説明

往復動式圧縮機

【課題】1つの往復動式モータを利用して冷媒を2段圧縮することにより、構成部品の数を減少し、制御を容易にして、負荷を減らすと共に高圧力比に冷媒を圧縮し得る往復動式圧縮機を提供する。
【解決手段】往復動式圧縮機は、ケーシング200と、ケーシング200の内部に備えられたフレームユニットUに装着されて直線往復駆動力を発生する往復動式モータ240と、往復動式モータ240の駆動力によりケーシング200の内部を経ずに直接吸入される冷媒を圧縮する第1圧縮ユニットと、前記往復動式モータの駆動力により前記ケーシング200の内部に流入する冷媒と前記第1圧縮ユニットから吐出された冷媒とを混合してもう一回冷媒を圧縮する第2圧縮ユニットと、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、往復動式圧縮機に関し、特に、1つの往復動式モータを利用して冷媒を2段圧縮することにより、構成部品の数が減少し、制御が容易になり、さらに、負荷を減らすと共に高圧力比で冷媒を圧縮することができる往復動式圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、圧縮機は、電気エネルギーを運動エネルギーに変換して冷媒を圧縮する機構であり、冷凍サイクルシステムを構成することにより、冷蔵庫、エアコン又はショーケースなどに装着されて通用される。
【0003】
また、前記圧縮機は、冷媒を圧縮する機構学的メカニズムによって、回転式圧縮機、往復動式圧縮機、及びスクロール圧縮機などに分類され、前記冷蔵庫に装着される冷凍サイクルシステムを構成する圧縮機としては、主に往復動式圧縮機が使用される。
【0004】
一方、前記冷蔵庫は、1つの蒸発機が備えられて該1つの蒸発機から発生する冷気を冷凍室及び冷蔵室に循環流動させる方式と、2つの蒸発機が備えられてそれら蒸発機から発生する冷気を冷凍室及び冷蔵室にそれぞれ循環流動させる方式とがある。
【0005】
図6は、一般の往復動式圧縮機の構成を示す断面図である。
【0006】
図6に示すように、一般の往復動式圧縮機は、2つの吸入管101、102及び1つの吐出管103がそれぞれ備えられたケーシング100と、該ケーシングの内部に所定径のシリンダー穴C1が備えられて装着されたフレームユニット110と、該フレームユニット110の両側に対向してそれぞれ装着されて直線往復駆動力を発生し、それぞれ可動子121、131及び内外側固定子122、123、132、133が備えられた第1及び第2往復動式モータ120、130と、該シリンダー穴C1に挿入されて第1往復動式モータ120の可動子121に連結される第1ピストン140と、該第1ピストン140に対向してシリンダー穴C1内に挿入され、第2往復動式モータ130の可動子131に連結される第2ピストン150と、第1ピストン140を付勢して共振運動を誘発する第1共振スプリングユニット160と、第2ピストン150を付勢して共振運動を誘発する第2共振スプリングユニット170と、第1及び第2ピストン140、150の端部にそれぞれ結合されて各第1及び第2ピストン140、150の内部に形成される吸入流路を開閉する吸入弁181、182と、前記吐出管103に連通される吐出流路を開閉する吐出弁183とを含んで構成される。
【0007】
ここで、各吸入管101、102は、対称的にケーシング100の両側にそれぞれ位置する。
【0008】
また、吐出管103は、第1及び第2ピストン140、150によりシリンダー穴C1の内部に形成される圧縮空間P1と連通するようにフレームユニット110に結合される。
【0009】
また、第1及び第2往復動式モータ120、130は、同様の構造に構成され、フレームユニット110に所定間隔を置いて結合される各内側固定子122、132及び外側固定子123、133と、それら内側固定子122、132と外側固定子123、133間に移動可能に結合されてモータの駆動力を第1及び第2ピストン140、150にそれぞれ伝達する可動子121、131とを含んで構成される。
【0010】
また、第1及び第2共振スプリングユニット160、170は、同様の構造を有し、 第1及び第2ピストン140、150とそれぞれ結合されるスプリング支持台161、171とそれらスプリング支持台161、171の両側にそれぞれ位置する各スプリング162、172とを含んで構成される。
【0011】
以下、このように構成された一般の往復動式圧縮機の動作を説明する。
【0012】
まず、電源が印加されると、第1及び第2往復動式モータ120、130の可動子121、131が相互反対方向に直線往復運動し、それら可動子121、131の直線往復運動はそれぞれ第1及び第2ピストン140、150に伝達されて、それら第1及び第2ピストン140、150がシリンダー穴C1で相互反対方向に直線往復運動をする。次いで、第1及び第2ピストン140、150の直線往復運動により、各吸入管101、102から吸入された冷媒が第1ピストン140及び第2ピストン150の各吸入流路141、151を通じてシリンダー穴C1の内部の圧縮空間Pに吸入された後、圧縮されて吐出される。
【0013】
すなわち、第1及び第2ピストン140、150がそれぞれシリンダー穴C1の外側に動くと、第1及び第2ピストン140、150とシリンダー穴C1により形成される圧縮空間Pの圧力が低くなって吸入弁181、182がそれぞれ開き、吸入管101、102を通じてそれぞれ吸入された冷媒は第1ピストンの吸入流路141と第2ピストンの吸入流路151を通じて圧縮空間Pに吸入される。
【0014】
また、第1及び第2ピストン140、150がそれぞれシリンダー穴C1の内側に動くと、圧縮空間P1の体積変化により冷媒が圧縮されて該冷媒の圧力が設定された圧力以上になると、吐出弁183が開いて圧縮された冷媒は吐出される。
【0015】
ここで、往復動式圧縮機は、2つの往復動式モータを個別に制御することにより、各ピストンのストロークを制御し、冷媒圧縮容量を調節することにより、往復動式モータを対向して配置することにより、振動を相殺させることができる。
【0016】
しかしながら、このような一般の往復動式圧縮機は、往復動式モータ以外にも、構成部品が2つずつ備えられているため、構成が複雑で、製造単価も高価であるという不都合な点があった。
【0017】
一方、図7は、一般の他の往復動式圧縮機の構成を示す断面図である。
【0018】
図7に示すように、一般の他の往復動式圧縮機は、1つの吸入管201及び2つの吐出管202、203が備えられたケーシング200と、該ケーシング200内に弾性支持されたフレームユニット210と、該フレームユニット210の両側にそれぞれ固定結合される第1及び第2シリンダー220、230と、フレームユニット210に装着されて直線往復駆動力を発生する往復動式モータ240と、両側が第1及び第2シリンダー220、230にそれぞれ挿入され、往復動式モータ240の駆動力を受けて直線往復運動をするダブルピストン250と、該ダブルピストン250の両端にそれぞれ装着されて該ダブルピストン250の内部に貫通形成された吸入流路F1を開閉する各吸入弁261、262と、第1及び第2シリンダー220、230をそれぞれ覆蓋する各吐出カバー263、264と、前記吐出カバー263、264内にそれぞれ挿入されて第1及び第2シリンダー220、230の圧縮空間P2、P3をそれぞれ開閉する各吐出弁265、266と、ダブルピストン250を付勢して共振運動を誘発する共振スプリングユニット270とから構成される。
【0019】
ここで、2つの吐出管202、203は、それぞれ吐出カバー263、264に連結される。
【0020】
また、往復動式モータ240は、フレームユニット210に固定結合される内側固定子241及び外側固定子242と、それら内側固定子241と外側固定子242間に嵌合された可動子243とを含んで構成され、該可動子243は、ダブルピストン250と結合される。
【0021】
また、共振スプリングユニット270は、ダブルピストン250に結合されるスプリング支持台271と、該スプリング支持台271の両側にそれぞれ位置した共振スプリング272とを含んで構成される。
【0022】
図中、未説明符号267及び268はそれぞれバルブスプリングを示すものである。
【0023】
このように構成された一般の往復動式圧縮機の動作は、次の通りである。
【0024】
まず、電源が印加されると、往復動式モータ240の駆動により可動子243が直線往復運動をし、該可動子243の直線往復運動がダブルピストン250に伝達されて該ダブルピストン250が直線往復運動をする。次いで、ダブルピストン250の直線往復運動により第1シリンダーの圧縮空間P2及び第2シリンダーの圧縮空間P3がそれぞれ交互に冷媒を吸入した後、圧縮して吐出する。
【0025】
すなわち、ダブルピストン250が第1シリンダー220側に動くと、該第1シリンダー220に吸入された冷媒が圧縮されて該冷媒の圧力が設定された圧力以上になると、第1シリンダーの圧縮空間P2を閉じていた吐出弁265が開いて圧縮された冷媒が吐出され、これと同時に、第2シリンダーの圧縮空間P3内に冷媒が吸入される。また、ダブルピストン250が第2シリンダー230側に動くと、第1シリンダーの圧縮空間P2に冷媒が吸入され、これと同時に、第2シリンダー230の圧縮空間P3に吸入された冷媒が圧縮されて該冷媒の圧力が設定された圧力以上になると、第2シリンダーの圧縮空間P3を閉じていた吐出弁266が開いて圧縮された冷媒が吐出される。
【0026】
このような往復動式圧縮機は、1つの往復動式モータ240を備えているため、製造単価が低下し、2つのシリンダー220、230で冷媒が圧縮されるため、圧縮容量が増加する。しかしながら、ダブルピストン250の動きが第1及び第2シリンダー220、230のいずれか一方に集中されると、その動きが集中された側の部品間に衝突が発生すると共に、他の一方の圧縮がうまく行われないため、ダブルピストン250のストローク制御が困難になるという不都合な点があった。
【0027】
また、前記往復動式圧縮機は、冷蔵庫に装着される場合、冷媒を1回だけ圧縮するので、冷媒を高圧力比で圧縮することに限界がある。特に、冷凍室及び冷蔵室にそれぞれ蒸発機を備える冷蔵庫の場合、冷凍室側の蒸発機を経た冷媒の圧力が相対的に低くなり、このように、相対的に圧力が低い冷媒を適正圧力で圧縮するときは圧縮機の負荷が加重されるため、それだけ圧縮機の効率が低下するという不都合な点があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0028】
本発明は、このような問題点を解決するために提案されたもので、本発明の目的は、1つの往復動式モータを利用して冷媒を2段に圧縮することにより、構成部品の数を減少し、制御を容易にして、負荷を減らすと共に高圧力比に冷媒を圧縮できる往復動式圧縮機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0029】
このような本発明の目的を達成するために、本発明に係る往復動式圧縮機は、ケーシングと、該ケーシングの内部に備えられたフレームユニットに装着されて直線往復駆動力を発生する1つの往復動式モータと、該往復動式モータの駆動力を受けてケーシングの内部を経ずに直接吸入される冷媒を圧縮する第1圧縮ユニットと、前記往復動式モータの駆動力により前記ケーシングの内部に流入する冷媒と前記第1圧縮ユニットから吐出された冷媒とを混合してもう一回冷媒を圧縮する第2圧縮ユニットと、を含むことを特徴とする。
【0030】
また、本発明に係る往復動式圧縮機の前記第1及び第2圧縮ユニットは、相異なる内径を有する第1及び第2シリンダーホールが段差を有して連続して備えられて前記フレームユニットに装着された2段シリンダーと、前記第1及び第2シリンダーホールの内径に対応して形成された第1ピストン部及び第2ピストン部が備えられ、前記往復動式モータの駆動力により前記2段シリンダーで直線往復運動を行う2段ピストンと、前記第1ピストン部及び第1シリンダーホールにより形成される第1圧縮空間に前記ケーシングの内部を経ずに直接冷媒が吸入されるように案内する第1吸入流路を開閉する第1吸入弁と、前記第1圧縮空間に吐出される冷媒の流れを制御する第1吐出弁と、前記第2ピストン部及び第2シリンダーホールより形成される第2圧縮空間に前記第1圧縮空間から吐出された冷媒と前記ケーシング内に流入された冷媒とが共に吸入されるように案内するためのガス通路を開閉する第2吸入弁と、前記第2圧縮空間から吐出される冷媒の流れを制御する第2吐出弁とを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0031】
本発明に係る往復動式圧縮機は、往復動式モータ、2段シリンダー、2段ピストンをそれぞれ1つずつ備えて冷媒を連続的に2回圧縮するため、構成部品の数が減少し、製造が容易になることにより、製造単価を低減すると共に、生産性を向上し得るという効果がある。
【0032】
また、往復動式モータの駆動力を受けて2段ピストンが2段シリンダーの内部で一方向に動くとき、第1圧縮空間と第2圧縮空間で冷媒がそれぞれ同時に圧縮されるため、2段ピストンのストローク制御がより容易かつ正確に行われるにより、圧縮効率を向上し得るという効果がある。
【0033】
また、本発明に係る往復動式圧縮機を備えた冷蔵庫は、往復動式圧縮機によって連続的に2回冷媒を圧縮するため、往復動式圧縮機の負荷を減少し、よって、往復動式圧縮機の効率を向上して、冷蔵庫の効率を向上し得るという効果がある。また、往復動式圧縮機の製造単価及び冷蔵庫の製造単価を低減するという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、図面に基づいて、本発明に係る往復動式圧縮機の実施形態について詳細に説明する。
【0035】
図1は、本発明に係る往復動式圧縮機の第1実施形態を示す断面図である。
【0036】
図1に示すように、本発明に係る往復動式圧縮機は、ケーシング300と、該ケーシング300の内部に弾性的に支持されるように装着されたフレームユニットUと、該フレームユニットUに装着されて直線往復駆動力を発生させる往復動式モータ310と、該往復動式モータ310の駆動力を受けてケーシング300の内部を経ずに直接吸入される冷媒を圧縮する第1圧縮ユニットと、往復動式モータ310の駆動力を受けてケーシング300の内部に流入される冷媒と前記第1圧縮ユニットから吐出された冷媒とを混合してもう一回圧縮する第2圧縮ユニットとから構成される。
【0037】
また、ケーシング300には、第1吸入管301、第2吸入管302、吐出管303が結合される。
【0038】
また、フレームユニットUは、所定形状の前方フレーム320と、該前方フレーム320と共に往復動式モータ310を支持する中間フレーム330と、該中間フレーム330に連結された下部フレーム340とを含んで構成される。
【0039】
また、前方フレーム320には2段シリンダー350が結合され、該2段シリンダー350の内部には直線運動可能に2段ピストン360が結合される。
【0040】
ここで、2段シリンダー350は、所定形状のシリンダー本体351と、該シリンダー本体351の内部に所定内径及び深さを有して形成された第1シリンダーホール352と、該第1シリンダーホール352に連続して該第1シリンダーホール352の内径より小さい内径を有して形成された第2シリンダーホール353とを含んで構成される。ここで、第1シリンダーホール352及び第2シリンダーホール353はシリンダー本体351の中央を貫通し、それら第1シリンダーホール352と第2シリンダーホール353との境界面には段差面が形成されることにより、該段差面354は、第1及び第2シリンダーホール352、353の中心線と垂直をなす。
【0041】
また、2段ピストン360は、第1シリンダーホール352の内径に対応する外径及び所定長さを有して形成される第1ピストン部361と、該第1ピストン部361に連続して第2シリンダーホール353の内径に対応する外径及び長さを有して形成される第2ピストン部362と、それら第1及び第2ピストン部361、362の内部に貫通形成されるガス通路363とを含んで構成される。ここで、第1ピストン部361と第2ピストン部362との境界面は段差面364が形成され、該段差面364は第1及び第2ピストン部361、362の中心線と垂直をなす。
【0042】
また、2段シリンダー350の第1シリンダーホール352と2段ピストン360の第1ピストン部361により第1シリンダーホール352の内部に第1圧縮空間P4が形成され、2段シリンダー350の第2シリンダーホール353と2段ピストン360の第2ピストン部362により第2シリンダーホール353の内部に第2圧縮空間P5が形成される。
【0043】
また、前方フレーム320と2段ピストン360間には第1圧縮空間P4と連通する第1吸入流路が形成されるが。該第1吸入流路は、前方フレーム320の一方側に形成される開口溝321と、開口溝321と連通して前方フレーム320に形成される第1吸入孔322と、2段シリンダー350に形成されて第1吸入孔322及び第1圧縮空間P4に連通された第2吸入孔355とを含んで構成される。
【0044】
また、前方フレーム320には、所定形状のカバー323が開口溝321を覆蓋して結合され、それら開口溝321とカバー323間にはチャンバ324が形成され、第1吸入流路を通じて流入される液冷媒がチャンバ324で気化される。
【0045】
また、2段シリンダー350の一方側には、第1圧縮空間P4で圧縮されたガスが吐出される吐出孔365が形成され、該吐出孔365は、第1ピストン部361と第2ピストン部362間の境界面である段差面364の一方側に貫通形成されることにより、第1圧縮空間P4及びガス通路363が連通される。
【0046】
2段シリンダー350の段差面354には第1吸入流路を開閉する第1吸入弁371が装着されることにより、該第1吸入弁371は第1圧縮空間P4内に位置する。
【0047】
また、2段ピストン360には吐出孔365を開閉する第1吐出弁372が装着される。該第1吐出弁372は、ガス通路363内に位置するように第1ピストン部361と第2ピストン部362の段差面364に装着される。
【0048】
また、2段ピストン360の第2ピストン部362の端面にはガス通路363を開閉する第2吸入弁381が装着されることにより。該第2吸入弁381は、第2圧縮空間P5内に位置する。
【0049】
また、2段シリンダー350の端面には第2圧縮空間P5を開閉する第2吐出弁382が装着され、該第2吐出弁382を覆う吐出カバー383が2段シリンダー350に装着され、該吐出カバー383の内部には第2吐出弁382を付勢するバルブスプリング384が位置する。
【0050】
また、ケーシング300には第1吸入管301が固定結合され、該第1吸入管301の一側端が第1吸入流路のチャンバ324のカバー323に結合されることにより、第1吸入管301に流入される冷媒が直接第1吸入流路に流入されるようになっている。
【0051】
また、ケーシング300の一方側に第2吸入管302が固定結合されることにより、該第2吸入管302に流入される冷媒がケーシング300の内部に流入され、該ケーシング300の他方側に吐出管303が固定結合され、該吐出管303の一側端が吐出カバー383に固定結合されることにより、吐出管303が吐出カバー383の内部と連通されるようになっている。
【0052】
また、往復動式モータ310は、前方フレーム320と中間フレーム330間に固定結合される外側固定子311と、該外側固定子311の内部に所定間隔を置いて挿入され、前方フレーム320又は2段シリンダー360の外周面に固定結合される内側固定子312と、外側固定子311と内側固定子312間に直線運動可能に挿入される可動子313とを含んで構成される。ここで、往復動式モータ310の直線往復駆動力が2段ピストン360に伝達されるように可動子313と2段ピストン360が次のように連結される。
【0053】
すなわち、中間フレーム330と後方フレーム340間には2段ピストン360の共振運動を誘発させる共振スプリングユニット390が備えられ、それら共振スプリングユニット390は、2段ピストン360と結合されるスプリング支持台391と、該スプリング支持台391の両側にそれぞれ位置する複数の共振スプリング392、393とを含んで構成される。
【0054】
また、第1圧縮ユニットは、2段シリンダー350及び2段ピストン360により形成される第1圧縮空間P4と、第1吸入流路と、第1吸入弁371と、第1吐出弁372と、吐出孔365とから構成される。
【0055】
また、第2圧縮ユニットは、2段シリンダー350及び2段ピストン360により形成される第2圧縮空間P5と、第2吸入弁381と、第2吐出弁382とから構成される。
【0056】
以下、このように構成された往復動式圧縮機の第1実施形態の動作を説明する。
【0057】
まず、往復動式モータ310に電源が印加されると、外側固定子311と内側固定子312に形成される磁束と可動子313の磁石による磁束との電気的相互作用により可動子313が直線往復運動をし、該可動子313の直線往復運動が2段ピストン360に伝達されて該2段ピストン360が2段シリンダー350内部で直線往復運動をする。
【0058】
図2に示すように、2段ピストン360が右側に動くと、第1圧縮空間P4と第2圧縮空間P5の圧力が低くなり第1吸入弁371及び第2吸入弁381がそれぞれ開く。第1吸入弁371の開きにより冷媒が第1吸入流路を通じて低圧力の第1圧縮空間P4に吸入される。また、第2吸入弁381の開きにより第2吸入管302を通じてケーシング300の内部に流入された冷媒がガス通路363を通じて低圧力の第2圧縮空間P5に吸入される。
【0059】
図3に示すように、2段ピストン360が右側から左側に動くと、第1圧縮空間P4と第2圧縮空間P5内の圧力が高くなり第1吸入弁371が第1吸入流路を塞ぐと同時に、第2吸入弁381もガス通路363を塞ぐ。また、2段ピストン360が左側に継続して動くと、第1圧縮空間P4及び第2圧縮空間P5の容積がそれぞれますます小さくなって冷媒を圧縮し、その冷媒の圧力が設定された圧力以上になると、第1吐出弁372及び第2吐出弁382がそれぞれ開いて各第1圧縮空間P4及び第2圧縮空間P5で圧縮された冷媒がそれぞれ吐出される。
【0060】
第1圧縮空間P4から吐出された冷媒は吐出孔365及びガス通路363を通じてケーシング300の内部に吐出され、第2圧縮空間P5から吐出された冷媒は吐出カバー383及び吐出管303を通じてケーシング300の外部に吐出される。
【0061】
第1圧縮空間P4で一回圧縮されてケーシング300内に吐出された冷媒は、第2吸入管302を通じてケーシング300内に吸入された冷媒と混合されて吸入行程時にガス通路363を通じて再び第2圧縮空間P5に吸入される。
【0062】
第2圧縮空間P5に吸入される冷媒は、第1圧縮空間P4で一回圧縮された冷媒であり、該一回圧縮された冷媒は第2圧縮空間P5で再び圧縮されてケーシング300の外部に吐出される。
【0063】
このような過程が繰り返されることにより冷媒が持続的に2段圧縮される。
【0064】
一方、図4は、本発明に係る往復動式圧縮機の第2実施形態を示す断面図である。図1と同一の部分に対しては同一符号を付けて説明する。
【0065】
図4に示すように、本発明に係る往復動式圧縮機の第2実施形態は、ケーシング300と、ケーシング300の内部に備えられたフレームユニットUに装着にされて直線往復駆動力を発生する1つの往復動式モータ310と、該往復動式モータ310の駆動力によりケーシング300の内部を経ずに直接吸入される冷媒を1段圧縮させる第1圧縮ユニットと、往復動式モータ310の駆動力により第1圧縮ユニットで1段圧縮された冷媒を2段圧縮させる第2圧縮ユニットとから構成される。
【0066】
フレームユニットUと往復動式モータ310は、前述の第1実施形態の往復動式モータ310と同様であるため、説明を省略する。
【0067】
また、前記第1及び第2圧縮ユニットは、相異なる内径を有する第1及び第2シリンダーホール352、353が段差を有して連続して備えられ、フレームユニットUに装着された2段シリンダー350と、第1及び第2シリンダーホール352、353の内径に対応して形成される第1及び第2ピストン部361、362が備えられて往復動式モータ310の駆動力を受けて2段シリンダー350の内部で直線往復運動をする2段ピストン360と、第1ピストン部361及び第1シリンダーホール352により形成される第1圧縮空間P4にケーシング300の内部を経ずに直接第1吸入管301から吸入される冷媒を案内する第1吸入流路を開閉する第1吸入弁371と、第1圧縮空間P4に吐出される冷媒の流れを制御する第1吐出弁372と、第2ピストン部362及び第2シリンダーホール353により形成される第2圧縮空間P5に第1圧縮空間P4から吐出された冷媒の吸入を案内するガス通路363を開閉する第2吸入弁381と、第2圧縮空間P5から吐出される冷媒の流れを制御する第2吐出弁382とを含んで構成される。
【0068】
すなわち、本発明に係る往復動式圧縮機の第2実施形態の構成は、第1実施形態の構成と同様構成されることにより、2段ピストン360の共振運動を誘発させる共振スプリングユニットUも前述の第1実施形態の共振スプリングユニットUと同様に構成される。
【0069】
また、ケーシング300には第1吸入流路と連結される吸入管301と、前記吐出側と連結される吐出管303とがそれぞれ結合される。
【0070】
吸入管301の一側端が第1吸入流路のチャンバ324のカバー323に結合されることにより、吸入管301に流入される冷媒が直接第1吸入流路に流入される。
【0071】
また、吐出管303の一側端が吐出カバー383の一側に固定結合されることにより、吐出管303が吐出カバー383の内部と連通される。
【0072】
以下、このような往復動式圧縮機の第2実施形態の動作を説明する。
【0073】
まず、往復動式モータ310に電源が供給されると、往復動式モータ310の可動子313が直線往復運動をし、該可動子313の直線往復駆動力が2段ピストン360に伝達されて、該2段ピストン360が2段シリンダー350の内部で直線往復運動をする。
【0074】
2段ピストン360が2段シリンダー350の内部で直線往復運動をすることにより、第1圧縮空間P4及び第2圧縮空間P5の体積がそれぞれ同時に変化し、該第1圧縮空間P4の体積変化により、吸入管301及び第1吸入流路を通じて冷媒が直接第1圧縮空間P4に吸入されて圧縮された後、ケーシング300の内部に吐出される。次いで、ケーシング300の内部に吐出された前記一回圧縮された冷媒は、ガス通路363を通じて第2圧縮空間P5に吸入されてもう一回圧縮される。次いで、第2圧縮空間P5でもう一回圧縮された冷媒は、吐出管303を通じてケーシング300の外部に吐出される。
【0075】
このような過程が繰り返されることにより冷媒は持続的に2段圧縮される。
【0076】
本発明に係る往復動式圧縮機の第2実施形態は、吸入管301と吐出管303がそれぞれ1つであるため、該吸入管301に吸入される冷媒は、第1圧縮空間P4及び第2圧縮空間P5で順次2回圧縮され、その2回圧縮された冷媒が吐出管303を通じてケーシング300の外部に吐出される。
【0077】
図5に示すように、本発明に係る往復動式圧縮機を備えた冷蔵庫は、冷凍室及び冷蔵室が備えられた冷蔵庫本体400と、該冷蔵庫本体400にそれぞれ装着される冷凍室側蒸発機410及び冷蔵室測蒸発機420と、それら冷凍室側蒸発機410及び冷蔵室測蒸発機420に連結される往復動式圧縮機とから構成される。
【0078】
また、前記往復動式圧縮機は、冷蔵庫本体400に装着されるケーシング300と、該ケーシング300の内部に備えられたフレームユニットUに装着されて直線往復駆動力を発生する1つの往復動式モータ310と、該往復動式モータ310の駆動力により冷凍室側蒸発機410を経た冷媒を直接吸入して圧縮する第1圧縮ユニットと、往復動式モータ310の駆動力を受けて冷蔵室測蒸発機420を経てケーシング300内に流入された冷媒と第1圧縮ユニットから吐出された冷媒とが混合された冷媒を圧縮する第2圧縮ユニットとを含んで構成される。
【0079】
ここで、前記往復動式圧縮機は、上述した往復動式圧縮機の第1実施形態の構成を同様であるため、具体的な説明は省略する。
【0080】
前記往復動式圧縮機の第1吸入管301は冷凍室側蒸発機410と連結され、第2吸入管302は冷蔵室測蒸発機420と連結される。
【0081】
図中、未説明符号430は凝縮機を示すものである。
【0082】
以下、本発明の往復動式圧縮機が備えられた冷蔵庫の動作を説明する。
【0083】
まず、冷蔵庫が駆動されると、前記往復動式圧縮機が動作し、前記往復動式圧縮機の動作により、その往復動式圧縮機で圧縮された冷媒が凝縮機側に吐出される。前記凝縮機を経た冷媒は、液体状態になり、該液体状態の冷媒の一部は、冷凍室側の蒸発機410に流入され、残りの冷媒は冷蔵室測の蒸発機420に流入される。冷凍室側の蒸発機410を経て気体状態になった冷媒は、第1吸入管301を通じて往復動式圧縮機の第1圧縮ユニットに流入される。また、冷蔵室測の蒸発機420を経て気体状態になった冷媒は、第2吸入管302を通じて前記往復動式圧縮機の第2圧縮ユニットに流入される。
【0084】
一方、前記冷媒が冷凍室側蒸発機410で気化された後、外部の熱を吸収して冷気を形成し、冷媒が冷蔵室測蒸発機420で気化されて外部の熱を吸収して冷気を形成する。冷凍室側の蒸発機410を経た冷媒は、冷蔵室測の蒸発機420を経た冷媒よりも圧力が低くなり、従って、第1吸入管301に流入される冷媒の圧力は第2吸入管302に流入される冷媒の圧力より相対的に低い。
【0085】
前記往復動式圧縮機は、上述した往復動式圧縮機の第1実施形態と同様に動作する。
【0086】
前記第1圧縮ユニットに流入された冷媒が該第1圧縮ユニットで1回圧縮された後、ケーシング300内部に吐出される。また、第1圧縮ユニットから吐出された冷媒は、第2吸入管302を通じてケーシング300の内部に流入される冷媒と混合され、該混合された冷媒は、第2圧縮ユニットで圧縮されて凝縮機430に吐出される。
【0087】
このような過程が繰り返されることにより、冷凍室側の蒸発機410と冷蔵室測の蒸発機420はそれぞれ持続的に冷気を形成する。
【0088】
このような本発明に係る往復動式圧縮機を備えた冷蔵庫は、冷凍室側の蒸発機410を経た相対的に低圧力の冷媒を第1圧縮ユニットで1回圧縮した後、冷蔵室側の蒸発機420を経た相対的に高圧力の冷媒と混合し、それら混合された冷媒を第2圧縮ユニットでもう1回圧縮することにより、往復動式圧縮機の負荷を低減し得る。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明に係る往復動式圧縮機の構成の第1実施形態を示す断面図である。
【図2】図1の往復動式圧縮機の冷媒が吸入されるときの動作状態を示す断面図である。
【図3】図1の往復動式圧縮機の冷媒が吐出されるときの動作状態を示す断面図である。
【図4】本発明に係る往復動式圧縮機の構成の第2実施形態を示す断面図である。
【図5】本発明に係る往復動式圧縮機を備えた冷蔵庫を示す断面図である。
【図6】一般の往復動式圧縮機の構成を示す断面図である。
【図7】一般の他の往復動式圧縮機の構成を示す断面図である。
【符号の説明】
【0090】
300 ケーシング
301 第1吸入管
302 第2吸入管
303 吐出管
310 往復動式モータ
322 第1吸入孔
324 チャンバ
350 2段シリンダー
352 第1シリンダーホール
353 第2シリンダーホール
355 第2吸入孔
360 2段ピストン
361 第1ピストン部
362 第2ピストン部
363 ガス通路
371 第1吸入弁
372 第1吐出弁
381 第2吸入弁
382 第2吐出弁
400 冷蔵庫本体
410 冷凍室側の蒸発機
420 冷蔵室測の蒸発機
P4 第1圧縮空間
P5 第2圧縮空間
U フレームユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシングと、
前記ケーシングの内部に備えられたフレームユニットに装着されて直線往復駆動力を発生する往復動式モータと、
該往復動式モータの駆動力を受けてケーシングの内部を経ずに直接吸入される冷媒を圧縮する第1圧縮ユニットと、
前記往復動式モータの駆動力により前記ケーシングの内部に流入する冷媒と前記第1圧縮ユニットから吐出された冷媒とを混合してもう一回冷媒を圧縮する第2圧縮ユニットと、
を含むことを特徴とする往復動式圧縮機。
【請求項2】
前記第1及び第2圧縮ユニットが、
相異なる内径を有する第1及び第2シリンダーホールが段差を有して連続して備えられて前記フレームユニットに装着された2段シリンダーと、
前記第1及び第2シリンダーホールの内径に対応して形成された第1ピストン部及び第2ピストン部が備えられ、前記往復動式モータの駆動力により前記2段シリンダーで直線往復運動を行う2段ピストンと、
前記第1ピストン部及び第1シリンダーホールにより形成される第1圧縮空間に前記ケーシングの内部を経ずに直接冷媒が吸入されるように案内する第1吸入流路を開閉する第1吸入弁と、
前記第1圧縮空間に吐出される冷媒の流れを制御する第1吐出弁と、
前記第2ピストン部及び第2シリンダーホールより形成される第2圧縮空間に前記第1圧縮空間から吐出された冷媒と前記ケーシング内に流入された冷媒とが共に吸入されるように案内するためのガス通路を開閉する第2吸入弁と、
前記第2圧縮空間から吐出される冷媒の流れを制御する第2吐出弁とを含むことを特徴とする請求項1に記載の往復動式圧縮機。
【請求項3】
前記第1吸入流路が、液冷媒を気化させる所定空間のチャンバを備えたことを特徴とする請求項2に記載の往復動式圧縮機。
【請求項4】
前記チャンバが、前記フレームユニットの一部分に形成された開口溝と、該開口溝を覆蓋するカバーとを含むことを特徴とする請求項3に記載の往復動式圧縮機。
【請求項5】
前記ケーシングに前記第1吸入流路と連結される第1吸入管と、前記ケーシングの内部と連通される第2吸入管と、前記吐出側に連結される吐出管とがそれぞれ結合されたことを特徴とする請求項2に記載の往復動式圧縮機。
【請求項6】
前記2段シリンダーの第1シリンダーホールと第2シリンダーホール間の段差面はそれら第1及び第2シリンダーホールの中心線に対して垂直であり、前記2段ピストンの第1ピストン部と第2ピストン部間の段差面はそれら第1及び第2ピストン部の中心線に対して垂直であることを特徴とする請求項2に記載の往復動式圧縮機。
【請求項7】
前記ガス通路が、前記2段ピストンの内部に貫通形成されたことを特徴とする請求項2に記載の往復動式圧縮機。
【請求項8】
前記第1吸入流路が、
前記フレームユニットに形成された第1吸入孔と、
前記2段シリンダーに形成されて前記第1吸入孔と前記第1圧縮空間とを連通する第2吸入孔とを含むことを特徴とする請求項2に記載の往復動式圧縮機。
【請求項9】
ケーシングと、
前記ケーシングの内部に備えられたフレームユニットに装着されて直線往復駆動力を発生する1つの往復動式モータと、
前記往復動式モータの駆動力によりケーシングの内部を経ずに直接吸入される冷媒を1段圧縮する第1圧縮ユニットと、
前記往復動式モータの駆動力により前記第1圧縮ユニットで圧縮された冷媒をもう一回圧縮する第2圧縮ユニットと
を含むことを特徴とする往復動式圧縮機。
【請求項10】
前記第1及び第2圧縮ユニットが、
相異なる内径を有する第1及び第2シリンダーホールが段差を有して連続して備えられ、前記フレームユニットに装着される2段シリンダーと、
前記第1及び第2シリンダーホールの内径に対応して形成される第1ピストン部及び第2ピストン部が備えられことで、前記往復動式モータの駆動力により前記2段シリンダーで直線往復運動をする2段ピストンと、
前記第1ピストン部及び第1シリンダーホールにより形成される第1圧縮空間に前記ケーシングの内部を経ずに直接冷媒が吸入されるように案内する第1吸入流路を開閉する第1吸入弁と、
前記第1圧縮空間を開閉する第1吐出弁と、
前記第2ピストン部及び第2シリンダーホールにより形成される第2圧縮空間に前記第1圧縮空間から吐出された冷媒が吸入されるように案内するガス通路を開閉する第2吸入弁と、
前記第2圧縮空間から吐出された冷媒の流れを制御する第2吐出弁とを含むことを特徴とする請求項9に記載の往復動式圧縮機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−214434(P2006−214434A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−319502(P2005−319502)
【出願日】平成17年11月2日(2005.11.2)
【出願人】(590001669)エルジー電子株式会社 (296)
【Fターム(参考)】