建物の施工方法
【課題】鉄骨基礎のメリットはそのままに、より必要作業を減らし工期を短縮しつつ、施工精度を向上させる。
【解決手段】(1)基礎スラブ10が形成される領域内の所定位置にアンカーフレーム11を設置する工程と、(2)基礎スラブ10の鉄筋を配置する工程と、(3)束20の下端レベルが基礎スラブ10の上端面の高さになるように、アンカーフレーム11の上端付近で束20を固定して当該束20を支持する工程と、(4)束20の上に梁30を載置して固定する工程と、(5)少なくとも束20の下端レベルまでコンクリート13を打設する工程と、を有する。
【解決手段】(1)基礎スラブ10が形成される領域内の所定位置にアンカーフレーム11を設置する工程と、(2)基礎スラブ10の鉄筋を配置する工程と、(3)束20の下端レベルが基礎スラブ10の上端面の高さになるように、アンカーフレーム11の上端付近で束20を固定して当該束20を支持する工程と、(4)束20の上に梁30を載置して固定する工程と、(5)少なくとも束20の下端レベルまでコンクリート13を打設する工程と、を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の施工方法に関する。さらに詳述すると、本発明は、鉄骨梁を用いた基礎の工法の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅の基礎構造の代表的な例として、建築現場でコンクリートを打設して基礎梁とフーチングを構築した凸字状の布基礎がある。この基礎構造では、住宅が木造建築の場合、基礎梁の上部に木製の土台を水平に取り付けると共に該土台に住宅の柱や根太等を取り付け、また住宅が鉄骨造の場合、基礎梁の上部に柱を取り付けると共に床パネルを載置するのが一般的である。
【0003】
上記布基礎は住宅では一般的に利用されており、極めて便利な基礎構造となっている。しかし、現場打ちコンクリートによって断面が凸字状の形状を実現するための型枠作成や施工順序を守る必要がある等の煩雑さの問題や、木製の土台や鋼製の柱を取り付ける部位となる打設されたコンクリートの天端のレベルが出し難く、脱型後、改めて天端レベル出しの作業を行なうことが必須となり、作業が煩雑となるという問題がある。
【0004】
上記問題を解決し得る住宅の基礎構造として、布基礎における立ち上がり部分(基礎梁部分)をH形鋼からなる鋼製基礎梁に代替させ、フーチングの部分はそのままコンクリートを用いた基礎が提案されている。この基礎構造は、目的の住宅の基礎伏図に従って複数の鋼製基礎梁を格子状に配置すると共に各鋼製基礎梁の端部であるいは途中で当接する接続部位をボルト等によって接合し、さらに、配置された複数の鋼製基礎梁によって区画された平面内に鉄筋を配筋した後、コンクリートを打設して鋼製基礎梁の下部部分を埋設すると共に全ての鋼製基礎梁を一体化させたベタ基礎を構成している。
【0005】
上記の如く構成された基礎構造では、鋼製基礎梁の天端が連続しており、該天端を同レベルに設定することに大きな困難はない。このため、施工後のレベル出しが不要であり且つ鋼製基礎梁の耐久性が良好であるという優れた面がある。また鋼製基礎梁の天端レベルの精度が保証されると共に連続しているため、建物の躯体を構成する柱が如何なる位置に設置される場合であっても対応することができ、且つ該柱に作用する引抜き力や圧縮力に対し充分に対抗することが出来るという優れた面もある。
【0006】
さらに、ベタ基礎とすることによって、布基礎の場合と比較して基礎の深さを浅くすることができ、土壌の掘削量を減少させて排土処理を軽減することも可能である。
【0007】
一般に、上記のごとき鉄骨基礎の利点には、天端精度調整のしやすさ、柱等の設置位置の自由度が高い、根入れが浅くできる等の点がある。また、上記のような背景の下、鉄の使用量を減らすようにした基礎構造として、例えば、コンクリート基礎梁の少なくとも端部に建物の柱を支持する支柱を取り付けるための脚部を形成し、この脚部に支柱を該支柱に作用する力に対抗し得るように一体的に取り付けた基礎構造が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−262586号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、コンクリートを打設して鋼製基礎梁を一体化させたベタ基礎の場合、凸型の基礎を形成するための型枠作成が労力と手数を要する大変なものとなる。また、基礎天のレベラー打ちが必要となり、作業が煩雑となりやすい。
【0010】
さらに、鉄骨埋め込みのベタ基礎の場合には、以下のような問題がある。すなわち、・スタッドなどを固定する作業が必要になり施工性が低下する。・鋼とコンクリートの接触面積が大きくなるため、耐久性確保のための処理が大面積で必要となる。・比較的大型の梁を使うことになるため、部材のコストが高いうえ重機が必要になる。・鋼製基礎梁によって床下が分断され、点検などの工夫が必要になる。・床下の有効深さが浅くなり、床下部材の納まりが困難になる。・玄関など天端を下げる必要のある部位では性能が低下する。といった問題である。
【0011】
本発明は、鉄骨基礎のメリット(天端精度調整のしやすさ、柱等の設置位置の自由度が高い、根入れが浅くできる等)はそのままに、より必要作業を減らし工期を短縮しつつ、施工精度を向上させることができる建物の施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
かかる課題を解決するべく本発明者は種々の検討を行った。例えば、特許文献1においては、アンカーを設置してコンクリートを打設した後に支柱をレベル出しし、隙間を非収縮性モルタルで充填するようにしており、鉄の使用量を減らすことが可能ではあるが、コンクリートの養生期間の後に非収縮性モルタル用の型枠設置作業や同モルタルの養生期間も必要となり、工期が長くなる傾向がある。また、コンクリートを打設する際、一般的に作業者は打設エリア内部に入って打設・仕上げ作業を行わなければならないため、コンクリート打設の際に他の部材を汚す可能性があり、仕上げの際に足跡を消すという余計な作業が必要になるという面もある。さらに、基礎外断熱する場合、コンクリート打設時から硬化までの間に当該断熱材が移動・変形しないよう拘束するために、大掛かりな固定具が必要になる。
【0013】
さらに、本発明者は基礎の施工手順についても検討した。受け梁(鋼製基礎梁など)の下フランジに予め梁支持部材(鋼製束など)を固着すると、以下のような問題が発生する虞がある。すなわち、コンクリート打設から硬化までの期間に、作業者等が受け梁の上に乗って作業をしたり、重量物を載置したりすることがあり、このような場合、受け梁に生ずる撓みや振動によって受け梁に固着された梁支持部材も上下に変位して未硬化のコンクリートが押圧されコンクリート基礎梁に凹みが生じる。そして、この凹みが残ったままコンクリートが硬化すると、梁支持部材とコンクリート基礎梁との間に空隙が生じてしまい、コンクリート基礎梁で受け梁からの荷重をコンクリート基礎梁に伝達するという梁支持部材の機能が果たせなくなる。
【0014】
以上のごとき検討を行い、基礎の精度を上げることに着目しつつさらに検討を重ねた本発明者は、かかる課題の解決に結び付く新たな知見を得るに至った。本発明はかかる知見に基づくもので、鉄筋コンクリート造の基礎スラブと、該基礎スラブの上端面から突設された鋼製の束と、該束に支持された鋼製の梁とを備えた建物の施工方法であって、(1)基礎スラブが形成される領域内の所定位置にアンカーフレームを設置する工程と、(2)基礎スラブの鉄筋を配置する工程と、(3)束の下端レベルが基礎スラブの上端面の高さになるように、アンカーフレームの上端付近で束を固定して当該束を支持する工程と、(4)束の上に梁を載置して固定する工程と、(5)少なくとも束の下端レベルまでコンクリートを打設する工程と、を有する。
【0015】
本発明にかかる施工方法によれば、予め束(つか)の位置決めをし、これら束の上に梁を載置して固定することで、これら梁を簡単かつ正確に固定することができ、コンクリート打設・養生時における変形を抑えることができる。すなわち、本発明では、束がアンカーフレームにて支持、固定された構造の基礎を形成することができるので、梁の撓み等の影響を受けにくい構造とし、基礎を高い精度で施工することができる。
【0016】
しかも、本発明にかかる施工方法によれば、基礎スラブと梁との間に空間が形成され小さな区画に分断されないので、コンクリート打設作業、(流し込み、均し、押さえ)が行いやすい。以上について、例えば鉄骨梁をコンクリートに埋め込む場合との比較でいえば以下のとおりである。すなわち、このように鉄骨梁をコンクリートに埋め込むと、ウェブ(後述する発明を実施するための形態の欄参照)の略中間位置より上がコンクリート天面から突出し、当該ウェブによってコンクリート打設エリアが分断されることがあるが、梁が完全にコンクリート天面の上にあれば、下フランジの下に空間ができる状態となり、基礎スラブと梁との間が小さな区画に分断されるようなことがない。
【0017】
上記のごとき建物の施工方法においては、(4)と(5)の工程の間に、梁によって形成された構面の平面的な変形を矯正するための補剛材(水平ブレース等)を取り付ける工程を有することが好ましい。補剛材を取り付けることにより、打設作業時の梁等の変形を抑制することができる。
【0018】
また、補剛材は梁の上端付近に取り付けられることが好ましい。これによれば梁等の変形抑止効果をさらに高めることができる。また、当該補剛材が梁の中間付近あるいは下端付近に取り付けられている場合よりも、基礎形成時の作業性・床下利用性がさらに向上する。
【0019】
かかる施工方法において、(5)の工程の前に、外周部に基礎スラブ外周の型枠機能を兼ねたカバー材を起立させ、該カバー材の上端を梁に係止された保持具にて保持させる工程を有することも好ましい。自由端となっているカバー材の上端部を保持具で保持させることによって、コンクリート打設の際のコンクリートによる側圧に対し梁に反力を持たせて対抗させることができ、カバー材の倒れを効果的に抑制することができる。
【0020】
また、上記(5)の工程の前に、梁を利用して作業床を掛止することも好ましい。梁を利用して作業床を掛け渡すことで打設・仕上げ時にコンクリート中に足を入れる必要がなくなり、現場を汚さない上に仕上げ時に足跡を消すという作業が不要になる。
【0021】
梁はH形鋼からなることが好ましい。
【発明の効果】
【0022】
本発明にかかる建具枠調整具及び建具枠調整構造によれば、鉄骨基礎のメリット(天端精度調整のしやすさ、柱等の設置位置の自由度が高い、根入れが浅くできる等)はそのままに、より必要作業を減らし工期を短縮しつつ、施工精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明にかかる建物の施工方法における最初の工程例(根切り、PC板設置、アンカーボルト設置)を示す斜視図である。
【図2】基礎スラブの配筋工程を示す斜視図である。
【図3】束をアンカーボルトに設置する工程を示す斜視図である。
【図4】鉄骨梁を設置する工程を示す斜視図である。
【図5】水平ブレースを設置する工程を示す斜視図である。
【図6】基礎スラブの外周部に板状断熱材等を設置する工程を示す斜視図である。
【図7】コンクリートを打設する工程を示す斜視図である。
【図8】梁上部躯体を設置する工程を示す斜視図である。
【図9】本発明にかかる施工方法により施工された建物の基礎の一例を示す断面図である。
【図10】水平ブレースが設置された状態の基礎の一例を示す断面図である。
【図11】火打を介して水平ブレースが設置された部分の鉄骨梁の構造例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の構成を図面に示す実施の形態の一例に基づいて詳細に説明する。
【0025】
図1〜図11に本発明の一実施形態を示す。本発明にかかる建物の施工方法は、鉄筋コンクリート造の基礎スラブ10と、該基礎スラブ10の上端面から突設された鋼製の束20と、該束20に支持された鋼製の梁30とを備えた工法である。本実施形態では、基礎スラブ10が形成される領域内の所定位置にアンカーフレーム11を設置し、基礎スラブ10の鉄筋12を配置し、束20の下端レベルが基礎スラブ10の上端面の高さになるように、アンカーフレーム11の上端付近で束20を固定して当該束20を支持し、束20の上に梁30を載置して固定し、少なくとも束20の下端レベルまでコンクリートを打設する。
【0026】
本実施形態において例示する建物Aは、305mmの平面モジュールを有する梁勝ち工法による2階建ての鉄骨造の工業化住宅である。ただし、これはあくまで好適な適用例であって、本発明の適用範囲がこれに限定されるものではない。
【0027】
建物Aにおいては、基礎スラブ10、基礎スラブ10の上面に載置されて固定された束20(図3等参照)、束20で支持された梁(以下、1階大梁ともいう)30(図4等参照)、1階大梁30上に載置されて固定された柱(以下、1階柱ともいう)40(図8参照)、1階柱40の上端を連結するように配置された2階梁(図示省略)、2階梁上に配置された2階柱(図示省略)、R階大梁(図示省略)、隣接する2本の柱間に設置された耐力要素等の部材が、直交する基準線(X方向基準線、Y方向基準線)の中からそれぞれ複数選択された(モジュールの整数倍の間隔となるように設定された)通りに対応して配置されて基本架構が構成されている。さらに、建物Aにおいては、小梁が適宜架け渡され、各階梁で支持されるALC(Autoclaved Light-weight Concrete;軽量気泡コンクリート)からなる床パネルにより各階床が構成され、外周部梁を利用してALC等からなる外壁パネルや開口パネルが取り付けられて外壁が構成されている。
【0028】
本実施形態において基礎スラブ10は全面的にベタ基礎形式となっている。該基礎スラブ10においては、通りに沿った所定の幅の範囲(束20からの荷重が分散する範囲であり、例えば、束20の下フランジの端縁から45度の角度で引いた斜線(図9中の破線参照)と基礎スラブ10の底面との交点の範囲)について地反力に対抗する基礎梁とみなして配筋量が算定されている(図9、図10参照)。これ以外の領域については、地反力を受ける4辺固定のスラブとみなして配筋量が決定されている。なお、本実施形態ではベタ基礎形式の基礎スラブ10を例示しているが、このようなベタ基礎形式に限定されることはなく、例えば、通りに沿って地耐力に応じた所望の幅を有するフーチング形式とすることもできる。本実施形態の基礎スラブ10の上端のレベルは、地盤面よりも高く設定されている(図9、図10参照)。
【0029】
束20は基礎スラブ10の上面に載置されて、該基礎スラブ10の上端面から突設され、上述の1階大梁30を支持する(図4等参照)。本実施形態では、基礎スラブ10に予めアンカーボルト(アンカーフレーム)11を埋設しておき(図1等参照)、このアンカーボルト11の上端部に束20を例えばナットによって接合し、固定する(図3等参照)。束20は、柱(1階柱40)から伝達される荷重を基礎スラブ10に効率よく伝達する役割を有し、少なくとも大梁30上(通り上)に立設される1階柱40の直下に設置され、ジョイントボックス21または1階大梁30の中間部の下フランジのボルト穴を用いて接合され、1階大梁30を支持する。
【0030】
束20は、アンカーボルト11の上端部に接合される下フランジ20bと、例えばジョイントボックス21が接合される上フランジ20aと、これら両フランジ20a,20bを結合する横断面が例えば十字ないしクロス形状のウェブ20cとで構成されている。このような束20は、建物Aの外周部(すなわち外壁寄りの部分)と内周部(すなわち建物Aの内部寄りの部分)とに適宜配置される。これらのうち、外周部(外通り)に配置される束20は、建物外側においては上フランジ20aと下フランジ20bの端縁位置が一致し、建物内側においては下フランジ20bが上フランジ20aよりも建物内側に向け延伸しており、延伸側のウェブ20cが上フランジ20aの端縁から下フランジ20bの端縁にかけて末広がり状に形成された形状(オフセット形状)となっている(図9等参照)。また、建物Aの入隅部および出隅部においては、外壁に沿った2方向について、下フランジ20bが上フランジ20aよりも延伸し、延伸側のウェブ20cが上フランジ20aの端縁から下フランジ20bの端縁にかけて末広がり状に形成されている束20を採用している(図3等参照)。
【0031】
このようなオフセット形状の束20を用いることにより、基礎スラブ10のより広い範囲に荷重が分散して伝達され、1階床梁30とみなせる範囲を外周束20のオフセット方向に対応して建物内側方向にオフセットさせることができる。すなわち、上述したように、本実施形態では、束20の下フランジ20bの端縁から45度の角度で引いた斜線と基礎スラブ10の底面との交点の範囲を地反力に対抗する基礎梁とみなして配筋量を算定している。したがって、下フランジ20bが上フランジ20aよりも延伸したオフセット形状の束20を用いた場合、当該下フランジ20bが延伸した長さLの分(図9参照)、基礎スラブ10の底面との交点の範囲が拡大している(図10等参照)。これによれば、1階柱40から伝達される建物荷重を建物内側方向に流すことによって建物外側方向への基礎スラブの延出寸法を小さく抑えながらも建物荷重を分散して伝達させることができ、地反力に対抗する梁とみなせる幅を狭く見積もり鉄筋の過密な配置を防ぐことができる。このように、構造計画上不利となることなく建物外周部における基礎スラブ10の延出寸法を小さく抑えることが可能となるから、例えば隣地境界との間に十分な離間寸法が確保されない場合であっても、排水管等の配設に支障を来たさず施工することができるようになる。さらに、このような構造は、内部の鉄骨部材の防錆のために止水処理を施す場合にも好適である。具体例を挙げれば、コンクリート打設前に予めカバー材(一例として、板状断熱材)を型枠(堰板)代わりに起立させておき、基礎スラブ10との密着度を向上させることにより、特段の止水処理を施さなくても、完全ではないにしろある程度の止水効果が期待できる状態とすることが可能である。さらには、RC部分や止水処理部分を地盤面から露出させないようにすることで、建物Aの外観が好ましくなくなるのを回避することが可能である。例えば、基礎スラブ10の下端まで覆うようカバー材(一例として、板状断熱材)を配置することで、外観上単一の材料で段差などもない、意匠的にも好ましい構成とすることが可能となる。
【0032】
梁30は例えばH形鋼(I形鋼と呼ばれるような形鋼を含む)からなり、その両端には先端部がL字に屈曲しボルト穴が形成されたガセットプレート34が例えば溶接により接合されている(図4等参照)。梁30には、通り上に配置される大梁(1階大梁)のみならず、床パネルを支持するために対向する大梁間に架け渡される小梁も含まれる。なお、小梁は大梁と他の小梁との間に架け渡される場合もある。
【0033】
また、梁30の上フランジ30aおよび下フランジ30bにはモジュール柱を接合するためのボルトを挿通するボルト穴30dがモジュールに基づくピッチで等間隔に穿設されている(図4等参照)。ボルト穴30dは、平面視基準線の交点上に位置するよう穿設されている。また、ウェブ30cにも他の梁30を接合するためのボルトを挿通するボルト穴30dがモジュールに基づくピッチで等間隔に穿設されている。さらに、梁30のウェブ30cには所定の間隔で大径の穴(一例として、直径125mm)30eが穿設されている(図4等参照)。
【0034】
梁(1階大梁)30の端部どうしを接合する場合、本実施形態ではジョイントボックス21を用いている(図4等参照)。ジョイントボックス21は、平面視十字状のウェブ21cの上下端に正方形の上フランジ21aおよび下フランジ21bが溶接され構成されている。このジョイントボックス21に梁30を接合する場合は、梁30のガセットプレート34の2面を直交するウェブ21cの2面に当接し、ガセットプレート34の屈曲部のボルト穴及びこれに対応するジョイントボックス21のボルト穴にボルトを挿通してボルト接合する。ひとつのジョイントボックスに対し、4方向から大梁30を接合することが可能である。
【0035】
また、小梁(図4中において符号30’で示す)を他の梁30の中間部に接合する際には、ガセットプレート34の屈曲部を当該中間部のウェブ30cの面に当接させ、ボルト接合する。なお、上記構成は、上階における梁30の構成と共通するものである。
【0036】
柱40は、通りと通りに直交する基準線との交点に配置され、上下端部がジョイントボックス21または大梁30の中間部の上下フランジ30a,30bのボルト穴30dを用いて接合される(図8参照)。
【0037】
耐力要素41は、所定の間隔(例示すれば、610mm、915mmなど)で配置された2本の柱40の内側面にボルト接合される。耐力要素41は例えば筋交い(クロスフレーム)等で構成される(図8参照)。
【0038】
水平ブレース(補剛材)31は、1階の床構面に設置されて、コンクリート打設作業時等における梁30等の変形を抑制する(図5等参照)。床構面に設置された水平ブレース31は、そのまま建物完成後の1階床の面内剛性を確保する部材となる。このような水平ブレース31を梁30の上端付近に直接または火打35を介して取り付けることとすれば、梁30等の変形抑止効果と、基礎形成時の作業性・床下利用性とをさらに向上させることが可能である(図10、図11参照)。なお、ここで例示する水平ブレース31の他、火打梁(火打土台、火打金物)等を補剛材として用いることも可能である。
【0039】
建物Aの外周部には、基礎スラブ10の端縁および外周部の梁30に沿ってカバー材が取り付けられている。本実施形態の場合、カバー材は、合成樹脂発泡体からなる板状断熱材(発泡ポリスチレンフォーム等)14、板状断熱材14の表面に塗布された樹脂モルタル等からなる。本実施形態では、板状断熱材14の上端を、梁30に係止された保持具(図示省略)にて保持し、コンクリート打設の際のコンクリートによる側圧に対し梁30に反力を持たせて対抗させるようにしている(図9、図10参照)。板状断熱材(カバー材)14は、基礎スラブ10の外周における型枠(堰板)機能を兼ねることができる。保持具は、コンクリート打設の際の仮の部材でも、恒久的な部材でもよい。なお、符号32は外壁パネルの受け金物である(図9参照)。本実施形態の受け金物32は断面が逆T字形状であり、先端が斜め下方に屈曲してシーリング材が充填できるようになっている。
【0040】
板状断熱材14は、基礎スラブ10のコンクリートの型枠(堰板)を兼ねたものであり、コンクリート打設前に予め設置される(図6参照)。したがってこの板状断熱材14の下端のレベルは基礎スラブ10の下端のレベルと同一となっている(図9等参照)。板状断熱材14を予め設置することによってコンクリートとの密着度が高まり更に基礎スラブ10の上端レベルが地盤面より高く設定されているので、建物Aの内部への水の浸入を抑制することができる。また基礎スラブ10の端縁部が露出しないので意匠的に好ましい。さらには、設備配管等を貫通させる場合、容易に加工ができるといった利点もある。
【0041】
なお、板状断熱材14と梁30との間には、板状断熱材14の上端部の建物内部側への倒れを防止する間隔保持具15が介在している。間隔保持具15としては、板状断熱材14と同じ材質の部材を採用することができる。
【0042】
続いて、建物Aの基礎の施工手順について一例を挙げつつ以下に説明する。
【0043】
まず、地盤を根伐り(根切り)し、砕石17を敷きつめ転圧する(図1参照)。根伐り底における束位置(束20が設置される位置)にPC(プレキャストコンクリート)板16を設置する(図1参照)。PC板16にアンカーボルト11の定着板18を固定したら、該定着板18にアンカーボルト11を固定する(図1参照)。
【0044】
続いて、鉄筋12を配筋する(図2参照)。本実施形態において基礎梁とみなしている部分(通りに沿った所定の幅の範囲)には、算定された配筋量に応じて鉄筋12が密に配筋される。
【0045】
その後、束20をアンカーボルト11に設置する(図3参照)。まず、アンカーボルト11に、束20を仮支持するための下部ナットをねじ入れ、束20のレベル(高さ)等を調整する。続いて、束20の下フランジ20bのボルト穴にアンカーボルト11を挿通し、更に上部ナットをねじ入れ、束20を固定する(図9等参照)。なお、図9と図10とでは、アンカーボルト11と下フランジ20bとの接合が異なっている。すなわち、図9では、外周束20に対するアンカーボルト11の位置が図10の場合よりもオフセットしているため、アンカーボルト11が外周束20のウェブ20c(末広がり状のウェブ20cと直交しているウェブ)と干渉してしまい、図10のように下フランジ20bの下ボルト穴20eにアンカーボルト11を挿通して下フランジ20bの上からナットで締結するという方法をとることができない。そこで、このような場合には、下フランジ20bに貫通しないタップ穴を設けてこれにアンカーボルト11をねじ込んで固定するようにしている(図9参照)。
【0046】
続いて、束20の上に梁30を載置し、ボルトおよびナットを用いて固定する(図4参照)。
【0047】
次に、基礎の外周部に板状断熱材14を起立させる。さらに、板状断熱材14の外面に沿って間隔保持具15を設ける(図6参照)。
【0048】
さらに、1階床構面に水平ブレース31等の補剛材を取り付け、梁30の対角寸法を確認するなどして梁位置の調整(ゆがみの補正)を行う(図5参照)。上述したように、構面の高い位置に水平ブレース(補剛材)31を設置することが好ましいが、梁30の上フランジ30aのレベルを越えると床パネルの敷設の邪魔となるので工夫が必要である。例えば、仮の水平ブレースで梁位置を調整した後に火打ち梁等で固定する等の手順を採用してもよい。
【0049】
その後、コンクリートを打設する(図7参照)。本実施形態では、束20の下端レベルに合わせてコンクリートを打設する(図9等参照)。コンクリートの養生後、梁上部躯体(1階柱40等)を設置することができる(図8参照)。
【0050】
なお、コンクリートの打設工程の前に、梁30を利用して作業床(道板)33を掛止してもよい(図7参照)。梁30を利用して作業床33を掛け渡すことで打設・仕上げ時に作業者がコンクリート中に足を踏み入れなくて済み、現場を汚さない上に仕上げ時に足跡を消すという作業が不要になる。なお、当該作業床33を梁30の下フランジ30bに掛け渡すとウェブ30cで長手方向の移動が拘束され、ずれ落ちないように、より確実に掛止することができる。
【0051】
本実施形態にかかる建物Aの施工方法によれば、アンカーボルト(アンカーフレーム)11によって束20を支持し、予め位置決めされた状態の該束20で基礎を形成することができるので、梁30の撓み等の影響を受けにくい構造とし、基礎を高い精度で施工することができる。このような施工方法によれば、鉄骨基礎のメリット(天端精度調整のしやすさ、柱40等の設置位置の自由度が高い、根入れが浅くできる等)はそのままに、必要作業を減らし工期を短縮しつつ、施工精度を向上させることができる。
【0052】
なお、上述の実施形態は本発明の好適な実施の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば上述した実施形態では、束20を基礎スラブ10に固定する方法としてアンカーボルト11を利用したが、これに替え、埋め込み式のナットとボルトによって該束20を固定するように構成することもできる。このように構成した場合、ボルトを取りはずすことで束20の横方向の拘束をするものがなくなり、例えば増改築に伴って柱を移動、追加する際に、束20についても容易に撤去することができる。
【0053】
さらには、基礎スラブ10と束20との接合が、基礎スラブ10に埋設され突設したアンカーボルト11とナットによるものである場合にも、例えば束20の下フランジ20bに略U字状の半閉塞ボルト穴を形成し、ナットを緩めることにより束20を横方向に移動しうるように構成することもできる。こうした場合、当該束20を容易に撤去することができるから、束20の移動(または新設)が予定される所定の位置に予めアンカーボルト11を埋設しておくか、あるいは後施工することによって当該20の移動(または新設)を可能とすることができる。
【0054】
また、この場合における移動先(または新設部分)での束20の基礎スラブ10への固定は、移動(または新設)が想定される位置に予め埋め込み式ナットを埋設しておくか、あるいは後施工してこれらを利用するようにしてもよい。例えば凸形フーチング基礎の天端にアンカーを後設置する場合と比較すると、凸形フーチング基礎の立ち上がり幅は15cm程度となっているのが一般的であるが、このような場合と比べ、上述した実施形態の施工方法によれば、埋め込み式ナットを後施工した場合であっても、基礎立ち上り部に比べて広い面に施工できるので、穿孔作業時に基礎の縁が欠け落ちたりすることが少ないため施工がしやすく、引き抜き強度も大きくすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、鉄筋コンクリート造の基礎スラブと、該基礎スラブの上端面から突設された鋼製の束と、該束に支持された鋼製の梁とを備えた建物の施工に適用して好適である。
【符号の説明】
【0056】
10…基礎スラブ、11…アンカーボルト(アンカーフレーム)、12…鉄筋、13…コンクリート、14…板状断熱材(カバー材)、20…束、30…1階大梁(梁)、31…水平ブレース(補剛材)、32…保持具、33…作業床、A…建物
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の施工方法に関する。さらに詳述すると、本発明は、鉄骨梁を用いた基礎の工法の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅の基礎構造の代表的な例として、建築現場でコンクリートを打設して基礎梁とフーチングを構築した凸字状の布基礎がある。この基礎構造では、住宅が木造建築の場合、基礎梁の上部に木製の土台を水平に取り付けると共に該土台に住宅の柱や根太等を取り付け、また住宅が鉄骨造の場合、基礎梁の上部に柱を取り付けると共に床パネルを載置するのが一般的である。
【0003】
上記布基礎は住宅では一般的に利用されており、極めて便利な基礎構造となっている。しかし、現場打ちコンクリートによって断面が凸字状の形状を実現するための型枠作成や施工順序を守る必要がある等の煩雑さの問題や、木製の土台や鋼製の柱を取り付ける部位となる打設されたコンクリートの天端のレベルが出し難く、脱型後、改めて天端レベル出しの作業を行なうことが必須となり、作業が煩雑となるという問題がある。
【0004】
上記問題を解決し得る住宅の基礎構造として、布基礎における立ち上がり部分(基礎梁部分)をH形鋼からなる鋼製基礎梁に代替させ、フーチングの部分はそのままコンクリートを用いた基礎が提案されている。この基礎構造は、目的の住宅の基礎伏図に従って複数の鋼製基礎梁を格子状に配置すると共に各鋼製基礎梁の端部であるいは途中で当接する接続部位をボルト等によって接合し、さらに、配置された複数の鋼製基礎梁によって区画された平面内に鉄筋を配筋した後、コンクリートを打設して鋼製基礎梁の下部部分を埋設すると共に全ての鋼製基礎梁を一体化させたベタ基礎を構成している。
【0005】
上記の如く構成された基礎構造では、鋼製基礎梁の天端が連続しており、該天端を同レベルに設定することに大きな困難はない。このため、施工後のレベル出しが不要であり且つ鋼製基礎梁の耐久性が良好であるという優れた面がある。また鋼製基礎梁の天端レベルの精度が保証されると共に連続しているため、建物の躯体を構成する柱が如何なる位置に設置される場合であっても対応することができ、且つ該柱に作用する引抜き力や圧縮力に対し充分に対抗することが出来るという優れた面もある。
【0006】
さらに、ベタ基礎とすることによって、布基礎の場合と比較して基礎の深さを浅くすることができ、土壌の掘削量を減少させて排土処理を軽減することも可能である。
【0007】
一般に、上記のごとき鉄骨基礎の利点には、天端精度調整のしやすさ、柱等の設置位置の自由度が高い、根入れが浅くできる等の点がある。また、上記のような背景の下、鉄の使用量を減らすようにした基礎構造として、例えば、コンクリート基礎梁の少なくとも端部に建物の柱を支持する支柱を取り付けるための脚部を形成し、この脚部に支柱を該支柱に作用する力に対抗し得るように一体的に取り付けた基礎構造が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−262586号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、コンクリートを打設して鋼製基礎梁を一体化させたベタ基礎の場合、凸型の基礎を形成するための型枠作成が労力と手数を要する大変なものとなる。また、基礎天のレベラー打ちが必要となり、作業が煩雑となりやすい。
【0010】
さらに、鉄骨埋め込みのベタ基礎の場合には、以下のような問題がある。すなわち、・スタッドなどを固定する作業が必要になり施工性が低下する。・鋼とコンクリートの接触面積が大きくなるため、耐久性確保のための処理が大面積で必要となる。・比較的大型の梁を使うことになるため、部材のコストが高いうえ重機が必要になる。・鋼製基礎梁によって床下が分断され、点検などの工夫が必要になる。・床下の有効深さが浅くなり、床下部材の納まりが困難になる。・玄関など天端を下げる必要のある部位では性能が低下する。といった問題である。
【0011】
本発明は、鉄骨基礎のメリット(天端精度調整のしやすさ、柱等の設置位置の自由度が高い、根入れが浅くできる等)はそのままに、より必要作業を減らし工期を短縮しつつ、施工精度を向上させることができる建物の施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
かかる課題を解決するべく本発明者は種々の検討を行った。例えば、特許文献1においては、アンカーを設置してコンクリートを打設した後に支柱をレベル出しし、隙間を非収縮性モルタルで充填するようにしており、鉄の使用量を減らすことが可能ではあるが、コンクリートの養生期間の後に非収縮性モルタル用の型枠設置作業や同モルタルの養生期間も必要となり、工期が長くなる傾向がある。また、コンクリートを打設する際、一般的に作業者は打設エリア内部に入って打設・仕上げ作業を行わなければならないため、コンクリート打設の際に他の部材を汚す可能性があり、仕上げの際に足跡を消すという余計な作業が必要になるという面もある。さらに、基礎外断熱する場合、コンクリート打設時から硬化までの間に当該断熱材が移動・変形しないよう拘束するために、大掛かりな固定具が必要になる。
【0013】
さらに、本発明者は基礎の施工手順についても検討した。受け梁(鋼製基礎梁など)の下フランジに予め梁支持部材(鋼製束など)を固着すると、以下のような問題が発生する虞がある。すなわち、コンクリート打設から硬化までの期間に、作業者等が受け梁の上に乗って作業をしたり、重量物を載置したりすることがあり、このような場合、受け梁に生ずる撓みや振動によって受け梁に固着された梁支持部材も上下に変位して未硬化のコンクリートが押圧されコンクリート基礎梁に凹みが生じる。そして、この凹みが残ったままコンクリートが硬化すると、梁支持部材とコンクリート基礎梁との間に空隙が生じてしまい、コンクリート基礎梁で受け梁からの荷重をコンクリート基礎梁に伝達するという梁支持部材の機能が果たせなくなる。
【0014】
以上のごとき検討を行い、基礎の精度を上げることに着目しつつさらに検討を重ねた本発明者は、かかる課題の解決に結び付く新たな知見を得るに至った。本発明はかかる知見に基づくもので、鉄筋コンクリート造の基礎スラブと、該基礎スラブの上端面から突設された鋼製の束と、該束に支持された鋼製の梁とを備えた建物の施工方法であって、(1)基礎スラブが形成される領域内の所定位置にアンカーフレームを設置する工程と、(2)基礎スラブの鉄筋を配置する工程と、(3)束の下端レベルが基礎スラブの上端面の高さになるように、アンカーフレームの上端付近で束を固定して当該束を支持する工程と、(4)束の上に梁を載置して固定する工程と、(5)少なくとも束の下端レベルまでコンクリートを打設する工程と、を有する。
【0015】
本発明にかかる施工方法によれば、予め束(つか)の位置決めをし、これら束の上に梁を載置して固定することで、これら梁を簡単かつ正確に固定することができ、コンクリート打設・養生時における変形を抑えることができる。すなわち、本発明では、束がアンカーフレームにて支持、固定された構造の基礎を形成することができるので、梁の撓み等の影響を受けにくい構造とし、基礎を高い精度で施工することができる。
【0016】
しかも、本発明にかかる施工方法によれば、基礎スラブと梁との間に空間が形成され小さな区画に分断されないので、コンクリート打設作業、(流し込み、均し、押さえ)が行いやすい。以上について、例えば鉄骨梁をコンクリートに埋め込む場合との比較でいえば以下のとおりである。すなわち、このように鉄骨梁をコンクリートに埋め込むと、ウェブ(後述する発明を実施するための形態の欄参照)の略中間位置より上がコンクリート天面から突出し、当該ウェブによってコンクリート打設エリアが分断されることがあるが、梁が完全にコンクリート天面の上にあれば、下フランジの下に空間ができる状態となり、基礎スラブと梁との間が小さな区画に分断されるようなことがない。
【0017】
上記のごとき建物の施工方法においては、(4)と(5)の工程の間に、梁によって形成された構面の平面的な変形を矯正するための補剛材(水平ブレース等)を取り付ける工程を有することが好ましい。補剛材を取り付けることにより、打設作業時の梁等の変形を抑制することができる。
【0018】
また、補剛材は梁の上端付近に取り付けられることが好ましい。これによれば梁等の変形抑止効果をさらに高めることができる。また、当該補剛材が梁の中間付近あるいは下端付近に取り付けられている場合よりも、基礎形成時の作業性・床下利用性がさらに向上する。
【0019】
かかる施工方法において、(5)の工程の前に、外周部に基礎スラブ外周の型枠機能を兼ねたカバー材を起立させ、該カバー材の上端を梁に係止された保持具にて保持させる工程を有することも好ましい。自由端となっているカバー材の上端部を保持具で保持させることによって、コンクリート打設の際のコンクリートによる側圧に対し梁に反力を持たせて対抗させることができ、カバー材の倒れを効果的に抑制することができる。
【0020】
また、上記(5)の工程の前に、梁を利用して作業床を掛止することも好ましい。梁を利用して作業床を掛け渡すことで打設・仕上げ時にコンクリート中に足を入れる必要がなくなり、現場を汚さない上に仕上げ時に足跡を消すという作業が不要になる。
【0021】
梁はH形鋼からなることが好ましい。
【発明の効果】
【0022】
本発明にかかる建具枠調整具及び建具枠調整構造によれば、鉄骨基礎のメリット(天端精度調整のしやすさ、柱等の設置位置の自由度が高い、根入れが浅くできる等)はそのままに、より必要作業を減らし工期を短縮しつつ、施工精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明にかかる建物の施工方法における最初の工程例(根切り、PC板設置、アンカーボルト設置)を示す斜視図である。
【図2】基礎スラブの配筋工程を示す斜視図である。
【図3】束をアンカーボルトに設置する工程を示す斜視図である。
【図4】鉄骨梁を設置する工程を示す斜視図である。
【図5】水平ブレースを設置する工程を示す斜視図である。
【図6】基礎スラブの外周部に板状断熱材等を設置する工程を示す斜視図である。
【図7】コンクリートを打設する工程を示す斜視図である。
【図8】梁上部躯体を設置する工程を示す斜視図である。
【図9】本発明にかかる施工方法により施工された建物の基礎の一例を示す断面図である。
【図10】水平ブレースが設置された状態の基礎の一例を示す断面図である。
【図11】火打を介して水平ブレースが設置された部分の鉄骨梁の構造例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の構成を図面に示す実施の形態の一例に基づいて詳細に説明する。
【0025】
図1〜図11に本発明の一実施形態を示す。本発明にかかる建物の施工方法は、鉄筋コンクリート造の基礎スラブ10と、該基礎スラブ10の上端面から突設された鋼製の束20と、該束20に支持された鋼製の梁30とを備えた工法である。本実施形態では、基礎スラブ10が形成される領域内の所定位置にアンカーフレーム11を設置し、基礎スラブ10の鉄筋12を配置し、束20の下端レベルが基礎スラブ10の上端面の高さになるように、アンカーフレーム11の上端付近で束20を固定して当該束20を支持し、束20の上に梁30を載置して固定し、少なくとも束20の下端レベルまでコンクリートを打設する。
【0026】
本実施形態において例示する建物Aは、305mmの平面モジュールを有する梁勝ち工法による2階建ての鉄骨造の工業化住宅である。ただし、これはあくまで好適な適用例であって、本発明の適用範囲がこれに限定されるものではない。
【0027】
建物Aにおいては、基礎スラブ10、基礎スラブ10の上面に載置されて固定された束20(図3等参照)、束20で支持された梁(以下、1階大梁ともいう)30(図4等参照)、1階大梁30上に載置されて固定された柱(以下、1階柱ともいう)40(図8参照)、1階柱40の上端を連結するように配置された2階梁(図示省略)、2階梁上に配置された2階柱(図示省略)、R階大梁(図示省略)、隣接する2本の柱間に設置された耐力要素等の部材が、直交する基準線(X方向基準線、Y方向基準線)の中からそれぞれ複数選択された(モジュールの整数倍の間隔となるように設定された)通りに対応して配置されて基本架構が構成されている。さらに、建物Aにおいては、小梁が適宜架け渡され、各階梁で支持されるALC(Autoclaved Light-weight Concrete;軽量気泡コンクリート)からなる床パネルにより各階床が構成され、外周部梁を利用してALC等からなる外壁パネルや開口パネルが取り付けられて外壁が構成されている。
【0028】
本実施形態において基礎スラブ10は全面的にベタ基礎形式となっている。該基礎スラブ10においては、通りに沿った所定の幅の範囲(束20からの荷重が分散する範囲であり、例えば、束20の下フランジの端縁から45度の角度で引いた斜線(図9中の破線参照)と基礎スラブ10の底面との交点の範囲)について地反力に対抗する基礎梁とみなして配筋量が算定されている(図9、図10参照)。これ以外の領域については、地反力を受ける4辺固定のスラブとみなして配筋量が決定されている。なお、本実施形態ではベタ基礎形式の基礎スラブ10を例示しているが、このようなベタ基礎形式に限定されることはなく、例えば、通りに沿って地耐力に応じた所望の幅を有するフーチング形式とすることもできる。本実施形態の基礎スラブ10の上端のレベルは、地盤面よりも高く設定されている(図9、図10参照)。
【0029】
束20は基礎スラブ10の上面に載置されて、該基礎スラブ10の上端面から突設され、上述の1階大梁30を支持する(図4等参照)。本実施形態では、基礎スラブ10に予めアンカーボルト(アンカーフレーム)11を埋設しておき(図1等参照)、このアンカーボルト11の上端部に束20を例えばナットによって接合し、固定する(図3等参照)。束20は、柱(1階柱40)から伝達される荷重を基礎スラブ10に効率よく伝達する役割を有し、少なくとも大梁30上(通り上)に立設される1階柱40の直下に設置され、ジョイントボックス21または1階大梁30の中間部の下フランジのボルト穴を用いて接合され、1階大梁30を支持する。
【0030】
束20は、アンカーボルト11の上端部に接合される下フランジ20bと、例えばジョイントボックス21が接合される上フランジ20aと、これら両フランジ20a,20bを結合する横断面が例えば十字ないしクロス形状のウェブ20cとで構成されている。このような束20は、建物Aの外周部(すなわち外壁寄りの部分)と内周部(すなわち建物Aの内部寄りの部分)とに適宜配置される。これらのうち、外周部(外通り)に配置される束20は、建物外側においては上フランジ20aと下フランジ20bの端縁位置が一致し、建物内側においては下フランジ20bが上フランジ20aよりも建物内側に向け延伸しており、延伸側のウェブ20cが上フランジ20aの端縁から下フランジ20bの端縁にかけて末広がり状に形成された形状(オフセット形状)となっている(図9等参照)。また、建物Aの入隅部および出隅部においては、外壁に沿った2方向について、下フランジ20bが上フランジ20aよりも延伸し、延伸側のウェブ20cが上フランジ20aの端縁から下フランジ20bの端縁にかけて末広がり状に形成されている束20を採用している(図3等参照)。
【0031】
このようなオフセット形状の束20を用いることにより、基礎スラブ10のより広い範囲に荷重が分散して伝達され、1階床梁30とみなせる範囲を外周束20のオフセット方向に対応して建物内側方向にオフセットさせることができる。すなわち、上述したように、本実施形態では、束20の下フランジ20bの端縁から45度の角度で引いた斜線と基礎スラブ10の底面との交点の範囲を地反力に対抗する基礎梁とみなして配筋量を算定している。したがって、下フランジ20bが上フランジ20aよりも延伸したオフセット形状の束20を用いた場合、当該下フランジ20bが延伸した長さLの分(図9参照)、基礎スラブ10の底面との交点の範囲が拡大している(図10等参照)。これによれば、1階柱40から伝達される建物荷重を建物内側方向に流すことによって建物外側方向への基礎スラブの延出寸法を小さく抑えながらも建物荷重を分散して伝達させることができ、地反力に対抗する梁とみなせる幅を狭く見積もり鉄筋の過密な配置を防ぐことができる。このように、構造計画上不利となることなく建物外周部における基礎スラブ10の延出寸法を小さく抑えることが可能となるから、例えば隣地境界との間に十分な離間寸法が確保されない場合であっても、排水管等の配設に支障を来たさず施工することができるようになる。さらに、このような構造は、内部の鉄骨部材の防錆のために止水処理を施す場合にも好適である。具体例を挙げれば、コンクリート打設前に予めカバー材(一例として、板状断熱材)を型枠(堰板)代わりに起立させておき、基礎スラブ10との密着度を向上させることにより、特段の止水処理を施さなくても、完全ではないにしろある程度の止水効果が期待できる状態とすることが可能である。さらには、RC部分や止水処理部分を地盤面から露出させないようにすることで、建物Aの外観が好ましくなくなるのを回避することが可能である。例えば、基礎スラブ10の下端まで覆うようカバー材(一例として、板状断熱材)を配置することで、外観上単一の材料で段差などもない、意匠的にも好ましい構成とすることが可能となる。
【0032】
梁30は例えばH形鋼(I形鋼と呼ばれるような形鋼を含む)からなり、その両端には先端部がL字に屈曲しボルト穴が形成されたガセットプレート34が例えば溶接により接合されている(図4等参照)。梁30には、通り上に配置される大梁(1階大梁)のみならず、床パネルを支持するために対向する大梁間に架け渡される小梁も含まれる。なお、小梁は大梁と他の小梁との間に架け渡される場合もある。
【0033】
また、梁30の上フランジ30aおよび下フランジ30bにはモジュール柱を接合するためのボルトを挿通するボルト穴30dがモジュールに基づくピッチで等間隔に穿設されている(図4等参照)。ボルト穴30dは、平面視基準線の交点上に位置するよう穿設されている。また、ウェブ30cにも他の梁30を接合するためのボルトを挿通するボルト穴30dがモジュールに基づくピッチで等間隔に穿設されている。さらに、梁30のウェブ30cには所定の間隔で大径の穴(一例として、直径125mm)30eが穿設されている(図4等参照)。
【0034】
梁(1階大梁)30の端部どうしを接合する場合、本実施形態ではジョイントボックス21を用いている(図4等参照)。ジョイントボックス21は、平面視十字状のウェブ21cの上下端に正方形の上フランジ21aおよび下フランジ21bが溶接され構成されている。このジョイントボックス21に梁30を接合する場合は、梁30のガセットプレート34の2面を直交するウェブ21cの2面に当接し、ガセットプレート34の屈曲部のボルト穴及びこれに対応するジョイントボックス21のボルト穴にボルトを挿通してボルト接合する。ひとつのジョイントボックスに対し、4方向から大梁30を接合することが可能である。
【0035】
また、小梁(図4中において符号30’で示す)を他の梁30の中間部に接合する際には、ガセットプレート34の屈曲部を当該中間部のウェブ30cの面に当接させ、ボルト接合する。なお、上記構成は、上階における梁30の構成と共通するものである。
【0036】
柱40は、通りと通りに直交する基準線との交点に配置され、上下端部がジョイントボックス21または大梁30の中間部の上下フランジ30a,30bのボルト穴30dを用いて接合される(図8参照)。
【0037】
耐力要素41は、所定の間隔(例示すれば、610mm、915mmなど)で配置された2本の柱40の内側面にボルト接合される。耐力要素41は例えば筋交い(クロスフレーム)等で構成される(図8参照)。
【0038】
水平ブレース(補剛材)31は、1階の床構面に設置されて、コンクリート打設作業時等における梁30等の変形を抑制する(図5等参照)。床構面に設置された水平ブレース31は、そのまま建物完成後の1階床の面内剛性を確保する部材となる。このような水平ブレース31を梁30の上端付近に直接または火打35を介して取り付けることとすれば、梁30等の変形抑止効果と、基礎形成時の作業性・床下利用性とをさらに向上させることが可能である(図10、図11参照)。なお、ここで例示する水平ブレース31の他、火打梁(火打土台、火打金物)等を補剛材として用いることも可能である。
【0039】
建物Aの外周部には、基礎スラブ10の端縁および外周部の梁30に沿ってカバー材が取り付けられている。本実施形態の場合、カバー材は、合成樹脂発泡体からなる板状断熱材(発泡ポリスチレンフォーム等)14、板状断熱材14の表面に塗布された樹脂モルタル等からなる。本実施形態では、板状断熱材14の上端を、梁30に係止された保持具(図示省略)にて保持し、コンクリート打設の際のコンクリートによる側圧に対し梁30に反力を持たせて対抗させるようにしている(図9、図10参照)。板状断熱材(カバー材)14は、基礎スラブ10の外周における型枠(堰板)機能を兼ねることができる。保持具は、コンクリート打設の際の仮の部材でも、恒久的な部材でもよい。なお、符号32は外壁パネルの受け金物である(図9参照)。本実施形態の受け金物32は断面が逆T字形状であり、先端が斜め下方に屈曲してシーリング材が充填できるようになっている。
【0040】
板状断熱材14は、基礎スラブ10のコンクリートの型枠(堰板)を兼ねたものであり、コンクリート打設前に予め設置される(図6参照)。したがってこの板状断熱材14の下端のレベルは基礎スラブ10の下端のレベルと同一となっている(図9等参照)。板状断熱材14を予め設置することによってコンクリートとの密着度が高まり更に基礎スラブ10の上端レベルが地盤面より高く設定されているので、建物Aの内部への水の浸入を抑制することができる。また基礎スラブ10の端縁部が露出しないので意匠的に好ましい。さらには、設備配管等を貫通させる場合、容易に加工ができるといった利点もある。
【0041】
なお、板状断熱材14と梁30との間には、板状断熱材14の上端部の建物内部側への倒れを防止する間隔保持具15が介在している。間隔保持具15としては、板状断熱材14と同じ材質の部材を採用することができる。
【0042】
続いて、建物Aの基礎の施工手順について一例を挙げつつ以下に説明する。
【0043】
まず、地盤を根伐り(根切り)し、砕石17を敷きつめ転圧する(図1参照)。根伐り底における束位置(束20が設置される位置)にPC(プレキャストコンクリート)板16を設置する(図1参照)。PC板16にアンカーボルト11の定着板18を固定したら、該定着板18にアンカーボルト11を固定する(図1参照)。
【0044】
続いて、鉄筋12を配筋する(図2参照)。本実施形態において基礎梁とみなしている部分(通りに沿った所定の幅の範囲)には、算定された配筋量に応じて鉄筋12が密に配筋される。
【0045】
その後、束20をアンカーボルト11に設置する(図3参照)。まず、アンカーボルト11に、束20を仮支持するための下部ナットをねじ入れ、束20のレベル(高さ)等を調整する。続いて、束20の下フランジ20bのボルト穴にアンカーボルト11を挿通し、更に上部ナットをねじ入れ、束20を固定する(図9等参照)。なお、図9と図10とでは、アンカーボルト11と下フランジ20bとの接合が異なっている。すなわち、図9では、外周束20に対するアンカーボルト11の位置が図10の場合よりもオフセットしているため、アンカーボルト11が外周束20のウェブ20c(末広がり状のウェブ20cと直交しているウェブ)と干渉してしまい、図10のように下フランジ20bの下ボルト穴20eにアンカーボルト11を挿通して下フランジ20bの上からナットで締結するという方法をとることができない。そこで、このような場合には、下フランジ20bに貫通しないタップ穴を設けてこれにアンカーボルト11をねじ込んで固定するようにしている(図9参照)。
【0046】
続いて、束20の上に梁30を載置し、ボルトおよびナットを用いて固定する(図4参照)。
【0047】
次に、基礎の外周部に板状断熱材14を起立させる。さらに、板状断熱材14の外面に沿って間隔保持具15を設ける(図6参照)。
【0048】
さらに、1階床構面に水平ブレース31等の補剛材を取り付け、梁30の対角寸法を確認するなどして梁位置の調整(ゆがみの補正)を行う(図5参照)。上述したように、構面の高い位置に水平ブレース(補剛材)31を設置することが好ましいが、梁30の上フランジ30aのレベルを越えると床パネルの敷設の邪魔となるので工夫が必要である。例えば、仮の水平ブレースで梁位置を調整した後に火打ち梁等で固定する等の手順を採用してもよい。
【0049】
その後、コンクリートを打設する(図7参照)。本実施形態では、束20の下端レベルに合わせてコンクリートを打設する(図9等参照)。コンクリートの養生後、梁上部躯体(1階柱40等)を設置することができる(図8参照)。
【0050】
なお、コンクリートの打設工程の前に、梁30を利用して作業床(道板)33を掛止してもよい(図7参照)。梁30を利用して作業床33を掛け渡すことで打設・仕上げ時に作業者がコンクリート中に足を踏み入れなくて済み、現場を汚さない上に仕上げ時に足跡を消すという作業が不要になる。なお、当該作業床33を梁30の下フランジ30bに掛け渡すとウェブ30cで長手方向の移動が拘束され、ずれ落ちないように、より確実に掛止することができる。
【0051】
本実施形態にかかる建物Aの施工方法によれば、アンカーボルト(アンカーフレーム)11によって束20を支持し、予め位置決めされた状態の該束20で基礎を形成することができるので、梁30の撓み等の影響を受けにくい構造とし、基礎を高い精度で施工することができる。このような施工方法によれば、鉄骨基礎のメリット(天端精度調整のしやすさ、柱40等の設置位置の自由度が高い、根入れが浅くできる等)はそのままに、必要作業を減らし工期を短縮しつつ、施工精度を向上させることができる。
【0052】
なお、上述の実施形態は本発明の好適な実施の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば上述した実施形態では、束20を基礎スラブ10に固定する方法としてアンカーボルト11を利用したが、これに替え、埋め込み式のナットとボルトによって該束20を固定するように構成することもできる。このように構成した場合、ボルトを取りはずすことで束20の横方向の拘束をするものがなくなり、例えば増改築に伴って柱を移動、追加する際に、束20についても容易に撤去することができる。
【0053】
さらには、基礎スラブ10と束20との接合が、基礎スラブ10に埋設され突設したアンカーボルト11とナットによるものである場合にも、例えば束20の下フランジ20bに略U字状の半閉塞ボルト穴を形成し、ナットを緩めることにより束20を横方向に移動しうるように構成することもできる。こうした場合、当該束20を容易に撤去することができるから、束20の移動(または新設)が予定される所定の位置に予めアンカーボルト11を埋設しておくか、あるいは後施工することによって当該20の移動(または新設)を可能とすることができる。
【0054】
また、この場合における移動先(または新設部分)での束20の基礎スラブ10への固定は、移動(または新設)が想定される位置に予め埋め込み式ナットを埋設しておくか、あるいは後施工してこれらを利用するようにしてもよい。例えば凸形フーチング基礎の天端にアンカーを後設置する場合と比較すると、凸形フーチング基礎の立ち上がり幅は15cm程度となっているのが一般的であるが、このような場合と比べ、上述した実施形態の施工方法によれば、埋め込み式ナットを後施工した場合であっても、基礎立ち上り部に比べて広い面に施工できるので、穿孔作業時に基礎の縁が欠け落ちたりすることが少ないため施工がしやすく、引き抜き強度も大きくすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、鉄筋コンクリート造の基礎スラブと、該基礎スラブの上端面から突設された鋼製の束と、該束に支持された鋼製の梁とを備えた建物の施工に適用して好適である。
【符号の説明】
【0056】
10…基礎スラブ、11…アンカーボルト(アンカーフレーム)、12…鉄筋、13…コンクリート、14…板状断熱材(カバー材)、20…束、30…1階大梁(梁)、31…水平ブレース(補剛材)、32…保持具、33…作業床、A…建物
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄筋コンクリート造の基礎スラブと、該基礎スラブの上端面から突設された鋼製の束と、該束に支持された鋼製の梁とを備えた建物の施工方法であって、
(1)前記基礎スラブが形成される領域内の所定位置にアンカーフレームを設置する工程と、
(2)前記基礎スラブの鉄筋を配置する工程と、
(3)前記束の下端レベルが前記基礎スラブの上端面の高さになるように、前記アンカーフレームの上端付近で前記束を固定して当該束を支持する工程と、
(4)前記束の上に前記梁を載置して固定する工程と、
(5)少なくとも前記束の下端レベルまでコンクリートを打設する工程と、
を有することを特徴とする、建物の施工方法。
【請求項2】
前記(4)と(5)の工程の間に、前記梁によって形成された構面の平面的な変形を矯正するための補剛材を取り付ける工程を有することを特徴とする、請求項1に記載の建物の施工方法。
【請求項3】
前記補剛材は前記梁の上端付近に取り付けられることを特徴とする、請求項2に記載の建物の施工方法。
【請求項4】
前記(5)の工程の前に、外周部に前記基礎スラブ外周の型枠機能を兼ねたカバー材を起立させ、該カバー材の上端を前記梁に係止された保持具にて保持させる工程を有することを特徴とする、請求項1に記載の建物の施工方法。
【請求項5】
前記(5)の工程の前に、前記梁を利用して作業床を掛止することを特徴とする、請求項1に記載の建物の施工方法。
【請求項6】
前記梁はH形鋼からなることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の建物の施工方法。
【請求項1】
鉄筋コンクリート造の基礎スラブと、該基礎スラブの上端面から突設された鋼製の束と、該束に支持された鋼製の梁とを備えた建物の施工方法であって、
(1)前記基礎スラブが形成される領域内の所定位置にアンカーフレームを設置する工程と、
(2)前記基礎スラブの鉄筋を配置する工程と、
(3)前記束の下端レベルが前記基礎スラブの上端面の高さになるように、前記アンカーフレームの上端付近で前記束を固定して当該束を支持する工程と、
(4)前記束の上に前記梁を載置して固定する工程と、
(5)少なくとも前記束の下端レベルまでコンクリートを打設する工程と、
を有することを特徴とする、建物の施工方法。
【請求項2】
前記(4)と(5)の工程の間に、前記梁によって形成された構面の平面的な変形を矯正するための補剛材を取り付ける工程を有することを特徴とする、請求項1に記載の建物の施工方法。
【請求項3】
前記補剛材は前記梁の上端付近に取り付けられることを特徴とする、請求項2に記載の建物の施工方法。
【請求項4】
前記(5)の工程の前に、外周部に前記基礎スラブ外周の型枠機能を兼ねたカバー材を起立させ、該カバー材の上端を前記梁に係止された保持具にて保持させる工程を有することを特徴とする、請求項1に記載の建物の施工方法。
【請求項5】
前記(5)の工程の前に、前記梁を利用して作業床を掛止することを特徴とする、請求項1に記載の建物の施工方法。
【請求項6】
前記梁はH形鋼からなることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の建物の施工方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−241544(P2011−241544A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−112336(P2010−112336)
【出願日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(303046244)旭化成ホームズ株式会社 (703)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(303046244)旭化成ホームズ株式会社 (703)
【Fターム(参考)】
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