説明

強化エラストマー

エラストマーの全体にわたって離散した多孔質材料片が分布しているエラストマー。好ましくは、その多孔質材料は延伸ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)であり、組成物の引張応力は50%伸び率で約1MPaより大きく、好ましくは1.5MPaより大きく、100%伸び率で2MPaより大きく、好ましくは3MPaより大きい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明はエラストマーに関し、より詳細には、強化エラストマーに関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
エラストマーは、柔軟な順応性弾力性材料の使用を要求する用途で長年使用されてきた。このような用途としては、ガスケット、シール、ローラーポンプチュービング、ダイアフラム、自己シール性デバイス(アクセスポート及び血管アクセスグラフトなどのメディカルデバイスを含む)などが挙げられる。シリコーンは最も一般的に使用されているエラストマーの1つである。Viton(登録商標)フルオロエラストマーは耐熱性及び耐薬品性を要求する用途で一般的に使用されている。
【0003】
エラストマーはジュロメータ値により特性化されるとおりの広範囲の硬度を提供するように架橋されうる。高ジュロメータ値及び高引張強さ値のエラストマーであっても、応力下に弱い引裂強度及び高い伸び率に悩まされる。これらの特性を改良するためにガラス繊維及びシリカなどの充填材を架橋前のエラストマーに添加することができる。しかしながら、これらの改良は要求の厳しい用途での使用のために十分に強く及び/又は耐久性である複合材としない。さらに、伸び率、硬度又はレジリエンスなどの他の特性は充填材の添加により妥協させられることがある。
【0004】
エラストマーは、また、繰り返しの引張応力、圧縮応力、曲げ応力及び剪断応力などの機械応力下での耐久性が低いことに悩まされる。これらの応力はローラーポンプチュービング、ダイアフラム及び他の用途において上がる。エラストマーを他の材料と組み合わせると、これらの用途での使用時性能が改良することが示されている。米国特許第6,673,455号明細書は少なくとも1種のエラストマーにより含浸された複数層のePTFE層を含み、含浸された層がエラストマーの層により一緒に結合されている複合材を記載した。ePTFEの層により提供された改良された強度はローラーポンプチュービング及び他の製品の耐久性を有意に改良する。
【0005】
他に、樹脂マトリックス中に延伸多孔質樹脂断片又は粒子が混合された。Suzukiら(米国特許第4,454,249号)は、ポリプロピレン、ポリエチレン又はPTFE樹脂の延伸多孔質樹脂断片を樹脂マトリックス中に混合し、次いで、その組成物を溶融押出することにより強化プラスチック組成物を製造することを記載した。その特許はPTFE及びテトラフルオロエチレン-ペルフルオロアルキルビニルエーテルコポリマー樹脂マトリックスを記載している。その特許はエラストマー組成物の製造に関しては記載していない。例I及びIIはPTFEと混合された延伸多孔質PTFE樹脂断片を含み、その組成物中、いずれの成分もエラストマー性でない。残りの実施例である例IIIはエラストマー性が決定的に望ましくない製品である高圧ホースの調製を教示している。
【0006】
Hatakeyama(米国特許第4,770,922号)は延伸多孔質PTFEの微細断片を別の樹脂中に混合し、複合材プリント回路基板を形成した。その別の樹脂はエポキシ、ポリエステル又は別の同様の樹脂であることができる。その特許はプリント回路基板に決定的に望ましくないエラストマーの使用を教示していない。
【発明の概要】
【0007】
発明の要旨
本発明はエラストマーの全体にわたって離散した多孔質材料片が分布しているエラストマーから形成される組成物を提供する。好ましくは、多孔質材料は延伸ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)である。より好ましくはないが、それはポリエステルである。組成物の引張応力は50%伸び率で約1MPaより大きく、好ましくは1.5MPaより大きく、100%伸び率で2MPaより大きく、好ましくは3MPaより大きく、最も好ましくは4MPaよりも大きい。組成物は引裂強度が約25kg/cmより大きく、好ましくは約50kg/cmより大きく、最も好ましくは約75kg/cmより大きい。組成物は射出成形、圧縮成形及び押出成形に適合されている。離散した延伸PTFE片は組成物の体積の約2〜60体積%、好ましくは約4〜40体積%、そして最も好ましくは約10〜20体積%の量で存在する。エラストマーは、例示的に、シリコーン、フルオロエラストマー、ペルフルオロエラストマー及びペルフルオロポリエーテルからなる群より選ばれる液体もしくは液化の架橋可能なエラストマーである。組成物は、好ましくは、最大引張強さが前記エラストマー単独の最大引張強さの少なくとも200%であり、それは引張応力が25%伸び率で約2MPaよりも大きく、そして引裂強度が約25kg/cmより大きい。本発明の組成物は、別に、平坦シートの形態、O−リングの形態、ガスケットの形態、ダイアフラムの形態、メカニカルシールの形態、人工血管の形態及びチューブの形態である。チューブは、好ましくは、0.3MPaのポンプ圧力及び600RPMでのポンプ寿命が約1時間を超え、より好ましくは、0.3MPaのポンプ圧力及び600RPMでのポンプ寿命が約10時間、約50時間及び約100時間を超える。好ましくは、チューブの形態のエラストマー中の離散した延伸PTFE片は実質的に円周方向に整列している。
【0008】
別の態様において、本発明は、
(a)エラストマーを提供すること、
(b)延伸PTFEメンブレンを提供すること、
(c)前記延伸PTFEメンブレンを離散した小片に切断すること、及び、
(d)前記離散した小片を前記エラストマー中に剪断ミキサーを用いてブレンドし、強化エラストマーを形成すること、
の工程を含む、強化エラストマー組成物の製造方法を提供する。
【0009】
強化エラストマーは、その後、好ましくは、所望の形状に押出成形され又は射出成形される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図面の簡単な説明
【図1】図1は本発明による組成物の例示の実施形態の断面の光学顕微鏡写真である。
【図2】図2は本発明による組成物の例示の実施形態の断面の光学顕微鏡写真である。
【図3】図3は本発明による組成物の例示の実施形態の断面の光学顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
発明の詳細な説明
本発明はエラストマー全体にわたって分布している離散した強い多孔質材料片を含む高強度エラストマー組成物に関する。本明細書中に使用されるときに、「離散した小片」とは複数の材料片を意味し、特に粉末及び連続層を除外する。本発明の製品は、驚くべきことに、充填材を含まない同一エラストマー又は他の材料片で充填したエラストマーと比較して、引裂強度が増加しており、引張強さが増加しており、所与の伸び率での引張応力が増加しており、靭性が増加しており及び/又は耐久性が増加している。さらに、本発明の製品は可とう性と強度とのユニークな組み合わせを示す。多孔質材料片はブレンディングプロセスの間にエラストマーにより湿潤化され、そのことは強度及び耐久性の驚くべき改良に寄与する。用語「ブレンディング」及び「混合」は本明細書中で相互互換的に使用される。多孔質メンブレンの連続層の使用が関与する方法とは異なり、本発明の方法はエラストマー全体にわたって材料片が分布しているために、すべての方向での強度補強が可能になる。さらに、追加の接着工程を排除することにより優れた機械特性を達成することができる能力は従来技術の代替法よりも有意な製造上の利点がある。本発明から得られる別の重要な利点は種々の形状に射出成形することができる能力などの強化エラストマーの加工性である。熱を加えることなく成形を行うことができる。
【0012】
混合プロセスは多孔質の材料片の空隙をエラストマーにより充填しそしてエラストマー全体にわたって片を良好に分布させるために適切な条件下で十分な時間で行われる。エラストマーと多孔質材料との混合物を混合プロセスの間及び製品の製造の後に視覚的に試験し、これらの基準を確実に満たすようにする。
【0013】
種々の充填材を使用することができる。多孔質は本発明の充填材の重要な属性である。多孔質PTFEが好ましく、そしてePTFEが最も好ましい。というのは、最も驚くべきことに、強度、耐久性及び加工性の特性の有利な組み合わせを提供するからである。好ましいePTFE片はアモルファスロックされている。多孔質ポリエステルなどの他の充填材を代用してもよい。
【0014】
任意の形状を使用することができるが、実質的に平らな充填材片が好ましい。種々の形状の実質的に平らな片を使用することができる。片のサイズは所望の製品のサイズに対して最適化されるべきである。たとえば、0.02mm厚さの1.3cm四方の平らな片のePTFEは約2.1mmの厚さの平坦なシート製品に有用である。又は、高アスペクト比の充填材は使用されうる。
【0015】
好ましいエラストマーは最終製品の用途に依存する。好ましいエラストマーとしてはシリコーン、フルオロエラストマー(たとえば、Vitonフルオロエラストマー)、ペルフルオロエラストマー(たとえば、Kalrezペルフルオロエラストマー)及びペルフルオロポリエーテル(たとえば、Sifelペルフルオロポリエーテル)が挙げられる。
【0016】
本発明の強化エラストマーのユニークな加工性のために、ポンプチュービング、O−リング、ダイアフラム、自己シール性デバイス(アクセスポート及び血管アクセスグラフトなどのメディカルデバイスを含む)などを含む種々の製品を製造することができる。
【0017】
追加の添加剤は本発明の強化エラストマー中に取り込まれて良い。これらの添加剤は加工性又は最終製品特性を改良するために含まれることができる。このような添加剤としては、限定するわけではないが、孔生成剤、腐食防止剤、粘度調節剤、導電剤及び湿潤剤が挙げられる。
【0018】
本発明の混合エラストマーは混合物のエラストマー成分と同一又は同様に適応されうる。たとえば、本発明の混合エラストマーはガスケット用途に関して感圧接着剤などの他の層と組み合わされてよく、そして別の材料の被覆物として射出成形されてよい。
【0019】
例1の本発明の製品は離散したePTFEメンブレン片を含み、シリコーンエラストマーと混合され、次いで、平坦なシートの形状に成形されている。混合プロセスはePTFEの積層片がエラストマー全体にわたって良好に分布されそしてエラストマーによって完全に湿潤化されたものと信じられるまで少なくとも行った。最終の平坦シート製品は高い最大引張強さを、最大引張強さでの比較的に低い伸び率と組み合わして示し(それぞれ12.3MPa及び223%)、それゆえ、高い引張弾性率を示した。図1はこの製品の断面の光学顕微鏡写真である。この図はエラストマー内の離散した延伸ePTFE片の分布を示す。白色部分は離散したePTFE片であり、暗い領域はシリコーンエラストマーである。ePFTE片の中の折り畳みに注意されたい。平坦シート製品は、エラストマー混合物のボールを一方の成形プレートの中央に配置し、その後、成形プレートをともにプレスし、それを固定し、それにより、ボールを平らにしそして広げることにより製造した。このプロセスは、平坦シートの平面で片の半径方向の配向性を付与する。この製品の強度は充填材を含まないことを除いて例1の材料と同様に加工した比較例Aのエラストマーよりも実質的に高い。比較例Aの製品では、最大引張強さ及び最大引張強さでの伸び率はそれぞれ5.5MPa及び415%であった。最大引張強さ及び引張弾性率の両方は本発明の材料のほうが有意に高い。本発明の例1の最大引張強さは比較例Aのベースエラストマーよりも約224%高い。比較例Bの市販のシリカ充填シリコーンエラストマーを例1の充填材入りエラストマーと同様にして平坦シートに成形した。比較例Bの製品では、最大引張強さ及び最大引張強さでの伸び率はそれぞれ8.6MPa及び834%であった。ここでも、最大引張強度及び引張弾性率の両方は本発明の材料のほうが有意に高かった。さらに、例1の本発明の製品の引裂強度は95.3kg/cmで、比較例A及びBの製品(それぞれ5.0kg/cm及び24.7kg/cm)よりも有意に高かった。
【0020】
本発明の例2a及び2bの製品を例1の製品と同様に製造したが、体積%充填材を16.4%とする代わりに、例2a及び2bの体積%充填材をそれぞれ4.8%及び23.4%とした。図2及び3は例2a及び2bの製品の断面の光学顕微鏡写真である。図はエラストマー中の離散したePTFE片の分布を示している。16.4体積%の充填材を用いて製造した例1の平坦シートは例2a及び2bの製品(それぞれ5.0MPa及び8.2MPa)と比較して,高い最大引張強さ(12.3MPa)を示した。同一の傾向が引裂強度に当てはまった。16.4体積%の充填材を含む平坦シートは例2a及び2bの製品(それぞれ30.3kg/cm及び77.4kg/cm)と比較して、高い引裂強度(95.3kg/cm)を示した。本発明の例2a及び例2bの製品は本発明の例1の製品よりも弱いけれども、それらは比較例A及びBの製品よりも高い引裂強度及び高い50%伸び率での引張強さを示した。
【0021】
ePTFEの高い体積%装填では、ePTFE構造中の空隙体積はエラストマーによって完全には充填されない。すなわち、ePTFE構造中の空隙体積はエラストマー体積を超える。最終混合物は最適強度より低い強度を有する。ePTFEの低い体積%装填では、エラストマーの体積は最終混合物が最適強度よりも低い強度を有するほど大きな程度にePTFEの空隙体積を超える。
【0022】
好ましくは、離散した充填材片の空隙体積はエラストマーの体積よりも低いが、低減された強度となるほどには空隙体積が低くない。
【0023】
例3に記載されるような本発明のチューブを、離散したePTFEメンブレン片をシリコーンエラストマーと混合し、その後、その充填材入りエラストマーをマンドレルの周囲に射出成形し、次いで、マンドレルを回転させることにより製造した。マンドレルを回転させることは離散したePTFE片を円周方向に配向させる役割を果たした。離散した小片を配向させることは追加の強度の利点を提供する。チューブを後述するローラーポンプ試験に付し、破損までに1400万サイクル(1回のサイクルは1回のポンプ回転に対応する)生き延びた。比較において、離散したePTFE片を含ませないこと及びマンドレルを回転させないことを除いては同様に製造したチューブ(すなわち、比較例Cの製品)は4200サイクルしか生き延びなかった。比較例Dの市販のシリカ充填シリコーンチュービングは9000サイクル生き延びた。
【0024】
ローラーポンプチュービングを形成したときに、架橋の前に、マンドレルを回転することが好ましい。この技術は離散した小片を円周方向に整列させ、それにより、チューブの半径方向の強度を向上し、そしてエラストマーのみを含む半径方向のセクションが存在しないように小片を分散させる。円周方向の整列は離散した小片の中の折り畳みが比較的に存在しないことにより証明される。その結果、チュービング破裂圧力を改良し、そして使用時耐久性を改良する。このプロセスでは、また、高圧輸送チュービングなどの他の用途のためのチュービングをうまく製造することになる。
【0025】
本発明は、また、製品性能を向上させるように設計された特別のチュービング形態を形成することを可能にする。たとえば、ローラーポンプチュービングは設置を補助しそして使用の間のチュービングに対する応力を最小化するようにU−形状の形態で製造することができる。高強度の末端継ぎ手及びチュービングの移動を抑制することを助ける外側チュービング表面上の隆起部分を、チュービングを製造するときに成形し、それにより、追加のプロセス工程を無くすこともできる。
【0026】
例4に記載されるような本発明の平坦シート材料を、Viton (登録商標)フルオロエラストマーと混合した離散したePTFEメンブレン片を用いて製造した。比較例Eの別の平坦シート材料を例4に記載したのと同様に製造したが、離散したePTFE片を含ませなかった。例4の本発明の材料は比較例Eの製品(25.1kg/cm)と比較して、ずっと高い引裂強度(92.9kg/cm)を示し、50%伸び率及び100%伸び率の両方で、実質的により高い引張強さを示した。
【0027】
さらに、周囲温度でより低い最大引張強さを有するにも係わらず、本発明の材料は125℃での比較例Eの製品(4.0MPa)と比較して、125℃でずっと高い最大引張強さ(6.2MPa)を示した。
【0028】
本発明の別の実施形態において、離散した不織ポリエステル材料片をエラストマーと混合し、例5の高強度平坦シート製品を提供した。さらに、例6及び7は他のタイプのePTFE材料をエラストマーと混合し、他の高強度平坦シート材料を形成することを記載する。
【実施例】
【0029】
下記の実施例は本発明の実施形態を例示することを目的とし、いかなる方法でも限定することを意図しない。むしろ、本発明は添付の特許請求の範囲に規定されるとおりの全範囲を与える。

試験方法
引張強さ及び弾性率試験
ePTFEメンブレンサンプルの引張強さ試験を50.8cm/分のクロスヘッド速度及び5.08cmのジャー分離を用いて行った。ePTFE繊維サンプルの引張強さ試験を25.4cm/分のクロスヘッド速度及び25.4cmのジャー分離を用いて行った。
【0030】
ePTFEメンブレンサンプルのマトリックス引張強さは、非多孔性PTFEの密度(2.2g/cc)/延伸した材料のバルク密度の比を引張強さに掛けることにより計算した。
【0031】
繊維デニール(9000メートル当たりのグラム)を、9メートルの繊維のグラムでの重量を測定し、その後、1000の値を掛けることにより計算した。
【0032】
実施例において記載したエラストマーをベースとするサンプルの試験について以下の手順に従った。ドッグボーン形状のサンプルを、ASTM D412−06a(ダイD-412−C-Imp,ODC Tooling & Molds,Batavia, IL)の図2に示す寸法にしたがって平坦シート材料から切断した。すなわち、ゲージ長さは3.3cmであり、サンプル幅は6mmであった。試験を引張試験機械(Model 5567, Instron, Norwood, MA)で下記の条件を用いて行った:7.6cmのグリップ分離及び30.5cm/分のクロスヘッド速度。
【0033】
引張試験を125℃でも行った。加熱したチャンバー(Environmental Chamber Model3119-006, Instron, Norwood, MA)を上記の引張試験機に追加し、試験の間に試験サンプルを包囲した。
【0034】
チュービングサンプルの引張強さ試験を30.5cm/分のクロスヘッド速度、5.1cmのゲージ長さ及び5.1cmのジョー分離を用いて行った。
【0035】
ピーク力の値を用いて引張強さを計算した。最大引張強さでの%伸び率、50%伸び率ので引張強さ及び100%伸び率での引張強さも計算して、エラストマー材料の弾性率を特性化した。平坦シートの厚さを厚さゲージ(Model MT60M, Heidenhain Corporation, Schaumburg, IL)を用いて測定し、そしてチュービング壁厚をカリパス(Starrett electronic slide caliper model 797B-12/300, LS Starrett Corporation, Athol, MA)を用いて測定した。
【0036】
3つのサンプルから得られた平均の結果として引張強さの値を報告した。最大引張強さでの%伸び率、50%伸び率での引張強さ及び100%伸び率での引張強さの値を1つのサンプルに関して報告した。
【0037】
密度試験
円形切断ツールを用いて11.3cm直径のサンプルを形成した。サンプルを計量しそしてその厚さを測定した。サンプル面積と厚さとの積によりサンプルの質量を割ることにより密度を計算した。密度の値を3つのサンプルから得られる平均結果として報告した。
【0038】
引裂試験
ドッグボーン形状のサンプルをASTM D624−00(2007年に再承認)(Type D-624-B-Slit-IMP, ODC Tooling & Molds, Batavia, IL)の図1に示す寸法にしたがって平坦シート材料から切断した。すなわち、ゲージ長さは68mmであり、最小サンプル幅(寸法G)は10.2mmであり、外側半径(寸法E)は43mmであり、内側半径(寸法F)は12.5mmであった。
【0039】
試験を引張試験機械(Model 5567, Instron, Norwood, MA)で下記の条件を用いて行った:7.6cmのグリップ分離及び30.5cm/分のクロスヘッド速度。引裂強度を、試験サンプルの厚さによりピーク力値を割ることにより計算した。引裂強度を3つのサンプルからの平均結果として報告した。
【0040】
バブルポイント試験
エタノールバブルポイント(EBP)をASTM F31 6−03の一般教示にしたがって毛細管流ポロメータ(Capillary Flow Porometer) (Model CFP 1500 AEXL、Porous Materials Inc., Ithaca, NYより)を用いて測定した。サンプルメンブレンをサンプルチャンバー中に入れ、そして表面張力が20.1ダイン/cmであるSilWick シリコーンフルイド(Porous Materials Inc.から入手可能)により濡らした。サンプルチャンバーの底部固定具は2.54cm直径、3.175mm厚さの多孔質金属ディスクインサート(Mott Metallurgical, Farmington, CT, 40ミクロン多孔性金属ディスク)を有し、サンプルチャンバーの上部固定具は3.2mm直径の孔を有した。Capwinソフトウエアバージョン7.73.012を用いて、下記のパラメータをすぐ下の表に特定されるとおりに設定した。バブルポイントについて示す値は3つの測定の平均である。
【0041】
【表1】

【0042】
ジュロメータ試験
ジュロメータ測定を、ショアA ジュロメータ試験機model HT-651 OA, Colead Industrial Company Limited, Heilongjiang, Chinaを用いて製造者の指示にしたがって行った。ジュロメータ値は3つのサンプルからの平均結果として報告した。
【0043】
ローラーポンプ試験
マスターフレックスLS ぜん動ポンプ(Cole-Parmer Vernon Hills, IL)を入手した。そのポンプは調節可能な咬み合いポンプヘッド(Master Flex easy-load II Model 77201-62 Cole-Parmer Vernon Hills, IL)を備えていた。42.5 Lの高密度ポリエチレンタンクを入手し、そして水で充填した。
【0044】
強化シリコーンチュービングの長さ方向の1つの末端はクイック接続フィッティングを備えていた。チューブの反対側の末端を水中に沈めた。チュービングの試験セクションをこのチューブのクイック接続フィッティングに取り付け、そして試験されるチューブをポンプヘッド内に配置した。チュービングの試験セクションの反対側の末端を高圧可とう性チューブに取り付けられたクイック接続フィッティングに接続し、それは、次いで、スワジロック 1/4"(0.64 cm)(FNPTステンレススチールフィッティング, Swagelok, Solon, OH)に接続されていた。
【0045】
流量計 (ECOLAB Oval ギアメータプラス, ECOLAB Engineering GmbH 83309 Siegsdorf, Germany)をスワジロック1/4" (0.64 cm)であるFNPTステンレススチールフィッティングに接続した。圧力ゲージ及び背圧レギュレータ(KBPlE0A4a5a20000, Swagelok, Solon, OH) をスワジロック1/4" (0.64 cm) FNPTステンレススチールフィッティングにより圧力ゲージのアウトフローに接続した。強化シリコーンチューブを、レギュレータから水タンクに戻して接続した。
【0046】
試験を次のように行った。最大に設定した咬み合いギャップを用いて、ポンプヘッドを閉塞した。ポンプを開始し、600rpmに設定した。圧力レギュレータを2.76barに設定した。流速が最大となるまで咬み合いギャップを減らした。圧力レギュレータを2.76barに再調節した。
【0047】
250ml/分未満の流速又は試験サンプル破壊のどちらかが最初に起こったときに対応するサイクル数(回転数)として破損を定義した。600rpmのポンプ速度では、試験時間1時間は36,000サイクルに対応する。報告した値は1つのサンプルの結果を示す。
【0048】
表1及び表2は例の組成及び製品の特性をそれぞれ要約している。
【表2】

【0049】
【表3】

【0050】
例1-ePTFEを含むシリコーン平坦シート
下記の特性を有するアモルファスロックされた延伸PTFEメンブレンを得た:0.02mmの厚さ、0.44g/ccの密度、0.20MPaのEBP、59.2MPaの1方向のマトリックス引張強さ及び106.7MPaの直交方向のマトリックス引張強さ。試験を上述のように行った。少なくとも約100層のメンブレンを積層し、次いで、約1.3cmx1.3cmの正方形片に切断した。
【0051】
医療グレードの液体シリコーンエラストマー(パート番号SLE 5700, Momentive Performance Materials, Inc., Albany, NY)を入手し、そして製造者の指示にしたがって2つの成分を混合した。
【0052】
ドーミキサーを入手した(モデル番号PM20, Planetary Mixer, Berkel Company, South Bend, IN)。混合ボールを秤に置き、そして 測定した。ePTFEの正方形片及びエラストマーを混合ボール中で、合計組成物の16.4体積%のePTFEの割合(合計組成物体積の約30質量%のePTFE)で混合した。材料のブレンディングを平らな泡立て器(パート番号PM20-00045, South Bend, IN)及び速度1に設定したミキサーを約2時間用いて行い、エラストマー混合物を形成した。ブレンディングはエラストマー混合物が均一なコンシステンシーを視覚的に示すまで、すなわち、ePTFE正方形片が均一に分散し、そしてエラストマーにより湿潤化されることを観察するまで行った。
【0053】
70gの量のエラストマー混合物を15.2cm×15.2cmの単一キャビティー引張スラブ成形型(ASTM D3182成形型, Leverette A Anderson Company Copley, OH)中に入れ、正方形サンプルを形成した。成形型を閉じ、そしてプレス(Carver model M プレス, Carver Inc Wabash, IN)の熱平板の間に配置した。平板の温度は165℃に設定した。成形型を4536kgの力で約15分間加圧した。
【0054】
成形型をプレスから取り出した。平坦シートサンプルを成形型から取り出し、そして水中でクエンチした。バリをトリミングし、そしてサンプルを165℃に設定した熱風炉中に約15時間配置することによりさらに熱処理した。平坦シートを炉から取り出し、そして冷却した。
【0055】
平坦シートからのサンプルを、その後、試験して物性を特性化した。試験を上記の方法にしたがって行った。
【0056】
下記の試験結果を得た:2.1mmの厚さ、12.3MPaの引張強さ、最大引張強さで223%の伸び率、50%伸び率で2.0MPaの引張強さ、100%伸び率で4.8MPaの引張強さ、95.3kg/cmの引裂強度及び67.5のショアAジュロメータ。製品の断面の光学顕微鏡写真を図1に示す。図の右下角のバーは200μmの長さに対応する。
【0057】
比較例A-ePTFEを含まないシリコーン平坦シート
ePTFEをエラストマーに添加せず、そのため、ブレンディングプロセスを行わなかったことを除いては、例1に記載されたように平坦シートを製造し、試験した。
【0058】
下記の試験結果を得た:2.0mmの厚さ、5.5MPaの引張強さ、最大引張強さで415%の伸び率、50%伸び率で0.4MPaの引張強さ、100%伸び率で0.8MPaの引張強さ、5.0kg/cmの引裂強度及び50.4のショアAジュロメータ。
【0059】
比較例B-市販のシリカ充填シリコーンで製造した平坦シート
市販のシリカ充填シリコーンエラストマー(Silbione(登録商標)HCRA 4160,Bluestar Silicones, Inc., East Brunswick, NJ)を入手し、例1に記載したのと同様に成形しそして試験した。
【0060】
下記の試験結果を得た:2.4mmの厚さ、8.6MPaの最大引張強さ、最大引張強さで834%の伸び率、50%伸び率で0.9MPaの引張強さ、100%伸び率で1.3MPaの引張強さ、24.7kg/cmの引裂強度及び56.0のショアAジュロメータ。
【0061】
例2a−低装填%のePTFEを含むシリコーン平坦シート
合計組成物体積の4.8体積%のePTFEメンブレン(合計組成物体積の約10質量%のePTFEメンブレン)をシリコーンに添加したことを除いては、例1に記載されたように平坦シートを製造し、試験した。
【0062】
下記の試験結果を得た:2.3mmの厚さ、5.0MPaの最大引張強さ、最大引張強さで167%の伸び率、50%伸び率で0.8MPaの引張強さ、100%伸び率で2.1MPaの引張強さ、30.3kg/cmの引裂強度及び57.0のショアAジュロメータ。製品の断面の光学顕微鏡写真を図2に示す。図の右下角のバーは200μmの長さに対応する。
【0063】
例2b−高装填%のePTFEを含むシリコーン平坦シート
合計組成物体積の23.4体積%のePTFEメンブレン(合計組成物体積の約40質量%のePTFEメンブレン)をシリコーンに添加したことを除いては、例1に記載されたように平坦シートを製造し、試験した。
【0064】
下記の試験結果を得た:2.2mmの厚さ、8.2MPaの最大引張強さ、最大引張強さで94%の伸び率、50%伸び率で4.6MPaの引張強さ、77.4kg/cmの引裂強度及び74.2のショアAジュロメータ。
【0065】
100%伸び率での引張強さの値は得られなかった。というのは、サンプルが94%伸び率で破壊したからである。製品の断面の光学顕微鏡写真を図3に示す。図の右下角のバーは200μmの長さに対応する。
【0066】
例3−ePTFEを含むシリコーンチュービング
サイズ24のチュービングを下記のように製造した。トランジションダイを有する50mm直径の手動操作型スクリュー押出機を入手した。6.3.5mm直径のマンドレルを入手し、2.5cm長さのシリコーンブラッシング(ASTP-24ELP, W. L. Gore & Associates, Inc., Elkton, MD)を両端に取り付け、シャフトカラーで固定した。ブラッシングは成形型中でマンドレルを中央にする役割を果たし、そして成形型から出て行くエラストマーの流れを抑制する役割を果たした。結果として、マンドレル上のブラッシングの間の距離は260cmであった。30.5cm長さ及び11.1mm直径の2ピースアルミニウムチューブ成形型を入手した。成形型中にマンドレルを配置して、成形型を組み立てそしてボルトで固定した。6.4mm直径を有するコネクタフィッティングを用いて、トランジションダイを成形型に接続した。
【0067】
例1のエラストマーブレンドを押出機バレル内部に入れた。押出機スクリューを回転し、ブレンドされた材料を押出機バレルから成形型中に押し出した。ブレンドされた材料が分割線をとおして成形型から出てくるのを観測するまでスクリューを回転させた。実験室攪拌機(Model 138, Talboys Engineering Corp., Montrose, PA)を、マンドレルの1つの末端に固定されたドリルチャックに接続した。マンドレルを16.9rpmの速度で30秒間回転した。マンドレルから攪拌機を取り外し、その後、マンドレルとともにチューブ成形型をコネクタフィッティングから取り外した。コネクタフィッティングを受け入れるようになっている成形型中の孔を適切なサイズのフィッティングで塞いだ。
【0068】
圧縮工程に次いで、成形型を水中でクエンチし、成形型を開放し、そしてチューブからバリをトリミングし、そしてマンドレルをチューブから除去したことを除いて、例1に記載されるとおりに成形型を熱プレス中に入れそして加工した。チューブを、その後、例1に記載されるように加熱した。チューブを炉から取り出し、そして冷却した。
【0069】
その後、チューブサンプルを上記のとおりに試験し、物性を特性化した。下記の試験結果を得た:2.4mmの壁厚さ、6.4mmの内径、5.6MPaの最大引張強さ、最大引張強さで63%の伸び率、50%伸び率で4.6MPaの引張強さ、ローラーポンプ試験で破損まで14,400,000サイクル。100%伸び率での引張強さの値は得られなかった。というのは、サンプルが63%伸び率で破壊したからである。
【0070】
例C−ePTFEを含まないシリコーンチュービング
ePTFEをエラストマーに添加せず、このため、ブレンディングプロセスを行わず、そしてマンドレルを回転させなかったことを除いて例3に記載されるのと同様にしてサイズ24のチューブを製造し、そして試験した。
【0071】
下記の試験結果を得た:2.4mmの壁厚さ、6.4cmの内径、2.6MPaの最大引張強さ、最大引張強さで78%の伸び率、50%伸び率で1.0MPaの引張強さ、ローラーポンプ試験で破損まで4200サイクル。100%伸び率での引張強さの値は得られなかった。というのは、サンプルが78%伸び率で破壊したからである。
【0072】
比較例D-シリカを含む市販のチュービング
市販のサイズ24のぜん動ポンプチュービング(ASTP-24ELP, W.L. Gore & Associates, Inc., Elkton, MD)を入手し、そして例3に記載されるのと同様に試験した。このチュービングはシリカ充填シリコーンを含む。
【0073】
下記の試験結果を得た:2.4mmの壁厚さ、6.4cmの内径、4.8MPaの最大引張強さ、最大引張強さで507%の伸び率、50%伸び率で0.8MPaの引張強さ、100%伸び率で1.0MPaの引張強さ、ローラーポンプ試験で破損まで9000サイクル。
【0074】
例4-ePTFEを含むVitonフルオロエラストマー平坦シート
下記のことを例外として例1に記載されるように平坦シートを製造しそして試験した。シリコーンエラストマーを使用する代わりに、フルオロエラストマーを使用した。66%のメチルエチルケトン(52600890, Coyne Chemical, Croydon, PA)、30%のフルオロエラストマー(MCWLG60MB, Eagle Elastomer, Peninsula, OH)、2%のアリルシアヌレート(DIAK 7, RT Vanderbilt Company, Norwalk, CT)、2%の有機過酸化物(59123, Ashland Distribution, Dublin, OH)の混合物を得た。実験室ミキサー(Stir-Pac, Cole-Parmer Instrument Co., Vernon Hills, IL)を入手した。2.5リットルのプラスチック混合容器を秤の上に置き、そして秤量した。ePTFE正方形片及びフルオロエラストマーをプラスチック混合容器内で合計固形分の15.0体積%のePTFE(合計固形分の約17.0質量%)の割合で混合した。
【0075】
材料のブレンディングを3ブレードミキサープロペラ及び速度10(約2300rpm)に設定したミキサーを用いて約2時間行い、エラストマー混合物を形成した。ブレンディングはエラストマー混合物が均一なコンシステンシーを視覚的に示すまで、すなわち、ePTFE正方形片が均一に分散し、そしてエラストマー及び溶剤により湿潤化されることを観察するまで行った。エラストマー混合物を寸法38cm×51cmの浅いパン中にキャスティングし、約1.2cmの厚さにまで広げた。材料を80℃に設定した熱風炉中に約15時間入れ、溶剤を除去した。乾燥した平坦シートを炉から取り出し、そして冷却した。
【0076】
約130gの平坦シートを、例1に記載された成形型の成形型寸法に近くなるように切断し、その後、成形型中に入れた。例1に記載されるように成形型を加熱し、圧縮した。平坦シートからのサンプルを、その後、試験し、物性を特性化した。試験を上記の方法にしたがって行った。
【0077】
下記の試験結果を得た:2.5mmの厚さ、12.1MPaの引張強さ、125℃で6.2MPaの引張強さ、最大引張強さで158%の伸び率、50%伸び率で5.3MPaの引張強さ、100%伸び率で7.1MPaの引張強さ、92.9kg/cmの引裂強度及び80.1のショアAジュロメータ。
【0078】
比較例E-ePTFEを含まないVitonフルオロエラストマー平坦シート
ePTFEをエラストマーに添加せず、そのため、ブレンディングプロセスを行わなかったことを除いては、例4に記載されたように平坦シートを製造し、試験した。
【0079】
平坦シートからのサンプルを試験し、物性を特性化した。試験は上記の方法にしたがって行った。
【0080】
下記の試験結果を得た:2.2mmの厚さ、17.1MPaの引張強さ、125℃で4.0MPaの引張強さ、最大引張強さで801%の伸び率、50%伸び率で0.8MPaの引張強さ、100%伸び率で1.2MPaの引張強さ、25.1kg/cmの引裂強度及び61.6のショアAジュロメータ。
【0081】
例5-不織ポリエステルを含むシリコーン平坦シート
40g/mの不織ポリエステル(40GSM Cranemat, Crane Nonwovens, Inc. Dalton, MA)をePTFEメンブレンの代わりに用い、下記のとおりにエラストマーとブレンドしたことを除いては例1に記載されるのと同様に平坦シートを製造しそして試験した。離散した正方形片(約1.3cm×1.3cm)の不織ポリエステル材料及びエラストマーを混合ボール中で、合計組成物の体積の15.4%の不織材料(合計組成物の体積の約20質量%の不織材料)の割合で混合した。
【0082】
下記の試験結果を得た:2.5mmの厚さ、6.6MPaの引張強さ、最大引張強さで37%の伸び率、58.0kg/cmの引裂強度及び84.9のショアAジュロメータ。50%伸び率及び100%伸び率での引張強さのデータは得ることができなかった。というのは、サンプルは50%未満の37%で破壊したからである。
【0083】
例6-代わりのePTFE構造を含むシリコーン平坦シート
例1のePTFEメンブレンの代わりに異なるePTFEメンブレンを用いたことを除いては、例1に記載されるように平坦シートを製造しそして試験した。本例のアモルファスロックされたePTFEは下記の特性を有した:0.077mmの厚さ、0.21g/ccの密度、0.008MPaのEBP、67.1MPaの1方向のマトリックス引張強さ及び132.2MPaの直交方向のマトリックス引張強さ。
【0084】
平坦シートについて下記の試験結果を得た:2.2mmの厚さ、6.1MPaの引張強さ、最大引張強さで94%の伸び率、50%伸び率で3.8MPaの引張強さ、49.8kg/cmの引裂強度及び78.0のショアAジュロメータ。100%伸び率での引張強さのデータは得ることができなかった。というのは、サンプルは100%未満の94%で破壊したからである。
【0085】
例7-代わりのePTFE構造を含むシリコーン平坦シート
例1のePTFEメンブレンの代わりに異なるePTFEメンブレンを用い、ブレンディング工程を少なくとも5時間延長し、材料のブレンディングを改良したことを除いては、例1に記載されるように平坦シートを製造しそして試験した。この、より長いブレンディングプロセスでも、得られる材料は例1のブレンドされた材料で達成されたのと同一のレベルの均一性を達成しなかった。
【0086】
本例のアモルファスロックされたePTFEは下記の特性を有した:0.0055mmの厚さ、1.02g/ccの密度、0.62MPaのEBP、832.7MPaの1方向のマトリックス引張強さ及び255.4MPaの直交方向のマトリックス引張強さ。
【0087】
平坦シートについて下記の試験結果を得た:2.2mmの厚さ、5.3MPaの引張強さ、最大引張強さで86%の伸び率、50%伸び率で2.9MPaの引張強さ、49.0kg/cmの引裂強度及び71.9のショアAジュロメータ。100%伸び率での引張強さのデータは得ることができなかった。というのは、サンプルは100%未満の86%で破壊したからである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エラストマー及び該エラストマー全体にわたって分布している離散した多孔質材料片を含む組成物。
【請求項2】
前記多孔質材料は延伸ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
さらに、50%伸び率での引張応力は約1MPaより大きい、請求項1記載の組成物。
【請求項4】
さらに、50%伸び率での引張応力は約1.5MPaより大きい、請求項1記載の組成物。
【請求項5】
さらに、100%伸び率での引張応力は約2MPaより大きい、請求項1記載の組成物。
【請求項6】
さらに、100%伸び率での引張応力は約3MPaより大きい、請求項1記載の組成物。
【請求項7】
さらに、100%伸び率での引張応力は約4MPaより大きい、請求項1記載の組成物。
【請求項8】
さらに、引裂強度は約25kg/cmより大きい、請求項1記載の組成物。
【請求項9】
さらに、引裂強度は約50kg/cmより大きい、請求項1記載の組成物。
【請求項10】
さらに、引裂強度は約75kg/cmより大きい、請求項1記載の組成物。
【請求項11】
射出成形、圧縮成形及び押出成形に適合されている、請求項1記載の組成物。
【請求項12】
前記離散した延伸PTFE片は組成物の体積の約2〜60体積%の量で存在する、請求項2記載の組成物。
【請求項13】
前記離散した延伸PTFE片は組成物の質量の約4〜40質量%の量で存在する、請求項2記載の組成物。
【請求項14】
前記離散した延伸PTFE片は組成物の体積の10〜20体積%の量で存在する、請求項2記載の組成物。
【請求項15】
前記離散した延伸PTFE片は組成物の質量の約20〜35質量%の量で存在する、請求項2記載の組成物。
【請求項16】
前記離散した延伸PTFE片は組成物の体積の約16体積%の量で存在する、請求項2記載の組成物。
【請求項17】
前記離散した延伸PTFE片は組成物の質量の約30質量%の量で存在する、請求項2記載の組成物。
【請求項18】
前記エラストマーはシリコーン、フルオロエラストマー、ペルフルオロエラストマー及びペルフルオロポリエーテルからなる群より選ばれる液体もしくは液化の架橋可能なエラストマーである、請求項1記載の組成物。
【請求項19】
前記組成物は最大引張強さが前記エラストマー単独の最大引張強さの少なくとも200%である、請求項1記載の組成物。
【請求項20】
前記多孔質材料は多孔質ポリエステルを含む、請求項1記載の組成物。
【請求項21】
さらに、25%伸び率での引張応力は約2MPaよりも大きい、請求項20記載の組成物。
【請求項22】
さらに、引裂強度は約25kg/cmより大きい、請求項20記載の組成物。
【請求項23】
平坦シートの形態の請求項1記載の組成物。
【請求項24】
O−リングの形態の請求項1記載の組成物。
【請求項25】
ガスケットの形態の請求項1記載の組成物。
【請求項26】
ダイアフラムの形態の請求項1記載の組成物。
【請求項27】
メカニカルシールの形態の請求項1記載の組成物。
【請求項28】
人工血管の形態の請求項1記載の組成物。
【請求項29】
エラストマー及び該エラストマー全体にわたって分布している離散した延伸PTFE片を含むチューブの形態の組成物であって、さらに、0.3MPaのポンプ圧力及び600RPMでのポンプ寿命が約1時間を超える組成物。
【請求項30】
さらに、0.3MPaのポンプ圧力及び600RPMでのポンプ寿命が約10時間を超える、請求項29記載の組成物。
【請求項31】
さらに、0.3MPaのポンプ圧力及び600RPMでのポンプ寿命が約50時間を超える、請求項29記載の組成物。
【請求項32】
さらに、0.3MPaのポンプ圧力及び600RPMでのポンプ寿命が約100時間を超える、請求項29記載の組成物。
【請求項33】
前記離散した延伸PTFE片は実質的に円周方向に整列している、請求項29記載の組成物。
【請求項34】
前記エラストマーはシリコーンである、請求項29記載の組成物。
【請求項35】
(a)エラストマーを提供すること、
(b)延伸PTFEメンブレンを提供すること、
(c)前記延伸PTFEメンブレンを離散した小片に切断すること、及び、
(d)前記離散した小片を前記エラストマー中に剪断ミキサーを用いてブレンドし、強化エラストマーを形成すること、
の工程を含む、強化エラストマー組成物の製造方法。
【請求項36】
前記強化エラストマーを所望の形状に押出成形することをさらに含む、請求項35記載の方法。
【請求項37】
前記強化エラストマーを所望の形状に射出成形することをさらに含む、請求項35記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2013−520553(P2013−520553A)
【公表日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−555019(P2012−555019)
【出願日】平成23年2月8日(2011.2.8)
【国際出願番号】PCT/US2011/023987
【国際公開番号】WO2011/106145
【国際公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(598123677)ゴア エンタープライズ ホールディングス,インコーポレイティド (279)
【Fターム(参考)】