弾性波デバイス
【課題】通過周波数帯域における周波数特性の平坦性の劣化を抑えながら、ESD耐性に優れた弾性波デバイスを提供すること。
【解決手段】電極指12、12の交差領域からバスバー11側に離れた位置において、互いに隣接するIDT電極1、1間及び互いに隣接するIDT電極1とグレーティング反射器2との間に夫々第1のフロートダミー電極16、16及び第2のフロートダミー電極18を設けて、これらフロートダミー電極16、18を他の部位から電気的に浮いた状態にすると共に、これらフロートダミー電極16、18をIDT電極1における電極指12の配列パターンに対応するように形成する。
【解決手段】電極指12、12の交差領域からバスバー11側に離れた位置において、互いに隣接するIDT電極1、1間及び互いに隣接するIDT電極1とグレーティング反射器2との間に夫々第1のフロートダミー電極16、16及び第2のフロートダミー電極18を設けて、これらフロートダミー電極16、18を他の部位から電気的に浮いた状態にすると共に、これらフロートダミー電極16、18をIDT電極1における電極指12の配列パターンに対応するように形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、IDT(インターディジタルトランスデューサ)電極を備えた弾性波デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話端末などの通信機器に使用される周波数帯域の高域化に伴い、当該通信機器に搭載されるSAW(Surface Acoustic Wave)フィルタやSAWデュプレクサなどの弾性波デバイスについても高域化が要求されている。そのため、この通信機器に搭載される例えば図18に示す縦モード共振器型フィルタでは、IDT(インターディジタルトランスデューサ)電極102における電極指100、100間の寸法が極めて狭く(伝搬する弾性波の波長が短く)なっている。
【0003】
このように電極指100、100間の離間寸法が狭まるにつれて、静電気放電(ESD:Electrostatic Discharge)などの高電圧が例えば互いに隣接する電極指100、100間に発生した時には、これら電極指100、100間に電流が流れやすくなってしまう。また、互いに電位の異なる部位例えば2つのIDT電極102、102間では、図18の下側に示すように容量成分Cが発生するので、当該IDT電極102、102間の離間寸法(弾性波の波長)が小さくなるにつれて、容量成分Cが大きくなってESDにより通電しやすくなってしまう。
【0004】
そこで、IDT電極102について、ESDによる通電を抑えるために例えば電流の流れやすいエッジ部に丸みを持たせる手法が知られているが、デバイスの静電破壊を抑えることは依然として困難である。また、2つのIDT電極102、102において互いに隣接する電極指100、100の一方を取り除き、いわばIDT電極102、102を離間させた場合には、弾性波の励振されない領域が形成されることになり、スプリアス(信号強度の部分的な増減)の発生によって通過周波数帯域における周波数特性の平坦性が劣化してしまう。
【0005】
特許文献1には、第2電極指24aの先端部25を仮想延長線18上まで延伸することによって、第1バスバー12と第3バスバー32との間の距離L2を長くしてこれらバスバー12、32間におけるESD耐性を高める技術について記載されているが、第2電極指24と第3バスバー32との間におけるESDについては触れられていない。また、特許文献1のように、バスバー12、22間の離間寸法(開口長)よりも電極指14、24間の交差幅を短くした場合には、第2電極指24と当該第2電極指24に隣接する第4ダミー電極指46との間で弾性波が励振されて、不要な縦モードスプリアスが発生してしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−38718(段落0025〜0026、図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明はこのような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、通過周波数帯域における周波数特性の平坦性の劣化を抑えながら、ESD耐性に優れた弾性波デバイスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の弾性波デバイスは、
弾性波の伝搬方向に沿って互いに離間して並べられた複数のIDT電極及びこれら複数のIDT電極を弾性波の伝搬方向における両側から挟むように配置されたグレーティング反射器が共通の圧電基板上に形成されたことと、
前記複数のIDT電極の各々は、信号ポート及び接地ポートの一方及び他方に夫々接続される一対のバスバーと、これらバスバーの各々から対向するバスバーに向かって互いに櫛歯状に伸び出す電極指と、を備えると共に、これらIDT電極における電極指の配列パターンが弾性波の伝搬方向に沿って連続して形成されるように、各々のIDT電極における電極指の配列パターン及び互いに隣接するIDT電極同士の間の離間寸法が設定されたことと、
前記グレーティング反射器の各々は、前記電極指の長さ方向に沿って各々伸びると共に弾性波の伝搬方向に互いに離間して配置された複数本のグレーティング電極指及びこれらグレーティング電極指の各々の一端側及び他端側を夫々接続するグレーティングバスバーを備えると共に、前記グレーティング電極指の配列及び各々のグレーティング反射器に隣接するIDT電極との間の離間寸法が前記配列パターンに対応するように形成されていることと、
互いに隣接する2つのIDT電極のうち一方側のIDT電極において、他方側のIDT電極に隣接する電極指を第1の端部電極指と呼ぶと、当該一方側のIDT電極の一対のバスバーのうち、前記第1の端部電極指の接続されたバスバーに対向するバスバーは、前記他方側のIDT電極側の端部が前記第1の端部電極指の先端部の延長領域よりも前記一方側のIDT電極側に離間するように配置されていることと、
前記延長領域には、前記一方側のIDT電極と前記他方側のIDT電極との間において互いに電位の異なる部位間の静電破壊を抑えるために、弾性波の伝搬方向に直交する方向に伸びる第1のフロートダミー電極が形成されていることと、
この第1のフロートダミー電極は、幅寸法及び当該第1のフロートダミー電極の両側のIDT電極との間の離間寸法が前記配列パターンに対応するように夫々形成されると共に、前記複数のIDT電極、前記信号ポート、前記接地ポート及び前記グレーティング反射器から夫々電気的に浮いた状態となっていることと、を備えたことを特徴とする。
【0009】
前記弾性波デバイスの具体的態様としては、以下のように構成しても良い。
前記グレーティング反射器に隣接するIDT電極において、当該グレーティング反射器に隣接する電極指を第2の端部電極指と呼ぶと、当該隣接するIDT電極の一対のバスバーのうち、前記第2の端部電極指の接続されたバスバーに対向するバスバーは、前記グレーティング反射器側の端部が前記第2の端部電極指の先端部の延長領域よりも前記隣接するIDT電極側に離間するように配置されていることと、
前記第2の端部電極指の延長領域には、前記グレーティング反射器と前記隣接するIDT電極との間における静電破壊を抑えるために、弾性波の伝搬方向に直交する方向に伸びる第2のフロートダミー電極が形成されていることと、
この第2のフロートダミー電極は、幅寸法と前記隣接するIDT電極及びグレーティング反射器との間の離間寸法とが前記配列パターンに対応するように夫々形成されると共に、前記複数のIDT電極、前記信号ポート、前記接地ポート、前記グレーティング反射器及び前記第1のフロートダミー電極から夫々電気的に浮いた状態となっていることと、を備えた構成。
【0010】
前記IDT電極側の少なくとも1本のグレーティング電極指における両端部が前記グレーティングバスバーから開放されてフロート反射器をなすように、当該グレーティングバスバーは、前記グレーティング電極指の各々の一端側及び他端側を夫々接続することに代えて、前記IDT電極とは反対側の端部のグレーティング電極指から、前記少なくとも1本のグレーティング電極指よりも1本当該端部側のグレーティング電極指までの一端側及び他端側を夫々接続するように配置されている構成。
【0011】
前記複数のIDT電極は、一対のバスバー間の寸法である開口長よりも、一対のバスバーのうち一方側のバスバーから伸び出す電極指と、当該電極指に隣接するように他方側のバスバーから伸び出す電極指とが交差する交差幅の方が弾性波の伝搬方向に亘って小さくなるように、これらバスバーから伸び出す電極指の各々の先端部に臨むように当該バスバーに対向するバスバーから各々伸び出すダミー電極指を各々備えていることと、
前記第1のフロートダミー電極は、弾性波の伝搬方向から見た時に、前記第1の端部電極指の先端部に近接する位置と、当該第1の端部電極指の接続されたバスバーに対向するバスバーにおいて電極指の接続された稜線とは反対側の稜線とに亘って形成されていることと、を備えた構成。前記第2のフロートダミー電極は、弾性波の伝搬方向から見た時に、前記第2の端部電極指の先端部に近接する位置と、当該第2の端部電極指の接続されたバスバーに対向するバスバーにおいて電極指の接続された稜線とは反対側の稜線とに亘って形成されている構成。
【0012】
前記一方側のIDT電極において信号ポートの接続されるバスバーと、前記他方側のIDT電極において接地ポートの接続されるバスバーとは、弾性波の伝搬方向に沿って一列に配置され、
前記第1のフロートダミー電極は、前記一方側のIDT電極における前記他方側のIDT電極に隣接する領域に加えて、前記他方側のIDT電極における前記一方側のIDT電極に隣接する領域に設けられている構成。
前記IDT電極は3つ以上設けられ、
これらIDT電極において信号ポートの接続されるバスバーと、接地ポートの接続されるバスバーとは、弾性波の伝搬方向に沿って交互に一列に配置され、
これらIDT電極の互いに隣接する一方側のIDT電極と他方側のIDT電極との各々について、一方側のIDT電極における他方側のIDT電極に隣接する領域と、前記他方側のIDT電極における前記一方側のIDT電極に隣接する領域とに第1のフロートダミー電極が各々配置されている構成。
前記グレーティング反射器と当該グレーティング反射器に隣接するIDT電極との間の各々の領域に前記第2のフロートダミー電極が設けられている構成。前記フロート反射器は、前記IDT電極と前記グレーティング反射器との間の各々の領域に設けられている構成。
【0013】
本発明の弾性波デバイスは、
圧電基板上に形成され、信号ポートまたは接地ポートに夫々接続される一対のバスバー及びこれらバスバーの各々から対向するバスバーに向かって互いに櫛歯状に伸び出す電極指を有するIDT電極を備えたことと、
前記IDT電極に対して弾性波の伝搬方向に離間するように前記圧電基板上に形成され、前記電極指の長さ方向に沿って各々伸びると共に弾性波の伝搬方向に互いに離間して配置された複数本のグレーティング電極指及びこれらグレーティング電極指の各々の一端側及び他端側を夫々接続するグレーティングバスバーを有するグレーティング反射器を備えたことと、
前記IDT電極及び前記グレーティング反射器は、当該IDT電極における電極指の配列パターンが弾性波の伝搬方向に沿って連続して形成されるように、前記電極指の配列パターン、前記グレーティング電極指の配列パターン及び前記IDT電極と前記グレーティング反射器との間の離間寸法が夫々設定されていることと、
前記グレーティング反射器に隣接する電極指を第2の端部電極指と呼ぶと、前記IDT電極の一対のバスバーのうち、前記第2の端部電極指の接続されたバスバーに対向するバスバーは、前記グレーティング反射器側の端部が前記第2の端部電極指の延長領域よりも前記IDT電極側に離間するように配置されていることと、
前記延長領域には、前記グレーティング反射器と前記IDT電極との間における静電破壊を抑えるために、弾性波の伝搬方向に直交する方向に伸びる第2のフロートダミー電極が形成されていることと、
この第2のフロートダミー電極は、幅寸法と前記IDT電極及び前記グレーティング反射器との間の離間寸法とが前記配列パターンに対応するように夫々形成されると共に、前記IDT電極、前記信号ポート、前記接地ポート及び前記グレーティング反射器から夫々電気的に浮いた状態となっていることと、を備えたことを特徴とする。
【0014】
また、本発明の弾性波デバイスは、
圧電基板上に形成され、信号ポートまたは接地ポートに夫々接続される一対のバスバー及びこれらバスバーの各々から対向するバスバーに向かって互いに櫛歯状に伸び出す電極指を有するIDT電極を備えたことと、
前記IDT電極に対して弾性波の伝搬方向に離間するように前記圧電基板上に形成され、前記電極指の長さ方向に沿って各々伸びると共に弾性波の伝搬方向に互いに離間して配置された複数本のグレーティング電極指及び前記IDT電極側から少なくとも2本目のグレーティング電極指から、前記IDT電極とは反対側の端部のグレーティング電極指までの一端側及び他端側を夫々接続するグレーティングバスバーを有するグレーティング反射器を備えたことと、
前記IDT電極及び前記グレーティング反射器は、当該IDT電極における電極指の配列パターンが弾性波の伝搬方向に沿って連続して形成されるように、前記電極指の配列パターン、前記グレーティング電極指の配列パターン及び前記IDT電極と前記グレーティング反射器との間の離間寸法が夫々設定されていることと、
前記グレーティングバスバーから離間して配置されたグレーティング電極指は、前記IDT電極、前記信号ポート、前記接地ポート及び前記グレーティング反射器の他の部位から夫々電気的に浮いた状態となっていることと、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、互いに隣接するIDT電極同士の間の領域または互いに隣接するIDT電極とグレーティング反射器との間の領域において電極指の交差領域よりもバスバー側に離れた位置に、IDT電極の電極指の配列パターンに対応するように幅寸法及び隣接するIDT電極やグレーティング反射器との間の離間寸法が設定されると共に他の部位から電気的に浮いた状態のフロートダミー電極を配置しているので、弾性波の伝搬に対する影響を抑制しつつ、当該フロートダミー電極の両側のIDT電極同士の間またはフロートダミー電極の両側のIDT電極とグレーティング反射器との間において発生する容量成分を小さく抑えることができる。そのため、通過周波数帯域における周波数特性の平坦性の劣化を抑えながら、ESD耐性に優れた弾性波デバイスを得ることができる。また、別の発明は、IDT電極に隣接するグレーティング反射器の少なくとも1本のグレーティング電極指を他の部位から電気的に浮いた状態にしているので、通過周波数帯域における周波数特性の平坦性の劣化を抑えながら、ESD耐性に優れた弾性波デバイスを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の弾性波デバイスが適用された縦モード共振器型フィルタの一例を示す平面図である。
【図2】前記フィルタの一部を拡大して示す模式図である。
【図3】前記フィルタの一部を拡大して示す模式図である。
【図4】従来のフィルタの一部を拡大して示す模式図である。
【図5】前記本発明のフィルタの一部を拡大して示す模式図である。
【図6】本発明のフィルタの他の例を示す平面図である。
【図7】本発明のフィルタの他の例を示す平面図である。
【図8】本発明のフィルタの他の例を示す平面図である。
【図9】本発明のフィルタの他の例を示す平面図である。
【図10】本発明のフィルタの他の例を示す平面図である。
【図11】本発明のフィルタの他の例を示す平面図である。
【図12】本発明のフィルタの他の例を示す平面図である。
【図13】本発明のフィルタの他の例を示す平面図である。
【図14】本発明のフィルタの他の例を示す平面図である。
【図15】本発明のフィルタの他の例を示す平面図である。
【図16】本発明のフィルタの他の例を示す平面図である。
【図17】本発明のフィルタの他の例を示す平面図である。
【図18】従来のフィルタの他の例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の弾性波デバイスを縦モード共振器型フィルタに適用した実施の形態の一例について、図1を参照して説明する。このフィルタは、弾性波の伝搬方向に沿って並べられた複数例えば3つのIDT(インターディジタルトランスデューサ)電極1と、これらIDT電極1を両側から挟むように配置されたグレーティング反射器2と、を備えている。これらIDT電極1及びグレーティング反射器2は、例えば水晶などの圧電性を有する共通の基板10上に形成されている。
【0018】
各々のIDT電極1は、弾性波の伝搬方向に直交する方向に互いに離間するように配置された一対のバスバー11、11と、これらバスバー11の各々から対向するバスバー11に向かって互いに櫛歯状に伸び出す複数本の電極指12と、を備えている。各々のIDT電極1において、バスバー11、11の一方側は信号ポートをなす入力ポート21及び出力ポート22のいずれかに接続され、他方側は接地ポート23に接続されている。これらバスバー11、11について、入力ポート21または出力ポート22のいずれかに接続されたバスバー11に「11a」、接地ポート23に接続されたバスバー11に「11b」の符号を付すと、各々のIDT電極1は、弾性波の伝搬方向に沿って一列にバスバー11aとバスバー11bとが交互に並ぶように配置されている。従って、基板10上には、弾性波の伝搬方向に沿って互いに電位の異なる部位(バスバー11a、11b)が交互に並んでいることになる。各々バスバー11a、11bは、互いに隣接するIDT電極1、1間の境界を見やすくするため、電極指12の接続された部位とは反対側の部位における角部が各々斜めに切り欠かれている。尚、これらバスバー11a、11bの端部の切り欠き部については、誇張して大きく描いている。
【0019】
また、弾性波の伝搬方向に直交する方向を前後方向と呼ぶと共に、これらIDT電極1について、弾性波の伝搬方向に沿って左側から右側に向かって順に「1a」、「1b」、「1c」の符号を付すと、IDT電極1a、1cのバスバー11aは例えば入力ポート21に接続され、IDT電極1bのバスバー11aは例えば出力ポート22に接続されている。これらIDT電極1a、1b、1cは、このフィルタにおいて伝搬する弾性波の波長の長さに対応するように、電極指12の幅寸法と電極指12、12間の離間寸法とからなる周期単位の寸法と、互いに隣接するIDT電極1、1間の離間寸法とからなる配列パターンが設定されており、従って当該配列パターンが弾性波の伝搬方向に沿って連続するように配置されている。ここで、各々のIDT電極1a、1b、1cがほぼ同じ構成となっているため、これらIDT電極1a、1b、1cについて、左側のIDT電極1aを例に挙げて詳述する。
【0020】
IDT電極1aは、バスバー11a、11b間の寸法である開口長Dに対して、バスバー11a(11b)から伸びる電極指12と、当該電極指12に隣接してバスバー11b(11a)から伸びる電極指12とが交差する交差幅Lが短くなるように構成されている。具体的には、一方のバスバー11aから他方のバスバー11bに向かって伸びる電極指12の先端部の延長領域には、他方のバスバー11bから一方側のバスバー11aに向かって伸びるダミー電極指14が当該電極指12の先端部に近接して配置されている。また、同様に他方のバスバー11bから一方のバスバー11aに向かって伸びる電極指12の先端部の延長領域には、一方のバスバー11aから他方側のバスバー11bに向かって伸びるダミー電極指14が当該電極指12の先端部に近接して配置されている。従って、電極指12及びダミー電極指14は、弾性波の伝搬方向に直交する方向に一列に配置されている。
【0021】
ここで、IDT電極1aにおいて右側(IDT電極1bに隣接する側)の電極指12を第1の端部電極指と呼ぶと、この第1の端部電極指12の先端部側の延長線上(延長領域)には、当該延長線に沿って伸びる第1のフロートダミー電極16が形成されている。バスバー11bは、第1の端部電極指12よりも1本左側の電極指12の位置までしか伸びていないため、第1のフロートダミー電極16は、当該バスバー11bから離間している。即ち、第1のフロートダミー電極16は、電気的に浮いた状態となっており、フロート電極を構成している。
【0022】
この第1のフロートダミー電極16は、弾性波の伝搬方向から見た時に、前記第1の端部電極指12の先端部に近接する位置から、バスバー11bにおいて電極指12の接続された稜線とは反対側の稜線までに亘って形成されている。即ち、後述するように、弾性波の励振領域(電極指12、12同士の交差する領域)にて発生した弾性波は、バスバー11bの形成された領域に漏れ出して、当該領域を左右両側に伝搬する。従って、第1のフロートダミー電極16は、前記励振領域からバスバー11b側に外れた領域において、弾性波の伝搬領域に跨がるように配置されていると言える。
【0023】
この第1のフロートダミー電極16は、幅寸法及び当該フロートダミー電極16の両側のIDT電極1a、1bの電極指12、12との間の離間寸法が電極指12の幅寸法及び電極指12、12間の離間寸法と夫々同じ寸法になるように配置されている。従って、第1のフロートダミー電極16の配列パターンは、電極指12の配列パターンに対応している。この第1のフロートダミー電極16は、各IDT電極1a、1b、1cや入力ポート21、出力ポート22、接地ポート23及びグレーティング反射器2のいずれに対しても電気的に接続されておらず、従って他の部位に対して電気的に浮いた状態になっている。
【0024】
また、IDT電極1aにおいて、グレーティング反射器2側の電極指12を第2の端部電極指と呼ぶと、この第2の端部電極指12の先端部側の延長領域には、当該第2の端部電極指12の延長線に沿って伸びる第2のフロートダミー電極18が配置されている。バスバー11bは、当該第2の端部電極指12から離間するように配置されている。この第2のフロートダミー電極18は、幅寸法、長さ寸法及び当該第2のフロートダミー電極18に隣接するIDT電極1aの電極指12との間の離間寸法が夫々第1のフロートダミー電極16における各寸法と同じ寸法に設定されている。また、第2のフロートダミー電極18は、第1のフロートダミー電極16と同様に、弾性波の伝搬方向に直交する方向において、弾性波の励振領域から外れた領域であって当該励振領域から漏れ出した弾性波が伝搬する領域(バスバー11aの形成された領域まで)に亘って配置されている。第2のフロートダミー電極18についても、第1のフロートダミー電極16と同様に、他の部位に対して電気的に浮いた状態となっている。
【0025】
そして、IDT電極1aの右側のIDT電極1b、1cについても、このIDT電極1aと同様に構成されている。具体的には、IDT電極1aにおいて端部電極指12、12の接続されたバスバー11a側を「奥側」、フロートダミー電極16、18の配置された領域側を「手前側」と呼ぶと、IDT電極1bの左右両側には、手前側のバスバー11aから奥側に向かって伸びるように第1の端部電極指12、12が各々配置されている。そして、これら第1の端部電極指12、12の奥側には、各々第1のフロートダミー電極16、16が形成されている。
【0026】
また、IDT電極1cにおいては、当該IDT電極1cの左側には、奥側のバスバー11aから伸びる第1の端部電極指12が配置され、この第1の端部電極指12の手前側に第1のフロートダミー電極16が設けられている。IDT電極1cの右側には、奥側のバスバー11aから伸びる第2の端部電極指12が配置され、この第2の端部電極指12の手前側に第2のフロートダミー電極18が形成されている。従って、フロートダミー電極16(18)は、この例では各IDT電極1a、1b、1cにおいてバスバー11bの端部の両側に各々配置されている。
【0027】
次に、グレーティング反射器2について説明する。このグレーティング反射器2は、電極指12に沿うように且つ弾性波の伝搬方向に互いに離間するように各々配置された複数本のグレーティング電極指31と、これらグレーティング電極指31の一端側及び他端側を夫々接続するように各々配置された一対のグレーティングバスバー32と、を備えている。グレーティング電極指31の幅寸法及びグレーティング電極指31、31間の離間寸法は、IDT電極1における電極指12の幅寸法及び電極指12、12間の離間寸法と夫々同じ寸法に設定されている。従って、グレーティング反射器2は、IDT電極1における既述の配列パターンに対応するように形成されている。
【0028】
グレーティング反射器2とIDT電極1a、1cとの間には、弾性波の伝搬方向に直交する方向に伸びるライン状の電極からなるフロート反射器33が各々配置されており、このフロート反射器33の幅寸法は、電極指12の幅寸法と同じ寸法となっている。また、フロート反射器33は、弾性波の伝搬方向から見た時に、一対のバスバー11a、11bにおいて電極指12、12の各々接続された稜線とは反対側の稜線間に亘って形成されると共に、IDT電極1a、1c(第2のフロートダミー電極18、18)及びグレーティング反射器2との間の離間寸法が電極指12、12間の離間寸法と同じ寸法に設定されている。即ち、このフロート反射器33は、グレーティング反射器2においてIDT電極1a(1c)に各々隣接する1本のグレーティング電極指31の両端側を夫々グレーティングバスバー32、32から離間させた状態となっている。このフロート反射器33についても、既述のフロートダミー電極16、18と同様に他の部位から電気的に浮いた状態になっている。従って、3つのIDT電極1、これらIDT電極1の両側のグレーティング反射器2及びフロート反射器33は、弾性波の伝搬方向に沿って前記配列パターンが連続するように形成されている。
【0029】
このフィルタにおいて入力ポート21に電気信号を入力すると、電極指12、12間の交差領域(励振領域)において弾性波が発生して、左右両側に伝搬していく。この弾性波は、基板10上を伝搬するにつれて、弾性波の伝搬方向に直交する方向に広がっていき、図2に示すように、バスバー11a、11bにおいて夫々電極指12、12の接続された稜線とは反対側の稜線間に亘って広がった状態となる。そして、この弾性波は、グレーティング反射器2に到達すると、当該グレーティング反射器2において反射して、3つのIDT電極1が配置された領域を介してグレーティング反射器2、2間において行き来する。この時、第1のフロートダミー電極16、第2のフロートダミー電極18及びフロート反射器33について、電極指12、12の配列パターンと同じパターンとなるように配置しているので、これらフロートダミー電極16、18及びフロート反射器33では、弾性波のバルク放射などが抑えられる。また、バスバー11a、11bの配置された領域までに亘ってフロートダミー電極16、18を各々形成しているので、当該バスバー11a、11bの形成された領域と、既述の交差領域との間において弾性波の伝搬速度が揃う。そのため、バスバー11a、11b間に亘って広がって伝搬する弾性波が出力ポート22から電気信号として取り出されると、スプリアスが抑えられた状態となり、通過周波数帯域における周波数特性について平坦性が良好となる。尚、図2はフィルタを模式的に示している。
【0030】
そして、既述のように互いに隣接するバスバー11a、11b間では互いの電位が異なっているので、これらバスバー11a、11bにおいて容量成分Cが生成しようとする。図3は、このような容量成分Cについて、IDT電極1a、1b間の領域について拡大して表している。ここで、これらバスバー11a、11b間には第1のフロートダミー電極16が介設されているので、前記容量成分Cは、当該第1のフロートダミー電極16を介して形成される。従って、バスバー11a、11b間に2つの容量成分C1、C2が第1のフロートダミー電極16を介して直列に接続されるので、これら容量成分C1、C2の合計値は、この第1のフロートダミー電極16を設けない場合(容量成分C)の1/2になる。図4には、既述の図18に示したフィルタの場合(第1のフロートダミー電極16が設けられていない場合)において生成する容量成分Cを模式的に示している。
【0031】
また、図3及び図4から分かるように、バスバー11a、11b間に第1のフロートダミー電極16を配置することによって、IDT電極1a、1b間において既述の配列パターンを形成しながら、第1のフロートダミー電極16を設けない場合よりもバスバー11a、11b間の寸法Wが広くなっているので、容量成分C1、C2の合計値は、図4の容量成分Cの1/2よりも更に小さくなる。
【0032】
そして、IDT電極1a、1b間の手前側の領域においても、第1のフロートダミー電極16を介してバスバー11a、11b間に容量成分C1、C2が形成され、同様にIDT電極1b、1c間についても第1のフロートダミー電極16、16を介してこれら容量成分C1、C2が形成される。
【0033】
また、IDT電極1a(1c)とグレーティング反射器2との間においては、既述の例と同様に、例えば手前側のグレーティングバスバー32とバスバー11bとの間において容量成分Cが生成しようとする。しかし、図5に示すように、これらグレーティングバスバー32とバスバー11bとの間に第2のフロートダミー電極18及びフロート反射器33が配置されているので、第2のフロートダミー電極18及びフロート反射器33を介して3つの容量成分C1、C2、C3が直列に形成される。また、これらグレーティングバスバー32とバスバー11bとの間の寸法は、第2のフロートダミー電極18及びフロート反射器33を設けない場合(既述の図18)と比べて大きくなる。従って、これら3つ容量成分C1、C2、C3の合計値は、図18においてグレーティング反射器2とIDT電極1との間で生成する容量成分Cの1/3よりも小さくなる。
【0034】
そのため、このフィルタに静電気放電(ESD:Electrostatic Discharge)などの高電圧が印加されたとしても、互いに隣接するIDT電極1、1間あるいは互いに隣接するIDT電極1とグレーティング反射器2との間における静電破壊が抑えられる。また、前記高電圧によりフィルタにおいて静電破壊が起こったとしても、図18のフィルタと比べて、互いに隣接するIDT電極1、1間及び互いに隣接するIDT電極1とグレーティング反射器2との間の容量成分Cが小さいので、流れる電流値が小さくなる。尚、図5についてもフィルタの一部を拡大して示している。
【0035】
更に、図18のフィルタでは、図4に「○」印で示すように、互いに隣接するIDT電極1、1において、電極指12とダミー電極指14との間において弾性波が発生し、当該弾性波が不要な縦モードスプリアスの原因となってしまう。しかし、図1のフィルタでは、これら電極指12とダミー電極指14との間の領域には第1のフロートダミー電極16が配置されており、また既述のようにこれら電極指12とダミー電極指14とが大きく離間しているので、当該領域における弾性波の発生が抑えられる。
【0036】
上述の実施の形態によれば、電極指12、12の交差領域からバスバー11側に離れた位置において、互いに隣接するIDT電極1、1間及び互いに隣接するIDT電極1とグレーティング反射器2との間に夫々第1のフロートダミー電極16、16及び第2のフロートダミー電極18を設けると共に、互いに隣接するIDT電極1とグレーティング反射器2との間にフロート反射器33を配置している。そして、これらフロートダミー電極16、18及びフロート反射器33を他の部位から電気的に浮いた状態にすると共に、これらフロートダミー電極16、18及びフロート反射器33をIDT電極1における配列パターンに対応するように形成している。そのため、これらフロートダミー電極16、18及びフロート反射器33を設けない場合と比べて、弾性波に対する影響を抑制しつつ、互いに隣接するIDT電極1、1間及び互いに隣接するIDT電極1とグレーティング反射器2との間において生成する容量成分Cを小さくすることができる。従って、通過周波数帯域における周波数特性の平坦性の劣化を抑えながら、例えば入力ポート21または出力ポート22と接地ポート23との間に静電気などの高電圧が印加されたとしても、これら入力ポート21または出力ポート22と接地ポート23との間の通電(静電破壊)を抑えることができるので、ESD(Electrostatic Discharge)耐性に優れた弾性波デバイスを得ることができる。また、フロートダミー電極16、18及びフロート反射器33を設けることによって、互いに隣接するIDT電極1、1間及び互いに隣接するIDT電極1とグレーティング反射器2との間において生成する容量成分Cが小さくなるので、静電気などが発生して入力ポート21または出力ポート22と接地ポート23との間で通電したとしても、フロートダミー電極16、18及びフロート反射器33を設けない場合に比べて、電流値が小さくなるため静電破壊に対する耐性が向上していると言える。
【0037】
また、バスバー11a、11bの形成された領域にまで亘ってフロートダミー電極16、18を形成しているので、当該領域と電極指12、12の交差領域との間における弾性波の速度差を抑えることができ、スプリアスが抑えられて平坦性の高い特性を得ることができる。更に、第1のフロートダミー電極16を設けることにより、IDT電極1、1において互いに隣接する電極指12とダミー電極指14との間において弾性波の発生を抑えることができるので、不要な縦モードスプリアスの発生を抑えて平坦性に優れた特性を得ることができる。
【0038】
既述の例においては、互いに隣接するIDT電極1とグレーティング反射器2との間に各々フロート反射器33を設けたが、左右いずれかだけにフロート反射器33を配置しても良いし、あるいは図6に示すように、フロート反射器33を設けなくても良い。更に、第2のフロートダミー電極18についても左右いずれかだけに設けても良いし、図7に示すように第2のフロートダミー電極18を設けなくても良い。更にまた、第1のフロートダミー電極16についても、互いに隣接するIDT電極1、1間において手前側及び奥側に夫々配置したが、手前側及び奥側の一方だけに配置しても良いし、互いに隣接するIDT電極1、1間の少なくとも1箇所だけに設けても良い。また、これら第1のフロートダミー電極16及び第2のフロートダミー電極18を配置せずに、互いに隣接するIDT電極1とグレーティング反射器2との間の領域の少なくとも一方にフロート反射器33を配置しても良い。図8は、フロートダミー電極16、18を配置せずに、互いに隣接するIDT電極1とグレーティング反射器2との間の領域の各々にフロート反射器33、23を配置した例を示している。
【0039】
また、図9に示すように、ダミー電極指14を配置せずに、一方側のバスバー11a(11b)から伸びる電極指12の先端部を他方側のバスバー11b(11a)に近接する位置まで伸張させ、開口長Dと交差幅Lとを揃えても良い。図9には、このような場合において、第1のフロートダミー電極16、第2のフロートダミー電極18及びフロート反射器33を設けた例を示している。この場合においてフロートダミー電極16、18は、端部電極指12、12の先端側から離れた領域において、弾性波の伝搬方向から見た時にバスバー11a、11bの形成された領域と重なるように形成されている。この場合においても、電極指12、12の交差領域において弾性波が発生すると、この弾性波はバスバー11a、11bの形成された領域までに亘って広がって伝搬するので、フロートダミー電極16、18によって当該領域と交差領域との間における弾性波の速度差が抑えられる。
【0040】
また、図10に示すように、既述の各フィルタを縦続接続しても良い。図10には、図1に示したフィルタを2つ縦続に接続した例を示しており、3つのIDT電極1とこれらIDT電極1の両側に配置されたグレーティング反射器2、2とからなるフィルタ50を共通の基板10上に手前側及び奥側に並べている。そして、奥側のフィルタ50のIDT電極1bの手前側のバスバー11と手前側のフィルタ50のIDT電極1bの奥側のバスバー11とを接続し、奥側のIDT電極1a、1cの奥側のバスバー11及び手前側のフィルタ50のIDT電極1bの手前側のバスバー11を夫々入力ポート21及び出力ポート22に接続している。
【0041】
更に、以上の各例では3つIDT電極1を並べる例について説明したが、IDT電極1の数量としては2つであっても良いし、4つ以上であっても良い。また、図11に示すように、1つのIDT電極1の両側にグレーティング反射器2、2を配置して、弾性波共振子を構成しても良い。そして、IDT電極1とグレーティング反射器2と間の少なくとも一方に第2のフロートダミー電極18を設けても良いし、第2のフロートダミー電極18と共に、あるいは第2のフロートダミー電極18に代えて、IDT電極1とグレーティング反射器2との間の少なくとも一方にフロート反射器33を配置しても良い。
【0042】
また、本発明は、既述の縦モード共振器型フィルタや弾性波共振子を含むデバイス例えばデュプレクサなどの2つのIDT電極1、1が隣接して配置された弾性波デバイスあるいはIDT電極1とグレーティング反射器2とが隣接して配置された弾性波デバイスに適用される。
【0043】
既述のように、第1のフロートダミー電極16について、互いに隣接するIDT電極1、1間の手前側及び奥側の一方だけに配置する場合には、この第1のフロートダミー電極16は、互いに電位の異なるバスバー11a、11b間に介設される。具体的には、図12及び図13に示すように、入力ポート21または出力ポート22の接続されたバスバー11aと接地ポート23に接続されたバスバー11bとが弾性波の伝搬方向に沿って一列に交互に配置されている場合には、これらバスバー11a、11bの間のいずれか一方に第1のフロートダミー電極16を配置しても良い。また、図14に示すように、入力ポート21に接続されたバスバー11aと出力ポート22に接続されたバスバー11aとが弾性波の伝搬方向に沿って一列に配置され、また接地ポート23に接続されたバスバー11b、11b同士が弾性波の伝搬方向に沿って一列に配置されている場合には、第1のフロートダミー電極16は、バスバー11a、11a間に配置される。
【0044】
更に、フロートダミー電極16、18について、端部電極指12、12に近接する位置からバスバー11a、11bの形成された領域までに亘って配置したが、図15に示すように、バスバー11a、11b間の領域だけに形成しても良い。この場合においても、フロートダミー電極16、18の配置された領域と電極指12、12の交差領域との間における弾性波の速度差が抑えられる。この時、当該フロートダミー電極16、18の配置されたIDT電極1について、このフロートダミー電極16、18側のバスバー11は、既述のようにフロートダミー電極16、18の延長領域から離間して配置される。尚、以上の図12〜図15については、フィルタの一部を拡大して示している。
【0045】
ここで、フロートダミー電極16(18)としては、図16に示すように、長さ方向に複数例えば2つに区画しても良いし、図17に示すように弾性波の伝搬方向に複数例えば2つに区画しても良い。図17のようにフロートダミー電極16(18)を配置した場合には、バスバー11a、11b間において容量成分C1〜C3が互いに直列に接続されることになるので、これらバスバー11a、11b間の容量成分Cを更に小さくすることができる。これらの場合であっても、フロートダミー電極16(18)は、既述の配列パターンに対応して形成されていることになる。また、互いに隣接するIDT電極1とグレーティング反射器2との間にフロート反射器33を1本ずつ配置したが、各々2本あるいは3本ずつ配置しても良い。
【0046】
既述の基板10を構成する材質としては、水晶に代えて、LiTaO3(タンタル酸リチウム)やLiNbO3(ニオブ酸リチウム)などの圧電性を持つ材料であっても良いし、あるいは例えばガラスなどの圧電性を持たない板状体の上にこれら圧電性を持つ材料の薄膜を一層以上積層した基板や圧電薄膜の積層体などであっても良い。
【符号の説明】
【0047】
1a、1b、1c IDT電極
2 グレーティング反射器
10 基板
12 電極指
16 第1のフロートダミー電極
18 第2のフロートダミー電極
【技術分野】
【0001】
本発明は、IDT(インターディジタルトランスデューサ)電極を備えた弾性波デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話端末などの通信機器に使用される周波数帯域の高域化に伴い、当該通信機器に搭載されるSAW(Surface Acoustic Wave)フィルタやSAWデュプレクサなどの弾性波デバイスについても高域化が要求されている。そのため、この通信機器に搭載される例えば図18に示す縦モード共振器型フィルタでは、IDT(インターディジタルトランスデューサ)電極102における電極指100、100間の寸法が極めて狭く(伝搬する弾性波の波長が短く)なっている。
【0003】
このように電極指100、100間の離間寸法が狭まるにつれて、静電気放電(ESD:Electrostatic Discharge)などの高電圧が例えば互いに隣接する電極指100、100間に発生した時には、これら電極指100、100間に電流が流れやすくなってしまう。また、互いに電位の異なる部位例えば2つのIDT電極102、102間では、図18の下側に示すように容量成分Cが発生するので、当該IDT電極102、102間の離間寸法(弾性波の波長)が小さくなるにつれて、容量成分Cが大きくなってESDにより通電しやすくなってしまう。
【0004】
そこで、IDT電極102について、ESDによる通電を抑えるために例えば電流の流れやすいエッジ部に丸みを持たせる手法が知られているが、デバイスの静電破壊を抑えることは依然として困難である。また、2つのIDT電極102、102において互いに隣接する電極指100、100の一方を取り除き、いわばIDT電極102、102を離間させた場合には、弾性波の励振されない領域が形成されることになり、スプリアス(信号強度の部分的な増減)の発生によって通過周波数帯域における周波数特性の平坦性が劣化してしまう。
【0005】
特許文献1には、第2電極指24aの先端部25を仮想延長線18上まで延伸することによって、第1バスバー12と第3バスバー32との間の距離L2を長くしてこれらバスバー12、32間におけるESD耐性を高める技術について記載されているが、第2電極指24と第3バスバー32との間におけるESDについては触れられていない。また、特許文献1のように、バスバー12、22間の離間寸法(開口長)よりも電極指14、24間の交差幅を短くした場合には、第2電極指24と当該第2電極指24に隣接する第4ダミー電極指46との間で弾性波が励振されて、不要な縦モードスプリアスが発生してしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−38718(段落0025〜0026、図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明はこのような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、通過周波数帯域における周波数特性の平坦性の劣化を抑えながら、ESD耐性に優れた弾性波デバイスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の弾性波デバイスは、
弾性波の伝搬方向に沿って互いに離間して並べられた複数のIDT電極及びこれら複数のIDT電極を弾性波の伝搬方向における両側から挟むように配置されたグレーティング反射器が共通の圧電基板上に形成されたことと、
前記複数のIDT電極の各々は、信号ポート及び接地ポートの一方及び他方に夫々接続される一対のバスバーと、これらバスバーの各々から対向するバスバーに向かって互いに櫛歯状に伸び出す電極指と、を備えると共に、これらIDT電極における電極指の配列パターンが弾性波の伝搬方向に沿って連続して形成されるように、各々のIDT電極における電極指の配列パターン及び互いに隣接するIDT電極同士の間の離間寸法が設定されたことと、
前記グレーティング反射器の各々は、前記電極指の長さ方向に沿って各々伸びると共に弾性波の伝搬方向に互いに離間して配置された複数本のグレーティング電極指及びこれらグレーティング電極指の各々の一端側及び他端側を夫々接続するグレーティングバスバーを備えると共に、前記グレーティング電極指の配列及び各々のグレーティング反射器に隣接するIDT電極との間の離間寸法が前記配列パターンに対応するように形成されていることと、
互いに隣接する2つのIDT電極のうち一方側のIDT電極において、他方側のIDT電極に隣接する電極指を第1の端部電極指と呼ぶと、当該一方側のIDT電極の一対のバスバーのうち、前記第1の端部電極指の接続されたバスバーに対向するバスバーは、前記他方側のIDT電極側の端部が前記第1の端部電極指の先端部の延長領域よりも前記一方側のIDT電極側に離間するように配置されていることと、
前記延長領域には、前記一方側のIDT電極と前記他方側のIDT電極との間において互いに電位の異なる部位間の静電破壊を抑えるために、弾性波の伝搬方向に直交する方向に伸びる第1のフロートダミー電極が形成されていることと、
この第1のフロートダミー電極は、幅寸法及び当該第1のフロートダミー電極の両側のIDT電極との間の離間寸法が前記配列パターンに対応するように夫々形成されると共に、前記複数のIDT電極、前記信号ポート、前記接地ポート及び前記グレーティング反射器から夫々電気的に浮いた状態となっていることと、を備えたことを特徴とする。
【0009】
前記弾性波デバイスの具体的態様としては、以下のように構成しても良い。
前記グレーティング反射器に隣接するIDT電極において、当該グレーティング反射器に隣接する電極指を第2の端部電極指と呼ぶと、当該隣接するIDT電極の一対のバスバーのうち、前記第2の端部電極指の接続されたバスバーに対向するバスバーは、前記グレーティング反射器側の端部が前記第2の端部電極指の先端部の延長領域よりも前記隣接するIDT電極側に離間するように配置されていることと、
前記第2の端部電極指の延長領域には、前記グレーティング反射器と前記隣接するIDT電極との間における静電破壊を抑えるために、弾性波の伝搬方向に直交する方向に伸びる第2のフロートダミー電極が形成されていることと、
この第2のフロートダミー電極は、幅寸法と前記隣接するIDT電極及びグレーティング反射器との間の離間寸法とが前記配列パターンに対応するように夫々形成されると共に、前記複数のIDT電極、前記信号ポート、前記接地ポート、前記グレーティング反射器及び前記第1のフロートダミー電極から夫々電気的に浮いた状態となっていることと、を備えた構成。
【0010】
前記IDT電極側の少なくとも1本のグレーティング電極指における両端部が前記グレーティングバスバーから開放されてフロート反射器をなすように、当該グレーティングバスバーは、前記グレーティング電極指の各々の一端側及び他端側を夫々接続することに代えて、前記IDT電極とは反対側の端部のグレーティング電極指から、前記少なくとも1本のグレーティング電極指よりも1本当該端部側のグレーティング電極指までの一端側及び他端側を夫々接続するように配置されている構成。
【0011】
前記複数のIDT電極は、一対のバスバー間の寸法である開口長よりも、一対のバスバーのうち一方側のバスバーから伸び出す電極指と、当該電極指に隣接するように他方側のバスバーから伸び出す電極指とが交差する交差幅の方が弾性波の伝搬方向に亘って小さくなるように、これらバスバーから伸び出す電極指の各々の先端部に臨むように当該バスバーに対向するバスバーから各々伸び出すダミー電極指を各々備えていることと、
前記第1のフロートダミー電極は、弾性波の伝搬方向から見た時に、前記第1の端部電極指の先端部に近接する位置と、当該第1の端部電極指の接続されたバスバーに対向するバスバーにおいて電極指の接続された稜線とは反対側の稜線とに亘って形成されていることと、を備えた構成。前記第2のフロートダミー電極は、弾性波の伝搬方向から見た時に、前記第2の端部電極指の先端部に近接する位置と、当該第2の端部電極指の接続されたバスバーに対向するバスバーにおいて電極指の接続された稜線とは反対側の稜線とに亘って形成されている構成。
【0012】
前記一方側のIDT電極において信号ポートの接続されるバスバーと、前記他方側のIDT電極において接地ポートの接続されるバスバーとは、弾性波の伝搬方向に沿って一列に配置され、
前記第1のフロートダミー電極は、前記一方側のIDT電極における前記他方側のIDT電極に隣接する領域に加えて、前記他方側のIDT電極における前記一方側のIDT電極に隣接する領域に設けられている構成。
前記IDT電極は3つ以上設けられ、
これらIDT電極において信号ポートの接続されるバスバーと、接地ポートの接続されるバスバーとは、弾性波の伝搬方向に沿って交互に一列に配置され、
これらIDT電極の互いに隣接する一方側のIDT電極と他方側のIDT電極との各々について、一方側のIDT電極における他方側のIDT電極に隣接する領域と、前記他方側のIDT電極における前記一方側のIDT電極に隣接する領域とに第1のフロートダミー電極が各々配置されている構成。
前記グレーティング反射器と当該グレーティング反射器に隣接するIDT電極との間の各々の領域に前記第2のフロートダミー電極が設けられている構成。前記フロート反射器は、前記IDT電極と前記グレーティング反射器との間の各々の領域に設けられている構成。
【0013】
本発明の弾性波デバイスは、
圧電基板上に形成され、信号ポートまたは接地ポートに夫々接続される一対のバスバー及びこれらバスバーの各々から対向するバスバーに向かって互いに櫛歯状に伸び出す電極指を有するIDT電極を備えたことと、
前記IDT電極に対して弾性波の伝搬方向に離間するように前記圧電基板上に形成され、前記電極指の長さ方向に沿って各々伸びると共に弾性波の伝搬方向に互いに離間して配置された複数本のグレーティング電極指及びこれらグレーティング電極指の各々の一端側及び他端側を夫々接続するグレーティングバスバーを有するグレーティング反射器を備えたことと、
前記IDT電極及び前記グレーティング反射器は、当該IDT電極における電極指の配列パターンが弾性波の伝搬方向に沿って連続して形成されるように、前記電極指の配列パターン、前記グレーティング電極指の配列パターン及び前記IDT電極と前記グレーティング反射器との間の離間寸法が夫々設定されていることと、
前記グレーティング反射器に隣接する電極指を第2の端部電極指と呼ぶと、前記IDT電極の一対のバスバーのうち、前記第2の端部電極指の接続されたバスバーに対向するバスバーは、前記グレーティング反射器側の端部が前記第2の端部電極指の延長領域よりも前記IDT電極側に離間するように配置されていることと、
前記延長領域には、前記グレーティング反射器と前記IDT電極との間における静電破壊を抑えるために、弾性波の伝搬方向に直交する方向に伸びる第2のフロートダミー電極が形成されていることと、
この第2のフロートダミー電極は、幅寸法と前記IDT電極及び前記グレーティング反射器との間の離間寸法とが前記配列パターンに対応するように夫々形成されると共に、前記IDT電極、前記信号ポート、前記接地ポート及び前記グレーティング反射器から夫々電気的に浮いた状態となっていることと、を備えたことを特徴とする。
【0014】
また、本発明の弾性波デバイスは、
圧電基板上に形成され、信号ポートまたは接地ポートに夫々接続される一対のバスバー及びこれらバスバーの各々から対向するバスバーに向かって互いに櫛歯状に伸び出す電極指を有するIDT電極を備えたことと、
前記IDT電極に対して弾性波の伝搬方向に離間するように前記圧電基板上に形成され、前記電極指の長さ方向に沿って各々伸びると共に弾性波の伝搬方向に互いに離間して配置された複数本のグレーティング電極指及び前記IDT電極側から少なくとも2本目のグレーティング電極指から、前記IDT電極とは反対側の端部のグレーティング電極指までの一端側及び他端側を夫々接続するグレーティングバスバーを有するグレーティング反射器を備えたことと、
前記IDT電極及び前記グレーティング反射器は、当該IDT電極における電極指の配列パターンが弾性波の伝搬方向に沿って連続して形成されるように、前記電極指の配列パターン、前記グレーティング電極指の配列パターン及び前記IDT電極と前記グレーティング反射器との間の離間寸法が夫々設定されていることと、
前記グレーティングバスバーから離間して配置されたグレーティング電極指は、前記IDT電極、前記信号ポート、前記接地ポート及び前記グレーティング反射器の他の部位から夫々電気的に浮いた状態となっていることと、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、互いに隣接するIDT電極同士の間の領域または互いに隣接するIDT電極とグレーティング反射器との間の領域において電極指の交差領域よりもバスバー側に離れた位置に、IDT電極の電極指の配列パターンに対応するように幅寸法及び隣接するIDT電極やグレーティング反射器との間の離間寸法が設定されると共に他の部位から電気的に浮いた状態のフロートダミー電極を配置しているので、弾性波の伝搬に対する影響を抑制しつつ、当該フロートダミー電極の両側のIDT電極同士の間またはフロートダミー電極の両側のIDT電極とグレーティング反射器との間において発生する容量成分を小さく抑えることができる。そのため、通過周波数帯域における周波数特性の平坦性の劣化を抑えながら、ESD耐性に優れた弾性波デバイスを得ることができる。また、別の発明は、IDT電極に隣接するグレーティング反射器の少なくとも1本のグレーティング電極指を他の部位から電気的に浮いた状態にしているので、通過周波数帯域における周波数特性の平坦性の劣化を抑えながら、ESD耐性に優れた弾性波デバイスを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の弾性波デバイスが適用された縦モード共振器型フィルタの一例を示す平面図である。
【図2】前記フィルタの一部を拡大して示す模式図である。
【図3】前記フィルタの一部を拡大して示す模式図である。
【図4】従来のフィルタの一部を拡大して示す模式図である。
【図5】前記本発明のフィルタの一部を拡大して示す模式図である。
【図6】本発明のフィルタの他の例を示す平面図である。
【図7】本発明のフィルタの他の例を示す平面図である。
【図8】本発明のフィルタの他の例を示す平面図である。
【図9】本発明のフィルタの他の例を示す平面図である。
【図10】本発明のフィルタの他の例を示す平面図である。
【図11】本発明のフィルタの他の例を示す平面図である。
【図12】本発明のフィルタの他の例を示す平面図である。
【図13】本発明のフィルタの他の例を示す平面図である。
【図14】本発明のフィルタの他の例を示す平面図である。
【図15】本発明のフィルタの他の例を示す平面図である。
【図16】本発明のフィルタの他の例を示す平面図である。
【図17】本発明のフィルタの他の例を示す平面図である。
【図18】従来のフィルタの他の例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の弾性波デバイスを縦モード共振器型フィルタに適用した実施の形態の一例について、図1を参照して説明する。このフィルタは、弾性波の伝搬方向に沿って並べられた複数例えば3つのIDT(インターディジタルトランスデューサ)電極1と、これらIDT電極1を両側から挟むように配置されたグレーティング反射器2と、を備えている。これらIDT電極1及びグレーティング反射器2は、例えば水晶などの圧電性を有する共通の基板10上に形成されている。
【0018】
各々のIDT電極1は、弾性波の伝搬方向に直交する方向に互いに離間するように配置された一対のバスバー11、11と、これらバスバー11の各々から対向するバスバー11に向かって互いに櫛歯状に伸び出す複数本の電極指12と、を備えている。各々のIDT電極1において、バスバー11、11の一方側は信号ポートをなす入力ポート21及び出力ポート22のいずれかに接続され、他方側は接地ポート23に接続されている。これらバスバー11、11について、入力ポート21または出力ポート22のいずれかに接続されたバスバー11に「11a」、接地ポート23に接続されたバスバー11に「11b」の符号を付すと、各々のIDT電極1は、弾性波の伝搬方向に沿って一列にバスバー11aとバスバー11bとが交互に並ぶように配置されている。従って、基板10上には、弾性波の伝搬方向に沿って互いに電位の異なる部位(バスバー11a、11b)が交互に並んでいることになる。各々バスバー11a、11bは、互いに隣接するIDT電極1、1間の境界を見やすくするため、電極指12の接続された部位とは反対側の部位における角部が各々斜めに切り欠かれている。尚、これらバスバー11a、11bの端部の切り欠き部については、誇張して大きく描いている。
【0019】
また、弾性波の伝搬方向に直交する方向を前後方向と呼ぶと共に、これらIDT電極1について、弾性波の伝搬方向に沿って左側から右側に向かって順に「1a」、「1b」、「1c」の符号を付すと、IDT電極1a、1cのバスバー11aは例えば入力ポート21に接続され、IDT電極1bのバスバー11aは例えば出力ポート22に接続されている。これらIDT電極1a、1b、1cは、このフィルタにおいて伝搬する弾性波の波長の長さに対応するように、電極指12の幅寸法と電極指12、12間の離間寸法とからなる周期単位の寸法と、互いに隣接するIDT電極1、1間の離間寸法とからなる配列パターンが設定されており、従って当該配列パターンが弾性波の伝搬方向に沿って連続するように配置されている。ここで、各々のIDT電極1a、1b、1cがほぼ同じ構成となっているため、これらIDT電極1a、1b、1cについて、左側のIDT電極1aを例に挙げて詳述する。
【0020】
IDT電極1aは、バスバー11a、11b間の寸法である開口長Dに対して、バスバー11a(11b)から伸びる電極指12と、当該電極指12に隣接してバスバー11b(11a)から伸びる電極指12とが交差する交差幅Lが短くなるように構成されている。具体的には、一方のバスバー11aから他方のバスバー11bに向かって伸びる電極指12の先端部の延長領域には、他方のバスバー11bから一方側のバスバー11aに向かって伸びるダミー電極指14が当該電極指12の先端部に近接して配置されている。また、同様に他方のバスバー11bから一方のバスバー11aに向かって伸びる電極指12の先端部の延長領域には、一方のバスバー11aから他方側のバスバー11bに向かって伸びるダミー電極指14が当該電極指12の先端部に近接して配置されている。従って、電極指12及びダミー電極指14は、弾性波の伝搬方向に直交する方向に一列に配置されている。
【0021】
ここで、IDT電極1aにおいて右側(IDT電極1bに隣接する側)の電極指12を第1の端部電極指と呼ぶと、この第1の端部電極指12の先端部側の延長線上(延長領域)には、当該延長線に沿って伸びる第1のフロートダミー電極16が形成されている。バスバー11bは、第1の端部電極指12よりも1本左側の電極指12の位置までしか伸びていないため、第1のフロートダミー電極16は、当該バスバー11bから離間している。即ち、第1のフロートダミー電極16は、電気的に浮いた状態となっており、フロート電極を構成している。
【0022】
この第1のフロートダミー電極16は、弾性波の伝搬方向から見た時に、前記第1の端部電極指12の先端部に近接する位置から、バスバー11bにおいて電極指12の接続された稜線とは反対側の稜線までに亘って形成されている。即ち、後述するように、弾性波の励振領域(電極指12、12同士の交差する領域)にて発生した弾性波は、バスバー11bの形成された領域に漏れ出して、当該領域を左右両側に伝搬する。従って、第1のフロートダミー電極16は、前記励振領域からバスバー11b側に外れた領域において、弾性波の伝搬領域に跨がるように配置されていると言える。
【0023】
この第1のフロートダミー電極16は、幅寸法及び当該フロートダミー電極16の両側のIDT電極1a、1bの電極指12、12との間の離間寸法が電極指12の幅寸法及び電極指12、12間の離間寸法と夫々同じ寸法になるように配置されている。従って、第1のフロートダミー電極16の配列パターンは、電極指12の配列パターンに対応している。この第1のフロートダミー電極16は、各IDT電極1a、1b、1cや入力ポート21、出力ポート22、接地ポート23及びグレーティング反射器2のいずれに対しても電気的に接続されておらず、従って他の部位に対して電気的に浮いた状態になっている。
【0024】
また、IDT電極1aにおいて、グレーティング反射器2側の電極指12を第2の端部電極指と呼ぶと、この第2の端部電極指12の先端部側の延長領域には、当該第2の端部電極指12の延長線に沿って伸びる第2のフロートダミー電極18が配置されている。バスバー11bは、当該第2の端部電極指12から離間するように配置されている。この第2のフロートダミー電極18は、幅寸法、長さ寸法及び当該第2のフロートダミー電極18に隣接するIDT電極1aの電極指12との間の離間寸法が夫々第1のフロートダミー電極16における各寸法と同じ寸法に設定されている。また、第2のフロートダミー電極18は、第1のフロートダミー電極16と同様に、弾性波の伝搬方向に直交する方向において、弾性波の励振領域から外れた領域であって当該励振領域から漏れ出した弾性波が伝搬する領域(バスバー11aの形成された領域まで)に亘って配置されている。第2のフロートダミー電極18についても、第1のフロートダミー電極16と同様に、他の部位に対して電気的に浮いた状態となっている。
【0025】
そして、IDT電極1aの右側のIDT電極1b、1cについても、このIDT電極1aと同様に構成されている。具体的には、IDT電極1aにおいて端部電極指12、12の接続されたバスバー11a側を「奥側」、フロートダミー電極16、18の配置された領域側を「手前側」と呼ぶと、IDT電極1bの左右両側には、手前側のバスバー11aから奥側に向かって伸びるように第1の端部電極指12、12が各々配置されている。そして、これら第1の端部電極指12、12の奥側には、各々第1のフロートダミー電極16、16が形成されている。
【0026】
また、IDT電極1cにおいては、当該IDT電極1cの左側には、奥側のバスバー11aから伸びる第1の端部電極指12が配置され、この第1の端部電極指12の手前側に第1のフロートダミー電極16が設けられている。IDT電極1cの右側には、奥側のバスバー11aから伸びる第2の端部電極指12が配置され、この第2の端部電極指12の手前側に第2のフロートダミー電極18が形成されている。従って、フロートダミー電極16(18)は、この例では各IDT電極1a、1b、1cにおいてバスバー11bの端部の両側に各々配置されている。
【0027】
次に、グレーティング反射器2について説明する。このグレーティング反射器2は、電極指12に沿うように且つ弾性波の伝搬方向に互いに離間するように各々配置された複数本のグレーティング電極指31と、これらグレーティング電極指31の一端側及び他端側を夫々接続するように各々配置された一対のグレーティングバスバー32と、を備えている。グレーティング電極指31の幅寸法及びグレーティング電極指31、31間の離間寸法は、IDT電極1における電極指12の幅寸法及び電極指12、12間の離間寸法と夫々同じ寸法に設定されている。従って、グレーティング反射器2は、IDT電極1における既述の配列パターンに対応するように形成されている。
【0028】
グレーティング反射器2とIDT電極1a、1cとの間には、弾性波の伝搬方向に直交する方向に伸びるライン状の電極からなるフロート反射器33が各々配置されており、このフロート反射器33の幅寸法は、電極指12の幅寸法と同じ寸法となっている。また、フロート反射器33は、弾性波の伝搬方向から見た時に、一対のバスバー11a、11bにおいて電極指12、12の各々接続された稜線とは反対側の稜線間に亘って形成されると共に、IDT電極1a、1c(第2のフロートダミー電極18、18)及びグレーティング反射器2との間の離間寸法が電極指12、12間の離間寸法と同じ寸法に設定されている。即ち、このフロート反射器33は、グレーティング反射器2においてIDT電極1a(1c)に各々隣接する1本のグレーティング電極指31の両端側を夫々グレーティングバスバー32、32から離間させた状態となっている。このフロート反射器33についても、既述のフロートダミー電極16、18と同様に他の部位から電気的に浮いた状態になっている。従って、3つのIDT電極1、これらIDT電極1の両側のグレーティング反射器2及びフロート反射器33は、弾性波の伝搬方向に沿って前記配列パターンが連続するように形成されている。
【0029】
このフィルタにおいて入力ポート21に電気信号を入力すると、電極指12、12間の交差領域(励振領域)において弾性波が発生して、左右両側に伝搬していく。この弾性波は、基板10上を伝搬するにつれて、弾性波の伝搬方向に直交する方向に広がっていき、図2に示すように、バスバー11a、11bにおいて夫々電極指12、12の接続された稜線とは反対側の稜線間に亘って広がった状態となる。そして、この弾性波は、グレーティング反射器2に到達すると、当該グレーティング反射器2において反射して、3つのIDT電極1が配置された領域を介してグレーティング反射器2、2間において行き来する。この時、第1のフロートダミー電極16、第2のフロートダミー電極18及びフロート反射器33について、電極指12、12の配列パターンと同じパターンとなるように配置しているので、これらフロートダミー電極16、18及びフロート反射器33では、弾性波のバルク放射などが抑えられる。また、バスバー11a、11bの配置された領域までに亘ってフロートダミー電極16、18を各々形成しているので、当該バスバー11a、11bの形成された領域と、既述の交差領域との間において弾性波の伝搬速度が揃う。そのため、バスバー11a、11b間に亘って広がって伝搬する弾性波が出力ポート22から電気信号として取り出されると、スプリアスが抑えられた状態となり、通過周波数帯域における周波数特性について平坦性が良好となる。尚、図2はフィルタを模式的に示している。
【0030】
そして、既述のように互いに隣接するバスバー11a、11b間では互いの電位が異なっているので、これらバスバー11a、11bにおいて容量成分Cが生成しようとする。図3は、このような容量成分Cについて、IDT電極1a、1b間の領域について拡大して表している。ここで、これらバスバー11a、11b間には第1のフロートダミー電極16が介設されているので、前記容量成分Cは、当該第1のフロートダミー電極16を介して形成される。従って、バスバー11a、11b間に2つの容量成分C1、C2が第1のフロートダミー電極16を介して直列に接続されるので、これら容量成分C1、C2の合計値は、この第1のフロートダミー電極16を設けない場合(容量成分C)の1/2になる。図4には、既述の図18に示したフィルタの場合(第1のフロートダミー電極16が設けられていない場合)において生成する容量成分Cを模式的に示している。
【0031】
また、図3及び図4から分かるように、バスバー11a、11b間に第1のフロートダミー電極16を配置することによって、IDT電極1a、1b間において既述の配列パターンを形成しながら、第1のフロートダミー電極16を設けない場合よりもバスバー11a、11b間の寸法Wが広くなっているので、容量成分C1、C2の合計値は、図4の容量成分Cの1/2よりも更に小さくなる。
【0032】
そして、IDT電極1a、1b間の手前側の領域においても、第1のフロートダミー電極16を介してバスバー11a、11b間に容量成分C1、C2が形成され、同様にIDT電極1b、1c間についても第1のフロートダミー電極16、16を介してこれら容量成分C1、C2が形成される。
【0033】
また、IDT電極1a(1c)とグレーティング反射器2との間においては、既述の例と同様に、例えば手前側のグレーティングバスバー32とバスバー11bとの間において容量成分Cが生成しようとする。しかし、図5に示すように、これらグレーティングバスバー32とバスバー11bとの間に第2のフロートダミー電極18及びフロート反射器33が配置されているので、第2のフロートダミー電極18及びフロート反射器33を介して3つの容量成分C1、C2、C3が直列に形成される。また、これらグレーティングバスバー32とバスバー11bとの間の寸法は、第2のフロートダミー電極18及びフロート反射器33を設けない場合(既述の図18)と比べて大きくなる。従って、これら3つ容量成分C1、C2、C3の合計値は、図18においてグレーティング反射器2とIDT電極1との間で生成する容量成分Cの1/3よりも小さくなる。
【0034】
そのため、このフィルタに静電気放電(ESD:Electrostatic Discharge)などの高電圧が印加されたとしても、互いに隣接するIDT電極1、1間あるいは互いに隣接するIDT電極1とグレーティング反射器2との間における静電破壊が抑えられる。また、前記高電圧によりフィルタにおいて静電破壊が起こったとしても、図18のフィルタと比べて、互いに隣接するIDT電極1、1間及び互いに隣接するIDT電極1とグレーティング反射器2との間の容量成分Cが小さいので、流れる電流値が小さくなる。尚、図5についてもフィルタの一部を拡大して示している。
【0035】
更に、図18のフィルタでは、図4に「○」印で示すように、互いに隣接するIDT電極1、1において、電極指12とダミー電極指14との間において弾性波が発生し、当該弾性波が不要な縦モードスプリアスの原因となってしまう。しかし、図1のフィルタでは、これら電極指12とダミー電極指14との間の領域には第1のフロートダミー電極16が配置されており、また既述のようにこれら電極指12とダミー電極指14とが大きく離間しているので、当該領域における弾性波の発生が抑えられる。
【0036】
上述の実施の形態によれば、電極指12、12の交差領域からバスバー11側に離れた位置において、互いに隣接するIDT電極1、1間及び互いに隣接するIDT電極1とグレーティング反射器2との間に夫々第1のフロートダミー電極16、16及び第2のフロートダミー電極18を設けると共に、互いに隣接するIDT電極1とグレーティング反射器2との間にフロート反射器33を配置している。そして、これらフロートダミー電極16、18及びフロート反射器33を他の部位から電気的に浮いた状態にすると共に、これらフロートダミー電極16、18及びフロート反射器33をIDT電極1における配列パターンに対応するように形成している。そのため、これらフロートダミー電極16、18及びフロート反射器33を設けない場合と比べて、弾性波に対する影響を抑制しつつ、互いに隣接するIDT電極1、1間及び互いに隣接するIDT電極1とグレーティング反射器2との間において生成する容量成分Cを小さくすることができる。従って、通過周波数帯域における周波数特性の平坦性の劣化を抑えながら、例えば入力ポート21または出力ポート22と接地ポート23との間に静電気などの高電圧が印加されたとしても、これら入力ポート21または出力ポート22と接地ポート23との間の通電(静電破壊)を抑えることができるので、ESD(Electrostatic Discharge)耐性に優れた弾性波デバイスを得ることができる。また、フロートダミー電極16、18及びフロート反射器33を設けることによって、互いに隣接するIDT電極1、1間及び互いに隣接するIDT電極1とグレーティング反射器2との間において生成する容量成分Cが小さくなるので、静電気などが発生して入力ポート21または出力ポート22と接地ポート23との間で通電したとしても、フロートダミー電極16、18及びフロート反射器33を設けない場合に比べて、電流値が小さくなるため静電破壊に対する耐性が向上していると言える。
【0037】
また、バスバー11a、11bの形成された領域にまで亘ってフロートダミー電極16、18を形成しているので、当該領域と電極指12、12の交差領域との間における弾性波の速度差を抑えることができ、スプリアスが抑えられて平坦性の高い特性を得ることができる。更に、第1のフロートダミー電極16を設けることにより、IDT電極1、1において互いに隣接する電極指12とダミー電極指14との間において弾性波の発生を抑えることができるので、不要な縦モードスプリアスの発生を抑えて平坦性に優れた特性を得ることができる。
【0038】
既述の例においては、互いに隣接するIDT電極1とグレーティング反射器2との間に各々フロート反射器33を設けたが、左右いずれかだけにフロート反射器33を配置しても良いし、あるいは図6に示すように、フロート反射器33を設けなくても良い。更に、第2のフロートダミー電極18についても左右いずれかだけに設けても良いし、図7に示すように第2のフロートダミー電極18を設けなくても良い。更にまた、第1のフロートダミー電極16についても、互いに隣接するIDT電極1、1間において手前側及び奥側に夫々配置したが、手前側及び奥側の一方だけに配置しても良いし、互いに隣接するIDT電極1、1間の少なくとも1箇所だけに設けても良い。また、これら第1のフロートダミー電極16及び第2のフロートダミー電極18を配置せずに、互いに隣接するIDT電極1とグレーティング反射器2との間の領域の少なくとも一方にフロート反射器33を配置しても良い。図8は、フロートダミー電極16、18を配置せずに、互いに隣接するIDT電極1とグレーティング反射器2との間の領域の各々にフロート反射器33、23を配置した例を示している。
【0039】
また、図9に示すように、ダミー電極指14を配置せずに、一方側のバスバー11a(11b)から伸びる電極指12の先端部を他方側のバスバー11b(11a)に近接する位置まで伸張させ、開口長Dと交差幅Lとを揃えても良い。図9には、このような場合において、第1のフロートダミー電極16、第2のフロートダミー電極18及びフロート反射器33を設けた例を示している。この場合においてフロートダミー電極16、18は、端部電極指12、12の先端側から離れた領域において、弾性波の伝搬方向から見た時にバスバー11a、11bの形成された領域と重なるように形成されている。この場合においても、電極指12、12の交差領域において弾性波が発生すると、この弾性波はバスバー11a、11bの形成された領域までに亘って広がって伝搬するので、フロートダミー電極16、18によって当該領域と交差領域との間における弾性波の速度差が抑えられる。
【0040】
また、図10に示すように、既述の各フィルタを縦続接続しても良い。図10には、図1に示したフィルタを2つ縦続に接続した例を示しており、3つのIDT電極1とこれらIDT電極1の両側に配置されたグレーティング反射器2、2とからなるフィルタ50を共通の基板10上に手前側及び奥側に並べている。そして、奥側のフィルタ50のIDT電極1bの手前側のバスバー11と手前側のフィルタ50のIDT電極1bの奥側のバスバー11とを接続し、奥側のIDT電極1a、1cの奥側のバスバー11及び手前側のフィルタ50のIDT電極1bの手前側のバスバー11を夫々入力ポート21及び出力ポート22に接続している。
【0041】
更に、以上の各例では3つIDT電極1を並べる例について説明したが、IDT電極1の数量としては2つであっても良いし、4つ以上であっても良い。また、図11に示すように、1つのIDT電極1の両側にグレーティング反射器2、2を配置して、弾性波共振子を構成しても良い。そして、IDT電極1とグレーティング反射器2と間の少なくとも一方に第2のフロートダミー電極18を設けても良いし、第2のフロートダミー電極18と共に、あるいは第2のフロートダミー電極18に代えて、IDT電極1とグレーティング反射器2との間の少なくとも一方にフロート反射器33を配置しても良い。
【0042】
また、本発明は、既述の縦モード共振器型フィルタや弾性波共振子を含むデバイス例えばデュプレクサなどの2つのIDT電極1、1が隣接して配置された弾性波デバイスあるいはIDT電極1とグレーティング反射器2とが隣接して配置された弾性波デバイスに適用される。
【0043】
既述のように、第1のフロートダミー電極16について、互いに隣接するIDT電極1、1間の手前側及び奥側の一方だけに配置する場合には、この第1のフロートダミー電極16は、互いに電位の異なるバスバー11a、11b間に介設される。具体的には、図12及び図13に示すように、入力ポート21または出力ポート22の接続されたバスバー11aと接地ポート23に接続されたバスバー11bとが弾性波の伝搬方向に沿って一列に交互に配置されている場合には、これらバスバー11a、11bの間のいずれか一方に第1のフロートダミー電極16を配置しても良い。また、図14に示すように、入力ポート21に接続されたバスバー11aと出力ポート22に接続されたバスバー11aとが弾性波の伝搬方向に沿って一列に配置され、また接地ポート23に接続されたバスバー11b、11b同士が弾性波の伝搬方向に沿って一列に配置されている場合には、第1のフロートダミー電極16は、バスバー11a、11a間に配置される。
【0044】
更に、フロートダミー電極16、18について、端部電極指12、12に近接する位置からバスバー11a、11bの形成された領域までに亘って配置したが、図15に示すように、バスバー11a、11b間の領域だけに形成しても良い。この場合においても、フロートダミー電極16、18の配置された領域と電極指12、12の交差領域との間における弾性波の速度差が抑えられる。この時、当該フロートダミー電極16、18の配置されたIDT電極1について、このフロートダミー電極16、18側のバスバー11は、既述のようにフロートダミー電極16、18の延長領域から離間して配置される。尚、以上の図12〜図15については、フィルタの一部を拡大して示している。
【0045】
ここで、フロートダミー電極16(18)としては、図16に示すように、長さ方向に複数例えば2つに区画しても良いし、図17に示すように弾性波の伝搬方向に複数例えば2つに区画しても良い。図17のようにフロートダミー電極16(18)を配置した場合には、バスバー11a、11b間において容量成分C1〜C3が互いに直列に接続されることになるので、これらバスバー11a、11b間の容量成分Cを更に小さくすることができる。これらの場合であっても、フロートダミー電極16(18)は、既述の配列パターンに対応して形成されていることになる。また、互いに隣接するIDT電極1とグレーティング反射器2との間にフロート反射器33を1本ずつ配置したが、各々2本あるいは3本ずつ配置しても良い。
【0046】
既述の基板10を構成する材質としては、水晶に代えて、LiTaO3(タンタル酸リチウム)やLiNbO3(ニオブ酸リチウム)などの圧電性を持つ材料であっても良いし、あるいは例えばガラスなどの圧電性を持たない板状体の上にこれら圧電性を持つ材料の薄膜を一層以上積層した基板や圧電薄膜の積層体などであっても良い。
【符号の説明】
【0047】
1a、1b、1c IDT電極
2 グレーティング反射器
10 基板
12 電極指
16 第1のフロートダミー電極
18 第2のフロートダミー電極
【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性波の伝搬方向に沿って互いに離間して並べられた複数のIDT電極及びこれら複数のIDT電極を弾性波の伝搬方向における両側から挟むように配置されたグレーティング反射器が共通の圧電基板上に形成されたことと、
前記複数のIDT電極の各々は、信号ポート及び接地ポートの一方及び他方に夫々接続される一対のバスバーと、これらバスバーの各々から対向するバスバーに向かって互いに櫛歯状に伸び出す電極指と、を備えると共に、これらIDT電極における電極指の配列パターンが弾性波の伝搬方向に沿って連続して形成されるように、各々のIDT電極における電極指の配列パターン及び互いに隣接するIDT電極同士の間の離間寸法が設定されたことと、
前記グレーティング反射器の各々は、前記電極指の長さ方向に沿って各々伸びると共に弾性波の伝搬方向に互いに離間して配置された複数本のグレーティング電極指及びこれらグレーティング電極指の各々の一端側及び他端側を夫々接続するグレーティングバスバーを備えると共に、前記グレーティング電極指の配列及び各々のグレーティング反射器に隣接するIDT電極との間の離間寸法が前記配列パターンに対応するように形成されていることと、
互いに隣接する2つのIDT電極のうち一方側のIDT電極において、他方側のIDT電極に隣接する電極指を第1の端部電極指と呼ぶと、当該一方側のIDT電極の一対のバスバーのうち、前記第1の端部電極指の接続されたバスバーに対向するバスバーは、前記他方側のIDT電極側の端部が前記第1の端部電極指の先端部の延長領域よりも前記一方側のIDT電極側に離間するように配置されていることと、
前記延長領域には、前記一方側のIDT電極と前記他方側のIDT電極との間において互いに電位の異なる部位間の静電破壊を抑えるために、弾性波の伝搬方向に直交する方向に伸びる第1のフロートダミー電極が形成されていることと、
この第1のフロートダミー電極は、幅寸法及び当該第1のフロートダミー電極の両側のIDT電極との間の離間寸法が前記配列パターンに対応するように夫々形成されると共に、前記複数のIDT電極、前記信号ポート、前記接地ポート及び前記グレーティング反射器から夫々電気的に浮いた状態となっていることと、を備えたことを特徴とする弾性波デバイス。
【請求項2】
前記グレーティング反射器に隣接するIDT電極において、当該グレーティング反射器に隣接する電極指を第2の端部電極指と呼ぶと、当該隣接するIDT電極の一対のバスバーのうち、前記第2の端部電極指の接続されたバスバーに対向するバスバーは、前記グレーティング反射器側の端部が前記第2の端部電極指の先端部の延長領域よりも前記隣接するIDT電極側に離間するように配置されていることと、
前記第2の端部電極指の延長領域には、前記グレーティング反射器と前記隣接するIDT電極との間における静電破壊を抑えるために、弾性波の伝搬方向に直交する方向に伸びる第2のフロートダミー電極が形成されていることと、
この第2のフロートダミー電極は、幅寸法と前記隣接するIDT電極及びグレーティング反射器との間の離間寸法とが前記配列パターンに対応するように夫々形成されると共に、前記複数のIDT電極、前記信号ポート、前記接地ポート、前記グレーティング反射器及び前記第1のフロートダミー電極から夫々電気的に浮いた状態となっていることと、を備えたことを特徴とする請求項1に記載の弾性波デバイス。
【請求項3】
前記IDT電極側の少なくとも1本のグレーティング電極指における両端部が前記グレーティングバスバーから開放されてフロート反射器をなすように、当該グレーティングバスバーは、前記グレーティング電極指の各々の一端側及び他端側を夫々接続することに代えて、前記IDT電極とは反対側の端部のグレーティング電極指から、前記少なくとも1本のグレーティング電極指よりも1本当該端部側のグレーティング電極指までの一端側及び他端側を夫々接続するように配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の弾性波デバイス。
【請求項4】
前記複数のIDT電極は、一対のバスバー間の寸法である開口長よりも、一対のバスバーのうち一方側のバスバーから伸び出す電極指と、当該電極指に隣接するように他方側のバスバーから伸び出す電極指とが交差する交差幅の方が弾性波の伝搬方向に亘って小さくなるように、これらバスバーから伸び出す電極指の各々の先端部に臨むように当該バスバーに対向するバスバーから各々伸び出すダミー電極指を各々備えていることと、
前記第1のフロートダミー電極は、弾性波の伝搬方向から見た時に、前記第1の端部電極指の先端部に近接する位置と、当該第1の端部電極指の接続されたバスバーに対向するバスバーにおいて電極指の接続された稜線とは反対側の稜線とに亘って形成されていることと、を備えたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一つに記載の弾性波デバイス。
【請求項5】
前記第2のフロートダミー電極は、弾性波の伝搬方向から見た時に、前記第2の端部電極指の先端部に近接する位置と、当該第2の端部電極指の接続されたバスバーに対向するバスバーにおいて電極指の接続された稜線とは反対側の稜線とに亘って形成されていることを特徴とする請求項4に記載の弾性波デバイス。
【請求項6】
前記一方側のIDT電極において信号ポートの接続されるバスバーと、前記他方側のIDT電極において接地ポートの接続されるバスバーとは、弾性波の伝搬方向に沿って一列に配置され、
前記第1のフロートダミー電極は、前記一方側のIDT電極における前記他方側のIDT電極に隣接する領域に加えて、前記他方側のIDT電極における前記一方側のIDT電極に隣接する領域に設けられていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一つに記載の弾性波デバイス。
【請求項7】
前記IDT電極は3つ以上設けられ、
これらIDT電極において信号ポートの接続されるバスバーと、接地ポートの接続されるバスバーとは、弾性波の伝搬方向に沿って交互に一列に配置され、
これらIDT電極の互いに隣接する一方側のIDT電極と他方側のIDT電極との各々について、一方側のIDT電極における他方側のIDT電極に隣接する領域と、前記他方側のIDT電極における前記一方側のIDT電極に隣接する領域とに第1のフロートダミー電極が各々配置されていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一つに記載の弾性波デバイス。
【請求項8】
前記グレーティング反射器と当該グレーティング反射器に隣接するIDT電極との間の各々の領域に前記第2のフロートダミー電極が設けられていることを特徴とする請求項7に記載の弾性波デバイス。
【請求項9】
前記フロート反射器は、前記IDT電極と前記グレーティング反射器との間の各々の領域に設けられていることを特徴とする請求項7または8に記載の弾性波デバイス。
【請求項10】
圧電基板上に形成され、信号ポートまたは接地ポートに夫々接続される一対のバスバー及びこれらバスバーの各々から対向するバスバーに向かって互いに櫛歯状に伸び出す電極指を有するIDT電極を備えたことと、
前記IDT電極に対して弾性波の伝搬方向に離間するように前記圧電基板上に形成され、前記電極指の長さ方向に沿って各々伸びると共に弾性波の伝搬方向に互いに離間して配置された複数本のグレーティング電極指及びこれらグレーティング電極指の各々の一端側及び他端側を夫々接続するグレーティングバスバーを有するグレーティング反射器を備えたことと、
前記IDT電極及び前記グレーティング反射器は、当該IDT電極における電極指の配列パターンが弾性波の伝搬方向に沿って連続して形成されるように、前記電極指の配列パターン、前記グレーティング電極指の配列パターン及び前記IDT電極と前記グレーティング反射器との間の離間寸法が夫々設定されていることと、
前記グレーティング反射器に隣接する電極指を第2の端部電極指と呼ぶと、前記IDT電極の一対のバスバーのうち、前記第2の端部電極指の接続されたバスバーに対向するバスバーは、前記グレーティング反射器側の端部が前記第2の端部電極指の延長領域よりも前記IDT電極側に離間するように配置されていることと、
前記延長領域には、前記グレーティング反射器と前記IDT電極との間における静電破壊を抑えるために、弾性波の伝搬方向に直交する方向に伸びる第2のフロートダミー電極が形成されていることと、
この第2のフロートダミー電極は、幅寸法と前記IDT電極及び前記グレーティング反射器との間の離間寸法とが前記配列パターンに対応するように夫々形成されると共に、前記IDT電極、前記信号ポート、前記接地ポート及び前記グレーティング反射器から夫々電気的に浮いた状態となっていることと、を備えたことを特徴とする弾性波デバイス。
【請求項11】
圧電基板上に形成され、信号ポートまたは接地ポートに夫々接続される一対のバスバー及びこれらバスバーの各々から対向するバスバーに向かって互いに櫛歯状に伸び出す電極指を有するIDT電極を備えたことと、
前記IDT電極に対して弾性波の伝搬方向に離間するように前記圧電基板上に形成され、前記電極指の長さ方向に沿って各々伸びると共に弾性波の伝搬方向に互いに離間して配置された複数本のグレーティング電極指及び前記IDT電極側から少なくとも2本目のグレーティング電極指から、前記IDT電極とは反対側の端部のグレーティング電極指までの一端側及び他端側を夫々接続するグレーティングバスバーを有するグレーティング反射器を備えたことと、
前記IDT電極及び前記グレーティング反射器は、当該IDT電極における電極指の配列パターンが弾性波の伝搬方向に沿って連続して形成されるように、前記電極指の配列パターン、前記グレーティング電極指の配列パターン及び前記IDT電極と前記グレーティング反射器との間の離間寸法が夫々設定されていることと、
前記グレーティングバスバーから離間して配置されたグレーティング電極指は、前記IDT電極、前記信号ポート、前記接地ポート及び前記グレーティング反射器の他の部位から夫々電気的に浮いた状態となっていることと、を備えたことを特徴とする弾性波デバイス。
【請求項1】
弾性波の伝搬方向に沿って互いに離間して並べられた複数のIDT電極及びこれら複数のIDT電極を弾性波の伝搬方向における両側から挟むように配置されたグレーティング反射器が共通の圧電基板上に形成されたことと、
前記複数のIDT電極の各々は、信号ポート及び接地ポートの一方及び他方に夫々接続される一対のバスバーと、これらバスバーの各々から対向するバスバーに向かって互いに櫛歯状に伸び出す電極指と、を備えると共に、これらIDT電極における電極指の配列パターンが弾性波の伝搬方向に沿って連続して形成されるように、各々のIDT電極における電極指の配列パターン及び互いに隣接するIDT電極同士の間の離間寸法が設定されたことと、
前記グレーティング反射器の各々は、前記電極指の長さ方向に沿って各々伸びると共に弾性波の伝搬方向に互いに離間して配置された複数本のグレーティング電極指及びこれらグレーティング電極指の各々の一端側及び他端側を夫々接続するグレーティングバスバーを備えると共に、前記グレーティング電極指の配列及び各々のグレーティング反射器に隣接するIDT電極との間の離間寸法が前記配列パターンに対応するように形成されていることと、
互いに隣接する2つのIDT電極のうち一方側のIDT電極において、他方側のIDT電極に隣接する電極指を第1の端部電極指と呼ぶと、当該一方側のIDT電極の一対のバスバーのうち、前記第1の端部電極指の接続されたバスバーに対向するバスバーは、前記他方側のIDT電極側の端部が前記第1の端部電極指の先端部の延長領域よりも前記一方側のIDT電極側に離間するように配置されていることと、
前記延長領域には、前記一方側のIDT電極と前記他方側のIDT電極との間において互いに電位の異なる部位間の静電破壊を抑えるために、弾性波の伝搬方向に直交する方向に伸びる第1のフロートダミー電極が形成されていることと、
この第1のフロートダミー電極は、幅寸法及び当該第1のフロートダミー電極の両側のIDT電極との間の離間寸法が前記配列パターンに対応するように夫々形成されると共に、前記複数のIDT電極、前記信号ポート、前記接地ポート及び前記グレーティング反射器から夫々電気的に浮いた状態となっていることと、を備えたことを特徴とする弾性波デバイス。
【請求項2】
前記グレーティング反射器に隣接するIDT電極において、当該グレーティング反射器に隣接する電極指を第2の端部電極指と呼ぶと、当該隣接するIDT電極の一対のバスバーのうち、前記第2の端部電極指の接続されたバスバーに対向するバスバーは、前記グレーティング反射器側の端部が前記第2の端部電極指の先端部の延長領域よりも前記隣接するIDT電極側に離間するように配置されていることと、
前記第2の端部電極指の延長領域には、前記グレーティング反射器と前記隣接するIDT電極との間における静電破壊を抑えるために、弾性波の伝搬方向に直交する方向に伸びる第2のフロートダミー電極が形成されていることと、
この第2のフロートダミー電極は、幅寸法と前記隣接するIDT電極及びグレーティング反射器との間の離間寸法とが前記配列パターンに対応するように夫々形成されると共に、前記複数のIDT電極、前記信号ポート、前記接地ポート、前記グレーティング反射器及び前記第1のフロートダミー電極から夫々電気的に浮いた状態となっていることと、を備えたことを特徴とする請求項1に記載の弾性波デバイス。
【請求項3】
前記IDT電極側の少なくとも1本のグレーティング電極指における両端部が前記グレーティングバスバーから開放されてフロート反射器をなすように、当該グレーティングバスバーは、前記グレーティング電極指の各々の一端側及び他端側を夫々接続することに代えて、前記IDT電極とは反対側の端部のグレーティング電極指から、前記少なくとも1本のグレーティング電極指よりも1本当該端部側のグレーティング電極指までの一端側及び他端側を夫々接続するように配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の弾性波デバイス。
【請求項4】
前記複数のIDT電極は、一対のバスバー間の寸法である開口長よりも、一対のバスバーのうち一方側のバスバーから伸び出す電極指と、当該電極指に隣接するように他方側のバスバーから伸び出す電極指とが交差する交差幅の方が弾性波の伝搬方向に亘って小さくなるように、これらバスバーから伸び出す電極指の各々の先端部に臨むように当該バスバーに対向するバスバーから各々伸び出すダミー電極指を各々備えていることと、
前記第1のフロートダミー電極は、弾性波の伝搬方向から見た時に、前記第1の端部電極指の先端部に近接する位置と、当該第1の端部電極指の接続されたバスバーに対向するバスバーにおいて電極指の接続された稜線とは反対側の稜線とに亘って形成されていることと、を備えたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一つに記載の弾性波デバイス。
【請求項5】
前記第2のフロートダミー電極は、弾性波の伝搬方向から見た時に、前記第2の端部電極指の先端部に近接する位置と、当該第2の端部電極指の接続されたバスバーに対向するバスバーにおいて電極指の接続された稜線とは反対側の稜線とに亘って形成されていることを特徴とする請求項4に記載の弾性波デバイス。
【請求項6】
前記一方側のIDT電極において信号ポートの接続されるバスバーと、前記他方側のIDT電極において接地ポートの接続されるバスバーとは、弾性波の伝搬方向に沿って一列に配置され、
前記第1のフロートダミー電極は、前記一方側のIDT電極における前記他方側のIDT電極に隣接する領域に加えて、前記他方側のIDT電極における前記一方側のIDT電極に隣接する領域に設けられていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一つに記載の弾性波デバイス。
【請求項7】
前記IDT電極は3つ以上設けられ、
これらIDT電極において信号ポートの接続されるバスバーと、接地ポートの接続されるバスバーとは、弾性波の伝搬方向に沿って交互に一列に配置され、
これらIDT電極の互いに隣接する一方側のIDT電極と他方側のIDT電極との各々について、一方側のIDT電極における他方側のIDT電極に隣接する領域と、前記他方側のIDT電極における前記一方側のIDT電極に隣接する領域とに第1のフロートダミー電極が各々配置されていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一つに記載の弾性波デバイス。
【請求項8】
前記グレーティング反射器と当該グレーティング反射器に隣接するIDT電極との間の各々の領域に前記第2のフロートダミー電極が設けられていることを特徴とする請求項7に記載の弾性波デバイス。
【請求項9】
前記フロート反射器は、前記IDT電極と前記グレーティング反射器との間の各々の領域に設けられていることを特徴とする請求項7または8に記載の弾性波デバイス。
【請求項10】
圧電基板上に形成され、信号ポートまたは接地ポートに夫々接続される一対のバスバー及びこれらバスバーの各々から対向するバスバーに向かって互いに櫛歯状に伸び出す電極指を有するIDT電極を備えたことと、
前記IDT電極に対して弾性波の伝搬方向に離間するように前記圧電基板上に形成され、前記電極指の長さ方向に沿って各々伸びると共に弾性波の伝搬方向に互いに離間して配置された複数本のグレーティング電極指及びこれらグレーティング電極指の各々の一端側及び他端側を夫々接続するグレーティングバスバーを有するグレーティング反射器を備えたことと、
前記IDT電極及び前記グレーティング反射器は、当該IDT電極における電極指の配列パターンが弾性波の伝搬方向に沿って連続して形成されるように、前記電極指の配列パターン、前記グレーティング電極指の配列パターン及び前記IDT電極と前記グレーティング反射器との間の離間寸法が夫々設定されていることと、
前記グレーティング反射器に隣接する電極指を第2の端部電極指と呼ぶと、前記IDT電極の一対のバスバーのうち、前記第2の端部電極指の接続されたバスバーに対向するバスバーは、前記グレーティング反射器側の端部が前記第2の端部電極指の延長領域よりも前記IDT電極側に離間するように配置されていることと、
前記延長領域には、前記グレーティング反射器と前記IDT電極との間における静電破壊を抑えるために、弾性波の伝搬方向に直交する方向に伸びる第2のフロートダミー電極が形成されていることと、
この第2のフロートダミー電極は、幅寸法と前記IDT電極及び前記グレーティング反射器との間の離間寸法とが前記配列パターンに対応するように夫々形成されると共に、前記IDT電極、前記信号ポート、前記接地ポート及び前記グレーティング反射器から夫々電気的に浮いた状態となっていることと、を備えたことを特徴とする弾性波デバイス。
【請求項11】
圧電基板上に形成され、信号ポートまたは接地ポートに夫々接続される一対のバスバー及びこれらバスバーの各々から対向するバスバーに向かって互いに櫛歯状に伸び出す電極指を有するIDT電極を備えたことと、
前記IDT電極に対して弾性波の伝搬方向に離間するように前記圧電基板上に形成され、前記電極指の長さ方向に沿って各々伸びると共に弾性波の伝搬方向に互いに離間して配置された複数本のグレーティング電極指及び前記IDT電極側から少なくとも2本目のグレーティング電極指から、前記IDT電極とは反対側の端部のグレーティング電極指までの一端側及び他端側を夫々接続するグレーティングバスバーを有するグレーティング反射器を備えたことと、
前記IDT電極及び前記グレーティング反射器は、当該IDT電極における電極指の配列パターンが弾性波の伝搬方向に沿って連続して形成されるように、前記電極指の配列パターン、前記グレーティング電極指の配列パターン及び前記IDT電極と前記グレーティング反射器との間の離間寸法が夫々設定されていることと、
前記グレーティングバスバーから離間して配置されたグレーティング電極指は、前記IDT電極、前記信号ポート、前記接地ポート及び前記グレーティング反射器の他の部位から夫々電気的に浮いた状態となっていることと、を備えたことを特徴とする弾性波デバイス。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2012−65272(P2012−65272A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−209855(P2010−209855)
【出願日】平成22年9月17日(2010.9.17)
【出願人】(000232483)日本電波工業株式会社 (1,148)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月17日(2010.9.17)
【出願人】(000232483)日本電波工業株式会社 (1,148)
【Fターム(参考)】
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