説明

建設機械の油圧駆動装置

【課題】油圧アクチュエータの操作に伴って回収したエネルギを油圧アクチュエータの駆動に有効活用することのできる建設機械の油圧駆動装置の提供。
【解決手段】蓄電装置9からの電気エネルギにより駆動される電動機16をエンジン10から離隔させて設けるとともに、電動機16によって駆動され、ブームシリンダ5a及びアームシリンダ6aに圧油を吐出する補助ポンプとブームシリンダ5aからの戻り油によって駆動される油圧モータを兼ねる油圧ポンプ・モータ15と、この油圧ポンプ・モータ15から圧油を油圧ポンプ11からの圧油に合流させてブーム用制御弁12、アーム用制御弁13を経由させずに、ブーム用制御弁12、アーム用制御弁13に導く補助管路、すなわち管路26、管路27、管路28、管路31を設けた構成にしてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧アクチュエータからの戻り油のエネルギを回収して、このエネルギを再利用する回生機構を備えた建設機械の油圧駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、建設機械にも良好な環境性能が求められるようになり、種々の手法が提案されている。例えば、この種の建設機械の油圧駆動装置として、特許文献1に示す従来技術がある。この従来技術では、主に、電動機が取付けられたエンジンによって駆動される油圧ポンプを有し、この油圧ポンプにコントロールバルブを介して接続される油圧アクチュエータ、すなわちブームシリンダ、アームシリンダ、バケットシリンダと、これらの油圧アクチュエータからの戻り油によって回転駆動される油圧ポンプ・モータと、前述の油圧アクチュエータにおけるメータアウト側からの戻り油を案内する案内管路と、この案内管路からの戻り油によって回転する油圧ポンプ・モータにより電気エネルギを発生する発電機と、この発電機で発生した電気エネルギを蓄電するバッテリ、すなわち蓄電装置などを設けている。このように構成された従来技術では、油圧アクチュエータからの戻り油による圧力により発電機を駆動し、この電気エネルギを蓄電装置に蓄電することにより、油圧アクチュエータの収縮操作に伴うエネルギ、例えば、ブーム下げ操作の位置エネルギ等を回収できるようになっている。
【特許文献1】特開2004−11168公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、前述した従来の技術では、蓄電装置に回収された電気エネルギにより、油圧アクチュエータの駆動に必要なトルクを発生させるためには、前述のエンジンに取付けられた電動機をエンジンと連結駆動しなければならないので、この電動機のエンジンとの連結駆動によってエンジンロスが生じるとともに、前述のように、蓄電装置に回収された電気エネルギを利用して、エンジンに取付けられた電動機により油圧ポンプを駆動させ、油圧エネルギに変換した後も、圧油は必ずコントロールバルブを経由するため、この圧油のコントロールバルブの経由に伴う絞り損失が生じ、これにより、エネルギ効率が悪いという問題があった。
【0004】
本発明は、このような従来技術の課題を考慮してなされたもので、その目的は、油圧アクチュエータの操作に伴って回収したエネルギを油圧アクチュエータの駆動に有効活用することのできる建設機械の油圧駆動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的を達成するために、エンジンによって駆動される油圧ポンプと、この油圧ポンプの圧油が供給されるコントロールバルブと、このコントロールバルブによって制御される油圧アクチュエータと、前記油圧アクチュエータの戻り圧油によって駆動される油圧モータと、この油圧モータによって駆動される発電機と、この発電機によって生じた電気エネルギを蓄える蓄電装置とを備える建設機械の油圧駆動装置において、前記蓄電装置からの電気エネルギにより駆動され、前記エンジンから離隔させて設けた電動機と、この電動機により駆動される補助ポンプと、この補助ポンプから圧油を前記油圧ポンプからの圧油に合流させて前記コントロールバルブを経由させずに、前記油圧アクチュエータに導く補助管路を設けたことを特徴としている。
【0006】
このように構成した本発明は、蓄電装置からの電気エネルギにより駆動される電動機をエンジンから離隔させて設けたことにより、従来のような電動機との連結駆動によって生ずるエンジンロスを無くすことができる。また、油圧アクチュエータの操作に伴って回収した蓄電装置の電気エネルギを利用して、電動機を駆動させ、この電動機の駆動によって吐出する補助ポンプからの圧油を、補助管路を通して、油圧ポンプからの圧油に合流させて、油圧アクチュエータに導くようにしたので、油圧アクチュエータの操作に伴って回収したエネルギにより発生させた圧油をコントロールバルブを経由させずに、油圧アクチュエータに導くことができる。つまり、油圧アクチュエータの操作に伴って回収したエネルギによって発生させた圧油のコントロールバルブ経由に伴う絞り損失を無くすことができる。これらにより、油圧アクチュエータの操作に伴って回収したエネルギを油圧アクチュエータの駆動に有効活用することができる。
【0007】
また、本発明は、前記発明において、前記油圧モータが前記補助ポンプを兼ねる油圧ポンプ・モータから成り、前記発電機が前記油圧ポンプ・モータを前記蓄電装置からの電気エネルギにより駆動する電動機を兼ねることを特徴としている。このように構成した本発明は、機器の設置スペースを小さく抑えることができるとともに、機器の数を最小限に抑えることができる。
【0008】
さらに、本発明は、前記発明において、前記蓄電装置からの電気エネルギによって駆動される旋回用電動機を設けたことを特徴とする。このように構成した本発明では、蓄電装置の回収した電気エネルギを利用して旋回用電動機を駆動することにより、回収した電機エネルギを有効活用できる。また、これによって、旋回用電動機を駆動する電気エネルギを確保するために別途設ける発電機の容量を小さく、もしくはこの発電機を無くすことができる。したがって、本発明も、機器の設置スペースを小さく抑えることができるとともに、機器の数を最小限に抑えることができる。
【0009】
また、本発明は、前記発明において、前記油圧ポンプからの圧油を前記油圧モータに導く誘導管路を有するとともに、前記誘導管路の開閉を切替える切換手段を備えたことを特徴としている。このように構成した本発明は、蓄電装置の電気エネルギが不足した時に、油圧ポンプからの圧油を誘導管路により直接油圧モータに導くことよって、この油圧モータを駆動させて発電することができる。これによって、旋回用等の電動機を駆動する電気エネルギを確保するために別途設ける発電機を無くすことができる。したがって、本発明も、機器の設置スペースを小さく抑えることができるとともに、機器の数を最小限に抑えることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、従来のような蓄電装置からの電気エネルギにより駆動される電動機のエンジンとの連結駆動によって生ずるエンジンロスを無くすことができるとともに、油圧アクチュエータの操作に伴って回収したエネルギによって発生させた圧油のコントロールバルブ経由に伴う絞り損失を無くすことができる。すなわち、油圧アクチュエータの操作に伴って回収したエネルギを油圧アクチュエータの駆動に有効活用することができ、これによって、従来よりもエネルギ効率を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明に係る建設機械の油圧駆動装置を実施するための最良の形態を図に基づいて説明する。
【0012】
図1は、本発明に係る油圧駆動装置の一実施形態が備えられる建設機械の一例として挙げた油圧ショベルの側面図、図2は、図1に示す油圧ショベルに備えられる本発明に係る油圧駆動装置の一実施形態を示す回路図である。図3は、本実施形態に備えられる車体コントローラの構成を示すブロック図である。
【0013】
本発明に係る油圧駆動装置の一実施形態が備えられる油圧ショベルには、図1に示すように、走行体1と、この走行体1上に配置され、運転室3、カウンタウェイト4を有する旋回体2と、この旋回体2に連結され、回動可能に設けられるブーム5と、このブーム5に連結され、回動可能に設けられるアーム6と、このアーム6に連結され、回動可能に設けられるバケット7とを備えている。前述のブーム5、アーム6、バケット7は、油圧アクチュエータ、すなわちブームシリンダ5a、アームシリンダ6a、バケットシリンダ7aの伸縮動作によって回動可能となっている。さらに、本実施形態の油圧ショベルには、運転室3の後部に設けられ、前述のブームシリンダ5a、アームシリンダ6a、バケットシリンダ7a、及び後述する各種機器の作動を制御する車体コントローラ8と、カウンタウェイト4に設けられ、発電した電気エネルギを蓄える蓄電装置9とを備えている。
【0014】
また、図2に示すように、本実施形態は、エンジン10と、このエンジン10によって駆動される油圧ポンプ11と、この油圧ポンプ11から吐出される圧油の流れを制御することにより、前述のブームシリンダ5a、アームシリンダ6a、バケットシリンダ7aの作動を制御するコントロールバルブ、すなわちブーム用制御弁12、アーム用制御弁13、及びバケット用制御弁14と、これらのブーム用制御弁12、アーム用制御弁13、及びバケット用制御弁14に接続されるタンク44とを備えている。
【0015】
さらに、ブームシリンダ5a、アームシリンダ6aからの戻り油圧によって駆動され、後述する電動機16を発電機として駆動させる油圧モータと、後述する電動機16を駆動させることによって、ブームシリンダ5及びアームシリンダ7に圧油を吐出する補助ポンプとを兼ねる油圧ポンプ・モータ15と、この油圧ポンプ・モータ15によって駆動される発電機と蓄電装置9からの電気エネルギにより駆動される電動機とを兼ね、エンジン10と離隔して設けられる電動機16と、図1の旋回体2を蓄電装置9からの電気エネルギによって駆動させる旋回用電動機17とを備えている。また、旋回用電動機17と蓄電装置9は、インバータ18を介して電気的に接続され、電動機16と蓄電装置9は、インバータ19を介して電気的に接続されている。
【0016】
前述のブームシリンダ5aとブーム用制御弁12の間には、ブーム用制御弁12とブームシリンダ5aのロッド室とを接続する管路20と、ブーム用制御弁12とブームシリンダ5aのボトム室とを接続する管路21が設けられている。この管路21には、車体コントローラ8からの出力信号により管路21を開閉する切換弁32が備えられている。また、前述の管路21と、油圧ポンプ・モータ15の管路31とは、管路26によって接続してある。管路26には、この管路26を車体コントローラ8からの出力信号によって開閉する切換弁33が備えられている。また、油圧ポンプ11の吐出管路30は、管路29と管路26に接続される管路31と接続してある。
【0017】
前述のアームシリンダ6aとアーム用制御弁13との間には、アーム用制御弁13とアームシリンダ6aのロッド室とを接続する管路22と、アーム用制御弁13とアームシリンダ6aのボトム室とを接続する管路23が備えられている。この管路23と前述した油圧ポンプ・モータ15の管路31とは、管路28によって接続してある。管路28には、この管路28を車体コントローラ8からの出力信号によって開閉する切換弁35が備えられている。さらに、管路22と管路31とは、管路27によって接続してある。管路27には、この管路27を車体コントローラ8からの出力信号によって開閉する切換弁34が備えられている。
【0018】
前述のバケットシリンダ7aとバケット用制御弁14との間には、バケット用制御弁14とバケットシリンダ7aのロッド室とを接続する管路24と、制御弁14とバケットシリンダ7aのボトム室とを接続する管路25が備えられている。
【0019】
特に、本実施形態では、補助ポンプである油圧ポンプ・モータ15から吐出される圧油を油圧ポンプ11からの圧油に合流させて、ブーム用制御弁12、アーム用制御弁13を経由させずに、ブームシリンダ5a、アームシリンダ6aに導く補助管路、すなわち管路31、管路26、管路27、管路28を備えている。
【0020】
また、油圧ポンプ11からの圧油を前述の油圧ポンプ・モータ15に導く誘導管路、すなわち吐出管路30、管路29、管路31を備えるとともに、吐出管路30と管路31とを接続する管路29の開閉を切替える切換手段、すなわち切換弁36を備えている。なお、切換弁36も、前述の切換弁32、33、34、35と同様に車体コントローラ8からの出力信号によって切り換えられるようになっている。
【0021】
さらに、本実施形態は、ブーム5、アーム6、バケット7及び旋回体2の旋回を操作する操作装置として、運転室3の内部に配置されるブーム用操作レバー37及びパイロット弁37a、アーム用操作レバー38及びパイロット弁38a、バケット用操作レバー39及びパイロット弁39a、旋回用操作レバー40及びパイロット弁40aも備えられている。
【0022】
パイロット弁37a〜40aのそれぞれは、パイロットポンプ41に接続され、ブーム用操作レバー37の操作によりパイロット弁37aで発生したブームパイロット圧は、前述のブーム用制御弁12の受圧部12a、又は受圧部12bに導かれ、この受圧部12a、又は受圧部12bが受けるブームパイロット圧の大きさに応じてブーム制御弁12の開度の調整、及び(a)位置、(b)位置への切換えができるようになっている。また、パイロット弁37aで発生したブームパイロット圧の値は、圧力センサ42a、42bによって検出され、この検出信号は車体コントローラ8に送られるようになっている。
【0023】
アーム用操作レバー38の操作によりパイロット弁38aで発生したアームパイロット圧は、前述のアーム用制御弁13の受圧部13a、又は受圧部13bに導かれ、この受圧部13a、又は受圧部13bが受けるアームパイロット圧の大きさに応じてアーム用制御弁13の開度の調整、及び(a)位置、(b)位置への切り替えができるようになっている。また、パイロット弁38aで発生したアームパイロット圧の値は、圧力センサ42c、42dによって検出され、この検出信号は車体コントローラ8に送られるようになっている。
【0024】
バケット用操作レバー39の操作によりパイロット弁39aで発生したパイロット圧は、前述のバケット用制御弁14の受圧部14a、又は受圧部14bに導かれ、この受圧部14a、又は受圧部14bが受けるバケットパイロット圧の大きさに応じてバケット用制御弁14の開度の調整、及び(a)位置、(b)位置への切り替えができるようになっている。また、パイロット弁39aで発生したバケットパイロット圧の値は、圧力センサ42e、42fによって検出され、この検出信号は車体コントローラ8に送られるようになっている。
【0025】
旋回用操作レバー40の操作によりパイロット弁40aで発生した旋回パイロット圧は、パイロット弁40aに接続された圧力センサ42g、圧力センサ42hによって検出され、この旋回パイロット圧の検出信号は、車体コントローラ8に送られるようになっている。そして、車体コントローラ8は、パイロット弁40aによって発生した旋回パイロット圧の検出信号を基に、旋回用電動機17の目標回転数をインバータ18に出力し、この出力値によってインバータ18は、蓄電装置9の電気エネルギを利用して、旋回用電動機17を操作レバー40の操作量に応じた目標回転数で駆動するようになっている。
【0026】
また、図3に示すように、前述の車体コントローラ8は、操作レバー(37,38,39,40)の操作によってパイロット弁(37a,38a,39a,40a)で生じたパイロット圧(ブームパイロット圧,アームパイロット圧,バケットパイロット圧,旋回パイロット圧)を基に操作量(ブーム操作量、アーム操作量、バケット操作量、旋回操作量)を算出する操作量算出部8aと、この操作量算出部8aで算出した操作量により動作速度(ブーム速度、アーム速度、バケット速度、旋回速度)を算出する速度算出部8bと、この速度算出部8bで算出された旋回速度により、旋回用電動機17の目標回転数をインバータ18へ出力する旋回用電動機制御部8cとを備えている。
【0027】
また、エンジン10を制御するエンジンコントローラ43から出力されるエンジン回転数と油圧ポンプ11の吐出容量によって、油圧ポンプ11のポンプ流量を算出する流量算出部8dと、前述のインバータ18、インバータ19から出力される蓄電装置9のバッテリ電圧によって、目標発電電力を算出する発電電力算出部8eも備えている。さらに、前述の速度算出部8bで算出した動作速度(ブーム速度、アーム速度、バケット速度)、前述の流量算出部8dで算出したポンプ流量、及び前述の発電電力算出部8eで算出した目標発電電力のそれぞれに応じた電動機16の目標回転数をインバータ19に出力するとともに、切換弁32,33,34,35,36に開閉信号を出力する回生・支援電動機制御部8fとを備えている。
【0028】
[ブーム用操作レバーによるブーム動作]
このように構成した本実施形態は、エンジン10を駆動させると、油圧ポンプ11から圧油が吐出され、この圧油が吐出管路30を通り、ブーム用制御弁12、アーム用制御弁13、バケット用制御弁14に供給される。この状態において、ブーム用操作レバー37をブーム5が上昇する方向に操作すると、パイロット弁37aでは、ブーム用操作レバー37の操作量に応じたブームパイロット圧が発生し、このブームパイロット圧がブーム用制御弁12の受圧部12aに導かれる。この受圧部12aが受けるブームパイロット圧によって、ブーム用制御弁12は、(a)位置に切換わる。これにより、油圧ポンプ11からブーム制御弁12に供給された圧油が、開位置に保たれている切換弁32、管路21を介してブームシリンダ5aのボトム室に導かれるとともに、ブームシリンダ5aのロッド室側の管路20が、タンク44に接続されるので、ブームシリンダ5aは延びる方向へ動作し、ブーム5が上昇する。
【0029】
また、ブーム用操作レバー37をブーム5が下降する方向に操作すると、パイロット弁37aでブーム用操作レバー37の操作量に応じたブームパイロット圧が発生し、このブームパイロット圧がブーム用制御弁12の受圧部12bに導かれる。この受圧部12bが受けるブームパイロット圧によって、ブーム用制御弁12は、(b)位置に切換わる。
【0030】
なお、この間に、パイロット弁37aで発生したブームパイロット圧は、圧力センサ42a、圧力センサ42bで検出され、この検出信号を受けた図3に示す車体コントローラ8の操作量算出部8aにより、ブーム操作量が算出される。そして、この算出されたブーム操作量により、ブーム速度が速度算出部8bによって算出され、回生・支援電動機制御部8fに送られる。回生・支援電動機制御部8fは、算出されたブーム操作量により、ブーム用操作レバー37がブーム5を下降する方向に操作されたと判断し、これによって、切換弁32へ閉信号を出力するとともに、切換弁33へ開信号を出力する。これにより、切換弁32は、閉状態、切換弁33は開状態となる。
【0031】
したがって、前述のようにして油圧ポンプ11からブーム制御弁12に供給された圧油が、管路20からブームシリンダ5aのロッド室側に導かれ、ブームシリンダ5aのボトム室から管路21、管路26、切換弁33を順に流れ、管路31を経由して、油圧ポンプ・モータ15に接続されるタンクに流れ込む。したがって、ブームシリンダ5aは縮む方向へ動作し、ブーム5が下降する。
【0032】
[アーム用操作レバーによるアーム動作]
さらに、アーム用操作レバー38をアーム6がクラウドするように操作すると、パイロット弁38aで発生したアームパイロット圧がアーム用制御弁13の受圧部13aに導かれ、アーム用制御弁13は、(a)位置に切換わる。これにより、油圧ポンプ11からアーム制御弁13に供給された圧油が、管路23からアームシリンダ6aのボトム室側に導かれるとともに、アームシリンダ6aのロッド室側の管路22が、タンク44に接続されるので、アームシリンダ6aは延びる方向へ動作し、アーム6がクラウド動作をする。
【0033】
また、アーム用操作レバー38をアーム6がダンプするように操作すると、パイロット弁38aで発生したアームパイロット圧がアーム用制御弁13の受圧部13bに導かれ、アーム用制御弁13は、(b)位置に切換わる。これにより、油圧ポンプ11からアーム用制御弁13に供給された圧油が、管路22からアームシリンダ6aのロッド室側に導かれるとともに、アームシリンダ6aのボトム室側の管路23が、タンク44に接続されるので、アームシリンダ6aは縮む方向へ動作し、アーム6がダンプ動作をする。
【0034】
[バケット用操作レバーによるバケット動作]
さらに、バケット用操作レバー39をバケット7がクラウドするように操作すると、パイロット弁39aで発生したバケットパイロット圧がバケット用制御弁14の受圧部14aに導かれ、バケット用制御弁14は、(a)位置に切換わる。これにより、油圧ポンプ11からバケット用制御弁14に供給された圧油が、管路25からバケットシリンダ7aのボトム室に導かれるとともに、バケットシリンダ7aのロッド室側の管路24が、タンク44に接続されるので、バケットシリンダ7aは延びる方向へ動作し、バケット7がクラウドする。
【0035】
また、バケット用操作レバー39をバケット7がダンプするように操作すると、パイロット弁39aで発生したバケットパイロット圧がバケット用制御弁14の受圧部14bに導かれ、バケット用制御弁14は、(b)位置に切換わる。これにより、油圧ポンプ11からバケット用制御弁14に供給された圧油が、管路24からバケットシリンダ7aのロッド室側に導かれるとともに、バケットシリンダ7aのボトム室側の管路25が、タンク44に接続されるので、バケットシリンダ7aは縮む方向へ動作し、バケット7がダンプする。
【0036】
[旋回用操作レバーによる旋回動作]
さらに、旋回用操作レバー40を操作すると、パイロット弁40aで旋回用操作レバー40の操作量に応じた旋回パイロット圧が発生し、この旋回パイロット圧は、圧力センサ42g、圧力センサ42hで検出され、この検出信号を受けた車体コントローラ8の操作量算出部8aにより、旋回操作量が算出される。そして、この算出された旋回操作量により、旋回速度が速度算出部8bによって算出され、この算出された旋回速度は、旋回用電動機制御部8cに送られる。旋回用電動機制御部8cは、算出された旋回速度から図2に示す旋回用電動機17の目標回転数を算出し、この算出した目標回転数をインバータ18へ出力する。これにより、旋回用電動機17は、インバータ18により、旋回用操作レバー40の操作量に応じた目標回転数で駆動される。
【0037】
[ブームの下げ動作に伴う充電]
次に、前述したブーム6の下げ操作によって得られる位置エネルギ、すなわちブームシリンダ5aからの戻り油のエネルギを電気エネルギとして蓄電装置9に充電するまでの動作について説明する。まず、ブーム用操作レバー37をブーム5が下降する方向に操作すると、前述のように、ブーム用制御弁12が(b)位置に切換わり、車体コントローラ8の出力信号によって切換弁32が閉状態、切換弁33が開状態となる。これにより、油圧ポンプ11からブーム用制御弁12に供給された圧油が、管路20からブームシリンダ5aのロッド室側に導かれ、ブームシリンダ5aのボトム室から戻り油として、管路21、管路26、切換弁33、管路31を順に流れ、この戻り油によって油圧ポンプ・モータ15が駆動される。これによって、油圧ポンプ・モータ15と連結された電動機16は、油圧ポンプ・モータ15の回転駆動により、発電機として駆動され、ここで発電された電気エネルギは、インバータ19を介して蓄電装置9に充電される。
【0038】
なお、この間に、図3に示す車体コントローラ8の回生・支援電動機制御部8fでは、速度算出部8bで算出されたブーム速度、すなわちブーム操作量に応じたブームシリンダ5aのシリンダ速度と、予め記憶されたブームシリンダ5aのピストンの受圧面積データを利用して、ブームシリンダ5aからの戻り油の流量が計算される。
【0039】
戻り油の流量=ピストンの受圧面積×シリンダ速度
さらに、この算出された戻り油の流量と、予め記憶されたあるいは別途算出された油圧ポンプ・モータ15の吐出容量データによって、電動機16の所要回転数が計算される。
【0040】
電動機16の所用回転数=戻り油の流量/油圧ポンプ・モータ15の吐出容量
また、算出された電動機16の所要回転数は、インバータ19へ出力される。これにより、インバータ19は、ブームシリンダ5aのボトム室からの戻り油の流量がブーム速度に応じた流量となるように、電動機16の回転数を制御する。したがって、ブーム5の動作速度は、ブーム用操作レバー37の操作量に応じた速度に制御される。
【0041】
[蓄電装置の蓄電量が不足した場合の充電]
次に、車体コントローラ8によって蓄電装置9の蓄電量が不足していると判断された場合に、蓄電装置9に充電する動作について説明する。図3に示す車体コントローラ8の発電電力算出部8eでは、蓄電装置9と接続されたインバータ18、インバータ19から送信されるバッテリ電圧の信号を常に受信し、蓄電装置9の蓄電量が必要量であるかが判断されている。この車体コントローラ8の発電電力算出部8eで、蓄電装置9の蓄電量が少ないと判断された場合には、発電電力算出部8eにより目標発電電力が算出され、この目標発電電力は、回生・支援電動機制御部8fに送られる。目標発電電力を受信した回生・支援電動機制御部8fは、切換弁36へ開信号を出力するとともに、目標発電電力を発電するために必要な電動機16の目標回転数をインバータ19へ出力する。これにより、切換弁36は開状態となり、油圧ポンプ11から吐出される圧油が誘導管路、すなわち吐出管路30、管路29、31を順に流れ、その圧油により油圧ポンプ・モータ15が駆動される。したがって、電動機16は、油圧ポンプ・モータ15の回転駆動により、発電機として駆動されるとともに、インバータ19により発電電力目標に応じた目標回転数に制御される。これにより、不足分の電気エネルギが電動機16によって発電され、この電気エネルギは、インバータ19を介して蓄電装置9に充電される。
【0042】
なお、前述のアーム7のクラウド動作、及びダンプ動作に伴う戻り油を、車体コントローラ8の出力信号によって切換弁34、35を開閉させることにより、油圧ポンプ・モータ15に導くことができ、これにより、電動機16を駆動させ、蓄電装置9に充電させることもできる。また、旋回体2を旋回駆動させた時の速度エネルギを、旋回体の減速停止時に電動機17を発電機として駆動させ、インバータ18を介して蓄電装置9に充電することもできる。
【0043】
[ブームの下げ操作による戻り油を利用した流量支援]
次に、ブーム5の下げ操作による戻り油を利用して、アーム6の操作をする動作について説明する。まず、ブーム用操作レバー37によりブーム5の下げ操作を行うと同時に、アーム操作レバー38をアーム6がクラウドするように操作すると、前述したように、ブーム5側の油圧回路では、ブーム用制御弁12が(b)位置に切換わり、ブーム用制御弁12に供給された圧油は、管路20からブームシリンダ5aのロッド室に流れ込む。一方、アーム6側の油圧回路では、前述したように、アーム用制御弁13が(a)位置に切換わり、アーム用制御弁13に供給された圧油は、管路23からアームシリンダ6aのボトム室に流れ込む。
【0044】
なお、この間に、車体コントローラ8では、パイロット弁37aで発生したブームパイロット圧とパイロット弁38aで発生したアームパイロット圧を基に、操作量算出部8aにより、ブーム操作量、アーム操作量が算出される。そして、この算出されたブーム操作量、アーム操作量により、ブーム速度、アーム速度が速度算出部8bによって算出され、回生・支援電動機制御部8fに送られる。回生・支援電動機制御部8fでは、算出されたブーム操作量、アーム操作量、ブーム速度、アーム速度、及び予め記憶されたブームシリンダ5aのピストンの受圧面積データとアームシリンダ6aのピストンの受圧面積データにより、ブームシリンダ5aの下げ操作、アームシリンダ6aのクラウド操作のそれぞれの操作に必要な流量が算出される。そして、この回生・支援電動機制御部8fにより、アームシリンダ6aのクラウド操作に必要な流量が不足していると判断された場合には、切換弁35に開信号が出力される。これによって、切換弁35は開状態となるので、ブームシリンダ5aのボトム室から管路21、管路26、切換弁33、管路31を順に流れる戻り油が、管路28から切換弁35を介して管路23に流れ込む。つまり、アーム6のクラウド操作に不足する流量がブーム下げ動作に伴う戻り油により補充され、これにより、アーム6は、アーム操作レバー38の操作量に応じた速度でクラウドする。
【0045】
さらに、ブーム用操作レバー37によりブーム5の下げ操作を行うと同時に、アーム操作レバー38をアーム6がダンプするように操作すると、前述したように、ブーム5側の油圧回路では、ブーム用制御弁12が(b)位置に切換わり、ブーム用制御弁12に供給された圧油は、管路20からブームシリンダ5aのロッド室に流れ込む。一方、アーム6側の油圧回路では、前述したように、アーム用制御弁13が(b)位置に切換わり、アーム用制御弁13に供給された圧油が管路22からアームシリンダ6aのロッド室に流れ込む。
【0046】
なお、この間に、車体コントローラ8では、パイロット弁37aで発生したブームパイロット圧とパイロット弁38aで発生したアームパイロット圧を基に、操作量算出部8aにより、ブーム操作量、アーム操作量が算出される。そして、この算出されたブーム操作量、アーム操作量により、ブーム速度、アーム速度が速度算出部に8bよって算出され、回生・支援電動機制御部8fに送られる。回生・支援電動機制御部8fでは、算出されたブーム操作量、アーム操作量、ブーム速度、アーム速度、及び予め記憶されたブームシリンダ5aのピストンの受圧面積データとアームシリンダ6aのピストンの受圧面積データにより、ブームシリンダ5aの下げ操作、アームシリンダ6aのダンプ操作のそれぞれの操作に必要な流量が算出される。そして、この回生・支援電動機制御部8fにより、アームシリンダ6aのダンプ操作に必要な流量が不足していると判断された場合には、切換弁34に開信号が出力される。これによって、切換弁34は開状態となるので、ブームシリンダ5aのボトム室から管路21、管路26、切換弁33、管路31を順に流れる戻り油が、管路27から切換弁34を介して管路22に流れ込む。つまり、アーム6のダンプ操作に不足する流量がブーム下げ動作に伴う戻り油により補充され、これにより、アーム6は、アーム操作レバー38の操作量に応じた速度でダンプ動作する。
【0047】
[油圧ポンプ・モータ15からの圧油による流量支援]
次に、各シリンダ(5a,6a,7a)の複合操作などによって、油圧ポンプ11だけでは、各シリンダ(5a,6a,7a)に供給する圧油の流量が不足する場合に、油圧ポンプ・モータ15による流量支援を行う動作について説明する。例えば、ブーム用操作レバー37をブーム5が上昇する方向に操作すると同時に、アーム用操作レバー38をアーム6がダンプする方向に操作すると、車体コントローラ8では、圧力センサ42a、圧力センサ42bからのブームパイロット圧、及び圧力センサ42c、42dからのアームパイロット圧の検知信号に基づき、操作量算出部8aでブーム操作量、アーム操作量が算出され、速度算出部8bでブーム速度、アーム速度が算出される。そして、このブーム速度、アーム速度、及び予め記憶されたブームシリンダ5a、アームシリンダ6aのピストンの受圧面積データを利用して、回生・支援電動機制御部8fでは、ブーム5を上昇させる操作に必要な流量と、アーム6をダンプさせる操作に必要な流量が算出される。また、回生・支援電動機制御部8fでは、算出されたブーム5を上昇させる操作に必要な流量と、アーム6をダンプさせる操作に必要な流量の合計流量が算出された後、この合計流量と流量算出部8dによって算出された油圧ポンプ11のポンプ流量とが比較される。
【0048】
さらに、車体コントローラ8の回生・支援電動機制御部8fでは、前述の合計流量が油圧ポンプ11のポンプ流量よりも多い場合、油圧ポンプ・モータ15からの流量支援が必要であると判断し、油圧ポンプ11と前述の合計流量との流量差を算出するとともに、この流量差と予め記憶されたあるいは別途算出された油圧ポンプ・モータ15の吐出容量から、電動機16の目標回転数を算出する。また、この算出された電動機16の目標回転数は、インバータ19へ出力される。これにより、インバータ19は、電動機16を目標回転数で駆動し、不足分の流量が補助ポンプである油圧ポンプ・モータ15から吐出される。
【0049】
また、車体コントローラ8の回生・支援電動機制御部8fでは、算出されたブーム5を上昇させる操作に必要な流量、アーム6をダンプさせる操作に必要な流量から、どちらの動作に流量が不足するかが判断され、その判断に基づいて、切換弁33、切換弁34へ開信号を出力する。例えば、アーム6のダンプ操作に必要な流量が不足していると判断された場合には、切換弁34に開信号が出力される。これによって、切換弁34が開状態となるので、油圧ポンプ・モータ15から吐出された圧油は、補助管路である管路31、管路27を流れ、切換弁34を介して管路22に送られる。これにより、アーム6のダンプ操作に不足する流量が補助ポンプである油圧ポンプ・モータ15からの圧油により補充され、これにより、アーム6は、アーム操作レバー38の操作量に応じた速度でダンプする。また、ブーム5を上昇させる操作に必要な流量が不足していると判断された場合には、切換弁33に開信号が出力される。これによって、切換弁33が開状態となるので、油圧ポンプ・モータ15から吐出された圧油は、補助管路である管路31、管路26を順に流れ、切換弁33を介して管路21に送られる。これにより、ブーム5の上げ操作に不足する流量が補助ポンプである油圧ポンプ・モータ15からの圧油により補充され、これにより、ブーム5は、ブーム操作レバー37の操作量に応じた速度で上昇する。
【0050】
また、ブーム用操作レバー37をブーム5が上昇する方向に操作すると同時に、アーム用操作レバー38をアーム6がクラウドする方向に操作すると、車体コントローラ8では、圧力センサ42a、圧力センサ42bからのブームパイロット圧、及び圧力センサ42c、42dからのアームパイロット圧の検知信号に基づき、操作量算出部8bでブーム操作量、アーム操作量が算出され、速度算出部8bでブーム速度、アーム速度が算出される。そして、このブーム速度、アーム速度、及び予め記憶されたブームシリンダ5a、アームシリンダ6aのピストンの受圧面積データを利用して、回生・支援電動機制御部8fでは、ブーム5を上昇させる操作に必要な流量と、アーム6をクラウドさせる操作に必要な流量が算出される。また、これらの算出されたブーム5を上昇させる操作に必要な流量と、アーム6をクラウドさせる操作に必要な流量との合計流量が算出された後、この合計流量と流量算出部によって算出された油圧ポンプ11のポンプ流量とが比較される。
【0051】
さらに、車体コントローラ8の回生・支援電動機制御部8fでは、前述の合計流量が油圧ポンプ11のポンプ流量よりも多い場合、油圧ポンプ・モータ15からの流量支援が必要であると判断し、油圧ポンプ11と前述の合計流量との流量差を算出するとともに、この流量差と予め記憶されたあるいは別途算出された油圧ポンプ・モータ15の吐出容量から、電動機16の目標回転数が算出される。また、この算出された電動機16の目標回転数は、インバータ19へ出力される。これにより、インバータ19は、電動機16を目標回転数で駆動し、不足分の流量が補助ポンプである油圧ポンプ・モータ15から吐出される。
【0052】
また、車体コントローラ8の回生・支援電動機制御部8fでは、算出されたブーム5を上昇させる操作に必要な流量、アーム6がクラウド操作するのに必要な流量から、どちらの動作に流量が不足するかが判断され、その判断に基づいて、切換弁33、切換弁35へ開信号を出力する。例えば、アーム6のクラウド操作に必要な流量が不足していると判断された場合には、切換弁35に開信号が出力される。これによって、切換弁35が開状態となるので、油圧ポンプ・モータ15から吐出された圧油は、補助管路である管路31、管路28を流れ、切換弁35を介して管路23に送られる。これにより、アーム6のクラウド操作に不足する流量が補助ポンプである油圧ポンプ・モータ15からの圧油により補充され、これにより、アーム6は、アーム操作レバー38の操作量に応じた速度でクラウドする。
【0053】
[本実施形態の効果]
このように構成した本実施形態によれば、蓄電装置9からの電気エネルギにより駆動される電動機16をエンジン10から離隔させて設けたことにより、電動機16のエンジン10との連結駆動によって生ずるエンジンロスを無くすことができるとともに、ブームシリンダ5aの操作に伴って回収した蓄電装置9の電気エネルギを利用して、電動機16を駆動させ、この電動機16の駆動によって吐出する油圧ポンプ・モータ15からの圧油を、管路26、管路27、管路28、管路31を通して、油圧ポンプ11からの圧油に合流させて、ブームシリンダ5a、アームシリンダ6aに導くようにしたので、ブームシリンダ5aの操作に伴って回収したエネルギによって発生させた圧油をブーム用制御弁12、アーム用制御弁13を経由させずに、ブームシリンダ5a、アームシリンダ6aに導くことができる。つまり、ブームシリンダ5aの操作に伴って回収したエネルギによって発生させた圧油のブーム用制御弁12、アーム用制御弁13の経由に伴う絞り損失を無くすことができる。すなわち、ブームシリンダ5aの操作に伴って回収したエネルギをブームシリンダ5a、アームシリンダ6aの駆動に有効活用することができ、これによって、エネルギ効率を向上させることができる。
【0054】
また、発電機を兼ねる電動機16と、この電動機16によって駆動され、ブームシリンダ5及びアームシリンダ7に圧油を吐出する補助ポンプとブームシリンダ5からの戻り油によって駆動される油圧モータを兼ねる油圧ポンプ・モータ15とを設けたことにより、発電機と電動機、及び油圧モータと油圧ポンプを別々に設ける必要がないので、機器の設置スペースを小さく抑えることができるとともに、機器の数を最小限に抑えることができる。
【0055】
さらに、蓄電装置9の回収した電気エネルギを利用して旋回用電動機17を駆動することにより、回収した電気エネルギを有効活用でき、これによって、旋回用電動機17を駆動する電気エネルギを確保するために別途設ける発電機の容量を小さく、もしくはこの発電機を無くすことができる。したがって、機器の設置スペースを小さく抑えることができるとともに、機器の数を最小限に抑えることができる。
【0056】
また、蓄電装置9の電気エネルギが不足した時に、油圧ポンプ11からの圧油を吐出管路30、管路29、管路31により直接油圧ポンプ・モータ15に導くことよって、この油圧ポンプ・モータ15を駆動させて発電することができるので、旋回用等の電動機を駆動する電気エネルギを確保するために別途設ける発電機を無くすことができる。したがって、機器の設置スペースを小さく抑えることができるとともに、機器の数を最小限に抑えることができる。
【0057】
なお、アームシリンダ6aの操作に伴って回収した蓄電装置9の電気エネルギを利用して、電動機16を駆動させ、この電動機16の駆動によって吐出する油圧ポンプ・モータ15からの圧油を、管路26、管路27、管路28、管路31を通して、油圧ポンプ11からの圧油に合流させて、ブームシリンダ5a、アームシリンダ6aに導くこともできる。したがって、アームシリンダ6aの操作に伴って回収したエネルギをブームシリンダ5a、アームシリンダ6aの駆動に有効活用することができ、エネルギ効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明に係る油圧駆動装置の一実施形態が備えられる建設機械の一例として挙げた油圧ショベルの側面図である。
【図2】本実施形態の駆動回路図である。
【図3】図2の車体コントローラの制御内容を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0059】
5 ブーム
5a ブームシリンダ
6 アーム
6a アームシリンダ
8 車体コントローラ
8a 操作量算出部
8b 速度算出部
8c 旋回用電動機制御部
8d 流量算出部
8e 発電電力算出部
8f 回生・支援電動機制御部
9 蓄電装置
10 エンジン
11 油圧ポンプ
12 ブーム用制御弁
13 アーム用制御弁
15 油圧ポンプ・モータ(補助ポンプ)
16 電動機
17 旋回用電動機
18 インバータ
19 インバータ
26 管路(補助管路)
27 管路(補助管路)
28 管路(補助管路)
29 管路(誘導管路)
30 吐出管路(誘導管路)
31 吐出管路(補助管路)(誘導管路)
32 切換弁
33 切換弁
34 切換弁
35 切換弁
36 切換弁(切換手段)
37 ブーム用操作レバー
38 アーム用操作レバー
40 旋回用操作レバー
42b 圧力センサ
42c 圧力センサ
42d 圧力センサ
42e 圧力センサ
42f 圧力センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンによって駆動される油圧ポンプと、この油圧ポンプの圧油が供給されるコントロールバルブと、このコントロールバルブによって制御される油圧アクチュエータと、前記油圧アクチュエータの戻り圧油によって駆動される油圧モータと、この油圧モータによって駆動される発電機と、この発電機によって生じた電気エネルギを蓄える蓄電装置とを備える建設機械の油圧駆動装置において、
前記蓄電装置からの電気エネルギにより駆動され、前記エンジンから離隔させて設けた電動機と、この電動機により駆動される補助ポンプと、この補助ポンプから圧油を前記油圧ポンプからの圧油に合流させて前記コントロールバルブを経由させずに、前記油圧アクチュエータに導く補助管路を設けたことを特徴とする建設機械の油圧駆動装置。
【請求項2】
請求項1に記載の発明において、
前記油圧モータが前記補助ポンプを兼ねる油圧ポンプ・モータから成り、前記発電機が前記油圧ポンプ・モータを前記蓄電装置からの電気エネルギにより駆動する電動機を兼ねることを特徴とする建設機械の油圧駆動装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の発明において、
前記蓄電装置からの電気エネルギによって駆動される旋回用電動機を設けたことを特徴とする建設機械の油圧駆動装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の発明において、
前記油圧ポンプからの圧油を前記油圧モータに導く誘導管路を有するとともに、前記誘導管路の開閉を切替える切換手段を備えたことを特徴とする建設機械の油圧駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−202343(P2008−202343A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−41031(P2007−41031)
【出願日】平成19年2月21日(2007.2.21)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】