説明

廃水浄化装置およびその方法

本発明は、水を浄化する装置、特に、製紙業において水を連続して浄化する装置に関し、前記装置は、水用の少なくとも1つの供給管(21)および少なくとも1つの排出管(25)を備える。この装置はまた、水の少なくとも1つの副流用の圧縮装置(28)と、少なくとも1つのガスを噴射する噴射装置(13)と、水の少なくとも1つの副流を膨張させる膨張装置(29)と、を備える。さらに、この装置は、浄化のために水の異なる相を分離するユニット(30)を備える。この装置は、水の少なくとも1つのパラメータを検出し、プロセスパラメータに基づいて、少なくとも1つの添加剤の少なくとも添加(12,12´)を制御する制御系によって特徴づけられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水を浄化する装置および方法に関し、特に、製紙業における水の連続浄化に関する。
【背景技術】
【0002】
特に、産業廃水を浄化するこのような方法は従来から公知である。
【0003】
一方で、特に産業において、そのような水を公共の下水システムに流すことができるようにし、成分に関して法規によって規定された値未満とするために、水の浄化はなくてはならないものである。さらに、使用済みの水、特にプロセス水を製造プロセスに戻す規定量を可能な限り高くすることも望まれている。浄化ステージはこのために使用され、この浄化ステージを用いて水質が改善されて、製造プロセスに戻すことが可能になり、製造された製品の量に対する水の消費を低減することができる。
【0004】
従来技術によると、例えば、機械的方法、化学的または物理的または生物学的方法、あるいはマイクロシーブやサンドフィルタなどのさらなる処理法によって所望の浄化作用をもたらすことができる。
【0005】
さらに、例えば、3つの浄化ステーションが互いに組み合わされ、主に不溶物質が第1のステージで除去される。ときには化学的な補助剤の力を借りて、機械的な方法がこのために使用される。
【0006】
有機溶解物質を大部分除去できる第2ステージとして生物学的処理がしばしば使用される。第3のステージは、この第2のステージのあとに続けることができ、この第3のステージで、例えば、富栄養化リン酸塩などの無機溶解物質が沈殿によって分離される。達成すべき水の清浄性に関して要求が特に高い場合、さらなる浄化ステージが使用され、この浄化ステージは前述の方法から選択することができる。
【0007】
従来技術により公知の、水を処理するさらなる方法によれば、浄化は2つのステージで行われ、第1の方法のステップで水が嫌気的に浄化され、その後のステップで好気的に浄化される。嫌気性浄化では、嫌気性微生物を使用して、メタンガスなどのバイオマスを形成しながら、有機物質が特に水中で分解される。そのような方法のステップでの有機フレイトの低減は、COD(化学的酸素要求量)値の80%まで達することができる。
【0008】
そのような処理プロセスの第2の状態では、好気性浄化が行われるのが好ましく、この好気性浄化では、大気酸素が(嫌気ステージからの)水に供給される。そのようなプロセスは、例えば、微生物で水が浄化される接触スラッジ法または活性スラッジ法とすることができる。そのような好気ステージでの浄化は、COD値の60%まで達することができる。
【0009】
CODフレイトまたはBOD(生化学的酸素要求量)フレイトの低減に加え、特に製紙におけるプロセス水が問題である場合に、特定の環境下で浄化される水の塩分が多いこと、特に高硬度を有することがさらに必要となる場合がある。それによって、特に、重要な製造プロセスの場合に、製造不良に至るほどの製造プラントの石灰化すなわち製造プラントの障害を引き起こすことがある。
【0010】
こういう理由から、製造循環路に戻る水の量を低減するか、または十分に抑えるかして、製造に中断時間が生じるのをまたは製造に問題が発生するのを防止することがとりわけ必要となることもある。さらに、硬度が高い場合に,特に、プロセス水のpH値を配管経路とプロセス設計との組み合わせ(自由落下による曝気)で変える場合に、水の脱気プロセスが行われることがあり、それにより、製造プロセスにおいて部分的にかなりの問題が生じ、製品の品質に負の影響がもたらされる恐れがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の第一の目的は、従来から公知の欠点を少なくとも部分的に軽減する一方で、費用効果が良好で、さらにまた既存のプラントに組み込むことが容易な、水の処理装置およびその方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的は、請求項1による水の浄化装置、特に、製紙業における水の連続浄化装置によって本発明に基づいて果たされる。この目的はさらにまた、請求項5による水の浄化方法によって果たされる。
【0013】
本発明による装置の好ましい実施形態、あるいは本発明による方法の好ましい実施形態は、従属請求項の対象とされる。
【0014】
本発明によれば、水を浄化する、特に、製紙業において水を連続して浄化する装置は、浄化される水の少なくとも1つの流入部と浄化する水の少なくとも1つの流出部とを有する。この装置はさらに、供給された水の少なくとも1つの部分流れ用の圧縮装置と、さらに、水に少なくとも1つのガスを噴射する噴射装置とを有する。装置内に案内された水の少なくとも部分的な流れ、好ましくは全体流れは、膨張装置内で膨張し、このプロセスで発生した水の異なる相が装置内で互いに分離されて、浄化した水をプラントから取り出すことができるようになる。本発明によれば、膨張装置は、特に、活性スラッジタンクなどの圧縮部の下流にある装置内に、分離した装置としてあるいは統合した装置としても構成することができる。本発明による装置はさらに、水または装置の少なくとも1つのプロセスパラメータを検出し、検出したプロセスパラメータに基づいて、少なくとも1つの添加剤の少なくとも添加を制御する少なくとも1つの制御システムを有する。
【0015】
本発明によれば、液体は、異なるプロセス成分からなる溶解部分に加えて、様々な固形部分も含み得る浄化すべき水として解釈される。溶解物質は本質的に、室内環境によって固体物質、液体および/またはガスのいずれであることも可能で、水内の様々な物質の比率は、好ましくは前もって定めたプロセスステージに基づいて、実質的には一部分でも変えることができる。
【0016】
そのような水は、特に廃水またはプロセス水とも呼ばれ、これらの名称は、相応して浄化された水のこの後の利用に大いに関係する。例えば、廃水は通常、浄化後に下水システムに流され、プロセス水は製造プロセスに戻される。
【0017】
液体とは、所定の量の固形物、溶解した物質すなわち有機および/または無機物質が本発明の方法または装置を用いて除去された浄水として解釈される。このように処理された液体は、適切な中間硬度水として再び次のプロセスに供給することができるか、または廃水の場合、例えば、下水システムに排出することもできる。
【0018】
本発明によれば、装置に入った水量のうちの少なくとも一部の流れは、例えば、ポンプおよび/または弁を用いて圧縮装置内で圧縮され、特に圧力がこの領域内でかなり上昇する。こうして、圧力は、例えば、0.5〜10bar、好ましくは3〜7bar、特に好ましくは5〜6barとされる。本発明によれば、所定量のガスが、好ましくは噴射装置を用いて、この圧縮水に供給され、少なくとも一部は溶解する。
【0019】
好ましい実施形態によれば、ガスは圧縮空気とされ、空気に加えてCO2などの他のガスを使用することも本発明の意図するところであり、このガスは、特に、個々の構成成分に対してそれらの組成が変化しうる。
【0020】
本発明によれば、この発明装置は、可能な限り均一にガスが水流に分散するのを保証するノズルまたはこれに相当する設計の噴射口とされる。このような噴射装置は、従来から公知であり、この時点でより厳密に考察する必要はない。
【0021】
ガスを追加した圧縮水は膨張装置に供給され、この膨張装置内で、ガス/液体混合物の圧力が実質的に低減され、これは、ガスを追加した圧縮部分の流れがさらなる水とすでに混合された後で行われるのが好ましい。
【0022】
これは、装置内に水を案内する好ましい実施形態を意味し、当然ながら、浄化する水の一部の流れを本発明による装置で処理することのみが、本発明の意図するところであることを指摘しておく。
【0023】
膨張は、装置の少なくとも1つの静止領域で本発明の特に好ましい実施形態に基づいて行われ、水の異なる相を分離する装置は、この静止領域に隣接する。そのような装置は、例えば、浮揚タンクおよび/または沈降タンクとすることができ、ガスを追加した水の膨張によって発生した浮揚物が上部領域に分離される。従来から公知のように、物質はこれらの気泡に結合されて排出される。この物質は、その寸法と特定の重量に従って、気泡により液面に運ばれるか、あるいは1つないしは複数の気泡と結合したものが浮力に対して重すぎる場合には、底部の沈降領域に沈む。こういう訳で、本発明は、例えば、気泡と固体および液体部分の混合物で構成され、特定の重量に従って液柱の表面または液柱の底部に移動する異なる相について述べる。これらの物質を取り除いた水は、浮揚/沈下容器の中央領域から排出され、例えば、これを利用するためにできる限りの清浄を行う次のステージに供給される。
【0024】
本発明による装置はさらに、水に関する少なくとも1つのプロセスパラメータ、好ましくは複数のプロセスパラメータを検出し、これらのプロセスパラメータに基づいて少なくとも添加剤の追加を制御する、この種の浄化装置用の制御システムを有する。
【0025】
これに関連して、システムは、コンピュータユニットに加えて、所定のプロセスパラメータを測定する複数のセンサを有し、特に、このようにして得られた情報を観測用に使用し、好ましくは、プロセスの制御および/またはフィードバック制御用に使用する制御システムとして解釈される。したがって、例えば、これらのプロセスパラメータを用いて、浄化する水流に少なくとも1つの添加剤を追加するのを観測することができ、これがフィードバック制御または制御され、特に好ましい実施形態による装置は、水流を膨張させる前に第1の添加剤を追加できる少なくとも1つの計量投入点を有する。
【0026】
計量投入は、例えば、ガスを追加した圧縮部分流れが残りの水流に供給されている際に行うことができる。計量投入は、ガスを追加した圧縮水を膨張させる前に行うのが好ましい。
【0027】
本発明によれば、補助剤は、例えば、ポリアクリルアミド、ポリエチレンイミン、ベントナイト、水ガラス、ポリアミドアミン、ポリ塩化アルミニウム、ミョウバン、デンプン、加工デンプン、カルボキシメチルセルロース、無機物質、グリコサル、それらの組み合わせなどの陽イオン系凝集剤および陰イオン系凝集剤と、水酸化ナトリウム、アルミン酸ナトリウム、水酸化アルミニウム、硫酸、水酸化カリウム、有機酸および有機塩基、還元剤、酸化剤、それらの組み合わせなどの酸および/または塩基と、からなるグループから選択されることが好ましい添加剤と解釈される。さらに、水、言い換えれば大部分が水である液体が、生成するこのような添加剤、好ましくは他のプロセスでアルカリ処理を受けた添加剤として、特に廃水処理および/または浄化に使用されうる。
【0028】
本発明によれば、パラメータは、例えば、速度、量、圧力、温度、pH値、陽イオン比、陰イオン比、有機物質比、固形物比、粘度、表面張力、荷電状態、塩分、硬度、反応時間、作用時間、電荷密度、それらの組み合わせなどで構成されるグループから選択されるプロセスパラメータとして解釈される。
【0029】
さらなる特に好ましい実施形態では、少なくとも1つのさらなる浄化装置が上記装置の上流に配置される。従来から公知のように、これは、例えば、機械的ステージ、化学的および/または物理的ステージ、生物学的ステージ、またはそれらの組み合わせなどとすることができる。
【0030】
さらなる特に好ましい実施形態によれば、装置の流入部は複数の供給配管路、すなわち複数の水流があり、搬送された水の少なくとも幾らかは圧縮され、所定の量のガスを追加される。上記の実施形態によれば、水流は続いて結合され、その後、膨張部および分離部へ供給されるのが好ましい。
【0031】
しかしまた、単に、ガスを追加した圧縮水流またはただ廃水流を特別に組み合わせたものを互いに混合し、それらを膨張、分離させるために、すなわち浄化するために供給することも、当然、本発明の意図するところである。さらに、水流の圧縮または圧力上昇が圧縮ガスを追加することで行われることも本発明の意図するところである。
【0032】
さらに、上記で説明した装置はまた、その機能において理解されるべきであることを、あるいは以下に説明する方法のステップは、対応する方法のステップを実行できるように使用するユニットまたは装置を補うことも指摘しておかなければならない。またその方法は、このために必要な装置を含み、これらは結果的に本発明の装置の一部である。
【0033】
本目的はまた、水を浄化する本発明による方法によって果たされ、その方法はまた、特に、製紙業における水の連続浄化に使用され、流入水の少なくとも一部の流れを少なくとも圧縮することを含み、その一部の流れには、少なくとも1つの所定量のガス、特に圧縮空気が溶解される。
【0034】
所定量のガスが溶解されたこの圧縮水流は続いて膨張し、それによって微細な気泡が発生して、水流における特に固形物がその気泡に結合する。
【0035】
装置に関してすでに説明したように、ここで異なる相を互いに分離することができ、本発明による方法は、圧縮後に所定のプロセスパラメータに基づいて少なくとも1つの第1の添加剤が水流内に計量投入されることを特徴とする。
【0036】
特に好ましい実施形態によれば、流入水の一部の流れだけが圧縮されてガスを追加され、この水は、膨張する前にさらなる水流と混合される。次いで、水流は特定の場所、特に静止領域で膨張する。
【0037】
さらなる特に好ましい実施形態によれば、すでに示した例において、ガスが追加された水と1つまたは複数の他の一部の流れとを混合した後に、少なくとも第1の添加剤が計量投入される。
【0038】
さらなる特に好ましい実施形態によれば、この方法は、プロセスに供給された水流の少なくとも幾らかは、少なくとも1つの別の浄化ステージで前処理されていることを特徴とする。そのような浄化ステージは、従来から公知のように、機械的浄化ステージ、物理的浄化ステージ、嫌気的浄化ステージ、好気的浄化ステージ、およびそれらの組み合わせなどとすることができる。
【0039】
さらに、ガスの圧縮および溶解は、そのプロセスパラメータが浄化する水のプロセスパラメータとは大きく異なる流入水流内で行われることも本発明の意図するところである。
【0040】
さらに特に好ましい実施形態によれば、好ましくは所定のプロセスパラメータに基づいて計量された第2の添加剤が、圧縮する前か、またはガスを水に溶解させる前に、浄化される水、好ましくは主水流に投入される。
【0041】
当然ながら、複数の添加剤を同時に水流に追加するか、または、特に、個々の補助剤の必要とされる反応時間と、さらに添加剤の相互作用とを考慮して、異なる計量投入位置で水流に追加することも可能であることをさらに指摘しておかなければならない。
【0042】
さらなる特に好ましい実施形態によれば、本発明による方法は、上流にある浄化ステージからの水の一部の流れに対してのみ使用されるが、ただし、上流にある浄化ステージからの水の全流量を本発明による方法で処理することも、当然、本発明の意図するところである。
【0043】
さらなる好ましい実施形態によれば、所定量のガスの溶解は、所定のプロセス環境のもとで噴射装置を用いて行われ、この噴射装置は、例えば、特に水とガスを均一に混合するノズルまたは拡散器とすることができる。そのような噴射装置は従来から公知である。
【0044】
本発明はまたさらに、水を浄化する前記装置または前記方法の使用に関し、特に、製紙用の製造プロセスで使用されるような、塩類、固形物、および/またはガスを液体から連続して分離する前記装置または前記方法の使用に関する。
【0045】
本発明が様々な実施形態に関連させて以下にさらに詳細に説明されるが、これらは、本発明による方法または本発明による装置の幾つかの実施可能な応用例に過ぎず、代替の態様で、特に、様々な組み合わせでこの方法および装置を使用することも、当然、本発明の意図するところであることを明確に指摘しておく。これは、例えば、本発明による方法または装置を使用して、例えば、酪農業、建設材料業、金属加工業および金属製造業などの他の産業分野、もしくは公共廃水浄化でも基礎をなす水の浄化を行うことを意味する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
図1は浄化する水の供給領域を左側に示しており、その領域では、例えば、様々な装置の組み合わせを構成でき、その結果、供給される水の濃縮部もしくは貯蔵部1、前浄化部2あるいは混合部および平衡化部3が設けられている。ここで個々に示す装置1,2,3は、当然ながら、互いに結合することもできる。
【0047】
ここに示す実施形態によると、上記の水は、様々な付随物質が加わって、特にドイツ硬度で80°から100°の硬度を有する。この水は、特に、プラントの流体力学的一貫性を保証するために、特に処理用の、さらなる水の供給12が行われるプレゼンテーションコンテナ(図示せず)にさらに案内される。浄化される水はこのプロセスで希釈され、例えば、それにより、希釈物に応じて、ドイツ硬度で25°〜500°、好ましくは25°〜80°dH、特に好ましくは40°〜80°dHとなるように硬度が低減される。水の硬度の範囲がここに挙げた例から完全に逸脱しうることも、当然、本発明の意図するところである。
【0048】
ここでこの水は、例えば、嫌気性プロセス環境で水中の構成成分を還元させる次の前浄化ステージ5にさらに供給される。他の浄化装置も当然使用することができ、それによって処理された水は、本発明による装置11の全体流れもしくは一部の流れのいずれかに本発明に従って供給される。
【0049】
石灰、セッコウなどのカルシウム化合物、他のアルカリ土類化合物、CODフレイトまたは固形物など、このステージで排出される付随物質は、廃棄物処理部10に供給されるか、または公知の方法によって濃縮され、次いで廃棄されるのが好ましい。これに代えて、付随物質はまた、少なくとも1つの生物学的浄化ステージ用の、特に活性スラッジ用の沈降補助剤として使用することもできる。排出された付随物質がリサイクル用に供給されることも本発明の意図するところであり、例えば、建設材料などのための充填剤として付随物質を使用することで再利用することができる。
【0050】
このようにして浄化された水は、プレゼンテーションコンテナを経由して次の浄化ステージ6に供給され、浄化ステージ6は、特にCODフレイトをさらに低減するために、例えば、好気生物学的に使用される。ここに示す実施形態によれば、次に浄水は平衡槽4に集められ、例えば、受水河川7または製造工程8に戻される。
【0051】
本発明によれば、浄水の中には、装置11から処理、すなわち循環路に戻されるものもあり得る。
【0052】
図2は、本発明による装置の実現可能な設置をより詳細に示しており、この設置では、空気13が飽和した圧縮水流14が主水流21に混合される。
【0053】
この実施形態に示すように、浄水25は、ポンプ27によって配管24を通って圧力容器に供給され、その中で空気13が充填される。次に、第1の補助剤が地点12または12´のいずれかで計量投入される。
【0054】
これに関して、特に好ましい実施形態によれば、圧縮水の圧力は、2〜10bar、好ましくは3〜7bar、特に好ましくは5〜6barの範囲にある。
【0055】
ここに示す実施形態によれば、2つの水流の混合は位置Aで始まり、2つの流れを均一に混合するために一定の環境下で特別な対策がとられる。これらは、例えば、特に2つの部分流れを均一に混合するために主配管の周囲に設けられた複数の注入口とすることができる。
【0056】
従来から公知の代替の方法を使用することもできる。この実施形態によれば、第1の添加剤が位置12でさらに計量投入され、特に好ましい実施形態によれば、浄水の出口25でのプロセスパラメータがフィードバック制御タイプのパラメータとして使用される。これは、例えば、pH値、固形物比、温度、荷電状態、表面張力などとすることができる。
【0057】
特に好ましい実施形態によれば、そのような添加剤は、好ましくは、そのpH値が別のプロセスでは異なる値に設定されていた、アルカリ処理を受けた液体とすることができる。このような水は、例えば、廃水浄化あるいは製紙業での浄化において、例えば、アルカリ性の状態で処理された場合に洗浄機(洗浄水)などで発生する。この場合に、これらの好ましいアルカリ処理水は、浄化される水のpH値などの少なくとも1つのプロセスパラメータの設定に使用できるのが好ましい。
【0058】
添加剤の量は、そこで得られた基準パラメータに基づいて地点12で計量される。pH値は、例えば、塩基を調整することで管理することができる。このようにして準備された水は、ここに示すように、水流の膨張が行われるマイクロ浮揚装置内に配置された静止領域に案内される。このプロセスで形成した気泡が、水の付随物質の少なくとも幾らかを浮揚物16として水面に運ぶか、または気泡の浮力が不十分な場合に、懸濁浮遊物が沈殿物23として容器の底部に沈む。浮揚物および沈殿物の両方とも取り出され、次の処理または利用のために、例えば、希薄スラッジ容器26に共にもしくは別々に供給される。
【0059】
浄化した廃水25は、容器上部3分の1のところで排出される。
【0060】
さらなる特に好ましい実施形態によれば、主水流にガス飽和水を追加する前に、この後の処理を改善するために、例えば、凝集手段を追加することにより、特に、廃水流れ内の固形成分の大きさを、これが集まった形態で軟凝集させるという意味で増大させるように、さらなる補助剤(第2の添加剤)が位置Cおよび/または位置Dで主水流に供給される。
【0061】
この構成により、固形物に加えて、水の溶解成分も沈殿させることができ、pH値が基準限界領域を超えるか、または基準限界領域に直接誘導されたときに、特に、炭酸カルシウムまたは炭酸マグネシウムが沈殿する。
【0062】
さらに、一般的に公知の化学的および物理的法則に従ってプロセスを管理することで、溶解度平衡を変えることができ、したがって、例えば、pH値を設定することにより、沈殿物の形成を促進することができる。
【0063】
さらに、ガスが追加された圧縮水の膨張を利用することで、二酸化炭素が水から排出され、pH値がさらに変化(増加)する。さらに、このプロセスを用いて付随物質を酸化させることもでき(例えば、嫌気性反応器で発生しうる還元された硫黄化合物)、したがって、臭気の強い物質を酸化的変換することもできる。
【0064】
このように、炭酸塩は、本発明による方法により、固形物に加えて、特に、浮揚物および沈殿物の両方とともに排出され、こうして軟化された水はさらに、有機フレイトから完全に遊離される。特に、COD、BOD、ODS(酸化的脱硫)、有機酸および硫黄化合物として従来から公知の特性値またはパラメータがこのような水を評価するのに使用される。
【0065】
この方法はさらにまた、軟化プロセスおよび分離プロセスが目標値を使用して適切な有機および/または無機の高分子電解質、例えば、対応する吸収補助手段または吸着補助手段で制御されるように管理される。これは、特に、安全で費用効果の優れたプラントが稼働されるといった所望の結果ももたらす。
【0066】
図3は、浄化プロセスにある本発明の装置構成のさらなる代替の実施形態を示しており、ここでは、前浄化部5からの流出水の一部の流れまたは全体流れがプレゼンテーションコンテナ4を介して浄化装置に供給されており、第1の添加剤の計量投入点12だけが分離収集部11に加えて示されている。本発明による装置および本発明による方法によれば、供給水24は、添加剤の計量投入前で圧力容器14を出た後に追加される所定量の空気13を有している。
【0067】
図3に示すプロセスはさらに、供給流れが前に配置された浄化ステージ5で前処理されるのを示しており、ここで示すプロセス手順は、注入管12を通じて18内でpH値を設定した後に、第1の浄化ステージ5で処理される製紙廃水21の浄化に関し、この浄化ステージ5は、機械的および/または生物学的プロセスステップの両方を含む。第1の浄化ステージの流出水の中には、矢印8のように戻されるものもある。コンテナ4は、浄化される水を見えるようにする。
【0068】
図4に示す代替の実施形態は、別の浄化装置5と組み合わせた本発明による装置を示しており、ここでは、流入水は、製紙廃水部21から処理部もしくは酸性化部18を経て本発明による浄化ステージ11に直接供給される。このように前処理された水は、続いて次の主浄化ステップ5に供給される。
【0069】
図5は、水が処理部18もしくは生物学的浄化ステージ5に流入する前に、本発明による方法14/11ですでに処理されたさらなる代替実施形態を示している。
【0070】
したがって、処理3、4、5の前に、すでに水は少なくとも部分的に石灰などの付随物質や有機フレイトが取り除かれており、有機汚染物を若干有する軟水がこの実施形態に従って生物学的ステージに供給される。
【0071】
図示しないさらなる実施形態によれば、当然ながら、装置は水を前処理するために独立して使用することもでき、特に、製紙業において石灰の堆積によって引き起こされる問題は、低減することができるか、または回避することができる。
【0072】
この点について、廃水流れ21は圧縮され、ガス14が追加され、少なくとも1つの添加剤12が計量投入され、続いて膨張されて、相が分離される。浮揚物および沈殿物は排出管10を通じて取り除かれ、浄水はプレゼンテーションコンテナ4に供給される。水は流入部20を介してさらなる浄化ステージに供給され、その水は、排水管22を介してさらなる浄化ステージまたは受水河川に供給されるか、またはプロセスに戻すことができる。
【0073】
図6に示す本発明による装置の実施形態は図3の実施形態に類似しており、図3と対比すると、分離収集部が個別の装置として設けられておらず、活性槽26と一体化されている。これは、独立したマイクロ浮揚装置が何ら必要とされず、活性槽それ自体の領域に一体化されていることを意味する。図3によると、その装置は、流出水の少なくとも幾らかが前浄化部5から供給される圧力容器14を有している。補助剤は、圧力容器の後方で特にpH値などのプロセスパラメータを設定するために、計量投入点を通じてこの水に計量して投入される。これに続いて、浄化される水は活性槽に供給される。
【0074】
石灰または石灰化合物の排出は、活性槽の沈殿物とともにこの構成で行われるのが好ましく、そのため、物質の分離は後浄化で行われる。それによって、特に、装置のコストおよび設置コストをさらに低減することができる。
【0075】
この構成に加えて、図6には、嫌気性浄化ステージ5において、ガス容器9への排出管とペレット貯蔵部17が示されている。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明による水を浄化する装置の構成ブロック図。
【図2】本発明による廃水を浄化する装置のさらなるブロック図。
【図3】本発明による装置の代替構成を示す図。
【図4】本発明による装置構成の第2の代替実施形態を示す図。
【図5】本発明による装置構成の第3の代替実施形態を示す図。
【図6】本発明による装置のさらなる代替実施形態を示す図。
【符号の説明】
【0077】
1…濃縮部、共通
2…前浄化部
3…平衡容器
4…プレゼンテーションコンテナ、共通
5…嫌気性装置
6…好気性装置
7…生物学的プロセス
8…戻り、生物学的プロセス
9…ガス容器
10…石灰排出
11…収集部、石灰捕捉
12…処理、pH値の設定
13…圧縮空気
14…プロセス、空気分散反応器
15…フィードバック制御、pH値
16…浮揚物形成
17…ペレット貯蔵部
18…前酸性化
19…循環管路、リング管
20…流入部、嫌気性装置
21…廃水、共通
22…流入部、活性スラッジプラント
23…沈殿物
24…流入部、空気分散反応器
25…流出部、石灰捕捉
26…直接導入、活性槽

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を浄化する、特に製紙業において水を連続浄化する装置であって、前記水用の少なくとも1つの流入部および浄水用の少なくとも1つの流出部と、前記水の少なくとも1つの部分流れ用の圧縮装置(28)と、少なくとも1つのガス(12)を前記水に噴射する噴射装置と、前記水の少なくとも前記部分流れを膨張させる膨張装置(29)と、前記水を浄化するために異なる相を分離する装置(30)と、
を備え、
前記水の少なくとも1つのプロセスパラメータを検出し、前記プロセスパラメータに基づいて少なくとも1つの添加剤の少なくとも添加を制御する少なくとも1つの制御系を有することを特徴とする装置。
【請求項2】
さらに少なくとも1つの浄化装置(5)が、前記装置の前に配置されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記浄化装置の前記流入部(21)が複数の供給管を有し、少なくとも1つの経路(24/14)内を搬送された前記水が濃縮され(28)、ガス(13)が所定量だけ追加されることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の装置。
【請求項4】
少なくとも1つの第1の添加剤用の少なくとも1つの計量投入点(12)が、前記個々の水流の結合部の後ろかつ前記水の前記膨張部の前に配置されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の装置。
【請求項5】
水を浄化する、特に、製紙業において水を連続浄化する方法であって、
流入する水の少なくとも1つの部分流れ(24)を圧縮(28)するステップと、
前記水内に所定量のガス(13)を溶解させるステップと、
前記水の流れを膨張させる(29)ステップと、
前記水の流れの異なる相を分離させる(30)ステップと、
を備え、
少なくとも1つの第1の添加剤(12,12´)が、所定の運転パラメータに基づいて、圧縮後の前記水の流れに計量投入されることを特徴とする方法。
【請求項6】
前記水の流れのうち少なくとも幾らかは、少なくとも1つのさらなる浄化ステージ(5)で前処理されることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記流入水流の一部の流れ(24)のみが圧縮されることを特徴とする請求項5〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
溶解されたガスおよび/または溶解されるべき前記ガスが追加される前に、少なくとも1つの第2の添加剤(C,D)が、所定の運転パラメータに基づいて所定の比率で前記水に計量投入されることを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記水の前記プロセスパラメータは、速度、量、圧力、温度、pH値、陽イオンおよび/または陰イオン比、有機物質比、固形物比、粘度、表面張力、荷電状態(例えば、ゼータ電位、電荷要求量、電荷密度)、それらの組み合わせなどからなるパラメータのグループから選択されることを特徴とする請求項5〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記添加剤は、ポリ塩化アルミニウム、ミョウバン、ポリエチレンイミン、ベントナイトなどの陽イオン系凝集剤および陰イオン系凝集剤と、水酸化ナトリウム、硫酸、水酸化カリウム、有機酸および有機塩基、それらの組み合わせなどの酸および/または塩基からなる補助剤のグループから選択されることを特徴とする請求項5〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記水の一部の流れだけが、上流にある浄化ステージから請求項5〜10の少なくとも1つによる浄化方法に供給されることを特徴とする請求項5〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記水の全流れが、上流にある浄化ステージから請求項5〜10の少なくとも1つによる浄化方法に供給されることを特徴とする請求項5〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記水の異なる相を分離するのは、膨張後に少なくとも1つの静止領域で行われることを特徴とする請求項5〜12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記所定量のガスの溶解は、所定のプロセス環境下で噴射装置を用いて行われることを特徴とする請求項5〜13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記分離された物質の少なくとも幾つかは、浄化される前記水から生物学的浄化ステージへと供給されることを特徴とする請求項5〜14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
水を浄化するため、特に、液体から塩類および/または固形物および/またはガスを連続して分離するための、前記請求項のうち少なくとも1つによる装置の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2008−514398(P2008−514398A)
【公表日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−532909(P2007−532909)
【出願日】平成17年9月28日(2005.9.28)
【国際出願番号】PCT/EP2005/054876
【国際公開番号】WO2006/035042
【国際公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【出願人】(507098335)コヴィテク インジェニエーアゲゼルシャフト フューア ヴァッサーテヒニック エムベーハー (1)
【出願人】(507121297)メリ エントゾルグングステヒニック フューア ディ パピーアインドゥストリー ゲーエムベーハー (4)
【Fターム(参考)】