説明

弾性ローラの脱型方法

【課題】筒状金型の中空部に金型と平行に配置したシャフトと、この中空部に材料を注入し硬化させて形成した弾性層とよりなる弾性ローラを、弾性層の厚さ小さくても、容易に金型から取り出すことのできる弾性ローラの脱型方法を提供する。
【解決手段】シャフト1の金型一方側の端を押して、シャフト1を金型他方側に第一の距離だけ変位させたあと、弾性ローラ10の金型一方側の端面と金型内周面とで画成される空間23に加圧気体を流入させ、シャフト1の金型他方側の端をクランプ9で把持して、弾性ローラ10を金型他方側に取り出す弾性ローラの脱型方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャフトの周囲に弾性層を有する弾性ローラを、金型を用いて成型する際の脱型方法に関し、特に、弾性層の寸法や材料に影響されることなく、容易に脱型することができるものに関する。
【背景技術】
【0002】
複写機やプリンタには、電荷を感光ドラムに分布させる帯電ローラ等、種々の弾性ローラが用いられているが、このような弾性ローラは一般的に、図1に長さ方向断面図で示すように、シャフト1とその周囲に配設された弾性層2とを有して構成されている。このような弾性ローラ10を製造するには、例えば、図2に断面図で示すように、筒状の金型21の中空部22にシャフト1を配置し、次いで、メカニカルフロス法によって液状の樹脂もしくはゴム材料とガスとを混ぜ合わせて気泡を分散させた液状フォームを作成し、この液状フォームを、金型中空部に、その一方の端から注入し、金型21内を液状フォームで充満させたあと、これを加熱して硬化させる方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
ここで、弾性層2に対応するキャビティ11の両端を画成するためのキャップ5が、シャフト1のそれぞれの端に取り付けられていて、それぞれのキャップ5にはキャビティ11に通じる穴5aが設けられ、これらの穴5aは、材料を注入する金型一方側のキャップ5においては材料を注入するための注入口となり、金型他方側のキャップ5では、材料注入時にキャビティ11内の空気を排出するための排気口として機能する。
【0004】
また、メカフロス法に代わってフォーム状の弾性層2を形成する方法としては、水発泡法によるものも知られており、これは、水を発泡剤として用いる低圧で弾性層2を形成するものである。
【0005】
そして、いずれの方法においても、金型21の中空部22内で成型された弾性ローラ10を金型21から取り出すには、弾性ローラ10を金型一方側から他方側に変位させるが、この変位は、弾性ローラ10が金型他方側の端から取り出されるまで、シャフト1の金型一方側の端を押すことによって行われ(例えば、特許文献1参照。)、図3は、この工程において、シャフト1の金型一方側の端に押し棒6を押し当てた状態、図4は、押し棒6でシャフト1を押す途中の状態をそれぞれ示す断面図である。
【特許文献1】特開平8−207172号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、この従来の方法では、弾性層2の強度が低い場合、あるいは、金型内面と弾性層2との離型性が悪い場合等には、弾性ローラ10を金型21から取り出すのが難しいという問題があり、それぞれ、材料の強度アップや前記離型性の改良等を行ってきているが、未だその改良は不十分であり、しかも、最近、材料費削減のため、弾性層の厚さを減少させることが要求されており、このような弾性ローラを、金型21を用いて成型しようとした場合には、硬化過程における収縮量が、厚さが減少した分だけ小さくなり、金型内周面と、出来上がった弾性層外周面とが互いに強い力で押圧し合う状態となっていて、単にシャフト1を押し棒6で押すだけでは、弾性ローラを取り出すことが難しいという問題がある。
【0007】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、筒状金型の中空部に金型と平行に配置したシャフトと、この中空部に材料を注入し硬化させて形成した弾性層とよりなる弾性ローラを、弾性層厚さが小さな弾性ローラであっても、容易に金型から取り出すことのできる弾性ローラの脱型方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
<1>は、筒状金型の中空部にこの金型と平行に配置したシャフトと、この中空部に材料を注入し硬化させて形成した弾性層とよりなる弾性ローラを、金型長さ方向に変位させて金型から取り出す弾性ローラの脱型方法において、
前記シャフトの金型一方側の端を押して、シャフトを金型他方側の端に向けて所定の距離だけ変位させたあと、金型端面のいずれか一方と金型内周面とで画成される空間に加圧気体を流入させ、加圧気体を流入させたのと反対側に位置するシャフト端を把持して引き出し弾性ローラを金型から取り出す弾性ローラの脱型方法である。
【0009】
<2>は、<1>において、前記所定の距離を第一の距離として、シャフトを金型他方側に第一の距離だけ変位させたあと、前記加圧流体を前記空間に流入させるのに先立って、前記シャフトの金型他方側の端を押して、シャフトを金型一方側に第二の距離だけ押し戻す弾性ローラの脱型方法である。
【0010】
<3>は、<1>もしくは<2>において、前記所定の距離を、10〜20mmとする弾性ローラの脱型方法である。
【0011】
<4>は、<2>もしくは<3>において、前前記第二の距離を、前記第一の距離より2〜10mmだけ大きくする弾性ローラの脱型方法である。
【0012】
<5>は、<1>〜<4>のいずれかにおいて、前記空間に流入させる加圧気体の圧力を100〜400kPaとする弾性ローラの脱型方法である。
【0013】
<6>は、<1>〜<5>のいずれかにおいて、前記弾性層がフォーム体よりなる弾性ローラを形成するの用いる弾性ローラの脱型方法である。
【0014】
<7>は、<1>〜<6>のいずれかにおいて、前記弾性層の厚さを0.5〜6mmとする弾性ローラの脱型方法である。
【発明の効果】
【0015】
<1>の発明によれば、まず、シャフトの金型一方側の端を押して、シャフトを金型他方側に所定の距離だけ変位させることにより、弾性層と金型内周面との密着を開放し、次いで、弾性ローラの軸方向一方の端面と金型内周面とで画成される空間に加圧気体を流入させるので、弾性層と金型内周面との間に、金型の一方側から他方側に向かう加圧気体の流れを形成し、この気体層を潤滑剤の層として、弾性ローラを取り出す力に対する摩擦抵抗を低減することができ、薄い弾性層の弾性ローラであっても、容易に金型から取り出すことができる。
【0016】
<2>によれば、シャフトを、金型他方側に第一の距離だけ変位させたあと、前記加圧流体を前記空間に流入させるのに先立って、前記シャフトの金型他方側の端を押して、シャフトを金型一方側に、第一の距離より大きい第二の距離だけ変位させるので、キャビティの一方側の端に隣接する金型内周面にくっついた弾性層カスを剥がすことができ、金型内周面をクリーンに保つことができる。
【0017】
<3>は、前記所定の距離(第一の距離)を、10〜20mmとするものであり、この距離が、10mm未満の場合には、金型内周面と弾性層との剥離が十分ではなく、前記加圧気体を流入させても潤滑剤として機能する、金型内周面と弾性層との間の気体層の形成が難しくなり脱型できず、一方、これが20mmを越える場合には、潤滑剤なしに金型内周面と弾性層とを摩擦させる距離が長くなり、金型内周面を傷つける虞が生じる。
【0018】
<4>は、第二の距離を第一の距離より2〜10mmだけ大きくするものであり、この差が2mm未満では、弾性層カスを除去することができず、一方、この差が10mmを越えるものとした場合には、先に説明したように、潤滑剤なしに金型内周面と弾性層とを摩擦させる距離が長くなり、金型内周面を傷つける虞が生じる。
【0019】
<5>は、前記空間に流入させる加圧気体の圧力を100〜400kPaとするものであり、この圧力が、100kPa未満の場合には、金型内周面と弾性層とを摩擦を低減させる気体層を十分に形成することができず脱型が難しくなり、一方、これが400kPaを越える場合には、加圧気体の圧力が高すぎて弾性層を破壊する虞がある。
【0020】
<6>によれば、もともと硬度が低くて金型からの取り出しが難しいフォーム体よりなる弾性層を有する弾性ローラの形成に適用するので、金型から容易に弾性ローラを取り出せることの効果はさらに大きい。
【0021】
<7>によれば、もともと金型からの取り出しが難しい、弾性層の厚さが6mm以下の弾性ローラを対象にするので、脱型を容易にする効果を一層際だたせることができ、一方、弾性層の厚さを0.5m未満とした場合には、弾性ローラ本来の機能を発揮させることが難しくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明に係る弾性ローラ10は、図1に示したものの場合には、シャフト1と、シャフト1の周りに形成された弾性層2とを具えて構成されるが、弾性層2の外側に、弾性層2よりも硬度の高い1層以上の表面層(図示せず)を設けて弾性ローラを構成してもよい。このような弾性ローラ10は、図2で示したように、筒状の金型21の中空部22にシャフト1を金型21と平行に配置して、中空部22にフォーム材料を注入し硬化させて形成される。フォーム材料を形成するのには、メカニカルフロス法のほか、水発泡法を用いることもできる。
【0023】
弾性層2をポリウレタンフォームにより形成する場合のポリウレタン材料としては、樹脂中にウレタン結合を含むものであれば、特に制限はない。ポリオール成分としては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、THF−アルキレンオキサイド共重合体ポリオール、ポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリオレフィンポリオール、エチレン−酢酸ビニル共重合体の部分鹸化物、フォスフェート系ポリオール、ハロゲン含有ポリオール等を好適に用いることができる。
【0024】
また、イソシアネート成分についても特に制限はなく、汎用であるTDI、MDI、粗製−MDI(ポリメリックMDI)、および変性MDIだけでなく、特殊なイソシアネートを用いても差し支えない。特殊なイソシアネートとしては、例えば、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、トランスシクロヘキサン1,4ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、水添−XDI、水添−MDI、リジンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニール)チオフェスフェート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、リジンエステルトリイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、1,8−ジイソシアネート−4−イソシアネートメチルオクタン、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、ビシクロへプタントリイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられ、これらも好適に用いることができる。
【0025】
ポリウレタン材料中には、これらポリウレタン原料に加え、所望に応じて架橋剤、発泡剤(水、低沸点物、ガス体等)、界面活性剤、触媒、整泡剤等を添加することができ、これにより所望に応じた層構造とすることができる。
【0026】
発泡法による場合、発泡剤としては、製造プロセス上の使いやすさ、気化や発泡のしやすさ等を考慮して、一般に沸点が20〜60℃の範囲にある物理的発泡剤が好ましく用いられる。このような発泡剤をポリウレタンフォーム層2の原料として用いる場合には、発泡剤単独では粘度が低く、発泡機において安定した流量を得にくいため、ポリオール等の粘度の高い原料成分とあらかじめ混合して用いることが有利である。このような発泡剤としては、具体的には、例えば、n−ペンタン、イソペンタン、シクロペンタン、メチレンクロリド、フロン134a(1,1,1,2−テトラフルオロエタン)、フロン245fa(1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン)、フロン365mfc(1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン)、フロン356、フロン141b(1,1−ジクロロ−1−フルオロエタン)、フロン142b(1−クロロ−1,1−ジフルオロエタン)、フロン22(クロロジフルオロメタン)等を挙げることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0027】
また、触媒としては、例えば、有機金属触媒のジブチルチンジラウレート、ジブチルチンジアセテート、スタナスオクトエート、ジブチルチンマーカプチド、ジブチルチンチオカルボキシレート、ジブチルチンジマレニート、ジオクチルチンマーカプチド、ジオクチルチンチオカルボキシレート、フェニル水銀、プロピオン酸銀、オクテン酸錫、アミン触媒のトリエチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、トリエチレンジアミン、N−メチルモルホリン、ジメチルアミノエタノール、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセン−7等が好ましく用いられる。これらの触媒は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0028】
整泡剤としては、例えば、ポリエーテルシリコーンオイル、ノニオン性界面活性剤、イオン性界面活性剤等が挙げられ、これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0029】
弾性層2の外側に表面層を設ける場合には、シャフト1の周りに弾性層2が形成されたものを金型から取り出したあと、表面層となる材料を、弾性層の外表面に塗装すればよく、塗装方法としては、ディップ塗装、スプレー塗装、あるいは、ロールコータ塗装によることができる。
【0030】
図5〜図8は、金型21から弾性ローラ10を取り出す方法を説明するための金型の断面図であり、弾性ローラ10を構成するシャフト1の両端にはそれぞれ、キャビティ11の長さ方向領域を特定するためのキャップ5が取り付けられており、金型21内で弾性層2の硬化が完了したあと、弾性ローラ10を金型21から取り出すには、図5に示ように、まず、キャップ5を介して、押し棒6でシャフト1の金型一方側の端を押し、シャフト1を第一の距離d1だけ金型他方側に変位させる。この工程は、金型内周面と、形成されたばかりの弾性層2との密着を開放するものであり、シャフト1を変位させる際の前記第一の距離d1としては、先に説明した理由により、10〜20mmとするのが好ましい。
【0031】
次いで、図6に示すように、キャップ5を介して、押し棒7でシャフト1の金型他方側の端を押し、シャフト1を金型一方側に第二の距離d2だけ変位させる。このシャフト1の金型一方側への変位は、金型内周面上のキャップ5と弾性層2との境界に多く残留する、例えばポリウレタンよりなる弾性層カスを金型内周面から剥がすために行うものであり、このことによって、弾性層カスを容易に除去することができる。
【0032】
シャフト1を変位させる際の前記第二の距離d2としては、先に説明した理由により第一の距離d1より2〜10mmだけ大きくするのが好ましい。
【0033】
次いて、押し棒6、7を待避させ、シャフト1の金型一方側の端をクランプ9で把持するとともに、金型21の他方側の端にエア供給アダプタ8を配置する。エア供給アダプタ8は、金型21の端面をシール部8bでシールすることにより、金型21の内周面と弾性ローラ10の金型一方側の端面(もしくは、図示のように、キャップ5がある場合にはキャップ5)と、エア供給アダプタ8とで囲繞される閉空間23を画成する。そして、エア供給アダプタ8には、閉空間23に加圧空気を送るための穴8aが設けられていて、エア供給アダプタ8に圧力気体を流入させることにより閉空間23が加圧されるよう構成されている。
【0034】
なお、エア供給アダプタ8と、クランプ9とは、相互に金型長さ方向の反対側の端に配置しさえすれば、これらのいずれを一方側に配置しても支障はない。
【0035】
閉空間23に加圧空気を供給すると、加圧空気は、弾性ローラ10を金型他方側に向けて押し出す力を作用させ、同時に、弾性層2と金型内周面との間の隙間を通過して金型他方側に流出する流れを生じ、この流れは、弾性層2と金型内周面とを相対変位させる際の潤滑剤として機能する。
【0036】
このとき、クランプ9でシャフト1の金型他方側の端を把持して、弾性ローラ10を金型他方側へ引き出すことにより弾性ローラ10を金型21から取り出すが、クランプ9が弾性ローラ10を引き出す際の引き出し力は、第一に、弾性層2と金型内周面との間には気体の流動層が存在しそこでの摩擦力は極めて小さいこと、第二に、閉空間23の加圧空気の圧力によって弾性ローラ10を金型他方側に変位させる押出力が作用していることにより、極めて小さな力ですませることができ、容易に弾性ローラ10を金型21から取り出すことができる。
【実施例】
【0037】
実際に、2種類のローラA、ローラBについて、押し棒6でシャフト1の金型一方側の端を単に押すことにより弾性ローラ10を金型21から取り出す方法を従来例とし、上記に説明したように、押し棒6,7を用いて、弾性ローラ10を左右にそれぞれ第一および第二の距離だけ往復変位させたあと、エア供給アダプタ8を用いて弾性ローラの金型一方側の端に加圧空気を供給して、弾性ローラ10を金型21から取り出す、本発明に係る方法を実施例として、成型された弾性ローラ10を、それぞれの例による方法で金型から取り出すべく操作を行い、取り出しの成否を調査した。取り出し操作を行った本数は、各ローラ、各例についてそれぞれ50本ずつとした。取り出し成否の結果は、表1に示す。
【0038】
ローラA、ローラBの諸元は表2に示す通りである。なお、実施例において、押し棒により変位させる第一の距離d1を15mm、第二の距離d2を20mmとし、また、空気供給アダプタ8から供給する空気の圧力は400kpとした。
【0039】
【表1】

【0040】
【表2】

【0041】
表2の材料M1、および、材料M2は、以下に従って形成した。
<材料M1>
トリレンジイソシアネート(TDI)とポリエーテルポリオールとから合成したウレタ
ンプレポリマー100質量部と、アセチレンブラック2質量部とを混合して、アセチレンブラックが分散したウレタンプレポリマーを調製し、これをA成分とし、一方、ポリエーテ
ルポリオール30質量部と、過塩素酸ナトリウム(NaClO4)0.1質量部とを70℃に加熱しながら混合し、更にポリエーテル変性シリコーンオイル(整泡剤)4.5質量部と、ジブチルスズジラウレート(触媒)0.2質量部とを混合して混合物を調製し、これをB成分とし、これらのA成分とB成分とをメカニカルフロス法により発泡させて形成した。
<材料M2>
ポリエーテルポリオールとして、官能基数が3、重量平均分子量が約5,000、エチレンオキサイドの割合が約13質量%、かつ末端水酸基が1級水酸基である割合が約80%である、プロピレンオキサイド・エチレンオキサイド付加重合ポリエーテルポリオール(FA703、三共化成(株)製)を用い、イソシアネートとして、トリレンジイソシアネート(TDI−80)と粗製ジフェニルメタンジイソシアネート(粗MDI)とを用い、100質量部のFA703に対して、TDI−80を80質量部、粗MDIを20質量部の割合で混合攪拌して形成した(水発泡法)。なお、架橋剤としてジエタノールアミンも混合した。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、メカニカルフロス法や水発泡法によって形成される種々の弾性ローラに用いることができ、弾性ローラとしては、感光ドラムを帯電させる帯電ローラ、感光ドラムに形成された潜像に応じて非性磁性トナーを移送する現像ローラ、トナーを現像ローラに供給するトナー供給ローラ、感光ドラム上のトナーを印刷紙に転写する転写ローラなどを例示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明に係る弾性ローラを示す断面図である。
【図2】弾性ローラの成型方法を説明するための金型の断面図である。
【図3】従来の脱型方法を説明するための金型の断面図である。
【図4】図3に続く工程を示す金型の断面図である。
【図5】本発明の実施形態の脱型方法を説明するための金型の断面図である。
【図6】図5に続く工程を示す金型の断面図である。
【図7】図6に続く工程を示す金型の断面図である。
【図8】図7に続く工程を示す金型の断面図である。
【符号の説明】
【0044】
1 シャフト
2 弾性層
5 キャップ
5a キャップの穴
6、7 押し棒
8 エア供給アダプタ
8a エア供給アダプタの穴
8a エア供給アダプタのシール部
9 クランプ
10 弾性ローラ
11 キャビティ
21 金型
22 金型中空部
23 閉空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状金型の中空部にこの金型と平行に配置したシャフトと、この中空部に材料を注入し硬化させて形成した弾性層とよりなる弾性ローラを、金型長さ方向に変位させて金型から取り出す弾性ローラの脱型方法において、
前記シャフトの金型一方側の端を押して、シャフトを金型他方側の端に向けて所定の距離だけ変位させたあと、金型端面のいずれか一方と金型内周面とで画成される空間に加圧気体を流入させ、加圧気体を流入させたのと反対側に位置するシャフト端を把持して引き出し弾性ローラを金型から取り出す弾性ローラの脱型方法。
【請求項2】
前記所定の距離を第一の距離として、シャフトを金型他方側に第一の距離だけ変位させたあと、前記加圧流体を前記空間に流入させるのに先立って、前記シャフトの金型他方側の端を押して、シャフトを金型一方側に第二の距離だけ押し戻す請求項1に記載の弾性ローラの脱型方法。
【請求項3】
前記所定の距離を、10〜20mmとする請求項1もしくは2に記載の弾性ローラの脱型方法。
【請求項4】
前記第二の距離を、前記第一の距離より2〜10mmだけ大きくする請求項2もしくは3に記載の弾性ローラの脱型方法。
【請求項5】
前記空間に流入させる加圧気体の圧力を100〜400kPaとする請求項1〜4のいずれかに記載の弾性ローラの脱型方法。
【請求項6】
前記弾性層がフォーム体よりなる弾性ローラを形成するの用いる請求項1〜5にいずれかに記載の弾性ローラの脱型方法。
【請求項7】
前記弾性層の厚さを0.5〜6mmとする請求項1〜6のいずれかに記載の弾性ローラの脱型方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2007−130843(P2007−130843A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−325125(P2005−325125)
【出願日】平成17年11月9日(2005.11.9)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】