水圧性能
図5は、試験の間の精密濾過ユニットの膜間圧力差を示す。膜間圧力差(TMP)は、膜の供給および透過側間の圧力差として計算される。それは、プロセスに対して圧力差の原動力を表す。一定透過流動運用に対して、長時間にわたって、膜詰まりとして、膜間圧力差は増加する。膜表面および・または構造から除去された物質を取り除くことにより、膜間圧力差の増加を制御するために、流体洗浄(逆洗浄:バック・フラシング)および化学洗浄の双方が用いられる。逆洗浄がある範囲へ短期間の詰まりを軽減するために役立つ一方、長期間にわたって、膜間圧力差は、増加傾向を提示し続ける。膜間圧力差が最大推奨値を超えるとき、化学洗浄が実施される。
【0060】
実施されたパイロット運用で、膜間圧力差は、化学洗浄前に最大約15psiに達することが認められた。一般的に、試験条件下で化学洗浄の後、膜間圧力差を低い値(5psiより小さい)に回復することが可能性であることがわかった。だから、運用条件の広範囲に渡って、膜の長期的不可逆的な詰まりがないことが観測された。特定透過流動、膜間圧力差によって分割された透過流動は、パイロットプラントの運用全体にわたって比較的に一貫しており、また膜は不可逆的ファッションにおいて大幅に詰まらないことを示した。図6は、試験の間の精密濾過ユニットの特定透過流動を示す。
【0061】
2つの化学洗浄間の生成された処理済水の量は、洗浄間で約1万ガロン処理から20万ガロン処理に広範囲に変わった。
【0062】
表1からの条件は、ことなる水圧結果を生成した。条件1の期間、化学洗浄間の洗浄水生成は、14回の洗浄サイクルで計算された45,420ガロンが平均値であった、化学洗浄間の洗浄水生成は、13回の洗浄サイクルで計算された90,713ガロンが平均値であった。比較で、パイロットプラントの全体運用で、化学洗浄間で生成された洗浄水は、57回のサイクルで、74,673ガロンが平均値であった。5個の運用モジュールでの条件下で、最大回収は、条件5,6および7であった。しかしながら、20gpmの透過流量の条件6は、比較的小さな精密濾過パイロットの生成制限によって、維持可能であると判明せず、約1週間のみの試験であった。20gpmの透過流量は、透過弁全開で達成できなかった。精密濾過ユニットは、試験期間に渡って、ふるい分け済一次排出物の150万ガロン以上を処理した。
【0063】
ii:水質分析
流入および排出ストリームの主な分析パラメータ(補助変数)に関する精密濾過性能が、表2および図7で表されたデータによって示される。これらデータは、複数サンプルに基づく平均値である。精密濾過からの供給、生成(透過)および濃縮物ストリームの濁度が、また測定された。精密濾過の供給、生成(透過)および濃縮物ストリームの平均濁度は、それぞれ63.5NTU(濁度単位)、0.52NTUおよび340.2NTUであった。これらの平均値に基づいて、精密濾過により取り除かれた濁度は、99.2%であった。
【0064】
バクテリアの除去は、全大腸菌と糞便性大腸菌の7ログ除去および大腸菌ファージの約3ログ除去まで翻訳する表2で報告された値で示されるように非常に有効であった。また、精密濾過は、生化学的酸素要求量(BOD)および科学的酸素要求量(COD)の両方の約50%、全オイル(油)とグリス(油脂)の80%以上を除去した。期待されるように、著しい変化がアンモニア窒素濃縮ないで観測されない間、精密濾過・濾過液内の全体のケルダール窒素(TKN)の減少は、主に有機窒素(Org.N)構成要素の除去のためであった。
【0065】
【表2】

【0066】
b:逆浸透(RO)の運用結果
前述のように、2種類の逆浸透膜がパイロット試験に用いられた。最初に、「膜A」と指定された流体システム社製の古い膜TFC4821 ULPが用いられた。それらは、「膜B」と指定された新しい膜、HydranauticsのLFCI-4040、に置き換えられた。逆浸透パイロットプラントの水圧性能は、観察された脱塩、供給圧、正規化透過流動および化学洗浄の頻度を含む主要パラメータに関して議論される。逆浸透ユニットは、精密濾過ユニットの約1月後に作動が始まり、全ての試験の完了時に停止された。
【0067】
i:脱塩
逆浸透膜による脱塩は、導電性測定により決定された。標準の脱塩試験は、合成給水を用いる「規定」条件下で膜の脱塩が決まる。この例では、塩化ナトリウムの溶液が用いられた。5回の標準脱塩試験が試験動作の間実施された。標準の塩試験データはその膜を示す。Aは、パイロット試験の開始でさえ、比較的不十分な脱塩性能を有した。しかし、たとえ低初期脱塩能力でも、古い膜は、膜表面の上の「動的」膜を開発でき、85%から90%付近の総合脱塩率を達成できた。化学洗浄の後、初期脱塩率は50%付近に落ちた。しかし、それから性能は改善した、そして脱塩率は、再度85%から90%付近に増加した。膜Bは、残留試験期間の全部で普通に93%以上の脱塩率を示した。
【0068】
【表3】

【0069】
膜Bでの全運用フェーズでの脱塩性能は、安定な脱塩率を示した。たとえ、脱塩率が95%付近(約385日)に減少した場合でも、性能はまだ一貫していた。膜Aでの運用の初期フェーズの期間で、精密濾過生成水の利用不可のために、相当数のプラント停止があった。ゆえに、古い膜は、更に、劣化を速めることができた多くの開始/停止条件および運用のない数日に支配された。
【0070】
ii:供給圧
膜Aに対して、初期供給圧は、通常100psi以下であり、それから時間とともに増加された、それに対して、新しい膜Bは、より厳しく、初期供給圧は約100psiであった。膜Aの平均供給圧は162psiであり、膜Bは164psiであった。供給圧が200psiを超えたとき、化学洗浄が計画された。5回の化学洗浄が、逆浸透パイロットの全運用期間に渡って実施され、膜詰まりが著しくなく、透過流動が維持可能であることを示した。新しい膜が装備された後、ほとんど連続運用が達成され、二次廃水処理の逆浸透システムに対して期待されるものと同様である略1月毎に化学洗浄が発生した。
【0071】
iii:規格化透過流動
逆浸透用の透過流動は、25℃で規格化され、膜Aに対して平均8.5gfd、膜Bに対して平均8.5gfdであった。逆浸透プラントは、精密濾過ユニットから受け取る流れに対応するために、その通常設計容量以下で運用された。それゆえ、高い透過流動と回収は試験できなかった。しかしながら、膜の過度の詰まり(汚れ)が観察されなかったという事実により、高い透過流動と回収が可能であると期待される。
【0072】
iv:水質結果
表4および5は、それぞれ古い(膜A)と新(膜B)の逆浸透膜に対する測定および分析された水質データを要約する。
【0073】
【表4】

【0074】
【表5】

【0075】
微生物の除去が、逆浸透供給と生成ストリーム内の全体の大腸菌、糞便性大腸菌および(HPC:従属栄養性菌平板計数)の分析によって試験された。表4と5の値は、膜の生成側で、いくつかの大腸菌バクテリアが成長したことを示す。これは、同様に生成水内のHPCバクテリアの存在によって確認される。しかし、糞便性大腸菌の除去は良好であった。以下に示すように、生成水内の全体大腸菌とHPC値は低いが、同様な結果が、膜Bに対して得られた。膜Bは、それぞれ平均除去率97.7%と87.1%で、膜Aに比して非常に高い全体の溶解済固形物(以下TDS)除去を示す。
【0076】
膜AとBに対する逆浸透供給および透過全体有機炭素(以下TOC)濃度の変化は観察された。膜Bは、1.8mg/Lの平均生成水TOC濃度で、約96%の平均TOC除去率を達成できた。比較すると、膜Aは、5.7mg/Lの平均生成水TOCを生成できるだけであった。
【0077】
膜Bは、カルシウム(Ca)、硫酸塩(SO)、及びバリウム(Ba)濃度に対して略99%除去を示す。更に、膜Bは、アンモニア窒素、有機窒素および全体のケルダール窒素濃度に対して約93%を示す。アルカリ度は、膜Bの場合において、約89%減らされた。両方の膜で生成された生成物は、最終利用に先立ち、カルシウム濃度を増やすために、安定を要求する。安定の必要は、生成水ための最終利用に依存する。全体として、古い膜(A)は、逆浸透(RO)膜よりむしろ、よりナノ濾過膜のように前もって形成した。
【0078】
c:上向流(型)嫌気性汚泥床(以下UASB)の運用結果
全体として、嫌気性UASBプロセスに対する期間、中断の無い試験の達成は可能でなかった。だから、以下の項目に詳細な性能結果と分析は、UASBの初期、限定および中断運用として解釈されるべきである。UASBの更なる安定と長期運用は、改善性能をもたらすことが期待される。
【0079】
UASBパイロットの水圧性能が、種々の運用パラメータに関する累積ガス生成とガス生成率を含む主要なパラメータに関して議論された。順応フェーズは、略運用の最初の255日として考えることができる。この期間中、パイロットユニットは、完全循環(リサイクル)モードで、そして供給流量3.78(L/min:リトル/分)で動作された、反応器の水圧保持期間は約1時間であった。作業の初期のフェーズの間、有機負荷は、ガス生成には低すぎたので、初期はなにも起きなかった。
【0080】
試験のあるフェーズで、砂糖が調整槽の化学的酸素要求量(以下COD)を60mg/L(ミリグラム/リットル)増やすために加えられた。ガス生成は増加し始めた、そして研究室COD分析は、COD消費がUASB内で起きていることを確認した。同時に、更なる逆浸透塩水が供給調整槽に加えられた。逆浸透塩水を加えることは、加えた少量の砂糖より著しくCODが増加したことが観察された。付加逆浸透濃縮物の追加に応じたCODの増加は、逆浸透濃縮物からのCODがUASB反応器により消費されることを確証した。
【0081】
20℃−25℃間から37℃まで供給ストリームの温度上昇は、ガス生成に付加的な影響を与えるだけであった。逆浸透濃縮物ストリーム内の関係パラメータの1つがTDS、そして特に硫酸塩であった。UASBペレット化汚泥は、CODの高濃度に慣らされたが、TDSまたは硫酸塩には慣らされなかった。表4と表5は、古い膜(膜A)が動作したとき、逆浸透濃縮物のTDSが平均4,680mg/Lであったことを示した。
【0082】
UASB供給槽内のTDSは、運用の順応フェーズの間に増加した。逆浸透プラントが新しい膜になじむまで、UASBペレットを通して計算された供給溶液は、約2,500 mg/LのTDSを有し、硫酸塩濃度は約500mg/Lに達した。この点で、硫酸塩濃度は、時にそのCOD濃度を倍にした。しかし、硫化水素ガスは検出されなかった。約2週間の期間に渡って、供給槽内のTDSは更に、約5,000mg/Lの逆浸透濃縮物濃度(新しい膜(B)によって生成された濃縮物に応じて)近くに増加した。
【0083】
約255の運用に関して、UASB製造会社((PaquesADI, Inc)の推奨で、UASB反応器への供給流量は、0.5L/minに減らされた、そしてユニットは「使いきり」運用に置かれた。これらの変化は、1時間付近から約8時間にUASB反応器内の水圧保持期間を増加させ、循環運用を停止させた、それにより逆浸透濃縮物のみを反応器に供給していた。同時に、付加ペレット化汚泥は、約1/3から約2/3に汚泥量を増やすために、反応器に加えられた。反応器に加えられた汚泥は、UASB反応器処理醸造所排出からのペレット化汚泥であった。新しい条件での約10日の運用の後、ガス生成物は、著しく増加した。2週間で、ガス生成率は、一定の高率に維持された。この期間の間、供給ストリーム内の硫酸塩濃度は、1,000mg/L付近であった、一方COD濃度は、600mg/L付近であった。
【0084】
ii:ガス成分
ガス成分測定が、ガス生成の間なされた、以下の表6に示す。メタンが平均66パーセントで支配的な部分を構成していた。これは、メタン発生が、嫌気性UASBプロセス内で起きていることを確証する。生物ガスの窒素濃度は、当初、使われたサンプリング方式に依るものとされた。サンプルが、大気からの窒素に多孔であるガス袋に集められた。一方、サンプルは、また、密封したガラス注射器に集められた。これらのサンプルは、同様にそれらの中で高濃度の窒素を有した。窒素の供給源は、説明されなかった。更に、供給水の中に硫酸塩の高い濃度があったという事実にもかかわらず、生物ガス中に硫化水素ガスは一切検出されなかった。
【0085】
【表6】

【0086】
iii:水質結果
UASBパイロットに対して測定・分析された水質データを表7に示す。フルスケールプラントで、UASB生成物ストリームは、「塩水処分」システムに放出される。順応フェーズの間のCOD濃度は、逆浸透塩水のバッジ追加により低い。
【0087】
連続運用期間中のUASB反応器からの排出ストリーム中の全体の浮遊物質(TSS)濃度は、50mg/L以下であった。UASB供給槽内容物のpHの小さな変化が観測された。
【0088】
【表7】

【0089】
4:資本費用節約
予備的な費用見積りを以下の表8に示す。それらは、精密濾過と逆浸透の「追加」プロセスによって続く完全二次処理からなる従来プラントのそれと好ましい方法のフルスケール処理および再生施設の見積り費用を比較する。
【0090】
表1に指示された条件を基礎に精密濾過プラントに対して運用/保守(O&M)上の主な運用パラメータの変化の効果が調査された。すべてのシミュレーションに対して、逆浸透回収は、87.5%で一定であった。異なる運用条件は、異なる流動、回収および化学洗浄頻度(「生成物/洗浄」値の上下により決定されるように)をもたらした。異なる運用条件の影響は、全運用/保守費用に反映する。全体として、高い流動(条件5)での運用利益は、多くの運用と保守費用節約をもたらさない、なぜなら、膜の洗浄頻度が増えるからである。高い流動条件(条件1)への移動は、化学洗浄の費用増加により、実際的に運用/保守費用を増加させる。
【0091】
全プロジェクト費用の見積りを得るために、表8に表された資本費用が、6%の固定年間利率で、20年で償還された。資本合計の年間費用の結果は、そして全プロジェクト費用を与えるために年間運用/保守費用に加えられる。
【0092】
【表8】

【0093】
全条件が見出された全体は、従来の「追加」アプローチを用いる処理プラントより低い年間費用を有する。費用節約は、選ばれた精密運用構成に依存して、140万ドルから290万ドルの間で変わった。
【0094】
本発明が、効率を高め、低コストの回収水の増産を提供する廃水処理の方法を提供することは、先の説明から明らかである。
【0095】
本発明の方法は、固形物およびバクテリアの効果的除去、安定な水圧運用を提供する、それは、商業および工業廃水の両方を処理するために適切である。
【0096】
本発明は上述した実施の形態の例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱することなくその他種々の構成を取り得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】従来の水工場21処理プロセスを表す流れ図である。
【図2】精密濾過を組み込んだ水処理用の従来プロセスを表す流れ図である。
【図3】本発明の具体例による廃水処理プロセスを表す流れ図である。
【図4】実例に用いた特別プロセスを表す流れ図である。
【図5】試験の間の精密濾過ユニットの膜間圧力差のグラフである。
【図6】試験の間の精密濾過ユニットの特定透過流動のグラフである。
【図7】試験の間の精密濾過ユニットの流入および排出の濁度のグラフである。
【図8】本発明の具体例による廃水処理プロセスの流れ図である。
【符号の説明】
【0098】
12:一次処理、30:精密濾過、50:ナノ濾過あるいは逆浸透、52:高品質廃水、60:上向流嫌気性汚泥床、62:バイオガス、64:濃縮物、80:嫌気性消化、90:二次処理、100:未処理廃水

【特許請求の範囲】
【請求項1】
膜濾過用に適する排出物を生成するための廃水処理、実質的に有酸素生物処理のないプロセスを組み入れた処理と、
実質的に精製された水から成る透過ストリームと可溶性の有機物質と無機塩から成る廃棄物ストリームを生成するための膜濾過システムを用いる排出物処理と、
前記膜濾過システムから固形物濃縮要素まで固形物ストリームを通す経路、から成ることを特徴とする廃水処理の方法。
【請求項2】
膜濾過用に適する排出物を生成するための廃水処理のステップは、廃水の一次処理の提供を含む、ことを特徴とする請求項1記載の廃水処理の方法。
【請求項3】
廃水の一次処理提供のステップが、廃水から大きな固形物を除去するために廃水の沈殿と固形物除去を助けるための化学物質の追加を含む、ことを特徴とする請求項2記載の廃水処理の方法。
【請求項4】
廃水の一次処理提供のステップが、廃水から大きい固形物を除去するために廃水のふるい分けを含み、前記ふるい分けサイズ範囲は、略10から1000ミクロンである、ことを特徴とする請求項2記載の廃水処理の方法。
【請求項5】
前記膜濾過システムが、精密濾過システム、限外濾過システム、ナノ濾過システム、逆浸透システムあるいは、それらの組み合わせより成るグループから選ばれる、ことを特徴とする請求項1記載の廃水処理の方法。
【請求項6】
更に、可溶性物質を安定化し、バイオガス、メタンから成る前記バイオガスを生成するために、前記廃棄物ストリームを前記高速度嫌気性消化プロセスに通すステップから成る、ことを特徴とする請求項1記載の廃水処理の方法。
【請求項7】
前記高速度嫌気性消化プロセスは、上向流嫌気性汚泥ブランケット・システムである、ことを特徴とする請求項1記載の廃水処理の方法。
【請求項8】
更に、固形物ストリームを前記膜濾過システムから固形物濃縮要素まで通すステップから成ることを特徴とする請求項1記載の廃水処理の方法。
【請求項9】
循環ストリームを前記固形物濃縮要素から前処理システムまで循環するステップおよび嫌気性消化用に固形物ストリームを通すことから成る、ことを特徴とする請求項8記載の廃水処理の方法。
【請求項10】
廃水流入と接続する実質的に有酸素生物処理のない前処理、と、
前記前処理システムと接続するふるい分け要素、前記ふるい分け要素は、その中に略10から1000ミクロンのサイズ範囲で形成された隙間を備えることを特徴とする、と、
前記ふるい分け要素と接続する第一膜要素、と、
前記第一膜要素と接続する第二膜要素、前記第二膜要素は、排出物ストリーム出力と凝縮排出物ストリーム出力を備えることを特徴とする、と、
前記第一膜要素に接続する固形物濃縮要素および濃縮固形物ストリームを嫌気性消化プロセスに接続する、ことから成ることを特徴とする廃水処理のシステム。
【請求項11】
前記第一膜要素は、孔径が略0.03から0.3ミクロンの濾過器を備える精密濾過プロセスである、ことを特徴とする請求項10の廃水処理のシステム。
【請求項12】
高速度嫌気性消化システムは、前記濃縮排出物ストリーム出力の受取り用の前記第二膜要素に接続する、そして前記高速度嫌気性消化システムはメタンガス出力および消化システム流動性排出物を備える、ことを特徴とする請求項10記載の廃水処理のシステム。
【請求項13】
前記濃縮要素は、循環ストリームの接続用に前記前処理システムと接続する、ことを特徴とする請求項10記載の廃水処理のシステム。
【請求項14】
分離プロセスは、分離ストリームと処分ストリームの中に前記濃縮排出物を受け取るために前記第二膜要素に接続する、ことを特徴とする請求項10記載の廃水処理のシステム。
【請求項15】
前記分離プロセスは、蒸発プロセスである、ことを特徴とする請求項14記載の廃水処理のシステム。
【請求項16】
前記濃縮固形物ストリームは、略2.5から5.0%固形物の濃縮固形物内容である、ことを特徴とする請求項10記載の廃水処理のシステム。
【請求項17】
前記第一膜要素からの透過ストリームは、海へ決まった経路で送られる、ことを特徴とする請求項10記載の廃水処理のシステム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2007−524501(P2007−524501A)
【公表日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−517540(P2006−517540)
【出願日】平成16年6月22日(2004.6.22)
【国際出願番号】PCT/US2004/019985
【国際公開番号】WO2005/003044
【国際公開日】平成17年1月13日(2005.1.13)
【出願人】(505178516)
【氏名又は名称原語表記】CAROLLO ENGINEERS, P.C.
【出願人】(306024182)
【出願人】(306024218)
【Fターム(参考)】