説明

弾球遊技機

【課題】可動役物の動作確実性を簡易な構成で担保する。
【解決手段】遊技領域の所定位置において、可動役物としての特定領域を設ける。通過センサは、特定領域の繰り返し動作の軌道上に設けられ、特定領域の通過を検出する。信号処理手段は、通過が検出されるたびに検出信号を送信し、役物監視手段は、検出信号の受信タイミングに基づいて特定領域の異常動作を検出し、異常動作検出時にその旨を示す異常信号を送信する。異常報知手段は、異常信号を受信したとき特定領域の異常動作を外部に報知する。役物監視手段は、検出信号の受信後に次の検出信号を受信するまでの検出待機期間が所定の最低待機期間よりも短いとき、特定領域の異常動作として検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ぱちんこ遊技機等の弾球遊技機に関し、特に、弾球遊技機における機械的要素の制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
弾球遊技機として様々な機種のぱちんこ遊技機が親しまれている。従来のぱちんこ遊技機の中には、遊技盤上に形成された始動口へ遊技球が落入すると、その結果としてランダムに抽選値が取得されるものがある。取得された抽選値は保留球として、たとえば最大4個まで一時記憶される。保留球は順次1つずつ読み出される。読み出された抽選値は当否判定され、特別図柄とよばれる図柄が変動表示され、特別図柄の停止表示態様により当否判定の結果が遊技者に報知される。
【0003】
当たり態様にて特別図柄が停止表示されると、いわゆる「大当たり」として特別遊技に遊技状態が移行する。特別遊技は、複数回の単位遊技で構成される。遊技盤上に形成される大入賞口は単位遊技の開始時に開放される。単位遊技はその開始から、所定期間、たとえば30秒間経過するか、あるいは単位遊技中において遊技球が大入賞口へ9球以上入賞したときに終了する。このとき大入賞口もいったん閉鎖される。単位遊技中において、大入賞口内に設けられたVゾーンとよばれる特定領域を遊技球が通過していれば、単位遊技は次の単位遊技へと継続される。このとき再び大入賞口は開放される。単位遊技は所定回数、たとえば、15回を限度として継続され得る。遊技球が大入賞口に落入すると、通常よりも多くの遊技球が賞球として払い出される。
一般的な遊技者は多くの賞球を獲得するために大入賞口を開放させる、すなわち、特別遊技に遊技状態を移行させることを目的として遊技を行う(たとえば、特許文献1参照)。
【0004】
特別図柄の変動表示期間中に装飾図柄や演出図柄などとよばれる演出目的の図柄も変動表示させることにより、遊技者の大当たりに対する期待感を更に高めるような演出を実行することも多い。また、演出目的の機械的構造物として、いわゆる可動役物を遊技盤面上や液晶画面周囲に設けられることも多い。可動役物は、遊技の進行そのものを左右する機械的要素として利用されることもある。
【特許文献1】特開2003−230714号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年では、複雑な構造の可動役物が遊技盤面上の狭い空間に取り付けられることも多く、可動役物の動作安定性を担保するのはいっそう難しくなってきている。さまざまな可動役物の動作安定性を担保するためには、可動役物自体の堅牢性ももちろん重要であるが、可動役物の動作状態をリアルタイムに監視するための監視機構を設けることが望ましい。特に、遊技者の不正行為により可動役物が異常動作させられているときには、このような不正行為を早期発見する必要がある。ただし、製品コストの抑制や検出用プログラムのサイズの抑制など、ぱちんこ遊技機におけるさまざまな設計上の制約に鑑みれば、監視機構は遊技機構を制約しないシンプルな構成であることが望ましい。
【0006】
本発明はこうした課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、弾球遊技機において可動役物の動作確実性を比較的簡易な構成で担保するための技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様は、弾球遊技機に関する。
この弾球遊技機は、遊技領域が形成された遊技盤と、遊技領域の所定位置に設けられ、遊技球が入球可能な始動入賞口と、始動入賞口への入球を契機として所定の条件が満たされたときに、通常遊技よりも遊技者に有利となる遊技である特別遊技を実行する特別遊技制御手段と、遊技領域の所定位置に設けられ、所定の動作パターンの繰り返しにより常時動作をする可動役物と、可動役物の繰り返し動作の軌道上に設けられ、可動役物の通過を検出する通過センサと、可動役物の通過が検出されるたびに可動役物が通過したことを示す検出信号を外部に送信する信号処理手段と、検出信号を受信し、その受信タイミングに基づいて可動役物の異常動作を検出し、異常動作検出時にその旨を示す異常信号を外部に送信する役物監視手段と、役物監視手段から異常信号を受信したとき可動役物の異常動作を外部に報知する異常報知手段と、を備える。
役物監視手段は、検出信号の受信後に次の検出信号を受信するまでの検出待機期間が所定の最低待機期間よりも短いとき、可動役物の異常動作として検出する。
【0008】
ここで「通過センサ」の設置場所である「可動役物の軌道上」は、たとえば可動役物が通過する経路またはその近傍位置が主に想定される。しかしこれは、可動役物の対向位置ではない部位、すなわち可動役物そのものの一部に設置される場合を除外する趣旨ではない。よって、可動役物の軌道上に受光素子または発光素子のいずれかを設置し、可動役物側に発光素子または受光素子のいずれかを設置することで通過を検出するような構成も当然に含む。「異常報知手段」による「外部に報知」は、たとえばランプなどの発光部を点灯させたり液晶に表示したりするなどの視覚的な手段を利用してもよいし、音声を出力するなどの聴覚的な手段を利用してもよい。
【0009】
この態様によると、可動役物は常時動作していなければならないことを監視する必要があるところ、監視する手段としては可動役物の動作を間断なく監視し続けるのではなく、その動作の少なくとも一部分である一瞬の動作を監視するだけで全体の動作の適切さを認識することができる。そうした監視手段の構造は比較的簡易で足り、その構築も比較的容易となるため、構造的な制約やコスト的な要求、プログラム上の制約にも応えたかたちで可動役物の動作確実性を担保することができる。
【0010】
役物監視手段は、検出信号を受信してから最低待機期間が経過するまでに、新たに所定回数以上の検出信号を受信したことを条件として、異常信号を送信してもよい。
【0011】
可動役物の一時的・偶発的な異常動作を逐一異常として報知するのではなく、異常報知まですべきほどに異常な状況を判断するための条件を設けてもよい。上記のように「最低待機期間経過前に検出信号が所定回数以上受信されること」という条件を設けることにより、異常報知の実効性を高めることができる。
【0012】
異常報知手段は、異常信号を受信してから所定の報知期間が経過するまで、可動役物の異常動作を外部に継続的に報知し、報知期間中において新たな異常信号を受信したときには、新たな異常信号を受信してから報知期間が経過するまで報知を継続すべき期間を延長してもよい。
【0013】
このような態様によれば、異常動作が連続的に発生しているときには長期にわたって異常報知されることになるため、可動役物の異常動作に対する遊技者や店員の注意をいっそう喚起しやすくなる。
【0014】
異常報知手段は、互いに異なる第1の報知態様および第2の報知態様にて可動役物の異常動作を外部に報知し、異常信号の受信から第1の報知期間が経過するまで第1の報知態様により継続的に異常動作を報知するとともに、異常信号の受信から第1の報知期間とは異なる第2の報知期間が経過するまで第2の報知態様により継続的に異常動作を報知してもよい。
【0015】
たとえば、遊技者の注意を喚起しやすい画面表示などによる報知態様の場合、短期間の異常報知でも遊技者の注意を充分に喚起できると考えられる。一方、遊技者の注意をそれほど喚起しないランプなどによる報知態様の場合には、長期間点灯による異常報知によって遊技者の注意を喚起してもよい。このように、各報知態様の注意喚起力に応じて報知期間を異ならせれば、各種異常報知の実効性を高めることができる。
【0016】
可動役物の異常発生履歴を保持し、可動役物の異常動作が検出されたときに異常発生履歴を更新する異常履歴更新手段、を更に備えてもよい。役物監視手段は、異常発生履歴を参照し、過去における異常動作の検出傾向に基づいて、異常信号の送信可否を判定してもよい。
【0017】
たとえば、過去の異常動作の検出傾向からみたとしても、特に異常であるときのみ異常報知を実行するとしてもよい。可動役物の一時的・偶発的な異常動作を逐一異常として報知するのではなく、異常発生履歴に関連する条件判定に基づいて報知実行可否を判定することにより、異常報知の実効性を高めることができる。
【0018】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0019】
本発明の弾球遊技機によれば、可動役物の動作確実性を比較的簡易な構成で担保するための技術を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本実施例に示すぱちんこ遊技機は、通常遊技よりも遊技者に有利な状態である特別遊技を複数の形態で複合的に提供する。従来にいう第1種ぱちんこ遊技機における特別遊技を第1特別遊技、従来にいう第2種ぱちんこ遊技機における特別遊技を第2特別遊技としてそれぞれ提供する。第1特別遊技は、以下の過程を経て発生する。遊技球が始動入賞口に入球すると第1の抽選が実行されるとともに、その結果を示すための特別図柄の変動表示がなされる。第1の抽選が当たりとなり、特別図柄が所定の当たり態様で停止されると、第1特別遊技が開始される。第2特別遊技は、以下の過程を経て発生する。遊技球が普通電役入球口に入球すると、第2大入賞口が一時的に開放されて第2特別遊技の第1段階が開始される。第2大入賞口に入球した遊技球がその内部の特定領域を通過すると、第2特別遊技の第2段階が開始され、第2特別遊技は継続される。
【0021】
第1特別遊技または第2特別遊技が終了すると、所定の確率でいわゆる変動時間短縮遊技(以下、「時短」という)とよばれる特定遊技に移行する。特定遊技は、特別遊技の終了後、特別図柄の変動回数が所定回数(以下、「継続回数」とよぶ)に達するまで継続する。この特定遊技中においては、普通電役入球口への入球容易性が高まるので、第2特別遊技に移行しやすくなる。特定遊技中に第2特別遊技が発生した場合は、第2特別遊技が終了しても特定遊技は継続される。通常、普通電役入球口への入球容易性が低いため、まずは遊技球を始動入賞口に入球させて第1特別遊技に移行させた後、特定遊技に移行させた上で、第2特別遊技への移行を狙う遊技方法が定石となる。
【0022】
図1は、ぱちんこ遊技機の正面側の構成を示す。
ぱちんこ遊技機10は、主に遊技機枠と遊技盤で構成される。ぱちんこ遊技機10の遊技機枠は、外枠11、前枠12、透明板13、扉14、上球皿15、下球皿16、発射ハンドル17および異常警報ランプ220を含む。外枠11は、開口部分を有し、ぱちんこ遊技機10を設置すべき位置に固定するための枠体である。前枠12は、外枠11の開口部分に整合する枠体であり、図示しないヒンジ機構により外枠11へ開閉可能に取り付けられる。前枠12は、遊技球を発射する機構や、遊技盤を着脱可能に収容させるための機構、遊技球を誘導または回収するための機構等を含む。透明板13は、ガラスなどにより形成され、扉14により支持される。扉14は、図示しないヒンジ機構により前枠12へ開閉可能に取り付けられる。上球皿15は、遊技球の貯留、発射レールへの遊技球の送り出し、下球皿16への遊技球の抜き取り等の機構を有する。下球皿16は、遊技球の貯留、抜き取り等の機構を有する。上球皿15と下球皿16の間にはスピーカ18が設けられており、遊技状態などに応じた効果音が出力される。操作ボタン82は、遊技者が遊技機側へ所定の指示入力をするために操作するボタンである。操作ボタン82は、上球皿15近傍の外壁面に設けられる。異常警報ランプ220は、遊技機に異常が発生した場合に点滅するランプである。
【0023】
遊技盤50は、外レール54と内レール56により区画された遊技領域52上に、アウト口58、センター飾り64、第1種始動入賞口(以下、単に「始動口」という)24、普通電役入球口26、第1大入賞口28、第2大入賞口30、作動口68を含む。さらに遊技領域52には、図示しない複数の遊技釘や風車などの機構が設置される。
【0024】
始動口24は、遊技球の入球を検出する入球検出装置32を含む。作動口68は、遊技球の入球を検出する入球検出装置38を含む。普通電役入球口26は、遊技球の入球を検出する入球検出装置34を含む。普通電役入球口26は、その入球する入口を拡開する普通電動役物と、その普通電動役物を開閉させる普通電役ソレノイド76とを含む。第1大入賞口28は、遊技球の入球を検出する入球検出装置78と、第1大入賞口28を開閉させる大入賞口ソレノイド83とを含む。第2大入賞口30は、遊技球の入球を検出する入球検出装置81と、第2大入賞口30の羽根を開閉させる大入賞口ソレノイド80とを含む。
【0025】
普通電役入球口26は、普通電動役物が開閉することにより入球可能な状態と入球不可状態の間で変化する。具体的には、普通電役入球口26は、普通電役ソレノイド76による駆動力で開放状態または閉鎖状態への変化が可能な可変入球口として機能する。普通電役入球口26は、始動口24のすぐ下方に設けられる。普通電動役物が閉鎖状態にあるとき普通電役入球口26の入球口は始動口24に遮蔽され、遊技球は普通電役入球口26に落入しない。変形例として、通常時に遮蔽されないよう構成してもよい。その場合、普通電動役物の開放状態は閉鎖状態よりも入球容易な状態となる。普通電動役物が開放状態となると遊技球は普通電動役物の横方向から普通電役入球口26に落入可能となる。
【0026】
普通電役入球口26の1回の開放時間は、通常状態においては、たとえば0.8秒程度の短時間である。そのため、通常状態においては、遊技球が普通電役入球口26に落入する可能性は小さい。一方、特定遊技中においては普通電役入球口26の1回の開放時間が通常状態よりも長く設定されるので、遊技球は普通電役入球口26に落入しやすくなる。このときの開放時間は、たとえば、3.0秒程度に設定される。このため、特定遊技中には通常状態に比べると格段に第2特別遊技に移行しやすくなる。
【0027】
第1大入賞口28は、入球可能な状態と入球不可能な状態との間で変化する。第1大入賞口28は、大入賞口ソレノイド83による駆動力で開放状態と閉鎖状態の間で状態変化が可能な第1可変入球装置として機能する。第1大入賞口28は、第1特別遊技、および、第2特別遊技の第2段階において開放状態となる横長方形状の入賞口であり、アウト口58の上方に設けられる。第1大入賞口28が閉鎖状態のときは入球できず、開放状態となってはじめて入球可能となる。
【0028】
第2大入賞口30もまた、入球可能な状態と入球不可能な状態との間で変化する。第2大入賞口30は、大入賞口ソレノイド80による駆動力で開放状態と閉鎖状態の間で状態変化が可能な第2可変入球装置として機能する。第2大入賞口30は、普通電役入球口26への入球を契機に開放状態となる。第2大入賞口30が閉鎖状態のときは入球できず、開放状態となってはじめて入球可能となる。
【0029】
遊技盤50の略中央に設けられたセンター飾り64には、演出表示装置60、特別図柄表示装置61、特別図柄変動用の保留ランプ20が設けられている。センター飾り64は、遊技球の流路、特別図柄表示装置61および演出表示装置60の保護、装飾等の機能を有する。特別図柄表示装置61は、7セグメントLEDで構成される表示手段であり、特別図柄192を変動させながら表示する(以下、そうした表示を「図柄変動」または「変動表示」等という)。特別図柄192は、始動口24への入球を契機に実行される抽選(以下、「特別図柄抽選」とよぶ)の結果に応じた図柄であり、第1特別遊技を発生させるか否かを示す役割をもつ。遊技球が始動口24に入球すると、特別図柄192が変動表示され、表示に先立って決定された変動時間の経過後に特別図柄抽選の結果を示す態様にて停止する。なお、特別図柄192は必ずしも演出的な役割をもつことを要しないため、本実施例では演出表示装置60の右方の特別図柄表示装置61にて目立たない大きさで表示させるが、特別図柄自体に演出的な役割をもたせて装飾図柄を表示させないような手法を採用する場合には、特別図柄を演出表示装置60のような液晶ディスプレイに表示させてもよい。
【0030】
演出表示装置60は、特別図柄192の変動表示と連動する形で装飾図柄190を変動表示する液晶ディスプレイである。装飾図柄190は、特別図柄抽選の結果を視覚的に演出するための図柄である。演出表示装置60は、装飾図柄190として、例えばスロットマシンのゲームを模した複数列の図柄変動の動画像を画面に表示する。演出表示装置60は、この実施例では液晶ディスプレイで構成されるが、ドラムなどの機械式回転装置やLEDなどの他の表示手段で構成されてもよい。また、演出表示装置60は、第1特別遊技や第2特別遊技において遊技者の賞球獲得に対する期待感を喚起するための演出においても演出的な画像を表示させる。
【0031】
作動口68は、遊技盤50の左下方位置に設けられる。作動口68への遊技球の通過は普通電役入球口26の普通電動役物を拡開させるか否かを決定する普通図柄抽選の契機となる。作動口68を遊技球が通過すると、普通図柄抽選の結果を示すための普通図柄194がランプを点滅させる形で普通図柄表示装置59に変動表示される。普通図柄表示装置59は作動口68の左方に設けられる。所定時間の経過後に普通図柄194の変動表示が当たりの態様で停止すると、普通電役入球口26が所定時間拡開する。普通図柄変動用の保留ランプ21は普通図柄表示装置59の近傍に設けられる。
【0032】
特別図柄変動用の保留ランプ20は4個のランプからなり、その点灯個数によって特別図柄192の変動の保留球数を表示する。保留球数とは、特別図柄192の変動中や特別遊技の実行中に遊技球が始動口24へ落入したときに抽選値として取得される抽選乱数(以下、「特図抽選値」ともよぶ)の個数であり、特別図柄192の変動表示がまだ実行されていない入賞球の数を示す。いわば、特別図柄変動の実行予定数である。普通図柄変動用の保留ランプ21も4個のランプからなり、その点灯個数によって普通図柄194の変動の保留球数を表示する。この保留球数は、普通図柄194の変動中に作動口68へ遊技球が落入したときに抽選値として取得される抽選乱数(以下、「普図抽選値」ともよぶ)の個数であり、普通図柄194の変動がまだ実行されていない入球の数を示す。いわば、普通図柄変動の実行予定数である。
【0033】
遊技者が発射ハンドル17を手で回動させると、その回動角度に応じた強度で上球皿15に貯留された遊技球が1球ずつ内レール56と外レール54に案内されて遊技領域52へ発射される。遊技者が発射ハンドル17の回動位置を手で固定させると一定の時間間隔で遊技球の発射が繰り返される。遊技領域52の上部へ発射された遊技球は、複数の遊技釘や風車に当たりながらその当たり方に応じた方向へ落下する。遊技球が始動口24、普通電役入球口26、第2大入賞口30、第1大入賞口28等の各入賞口へ落入すると、その入賞口の種類に応じた賞球が上球皿15または下球皿16に払い出される。始動口24等の各入賞口に落入した遊技球はセーフ球として処理され、アウト口58に落入した遊技球はアウト球として処理される。なお、各入賞口は遊技球が通過するゲートタイプのものを含み、本願において「落入」「入球」「入賞」というときは「通過」を含むものとする。
【0034】
始動口24に入球すると、特別図柄表示装置61および演出表示装置60において特別図柄192および装飾図柄190が変動表示される。演出表示装置60は、液晶画面による表示装置であってもよい。特別図柄192および装飾図柄190の変動表示は、表示に先だって決定された表示時間の経過後に停止される。停止時の特別図柄192および装飾図柄190が大当たりを示す図柄である場合、第1特別遊技に移行し、第1大入賞口28の開閉動作が開始される。このときスロットマシンのゲームを模した装飾図柄190は、3つの図柄を一致させるような表示態様をとる。第1特別遊技において、第1大入賞口28は、約30秒間開放された後、または9球以上の遊技球が落入した後で一旦閉鎖される。このような第1大入賞口28の開閉が所定回数、例えば7回繰り返される。
【0035】
第1特別遊技が発生した場合であってそのときの当たり停止図柄が特定の態様であった場合、第1特別遊技終了後の通常遊技において、特定遊技として時短が開始される。時短においては、特別図柄および装飾図柄の変動時間が通常より短縮される。特別図柄および装飾図柄の変動時間は、継続回数分の変動表示がなされた後で元の変動時間に戻される。時短においては、特別図柄192が短縮されるだけでなく、普通図柄表示装置59における普通図柄の変動時間も短縮され、また、普通電役入球口26の開放時間も長くなる。そのため、通常状態の通常遊技に比べて格段に普通電役入球口26へ入球しやすくなる。開放された普通電役入球口26に入球すると、第2大入賞口30が開放される。これにより、第2特別遊技に移行する。第2特別遊技において第2大入賞口30が開放される状態を第2特別遊技の第1段階と呼ぶ。
【0036】
センター飾り64は、その内側に、センター飾り64の外部から隔てられる形で仕切られた空間を形成している。第2大入賞口30はセンター飾り64の左側に取り付けられており、開放された第2大入賞口30に入球した遊技球はセンター飾り64の内部に設けられた通路31を通って内側の空間へ流入する。その空間には、誘導装置62、特定領域22、流出領域66が設けられている。通路31の内部には、入球検出装置81が設けられ、第2大入賞口30への入球が検出される。センター飾り64の内側に入球した遊技球は特定領域22または流出領域66の方向に導かれる。誘導装置62は、低速で回転する可動役物であり、遊技球を特定領域22と流出領域66のいずれかへ導くよう作用する。特定領域22は入球口としての可動役物であり、常時、左右に往復移動する。誘導装置62の回転状態と特定領域22の往復移動の位置関係や遊技球の勢いによって、遊技球が特定領域22へ入球するか、流出領域66へ入球するかが決まる。
【0037】
特定領域22への入球は入球検出装置36により検出され、流出領域66への入球は流出検出装置37により検出される。なお、入球検出装置36および流出検出装置37をまとめて、排出検出装置35とよぶ。入球検出装置36および流出検出装置37は、特定領域22および流出領域66のそれぞれに入球した遊技球を計数する。それぞれの領域への入球数の和が入球検出装置81により計数された入球数と一致すると、第2大入賞口30に入球したすべての遊技球が、特定領域22または流出領域66に入球したと判定される。
【0038】
遊技球がセンター飾り64の内部の特定領域22に入球することが、第2特別遊技の第1段階から第2段階へ移行するための「継続条件」となる。継続条件が成立すると、第1特別遊技と同様に、第1大入賞口28の開閉動作が所定回数、たとえば7回繰り返される。第2特別遊技の第1段階は1回目の単位遊技に相当し、第2段階が2回目以降の単位遊技に相当する。第2特別遊技の発生原因となった特定領域22への入球が時短中であった場合、その第2特別遊技終了後に再び時短へ移行するが、特定領域22への入球が時短中でなかった場合は、その第2特別遊技終了後は通常状態での通常遊技へ戻り、時短とはならない。時短中は第2特別遊技が繰り返し発生するチャンスとなる。
【0039】
変形例として、第1大入賞口28の機能をすべて第2大入賞口30に持たせることにより、第1大入賞口28のない遊技機を実現してもよい。これにより、特別遊技の動作制御の単純化、製造コストの削減、遊技領域52のスペース有効活用をさらに進めることができる。
【0040】
図2は、ぱちんこ遊技機の背面側の構成を示す。
電源スイッチ40はぱちんこ遊技機10の電源をオンオフするスイッチである。メイン基板102は、ぱちんこ遊技機10の全体動作を制御し、特に始動口24および作動口68へ入球したときの抽選等、遊技動作全般を処理する。サブ基板104は、液晶ユニット42を備え、演出表示装置60における表示内容を制御し、特にメイン基板102による抽選結果に応じて表示内容を変動させる。メイン基板102およびサブ基板104は、遊技制御装置100を構成する。セット基盤39は、賞球タンク44や賞球の流路、賞球を払い出す払出ユニット43等を含む。払出ユニット43は、各入賞口への入賞に応じて賞球タンク44から供給される遊技球を上球皿15へ払い出す。払出制御基板45は、払出ユニット43による払出動作を制御する。発射装置46は、上球皿15の貯留球を遊技領域52へ1球ずつ発射する。発射制御基板47は、発射装置46の発射動作を制御する。電源ユニット48は、ぱちんこ遊技機10の各部へ電力を供給する。
【0041】
図3は、第2大入賞口30の内部における特定領域22の左右往復運動を模式的に示す。
図3(a)のように、特定領域22の左方には通過センサ210が設けられている。特定領域22は左右方向に一定速度で運動する動作パターンの繰り返しにより常時往復動作する可動役物であって、その一部に特定領域22として作用するための入球口を有する。特定領域22は、図示しないモータの駆動力により動作する。通過センサ210は、特定領域22の繰り返し動作の軌道上にあり、その位置を通過する特定領域22を検出する。図3(a)に示すような特定領域22の位置を中心として特定領域22は左右へ往復する。特定領域22が右方向へ移動すると、図3(b)のような状態となる。破線212は元の特定領域22の位置を示す。通過センサ210は特定領域22の左方に設けられているため、右方へ移動した特定領域22の通過を検知しない。この状態から特定領域22は移動方向を反転して図3(a)の状態を経て左方へ移動する。左方へ移動した状態が図3(c)である。このとき、特定領域22が通過センサ210の上を遮蔽することとなり、通過センサ210は特定領域22の通過を検出する。破線212は特定領域22の最初の位置を示す。この状態から再び移動方向を反転して図3(a)の状態を経て右方へ移動する。
【0042】
このように、特定領域22は図3(a)、図3(b)、図3(a)、図3(c)、図3(a)の順序で左右方向に移動するが、その動きは等速度ないし等間隔で一定の動作パターンを繰り返しているだけである。したがって、特定領域22が設計通り動作しているか否かを確認するにはその軌道上の1点を通過しているか確認すれば足りることとなる。本実施例では、特定領域22が左右両方向へ移動するのに対し、通過センサ210を右方には設置せず左方のみに一つだけ設置している。このように1箇所にのみ通過センサ210を設置するだけで足りることから、部品点数を少なくして低コストで特定領域22の適切な動作を確認できる。また1箇所のみで通過を検出すれば足りるため、検出に要する動作負荷も最小限に抑制できる。
【0043】
本実施例における特定領域22の通過検出方法は、一定の動作パターンで動作する可動役物全般に応用可能である。特に、特定領域22のような多量の出玉に直結する重要な入球口の動作について、このような簡易な構成および処理による通過検出方法を採用する意義は大きい。
【0044】
通過センサ210は、発光素子と受光素子を含む赤外線対物センサを想定する。発光素子と受光素子のいずれか一方を通過センサ210の位置に設け、他方を特定領域22の裏側に設けることで、通過センサ210の位置における特定領域22の通過を検出する構成としてもよい。
【0045】
図4は、ぱちんこ遊技機の機能ブロック図である。
ぱちんこ遊技機10において、遊技制御装置100は、始動口24、作動口68、普通電役入球口26、第1大入賞口28、第2大入賞口30、演出表示装置60、特別図柄表示装置61、普通図柄表示装置59、スピーカ18、操作ボタン82、特定領域22、通過センサ210、異常警報ランプ220のそれぞれと電気的に接続されており、各種制御信号の送受信を可能とする。遊技制御装置100は、遊技の基本動作だけでなく、図柄の変動表示や電飾等の演出的動作も制御する。遊技制御装置100は、遊技の基本動作や出玉に直結する動作を含むぱちんこ遊技機10の全体動作を制御するメイン基板102と、図柄の演出等を制御するサブ基板104とに機能を分担させた形態で構成される。遊技制御装置100は、ハードウエア的にはデータやプログラムを格納するROMやRAM、演算処理に用いるCPU等の素子を含んで構成される。
【0046】
本実施例におけるメイン基板102は、入球判定手段110、第1抽選手段112、第2抽選手段113、図柄決定手段114、保留制御手段118、メイン表示制御手段122、特別遊技制御手段126、開閉制御手段132、特定遊技制御手段133、信号処理手段200、役物制御手段204を備える。本実施例におけるサブ基板104は、パターン記憶手段140、演出決定手段142、演出表示制御手段144、役物監視手段202、異常報知手段206および異常履歴更新手段208を備える。なお、メイン基板102に含まれる各機能ブロックは、いずれかがメイン基板102ではなくサブ基板104に搭載されるかたちで構成されてもよい。同様に、サブ基板104に含まれる各機能ブロックは、いずれかがサブ基板104ではなくメイン基板102に搭載されるかたちで構成されてもよい。
【0047】
入球判定手段110は、各入球口への入球を判定する。入球判定手段110は、始動口24についての入球検出装置32から始動入賞情報を受け取ると遊技球が始動口24に入賞したと判定し、作動口68についての入球検出装置38から通過情報を受け取ると遊技球が作動口68を通過したと判定する。入球判定手段110は、第1大入賞口28についての入球検出装置78から大入賞口入賞情報を受け取ると遊技球が第1大入賞口28に入賞したと判定し、第2大入賞口30についての入球検出装置81から大入賞口入賞情報を受け取ると遊技球が第2大入賞口30に入賞したと判定する。さらに、入球判定手段110は、第2大入賞口30における特定領域22や流出領域66への入球も判定する。
【0048】
第1抽選手段112は、始動口24への入球を契機に第1特別遊技へ移行するか否かを判定するために乱数の値を特図抽選値として取得する。たとえば、特図抽選値は「0」から「65535」までの値範囲から取得される。なお、本願にいう「乱数」は、数学的に発生させる乱数でなくてもよく、ハードウエア乱数やソフトウエア乱数などにより発生させる疑似乱数でもよい。第1抽選手段112が参照する当否テーブルには、当たりまたは外れの判定結果と特図抽選値とが対応付けられており、対応付けられた当たりの範囲設定に応じて当否確率が定まる。
【0049】
第2抽選手段113は、作動口68への入球を契機に普通電役入球口26を開放するか否かを判定するために乱数の値を普図抽選値として取得する。たとえば、普図抽選値は「0」から「511」までの値範囲から取得される。第2抽選手段113が参照する当否テーブルには、当たりまたは外れの判定結果と普図抽選値とが対応付けられており、対応付けられた当たりの範囲設定に応じて当否確率が定まる。
【0050】
図柄決定手段114は、特図決定手段115と普図決定手段116を含む。特図決定手段115は、特別図柄192の停止図柄を決定するための図柄決定抽選値を取得し、第1抽選手段112による当否判定結果と図柄決定抽選値とに応じて特別図柄192の停止図柄を決定する。また、特図決定手段115は、第1抽選手段112による当否判定結果に応じて複数の変動パターンからいずれかのパターンを選択する。特図決定手段115は、特別図柄192の停止図柄を決定するために参照すべき図柄範囲テーブルや、特別図柄192の変動パターンを決定するために参照すべきパターン決定テーブルを保持する。なお、第1抽選手段112で決定される特別図柄192の「変動パターン」は、演出的な過程が含まれないパターンであるため実質的には「変動時間」と同義である。特図決定手段115は、決定した停止図柄および変動パターンを示すデータをメイン表示制御手段122および後述する演出決定手段142へ送出する。
【0051】
普図決定手段116は、普通図柄194の停止図柄を決定するための図柄決定抽選値を取得し、第2抽選手段113による当否判定結果と図柄決定抽選値とに応じて普通図柄194の停止図柄を決定する。また、普図決定手段116は、通常状態において、たとえば10秒から60秒の間で変動時間をランダムに選択し、特定遊技中は通常状態よりも短い、たとえば1秒という変動時間を選択する。普図決定手段116は、普通図柄194の停止図柄を決定するために参照すべき図柄範囲テーブルや、普通図柄194の変動時間を決定するために参照すべき時間決定テーブルを保持する。普図決定手段116は、決定した停止図柄および変動時間を示すデータを普通図柄表示装置59へ送出する。普通図柄194の停止図柄が特定の図柄であった場合、開閉制御手段132が普通電役入球口26の普通電動役物を所定時間拡開する。
【0052】
保留制御手段118は、第1保留手段119と第2保留手段120を含む。第1保留手段119は、特別図柄192の変動表示中や特別遊技の実行中に始動口24への入球があったとき、その入球に対応する特図抽選値を上限個数である4個まで保留球として記憶する。第2保留手段120は、普通図柄194の変動表示中に作動口68への入球があったとき、その入球に対応する普図抽選値を上限個数である4個まで保留球として記憶する。
【0053】
メイン表示制御手段122は、特図表示手段123と普図表示手段124を含む。特図表示手段123は、第1抽選手段112による抽選の結果を、特図決定手段115により決定された変動パターンにしたがって特別図柄192の変動表示として特別図柄表示装置61に表示させる。特図表示手段123は、特別図柄192の変動表示を開始するタイミングと停止するタイミングにて、変動開始コマンドと変動停止コマンドを演出表示制御手段144へ送信することにより、特図表示手段123および演出表示制御手段144による変動表示が同期し、連動が保たれる。普図表示手段124は、決められた変動時間にて普通図柄194の変動を普通図柄表示装置59に表示させる。
【0054】
特別遊技制御手段126は、第1作動条件保持手段127、第2作動条件保持手段128、第1特別遊技実行手段129、第2特別遊技実行手段130、作動回避手段131を含む。第1作動条件保持手段127は、第1特別遊技を実行するための条件である第1作動条件を保持し、第2作動条件保持手段128は、第2特別遊技を実行するための条件である第2作動条件を保持する。第1作動条件には、特別図柄192が当たり態様で停止することが条件として定められている。第2作動条件には、普通電役入球口26への入球が条件として定められている。
【0055】
第1特別遊技実行手段129は、第1抽選手段112による抽選結果が当たりであった場合に、第1特別遊技を実行する。第1特別遊技は、第1大入賞口28の開閉動作を複数回数連続して継続する遊技であり、1回の開閉を単位とした単位遊技が複数回実行される。単位遊技の回数は例えば7回であり、1回につき第1大入賞口28を約30秒間開放させる。
【0056】
第2特別遊技実行手段130は、第2抽選手段113による抽選結果が当たりであった場合に、第2特別遊技を実行する。第2特別遊技は、第1段階と第2段階に分けられる。第2作動条件の成立は、第2特別遊技の第1段階を開始するための条件が成立したことを示すとともに、その後、第1段階および第2段階を通して第2特別遊技が続く限り第2作動条件が成立している。第2特別遊技の第1段階では1回目の単位遊技として第2大入賞口30が開放され、第2段階では2回目以降の単位遊技として、第1大入賞口28が複数回開放される。第2段階での単位遊技の回数は例えば7回であり、1回につき第1大入賞口28を約30秒間開放させる。
【0057】
作動回避手段131は、第1作動条件および第2作動条件のいずれか一方の作動条件が成立したとき、他方の作動条件の成立を回避させる。いいかえれば、第1特別遊技と第2特別遊技が同時並行的に実行されないように排他制御する。第2作動条件の成立中であって、第2特別遊技の第1段階または第2段階が実行されている間は、第1作動条件の成立が回避される。一方、第1作動条件の成立中は、第2作動条件の成立が回避され、第2特別遊技の第1段階および第2段階のいずれも実行されない。特別図柄192が変動表示されている間に第2作動条件が成立した場合、作動回避手段131は特別図柄192の変動表示における変動時間の進行を一時停止させる。
【0058】
特定遊技制御手段133は、通常遊技における遊技状態を通常状態から特定遊技状態へ移行させる制御と、特定遊技状態から通常状態へ戻す制御を実行する。本実施例における特定遊技は時短である。第1抽選手段112による抽選が当たりとなった場合であって、特図決定手段115が決定する特別図柄192の停止図柄が所定の図柄であった場合に、その第1特別遊技の終了後に時短へ移行する。また、時短中に第2特別遊技の第2段階に移行した場合も、第2特別遊技の終了後に時短へ移行する。その他の場合は、第1特別遊技または第2特別遊技の終了後であっても時短へは移行しない。時短へ移行した場合、図柄変動回数が所定の継続回数、たとえば100回に達するか、次の第1特別遊技または第2特別遊技が発生するまで時短が継続される。
【0059】
特定遊技制御手段133は、特定遊技の開始時と終了時において図柄決定手段114と開閉制御手段132に特定遊技の開始と終了を示す情報を送信する。特定遊技中は、特図決定手段115は変動時間の短い変動パターンを選択し、普図決定手段116は普通図柄の変動時間を短縮する。また、特定遊技中における開閉制御手段132は、普通図柄抽選が当たりのときに、通常状態よりも長い開放時間にて普通電役入球口26を開放する。
【0060】
開閉制御手段132は、普通電役入球口26の普通電動役物、第1大入賞口28、第2大入賞口30の開閉を制御する。開閉制御手段132は、普通図柄が特定の図柄で停止されると、普通電役ソレノイド76に開放指示を送り、普通電役入球口26を開放させる。同様に、開閉制御手段132は、第1特別遊技中は大入賞口ソレノイド83に開放指示を送って第1大入賞口28を開放させ、第2特別遊技の第1段階は大入賞口ソレノイド80に開放指示を送って第2大入賞口30を開放させ、第2特別遊技の第2段階は大入賞口ソレノイド83に開放指示を送って第1大入賞口28を開放させる。
【0061】
役物制御手段204は、モータを所定の動作パターンにしたがって制御することにより、特定領域22や誘導装置62を繰り返し動作させる。本実施例において可動役物である特定領域22や誘導装置62は、出玉と直結する役物であるため、メイン基板102において制御される。信号処理手段200は、特定領域22の通過を通過センサ210から受信し、特定領域22の通過が検出されるたびに特定領域22が通過したことを示す「検出信号」を生成する。信号処理手段200は、通過センサ210から検出結果を受け取ったときに検出信号を生成するだけである。信号処理手段200は特定領域22の正常・異常を判定するものではない。したがって、信号処理手段200の処理のためのプログラムサイズはごくわずかであり、このプログラム動作に伴う負荷も微小である。一般的に、メイン基板102のROMサイズは制約を受けやすい部分であるが、信号処理手段200のプログラムはきわめて軽量である。信号処理手段200は、検出信号をサブ基板104側の役物監視手段202へ送信する。
【0062】
パターン記憶手段140は、装飾図柄を含む演出画像の変動パターンとして変動表示における変動開始から停止までの変動過程が定められた複数の変動パターンデータを保持する。変動パターンには、通常の外れ図柄を表示するときのパターンと、あと一つ図柄が揃えば大当たりとなるリーチ状態を経て外れ図柄を表示するときのパターンと、リーチ状態を経て大当たり図柄を表示するときのパターンが含まれる。特に、リーチ状態を経るときのパターンとしては、長短様々な変動時間をもつパターンが含まれる。各変動パターンには、その図柄変動の終了条件としてパターンごとに変動時間が定められており、その変動時間の経過時に図柄変動が停止される。
【0063】
演出決定手段142は、装飾図柄の停止図柄の組合せとその配置および変動パターンを、第1抽選手段112による抽選の結果、特別図柄の停止図柄、特別図柄の変動パターンに応じて決定する。これにより特別図柄と変動時間が等しい演出画像の変動パターンが選択される。演出決定手段142は、装飾図柄の停止図柄を決定するために参照すべき図柄範囲テーブルや、変動パターンを決定するために参照すべきパターンテーブルを保持する。
【0064】
装飾図柄の停止図柄は、3つの図柄の組合せとして形成され、たとえば第1抽選手段112による判定結果が第1特別遊技への移行を示す場合は「777」や「111」のように3つの図柄が揃った組合せが選択される。この場合、装飾図柄として揃える数字には、特別図柄と同じ数字が選ばれるのが好ましい。たとえば、特別図柄が「3」の場合は装飾図柄が「333」となる。第1抽選手段112による判定結果が特別遊技へ移行しない旨を示す場合は、「312」や「946」のように3つの図柄が揃っていない組合せが選択される。ただし、当否判定結果が特別遊技へ移行しない旨を示す場合であって、リーチ付きの外れを示す特別図柄の変動パターンが選択された場合は、「191」や「727」のように一つだけ図柄が揃っていない組合せを選択する。演出決定手段142は、装飾図柄の停止図柄と演出画像の変動パターンの情報を演出表示制御手段144へ送る。
【0065】
演出表示制御手段144は、第1抽選手段112による当否抽選の結果として、選択された変動パターンデータにしたがって演出表示装置60へ演出画像を変動表示させる。演出表示制御手段144は、遊技効果ランプの点灯および消灯や、スピーカ18からの音声出力などの演出処理をさらに制御する。
【0066】
役物監視手段202は、メイン基板102側の信号処理手段200から検出信号を受信する。信号処理手段200は、特定領域22の通過が検出されるたびに検出信号を生成して送信するので、役物監視手段202は特定領域22の通過が検出されるたびに検出信号を受信することとなる。特定領域22は、等速度ないし等間隔で往復運動しているため、特定領域22の通過タイミング、すなわち信号処理手段200による検出信号の生成タイミングもまた原則として等間隔となる。したがって、役物監視手段202が信号処理手段200から検出信号を受信するタイミングも原則として等間隔となる。
【0067】
役物監視手段202は、検出信号の受信周期が乱れているとき、特定領域22が異常動作していると判定する。具体的な判定方法については図12に関連して後に詳述する。メイン基板102側の信号処理手段200は検出信号しか生成しないが、サブ基板104側の役物監視手段202は検出信号の受信タイミングの監視により特定領域22の動作を監視できる。このため、特定領域22の動作状態の監視機構が設計上の制約が厳しいメイン基板102と比較的制約の緩いサブ基板104とに分散されることになる。
【0068】
異常履歴更新手段208は、異常動作の発生履歴を示す異常発生履歴情報(以下、単に、「異常発生履歴」とよぶ)を管理する。役物監視手段202が異常動作を検知すると、異常履歴更新手段208は、異常動作の種類と発生時刻を異常発生履歴に記録する。役物監視手段202は、異常動作を検知したとき、所定の報知条件が成立することを条件として、「異常信号」を異常報知手段206に送出する。この報知条件の成否の判定のために異常発生履歴が使用される。報知条件については、図14に関連して後に詳述する。異常報知手段206は、異常信号を受信すると、演出表示装置60や異常警報ランプ220を介して異常の発生を報知する(以下、単に、「異常報知」とよぶ)。異常報知方法については、図13に関連して後に詳述する。
【0069】
特定領域22の異常動作原因としては、特定領域22の軌道に遊技球が詰まったり、障害物により特定領域22の移動が阻まれたり、特定領域22そのものの故障、あるいは遊技者の不正行為が考えられる。最近では、異常電波を発生させて可動役物の動作を狂わせるという不正行為も散見される。特定領域22は出玉に関わるため、特定領域22が恣意的に移動させられると遊技店の利益が毀損されることになる。信号処理手段200と役物監視手段202は、遊技中において、特定領域22の異常動作をリアルタイムに検出できる。
【0070】
信号処理手段200がメイン基板102に含まれるのに対し、役物監視手段202はサブ基板104に含まれる。ここで、信号処理手段200および役物監視手段202の双方をメイン基板102に含ませることも技術的な見地からは不可能ではない。しかし、その場合、信号処理手段200および役物監視手段202の双方のプログラムをメイン基板102に搭載されたROMに格納しなければならず、そのプログラムサイズによってはROMに格納しきれない事態が生じ得る。通常、メイン基板102に搭載されるROMの容量は一定サイズに決まっているが、その大きさは最小限のプログラムやデータしか搭載できない程度の大きさしかない。特定領域22の通過を検出する信号処理手段200のみをメイン基板102に形成し、異常動作を判定する役物監視手段202をサブ基板104に設置することにより、メイン基板102におけるROM容量の制約に対応しつつ、特定領域22の動作状態をリアルタイム監視する仕組みが実現されている。
【0071】
図5は、ぱちんこ遊技機における基本的な処理過程を示すフローチャートである。
同図に示す処理はループ処理として繰り返し実行される処理である。まず、遊技球が始動口24、普通電役入球口26、第1大入賞口28、第2大入賞口30へ入球した場合や、遊技球が作動口68を通過した場合の処理を実行し(S10)、特別遊技中でなければ(S12のN)、特別図柄抽選などの通常遊技の処理を実行し(S14)、特別遊技中であれば(S12のY)、第1特別遊技または第2特別遊技の処理を実行し(S16)、S10における各種入賞に応じた賞球払出を処理し(S18)、特定領域22の通過監視を処理する(S19)。
【0072】
図6は、図5におけるS14の通常遊技制御処理を詳細に示すフローチャートである。
ここでは、特別図柄192の変動表示、および、装飾図柄190を含む演出画像の変動表示を処理し(S30)、普通図柄194の変動表示を処理する(S31)。なお、S30、S31の処理順序はあくまでも説明の便宜上定義した順序にすぎず、どの順序で処理してもよい。
【0073】
図7は、図6のS30における特別図柄および演出画像の図柄変動処理を詳細に示すフローチャートである。
以下、特に断らない限り「図柄」は特別図柄192と装飾図柄190の双方を示す。第1保留手段119に特図抽選値の保留がなされている場合であって(S40のY)、図柄変動中でなければ(S42のN)、特別図柄抽選の当否判定や図柄決定、変動パターンの選択などが処理され(S44)、特別図柄192および装飾図柄190の変動表示が開始される(S46)。S40において特図抽選値が保留されていなかった場合は(S40のN)、S42からS46までの処理がスキップされる。S42において既に図柄変動中であれば(S42のY)、S44とS46の処理がスキップされる。
【0074】
図柄変動中でないときには(S48のN)、S30の図柄変動処理はそのまま終了する。図柄変動開始済であれば(S48のY)、図柄の変動表示を処理し(S50)、変動時間が変動停止タイミングまで達したときには(S52のY)、図柄の変動表示は停止される(S58)。特定遊技中であって(S60のY)、特別図柄抽選が当たりでなければ(S61のN)、変動回数をインクリメントし(S62)、変動回数が継続回数に達していれば(S64のY)、特定遊技は終了する(S66)。変動回数が継続回数に達していなければ(S64のN)、S66をスキップされ、特定遊技は継続する。特定遊技中に(S60のY)、当たりになった場合には(S61のY)、特定遊技は終了する(S66)。特定遊技中でないときには(S60のN)、S61らS66までの処理はスキップされる。変動停止タイミングに至っていないときには(S52のN)、S30のフローは終了する(S52のN)。
【0075】
図8は、図6のS31における普通図柄の変動処理を詳細に示すフローチャートである。
第2保留手段120に普図抽選値の保留がなされている場合(S80のY)、普通図柄194が変動表示中でなければ(S82のN)、第2抽選手段113が普通図柄抽選として当否判定処理を実行し(S84)、普通図柄194の変動表示が開始される(S90)。S80において普図抽選値が保留されていなかった場合は(S80のN)、S82からS90までの処理はスキップされ、S82において普通図柄194が変動表示中であった場合は(S82のY)、S84およびS90の処理がスキップされる。
【0076】
続いて、普通図柄194の変動表示が開始済であれば(S92のY)、普通図柄194の変動表示を処理し(S94)、定められた変動時間が経過して普通図柄194の変動表示の停止タイミングに達したときは(S96のY)、変動表示中の普通図柄194は停止する(S98)。停止図柄が当たり態様であれば(S100のY)、普通電役入球口26が開放され(S102)、停止図柄が当たり態様でなければ(S100のN)、S102の処理はスキップされる。変動時間経過前である場合(S96のN)、S98からS102の処理はスキップされる。S92において変動表示が開始されていないときは(S92のN)、S94からS102の処理はスキップされる。
【0077】
図9は、図5におけるS16の特別遊技制御処理を詳細に示すフローチャートである。
実行中の特別遊技が第1特別遊技であれば(S110のY)、第1特別遊技の制御を処理し(S112)、実行中の特別遊技が第1特別遊技でなければ(S110のN)、第2特別遊技の制御を処理する(S114)。
【0078】
図10は、図9のS112における第1特別遊技を詳細に示すフローチャートである。
特別図柄抽選が当たりとなったときであって、まだ、第1大入賞口28が開放済でなければ(S120のN)、演出表示制御手段144が第1特別遊技の演出を開始し(S122)、開閉制御手段132が第1大入賞口28を開放する(S124)。第1大入賞口28が開放済であれば(S120のY)、S122およびS124の処理はスキップされる。第1大入賞口28が開放されてから所定の開放時間が経過した場合(S126のY)、または、開放時間が経過していないものの(S126のN)、第1大入賞口28への入球数が9球以上に達した場合には(S128のY)、開閉制御手段132が第1大入賞口28を一旦閉鎖させる(S130)。開放時間が経過しておらず(S126のN)、第1大入賞口28への入球数も9球以上に達していない場合は(S128のN)、S130以降の処理をスキップしてS112のフローを終了する。
【0079】
S130における第1大入賞口28の閉鎖後、単位遊技数が所定回数に達して終了タイミングとなった場合(S132のY)、演出表示制御手段144は第1特別遊技の演出を終了させ(S134)、特別遊技制御手段126は第1特別遊技を終了させる(S136)。特定遊技への移行条件を満たす場合(S140のY)、特定遊技に移行し(S142)、満たさなければ(S140のN)、S142の処理をスキップする。S132において単位遊技数が所定回数に達していなければ(S132のN)、単位遊技数に1を加算してS112のフローを終了する(S138)。図5に示す基本的な処理過程はループ処理であるため、単位遊技数が上限7回に達していない限り、次回のループ処理にてS124が実行され、第1大入賞口28は再度開放されることになる。
【0080】
図11は、図9のS114における第2特別遊技を詳細に示すフローチャートである。
遊技球が普通電役入球口26に落入したときであって、第2特別遊技が開始済でなければ(S150のN)、第2大入賞口30を開放し(S152)、開始済であれば(S150のY)、S152をスキップする。第1段階にある場合(S154のY)、第2大入賞口30の開放時間が経過したら(S156のY)、第2大入賞口30を閉鎖し(S158)、開放時間以内であれば(S156のN)、S158をスキップする。ここで、第2大入賞口30の内部にある特定領域22への入球があれば(S160のY)、ただちに第2段階への移行を示すフラグを立て(S162)、S168へジャンプする。このとき、まだ第2大入賞口30が開放していれば閉鎖する。一方、第1段階において特定領域22への入球がない状態で(S160のN)、第1段階の終了条件が満たされてしまった場合は(S164のY)、第1段階を終了するとともに第2特別遊技も終了する(S166)。ここでいう終了条件は、第2大入賞口30の閉鎖から一定時間が経過するか、第2大入賞口30への入球検出数と排出検出数が10球以上の数で一致した場合である。この終了条件が満たされていなければ(S164のN)、S166はスキップされる。なお、第1段階にない場合はS156からS166の処理はスキップされる(S154のN)。第2段階への移行フラグが立っている場合(S168のY)、図10に示される特別遊技の処理を、第2特別遊技の第2段階の遊技として実行する(S170)。第2段階への移行フラグが立っていない場合はS170をスキップする(S168のN)。なお、S170における第2特別遊技の第2段階とS112における第1特別遊技は基本的に同様の動作を処理するため、ここでは図10における説明のうち「第1特別遊技」を「第2特別遊技」と読み替えるものとする。
【0081】
次に、特定領域22の異常動作検出とその報知処理について説明する。これらの処理は、図5におけるS19の通過監視処理として実行される。まず、通過監視処理における異常動作検出方法と異常報知方法について図12および図13に関連して説明する。その後、図14に示すフローチャートにより通過監視処理の処理過程を説明する。
【0082】
図12は、特定領域22の異常動作検出方法を説明するためのタイムチャートである。
特定領域22は、図3(a)、図3(b)および図3(c)に関連して説明したように、一定の周期にて左右に往復運動する可動役物として形成される。特定領域22が左(図2(c))に移動すると、信号処理手段200は役物監視手段202に検出信号を送信する。正常動作時における検出信号の送信周期を「標準周期T」とよぶ。図12の場合、時刻tに検出信号が送信されているので、時刻tから標準周期T経過後の時刻tに次の検出信号の送信が想定される。
【0083】
ただし、絶えず遊技球と衝突し、機械的に動作する特定領域22の往復周期は、標準周期Tとして常時一定であるとは限らない。そこで、標準周期Tに許容期間(Ta+Tb)を設け、T−Ta<送信周期<T+Tbであれば、正常動作として判定している。図12の場合、時刻t=t−Taから時刻t=t+Tbの許容期間内に次の検出信号が受信されれば、特定領域22は正常動作していると判定される。一方、時刻tから時刻tの最低待機期間中、すなわち、時刻tよりも前に次の検出信号が受信されてしまったり(以下、「早期異常」とよぶ)、時刻tに至っても次の検出信号が受信されなかったときには(以下、「遅延異常」とよぶ)、役物監視手段202は特定領域22が異常動作していると判定する。最低待機期間や許容期間の長さは、標準周期Tに対する所定割合として設定されてもよいが、具体的な数値については、特定領域22の動作実験に基づいて適切に設定されればよい。
【0084】
図13は、異常報知方法を説明するためのタイムチャートである。
役物監視手段202は、特定領域22の異常動作を検出すると、異常報知手段206に異常信号を送信する。異常報知手段206は、異常信号を受信すると、演出表示装置60における画面表示や異常警報ランプ220の点灯、スピーカ18からの音声により異常の発生を報知する。異常報知手段206は、ホールコンピュータにエラー信号を送信することにより、異常発生を外部に報知してもよい。
【0085】
役物監視手段202は、異常動作を検出すると常に異常信号を異常報知手段206に送信するとしてもよい。しかし、本実施例における役物監視手段202は、異常動作を検出しても所定の報知条件が成立していなければ、異常信号を送信しない。異常動作が検出されたときであっても、異常報知すべき状況にあるか否かを報知条件により判定している。報知条件については、次の図14に関連して説明する。
【0086】
図13においては、異常報知手段206が異常信号を時刻tに受信している。異常報知手段206は、演出表示装置60にて「異常発生」というテロップを所定時間、たとえば、30秒後の時刻tまで表示させ、遊技者や店員の注意を喚起する。また、異常報知手段206は、異常警報ランプ220を所定時間、たとえば、100秒後の時刻tまで点灯させ、同じく、遊技者や店員の注意を喚起する。
【0087】
時刻tにおいて、異常報知手段206が新たな異常信号を受信したとする。時刻tは、時刻tから90秒後であり、異常警報ランプ220はまだ点灯中である。この場合、異常報知手段206は、時刻tからさらに100秒後の時刻tまで、異常警報ランプ220を点灯させる。このような態様によれば、異常報知中に新たな異常信号が受信されたときには、異常警報ランプ220による異常報知の実行期間が自動的に延長されることになる。このため、短期間に連続して異常信号が受信されたときには、遊技者や店員の注意をより強く喚起しやすくなっている。
【0088】
複数種類の報知態様にて異常報知するとき、報知態様に応じて、異常報知の実行時間を異ならせてもよい。異常報知のための部材として、演出表示装置60や異常警報ランプ220、スピーカ18のように遊技者に認識されやすい報知手段だけでなく、外枠11等に設けられる目立たない特殊ランプ(図示せず)など、遊技者には認識されにくい報知手段を設けてもよい。特殊ランプは、たとえば、所定数のLEDであってもよい。特殊ランプの存在を知っている店員だけが、特殊ランプの点灯しているぱちんこ遊技機10が異常動作していることを認識できる。
【0089】
演出表示装置60や異常警報ランプ220のように遊技者に認識されやすい報知手段については報知時間を短く、特殊ランプのように遊技者に認識されにくい報知手段については報知時間をそれよりも長く設定してもよい。たとえば、特定領域22が異常動作している場合、異常警報ランプ220による短時間の異常報知により遊技者の注意を喚起する。一方、店員は、長時間点灯する特殊ランプを確認し、特殊ランプ点灯中のぱちんこ遊技機10において異常動作が再発しないか、いいかえれば、定常的に異常が発生していないか注目する。このように報知態様に応じて異常報知の時間の長さを異ならせることにより、一時的に異常動作が発生したときに遊技者の注意を喚起しつつ、定常的に異常動作が発生していないか店員が監視できる。店員は、漫然と店内を監視するのではなく、特殊ランプに基づいて、異常の可能性があるぱちんこ遊技機10を中心として監視できることになる。不正行為による異常動作であれば、異常警報ランプ220等により不正な遊技者に警告しつつも、店員は特殊ランプ点灯中の遊技機10を集中的に監視しやすくなる。
【0090】
異常報知手段206は、異常報知中に新たに異常信号が受信されたときには、報知態様を変更してもよい。図13の場合であれば、異常警報ランプ220の点灯中の時刻tにおいて異常信号が受信されると、異常報知手段206は異常警報ランプ220の出力を上げて、異常警報ランプ220を以前よりも明るく点灯させてもよい。また、演出表示装置60に表示するメッセージの内容を変更してもよい。このような態様によれば、短期間に異常動作が連続的に発生するほど、遊技者や店員の注意をいっそう喚起しやすくなる。
【0091】
図14は、図5におけるS19の通過監視処理を詳細に示すフローチャートである。
役物監視手段202が検出信号を受信すると(S180のY)、役物監視手段202はその受信タイミングを記録する(S182)。検出信号が受信されていなければ(S180のN)、処理はS188にスキップされる。前回の検出信号の受信タイミングと今回の検出信号の受信タイミングを比較して、早期異常となっているか、いいかえれば、前回の検出信号受信時から最低待機期間が経過する前に、今回の検出信号が受信されていれば(S184のY)、役物監視手段202は異常動作と判定し、異常履歴更新手段208は異常発生履歴に早期異常発生の旨とその判定時刻を記録する(S186)。早期異常でなければ(S184のN)、S186はスキップされる。
【0092】
次に、役物監視手段202は、遅延異常となっていれば、いいかえれば、前回の検出信号受信時から(T+Tb)時間が経過していても新たな検出信号が受信されていなければ(S188のY)、役物監視手段202は異常動作と判定し、異常履歴更新手段208は異常発生履歴に遅延異常発生の旨とその判定時刻を記録する(S190)。遅延異常が発生していなければ(S188のN)、S190はスキップされる。
【0093】
役物監視手段202は、所定の報知条件が成立しているか判定する(S192)。報知条件が成立してれば(S192のY)、役物監視手段202は異常信号を送信し、異常報知手段206は異常報知の期間を設定して(S194)、異常報知する(S196)。報知条件が成立していなければ(S192のN)、異常信号は送信されず、異常報知も実行されない。
【0094】
報知条件とは、以下の通りである。
1.最低待機期間中に検出信号が受信されたとしても、すなわち早期異常であっても、その受信回数が条件回数、たとえば、2回以上とならなければ異常信号を送信しないとしてもよい。電気的なノイズや特定領域22の一時的ながたつきにより、早期異常が発生することもある。そこで、最低待機期間が経過する前に条件回数以上、検出信号が受信されたときに報知条件成立とすることにより、過度に異常報知がなされないように制御できる。
【0095】
2.異常発生履歴に鑑みて、特異な異常動作であるか判定する。
たとえば、過去10日間における1日あたりの異常動作回数が平均5回であるとする。この場合、1日あたりの異常動作が5回を越えたときに報知条件が成立するとしてもよい。このように、過去の所定期間において特定領域22の異常動作が検出された回数に基づいて、報知条件の成否を判定してもよい。このような態様によれば、特定領域22の個体差や経年変化を考慮して、過去の傾向からみても特に異常な状況のみを異常報知対象とできる。
【0096】
1日あたりの異常動作の検出回数が10回以上となると異常警報ランプ220にて異常報知し、15回以上となると画面表示による異常報知を行うとしてもよい。このように、報知態様にあわせて異なる報知条件を設定してもよい。
役物監視手段202は、異常発生履歴を参照して、異常信号の発生率が所定の確率以下となるように上記1.に示した条件回数を適宜調整してもよい。たとえば、早期異常発生時において、最低待機期間中に受信される検出信号の回数が平均1.5回であるならば、条件回数を平均よりも大きな回数、たとえば、2回として設定してもよい。このような態様によれば、早期異常の中でも、過去の傾向からみて特に特異な状況にあるときだけ異常報知がなされることになる。
【0097】
以上、本実施例において説明したぱちんこ遊技機10によれば、特定領域22のような可動役物が正常に動作しているか否かを簡易な仕組みにて監視できる。特に、早期異常をリアルタイムに検出できるため、たとえば、特定領域22が図2(c)の位置に停滞して、検査信号が連続的に送信されるときにも、特定領域22の異常動作を即時的に検出できる。また、報知条件の設定により、偶発的な異常動作ではなく、深刻な異常動作だけを異常報知の対象とすることができるため、異常報知の実効性を高めることができる。また、連続的に異常検出されたときには異常報知時間が自動的に延長されるため、遊技者や店員の注意を喚起しやすくなっている。更に、複数の報知手段についてそれぞれ異なる報知時間を設定することにより、報知目的に応じて注意喚起力を異ならせることができる。
【0098】
まとめると、本実施例におけるぱちんこ遊技機10は、簡易な仕組みで異常動作を検出しつつ、報知条件に基づいて異常報知すべき状況か否かを合理的に判定し、更に、異常動作が連続的に発生するときには異常報知期間の自動延長により、異常動作にともなう遊技者や店の被害を最小限に抑制しやすい構成となっている。
【0099】
以上、本発明を実施例をもとに説明した。この実施例はあくまで例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0100】
本実施例においては、第2大入賞口30の内部に設けた特定領域22を可動役物の形で実現した上で、その可動役物において本発明を実現させた。変形例においては、特定領域22以外の可動役物、たとえば誘導装置62などの可動役物において本発明を実現させてもよい。そうした場合においても、簡易な構成にて可動役物の動作を担保することができる。
【0101】
本実施例においては、従来にいう第1種ぱちんこ遊技機と第2種ぱちんこ遊技機を複合させたような遊技性をもつ機種を例示した。変形例においては、従来にいう第2種ぱちんこ遊技機の構成において本発明を実現させてもよい。この場合もまた、大入賞口の内部に設ける特定領域などの構造体を可動役物の形にして本発明を応用することができる。さらに別の変形例においては、従来にいう第1種ぱちんこ遊技機などのあらゆす機種のぱちんこ遊技機の構成において本発明を実現させてもよい。いずれの構成においても、何らかの可動役物に本発明を応用すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】ぱちんこ遊技機の正面側の構成を示す図である。
【図2】ぱちんこ遊技機の背面側の構成を示す図である。
【図3】(a)第2大入賞口の内部における特定領域が中央位置にあるときの模式図である。(b)第2大入賞口の内部における特定領域が右位置にあるときの模式図である。(c)第2大入賞口の内部における特定領域が左位置にあるときの模式図である。
【図4】ぱちんこ遊技機の機能ブロック図である。
【図5】ぱちんこ遊技機における基本的な処理過程を示すフローチャートである。
【図6】図5におけるS14の通常遊技制御処理を詳細に示すフローチャートである。
【図7】図6のS30における特別図柄および演出画像の図柄変動処理を詳細に示すフローチャートである。
【図8】図6のS31における普通図柄の変動処理を詳細に示すフローチャートである。
【図9】図5におけるS16の特別遊技制御処理を詳細に示すフローチャートである。
【図10】図9のS112における第1特別遊技を詳細に示すフローチャートである。
【図11】図9のS114における第2特別遊技を詳細に示すフローチャートである。
【図12】特定領域の異常動作検出方法を説明するためのタイムチャートである。
【図13】異常報知方法を説明するためのタイムチャートである。
【図14】図5におけるS19の通過監視処理を詳細に示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0103】
10 ぱちんこ遊技機、 17 発射ハンドル、 18 スピーカ、 20 保留ランプ、 21 保留ランプ、 22 特定領域、 24 始動口、 26 普通電役入球口、 28 第1大入賞口、 30 第2大入賞口、 39 セット基盤、 50 遊技盤、 52 遊技領域、 58 アウト口、 59 普通図柄表示装置、 60 演出表示装置、 61 特別図柄表示装置、 62 誘導装置、 68 作動口、 82 操作ボタン、 100 遊技制御装置、 102 メイン基板、 104 サブ基板、 110 入球判定手段、 112 第1抽選手段、 113 第2抽選手段、 114 図柄決定手段、 115 特図決定手段、 116 普図決定手段、 118 保留制御手段、 119 第1保留手段、 120 第2保留手段、 122 メイン表示制御手段、 123 特図表示手段、 124 普図表示手段、 126 特別遊技制御手段、 127 第1作動条件保持手段、 128 第2作動条件保持手段、 129 第1特別遊技実行手段、 130 第2特別遊技実行手段、 131 作動回避手段、 132 開閉制御手段、 133 特定遊技制御手段、 140 パターン記憶手段、 142 演出決定手段、 144 演出表示制御手段、 190 装飾図柄、 192 特別図柄、 194 普通図柄、 200 信号処理手段、 202 役物監視手段、 204 役物制御手段、 206 異常報知手段、 208 異常履歴更新手段、 210 通過センサ、 220 異常警報ランプ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技領域が形成された遊技盤と、
前記遊技領域の所定位置に設けられ、遊技球が入球可能な始動入賞口と、
前記始動入賞口への入球を契機として所定の条件が満たされたときに、通常遊技よりも遊技者に有利となる遊技である特別遊技を実行する特別遊技制御手段と、
前記遊技領域の所定位置に設けられ、所定の動作パターンの繰り返しにより常時動作をする可動役物と、
前記可動役物の繰り返し動作の軌道上に設けられ、前記可動役物の通過を検出する通過センサと、
前記可動役物の通過が検出されるたびに前記可動役物が通過したことを示す検出信号を外部に送信する信号処理手段と、
前記検出信号を受信し、その受信タイミングに基づいて前記可動役物の異常動作を検出し、異常動作検出時にその旨を示す異常信号を外部に送信する役物監視手段と、
前記役物監視手段から前記異常信号を受信したとき前記可動役物の異常動作を外部に報知する異常報知手段と、を備え、
前記役物監視手段は、前記検出信号の受信後に次の検出信号を受信するまでの検出待機期間が所定の最低待機期間よりも短いとき、前記可動役物の異常動作として検出することを特徴とする弾球遊技機。
【請求項2】
前記役物監視手段は、前記検出信号を受信してから前記最低待機期間が経過するまでに、新たに所定回数以上の検出信号を受信したことを条件として、前記異常信号を送信することを特徴とする請求項1に記載の弾球遊技機。
【請求項3】
前記異常報知手段は、前記異常信号を受信してから所定の報知期間が経過するまで、前記可動役物の異常動作を外部に継続的に報知し、前記報知期間中において新たな異常信号を受信したときには、前記新たな異常信号を受信してから前記報知期間が経過するまで前記報知を継続すべき期間を延長することを特徴とする請求項1または2に記載の弾球遊技機。
【請求項4】
前記異常報知手段は、互いに異なる第1の報知態様および第2の報知態様にて前記可動役物の異常動作を外部に報知し、前記異常信号の受信から第1の報知期間が経過するまで前記第1の報知態様により継続的に異常動作を報知するとともに、前記異常信号の受信から前記第1の報知期間とは異なる第2の報知期間が経過するまで前記第2の報知態様により継続的に異常動作を報知することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の弾球遊技機。
【請求項5】
前記可動役物の異常発生履歴を保持し、前記可動役物の異常動作が検出されたときに前記異常発生履歴を更新する異常履歴更新手段、を更に備え、
前記役物監視手段は、前記異常発生履歴を参照し、過去における異常動作の検出傾向に基づいて、前記異常信号の送信可否を判定することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の弾球遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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