説明

建設機械のタンク装置

【課題】給水が短時間で容易に行える建設機械のタンク装置を提供する。
【解決手段】エンジン室21や機械室等の建屋内に形成されたユーティリティスペース23と、ユーティリティスペース内に設置された液体を収容するためのタンク27と、タンクが着脱自在に載置されたスライド30台と、スライド台をユーティリティスペースの外側へスライド自在に支承するスライド手段28とから構成したもので、タンクが建屋内に収容されていることから、樹脂製タンクを使用した場合でも、直射日光により樹脂が早期に劣化することがない上、作業中に発生する落石や飛び石等による物理的な衝撃によりタンクが破損されるのを未然に防止でき、また建屋内よりタンクを引き出した状態で給水できるため、給水が短時間で容易に行える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウィンドウォッシャ液や冷却水等の液体を収容するタンクを建屋内に設置した建設機械のタンク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来油圧ショベルのような建設機械は、走行体上に旋回体が旋回自在に装着されていて、この旋回体に運転室や作業機、動力用エンジン等が収容された建屋が設置されている。
旋回体に設置された建屋内は、エンジン室や機械室、電装品等が収容された電気室等に区割されていて、機械室にはエンジンにより駆動される油圧ポンプが収容されており、エンジン室には、エンジンの他に、エンジン冷却液の放熱を行うラジエータや、吸気の冷却を行うインタクーラ、作動油の冷却を行うオイルクーラ等の熱交換器類が設置されている。
また電気室には、電源となるバッテリや、エンジンの電気系統を制御する制御器等の電装品が設置されており、建屋全体は、エンジン室や機械室等で発生した騒音が外部へ漏洩するのを防止すると同時に、建屋内へ雨水等が侵入するのを防止するため、鋼板等よりなる外装材により覆われた構造となっている。
【0003】
一方建屋内に生じた空間をユーティリティスペースとして、例えば工具類を収納する工具箱に利用したり、作動油タンクや燃料タンクの設置スペースとして使用している例が特許文献1や2に記載されている。
前記特許文献1に記載の建設機械の作動油タンク装置は、機械室内に設置された油圧ポンプの側方に、側面の上部に給油口を有する作動油タンクを設置して、機械室のサイドカバーを開放することにより、直ちに給油口より作動油タンク内へ作動油が給油できる構造となっている。
また特許文献2に記載の建設機械のタンク装置は、作動油タンクの前方に設置した燃料タンクを、車体の外側に向けて回動可能に取り付けると共に、燃料タンクの下方に、バッテリや工具等の収納用スペースを設けた構造となっている。
【特許文献1】特開平5−311698号公報
【特許文献2】実開平6−74655号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
油圧ショベルのような建設機械を使用して、例えば粉塵が多い作業環境で作業を行う場合、運転室のフロントガラス等に粉塵が付着してオペレータの視界が損なわれるため、作業が安全に行えなくなったり、作業能率が低下する等の問題が発生する。
このため従来では、フロントガラスの上部や下部に設置されたノズルよりフロントガラスにウィンドウォッシャ液を噴出して、フロントガラスに付着した粉塵を洗浄しながら作業を行っているが、粉塵等が多いとウィンドウォッシャ液が早期になくなるため、粉塵等の多い作業環境で作業する建設機械には、容量の大きいタンクを予め設置している。
ウィンドウォッシャ液を収容したタンクは、建屋内に設置することになるが、容量の大きなタンクは、設置できるスペースに制限を受けることから、電気室上部等の空間をユーティリティスペースとして、このユーティリティスペース内に固定して設置することが多い。
しかし特許文献1に記載のタンク装置のように、建屋内のユーティリティスペースにタンクを固定して設置した場合、ウィンドウォッシャ液を収容するタンクのように、給水の頻度が高く、また建屋の天井がタンクの給水口に近接しているような場合、タンクに給水する際、水の一部がタンク外へ漏れ出したり、溢れ出すことがよくあり、電気室の上方にタンクを設置した場合、漏れたり溢れ出した水によって電気室内の電装品が損傷を受けたり、故障の原因となる問題がある。
【0005】
一方特許文献2に記載のタンク装置のように、タンクが車体の外側へ回動可能にしたものでは、タンクを外側へ回動させた状態で給油(給水)することにより、油(水)の一部が漏れ出したり溢れ出しても、タンクの下方に設置された電装品が損傷を受けることは少ないが、タンクの容量が大きく、重量が重い場合、タンクを支持するヒンジ手段に過大な負荷が作用するため強度の高いヒンジ構造が必要な上、タンク自体にも強度を必要とするため、タンクを鋼板等の剛性の高い材料で製作する必要があり、タンク装置が高価となる問題がある。
またウィンドウォッシャ液や冷却水等を収容するタンクには、樹脂製のタンクを使用することが多いが、前記引用文献2に記載のタンク装置のように、タンクが常に外部へ露出していると、樹脂製タンクを使用した場合直射日光により樹脂が早期に劣化するため耐候性に乏しい上、作業中に発生する落石や飛び石等による物理的な衝撃によりタンクが破損しやすい等の問題もある。
本発明はかかる問題を改善する目的でなされたもので、給水が短時間で容易に行える建設機械のタンク装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の建設機械のタンク装置は、エンジン室や機械室等の建屋が車体上に設置された建設機械のタンク装置であって、建屋内に形成されたユーティリティスペースと、ユーティリティスペース内に設置された液体を収容するためのタンクと、タンクが着脱自在に載置されたスライド台と、スライド台をユーティリティスペースの外側へスライド自在に支承するスライド手段とから構成したものである。
【0007】
前記構成により、タンクが建屋内に収容されていることから、樹脂製タンクを使用した場合でも、直射日光により樹脂が早期に劣化することがない上、作業中に発生する落石や飛び石等による物理的な衝撃によりタンクが破損されるのを未然に防止することができる。
また建屋内よりタンクを引き出した状態で給水することができるため、給水作業が短時間で容易に行えると共に、市販の樹脂製タンクを利用することができるため、新たにタンクを製作する場合に比べてタンクが安価に得られるようになり、経済的である。
【0008】
本発明の建設機械のタンク装置は、建屋の天井により上面が閉鎖され、また下部に電装品が収容された電気室が設けられた空間をユーティリティスペースとしたものである。
【0009】
前記構成により、タンクへ給水する際ユーティリティスペースの外側へタンクを引き出した状態で給水することにより、誤って液体を漏らしたりタンクより溢れさせても、液体が直接電気室内にかかることがないため、ウィンドウォッシャ液等の液体によって電気室内の電装品が損傷を受けたり、故障したりするのを未然に防止することができる。
また建屋の上面にハンドレール等の保安部品等があって、建屋の天井板に給水のための開口部を形成できない場所にある空間を、タンクを設置するためのユーティリティスペースとして利用することができるため、タンクを設置する際の設計の自由度が向上する。
【0010】
本発明の建設機械のタンク装置は、スライド台上に設置され、かつタンクのサイズに応じて間隔調整が自在な複数のホルダ部材よりなるタンクホルダと、タンクホルダの上部に着脱自在に設けられ、かつタンクの上下動を固定するタンク固定手段とを具備したものである。
【0011】
前記構成により、タンクのサイズに合わせてホルダの間隔やタンク固定手段の位置を調整することにより、スライド台上にタンクを確実に固定することができるため、建設機械の走行中や作業中にタンクがガタついたり、スライド台上より脱落する心配がない。
【0012】
本発明の建設機械のタンク装置は、スライド手段にスライド台を任意な位置にロックするロック手段を設けたものである。
【0013】
前記構成により、建設機械が傾斜地等に停止している場合でも、タンクを引き出し位置に固定した状態で給水することができるため、給水作業が安定した状態で行えると共に、建設機械の走行中や作業中にスライド台が勝手にスライドするのを未然に防止することもできる。
【0014】
本発明の建設機械のタンク装置は、自走自在な走行体と、走行体上に旋回自在に設けられた旋回体と、旋回体に設置されたエンジン室や機械室等の建屋とを具備した建設機械のタンク装置であって、建屋の上面を覆う外装材により上面が閉鎖され、また下部に電装品が収容された電気室が設けられた空間に形成されユーティリティスペースと、ユーティリティスペース内に設置された液体を収容するためのタンクと、タンクが着脱自在に載置されたスライド台と、スライド台をユーティリティスペースの外側へスライド自在に支承するスライド手段と、前記スライド台上に設置され、かつ前記タンクのサイズに応じて間隔調整が自在な複数のホルダ部材よりなるタンクホルダと、タンクホルダの上部に着脱自在に設けられ、かつタンクの上下動を固定するタンク固定手段と、スライド台を任意な位置にロックするロック手段とから構成したものである。
【0015】
前記構成により、タンクが建屋内に収容されていることから、樹脂製タンクを使用した場合でも、直射日光により樹脂が早期に劣化することがない上、作業中に発生する落石や飛び石等による物理的な衝撃によりタンクが破損されるのを未然に防止することができる。
また建屋内よりタンクを引き出した状態で給水することができるため、給水作業が短時間で容易に行えると共に、市販の樹脂製タンクを利用することができるため、新たにタンクを製作する場合に比べてタンクが安価に得られるようになり、経済的である。
またタンクへ給水する際ユーティリティスペースの外側へタンクを引き出した状態で給水することにより、誤って液体を漏らしたりタンクより溢れさせても、液体が直接電気室内にかかることがないため、ウィンドウォッシャ液等の液体によって電気室内の電装品が損傷を受けたり、故障したりするのを未然に防止することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の建設機械のタンク装置によれば、タンクが建屋内に収容されていることから、樹脂製タンクを使用した場合でも、直射日光により樹脂が早期に劣化することがない上、作業中に発生する落石や飛び石等による物理的な衝撃によりタンクが破損されるのを未然に防止することができると共に、建屋内よりタンクを引き出した状態で給水することができるため、給水作業が短時間で容易に行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の実施の形態を、図面を参照して詳述する。
図1は油圧ショベルよりなる建設機械の側面図、図2はタンク装置が設置されたユーティリティスペースの斜視図、図3はタンク装置の斜視図、図4はスライド手段の斜視図、図5はタンクへ給水する際の作用説明図である。
図1に示す油圧ショベルよりなる建設機械は、自走自在な走行体1と、走行体1上に旋回自在に設置された旋回体2とからなる。
走行体1は、センタフレーム3aと、その両側に互に平行するよう設けられた一対のサイドフレーム3bよりなるトラックフレーム3を有していて、各サイドフレーム3bの一端側にはアイドラ4が前後移動自在に支承されており、他端側には油圧モータよりなる走行モータ5により回転駆動されるスプロケット6が設けられている。
アイドラ4とスプロケット6の間には無端状の履帯7が捲装されていて、この履帯7をスプロケット6で駆動することにより、走行体1が自走できるようになっていると共に、サイドフレーム3bの上下部には、複数の転輪8が回転自在に支承されている。
【0018】
トラックフレーム3のセンタフレーム3a上に旋回自在に設置された旋回体2は、断面がほぼI形に形成された互いに平行する一対の車体フレーム(図示せず)が底部に設けられていて、この車体フレームの前部中央に作業機10が装着されている。
作業機10は図1に示すように、基端が車体フレームに枢着され、かつブームシリンダ12により起伏自在なブーム11と、ブーム11の先端に基端側が枢着され、かつアームシリンダ13により回動自在なアーム14と、アーム14の先端に枢着され、かつバケットシリンダ15により回動自在なバケット16とより構成されている。
車体フレームの前部には、作業機10の左側に運転室17が設置され、車体フレームの後部にはエンジン室や機械室等の建屋18が設置されており、車体フレームの後端にはカウンタウエイト19が取り付けられている。
【0019】
建屋18は、内部が動力用エンジン(図示せず)が収容されたエンジン室21と、エンジンにより駆動される油圧ポンプが収容された機械室(ともに図示せず)等に区割されている。
建屋18の前面と上面(天井)、後面及び両側面は鋼板よりなる外装材22により覆われていて、エンジン室21や機械室内等で発生した騒音が外部へ漏れるのを防止すると同時に、雨水や塵埃等が建屋18内へ侵入するのを防止するようになっており、建屋18の両側面を覆う外装材22の一部は、開閉自在なドア22aとなっている。
一方建屋18の空間の一部、例えば建屋18の前側下部に設置された電気室24の上方がユーティリティスペース23が形成されている。
【0020】
ユーティリティスペース23は図2に示すように、旋回体2の前後方向に設けられた前後側板23a、23bと、これら側板23a、23b間の底部に設けられた底板23cと、各側板23a、23b間の上面に設けられた天井板23dにより箱型構造となっていて、開放された側面に、一端側が後側板23bの開口縁に図示しないヒンジにより蝶着されたドア23fが設けられており、ドア24はヒンジを中心に開閉自在となっている。
ユーティリティスペース23内は、中底23eにより上側がタンク室25に、そして下側が電気室24に区割されていて、電気室24内には、建設機械の電源となるバッテリ26や、エンジンを制御する制御器等の電装品(図示せず)等が収容されている。
そしてタンク室25内に、運転室17のフロントガラス17a等に付着した粉塵等を洗浄するウィンドウォッシャ液が収容されたタンク27が設置されている。
タンク27は、例えば市販のポリエチレン樹脂製タンクが使用されていて、上面に着脱自在なキャップ27aに覆われた給水口27bが設けられており、スライド手段28により支持されたスライド台30上に載置されている。
【0021】
スライド手段28には、重量物に対しても十分な強度を有するスライドレール29が使用されている。
スライドレール29は図に示すように、中底23eの上面に旋回体2の前後を直交するように設置された一対の固定レール29aと、これら固定レール29aにリテーナ29bを介してスライド自在に支承された可動レール29cとより構成されている。
リテーナ29bには、摩擦抵抗を低減するため、複数のボールベアリングまたはローラベアリング(何れも図示せず)が回転自在に支承されていて、可動レール29cに負荷が加わった場合でも可動レール29cをユーティリティスペース23の外側、すなわち建屋18の側方へ容易に引き出せるようになっており、ロック手段31により可動レール29cを格納位置や引き出し位置及び任意な位置にロックできるようになっている。
ロック手段31は図4に示すように、一方のスライドレール29に沿ってハンドル31aが設けられていて、ハンドル31aの先端に形成された操作部31bを回動することにより左右スライドレール29に設けられた係止爪(図示せず)が鋸歯状の係止歯31cに係合して、可動レール29cを任意な位置でロックできるようになっており、左右のガイドレール29に設けられた係止部は、連動杆31dにより互いに連動されていて、一方のスライドレール29に設けられたハンドル31aにより左右の係止爪が同時に操作できるようになっている。
【0022】
一方左右スライドレール29の可動レール29c上面には、固定ピン29dが突設されていて、これら固定ピン29dによりスライド台30が可動レール29cに固着されている。
スライド台30は図3に示すように、タンク27の底面積より十分に大きな鋼板等の板体により形成されていて、スライド台30上にタンク27の周囲を保持するタンクホルダ32が設置されている。
タンクホルダ32は、タンク27の手前側角部に設けられた一対のホルダ部材32aと、タンク27の背後に設けられたホルダ部材32bとからなる。
タンク27の手前側角部に設けられた一対のホルダ部材32aは、L字形に屈曲された側板32cと、これら側板32cの底部に設けられた底板32dとから形成されていて、底板32dには旋回体2の前後方向に細長い長孔32eが穿設されており、これら長孔32eより挿入したボルト等の固着具33を中底23eの下面に固着されたナット33aに螺挿することにより、中底23eに対し、各ホルダ部材32aが固定できるようになっている。
【0023】
またタンク27の背後に設けられたホルダ部材32bは、側板32fと底板32gとによりほぼL字形に形成されていて、底板32gには、ホルダ32a側の長孔32eとを直交する方向に細長い長孔32hが穿設されており、これら長孔32hより挿入した固着具33を中底23eの下面に固着したナット33aに螺挿することにより、中底23eに対しホルダ部材32bが固定できるようになっていると共に、各ホルダ部材32a、32bの内面、すなわちタンク27と当接する面には、発泡ポリウレタン等の弾性体よりなるクッション体34が接着等の手段で固着されている。
一方タンク27の前面角部に設けられた各ホルダ部材32aの上部には、ブラケット32iが突設されていて、これらブラケット32i間にタンク固定手段35が設けられている。
タンク固定手段35は、ホルダ32により保持されたタンク27の上下動を固定するもので、タンク27の上面を横切るように設けられた押圧杆35aと、押圧杆35aの両側より下方へ突設されたボルトよりなる固着具35bとからなる。
押圧杆35aの両端部には、ホルダ32aの間隔調整に合わせて固着具35bの間隔が調整できるように長孔35cが形成されていて、これら長孔35cより挿入した固着具35bの先端をブラケット32iの取り付け孔32jに挿入した状態でナット35dを締め付けることにより、各ホルダ32a間にタンク27が固定できるようになっている。
【0024】
またタンク27の下部には、底面よりやや高い位置に出水口(図示せず)が開口されていて、この出水口に樹脂チューブよりなる給水管36の一端が接続されている。
給水管36の他端側は、ユーティリティスペースの側板上部に開口された導出口23gよりユーティリティスペース23外へ導出された後、運転室17のウィンドガラス17a上部に設置されたノズル(図示せず)へと配管されており、給水管36の途中に設けられた水ポンプ(図示せず)によりタンク27内のウィンドウォッシャ液がノズルへと圧送されるようになっている。
なお図2中37は、ユーティリティスペース23の天井板上面に突設されたハンドレールで、建屋17内を点検したり、整備する際に使用する保安部品である。
【0025】
次に前記構成された建設機械のタンク装置の作用を説明する。
粉塵等が発生する作業環境で作業を行う建設機械は、粉塵等が運転室のフロントガラス等に付着すると、オペレータの視界が失われるため、フロントガラス等に付着した粉塵等の洗浄が必要となる。
また作業中何度もフロントガラス等を洗浄することがあるため、ウィンドウォッシャ液を収容するタンク27には大容量のものが必要な上、作業を開始する前に、タンク27をウィンドウォッシャ液で充満させておく必要がある。
【0026】
タンク27にウィンドウォッシャ液を給水するに当たっては、まずユーティリティスペース23の側面を閉鎖するドア24を開放したら、ロック手段31のハンドル31aを回動して、スライドレール29の可動レール29cのロックを解除する。
次にこの状態でスライド台30を手前に引いて、ユーティリティスペース23内よりタンク27を図5に示す位置まで引き出す。
これによって、いままで天井板23dに近接して給水口があっても、天井板23dに邪魔されることなく、給水口27bのキャップ27aを外してタンク27内にウィンドウォッシャ液を給水できるようになる。
また給水の際誤ってウィンドウォッシャ液を漏らしたり、給水口27bより溢れさせても、タンク27は電気室24の上方より外側へ引き出された状態にあるため、漏れたり溢れたりしたウィンドウォッシャ液は、直接電気室24内にかかることがなく、これによってウィンドウォッシャ液により電気室24内の電装品が損傷されたり、故障したりするのを未然に防止することができる。
【0027】
一方タンク27内へのウィンドウォッシャ液の給水が完了したら、ロック手段31により引き出し位置にロックしていたスライド台30のロックを解除してタンク27をユーティリティスペース23内へ押し込んだ後、再びロック手段31によりスライド台30を格納位置へロックしたら、ドアを閉鎖して作業を開始する。
作業中多量にウィンドウォッシャ液を使用しても、容量の大きなタンク27を予めユーティリティスペース23内に設置してあるため、1日の作業が終了するまでタンク27の給水はほとんど必要としないと共に、給水が必要になっても、前述したようにタンク27をユーティリティスペース23より引き出して給水を行うことにより、給水が短時間で行える上、電気室24への悪影響も回避することができる。
【0028】
なお前記実施の形態では、油圧ショベルに実施した例について説明したが、車体上に建屋が設置された建設機械全般に適用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施の形態になるタンク装置を採用した建設機械の側面図である。
【図2】本発明の実施の形態になる建設機械のタンク装置が設置されたユーティリティスペースの斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態になる建設機械のタンク装置の斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態になる建設機械のタンク装置に使用したスライド手段の斜視図である。
【図5】本発明の実施の形態になる建設機械のタンク装置の作用説明図である。
【符号の説明】
【0030】
1 走行体
2 旋回体
18 建屋
22 外装材
23 ユーティリティスペース
27 タンク
28 スライド手段
30 スライド台
31 ロック手段
32 タンクホルダ
32a ホルダ部材
32b ホルダ部材
35 タンク固定手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジン室や機械室等の建屋が車体上に設置された建設機械のタンク装置であって、前記建屋内に形成されたユーティリティスペースと、前記ユーティリティスペース内に設置された液体を収容するためのタンクと、前記タンクが着脱自在に載置されたスライド台と、前記スライド台を前記ユーティリティスペースの外側へスライド自在に支承するスライド手段とを具備したことを特徴とする建設機械のタンク装置。
【請求項2】
前記建屋の天井により上面が閉鎖され、また下部に電装品が収容された電気室が設けられた空間を前記ユーティリティスペースとしてなる請求項1に記載の建設機械のタンク装置。
【請求項3】
前記スライド台上に設置され、かつ前記タンクのサイズに応じて間隔調整が自在な複数のホルダ部材よりなるタンクホルダと、前記タンクホルダの上部に着脱自在に設けられ、かつ前記タンクの上下動を固定するタンク固定手段とを具備してなる請求項1または2に記載の建設機械のタンク装置。
【請求項4】
前記スライド手段に、前記スライド台を任意な位置にロックするロック手段を設けてなる請求項1ないし3の何れかに記載の建設機械のタンク装置。
【請求項5】
自走自在な走行体と、前記走行体上に旋回自在に設けられた旋回体と、前記旋回体に設置されたエンジン室や機械室等の建屋とを具備した建設機械のタンク装置であって、前記建屋の上面を覆う外装材により上面が閉鎖され、また下部に電装品が収容された電気室が設けられた空間に形成されユーティリティスペースと、前記ユーティリティスペース内に設置された液体を収容するためのタンクと、前記タンクが着脱自在に載置されたスライド台と、前記スライド台を前記ユーティリティスペースの外側へスライド自在に支承するスライド手段と、前記スライド台上に設置され、かつ前記タンクのサイズに応じて間隔調整が自在な複数のホルダ部材よりなるタンクホルダと、前記タンクホルダの上部に着脱自在に設けられ、かつ前記タンクの上下動を固定するタンク固定手段と、前記スライド台を任意な位置にロックするロック手段とを具備したことを特徴とする建設機械のタンク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−274579(P2008−274579A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−116604(P2007−116604)
【出願日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】