説明

弾性表面波装置

【課題】IDT上にSiO2膜を形成することにより周波数温度特性が改善されているだけでなく、SiO2膜表面におけるクラックが生じ難く、所望とする特性を確実に得ることができ、電気機械結合係数が大きく、減衰定数α小さい弾性表面波装置を提供する。
【解決手段】20°〜60°回転Y板のLiTaO3基板上に、Agを主体とする少なくとも1つのIDTが形成されており、該IDTを覆うように、LiTaO3基板上にSiO2膜が形成されている、弾性表面波装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、共振子や帯域フィルタなどに用いられる弾性表面波装置に関し、より詳細には、回転Y板X伝搬LiTaO3基板を用いた弾性表面波装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話などの移動体通信機において、RF段の帯域フィルタやデュプレクサとして、弾性表面波フィルタが用いられている。この種の弾性表面波フィルタとして、30°〜50°回転Y板X伝搬のLiTaO3基板上に、AlからなるIDT(インターデジタルトランスデューサー)が形成されており、漏洩弾性波を利用した弾性表面波フィルタが実用化されている。
【0003】
しかしながら、この弾性表面波フィルタでは、周波数温度特性が−30〜−40ppm/℃と悪く、その改善が求められていた。そこで、周波数温度特性を改善するために、30°〜50°回転Y板X伝搬LiTaO3基板上にAlからなるIDTを形成した後に、さらにSiO2膜を積層した構造が提案されている。SiO2膜を形成することにより、周波数温度特性が改善される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、AlからなるIDTを形成する場合、反射係数や電気機械結合係数K2を大きくするために、IDTの電極膜厚H/λ(Hは膜厚、λは表面波の波長)は、0.08〜0.10とかなり厚くされる。このように、AlからなるIDTがかなり厚くされているため、図16(a)に示されている部分において、周波数温度特性を改善するためにSiO2膜がその上に形成されると、図16(b)に示すように、SiO2膜において大きな段差が生じ、SiO2膜にクラックが生じることがあった。そのため、クラックの発生により、弾性表面波フィルタのフィルタ特性が悪化しがちであった。
【0005】
加えて、AlからなるIDTの電極膜厚が厚いため、SiO2膜の形成によるIDTの電極表面の凹凸を被覆する効果が十分でなく、それによって、温度特性が十分に改善されないことがあった。
【0006】
さらに、SiO2膜の形成により減衰定数が大きくなりフィルタ特性の劣化が生じた。
【0007】
本発明の目的は、上述した従来技術の現状に鑑み、回転Y板X伝搬のLiTaO3基板を用いた弾性表面波装置において、SiO2膜の形成により周波数温度特性を改善し得るだけでなく、IDTの電極膜厚を低減することができ、SiO2膜におけるクラックを防止することができると共に減衰定数も大幅に低減でき、従って目的とするフィルタ特性などの電気的特性を得ることができ、かつIDTにおける電気機械結合係数及び反射係数が十分な大きさとされる、弾性表面波装置及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の広い局面によれば、オイラー角(0±3°,113°〜142°,0±3°)のLiTaO3基板と、前記LiTaO3基板上に形成されており、Agを主体とする少なくとも1つのIDTと、前記IDTを覆うように前記LiTaO3基板上に形成されたSiO2膜とを備え、前記IDTの表面波の波長で規格化された膜厚が0.01〜0.08であり、前記SiO2膜の表面波の波長で規格化された膜厚が0.10〜0.45の範囲にあることを特徴とする、弾性表面波装置が提供される。
【0009】
本発明においては、IDTがAgを主体とするため、また、SiO2膜の形成により、電気機械結合係数が大きくなり、かつ周波数温度特性が改善される。さらに、上記特定のオイラー角のLiTaO3基板が用いられるため、減衰定数αが低減される。
【0010】
本発明のより限定的な局面では、SiO2膜の表面波の波長で規格化された膜厚H/λが0.15〜0.40の範囲とされ、その場合には、本発明に従って、電気機械結合係数及び反射係数が大きく、良好な周波数温度特性を有し、減衰定数が十分に小さく、SiO2膜のクラックが生じ難い、弾性表面波装置を確実に提供することができる。
【0011】
本発明のさらに他の局面では、前記IDTの膜厚H/λが0.12以下であり、SiO2の規格化膜厚及び前記LiTaO3基板のオイラー角が、下記の(a)〜(f)で表される組み合わせのいずれかとされる。
【0012】
【表1】

【0013】
本発明に係る弾性表面波装置の他の特定の局面では、前記IDTの膜厚H/λが0.02〜0.06であり、前記SiO2の規格化膜厚及びLiTaO3基板のオイラー角が、下記の(g)〜(l)で表される組み合わせのいずれかである。
【0014】
【表2】

【0015】
本発明に係る弾性表面波装置の他の特定の局面では、前記IDTの膜厚H/λが0.03〜0.05であり、前記SiO2の規格化膜厚及びLiTaO3基板のオイラー角が、下記の(m)〜(r)で表される組み合わせのいずれかである。
【0016】
【表3】

【発明の効果】
【0017】
本発明に係る弾性表面波装置では、オイラー角(0±3°,113°〜142°,0±3°)のLiTaO3基板上に、Agを主体とする少なくとも1つのIDTが形成されており、該IDTを覆うようにLiTaO3基板上にSiO2膜が形成されているため、電気機械結合係数が大きく、温度特性に優れており、かつ減衰定数αが低減された、伝搬損失が少ない弾性表面波装置を提供することができる。
【0018】
また、本発明において、SiO2膜の規格化膜厚が0.15〜0.40の範囲にある場合には、電気機械結合係数をより一層高めることができ、かつ良好な温度特性を実現することができる。
【0019】
さらに、IDTの膜厚H/λが0.01〜0.08であり、表1の(a)〜(f)に示すように、LiTaO3基板のオイラー角のθ及びSiO2膜の規格化膜厚H/λが選ばれている場合には、より一層、電気機械結合係数が大きく、減衰定数αが小さく、さらに周波数温度特性に優れた弾性表面波装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施例を説明することにより、本発明を明らかにする。
【0021】
図1は、本発明の一実施例に係る弾性表面波装置としての縦結合共振子フィルタを説明するための平面図である。
【0022】
弾性表面波装置11は、LiTaO3基板12の上面に、IDT13a,13b及び反射器14a,14bを形成した構造を有する。また、IDT13a,13b及び反射器14a,14bを覆うようにSiO2膜15が形成されている。なお、LiTaO3基板12としては、20°〜60°回転Y板LiTaO3基板が用いられる。この範囲外のカット角の回転Y板X伝搬LiTaO3基板では、減衰定数が大きく、TCFも悪化する。
【0023】
IDT13a,13b及び反射器14a,14bは、Alに比べて密度の高いAgからなる。
【0024】
上記のように、Alに比べて密度の高いAgによりIDT13a,13b及び反射器14a,14bが構成されているため、IDT13a,13b及び反射器14a,14bの膜厚をAlを用いた場合に比べて薄くした場合であっても、電気機械結合係数及び反射係数を高めることができる。
【0025】
そして、上記のように電極膜厚を薄くすることができるので、IDT13a,13b上に形成されたSiO2膜15における前述した段差に基づくクラックの発生を確実に抑制することができる。SiO2膜15の厚みについては、後述の実験例から明らかなように、表面波の波長で規格化された膜厚H/λが0.15〜0.40の範囲であることが好ましい。この範囲にすることで、SiO2膜が形成されていない場合よりも減衰定数を大幅に小さくすることができ、低損失化が可能となる。
【0026】
後述するように、IDT13a,13bの表面波の波長で規格化された膜厚H/λは0.01〜0.08が好ましい。
【0027】
本発明の係る弾性表面波装置では、上記のように、LiTaO3基板12上にAgによりIDT13a,13bが構成されており、該IDT13a,13bの電極膜厚を薄くすることができる。従って、SiO2膜における段差の発生を抑制することができ、クラックを確実に防止することができる。さらに上記特定のオイラー角のLiTaO3基板を用いるため減衰定数を大幅に小さくすることができ、低ロス化が可能となる。また、SiO2膜15の形成により、良好な周波数温度特性が実現される。これを、具体的な実験例に基づき説明する。
【0028】
LiTaO3基板を伝わる表面波には、レイリー波の他に漏洩弾性表面波(LSAW)がある。漏洩弾性表面波は、レイリー波に比べて音速が早く、電気機械結合係数が大きいが、エネルギーを基板内に放射しつつ伝搬する。従って、漏洩弾性表面波は、伝搬ロスの原因となる減衰定数を有する。
【0029】
図2は、回転Y板X伝搬LiTaO3基板におけるオイラー角(0°,θ,0°)のθと、基板表面が電気的に短絡された場合の減衰定数αとの関係を示す。なお、回転角=θ−90°の関係がある。
【0030】
図2から明らかなように、オイラー角のθが124°〜126°の範囲では、減衰定数αは小さいが、この範囲外では減衰定数αは大きくなることがわかる。また、比較的膜厚が厚いAlからなるIDTを用いた場合、θ=129°〜136°では減衰定数が小さくなることが知られている。従って、従来は、AlからなるIDTを用いる場合、LiTaO3基板として、オイラー角のθが129°〜136°の範囲のものが用いられていた。
【0031】
図3は、オイラー角のθと電気機械結合係数K2との関係を示す。図3から明らかなように、オイラー角のθが100°〜120°の範囲で、大きな電気機械結合係数K2が得られる。しかしながら、図2から明らかなように、θ=100°〜120°の範囲では減衰定数αが大きく、θ=100°〜120°のLiTaO3基板は弾性表面波装置に使用することはできない。
【0032】
図4は、36°回転Y板X伝搬LiTaO3基板(オイラー角で(0°,126°,0°))上に、AgからなるIDTを形成した場合のAg膜の規格化膜厚H/λと、電気機械結合係数K2との関係を示す。なお、λは、弾性表面波装置の中心周波数における波長を示すものとする。
【0033】
図4から明らかなように、Ag膜の膜厚H/λが0.01〜0.08の範囲において、電気機械結合係数K2が、Ag膜が形成されていない場合(H/λ=0)に比べて1.5倍以上となることがわかる。また、Ag膜の膜厚がH/λ=0.02〜0.06の範囲では、Ag膜が形成されていない場合に比べて、電気機械結合係数K2は1.7倍以上の値となり、Ag膜の膜厚H/λが0.03〜0.05の範囲では、Ag膜が形成されていない場合の1.8倍以上の値となることがわかる。
【0034】
Ag膜の規格化膜厚H/λが0.08を超えると、Ag膜からなるIDTの作製が困難となる。従って、大きな電気機械結合係数を得ることができ、かつIDTの作製が容易であるため、Ag膜からなるIDTの厚みは、0.01〜0.08の範囲であることが望ましく、より好ましくは0.02〜0.06、さらに好ましくは0.03〜0.05の範囲とされる。
【0035】
次に、LiTaO3基板上に、SiO2膜を成膜した場合の周波数温度係数TCFの変化を図5に示す。図5は、オイラー角(0°,113°,0°)、(0°,126°,0°)及び(0°,129°,0°)の3種類のLiTaO3基板上にSiO2膜が形成されている場合のSiO2膜の規格化膜厚H/λとTCFとの関係を示す。なお、ここでは電極は形成されていない。
【0036】
図5から明らかなように、θが113°、126°及び129°のいずれの場合においても、SiO2膜の規格化膜厚H/λが0.15〜0.45の範囲において、TCFが−20〜+17ppm/℃の範囲となることがわかる。もっとも、SiO2膜の成膜には時間を要するため、SiO2膜の膜厚H/λは0.15〜0.40が望ましい。
【0037】
LiTaO3基板上にSiO2膜を成膜することにより、レイリー波などのTCFが改善されることは知られていたが、LiTaO3基板上に、Agからなる電極を形成し、さらにSiO2膜を積層した構造において、実際に、Agからなる電極の膜厚、SiO2の膜厚、カット角、及び漏洩弾性波の減衰定数を考慮して実験された報告はない。
【0038】
図6は、オイラー角(0°,120°,0°)のLiTaO3基板上に規格化膜厚H/λが0.10以下のAgからなる電極と、規格化膜厚H/λが0〜0.5のSiO2膜を形成した場合における減衰定数αの変化を示す。図6から明らかなように、SiO2膜の膜厚H/λが0.2〜0.40、Ag膜の膜厚H/λが0.01〜0.10である場合に減衰定数αが小さくなっていることがわかる。
【0039】
他方、図7は、(0°,140°,0°)のオイラー角のLiTaO3基板上には、規格化膜厚H/λが0〜0.10のAg膜を形成し、さらに、規格化膜厚H/λが0〜0.5のSiO2膜を形成した場合の減衰定数αの変化を示す。
【0040】
図7から明らかなように、θ=140°のLiTaO3基板を用いた場合には、Ag膜の膜厚が0.06以下においてSiO2膜の膜厚を上記のように変化させたとしても、減衰定数αは大きいことがわかる。
【0041】
すなわち、良好なTCF、大きな電気機械結合係数及び小さな減衰定数を実現するには、LiTaO3基板のカット角すなわちオイラー角と、SiO2膜の膜厚と、Agからなる電極の膜厚とをそれぞれ最適なように組み合わせることが必要となることがわかる。
【0042】
図8〜図15は、それぞれ、SiO2膜の規格化膜厚H/λが、0.1、0.15、0.2、0.25、0.3、0.35、0.4または0.45であり、規格化膜厚H/λが0.1以下のAg膜をLiTaO3基板上に形成した場合のθと減衰定数αとの関係を示す。
【0043】
図8〜図15から明らかなように、Ag膜の厚みH/λを0.01〜0.08とした場合、SiO2膜の厚みと、オイラー角のθとが、下記の表4に示す(a)〜(f)を満たすように選択されれば、周波数温度特性TCFが良好であり、電気機械結合係数が大きく、かつ減衰定数αを効果的に抑制し得ることがわかる。望ましくは、下記の表4の右側のより好ましいオイラー角を選択することにより、より一層良好な特性を得ることができる。
【0044】
【表4】

【0045】
また、より好ましくは、Ag膜の規格化膜厚が0.02〜0.06の場合には、SiO2膜の厚みと、オイラー角のθとが、下記の表5に示す(g)〜(l)を満たすように選択されれば、より一層好ましく、さらに望ましくは、下記の表5の右側のより好ましいオイラー角を選択することにより、より一層良好な特性を得ることができる。
【0046】
【表5】

【0047】
さらに好ましくは、Ag膜の規格化膜厚が0.03〜0.05のときに、SiO2膜の厚みと、オイラー角のθとが、下記の表6に示す(m)〜(r)を満たすように選択されれば、より一層良好な特性を得ることができる。この場合においても、下記の表6の右側に示すより好ましいオイラー角を選択することにより、特性をより一層改善することができる。
【0048】
【表6】

【0049】
なお、本発明では、IDTはAgのみから構成されてもよいが、Agを主体とする限り、Ag合金やAgと他の金属との積層体で構成されてもよい。Agを主体とするIDTとは、IDTの全体の80重量%以上がAgであればよい。従って、Agの下地にAl薄膜やTi薄膜が形成されていてもよく、この場合においても、下地の薄膜とAgとの合計のうち80重量%以上がAgで構成されていればよい。
【0050】
上記実験では、オイラー角(0°,θ,0°)のLiTaO3基板が用いられたが、基板材料のオイラー角において、0±3°のばらつきが通常発生する。このようなばらつきの範囲内、すなわち(0±3°,110°〜150°,0±3°)のLiTaO3基板においても、本発明の効果は得られる。
【0051】
なお、本発明は、図1に示した縦結合共振子型弾性表面波フィルタだけでなく、弾性表面波共振子、横結合型表面波フィルタ、ラダー型フィルタ、ラチス型フィルタなどの様々な表面波装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の一実施例に係る弾性表面波装置を示す平面図。
【図2】電極の膜厚が0のときのオイラー角(0°,θ,0°)のLiTaO3基板上におけるθと電気機械結合係数K2との関係を示す図。
【図3】電極の膜厚が0のときのオイラー角(0°,θ,0°)のLiTaO3基板上におけるθと減衰定数αとの関係を示す図。
【図4】オイラー角(0°,126°,0°)のLiTaO3基板上に、種々の膜厚のAg膜からなる電極を形成した場合のAg膜の規格化膜厚H/λと、電気機械結合係数K2との関係を示す図。
【図5】オイラー角(0°,113°,0°)、(0°,126°,0°)及び(0°,129°,0°)の3種類のLiTaO3基板において、電極膜厚が0で、種々の膜厚のSiO2膜を成膜した場合のSiO2膜の規格化膜厚H/λと周波数温度係数TCFとの関係を示す図。
【図6】オイラー角(0°,120°,0°)のLiTaO3基板上に、0.1以下の規格化膜厚のAg膜を形成し、0〜0.5の規格化膜厚のSiO2膜を成膜した場合の減衰定数αの変化を示す図。
【図7】オイラー角(0°,140°,0°)のLiTaO3基板上に、0.1以下の規格化膜厚のAg膜を形成し、0〜0.5の規格化膜厚のSiO2膜を成膜した場合の減衰定数αの変化を示す図。
【図8】オイラー角(0°,θ,0°)のLiTaO3基板上に、規格化膜厚H/λが0.1以下の各種Ag膜を形成し、規格化膜厚H/λが0.1のSiO2膜を積層した場合の、減衰定数αの変化を示す図。
【図9】オイラー角(0°,θ,0°)のLiTaO3基板上に、規格化膜厚H/λが0.1以下の各種Ag膜を形成し、規格化膜厚H/λが0.15のSiO2膜を積層した場合の、減衰定数αの変化を示す図。
【図10】オイラー角(0°,θ,0°)のLiTaO3基板上に、規格化膜厚H/λが0.1以下の各種Ag膜を形成し、規格化膜厚H/λが0.2のSiO2膜を積層した場合の、減衰定数αの変化を示す図。
【図11】オイラー角(0°,θ,0°)のLiTaO3基板上に、規格化膜厚H/λが0.1以下の各種Ag膜を形成し、規格化膜厚H/λが0.25のSiO2膜を積層した場合の、減衰定数αの変化を示す図。
【図12】オイラー角(0°,θ,0°)のLiTaO3基板上に、規格化膜厚H/λが0.1以下の各種Ag膜を形成し、規格化膜厚H/λが0.3のSiO2膜を積層した場合の、減衰定数αの変化を示す図。
【図13】オイラー角(0°,θ,0°)のLiTaO3基板上に、規格化膜厚H/λが0.1以下の各種Ag膜を形成し、規格化膜厚H/λが0.35のSiO2膜を積層した場合の、減衰定数αの変化を示す図。
【図14】オイラー角(0°,θ,0°)のLiTaO3基板上に、規格化膜厚H/λが0.1以下の各種Ag膜を形成し、規格化膜厚H/λが0.4のSiO2膜を積層した場合の、減衰定数αの変化を示す図。
【図15】オイラー角(0°,θ,0°)のLiTaO3基板上に、規格化膜厚H/λが0.1以下の各種Ag膜を形成し、規格化膜厚H/λが0.45のSiO2膜を積層した場合の、減衰定数αの変化を示す図。
【図16】(a)及び(b)は、従来の弾性表面波装置の問題点を説明するための図であり、SiO2膜の成膜前(a)と、成膜後(b)のSiO2膜の表面の状態を示す走査型電子顕微鏡写真を示す図。
【符号の説明】
【0053】
11…弾性表面波装置
12…LiTaO3基板
13a,13b…IDT
15…SiO2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オイラー角(0±3°,113°〜142°,0±3°)のLiTaO3基板と、
前記LiTaO3基板上に形成されており、Agを主体とする少なくとも1つのIDTと、
前記IDTを覆うように前記LiTaO3基板上に形成されたSiO2膜とを備え、
前記IDTの表面波の波長で規格化された膜厚が0.01〜0.08であり、
前記SiO2膜の表面波の波長で規格化された膜厚が0.10〜0.45の範囲にあることを特徴とする、弾性表面波装置。
【請求項2】
前記SiO2の規格化膜厚及びLiTaO3基板のオイラー角が、下記の(a)〜(f)で表される組み合わせのいずれかである、請求項1に記載の弾性表面波装置。
【表1】

【請求項3】
前記IDTの膜厚H/λが0.02〜0.06であり、前記SiO2の規格化膜厚及びLiTaO3基板のオイラー角が、下記の(g)〜(l)で表される組み合わせのいずれかである、請求項1に記載の弾性表面波装置。
【表2】

【請求項4】
前記IDTの膜厚H/λが0.03〜0.05であり、前記SiO2の規格化膜厚及びLiTaO3基板のオイラー角が、下記の(m)〜(r)で表される組み合わせのいずれかである、請求項1に記載の弾性表面波装置。
【表3】

【請求項5】
弾性表面波として、SH波を主成分とする漏洩弾性表面波を用いることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の弾性表面波装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2006−94567(P2006−94567A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−367737(P2005−367737)
【出願日】平成17年12月21日(2005.12.21)
【分割の表示】特願2002−10301(P2002−10301)の分割
【原出願日】平成14年1月18日(2002.1.18)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】