廃熱利用装置
【課題】内燃機関の廃熱を利用して安定的かつ効率的に動力回収することが可能な廃熱利用装置を提供する。
【解決手段】内燃機関(10)の廃熱によって作動流体を加熱器(22)で加熱し、膨張機(23)で膨張させて機械的エネルギを回収し、膨張後の作動流体を凝縮器(24)で凝縮液化し加熱器(22)側へポンプ(21)により循環するランキンサイクル(20)を有する廃熱利用装置において、膨張機(23)の入口側温度を検出する温度検出手段(206)と、膨張機(23)の入口側圧力(Pex_in)を検出する入口側圧力検出手段(207)と、膨張機(23)の出口側圧力(Pex_out)を検出する出口側圧力検出手段(208)と、過熱度情報(SH)と、出口側圧力(Pex_out)が考慮された圧力情報(P)とに基づいて膨張機(23)の指示回転数(N_id)を制御するランキン運転制御手段(32,S4)とを備える。
【解決手段】内燃機関(10)の廃熱によって作動流体を加熱器(22)で加熱し、膨張機(23)で膨張させて機械的エネルギを回収し、膨張後の作動流体を凝縮器(24)で凝縮液化し加熱器(22)側へポンプ(21)により循環するランキンサイクル(20)を有する廃熱利用装置において、膨張機(23)の入口側温度を検出する温度検出手段(206)と、膨張機(23)の入口側圧力(Pex_in)を検出する入口側圧力検出手段(207)と、膨張機(23)の出口側圧力(Pex_out)を検出する出口側圧力検出手段(208)と、過熱度情報(SH)と、出口側圧力(Pex_out)が考慮された圧力情報(P)とに基づいて膨張機(23)の指示回転数(N_id)を制御するランキン運転制御手段(32,S4)とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば車両用の内燃機関の廃熱を利用して動力を回収する廃熱利用装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、内燃機関の廃熱を利用して動力を回収する廃熱利用装置が知られている。この廃熱利用装置はランキンサイクルを備えており、例えば、特許文献1に記載のランキンサイクルでは、内燃機関の廃熱により作動流体を加熱する加熱器と、加熱された作動流体を膨張させて回転駆動力を発生させる膨張機と、膨張された作動流体を凝縮する凝縮器とを備えている。
【0003】
そして、膨張機へ流入する冷媒の高圧側圧力(入口側圧力)を目標圧力に一致させるべく、膨張機の回転数を制御するようにしている。
【特許文献1】特開2004−60462号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
高圧側圧力を考慮することは、膨張機へ流入する冷媒の気液二相化を抑制し、ランキンサイクルの構成機器(例えば膨張機の摺動部)に必要な潤滑オイルの適正粘度(適度な油膜厚さ)を確保するのに有効である。しかし、一方で、膨張機から流出する冷媒の低圧側圧力(出口側圧力)が高すぎると、高圧側圧力との差圧を十分に確保できずに膨張機の過膨張を引き起こす虞があった。すなわち、膨張機を適正膨張で作動することができないため、安定かつ効率的なランキンサイクルの運転ができないという問題があった。
【0005】
本発明の目的は、上記問題に鑑み、内燃機関の廃熱を利用して安定的かつ効率的に動力回収することが可能な廃熱利用装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記目的を達成するために、以下の技術的手段を採用する。
【0007】
請求項1に記載の発明では、内燃機関(10)の廃熱によってサイクル内の作動流体を加熱器(22)で加熱し、加熱された作動流体を膨張機(23)で膨張させて機械的エネルギを回収し、膨張後の作動流体を凝縮器(24)で凝縮液化し加熱器(22)側へポンプ(21)によって循環するランキンサイクル(20)を有する廃熱利用装置において、膨張機(23)の入口側温度を検出する温度検出手段(206)と、膨張機(23)の入口側圧力(Pex_in)を検出する入口側圧力検出手段(207)と、膨張機(23)の出口側圧力(Pex_out)を検出する出口側圧力検出手段(208)と、温度検出手段(206)から検出される入口側温度と入口側圧力検出手段(207)から検出される入口側圧力(Pex_in)に基づき得られる膨張機入口での過熱度情報(SH)と、出口側圧力検出手段(208)から得られる出口側圧力(Pex_out)が考慮された圧力情報(P)とに基づいて膨張機(23)の指示回転数(N_id)を制御するランキン運転制御手段(32,S4)とを備えることを特徴とする。
【0008】
本構成によれば、過熱度情報(SH)を考慮することで、ランキンサイクル(20)の構成機器(例えば膨張機(23)の摺動部)に必要な潤滑オイルの適正粘度を確保することができる。また、出口側圧力(Pex_out)を含む圧力情報(P)を考慮することで、高圧側となる膨張機(23)の入口側圧力(Pex_in)との差圧(ΔP)を十分に確保できるため、膨張機(23)の過膨張を抑制することができる。すなわち、高圧側条件(過熱度情報(SH))と低圧側条件(圧力情報(P))を考慮することで、膨張機(23)を適正膨張させて、安定かつ効率的なランキンサイクル(20)の運転を行うことができる。
【0009】
請求項2に記載の発明では、ランキン運転制御手段(S4)は、指示回転数(N_id)を導出するにあたって、過熱度情報(SH)および圧力情報(P)に基づいて最高回転数(Nmax)と最低回転数(Nmin)とを設定する最高最低回転数設定ステップ(S41〜S43,S411)を有することを特徴とする。
【0010】
本構成によれば、最高最低回転数設定ステップ(S41〜S43,S411)により得られた最高回転数(Nmax)と最低回転数(Nmin)を用いることで、過熱度情報(SH)および圧力情報(P)を考慮して、好適な実施形態とすることができる。
【0011】
請求項3に記載の発明では、圧力情報(P)は、出口側圧力(Pex_out)、もしくは、入口側圧力(Pex_in)と出口側圧力(Pex_out)との差圧(ΔP)であって、最高最低回転数設定ステップ(S41〜S43)では、過熱度情報(SH)に基づいて膨張機(23)の第1最高回転数(Nmax1)と第1最低回転数(Nmin1)とを算出するとともに、圧力情報(P)に基づいて膨張機(23)の第2最高回転数(Nmax2)と第2最低回転数(Nmin2)とを算出し、それぞれの条件から算出された最高回転数同士(Nmax1,Nmax2)および最低回転数同士(Nmin1,Nmin2)を比較し、それぞれ小さい方を最高回転数(Nmax)と最低回転数(Nmin)として設定することを特徴とする。
【0012】
過熱度(SH)が十分な大きさであるとき、膨張機(23)の指示回転数(N_id)を大きくすることができるが、指示回転数(N_id)を大きくすると十分な差圧(ΔP)が得られず過膨張になってしまう虞が出てくる。
【0013】
一方、過膨張になる虞がないとき、指示回転数(N_id)を大きくすることができるが、指示回転数(N_id)を大きくすると逆に過熱度(SH)が小さくなりすぎてしまう虞が出てくる。よって、過熱度情報(SH)と圧力情報(P)のそれぞれに基づいて得られた最高回転数(Nmax1、Nmax2)および最低回転数(Nmin1、Nmin2)のうち、低い方を採用すれば、膨張機(23)の過膨張を抑制し、かつ、十分な過熱度(SH)を確保することができる。
【0014】
このように、本構成によれば、過熱度情報(SH)および圧力情報(P)をともに考慮して、最高最低回転数設定ステップ(S41〜S43)を好適に実施することができる。
【0015】
請求項4に記載の発明では、圧力情報(P)は、入口側圧力(Pex_in)と出口側圧力(Pex_out)との圧力比Pr(Pr=Pex_in/Pex_out)であり、最高最低回転数設定ステップ(S411)では、最低回転数(Nmin)を予め定めた所定値に設定するとともに、最高回転数(Nmax)を、膨張機(23)の過熱度情報(SH)と圧力比(Pr)とに基づいて予め定められた増減値を加算して設定することを特徴とする。
【0016】
本構成によれば、増減値を適度に設定することによって、内燃機関(10)の運転条件が急激に変化したときに、最高回転数(Nmax)(ひいては、指示回転数(N_id))をすぐに大きく変化させることなくゆっくりと変化させることができるため、より滑らかで緻密な制御が可能となる。
【0017】
請求項5に記載の発明では、増減値は、過熱度情報(SH)および圧力比(Pr)がともに大きいほど、過熱度情報(SH)および圧力比(Pr)がともに小さい場合と比較して大きく設定されていることを特徴とする。
【0018】
圧力比(Pr)が大きいということは、出口側圧力(Pex_out)が低く十分な差圧(ΔP)が得られていることを意味する。本構成によれば、圧力比(Pr)および過熱度情報(SH)がともに適正値である場合に最高回転数(Nmax)(ひいては、指示回転数(N_id))を大きくして、膨張機(23)からの機械的エネルギを効率的に回生することができる。
【0019】
請求項6に記載の発明では、ランキン運転制御手段(S4)は、最高最低回転数設定ステップ(S41〜S43,S411)で設定された最高回転数(Nmax)と最低回転数(Nmin)に加え、機械的エネルギを電気エネルギに変換して貯蓄するバッテリ(33)のバッテリ電圧に基づいて指示回転数(N_id)を決定する指示回転数決定ステップ(S44)を有することを特徴とする。
【0020】
本構成によれば、バッテリ電圧を考慮して指示回転数(N_id)を最終決定することにより、バッテリ(33)が過充電状態となることを抑制して安定したランキンサイクル(20)の運転が可能となる。
【0021】
請求項7に記載の発明では、ランキン運転制御手段(S4)は、膨張機(23)の指示回転数(N_id)がゼロである場合に、所定時間経過した後においても指示回転数(N_id)がゼロである場合にのみ、膨張機(23)を停止させる制御へ移行させる停止猶予ステップ(S45〜S48)を有することを特徴とする。
【0022】
本構成によれば、所定時間、膨張機(23)の停止指示を待機することで、その間に車両側条件により指示回転数(N_id)がゼロでなくなった場合には、ランキンサイクル(20)の運転が継続される。そして、所定時間を超える範囲で指示回転数(N_id)がゼロである場合のみランキンサイクル(20)の運転が停止される。このため、ランキンサイクル(20)の再起動時に要する電力の消費を抑えることができる。
【0023】
請求項8に記載の発明では、ランキンサイクル(20)の稼動初期において稼動条件を満たしている場合に出力される稼動指示があるか否かを判断するランキン稼動判定制御手段(32,S1)を備えることを特徴とする。
【0024】
本構成によれば、例えば、内燃機関(10)の冷却水温度や水量、凝縮器前面風速や前面風温度、バッテリ電圧等の稼動条件を満たしたときにのみランキンサイクル(20)を運転させることができる。
【0025】
請求項9に記載の発明では、ランキン運転制御手段(S4)により膨張機23の指示回転数(N_id)を制御する前段階で、ランキンサイクル(20)が正常に起動しているか否かを判断するランキン起動制御手段およびランキン起動判定制御手段(32,S2,S3)を備えることを特徴とする。
【0026】
本構成によれば、より信頼性の高いランキンサイクル(20)の制御を実行することが可能となる。
【0027】
請求項10に記載の発明では、膨張機(23)を所定の回転数に下げた後に、膨張機(23)の指示回転数(N_id)をゼロに指示するランキン停止制御手段(32,S5)
を備えることを特徴とする。
【0028】
本構成によれば、ランキンサイクル(20)を停止するに際して、膨張機(23)の差圧(ΔP)を小さくした後に回転が停止されるため、膨張機(23)の暴走を抑制して安定してランキンサイクル(20)を停止させることができる。
【0029】
請求項11に記載の発明では、ランキンサイクル(20)が正常に停止したか否かを判断するランキン停止判定制御手段(32,S6)を備えることを特徴とする。
【0030】
本構成によれば、より信頼性の高いランキンサイクル(20)の制御を実行することが可能となる。
【0031】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について、図1〜図11を参照しつつ説明する。
【0033】
図1は、ランキンサイクル20を有する廃熱利用装置1のシステム全体を示す模式図である。図1に示すように、本実施形態の廃熱利用装置1は、エンジン10を駆動源とする車両に適用されるものである。
【0034】
エンジン10は、水冷式の内燃機関であり、エンジン冷却水の循環によってエンジン10が冷却されるラジエータ回路11、および冷却水(温水)を熱源として空調空気を加熱するヒータ回路12が設けられている。
【0035】
ラジエータ回路11には、ラジエータ13が設けられており、ラジエータ13は、温水ポンプ14によって循環される冷却水を外気との熱交換により冷却する。温水ポンプ14は、電動式のポンプ、あるいは機械式のポンプのどちらでも良い。エンジン10の出口側の流路には、後述するランキンサイクル20の加熱器22が配設されており、冷却水がこの加熱器22内を流通するようになっている。加熱器22の上流側にはシャット弁18が設けられており、このシャット弁18の開閉制御によって、冷却水を加熱器22側へ流通させるか否かを適宜調節できるようになっている。
【0036】
ラジエータ回路11中には、ラジエータ13を迂回して冷却水が流通するラジエータバイパス流路15が設けられており、サーモスタット16によってラジエータ13を流通する冷却水量とラジエータバイパス流路15を流通する冷却水量とが調節されるようになっている。
【0037】
ヒータ回路12には、ヒータコア17が設けられており、上記の温水ポンプ14によって冷却水(温水)が循環されるようになっている。ヒータコア17は、空調ユニットの空調ケース内に配設されており、送風機(いずれも図示略)によって送風される空調空気を温水との熱交換により加熱する。ヒータコア17にはエアミックスドア(図示略)が設けられており、このエアミックスドアの開閉により、ヒータコア17を流通する空調空気量が可変される。
【0038】
一方、ランキンサイクル20は、エンジン10で発生した廃熱エネルギ(冷却水の熱)を回収するとともに、この廃熱エネルギを機械的エネルギ(膨張機23(詳細後述)の駆動力)、さらには、電気エネルギ(発電機25(詳細後述)の発電量)に変換して利用するものである。以下、ランキンサイクル20について説明する。
【0039】
ランキンサイクル20は、ポンプ21、加熱器22、膨張機23、凝縮器24を有しており、これらが環状に接続されて閉回路を形成している。さらに、加熱器22と凝縮器24との間には、膨張機23を迂回するバイパス流路26が設けられ、このバイパス流路26にはバイパス弁27が設けられている。
【0040】
ポンプ21は、後述する通電制御回路30によって作動される発電機25を駆動源として、ランキンサイクル20内の冷媒(作動流体、以下、「RA冷媒」と言う。)を循環させる電動式のポンプである。そして、本実施形態では、膨張機23の駆動軸と同軸とされている。
【0041】
加熱器22は、ポンプ21から送られるRA冷媒とラジエータ回路11を流通する高温の冷却水との間で熱交換することによりRA冷媒を加熱する熱交換器である。
【0042】
膨張機23は、過熱器22で過熱されたRA冷媒の膨張によって回転駆動力を発生させる流体機器である。膨張機23の駆動軸には発電機25が接続されている。そして、膨張機23の駆動力によって発電機25が作動され、発電機25によって発電される電力は、後述する通電制御回路30を構成するインバータ31を解してバッテリ33に充電されるようになっている。膨張機23から流出されるRA冷媒は、凝縮器24に至る。
【0043】
凝縮器24は、膨張機23の吐出側に接続され、軸流式のいわゆる吸い込み式の送風ファン28によって送風される冷却空気との熱交換によってRA冷媒を凝縮液化する熱交換器である。
【0044】
発電機25は、電動機および発電機の両機能を備える回転機械であり、通電制御回路30によって制御される。発電機25の一端側の軸にはポンプ21が接続され、他端側の軸には膨張機23が接続されている。
【0045】
通電制御回路30は、廃熱利用装置1内の各種機器の作動を制御するための制御手段であり、インバータ31と制御機器32(ECU)とを有している。インバータ31は、膨張機23に接続された発電機25の作動を制御するものであり、発電機25が膨張機23の駆動力によって作動されるときに、発電される電力をバッテリ33に充電する。また、通電制御回路30は、周知のタイマー機能を有している。
【0046】
さらに、ランキンサイクル20には、加熱器22に流入する冷却水の温度を検出する冷却水温度センサ201、加熱器22を流通する冷却水量を検出する流量センサ202、凝縮器24の前面風速を検出する風速センサ203、凝縮器24の前面風温度を検出する凝縮器温度センサ204、ポンプ21の入口過冷却度(サブクール)を得るための入口冷媒温度を検出するポンプ温度センサ205、膨張機23の入口側冷媒温度を検出するための膨張機温度センサ206(温度検出手段)、膨張機23の入口側圧力Pex_inを検出するための入口側圧力センサ207(入口側圧力検出手段)、膨張機23の出口側圧力Pex_outを検出するための出口側圧力センサ208(出口側圧力検出手段)等の各種センサが配設されている。
【0047】
そして、これらの各種センサ201,202,203,204,205,206,207,208等からの検出信号に基づいて、制御機器32は、インバータ31の作動を制御するとともに、送風ファン28、ポンプ22および膨張機23の発電機25等を併せて制御するようになっている。
【0048】
(作動)
(メインフロー)
次に、上記構成に基づく作動およびその作用効果について説明する。図2は、本実施形態のランキンサイクル20の作動制御に関するメインフローを示すフローチャートである。
【0049】
図2に示すように、メインフローは、ランキン稼動判定制御(S1)、ランキン起動制御&起動判定制御(S2、S3)、ランキン運転制御(S4)、ランキン停止制御(S5)、ランキン停止判定制御(S6)、異常対処処置(S7)とから構成されている。
【0050】
まず、ステップS1のランキン稼動判定制御において、ランキン稼動指示があるか否かが判断される。そして、稼動指示がある場合(S1:YES)には、ステップS2,S3のランキン起動制御&起動判定制御に進む。稼動指示がない場合(S1:NO)には、ステップS1を繰り返す。
【0051】
ステップS2,S3のランキン起動制御&起動判定制御において、ランキンサイクル20が正常起動したか否かが判断される。そして、正常起動した場合(S2、S3:YES)には、ステップS4のランキン運転制御に進む。
【0052】
ステップS4のランキン運転制御では、ランキンサイクル20の運転を停止すべきか否かが判断される。そして、停止すべき指示がある場合(S4:YES)には、ステップS5のランキン停止制御に進む。停止すべき指示がない場合(S4:NO)には、ステップS4を繰り返す。また、ステップS2,S3において、ランキンサイクル20が正常起動していない場合(S2、S3:NO)には、ステップS4を経ることなくステップS5のランキン停止制御に進む。
【0053】
ステップS5のランキン停止制御の後は、ステップS6のランキン停止判定制御に進む。
【0054】
ステップS6のランキン停止判定制御では、ランキンサイクル20が正常停止したか否かが判断される。そして、正常停止した場合(S6:YES)には、ステップS1のランキン稼動判定制御に戻り、以降、このメインフローを繰り返す。
【0055】
一方、ステップS6のランキン停止判定制御において、ランキンサイクル20が正常停止していない場合(S6:NO)、すなわち、異常停止した場合には、ステップS7に進み、異常対処処置が実行される。
【0056】
以下、各制御ステップS1〜S7の詳細な制御内容について、順次、説明する。
【0057】
(S1 ランキン稼動判定制御)
図3は、ステップS1のランキン稼動判定制御の詳細を説明するフローチャートである。図3に示すように、はじめに、ステップS11で、冷却水温度センサ201から検出された冷却水温度が予め定められた所定値Twcより大きいか否かが判断される。冷却水温度が所定値Twcより大きい場合(S11:YES)には、ステップS12に進み、流量センサ202から検出された冷却水流量が予め定められた所定値Gwcより大きいか否かが判断される。一方、ステップS11で、冷却水温度が所定値Twc以下である場合(S11:NO)には、ステップS11の処理を繰り返す。
【0058】
ステップS12において、冷却水流量が所定値Gwcより大きい場合(S12:YES)には、ステップS13に進み、凝縮器24の前面に配置された風速センサ203から検出された凝縮器前面風速が予め定められた所定値Vacより大きいか否かが判断される。一方、ステップS12で、冷却水流量が所定値Gwc以下である場合(S12:NO)には、再びステップS11まで戻る。
【0059】
ステップS13において、凝縮器前面風速が所定値Vacより大きい場合(S13:YES)には、ステップS14に進み、凝縮器温度センサ204から検出された凝縮器前面温度が予め定められた所定値Tacより低いか否かが判断される。一方、ステップS13で、凝縮器前面風速が所定値Vac以下である場合(S13:NO)には、再びステップS11まで戻る。
【0060】
ステップS14において、凝縮器前面温度が所定値Tacより低い場合(S14:YES)には、ステップS15に進み、バッテリ電圧値が予め定められた所定値Ebcより小さいか否かが判断される。一方、ステップS14で、凝縮器前面温度が所定値Tac以上の場合(S14:NO)には、再びステップS11まで戻る。
【0061】
ステップS15において、バッテリ電圧値が所定値Ebcより低い場合(S15:YES)には、ステップS16でランキン稼動指示を出した後、ランキン起動制御&起動判定制御(S2,S3)へ進む。バッテリ電圧値が所定値Ebc以上である場合(S15:NO)には、再びステップS11まで戻る。
【0062】
なお、所定値Twc、Gwc,Vac,Tac,Ebcの各数値は、ランキンサイクル20を起動した場合に、膨張機23、さらには発電機25によるエネルギを回生し得る程度の境界値にそれぞれ設定されている。
【0063】
以上のように、各ステップS11〜S15では、冷却水温度、冷却水流量、凝縮器前面風速、凝縮器前面温度、バッテリ電圧の全ての条件をクリアした場合にのみランキン稼動指示を出し、いずれか1つでも条件を満たさない場合にはランキン稼動指示を出さずに停止状態を維持し、本制御ルーチン(ステップS1)を繰り返すようになっている。
【0064】
本制御ルーチン(ステップS1)により、ランキンサイクル20が十分にエネルギを回生できる条件となったときにのみ運転させることが可能となる。
【0065】
(S2、S3 ランキン起動制御&起動判定制御)
図4は、ステップS2のランキン起動制御の詳細を説明するフローチャートであり、図5は、ステップS2に連続して実行されるステップS3のランキン起動判定制御の詳細を説明するフローチャートである。
【0066】
図4に示すように、ステップS21で、バイパス弁27が開いているか否かが判断され、バイパス弁27が開いている場合(S21:YES)には、ステップS22で膨張機最低回転数を指示する。この最低回転数は例えば2000rpmに設定することができる。この指示により、発電機25を電動機として駆動し、ポンプ21および膨張機23を駆動させる。
【0067】
一方、ステップS21において、バイパス弁27が閉じている場合(S21:NO)には、ステップS23でバイパス弁27を開状態に制御する。
【0068】
バイパス弁27を開けた状態で膨張機23を駆動させても、膨張機23の入口と出口とで差圧ΔPは生じない。このステップS21〜S23では、膨張機23およびポンプ21を駆動する際に、まずバイパス弁27を開状態に制御しておくことで、膨張機23に急激に圧力が生じないようにし、各摺動部材間の当接摺動を避けて、RA冷媒とともに循環する潤滑オイルがランキンサイクル20内に満遍なく行き渡るまでの貧潤滑状態における各摺動部材の摩耗等を防止するようにしている。
【0069】
膨張機23およびポンプ21が駆動された後は、ステップS24でタイマーがスタートされ、ステップS25に進む。ステップS25では、ポンプ温度センサ205から検出される温度に基づき得られる過冷却度(サブクール)が予め定められた所定値SCpcより大きく、かつ、膨張機温度センサ206から得られる膨張機入口冷媒温度が予め定められた所定値Texcより大きいか否かが判断される。
【0070】
過冷却度が所定値SCpcより大きく、かつ、膨張機入口冷媒温度が所定値Texcより大きい場合(S25:YES)には、ステップS26でタイマーをストップし、ステップS28でバイパス弁27を閉状態に制御する。
【0071】
一方、ステップS25において、過冷却度または膨張機入口冷媒温度のいずれかでも所定値SCpc、Texc以下であって条件を満たしていない場合(S25:NO)には、ステップS27で、所定時間経過したか否かが判断される。そして、所定時間が経過していない場合(S27:NO)には、再びステップS25へ戻り、所定条件を満たすか否かが判断される。
【0072】
すなわち、所定時間内に過冷却度および膨張機入口冷媒温度の両条件が満たされれば、次のランキン起動判定制御(ステップS3、図5参照)に進むが、いずれか一方でも条件が満たされない場合には、ランキン起動判定制御に進むことなく、ランキン停止制御(S5)へ進むようになっている。
【0073】
そして、上記ステップS28でバイパス弁27を閉状態に制御した後は、図5に示すように、ステップS31でタイマーをスタートさせる。次に、ステップS32で、ランキン回生量が0より大きく、かつ、膨張機23の入口側圧力Pex_inと出口側圧力Pex_outとの差圧ΔPが予め定められた所定値ΔPcより大きいか否かが判断される。
【0074】
ランキン回生量が0より大きく、かつ、膨張機23の差圧ΔPが所定値ΔPcより大きい場合(S32:YES)には、ステップS33でタイマーをストップし、ステップS35でランキン稼動状態と判断する。その後は、ランキン運転制御(S4、図6参照)へ進む。
【0075】
一方、ステップS32において、ランキン回生量が0である、または、膨張機23の差圧ΔPが所定値ΔPc以下である場合(S32:NO)には、ステップS34で、所定時間経過したか否かが判断される。そして、所定時間が経過していない場合(S34:NO)には、再びステップS32へ戻り、所定条件を満たすか否かが判断される。
【0076】
すなわち、所定時間内にランキン回生量および膨張機23の差圧ΔPの両条件が満たされれば、次のランキン運転制御(S4)に進むが、いずれか一方でも条件が満たされない場合には、ランキン運転制御に進むことなく、ランキン停止制御(S5)へ進むようになっている。
【0077】
以上詳述した本制御ルーチン(S3、S4)によれば、ランキンサイクル20を起動するにあたり、起動の前提となる条件(過冷却度、膨張機入口冷媒温度)および起動初期の条件(ランキン回生量、膨張機23の差圧ΔP)をチェックし、適正であることを確認しているため、安定した起動が可能となる。また、タイマー機能を利用して、各条件を満たすまでの許容時間を設定しているため、時間内に適正値とならなかった場合には停止制御へ移行することで、起動に要する無駄な電力を抑えることができる。
【0078】
(S4 ランキン運転制御)
図6は、本発明の要部である、ステップS4のランキン運転制御の詳細を説明するフローチャートである。図7は、高圧側条件と回転数(最高回転数、最低回転数)との対応を示す制御特性図であり、図8は、低圧側条件と回転数(最高回転数、最低回転数)との対応を示す制御特性図、図9は、バッテリ電圧と指示回転数N_idとの対応を示す制御特性図である。
【0079】
図6に示すように、まず、ステップS41で、図7に基づき、高圧側条件より膨張機23の最高回転数Nmax1、最低回転数Nmin1を決定する。ここで、高圧側条件は、膨張機温度センサ206から検出される膨張機23の入口側冷媒温度と冷媒圧力(入口側圧力Pex_in)に基づき得られる膨張機23の入口での過熱度SH(過熱度情報)である。
【0080】
次に、ステップS42で、図8に基づき、低圧側条件より膨張機23の最高回転数Nmax2、最低回転数Nmin2を決定する。ここで、低圧側条件は、出口側圧力センサ208から検出される膨張機23の出口側圧力Pex_out(本実施形態における圧力情報P)である。
【0081】
そして、次に、ステップS43で、最高回転数Nmax1、Nmax2、最低回転数Nmin1、Nmin2を比較し、それぞれの小さい値を最高回転数Nmax、最低回転数Nminと決定する。
【0082】
そして、ステップS44で、図9に基づき、バッテリ電圧により膨張機23の指示回転数N_idを決定する。図9に示すように、概ね、バッテリ電圧が低い場合には指示回転数N_idを大きく設定し(例えば、E_low以下の場合は指示回転数N_id=Nmax)、バッテリ電圧が高い場合には指示回転数N_idを小さく設定する。このように、膨張機23の指示回転数N_idを決定するに際して、バッテリ電圧を考慮することで、バッテリ33が過充電状態となることを防止できる。
【0083】
膨張機23の指示回転数N_idが決定した後は、ステップS45で、その指示回転数N_idがゼロか否かが判断される。ゼロでない場合(S45:NO)には、ステップS47で膨張機23の指示回転数N_idを指示し、その指示回転数N_idで膨張機23およびポンプ21を駆動させ、ステップS41の処理へ戻る。
【0084】
一方、ステップS44で決定された指示回転数N_idがゼロである場合(S45:YES)には、ステップS46でタイマースタート(ルーチン1回目)した後、ステップS48で、所定時間経過したか否かが判断される。所定時間経過していない場合(S48:NO)には、再びステップS41に戻り、ステップS45までの処理をした後、いまだ指示回転数N_idがゼロである場合(S45:YES)には、ステップS46でタイマーカウントを継続(ルーチン2回目以降)する。そして、ステップS48で所定時間経過したか否かが再び判断され、所定時間が経過した場合(S48:YES)には、ランキン停止制御(S5)へ以降する。
【0085】
すなわち、ステップS45〜S48(停止猶予ステップ)までの処理は、指示回転数N_idがゼロの場合に、すぐにランキンサイクル20を停止するのではなく、所定時間の間、継続して指示回転数N_idがゼロの場合にのみ停止するようにしている。言い換えれば、所定時間、ランキンサイクル20の停止処理を猶予するようにしている。これにより、ランキンサイクル20の再起動時に要する電力の消費を抑えることができる。
【0086】
次に、上記ステップS41〜S43(最高最低回転数決定ステップ)の効果について述べる。はじめに、膨張機23の回転数と過熱度SHとの関係について簡単に説明する。まず、膨張機23の回転数を大きくすると、冷媒がより多く流れることで加熱器22での蒸発が追いつかなくなり、膨張機23の入口での過熱度SHは小さくなる。過熱度SHを十分な大きさとしておくことは、加熱器22での蒸発度を十分に確保して膨張機23へ流入するRA冷媒の二相化を防止する上で必要である他、ランキンサイクル20を循環する潤滑オイルの粘度を確保する上でも重要である。
【0087】
このため、過熱度SHが大きいときは回転数を大きくすることができるが、過熱度SHが小さいときには回転数を小さくして適度な過熱度SH、ひいては、適度な潤滑オイル粘度を得るようにすることが望ましい。
【0088】
一方、膨張機23の回転数と出口側圧力Pex_outとの関係について説明すると、回転数を大きくすると、出口側圧力Pex_outは大きくなる。逆に、回転数を小さくすれば、出口側圧力Pex_outは小さくなる。なお、入口側圧力Pex_inの値は、ポンプ21と膨張機23の容積比から決定される。
【0089】
出口側圧力Pex_outが大きい場合(差圧ΔPが小さい場合)、過膨張となる虞が生じるため、出口側圧力Pex_outが小さい場合(差圧ΔPが大きい場合)には回転数を大きくすることができるが、出口側圧力Pex_outが大きい場合には回転数は小さくすることが望ましい。
【0090】
以上の関係から、例えば、過熱度SHが十分な大きさであるとき、回転数を大きくすることができるが、回転数を大きくすると出口側圧力Pex_outが大きくなり過膨張の虞が出てくる。
【0091】
一方、出口側圧力Pex_outが十分に小さく差圧ΔPが十分であって過膨張になる虞がないとき、回転数を大きくすることができるが、回転数を大きくすると過熱度SHが小さくなりすぎてしまう虞が出てくる。そこで、過熱度SHと出口側圧力Pex_outのそれぞれに基づいて得られた最高回転数Nmax1、Nmax2および最低回転数Nmin1、Nmin2のうち、低い方を採用すれば、膨張機23の過膨張を抑制し、かつ、十分な過熱度SHを確保することができる。
【0092】
このように、高圧側条件として過熱度SHを考慮することで、膨張機23へ流入する冷媒の気液二相化を防止でき、かつ、膨張機23を潤滑する潤滑オイルの粘度を十分に確保することができる。
【0093】
また、低圧側条件として膨張機23の出口側圧力Pex_outを考慮することで、入口側圧力Pex_inとの差圧ΔPを十分に確保することが可能となり、膨張機23の過膨張を抑制することができる。すなわち、安定したランキンサイクル20の運転が可能となる。
【0094】
(S5 ランキン停止制御)
図10は、ステップS5のランキン停止制御の詳細を説明するフローチャートである。
【0095】
図10に示すように、まず、ステップS51で、膨張機最低回転数を指示し、ステップS52で、バイパス弁27を開状態に制御する。その後、ステップS53で膨張機ゼロ回転を指示し、膨張機23、ポンプ21を停止させ、次のランキン停止判定制御(S6)へ移行する。なお、ここでいう「膨張機最低回転数」とは、上記したように図6に示すステップS43で得られる最低回転数Nminとは異なり、予め定められた所定値である。
【0096】
本制御ルーチン(S5)によれば、ランキンサイクル20を停止するに際して、膨張機23を所定の回転数におとしてから、バイパス弁27を開き、その後、ゼロ回転指示とするようにしている。このように、バイパス弁27を開くことで膨張機23の差圧ΔPを無くしてから停止するため、膨張機23の暴走を抑制して、安定したランキンサイクル20の停止が可能となる。
【0097】
(S6 ランキン停止判定制御)
図11は、ステップS6のランキン停止判定制御の詳細を説明するフローチャートである。
【0098】
図11に示すように、まず、ステップS61で、膨張機23の差圧ΔPが予め定めた所定値より低いか否かが判断される。そして、差圧ΔPが所定値より低い場合(S61:YES)には、ステップS62で、ランキンサイクル20が正常に停止したものと判断され、ランキン稼動判定制御(S1)へ戻り、メインフロー(図2)の制御を繰り返す。
【0099】
一方、差圧ΔPが所定値以上である場合(S61:NO)には、ステップS63で、ランキンサイクル20が異常停止したものと判断されて、異常対処処理(S7、図12)へ進む。
【0100】
本制御ルーチン(S6)によれば、膨張機23の差圧ΔPを判断基準として用い、ランキンサイクル20が異常停止した場合にはメインフローを繰り返さないようにすることで、信頼性の高いランキンサイクル20とすることができる。
【0101】
(S7 異常対処処置)
ランキンサイクル20が異常停止した場合には、異常対処処置が実行される。具体的には、例えば、シャット弁18を閉状態に制御する。この場合、加熱器22に冷却水が流入しなくなるため、ランキンサイクル20の運転を強制的に中止することができる。
【0102】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について、図12、図13を参照して説明する。なお、本実施形態では、第1実施形態と共通するステップには第1実施形態と同様の符号を付しており、以下、第1実施形態との相違部分に着目して説明することとする。
【0103】
図12は、本実施形態におけるランキン運転制御(S4)の詳細を説明するフローチャートである。本実施形態では、このランキン運転制御(S4)における最高最低回転数設定ステップ(S411)が上記第1実施形態とは異なり、その他の装置構成および制御は同様であるため、最高最低回転数設定ステップ(S411)を詳述し、他の説明については省略する。
【0104】
図12に示すように、ステップS411で、膨張機23の入口での過熱度SHと膨張機23の圧力比Pr(本実施形態における圧力情報P)の値にしたがって、膨張機23の最高回転数Nmaxの増減を決定する。最低回転数Nminは一定値とする。ここで、膨張機23の圧力比Prは、入口側圧力Pex_inと出口側圧力Pex_outの比(Pr=Pex_in/Pex_out)であらわされる。
【0105】
図13は、過熱度SHと圧力比Prに基づいた、膨張機23の最高回転数Nmaxの増減を示す図である。ここで、最低回転数Nminの一定値および最高回転数Nmaxの初期値は、それぞれ所定値に設定することができる。最高回転数Nmaxの「増減」の基準となるのは、ルーチン1回目は予め定められた初期値であり、ルーチン2回目以降は直前のルーチン後における最高回転数Nmaxの値となる。また、図13において、最高回転数Nmaxを増加させた場合の限界値は予め設定されており、最高回転数Nmaxがその限界値を超えないように制御される。さらに、最高回転数Nmaxを低下させた場合の限界値は最低回転数Nminの値(一定値)に設定されており、圧力比Prおよび過熱度SHがともに最低領域(Pr<Pr_min,SH<SH_min)にある場合のみ、最低回転数Nminの値は0であるものとする。
【0106】
図13において、網掛けで示す「変化なし」の部分では、そのときの最高回転数Nmaxの値における過熱度SHおよび圧力比Prの値が適当であって、そのままの最高回転数Nmaxを維持して良いため、増減はなく(増減値=ゼロ)最高回転数Nmaxを変化させないことを意味する。
【0107】
例えば、圧力比Prおよび過熱度SHがともに適正範囲にある領域Q1(Pr_low<Pr<Pr_high,SH_min<SH<SH_low)から、車両条件の変化により、圧力比Prが低下して領域Q2(Pr_min<Pr<Pr_low,SH_min<SH<SH_low)に以降した場合を考える。
【0108】
このとき、圧力比Prが低下したということは、すなわち、出口側圧力Pex_outが大きくなったことを意味する。このとき、これ以上出口側圧力Pex_outが大きくなると過膨張になる虞が生じるため、増減は「低下」(増減値はマイナス値)が選択され、最高回転数Nmaxを低下させるよう制御する。
【0109】
また、例えば、領域Q1から、車両条件の変化により、過熱度SHが低下して領域Q3(Pr_low<Pr<Pr_high,SH<SH_min)に以降した場合を考える。
【0110】
このときには、過熱度SHが適正値以下であるため、増減は「低下」(増減値はマイナス値)が選択され、最高回転数Nmaxを低下させることで過熱度SHを確保するように制御する。
【0111】
さらに、例えば、圧力比Prおよび過熱度SHがともに適正範囲にある領域Q4(Pr_low<Pr<Pr_high,SH>SH_high)から、車両条件の変化により、圧力比Prが上昇して領域Q5(Pr>Pr_high,SH>SH_high)に以降した場合を考える。
【0112】
このとき、圧力比Prおよび過熱度SHはともに適正かつ十分な値であるため、増減は「増加」(増減値はプラス値)が選択され、最高回転数Nmaxを増加させることで、バッテリ33への電気エネルギを効率的に最大限回生できるように(回生量を大きくするように)制御する。
【0113】
上記詳述した本実施形態によれば、例えば、「増加」における増加量を小さく設定しておけば、車両条件の変化によって、圧力比Prおよび過熱度SHの条件が領域Q5に該当するに至った場合において、この条件(Pr>Pr_high,SH>SH_high)が継続する場合に、徐々に回転数(最高回転数Nmax、指示回転数N_id)が増加していくように制御される。
【0114】
このように、増減値の大きさを適度に設定することによって、車両条件(加熱器22への冷却水流入量の増加等)の急激な変化時において、指示回転数N_idをすぐに大きく変化させることなくゆっくりと変化させることができるため、より滑らかで緻密な制御が可能となる。
【0115】
(その他の実施形態)
上記第1実施形態において、低圧側条件としての圧力情報Pは、膨張機23の出口側圧力Pex_outとしたが、これに換えて、例えば、膨張機23の入口側圧力Pex_inと出口側圧力Pex_outとの差圧ΔP(入口側圧力Pex_in−出口側圧力Pex_out)としても良い。この場合、図8で説明した特性図に対して図14に示す特性図を用いることができ、上記第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0116】
上記各実施形態において、ステップS44(図6、図12参照)のバッテリ電圧を考慮する特性図(図9)において、指示回転数N_idの段階的な移行を連続的にしてもよい。この場合、図15に示す特性図を用いることができ、特に、バッテリ電圧値がE_lowとE_highとの間にあるときの指示回転数N_idを連続的にすることで、膨張機23の指示回転数N_idが採り得る値のヴァリエーションが広がり、より緻密な制御を行うことができる。
【0117】
上記各実施形態では、ポンプ21と膨張機23とは同軸駆動されるものとしたが、図16に示すように、同軸駆動ではないタイプ(ポンプ21を専用の電動機(図示略)で駆動するタイプ)として実施しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0118】
【図1】ランキンサイクルを有する廃熱利用装置のシステム全体を示す模式図である。
【図2】第1実施形態のランキンサイクルの作動制御に関するメインフローを示すフローチャートである。
【図3】ランキン稼動判定制御の詳細を説明するフローチャートである。
【図4】ランキン起動制御の詳細を説明するフローチャートである。
【図5】ランキン起動制御に連続して実行されるランキン起動判定制御の詳細を説明するフローチャートである。
【図6】ランキン運転制御の詳細を説明するフローチャートである。
【図7】高圧側条件と回転数(最高回転数、最低回転数)との対応を示す制御特性図である。
【図8】低圧側条件と回転数(最高回転数、最低回転数)との対応を示す制御特性図である。
【図9】バッテリ電圧と指示回転数との対応を示す制御特性図である。
【図10】ランキン停止制御の詳細を説明するフローチャートである。
【図11】ランキン停止判定制御の詳細を説明するフローチャートである。
【図12】第2実施形態における、ランキン運転制御の詳細を説明するフローチャートである。
【図13】過熱度と圧力比に基づいた、膨張機の最高回転数の増減を示す図である。
【図14】別な実施形態における、低圧側条件と回転数(最高回転数、最低回転数)との対応を示す制御特性図である。
【図15】別な実施形態における、バッテリ電圧と指示回転数との対応を示す制御特性図である。
【図16】別な実施形態における、ランキンサイクルを有する廃熱利用装置のシステム全体を示す模式図である。
【符号の説明】
【0119】
1 廃熱利用装置
10 内燃機関
20 ランキンサイクル
21 ポンプ
22 加熱器
23 膨張機
24 凝縮器
32 制御機器(ランキン運転制御手段(S4)、ランキン稼動判定手段(S1)、ランキン起動制御手段(S2)、ランキン起動判定制御手段(S3)、ランキン停止手段(S5)、ランキン停止判定制御手段(S6))
33 バッテリ
206 膨張機温度センサ(温度検出手段)
207 入口側圧力センサ(入口側圧力検出手段)
208 出口側圧力センサ(出口側圧力検出手段)
P 圧力情報
Pex_out 出口側圧力(圧力情報)
ΔP (圧力情報)
Pr 圧力比(圧力情報)
SH 過熱度(過熱度情報)
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば車両用の内燃機関の廃熱を利用して動力を回収する廃熱利用装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、内燃機関の廃熱を利用して動力を回収する廃熱利用装置が知られている。この廃熱利用装置はランキンサイクルを備えており、例えば、特許文献1に記載のランキンサイクルでは、内燃機関の廃熱により作動流体を加熱する加熱器と、加熱された作動流体を膨張させて回転駆動力を発生させる膨張機と、膨張された作動流体を凝縮する凝縮器とを備えている。
【0003】
そして、膨張機へ流入する冷媒の高圧側圧力(入口側圧力)を目標圧力に一致させるべく、膨張機の回転数を制御するようにしている。
【特許文献1】特開2004−60462号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
高圧側圧力を考慮することは、膨張機へ流入する冷媒の気液二相化を抑制し、ランキンサイクルの構成機器(例えば膨張機の摺動部)に必要な潤滑オイルの適正粘度(適度な油膜厚さ)を確保するのに有効である。しかし、一方で、膨張機から流出する冷媒の低圧側圧力(出口側圧力)が高すぎると、高圧側圧力との差圧を十分に確保できずに膨張機の過膨張を引き起こす虞があった。すなわち、膨張機を適正膨張で作動することができないため、安定かつ効率的なランキンサイクルの運転ができないという問題があった。
【0005】
本発明の目的は、上記問題に鑑み、内燃機関の廃熱を利用して安定的かつ効率的に動力回収することが可能な廃熱利用装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記目的を達成するために、以下の技術的手段を採用する。
【0007】
請求項1に記載の発明では、内燃機関(10)の廃熱によってサイクル内の作動流体を加熱器(22)で加熱し、加熱された作動流体を膨張機(23)で膨張させて機械的エネルギを回収し、膨張後の作動流体を凝縮器(24)で凝縮液化し加熱器(22)側へポンプ(21)によって循環するランキンサイクル(20)を有する廃熱利用装置において、膨張機(23)の入口側温度を検出する温度検出手段(206)と、膨張機(23)の入口側圧力(Pex_in)を検出する入口側圧力検出手段(207)と、膨張機(23)の出口側圧力(Pex_out)を検出する出口側圧力検出手段(208)と、温度検出手段(206)から検出される入口側温度と入口側圧力検出手段(207)から検出される入口側圧力(Pex_in)に基づき得られる膨張機入口での過熱度情報(SH)と、出口側圧力検出手段(208)から得られる出口側圧力(Pex_out)が考慮された圧力情報(P)とに基づいて膨張機(23)の指示回転数(N_id)を制御するランキン運転制御手段(32,S4)とを備えることを特徴とする。
【0008】
本構成によれば、過熱度情報(SH)を考慮することで、ランキンサイクル(20)の構成機器(例えば膨張機(23)の摺動部)に必要な潤滑オイルの適正粘度を確保することができる。また、出口側圧力(Pex_out)を含む圧力情報(P)を考慮することで、高圧側となる膨張機(23)の入口側圧力(Pex_in)との差圧(ΔP)を十分に確保できるため、膨張機(23)の過膨張を抑制することができる。すなわち、高圧側条件(過熱度情報(SH))と低圧側条件(圧力情報(P))を考慮することで、膨張機(23)を適正膨張させて、安定かつ効率的なランキンサイクル(20)の運転を行うことができる。
【0009】
請求項2に記載の発明では、ランキン運転制御手段(S4)は、指示回転数(N_id)を導出するにあたって、過熱度情報(SH)および圧力情報(P)に基づいて最高回転数(Nmax)と最低回転数(Nmin)とを設定する最高最低回転数設定ステップ(S41〜S43,S411)を有することを特徴とする。
【0010】
本構成によれば、最高最低回転数設定ステップ(S41〜S43,S411)により得られた最高回転数(Nmax)と最低回転数(Nmin)を用いることで、過熱度情報(SH)および圧力情報(P)を考慮して、好適な実施形態とすることができる。
【0011】
請求項3に記載の発明では、圧力情報(P)は、出口側圧力(Pex_out)、もしくは、入口側圧力(Pex_in)と出口側圧力(Pex_out)との差圧(ΔP)であって、最高最低回転数設定ステップ(S41〜S43)では、過熱度情報(SH)に基づいて膨張機(23)の第1最高回転数(Nmax1)と第1最低回転数(Nmin1)とを算出するとともに、圧力情報(P)に基づいて膨張機(23)の第2最高回転数(Nmax2)と第2最低回転数(Nmin2)とを算出し、それぞれの条件から算出された最高回転数同士(Nmax1,Nmax2)および最低回転数同士(Nmin1,Nmin2)を比較し、それぞれ小さい方を最高回転数(Nmax)と最低回転数(Nmin)として設定することを特徴とする。
【0012】
過熱度(SH)が十分な大きさであるとき、膨張機(23)の指示回転数(N_id)を大きくすることができるが、指示回転数(N_id)を大きくすると十分な差圧(ΔP)が得られず過膨張になってしまう虞が出てくる。
【0013】
一方、過膨張になる虞がないとき、指示回転数(N_id)を大きくすることができるが、指示回転数(N_id)を大きくすると逆に過熱度(SH)が小さくなりすぎてしまう虞が出てくる。よって、過熱度情報(SH)と圧力情報(P)のそれぞれに基づいて得られた最高回転数(Nmax1、Nmax2)および最低回転数(Nmin1、Nmin2)のうち、低い方を採用すれば、膨張機(23)の過膨張を抑制し、かつ、十分な過熱度(SH)を確保することができる。
【0014】
このように、本構成によれば、過熱度情報(SH)および圧力情報(P)をともに考慮して、最高最低回転数設定ステップ(S41〜S43)を好適に実施することができる。
【0015】
請求項4に記載の発明では、圧力情報(P)は、入口側圧力(Pex_in)と出口側圧力(Pex_out)との圧力比Pr(Pr=Pex_in/Pex_out)であり、最高最低回転数設定ステップ(S411)では、最低回転数(Nmin)を予め定めた所定値に設定するとともに、最高回転数(Nmax)を、膨張機(23)の過熱度情報(SH)と圧力比(Pr)とに基づいて予め定められた増減値を加算して設定することを特徴とする。
【0016】
本構成によれば、増減値を適度に設定することによって、内燃機関(10)の運転条件が急激に変化したときに、最高回転数(Nmax)(ひいては、指示回転数(N_id))をすぐに大きく変化させることなくゆっくりと変化させることができるため、より滑らかで緻密な制御が可能となる。
【0017】
請求項5に記載の発明では、増減値は、過熱度情報(SH)および圧力比(Pr)がともに大きいほど、過熱度情報(SH)および圧力比(Pr)がともに小さい場合と比較して大きく設定されていることを特徴とする。
【0018】
圧力比(Pr)が大きいということは、出口側圧力(Pex_out)が低く十分な差圧(ΔP)が得られていることを意味する。本構成によれば、圧力比(Pr)および過熱度情報(SH)がともに適正値である場合に最高回転数(Nmax)(ひいては、指示回転数(N_id))を大きくして、膨張機(23)からの機械的エネルギを効率的に回生することができる。
【0019】
請求項6に記載の発明では、ランキン運転制御手段(S4)は、最高最低回転数設定ステップ(S41〜S43,S411)で設定された最高回転数(Nmax)と最低回転数(Nmin)に加え、機械的エネルギを電気エネルギに変換して貯蓄するバッテリ(33)のバッテリ電圧に基づいて指示回転数(N_id)を決定する指示回転数決定ステップ(S44)を有することを特徴とする。
【0020】
本構成によれば、バッテリ電圧を考慮して指示回転数(N_id)を最終決定することにより、バッテリ(33)が過充電状態となることを抑制して安定したランキンサイクル(20)の運転が可能となる。
【0021】
請求項7に記載の発明では、ランキン運転制御手段(S4)は、膨張機(23)の指示回転数(N_id)がゼロである場合に、所定時間経過した後においても指示回転数(N_id)がゼロである場合にのみ、膨張機(23)を停止させる制御へ移行させる停止猶予ステップ(S45〜S48)を有することを特徴とする。
【0022】
本構成によれば、所定時間、膨張機(23)の停止指示を待機することで、その間に車両側条件により指示回転数(N_id)がゼロでなくなった場合には、ランキンサイクル(20)の運転が継続される。そして、所定時間を超える範囲で指示回転数(N_id)がゼロである場合のみランキンサイクル(20)の運転が停止される。このため、ランキンサイクル(20)の再起動時に要する電力の消費を抑えることができる。
【0023】
請求項8に記載の発明では、ランキンサイクル(20)の稼動初期において稼動条件を満たしている場合に出力される稼動指示があるか否かを判断するランキン稼動判定制御手段(32,S1)を備えることを特徴とする。
【0024】
本構成によれば、例えば、内燃機関(10)の冷却水温度や水量、凝縮器前面風速や前面風温度、バッテリ電圧等の稼動条件を満たしたときにのみランキンサイクル(20)を運転させることができる。
【0025】
請求項9に記載の発明では、ランキン運転制御手段(S4)により膨張機23の指示回転数(N_id)を制御する前段階で、ランキンサイクル(20)が正常に起動しているか否かを判断するランキン起動制御手段およびランキン起動判定制御手段(32,S2,S3)を備えることを特徴とする。
【0026】
本構成によれば、より信頼性の高いランキンサイクル(20)の制御を実行することが可能となる。
【0027】
請求項10に記載の発明では、膨張機(23)を所定の回転数に下げた後に、膨張機(23)の指示回転数(N_id)をゼロに指示するランキン停止制御手段(32,S5)
を備えることを特徴とする。
【0028】
本構成によれば、ランキンサイクル(20)を停止するに際して、膨張機(23)の差圧(ΔP)を小さくした後に回転が停止されるため、膨張機(23)の暴走を抑制して安定してランキンサイクル(20)を停止させることができる。
【0029】
請求項11に記載の発明では、ランキンサイクル(20)が正常に停止したか否かを判断するランキン停止判定制御手段(32,S6)を備えることを特徴とする。
【0030】
本構成によれば、より信頼性の高いランキンサイクル(20)の制御を実行することが可能となる。
【0031】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について、図1〜図11を参照しつつ説明する。
【0033】
図1は、ランキンサイクル20を有する廃熱利用装置1のシステム全体を示す模式図である。図1に示すように、本実施形態の廃熱利用装置1は、エンジン10を駆動源とする車両に適用されるものである。
【0034】
エンジン10は、水冷式の内燃機関であり、エンジン冷却水の循環によってエンジン10が冷却されるラジエータ回路11、および冷却水(温水)を熱源として空調空気を加熱するヒータ回路12が設けられている。
【0035】
ラジエータ回路11には、ラジエータ13が設けられており、ラジエータ13は、温水ポンプ14によって循環される冷却水を外気との熱交換により冷却する。温水ポンプ14は、電動式のポンプ、あるいは機械式のポンプのどちらでも良い。エンジン10の出口側の流路には、後述するランキンサイクル20の加熱器22が配設されており、冷却水がこの加熱器22内を流通するようになっている。加熱器22の上流側にはシャット弁18が設けられており、このシャット弁18の開閉制御によって、冷却水を加熱器22側へ流通させるか否かを適宜調節できるようになっている。
【0036】
ラジエータ回路11中には、ラジエータ13を迂回して冷却水が流通するラジエータバイパス流路15が設けられており、サーモスタット16によってラジエータ13を流通する冷却水量とラジエータバイパス流路15を流通する冷却水量とが調節されるようになっている。
【0037】
ヒータ回路12には、ヒータコア17が設けられており、上記の温水ポンプ14によって冷却水(温水)が循環されるようになっている。ヒータコア17は、空調ユニットの空調ケース内に配設されており、送風機(いずれも図示略)によって送風される空調空気を温水との熱交換により加熱する。ヒータコア17にはエアミックスドア(図示略)が設けられており、このエアミックスドアの開閉により、ヒータコア17を流通する空調空気量が可変される。
【0038】
一方、ランキンサイクル20は、エンジン10で発生した廃熱エネルギ(冷却水の熱)を回収するとともに、この廃熱エネルギを機械的エネルギ(膨張機23(詳細後述)の駆動力)、さらには、電気エネルギ(発電機25(詳細後述)の発電量)に変換して利用するものである。以下、ランキンサイクル20について説明する。
【0039】
ランキンサイクル20は、ポンプ21、加熱器22、膨張機23、凝縮器24を有しており、これらが環状に接続されて閉回路を形成している。さらに、加熱器22と凝縮器24との間には、膨張機23を迂回するバイパス流路26が設けられ、このバイパス流路26にはバイパス弁27が設けられている。
【0040】
ポンプ21は、後述する通電制御回路30によって作動される発電機25を駆動源として、ランキンサイクル20内の冷媒(作動流体、以下、「RA冷媒」と言う。)を循環させる電動式のポンプである。そして、本実施形態では、膨張機23の駆動軸と同軸とされている。
【0041】
加熱器22は、ポンプ21から送られるRA冷媒とラジエータ回路11を流通する高温の冷却水との間で熱交換することによりRA冷媒を加熱する熱交換器である。
【0042】
膨張機23は、過熱器22で過熱されたRA冷媒の膨張によって回転駆動力を発生させる流体機器である。膨張機23の駆動軸には発電機25が接続されている。そして、膨張機23の駆動力によって発電機25が作動され、発電機25によって発電される電力は、後述する通電制御回路30を構成するインバータ31を解してバッテリ33に充電されるようになっている。膨張機23から流出されるRA冷媒は、凝縮器24に至る。
【0043】
凝縮器24は、膨張機23の吐出側に接続され、軸流式のいわゆる吸い込み式の送風ファン28によって送風される冷却空気との熱交換によってRA冷媒を凝縮液化する熱交換器である。
【0044】
発電機25は、電動機および発電機の両機能を備える回転機械であり、通電制御回路30によって制御される。発電機25の一端側の軸にはポンプ21が接続され、他端側の軸には膨張機23が接続されている。
【0045】
通電制御回路30は、廃熱利用装置1内の各種機器の作動を制御するための制御手段であり、インバータ31と制御機器32(ECU)とを有している。インバータ31は、膨張機23に接続された発電機25の作動を制御するものであり、発電機25が膨張機23の駆動力によって作動されるときに、発電される電力をバッテリ33に充電する。また、通電制御回路30は、周知のタイマー機能を有している。
【0046】
さらに、ランキンサイクル20には、加熱器22に流入する冷却水の温度を検出する冷却水温度センサ201、加熱器22を流通する冷却水量を検出する流量センサ202、凝縮器24の前面風速を検出する風速センサ203、凝縮器24の前面風温度を検出する凝縮器温度センサ204、ポンプ21の入口過冷却度(サブクール)を得るための入口冷媒温度を検出するポンプ温度センサ205、膨張機23の入口側冷媒温度を検出するための膨張機温度センサ206(温度検出手段)、膨張機23の入口側圧力Pex_inを検出するための入口側圧力センサ207(入口側圧力検出手段)、膨張機23の出口側圧力Pex_outを検出するための出口側圧力センサ208(出口側圧力検出手段)等の各種センサが配設されている。
【0047】
そして、これらの各種センサ201,202,203,204,205,206,207,208等からの検出信号に基づいて、制御機器32は、インバータ31の作動を制御するとともに、送風ファン28、ポンプ22および膨張機23の発電機25等を併せて制御するようになっている。
【0048】
(作動)
(メインフロー)
次に、上記構成に基づく作動およびその作用効果について説明する。図2は、本実施形態のランキンサイクル20の作動制御に関するメインフローを示すフローチャートである。
【0049】
図2に示すように、メインフローは、ランキン稼動判定制御(S1)、ランキン起動制御&起動判定制御(S2、S3)、ランキン運転制御(S4)、ランキン停止制御(S5)、ランキン停止判定制御(S6)、異常対処処置(S7)とから構成されている。
【0050】
まず、ステップS1のランキン稼動判定制御において、ランキン稼動指示があるか否かが判断される。そして、稼動指示がある場合(S1:YES)には、ステップS2,S3のランキン起動制御&起動判定制御に進む。稼動指示がない場合(S1:NO)には、ステップS1を繰り返す。
【0051】
ステップS2,S3のランキン起動制御&起動判定制御において、ランキンサイクル20が正常起動したか否かが判断される。そして、正常起動した場合(S2、S3:YES)には、ステップS4のランキン運転制御に進む。
【0052】
ステップS4のランキン運転制御では、ランキンサイクル20の運転を停止すべきか否かが判断される。そして、停止すべき指示がある場合(S4:YES)には、ステップS5のランキン停止制御に進む。停止すべき指示がない場合(S4:NO)には、ステップS4を繰り返す。また、ステップS2,S3において、ランキンサイクル20が正常起動していない場合(S2、S3:NO)には、ステップS4を経ることなくステップS5のランキン停止制御に進む。
【0053】
ステップS5のランキン停止制御の後は、ステップS6のランキン停止判定制御に進む。
【0054】
ステップS6のランキン停止判定制御では、ランキンサイクル20が正常停止したか否かが判断される。そして、正常停止した場合(S6:YES)には、ステップS1のランキン稼動判定制御に戻り、以降、このメインフローを繰り返す。
【0055】
一方、ステップS6のランキン停止判定制御において、ランキンサイクル20が正常停止していない場合(S6:NO)、すなわち、異常停止した場合には、ステップS7に進み、異常対処処置が実行される。
【0056】
以下、各制御ステップS1〜S7の詳細な制御内容について、順次、説明する。
【0057】
(S1 ランキン稼動判定制御)
図3は、ステップS1のランキン稼動判定制御の詳細を説明するフローチャートである。図3に示すように、はじめに、ステップS11で、冷却水温度センサ201から検出された冷却水温度が予め定められた所定値Twcより大きいか否かが判断される。冷却水温度が所定値Twcより大きい場合(S11:YES)には、ステップS12に進み、流量センサ202から検出された冷却水流量が予め定められた所定値Gwcより大きいか否かが判断される。一方、ステップS11で、冷却水温度が所定値Twc以下である場合(S11:NO)には、ステップS11の処理を繰り返す。
【0058】
ステップS12において、冷却水流量が所定値Gwcより大きい場合(S12:YES)には、ステップS13に進み、凝縮器24の前面に配置された風速センサ203から検出された凝縮器前面風速が予め定められた所定値Vacより大きいか否かが判断される。一方、ステップS12で、冷却水流量が所定値Gwc以下である場合(S12:NO)には、再びステップS11まで戻る。
【0059】
ステップS13において、凝縮器前面風速が所定値Vacより大きい場合(S13:YES)には、ステップS14に進み、凝縮器温度センサ204から検出された凝縮器前面温度が予め定められた所定値Tacより低いか否かが判断される。一方、ステップS13で、凝縮器前面風速が所定値Vac以下である場合(S13:NO)には、再びステップS11まで戻る。
【0060】
ステップS14において、凝縮器前面温度が所定値Tacより低い場合(S14:YES)には、ステップS15に進み、バッテリ電圧値が予め定められた所定値Ebcより小さいか否かが判断される。一方、ステップS14で、凝縮器前面温度が所定値Tac以上の場合(S14:NO)には、再びステップS11まで戻る。
【0061】
ステップS15において、バッテリ電圧値が所定値Ebcより低い場合(S15:YES)には、ステップS16でランキン稼動指示を出した後、ランキン起動制御&起動判定制御(S2,S3)へ進む。バッテリ電圧値が所定値Ebc以上である場合(S15:NO)には、再びステップS11まで戻る。
【0062】
なお、所定値Twc、Gwc,Vac,Tac,Ebcの各数値は、ランキンサイクル20を起動した場合に、膨張機23、さらには発電機25によるエネルギを回生し得る程度の境界値にそれぞれ設定されている。
【0063】
以上のように、各ステップS11〜S15では、冷却水温度、冷却水流量、凝縮器前面風速、凝縮器前面温度、バッテリ電圧の全ての条件をクリアした場合にのみランキン稼動指示を出し、いずれか1つでも条件を満たさない場合にはランキン稼動指示を出さずに停止状態を維持し、本制御ルーチン(ステップS1)を繰り返すようになっている。
【0064】
本制御ルーチン(ステップS1)により、ランキンサイクル20が十分にエネルギを回生できる条件となったときにのみ運転させることが可能となる。
【0065】
(S2、S3 ランキン起動制御&起動判定制御)
図4は、ステップS2のランキン起動制御の詳細を説明するフローチャートであり、図5は、ステップS2に連続して実行されるステップS3のランキン起動判定制御の詳細を説明するフローチャートである。
【0066】
図4に示すように、ステップS21で、バイパス弁27が開いているか否かが判断され、バイパス弁27が開いている場合(S21:YES)には、ステップS22で膨張機最低回転数を指示する。この最低回転数は例えば2000rpmに設定することができる。この指示により、発電機25を電動機として駆動し、ポンプ21および膨張機23を駆動させる。
【0067】
一方、ステップS21において、バイパス弁27が閉じている場合(S21:NO)には、ステップS23でバイパス弁27を開状態に制御する。
【0068】
バイパス弁27を開けた状態で膨張機23を駆動させても、膨張機23の入口と出口とで差圧ΔPは生じない。このステップS21〜S23では、膨張機23およびポンプ21を駆動する際に、まずバイパス弁27を開状態に制御しておくことで、膨張機23に急激に圧力が生じないようにし、各摺動部材間の当接摺動を避けて、RA冷媒とともに循環する潤滑オイルがランキンサイクル20内に満遍なく行き渡るまでの貧潤滑状態における各摺動部材の摩耗等を防止するようにしている。
【0069】
膨張機23およびポンプ21が駆動された後は、ステップS24でタイマーがスタートされ、ステップS25に進む。ステップS25では、ポンプ温度センサ205から検出される温度に基づき得られる過冷却度(サブクール)が予め定められた所定値SCpcより大きく、かつ、膨張機温度センサ206から得られる膨張機入口冷媒温度が予め定められた所定値Texcより大きいか否かが判断される。
【0070】
過冷却度が所定値SCpcより大きく、かつ、膨張機入口冷媒温度が所定値Texcより大きい場合(S25:YES)には、ステップS26でタイマーをストップし、ステップS28でバイパス弁27を閉状態に制御する。
【0071】
一方、ステップS25において、過冷却度または膨張機入口冷媒温度のいずれかでも所定値SCpc、Texc以下であって条件を満たしていない場合(S25:NO)には、ステップS27で、所定時間経過したか否かが判断される。そして、所定時間が経過していない場合(S27:NO)には、再びステップS25へ戻り、所定条件を満たすか否かが判断される。
【0072】
すなわち、所定時間内に過冷却度および膨張機入口冷媒温度の両条件が満たされれば、次のランキン起動判定制御(ステップS3、図5参照)に進むが、いずれか一方でも条件が満たされない場合には、ランキン起動判定制御に進むことなく、ランキン停止制御(S5)へ進むようになっている。
【0073】
そして、上記ステップS28でバイパス弁27を閉状態に制御した後は、図5に示すように、ステップS31でタイマーをスタートさせる。次に、ステップS32で、ランキン回生量が0より大きく、かつ、膨張機23の入口側圧力Pex_inと出口側圧力Pex_outとの差圧ΔPが予め定められた所定値ΔPcより大きいか否かが判断される。
【0074】
ランキン回生量が0より大きく、かつ、膨張機23の差圧ΔPが所定値ΔPcより大きい場合(S32:YES)には、ステップS33でタイマーをストップし、ステップS35でランキン稼動状態と判断する。その後は、ランキン運転制御(S4、図6参照)へ進む。
【0075】
一方、ステップS32において、ランキン回生量が0である、または、膨張機23の差圧ΔPが所定値ΔPc以下である場合(S32:NO)には、ステップS34で、所定時間経過したか否かが判断される。そして、所定時間が経過していない場合(S34:NO)には、再びステップS32へ戻り、所定条件を満たすか否かが判断される。
【0076】
すなわち、所定時間内にランキン回生量および膨張機23の差圧ΔPの両条件が満たされれば、次のランキン運転制御(S4)に進むが、いずれか一方でも条件が満たされない場合には、ランキン運転制御に進むことなく、ランキン停止制御(S5)へ進むようになっている。
【0077】
以上詳述した本制御ルーチン(S3、S4)によれば、ランキンサイクル20を起動するにあたり、起動の前提となる条件(過冷却度、膨張機入口冷媒温度)および起動初期の条件(ランキン回生量、膨張機23の差圧ΔP)をチェックし、適正であることを確認しているため、安定した起動が可能となる。また、タイマー機能を利用して、各条件を満たすまでの許容時間を設定しているため、時間内に適正値とならなかった場合には停止制御へ移行することで、起動に要する無駄な電力を抑えることができる。
【0078】
(S4 ランキン運転制御)
図6は、本発明の要部である、ステップS4のランキン運転制御の詳細を説明するフローチャートである。図7は、高圧側条件と回転数(最高回転数、最低回転数)との対応を示す制御特性図であり、図8は、低圧側条件と回転数(最高回転数、最低回転数)との対応を示す制御特性図、図9は、バッテリ電圧と指示回転数N_idとの対応を示す制御特性図である。
【0079】
図6に示すように、まず、ステップS41で、図7に基づき、高圧側条件より膨張機23の最高回転数Nmax1、最低回転数Nmin1を決定する。ここで、高圧側条件は、膨張機温度センサ206から検出される膨張機23の入口側冷媒温度と冷媒圧力(入口側圧力Pex_in)に基づき得られる膨張機23の入口での過熱度SH(過熱度情報)である。
【0080】
次に、ステップS42で、図8に基づき、低圧側条件より膨張機23の最高回転数Nmax2、最低回転数Nmin2を決定する。ここで、低圧側条件は、出口側圧力センサ208から検出される膨張機23の出口側圧力Pex_out(本実施形態における圧力情報P)である。
【0081】
そして、次に、ステップS43で、最高回転数Nmax1、Nmax2、最低回転数Nmin1、Nmin2を比較し、それぞれの小さい値を最高回転数Nmax、最低回転数Nminと決定する。
【0082】
そして、ステップS44で、図9に基づき、バッテリ電圧により膨張機23の指示回転数N_idを決定する。図9に示すように、概ね、バッテリ電圧が低い場合には指示回転数N_idを大きく設定し(例えば、E_low以下の場合は指示回転数N_id=Nmax)、バッテリ電圧が高い場合には指示回転数N_idを小さく設定する。このように、膨張機23の指示回転数N_idを決定するに際して、バッテリ電圧を考慮することで、バッテリ33が過充電状態となることを防止できる。
【0083】
膨張機23の指示回転数N_idが決定した後は、ステップS45で、その指示回転数N_idがゼロか否かが判断される。ゼロでない場合(S45:NO)には、ステップS47で膨張機23の指示回転数N_idを指示し、その指示回転数N_idで膨張機23およびポンプ21を駆動させ、ステップS41の処理へ戻る。
【0084】
一方、ステップS44で決定された指示回転数N_idがゼロである場合(S45:YES)には、ステップS46でタイマースタート(ルーチン1回目)した後、ステップS48で、所定時間経過したか否かが判断される。所定時間経過していない場合(S48:NO)には、再びステップS41に戻り、ステップS45までの処理をした後、いまだ指示回転数N_idがゼロである場合(S45:YES)には、ステップS46でタイマーカウントを継続(ルーチン2回目以降)する。そして、ステップS48で所定時間経過したか否かが再び判断され、所定時間が経過した場合(S48:YES)には、ランキン停止制御(S5)へ以降する。
【0085】
すなわち、ステップS45〜S48(停止猶予ステップ)までの処理は、指示回転数N_idがゼロの場合に、すぐにランキンサイクル20を停止するのではなく、所定時間の間、継続して指示回転数N_idがゼロの場合にのみ停止するようにしている。言い換えれば、所定時間、ランキンサイクル20の停止処理を猶予するようにしている。これにより、ランキンサイクル20の再起動時に要する電力の消費を抑えることができる。
【0086】
次に、上記ステップS41〜S43(最高最低回転数決定ステップ)の効果について述べる。はじめに、膨張機23の回転数と過熱度SHとの関係について簡単に説明する。まず、膨張機23の回転数を大きくすると、冷媒がより多く流れることで加熱器22での蒸発が追いつかなくなり、膨張機23の入口での過熱度SHは小さくなる。過熱度SHを十分な大きさとしておくことは、加熱器22での蒸発度を十分に確保して膨張機23へ流入するRA冷媒の二相化を防止する上で必要である他、ランキンサイクル20を循環する潤滑オイルの粘度を確保する上でも重要である。
【0087】
このため、過熱度SHが大きいときは回転数を大きくすることができるが、過熱度SHが小さいときには回転数を小さくして適度な過熱度SH、ひいては、適度な潤滑オイル粘度を得るようにすることが望ましい。
【0088】
一方、膨張機23の回転数と出口側圧力Pex_outとの関係について説明すると、回転数を大きくすると、出口側圧力Pex_outは大きくなる。逆に、回転数を小さくすれば、出口側圧力Pex_outは小さくなる。なお、入口側圧力Pex_inの値は、ポンプ21と膨張機23の容積比から決定される。
【0089】
出口側圧力Pex_outが大きい場合(差圧ΔPが小さい場合)、過膨張となる虞が生じるため、出口側圧力Pex_outが小さい場合(差圧ΔPが大きい場合)には回転数を大きくすることができるが、出口側圧力Pex_outが大きい場合には回転数は小さくすることが望ましい。
【0090】
以上の関係から、例えば、過熱度SHが十分な大きさであるとき、回転数を大きくすることができるが、回転数を大きくすると出口側圧力Pex_outが大きくなり過膨張の虞が出てくる。
【0091】
一方、出口側圧力Pex_outが十分に小さく差圧ΔPが十分であって過膨張になる虞がないとき、回転数を大きくすることができるが、回転数を大きくすると過熱度SHが小さくなりすぎてしまう虞が出てくる。そこで、過熱度SHと出口側圧力Pex_outのそれぞれに基づいて得られた最高回転数Nmax1、Nmax2および最低回転数Nmin1、Nmin2のうち、低い方を採用すれば、膨張機23の過膨張を抑制し、かつ、十分な過熱度SHを確保することができる。
【0092】
このように、高圧側条件として過熱度SHを考慮することで、膨張機23へ流入する冷媒の気液二相化を防止でき、かつ、膨張機23を潤滑する潤滑オイルの粘度を十分に確保することができる。
【0093】
また、低圧側条件として膨張機23の出口側圧力Pex_outを考慮することで、入口側圧力Pex_inとの差圧ΔPを十分に確保することが可能となり、膨張機23の過膨張を抑制することができる。すなわち、安定したランキンサイクル20の運転が可能となる。
【0094】
(S5 ランキン停止制御)
図10は、ステップS5のランキン停止制御の詳細を説明するフローチャートである。
【0095】
図10に示すように、まず、ステップS51で、膨張機最低回転数を指示し、ステップS52で、バイパス弁27を開状態に制御する。その後、ステップS53で膨張機ゼロ回転を指示し、膨張機23、ポンプ21を停止させ、次のランキン停止判定制御(S6)へ移行する。なお、ここでいう「膨張機最低回転数」とは、上記したように図6に示すステップS43で得られる最低回転数Nminとは異なり、予め定められた所定値である。
【0096】
本制御ルーチン(S5)によれば、ランキンサイクル20を停止するに際して、膨張機23を所定の回転数におとしてから、バイパス弁27を開き、その後、ゼロ回転指示とするようにしている。このように、バイパス弁27を開くことで膨張機23の差圧ΔPを無くしてから停止するため、膨張機23の暴走を抑制して、安定したランキンサイクル20の停止が可能となる。
【0097】
(S6 ランキン停止判定制御)
図11は、ステップS6のランキン停止判定制御の詳細を説明するフローチャートである。
【0098】
図11に示すように、まず、ステップS61で、膨張機23の差圧ΔPが予め定めた所定値より低いか否かが判断される。そして、差圧ΔPが所定値より低い場合(S61:YES)には、ステップS62で、ランキンサイクル20が正常に停止したものと判断され、ランキン稼動判定制御(S1)へ戻り、メインフロー(図2)の制御を繰り返す。
【0099】
一方、差圧ΔPが所定値以上である場合(S61:NO)には、ステップS63で、ランキンサイクル20が異常停止したものと判断されて、異常対処処理(S7、図12)へ進む。
【0100】
本制御ルーチン(S6)によれば、膨張機23の差圧ΔPを判断基準として用い、ランキンサイクル20が異常停止した場合にはメインフローを繰り返さないようにすることで、信頼性の高いランキンサイクル20とすることができる。
【0101】
(S7 異常対処処置)
ランキンサイクル20が異常停止した場合には、異常対処処置が実行される。具体的には、例えば、シャット弁18を閉状態に制御する。この場合、加熱器22に冷却水が流入しなくなるため、ランキンサイクル20の運転を強制的に中止することができる。
【0102】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について、図12、図13を参照して説明する。なお、本実施形態では、第1実施形態と共通するステップには第1実施形態と同様の符号を付しており、以下、第1実施形態との相違部分に着目して説明することとする。
【0103】
図12は、本実施形態におけるランキン運転制御(S4)の詳細を説明するフローチャートである。本実施形態では、このランキン運転制御(S4)における最高最低回転数設定ステップ(S411)が上記第1実施形態とは異なり、その他の装置構成および制御は同様であるため、最高最低回転数設定ステップ(S411)を詳述し、他の説明については省略する。
【0104】
図12に示すように、ステップS411で、膨張機23の入口での過熱度SHと膨張機23の圧力比Pr(本実施形態における圧力情報P)の値にしたがって、膨張機23の最高回転数Nmaxの増減を決定する。最低回転数Nminは一定値とする。ここで、膨張機23の圧力比Prは、入口側圧力Pex_inと出口側圧力Pex_outの比(Pr=Pex_in/Pex_out)であらわされる。
【0105】
図13は、過熱度SHと圧力比Prに基づいた、膨張機23の最高回転数Nmaxの増減を示す図である。ここで、最低回転数Nminの一定値および最高回転数Nmaxの初期値は、それぞれ所定値に設定することができる。最高回転数Nmaxの「増減」の基準となるのは、ルーチン1回目は予め定められた初期値であり、ルーチン2回目以降は直前のルーチン後における最高回転数Nmaxの値となる。また、図13において、最高回転数Nmaxを増加させた場合の限界値は予め設定されており、最高回転数Nmaxがその限界値を超えないように制御される。さらに、最高回転数Nmaxを低下させた場合の限界値は最低回転数Nminの値(一定値)に設定されており、圧力比Prおよび過熱度SHがともに最低領域(Pr<Pr_min,SH<SH_min)にある場合のみ、最低回転数Nminの値は0であるものとする。
【0106】
図13において、網掛けで示す「変化なし」の部分では、そのときの最高回転数Nmaxの値における過熱度SHおよび圧力比Prの値が適当であって、そのままの最高回転数Nmaxを維持して良いため、増減はなく(増減値=ゼロ)最高回転数Nmaxを変化させないことを意味する。
【0107】
例えば、圧力比Prおよび過熱度SHがともに適正範囲にある領域Q1(Pr_low<Pr<Pr_high,SH_min<SH<SH_low)から、車両条件の変化により、圧力比Prが低下して領域Q2(Pr_min<Pr<Pr_low,SH_min<SH<SH_low)に以降した場合を考える。
【0108】
このとき、圧力比Prが低下したということは、すなわち、出口側圧力Pex_outが大きくなったことを意味する。このとき、これ以上出口側圧力Pex_outが大きくなると過膨張になる虞が生じるため、増減は「低下」(増減値はマイナス値)が選択され、最高回転数Nmaxを低下させるよう制御する。
【0109】
また、例えば、領域Q1から、車両条件の変化により、過熱度SHが低下して領域Q3(Pr_low<Pr<Pr_high,SH<SH_min)に以降した場合を考える。
【0110】
このときには、過熱度SHが適正値以下であるため、増減は「低下」(増減値はマイナス値)が選択され、最高回転数Nmaxを低下させることで過熱度SHを確保するように制御する。
【0111】
さらに、例えば、圧力比Prおよび過熱度SHがともに適正範囲にある領域Q4(Pr_low<Pr<Pr_high,SH>SH_high)から、車両条件の変化により、圧力比Prが上昇して領域Q5(Pr>Pr_high,SH>SH_high)に以降した場合を考える。
【0112】
このとき、圧力比Prおよび過熱度SHはともに適正かつ十分な値であるため、増減は「増加」(増減値はプラス値)が選択され、最高回転数Nmaxを増加させることで、バッテリ33への電気エネルギを効率的に最大限回生できるように(回生量を大きくするように)制御する。
【0113】
上記詳述した本実施形態によれば、例えば、「増加」における増加量を小さく設定しておけば、車両条件の変化によって、圧力比Prおよび過熱度SHの条件が領域Q5に該当するに至った場合において、この条件(Pr>Pr_high,SH>SH_high)が継続する場合に、徐々に回転数(最高回転数Nmax、指示回転数N_id)が増加していくように制御される。
【0114】
このように、増減値の大きさを適度に設定することによって、車両条件(加熱器22への冷却水流入量の増加等)の急激な変化時において、指示回転数N_idをすぐに大きく変化させることなくゆっくりと変化させることができるため、より滑らかで緻密な制御が可能となる。
【0115】
(その他の実施形態)
上記第1実施形態において、低圧側条件としての圧力情報Pは、膨張機23の出口側圧力Pex_outとしたが、これに換えて、例えば、膨張機23の入口側圧力Pex_inと出口側圧力Pex_outとの差圧ΔP(入口側圧力Pex_in−出口側圧力Pex_out)としても良い。この場合、図8で説明した特性図に対して図14に示す特性図を用いることができ、上記第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0116】
上記各実施形態において、ステップS44(図6、図12参照)のバッテリ電圧を考慮する特性図(図9)において、指示回転数N_idの段階的な移行を連続的にしてもよい。この場合、図15に示す特性図を用いることができ、特に、バッテリ電圧値がE_lowとE_highとの間にあるときの指示回転数N_idを連続的にすることで、膨張機23の指示回転数N_idが採り得る値のヴァリエーションが広がり、より緻密な制御を行うことができる。
【0117】
上記各実施形態では、ポンプ21と膨張機23とは同軸駆動されるものとしたが、図16に示すように、同軸駆動ではないタイプ(ポンプ21を専用の電動機(図示略)で駆動するタイプ)として実施しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0118】
【図1】ランキンサイクルを有する廃熱利用装置のシステム全体を示す模式図である。
【図2】第1実施形態のランキンサイクルの作動制御に関するメインフローを示すフローチャートである。
【図3】ランキン稼動判定制御の詳細を説明するフローチャートである。
【図4】ランキン起動制御の詳細を説明するフローチャートである。
【図5】ランキン起動制御に連続して実行されるランキン起動判定制御の詳細を説明するフローチャートである。
【図6】ランキン運転制御の詳細を説明するフローチャートである。
【図7】高圧側条件と回転数(最高回転数、最低回転数)との対応を示す制御特性図である。
【図8】低圧側条件と回転数(最高回転数、最低回転数)との対応を示す制御特性図である。
【図9】バッテリ電圧と指示回転数との対応を示す制御特性図である。
【図10】ランキン停止制御の詳細を説明するフローチャートである。
【図11】ランキン停止判定制御の詳細を説明するフローチャートである。
【図12】第2実施形態における、ランキン運転制御の詳細を説明するフローチャートである。
【図13】過熱度と圧力比に基づいた、膨張機の最高回転数の増減を示す図である。
【図14】別な実施形態における、低圧側条件と回転数(最高回転数、最低回転数)との対応を示す制御特性図である。
【図15】別な実施形態における、バッテリ電圧と指示回転数との対応を示す制御特性図である。
【図16】別な実施形態における、ランキンサイクルを有する廃熱利用装置のシステム全体を示す模式図である。
【符号の説明】
【0119】
1 廃熱利用装置
10 内燃機関
20 ランキンサイクル
21 ポンプ
22 加熱器
23 膨張機
24 凝縮器
32 制御機器(ランキン運転制御手段(S4)、ランキン稼動判定手段(S1)、ランキン起動制御手段(S2)、ランキン起動判定制御手段(S3)、ランキン停止手段(S5)、ランキン停止判定制御手段(S6))
33 バッテリ
206 膨張機温度センサ(温度検出手段)
207 入口側圧力センサ(入口側圧力検出手段)
208 出口側圧力センサ(出口側圧力検出手段)
P 圧力情報
Pex_out 出口側圧力(圧力情報)
ΔP (圧力情報)
Pr 圧力比(圧力情報)
SH 過熱度(過熱度情報)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関(10)の廃熱によってサイクル内の作動流体を加熱器(22)で加熱し、加熱された前記作動流体を膨張機(23)で膨張させて機械的エネルギを回収し、膨張後の前記作動流体を凝縮器(24)で凝縮液化し前記加熱器(22)側へポンプ(21)によって循環するランキンサイクル(20)を有する廃熱利用装置において、
前記膨張機(23)の入口側温度を検出する温度検出手段(206)と、
前記膨張機(23)の入口側圧力(Pex_in)を検出する入口側圧力検出手段(207)と、
前記膨張機(23)の出口側圧力(Pex_out)を検出する出口側圧力検出手段(208)と、
前記温度検出手段(206)から検出される入口側温度と前記入口側圧力検出手段(207)から検出される入口側圧力(Pex_in)とに基づき得られる前記膨張機入口での過熱度情報(SH)と、前記出口側圧力検出手段(208)から得られる出口側圧力(Pex_out)が考慮された圧力情報(P)とに基づいて前記膨張機(23)の指示回転数(N_id)を制御するランキン運転制御手段(32,S4)と
を備えることを特徴とする廃熱利用装置。
【請求項2】
前記ランキン運転制御手段(S4)は、前記指示回転数(N_id)を導出するにあたって、前記過熱度情報(SH)および前記圧力情報(P)に基づいて最高回転数(Nmax)と最低回転数(Nmin)とを設定する最高最低回転数設定ステップ(S41〜S43,S411)を有することを特徴とする請求項1に記載の廃熱利用装置。
【請求項3】
前記圧力情報(P)は、前記出口側圧力(Pex_out)、もしくは、前記入口側圧力(Pex_in)と前記出口側圧力(Pex_out)との差圧(ΔP)であって、
前記最高最低回転数設定ステップ(S41〜S43)では、
前記過熱度情報(SH)に基づいて前記膨張機(23)の第1最高回転数(Nmax1)と第1最低回転数(Nmin1)とを算出するとともに、前記圧力情報(P)に基づいて前記膨張機(23)の第2最高回転数(Nmax2)と第2最低回転数(Nmin2)とを算出し、それぞれの条件から算出された最高回転数同士(Nmax1,Nmax2)および最低回転数同士(Nmin1,Nmin2)を比較し、それぞれ小さい方を前記最高回転数(Nmax)と最低回転数(Nmin)として設定することを特徴とする請求項2に記載の廃熱利用装置。
【請求項4】
前記圧力情報(P)は、前記入口側圧力(Pex_in)と前記出口側圧力(Pex_out)との圧力比Pr(Pr=Pex_in/Pex_out)であり、
前記最高最低回転数設定ステップ(S411)では、
前記最低回転数(Nmin)を予め定めた所定値に設定するとともに、前記最高回転数(Nmax)を、前記膨張機(23)の過熱度情報(SH)と前記圧力比(Pr)とに基づいて予め定められた増減値を加算して設定することを特徴とする請求項2に記載の廃熱利用装置。
【請求項5】
前記増減値は、前記過熱度情報(SH)および前記圧力比(Pr)がともに大きいほど、前記過熱度情報(SH)および前記圧力比(Pr)がともに小さい場合と比較して大きく設定されていることを特徴とする請求項4に記載の廃熱利用装置。
【請求項6】
前記ランキン運転制御手段(S4)は、
前記最高最低回転数設定ステップ(S41〜S43,S411)で設定された前記最高回転数(Nmax)と最低回転数(Nmin)に加え、前記機械的エネルギを電気エネルギに変換して貯蓄するバッテリ(33)のバッテリ電圧に基づいて前記指示回転数(N_id)を決定する指示回転数決定ステップ(S44)を有することを特徴とする請求項2〜請求項5のうちいずれか一項に記載の廃熱利用装置。
【請求項7】
前記ランキン運転制御手段(S4)は、前記膨張機(23)の指示回転数(N_id)がゼロである場合に、所定時間経過した後においても前記指示回転数(N_id)がゼロである場合にのみ、前記膨張機(23)を停止させる制御へ移行させる停止猶予ステップ(S45〜S48)を有することを特徴とする請求項1〜請求項6のうちいずれか一項に記載の廃熱利用装置。
【請求項8】
前記ランキンサイクル(20)の稼動初期において稼動条件を満たしている場合に出力される稼動指示があるか否かを判断するランキン稼動判定制御手段(32,S1)
を備えることを特徴とする請求項1〜請求項7のうちいずれか一項に記載の廃熱利用装置。
【請求項9】
ランキン運転制御手段(S4)により前記膨張機23の指示回転数(N_id)を制御する前段階で、前記ランキンサイクル(20)が正常に起動しているか否かを判断するランキン起動制御手段およびランキン起動判定制御手段(32,S2,S3)
を備えることを特徴とする請求項1〜請求項8のうちいずれか一項に記載の廃熱利用装置。
【請求項10】
前記膨張機(23)を所定の回転数に下げた後に、膨張機(23)の指示回転数(N_id)をゼロに指示するランキン停止制御手段(32,S5)
を備えることを特徴とする請求項1〜請求項9のうちいずれか一項に記載の廃熱利用装置。
【請求項11】
前記ランキンサイクル(20)が正常に停止したか否かを判断するランキン停止判定制御手段(32,S6)
を備えることを特徴とする請求項1〜請求項10のうちいずれか一項に記載の廃熱利用装置。
【請求項1】
内燃機関(10)の廃熱によってサイクル内の作動流体を加熱器(22)で加熱し、加熱された前記作動流体を膨張機(23)で膨張させて機械的エネルギを回収し、膨張後の前記作動流体を凝縮器(24)で凝縮液化し前記加熱器(22)側へポンプ(21)によって循環するランキンサイクル(20)を有する廃熱利用装置において、
前記膨張機(23)の入口側温度を検出する温度検出手段(206)と、
前記膨張機(23)の入口側圧力(Pex_in)を検出する入口側圧力検出手段(207)と、
前記膨張機(23)の出口側圧力(Pex_out)を検出する出口側圧力検出手段(208)と、
前記温度検出手段(206)から検出される入口側温度と前記入口側圧力検出手段(207)から検出される入口側圧力(Pex_in)とに基づき得られる前記膨張機入口での過熱度情報(SH)と、前記出口側圧力検出手段(208)から得られる出口側圧力(Pex_out)が考慮された圧力情報(P)とに基づいて前記膨張機(23)の指示回転数(N_id)を制御するランキン運転制御手段(32,S4)と
を備えることを特徴とする廃熱利用装置。
【請求項2】
前記ランキン運転制御手段(S4)は、前記指示回転数(N_id)を導出するにあたって、前記過熱度情報(SH)および前記圧力情報(P)に基づいて最高回転数(Nmax)と最低回転数(Nmin)とを設定する最高最低回転数設定ステップ(S41〜S43,S411)を有することを特徴とする請求項1に記載の廃熱利用装置。
【請求項3】
前記圧力情報(P)は、前記出口側圧力(Pex_out)、もしくは、前記入口側圧力(Pex_in)と前記出口側圧力(Pex_out)との差圧(ΔP)であって、
前記最高最低回転数設定ステップ(S41〜S43)では、
前記過熱度情報(SH)に基づいて前記膨張機(23)の第1最高回転数(Nmax1)と第1最低回転数(Nmin1)とを算出するとともに、前記圧力情報(P)に基づいて前記膨張機(23)の第2最高回転数(Nmax2)と第2最低回転数(Nmin2)とを算出し、それぞれの条件から算出された最高回転数同士(Nmax1,Nmax2)および最低回転数同士(Nmin1,Nmin2)を比較し、それぞれ小さい方を前記最高回転数(Nmax)と最低回転数(Nmin)として設定することを特徴とする請求項2に記載の廃熱利用装置。
【請求項4】
前記圧力情報(P)は、前記入口側圧力(Pex_in)と前記出口側圧力(Pex_out)との圧力比Pr(Pr=Pex_in/Pex_out)であり、
前記最高最低回転数設定ステップ(S411)では、
前記最低回転数(Nmin)を予め定めた所定値に設定するとともに、前記最高回転数(Nmax)を、前記膨張機(23)の過熱度情報(SH)と前記圧力比(Pr)とに基づいて予め定められた増減値を加算して設定することを特徴とする請求項2に記載の廃熱利用装置。
【請求項5】
前記増減値は、前記過熱度情報(SH)および前記圧力比(Pr)がともに大きいほど、前記過熱度情報(SH)および前記圧力比(Pr)がともに小さい場合と比較して大きく設定されていることを特徴とする請求項4に記載の廃熱利用装置。
【請求項6】
前記ランキン運転制御手段(S4)は、
前記最高最低回転数設定ステップ(S41〜S43,S411)で設定された前記最高回転数(Nmax)と最低回転数(Nmin)に加え、前記機械的エネルギを電気エネルギに変換して貯蓄するバッテリ(33)のバッテリ電圧に基づいて前記指示回転数(N_id)を決定する指示回転数決定ステップ(S44)を有することを特徴とする請求項2〜請求項5のうちいずれか一項に記載の廃熱利用装置。
【請求項7】
前記ランキン運転制御手段(S4)は、前記膨張機(23)の指示回転数(N_id)がゼロである場合に、所定時間経過した後においても前記指示回転数(N_id)がゼロである場合にのみ、前記膨張機(23)を停止させる制御へ移行させる停止猶予ステップ(S45〜S48)を有することを特徴とする請求項1〜請求項6のうちいずれか一項に記載の廃熱利用装置。
【請求項8】
前記ランキンサイクル(20)の稼動初期において稼動条件を満たしている場合に出力される稼動指示があるか否かを判断するランキン稼動判定制御手段(32,S1)
を備えることを特徴とする請求項1〜請求項7のうちいずれか一項に記載の廃熱利用装置。
【請求項9】
ランキン運転制御手段(S4)により前記膨張機23の指示回転数(N_id)を制御する前段階で、前記ランキンサイクル(20)が正常に起動しているか否かを判断するランキン起動制御手段およびランキン起動判定制御手段(32,S2,S3)
を備えることを特徴とする請求項1〜請求項8のうちいずれか一項に記載の廃熱利用装置。
【請求項10】
前記膨張機(23)を所定の回転数に下げた後に、膨張機(23)の指示回転数(N_id)をゼロに指示するランキン停止制御手段(32,S5)
を備えることを特徴とする請求項1〜請求項9のうちいずれか一項に記載の廃熱利用装置。
【請求項11】
前記ランキンサイクル(20)が正常に停止したか否かを判断するランキン停止判定制御手段(32,S6)
を備えることを特徴とする請求項1〜請求項10のうちいずれか一項に記載の廃熱利用装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2009−68459(P2009−68459A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−239962(P2007−239962)
【出願日】平成19年9月14日(2007.9.14)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【出願人】(000004695)株式会社日本自動車部品総合研究所 (1,981)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年9月14日(2007.9.14)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【出願人】(000004695)株式会社日本自動車部品総合研究所 (1,981)
【Fターム(参考)】
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