説明

弾性多層織物用の伸張性不織表材料層

1またはそれ以上の表材料層および該表材料層と隣接した、またはこれらの間に挟み込まれた、1またはそれ以上の弾性層を含む多層織物および該多層織物の製法を開示するものであり、該1またはそれ以上の表材料層は、ポリプロピレンおよび80dg/分未満のMFRを有するプロピレン-α-オレフィンエラストマーを含み、ここで該表材料層は延伸性かつ非-弾性であり、しかも60g未満のハンドル-O-メーター値および1,000MPa未満の1%割線曲げ弾性率を有する。幾つかの態様においては、ポリプロピレンは、該表材料層には存在しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願との相互引照〕
本件特許出願は、2008年11月14日付で出願された、U.S.S.N. 12/271,526に基く優先権を主張するものであり、また2008年9月30日付で出願された、U.S.S.N. 61/101,341、および2009年3月4日付で出願された、U.S.S.N. 61/157,524、および2009年2月27日付で出願された、U.S.S.N. 61/156,078、および2009年4月21日付で出願された、U.S.S.N. 61/171,135に基く優先権を主張し、またその利益を得ることを請求するものである。これら特許出願の内容全てを、参考としてここに組入れる。本件特許出願は、同時に2009年9月24日付で出願された、国際特許出願第___号(代理人事件番号[2008EM066A-PCT]を持つ)、国際特許出願第___号(代理人事件番号[2008EM066B-PCT]を持つ)、および国際特許出願第___号(代理人事件番号[2008EM066C-PCT]を持つ)に関連するものである。これら国際特許出願の内容全てを、参考としてここに組入れる。
【0002】
本発明は、弾性多層不織布用の延伸性不織表材料層に係り、またより詳しくはプロピレンを主成分とするプラスチックおよびエラストマーを含む、延伸性表材料層に係り、ここで該エラストマーは、オムツおよび個人的衛生手当て用品等の弾性物品に適した諸特性を有する。
【背景技術】
【0003】
エラストマーは、オムツのウエストバンドから、成人の失禁用品、身体衛生用品および他の用途に及ぶ様々な用途において、弾性不織布またはフィルムとして有用である。これらの弾性クロージャーの殆どは、特性上可塑性であり、また手触り、感触等の感性上の属性をもたらす不織支持体を含有する、表材料層で構成されている。このようなものの例は、US 2008/0045917に記載されているものおよびこれと同等なものを包含する。該プラスチック表材料層は、本来弾性を有するものであり、また該クロージャー用途において皮膚との接触が望ましくないゴム様の感触を有する、該弾性(コア)層を挟み込んでいる。外側表材料層および内側弾性層を含む、複合不織布またはフィルム積層体は、機械的な活性化段階に付され、この段階は、該表材料層によって課せられる塑性拘束を排除するように機能する。この機械的な活性化段階中、該織物は、極めて高い歪速度にて延伸に掛けられ、また該表材料層が延性でない場合には、該工程中に、該織物は裂けてしまうか、あるいは機械的な損傷を被るであろう。従って、該表材料層が、この活性化段階において生き延びるべく、延伸性であることが重要である。
【0004】
スパンボンドポリプロピレン不織布は、望ましい感性上の諸特性を有しているが、延伸性ではなく、また表材料層として使用する場合に、高速伸張工程において効果的に活性化されるものとは思えない。US 5,804,286の開示は、76質量%のアイソタクチックポリプロピレン、20質量%のプロピレンコポリマーおよび4質量%のポリエチレンを含む、高度に延伸性のスパンボンド不織布を説明している。上記組成を有するスパンボンド織物は、摩耗抵抗性であり、また190%という交叉方向(CD)の伸びを有する。上記の高い延伸性の故に、このような不織布は、表材料層として効果的に使用できる。しかし、機械的な活性化に耐える、また高い混和性を有する、余り複雑でない組成物が好ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
我々は、上記問題およびその他の問題を、ポリプロピレンおよび低エチレン含有率のプロピレンを主成分とするエラストマーを含有する不織表材料層を提供することによって解決することを目的とするものであり、ここで、該エラストマーのエチレン含有率は、該ポリプロピレンホモポリマーまたはコポリマーとの混和性をもたらす。これらの処方物は高い伸び率および延伸性を有する。
【0006】
その他の関連する公知文献は、US 5,272,003、US 5,366,782、US 6,075,179、US 6,342,565、US 7,026,404、US 2008/0199673、US 2008/0182116、US 2008/0182940、US 2008/0182468、US 2006/0172647、US 2005/0130544、US 2005/0106978およびWO 2008/094337を含む。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様においては、1またはそれ以上の表材料層、および、該表材料層と隣接するもしくはその間に挟み込まれている1またはそれ以上の弾性層を含む多層織物が開示され、ここで該1またはそれ以上の表材料層は、ポリプロピレン;および80dg/分未満のMFRを有するプロピレン-α-オレフィンエラストマーを含むか、これらから本質的になり;該表材料層は、延伸性で、しかも非-弾性であり、また60g未満のハンドル-O-メーター(Handle-O-Meter)値および1,000MPa未満の、あるいは500または600または700〜1,000MPaなる範囲内の1%割線曲げ弾性率を有する。
【0008】
もう一つの態様においては、1またはそれ以上の表材料層、および、該表材料層と隣接しもしくはこれらの間に挟まれた1またはそれ以上の弾性層を含む多層織物が開示され、該1またはそれ以上の表材料層は、ポリプロピレン;および該表材料層の質量基準で0.1〜30質量%なる範囲の、プロピレン-α-オレフィンエラストマーを含むか、もしくはこれらから本質的になり、該エラストマーは、80dg/分未満のMFR、75%またはそれ以上のトリアド(triad)タクチシティ、および該プロピレン-α-オレフィンエラストマーの質量基準で5〜18質量%なる範囲のコモノマー-由来の単位の含有率を有する。幾つかの態様において、該1またはそれ以上の表材料層は、カーディング処理された織物またはスパンボンド織物である。
【0009】
該多層織物の幾つかの態様において、該多層織物は、SepSelMelMelSep、SepSelMelSelSep、SepSelMelSelCep、CepSelMelSelCep、SepSelMepSelSep、SepSelMepSelCep、CepSelMepSelCep、CepSelMelMelSelCep、CepCelMelCelCep、およびCepSelMelCelCep、からなる群から選択される層構造を有する。ここで、「C」は、カーディング処理された織物層であり、「S」は、スパンボンド織物層であり、また「M」は、メルトブローン織物層であり、また「el」は弾性材料から作られた織物であり、更に「ep」は、可塑性および弾性材料から作られた、延伸性で、しかも非-弾性の織物である。他の態様において、例えばCepCepSelMelCelCepCepで表されるような、該弾性層の何れかの側に2,3またはそれ以上の延伸性かつ非-弾性織物層が存在し得る。
【0010】
本明細書に記載される、様々な説明上の要素および数値範囲は、該表材料層および多層織物の好ましい態様を説明するために、他の説明上の要素および数値範囲と組合せることができ、更にある要素の任意の数値的上限は、好ましい態様を説明するために、同一の要素の任意の数値的下限と組合せることができる。この点に関連して、「X〜Yなる範囲内」なる成句は、該範囲内に該数値「X」および「Y」を含むことを意図する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
ここでは、柔軟かつ延伸性で、表材料層(ヒトの皮膚と接触することになり、またそのような位置に配置される)として使用できる不織布が開示され、これは衛生用品、吸収材またはその他の物品の弾性成分として使用し得る、多層不織布等の弾性構造に対して使用される。該表材料層は、延伸性で、しかも非-弾性であり、更には通気性であることが望ましく、またプラスチック、好ましくはポリプロピレン、およびプロピレン-α-オレフィンエラストマー等のプラスチックの組成物を含む。該表材料層は、美的な外観を有するばかりでなく、望ましい低いハンドル-O-メーター値によって立証されるように、柔軟でもある。幾つかの態様において、35g/m2の表材料層は、60または50g未満のハンドル-O-メーター値を有する。該表材料層を構成する該組成物は、一態様において、1,000MPa未満の、あるいは500または600または700〜1,000MPaなる範囲内の(1%割線)曲げ弾性率を有する。該表材料層用組成物は、もう一つの態様において、24MPaを超える降伏点引張強さを有する。これら諸特性の組合せは、本明細書に記載される該表材料層に、望ましい感触と延伸性とを与える。
【0012】
ここで使用する用語「不織布」(またはここで使用するような「織物」)とは、先ず糸を製造することなしに、指向的にまたはランダムに配向した繊維の生地構造(例えば、シート、ウエブまたはバット)である。ここに記載する織物は、機械的、化学的または熱的な絡み合わせ工程により強化された繊維または連続フィラメント糸の網状構造を含む。「多層織物」とは、少なくとも2つの織物層を含み、またここで使用する「層」とは、織物を意味する。「繊維」なる用語は、その長さが、その径または幅よりも著しく大きな材料であり、その平均径は、0.01〜200μmなる範囲内にあり、また該材料は、天然および/または合成材料を含む。繊維は、単-成分または2-成分(被覆層と1またはそれ以上の異なる内側層とを有する)であり得、特別な一態様では、該繊維は、単-成分の繊維である。
【0013】
ここで使用する用語「結合(bound)」(または「結合(bond)」または「接着(adhered)」とは、2またはそれ以上の織物、または複数の繊維が、i) 溶融または非-溶融物質の、化学的な相互作用により接着する能力の、固有の傾向および/またはii) 該溶融または非-溶融繊維および/または織物の、他の物質を含む繊維と絡み合って、これら繊維間または織物間に結合を生じる能力によって、相互に固定されることを意味する。接着剤を使用して、織物層の結合を容易にすることも可能であるが、特定の一態様においては、本明細書に記載される該織物層には、接着剤は存在せず(織物の繊維を結合するために、接着剤は使用されておらず)、またもう一つの態様においては、ここに記載される該多層織物には接着剤は存在しない(隣接する織物層を結合するために、接着剤は使用されていない)。接着剤の例は、低平均分子量(<80,000g/モル)のポリオレフィン、ポリ酢酸ビニルポリアミド、炭化水素樹脂、天然アスファルト、スチレン系ゴム、およびこれらのブレンドを含む接着剤を包含する。
【0014】
一態様においては、1またはそれ以上の表材料層、および、これと隣接しあるいはこれらの間に挟み込まれた1またはそれ以上の弾性層を含む多層織物が開示され、ここで該1またはそれ以上の表材料層は、ポリプロピレンを含み、該表材料層の質量基準で、0.1または5〜25または30質量%なる範囲内のプロピレン-α-オレフィンエラストマーは、80dg/分未満のMFR、75%またはそれ以上のトリアドタクチシティ、および該プロピレン-α-オレフィンエラストマーの質量基準で5〜18質量%なる範囲のコモノマー-由来の単位の含有率を有する。該プロピレン-α-オレフィンエラストマーは、本明細書において更に略述されるような、あらゆる方法で説明することができる。一態様において、該多層織物は、1またはそれ以上の表材料層、および、これらの間に挟み込まれた、1またはそれ以上の弾性層から本質的になる。もう一つの態様において、該表材料層は、上記ポリプロピレンおよび上記プロピレン-α-オレフィンエラストマーから本質的になる。「から本質的になる」なる表現により意味するところは、該多層織物の質量基準で、3または4質量%までの添加剤が存在し得ることである。幾つかの態様において、該表材料層用組成物は、10または15〜24または30または40dg/分なる範囲内のMFRを有し、また他の態様においては、40または50または60または80dg/分未満のMFRを有する。
【0015】
ここで使用する用語「添加剤」とは、例えば安定化剤、界面活性剤、酸化防止剤、抗-オゾン剤(例えば、チオウレア)、フィラー、移行(防止)薬剤、着色剤、造核剤、粘着防止剤、UV-遮断/吸収剤、炭化水素樹脂(例えば、オペラ(OpperaTM)樹脂)、オイル(例えば、パラフィン系、鉱物系、芳香族系、合成系オイル)、スリップ剤、およびこれらの組合せを包含する。一次および二次酸化防止剤は、例えばヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、およびホスフェートを含む。スリップ剤は、例えばオレアミドおよびエルカミドを含む。フィラーの例は、カーボンブラック、クレー、タルク、炭酸カルシウム、マイカ、シリカ、シリケート、およびこれらの組合せを含む。他の添加剤は、分散剤および触媒失活剤、例えばステアリン酸カルシウム、ヒドロタルサイト、および酸化カルシウム、および/または当分野において公知の他の酸中和剤を含む。
【0016】
本発明において使用する、「弾性」であると称される材料および/または織物は、伸張可能であり、またASTM D412により測定された、5.5MPaを超える極限引張強さ、少なくとも200%なる極限伸びおよび20%未満の100%変形時の残留伸びを有するように回復し得るものである。織物等の材料は、バイアスを掛けた力を適用した際に、該材料が、破断または破壊されることなしに、その弛緩状態にある元の長さの少なくとも110%なる伸張長さまで伸長し得るが、該バイアスを掛けた力の適用を解除した際に、該材料が、その伸びの40%未満なる回復率を示す場合には、「延伸性」である。延伸性織物は、延伸性の材料(例えば、ポリウレタン、スチレン系ブロックコポリマー、エチレン-酢酸ビニル、ある種のポリプロピレンコポリマー、ポリエチレン、およびこれらのブレンド)から製造され、または織物(例えば、天然または合成)を機械的に捻り、または捩じることにより製造される。幾つかの態様において、本明細書に記載する該表材料層は、延伸性であり、また特定の態様においては、延伸性で、しかも非-弾性である。
【0017】
該1またはそれ以上の弾性層は、弾性である任意の材料を含む(あるいはこれから本質的になる)ことができ、その例は、プロピレン-α-オレフィンエラストマー、天然ゴム(NR)、合成イソプレン(IR)、ブチルゴム(イソブチレンとイソプレンとのコポリマー、IIR)、ハロゲン化ブチルゴム(クロロ-ブチルゴム:CIIR;ブロモ-ブチルゴム:BIIR)、ポリブタジエン(BR)、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、ニトリルゴム、水添ニトリルゴム、クロロプレンゴム(CR)、ポリクロロプレン、ネオプレン、EPM(エチレン-プロピレンゴム)およびEPDMゴム(エチレン-プロピレン-ジエンゴム)、エピクロロヒドリンゴム(ECO)、ポリアクリル系ゴム(ACM、ABR)、シリコーンゴム、フルオロシリコーンゴム、フルオロエラストマー、パーフルオロエラストマー、ポリエーテルブロックアミド(PEBA)、クロロスルホネート化ポリエチレン(CSM)、エチレン-酢酸ビニル(EVA)、熱可塑性エラストマー(TPE)、熱可塑性加硫ゴム(TPV)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、熱可塑性オレフィン(TPO)、ポリサルファイドゴム、またはこれらエラストマーの任意の2またはそれ以上のブレンドを包含する。幾つかの態様において、該1またはそれ以上の弾性層は、プロピレン-α-オレフィンエラストマー、スチレン-ブタジエンゴム、またはこれらのブレンドを含む。更に別の態様において、該1またはそれ以上の弾性層は、プロピレン-α-オレフィンエラストマーから本質的になる。特定の一態様において、スチレンを主成分とするエラストマー(少なくとも10%のスチレンまたは置換スチレン-由来の単位を含むポリマー)は、該多層織物から排除される。
【0018】
本明細書で使用する用語「フィルム」とは、その幅および長さと比較して厚みが極めて薄く、またその厚みおよび長さ全体に渡り、連続またはほぼ連続の非-多孔性の形態を有し、結果として拡散-限界速度またはそれ以下にて空気の通過を可能とする、プラスチックおよび/または弾性材料の平坦な支持されていない区画として定義される。本明細書に記載される、該表材料層は、1またはそれ以上のフィルム層を含むことができ、また該織物に対してここに記載されたような任意の材料を含むことができる。幾つかの態様において、フィルムは、ここに記載される該多層織物には存在しない。
【0019】
本明細書で使用する用語「ポリプロピレン」とは、プロピレンホモポリマー、またはプロピレンのコポリマー、またはプロピレンホモポリマーおよびコポリマーの幾つかの混合物を意味する。幾つかの態様において、本明細書に記載する該ポリプロピレンは、主として結晶性であり、従って該ポリプロピレンは、110℃または115℃または130℃を超える融点(Tm)を有することができる。本明細書で使用する用語「結晶性」は、高度の分子間または分子内秩序を持つ、これらのポリマーを特徴付ける。幾つかの態様において、該ポリプロピレンは、DSC分析により決定された如き、60J/gまたは70J/gまたは80J/gを超える融解熱(Hf)を有する。この融解熱は、該ポリプロピレンの組成に依存し、ポリプロピレンの最大の秩序に対する熱エネルギーは、189J/gであると評価され、即ち100%の結晶性が、189J/gなる融解熱に等しい。ポリプロピレンホモポリマーは、コポリマーまたはホモポリマーとコポリマーとのブレンドよりも高い融解熱を有するであろう。
【0020】
幾つかの態様において、該ポリプロピレンはアイソタクチック構造を有するものである。該ポリプロピレンにおけるプロピレン配列のアイソタクチック構造は、所望の触媒組成を選択しつつ重合することにより達成できる。13C NMRによって測定され、またメソジアド(meso diad)含有率として表される、該ポリプロピレンの該アイソタクチック構造は、幾つかの態様においては、13C NMRによってUS 4,950,720におけるようにして測定した値として、90%を超える(メソジアド[m]>0.90)または95%を超えるまたは97%を超えるまたは98%を超える。別の方法で表した場合、13C NMRによって測定され、またペンタッド(pentad)含有率として表される、該ポリプロピレンの該アイソタクチック構造は、幾つかの態様においては、93%を超え、または95%を超えまたは97%を超える。
【0021】
該ポリプロピレンは、その組成において広範囲に変えることができる。例えば、10%以下の他のモノマーを含む、即ち少なくとも90質量%のプロピレンを含む、実質的にアイソタクチックのポリプロピレンホモポリマーまたはプロピレンコポリマーを使用することができる。更に、該ポリプロピレンは、グラフトまたはブロックコポリマーとして存在することができ、ここで該ポリプロピレンのブロックは、該グラフトまたはブロックコポリマーが、立体規則的プロピレン配列の特徴としての、110℃以上のまたは115℃以上のまたは130℃以上のはっきりした融点を有する限りにおいて、上記プロピレン-α-オレフィンコポリマーと、実質的に同様な立体規則性を持つ。該ポリプロピレンは、本明細書に記載するような、ホモポリプロピレン、および/またはランダム、および/またはブロックコポリマーの組合せであり得る。該ポリプロピレンが、ランダムコポリマーである場合、該α-オレフィン由来の単位の該コポリマーにおける割合は、一般に該ポリプロピレンの5質量%まで、別の態様においては0.5%〜5質量%なる範囲内、および更に別の態様においては、1%〜4質量%なる範囲内である。好ましいコモノマーは、エチレンまたは4〜12個の炭素原子を持つα-オレフィン由来のものである。1、2またはそれ以上のコモノマーをプロピレンと共重合することができる。α-オレフィンの例は、エチレン、1-ブテン、1-ペンテン-2-メチル-1-ペンテン-3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン-3-メチル-1-ペンテン-4-メチル-1-ペンテン-3,3-ジメチル-1-ブテン、1-ヘプテン、1-ヘキセン、1-メチル-1-ヘキセン、ジメチル-1-ペンテン、トリメチル-1-ブテン、エチル-1-ペンテン、1-オクテン、メチル-1-ペンテン、ジメチル-1-ヘキセン、トリメチル-1-ペンテン、エチル-1-ヘキセン、1-メチルエチル-1-ペンテン、1-ジエチル-1-ブテン、プロピル-1-ペンテン、1-デセン、メチル-1-ノネン、1-ノネン、ジメチル-1-オクテン、トリメチル-1-ヘプテン、エチル-1-オクテン、メチルエチル-1-ブテン、ジエチル-1-ヘキセン、1-ドデセン、および1-ヘキサドデセンからなる群から選択される。
【0022】
該ポリプロピレンの重量平均分子量(Mw)は、50,000〜3,000,000g/モルなる範囲、あるいは別の態様では、90,000〜500,000なる範囲内にあり、ここで分子量分布(MWD、Mw/Mn)は、幾つかの態様においては、1.5〜2.5または3.0または4.0または5.0または20.0なる範囲にある。該ポリプロピレンは、幾つかの態様においては、10または15または18〜30または35または40または50dg/モルなる範囲のMFR(2.16kg/230℃)を有する。
【0023】
本明細書に記載する該ポリプロピレンを製造する方法には、特別な制限はない。しかし、例えば該ポリマーは、一段または多段反応機内で、プロピレンをホモ重合することによって得られるプロピレンホモポリマーである。コポリマーは、プロピレンおよびエチレンまたは4〜20個の炭素原子を持つα-オレフィンを、一段または多段反応機内で共重合することによって得ることができる。重合法は、高圧、スラリー、気相、塊状、または液相重合、またはこれらの組合せを含むが、これらに限定されない。該重合においては、任意の適当な触媒、例えば伝統的なチーグラー-ナッタ触媒、または単一サイトメタロセン触媒系、またはバイメタル(即ち、チーグラー-ナッタおよびメタロセン)担持触媒系を含む、これらの組合せを使用する。
【0024】
市販のポリプロピレンの例は、アチーブ(AchieveTM)ポリマー群(エクソンモービルケミカル社(ExxonMobil Chemical Company), TX州、ベイタウン(Baytown))を含む。該アチーブポリマーは、メタロセン触媒系に基いて製造される。幾つかの態様において、該メタロセン触媒系は、狭い分子量分布を持つポリマーを生成する。そのMWDは、典型的に1.5〜2.5なる範囲内にある。しかし、より広いMWDを有するポリマーを、多段反応器を用いる方法で製造することができる。様々なMWを有するポリマーを、各反応器で製造して、該MWDを広くすることができる。アチーブポリマー。例えばアチーブ(Achieve) 3854は、24dg/モルなるMFRを有するホモポリマーであって、これはここに記載するブレンド成分として使用することができる。あるいはまた、アチーブポリマー、例えば1500dg/モルなるMFRを有するホモポリマーであるアチーブ(Achieve) 6936G1は、ここに記載するブレンド成分として使用することができる。他のポリプロピレンランダムコポリマーおよび耐衝撃性コポリマーを使用することもできる。ポリプロピレンのMFRの選択は、該ブレンド、特に上記表材料層用組成物の最終的なMFRを調節する手段として使用できる。ここに記載する任意の該ポリプロピレンは、当分野において公知の如く、調節されたレオロジーによって変性して、紡糸性能を改善することができる。
【0025】
上記繊維および織物の該「ポリプロピレン」成分は、しばしば単一のポリマーとして論じられるが、この用語によって、同様にここに記載する範囲内の諸特性を有する2またはそれ以上の異なるポリプロピレンのブレンドをも意図するものである。幾つかの態様において、該ポリプロピレンは、該表材料層/組成物の質量基準で、75または70〜80または90または95または99または99.9質量%なる範囲内で、該織物層(または織物層用組成物)中に存在し得る。
【0026】
ここで使用する用語「プロピレン-α-オレフィンエラストマー」とは、エラストマーであり、中程度の結晶性を有しまたプロピレン-由来の単位および1またはそれ以上のエチレン、高級α-オレフィンおよび/または場合によりジエン-由来の単位を持つ、ランダムコポリマーを意味する。該コポリマーの全体としてのコモノマー含有率は、一態様においては、5〜35質量%なる範囲にある。2以上のコモノマーが存在する幾つかの態様において、特定のコモノマーの量は、5質量%未満であるが、併合したコモノマー含有率は、5質量%を超える。該プロピレン-α-オレフィンエラストマーは、任意数の異なるパラメータによって記載することができ、またこれらのパラメータは、ここに記載するように任意の望ましい上限および任意の望ましい下限で形成される数値範囲を含むことができる。
【0027】
幾つかの態様において、該プロピレン-α-オレフィンエラストマーは、該エラストマーの質量基準で、5または7または9〜13または16または18質量%なる範囲内の、エチレンまたはC4-C10α-オレフィン-由来の単位(または「コモノマー-由来の単位」)を含む。該プロピレン-α-オレフィンエラストマーは、また2の異なるコモノマー-由来の単位をも含むことができる。また、これらコポリマーおよびターポリマーは、以下に記載するようにジエン-由来の単位を含むことができる。特定の一態様において、該プロピレン-α-オレフィンエラストマーは、プロピレン-由来の単位およびエチレン、1-ヘキセンおよび1-オクテンから選択されるコモノマー単位を含む。また、より特別な態様において、該コモノマーはエチレンであり、従って該プロピレン-α-オレフィンエラストマーは、プロピレン-エチレンコポリマーである。ジエンが存在する場合、該プロピレン-α-オレフィンエラストマーは、該エラストマーの質量基準で、5または3質量%未満のジエン-由来の単位を、または他の態様では、0.1または0.5または1〜5質量%なる範囲のジエン-由来の単位を含む。適当なジエンは、例えば1,4-ヘキサジエン、1,6-オクタジエン、5-メチル-1,4-ヘキサジエン、3,7-ジメチル-1,6-オクタジエン、ジシクロペンタジエン(DCPD)、エチリデンノルボルネン(ENB)、ノルボルナジエン、5-ビニル-2-ノルボルネン(VNB)、およびこれらの組合せを含む。
【0028】
幾つかの態様において、該プロピレン-α-オレフィンエラストマーは、13C NMRによって測定された、75%以上、80%以上、82%以上、85%以上または90%以上なる、3個のプロピレン単位のトリアドタクチシティを持つ。一態様において、該トリアドタクチシティは、50〜99%なる範囲、および他の態様においては、60〜99%なる範囲、および更に別の態様においては、75〜99%なる範囲、および更なる態様においては、80〜99%なる範囲、および別の態様においては、60〜97%なる範囲内にある。トリアドタクチシティは、以下のようにして測定される:ここでは「m/r」として表される、タクチシティインデックスは、13C核磁気共鳴(NMR)によって測定される。該タクチシティインデックスm/rは、17MACROMOLECULES, 1950 (1984)において、H. N. Chengによって規定されたように計算される。「m」または「r」なる名称は、プロピレン基の隣接する対の立体化学を説明するものであり、「m」はメソを表し、また「r」はラセミ体を表す。1.0なる比m/rは、一般にシンジオタクチックポリマーを表し、また2.0なる比m/rは、アタクチック構造を持つ物質を表す。アイソタクチック物質は、理論的には無限に近い比を有することができ、また多くの副生成物としてのアタクチックポリマーは、50を超える該比を与えるのに十分なアイソタクチック含有率を有する。該プロピレン-α-オレフィンエラストマーの態様は、4または6なる下限〜8または10または12なる上限で定まる範囲のタクチシティインデックスm/rを有する。
【0029】
幾つかの態様において、該プロピレン-α-オレフィンエラストマーは、本明細書において説明する示差走査熱量法(DSC)手順に従って測定され、0.5または1または5J/g、乃至35または40または50または65または75J/gなる範囲内の融解熱(Hf)を有する。幾つかの態様において、該Hfの値は、75または60または50または40J/g未満である。幾つかの態様において、該プロピレン-α-オレフィンエラストマーは、0.5〜40%なる範囲、他の態様においては、1〜30%なる範囲、および更に別の態様においては、5〜25%なる範囲の%結晶化度を有し、ここで「%結晶化度」は、ここに記載するDSC手順に従って測定される。最高次のポリプロピレンに関する熱エネルギーは、189J/g(即ち、100%結晶化度が189J/gに等しい)であると見積もられる。他の態様において、該プロピレン-α-オレフィンエラストマーは、40%未満、および別の態様においては、0.25〜25%なる範囲の、および更に別の態様においては、0.5〜22%なる範囲、および他の態様においては、0.5〜20%なる範囲の結晶化度を有する。
【0030】
幾つかの態様においては、該プロピレン-α-オレフィンエラストマーは、DSCにより測定されるような、単一ピークの溶融転移点を有し、幾つかの態様においては、該プロピレン-α-オレフィンエラストマーは、90℃未満において主ピークの溶融転移点を有し、約110℃を超える温度にて、広い溶融転移の終点を有する。該ピーク「融点」(Tm)は、サンプルの融点範囲内の、最大の熱吸収温度として定義される。しかし、該プロピレン-α-オレフィンエラストマーは、該主ピークと隣接する第二の溶融ピーク、および/または溶融転移の終点を示すが、本発明の目的にとって、このような第二の溶融ピークは、単一の融点として一緒に考慮され、これらピークの最大値が、該プロピレン-α-オレフィンエラストマーのTmであると考えられる。該プロピレン-α-オレフィンエラストマーは、幾つかの態様においては、70未満または80未満または90未満または100未満または105℃未満の、ピーク融点(Tm)を有し、また他の態様においては、10または15または20または25〜65または75または80または95または105℃なる範囲内にあるピーク融点(Tm)を有する。
【0031】
DSC測定の手順は、以下の通りである:約0.5gのポリマーを秤取り、「DSC金型」および裏シートとしてのマイラー(MylarTM)を使用して、約140-150℃にて、約381-508μm(約15-20ミル)なる厚みまで圧縮した。この圧縮したパッドを、空気中に吊るすことにより(該マイラーは除去せずに)、周囲温度まで冷却させた。該圧縮したパッドを、室温(約23-25℃)にて約8日間アニールした。この期間の終了時点において、約15-20mgの円板を、打抜きダイを用いて、該圧縮パッドから取出し、10μLのアルミニウムサンプルパン内に配置した。このサンプルを、示差走査熱量計(パーキンエルマーピリス1サーマルアナリシスシステム(Perkin Elmer Pyris 1 Thermal Analysis System))内に入れ、次いで約-100℃に冷却した。このサンプルを約10℃/分にて加熱して、約165℃の最終温度とした。該サンプルの融点ピーク下の面積として記録された熱出力が、その融解熱の尺度であり、ポリマーのジュールパーグラム(J/g)単位で表すことができ、これは該パーキンエルマーシステムにより自動的に計算された。これら条件の下で、溶融プロフィールは二つ(2)の極大を示すが、最高温度における該極大を、温度の関数としての、該ポリマーの増大する熱容量に関するベースライン測定値に相対的な、該サンプルの溶融範囲内の融点として採用した。
【0032】
幾つかの態様において、該プロピレン-α-オレフィンエラストマーは、0.840〜0.920g/cm3なる範囲、および他の態様においては、0.845〜0.900g/cm3なる範囲、および更に別の態様においては、0.850〜0.890g/cm3なる範囲の密度を有するが、これらの値は、ASTM D-1505テスト法により室温で測定された。
【0033】
幾つかの態様において、該プロピレン-α-オレフィンエラストマーは、80未満または70未満または50未満または40未満または30dg/分未満、および他の態様においては、1または4または6〜12または16または20または40または60または80dg/分なる範囲の溶融流量(「MFR」、ASTM D1238、2.16kg、230℃)を有する。
【0034】
幾つかの態様において、該プロピレン-α-オレフィンエラストマーは、20または40〜80または90ショアAなる範囲内のショアA硬さ(ASTM D2240)を有する。更に別の態様において、該プロピレン-α-オレフィンエラストマーは、500%を超える、または1000%を超えるまたは2000%を超える、また他の態様においては、500%〜800または1200または1800または2000または3000%なる範囲内の極限伸び(ASTM D412)を有する。
【0035】
幾つかの態様において、該プロピレン-α-オレフィンエラストマーは、50,000〜1,000,000g/モルなる範囲、および他の態様においては、60,000〜600,000g/モルなる範囲、および更に別の態様においては、70,000〜400,000g/モルなる範囲内の重量平均分子量(Mw)値を有する。該プロピレン-α-オレフィンエラストマーは、幾つかの態様においては、10,000〜500,000g/モルなる範囲、および他の態様においては、20,000〜300,000g/モルなる範囲、および更に別の態様においては、30,000〜200,000g/モルなる範囲内の数平均分子量(Mn)値を有する。該プロピレン-α-オレフィンエラストマーは、幾つかの態様においては、80,000〜6,000,000g/モルなる範囲、および他の態様においては、100,000〜700,000g/モルなる範囲、および更に別の態様においては、120,000〜500,000g/モルなる範囲内のz-平均分子量(Mz)を有する。
【0036】
幾つかの態様において、望ましい分子量(および、結果として望ましいMFR)は、該プロピレン-α-オレフィンエラストマーをビスブレーキングすることにより達成される。該「ビスブレーキングされたプロピレン-α-オレフィンエラストマー」(当分野において、「制御されたレオロジー」としても知られている)は、ビスブレーキング剤で処理され、結果として該薬剤が、該ポリマー鎖を分解しているようなコポリマーである。ビスブレーキング剤の非-限定例は、パーオキシド、ヒドロキシラミンエステル、および他の酸化剤並びに遊離基発生剤を含む。もう一つの方法を挙げれば、該ビスブレーキングされたエラストマーは、ビスブレーキング剤と該エラストマーとの反応生成物であり得る。特に、ビスブレーキング処理されたプロピレン-α-オレフィンエラストマーは、処理前のMFR値に対して、一態様においては、少なくとも10%、およびもう一つの態様では、少なくとも20%だけ、そのMFR値が増大するように、ビスブレーキング剤で処理されているものである。幾つかの態様において、該繊維および織物を製造する方法は、押出機および該装置の他の部品から任意のビスブレーキング剤を押出す。これから得られる該プロピレン-α-オレフィンエラストマーは、「反応器グレードの」エラストマーと呼ばれる。「押出し」または「押出された」なる用語によって意味することは、ビスブレーキング剤、例えばパーオキシド、ヒドロキシラミンエステル、および他の酸化剤並びに遊離基発生剤が、該押出機または該押出機の下流側の繊維形成装置の任意の他の部材に添加されないことである。即ち、この態様においては、繊維または織物に吹込成形される該エラストマーは、該繊維形成装置に送られる、該押出機に導入されるような所望のMFRを有するエラストマーである。
【0037】
幾つかの態様において、該プロピレン-α-オレフィンエラストマーの該分子量分布(MWD)は、1.5または1.8または2.0〜3.0または3.5または4.0または5.0なる範囲内にある。該分子量(Mn、MzおよびMw)および分子量分布(MWD)を測定する技術は、以下の通りであり、またVerstate等の21 MACROMOLECULES, 3360 (1988)に記載のように行われる。ここに記載する諸条件は、公開されたテスト条件によって決定される。分子量および分子量分布は、クロマティックス(Chromatix) KMX-6オンライン光散乱光度計を備えた、ウォーターズ(Waters) 150ゲル浸透クロマトグラフィーを用いて測定される。この装置は、135℃にて使用され、移動相として1,2,4-トリクロロベンゼンを使用した。ショーデックス(ShowdexTM)(ショーワデンコウアメリカ(Showa-Denko America)社)製のポリスチレンゲルカラム802、803、804および805を使用する。この技術は、LIQUID CHROMATOGRAPHY OF POLYMERS AND RELATED MATERIALS III 207 (J. Cazes編, マルセルデッカー(Marcel Dekker)社, 1981)において論じられている。カラム展開に関しては、何ら補正は用いなかったが、一般的に許容される基準に関するデータ、例えばナショナルビューローオブスタンダード(National Bureau of Standards)、ポリエチレン(Polyethylene, SRM 1484)およびアニオン性として作成された水添ポリイソプレン(交互エチレン-プロピレンコポリマー)は、Mw/MnまたはMz/Mwに係るこのような補正が、0.05単位未満であることを立証している。Mw/Mnは、溶出時間-分子量の関係から計算され、一方Mz/Mwは、光散乱光度計を用いて評価された。これらの数値解析は、LDC/ミルトン(Milton)ロイ-リビエラビーチ(Roy-Riviera Beach), Flaから市販品として入手可能なコンピュータソフトウエアGPC2、MOLWT2を用いて実施できる。
【0038】
ここに記載する該プロピレン-α-オレフィンエラストマーは、ポリプロピレンを製造するための任意の触媒および/または公知の方法を利用して製造することができる。幾つかの態様において、該プロピレン-α-オレフィンエラストマーは、WO 02/36651、US 6,992,158、および/またはWO 00/01745に記載の手順に従って調製されたコポリマーを含むことができる。該プロピレン-α-オレフィンエラストマーを製造するための好ましい方法は、US特許出願公開2004/0236042およびUS 6,881,800に見られる。好ましいプロピレン-α-オレフィンエラストマーは、以下のような商品名の下に市販品として入手できる:ビスタマックス(VistamaxxTM)(エクソンモービルケミカル社(ExxonMobil Chemical Company), USA, TX州,ヒューストン(Houston))およびバーシファイ(VersifyTM)(ザダウケミカル社(The Dow Chemical Company), USA, ミシガン(Michigan)州, ミッドランド(midland))、タフマー(TafmerTM) XMまたはノティオ(NotioTM)(ミツイ社(Mitsui Company),日本)の幾つかのグレード、またはソフテル(SoftelTM)(バーゼルポリオレフィンズオブザネザーランド(Basel Polyolefins of the Netherlands))。
【0039】
前記繊維および織物組成物の、該「プロピレン-α-オレフィンエラストマー」成分は、しばしば単一のポリマーとして論じられるが、この用語によって、本明細書に記載した範囲内の諸特性を有する2またはそれ以上の異なるプロピレン-α-オレフィンエラストマーのブレンドをも意図するものとする。
【0040】
本明細書に記載する上記表織物層(または表材料層)は、任意の適当な手段、例えばドライ-レイド(dry-laid)法、ウエット-レイド(wet-laid)法、ウエブ-結合法、押出成形ウエブ(または「スパンレイド(spunlaid)不織布」)法、またはこれら方法の組合せによって製造できる。該ドライ-レイド法は、機械的手段(例えば、カーディング処理された(carded)織物が製造されるような手段)、および空力的手段(例えば、エアーレイド法)の利用を含む。ドライ-レイド不織布は、ステープルファイバー加工装置、例えばカードおよびガーネットを用いて作られ、これら装置は、乾燥状態にあるステープルファイバーを取扱うように設計されている。同様にこの範疇に含まれるものは、トウ形状にあるフィラメントから作られる不織布、およびステープルファイバーおよびステッチフィラメントまたは糸で構成される織物、即ちステッチ結合織物である。ウエット-レイド法により作られる織物は、パルプ繊維化装置、例えばハンマーミル、および抄紙機と結合された装置により製造される。ウエブ-結合法は、化学的方法または物理的方法として説明することができる。化学的結合は、繊維ウエブと結合するために、水を主成分とするおよび溶媒を主成分とするポリマーを使用する方法を意味する。これらのバインダは、飽和(含浸)、噴霧、印刷、またはフォームとして適用することにより塗布することができる。物理的結合法は、熱的方法、例えばカレンダー掛けおよび熱風結合(hot air bonding)、および機械的工程、例えばニードリングおよび水力学的絡み合わせ(hydroentangling)を含む。スパンレイド不織布は、連続的な一工程で作られる:即ち、繊維を溶融押出しにより紡ぎ、次いで反らせ板によりウエブ内に直接分散させあるいは空気流によって管理することができる。スパンレイド法は、スパンボンド、メルトブローンおよび多孔質フィルム不織布を製造するのに使用される。これらの繊維は、ポリマー押出し法、例えば溶融紡糸、フィルム注型および押出被覆法と組合せた装置を用いて製造される。幾つかの態様において、該表材料層は、カーディングまたはスパンボンドされる。
【0041】
より具体的には、「カーディング」は、縺れの解消、清浄化、および繊維間の混合工程であり、これによりウエブは更に加工されて不織布となり、この工程は当分野において周知である。該織物、または織物の「層」は、この方法を利用して作成された場合には、「カーディング処理された」織物または層とよばれる。この目的は、多数の繊維タフトを取出し、かつ均一で清浄なウエブを製造することにある。カーディング法の一例は、US 4,105,381に記載されている。この方法は、主として機械的な縺れ合いおよび繊維-繊維間摩擦によって、ウエブとして一緒に維持されている繊維を整列させる。主なカーディングの型は、ローラーカードである。このカーディング作用は、一連の相互作用カードローラー上で、ノコ歯-状金網の各点間の繊維の結合または加工である。短繊維および異物は除去され、該繊維タフトは解放され、また該繊維は、多少とも平行に配列される。該繊維のカーディングまたは平行化は、該表面の一方が、他方の速度よりも高速で移動する場合に起る。繊維は、該各点が同一方向に配列された場合には、移動しまたは「剥ぎ取られ」またより一層急速に移動する表面は、より低速で移動する表面から該繊維を除去しあるいは移動させる。
【0042】
不織布を製造するように設計された高速カードは、1またはそれ以上の種シリンダ、ローラーまたは固定頂部、1またはそれ以上のドッファー、またはこれら様々な構成部品の様々な組合せによって、構成することができる。単一-シリンダカードは、通常機械方向または平行な繊維の配向を要する製品について使用される。2-シリンダカード(または「タンデム」カード)は、基本的には、第一の作業領域から第二の作業領域に該ウエブを輸送し、供給するために、抜取り機および供給ロールの断面により、一緒に結合される、2つの単一-シリンダカードである。該2つのカーディング装置のタンデム状態での結合は、該作業領域を分布させ、またより低速の単一-シリンダ装置に匹敵するウエブ性能レベルにて、より高い繊維処理量の達成を可能とする。ローラー-トップ(roller-top)カードは、5〜7組の作業者および抜取り機を含んでいて、該シリンダ上に搬送される該繊維を混合しかつカーディングする。該多重移動作用および繊維の新たな群の、該カーディング領域への再導入は、ウエブの均一性を保証する二重の効果をもたらす。固定-頂部カードは、該シリンダの上部周辺部の周りに窪みを持った状態で配置されたプレート上に設けられた、金属布のストリップを有する。このようにして設けられた追加のカーディング表面は、最小限の繊維抜取り量で、膨張繊維の整合をもたらす。
【0043】
「スパンボンド」織物は、統合されたスパン結合工程によって作られたフィラメントシートであり、該工程は、溶融ポリマーを防止する段階、空気繊細化段階、堆積段階(該ウエブの形成を可能とすべくドラムまたは他の移動する支持体上に、あるいは他の織物上への)および結合段階を含む。このスパン結合は、周知であり、また一般的に、例えばPOLYPROPYLENE HANDBOOK, 314-324 (E. Moore, ハンサーフェアラーグ(Hanser Verlag), 1996)に記載されている。このような繊維は、幾つかの態様においては、その平均径において、5〜150μmなる範囲、および特別な態様においては、10〜40または50または100μmなる範囲内にある。厚み、繊維の繊度(デニール)、および単位面積当たりの繊維の本数の組合せは、該織物の坪量を決定し、該坪量は、特別な態様においては、8または10または15〜50または80または120または400または800g/m2なる範囲内にある。殆どのスパン結合法は、該繊維をランダムに積層しているために、平坦で等方的特性を有する織物を生成する。スパン結合された織物は、一般的に方向性を持たず、またバイアス方向における伸長または端部における糸の解れを伴うことなしに裁断し、使用することができる。堆積中に該ウエブ内の繊維の配向を調節することにより、非-等方性を有する諸特性を実現することが可能である。織物の厚みは、0.1〜4.0mmなる範囲、および特定の態様では、0.15〜1.5mmなる範囲内で変動する。該結合法は、該シートの厚み、並びに他の特徴に影響を与える。特定の態様においては、結合剤として接着剤は存在せず、加熱式の結合が好ましい。加熱カレンダリングにより結合された繊維ウエブは、ニードルパンチ処理された同一のウエブよりも薄い。というのは、カレンダリングは加圧により該構造を圧縮し、一方ニードルパンチは該織物のx-y面からz方向(厚みの方向)に繊維を移動するからである。
【0044】
ここに記載する該多層織物の該弾性層および他の層は、任意の適当な方法、例えばスパンボンド法またはメルトブローン法により製造できる。「メルトブローン」織物は、周知であり、また伝統的なスパン結合織物とは、低い繊維デニール(繊度)を有する点および通常不連続なフィラメントで構成されている点において異なっている。溶融吹込成形法は周知であり、またPOLYPROPYLENE HANDBOOKに記載されている。メルトブローン織物は、一般的にはスパン結合されているとは言われないが、メルトブローンウエブの製造中の、紡糸、繊細化(僅かであるが)、レイダウン、および結合の統合は、スパン結合法として伝統的に規定されている方法を説明するものである。しかし、固有の繊維の縺れは、しばしば付随的な結合を不要にする。溶融結合法により製造された繊維は、極めて細く、7μm未満の典型的な径、典型的にはスパン結合繊維よりも小さな径を有する。これらの繊維は、極めて細く、また大部分が配向されておらず、結果として該ウエブを極めて脆弱なものとし、また変形容易なものとする。メルトブローン織物の製造に際して、特別なダイを使用する。そこでは、溶融ポリマーフィラメントが該ダイまたはノズルのオリフィスから出た際に、加熱され、加圧された空気が、このフィラメントを繊細化する。空気温度は、音速流量については、260〜480℃なる範囲にある。該ダイ自体における該メルトの圧力は、3.45MPa(500psi)を超えるものであり得、これは比較的低い溶融流量(30dg/分未満)のポリマーを、ビスブレーキングなしに溶融吹込成形することを可能とする。
【0045】
該表材料層を形成する適当な繊維は、部分的に配向された製糸(POY)ラインにおいて製造できる。POYにおける溶融紡糸において、所望の組成物は、一般に1またはそれ以上のスクリュー押出機を用いて溶融される。この押出機は、一定速度にて溶融組成物をフィルタアセンブリーに送達する。該フィルタアセンブリーにおいて、該溶融組成物は、金属製スクリーンにより所定位置に保持された、一連の焼結または繊維状のガーゼまたは微細等級の耐火物質の床、例えば砂またはアルミナを介して濾過される。
【0046】
濾過後、該溶融組成物は、分配装置を通して紡糸口金に通され、混合を最適化し、温度を均一化し、また停滞を最小化するように配列される。力学的ミキサ、静電ミキサ、または流動変換機が、しばしばこの防止装置に含まれていて、紡糸位置同士の、該溶融組成物の均一性を改善する。連続糸の製造用紡糸口金は、約500個までの孔、最も一般的には50〜200個の孔を有することができ、またトウまたはステープルファイバー用の紡糸口金は、数千個の孔を有することができる。連続糸またはステープルファイバーの製造のためには、該紡糸口金の孔は、その径において0.3〜0.5mmなる範囲にある。モノフィラメントに関しては、該紡糸口金は、典型的には、径が1〜4mmなる範囲にある、少数の比較的大きな穴を有する。モノフィラメント用の該紡糸口金の孔は、通常は丸いが、その他の断面、例えば多重出っ張り型または矩形断面を有することもできる。
【0047】
該表材料層用組成物の典型的な押出し温度は、225〜300℃なる範囲にある。実際に使用する温度は、押出のための十分に低い溶融粘度を達成するために、より高い温度を必要とする、大きく軽い分子量を有するポリマーに対しては、該ポリマーのサイズに依存する。溶融組成物は、紡糸口金の孔を通過するにつれて、前進するまたは巻取りロールによって印加される引落力によって引出されかつ繊細化され、同時にその温度は急速に低下される。該孔の直下の、かつ繊細化が開始される直前における繊維の径は、該孔の径より大きくてもよい。このいわゆる「ダイスエル」は、該孔の内部において誘発された粘弾性応力の緩和によるものである。
【0048】
連続糸の場合、紡糸後、一般的には該繊維に冷却空気を吹き付けることにより、該繊維が冷却される。モノフィラメントの場合には、熱の排除がより一層問題となるので、該繊維は、通常これを冷水中に通すことにより、あるいは押出直後に配置される低温冷却ロール上で急冷される。連続糸については、該紡糸された糸の配向は、該糸が前進方向に紡糸される速度に依存する。一般的に、約1,500m/分以下の速度を使用して、低配向度の紡糸糸を製造し、また約2,500m/分以上の速度を使用して、部分的に配向した糸を製造する。該配向は、約6,000m/分まで段階的に増大する。より高い速度において、他の応力-誘起段階は、更なる配向を防止する。
【0049】
低い配向を持つ繊維は、比較的高い延伸比(4〜7)まで延伸して、所謂完全配向糸を製造する必要がある。延伸は別の段階として実施することも可能であり、そこでは、該紡糸された糸は、先ずボビン上に巻き取られるか、あるいは紡糸-延伸工程において、該糸が比較的緩慢に該紡糸ゾーンから取出され、該糸が配向される延伸ゾーン(または2またはそれ以上の連続する延伸ゾーン)に送られるように、紡糸と統合することができ、また最終的に高速度にて、例えば6,000m/分にて巻き取られる。
【0050】
POYにおいて、延伸テキスチャリング(draw texturing)またはタテ糸延伸(延伸ビーミング)用の供給原料は、通常2,500〜4,000m/分なる範囲の速度にて巻き取られる。テキスチャリング処理されていないフィラメント糸用の紡糸-延伸過程も、この程度の速度にて、該紡糸ゾーンからもたらされる、前進する部分的に配向した糸に基くものであり得、そこでは、1.5〜2なる範囲の延伸比となるように該フィラメント糸が延伸され、また最終的に1,000〜6,000m/分またはそれ以上にて、巻き取られる。統合された紡糸-延伸-テキスチャリング工程を実施することも可能である。高度に配向された糸は、該紡糸ゾーンから直接、6,000m/分までの極めて高い速度にて、巻き取ることができ、このような糸は、更に延伸することなしに生地において使用できるが、該配向度は、一般的に高い延伸比を有する2段法によって達成される配向度ほどには高くない。ステープルファイバーまたはトップに転化するためのトウを紡糸する際の、単一の紡糸口金からの繊維数は、数千本であってもよい。多数の個々の紡糸口金からの該繊維を、大きなトウとして、キャプスタンローラーから、該繊維を一緒に前進させることにより集束させる。該トウは、移動用カン内でこれを前進させることにより収集され、また別の延伸段階に送られる。
【0051】
表材料層を形成する該繊維は強力であり、従って弾性物品にとって適したものとなっている。幾つかの態様において、該表材料層を形成する該繊維は、2,000m/分なる紡糸速度において、0.60g/denを超える靭性、および他の態様においては、1,500m/分なる紡糸速度において、2.0g/denを超える靭性を有する。更に別の態様において、該表材料層を形成する該繊維は、2,000m/分なる紡糸速度において、100%を超える伸び率を、また別の態様においては、1,500m/分なる紡糸速度において、120%を超える伸び率を有する。更に、該表材料層を形成する該繊維は、他の態様においては、600%を超える破断点伸び率を有する。
【0052】
幾つかの態様において、該表材料層は、更に該層の0.1〜10質量%なる範囲の量の高密度ポリエチレン(HDPE)を含み、ここで該高密度ポリエチレンは、0.945g/cm3を超える密度を有する。特別な態様において、ポリエチレンは、該表材料層には存在しない。「ポリエチレン」とは、該ポリマーの50質量%を超えるエチレン-由来の単位を含むポリマーであり、また所謂「プラストマー」と呼ばれる、エチレン-プロピレンゴム等を包含する。
【0053】
該多層織物は、様々な層を一緒に結合する任意の適当な手段によって製造され、ここでは任意の2またはそれ以上の層を、相互に結合することができる。各層を別々に製造し、次いで一緒に結合し、あるいは例えば繊維を、通過中の予め形成された織物上に直接溶融吹込成形またはスパン結合することによって、あるいはこれら方法の組合せにより、幾つかの層を他の層上に形成することができる。一態様において、1またはそれ以上の層を、これとの隣接状態でまたはこれらの間に挟み込んだ状態で、1またはそれ以上の弾性層と結合して、該多層織物を製造することができる。幾つかの態様において、これらの層は、加熱カレンダリング手段により相互に接着し(例えば、1、2またはそれ以上のシボ付けまたはスムースカレンダロールは、織物の層との接触、好ましくは圧接を可能とする)、温度は、所定レベルにおいて該層の相互の接着を生じるようなレベルに設定される。一態様において、該カレンダリング温度は、105℃未満または100℃未満または95℃未満であり、他の態様においては、60℃〜95℃または100℃または105℃なる範囲内にある。上記多層織物は、機械的な活性化手段、例えば幾つかの態様においては、リングロールの使用によって活性化される。適当な活性化手段の態様は、US 5,366,782に記載されている。活性化は、CD、MDまたはこれら両方向において行うこともできる。この活性化は、該織物を弾性物品にとって適したものとする。
【0054】
該カーディング処理されたおよび/またはスパン結合された表材料層から製造することのできる該多層織物は、制限されるものではない。最低でも、該構造は、少なくとも一つの弾性層に隣接した(また、特定の態様では、結合した)表材料層を含む。このことは、例えばSepMelおよびCepMelによって表され、ここで「C」はカーディング処理された織物層を表し、また「S」はスパン結合された織物層を表し、また「M」は溶融吹込成形された織物層を表し、更に「el」は弾性材料から作られた織物であり、また「ep」は可塑性および弾性材料のブレンドから作られた、延伸性で、非-弾性の織物である。上記用語「隣接」とは、1またはそれ以上の織物および/またはフィルム層が、「隣接」層間に存在することを排除するものではない。他の織物および/またはフィルム層も、特に述べない限り、ここでおよび他の表示において存在してもよいが、幾つかの態様においては、フィルム層は存在しない。もう一つの態様においては、少なくとも一つの弾性層が、2つのカーディング処理されたおよび/またはスパン結合された表材料層間に挟まれている。これは、例えばSepMelSep、CepMelCepおよびCepMelSepによって表すことができる。幾つかの態様においては、該多層織物は、以下に列挙するものによって表される構造からなる群から選択される層状構造を有する:SepSelMelMelSep、SepSelMelSelSep、SepSelMelSelCep、CepSelMelSelCep、SepSelMepSelSep、SepSelMepSelCep、CepSelMepSelCep、CepSelMelMelSelCep、CepCelMelCelCepおよびCepSelMelCelCep。例えば、以下の構造によって表されるように、該多層織物の一方の側または両側には、多重スパン結合および/またはカーディング処理された延伸性で、非-弾性の層が存在し得る:SepSepMel、CepCepMel、CepCepCepCepMelMel、SepSepSelMelMelSep、SepSepSelMelSelSepSep、SepSepSelMelSelCep、CepCepSelMelSelCep、CepSepSelMepSelSep、CepSepSelMepSelCepCep、SepCepSelMepSelCepSep、SepCepSelMelMelSelCep、SepSepCepMepCelMelCelCepおよびSepSepCepSelMelCelCepSepSep、およびこれらの変形。幾つかの態様においては、ここに記載される多層織物の一方の側または両側に、2、3、4、5、6、7またはそれ以上の延伸性で、非-弾性の層が存在し得、その各々はカーディング処理、スパン結合、またはこれらのある組合せによる処理に付されていてもよい。このような層各々は、同一または異なっていてもよい。吸収性物品を製造することができ、該物品は、ここに記載される多層織物を含む。このような物品は、幼児用オシメ、プルアップ(pull-ups)、トレーニングパンツ、成人用失禁防止ブリーフ、パンティーライナー、生理用ナプキン、医療用被服および包帯を含むが、これらに限定されない。
【実施例】
【0055】
以下に記載するものは、本明細書に記載する該表材料層に適した繊維に成形される、表材料層用組成物に関する比較例および実施例である。以下の表1は、本発明の実施例および比較例を構成する様々なポリマー成分を示すものである。
【0056】
【表1】

【0057】
アチーブ(Achieve) 3854、ビスタマックス(VistamaxxTM) 3980、ビスタロン(VistalonTM) 722および高密度ポリエチレン(HDPE)は、エクソンモービルケミカル(ExxonMobil Chemical)社(米国)から入手できる。アドフレックス(Adflex) V109は、プロピレンコポリマーであり、リオンデルバーゼル(LyondellBasell)(オランダ)から入手できる。比較例(C)および本発明(E)の実施例を構成する処方物は、以下の表2に示すものである。
【0058】
【表2】

【0059】
MFRは、ASTMD1238に従って、条件L、230℃および2.16kgなる負荷の下で、メルトインデックス測定装置を用いて測定した。曲げ弾性率は、ASTM D790Aに従って、1.27mm/分(0.05インチ/分)なるクロスヘッド速度および支点間距離50.8mm(2.0インチ)を用い、またインストロン(Instron)装置を使用して測定した。該降伏点引張強さ、降伏点伸びおよび破断点伸びは、ASTM D638により、50.8mm(2.0インチ)なるクロスヘッド速度および50.8mm(2.0インチ)なるゲージ長を用い、またインストロン(Instron)装置を使用して測定した。
【0060】
表2は、230℃なるポリプロピレンメルト温度プロフィールを用いて、30mmZSK二軸スクリュー押出機内で配合した、ポリプロピレンホモポリマーを含む処方物を示す。これらの原料を押出機で配合する前に、乾式ブレンド処理に付した。該配合物を、標準ASTM仕様およびASTM手順により評価された、引張強さ並びに曲げ特性にて、射出成型に付した。配合物C1は、該プロピレンコポリマーを含むコントロールであり、一方C2は、プロピレン-α-オレフィンエラストマーおよびエチレン-プロピレン(EP)コポリマーを含む。本発明の実施例1(E1)は、該プロピレン-α-オレフィンエラストマーを含み、該プロピレンコポリマーまたは該EPコポリマー何れかを含むことはない。
【0061】
表2の処方物を、部分的に配向させた糸(POY)ライン上で繊維に転化させた。表2に示された追加の処方例2(E2)は、アチーブ(Achieve) 3854/ビスタマックス(Vistamaxx) 3980(80/20)の乾式ブレンドであった。表3は、72個の孔を有する紡糸口金を備えた繊維紡糸ラインのプロセス条件および該繊維の諸特性を示すものである。破断に至る速度により表される最大紡糸速度を、各処方につき測定した。繊維のサンプルを集め、500m/分なる増分で、500m/分から開始される紡糸速度にて、ゴデット上で延伸した。該繊維の諸特性、特に引張強さ(靭性)および伸びを、各速度の増分において得た。
【0062】
【表3】

【0063】
表3に報告された該繊維の靭性および伸び特性は、スタチマット(StatimatTM) Mで測定されたものであり、該装置は、マイクロプロセッサを基本とする装置であり、これは、様々なテスト段階における、糸および繊維の強度および伸びをテストする装置である。使用するこの計測器は、テクステクノスタチマット(Textechno StatimatTM) M、S/N 23523、CREタイプ、プログラムFPAM 0210Eであり、マイクロソフト(Microsoft)作動系およびモニタを備えたコンピュータを使用している。また、ナショナルインスツルメンツ(National Instruments) GPIBボード(Board)(汎用インターフェースブス)アダプタモデルNo. PC11Aをも使用した。アルフレッドスーター社(Alfred Suter Co.)製のデニールホイール(Denier Wheel)を使用した。内部標準は、PP-3155(エクソンモービル社製)であり、144なるデニール(線状の900m分のグラム単位で表した重量)のもをを、2,500m/分にて集めた。この標準物質を、テスト前に走行させた。%伸び率は、該標準物質の評価のために使用される基準である。このテスト中、該内部標準は、平均170%なる伸び率、184.7%なるコントロールの上限および155.4%なるコントロールの下限を有していた。走行した際に、該標準物質が、該コントロールの上限または下限外にある点を生じた場合、該標準物質を再度走行させる。該繊維のデニールは、アルフレッドスーター社製のデニールホイールを用いて測定した。加工糸を挿入する場合、これらは、先ずセラミックガイドに配置される。これらは、次に約45度の角度にて、上部列の各ノッブ乃至対応する底部列のノッブを過ぎて右側に導かれた。該上部列の各ノッブは、幾分か手で引っ張る必要があり、結果として該加工糸は、クランプ領域の下方に摺動する。該下部列においては、該加工糸端部を、一旦これらを包み、かつこれらを該ノッブの背後に引延し、次いで突出端部を切断することによって固定した。テストすべき該第一の加工糸を、直接測定クランプ内に挿入した。該第一のチェンジャーキャリジを、ガイドレール内に押し込む場合、これは、右側に手動で、該キャリジの角度が与えられた押縁と搬送ベルトとが接触するまで、移動された。一旦、該装置が作動すると、張力装置アームは、測定クランプからの加工糸を取上げ、また自動的にテストを開始した。該装置は、加工糸Xを、数個(テストスクリーン上でのインプット(Input);通常最小でも5)取上げる。これが完了した後、該装置は、自動的に結果を算出した。該第一の加工糸のテストが完了した後、該張力装置のアームは、第二の加工糸まで移動し、そのテストを開始した。各加工糸をテストした後、該張力装置は、全てのテストが完了するまで、次のテストサンプルへと移動する。デニールで測定された正確なロードセルを選択するために、典型的には10Nを、8デニール以下の各繊維について使用した。この10Nが読取れないあらゆる場合に対して、100Nを使用した。この100Nは、8デニールおよびそれ以上で使用した。結果は、コンピュータで計算した。結果を、表3の如く報告する。
【0064】
EPゴムおよび/またはHDPEの添加が、表材料層の幾つかの局面、例えば該表材料層の靭性、柔軟性および最大紡糸速度を改善することができるが、繊維は、このような成分が、該表材料層用組成物中には存在しない場合に、他の実施例と比較して、E2において見られるように、改善された。
【0065】
本明細書に記載する該表材料層の柔軟性または「ハンド」を決定するために、以下の表4に示したように、様々な量のビスタマックス(VistamaxxTM) 3980(79dg/分なるMFR、13質量%のC2含有率)とアタクチックポリプロピレンとを組合せて、一連の実験を実施した。該柔軟性は、30質量%以上のエラストマーレベルで改善されるが、該表材料層にとって望ましい他の特性は減退する。即ち、エラストマーのレベルとプラスチックとの間には望ましいバランスが存在する。
【0066】
【表4】

【0067】
不織布の柔軟性は、スイング-アルバートインスツルメント社(Thwing-Albert Instrument Co.)からのハンドル-O-メーター(Handle-O-Meter)モデルNo. 211-5に関する操作マニュアルに指定されているような、「ハンドル-O-メーター(Handle-O-Meter)」テストに従って測定した。該ハンドル-O-メーターの読みは、グラム(g)単位である。変更は、(1) サンプル当たり2検体を用いたこと、および(2) 読みを、使用するスロット幅を調節することにより100g以下に維持した点にあり、また同一のスロット幅を、比較すべき一連のサンプル全体を通して使用した。全体を通して使用した該ハンドル-O-メーター値は、上記報告した値の±25%の誤差を有する。
【0068】
以上、本発明の多層織物の幾つかの態様に係る様々な特徴およびその製法を記載してきたが、以下において多くの本発明の態様を記載する:
1. 1またはそれ以上の表材料層、および、該表材料層と隣接しもしくはこれらの間に挟まれた1またはそれ以上の弾性層を含む多層織物であって、該1またはそれ以上の表材料層は、(a) ポリプロピレン;および(b) 80 dg/分未満のMFRを有するプロピレン-α-オレフィンエラストマーを含むか、これらから本質的になり;該表材料層は、延伸性で、しかも非-弾性であり、かつ60g未満のハンドル-O-メーター値および1,000MPa未満の、あるいは500または600または700〜1,000MPaなる範囲内の1%割線曲げ弾性率を有する、多層織物。
2. 該表材料層用組成物が、24MPaを超える降伏点引張強さを有する、前記態様1項記載の多層織物。
3. 1またはそれ以上の表材料層、および、該表材料層と隣接しもしくはこれらの間に挟まれた1またはそれ以上の弾性層を含む多層織物であって、該1またはそれ以上の表材料層が、(a) ポリプロピレン;および(b) 該表材料層の質量基準で0.1〜30質量%なる範囲の、プロピレン-α-オレフィンエラストマーを含むか、もしくはこれらから本質的になり、該エラストマーは、80 dg/分未満のMFR、75%またはそれ以上のトリアド(triad)タクチシティ、および該プロピレン-α-オレフィンエラストマーの質量基準で、5〜18質量%なる範囲のコモノマー-由来の含有率を有する、多層織物。
4. 1またはそれ以上の表材料層、および、該表材料層間に挟まれた1またはそれ以上の弾性層から本質的になる、前記態様1〜3項の何れか1項に記載の多層織物。
5. 前記表材料層が、前記ポリプロピレンと前記プロピレン-α-オレフィンエラストマーから本質的になる、前記態様1〜4の何れか1項に記載の多層織物。
6. 前記表材料層を構成する繊維が、単一-成分繊維である、前記態様1〜5項の何れか1項に記載の多層織物。
7. 前記表材料層が、更に該表材料層の質量基準で0.1〜10質量%なる範囲の、HDPEを含む、前記態様1〜6項の何れか1項に記載の多層織物。
8. 前記表材料層は、ポリエチレンを欠く、前記態様1〜6項の何れか1項に記載の多層織物。
9. 前記表材料層が、延伸性かつ非-弾性である、前記態様1〜8項の何れか1項に記載の多層織物。
10. 前記プロピレン-α-オレフィンエラストマーが、該表材料層の質量基準で、5〜25質量%なる範囲内の量で、該表材料層中に存在する、前記態様1〜9項の何れか1項に記載の多層織物。
11. 前記プロピレン-α-オレフィンエラストマーが、ビスブレーキングされていない、前記態様1〜10項の何れか1項に記載の多層織物。
12. 前記35g/m2表材料層が、60g未満のハンドル-O-メーター値を有する、前記態様1〜11項の何れか1項に記載の多層織物。
13. 接着剤が存在しない、前記態様1〜12項の何れか1項に記載の多層織物。
14. フィルムが存在しない、前記態様1〜13項の何れか1項に記載の多層織物。
15. 前記ポリプロピレンが、10〜50dg/分なる範囲内のMFRを有する、前記態様1〜14項の何れか1項に記載の多層織物。
16. 前記プロピレン-α-オレフィンエラストマーが、1〜60dg/分なる範囲内のMFRを有する、前記態様1〜15項の何れか1項に記載の多層織物。
17. 前記表材料層用組成物が、10〜40dg/分なる範囲内のMFRを有する、前記態様1〜16項の何れか1項に記載の多層織物。
18. 前記表材料層用組成物が、1,000MPa未満の1%割線曲げ弾性率を有する、前記態様1〜17項の何れか1項に記載の多層織物。
19. 前記表材料層用組成物が、24MPaを超える降伏点引張強さを有する、前記態様1〜18項の何れか1項に記載の多層織物。
20. 前記表材料層を構成する前記繊維が、600%を超える破断点伸びを有する、前記態様1〜19項の何れか1項に記載の多層織物。
21. 前記1またはそれ以上の弾性層が、プロピレン-α-オレフィンエラストマー、天然ゴム、合成ポリイソプレン、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、ポリブタジエン、スチレン-ブタジエンゴム、ニトリルゴム、ハロゲン化ニトリルゴム、クロロプレンゴム、ポリクロロプレン、ネオプレン、EPMおよびEPDMゴム、エピクロロヒドリンゴム、ポリアクリル酸ゴム、シリコーンゴム、フルオロシリコーンゴム、フルオロエラストマー、パーフルオロエラストマー、ポリエーテルブロックアミド、クロロスルホン化ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニル、熱可塑性エラストマー、熱可塑性加硫ゴム、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性オレフィン、ポリサルファイドゴム、またはこれらエラストマーの任意の2またはそれ以上のブレンドを含む、前記態様1〜20項の何れか1項に記載の多層織物。
22. 前記1またはそれ以上の弾性層が、プロピレン-α-オレフィンエラストマー、スチレン-ブタジエンゴム、またはこれらのブレンドを含む、前記態様1〜21項の何れか1項に記載の多層織物。
23. 前記1またはそれ以上の弾性層が、プロピレン-α-オレフィンエラストマーから本質的になる、前記態様1〜22項の何れか1項に記載の多層織物。
24. 前記表材料層を構成する前記繊維が、2,000m/分なる紡糸速度において、0.60g/denを超える靭性を有する、前記態様1〜23項の何れか1項に記載の多層織物。
25. 前記表材料層を構成する前記繊維が、1,500m/分なる紡糸速度において、2.0g/denを超える靭性を有する、前記態様1〜24項の何れか1項に記載の多層織物。
26. 前記表材料層を構成する前記繊維が、2,000m/分なる紡糸速度において、100%を超える伸びを有する、前記態様1〜25項の何れか1項に記載の多層織物。
27. 前記表材料層を構成する前記繊維が、1,500m/分なる紡糸速度において、120%を超える伸びを有する、前記態様1〜26項の何れか1項に記載の多層織物。
28. 前記1またはそれ以上の表材料層が、カーディング処理されたまたはスパンボンド織物である、前記態様1〜27項の何れか1項に記載の多層織物。
29. 前記多層織物が、SepSelMelMelSep、SepSelMelSelSep、SepSelMelSelCep、CepSelMelSelCep、SepSelMepSelSep、SepSelMepSelCep、CepSelMepSelCep、CepSelMelMelSelCep、CepCelMelCelCep、およびCepSelMelCelCepからなる群から選択される層構造を有する、前記態様1〜28項の何れか1項に記載の多層織物。
30. 前記態様1〜29項の何れか1項に記載の多層織物の製造方法であって、1またはそれ以上の表材料層と、1またはそれ以上の弾性層とを、隣接した状態または該表材料層間に該弾性層を挟み込んだ状態で結合する工程を含む、前記方法。
31.所定レベルにおいて、該層を相互に接着させるレベルに設定された温度にて、加熱カレンダリング手段(例えば、1、2またはそれ以上のエンボスドまたはスムースカレンダロールを、該織物の層と接触、好ましくは圧接する手段)によって、前記層が相互に接着されている、前記態様30項に記載の方法。一態様において、該カレンダリング温度は、105℃未満または100℃未満または95℃未満である。
32. 前記多層織物が、リングロールの使用等の機械的な活性化手段により活性化される、前記態様30または31項に記載の方法。
【0069】
他の態様において説明すべきことは、プロピレン-α-オレフィンエラストマーとポリプロピレンとのブレンドを使用して、多層織物の表材料層を形成することであり、該エラストマーおよびポリプロピレンは、本明細書に記載した諸特性の任意の一つまたはそれ以上を有する。
【0070】
更に別の態様において記載すべきことは、1またはそれ以上の表材料層および該1またはそれ以上の表材料層と隣接した、またはこれらの間に挟み込まれた、1またはそれ以上の弾性層を使用して、多層織物を製造することであり、ここで該1またはそれ以上の表材料層は、ポリプロピレンおよび80dg/分未満のMFRを有するプロピレン-α-オレフィンエラストマーを含むか、あるいはこれらから本質的になり、ここで該表材料層は、延伸性かつ非-弾性であり、また60g未満のハンドル-O-メーター値および1,000MPa未満の1%割線曲げ弾性率を有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1またはそれ以上の表材料層、および、該表材料層と隣接し、もしくはそれらの間に挟まれた1またはそれ以上の弾性層を含む多層織物であって、該1またはそれ以上の表材料層が、(a) ポリプロピレン;および(b) 80 dg/分未満のMFRを有するプロピレン-α-オレフィンエラストマーを含むか、これらから本質的になり;該表材料層が、延伸性かつ非-弾性であり、かつ60g未満のハンドル-O-メーター値および1,000MPa未満の、あるいは500または600または700〜1,000MPaなる範囲内の1%割線曲げ弾性率を有する、多層織物。
【請求項2】
前記表材料層用組成物が、24MPaを超える降伏点引張強さを有する、請求項1記載の多層織物。
【請求項3】
1またはそれ以上の表材料層、および、該表材料層と隣接し、もしくはこれらの間に挟まれた1またはそれ以上の弾性層を含む多層織物であって、該1またはそれ以上の表材料層が、(a) ポリプロピレン;および(b) 該表材料層の質量基準で0.1〜30質量%なる範囲の、プロピレン-α-オレフィンエラストマーを含むか、もしくはこれらから本質的になり、該エラストマーは、80 dg/分未満のMFR、75%またはそれ以上のトリアドタクチシティ、および該プロピレン-α-オレフィンエラストマーの質量基準で5〜18質量%なる範囲のコモノマー-由来の単位の含有率を有する、多層織物。
【請求項4】
1またはそれ以上の表材料層、および、該表材料層間に挟まれた1またはそれ以上の弾性層から本質的になる、請求項1〜3の何れか1項に記載の多層織物。
【請求項5】
前記表材料層が、前記ポリプロピレンと前記プロピレン-α-オレフィンエラストマーから本質的になる、請求項1〜4の何れか1項に記載の多層織物。
【請求項6】
前記表材料層を構成する繊維が、単一-成分繊維である、請求項1〜5の何れか1項に記載の多層織物。
【請求項7】
前記表材料層が、更に該表材料層の質量基準で、0.1〜10質量%なる範囲のHDPEを含む、請求項1〜6の何れか1項に記載の多層織物。
【請求項8】
前記表材料層がポリエチレンを含まない、請求項1〜6の何れか1項に記載の多層織物。
【請求項9】
前記表材料層が、延伸性かつ非-弾性である、請求項1〜8の何れか1項に記載の多層織物。
【請求項10】
前記プロピレン-α-オレフィンエラストマーが、該表材料層の質量基準で、5〜25質量%なる範囲内の量で、該表材料層中に存在する、請求項1〜9の何れか1項に記載の多層織物。
【請求項11】
前記プロピレン-α-オレフィンエラストマーが、ビスブレーキングされていない、請求項1〜10の何れか1項に記載の多層織物。
【請求項12】
前記35g/m2の表材料層が、60g未満のハンドル-O-メーター値を有する、請求項1〜11の何れか1項に記載の多層織物。
【請求項13】
接着剤が存在しない、請求項1〜12の何れか1項に記載の多層織物。
【請求項14】
フィルムが存在しない、請求項1〜13の何れか1項に記載の多層織物。
【請求項15】
前記プロピレン-α-オレフィンエラストマーが、1〜60dg/分なる範囲内のMFRを有する、請求項1〜14の何れか1項に記載の多層織物。
【請求項16】
前記表材料層用組成物が、10〜40dg/分なる範囲内のMFRを有する、請求項1〜15の何れか1項に記載の多層織物。
【請求項17】
前記表材料層用組成物が、24MPaを超える降伏点引張強さを有する、請求項1〜16の何れか1項に記載の多層織物。
【請求項18】
前記表材料層を構成する前記繊維が、600%を超える破断点伸びを有する、請求項1〜17の何れか1項に記載の多層織物。
【請求項19】
前記1またはそれ以上の弾性層が、プロピレン-α-オレフィンエラストマー、天然ゴム、合成ポリイソプレン、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、ポリブタジエン、スチレン-ブタジエンゴム、ニトリルゴム、ハロゲン化ニトリルゴム、クロロプレンゴム、ポリクロロプレン、ネオプレン、EPMおよびEPDMゴム、エピクロロヒドリンゴム、ポリアクリル酸ゴム、シリコーンゴム、フルオロシリコーンゴム、フルオロエラストマー、パーフルオロエラストマー、ポリエーテルブロックアミド、クロロスルホン化ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニル、熱可塑性エラストマー、熱可塑性加硫ゴム、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性オレフィン、ポリサルファイドゴム、またはこれらエラストマーの任意の2またはそれ以上のブレンドを含む、請求項1〜18の何れか1項に記載の多層織物。
【請求項20】
前記表材料層を構成する前記繊維が、2,000m/分なる紡糸速度において、0.60g/denを超える靭性を有する、請求項1〜19の何れか1項に記載の多層織物。
【請求項21】
前記表材料層を構成する前記繊維が、2,000m/分なる紡糸速度において、100%を超える伸びを有する、請求項1〜20の何れか1項に記載の多層織物。
【請求項22】
前記1またはそれ以上の表材料層が、カーディング処理された織物またはスパンボンド織物である、請求項1〜21の何れか1項に記載の多層織物。
【請求項23】
前記多層織物が、SepSelMelMelSep、SepSelMelSelSep、SepSelMelSelCep、CepSelMelSelCep、SepSelMepSelSep、SepSelMepSelCep、CepSelMepSelCep、CepSelMelMelSelCep、CepCelMelCelCep、およびCepSelMelCelCep、からなる群から選択される層構造を有する、請求項1〜22の何れか1項に記載の多層織物。
【請求項24】
1またはそれ以上の表材料層と、該表材料層と隣接した状態にあるか、またはこれらの間に挟み込まれた状態にある1またはそれ以上の弾性層とを結合する工程を含む、請求項1〜23の何れか1項に記載の多層織物の製造方法であって、
該層は加熱カレンダリング手段によって接着され、温度は該層の相互の接着を生じるレベルに設定される、前記方法。
【請求項25】
前記多層織物が、リングロールの使用等の機械的な活性化手段により活性化される、請求項24記載の方法。

【公表番号】特表2012−504062(P2012−504062A)
【公表日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−529225(P2011−529225)
【出願日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際出願番号】PCT/US2009/058230
【国際公開番号】WO2010/039579
【国際公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【出願人】(599134676)エクソンモービル・ケミカル・パテンツ・インク (301)
【Fターム(参考)】