説明

延伸可能なTFEコポリマー、その生産方法及びその多孔性延伸物品

微粉タイプの真性テトラフルオロエチレン(TFE)コポリマーの重合方法が提供され、そのコポリマーは、少なくとも1.0質量パーセント又は1.0質量パーセント超の濃度で、TFE以外の少なくとも1つのコモノマーの重合コモノマーユニットを含有する。そしてその重合コモノマーユニットの濃度は5.0質量パーセントを超えてもよい。そのコポリマーは延伸可能であり、すなわち、そのコポリマーは、フィブリルによって相互連結されるノードの微細構造を有する、強くて、有用である延伸TFEコポリマー物品を生産するために延伸されてよい。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明はフルオロコポリマーに関し、そのフルオロコポリマーは、本明細書において定義されるように、テトラフルオロエチレンモノマーユニット及び少なくとも1.0質量%又は1.0質量%超の少なくとも1つの他のコモノマーユニットを含有する任意のフルオロポリマーを意味し、(例えば、Fluoroplastics -VoI1,Non-melt Processible Fluoroplastics,Williams Andrew,Inc.,Norwich,NY、ページ19 (2000)を参照されたい。また、ISO12086を参照されたい。)、微粉タイプの延伸可能なテトラフルオロエチレンコポリマーを生産するために重合される。これらのモノマーの重合方法は述べられ、更に、前述のコポリマーを延伸する(制御された条件で伸張する)ことによって生産される多孔性生産物もまた述べられる。
【0002】
テトラフルオロエチレン(TFE)モノマーの分散重合技術は公知である。TFEの分散重合は「微粉」として知られるようになった樹脂を生産する。例えば、米国特許4,016,345号(Holmes,1977)を参照されたい。そのような方法において、一般的には、適切な重合開始剤の存在下でテトラフルオロエチレンモノマーを添加して、攪拌し、10〜40kg/cm2のテトラフルオロエチレンの自己圧下で、コロイド的に分散されたポリマー粒子に到達して反応を停止させるまで重合化が進行するように、充分な分散剤が水キャリア中に導入される。
【0003】
一方、微粒子のテトラフルオロエチレン樹脂は懸濁重合方法によっても生産され、テトラフルオロエチレンモノマーは、少ししか分散剤を用いていないか、又は全く分散剤を用いてない高速攪拌された水性懸濁液中で重合される。懸濁重合で生産された粒子のタイプは「粒状」樹脂又は「粒状粉」と称される。例えば、米国特許3,655,611号(Mueller,1972)を参照されたい。
【0004】
二つの重合方法に関して、様々なフッ素化アルキルエチレンコモノマーとテトラフルオロエチレンとの共重合が述べられている。例えば、米国特許4,792,594(Gangalら、1988)を参照されたい。ところが、本発明は、具体的には水分散重合技術に関し、その技術による重合反応の生成物は、水性コロイド分散で分散される本発明のコポリマーである。この方法において、テトラフルオロエチレンモノマーは、パラフィンワックスと共に、水及び重合開始剤を含むオートクレーブ中で加圧されて、凝固形成剤及び乳化剤を抑制する。その反応混合物は攪拌されて、重合は適切な温度及び圧力で実行される。重合は水分散のポリマー粒子の形成をもたらし、そのご、分散されたポリマー粒子は、当該技術分野において公知である技術によって凝固されてよく、結果的に、ポリマーの微粉形態として知られるようになったものを得る。
【0005】
様々な先行特許が、 テトラフルオロエチレンのホモ重合及び少量((<1.0質量%)の他のモノマーとTFEの重合の関する技術を開示している。それらの技術を、米国特許4,576,869号 (Malhotra, 1986)及び米国特許6,177,533Bl号 (Jones, 2001) は開示している。
【0006】
微粉樹脂がペースト押出方法及び伸長(延伸)方法で有用であることは公知であり、それらの方法で、押出補助滑剤を除去した後、ペースト状に押出された成形品は引き伸ばされて、例えば、棒状、フィラメント状、シート状、チューブ状などの様々な断面形状の多孔性であって頑丈な生成物を作り出す。そのような伸長方法は、先駆的な米国特許3,953,566号 (Gore, 1976)にて開示され、通常、本発明に導入される。
【0007】
フッ化炭素ポリマーに適用されるように、延伸方法は前述の566特許に記載され、そして、その方法は、現在、TFEフルオロポリマーの「延伸」形態と称されているものを特定するようになり、延伸された又は延伸可能なTFEポリマー又はコポリマーとして本明細書において意味されるものを定義することに役立つ。
【0008】
先行技術のフルオロポリマーと関連付けて用いられているように、「コポリマー」の用語は一貫性なく適用されている。上述されたFluoroplasticsテキスト及びISO12086分類において設定されているように、本明細書における全ての目的は、ポリマーサイエンスの通常の慣例に従い、「コポリマー」の用語は、TFEに添加される1.0質量%超の少なくとも一つのコモノマーを含有する任意のフルオロポリマーに適用する。1.0%未満のコモノマーを含有するフルオロポリマーは、適切には、「修飾された」ホモポリマー (同文献)として分類されるが、「コポリマー」の用語は、実際に「修飾された」ホモポリマーを参照する場合に、その文献において誤用されている。実際的に、参照された組成物が「修飾された」ホモポリマー又は真性コポリマーであるかどうか、すなわち、ポリマー生成物が実際的に1.0質量パーセント超のコモノマーユニットを含有するかしないかを決定するために、用いられたコモノマーの実際の濃度を決定する目的で各々の特定のそのような使用例を調査しなければならない。
【0009】
本明細書において明らかであるが、本発明は、有用であって延伸されたTFEコポリマー生成物を作り出すために、上記で定義したように延伸可能である微粉タイプの真性TFEコポリマーを提供する。
【0010】
米国特許4,837,267号(Malhotra, 1989)は、「コア−シェルTFEコポリマー」と称される3成分組成物を開示し、そのコポリマーは加工処理可能な未溶解物として開示され、コアに含まれるクロロトリフルオロエチレン(CTFE)モノマーを含み、3-7の炭素原子のパーフルオロ(n-アルキルビニル)エーテルのコモノマーの繰り返しユニットを有する(コラム1、45-55行)。粒子中の全コモノマー含有量は0.001〜2質量パーセントであるといわれている。提示された全ての実施例は、述べられた範囲より非常に低いコモノマー濃度、すなわち、実施例1においては、0.23%CTFE及び0.0145%PPVE(トータル0.2445質量%)、実施例2においては、0.13%HFP及び確認不能である極微量のPPVEを有するターポリマーに関する。それゆえ、述べられた上限の2%は提示された明細書及び実施例によってサポートされていない。その上、267特許には、延伸された及び延伸可能なTFEコポリマー組成物について開示もされていないし、提案もされていない。
【0011】
2005年11月に公開された日本公開特許出願は2005-306033A号は、非多孔性、ガス不浸透性であって(ページ5)、「修飾された」PTFEとして述べられる0.001〜2mol%の範囲の「微量のモノマーユニット」を含有する(ページ7)といわれているPTFEの薄いフイルムを開示する。その本発明の対象物は、フイルムを「実質的に非多孔性」にするために「多孔性PTFE樹脂フイルム」を「熱処理」をすることによって得られる。この引用文献において、多孔性であって延伸可能なTFEコポリマー組成物について開示もされていないし、提案もされていない。
【0012】
米国特許4,391,940号(Hoechst, 1983)は、「三つのシェル」の粒子構造を有する部分的に修飾されたテトラフルオロエチレンポリマーを開示して述べている。その樹脂は、ケーブル絶縁性、高伸長性、非焼結性であるテープを作り出すペースト押出に対して適切であると言われている(940特許、要旨)。この特許は、テトラフルオロエチレンと共重合が可能であるフッ素化修飾モノマー、例えばパーフルオロプロペン、パーフルオロアルキルビニルエーテル及びハロゲン置換又は水素置換のフルオロオレフィンを述べている。その明細書によると、コモノマー修飾剤のトータル量は非常に低いので、純ポリテトラフルオロエチレンの特定の性質は維持される。すなわち、そのような修飾されたポリマーに対する極端に高い溶融粘度のために、溶融物からの処理の可能性がないままである(940特許、コラム1、1.62、以下参照)。開示された生成物は、「0.05〜6質量%」の少なくとも1つの修飾フルオロオレフィンコモノマーのポリマーのコア、TFEユニットのコアに直接近接した第一の内側シェル、「0.1〜15質量%」の少なくとも1つの修飾フルオロオレフィンのユニットを含むポリマーの内側シェルに直接近接した第二の外側シェルを有する修飾されたポリマー粒子を含む(コラム3、1. 5、以下参照)。そこで開示される原理を実証するためのこの引用文献で提供される「三つのシェル」生成物の例示は、テープが、伸長して、滑剤を除去した後、欠陥を成長させるか、又は比較的適度な伸長率で完全に引き裂いたことを示す。例えば、コラム14、1.60〜コラム16、1.6の実施例31で述べられている詳細な手順は、4:1の伸長率で欠陥を成長させて、8:1の伸長率で完全に引裂いた生成物を作り出した(940特許、表III)。
【0013】
比較のために、そして、本明細書において様々な先行技術開示を認識するために、最近発行された米国特許6,841,594号(Jones, 2005)は、任意のコモノマーが有意に存在することなく、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)は、自己重合したテトラフルオロエチレンを表し、そして、「修飾された」PTFEはTFEポリマーを示し、TFEポリマーが濃度がそのように低いコモノマーを有するので、結果として得られたポリマーの融点はPTFEの融点より実質的に低くなる。そのようなコモノマーの濃度は、上述した先行引用文献と一致するが、1質量%未満であることが好ましく、0.5質量%未満であることが更に好ましい。引用された修飾コモノマーは、例えば、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)(PMVE)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PPVE)、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)(PEVE)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、パーフルオロブチルエチレン(PFBE)、又は分子中に側基を導入する他のモノマーを含む。これらの指示は、上述した開示内容と一致し、本明細書に含まれる定義、すなわち、「修飾されたホモポリマー」の用語とは対照的に、「コポリマー」の用語は、TFEに添加する1.0質量%超の少なくとも1つのコモノマーを含有する任意のフルオロポリマーを意味する定義と一致する。
【0014】
米国特許6,127,486号(Burgerら、2000)は、フルオロポリマー及び「熱可塑性樹脂」のブレンド物を開示し、その「熱可塑性樹脂」は、「PTFEコポリマー」(コラム4、1.46)を含むと記載されている。その明細書は、述べられている樹脂に対して、コモノマーの量は修飾されたPTFEが「溶融中に処理可能ではない」(原書において強調)特性を示すように制限される。PTFEは修飾されたPTFEとして表され、修飾されたPTFEには、「PTFE中、コモノマーが、2質量%以下の量、好ましくは1質量%以下の量で含まれる」(カラム4、1.50)。実施例は1.0質量%超の追加的なコモノマーを有する任意のコポリマーから提供されないで、特許は、ポリマーのブレンド物、本発明の主題を形成する真性コポリマーとは完全に異なる物理的な形態に関する。
【0015】
別の最近の引用文献である、日本特許出願10-243976号(Asahi GLass Co.,Ltd.、1997年12月26日に優先権を主張)は、またさらに、TFEのコポリマー及び修飾されたホモポリマーの分野において当該技術の水準を指示する。「テトラフルオロエチレンコポリマー及びその適用」の題名であるその特許出願は、とりわけ、0.005〜0.05mol%(約0.012〜0.123質量%)の範囲の追加的なコモノマー含有量を特許請求の範囲に規定している。その特許は公知の共重合技術を議論し、さらに、関連する日本出願である、JP(公告)3-66926が、コモノマーとしてRf-CH=CH2(その式中、RfはC1-10パーフルオロアルキル基である)を用いることによってPTFEを修飾する方法を提案していることを開示する。提案された方法において、初期の期間中、修飾変更を増強するために重合処理中に連続的にコモノマーを添加する。微粉のペースト押出性を改良する目的で、例えば、押出圧力を小さくし、及び、0.5質量%未満は「実質的な用語において、未だ比較的高い」(0.1質量%以上)けれども、コモノマーに基づく重合ユニットの含有量を減らす目的で、その修飾変更は第一に実行されると記載されている。その結果として、生成物は実質的に非溶融の成形性を有し、及び顕著に減少した結晶化度を所有する。その引用文献は「別の欠点」を述べ、すなわち、そのような修飾されたPTFEは導入されたコモノマーの構造のため熱耐性が弱いことを述べている。最後に、Asahi特許出願は、以下のように引用して結論付けている。
【0016】
さらに、コモノマー構造は分子配向性を弱め、伸張している間に破損を引き起こし、そして、伸張された多孔性物品を生産する際に実質的に使用に適さない生産物を作り出す。
【0017】
本発明の目的は、優れた押出性を有するPTFE生産物を提供することであり、そのPTFE生産物は均一に伸張され得る。そして、そのPTFE生産物は高強度の多孔性物品を生み出す。
【0018】
それから、この目的物は、TFEと共重合可能なコモノマーに基づいた重合ユニットの導入を、処理中に認識できない効果である量に制限することによって得られると記載されている。
【0019】
特に、 Asahi出願は、TFEと、一般式CH2=CH-Rf(その式中、RfはC1-10のパーフルオロアルキル基によって表現されるフッ素コモノマーとの生成物を提供し、そして、このポリマーは、フッ素化コモノマーに基づく0.005〜0.05mol%の重合ユニットを含む。さらに、多孔性ポリマー物品が提供され、前述の修飾されたPTFEから成る粉状物が、250℃以上の温度でペースト−押出されて、その後、伸長される方法によって得られる。ところが、この引用文献は、共重合されるモノマーの量がある限界を超えて重合することに対して警告している。その出願は次のように引用して述べている。
【0020】
本発明のフッ素化コモノマーに基づいた重合ユニットの含有量は、伸張性について考慮するために厳格に制御されなければならない。PTFE中のユニットの含有量は0.005〜0.05mol%の範囲内に落とさなければならない。0.05mol%超の含有量は、ポリマー結晶化度の僅かな減少を引き起こし、更に低いペースト押出圧力の結果となり、伸張性に対して顕著に不都合な効果をもたらす。0.005mol%以下の含有量は、伸張された物品の物理的な特性を改良することや他の修飾効果を得ることを実質的に更に困難にさせる。0.01〜0.04 mol%の範囲が特に好ましい。
【0021】
また、このことは、上記で議論した先行技術の引用文献の他の教示と一貫性がある。このAsahi引用文献の実施例4において、パーフルオロブチルエチレンコモノマーの「高」含有量(出願人の定義による)である0.42質量%が用いられた場合に、ペースト押出圧力は好ましくは低く、そして「優れた」押出性が得られた。ところが、試験試料は伸長状態で壊れた。明細書は、この「高」レベルのコモノマー濃度である0.42質量%で、「...破損は伸長中に発生した。そして、多孔性物品を得ることは不可能であった」(ページ12、段落番号0050)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
これらの警告的な教示に関わらず、そしてその教示とは対照的に、本発明は真性TFEコポリマーを対象にし、全てのコポリマーがコモノマーユニットを1.0質量パーセント超で含有し、全てのコポリマーが多孔性延伸物品を形成するために延伸可能であり、さらに、本発明はそれらのコポリマーを生産する方法を対象にし、そしてそれらのコポリマーによって生産される延伸物品を対象にする。公知の先行技術の引用文献は、そのような多孔性、延伸コポリマー物品又はその物品を生産する樹脂を開示していないし、又は提案していない。
【0023】
本明細書において請求される高濃度の範囲であるコモノマーユニットを有するTFEコポリマーは、下記に開示されるように延伸されることが可能であり、そして、25:1の伸張比まで、及び25:1の伸張比を超えて延伸されることが可能であり、そして均一であって、実現可能であるように成形した物品を作り出すことは、全く予測不可能であり、先行技術の教示とは反対の教示である。この相乗的な結果は当該技術分野の当業者にとって全く驚愕すべきことである。
【課題を解決するための手段】
【0024】
方法は、微粉タイプの延伸可能なテトラフルオロエチレン(TFE)の共重合のために提供され、そのコポリマーが、99.0質量%以下のテトラフルオロエチレン(TFE)モノマーユニットと、少なくとも1.0質量%又は1.0質量%超の少なくとも1つの他のコモノマー、すなわち、テトラフルオロエチレン以外の少なくとも1つの他のコモノマーとを含む。その、他のコモノマーは、TFEと共重合を可能とするためにTFEに対する充分に高い反応性比を有するエチレン性不飽和コモノマーである。その方法は、99.0質量%以下のそのTFEモノマーをリアクターに供給し、そして、少なくとも1.0質量%又は1.0質量%超の他のコモノマーをその加圧型リアクターに供給することによって、その加圧型リアクターでそのTFEモノマーとその少なくとも1つの他のモノマーとを共重合をし、割合が供給されたモノマーの全質量に基づくものである、工程、フリーラジカル開始剤でそのモノマーの重合を開始する工程、及び反応の完了前に重合反応のある時点で他のモノマーの供給を停止する工程を含む。選択的に、重合の完了前に、必要であればそのリアクターから過剰なコモノマーは除去される(減圧される)。その少なくとも1つの他のコモノマーは、例えば、エチレン、プロピレン又はイソブチレンのようなオレフィンでよく、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、ビニリデンフルオリド(CFH=CH2)、ビニリデンジフルオリド(CF2=CH2)、ヘキサフルオロイソブチレン(HFIB)、トリフルオロエチレン(CF2=CFH)、
下記の一般式のフルオロジオキソール、
【化1】

(該式中、R1及びR2は、F又は少なくとも1つのフッ素を含有する1から3の炭素のアルキル基、X、YはF及び/又はHでよい。)、
下記の一般式のフルオロジオキソール、
【化2】

(該式中、Rfは1から5の炭素原子のパーフルオロアルキル、R1、R2はF及び/又はCF3でよい。)、並びに、
下記の一般式のフルオロジオキサラン
【化3】

(該式中、R1、R2はF及び/又は1から5の炭素原子のパーフルオロアルキルでよい。)
から成る群から選択されるフッ素化モノマーでよい。代替的には、その少なくとも1つの他のコモノマーは、例えば、パーフルオロブチルエチレン(PFBE)、パーフルオロヘキシルエチレン(PFHE)及びパーフルオロクチルエチレン(PFOE)から成る群から選択されるモノマーのようなパーフルオロアルキルエチレンモノマーでよく、又は、それは、例えば、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)(PMVE)、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)(PEVE)及びパーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PPVE)から成る群から選ばれるモノマーのようなパーフルオロアルキルビニルエーテルモノマーでよい。2つ以上の他のモノマーが、マルチコンポーネントコポリマー、すなわち、ターポリマーを生産するために、その加圧型リアクターに供給されてよい。
【0025】
そのモノマー供給は、重合でプリチャージとして導入されてよく、又はその少なくとも1つの他のモノマーは反応中に増加的に又は間欠的に導入されてよい。
【0026】
方法は、反応完了の90%未満でその少なくとも1つの他のモノマーの供給を停止する工程を含むことが好ましい。
【0027】
生産されるコポリマー中の高濃度コモノマーは、高濃度レベルで少なくとも1つの他のコモノマーを供給することによって達成され、例えば、少なくとも1.5質量%、少なくとも2.0質量%、及び5.0質量%超のその少なくとも1つの他のコモノマーをリアクターに供給することによって達成される。
【0028】
前述の方法は、生産されるポリマーの全質量に基づいて、99.0質量%以下の重合されるテトラフルオロエチレン(TFE)モノマーユニットと、反応中に供給される少なくとも1つの他のコモノマーであって、少なくとも1.0質量%又は1.0質量%超の重合されるコモノマーユニットとを含む、微粉タイプの延伸可能なテトラフルオロエチレン(TFE)コポリマーを生産する。この真性コポリマーは、下記に充分に述べられている図1に示されるように、フィブリル2によって相互連結されるノード1によって特徴付けられる微細構造を有する多孔性であって延伸されたコポリマー材料に延伸可能である。
【0029】
生産される延伸可能なコポリマーは、次の群の中から選ばれる少なくとも1つの他の重合されるコモノマーを含む。その群は、例えば、エチレン、プロピレン及びイソブチレンのようなオレフィン、例えば、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、ビニリデンフルオリド(CFH=CH2)、ビニリデンジフルオリド(CF2=CH2)、ヘキサフルオロイソブチレン(HFIB)、トリフルオロエチレン(CF2=CFH)、フルオロジオキソール、及びフルオロジオキサランのようなフッ素化コモノマー、パーフルオロブチルエチレン(PFBE)、パーフルオロヘキシルエチレン(PFHE)及びパーフルオロクチルエチレン(PFOE)を含む、パーフルオロアルキルエチレンモノマー、並びにパーフルオロ(メチルビニルエーテル)(PMVE)、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)(PEVE)及びパーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PPVE)を含むパーフルオロアルキルビニルエーテルモノマーである、
【0030】
生産されるコポリマーは、2つ以上の重合される他のコモノマーを含んでよく、コポリマー中のコモノマー含有量は、常に、一方のコモノマーの重合されるユニットの1.0質量%を超えており、一方のコモノマーの重合されるユニットの1.5質量%を超えてもよく、実に、一方のコモノマーの重合されるユニットの5.0質量%を超えた重合されるユニットの量でもよい。
【0031】
本発明のコポリマーは水性媒体内で分散される微粒子の形態で生産され、その微粒子は、微粉樹脂を生産するために公知の技術を用いて凝固されてよい。フィブリルによって相互連結されるノードの微細構造を有する多孔性であって、延伸されたコポリマーは本発明にしたがって更に提供される。これらの多孔性であって、延伸されたコポリマー材料は、例えば、シート又はフィルム、チューブ、棒及び連続フィラメントのような成形物品の形態で生産され得る。そして、これらの物品は、一般的には、頑丈であり、すなわち、少なくとも1つの方向のマトリックス引っ張り強度は5,000psiを超える。少なくとも1つの方向のマトリックス引っ張り強度は、ある生産物に対しては、30,000psiを超えることが可能であり、このように、多くの用途において有用である、非常に頑丈であり、多孔性であり、真性であるコポリマーの延伸されたTFE物品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】添付図である図1は、本明細書の本発明にしたがって生産されたコポリマー樹脂の延伸されたシートのSEMの顕微鏡写真であり、200X倍率で撮影され、この材料のノード1及びフィブリル2の微細構造を示す。それぞれの節の交差部はフィブリル2の多重性によって相互連結される。
【発明を実施するための形態】
【0033】
微粉タイプの真性テトラフルオロエチレン(TFE)コポリマーの重合方法が提供され、そのコポリマーは、少なくとも1.0質量パーセント又は1.0質量パーセント超の濃度で、TFE以外の少なくとも1つのコモノマーの重合コモノマーユニットを含有する。そしてその重合コモノマーユニットの濃度は5.0質量パーセントを超えてもよい。そのコポリマーは延伸可能であり、すなわち、そのコポリマーは、フィブリルによって相互連結されるノードの微細構造を有する、強くて、有用である延伸TFEコポリマー物品を生産するために延伸されてよい。
【0034】
この発明のコポリマーは後述する重合方法によって生産される。その重合方法は、共重合反応が適切な開始剤によって開始され、その後、開始剤添加は停止するが、反応をゆっくりさせて完了させるために、完了に対して反応の進行が15%〜90%である地点で停止するようにする。開始剤添加は、反応のおおよそ中間点、すなわち、完了までの20-60%の地点で停止することが好ましい。
【0035】
実質的に非テロゲンである分散剤が用いられる。パーフルオロオクタン酸アンモニウム(APFO又は「C-8」)が1つの受け入れ可能な分散剤である。プログラム化された添加(プリチャージとポンピング)は公知であって好ましい。
【0036】
本明細書で述べられているような重合で好ましい特性を得るために材料の純度について注意していただきたい。イオン強度を増大させる可能性がある不純物、さらに、連鎖移動又は停止を引き起こす可能性がある溶解性有機不純物は最小限にしなければならない。そのような全ての重合反応において超高純度水を用いることは非常に重要である。
【0037】
押出されて、かつ、延伸された(伸長された)、特定の樹脂から生産されるTFEポリマービーズに関する破断強度は、その樹脂の延伸についての適合性に対して直接的に関係することとなる。様々な方法が破断強度を測定するために用いられている。次の方法は、この本発明のコポリマーから生産された延伸ビーズ試料を作製して分析するために利用され、その試料に対するデータを下記に報告する。
【0038】
所定の樹脂に対して、113.4gの微粉状樹脂を130cc/lb(24.5 g)のIsoparTMKと共にブレンドする。そのブレンド品を一定温度の水浴で22℃約2時間熟成する。270psigの予備成形圧力を約20秒間適用することによって、1インチ径の円筒状のプリフォームを作製する。プリフォームはクラックがないことを保証するために検査される。押出ビーズは、予備成形されて潤滑された樹脂を30度の流入狭角を有する0.100インチ径のダイを通過させて押出すことによって作製される。押出機のバレルは1インチ径であり、ラム運動速度は20インチ/分である。押出機のバレル及びダイは、23℃プラスマイナス1.5℃で維持された室温に配置される。225-230℃で約25分間ビーズを乾燥させることによってそのビーズからIsopar Kを取り除く。押出ビーズの発端及び終端のおよそ8フィートは末端効果を排除するために廃棄される。押出ビーズの2.0インチのセクションは、最終長の50インチ(25:1の延伸比)まで290℃で、かつ、毎秒100%の引き伸ばし初速度で引き伸ばすことによって延伸され、その引き伸ばし初速度は毎秒2インチの一定速度である。延伸ビーズの中心近くからおよそ1フィート長は取り除かれ、室温(23℃プラスマイナス1.5℃)の状態が維持された取り外したサンプルの最大破断荷重は、2インチの初期サンプル長を用いて、12インチ/分のクロスヘッド速度でInstronTM引張試験機を利用して測定される。2回の測定値が得られて2つのサンプルの平均値として測定される。この手順は、米国特許6,177,533B1号で述べられた手順と同様である。本明細書中の延伸は300℃の代わりに290℃で実行される。
【0039】
TFEに追加されて、本明細書で述べられた技術によって生産されるモノマーと構造的に同様である重合モノマーを含有するコア-シェル樹脂構造物は、本明細書において前述したように、長い間公知である。例えば、米国特許4,576,869号(Malhotra)、6,541,589Bl号(Baillie)及び6,841,594B2号(Jones)を参照されたい。次の実施例において、特許請求された組成物のために本発明にしたがって生産された樹脂は、全て真性コポリマーであり、すなわち、1.0質量パーセントを超えるコモノマー含有量であり、固体NMR分光法、並びに質量平衡、及びガスクロマトグラフィーを使って重合バッチのガス相の残存モノマーの検出を利用して確認される。組成物全ては少なくとも25:1の伸張比に延伸可能であり、下記に例示されるようにSEM試験で検証可能であるが、図1に示されるように特有のノード1及びフィブリル2微細構造を有する延伸コポリマー物品を形成する。
【0040】
次の実施例は本発明を説明する意図であるが任意の方法で本発明の範囲を限定して解釈されるべきではない。
【実施例】
【0041】
実施例1
3つのブレードが付いた攪拌機を備えた50リットルの水平型重合リアクターに、1.5Kgのワックス、28Kgの脱イオン化(DI)水、18gのパーフルオロオクタン酸アンモニウム(APFO)、及び約5OgのDI水に溶解した5gのコハク酸を添加した。そのリアクター及び含有物を、ワックスの融点より高い温度で加熱した。酸素レベルを20ppm以下まで減らすまで、TFEを用いてリアクターを繰り返し減圧して加圧した(約1Atm以下まで)。水の脱酸素化を保証するために、減圧及び浄化(パージ)の循環の間にその含有物を約60rpmで手短に攪拌をした。
【0042】
リアクターを83℃まで加熱し、60rpmで攪拌をした。その後、圧力が2.8Mpaに達するまで、0.8MpaのVDFを添加して、続いてTFEを添加した。この時、およそ2KgのTFEを添加するまで、80mL/minでDI水溶液のKMNO4(0.063g/L)を注入した。2kg目のTFEを添加した後、真空装置を使って、リアクター中の圧力を50Kpaまで減圧し、そして2.8MpaまでフレッシュTFEを用いて加圧した。3Kg目のTFEに対して20mL/minでKMnO4を添加し、さらに、4Kg目のTFEに対してはKMnO4の添加を10mL/minまで速度を落とした。4Kg目のTFEを添加した後は、KMnO4をもう添加しなかった。
【0043】
およそ320gの20%APFO溶液を40mL単位の増量で添加し、約1KgのTFEを添加した後、第一増量分を添加し、続いて約1kg毎にTFEを添加した後、増量分を添加し、最後に、8KgのTFEを反応させた後、最終的な増量分を添加した。
【0044】
その後、重合反応を継続し、14.3KgのTFEをリアクターに添加した後、反応を停止した。生産された分散液の質量は32.6%の固形分を含有する44.73Kgであった。分散液を硝酸で凝固させて170℃で乾燥させた。ポリマー粒子の未処理分散粒子サイズ(RDPS)は0.296μm(ミクロン)であり、標準比重は2.156であった。コポリマーのVDF濃度の測定値は3.48mol%(2.26質量%)であった。ビーズの破断強度は6.6lbsであった。
【0045】
試料のマトリックス引っ張り強度の測定値は37,299psiであった。
【0046】
実施例2
3つのブレードが付いた攪拌機を備えた50リットルの水平型重合リアクターに、1.5Kgのワックス、28Kgの脱イオン化(DI)水、18gのパーフルオロオクタン酸アンモニウム(APFO)、及び約5OgのDI水に溶解した5gのコハク酸を添加した。そのリアクター及び含有物を、ワックスの融点より高い温度で加熱した。酸素レベルを20ppm以下まで減らすまで、TFEを用いてリアクターを繰り返し減圧して加圧した(約1Atm以下まで)。水の脱酸素化を保証するために、減圧及び浄化(パージ)の循環の間にその含有物を約60rpmで手短に攪拌をした。
【0047】
リアクターを83℃まで加熱し、60rpmで攪拌をした。その後、圧力が2.8Mpaに達するまで、0.8Mpaのトリフルオロエチレン(本明細書においては指定TrFE)を添加して、続いてTFEを添加した。この時、およそ0.5kgのTFEを消費するまで80mL/minでDI水溶液のKMNO4(0.1g/l)を注入した。この時、2kg目のTFEを消費するまでその速度を40mL/minまで落とした。真空装置を使って、リアクター中の圧力を50Kpaまで減圧し、そして2.8MpaまでフレッシュTFEを用いて加圧した。次の0.5KgのTFEに対して40mL/minでKMnO4を再び添加し、4KgのTFEが消費されるまで添加し続けた。4Kg目のTFEを消費した後、KMnO4をもう添加しなかった。
【0048】
およそ320gの20%APFO溶液を40mL単位の増量で添加し、約1KgのTFEを添加した後、第一増量分を添加し、続いて約1kg毎にTFEを添加した後、増量分を添加し、最後に、8KgのTFEを反応させた後、最終的な増量分を添加した。
【0049】
その後、重合反応を継続し、16KgのTFEをリアクターに添加した後、反応を停止した。生産された分散液の質量は35.8%の固形分を含有する45.74Kgであった。分散液を硝酸で凝固させて170℃で乾燥させた。
【0050】
ポリマー粒子の未処理分散粒子サイズ(RDPS)は0.283μm(ミクロン)であり、標準比重は2.213であった。コポリマーのトリフルオロエチレン濃度の測定値は3.2mol%(2.6質量%)であった。ビーズ試料の破断強度は7.24lbsであった。
【0051】
試料のマトリックス引っ張り強度の測定値は28,602psiであった。
【0052】
実施例3
3つのブレードが付いた攪拌機を備えた50リットルの水平型重合リアクターに、1.5Kgのワックス、28Kgの脱イオン化(DI)水、18gのパーフルオロオクタン酸アンモニウム(APFO)、及び約5OgのDI水に溶解した5gのコハク酸を添加した。そのリアクター及び含有物を、ワックスの融点より高い温度で加熱した。酸素レベルを20ppm以下まで減らすまで、TFEを用いてリアクターを繰り返し減圧して加圧した(約1Atm以下まで)。水の脱酸素化を保証するために、減圧及び浄化(パージ)の循環の間にその含有物を約60rpmで手短に攪拌をした。
【0053】
減圧されたリアクターに、8mLのPFBEを帯電させて、リアクターを83℃まで加熱し、60rpmで攪拌をした。その後、圧力が2.8Mpaに達するまで、0.8MpaのVDFを添加して、続いてTFEを添加した。この時、およそ2KgのTFEを添加するまで80mL/minでDI水溶液のKMNO4(0.1g/L)を注入した。2kg目のTFEを添加した後、真空装置を使ってリアクター中の圧力を50Kpaまで減圧し、そして2.8MpaまでフレッシュTFEを用いて加圧した。4Kg目のTFEが消費されるまで40mL/minでKMnO4を添加した。4Kg目のTFEを添加した後は、KMnO4をもう添加しなかった。
【0054】
およそ320gの20%APFO溶液を40mL単位の増量で添加し、約1KgのTFEを添加した後、第一増量分を添加し、続いて約1kg毎にTFEを添加した後、増量分を添加し、最後に、8KgのTFEを反応させた後、最終的な増量分を添加した。
【0055】
その後、重合反応を継続し、16KgのTFEをリアクターに添加した後、反応を停止した。生産された分散液の質量は29.0%の固形分を含有する42.76Kgであった。分散液を硝酸で凝固させて170℃で乾燥させた。
【0056】
ポリマー粒子の未処理分散粒子サイズ(RDPS)は0.263μm(ミクロン)であり、標準比重は2.157であった。コポリマーのVDF濃度の測定値は4.30mol%(2.80質量%)であった。コポリマーのPFBE濃度の測定値は0.03mol%(0.07質量%)であり、組成物中における全コポリマー濃度は2.87質量%であった。ビーズ試料の破断強度は13.6lbsであった。
【0057】
試料のマトリックス引っ張り強度の測定値は44,878psiであった。
【0058】
実施例4
3つのブレードが付いた攪拌機を備えた50リットルの水平型重合リアクターに、1.5Kgのワックス、28Kgの脱イオン化(DI)水、18gのパーフルオロオクタン酸アンモニウム(APFO)、及び約5OgのDI水に溶解した5gのコハク酸を添加した。そのリアクター及び含有物を、ワックスの融点より高い温度で加熱した。酸素レベルを20ppm以下まで減らすまで、TFEを用いてリアクターを繰り返し減圧して加圧した(約1Atm以下まで)。水の脱酸素化を保証するために、減圧及び浄化(パージ)の循環の間にその含有物を約60rpmで手短に攪拌をした。
【0059】
減圧されたリアクターに、19.94gのPFOEを帯電させて、リアクターを83℃まで加熱し、60rpmで攪拌をした。その後、圧力が2.8Mpaに達するまで、0.8MpaのVDFを添加して、続いてTFEを添加した。この時、およそ2KgのTFEを添加するまで80mL/minでDI水溶液のKMNO4(0.1g/L)を注入した。2kg目のTFEを添加した後、真空装置を使ってリアクター中の圧力を50Kpaまで減圧し、そして2.8MpaまでフレッシュTFEを用いて加圧した。次の0.5KgのTFEが消費されるまで40mL/minでKMnO4を再び添加し、4KgのTFEが消費されるまで20mL/minに速度を落として添加をした。4Kg目のTFEを消費した後は、KMnO4をもう添加しなかった。
【0060】
およそ320gの20%APFO溶液を40mL単位の増量で添加し、約1KgのTFEを添加した後、第一増量分を添加し、続いて約1kg毎にTFEを添加した後増量分を添加し、最後に、8KgのTFEを反応させた後、最終的な増量分を添加した。
【0061】
その後、重合反応を継続し、16KgのTFEをリアクターに添加した後、反応を停止した。生産された分散液の質量は28.4%の固形分を含有する42.82Kgであった。分散液を硝酸で凝固させて170℃で乾燥させた。
【0062】
ポリマー粒子の未処理分散粒子サイズ(RDPS)は0.240μm(ミクロン)であり、標準比重は2.159であった。コポリマーのVDF濃度の測定値は3.50mol%(2.20質量%)であった。コポリマーのPFOE濃度の測定値は0.03mol%(0.16質量%)であり、組成物中における全コポリマー濃度は2.36質量%であった。ビーズ試料の破断強度は14.1lbsであった。
【0063】
試料のマトリックス引っ張り強度の測定値は48,236psiであった。
【0064】
実施例5
3つのブレードが付いた攪拌機を備えた50リットルの水平型重合リアクターに、1.5Kgのワックス、28Kgの脱イオン化(DI)水、18gのパーフルオロオクタン酸アンモニウム(APFO)、及び約5OgのDI水に溶解した5gのコハク酸を添加した。そのリアクター及び含有物を、ワックスの融点より高い温度で加熱した。酸素レベルを20ppm以下まで減らすまで、TFEを用いてリアクターを繰り返し減圧して加圧した(約1Atm以下まで)。水の脱酸素化を保証するために、減圧及び浄化(パージ)の循環の間にその含有物を約60rpmで手短に攪拌をした。
【0065】
減圧されたリアクターに、8mlのPFBEを帯電させて、リアクターを83℃まで加熱し、60rpmで攪拌をした。その後、圧力が2.8Mpaに達するまでTFEを添加した。この時、およそ1KgのTFEを添加するまで80mL/minでDI水溶液のKMNO4(0.063g/L)を注入した。この時、真空装置を使ってリアクター中の圧力を50Kpaまで減圧し、そして、圧力が2.8Mpaに達するまで0.8MPaのVDFで加圧し、続いてTFEを添加して加圧した。次の1KgのTFEが消費されるまで80mL/minでKMnO4を再び添加し、それから4KgのTFEが消費されるまで40mL/minに速度を落として添加をした。4Kg目のTFEを消費した後は、真空装置を使ってリアクター中の圧力を50Kpaまで減圧し、2.8MpaまでフレッシュTFEで加圧した。5Kg目のTFEが消費されるまで10mL/minでKMnO4の追加量を添加した。5kg目のTFEが消費された後は、KMnO4をもう添加しなかった。
【0066】
およそ320gの20%APFO溶液を40mL単位の増量で添加し、約1KgのTFEを添加した後第一増量分を添加し、続いて約1kg毎にTFEを添加した後、増量分を添加し、最後に、8KgのTFEを反応させた後最終的な増量分を添加した。
【0067】
その後、重合反応を継続し、16KgのTFEをリアクターに添加した後、反応を停止した。生産された分散液の質量は34.5%の固形分を含有する48.8Kgであった。分散液を硝酸で凝固させて170℃で乾燥させた。
【0068】
ポリマー粒子の未処理分散粒子サイズ(RDPS)は0.234μm(ミクロン)であり、標準比重は2.151であった。コポリマーのVDF濃度の測定値は3.15mol%(2.04質量%)であった。コポリマーのPFBE濃度の測定値は0.03mol%(0.07質量%)であり、組成物中における全コポリマー濃度は2.11質量%であった。ビーズ試料の破断強度は8.6lbsであった。
【0069】
試料のマトリックス引っ張り強度の測定値は31,342psiであった。
【0070】
実施例6
3つのブレードが付いた攪拌機を備えた50リットルの水平型重合リアクターに、1.5Kgのワックス、28Kgの脱イオン化(DI)水、18gのパーフルオロオクタン酸アンモニウム(APFO)、及び約5OgのDI水に溶解した5gのコハク酸を添加した。そのリアクター及び含有物を、ワックスの融点より高い温度で加熱した。酸素レベルを20ppm以下まで減らすまで、TFEを用いてリアクターを繰り返し減圧して加圧した(約1Atm以下まで)。水の脱酸素化を保証するために、減圧及び浄化(パージ)の循環の間にその含有物を約60rpmで手短に攪拌をした。
【0071】
リアクターを83℃まで加熱し、60rpmで攪拌をした。その後、圧力が2.8Mpaに達するまでTFEを添加した。この時、およそ1KgのTFEを添加するまで80mL/minでDI水溶液のKMNO4(0.063g/L)を注入した。この時、真空装置を使ってリアクター中の圧力を50Kpaまで減圧し、そして、圧力が2.8Mpaに達するまで0.8MPaのVDFで加圧し、続いてTFEを添加して加圧した。次の2KgのTFEが消費されるまで80mL/minでKMnO4を再び添加し、それから4KgのTFEが消費されるまで40mL/minに速度を落として添加をした。4Kg目のTFEを消費した後は、真空装置を使ってリアクター中の圧力を50Kpaまで減圧し、2.8MpaまでフレッシュTFEで加圧した。5Kg目のTFEが消費されるまで40mL/minでKMnO4の追加量を添加した。5kg目のTFEが消費された後は、KMnO4をもう添加しなかった。
【0072】
およそ320gの20%APFO溶液を40mL単位の増量で添加し、約1KgのTFEを添加した後第一増量分を添加し、続いて約1kg毎にTFEを添加した後、増量分を添加し、最後に、8KgのTFEを反応させた後最終的な増量分を添加した。
【0073】
その後、重合反応を継続し、16KgのTFEをリアクターに添加した後、反応を停止した。生産された分散液の質量は35.0%の固形分を含有する46.86Kgであった。分散液を硝酸で凝固させて170℃で乾燥させた。
【0074】
ポリマー粒子の未処理分散粒子サイズ(RDPS)は0.265μm(ミクロン)であり、標準比重は2.158であった。コポリマーのVDF濃度の測定値は3.35mol%(2.17質量%)であった。ビーズ試料の破断強度は6.6lbsであった。
【0075】
試料のマトリックス引っ張り強度の測定値は26,053psiであった。
【0076】
実施例7
3つのブレードが付いた攪拌機を備えた50リットルの水平型重合リアクターに、1.5Kgのワックス、28Kgの脱イオン化(DI)水、18gのパーフルオロオクタン酸アンモニウム(APFO)、及び約5OgのDI水に溶解した5gのコハク酸を添加した。そのリアクター及び含有物を、ワックスの融点より高い温度で加熱した。酸素レベルを20ppm以下まで減らすまで、TFEを用いてリアクターを繰り返し減圧して加圧した(約1Atm以下まで)。水の脱酸素化を保証するために、減圧及び浄化(パージ)の循環の間にその含有物を約60rpmで手短に攪拌をした。
【0077】
減圧されたリアクターに、8mlのPFBEを帯電させて、リアクターを83℃まで加熱し、60rpmで攪拌をした。その後、圧力が2.8Mpaに達するまでTFEを添加した。この時、およそ1KgのTFEを添加するまで80mL/minでDI水溶液のKMNO4(0.063g/L)を注入した。この時、真空装置を使ってリアクター中の圧力を50Kpaまで減圧し、そして、圧力が2.8Mpaに達するまで0.8MPaのTrFEで加圧し、続いてTFEを添加して加圧した。次の3KgのTFEが消費されるまで80mL/minでKMnO4を再び添加した。4Kg目のTFEを消費した後は、真空装置を使ってリアクター中の圧力を50Kpaまで減圧し、2.8MpaまでフレッシュTFEで加圧した。5Kg目のTFEが消費されるまで40mL/minでKMnO4の追加量を添加した。5kg目のTFEが消費された後は、KMnO4をもう添加しなかった。
【0078】
およそ320gの20%APFO溶液を40mL単位の増量で添加し、約1KgのTFEを添加した後第一増量分を添加し、続いて約1kg毎にTFEを添加した後、増量分を添加し、最後に、8KgのTFEを反応させた後最終的な増量分を添加した。
【0079】
その後、重合反応を継続し、16KgのTFEをリアクターに添加した後、反応を停止した。生産された分散液の質量は33.1%の固形分を含有する46.9Kgであった。分散液を硝酸で凝固させて170℃で乾燥させた。
【0080】
ポリマー粒子の未処理分散粒子サイズ(RDPS)は0.227μm(ミクロン)であり、標準比重は2.217であった。コポリマーのTrFE濃度の測定値は4.2mol%(3.5質量%)であった。そして、コポリマーのPFBE濃度の測定値は0.03mol%(0.07質量%)であり、組成物中における全コポリマー濃度は3.57質量%であった。ビーズ試料の破断強度は3.48lbsであった。
【0081】
試料のマトリックス引っ張り強度の測定値は13,382psiであった。
【0082】
実施例8
3つのブレードが付いた攪拌機を備えた50リットルの水平型重合リアクターに、1.5Kgのワックス、28Kgの脱イオン化(DI)水、18gのパーフルオロオクタン酸アンモニウム(APFO)、及び約5OgのDI水に溶解した5gのコハク酸を添加した。そのリアクター及び含有物を、ワックスの融点より高い温度で加熱した。酸素レベルを20ppm以下まで減らすまで、TFEを用いてリアクターを繰り返し減圧して加圧した(約1Atm以下まで)。水の脱酸素化を保証するために、減圧及び浄化(パージ)の循環の間にその含有物を約60rpmで手短に攪拌をした。
【0083】
リアクターを83℃まで加熱し、60rpmで攪拌をした。その後、圧力が2.8Mpaに達するまでTFEを添加した。この時、およそ1KgのTFEを添加するまで80mL/minでDI水溶液のKMNO4(0.063g/L)を注入した。この時、真空装置を使ってリアクター中の圧力を50Kpaまで減圧し、そして、圧力が2.8Mpaに達するまで0.8MPaのTrFEで加圧し、続いてTFEを添加して加圧した。次の3KgのTFEが消費されるまで80mL/minでKMnO4を再び添加し、それから4KgのTFEが消費されるまで40mL/minに速度を落として添加をした。4Kg目のTFEを消費した後は、真空装置を使ってリアクター中の圧力を50Kpaまで減圧し、2.8MpaまでフレッシュTFEで加圧した。5Kg目のTFEが消費されるまで40mL/minでKMnO4の追加量を添加した。5kg目のTFEが消費された後は、KMnO4をもう添加しなかった。
【0084】
およそ320gの20%APFO溶液を40mL単位の増量で添加し、約1KgのTFEを添加した後第一増量分を添加し、続いて約1kg毎にTFEを添加した後、増量分を添加し、最後に、8KgのTFEを反応させた後最終的な増量分を添加した。
【0085】
その後、重合反応を継続し、16KgのTFEをリアクターに添加した後、反応を停止した。生産された分散液の質量は34.8%の固形分を含有する47.22Kgであった。分散液を硝酸で凝固させて170℃で乾燥させた。
【0086】
ポリマー粒子の未処理分散粒子サイズ(RDPS)は0.276μm(ミクロン)であり、標準比重は2.219であった。コポリマーのTrFE濃度の測定値は4.17mol%(3.5質量%)であった。ビーズ試料の破断強度は3.95lbsであった。
【0087】
試料のマトリックス引っ張り強度の測定値は15,329psiであった。
【0088】
実施例9
3つのブレードが付いた攪拌機を備えた50リットルの水平型重合リアクターに、1.5Kgのワックス、28Kgの脱イオン化(DI)水、18gのパーフルオロオクタン酸アンモニウム(APFO)、及び約5OgのDI水に溶解した5gのコハク酸を添加した。そのリアクター及び含有物を、ワックスの融点より高い温度で加熱した。酸素レベルを20ppm以下まで減らすまで、TFEを用いてリアクターを繰り返し減圧して加圧した(約1Atm以下まで)。水の脱酸素化を保証するために、減圧及び浄化(パージ)の循環の間にその含有物を約60rpmで手短に攪拌をした。
【0089】
リアクターを83℃まで加熱し、60rpmで攪拌をした。その後、圧力が2.8Mpaに達するまでTFEを添加した。この時、およそ1KgのTFEを添加するまで80mL/minでDI水溶液のKMNO4(0.063g/L)を注入した。この時、真空装置を使ってリアクター中の圧力を50Kpaまで減圧し、そして、圧力が1.9Mpaに達するまで1.2kgのHFPで加圧し、続いてTFEを添加して加圧した。次の3KgのTFEが消費されるまで80mL/minでKMnO4を再び添加した。4Kg目のTFEを消費した後は、真空装置を使ってリアクター中の圧力を50Kpaまで減圧し、2.8MpaまでフレッシュTFEで加圧した。5Kg目のTFEが消費されるまで80mL/minでKMnO4の追加量を添加した。5kg目のTFEが消費された後は、KMnO4をもう添加しなかった。
【0090】
およそ320gの20%APFO溶液を40mL単位の増量で添加し、約1KgのTFEを添加した後第一増量分を添加し、続いて約1kg毎にTFEを添加した後、増量分を添加し、最後に、8KgのTFEを反応させた後最終的な増量分を添加した。
【0091】
その後、重合反応を継続し、16KgのTFEをリアクターに添加した後、反応を停止した。生産された分散液の質量は30.4%の固形分を含有する48.54Kgであった。分散液を硝酸で凝固させて170℃で乾燥させた。
【0092】
ポリマー粒子の未処理分散粒子サイズ(RDPS)は0.302μm(ミクロン)であり、標準比重は2.157であった。コポリマーのHFP濃度の測定値は0.77mol%(1.25質量%)であった。ビーズ試料の破断強度は7.60lbsであった。
【0093】
試料のマトリックス引っ張り強度の測定値は34,178psiであった。
【0094】
実施例10
3つのブレードが付いた攪拌機を備えた50リットルの水平型重合リアクターに、1.5Kgのワックス、28Kgの脱イオン化(DI)水、18gのパーフルオロオクタン酸アンモニウム(APFO)、及び約5OgのDI水に溶解した5gのコハク酸を添加した。そのリアクター及び含有物を、ワックスの融点より高い温度で加熱した。酸素レベルを20ppm以下まで減らすまで、TFEを用いてリアクターを繰り返し減圧して加圧した(約1Atm以下まで)。水の脱酸素化を保証するために、減圧及び浄化(パージ)の循環の間にその含有物を約60rpmで手短に攪拌をした。
【0095】
リアクターを83℃まで加熱し、60rpmで攪拌をした。その後、圧力が2.8Mpaに達するまで0.81MpaのCTFEを添加し、続いてTFEを添加した。この時、2KgのTFEを消費するまで、2000mLのDI水に3gの過硫酸アンモニウム及び3gの亜硫酸水素ナトリウムを含有する溶液を40mL/minで注入した。2Kg目のTFEの添加をした後、真空装置を使ってリアクター中の圧力を50Kpaまで減圧し、2.8MpaまでフレッシュTFEで加圧した。2.5kgのTFEの全ての量を消費するまで20mL/minで追加的な開始剤溶液を再び添加した。この時、速度をlOmL/minまで落とした。トータル3KgのTFEを消費した後は、開始剤をもう添加しなかった。
【0096】
およそ320gの20%APFO溶液を40mL単位の増量で添加し、約1KgのTFEを添加した後第一増量分を添加し、続いて約1kg毎にTFEを添加した後、増量分を添加し、最後に、8KgのTFEを反応させた後最終的な増量分を添加した。
【0097】
その後、重合反応を継続し、16KgのTFEをリアクターに添加した後、反応を停止した。生産された分散液の質量は35.0%の固形分を含有する48.07Kgであった。分散液を硝酸で凝固させて170℃で乾燥させた。
【0098】
ポリマー粒子の未処理分散粒子サイズ(RDPS)は0.245μm(ミクロン)であり、標準比重は2.228であった。コポリマーのCTFE濃度の測定値は3.9mol%(4.5質量%)であった。ビーズ試料の破断強度は7.6lbsであった。
【0099】
試料のマトリックス引っ張り強度の測定値は23,991psiであった。
【0100】
実施例11
3つのブレードが付いた攪拌機を備えた50リットルの水平型重合リアクターに、1.5Kgのワックス、28Kgの脱イオン化(DI)水、18gのパーフルオロオクタン酸アンモニウム(APFO)、及び約5OgのDI水に溶解した5gのコハク酸を添加した。そのリアクター及び含有物を、ワックスの融点より高い温度で加熱した。酸素レベルを20ppm以下まで減らすまで、TFEを用いてリアクターを繰り返し減圧して加圧した(約1Atm以下まで)。水の脱酸素化を保証するために、減圧及び浄化(パージ)の循環の間にその含有物を約60rpmで手短に攪拌をした。
【0101】
減圧されたリアクターに、8mlのPFBEを帯電させて、リアクターを83℃まで加熱し、60rpmで攪拌をした。その後、圧力が2.8Mpaに達するまで、0.81MpaのCTFEを添加し、続いてTFEを添加した。2KgのTFEを消費するまで、2000mLのDI水に3gの過硫酸アンモニウム及び3gの亜硫酸水素ナトリウムを含有する溶液を40mL/minで注入した。2Kg目のTFEの添加をした後、真空装置を使ってリアクター中の圧力を50Kpaまで減圧し、2.8MpaまでフレッシュTFEで加圧した。3.0kgのTFEの全ての量を消費するまで20mL/minで追加的な開始剤溶液を再び添加した。3Kg目のTFEを消費した後は、開始剤をもう添加しなかった。
【0102】
およそ320gの20%APFO溶液を40mL単位の増量で添加し、約1KgのTFEを添加した後第一増量分を添加し、続いて約1kg毎にTFEを添加した後、増量分を添加し、最後に、8KgのTFEを反応させた後最終的な増量分を添加した。
【0103】
その後、重合反応を継続し、16KgのTFEをリアクターに添加した後、反応を停止した。生産された分散液の質量は35.0%の固形分を含有する48.07Kgであった。分散液を硝酸で凝固させて170℃で乾燥させた。
【0104】
ポリマー粒子の未処理分散粒子サイズ(RDPS)は0.178μm(ミクロン)であり、標準比重は2.247であった。コポリマーのCTFE濃度の測定値は3.1mol%(3.70質量%)であった。そして、ポリマーのPFBE濃度の測定値は0.03mol%(0.07質量%)であり、組成物中における全コポリマー濃度は3.77質量%であった。
【0105】
ビーズ試料の破断強度は3.48lbsであった。
【0106】
実施例12
3つのブレードが付いた攪拌機を備えた50リットルの水平型重合リアクターに、1.5Kgのワックス、28Kgの脱イオン化(DI)水、18gのパーフルオロオクタン酸アンモニウム(APFO)、及び約5OgのDI水に溶解した5gのコハク酸を添加した。そのリアクター及び含有物を、ワックスの融点より高い温度で加熱した。酸素レベルを20ppm以下まで減らすまで、TFEを用いてリアクターを繰り返し減圧して加圧した(約1Atm以下まで)。水の脱酸素化を保証するために、減圧及び浄化(パージ)の循環の間にその含有物を約60rpmで手短に攪拌をした。
【0107】
リアクターを83℃まで加熱し、60rpmで攪拌をした。その後、圧力が2.8Mpaに達するまで2.0MpaのVDFを添加し、続いてTFEを添加した。この時、およそ4KgのTFEを添加するまで80mL/minでDI水溶液のKMNO4(0.063g/L)を注入した。次の2KgのTFEを添加している間に、40mL/minでKMnO4を添加した。6KgのTFEを消費した後は、KMnO4をもう添加しなかった。
【0108】
およそ320gの20%APFO溶液を40mL単位の増量で添加し、約1KgのTFEを添加した後第一増量分を添加し、続いて約1kg毎にTFEを添加した後、増量分を添加し、最後に、8KgのTFEを反応させた後最終的な増量分を添加した。
【0109】
その後、重合反応を継続し、16KgのTFEをリアクターに添加した後、反応を停止した。生産された分散液の質量は31.2%の固形分を含有する48.64Kgであった。分散液を硝酸で凝固させて170℃で乾燥させた。
【0110】
ポリマー粒子の未処理分散粒子サイズ(RDPS)は0.321μm(ミクロン)であり、標準比重は2.137であった。コポリマーのVDF濃度の測定値は11.8mol%(7.90質量%)であった。
【0111】
そして、ポリマーのPFBE濃度の測定値は0.03mol%(0.07質量%)であり、組成物中における全コポリマー濃度は3.77質量%であった。
【0112】
ビーズ試料の破断強度は10.53lbsであった。試料のマトリックス引っ張り強度の測定値は37,000psiであった。
【0113】
上記の実施例によって得られた結果のまとめを表1に示す。前述の実施例は、本明細書で述べられた原理にしたがって生産されるコポリマーの好ましいある実施形態を、何の限定もなく例示するために提供される。TFEと反応することが公知であるコモノマーを組みこむ追加的なコポリマー、ターポリマー等もまた用いられ得る。これらの追加的なコモノマーを所定の濃度で添加することが可能であり、そしてTFEに対するモノマーの反応性比に基づいて減圧して又は減圧しないで反応させることが可能であり、既刊文献に記載されているように(例えば、WeIl-Architectured Fluoropolymers、Synthesis, Properties、及び、Applications、Elsevier、Amsterdam 2004、ページ209を参照されたい。)、そのこと全ては当業者にとって公知である。
【0114】
【表1】

【0115】
本発明はある実施形態及び詳細な記載に関して本明細書にて述べられるが、そのような詳細な内容から成る変形例又は変更例はこの発明の主旨から逸脱しないで生産され得ることは当該技術分野における当業者にとって明白であり、そのような変形例又は変更例は、後述される特許請求の範囲の範囲内であると考えられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
微粉タイプの延伸可能なテトラフルオロエチレン(TFE)コポリマーの共重合のための方法であって、該コポリマーが、99.0質量%以下のテトラフルオロエチレン(TFE)モノマーユニットと、1.0質量%以上のテトラフルオロエチレン以外の少なくとも1つの他のコモノマーとを含み、該他のコモノマーが、共重合を可能とするためにTFEに対する充分に高い反応性比を有するエチレン性不飽和コモノマーである方法であり、
該方法が、
(a)99.0質量%以下の該TFEモノマーを加圧型リアクターに供給し、そして、1.0質量%以上の該少なくとも1つの他のコモノマーを該加圧型リアクターに供給することによって、該加圧型リアクターで、該TFEモノマーと該少なくとも1つの他のコモノマーとを共重合をする工程であって、割合が供給されたモノマーの全質量に基づくものである、工程、
(b)フリーラジカル開始剤で該モノマーの重合を開始する工程、及び
(c)重合反応の完了前に該少なくとも1つの他のコモノマーの供給を停止する工程、並びに、選択的に、
(d)重合の完了前に該リアクターから過剰なコモノマーを除去する工程、
を含む、方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つの他のコモノマーが、エチレン、プロピレン及びイソブチレンから成る群から選択されるオレフィンである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つの他のコモノマーが、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、ビニリデンフルオリド(CFH=CH2)、ビニリデンジフルオリド(CF2=CH2)、ヘキサフルオロイソブチレン(HFIB)、トリフルオロエチレン(CF2=CFH)、
下記の一般式のフルオロジオキソール、
【化1】

(該式中、R1及びR2は、F又は少なくとも1つのフッ素を含有する1から3の炭素のアルキル基、X、YはF及び/又はHでよい。)
下記の一般式のフルオロジオキソール、
【化2】

(該式中、Rfは1から5の炭素原子のパーフルオロアルキル、R1、R2はF及び/又はCF3でよい。)、並びに、
下記の一般式のフルオロジオキサラン
【化3】

(該式中、R1、R2はF及び/又は1から5の炭素原子のパーフルオロアルキルでよい。)
から成る群から選択されるフッ素化コモノマーである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つの他のコモノマーが、パーフルオロブチルエチレン(PFBE)、パーフルオロヘキシルエチレン(PFHE)及びパーフルオロクチルエチレン(PFOE)から成る群から選択されるパーフルオロアルキルエチレンモノマーである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つの他のコモノマーがパーフルオロアルキルビニルエーテルモノマーである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記パーフルオロアルキルビニルエーテルモノマーが、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)(PMVE)、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)(PEVE)及びパーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PPVE)から成る群から選ばれる、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記工程(a)にしたがって、前記少なくとも1つの他のモノマーの2つ以上を前記加圧型リアクターに供給する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記重合でプリチャージとして、モノマー供給を導入する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つの他のモノマーを前記反応中に増加的に又は間欠的に添加する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記重合方法の反応完了の90%未満のある時点で、前記少なくとも1つの他のモノマーの供給を停止する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
少なくとも1.5質量%の前記少なくとも1つの他のコモノマーを供給する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
少なくとも2.0質量%の前記少なくとも1つの他のコモノマーを供給する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
少なくとも3.0質量%の前記少なくとも1つの他のコモノマーを供給する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
少なくとも5.0質量%の前記少なくとも1つの他のコモノマーを供給する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
ポリマーの全質量に基づいて、99.0質量%以下の重合されるテトラフルオロエチレン(TFE)モノマーユニットと、1.0質量%以上の少なくとも1つの他のコモノマーの重合されるモノマーユニットとを含む、微粉タイプの延伸可能なテトラフルオロエチレン(TFE)コポリマーであって、該他のコモノマーが、共重合を可能とするためにTFEに対する充分に高い反応性比を有するエチレン性不飽和コモノマーであり、該コポリマーがフィブリルによって相互連結されるノードによって特徴付けられる微細構造を有する多孔性材料に延伸可能である、コポリマー。
【請求項16】
前記少なくとも1つの他のコモノマーが、エチレン、プロピレン及びイソブチレンから成る群から選択されるオレフィンである、請求項15に記載のコポリマー。
【請求項17】
前記少なくとも1つの他のコモノマーが、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、ビニリデンフルオリド(CFH=CH2)、ビニリデンジフルオリド(CF2=CH2)、ヘキサフルオロイソブチレン(HFIB)、トリフルオロエチレン(CF2=CFH)、フルオロジオキソール、及びフルオロジオキサランから成る群から選択されるフッ素化モノマーである、請求項15に記載のコポリマー。
【請求項18】
前記少なくとも1つの他のコモノマーが、パーフルオロアルキルエチレンモノマーである、請求項15に記載のコポリマー。
【請求項19】
前記パーフルオロアルキルエチレンモノマーが、パーフルオロブチルエチレン(PFBE)、パーフルオロヘキシルエチレン(PFHE)及びパーフルオロクチルエチレン(PFOE)から選択される、請求項18に記載のコポリマー。
【請求項20】
前記少なくとも1つの他のコモノマーがパーフルオロアルキルビニルエーテルモノマーである、請求項15に記載のコポリマー。
【請求項21】
前記パーフルオロアルキルビニルエーテルモノマーがPMVEである、請求項20に記載のコポリマー。
【請求項22】
前記パーフルオロアルキルビニルエーテルモノマーがPEVEである、請求項20に記載のコポリマー。
【請求項23】
前記パーフルオロアルキルビニルエーテルモノマーがPPVE、請求項20に記載のコポリマー。
【請求項24】
2つ以上の他のコモノマーを含む、請求項15に記載のコポリマー。
【請求項25】
少なくとも1つの他のコモノマーの重合されるユニットの少なくとも1.5質量%を有する、請求項15に記載のコポリマー。
【請求項26】
少なくとも1つの他のコモノマーの重合されるユニットの少なくとも2.0質量%を有する、請求項15に記載のコポリマー。
【請求項27】
少なくとも1つの他のコモノマーの重合されるユニットの少なくとも3.0質量%を有する、請求項15に記載のコポリマー。
【請求項28】
少なくとも1つの他のコモノマーの重合されるユニットの少なくとも5.0質量%を有する、請求項15に記載のコポリマー。
【請求項29】
水性媒体内で分散される微粒子の形態である、請求項15に記載のコポリマー。
【請求項30】
微粉の形態である、請求項15に記載のコポリマー。
【請求項31】
請求項15に記載の延伸されたTFEコポリマーを含み、フィブリルによって相互連結されるノードの微細構造を有する多孔性材料。
【請求項32】
請求項16に記載の延伸されたTFEコポリマーを含み、フィブリルによって相互連結されるノードの微細構造を有する多孔性材料。
【請求項33】
請求項17に記載の延伸されたTFEコポリマーを含み、フィブリルによって相互連結されるノードの微細構造を有する多孔性材料。
【請求項34】
請求項18に記載の延伸されたTFEコポリマーを含み、フィブリルによって相互連結されるノードの微細構造を有する多孔性材料。
【請求項35】
請求項19に記載の延伸されたTFEコポリマーを含み、フィブリルによって相互連結されるノードの微細構造を有する多孔性材料。
【請求項36】
請求項20に記載の延伸されたTFEコポリマーを含み、フィブリルによって相互連結されるノードの微細構造を有する多孔性材料。
【請求項37】
請求項21に記載の延伸されたTFEコポリマーを含み、フィブリルによって相互連結されるノードの微細構造を有する多孔性材料。
【請求項38】
請求項22に記載の延伸されたTFEコポリマーを含み、フィブリルによって相互連結されるノードの微細構造を有する多孔性材料。
【請求項39】
請求項23に記載の延伸されたTFEコポリマーを含み、フィブリルによって相互連結されるノードの微細構造を有する多孔性材料。
【請求項40】
請求項24に記載の延伸されたTFEコポリマーを含み、フィブリルによって相互連結されるノードの微細構造を有する多孔性材料。
【請求項41】
請求項25に記載の延伸されたTFEコポリマーを含み、フィブリルによって相互連結されるノードの微細構造を有する多孔性材料。
【請求項42】
請求項26に記載の延伸されたTFEコポリマーを含み、フィブリルによって相互連結されるノードの微細構造を有する多孔性材料。
【請求項43】
請求項27に記載の延伸されたTFEコポリマーを含み、フィブリルによって相互連結されるノードの微細構造を有する多孔性材料。
【請求項44】
請求項28に記載の延伸されたTFEコポリマーを含み、フィブリルによって相互連結されるノードの微細構造を有する多孔性材料。
【請求項45】
成形物品の形態である、請求項31に記載の多孔性材料。
【請求項46】
シート又はフィルムの形態である、請求項45に記載の物品。
【請求項47】
チューブの形態である、請求項45に記載の物品。
【請求項48】
棒状の形態である、請求項45に記載の物品。
【請求項49】
連続フィラメントの形態である、請求項45に記載の物品。
【請求項50】
34.5MPa(5,000psi)を超える少なくとも1つの方向のマトリックス引っ張り強度を有する、請求項45に記載の成形物品。
【請求項51】
103.4MPa(15,000psi)を超える少なくとも1つの方向のマトリックス引っ張り強度を有する、請求項45に記載の成形物品。
【請求項52】
206.7MPa(30,000psi)を超える少なくとも1つの方向のマトリックス引っ張り強度を有する、請求項45に記載の成形物品。
【請求項53】
破損がない状態で少なくとも25:1の伸張比まで伸張することによってペースト押出可能であって延伸可能である、請求項30に記載の微粉を含む成形物品であって、該物品が34.5MPa(5,000psi)を超える少なくとも1つの方向のマトリックス引っ張り強度を有する、物品。

【図1】
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【公表番号】特表2010−540749(P2010−540749A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−527972(P2010−527972)
【出願日】平成20年10月1日(2008.10.1)
【国際出願番号】PCT/US2008/011349
【国際公開番号】WO2009/045423
【国際公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【出願人】(598123677)ゴア エンタープライズ ホールディングス,インコーポレイティド (279)
【Fターム(参考)】