循環する希少細胞の分析用の画像診断機器
本発明は、富化後、血液からの循環腫瘍細胞を画像処理するためのシステムを提供する。このシステムは、最小限の検査室ベンチトップのスペースでの臨床検査室の設置において、最適な使用を提供するように設計される。操作者の介入は、その他の分析方法に比較して最小限に抑えられる。このシステムは、早期転移前癌のスクリーニングおよび検出のための、サンプル標本中の標的細胞の計数および同定と、療法に応答した疾患寛解のモニタリング、および個々の患者に対するより有効な投薬計画または代替療法の選択に有用である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権情報)
本願は、米国特許法第119条(e)の下、2004年8月17日出願の米国仮出願第60/602504号と、2005年1月21日出願の第60/645683号と、2005年1月31日出願の第60/648477号の優先権を主張するものである。
【0002】
本発明は、一般的には自動サンプル画像処理の分野、より詳細には、特定の疾患、特に癌の、診断、モニタリングおよび管理に関する分析用の自動機器による、体液から単離された希少細胞の画像サイトメトリーに関する。
【背景技術】
【0003】
腫瘍細胞は、しばしば癌腫患者の血液中に、非常に低頻度の希少細胞(<10細胞/ml)として存在する。これらのレベルは、臨床的に有用な情報を提供することができる。しかしながら、循環腫瘍細胞の存在を検出し定量するのに必要とされる面倒な手順と、低値の統計は、高レベルの変動を結果にもたらす。本発明のシステムは、血液サンプルなどの流体サンプル中の希少細胞検出のために(すなわち、上皮由来の循環希少腫瘍細胞)臨床検査室で使用される、画像処理機器を改良する。
【0004】
一般的には、これらの希少細胞は、標識し、磁気手段により血液から分離することによって、標的とされる。捕捉された細胞を蛍光標識して、非標的細胞および対照細胞からの検出および同定を可能にする。CellSpotter(登録商標)は、血液サンプル中の細胞からの蛍光シグナルに基づいて、免疫磁気選択細胞を計数および同定する半自動蛍光顕微鏡である。
【0005】
標的希少細胞を含有することが疑われる血液サンプルを、所望の希少細胞を富化させることによって前処理する。富化は、標的細胞に特異的な抗体を磁気粒子に結合することによって得られる。この免疫磁気複合体を、磁場の存在下で血液サンプルと一緒にし、標的細胞の免疫磁気捕獲を行う。標的細胞を含有する富化血液画分を得た後、引き続いての画像処理のために蛍光試薬を添加する。富化細胞を目視用カートリッジ内に置き、次いでこれを磁気機器内に置くが、この機器では、サンプル中の磁気標識された細胞をチャンバーの光学的に透明な平面に向けて、免疫磁気アライメントおよび画像分析を行うものである。本発明で使用される新規なサンプルチャンバー(US 10/074900およびUS 10303309)およびCell Spotter(登録商標)システムは、以下の特許および同時係属出願、すなわち米国特許第5186827号、米国特許第6698271号、米国特許第6120856号、米国特許第6551843号、US 09/702188、US 10/449355に組み込まれている。次いで磁気機器およびチャンバーを、コンピュータ制御式フィルタセレクタおよびデジタル制御式X−Y−Zステージを備えた蛍光顕微鏡に配置する。画像を、4組の異なる蛍光フィルタでサンプルカートリッジをスキャンすることにより獲得する。獲得した画像を自動ソフトウェア解析により処理して、標的細胞の画像を含むデータをコンパイルする。個々のフレームを目視し、標的細胞を手作業で選択する。この解析は、全ての選択された標的細胞を含有する画像のギャラリーの表示を完備している。
【0006】
臨床検査室に取り入れる場合、このシステムは、臨床疾患に関連した循環希少細胞を検査するのに使用することができる。例えば、循環腫瘍細胞(CTC)の数が転移性乳癌に罹っている患者の疾患の進行に相関する、多施設共同前向き長期臨床試験を容易に確立することができる(米国特許第6365362号;米国特許第6645731号;US 10/079939)。
【0007】
したがって、本発明の主要な概念は、所望の倍率下で細胞のミクロ構造を観察するための顕微鏡システムと共に、生物学的標本中の細胞の検出および計数を評価する検査室診断設備システムから生じる。
【0008】
顕微鏡視野より広い画像処理領域につきステッピングモータ駆動式ステージを用いる顕微鏡検査技術には、限られた臨床上の有用性がある。例えば、画像サイトメトリー解析で実現可能な画像獲得速度、およびCellSpotter(登録商標)システムで必要とされる全体的な実験室用ベンチスペースは、その実用的な臨床上の使用を制限する。現在、画像獲得は、スライドまたはサンプルカートリッジを犂耕式にステップごとに進めながら、視野内を移動させることによって実現している。犂耕式移動は、最も速い軸に沿った2つの連続したラインを、反対方向にスキャンする動きである。1つの画像が各ステップごとに得られる。同じサンプルの複数の蛍光画像を得る場合、フィルタキューブを切り替え、それぞれの通過が完了した後に犂耕式移動を繰り返す。このプロセスは、色ごとのスキャンを完了させて、全ての位置および全ての色に関して画像が獲得されるまで繰り返す。フィルタキューブとサンプルとの両方の移動は、獲得速度を厳格に制限するサーボフィードバックを用い、ステッピングモータステージによって実現される。フィルタキューブを隣りに移動させるには、約2秒を要し、さらに0.5秒かけて、2つの連続する位置の間に踏み込む。したがって全獲得時間は、全移動時間に全画像獲得時間を加えたものからなり、獲得は、CellSpotter(登録商標)のような画像処理システムの移動時に費やされた大部分の時間になる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来技術では、顕微鏡ステージを駆動するのにステッピングモータ技術を用い、これはステッピングモータでの最大駆動頻度が限定される技術であるので、大面積画像獲得時間を改良するための新しい機器を開発することが求められている。さらに、サンプル(またはカートリッジ)の移動は、流体の慣性によって細胞を移動させる可能性がある。細胞のどのような動きも、獲得ソフトウェアによって画像の解釈を誤らせ、かつ予測不可能な同定によって1つの細胞を2つと数える可能性がある。
【0010】
従来技術が持つもう一つの問題は、ステージ移動中に、サンプルが絶えず照射されることである。その結果、細胞標識に使用される蛍光色素は、退色することになる。フィコエリトリン(PE)は、細胞標識で一般的には使用される色素であるが、退色に非常に感受性である。移動時に費やされる時間を短縮することによって、サンプル退色の程度を低減させることになる。
【0011】
CellSpotter(登録商標)技術に包含される設備は、磁気機器(米国特許第5985153号)内に置かれたサンプルチャンバー(US 10/074900、US 10/303309および米国特許第5993665号)を含み、これは、サンプル中の磁気標識細胞を、チャンバーの光学的に透明な平面に向けるものである。次いで磁気機器およびチャンバーを、コンピュータ制御式フィルタセレクタおよびデジタル制御式X−Y−Zステージを備えた蛍光顕微鏡に配置する。
【0012】
本発明は、複数の蛍光指示薬を使用して迅速なサンプル解析を行うための、CellSpotter(登録商標)自動診断システムの改良である。画像処理機器は、ほとんどの臨床検査室ベンチトップ上に都合良く配置するために、構成部品を単純な箱形にまとめることによってさらに改良される。これは、十分な量の空間がない自動検査室に、実用的な構成を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、臨床検査室で使用される希少細胞検出用の画像診断機器を改良して、臨床検査室で自動操作を行うための画像システムに関する装置および方法を提供する。本発明の機器は、スペースが最小限に抑えられた検査室のベンチトップに適合するように、単純な外箱状のデザインに設計されたコンパクトな内蔵型のユニットである。照明および集光光学部品は、多数の患者サンプルの分析の際、臨床検査室の技術者が容易に接触し使用できるように構成される。
【0014】
さらに、フィルタキューブの切替えおよびステージ移動の際に使用されるステッピングモータ技術は、閉フィードバックループでナノモーションモータに代えられている。これらの動きは、1を超えるフィルタキューブが必要な複数の蛍光検出器または色素から1つの画像を作成する場合、極めて重要である。より具体的には、各キューブごとの移動時間は、2つの連続するフィルタキューブに関して2から0.2秒短縮される。2つの連続する位置の間での移動に費やされる時間は、0.5から0.1秒短縮される。画像獲得に必要な面積は、システムの視野よりも広いので、画像全体の獲得は、いくつかの異なる位置での画像獲得を必要とする。ナノモーションモータは、これらの機能に必要とされる時間を短縮し、移動時に費やされる時間である全獲得の一部を制限する。次いで時間の大部分は、サンプルおよび/またはキューブの移動に費やされる時間の代わりに、画像そのものの獲得時に費やされることになる。さらに、全獲得時間が劇的に短縮した状態では、サンプル、特にPEを有するサンプルの退色が低減する。獲得時間が十分に短縮されたことにより、画像全体の位置ごとのスキャンが可能になる。位置ごとのスキャンによって、犂耕式移動で隣りの位置に移動する前に、全てのフィルタキューブに関して画像が獲得される。色ごとにスキャンする間、画像のいずれの可能な移動もなくなる。
【0015】
本発明の自動蛍光光学画像処理機器は、さらに、免疫磁気選択および位置合わせがなされた蛍光標識済み循環腫瘍細胞(CTC)の計数における事前に位置合わせした電球および設置/使用方法を提供する。本発明は、マスターランプ/ステージユニットの設定を通して、ランプハウジングステージの標準化を行う。このマスターランプは、図面に示されるように、調節カラー内に据えられる。カラーは、電球のフィラメントを微調整する、機械加工された隙間を有する。したがってカラーは、任意の機器ユニットに対する電極の正確なアライメント(X−Y−Zの向き)を確実にするのに使用される。アライメントがなされたら、最終的な支持のために、カラー−電球ユニットをVブロック構造に挿入する。アライメントにおける任意の引き続いてのシフトのさらなる改良は、フレキシブルな接続リードとして編組線(braded wire)を使用することである。これらの組み合わされた改良によって、事前に位置合わせした電球を、任意の対応する画像処理ユニットで使用することが可能になる。これは、それぞれの位置で個々のユニットのアライメントを行うコストを低下させ、効率的な設置を提供する。
【0016】
したがって、この自動希少細胞画像処理機器は、サンプル分析の速度を改善する。臨床診断検査室でのシステムのコンパクトなデザインにより、転移性癌などの疾患の臨床状態を標的とするための、標的細胞の計数および同定が可能になる。事前に位置合わせした電球構造では、迅速で都合の良い維持を行うことができる。併せて、これらの概念は、限定されるものではないが、初期癌でのスクリーニングおよび検出、療法に応答する疾患寛解のモニタリング、およびより効果的な投薬計画または再発の場合の代替療法の選択のごとき、サンプル標本中の標的細胞の検出および定量に役立つ。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の装置は、現行のCellSpotter(登録商標)技術を改良して、臨床検査環境により役立つ機器において、使用者がそれほど介入することなく、より強固な適用を提供する。
【0018】
第1に、全体的なレイアウトは、検査室内での効率的なスペース管理のためにコンパクトなベンチトッププロフィールが得られるような、非顕微鏡タイプのデザインである(図1参照)。このシステムは、接続ケーブルが散乱するのを防止し、かつ検査室の職員が触ろうとしないように、単純な流線形の箱詰めユニットに入れられる(図1A)。内部の構成部品は、限られたスペースで効率的な照明および集光光学部品が得られるように設計される(図1B)。
【0019】
第2に、個々の構成部品の改良は、より多様な用途をもたらす。このユニットは、複数の解析のために個々のサンプルをスキャンすることができる。さらに、このユニットは、複数の分析物特異的試薬(ASR)および関連するソフトウェアアルゴリズムを含むように拡張可能である。MagNest(商標)、すなわち磁気機器は、データボタンインターフェースを通してステージに連絡する(図2参照)。このステージは、正確さ(図3参照)および精度の両方が改良される。プラットフォームの動作は、動作制御器(Galil)、圧電モータ(Nanomotion)および位置エンコーダ(Renishaw)を通して機能する。これは、図4に示すように、X、Y、Z平面およびフィルタ(W)に0.2ミクロンの解像度をもたらす。光学構成部品には、操作者が調節可能な一体型Nikonレンズを備えたOrielランプアセンブリを含む。レンズシステムは、表面反射で失われる光量を減少させるためにほんの少ししか部品がなく、照明の到達は、一般的には使用されているKohler照明よりも効率的である。10×対物レンズおよび光源としての100W水銀アークランプは、従来の設計と同様である。
【0020】
コンパクトなデザインにとって極めて重要なのは、独自の照明経路であり、ステージの配置と共に、従来の顕微鏡構造を新しい形状に適合させることが可能になる(図5)。得られる照明経路は、関連するレンズ、フィルタおよび光源への容易な到達を可能にする(図6)。照明システムは、350から1000nmの波長が可能な蛍光励起範囲を有する。強度および均一性は、たとえランプハウジングに後部反射器がないとしても、CellSpotter(登録商標)とほぼ同等である。
【0021】
水銀ランプは、調節ノブの数を3個に減らしたCellSpotter(登録商標)と同等である(以前の6個ではない)。これは、使用者によるランプ交換を容易にしている。
【0022】
本願は、事前に位置合わせしたランプシステムの最適な使用も包含する。図7は、ランプ(1)との関係でカラー(2)を示し、調節ねじ(3)、(4)、(5)、(6)および(7)がカラー表面に最適に配置される。図8に示すように、アライメントフィクスチャF60040を光学コンパレータで使用して(すなわち50×レンズ)、寸法0.000にゼロ設定し、調節ねじ(7)を使用してトップ電極位置を2.510±0.001に調節する。調節ねじ3−4−5は、水平公差が底部電極の厚みよりも広くならない状態で、トップ電極(1)を光学コンパレータ上の水平中心線に位置合わせするのに使用する。これらのステップを、トップ電極が光学コンパレータ上の水平中心線に位置合わせされるまで継続する。ランプは、100Wの水銀電球である。図9は、ランプ用の完成した支持装置を示す。パネルAは、ランプおよび支持体のみを備えた状態を示す。パネルBは、関連するステージランプ点灯システムを備えた状態を示し、パネルCは、外部ハウジングを所定位置に備えた状態を示す。
【0023】
フィルタキューブはCellSpotter(登録商標)と同様であるが、フィルタキューブの数は、4個から6個に増える。DIOC/PEキューブは変わらない。ここでは、デュアルポジティブの数を減少させると同時に感度が維持されるよう、APCキューブに修正を加える。DAPIキューブは、このキューブの自動蛍光および漏洩が低下するように改良されている。また、APCキューブは、より低い輝度のCTCがAPCチャネル内に生じると同時にAPC感度が維持される状態で、PEブリードオーバを低下(約50%)させるように改良されている。APC検出効率は、CellSpotter(登録商標)と同一である。本発明により支持することができる追加のASRタグには、1種のASRを用いたIRQドット(Ex=350nmおよびEm=800nm)、2種のASRを用いたランタニド(ex=350nm、Em=615nm(Eu)および550nm(Tb))、および2種のASRを用いたUPT(Ex=980nm、Em約490および580nm)が含まれる。さらなる改良には、バーコード付きラテックスおよびスペクトル補正が含まれる。これらの要素は、PEブリードを減少させ(50%)かつAPCチャネル内のCTCの輝度がより低い状態で、APCキューブを改良する(図10)。さらに、APC効率は、検出される白血球%に損失がなく、同一である。
【0024】
本発明の機器では、バックライトの設計にさらなる改良点がある。バックライトは、カートリッジの縁部の発見、機器の初期アライメント、および所望による明視野画像処理のために使用される。LEDは、光源として使用する。均一性は良好である(CV 2.5%)。
【0025】
検出システムは、より良好な解像度、感度、ダークノイズ、ダイナミックレンジおよび平坦度(field flatness)を有する状態で、CellSpotter(登録商標)にも勝るように改良される。400から800nmの波長を検出することができ、それと共に、MTF(変調伝達関数)のごく一部を犠牲として400〜1100nmまで拡張する選択肢がある。
【0026】
画像処理経路を図11に示す。パネルAが光路を示すのに対し、パネルBは装置を示している。
【0027】
チップ幅は3%小さく、その結果、1つのフィルタ当たり175フレーム(すなわち、1つ余分な行)で多数回のスキャンが行われる。サンプルチャンバーの幅は5%減少し、そのため3シグマの確実性(certainty)で4行まで回復し(140フレーム)、チャンバーの容積が15μl減少する。
【0028】
本発明の機器は、2ステージTE冷却CCDチップを有する。冷却によって、暗電流が減少する。本発明の機器は、暗電流の規格(内部システム温度は40℃未満)を満たすのに十分な、1ステージTE冷却も考慮に入れており、より安価な検出器オプションを提供する。
【0029】
本発明は、40×対物レンズの単独での使用、または画像獲得で使用される現行の10×対物レンズと組み合わせた使用も考慮に入れる。
【0030】
画像獲得のための全時間は、5つの構成要素から成る。これらには、システムの設定/排出位置への移動、サンプルのx−y方向での移動、フィルタキューブの移動、画像の獲得(積分時間)および画像の転送に費やされた時間が含まれる。
【0031】
色ごとのアプローチでの全獲得時間では、まずカートリッジ全体を第1のキューブで画像処理し、その後、次のキューブで処理する。これを、全ての色につき獲得された画像を各位置ごとに得た後に次の位置に移動させる、位置ごとのアプローチと比較する。獲得時間の線図を、以下の表に示す(表1)。CellSpotter(登録商標)を使用したDAPI、PEおよびAPCを例示的な図により示すが、これらは本発明の具体例を限定するものではない。
【0032】
【表1】
【0033】
個々の画像の獲得に費やされる時間は、どちらの方法でも同じであるが、異なる色素については異なっており、DAPIでは0.11秒、PEでは0.22秒、FITCでは0.11秒、APCでは0.66秒である。色ごとの方法と位置ごとの方法との比較は、主な相違が、費やされた全時間がx−y方向のサンプル移動時間によって影響を受けることであることを示す。
【0034】
色ごとの合計時間は、下式によりモデル化される。
T色ごと=T初期+140×T獲得+560×(Txy移動//T転送)+4×Tフィルタ移動+T最終 (1)
【0035】
位置ごとの場合、そのモデルは下式により与えられる。
T位置ごと=T初期+140×T獲得+140×(Txy移動//T転送//Tフィルタ移動4−1)+420×(Tフィルタ移動1−2/2−3/3−3/3−4//T転送)+T最終 (2)
(式中、(A//B)は、(A>B)の場合はAを、(A≦B)の場合はBを意味する。)
【0036】
CellSpotter(登録商標)システムについて、下記の値であると仮定すると、すなわちT初期+τ最終=60秒、T捕獲=1.1秒、T転送=0.11秒、Txy移動=0.5秒、Tフィルタ移動=2秒、Tフィルタ移動4−1=6秒と仮定すると、得られる全獲得時間は、色ごとのアプローチの場合500秒(8分20秒)であり、位置ごとのアプローチの場合1900秒(31分40秒)である。
【0037】
本発明では、これらの時間は下記の通りである;T捕獲=0.6秒、T転送=0.11秒、Txy移動=0.1秒、Tフィルタ移動=0.2秒、Tフィルタ移動4−1=0.5秒。
【0038】
ICX285チップのQEがより高くなると、T捕獲時間が短縮し、一方、Txy移動およびTフィルタ移動についての時間の短縮は、それぞれナノモーションステージおよびフィルタチェンジャに起因する。これらの時間の短縮の結果、色ごとおよび位置ごとのアプローチでは、合計時間がそれぞれ200秒(3分20秒)および300秒(5分)になる。両方のアプローチについての全獲得時間は、実質的に短縮する。このように、色ごとのアプローチは依然として速いが、その差は、位置ごとのアプローチをより実用的なものにするのに十分小さい。実際、短縮された獲得時間によって、退色による著しい影響を受けることなくPEによって画像処理することが可能になる。
【0039】
位置ごとのアプローチのさらなる利点は、セルが位置合わせされたままであることである。
【0040】
最後に、本発明の機器は、迅速な低コストのサービスコールを可能にするための分野で容易に交換可能なユニットが提供されるように設計される。これらのユニットは、電源、X−Yステージアセンブリ、Zステージアセンブリ、フィルタ(W)ステージアセンブリ、サーボ増幅器(4)、CCDカメラ、画像処理および照明光学部品アセンブリ、対物レンズ、フィルタキューブ、ランプおよびハウジング、コンピュータおよび周辺機器、シャッタ/NDフィルタアセンブリ、エアフィルタ、主回路基板およびケーブルを含む。
【0041】
安全確保には、エンクロージャインターロッククロージングシステムシャッタが含まれる。ランプハウジングのインターロックは、ランプ供給を不可能にする。UVフィルタの安全メガネが機器と共に供給される。この機器は、米国、欧州および日本において、いかなる構成部品も切り替えることなく操作することができる。
【0042】
これらの改良点は、当業者が思い描くことができる装置および方法の、多数のさらなる可能性がある適用を単に例示したものであり、したがって、何ら本発明の範囲を限定するものではないことを、理解し認識すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】ベンチトッププロフィルの全体的なデザインを示す図である。(A)箱状ユニットの外観図。(B)システム構成部品の内部構造図。
【図2】MagNest(商標)と画像処理システムとの間の連絡のために修正を加えたステージを示す図である。
【図3】位置的な正確さを提供するために、リニアモータとリニアエンコーダの関係を示す図である。
【図4】フィルタキューブ(W)、対物レンズ(Z)およびカートリッジ(XおよびY)が移動する軸方向を図示したものである。
【図5】機器の構成部品に関する照明経路を示す図である。
【図6】光路を示す照明経路の図である。
【図7】支持カラー(2)と共にランプ(1)を示す、事前に位置合わせした構造の図である。調節ねじ(3)、(4)および(5)はカラーの最上にあるが、調節ねじ(6)は外側面に位置付けられ、調節ねじ(7)は底部にある。
【図8】所定位置に電極を有するランプを備えたアライメントフィクスチャ−F60040の概略図である。
【図9】ランプ用の完成した支持装置の図である。パネルAは、ランプを備えた支持装置を示す。パネルBは、所定位置にステージランプ点灯システムを有する装置を示す。パネルCは、外部ハウジングを有する装置を示す。
【図10】CellSpotter APCキューブと、本発明のAPCキューブとの比較を示す図である。
【図11】カメラ、レンズ、ミラー、キューブおよび対物レンズに対する光の方向を示した画像処理経路の図である(パネルA)。所定位置の装置に関して示される画像処理経路を示す図である(パネルB)。
【技術分野】
【0001】
(優先権情報)
本願は、米国特許法第119条(e)の下、2004年8月17日出願の米国仮出願第60/602504号と、2005年1月21日出願の第60/645683号と、2005年1月31日出願の第60/648477号の優先権を主張するものである。
【0002】
本発明は、一般的には自動サンプル画像処理の分野、より詳細には、特定の疾患、特に癌の、診断、モニタリングおよび管理に関する分析用の自動機器による、体液から単離された希少細胞の画像サイトメトリーに関する。
【背景技術】
【0003】
腫瘍細胞は、しばしば癌腫患者の血液中に、非常に低頻度の希少細胞(<10細胞/ml)として存在する。これらのレベルは、臨床的に有用な情報を提供することができる。しかしながら、循環腫瘍細胞の存在を検出し定量するのに必要とされる面倒な手順と、低値の統計は、高レベルの変動を結果にもたらす。本発明のシステムは、血液サンプルなどの流体サンプル中の希少細胞検出のために(すなわち、上皮由来の循環希少腫瘍細胞)臨床検査室で使用される、画像処理機器を改良する。
【0004】
一般的には、これらの希少細胞は、標識し、磁気手段により血液から分離することによって、標的とされる。捕捉された細胞を蛍光標識して、非標的細胞および対照細胞からの検出および同定を可能にする。CellSpotter(登録商標)は、血液サンプル中の細胞からの蛍光シグナルに基づいて、免疫磁気選択細胞を計数および同定する半自動蛍光顕微鏡である。
【0005】
標的希少細胞を含有することが疑われる血液サンプルを、所望の希少細胞を富化させることによって前処理する。富化は、標的細胞に特異的な抗体を磁気粒子に結合することによって得られる。この免疫磁気複合体を、磁場の存在下で血液サンプルと一緒にし、標的細胞の免疫磁気捕獲を行う。標的細胞を含有する富化血液画分を得た後、引き続いての画像処理のために蛍光試薬を添加する。富化細胞を目視用カートリッジ内に置き、次いでこれを磁気機器内に置くが、この機器では、サンプル中の磁気標識された細胞をチャンバーの光学的に透明な平面に向けて、免疫磁気アライメントおよび画像分析を行うものである。本発明で使用される新規なサンプルチャンバー(US 10/074900およびUS 10303309)およびCell Spotter(登録商標)システムは、以下の特許および同時係属出願、すなわち米国特許第5186827号、米国特許第6698271号、米国特許第6120856号、米国特許第6551843号、US 09/702188、US 10/449355に組み込まれている。次いで磁気機器およびチャンバーを、コンピュータ制御式フィルタセレクタおよびデジタル制御式X−Y−Zステージを備えた蛍光顕微鏡に配置する。画像を、4組の異なる蛍光フィルタでサンプルカートリッジをスキャンすることにより獲得する。獲得した画像を自動ソフトウェア解析により処理して、標的細胞の画像を含むデータをコンパイルする。個々のフレームを目視し、標的細胞を手作業で選択する。この解析は、全ての選択された標的細胞を含有する画像のギャラリーの表示を完備している。
【0006】
臨床検査室に取り入れる場合、このシステムは、臨床疾患に関連した循環希少細胞を検査するのに使用することができる。例えば、循環腫瘍細胞(CTC)の数が転移性乳癌に罹っている患者の疾患の進行に相関する、多施設共同前向き長期臨床試験を容易に確立することができる(米国特許第6365362号;米国特許第6645731号;US 10/079939)。
【0007】
したがって、本発明の主要な概念は、所望の倍率下で細胞のミクロ構造を観察するための顕微鏡システムと共に、生物学的標本中の細胞の検出および計数を評価する検査室診断設備システムから生じる。
【0008】
顕微鏡視野より広い画像処理領域につきステッピングモータ駆動式ステージを用いる顕微鏡検査技術には、限られた臨床上の有用性がある。例えば、画像サイトメトリー解析で実現可能な画像獲得速度、およびCellSpotter(登録商標)システムで必要とされる全体的な実験室用ベンチスペースは、その実用的な臨床上の使用を制限する。現在、画像獲得は、スライドまたはサンプルカートリッジを犂耕式にステップごとに進めながら、視野内を移動させることによって実現している。犂耕式移動は、最も速い軸に沿った2つの連続したラインを、反対方向にスキャンする動きである。1つの画像が各ステップごとに得られる。同じサンプルの複数の蛍光画像を得る場合、フィルタキューブを切り替え、それぞれの通過が完了した後に犂耕式移動を繰り返す。このプロセスは、色ごとのスキャンを完了させて、全ての位置および全ての色に関して画像が獲得されるまで繰り返す。フィルタキューブとサンプルとの両方の移動は、獲得速度を厳格に制限するサーボフィードバックを用い、ステッピングモータステージによって実現される。フィルタキューブを隣りに移動させるには、約2秒を要し、さらに0.5秒かけて、2つの連続する位置の間に踏み込む。したがって全獲得時間は、全移動時間に全画像獲得時間を加えたものからなり、獲得は、CellSpotter(登録商標)のような画像処理システムの移動時に費やされた大部分の時間になる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来技術では、顕微鏡ステージを駆動するのにステッピングモータ技術を用い、これはステッピングモータでの最大駆動頻度が限定される技術であるので、大面積画像獲得時間を改良するための新しい機器を開発することが求められている。さらに、サンプル(またはカートリッジ)の移動は、流体の慣性によって細胞を移動させる可能性がある。細胞のどのような動きも、獲得ソフトウェアによって画像の解釈を誤らせ、かつ予測不可能な同定によって1つの細胞を2つと数える可能性がある。
【0010】
従来技術が持つもう一つの問題は、ステージ移動中に、サンプルが絶えず照射されることである。その結果、細胞標識に使用される蛍光色素は、退色することになる。フィコエリトリン(PE)は、細胞標識で一般的には使用される色素であるが、退色に非常に感受性である。移動時に費やされる時間を短縮することによって、サンプル退色の程度を低減させることになる。
【0011】
CellSpotter(登録商標)技術に包含される設備は、磁気機器(米国特許第5985153号)内に置かれたサンプルチャンバー(US 10/074900、US 10/303309および米国特許第5993665号)を含み、これは、サンプル中の磁気標識細胞を、チャンバーの光学的に透明な平面に向けるものである。次いで磁気機器およびチャンバーを、コンピュータ制御式フィルタセレクタおよびデジタル制御式X−Y−Zステージを備えた蛍光顕微鏡に配置する。
【0012】
本発明は、複数の蛍光指示薬を使用して迅速なサンプル解析を行うための、CellSpotter(登録商標)自動診断システムの改良である。画像処理機器は、ほとんどの臨床検査室ベンチトップ上に都合良く配置するために、構成部品を単純な箱形にまとめることによってさらに改良される。これは、十分な量の空間がない自動検査室に、実用的な構成を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、臨床検査室で使用される希少細胞検出用の画像診断機器を改良して、臨床検査室で自動操作を行うための画像システムに関する装置および方法を提供する。本発明の機器は、スペースが最小限に抑えられた検査室のベンチトップに適合するように、単純な外箱状のデザインに設計されたコンパクトな内蔵型のユニットである。照明および集光光学部品は、多数の患者サンプルの分析の際、臨床検査室の技術者が容易に接触し使用できるように構成される。
【0014】
さらに、フィルタキューブの切替えおよびステージ移動の際に使用されるステッピングモータ技術は、閉フィードバックループでナノモーションモータに代えられている。これらの動きは、1を超えるフィルタキューブが必要な複数の蛍光検出器または色素から1つの画像を作成する場合、極めて重要である。より具体的には、各キューブごとの移動時間は、2つの連続するフィルタキューブに関して2から0.2秒短縮される。2つの連続する位置の間での移動に費やされる時間は、0.5から0.1秒短縮される。画像獲得に必要な面積は、システムの視野よりも広いので、画像全体の獲得は、いくつかの異なる位置での画像獲得を必要とする。ナノモーションモータは、これらの機能に必要とされる時間を短縮し、移動時に費やされる時間である全獲得の一部を制限する。次いで時間の大部分は、サンプルおよび/またはキューブの移動に費やされる時間の代わりに、画像そのものの獲得時に費やされることになる。さらに、全獲得時間が劇的に短縮した状態では、サンプル、特にPEを有するサンプルの退色が低減する。獲得時間が十分に短縮されたことにより、画像全体の位置ごとのスキャンが可能になる。位置ごとのスキャンによって、犂耕式移動で隣りの位置に移動する前に、全てのフィルタキューブに関して画像が獲得される。色ごとにスキャンする間、画像のいずれの可能な移動もなくなる。
【0015】
本発明の自動蛍光光学画像処理機器は、さらに、免疫磁気選択および位置合わせがなされた蛍光標識済み循環腫瘍細胞(CTC)の計数における事前に位置合わせした電球および設置/使用方法を提供する。本発明は、マスターランプ/ステージユニットの設定を通して、ランプハウジングステージの標準化を行う。このマスターランプは、図面に示されるように、調節カラー内に据えられる。カラーは、電球のフィラメントを微調整する、機械加工された隙間を有する。したがってカラーは、任意の機器ユニットに対する電極の正確なアライメント(X−Y−Zの向き)を確実にするのに使用される。アライメントがなされたら、最終的な支持のために、カラー−電球ユニットをVブロック構造に挿入する。アライメントにおける任意の引き続いてのシフトのさらなる改良は、フレキシブルな接続リードとして編組線(braded wire)を使用することである。これらの組み合わされた改良によって、事前に位置合わせした電球を、任意の対応する画像処理ユニットで使用することが可能になる。これは、それぞれの位置で個々のユニットのアライメントを行うコストを低下させ、効率的な設置を提供する。
【0016】
したがって、この自動希少細胞画像処理機器は、サンプル分析の速度を改善する。臨床診断検査室でのシステムのコンパクトなデザインにより、転移性癌などの疾患の臨床状態を標的とするための、標的細胞の計数および同定が可能になる。事前に位置合わせした電球構造では、迅速で都合の良い維持を行うことができる。併せて、これらの概念は、限定されるものではないが、初期癌でのスクリーニングおよび検出、療法に応答する疾患寛解のモニタリング、およびより効果的な投薬計画または再発の場合の代替療法の選択のごとき、サンプル標本中の標的細胞の検出および定量に役立つ。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の装置は、現行のCellSpotter(登録商標)技術を改良して、臨床検査環境により役立つ機器において、使用者がそれほど介入することなく、より強固な適用を提供する。
【0018】
第1に、全体的なレイアウトは、検査室内での効率的なスペース管理のためにコンパクトなベンチトッププロフィールが得られるような、非顕微鏡タイプのデザインである(図1参照)。このシステムは、接続ケーブルが散乱するのを防止し、かつ検査室の職員が触ろうとしないように、単純な流線形の箱詰めユニットに入れられる(図1A)。内部の構成部品は、限られたスペースで効率的な照明および集光光学部品が得られるように設計される(図1B)。
【0019】
第2に、個々の構成部品の改良は、より多様な用途をもたらす。このユニットは、複数の解析のために個々のサンプルをスキャンすることができる。さらに、このユニットは、複数の分析物特異的試薬(ASR)および関連するソフトウェアアルゴリズムを含むように拡張可能である。MagNest(商標)、すなわち磁気機器は、データボタンインターフェースを通してステージに連絡する(図2参照)。このステージは、正確さ(図3参照)および精度の両方が改良される。プラットフォームの動作は、動作制御器(Galil)、圧電モータ(Nanomotion)および位置エンコーダ(Renishaw)を通して機能する。これは、図4に示すように、X、Y、Z平面およびフィルタ(W)に0.2ミクロンの解像度をもたらす。光学構成部品には、操作者が調節可能な一体型Nikonレンズを備えたOrielランプアセンブリを含む。レンズシステムは、表面反射で失われる光量を減少させるためにほんの少ししか部品がなく、照明の到達は、一般的には使用されているKohler照明よりも効率的である。10×対物レンズおよび光源としての100W水銀アークランプは、従来の設計と同様である。
【0020】
コンパクトなデザインにとって極めて重要なのは、独自の照明経路であり、ステージの配置と共に、従来の顕微鏡構造を新しい形状に適合させることが可能になる(図5)。得られる照明経路は、関連するレンズ、フィルタおよび光源への容易な到達を可能にする(図6)。照明システムは、350から1000nmの波長が可能な蛍光励起範囲を有する。強度および均一性は、たとえランプハウジングに後部反射器がないとしても、CellSpotter(登録商標)とほぼ同等である。
【0021】
水銀ランプは、調節ノブの数を3個に減らしたCellSpotter(登録商標)と同等である(以前の6個ではない)。これは、使用者によるランプ交換を容易にしている。
【0022】
本願は、事前に位置合わせしたランプシステムの最適な使用も包含する。図7は、ランプ(1)との関係でカラー(2)を示し、調節ねじ(3)、(4)、(5)、(6)および(7)がカラー表面に最適に配置される。図8に示すように、アライメントフィクスチャF60040を光学コンパレータで使用して(すなわち50×レンズ)、寸法0.000にゼロ設定し、調節ねじ(7)を使用してトップ電極位置を2.510±0.001に調節する。調節ねじ3−4−5は、水平公差が底部電極の厚みよりも広くならない状態で、トップ電極(1)を光学コンパレータ上の水平中心線に位置合わせするのに使用する。これらのステップを、トップ電極が光学コンパレータ上の水平中心線に位置合わせされるまで継続する。ランプは、100Wの水銀電球である。図9は、ランプ用の完成した支持装置を示す。パネルAは、ランプおよび支持体のみを備えた状態を示す。パネルBは、関連するステージランプ点灯システムを備えた状態を示し、パネルCは、外部ハウジングを所定位置に備えた状態を示す。
【0023】
フィルタキューブはCellSpotter(登録商標)と同様であるが、フィルタキューブの数は、4個から6個に増える。DIOC/PEキューブは変わらない。ここでは、デュアルポジティブの数を減少させると同時に感度が維持されるよう、APCキューブに修正を加える。DAPIキューブは、このキューブの自動蛍光および漏洩が低下するように改良されている。また、APCキューブは、より低い輝度のCTCがAPCチャネル内に生じると同時にAPC感度が維持される状態で、PEブリードオーバを低下(約50%)させるように改良されている。APC検出効率は、CellSpotter(登録商標)と同一である。本発明により支持することができる追加のASRタグには、1種のASRを用いたIRQドット(Ex=350nmおよびEm=800nm)、2種のASRを用いたランタニド(ex=350nm、Em=615nm(Eu)および550nm(Tb))、および2種のASRを用いたUPT(Ex=980nm、Em約490および580nm)が含まれる。さらなる改良には、バーコード付きラテックスおよびスペクトル補正が含まれる。これらの要素は、PEブリードを減少させ(50%)かつAPCチャネル内のCTCの輝度がより低い状態で、APCキューブを改良する(図10)。さらに、APC効率は、検出される白血球%に損失がなく、同一である。
【0024】
本発明の機器では、バックライトの設計にさらなる改良点がある。バックライトは、カートリッジの縁部の発見、機器の初期アライメント、および所望による明視野画像処理のために使用される。LEDは、光源として使用する。均一性は良好である(CV 2.5%)。
【0025】
検出システムは、より良好な解像度、感度、ダークノイズ、ダイナミックレンジおよび平坦度(field flatness)を有する状態で、CellSpotter(登録商標)にも勝るように改良される。400から800nmの波長を検出することができ、それと共に、MTF(変調伝達関数)のごく一部を犠牲として400〜1100nmまで拡張する選択肢がある。
【0026】
画像処理経路を図11に示す。パネルAが光路を示すのに対し、パネルBは装置を示している。
【0027】
チップ幅は3%小さく、その結果、1つのフィルタ当たり175フレーム(すなわち、1つ余分な行)で多数回のスキャンが行われる。サンプルチャンバーの幅は5%減少し、そのため3シグマの確実性(certainty)で4行まで回復し(140フレーム)、チャンバーの容積が15μl減少する。
【0028】
本発明の機器は、2ステージTE冷却CCDチップを有する。冷却によって、暗電流が減少する。本発明の機器は、暗電流の規格(内部システム温度は40℃未満)を満たすのに十分な、1ステージTE冷却も考慮に入れており、より安価な検出器オプションを提供する。
【0029】
本発明は、40×対物レンズの単独での使用、または画像獲得で使用される現行の10×対物レンズと組み合わせた使用も考慮に入れる。
【0030】
画像獲得のための全時間は、5つの構成要素から成る。これらには、システムの設定/排出位置への移動、サンプルのx−y方向での移動、フィルタキューブの移動、画像の獲得(積分時間)および画像の転送に費やされた時間が含まれる。
【0031】
色ごとのアプローチでの全獲得時間では、まずカートリッジ全体を第1のキューブで画像処理し、その後、次のキューブで処理する。これを、全ての色につき獲得された画像を各位置ごとに得た後に次の位置に移動させる、位置ごとのアプローチと比較する。獲得時間の線図を、以下の表に示す(表1)。CellSpotter(登録商標)を使用したDAPI、PEおよびAPCを例示的な図により示すが、これらは本発明の具体例を限定するものではない。
【0032】
【表1】
【0033】
個々の画像の獲得に費やされる時間は、どちらの方法でも同じであるが、異なる色素については異なっており、DAPIでは0.11秒、PEでは0.22秒、FITCでは0.11秒、APCでは0.66秒である。色ごとの方法と位置ごとの方法との比較は、主な相違が、費やされた全時間がx−y方向のサンプル移動時間によって影響を受けることであることを示す。
【0034】
色ごとの合計時間は、下式によりモデル化される。
T色ごと=T初期+140×T獲得+560×(Txy移動//T転送)+4×Tフィルタ移動+T最終 (1)
【0035】
位置ごとの場合、そのモデルは下式により与えられる。
T位置ごと=T初期+140×T獲得+140×(Txy移動//T転送//Tフィルタ移動4−1)+420×(Tフィルタ移動1−2/2−3/3−3/3−4//T転送)+T最終 (2)
(式中、(A//B)は、(A>B)の場合はAを、(A≦B)の場合はBを意味する。)
【0036】
CellSpotter(登録商標)システムについて、下記の値であると仮定すると、すなわちT初期+τ最終=60秒、T捕獲=1.1秒、T転送=0.11秒、Txy移動=0.5秒、Tフィルタ移動=2秒、Tフィルタ移動4−1=6秒と仮定すると、得られる全獲得時間は、色ごとのアプローチの場合500秒(8分20秒)であり、位置ごとのアプローチの場合1900秒(31分40秒)である。
【0037】
本発明では、これらの時間は下記の通りである;T捕獲=0.6秒、T転送=0.11秒、Txy移動=0.1秒、Tフィルタ移動=0.2秒、Tフィルタ移動4−1=0.5秒。
【0038】
ICX285チップのQEがより高くなると、T捕獲時間が短縮し、一方、Txy移動およびTフィルタ移動についての時間の短縮は、それぞれナノモーションステージおよびフィルタチェンジャに起因する。これらの時間の短縮の結果、色ごとおよび位置ごとのアプローチでは、合計時間がそれぞれ200秒(3分20秒)および300秒(5分)になる。両方のアプローチについての全獲得時間は、実質的に短縮する。このように、色ごとのアプローチは依然として速いが、その差は、位置ごとのアプローチをより実用的なものにするのに十分小さい。実際、短縮された獲得時間によって、退色による著しい影響を受けることなくPEによって画像処理することが可能になる。
【0039】
位置ごとのアプローチのさらなる利点は、セルが位置合わせされたままであることである。
【0040】
最後に、本発明の機器は、迅速な低コストのサービスコールを可能にするための分野で容易に交換可能なユニットが提供されるように設計される。これらのユニットは、電源、X−Yステージアセンブリ、Zステージアセンブリ、フィルタ(W)ステージアセンブリ、サーボ増幅器(4)、CCDカメラ、画像処理および照明光学部品アセンブリ、対物レンズ、フィルタキューブ、ランプおよびハウジング、コンピュータおよび周辺機器、シャッタ/NDフィルタアセンブリ、エアフィルタ、主回路基板およびケーブルを含む。
【0041】
安全確保には、エンクロージャインターロッククロージングシステムシャッタが含まれる。ランプハウジングのインターロックは、ランプ供給を不可能にする。UVフィルタの安全メガネが機器と共に供給される。この機器は、米国、欧州および日本において、いかなる構成部品も切り替えることなく操作することができる。
【0042】
これらの改良点は、当業者が思い描くことができる装置および方法の、多数のさらなる可能性がある適用を単に例示したものであり、したがって、何ら本発明の範囲を限定するものではないことを、理解し認識すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】ベンチトッププロフィルの全体的なデザインを示す図である。(A)箱状ユニットの外観図。(B)システム構成部品の内部構造図。
【図2】MagNest(商標)と画像処理システムとの間の連絡のために修正を加えたステージを示す図である。
【図3】位置的な正確さを提供するために、リニアモータとリニアエンコーダの関係を示す図である。
【図4】フィルタキューブ(W)、対物レンズ(Z)およびカートリッジ(XおよびY)が移動する軸方向を図示したものである。
【図5】機器の構成部品に関する照明経路を示す図である。
【図6】光路を示す照明経路の図である。
【図7】支持カラー(2)と共にランプ(1)を示す、事前に位置合わせした構造の図である。調節ねじ(3)、(4)および(5)はカラーの最上にあるが、調節ねじ(6)は外側面に位置付けられ、調節ねじ(7)は底部にある。
【図8】所定位置に電極を有するランプを備えたアライメントフィクスチャ−F60040の概略図である。
【図9】ランプ用の完成した支持装置の図である。パネルAは、ランプを備えた支持装置を示す。パネルBは、所定位置にステージランプ点灯システムを有する装置を示す。パネルCは、外部ハウジングを有する装置を示す。
【図10】CellSpotter APCキューブと、本発明のAPCキューブとの比較を示す図である。
【図11】カメラ、レンズ、ミラー、キューブおよび対物レンズに対する光の方向を示した画像処理経路の図である(パネルA)。所定位置の装置に関して示される画像処理経路を示す図である(パネルB)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体サンプルから希少細胞を検出するための、臨床検査室用自動画像処理システムであって、
a.コンパクトなデザインを可能にする最適な照明経路を有する照明システム;
b.画像処理用の磁気機器およびサンプルカートリッジを位置決めするための、プレート形を有するX−Y−Zステージアセンブリ;
c.検出システム;および
d.関連周辺機器を備えたコンピュータを含み、
システムの要素a、b、cおよびdが、検査室のベンチトップで使用するのに最適なサイズでコンパクトな内蔵型構造を形成する該システム。
【請求項2】
CCDカメラ、照明光学部品アセンブリ、対物レンズ、フィルタキューブ、ハウジングを備えたランプおよびシャッタ/NDフィルタアセンブリからなる、請求項1に記載の照明システム。
【請求項3】
該ランプが事前に位置合わせされている、請求項2に記載の照明システム。
【請求項4】
該照明経路が、関連するレンズフィルタおよび光源への容易な到達を可能にする、請求項1に記載の照明システム。
【請求項5】
350から1000ナノメーターの間の蛍光励起波長を生成する能力を有する請求項1に記載の照明システム。
【請求項6】
該ステージの動きが、0.2ミクロンの解像度を供することが可能な圧電モータによるものである、請求項1に記載のX−Y−Zステージアセンブリ。
【請求項7】
該サンプルカートリッジの位置合わせ用のバックライト構造を含む、請求項1に記載の検出システム。
【請求項8】
チップ幅が、フィルタ当たり175フレームをスキャンするのに十分小さいものである、請求項1に記載の検出システム。
【請求項9】
色ごとのアプローチによって、サンプルカートリッジから複数の画像を獲得するための方法であって、
a.システムを画像位置に設定し;
b.カートリッジサンプルを、該位置に対応するx−y方向に移動させ;
c.フィルタキューブを位置決めし;
d.該画像を獲得し;
e.該画像を転送し;次いで
f.x−y位置につき要素cからeまでを反復し、該反復が、各フィルタキューブごとに行われることを特徴とする該方法。
【請求項10】
位置ごとのアプローチによって、サンプルカートリッジから複数の画像を獲得するための方法であって、
a.第1のフィルタキューブを位置決めし;
b.システムを画像位置に設定し;
c.カートリッジサンプルを、該位置に対応するx−y方向に移動させ;
d.該画像を獲得し;
e.該画像を転送し;
f.各x−y位置ごとに、要素bからeまでを反復し;次いで
g.もう一つのフィルタキューブを位置決めして、要素bからfまでを完了し、該要素が各キューブごとに反復されることを特徴とする該方法。
【請求項1】
生体サンプルから希少細胞を検出するための、臨床検査室用自動画像処理システムであって、
a.コンパクトなデザインを可能にする最適な照明経路を有する照明システム;
b.画像処理用の磁気機器およびサンプルカートリッジを位置決めするための、プレート形を有するX−Y−Zステージアセンブリ;
c.検出システム;および
d.関連周辺機器を備えたコンピュータを含み、
システムの要素a、b、cおよびdが、検査室のベンチトップで使用するのに最適なサイズでコンパクトな内蔵型構造を形成する該システム。
【請求項2】
CCDカメラ、照明光学部品アセンブリ、対物レンズ、フィルタキューブ、ハウジングを備えたランプおよびシャッタ/NDフィルタアセンブリからなる、請求項1に記載の照明システム。
【請求項3】
該ランプが事前に位置合わせされている、請求項2に記載の照明システム。
【請求項4】
該照明経路が、関連するレンズフィルタおよび光源への容易な到達を可能にする、請求項1に記載の照明システム。
【請求項5】
350から1000ナノメーターの間の蛍光励起波長を生成する能力を有する請求項1に記載の照明システム。
【請求項6】
該ステージの動きが、0.2ミクロンの解像度を供することが可能な圧電モータによるものである、請求項1に記載のX−Y−Zステージアセンブリ。
【請求項7】
該サンプルカートリッジの位置合わせ用のバックライト構造を含む、請求項1に記載の検出システム。
【請求項8】
チップ幅が、フィルタ当たり175フレームをスキャンするのに十分小さいものである、請求項1に記載の検出システム。
【請求項9】
色ごとのアプローチによって、サンプルカートリッジから複数の画像を獲得するための方法であって、
a.システムを画像位置に設定し;
b.カートリッジサンプルを、該位置に対応するx−y方向に移動させ;
c.フィルタキューブを位置決めし;
d.該画像を獲得し;
e.該画像を転送し;次いで
f.x−y位置につき要素cからeまでを反復し、該反復が、各フィルタキューブごとに行われることを特徴とする該方法。
【請求項10】
位置ごとのアプローチによって、サンプルカートリッジから複数の画像を獲得するための方法であって、
a.第1のフィルタキューブを位置決めし;
b.システムを画像位置に設定し;
c.カートリッジサンプルを、該位置に対応するx−y方向に移動させ;
d.該画像を獲得し;
e.該画像を転送し;
f.各x−y位置ごとに、要素bからeまでを反復し;次いで
g.もう一つのフィルタキューブを位置決めして、要素bからfまでを完了し、該要素が各キューブごとに反復されることを特徴とする該方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2008−510962(P2008−510962A)
【公表日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−527976(P2007−527976)
【出願日】平成17年8月17日(2005.8.17)
【国際出願番号】PCT/US2005/029260
【国際公開番号】WO2006/023563
【国際公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【出願人】(399012963)イムニベスト・コーポレイション (10)
【氏名又は名称原語表記】IMMUNIVEST CORPORATION
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年8月17日(2005.8.17)
【国際出願番号】PCT/US2005/029260
【国際公開番号】WO2006/023563
【国際公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【出願人】(399012963)イムニベスト・コーポレイション (10)
【氏名又は名称原語表記】IMMUNIVEST CORPORATION
【Fターム(参考)】
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