説明

建具

【課題】面材と区画部材とを適切に配置して容易に組み立てることが可能な建具を提供する。
【解決手段】上下の横框と左右の縦框とが枠組みされた框体と、前記框体の内側の領域を区画する区画部材と、前記框体及び前記区画部材に保持されて前記区画部材により区画された区画領域をそれぞれ閉塞する面材と、を有し、前記框体と前記区画部材とは、前記面材の周縁部が収容される収容部を有し、前記面材は、前記框体の前記収容部にて接着されており、前記区画部材の前記収容部にて圧入され、前記区画部材は、前記框体に係止されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の面材と面材間に設けられる区画部材とを有する建具に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の面材と面材間に設けられる区画部材とを有する建具としては、例えば、左右一対の縦框と、これら縦框を上端部、中間部、及び、下端部で相互に連結する上框、下框と、でなる矩形状の框体、及び、框体の内周側の領域を区画する、例えば中桟、からなるドア框に、上部鏡板と、下部鏡板とが組み付けられた框組み建具が知られている(例えば、特許文献1参照)。この框組み建具は、縦框、上框、中桟、及び、下框に、その内縁側に、上部鏡板及び下部鏡板の周縁部を嵌め込む嵌合溝が形成されたモール部が一体的に形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−266924号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年においては、框の幅を狭くした建具が求められることがある。ところが、上記従来の框組み建具のように、上部鏡板や下部鏡板等の面材を、それらの周縁部を、縦框、上框、中桟、及び、下框に設けられた嵌合溝に嵌合して組み付ける場合には、上記框組み建具のようなモール部を設けるなどして、嵌合溝に嵌合される周縁部の幅を広くしなければならず、もって框の幅が広くなってしまうという課題がある。
【0005】
このため、框の幅を狭くするため、面材の周縁部を嵌合ではなく、縦框、上框、中桟、及び、下框に設けられた溝内にて接着することが考えられる。しかしながら、面材の全周を接着すると、組み付け時に面材を溝内にてスライドすることができないため、面材の周縁部が、当該面材を囲む框及び中桟の溝に確実に入り込むように、複数の面材と中桟とを配置することが難しいという課題がある。
【0006】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、面材と区画部材とを適切に配置して容易に組み立てることが可能な建具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するために本発明の建具は、上下の横框と左右の縦框とが枠組みされた框体と、前記框体の内側の領域を区画する区画部材と、前記框体及び前記区画部材に保持されて前記区画部材により区画された区画領域をそれぞれ閉塞する面材と、を有し、前記框体と前記区画部材とは、前記面材の周縁部が収容される収容部を有し、前記面材は、前記框体の前記収容部にて接着されており、前記区画部材の前記収容部にて圧入され、前記区画部材は、前記框体に係止されていることを特徴とする建具である。
このような建具によれば、面材は、区画部材と接着されていないので、全周が接着された面材より框体への接合が弱く、また、組み立て時に框体が矩形状に形成される前には、周縁部が収容部内に収容された状態で面材をスライドさせることが可能である。このため、面材を適切な位置に配置することが可能である。また、区画部材も框体に係止されているだけなので、面材に対して区画部材を適切な位置に配置することが可能である。このため、面材と区画部材とを適切に配置して容易に組み立てることが可能な建具を提供することが可能である。
【0008】
かかる建具であって、前記区画部材は前記左右の縦框に係止されていることが望ましい。
このような建具によれば、区画部材として左右の縦框に係止される中桟を設け、中桟により上下に区画された複数の区画領域を面材にて閉塞する障子を備えた建具を提供することが可能である。
【0009】
かかる建具であって、前記区画部材は前記上下の横框に係止されていることとしてもよい。
このような建具によれば、区画部材として上下の横框に係止される縦桟を設け、縦桟により左右に区画された複数の区画領域を面材にて閉塞する障子を備えた建具を提供することが可能である。
【0010】
かかる建具であって、前記面材は、前記区画部材の前記収容部内に設けられた面材保持部材を介して保持されていることが望ましい。
このような建具によれば、面材は面材保持部材を介して区画部材の収容部に収容されているので、単に収容部に収容されている場合より面材を強く保持することが可能である。
【0011】
かかる建具であって、前記面材保持部材は、外部に露出しないように前記収容部に収容されていることが望ましい。
このような建具によれば、面材の周縁部を保持する面材保持部材は、外部に露出しないように収容部に収容されているので、建具の意匠性を損なうことなく面材をより確実に保持することが可能である。
【0012】
かかる建具であって、前記面材は、前記区画領域に複数設けられており、前記区画領域内にて隣接する前記面材間には、前記隣接する面材を連結する連結部材が設けられており、前記連結部材は、前記隣接する面材の縁部を収容する面材収容部を有していることとしてもよい。
このような建具によれば、框体内を区画する区画部材にて区画された区画領域を連結部材にて、さらに区画し、区画領域内に複数の面材を備えることが可能である。
【0013】
かかる建具であって、前記面材は、前記連結部材の前記面材収容部内に設けられた面材保持部材を介して保持されていることが望ましい。
このような建具によれば、面材は面材保持部材を介して連結部材の面材収容部に収容されているので、連結部材においても、単に面材収容部に収容されている場合より面材を強く保持することが可能である。
【0014】
かかる建具であって、前記面材保持部材は、外部に露出しないように前記面材収容部に収容されていることが望ましい。
このような建具によれば、面材の周縁部を保持する面材保持部材は、外部に露出しないように面材収容部に収容されているので、建具の意匠性を損なうことなく面材をより確実に保持することが可能である。
【0015】
かかる建具であって、前記面材は、前記区画部材の前記収容部内に設けられ、挿入された前記面材を狭持する突起にて保持されていることとしてもよい。
このような建具によれば、面材は区画部材の収容部内に設けられた突起により狭持されているので、単に収容部に収容されている場合より面材の保持力を高めることが可能である。
【0016】
かかる建具であって、前記面材は、前記連結部材の前記面材収容部内に設けられ、挿入された前記面材を狭持する突起にて保持されていることとしてもよい。
このような建具によれば、面材は連結部材の面材収容部内に設けられた突起により狭持されているので、単に面材収容部に収容されている場合より面材の保持力を高めることが可能である。
【0017】
また、上下の横框と左右の縦框とが枠組みされた框体と、前記框体の内側の領域を区画する区画部材と、前記框体及び前記区画部材に保持されて前記区画部材により区画された区画領域をそれぞれ閉塞する面材と、を有し、前記框体と前記区画部材とは、前記面材の周縁部が収容される収容部を有し、前記面材は、前記框体及び前記区画部材の収容部にて接着され、前記区画部材は、前記框体に係止されており、前記区画部材の収容部の接着剤は、前記框体の収容部の接着剤より硬化するまでの時間が長く、粘性が低いことを特徴とする建具である。
このような建具によれば、面材の周縁部と中桟とは、硬化するまでの時間が長く、粘性が低い接着剤にて接着されているので、全周が同じ接着剤にて接着された面材より区画部材との接合が弱く、また、組み立て時に框体が矩形状に形成される前には、周縁部が収容部内に収容された状態でスライドさせることが可能である。このため、面材を適切に配置することが可能である。また、区画部材は框体に係止されているだけなので、面材に対して区画部材を適切な位置に配置することが可能である。このため、面材と区画部材とを適切に配置して容易に組み立てることが可能な建具を提供することが可能である。
【0018】
かかる建具であって、前記区画部材は、中空部を有し、前記框体は、前記区画部材が係止される係止部を有し、前記区画部材は、前記中空部に圧入もしくは係止される区画部材圧入係止部及び前記係止部に係止される被係止部を有する取付部材を介して前記框体に係止されることが望ましい。
このような建具によれば、区画部材の中空部に区画部材圧入係止部が圧入もしくは係止された取付部材の被係止部を框体の係止部に係止することにより、容易に区画部材を取り付けることが可能である。
【0019】
かかる建具であって、前記框体は、係止された前記区画部材より見込み方向に突出して、前記区画部材の縁を覆う覆い片を有していることが望ましい。
このような建具によれば、框体に係止された区画部材の縁が覆い片にて覆われるので、区画部材の縁が露出されない。また、覆い片により区画部材がガイドされるので、区画部材が框体に対して傾くことなく、適切な姿勢にて取り付けられる。このため美観に優れた建具を実現することが可能である。また、区画部材の縁が覆い片にて覆われるので、区画部材の縁近傍からの光漏れを防止することが可能である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、面材と区画部材とを適切に配置して容易に組み立てることが可能な建具を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本実施形態に係る吊下障子ユニットを示す外観図である。
【図2】吊下障子ユニットを説明するための縦断面図である。
【図3】縦框に設けられた係止部を説明するための図である。
【図4】吊下障子の横断面図である。
【図5】取付部材を説明するための斜視図である。
【図6】吊下障子の組み立て方法を説明するための図である。
【図7】区画領域に複数の面材が設けられている例を示す図である。
【図8】区画部材として縦桟が設けられている例を示す図である。
【図9】区画部材の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態に係る建具としての吊下障子ユニットについて図面を参照して説明する。本実施形態の吊下障子ユニットは、リビングルームやホールなどの空間を仕切る際に用いられる。
【0023】
以下の説明においては、建物等に取り付けられた状態の吊下障子ユニットに向かって、吊下障子の上下となる方向を上下方向、吊下障子が移動する方向であり左右となる方向を左右方向または見付け方向、仕切られる空間が連通する方向である奥行き方向を見込み方向として示す。また、吊下障子ユニットを構成する部材は、単体の状態であっても吊下障子ユニットが建物等に取り付けられた状態で上下方向、見付け方向、見込み方向等となる方向にて方向を特定して説明する。
【0024】
図1、図2に示すように、本実施形態の吊下障子ユニット10は、天井2に設けられた上レール部材11と、上レール部材11に沿って、滑動する吊下障子12と、吊下障子12を閉じた状態にて振れを規制する規制部材4と、を有している。
【0025】
上レール部材11は、図2に示すように、吊下障子12の上端部が収容されつつ吊下障子12の上部に設けられた、後述する吊り車ユニット20が収容される中空部11aが見付け方向に沿って形成されたアルミニウム製の押出成形材である。
【0026】
上レール部材11は、断面がほぼ矩形状をなす中空部11aと、中空部11aを形成し見込み方向に間隔を隔てて設けられている側壁11bの下縁から下方に延出された延出部11cと、中空部11aを形成する下板部11dに、見付け方向に沿って形成されたスリット11eと、を有し、中空部11aを形成する上板部11fが天井2にビスにて固定されている。レール部材11が天井2に固定されると下板部11d及びスリット11eが床3と対向するように配置される。
【0027】
規制部材4は、床3に設けられ、上面に突起部5を有する部材であり、突起部5が下框17に収容されることにより吊下障子12の振れが規制されるように構成されている。
そして、吊下障子12の上端部は、中空部11aを形成する下板部11dと、側壁11bの下縁から下方に延出された延出部11cと、にて形成される凹部11gに収容される。
【0028】
吊下障子12は、上下の横框としての上框16及び下框17、左右の縦框18でなる框体13と、面材としての複数の樹脂板14と、内装材でなるパネル15と、複数の樹脂板14及びパネル15の間に介在されて縦框18に係止される中桟19と、を有している。上框16、下框17、左右の縦框18、及び、中桟19は、いずれもアルミニウム製の押出成形材である。ここで、中桟19は、框体13の左右の縦框18に係止されて框体13の内側の領域を区画する区画部材に相当し、中桟19により区画された框体13の内側の各領域が区画領域に相当する。
【0029】
吊下障子12の上框16の見付け方向における両端部近傍には、移動体としての吊り車ユニット20が設けられている。
吊り車ユニット20は、上框16内から上方に突出される軸体20aと、軸体20aの上端側に回動自在に設けられた回動部20bと、回動部20bを水平方向に貫通する回転軸20cを中心に回転し、回動部20bを挟むように配置された一対のローラ20dと、軸体20aの下端側に設けられ上框16内に収容される被収容部20eを有している。
【0030】
回動部20bの上部及び一対のローラ20dが中空部11aの内部、すなわち、スリット11eにより凹部11gと連通される中空部11aに入り、スリット11eから下方に回動部20bの下部及び軸体20aが突出されている。このとき、突出された軸体20aの下端側には、被収容部20eが設けられており、上框16の端部から挿入されて係合されている。
【0031】
上レール部材11に移動自在に設けられた吊り車ユニット20の被収容部20eが上框16に圧入状態で収容されると、吊下障子12は中空部11aに吊り下げられた状態となりスリット11eに沿ってスライド可能となる。詳しくは、吊り車ユニット20の一対のローラ20dが、スリット11eを形成する中空部11aの下板部11d上を転動することにより、吊下障子12はスリット11eに沿って滑らかにスライドする。このとき、吊下障子12は、上レール部材11から吊り下げられた状態にて、吊下障子12の下端と床3との間隔が隔てられている。
【0032】
上框16と下框17とは、同一断面形状をなすほぼ長方形状の中空部材であり、框体13として枠組みされた際に、内周側に位置する面に、見込み方向のほぼ中央に樹脂板14の周縁部が収容される収容部としての収容溝16a、17aが設けられている。
【0033】
また、左右の縦框18は、同一断面形状をなし框体13の外周側に位置する中空部18dと内周側に位置し、樹脂板14、パネル15、及び、中桟19と対向する対向部18eを有している。中空部18dと対向部18eとの間には、見込み方向の両側から吊下障子12の厚み方向に窪み、使用者が指を掛ける操作凹部18fが設けられている。また、対向部18eには框体13として枠組みされた際に、内周側に位置する面に、見込み方向のほぼ中央に樹脂板14及びパネル15の周縁部が収容される収容部としての収容溝18aが設けられている。また、縦框18には、上下方向に適宜間隔を隔てて中桟19を取り付けるための取付部材30が係止される係止部18bが設けられている。本実施形態においては、5枚の樹脂板14と1枚のパネル15が設けられるため、5本の中桟19を係止するために5箇所に係止部18bが設けられている。さらに縦框18には、係止された中桟19より見込み方向に突出して、小口が当接された中桟19の縁、すなわち、縦框18と中桟19との境界部を覆う覆い片18cが設けられている。
【0034】
中桟19は、図2に示すように、見込み方向における中央にて線対称な断面をなすアルミニウム製の押出成形部材である。線対称をなす中桟19は、見込み方向における中央の両側が各々中空部19aにて形成され、上下方向における中央部が互いに対向する側に突出して繋がった形状をなしている。すなわち、中桟19の上部には下方に窪む凹部を有し、下部には上方に窪む凹部を有している。これら凹部は、樹脂板14及びパネル15の周縁部が収容される収容部19bとなる。中桟19の収容部19bは、開放されている縁部の間隔が収容部19bの内方より狭くなるように、互いに対向する側に突出する突片19cにより、樹脂板14及びパネル15の厚み程度の間隔が隔てられている。そして、中桟19の収容部19b内には、樹脂板14及びパネル15の周縁部が入り込む面材保持部材としてのガスケット22が収容されている。ガスケット22は、収容部19bの開放されている側の縁に設けられた突片19cにより収容部19b内に保持されて外部に露出しないように構成されている。
【0035】
中桟19の取付部材30は、図4、図5に示すように、中桟19の2つの中空部19aにそれぞれ圧入される中桟圧入部30aと、中桟圧入部30aの中桟19への圧入方向と反対側に突出され、縦框18が有する係止部18bに係止される被係止部30bとを有する樹脂製の部材である。
【0036】
そして、本吊下障子12は、上框16、下框17、左右の縦框18が枠組みされた框体13の左右の縦框18に5本の中桟19が取付部材30にて係止されて架け渡されて形成される6つの領域に、樹脂板14及びパネル15が嵌め込まれている。
具体的には、最も上に位置する領域に、上框16及び左右の縦框18の収容溝16a、18aに樹脂板14の周縁部が収容されて接着剤にて接着され、最も上に位置する中桟19の上側の収容部19bに収容されたガスケット22に保持されている。
【0037】
上から2番目、4番目、5番目の領域には、各領域の上下に位置する中桟19の収容部19bに収容されたガスケット22に樹脂板14の周縁部が保持されるとともに、縦框18の収容溝18aに周縁部が収容されて接着剤にて接着されている。
【0038】
上から3番目の領域には、3番目の領域の上下に位置する中桟19の収容部19bに収容されたガスケット22にパネル15の周縁部が保持されるとともに、縦框18の収容溝18aに周縁部が収容されて接着剤にて接着されている。
【0039】
最も下に位置する領域には、下框17及び左右の縦框18の収容溝17a、18aに樹脂板14の周縁部が収容されて接着剤にて接着され、最も下に位置する中桟19の下側の収容部19bに収容されたガスケット22に保持されている。
【0040】
本吊下障子12の組み立ては、例えば、図6に示すように、まず、左右の縦框18のいずれか一方の収容溝18aに接着剤を注入し、当該縦框18の上側または下側となる部位に、上側であれば、最も上の領域に嵌め付けられる樹脂板14の、下側であれば、最も下の領域に嵌め付けられる樹脂板14の、上下方向の位置を決めるための位置決め治具25を仮固定する。このとき、位置決め治具25には、縦框18の収容溝18aに注入された接着剤が付着しないように仮固定する。以下の説明では、樹脂板14等の面材を上側から順に嵌め付けていく方法について説明するが、下側から嵌め付けていく方法とは、上下の方向が相違するが組み立て方法は同じである。
【0041】
次に、最も上に配置される樹脂板(以下、第1樹脂板という)14を、縦框18の収容溝18aに収容しつつ位置決め治具25に当接させて配置する。このとき、第1樹脂板14は、位置決め治具25と反対側、すなわち下方側の角部を先に収容溝18aに挿入して傾いた状態とし、傾いた状態から位置決め治具25側の角部を位置決め治具25に沿わせるように第1樹脂板14を回転させつつ、第1樹脂板14の縦框18側の辺を収容溝18aに挿入する。
【0042】
次に、第1樹脂板14の下側の縁を収容する中桟(以下、第1中桟という)19を縦框18の、既に取り付けられた第1樹脂板14の下側の縁部を収容するように取り付ける。このとき、取り付けられる第1中桟19の上下の収容部19b内には、ガスケット22が収容されており、第1中桟19の長手方向の両端部には、取付部材30の中桟圧入部30aが圧入されて、取付部材30の被係止部30bが両端に突出している。そして、ガスケット22と取付部材30が取り付けられた第1中桟19は、一方の端部から突出している被係止部30bが、既に取り付けられている第1樹脂板14の近傍に設けられた係止部18bに係止されるとともに、上側の収容部19b内のガスケット22に第1樹脂板14の下側の縁部が挿入される。
【0043】
次に、上から2番目に配置される樹脂板(以下、第2樹脂板という)14を、縦框18の収容溝18aに収容しつつ第1中桟19に当接させて配置する。このとき、第2樹脂板14は、第1樹脂板14と同様に下方側の角部を先に収容溝18aに挿入して傾いた状態とし、傾いた状態から第1中桟19の下側の収容部19bに挿入しつつ第2樹脂板14を回転させる。そして、第2樹脂板14の縦框18側の辺を収容溝18aに挿入するとともに、第2樹脂板14の上側の縁部を第1中桟19の下側の収容部19bに挿入させてガスケット22に保持させる。
【0044】
次に、第2樹脂板14の下側の縁を収容する中桟(以下、第2中桟という)19を縦框18の、既に取り付けられた第2樹脂板14の下側の縁部を収容するように取り付ける。このとき、第2中桟19の上下の収容部19b内には、ガスケット22が収容され、長手方向の両端部には、取付部材30が取り付けられて、両端部から取付部材30の被係止部30bが突出している。そして、ガスケット22と取付部材30が取り付けられた第2中桟19は、一方の端部から突出している被係止部30bが、既に取り付けられている第2樹脂板14の近傍に設けられた係止部18bに係止されるとともに、上側の収容部19bに第2樹脂板14の下側の縁部が挿入されてガスケット22に保持される。
【0045】
このように、上側から順に、パネル15、3番目の中桟19、第3樹脂板14、4番目の中桟19、第4樹脂板14、5番目の中桟19、5番目の樹脂板(以下、第5樹脂板という)14を、上記第1、第2樹脂板14及び第1、第2中桟19の要領で取り付ける。
【0046】
そして、5枚の樹脂板14、1枚のパネル15、及び、5本の中桟19を取り付けた後に、位置決め治具25を取り外し、上框16の収容溝16aに接着剤を注入して第1樹脂板14の上側の縁部を収容するように取り付け、下框17の収容溝17aに接着剤を注入して第5樹脂板14の下側の縁部を収容するように取り付け、既に樹脂板14及びパネル15が取り付けられた縦框18と反対側の縦框18の収容溝18aに接着剤を注入して5枚の樹脂板14とパネル15の側縁部を収容するように取り付ける。
【0047】
上框16、下框17及び左右の縦框18が取り付けられた状態にて、上框16と下框17とが近づく方向にクランプし、また、左右の縦框18が互いに近づく方向にクランプして、左右方向から縦框18を貫通するビスを上框16及び下框17に螺合させることにより四方枠状に枠組みして吊下障子12が完成する。
【0048】
本実施形態の吊下障子ユニット10によれば、樹脂板14及びパネル15は、中桟19と接着されていないので、全周が接着された樹脂板14及びパネル15より上框16、下框17、左右の縦框18でなる框体13への接合が弱く、また、組み立て時に上框16及び下框17や後から取り付けられる縦框18が取り付けられる前には、樹脂板14及びパネル15の周縁部が先に取り付けられる縦框18の収容溝18a内に収容された状態でスライドさせることが可能である。このため、樹脂板14及びパネル15を適切な位置に配置することが可能である。また、中桟19も縦框18に係止されているだけなので、樹脂板14及びパネル15に対して中桟19を適切な位置に配置することが可能である。このため、樹脂板14及びパネル15と中桟19とを適切に配置して容易に組み立てることが可能な吊下障子ユニット10を提供することが可能である。
【0049】
また、樹脂板14及びパネル15はガスケット22を介して中桟19の収容部19bに収容されているので、単に収容部19bに収容されている場合より樹脂板14及びパネル15を強く保持することが可能である。
【0050】
また、樹脂板14及びパネル15の周縁部を保持するガスケット22は、外部に露出しないように収容部19bに収容されているので、吊下障子ユニット10の意匠性を損なうことなく樹脂板14及びパネル15をより確実に保持することが可能である。
【0051】
また、中桟19の中空部19aに中桟圧入部30aが圧入された取付部材30の被係止部30bを縦框18の係止部18bに係止することにより、容易に中桟19を取り付けることが可能である。
【0052】
また、縦框18に係止された中桟19の縁が、縦框18の覆い片18cにて覆われるので、中桟19の縁が露出されない。また、覆い片18cにより中桟19がガイドされるので、中桟19が框体13に対して傾くことなく、適切な姿勢にて取り付けられる。このため美観に優れた吊下障子ユニット10を実現することが可能である。また、中桟19の縁が覆い片18cにて覆われるので、中桟19の縁近傍からの光漏れを防止することが可能である。
【0053】
上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。
【0054】
上記実施形態のおいては、中桟19の収容部19bにて樹脂板14及びパネル15の縁部が接着されない例について説明したが、上框16,下框17、縦框18の収容溝16a、17a、18aに注入された接着剤より、硬化するまでの時間が長く、粘性が低い接着剤であれば接着しても構わない。このような場合には、硬化するまでの時間が長く、粘性が低い接着剤にて接着されているので、全周が框体13の収容部に注入された接着剤と同じ接着剤にて接着された樹脂板14及びパネル15より中桟19との接合が弱く、また、組み立て時に上框16及び下框17や一方の縦框18が取り付けられる前には、樹脂板14及びパネル15の周縁部が縦框18の収容溝18a内に収容された状態でスライドさせることが可能である。このため、樹脂板14及びパネル15を適切な位置に配置することが可能である。
【0055】
また、中桟19は縦框18に係止されているだけなので、樹脂板14及びパネル15に対して中桟19を適切な位置に配置することが可能である。このため、樹脂板14及びパネル15と中桟19とを適切な位置に配置して容易に組み立てることが可能な建具を提供することが可能である。
【0056】
上記実施形態においては、区画部材としの中桟19を左右の縦框18に係止して框体13の内側を区画する例について説明したが、これに限るものではない。例えば、図7に示すように、中桟19により区画された区画領域を連結部材23にて区画し、複数枚の樹脂板14等の面材を用いて区画領域を閉塞してもよい。この場合には、面材と連結部材23とを一体として予め形成しておくことにより、区画領域を1枚の面材で閉塞する場合と同様に吊下障子12を組み立てることが可能である。このとき、連結部材23にも面材の縁部を収容する面材収容部を形成し、面材収容部内にガスケット22を外部に露出しないように設けたり、硬化するまでの時間が長く、粘性が低い接着剤を注入しておくことが望ましい。
【0057】
また、図8に示すように、区画部材として中桟19と同一の部材を縦に用いて縦桟24とし、縦桟24を上框16及び下框17に縦桟24を係止して框体13の内側を区画してもよい。
【0058】
上記実施形態においては、中桟19の収容部19bにて樹脂板14及びパネル15の縁部がガスケット22にて保持される例について説明したが、図9に示すように、樹脂板14及びパネル15の縁部が、中桟19の収容部19b、縦桟24の収容部(不図示)及び連結部材23の面材収容部(不図示)内に設けられた突起19dにて狭持される構成であっても構わない。
【0059】
また、上記実施形態においては、面材を樹脂板14及びパネル15としたが、これに限らず、例えばガラス板や金属板など板状の部材であれば構わない。
【0060】
上記実施形態においては、吊下障子ユニット及び吊下障子を例に挙げて説明したが、これに限らず、例えば、引き戸や開閉障子等、複数の面材と面材間に設けられる中桟とを有する建具であれば構わない。
【符号の説明】
【0061】
10 吊下障子ユニット、12 吊下障子、13 框体、14 樹脂板、
15 パネル、16 上框、16a 収容溝、17 下框、17a 収容溝、
18 縦框、18a 収容溝、18b 係止部、18c 覆い片、19中桟、
19a 中空部、19b 収容部、19d 突起、22 ガスケット、23 連結部材、
34 縦桟、30 取付部材、30a 中桟圧入部、30b 被係止部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下の横框と左右の縦框とが枠組みされた框体と、
前記框体の内側の領域を区画する区画部材と、
前記框体及び前記区画部材に保持されて前記区画部材により区画された区画領域をそれぞれ閉塞する面材と、
を有し、
前記框体と前記区画部材とは、前記面材の周縁部が収容される収容部を有し、
前記面材は、前記框体の前記収容部にて接着されており、前記区画部材の前記収容部にて圧入され、
前記区画部材は、前記框体に係止されていることを特徴とする建具。
【請求項2】
請求項1に記載の建具であって、
前記区画部材は前記左右の縦框に係止されていることを特徴とする建具。
【請求項3】
請求項1に記載の建具であって、
前記区画部材は前記上下の横框に係止されていることを特徴とする建具。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の建具であって、
前記面材は、前記区画部材の前記収容部内に設けられた面材保持部材を介して保持されていることを特徴とする建具。
【請求項5】
請求項4に記載の建具であって、
前記面材保持部材は、外部に露出しないように前記収容部に収容されていることを特徴とする建具。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の建具であって、
前記面材は、前記区画領域に複数設けられており、前記区画領域内にて隣接する前記面材間には、前記隣接する面材を連結する連結部材が設けられており、
前記連結部材は、前記隣接する面材の縁部を収容する面材収容部を有していることを特徴とする建具。
【請求項7】
請求項6に記載の建具であって、
前記面材は、前記連結部材の前記面材収容部内に設けられた面材保持部材を介して保持されていることを特徴とする建具。
【請求項8】
請求項7に記載の建具であって、
前記面材保持部材は、外部に露出しないように前記面材収容部に収容されていることを特徴とする建具。
【請求項9】
請求項1に記載の建具であって、
前記面材は、前記区画部材の前記収容部内に設けられ、挿入された前記面材を狭持する突起にて保持されていることを特徴とする建具。
【請求項10】
請求項6に記載の建具であって、
前記面材は、前記連結部材の前記面材収容部内に設けられ、挿入された前記面材を狭持する突起にて保持されていることを特徴とする建具。
【請求項11】
上下の横框と左右の縦框とが枠組みされた框体と、
前記框体の内側の領域を区画する区画部材と、
前記框体及び前記区画部材に保持されて前記区画部材により区画された区画領域をそれぞれ閉塞する面材と、
を有し、
前記框体と前記区画部材とは、前記面材の周縁部が収容される収容部を有し、
前記面材は、前記框体及び前記区画部材の収容部にて接着され、前記区画部材は、前記框体に係止されており、
前記区画部材の収容部の接着剤は、前記框体の収容部の接着剤より硬化するまでの時間が長く、粘性が低いことを特徴とする建具。
【請求項12】
請求項1乃至請求項11のいずれかに記載の建具であって、
前記区画部材は、中空部を有し、
前記框体は、前記区画部材が係止される係止部を有し、
前記区画部材は、前記中空部に圧入もしくは係止される区画部材圧入係止部及び前記係止部に係止される被係止部を有する取付部材を介して前記框体に係止されることを特徴とする建具。
【請求項13】
請求項1乃至請求項12のいずれかに記載の建具であって、
前記框体は、係止された前記区画部材より見込み方向に突出して、前記区画部材の縁を覆う覆い片を有していることを特徴とする建具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2012−117320(P2012−117320A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−269572(P2010−269572)
【出願日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(390005267)YKK AP株式会社 (776)
【Fターム(参考)】