説明

建造物の外壁及びカーテンウォール

【課題】カーテンウォール8、8を連接する方向に関して凹部29と凸部30とを規則的に繰り返して成る凹凸意匠連続部11を設けた場合でも、隣り合うカーテンウォール8、8同士の継ぎ目部分で、凹部29と凸部30との繰り返しが不規則になる事のない構造を実現する。
【解決手段】隣り合うカーテンウォール8、8の互いに対向する端縁のうち、一方のカーテンウォール8の端縁に張り出し凸部31を設ける。又、他方のカーテンウォール8の端縁に張り出し凹部32を設ける。カーテンウォール8、8の連接時に、この張り出し凹部32を上記張り出し凸部31の屋内側に潜り込ませる。そして、この張り出し凸部31と、上記他方のカーテンウォール8の凹凸意匠連続部11の端部に存在する凸部30との間に、この凹凸意匠連続部11を構成する凹部29と同じ形状を有する連続部凹部35を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビルディングの外壁面及びこの外壁面を構成するカーテンウォールの改良に関する。具体的には、隣り合うカーテンウォール同士の継ぎ目の存在を、外観上分からなくして、上記外壁面の意匠の連続性を保てる構造を実現するものである。
【背景技術】
【0002】
ビルディングの如き鉄骨建造物を造る場合、鉄骨(躯体)を組み立てた後、この鉄骨の外側に予め工場で造った複数枚のカーテンウォールを張り付けて外観を整える。この様なカーテンウォールの構造は、例えば特許文献1〜5に記載される等により、従来から各種知られている。又、この様なカーテンウォールにより構成された建造物の外壁面の意匠に就いて、建築主の要求が多様化している。
【0003】
例えば図14は、特許文献3に記載されたカーテンウォールにより構成した建造物の外壁面を示している。それぞれが縦方向に長い長矩形の石材パネル1、1を、水平方向に2列ずつ並べ、更に上下方向に並べて、縦方向に連続する柱の如く見える第一部分2、2とし、水平方向に隣り合う第一部分2、2同士の間を、ガラス窓3、3を含む第二部分4、4とする事が考えられている。この様な第一部分2、2と第二部分4、4とを水平方向に交互に配置した外壁面は、それぞれが1階分の高さ寸法を有する、第一〜第三の3種類のカーテンウォール5〜7を、上下方向に順番に組み合わせる事により構成している。この様な図14に示した様な構造によれば、上記各石材パネル1、1の存在に基づいて建造物の外壁面の意匠を、石柱が設けられているが如くできる。
【0004】
但し、上記図14に示した構造及び上記他の特許文献に記載された構造を含めて、従来から知られている構造の場合には、建造物の外壁面のうちで隣り合うカーテンウォール同士の継ぎ目部分に、他の部分と異なる線が表れる。そして、この線が、カーテンウォールにより構成する建造物の外壁面の意匠設計上の制約となる。例えば、カーテンウォールの外面に、各カーテンウォールを連接する方向に関して凹部と凸部とを規則的に繰り返して成る凹凸意匠連続部を設けた場合、上記他の部分と異なる線の存在により、上記継ぎ目部分で、凹部と凸部との繰り返しが不規則になる。この様な不規則部分が生じると、建造物の外壁面の外観の統一性が損なわれる(建築主の要求に応じにくくなる)。
【0005】
【特許文献1】特開平7−26637号公報
【特許文献2】特開2003−253795号公報
【特許文献3】特開2004−84236号公報
【特許文献4】特開2004−169385号公報
【特許文献5】特開2004−211310号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述の様な事情に鑑みて、カーテンウォールを連接する方向に関して凹部と凸部とを規則的に繰り返して成る凹凸意匠連続部を設けた場合でも、隣り合うカーテンウォール同士の継ぎ目部分で、凹部と凸部との繰り返しが不規則になる事のない構造を実現すべく発明したものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の建造物の外壁及びカーテンウォールのうち、請求項1に記載した建造物の外壁に関する発明は、建造物の躯体に複数枚のカーテンウォールを、この躯体の開口部を塞ぐ状態で設置して成る。
この様な建造物の外壁を対象とする本発明では、上記各カーテンウォールの屋外側面の少なくとも一部でこれら各カーテンウォールの端縁に迄達する部分に、これら各カーテンウォールを連接する方向に関して凹部と凸部とを規則的に繰り返して成る、凹凸意匠連続部を設けている。
更に、上記凹部と凸部との繰り返し方向に関して隣り合う1対のカーテンウォールの互いに対向する端縁のうち、一方のカーテンウォールの端縁に、他方のカーテンウォールの端縁に向けて張り出す、上記凹凸意匠連続部を構成する凸部と同じ外面形状を有する張り出し凸部を設けている。これに対して、他方のカーテンウォールの端縁に、上記一方のカーテンウォールに向けて張り出す、上記凹凸意匠連続部を構成する凹部の底部と同じ外面形状を有し、この凹部の底部よりも大きな幅寸法を有する張り出し凹部を設けている。
そして、この張り出し凹部を上記張り出し凸部の屋内側に潜り込ませる事で、この張り出し凸部と、上記他方のカーテンウォールの凹凸意匠連続部の端部に存在する凸部との間に、この凹凸意匠連続部を構成する凹部と同じ形状を有する連続部凹部を形成している。
【0008】
又、請求項2に記載したカーテンウォールに関する発明は、支持枠に建造物の外壁面を構成するパネルを支持して成り、建造物の躯体に、この躯体の開口部を塞ぐ状態で設置する。
この様なカーテンウォールを対象とする本発明の場合には、屋外側面の少なくとも一部で端縁に迄達する部分に、上記躯体にこのカーテンウォールを連接する方向に関して凹部と凸部とを規則的に繰り返して成る凹凸意匠連続部を、この方向に関して一端縁から他端縁に迄設けている。
そして、このうちの一端縁に、この凹凸意匠連続部を構成する凸部と同じ外面形状を有する張り出し凸部を、他端縁に、この凹凸意匠連続部を構成する凹部の底部と同じ外面形状を有し、この凹部の底部よりも大きな幅寸法を有する張り出し凹部を、それぞれ設けている。
【0009】
上述のカーテンウォールに関する本発明を実施する場合、具体的には、請求項3に記載した様に、支持枠の4辺を構成する4本の枠材のうち、互いに並行な2本ずつ2組の枠材は、それぞれ一方の枠材の外面に受凹部を、他方の枠材の外面にこの受凹部に嵌合可能な形状及び大きさを有する嵌合凸部を、各枠材の全長に亙り設けたものとする。
又、上記凹凸意匠係合部は、鋼板の表面に亜鉛メッキ層を被覆し、断面形状を波形とした耐食鋼板により構成する。
又、この耐食鋼板と屋内側に設けた耐火ボードとの間に断熱パネルを設置し、これら耐食鋼板と耐火ボードと断熱パネルとから外れた部分の少なくとも一部に、ガラスパネルを備えた窓構造部を設ける。
更に、屋内側面のうちで上記窓構造部の下端部及び上記耐火ボードの上端部に位置する部分に窓開口の下縁を仕切る膳板を、同じく上記窓構造部の上端部に位置する部分にカーテンボックスを、それぞれ設ける。
尚、上述の様な請求項3に記載した発明を実施する場合に、例えば請求項4に記載した様に、上記窓構造部の上端と上記凹凸意匠連続部の下端との間に換気構造部を設け、上記カーテンボックスを、この換気構造部の下端部に位置する部分に設ける事もできる。
【発明の効果】
【0010】
上述の様に構成する本発明の建造物の外壁及びカーテンウォールによれば、カーテンウォールを連接する方向に関して凹部と凸部とを規則的に繰り返して成る凹凸意匠連続部を設けた場合でも、隣り合うカーテンウォール同士の継ぎ目部分で、凹部と凸部との繰り返しが不規則にならない。
即ち、隣り合うカーテンウォール同士の間には、一方のカーテンウォールの端縁に設けられた張り出し凸部と他方のカーテンウォールに設けられた張り出し凹部とにより構成された連続部凹部が存在する。この連続部凹部は、上記両カーテンウォールの外面に設けられた、凹凸意匠連続部を構成する凹部と同じ形状を有する。又、上記連続部凹部の両側には、上記一方のカーテンウォール側の張り出し凸部と、上記他方のカーテンウォール側の凹凸意匠連続部の端部に存在する凸部とが、各カーテンウォールの凹凸意匠連続部を構成する凹部及び凸部と同じ位置関係(ピッチ)で存在する。
従って、隣り合うカーテンウォール同士の継ぎ目部分で、凹部と凸部との繰り返しが不規則にならず、建造物の外壁面の外観を統一して、建築主の要求に応じられる。
尚、請求項3、4に記載した様に、建造物の壁部に設置する構造物のうちの多くの部分をカーテンウォールに組み付ければ、躯体へのカーテンウォールの組み付けと同時に、上記壁部の構成作業の多くを済ませる事ができて、建設作業の能率化を図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
[実施の形態の第1例]
図1〜9は、本発明の実施の形態の第1例を示している。図1〜3は、複数枚のカーテンウォール8、8aにより構成した建造物の外壁を、屋外側から見た状態を示している。これら各カーテンウォール8、8aは、一部のカーテンウォール8aに消防進入窓9を設けている点を除き、同じ構成である。これら各カーテンウォール8、8aの幅寸法はWであり、高さ寸法はHである。又、これら各カーテンウォール8、8aは、上下方向に長い矩形の支持枠10の屋外側面に、上から順番に、凹凸意匠連続部11と、換気構造部12と、窓構造部13、13aとを設けている。上記支持枠10は、それぞれがアルミニウム合金の押し出し型材製である、上枠14(図6参照)及び下枠15(図6参照)の水平方向両端部と、左右の竪枠16、17(図7〜9参照)の上下方向両端部とを、タッピングねじ(及び必要とすれば結合ブラケット)により結合固定して成る。この結合固定部の構造に就いては従来から周知であり、本発明の要点とも関係しないので、詳しい説明は省略する。
【0012】
この様な上記支持枠10の上半部屋外側面に、上記各カーテンウォール8、8aの屋外側面に露出する状態で設けられた、上記凹凸意匠連続部11は、鋼板の表面に亜鉛メッキ層を被覆し、断面形状を波形とした耐食鋼板製の素板18、18を、意匠の連続方向(水平方向)に連接する事により構成している。これら各素板18、18は、図7に示す様に、基板部19と、凸部20と、係止突条21と、小凸部22と、取付板部23と、受凹溝24とを備える。このうちの基板部19は、平板状で、最も屋内寄り部分に設けられている。又、上記凸部20は、断面形状が、先端側(屋外側)の幅寸法が小さくなる方向に傾斜した台形で、この凸部20の一端側(図7の左端側)裾部と、上記基板部19の一端縁(図7の右端縁)とが連続している。又、上記係止突条21は、上記凸部20の他端側(図7の右端側)裾部から、この凸部20の幅方向中央側に折れ曲がっている。又、上記基板部19の他端側(図7の左端側)には、上記小凸部22を介して、上記取付板部23を連続させている。この小凸部22も、断面形状が、先端側(屋外側)の幅寸法が小さくなる方向に傾斜した略台形である。又、上記取付板部23は、上記小凸部22を境に、上記基板部19と反対側に、この基板部19と同一平面上に設けている。又、上記受凹溝24は、上記小凸部22のうちで、上記基板部19側の裾部に、この小凸部22の全長に亙り設けている。この様な上記各素板18、18は、例えば、上記耐食鋼板をロール成形する事により造る。
【0013】
それぞれが上述の様な構成を有する、上記各素板18、18を上記各カーテンウォール8、8aの上半部屋外側面に張設する為、図6〜7に示す様に、これら各素板18、18を構成する上記取付板部23の上端部を前記上枠14の下面屋外寄り部分に設けた垂下板部25に、ねじ28或いはリベットにより結合固定している。又、上記各素板18、18の下端部及び中間部を、それぞれが上記支持枠10を構成する左右の竪枠16、17同士の間に掛け渡された無目26(図5の上部参照)及びブラインド無目27(図6の下部参照)の下面屋外端部に設けた垂下板部25a、25bに、ねじ28或いはリベットにより結合固定している。上記各素板18、18は上記各カーテンウォール8、8aの上半部屋外側面に、図7の右側から順番に張設する。そして、先に張設した(ねじ28により上記支持枠10に対し固定した)素板18の受凹溝24に、後から張設する素板18の係止突条21を挿入しつつ、順次これら各素板18、18を上記支持枠10に対し固定する。
【0014】
上述の様にこれら各素板18、18を上記支持枠10に対し固定した状態で、上記各カーテンウォール8、8aの上半部屋外側面に、前記凹凸意匠連続部11が設けられる。この凹凸意匠連続部11は、上記各カーテンウォール8、8aを連接する水平方向に関して、凹部29、29と凸部30、30とを規則的に繰り返して成る、波形である。この様な上記凹凸意匠連続部11は、上記各カーテンウォール8、8aの連接方向に関して、一端縁から他端縁に迄設けている。又、これら各カーテンウォール8、8aの一端縁に、上記凹凸意匠連続部11を構成する上記各凸部30、30と同じ外面形状を有する張り出し凸部31を、上記各カーテンウォール8、8aの一方の竪辺を構成する竪枠16の外側縁よりも水平方向に突出する状態で設けている。又、上記各カーテンウォール8、8aの他端縁に、上記凹凸意匠連続部11を構成する上記各凹部29、29の底部と同じ外面形状を有し、これら各凹部29、29の底部よりも大きな幅寸法を有する張り出し凹部32を、上記各カーテンウォール8、8aの他方の竪辺を構成する竪枠17の外側縁よりも水平方向に突出する状態で設けている。
【0015】
上記張り出し凸部31を設ける為に、図示の例では、図7の下部中央部に示す様に、上記一方の竪辺を構成する竪枠16に支持ブラケット33a、33bをねじ止め固定し、このうちの支持ブラケット33bに上記張り出し凸部31を、ねじ或いはリベットにより結合固定している。この張り出し凸部31は、上記各素板18、18と同じ耐食鋼板にロール加工を施す事により、これら各素板18、18を構成する凸部20(上記凹凸意匠連続部11を構成する上記各凸部30、30と同じ)とほぼ同じ、断面台形に形成している。即ち、上記張り出し凸部31は、上記凸部20の基端部を除いた如き(高さ寸法が少しだけ小さい)台形であり、上記各カーテンウォール8、8aに装着した状態で、上記凹凸意匠連続部11を構成する上記各凸部30、30の頂面(台形の上辺、図7の下面)と上記張り出し凸部31の頂面とが、同一平面上に位置する。又、この張り出し凸部31の基端面(図7の上面)は、上記各カーテンウォール8、8aの左右両竪辺を構成する、各竪枠16、17の屋外側面よりも屋外側に位置する。
【0016】
又、上記張り出し凹部32を構成する為に、図示の例では、上記各カーテンウォール8、8aの他端部屋外側面に固定する素板18aとして、他の素板18、18とは異なり、前記小凸部22と前記取付板部23と前記受凹溝24とを備えていないものを使用している。即ち、上記素板18aは、基板部19のうちで凸部20と反対側部分を、そのままこの素板18aの端縁迄延長して、延長板部34としたものである。この延長板部34が、上記凹凸意匠連続部11を構成する前記各凹部29、29の底部よりも大きな幅寸法を有する、上記張り出し凹部32となる。この様な素板18aは、上記延長板部34を、上記各カーテンウォール8、8aの他方の竪辺を構成する竪枠17の屋外側面(図7の下面)に、ねじ、リベット等により固定している。
【0017】
上述の様な張り出し凹部32は、隣り合うカーテンウォール8、8aを水平方向に連接した状態で、隣接する別のカーテンウォール8、8aの側に設けられた、上記張り出し凸部31の屋内側に潜り込む。そして、この別のカーテンウォール8、8aの側の張り出し凸部31と、上記張り出し凹部32を設けたカーテンウォール8、8a側の凸部20(30)との間に、これら各カーテンウォール8、8aの凹凸意匠連続部11、11を構成する凹部29、29と同じ形状を有する連続部凹部35を形成する。即ち、上記各カーテンウォール8、8aは、図6の右下部に示す様に建造物の躯体38(鉄骨)に対し、周知の結合ユニット39を使用して、地震の揺れを吸収可能に結合支持する。この際、上記水平方向に隣り合うカーテンウォール8、8a同士は、図7に示す様に、上記一方の竪辺を構成する竪枠16の外側面に設けた受凹部36と、他方の竪辺を構成する竪枠17の外側面に設けた嵌合凸部37とを嵌合させる事で、互いに屋内外方向(図7の上下方向)の変位を阻止した状態で組み合わせる。この状態で、隣り合うカーテンウォール8、8a同士の間に上記連続部凹部35を形成し、図1に示す様に、これら各カーテンウォール8、8aの凹凸意匠連続部11、11の意匠が、複数枚のカーテンウォール8、8aに亙って連続する。
【0018】
尚、これら各カーテンウォール8、8a同士の連続部は、水平方向に隣接するカーテンウォール8、8a同士の間で、上記受凹部36と嵌合凸部37とを嵌合させるだけでなく、上下方向に隣接するカーテンウォール8、8a同士の間でも、同様に組み合わせる。即ち、図6の上部に示す様に、これら各カーテンウォール8、8aの上辺を構成する前記上枠14の上面に受凹部40を、下辺を構成する前記下枠15の下面に嵌合凸部41を、それぞれ形成する。そして、これら受凹部40と嵌合凸部41とを嵌合させつつ、上記各カーテンウォール8、8aを上下方向に連接する事で、上下に隣り合うカーテンウォール8、8a同士が、屋内外方向(図6の左右方向)にずれ動く事を防止する。
【0019】
又、上記各カーテンウォール8、8aのうちで、上記凹凸意匠連続部11の屋内側には、石膏ボード等の耐火ボード42を設けている。建造物の完成状態では、この耐火ボード42の屋内側面(図6の右側面、図7の上面)に壁紙等を張って、屋内壁面を構成する。又、上記凹凸意匠連続部11を構成する前記各素板18、18aと上記耐火ボード42との間に、グラスウール、発泡ポリスチレン等の断熱材を1対の耐食鋼板同士の間に挟み込んで成る、断熱パネル43を設置している。
【0020】
又、上記各カーテンウォール8、8aの上下方向中間部で上記凹凸意匠連続部11の下側部分に、前記換気構造部12を設けている。この換気構造部12は、図5の下半部及び図9の下部両側部分に示す様に、複数枚の羽板44、44から成るルーバー45と金網46とを組み合わせて成り、上記各カーテンウォール8、8aの内外方向の通気を可能としている。この様な換気構造部12は、上記凹凸意匠連続部11の下端縁部を仕切る前記無目26の下面と、この無目26の下方に水平方向に設けた別の無目47の上面との間に設けている。
【0021】
又、上記各カーテンウォール8、8aの下部で上記換気構造部12の下側部分に、前記窓構造部13、13aを設けている。この窓構造部13、13aは、大半のカーテンウォール8、8に関しては、嵌め殺し窓48である。この嵌め殺し窓48は、上記別の無目47(図5の下部参照)の下面と、前記下枠15(図6の上部参照)の上面と、左右の竪枠16、17(図8参照)の内側面との間で、ガラスパネル49の四辺を支持固定して成る。尚、前記消防進入窓9を設けたカーテンウォール8aに関しては、上記窓構造部13aは、この消防進入窓9と嵌め殺し窓48aとの組み合わせとなる。又、図示の例では、何れのカーテンウォール8、8aに関しても、上記別の無目47の屋外側面に庇50を固定して、上記ルーバー45から流下した雨水が、そのまま上記ガラスパネル49の屋外側面に流下する事のない様にしている。
【0022】
更に、上記各カーテンウォール8、8aの上辺を構成する、前記上枠14の屋内側端部に、図6の上部に示す様に、押し出し型材製のアタッチメント51を介して、膳板52を固定している。上記各カーテンウォール8、8aを上下方向に連接した状態で、この膳板52は、図6に示す様に、上記各カーテンウォール8、8aの屋内側面のうちで、上記窓構造部13、13aの下端部及び前記耐火ボード42の上端部に対応する部分に位置する。そして、上記各カーテンウォール8、8aの屋内側部分で、上記窓構造部13、13aによる窓開口の下縁を仕切る。又、上記窓構造部13、13aの上端部と前記換気構造部12の下端部との間に設けた前記別の無目47の屋内側面に、図5に示す様に、カーテンボックス53を固定している。更に、同図に示す様に、上記換気構造部12の屋内側を覆う状態で換気ダクト54を、上記無目47と前記無目26とに掛け渡す状態で固定している。
【0023】
上述の様に構成する本例の構造は、上記各カーテンウォール8、8aを建造物の躯体に対し、下から上に、同一階に関しては図1、7の右から左に、順番に組み付ける。組み付けた状態でこれら各カーテンウォール8、8aの上半部に設けた凹凸意匠連続部11、11は、図1、7に示す状態に組み合わされる。そして、これら各凹凸意匠連続部11、11を構成する凹部29、29及び凸部30、30とが、前記連続部凹部35を介して、上記各カーテンウォール8、8aを連接する方向に関して規則的に繰り返される。言い換えれば、隣り合うカーテンウォール8、8a同士の継ぎ目部分で、凹部と凸部との繰り返しが不規則にならず、建造物の外観が良好になる。
【0024】
更に、図示の例では、上記建造物の躯体に上記各カーテンウォール8、8aを組み付ければ、この建造物の内壁面に、膳板52、カーテンボックス53、換気ダクト54迄も同時に組み付けられる。この為、上記各カーテンウォール8、8aの組み付け作業と同時に、上記壁部の構成作業の多くを済ませる事ができて、建設作業の能率化を図れる。
【0025】
[実施の形態の第2例]
図10〜13は、本発明の実施の形態の第2例を示している。上述の第1例が、建造物の壁面の中間部を対象としていたのに対して、本例の場合には、隅角部を対象としている。この為、隅角部を構成する一部のカーテンウォール8b、8bに関しては、屋外側面全体を凹凸意匠連続部11aとしている。窓開口部や換気口部は設けていない。これに合わせて、上記一部のカーテンウォール8b、8bの凹凸意匠連続部11aの端部に関しては、換気構造部12及び窓構造部13との境目に設けた端部見切材55で終了させている。その他の部分の構成に関しては、基本的には、上述した実施の形態の第1例と同様であるから、重複する説明は省略する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施の形態の第1例を示す、建造物の外壁面を屋外側から見た部分正面図。
【図2】図1のA−A断面図。
【図3】同B−B断面図。
【図4】同拡大C−C断面図。
【図5】同拡大D−D断面図。
【図6】同拡大E−E断面図。
【図7】図4のF部拡大図。
【図8】図1の拡大G−G断面図。
【図9】同拡大H−H断面図。
【図10】本発明の実施の形態の第2例を示す、建造物の外壁面を屋外側から見た部分正面図。
【図11】図10のI−I断面図。
【図12】図10の拡大J−J断面図。
【図13】同拡大K−K断面図。
【図14】従来構造の1例を示す、建造物の外壁面を屋外側から見た部分正面図。
【符号の説明】
【0027】
1 石材パネル
2 第一部分
3 ガラス窓
4 第二部分
5 第一のカーテンウォール
6 第二のカーテンウォール
7 第三のカーテンウォール
8、8a、8b カーテンウォール
9 消防進入窓
10 支持枠
11、11a 凹凸意匠連続部
12 換気構造部
13、13a 窓構造部
14 上枠
15 下枠
16 竪枠
17 竪枠
18、18a 素板
19 基板部
20 凸部
21 係止突条
22 小凸部
23 取付板部
24 受凹溝
25、25a、25b 垂下板部
26 無目
27 ブラインド無目
28 ねじ
29 凹部
30 凸部
31 張り出し凸部
32 張り出し凹部
33a、33b 支持ブラケット
34 延長板部
35 連続部凹部
36 受凹部
37 嵌合凸部
38 躯体
39 結合ユニット
40 受凹部
41 嵌合凸部
42 耐火ボード
43 断熱パネル
44 羽板
45 ルーバー
46 金網
47 無目
48、48a 嵌め殺し窓
49 ガラスパネル
50 庇
51 アタッチメント
52 膳板
53 カーテンボックス
54 換気ダクト
55 端部見切材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建造物の躯体に複数枚のカーテンウォールを、この躯体の開口部を塞ぐ状態で設置して成る建造物の外壁であって、これら各カーテンウォールの屋外側面の少なくとも一部でこれら各カーテンウォールの端縁に迄達する部分に、これら各カーテンウォールを連接する方向に関して凹部と凸部とを規則的に繰り返して成る凹凸意匠連続部を設けており、これら凹部と凸部との繰り返し方向に関して隣り合う1対のカーテンウォールの互いに対向する端縁のうち、一方のカーテンウォールの端縁に、他方のカーテンウォールの端縁に向けて張り出す、上記凹凸意匠連続部を構成する凸部と同じ外面形状を有する張り出し凸部を、他方のカーテンウォールの端縁に、上記一方のカーテンウォールに向けて張り出す、上記凹凸意匠連続部を構成する凹部の底部と同じ外面形状を有し、この凹部の底部よりも大きな幅寸法を有する張り出し凹部を、それぞれ設けており、この張り出し凹部を上記張り出し凸部の屋内側に潜り込ませる事で、この張り出し凸部と、上記他方のカーテンウォールの凹凸意匠連続部の端部に存在する凸部との間に、この凹凸意匠連続部を構成する凹部と同じ形状を有する連続部凹部を形成した建造物の外壁。
【請求項2】
支持枠に建造物の外壁面を構成するパネルを支持して成り、建造物の躯体に、この躯体の開口部を塞ぐ状態で設置するカーテンウォールであって、屋外側面の少なくとも一部で端縁に迄達する部分に、上記躯体にこのカーテンウォールを連接する方向に関して凹部と凸部とを規則的に繰り返して成る凹凸意匠連続部を、この方向に関して一端縁から他端縁に迄設けると共に、一端縁に、この凹凸意匠連続部を構成する凸部と同じ外面形状を有する張り出し凸部を、他端縁に、この凹凸意匠連続部を構成する凹部の底部と同じ外面形状を有し、この凹部の底部よりも大きな幅寸法を有する張り出し凹部を、それぞれ設けて成るカーテンウォール。
【請求項3】
支持枠の4辺を構成する4本の枠材のうち、互いに並行な2本ずつ2組の枠材は、それぞれ一方の枠材の外面に受凹部を、他方の枠材の外面にこの受凹部に嵌合可能な形状及び大きさを有する嵌合凸部を、各枠材の全長に亙り設けたものであり、凹凸意匠係合部は、鋼板の表面に亜鉛メッキ層を被覆し、断面形状を波形とした耐食鋼板により構成されており、この耐食鋼板と屋内側に設けた耐火ボードとの間に断熱パネルを設置しており、これら耐食鋼板と耐火ボードと断熱パネルとから外れた部分の少なくとも一部に、ガラスパネルを備えた窓構造部を設けており、屋内側面のうちでこの窓構造部の下端部及び上記耐火ボードの上端部に位置する部分に窓開口の下縁を仕切る膳板を、同じく上記窓構造部の上端部に位置する部分にカーテンボックスを、それぞれ設けている、請求項2に記載したカーテンウォール。
【請求項4】
窓構造部の上端と凹凸意匠連続部の下端との間に換気構造部を設けており、カーテンボックスを、この換気構造部の下端部に位置する部分に設けている、請求項3に記載したカーテンウォール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2007−308906(P2007−308906A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−137243(P2006−137243)
【出願日】平成18年5月17日(2006.5.17)
【出願人】(000206211)大成建設株式会社 (1,602)
【出願人】(000005005)不二サッシ株式会社 (118)
【Fターム(参考)】