説明

建設機械

【課題】オペレータが手すりを持ってキャブ内に乗り込めるとともに、キャブ内に乗り込むときに乗降スペースよりスムーズに乗り込むことができ、かつ狭所での作業性に優れた手すりを備えた建設機械を提供する。
【解決手段】キャブ左側面部36のセンターピラー39に手すり43を取り付け。手すり43は、キャブ本体31の外面に沿った収納位置と、キャブ本体31の外面から外側に突出する把持位置との間で回動可能な格納式であり、ドア32を閉めた状態でも、手すり43を把持位置に回動させることにより、手すり43は、キャブ本体31の外面を構成するセンターピラー39の外面から外側に突出した状態で把持することができるとともに、手すり43は収納位置に収納することにより、ドア32の外面より内側に収納可能となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は建設機械に係わり、特に、キャブ本体のセンターピラーに乗降用の手すりを設けた油圧ショベル等の建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
油圧ショベル等の建設機械のうち、旋回フレーム上に運転室を形成するキャブが設けられたキャブ仕様の建設機械においては、キャブ本体のセンターピラーにヒンジ機構を介して乗降用のドアが回動可能に取り付けられ、かつセンターピラーに乗降用の手すりが設けられている。この手すりは、通常、センターピラーに溶接又はボルトにより固定されており、かつ手で持ち易くするために、センターピラーからドアを開けたときに形成されるドア開口部側(乗降スペース側)にある程度突出した状態で取り付けられている(特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】実開平5−57049号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
6t未満のミニショベルのキャブにおいては、ドアを開けたときに車体からのドアのはみ出しを極力抑えるために、キャブの中央あたりにセンターピラーを設定し、それを中心にドアが回動する仕様となっており、その結果、ドアを開けたときに形成される乗降スペースを十分に広く確保でき難い構造になっている。一方、乗降用の手すりは、センターピラーから乗降スペース側に突出して取り付けられている。そのため、乗降スペースが手すりにより狭められ、オペレータがキャブ内に乗り込むときにオペレータの肩が手すりにぶつかる可能性があり、非常に乗り込み難いものになっている。
【0005】
手すりが乗降スペースを狭めないようにするためには、手すりをキャブ外面から外側に突出するように設けることが考えられる。しかし、その場合は、手すりがキャブ外面から突出する分、上部旋回体の幅(車幅)が大きくなるため、狭所での作業性が損なわれてしまい、好ましくない。
【0006】
本発明の目的は、オペレータが手すりを持ってキャブ内に乗り込めるとともに、キャブ内に乗り込むときに乗降スペースよりスムーズに乗り込むことができ、かつ狭所での作業性に優れた手すりを備えた建設機械を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)上記目的を達成するために、本発明は、キャブ本体と乗降用のドアとを備えたキャブを有し、前記ドアを前記キャブ本体のセンターピラーにヒンジ機構を介して回動可能に取り付けた建設機械において、前記センターピラーに乗降用の手すりを設け、この手すりを、前記キャブ本体の外面から外側に突出した状態で把持できるように取り付け、かつ前記手すりを前記ドアの外面より内側に少なくとも部分的に収納可能としたものとする。
【0008】
このように手すりをキャブ本体の外面から外側に突出した状態で把持できるように取り付けることにより、オペレータはその手すりを持つことで、従来通り、キャブ内に乗り込むことができるとともに、オペレータは手すりに肩をぶつけることなく、乗降スペースよりキャブ内にスムーズに乗り込むことができる。
【0009】
また、手すりをドアの外面より内側に少なくとも部分的に収納可能とすることにより、車幅の増加が押さえられるため、狭所での優れた作業性を確保することができる。
【0010】
(2)また、上記目的を達成するために、本発明は、下部走行体と上部旋回体を有し、上部旋回体は基礎下部構造をなす旋回フレームと、この旋回フレーム上に設けられ、運転席を備えるキャブと、前記旋回フレーム上の後部に設けられたカウンターウエイトと、前記旋回フレーム上のキャブとカウンターウエイト以外の部分を覆い、後方部分内部に機械室を形成する外装カバーとを備え、前記キャブは、前記旋回フレーム上方において、前記旋回フレームの前方部分から前記外装カバーの後方部分に至る部分を占めるよう位置し、かつ前記キャブ内の運転席が前記機械室の上方に位置するよう配置され、前記キャブはキャブ本体と乗降用のドアとを有し、前記ドアを前記キャブ本体のセンターピラーにヒンジ機構を介して回動可能に取り付けた建設機械において、前記センターピラーに乗降用の手すりを設け、この手すりを、前記キャブ本体の外面から外側に突出した状態で把持できるように取り付け、かつ前記手すりを前記ドアの外面より内側に少なくとも部分的に収納可能としたものとする。
【0011】
これにより建設機械が6t未満のミニショベルにおいて、上記(1)で述べたように、オペレータが手すりを持ってキャブ内に乗り込めるとともに、キャブ内に乗り込むときに乗降スペースよりスムーズに乗り込むことができ、かつ狭所での優れた作業性を確保することができる。
【0012】
(3)上記(1)又は(2)において、好ましくは、前記手すりは、前記ドアの外面より内側であって前記キャブ本体の外面に沿った収納位置と、前記キャブ本体の外面から突出する把持位置との間で回動可能な格納式である。
【0013】
(4)また、上記(1)又は(2)において、前記手すりは、前記センターピラーに設けられたドア取り付け用の凹部内に取り付けられた固定式であってもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、オペレータが手すりを持ってキャブ内に乗り込めるとともに、キャブ内に乗り込むときに乗降スペースよりスムーズに乗り込むことができ、かつ狭所での優れた作業性を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。
【0016】
図1及び2は、本発明の第1の実施の形態に係わる建設機械である油圧ショベルの側面図である。図1はキャブに設けられた乗降用のドアを閉じた状態を示し、図2はそのドアを取り外した状態を示している。本実施の形態において、油圧ショベルは、例えば6t未満のスイング式ミニショベルである。
【0017】
図1及び2において、本実施の形態に係わる油圧ショベルは、下部走行体1と、この下部走行体1上に旋回可能に搭載された上部旋回体2と、この上部旋回体2にスイングポスト3を介して上下及び左右方向に回動可能に連結されたフロント作業機4とを備えている。
【0018】
上部旋回体2は基礎下部構造をなす旋回フレーム5と、旋回フレーム5上に設けられたキャブ6と、旋回フレーム5上の後部に設置されたカウンターウエイト7と、旋回フレーム5上のキャブ6とカウンターウエイト7以外の部分を覆う外装カバー8とを備えている。旋回フレーム5は底板と複数の縦板とから立体的に構成され、外装カバー8は側部外装カバー8aと後部外装カバー8bとを有し、旋回フレーム5の縦板部分は側部外装カバー8aの下側部分で覆われている。また、側部外装カバー8aの後方部分と後部外装カバー8bの内部であって、旋回フレーム5上の後方部分上側には機械室9が形成され、この機械室9にエンジンや、このエンジンにより駆動される主油圧ポンプ、パイロットポンプ等の機器が収納されている。また、外装カバー8内のその他の部分にはエンジン燃料タンク、油圧ポンプの作動油タンク等が収納されている。
【0019】
フロント作業機4は、ブーム11と、ブーム11に回動可能に結合されたアーム12と、アーム12に回動可能に結合されたバケット13とを備え、それぞれブーム用油圧シリンダ14、アーム用油圧シリンダ15、バケット用油圧シリンダ16により駆動される。
【0020】
キャブ6はその内部に運転室を形成するものであり、図2に示すように、キャブ6内にはオペレータが着座する運転席21や、フロント・旋回操作用の左右1対の手動操作レバー22L,22R(但し22Lのみ図示)、走行用の左右1対の手動操作レバー23L,23R(同)及びペダル24L,24R(同)が設けられている。フロント・旋回操作用の左右1対の手動操作レバー22L,22Rは運転席21の右左両側に設けられ、走行用の左右1対の手動操作レバー23L,23R及びペダル24L,23Rは運転席23前方の床上に設けられている。
【0021】
また、図示の油圧ショベルは6t未満のスイング式ミニショベルであるため、キャブ6の設置面積は旋回フレーム5上の大部分を占めている。すなわち、キャブ6は、旋回フレーム5の上方において、旋回フレーム5の前方部分から外装カバー8の後方部分(側部外装カバー8aの後方部分と後部外装カバー8b)に至る部分を占めるよう位置し、かつキャブ6内の運転席21が機械室9の上方に位置するよう配置されている。
【0022】
また、キャブ6は、キャブ本体31と乗降用のドア32とを備え、キャブ本体31は上面部、前面部、後面部、左右の側面部を有する箱形に形成されている。図中、キャブ本体31の左側面部(以下、適宜キャブ左側面部という)に符号36を付しており、ドア32はキャブ左側面部36のセンターピラー39にヒンジ機構41a,41bを介して回動可能に取り付けられている。また、キャブ本体31の上面部、前面部、後面部、左右の側面部とドア32にはガラス窓が設けられ、キャブ内に乗車した運転者の視界を確保できるようになっている。図中、キャブ左側面部36に設けられたガラス窓に符号38aを付し、ドア32に設けられたガラス窓に符号38b,38c,38dを付している。キャブ左側面部36の前側ピラー部分42には乗降用のハンドレール73が取り付けられ、キャブ左側面部36のセンターピラー39には本実施の形態の特徴部分を構成する乗降用の手すり43が取り付けられている。
【0023】
図3〜図5を用いて手すり43の詳細を説明する。図3はキャブ左側面部36の拡大図であり、図4(a)〜(c)は、図3のA−A線、B−B線、C−C線の断面図であり、図5は手すり43の拡大斜視図である。また、図4(a)〜図4(c)において、ドア32を開けた状態を想像線で示している。
【0024】
図3において、乗降用のドア32は前後2つのドア部32a,32bからなる折り畳み式であり、後側ドア部32bの後方側枠部分44がヒンジ機構41a,41bを介して回動可能にセンターピラー39に取り付けられている。後方ドア部32bの後方側枠部分44は、手すり43が位置する部分を除いて全体的に上下方向にストレート形状であり、手すり43が位置する部分はわずかに内側(図示左側)に凹み、その外側(図示右側)に手すり取り付け用の凹部44aを形成している。また、センターピラー39はキャブ本体31の左側面部36における幅方向(図示左右方向)の中央付近に取り付けられ、手すり43はセンターピラー39の所定の高さ位置、図示の例では、センターピラー39の高さ方向中央位置よりやや上側に取り付けられている。
【0025】
図4(a)〜図4(c)に示すように、後方ドア部32bの後方側枠部分44は外側と内側の2枚の鋼板部材45,46からなり、外側の鋼板部材45は平坦形状であり、内側の鋼板部材46は上下方向に伸びるよう形成された凸部46aを有し、両者を組み合わせることで中空の枠構造を形成している。また、外側の鋼板部材45にはガラス窓38dが取り付けられている。センターピラー39も外側と内側の2枚の鋼板部材47,48からなり、外側の鋼板部材47は、後方側枠部分44の凹部44aに位置する部分を除いて上下方向に伸びるよう形成された凸部47aを有し、内側の鋼板部材48はその全長にわたって上下方向に伸びるよう形成された凸部48aを有し、両者を組み合わせることで、後方側枠部分4の凹部44aに位置する部分を除いて中空の支柱構造を形成している。外側の鋼板部材48の凹部44aに位置する部分は平坦形状であり、この部分に手すり43を取り付けるための手すり取り付け面49を形成している。
【0026】
図4(c)に想像線で示すように、手すり43は、ドア32を開けたときに、キャブ本体31の外面を構成するセンターピラー39の外面から外側に突出した状態で把持できるように取り付けられている。また、手すり43は、キャブ本体31の外面(センターピラー39の外面)に沿った収納位置(図4(c)の実線)と、キャブ本体31の外面(センターピラー39の外面)から外側に突出する把持位置(図4(c)の想像線)との間で回動可能な格納式であり、手すり43は収納位置に収納することにより、ドア32の外面より内側に少なくとも部分的に収納可能となっている。また、手すり43は、ドア32を閉めた状態でも、図4(c)に想像線で示す把持位置に回動させることにより、外側から把持できるようになっている。
【0027】
手すり43の詳細構造を図5を用いて説明する。図5に示すように、手すり43は手すり組立体51の一部として構成されている。手すり組立体51は、センターピラー39の外側の鋼板部材47に形成された手すり取り付け面49上にボルト止めされた鋼板製の基板52と、この基板52上に溶接或いはねじ止めされた1対のブラケット53a,53bと、この1対のブラケット53a,53bに貫通支持されたパイプ製のシャフト54とを有し、手すり43はこのシャフト54に回動可能に取り付けられている。
【0028】
手すり43は、パイプ製の握り部分55と、この握り部分55の両端に取り付けられた鋼板製の端板部材56,57と、端板部材56,57の握り部分55の反対側の端部に取り付けられた回転取り付け部材58,59とを有している。端板部材56側の回転取り付け部材58は端板部材56に直角をなして溶接等で一体化されたパイプ部材からなり、このパイプ部材はシャフト54のブラケット53aからの突出部分に回転可能に挿入されている。端板部材57側の回転取り付け部材59は、シャフト54のブラケット53bからの突出部分に回転可能に挿入されたパイプ部材61と、このパイプ部材61の反シャフト側端部に直角をなして溶接等で一体化された鋼板製の連結板62とを有し、連結板62は端板部材57に取り外し可能にねじ止めされている。シャフト54のブラケット53aからの突出部分にはコイルバネ63が巻装され、コイルバネ63の一端はブラケット53aに突設された板部材64に取り付けられ、コイルバネ63の他端は回転取り付け部材58のパイプ部材に突設された板部材65に取り付けられている。コイルバネ63は手すり43を図示のセンターピラー外面に沿った収納位置側に付勢する圧縮バネである。基板52と回転取り付け部材58のパイプ部材及び回転取り付け部材59のパイプ部材61の少なくとも一方との間に、手すり43がセンターピラー外面から外側に突出する把持位置において、図示の収納位置から90度以上回転するのを阻止するストッパーを設けてもよい。
【0029】
オペレータの手で手すり43の握り部分55を手前方向(センターピラー外面の外側方向)に引くと、手すり43は握り部分55と反対の部位であるシャフト54を中心に回動する。この手すり43は、通常は、コイルバネ63の力によってセンターピラー39側に倒れた図示の収納位置にあり、センターピラー39から突出していない。オペレータがキャブ6のドア32を開けてキャブ6に乗り込む際、手すり43の握り部分55を握ってセンターピラー39の外側方向に、例えば90度、手すり43を回動させる。このとき、手すり43は、ドア32を開けたときに形成されるドア開口部側(乗降スペース側)ではなく、センターピラー39の外面から外側方向に突出するため、乗降スペースが手すり43により狭められることは無い。オペレータは、本発明の手すり43と、キャブ左前ピラー部分42に設置されたハンドレール73を持つことで、スムーズにキャブ6内に乗り込むことができる。オペレータが手すり43から手を離すと、手すり43は元の収納位置に戻り、キャブ面からは突出しなくなる。
【0030】
また、手すり43は、ドア32を閉めた状態でも、図4(c)に想像線で示す把持位置に回動させることにより、外側から把持することができるため、例えばオペレータが下部走行体1の履帯上に乗って移動する場合に、その手する43を把持して安全に移動することができ、ドア32を閉めた状態での手すり43の利用も可能となる。
【0031】
以上のように本実施の形態によれば、乗降用の手すり43を、ドア32の外面より内側であってキャブ本体31の外面に沿った収納位置と、キャブ本体31の外面から突出する把持位置との間で回動可能な格納式としたので、オペレータが手すり43を持ってキャブ6内に乗り込めるとともに、手すり43が乗降スペースを狭めることが無く、オペレータは手すり43に肩をぶつけることなく、乗降スペースよりスムーズにキャブ6内に乗り込むことができ、しかも狭所での優れた作業性が確保される。また、ドア32を閉めた状態での手すり43の利用も可能となるため、手すり43の利便性も増大する。
【0032】
本発明の他の実施の形態を図6及び図7を用いて説明する。第1の実施の形態では手すりを回動可能な格納式としたが、本実施の形態では、手すりを固定式としたものである。図中、図3及び図4と同等の部材には同じ符号を付している。
【0033】
図6において、乗降用のドア132はキャブ左側面部136のセンターピラー139にヒンジ機構41a,41bを介して回動可能に取り付けられている。キャブ左側面部136のセンターピラー139に本実施の形態の特徴部分を構成する固定式の手すり143が取り付けられている。乗降用のドア132は前方ドア部132aと後方ドア部132bを有し、後方ドア部132bの後方側枠部分144は、第1の実施の形態と同様、手すり143が位置する部分を除いて全体的に上下方向にストレート形状であり、手すり143が位置する部分はわずかに内側に凹み、その外側に手すり取り付け用の凹部144aを形成している。また、本実施の形態では、センターピラー139にも、後方側枠部分144の凹部144aに対応する位置に、キャブ室内側に凹んだ手すり取り付け用の凹部149が形成されている。
【0034】
すなわち、図7(a)〜図7(c)に示すように、後方ドア部132bの後方側枠部分144は外側と内側の2枚の鋼板部材145,146からなり、外側の鋼板部材145は平坦形状であり、内側の鋼板部材146は上下方向に伸びるよう形成された凸部146aを有し、両者を組み合わせることで中空の枠構造を形成している。また、外側の鋼板部材145にはガラス窓38dが取り付けられている。センターピラー139も外側と内側の2枚の鋼板部材147,148からなり、外側の鋼板部材147は、上下方向に伸びるよう形成された凸部147aを有し、内側の鋼板部材148はその全長にわたって上下方向に伸びるよう形成された凸部148aを有し、両者を組み合わせることで中空の支柱構造を形成している。以上の構成は第1の実施の形態と同じである。
【0035】
また、本実施の形態では、センターピラー139の鋼板部材147,148は、後方側枠部分144の凹部144aに対応する部分において、凸部147a,148aを含む断面形状を異形とし、その部分に凹部149を形成している。
【0036】
すなわち、センターピラー139の鋼板部材147,148は凸部147a,148aの両側に、互いに面接触して溶接等により一体化されるウエブ部分147b1,147b2,148b1,148b2を有し、これらのウエブ部分は、図7(a)及び(b)に示すように、後方側枠部分144の凹部144aに対応する位置以外の部分では同一平面上に位置するのに対して、凹部144aに対応する部分においては、図7(c)に示すように、図示左側(ドア側或いは後方側枠部分側)のウエブ部分147b1,148b1がキャブ6の室内側に入り込むよう位置しており、かつその部分の鋼板部材147の凸部147aのドア側部分を幅狭とすることで、そのウエブ部分147b1,148b1を幅広とし、その部分に手すり取り付け用の凹部149を形成している。また、後方ドア部132bの後方側枠部分144では、ウエブ部分147b1,148b1の凹部149の変位に対応して、内側の鋼板部材146の凸部146aの高さを凹部144aの部分において他の部分よりも高くし、センターピラー139と後方ドア部132bの後方側枠部分144との間を微少隙間に維持している。
【0037】
手すり143は、パイプ材をコの字型に曲げたものであり、握り部分143aと、その両端の脚部143b,143c(一方のみ図示)とを有し、脚部143b,143cの先端をセンターピラー139の凹部149の底面に溶接或いはボルトで固定することにより取り付けられている。
【0038】
このように手すり143を、センターピラー139に設けられたドア取り付け用の凹部149内に取り付けることにより、手すり143は固定式であっても、キャブ本体31の外面から外側に突出した状態で把持することができ、かつドア132の外面(ガラス窓38dの外面)より内側に少なくとも部分的に(図示実施の形態では、手すり143の全てが)収納可能となる。これにより、本実施の形態においても第1の実施の形態と同様の効果が得られる。すなわち、オペレータはドア132を開け、手すり143を持ってキャブ6内に乗り込めるとともに、手すり143が乗降スペースを狭めることが無く、オペレータは手すり143に肩をぶつけることなく、乗降スペースよりスムーズにキャブ6内に乗り込むことができ、しかも狭所での優れた作業性を確保することができる。また、ドア132を閉めた状態での手すり143の利用も可能となるため、手すり143の利便性が増大する。
【0039】
なお、上記の実施の形態では、ドア前後2つのドア部からなる折り畳み式としたが、一枚ドアでも同様の効果が得られる。
【0040】
また、上記実施の形態では、手すり143を把持する状態にあるとき、手すり143はキャブ本体31の外面から外側のみに突出さ、乗降スペース側には全く突出させない構成としたが、手すり143を把持する状態にあるとき、手すり143は、多少乗降スペース側に突出していてもよく、この場合でも、その突出量が従来の手すりの突出量よりも少なければ、従来に比べ乗り込み易さを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係わる油圧ショベルの側面図であって、乗降用のドアを閉じた状態を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係わる油圧ショベルの側面図であって、乗降用のドアを取り外した状態を示す図である。
【図3】キャブ左側面部の拡大図である。
【図4】図3のA−A線、B−B線C−C線断面図であり、図4(a)はA−A線断面図、図4(b)はB−B線断面図、図4(c)はC−C線断面図である。
【図5】手すりの拡大斜視図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係わる建設機械のキャブ左側面部の拡大図である。
【図7】図6のA−A線、B−B線C−C線断面図であり、図7(a)はA−A線断面図、図7(b)はB−B線断面図、図7(c)はC−C線断面図である。
【符号の説明】
【0042】
1 下部走行体
2 上部旋回体
3 スイングポスト
4 フロント作業機
5 旋回フレーム
6 キャブ
7 外装カバー
31 キャブ本体
32 乗降用ドア
32a 前側ドア部
32b 後側ドア部
36 キャブ左側面部
38a,38b,38c,38d ガラス窓
39 センターピラー
41a,41b ヒンジ機構
42 前側ピラー部分
43 乗降用の手すり
44 後方側枠部分
44a 手すり取り付け用凹部
45 外側鋼板部材
46 内側鋼板部材
46a 凸部
47 外側鋼板部材
47a 凸部
48 内側鋼板部材
48a 凸部
49 手すり取り付け面
51 手すり組立体
52 基板
53a,53b 1対のブラケット
54 パイプ製のシャフト
55 パイプ製の握り部分
56,57 鋼板製の端板部材
58,59 回転取り付け部材
61 パイプ部材
62 鋼板製の連結板
63 コイルバネ
64,65 板部材
73 ハンドレール
132 乗降用ドア
132a 前側ドア部
132b 後側ドア部
136 キャブ左側面部
139 センターピラー
143 乗降用の手すり
143a 握り部分
143b,143c 脚部
144 後方側枠部分
144a 手すり取り付け用凹部
145 外側鋼板部材
146 内側鋼板部材
146a 凸部
147 外側鋼板部材
147a 凸部
148 内側鋼板部材
148a 凸部
149 手すり取り付け用の凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャブ本体と乗降用のドアとを備えたキャブを有し、前記ドアを前記キャブ本体のセンターピラーにヒンジ機構を介して回動可能に取り付けた建設機械において、
前記センターピラーに乗降用の手すりを設け、この手すりを、前記キャブ本体の外面から外側に突出した状態で把持できるように取り付け、かつ前記手すりを前記ドアの外面より内側に少なくとも部分的に収納可能としたことを特徴とする建設機械。
【請求項2】
下部走行体と上部旋回体を有し、上部旋回体は基礎下部構造をなす旋回フレームと、この旋回フレーム上に設けられ、運転席を備えるキャブと、前記旋回フレーム上の後部に設けられたカウンターウエイトと、前記旋回フレーム上のキャブとカウンターウエイト以外の部分を覆い、後方部分内部に機械室を形成する外装カバーとを備え、前記キャブは、前記旋回フレーム上方において、前記旋回フレームの前方部分から前記外装カバーの後方部分に至る部分を占めるよう位置し、かつ前記キャブ内の運転席が前記機械室の上方に位置するよう配置され、前記キャブはキャブ本体と乗降用のドアとを有し、前記ドアを前記キャブ本体のセンターピラーにヒンジ機構を介して回動可能に取り付けた建設機械において、
前記センターピラーに乗降用の手すりを設け、この手すりを、前記キャブ本体の外面から外側に突出した状態で把持できるように取り付け、かつ前記手すりを前記ドアの外面より内側に少なくとも部分的に収納可能としたことを特徴とする建設機械。
【請求項3】
請求項1又は2記載の建設機械において、
前記手すりは、前記ドアの外面より内側であって前記キャブ本体の外面に沿った収納位置と、前記キャブ本体の外面から突出する把持位置との間で回動可能な格納式であることを特徴とする建設機械。
【請求項4】
請求項1又は2記載の建設機械において、
前記手すりは、前記センターピラーに設けられたドア取り付け用の凹部内に取り付けられた固定式であることを特徴とする建設機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−105470(P2008−105470A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−287900(P2006−287900)
【出願日】平成18年10月23日(2006.10.23)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】