説明

廃発泡樹脂の減容方法及び装置

【課題】 硬質の廃発泡樹脂であっても未溶解部分の発生を回避して高品質の減容処理を行う。省エネルギ性及び低コスト性、更に、装置全体の耐久性向上及び小型化を図る。
【解決手段】 溶解スクリュ3の先端3fを、テーパ面Ksによりカットするとともに、テーパ面Ksに対向する溶解シリンダ2の内壁面2fを、当該テーパ面Ksに対して所定のクリアランスC1,C2…を有し、かつ先端に排出口2eを有するテーパ面Kcにより形成し、溶解圧縮工程では、廃発泡樹脂R1…同士を擦り合わせることにより、廃発泡樹脂R1…のガラス転移温度を越え、かつ廃発泡樹脂R1…が炭化しない温度の摩擦熱(T1,T2,T3…)を発生させることにより廃発泡樹脂R1…を溶解し、この後、排出口2eから溶解圧縮した廃発泡樹脂R1o…を排出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、破砕された廃発泡樹脂を溶解シリンダに内蔵した溶解スクリュにより溶解する廃発泡樹脂の減容方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、魚介類や野菜の包装容器,商品梱包の緩衝材,建築材料の断熱材等に用いられる発泡樹脂の廃棄物(廃発泡樹脂)をリサイクルする減容装置は知られている。
【0003】
特許文献1には、発泡プラスチック投入ホッパー、該投入ホッパー内の粉砕手段、該投入ホッパーからの粉砕された発泡プラスチックを搬出するスクリューコンベアを有する搬送手段、該搬送手段内の粉砕された発泡プラスチックを加熱するためのスクリューコンベアの所用部位周囲に配設された加熱体、該搬送手段の放出側先端に位置する細断手段、とを有する発泡プラスチックの減容機であって、該搬送手段は、該スクリューコンベアの移送終端部に溜まり部を有しており、該溜まり部には被搬送体を撹拌する回転撹拌部材が装着されている発泡プラスチックの減容機が開示されている。
【0004】
しかし、この減容機は、粉砕した発泡プラスチックを、一般的なプラスチック(発泡させないプラスチック)と同様に加熱体により外部から加熱して溶融化するため、発泡プラスチックの物性が変化したり炭化を招き、発泡プラスチック原料として再生することができず、その再利用のための用途が限られてしまう難点があるとともに、加熱体を付加するため、省エネルギ性の観点やコスト面からも好ましくない。
【0005】
一方、この問題に対処するため、粉砕された発泡樹脂とスクリュー羽根間に発生する摩擦熱を利用して溶融し、発泡スチロール原料として再生するようにした減容装置も特許文献2で知られており、同文献2には、粉砕された発泡スチロールを先細の出口に向かって圧縮移送するスクリュー圧縮機と、粉砕された発泡スチロールとスクリュー羽根間に発生する摩擦熱により加熱される発泡スチロール溶融体の温度を連続的に検出する温度検出装置、温風発生機及び冷風発生機を有し、発泡スチロール溶融体の温度が摂氏160度乃至220度に維持されるように温風発生機と冷風発生機とを切換える温度制御装置とを有する発泡スチロールの溶融処理装置が開示されている。
【特許文献1】特開平5−92428号公報
【特許文献2】特開平11−300743号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述した特許文献2に開示される従来の減容装置(発泡スチロールの溶融処理装置)は、次のような問題点があった。
【0007】
第一に、温風発生機及び冷風発生機を付設して温度制御を行うため、特許文献1と同様に外部から摩擦熱以外のエネルギを付加する点においては同様の構成となる。この場合、特に問題となるのは、建築材料(断熱材)等の硬質の発泡樹脂である。この種の発泡樹脂は難燃性が求められるため、外部から加えた熱では、表面側をある程度溶解できても内部に未溶解部分が残ってしまう傾向があり、高品質の減容処理を行うことができない。加えて、省エネルギ性の観点やコスト面からも不利になるとともに、装置全体の構成も煩雑化するため、耐久性や大型化の観点からも不利になる。
【0008】
第二に、基本的には発泡スチロールを対象とするため、他の発泡樹脂に対する適用は難しく、用途が限定されてしまう。即ち、現在、魚介類や野菜の包装容器或いは商品梱包の緩衝材などに、比較的発泡率の高い軽量な発泡スチロールが多く用いられているが、他方、断熱材やタタミ等の建築材料或いは硬質の発泡樹脂により強度を高めた大型の箱材など、物性値の異なる様々な種類の発泡樹脂が普及するに至っているが、これら各種発泡樹脂に適用することが難しい。
【0009】
本発明は、このような背景技術に存在する課題を解決した廃発泡樹脂の減容方法及び装置の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る廃発泡樹脂の減容方法は、上述した課題を解決するため、廃発泡樹脂R1,R2,R3…を供給する供給工程と、廃発泡樹脂R1…を破砕する破砕工程と、破砕された廃発泡樹脂R1…を溶解シリンダ2に内蔵した溶解スクリュ3により溶解圧縮して排出する溶解圧縮工程とにより、廃発泡樹脂R1…を減容するに際し、溶解スクリュ3の先端3fを、テーパ面Ksによりカットするとともに、テーパ面Ksに対向する溶解シリンダ2の内壁面2fを、当該テーパ面Ksに対して所定のクリアランスC1,C2…を有し、かつ先端に排出口2eを有するテーパ面Kcにより形成し、溶解圧縮工程では、廃発泡樹脂R1…同士を擦り合わせることにより、廃発泡樹脂R1…のガラス転移温度を越え、かつ廃発泡樹脂R1…が炭化しない温度の摩擦熱(T1,T2,T3…)を発生させることにより廃発泡樹脂R1…を溶解し、この後、排出口2eから溶解圧縮した廃発泡樹脂R1o…を排出するようにしたことを特徴とする。
【0011】
一方、本発明に係る廃発泡樹脂の減容装置1は、上述した課題を解決するため、廃発泡樹脂R1,R2,R3…を供給する供給部5と、廃発泡樹脂R1…を破砕する破砕部6と、破砕された廃発泡樹脂R1…を溶解シリンダ2に内蔵した溶解スクリュ3により溶解圧縮して排出する溶解圧縮部7とを備える減容装置1であって、特に、溶解圧縮部7を、先端3fをテーパ面Ksによりカットした溶解スクリュ3と、テーパ面Ksに対向する内壁面2fを、当該テーパ面Ksに対して所定のクリアランスC1,C2…を有し、かつ先端に排出口2eを有するテーパ面Kcにより形成した溶解シリンダ2とを備えて構成するとともに、廃発泡樹脂R1…同士を擦り合わせることにより、廃発泡樹脂R1…のガラス転移温度を越え、かつ廃発泡樹脂R1…が炭化しない温度の摩擦熱(T1,T2,T3…)を発生させることにより廃発泡樹脂R1…を溶解し、この後、排出口2eから溶解圧縮した廃発泡樹脂R1o…を排出可能となるように溶解スクリュ3を回転駆動するスクリュ回転駆動部8を備えることを特徴とする。
【0012】
この場合、発明の好適な態様により、所定のクリアランスC1,C2…を廃発泡樹脂R1,R2…の種類に対応して異なる大きさに設定するクリアランス設定手段11を設け、廃発泡樹脂R1,R2…の種類に対応して異なるクリアランスC1,C2…を設定することができる。なお、このクリアランス設定手段11は、溶解シリンダ2を、シリンダ本体部2mとシリンダヘッド部2hの組合わせにより構成し、シリンダ本体部2mにシリンダヘッド部2hを結合する際に、シリンダ本体部2mとシリンダヘッド部2h間に一又は二以上の調節セパレータSp…を介在させることによりクリアランスC1,C2…を設定することができる。また、溶解圧縮部7に備える溶解スクリュ3は、単一のスクリュのみで構成することができる。さらに、スクリュ回転駆動部8は、溶解スクリュ3におけるテーパ面Ksによりカットした先端3fに対して反対側の後端部3rを回転駆動することができる。破砕部6は、前段に設けることにより、投入された廃発泡樹脂R1…を複数の回転刃B…を有する回転刃ユニット12u…により粗破砕する破砕前段部12と、後段に設けることにより、破砕前段部12により粗破砕された廃発泡樹脂R1…を複数の回転刃B…を有する回転刃ユニット13u…により微破砕する破砕後段部13を備えて構成することができる。
【発明の効果】
【0013】
このような本発明に係る廃発泡樹脂の減容方法及び装置1によれば、次のような顕著な効果を奏する。
【0014】
(1) 溶解スクリュ3の先端3fを、テーパ面Ksによりカットするとともに、テーパ面Ksに対向する溶解シリンダ2の内壁面2fを、当該テーパ面Ksに対して所定のクリアランスC1,C2…を有し、かつ先端に排出口2eを有するテーパ面Kcにより形成し、溶解圧縮工程では、廃発泡樹脂R1…同士を擦り合わせることにより、廃発泡樹脂R1…のガラス転移温度を越え、かつ廃発泡樹脂R1…が炭化しない温度の摩擦熱(T1,T2,T3…)を発生させることにより廃発泡樹脂R1…を溶解し、この後、排出口2eから溶解圧縮した廃発泡樹脂R1o…を排出するため、摩擦熱のみで廃発泡樹脂R1…に対する溶解を良好に行うことができる。したがって、建築材料(断熱材)などの硬質の廃発泡樹脂R1…であっても、未溶解部分の発生を回避することができ、高品質の減容処理を行うことができる。
【0015】
(2) 摩擦熱のみで廃発泡樹脂R1…の溶解を行うことができるため、摩擦熱以外のエネルギを付加するための外部に設ける加熱体や温風発生機等の機器が不要になる。したがって、省エネルギ性及び低コスト性を高めることができるとともに、構成の簡易化により、装置全体の耐久性向上及び小型化に寄与できる。
【0016】
(3) 好適な態様により、所定のクリアランスC1,C2…を廃発泡樹脂R1,R2…の種類に対応して異なる大きさに設定するクリアランス設定手段11を設け、廃発泡樹脂R1,R2…の種類に対応して異なるクリアランスC1,C2…を設定すれば、断熱材やタタミ等の建築材料或いは硬質の廃発泡樹脂R1…により強度を高めた箱材など、物性値の異なる様々な種類の廃発泡樹脂R1…に適用可能となるため、汎用性を高めることができる。
【0017】
(4) 好適な態様により、クリアランス設定手段11を、溶解シリンダ2を、シリンダ本体部2mとシリンダヘッド部2hの組合わせにより構成し、シリンダ本体部2mにシリンダヘッド部2hを結合する際に、シリンダ本体部2mとシリンダヘッド部2h間に一又は二以上の調節セパレータSp…を介在させることによりクリアランスC1,C2…を設定するようにすれば、異なる大きさのクリアランスC1,C2…を容易に設定することができる。
【0018】
(5) 好適な態様により、溶解圧縮部7に備える溶解スクリュ3を、単一のスクリュのみで構成すれば、廃発泡樹脂R1,R2…のスムースな移動を実現できるため、廃発泡樹脂R1,R2…の良好な溶解及び圧縮処理、更には溶解圧縮した廃発泡樹脂R1o…のスムースな排出処理を実現できるとともに、溶解圧縮部7の構成簡略化及び小型化に寄与できる。
【0019】
(6) 好適な態様により、溶解スクリュ3におけるテーパ面Ksによりカットした先端3fに対して反対側の後端部3rを回転駆動するスクリュ回転駆動部8を設ければ、溶解スクリュ3を単一のスクリュのみで構成したことと併せて、更なる構成の簡略化及び小型化に寄与できる。
【0020】
(7) 好適な態様により、破砕部6を、前段に設けることにより、投入された廃発泡樹脂R1…を複数の回転刃B…を有する回転刃ユニット12u…により粗破砕する破砕前段部12と、後段に設けることにより、破砕前段部12により粗破砕された廃発泡樹脂R1…を複数の回転刃B…を有する回転刃ユニット13u…により微破砕する破砕後段部13を設けて構成すれば、物性値の異なる様々な種類の廃発泡樹脂R1…に対して、均一性等に優れた良好な破砕を行うことができるとともに、次段の溶解圧縮処理を良好に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
次に、本発明に係る最良の実施形態を挙げ、図面に基づき詳細に説明する。
【0022】
まず、本実施形態に係る減容装置1の構成について、図1〜図5を参照して具体的に説明する。
【0023】
減容装置1は、全体を覆うケーシング21を備え、このケーシング21の底面には複数のキャスタ22…を備える。また、ケーシング21の上面には供給部5を設ける。この供給部5から内部に廃発泡樹脂R1,R2,R3…を供給することができる。供給部5は、ケーシング21の上面に形成した開口部21iを有するとともに、この開口部21iを覆うフード23を備える。フード23は、開口部21iの上方を覆うとともに、図3に示すように、前面に当該開口部21iに連通する投入口23iを有する。この投入口23iには、下端を投入口23iの下端に回動自在に取付けた開閉カバー24を付設する。開閉カバー24は、前面に把手24cを有するとともに、左右には側面パネル24p,24qを一体に有する。したがって、開閉カバー24を上方へ回動変位させ、略鉛直状態に位置させれば、図3に実線で示すように、投入口23iを全閉することができるとともに、開閉カバー24を下方へ略90゜回動変位させ、略水平状態に位置させれば、図3に仮想線で示すように、投入口23iを全開放し、かつ開閉カバー24を投入時のガイドテーブルとして利用することができる。
【0024】
一方、ケーシング21の内部には破砕部6を設ける。破砕部6は、ケーシング21の内部における上部側の空間に配したインナパネルユニット26を備え、このインナパネルユニット26の内側に、図2に示すように、側面視がU形状(又はV形状)となる破砕処理室Acを設ける。インナパネルユニット26の上端開口Aciは開口部21iに接続するとともに、このインナパネルユニット26は、下部に、後述する溶解圧縮部7における溶解シリンダ2の連通口2iが臨む他は全体を密閉状に構成する。そして、破砕処理室Acの内部には、図1及び図2に示すように、上段(前段)に、投入された廃発泡樹脂R1…を複数の回転刃B…を有する回転刃ユニット12u…により粗破砕する破砕前段部12を設けるとともに、下段(後段)に、破砕前段部12により粗破砕された廃発泡樹脂R1…を複数の回転刃B…を有する回転刃ユニット13u…により微破砕する破砕後段部13を設ける。このように、破砕部6を構成するに際し、粗破砕する破砕前段部12と微破砕する破砕後段部13を設ければ、物性値の異なる様々な種類の廃発泡樹脂R1…に対して、均一性等に優れた良好な破砕を行うことができるとともに、次段の溶解圧縮処理を良好に行うことができる。
【0025】
破砕前段部12は、前後に離間して並んだ一対の回転刃ユニット12u,12uを備える。一方の回転刃ユニット12uは、インナパネルユニット26の側面部に設けた左右一対のベアリング31p,31qにより回動自在に支持されるシャフト部32と、このシャフト部32に固定した複数の回転刃B…を有する。この場合、各回転刃B…は、図1に示すように、シャフト部32の軸方向へ一定間隔置きに配するとともに、図2に示すように、シャフト部32の放射方向に突出させ、かつ周方向に90゜間隔となる四方向に配する。なお、他方の回転刃ユニット12uも同様に構成する。
【0026】
破砕後段部13は、前後に離間して並んだ一対の回転刃ユニット13u,13uと、この回転刃ユニット13u,13uの下方に配した一つの回転刃ユニット13uの、計三つの回転刃ユニット13u…を備える。一つの回転刃ユニット13uは、インナパネルユニット26の側面部に設けた左右一対のベアリング33p,33qにより回動自在に支持されるシャフト部34と、このシャフト部34に固定した複数の回転刃B…を有する。この場合、各回転刃B…は、図1に示すように、シャフト部34の軸方向へ一定間隔置きに配するとともに、図2に示すように、シャフト部34の放射方向に突出させ、かつ周方向に90゜間隔となる四方向に配する。他の二つの回転刃ユニット13u,13uも同様に構成できるが、例示の場合、最下部に位置する一つの回転刃ユニット13uは、溶解シリンダ2の連通口2iに、微破砕した廃発泡樹脂R1…を供給する機能を兼ねるため、回転刃B…の形状を掬いやすい形状とするなど、他の回転刃ユニット12u…,13u…の回転刃B…の形状とは異ならせている。なお、各回転刃ユニット12u…,13u…における回転刃B…の形状は同一であるが必要により異ならせてもよい。
【0027】
また、各シャフト部32…,34…の一端部には、チェーンギア41…,42…を取付けるとともに、インナパネルユニット26の側面部に、三つのガイドギア43…を配設する。さらに、ケーシング21の底面には、破砕用駆動モータ45を設置し、モータシャフト45sには駆動ギア46を取付ける。そして、各チェーンギア41…,42…、ガイドギア43…、駆動ギア46は、図2に示すように、五つの無端チェーン47…を用いて接続する。これにより、破砕用駆動モータ45を回転駆動すれば、五つの回転刃ユニット12u…,13u…を同時に回転させることができる。図2中、点線矢印F…は回転方向を示している。各回転刃ユニット12u…,13u…の回転方向及び位置関係、或いは回転刃B…の数量及び位置関係などは、投入口23iから投入される廃発泡樹脂R1,R2,R3…を効率的かつ均一に破砕できるように任意に設定できる。したがって、例示の形態に限定されるものではない。
【0028】
他方、ケーシング21の内部であって、下部側の空間には、破砕された廃発泡樹脂R1…を溶解シリンダ2に内蔵した溶解スクリュ3により溶解圧縮して排出する溶解圧縮部7を配設するとともに、溶解スクリュ3を回転駆動するスクリュ回転駆動部8を配設する。溶解シリンダ2は、円筒形に形成したシリンダ本体2mと、このシリンダ本体2mの先端に着脱可能なシリンダヘッド2hの組合わせにより構成する。このシリンダ本体2mは、インナパネルユニット26の下部面に形成した開口に付設し、シリンダ本体2mの上部一部に形成した連通口2iを破砕処理室Acの内部に臨ませる。これにより、連通口2iを通して破砕処理室Acの内部と溶解シリンダ2の内部が連通する。なお、この連通口2iには、図示しない可動シャッタを付設し、連通口2iの開口面積を任意に設定できるように構成してもよい。このように構成すれば、廃発泡樹脂R1,R2,R3…の種類に対応して溶解シリンダ2に供給する廃発泡樹脂R1,R2,R3…の単位時間当たりの供給量を変更できる。
【0029】
溶解スクリュ3は、スクリュシャフト部3sと、このスクリュシャフト部3sの外周面に螺旋状に一体形成したスクリュフライト部3xを有する。なお、スクリュフライト部3xのピッチは、例えば、前側を狭くするなどの形態により実施してもよいが、本実施形態のように、一定のピッチであっても十分に実用可能である。本実施形態の溶解圧縮部7に用いる溶解スクリュ3は単一のスクリュのみで構成する。したがって、後述する排出口2eまでの樹脂通路は、単純な直線経路となる。溶解スクリュ3を、このような単一のスクリュのみで構成すれば、廃発泡樹脂R1,R2…のスムースな移動を実現できるため、廃発泡樹脂R1,R2…の良好な溶解及び圧縮処理、更には溶解圧縮した廃発泡樹脂R1o…のスムースな排出処理を実現できるとともに、溶解圧縮部7の構成簡略化及び小型化に寄与できる。
【0030】
また、溶解スクリュ3の後端部3rには、スクリュ回転駆動部8を接続する。この場合、溶解スクリュ3は、後端部3rのみを支持する片持支持となるが、後端部3r側における離間した二位置を、溶解シリンダ2の内部に配した一対のベアリング52f,52rを有するスクリュ支持機構51により回動自在に支持することにより支持強度を確保している。この後端部3rの最端部には被駆動ギア53を取付ける。さらに、ケーシング21の底面には、スクリュ用駆動モータ54を設置し、モータシャフト54sには駆動ギア55を取付ける。そして、この駆動ギア55と被駆動ギア53間に無端チェーン56を架け渡すことにより、スクリュ回転駆動部8を構成する。なお、このスクリュ回転駆動部8には、スクリュ用駆動モータ54を駆動制御する図2に示すコントローラ8cが含まれるとともに、前述した破砕用駆動モータ45もこのコントローラ8cにより駆動制御される。このような、溶解スクリュ3を片持支持するスクリュ回転駆動部8を用いれば、溶解スクリュ3を単一のスクリュのみで構成したことと併せて、更なる構成の簡略化及び小型化に寄与できる。
【0031】
一方、溶解スクリュ3は、先端3fを(仮想の)テーパ面Ksによりカットした形状に形成する。即ち、スクリュフライト部3xを有するスクリュシャフト部3sに対して、任意の位置をテーパ面Ksによりカットした形状に形成する。また、シリンダヘッド2hは、図4(a),(b)に示すように、内部に、当該テーパ面Ksに対向する内壁面2fを有し、この内壁面2fは、テーパ面Ksに対向、望ましくは平行に対向するテーパ面Kcにより形成する。テーパ面Kcは円錐形となるため、この先端に外部に貫通する排出口2eを設ける。さらに、シリンダヘッド2hの後端にはヘッドフランジ部2hfを一体に形成するとともに、シリンダ本体2mの前端には、ヘッドフランジ部2hfに対向する本体フランジ部2mfを一体に形成する。これにより、本体フランジ部2mfに設けた複数のボルト挿通孔2mo…とヘッドフランジ部2hfに設けた複数のボルト挿通孔2ho…間に、それぞれボルト62…を挿通させるとともに、各ボルト62…にナット63…を螺着すれば、シリンダヘッド2hとシリンダ本体2mを結合することができる。また、各ボルト62…とナット63…の螺着を解除すれば、シリンダ本体2mとシリンダヘッド2hを分離することができる。なお、テーパ面KsとKcは平行面であることが望ましいが、必ずしも平行面でなくてもよく、必要に応じて若干異ならせることも可能である。
【0032】
ところで、この場合、シリンダ本体2mとシリンダヘッド2hを結合した際は、溶解スクリュ3の先端3f(テーパ面Ks)とシリンダヘッド2hのテーパ面Kc(内壁面2f)間には、一定のクリアランスC1が生じるが、このクリアランスC1の大きさは重要である。このため、溶解シリンダ2には、クリアランスC1の大きさを設定するクリアランス設定手段11を備えている。したがって、このクリアランス設定手段11の機能により、溶解シリンダ2に対するシリンダヘッド2hの軸方向における結合位置(クリアランスC1…)を調節することができる。具体的には、図5(b)に示すように、ヘッドフランジ部2hf(本体フランジ部2mf)とほぼ同一面を有するリング形に形成した調節セパレータSp…を複数枚用いる。例示の調節セパレータSp…は厚さが1〔mm〕であり、予め複数枚用意する。なお、この調節セパレータSp…にも上述したボルト挿通孔2ho…に対応するボルト挿通孔Spo…が形成されている。
【0033】
これにより、シリンダ本体2mにシリンダヘッド2hを結合する際に、選択した枚数の調節セパレータSp…をヘッドフランジ部2hfと本体フランジ部2mf間に介在させれば、シリンダ本体2mに対するシリンダヘッド2hの軸方向における装着位置、即ち、溶解スクリュ3の先端3f(テーパ面Ks)とシリンダヘッド2hのテーパ面Ks(内壁面2f)間における異なる大きさのクリアランスC1,C2…を設定することができる。このため、ボルト62…は、調節セパレータSp…の使用が想定される最大枚数に対応する長さを確保する。このクリアランスC1,C2…の大きさは、廃発泡樹脂R1,R2…の種類に対応して設定することができる。
【0034】
このようなクリアランス設定手段11を設ければ、廃発泡樹脂R1,R2…の種類に対応して異なるクリアランスC1,C2…を設定できるため、断熱材やタタミ等の建築材料或いは硬質の廃発泡樹脂R1…により強度を高めた箱材など、物性値の異なる様々な種類の廃発泡樹脂R1…に適用可能となり、汎用性を高めることができる。特に、クリアランス設定手段11として、シリンダ本体部2mとシリンダヘッド部2h間に介在させる一又は二以上の調節セパレータSp…を用いれば、異なる大きさのクリアランスC1,C2…を容易に設定できる利点がある。なお、クリアランス設定手段11としては、他の手段、例えば、異なる複数のシリンダヘッド2h…を用意し、このシリンダヘッド2h…の交換により行うこともでき、このような複数のシリンダヘッド2h…を選択する場合には、必要により、排出口2eの内径を変更したり、内壁面2fの角度を変更してもよい。
【0035】
次に、本実施形態に係る減容方法を含む減容装置1の動作(使用方法)について、図1〜図8を参照して説明する。
【0036】
まず、溶解圧縮部7は、溶解スクリュ3の回転により廃発泡樹脂R1…同士を擦り合わせ、これにより発生する摩擦熱により廃発泡樹脂R1…を溶解する機能を備えるため、この際に発生する摩擦熱が、廃発泡樹脂R1…のガラス転移温度を越え、かつ廃発泡樹脂R1…が炭化しない温度となる溶解処理条件を設定する。この溶解処理条件は、廃発泡樹脂R1,R2,R3…の種類により異なるため、各廃発泡樹脂R1,R2,R3…毎に発生させる摩擦熱、即ち、対応する発熱温度T1…を生じさせる条件を設定する。発生する摩擦熱を変える方法としては様々な方法があるが、比較的容易で確実な方法としてはスクリュ用駆動モータ54の回転数〔rpm〕を変えればよい。本実施形態では、スクリュ用駆動モータ54の回転数を変える方法を例示する。この場合、溶解スクリュ3の回転数が大きくなれば発熱温度(摩擦熱)T1…が高くなり、小さくなれば発熱温度T1…が低くなるため、予め実験(試験運転)等を行うことにより、減容処理を行う各廃発泡樹脂R1…毎に、上述した溶解処理条件を満たすスクリュ用駆動モータ54の回転数をコントローラ8cに設定する。なお、発熱温度を検出する温度センサを付設し、予め設定した目標温度となるようにフィードバック制御することも可能であるが、本実施形態に係る減容装置1では、予め設定した回転数により運転するのみでも十分な効果を得ることができる。
【0037】
一方、クリアランス設定手段11により、溶解スクリュ3の先端3f(テーパ面Ks)とシリンダヘッド2hのテーパ面Kc(内壁面2f)間におけるクリアランスC1,C2…の大きさを、減容処理を行う廃発泡樹脂R1,R2…の種類毎に設定する。この場合、商品梱包の緩衝材等に用いられる一般的な発泡スチロール、即ち、比較的軽量となる発泡性の高い廃発泡樹脂R1…では、クリアランスC1…を小さく(狭く)設定できるとともに、建築材料として用いられる断熱材等のように、硬質の廃発泡樹脂R1…では、クリアランスC1…を大きく(広く)設定できる。この設定は、予め実験(試験運転)等を行うことにより設定できる。クリアランスC1…を設定する場合には、前述したように、調節セパレータSp…を複数枚用意し、図5(b)に示すように、シリンダ本体2mにシリンダヘッド2hを結合する際に、選択した枚数の調節セパレータSp…をヘッドフランジ部2hfと本体フランジ部2mf間に介在させればよい。図5(b)は、二枚の調節セパレータSp…を介在させることによりクリアランスC3を設定した場合を示すとともに、図5(a)は、調節セパレータSp…を介在させない最小のクリアランスC1を設定する場合を示す。
【0038】
図6は、以上説明した条件設定、即ち、廃発泡樹脂R1,R2,R3…の種類毎に、スクリュ用駆動モータ54の回転数(発熱温度T1,T2,T3…)を選定するとともに、クリアランスC1,C2.C3…を選定する際の概要を図式化したものである。したがって、実際に減容装置1を稼動させる際には、減容処理を行う廃発泡樹脂R1,R2,R3…の種類に対応して、スクリュ用駆動モータ54の回転数(発熱温度T1,T2,T3…)をコントローラ8cの選択スイッチ等により選択するとともに、調節セパレータSp…の設定枚数に従ってクリアランスC1,C2.C3…の設定を行えばよい。なお、廃発泡樹脂R1,R2,R3…としては、魚介類や野菜の包装容器をはじめ、商品梱包の緩衝材、建築材料の断熱材等に用いられる廃発泡樹脂、具体的にはポリプロピレン,ポリエチレン,ポリスチレン等の廃発泡樹脂全般を対象とすることができる。
【0039】
他方、減容装置1の具体的な使用方法(動作)は次のようになる。まず、魚介類や野菜の包装容器に用いる発泡スチロール(ポリスチレン)の廃発泡樹脂R1を減容処理する場合について説明する。
【0040】
最初に、廃発泡樹脂R1に対応したスクリュ用駆動モータ54の回転数(発熱温度T1)及びクリアランスC1を設定する。次いで、不図示の運転スイッチをONにすれば、スクリュ用駆動モータ54が作動し、溶解スクリュ3が回転するとともに、破砕用駆動モータ45が作動し、五つの回転刃ユニット12u…,13u…が、図2中、点線矢印F…方向に同時に回転する。また、図7に示すように、把手24cを引き、開閉カバー24を略水平状態に位置させれば、投入口23iが全開放される。
【0041】
そして、用意した廃発泡樹脂R1を投入口23iに投入する。この工程が廃発泡樹脂R1を供給する供給工程となる。供給された廃発泡樹脂R1は、開口部21iを通して破砕処理室Acに供給され、破砕部6による破砕工程が行われる。破砕工程では、まず、上段(前段)に設けた破砕前段部12により粗破砕が行われる。即ち、一対の回転刃ユニット12u…における各回転刃B…が相互に反対方向に回転することにより廃発泡樹脂R1が粗破砕される。次いで、粗破砕された廃発泡樹脂R1は、下段(後段)に設けた破砕後段部13により微破砕が行われる。即ち、一対の回転刃ユニット13u…における各回転刃B…が相互に反対方向に回転することにより、粗破砕された廃発泡樹脂R1が更に微破砕される。
【0042】
一方、微破砕された廃発泡樹脂R1は、最下部に位置する回転刃ユニット13uにより、連通口2iを通して溶解シリンダ2の内部に供給され、溶解圧縮部7による溶解圧縮工程が行われる。溶解シリンダ2の内部では溶解スクリュ3が回転し、廃発泡樹脂R1同士を擦り合わせる。これにより、摩擦熱が発生するため、この摩擦熱により廃発泡樹脂R1が溶解する。また、排出口2eの大きさが限られるため、溶解した廃発泡樹脂R1oは圧縮されつつ排出口2eまで移送され、図7に示すように、排出口2eを通して外部に排出される。なお、溶解は、廃発泡樹脂R1のガラス転移温度を越え、かつ廃発泡樹脂R1が炭化しない温度による摩擦熱により行われる。他方、排出口2eから外部に排出される溶解した廃発泡樹脂R1oは、粘土状となる。したがって、排出口2eの下方に、型箱100をセットすれば、排出された廃発泡樹脂R1oは、型箱100内に収容される。この際、型箱100に収容された廃発泡樹脂R1oに対しては、必要により上から押圧等を行えばよい。そして、型箱100内に収容された廃発泡樹脂R1oは、冷却によりある程度硬化するため、硬化した廃発泡樹脂R1oを型箱100から取出せば、図8に示すブロック状に再生した発泡スチロール原料Rが得られる。
【0043】
次に、建築材料(断熱材)等に用いられる硬質の廃発泡樹脂R2を減容処理する場合について説明する。
【0044】
この場合、上述した廃発泡樹脂R1の場合と同様に、最初に、廃発泡樹脂R2に対応したスクリュ用駆動モータ54の回転数(例えば、発熱温度T2)及びクリアランスC2を設定する。そして、供給工程により、用意した廃発泡樹脂R2を投入口23iに投入する。これにより、廃発泡樹脂R2は、廃発泡樹脂R1の場合と同様に、粉砕工程、溶解圧縮工程を経て、溶解した廃発泡樹脂R2oが排出口2eから排出される。
【0045】
ところで、建築材料(断熱材)等に用いられる硬質の廃発泡樹脂R2は、硬質故に溶解した際の粘性も高くなる。このため、溶解処理,圧縮処理,排出処理を行う樹脂通路が屈曲していたり、長い場合には、スクリュ用駆動モータ54に対する負荷が大きくなり、スクリュ用駆動モータ54の回転速度が低下するなど、各処理が良好に行われなかったり、処理不能になる虞れもある。しかし、本実施形態に係る減容装置1では、溶解処理から排出処理に至るまでの樹脂通路が単純な直線経路となるため、硬質の廃発泡樹脂R2であって、溶解時に粘性の高い廃発泡樹脂R2であっても、溶解処理,圧縮処理及び排出処理の各処理を円滑に行うことができる。また、廃発泡樹脂R2に適する発熱温度(摩擦熱)T2及びクリアランスC2が設定されるため、従来、望ましい減容化が困難であった廃発泡樹脂R2に対する良好な減容化を可能にする。さらに、円筒形のシリンダ本体2mから排出口2e間にはテーパ面Kc(Ks)が形成されるため、溶解時に粘性の高い廃発泡樹脂R2であっても、滞留等の発生しない円滑な排出処理を行うことができる。
【0046】
よって、このような本実施形態に係る減容方法及び減容装置1によれば、溶解スクリュ3の先端3fを、テーパ面Ksによりカットするとともに、テーパ面Ksに対向する溶解シリンダ2の内壁面2fを、当該テーパ面Ksに対して所定のクリアランスC1,C2…を有し、かつ先端に排出口2eを有するテーパ面Kcにより形成し、溶解圧縮工程では、廃発泡樹脂R1…同士を擦り合わせることにより、廃発泡樹脂R1…のガラス転移温度を越え、かつ廃発泡樹脂R1…が炭化しない温度の摩擦熱(T1,T2,T3…)を発生させることにより廃発泡樹脂R1…を溶解し、この後、排出口2eから溶解圧縮した廃発泡樹脂R1o…を排出するようにしたため、摩擦熱のみで廃発泡樹脂R1…に対する溶解を良好に行うことができる。したがって、建築材料(断熱材)などの硬質の発泡樹脂R1…であっても、未溶解部分の発生を回避することができ、高品質の減容処理を行うことができる。また、摩擦熱のみで廃発泡樹脂R1…の溶解を行うことができるため、摩擦熱以外のエネルギを付加するための外部に設ける加熱体や温風発生機等の機器が不要になる。したがって、省エネルギ性及び低コスト性を高めることができるとともに、構成の簡易化により、装置全体の耐久性向上及び小型化に寄与できる。
【0047】
以上、最良の実施形態について詳細に説明したが、本発明は、このような実施形態に限定されるものではなく、細部の構成,形状,素材,数量,数値,手法等において、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更,追加,削除することができる。例えば、本発明に係る減容装置1は、本実施形態のような単独の専用装置として構成してもよいし、成形機等の他の機械の一部として当該成形機等に内蔵(搭載)させてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の最良の実施形態に係る減容装置の一部を示す正面断面図、
【図2】同減容装置の一部を示す側面断面図、
【図3】同減容装置の上部一部を示す外観斜視図、
【図4】同減容装置に用いるシリンダヘッドを示し、(a)は正面断面図、(b)は側面図、
【図5】同減容装置に用いる溶解シリンダ,溶解スクリュ及びクリアランス設定手段を示し、(a)は調節セパレータの未使用状態における模式的断面図、(b)調節セパレータの使用状態における模式的断面図、
【図6】同減容装置において廃発泡樹脂の種類毎に条件設定する際の概要を図式化した説明図、
【図7】同減容装置の使用状態を示す側面図、
【図8】同減容装置により再生した発泡スチロール原料の一部を示す斜視図、
【符号の説明】
【0049】
1:減容装置,2:溶解シリンダ,2f:溶解シリンダの内壁面,2e:排出口,2m:シリンダ本体部,2h:シリンダヘッド部,3:溶解スクリュ,3f:溶解スクリュの先端,3r:溶解スクリュの後端部,5:供給部,6:破砕部,7:溶解圧縮部,8:スクリュ回転駆動部,11:クリアランス設定手段,12:破砕前段部,12u…:回転刃ユニット,13:破砕後段部,13u…:回転刃ユニット,R1,R2,R3…:廃発泡樹脂,Ks:テーパ面,Kc:テーパ面,C1,C2…:クリアランス,R1o…:廃発泡樹脂,Sp…:調節セパレータ,B…:回転刃

【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃発泡樹脂を供給する供給工程と、前記廃発泡樹脂を破砕する破砕工程と、破砕された前記廃発泡樹脂を溶解シリンダに内蔵した溶解スクリュにより溶解圧縮して排出する溶解圧縮工程とを有する廃発泡樹脂の減容方法において、前記溶解スクリュの先端を、テーパ面によりカットするとともに、前記テーパ面に対向する前記溶解シリンダの内壁面を、当該テーパ面に対して所定のクリアランスを有し、かつ先端に排出口を有するテーパ面により形成し、前記溶解圧縮工程では、前記廃発泡樹脂同士を擦り合わせることにより、前記廃発泡樹脂のガラス転移温度を越え、かつ前記廃発泡樹脂が炭化しない温度の摩擦熱を発生させることにより前記廃発泡樹脂を溶解し、この後、前記排出口から溶解圧縮した廃発泡樹脂を排出することを特徴とする廃発泡樹脂の減容方法。
【請求項2】
前記所定のクリアランスは、前記廃発泡樹脂の種類に対応して異なる大きさに設定することを特徴とする請求項1記載の廃発泡樹脂の減容方法。
【請求項3】
廃発泡樹脂を供給する供給部と、前記廃発泡樹脂を破砕する破砕部と、破砕された前記廃発泡樹脂を溶解シリンダに内蔵した溶解スクリュにより溶解圧縮して排出する溶解圧縮部とを備える廃発泡樹脂の減容装置において、前記溶解圧縮部を、先端をテーパ面によりカットした溶解スクリュと、前記テーパ面に対向する内壁面を、当該テーパ面に対して所定のクリアランスを有し、かつ先端に排出口を有するテーパ面により形成した溶解シリンダとを備えて構成するとともに、前記廃発泡樹脂同士を擦り合わせることにより、前記廃発泡樹脂のガラス転移温度を越え、かつ前記廃発泡樹脂が炭化しない温度の摩擦熱を発生させることにより前記廃発泡樹脂を溶解し、この後、前記排出口から溶解圧縮した廃発泡樹脂を排出可能となるように前記溶解スクリュを回転駆動するスクリュ回転駆動部を備えることを特徴とする廃発泡樹脂の減容装置。
【請求項4】
前記所定のクリアランスを前記廃発泡樹脂の種類に対応して異なる大きさに設定するクリアランス設定手段を備えることを特徴とする請求項3記載の廃発泡樹脂の減容装置。
【請求項5】
前記クリアランス設定手段は、前記溶解シリンダを、シリンダ本体部とシリンダヘッド部の組合わせにより構成し、前記シリンダ本体部に前記シリンダヘッド部を結合する際に、前記シリンダ本体部と前記シリンダヘッド部間に一又は二以上の調節セパレータを介在させることにより前記クリアランスを設定することを特徴とする請求項4記載の廃発泡樹脂の減容装置。
【請求項6】
前記溶解圧縮部に備える溶解スクリュは、単一のスクリュのみで構成することを特徴とする請求項3,4又は5記載の廃発泡樹脂の減容装置。
【請求項7】
前記スクリュ回転駆動部は、前記溶解スクリュにおけるテーパ面によりカットした前記先端に対して反対側の後端部を回転駆動することを特徴とする請求項3〜6のいずれかに記載の廃発泡樹脂の減容装置。
【請求項8】
前記破砕部は、前段に設けることにより、投入された廃発泡樹脂を複数の回転刃を有する回転刃ユニットにより粗破砕する破砕前段部と、後段に設けることにより、前記破砕前段部により粗破砕された廃発泡樹脂を複数の回転刃を有する回転刃ユニットにより微破砕する破砕後段部を備えることを特徴とする請求項3〜7のいずれかに記載の廃発泡樹脂の減容装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−274316(P2009−274316A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−127252(P2008−127252)
【出願日】平成20年5月14日(2008.5.14)
【出願人】(508144510)
【Fターム(参考)】