説明

強化ポリ(ヒドロキシアルカン酸)組成物

ポリ(ヒドロキシアルカン酸)と、ビニル芳香族コモノマーを含まず、1.5以下の屈折率を有するコア/シェルポリマーであって、コアがエラストマーを含み、そしてシェルが非エラストマーポリマーを含むコア/シェルポリマーを含む耐衝撃性改良剤とを含む強化ポリ(ヒドロキシアルカン酸)樹脂組成物が開示される。この組成物を含む包装材料および包装製品もまた開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、強化(toughened)ポリ(ヒドロキシアルカン酸)組成物およびそれによる製品に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリ乳酸(PLA)などのポリ(ヒドロキシアルカン酸)(PHA)ポリマーは、石油よりもむしろ再生可能な資源から重合させることができ、かつ、コンポスト化可能である。それらは、フィルムとして広範囲の工業的なおよび生物医学的な用途を有する。例えば、特開平9−316310号公報は、PLAと変性オレフィン化合物とを含むポリ乳酸樹脂組成物を開示している。それらの変性オレフィン化合物の例は、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチルなどでグラフトされたエチレン−メタクリル酸グリシジルコポリマー、ならびに無水マレイン酸およびマレイミドでグラフトされたエチレンとアルファ−オレフィンとのコポリマーである。強化PHA組成物もまた、例えば、米国特許出願公開第2005/0131120号明細書および米国特許出願公開第2006/0142505号明細書、米国特許第5,883,199号明細書、同第6,323,308号明細書、同第6,417,294号明細書、同第6,713,175号明細書、同第6,756,331号明細書、同第6,960,374号明細書、および同第7,078,368号明細書、ならびに欧州特許出願公開第0980894 A1号明細書および欧州特許第093583B1号明細書に開示されている。
【0003】
しかしながら、脆性などの物理的制限は、容易なシートキャスティングおよび熱成形品へのシートのその後のトリミングを妨げる。シート製造プロセスを通して脆いシートを取り扱うことの困難さに加えて、シートからその後に熱成形された物品は、多くの用途向けに十分な靱性を欠くかもしれない。幾つかの強化PHA組成物は、望ましくないことに低い透明性を有する。従って、好ましくは受け入れることができる透明性を維持しながら、良好な靱性を有する様々な物品へ容易に溶融加工されるべき強化組成物を得ることが望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、ポリ(ヒドロキシアルカン酸)と耐衝撃性改良剤とを含むかまたはそれらから製造される強化ポリ(ヒドロキシアルカン酸)組成物であって、ポリ(ヒドロキシアルカン酸)が約90〜約99.8%組成物中に存在し、耐衝撃性改良剤が約0.2〜約10%組成物中に存在し、そしてビニル芳香族コモノマーを含まず、かつ、1.5以下の屈折率を有するコア/シェルポリマーを含み;コアが、場合により架橋した、ポリアクリル酸アルキルを好ましくは含む、1つ以上のエラストマーを含み;シェルが、エポキシ、カルボン酸、およびアミンからなる群から選択された官能基を場合により含有する、非エラストマーポリマー、好ましくはポリメタクリル酸メチルを含み;ポリ(ヒドロキシアルカン酸)または耐衝撃性改良剤の重量%がポリ(ヒドロキシアルカン酸)と耐衝撃性改良剤との総重量を基準とする組成物を提供する。
【0005】
本発明はまた、本強化組成物を含む包装材料または容器を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0006】
コポリマーは、ダイポリマーおよびターポリマーを含む、2つ以上の異なるコモノマーを含有するポリマー、それぞれ2つおよび3つの異なるコモノマーのみを含有するポリマーを意味する。
【0007】
コンポスト化可能なポリマーは、コンポスト化条件下に分解可能であるものである。それらは生物(環形動物)および微生物(細菌、真菌類、藻類)の作用下に分解し、完全な無機化(有酸素条件下での二酸化炭素、メタン、水、無機化合物またはバイオマスへの変換)を高速で達成し、かつ、コンポスト化プロセスと相溶性である。
【0008】
生分解性ポリマーは、二酸化炭素、メタン、水、無機化合物またはバイオマスへの分解を受けることができるものであり、その分解で支配的なメカニズムは、利用可能な処分条件を反映する、指定時間での、標準化試験によって測定することができる微生物の酵素作用である。
【0009】
再生可能なポリマーは、生物由来物質を原料へまたは最終再生可能ポリマーへ変換する発酵および他のプロセスによってなど、(数千年または数百万年を要する石油とは異なり)数年内よりも早く補充される、または補充することができる原材料もしくは出発原料を含むかまたはそれらから製造されるものである。
【0010】
ポリ(ヒドロキシアルカン酸)ポリマーは通常、生分解性のまたはコンポスト化可能なポリマーである。これらの多くはまた、細菌発酵プロセスによる生産などの、再生可能な資源の処理から入手可能であるか、またはトウモロコシ、サツマイモなどを含む植物から単離される。
【0011】
PHA組成物は、ポリカプロラクトン(PCL)としても知られる、6−ヒドロキシヘキサン酸を含むポリマー、ならびに3−ヒドロキシヘキサン酸、4−ヒドロキシヘキサン酸および3−ヒドロキシヘプタン酸を含むポリマーを含む、2〜7個(またはそれ以上)の炭素原子を有するヒドロキシアルカン酸の重合から製造されたポリマーを含む。5個以下の炭素原子を有するヒドロキシアルカン酸を含むポリ(ヒドロキシアルカン酸)ポリマー、例えば、グリコール酸、乳酸、3−ヒドロキシプロピオナート、2−ヒドロキシブチレート、3−ヒドロキシブチレート、4−ヒドロキシブチレート、3−ヒドロキシバレレート、4−ヒドロキシバレレートおよび5−ヒドロキシバレレートを含むポリマーが注目すべきである。注目に値するポリマーには、ポリグリコール酸(PGA)、ポリ乳酸(PLA)およびポリ(ヒドロキシ酪酸)(PHB)が含まれる。PHA組成物はまた、PHBとPCLとのブレンドなどの、2つ以上のPHAポリマーのブレンドを含む。
【0012】
ポリヒドロキシアルカン酸は、バルク重合によって製造することができる。PHAは、ヒドロキシアルカン酸の脱水−重縮合によって合成されてもよい。PHAはまた、ヒドロキシアルカン酸のアルキルエステルの脱アルコール−重縮合によってか、または相当するラクトンもしくは環状二量体エステルなどの環状誘導体の開環重合によって合成されてもよい。バルク重合は通常、連続プロセスかバッチプロセスかのどちらかを用いて実施される。特開平3−502115号公報は、環状エステルのバルク重合が二軸スクリュー押出機で実施される方法を開示している。特開平7−26001号公報は、ヒドロキシカルボン酸の二分子環状エステルおよび1つ以上のラクトンが開環重合のためにスタティックミキサーを有する連続反応装置に連続的に供給される生分解性ポリマーの重合方法を開示している。特開平7−53684号公報は、ヒドロキシカルボン酸の環状二量体が触媒とともに初期重合工程に供給され、次に多軸混練機からなる後期重合工程に連続的に供給される、脂肪族ポリエステルの連続重合方法を開示している。米国特許第2,668,162号明細書および同第3,297,033号明細書はバッチプロセスを開示している。
【0013】
PHAポリマーにはまた、ポリヒドロキシ−ブチレート−バレレート(PHB/V)コポリマーおよびグリコール酸と乳酸とのコポリマー(PGA/LA)などの、2つ以上のヒドロキシアルカン酸を含むコポリマーが含まれる。コポリマーは、ヒドロキシアルカン酸または誘導体と1つ以上の環状エステルおよび/または二量体環状エステルとの触媒共重合によって製造することができる。かかるコモノマーには、グリコリド(1,4−ジオキサン−2,5−ジオン)、グリコール酸の二量体環状エステル;ラクチド(3,6−ジメチル−1,4−ジオキサン−2,5−ジオン);α,α−ジメチル−β−プロピオラクトン、2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロパン酸の環状エステル;β−ブチロラクトン、3−ヒドロキシ酪酸の環状エステル;δ−バレロラクトン、5−ヒドロキシペンタン酸の環状エステル;ε−カプロラクトン、6−ヒドロキシヘキサン酸の環状エステル、および2−メチル−6−ヒドロキシヘキサン酸、3−メチル−6−ヒドロキシヘキサン酸、4−メチル−6−ヒドロキシヘキサン酸、3,3,5−トリメチル−6−ヒドロキシヘキサン酸などのようなそのメチル置換誘導体のラクトン;12−ヒドロキシドデカン酸の環状エステル;2−p−ジオキサノン;ならびに2−(2−ヒドロキシエチル)−グリコール酸の環状エステルが含まれる。
【0014】
PHA組成物はまた、1つ以上のヒドロキシアルカン酸モノマーまたは誘導体と、コハク酸、アジピン酸、およびテレフタル酸ならびにエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、および1,4−ブタンジオールなどの脂肪族および芳香族二酸およびジオールモノマーを含む、他のコモノマーとのコポリマーを含む。約100の異なるモノマーがPHAコポリマー中へ組み入れられてきた。
【0015】
PHAポリマーおよびコポリマーはまた、生物によって製造されてもまたは植物から単離されてもよい。多数の微生物がPHAポリマーの細胞内貯蔵物を蓄積する能力を有する。例えば、PHB/Vは、細菌ラルストニア・ユートロファ(Ralstonia eutropha)の発酵によって生産されてきた。他のPHAタイプの発酵および回収プロセスもまた、アゾトバクター(Azotobacter)、アルカリゲネス属(Alcaligenes latus)、コマモナス・テストステロン(Comamonas testosterone)および遺伝子操作された大腸菌(E.coli)ならびにクレブシエラ属(Klebsiella)を含む様々な細菌を用いて開発されてきた。米国特許第6,323,010号明細書は、遺伝子組み換えの生物から製造された多くのPHAコポリマーを開示している。
【0016】
「ポリ(ヒドロキシアルカン酸)」は、それらのホモポリマー、コポリマーおよび上にリストされたブレンドなどの、ヒドロキシアルカン酸およびその混合物を含む任意のホモポリマーまたはコポリマーを含むポリマーまたは組成物を意味する。同様に、ポリグリコール酸、ポリ乳酸またはポリ(ヒドロキシブチレート)などの、具体的なヒドロキシアルカン酸がかかる用語に用いられるとき、この用語には、この用語に用いられるヒドロキシアルカン酸を含むホモポリマー、コポリマーまたはブレンドが含まれる。
【0017】
グリコール酸はサトウキビから誘導される。ポリグリコール酸は、グリコリドの開環重合によって合成することができ、ポリグリコリドと呼ばれることもある。
【0018】
PLAには、3,000〜1,000,000、10,000〜700,000、または20,000〜600,000の数平均分子量を有する、ポリ乳酸ホモポリマーならびに乳酸またはその誘導体およびそれらの混合物に由来する少なくとも50モル%の繰り返し単位を含有する乳酸と他のモノマーとのコポリマーが含まれる。PLAは、乳酸またはその誘導体に由来する(例えばそれらによって製造される)少なくとも70モル%の繰り返し単位を含有してもよい。ポリ乳酸ホモポリマーおよびコポリマーは、d−乳酸、l−乳酸、またはそれらの混合物から誘導することができる。2つ以上のポリ乳酸ポリマーの混合物を使用することができる。PLAは、「ラクチド」と呼ばれる、乳酸の二量体環状エステルの触媒開環重合によって製造されてもよい。結果として、PLAはまた「ポリラクチド」とも呼ばれる。
【0019】
乳酸のコポリマーは典型的には、乳酸、ラクチドまたは別の乳酸誘導体と上記のような1つ以上の環状エステルおよび/または二量体環状エステルとの触媒共重合によって製造される。
【0020】
本組成物は、使用されるPHAおよび耐衝撃性改良剤の総重量を基準として、約90重量%の下限から約97、99、99.5、または99.8重量%の上限までの範囲の量でPHAを含んでもよい。
【0021】
耐衝撃性改良剤または強化剤は、約0.2、0.5、1または3重量%の下限から約10重量%の上限の範囲の量で組成物中に存在することができる。
【0022】
本明細書で用いられるコア−シェルは、硬質ポリマーを含むシェルによって取り囲まれた、エラストマー、エラストマーポリマー、またはゴム(これらの用語は同じ意味で用いられる)を含むソフトコアを含む化合物を意味する。本明細書で使用されるコア−シェルポリマーは、「コア−シェル耐衝撃性改良剤(Core−Shell Impact Modifiers)」[Carlos A.Cruz−Ramos、Polymer Blends、第2巻:Performance、137−75ページ(D.R.Paul、C.B.Bucknall編、2000年)]に一般的に記載されている。
【0023】
コア−シェルポリマー化合物の低弾性率の内部はエラストマーを含む。エラストマーは、約20℃未満のガラス転移温度(Tg)の化合物である。好ましくはエラストマーのTgは約0℃未満であり、より好ましくはTgは約−20℃未満である。さらに、低弾性率の内部は実質的に非結晶性である、すなわち、低弾性率の内部の約10%未満が結晶性である。コアは好ましくは、ポリアクリル酸ブチルなどの、ポリアクリル酸アルキルを含み、場合により架橋していてもよい。コアは、コモノマーとしてブタジエンをさらに含んでもよい。
【0024】
シェルは、コア上へ化学的にグラフトされている、好ましくはコアのTgよりはるかに高いTgの、硬質ポリマーを含む。コア−シェルポリマー化合物のシェルは2つの機能を有する。第1に、シェルは、各コア−シェルポリマー化合物の低弾性率の内部が他のコア−シェルポリマー化合物の低弾性率の内部に付着するのを防ぐ。第2に、コア−シェルポリマー化合物がPHA中に分散させられたとき、シェルは、コア−シェルポリマー化合物の低弾性の内部にPHAを物理的に結び付ける。
【0025】
コア−シェルポリマー化合物のシェルは、エポキシ、カルボン酸、またはアミンなどの官能基を場合により含有する、任意の非エラストマーポリマー、例えば、ポリメタクリル酸メチルを含むことができる。非エラストマーポリマーは一般に、フリーラジカル重合によってオレフィン系モノマーから製造される。
【0026】
コア−シェルポリマー化合物は、当業者に公知の方法、例えば、米国特許第3,808,180号明細書および同第4,180,529号明細書に記載されている方法のいずれかによって製造することができる。例えば、コア−シェルポリマー化合物は、好適な開始剤を用いて水または他の好適な流体媒体中でのエマルジョン重合によって、先ずモノマーまたはモノマーのセットを供給し、重合させてコアを形成することによって製造することができる。第2モノマーまたはモノマーのセットの供給が次にシェルを形成する。主なモノマーは、単一の重合性ビニル基を含有するが、ブタジエンなどの、多数のビニル基を有するより少量のモノマーがコアおよび/またはシェルの製造のために場合により使用されてもよい。各コア−シェルポリマー化合物が個々に重合し、そして合成プロセス中に場合により架橋する、エマルジョン重合は、狭いサイズ分布の明確なサイズのコア−シェルポリマー化合物を生成する。コア−シェルポリマー組成物は、それらがPHAとの相互作用によって幾分膨潤するかもしれないが、それらの明確なサイズおよび狭いサイズ分布をPHAへの分散後にさえ保持することができる。好ましいコア−シェル改質剤は、0.2〜0.3μm、または0.2μm以下などの、0.5μm未満の最大直径を有する。
【0027】
コア−シェルポリマーはまた、米国特許第4,180,529号明細書に記載されているタイプの多段階逐次重合技法によって製造された、多層で構成されてもよい。各逐次段階は、前に重合した段階の存在下に重合させられる。このように、各層は、直前段階の上部上に層として重合させられる。一実施形態では、重合の第1段階は非エラストマーポリマーを生成し、第2段階はエラストマーポリマーを生成し、第3段階は非エラストマーポリマーを生成する。別の実施形態では、重合の第1段階はエラストマーポリマーを生成し、第2段階は非エラストマーポリマーを生成し、第3段階はエラストマーポリマーを生成する。第4段階は非エラストマーポリマーを生成する。他の実施形態では、本方法は、5つ以上の段階に広げられてもよい。
【0028】
良好な透明性(低いヘーズ)を保持する強化PHA組成物を提供するために、コア−シェルポリマー化合物の成分は、PHAの屈折率(RI)と十分に適合する屈折率を有することができる。例えば、透明なPLAは1.46のRIを有するので、コア−シェルポリマーは望ましくは1.5以下のRIを有する。コア−シェルポリマー化合物の低弾性率の内部は、芳香族ビニルコモノマー(スチレンなどの)を含まない、好ましくはポリアクリル酸アルキル(例えばポリアクリル酸ブチル)を含む、任意のエラストマーポリマーまたはコポリマーを含むことができる。ポリアクリル酸ブチルゴムは1.47のRIを有し、コアに好適であることができる。エラストマーポリマーは場合により架橋している。
【0029】
好ましい実施形態では、コア−シェルポリマーのコアは、コア−シェルポリマーの約50〜約90重量パーセントを占め、この百分率はコア−シェルポリマーの総重量を基準としている。
【0030】
コア−シェルポリマー化合物、例えば、Paraloid(登録商標)EXL−2330(コアがアクリル酸ブチルモノマーから製造された)、Paraloid(登録商標)EXL−2314(コアがアクリル酸ブチルから製造された、エポキシ官能性ポリマー)、およびParaloid(登録商標)KM−365(コアがアクリル酸ブチルモノマーから製造された)は、Rohm and Haas(Philadelphia,PA)から商業的に入手することができる。他の好適なコア−シェルポリマー化合物には、アクリル酸ブチルコアおよびポリメタクリル酸メチルシェルのもの、例えば、LG Chemicals(LG Twin Towers,20,Yeouido−doing,Yeongdeungpo−gu,Seoul 150−721,South Korea)から入手可能なIM808A、ならびにアクリルゴムコアのもの、例えば、Mitsubishi Rayon America Inc.,747 Third Avenue,New York,NYから入手可能なMetablend(登録商標)W 330Aが含まれる。
【0031】
本強化PHA組成物は、可塑剤、安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、加水分解安定剤、帯電防止剤、染料もしくは顔料、フィラー、難燃剤、滑剤、ガラス繊維およびフレークなどの強化剤、加工助剤、粘着防止剤、剥離剤、またはそれらの2つ以上の組み合わせを含む任意の添加剤をさらに含むことができる。
【0032】
これらの添加剤は、組成物の約40重量%以下、または全組成物の、0.01〜15重量%、0.01〜10重量%、または0.01〜5重量%の量で組成物中に存在してもよい。例えば、本組成物は、約0.5〜約5重量%の可塑剤、約0.1〜約5重量%の酸化防止剤および安定剤、約3〜約40重量%のフィラー、約5〜約40重量%の強化剤、約0.5〜10重量%のナノ複合材料強化剤、および/または約1〜約40重量%の難燃剤を含有してもよい。好適なフィラーの例には、ガラス繊維および沈澱CaCO3、タルク、ウォラストナイト、またはそれらの2つ以上の組み合わせなどの鉱物が挙げられる。フィラーおよび強化剤は、使用されるとき、小さなサイズのものであることができる。例えば、フィルムは、厚さが50μm未満であってもよく、従って、固体添加剤は望ましくはそれ未満のサイズを有する。フィラーおよび強化剤は、存在するときフィルムの透明性を低下させるかもしれない。
【0033】
本組成物は、PLAと耐衝撃性改良剤と、場合により、他の材料(例えば、添加剤)とを、それらが肉眼で均一に分散され、そしてフィルム形成時に離層しなくなるまで溶融ブレンドすることによって調製することができる。ブレンドは、当該技術分野で公知の任意の溶融混合法を用いて成分材料を組み合わせることによって得られてもよい。例えば:1)成分材料は、単軸もしくは二軸スクリュー押出機、ブレンダー、混練機、Banburyミキサー、ロールミキサーなどのような溶融ミキサーを用いて均一に混合されて樹脂組成物を得ることができ、または2)成分材料の一部を溶融ミキサーで混合し、成分材料の残りをその後に加え、均一になるまでさらに溶融混合することができる。
【0034】
本組成物は、スリットダイを通しての押出、そして得られたフラットシートのカレンダー掛けによってキャストフィルムまたはシートに成形されてもよい。フィルムおよびシートは、1つの比較的小さい寸法と2つの比較的大きい寸法とを有する、ほぼ平面の物品を表すために用いられる。シートはフィルムより厚いと考えられるが、本明細書で用いるところでは、どちらの用語も、任意の具体的な厚さに限定することなく、フィルムおよび/またはシートを表すために同じ意味で用いられる。例えば、しかし、シートは、限定されずに、包装材料およびパッケージを製造するために有用である。
【0035】
シートは、本強化EHA組成物の単一層を含んでもよい(単分子層シート)。あるいはまた、多層フィルムまたはシートは、本強化PHA組成物の層と異なる材料を含む少なくとも1つの追加の層とを含む。
【0036】
包装の技術分野で公知の任意のフィルム−グレードポリマー樹脂または材料を用いて多層構造物で追加の層を製造することができる。多くの場合に、多層ポリマーシートは、最外構造層または露出層(abuse layer)と、内層または内部バリア層と、パッケージの意図される内容物と接触し、そして相溶性であり、かつ、任意の必要とされるシールを形成することができる最内層とを含むが、それらに限定されない、少なくとも3つのカテゴリー層を含んでもよい。他の層もまた、これらの層を結び付けるのに役立つ接着層としての機能を果たすために存在してもよい。
【0037】
最外構造層または露出層は、本強化PHA組成物から製造されてもよい。追加の構造層は、延伸ポリエステルまたは延伸ポリプロピレンを含んでもよいが、延伸ポリアミド(ナイロン)をまた含むことができる。パッケージが多層構造物の全体厚さを通してシールされるので、この外層はパッケージを製造するために用いられるシーリング温度によって影響を受けないかもしれない。この層は場合により、それがフラップまたはラップシールを結び付けることを可能にするようなシール開始温度を有してもよい。この層の厚さは、包装フィルムの剛性を調整するように選択することができ、約10〜約60μm、または約50μmの範囲であってもよい。構造層は、例えば、グラビア法を用いる裏刷によって印刷することができる。
【0038】
内層は、パウチ内部の製品に影響を及ぼす可能性のある水、酸素、二酸化炭素、紫外線などの電磁放射線、およびメタノールなどの試剤による層を通っての透過速度を下げるための1つ以上のバリア層を含むことができる。かかるバリア層は、溶媒もしくは水性コーティング、真空蒸着、化学蒸着、共押出、押出コーティング、またはそれらの2つ以上の組み合わせなどの様々な方法によって被着することができる。
【0039】
バリア層は、例えば、金属化ポリプロピレンまたはポリエチレンテレフタレート、エチレンビニルアルコール、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン、アルミ箔、酸化ケイ素(SiOx)、酸化アルミニウム、芳香族ナイロン、それらの関連コポリマーだけでなくそれらのブレンドまたは複合材料を含むことができる。バリア層厚さは、製品の感受性および所望の保管期間に応じて変わり得る。
【0040】
構造層およびバリア層は組み合わせられて水分および酸素への有効なバリアと、透明性、靱性および穿刺抵抗などの、加工および/または製品の包装に好適なバルク機械的特性とを与えるポリマーの幾つかの層を含むことができる。
【0041】
パッケージの最内層はシーラントである。シーラントは、内容物の味または色に与える影響が最小限であるように、製品によって影響を受けないように、かつ、シーリング条件(液体小滴、グリース、ほこりなど)に耐えるように選択される。シーラントは、最外層の外観がシーリングプロセスによって影響を受けず、かつ、シーリング棒のジョーに粘着しないように、最外層の溶融温度より実質的に下の温度でそれ自体接合する(シールされる)ことができるポリマー層またはコーティングであることができる。本発明に有用な多層包装フィルムに使用される典型的なシーラントには、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、メタロセンポリエチレンなどの、エチレンポリマー、EVA、エチレンとアクリル酸メチルもしくは(メタ)アクリル酸とのコポリマー、またはエチレンと(メタ)アクリル酸とのコポリマーのアイオノマーが含まれる。シーラントにはまた、ポリ塩化ビニリデン、ポリエステルコポリマー、またはポリプロピレンコポリマーが含まれ得る。シーラントは、例えば、ポリマー、粘着付与剤およびフィラーの組み合わせによって剥離可能にすることができる。剥離可能なシーラントは、E.I.du Pont de Nemours and Company(DuPont),Wilmington,Delawareから入手可能である。シーラント層は典型的には約25〜約100μm厚さである。
【0042】
使用に好適なポリアミド(ナイロン)には、脂肪族ポリアミド、非晶質ポリアミド、またはそれらの混合物が含まれる。「脂肪族ポリアミド」は、この用語が本明細書で用いるところでは、脂肪族ポリアミド、脂肪族コポリアミド、およびこれらのブレンドまたは混合物を意味することができる。本発明で用いるために好ましい脂肪族ポリアミドは、ポリアミド6、ポリアミド6.66、それらのブレンドおよび混合物である。ポリアミド6.66はBASF AGから商業的に入手可能である。フィルムはさらに、米国特許第5,408,000号明細書、同第4,174,358号明細書、同第3,393,210号明細書、同第2,512,606号明細書、同第2,312,966号明細書、および同第2,241,322号明細書に記載されるものなどの他のポリアミドをさらに含んでもよい。
【0043】
シートはまた、部分芳香族ポリアミドを含んでもよい。幾つかの好適な部分芳香族コポリアミドは、例えばDuPontから商業的に入手可能な、非晶質ナイロン樹脂6−I/6−Tである。
【0044】
使用に好適なポリオレフィンは、ポリプロピレンまたはポリエチレンホモポリマーおよびエチレンまたはプロピレンを含むコポリマーから選択される。ポリエチレンは、周知のZiegler−Natta触媒重合(例えば米国特許第3,645,992号明細書および同第4,076,698号明細書を参照されたい)、およびメタロセン触媒重合(例えば、米国特許第5,198,401号明細書および同第5,405,922号明細書を参照されたい)を含む、様々な方法によってならびにフリーラジカル重合によって製造することができる。ポリプロピレンポリマーには、プロピレンホモポリマー。耐衝撃性改良ポリプロピレンおよびプロピレンとアルファ−オレフィンとのコポリマーが含まれる。ポリオレフィンは非常によく知られているので、その説明は簡略にするために省略される。
【0045】
フィルムは、エチレン酢酸ビニルおよびエチレンアクリル酸メチルならびにエチレン(メタ)アクリル酸などのエチレン酸ポリマーなどのエチレンコポリマーを含む層を含むことができる。
【0046】
酸無水物または酸−変性エチレンおよびプロピレンホモポリマーおよびコポリマーは、ポリマーが互いにうまく接着しないときにポリマーの層の結び付けを向上させるために押出可能な接着層(「結合」層としても知られる)として使用することができ、こうして多層構造物での層間の接着を向上させる。結合層の組成物は、多層構造物で接合される必要がある隣接層の組成物によって決定されるかもしれない。ポリマー分野における当業者は、構造物に使用される他の材料に基づいて適切な結合層を選択することができる。様々な共押出可能な結合層組成物は、例えば、デュポンから商業的に入手可能である。他の結合層は、溶剤塗布ポリウレタン組成物を含む。
【0047】
約20〜約50モル%のエチレンを有するポリエチレンビニルアルコールは、本明細書での使用に好適であることができる。好適なポリエチレンビニルアルコールポリマーは、例えば、クラレからまたは日本合成から商業的に入手可能である。
【0048】
ポリ塩化ビニリデンは、例えば、Dow Chemicalから商業的に入手することができる。
【0049】
防曇性のためのポリグリセロールエステルなどの表面改質剤、向上した接着および印刷適性のためのコロナまたは火炎処理からなどの表面尖鋭化、低下した摩擦係数のためのシリカ微小球またはシリコーン、帯電防止性のための長鎖脂肪族アミン、および向上したインク接着性のためのプライマーもまた、シートで使用することができる。
【0050】
多層フィルムまたはシートは、次の通り共押出によって製造することができる:様々な成分の顆粒が別個の押出機で溶融させられる。溶融ポリマーは、様々な成分の多層を含有する1つの溶融物流れへ別のポリマー溶融物流れを合わせる混合ブロックを通過させられる。溶融物流れは、1つのダイまたはセットのダイへ流れ込んで多層フローとして加工される溶融ポリマーの層を形成する。層状溶融ポリマーの流れは急冷ドラムで急冷されて層状構造物を形成する。
【0051】
フィルムまたはシートはまた、(共)押出、引き続く1つ以上の他の層上への積層によって製造することができる。他の好適な変換技法は、例えば、ブローンフィルム(共)押出および(共)押出コーティングである。
【0052】
本強化PHA組成物の層とヒートシール層とを含むフィルムまたはシートが注目すべきである。
【0053】
シートはまた、包装材料を提供するために箔、紙または不織繊維材料などの基材に積層されてもよい。積層は、高速(約30〜300m/分または約90〜240m/分)で移動する基材とPHAフィルムとの間に、それらが冷(チル)ロールと接触するときに接着組成物の溶融カーテンを塗ることを含む。溶融カーテンは、平ダイを通して接着組成物を押し出すことによって形成される。溶液ベースの接着組成物もまた、フィルムを基材に接着させるために使用されてもよい。
【0054】
フィルムおよびシートは、容器などの包装材料、パウチおよび蓋、風船、ラベル、不正開封防止バンド、またはフィラメント、テープおよび革ひもなどのエンジニアリング品を製造するために使用することができる。
【0055】
パッケージおよび包装製品は、本組成物、フィルム、および/または上に開示された構造物を含むことができる。パッケージは、包装製品の周りに巻き付けられたフィルムを含んでもよく、場合により他の包装材料を含む。パッケージはまた、例えばヒートシーリングによって結び付けられたフィルムの1つ以上の部分から形成されてもよい。かかるパッケージは、パウチ、パケット、真空スキンパックなどの形態を有してもよい。パウチは、ウェブストックの別個の片をカットし、ヒートシールすることによっておよび/または折り重ねおよびヒートシーリングとカッティングとの組み合わせによってフィルムウェブストックから形成される。管状フィルムは、チューブを横切ってシールすること(横シール)によってパウチに成形されてもよい。他のパッケージには、本明細書に記載されるような強化PHA組成物から製造された蓋材用フィルム付き容器が含まれる。
【0056】
強化PHA組成物はまた、造形品、成形品などを含む、他の形態で提供することもできる。容器および包装材料は、真空または加圧成形によってシートから製造されたトレイ、コップ、キャップ、または蓋を含む様々な形状;未延伸シートの深絞り(すなわち熱成形)によって製造された形状;押出ブロー成形または二軸延伸ブローパリソン(射出延伸ブロー成形)などによって製造された形状;異形押出品;射出成形、圧縮成形または他の成形法によって製造された形状;ならびにシートを折り重ね、そして上部切妻カートンなどのそのエッジをヒートシールすることによって製造された形状のものであることができる。本強化PHA組成物を含む他の容器は、圧搾可能チューブ、パウチまたはボトル;容器の構成要素(キャップ、キャップライナー、蓋、ネジ蓋付き容器、または他のクロージャーなどの);ワイン、医療流体、粉ミルクなどの液体を計量分配する硬質容器内のバッグまたはパウチ;ならびにブリスターパックの形態にあってもよい。これらの形態の1つでの包装材料は、フィルムについて記載されたものと同じ強化特性を示す。
【0057】
本強化PHA組成物を含むフィルムまたはシートは、パッケージング中に含めることができる造形品へさらに加工することができた。例えば、フィルムまたはシートは熱成形することができた。熱成形品は、材料のシートがトレイ、コップ、缶、バケツ、タブ、ボックスまたはボウルなどの陥凹面を形成する形状を有してもよい。熱成形品はまた、コップ様陥凹が形成されたフィルムを含んでもよい。熱成形フィルムまたはシートは、その中に包装されるべき材料の形状に適合するように造形されてもよい。可撓性フィルムは、記載される通り熱成形されるとき、生じた造形品に幾らかの可撓性を保持する。より厚い熱成形シートは半硬質品または硬質品を提供するかもしれない。熱成形品は、蓋としての機能を果たす熱成形品にシールされるほぼ平面のフィルム(蓋材用フィルム)などの、追加の要素と組み合わせられてもよい。
【0058】
フィルムまたはシートなどの、包装材料はまた、その中の製品に関する情報を消費者に提供するためにおよび/またはパッケージの好ましい外観を与えるために包装材料に提供するための例えば、印刷、エンボス化および/または着色によってさらに加工されてもよい。
【0059】
包装することができる製品には、飲料(例えば、炭酸飲料、オレンジジュース、アップルジュース、グレープジュース、他のフルーツジュースおよびミルク)、固形食品(例えば、肉類、チーズ、魚、鶏肉、ナッツ、コーヒー、アップルソースまたは他のソース、シチュー、乾燥果物、食品ペースト、スープおよびスープ濃縮物ならびに他の食用品目)、スパイス、香辛料(例えば、ケチャップ、マスタード、およびマヨネーズ)、ペットフード、化粧品、パーソナルケア製品(例えば、練り歯磨き、髭剃りクリーム、石鹸、シャンプー、ローションなど)、医薬品、香料、電子部品、工業化学薬品または家庭化学薬品(例えば、洗濯洗剤、柔軟剤)、農薬、医療機器および装置、薬液、燃料、ならびに生物学的物質を含む食品および非食品品目が含まれる。
【0060】
本強化PHA組成物を含むトレイ、コップ、またはボウルなどの熱成形容器、および強化PHAを含む、PHA組成物を含む蓋材用フィルムを含むパッケージが注目される。
【0061】
かかる容器は、ヨーグルト、プディング、カスタード、ゼラチン、フルーツソース(例えば、アップルソース)、チーズスプレッドおよびディップ、肉類、冷凍もしくは冷蔵食品、乾燥食品(例えば、ヌードルおよび水での再構成用調味料)またはドライスナック(例えば、クッキー、チップスなど)などの製品を包装するために使用されてもよい。
【0062】
フィルムはまた、分解性縫合糸として用いるためのスリットフィルム繊維を提供するために切断されて狭いテープにされ、さらに延伸されてもよい。
【0063】
以下の実施例は例示的であるにすぎず、本明細書に記載されるおよび/または特許請求される本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきでない。
【実施例】
【0064】
PLA−1は、NatureWorks(登録商標)2002DLとして商業的に入手可能な約150℃の融点のPLAである。
IM−1は、Paraloid(登録商標)EXL 8619として入手可能な、メタクリレート−ブタジエン−スチレンコアおよびポリメタクリル酸メチルを含むシェルのコア−シェルポリマー化合物である。
IM−2は、Paraloid(登録商標)EXL 2330として入手可能な、アクリル酸ブチルゴムを含むコアおよびポリメタクリル酸メチルを含むシェルのコア−シェルポリマー化合物である。
【0065】
組成物の調製
Krupp Werner & Pfleiderer(W&P)によって製造された25mm 38/1 L/DのZSK−25World Lab二軸スクリュー押出機を用いてPLA−1と耐衝撃性改良剤との溶融ブレンドを調製した。溶融ブレンドの組成を下に示す。各場合にPLA−1と耐衝撃性改良剤とを、K−tron減量フィーダを用いて二軸スクリュー押出機のスロートへ同時供給した。全ての場合にPLA−1を、40〜45℃の設定点温度の乾燥ホッパー中で一晩前もって乾燥させた。2穴ダイを通って押出機を出た溶融ブレンドを水急冷し、次に急冷ストランドを、Scheerペレタイザーを用いてペレットへカットした。25mm二軸スクリュー押出機の典型的な押出機運転条件を表1に示す。
比較例C1:100%のPLA−1。
比較例C2:95%のPLA−1および5%のIM−1。
実施例3:95%のPLA−1および5%のIM−2。
【0066】
表1

【0067】
乾燥ホッパードライヤー中40℃で一晩乾燥させた後、ペレットを使用して19cm幅の非晶質シートをキャストした。シートを、5L/Dの溶融混合セクションを有する3/1圧縮比、シングル−フライトスクリューを備えた31.75mm直径30/1 L/D単軸スクリュー押出機を用いてキャストした。押出機バレルの端部にブレーカープレート上に60/80/60平方メッシュスクリーンがあった。押出機ダイは、0.76mmダイギャップの203mm幅コートハンガー型平フィルムダイであった。押出機は、Wayne Machine(100 Furler St.Totowa NJ 07512−1896)によって建造された。ダイから出た溶融ポリマーフィルムは、それが制御された温度の冷却水を充填した203mm幅×203mm直径の二重胴式スパイラルバッフルキャスティングロール上へキャストされるときに公称0.76mm厚さにドローダウンした。キャスティングロールおよびダイは、Killion Extruders(Davis Standard,200 Commerce Road,Cedar Grove,New Jersey 07009)によって建造された。押出機条件を表2に示す。
【0068】
表2

【0069】
キャストシートサンプルを使用してSencorp Systems(Hyannis Ma 02601)によって製造されたモデル810/1 Thermoformerで浅いトレイ(深さ3cm、長さ15cm、幅10cm)を熱成形した。熱成形条件は、上部および底部オーブン制御ゾーンについて190℃設定点温度であった。各シートを、25秒真空休止、20秒圧盤休止および5秒空気噴出を用いて成形する前に45秒間予熱した。
【0070】
元の0.76mm厚さのキャストシートおよび0.5mm厚さのトレイを使用してASTM D1003に従ってヘーズを測定した。平均ヘーズ値およびこの平均についての標準偏差(6つの反復試験片をベースとする)を表3に示す。
【0071】
表3

【0072】
表3に各組成物についてヘーズの2つの測定値がある。0.5mm厚さでの値は熱成形トレイに該当し、0.76mm厚さでの値は元のキャストシートに該当した。最も少ないヘーズは、比較例C1、未変性PLAシートで観察された。実施例3から製造したシートおよびトレイは幾らかより大きいヘーズを有した。(シートまたは熱成形部品に関する)ヘーズと厚さとの間の関係は、熱成形中に有意な結晶化が全く起こらないと仮定すれば線形であり得るので、より少ないヘーズはより薄い部品を成形することによって達成することができよう。より少ないヘーズはまた、十分な強化が維持されるという条件で、PHA組成物中により少ない耐衝撃性改良剤を使用することによって達成することができよう。スチレン含有コア−シェルポリマーを用いた、比較例C2は、非常に高いヘーズの(本質的に不透明な)シートを与えた。
【0073】
周囲温度(23℃)での0.5mmPLAトレイに関するASTM D3763に従ったDynatup耐衝撃性測定値もまた表3に示す。Dynatup試験では、1.27cm直径先端を有する45kgダーツを用いた。サンプルを、3.2cm直径止め輪を用いて所定の位置に固定した。ダーツを51cmの高さから落として3.2m/秒の衝撃初速度を与えた。表3は、比較例C1については3つの反復試験片、そして比較例C2および実施例3については5つの反復試験片の試験をベースとする平均値および平均値での標準偏差を示す。この試験方法では、ジュール単位での全破壊エネルギーが測定された。より高い数はより良好な強化を例示する。
【0074】
100%のPLA−1(比較例C1)から製造したトレイは非常に脆く、装置は、ダーツがサンプルを貫通したのでそれへのいかなる有意な抵抗も測定することができなかった。実施例3から製造したトレイは、比較例C1およびC2より著しく良好な靱性を与えた。
【0075】
表3の結果は、本明細書での変性PLAの組成物が受け入れることができる透明性を与えながら向上した靱性を与えたことを例示する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリ(ヒドロキシアルカン酸)と耐衝撃性改良剤との総重量を基準として、約90〜約99.8重量%のポリ(ヒドロキシアルカン酸)組成物と約0.2〜約10重量%の耐衝撃性改良剤とを含むか、またはそれらから製造される組成物であって、
前記ポリ(ヒドロキシアルカン酸)が6−ヒドロキシヘキサン酸、3−ヒドロキシヘキサン酸、4−ヒドロキシヘキサン酸、3−ヒドロキシヘプタン酸、またはそれらの2つ以上の組み合わせに由来する繰り返し単位を含み、
前記改質剤が、ビニル芳香族コモノマーを含まず、かつ、1.5以下の屈折率を有するコア/シェルポリマーを含み、そして
前記コアがエラストマーを含み、そして前記シェルが非エラストマーポリマーを含む組成物。
【請求項2】
前記ポリ(ヒドロキシアルカン酸)が5個以下の炭素原子を有するヒドロキシアルカン酸に由来する繰り返し単位を含む請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記ポリ(ヒドロキシアルカン酸)がグリコール酸、乳酸、3−ヒドロキシプロピオン酸、2−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸。3−ヒドロキシ吉草酸、4−ヒドロキシ吉草酸、5−ヒドロキシ吉草酸、またはそれらの2つ以上の組み合わせに由来する繰り返し単位を含む請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記ポリ(ヒドロキシアルカン酸)がポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリ(ヒドロキシ−酪酸)、ポリ(ヒドロキシ−ブチレート−バレレート)コポリマー、グリコール酸と乳酸、ヒドロキシ吉草酸、5−ヒドロキシ吉草酸とのコポリマー、またはそれらの2つ以上の組み合わせを含む請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記コアが場合により架橋しているポリアクリル酸アルキルを含み、前記シェルがポリメタクリル酸メチルを含み、そしてエポキシ、カルボン酸、アミン、またはそれらの2つ以上の組み合わせを含む官能基を場合により含み、そしてポリメタクリル酸メチルが場合により架橋している請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記ポリアクリル酸アルキルがポリアクリル酸ブチルである請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
フィルムまたはシートを含み、そして請求項1〜6のいずれか一項に記載の組成物を含むかまたはそれから製造される包装材料。
【請求項8】
エチレン酢酸ビニルコポリマー、エチレン酸コポリマーまたはそれのアイオノマー、ポリ塩化ビニリデン、ポリエステル、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコールコポリマー、ポリアミド、アルミニウム、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、不織繊維材料、紙、またはそれらの2つ以上の組み合わせを含むかまたはそれらから製造された少なくとも1つの追加の層をさらに含む請求項7に記載の包装材料。
【請求項9】
造形品または成形品であり、請求項8に記載の包装材料を含むかまたはそれから製造される物品。
【請求項10】
容器、熱成形容器、または蓋材用フィルムであり、そして前記容器または熱成形容器が場合により飲料、固形食品、スパイス、香辛料、ペットフード、化粧品、パーソナルケア製品、医薬品、香料、電子部品、工業化学薬品、家庭化学薬品、農薬、医療機器もしくは装置、薬液、燃料、または生物学的物質を含む製品を含む請求項9に記載の物品。

【公表番号】特表2010−504397(P2010−504397A)
【公表日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−529232(P2009−529232)
【出願日】平成19年9月19日(2007.9.19)
【国際出願番号】PCT/US2007/020341
【国際公開番号】WO2008/036335
【国際公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】