説明

循環弁

血管系において使用される装置、システム、及び方法。装置はフレーム部がフレームセルを形成する弁フレームを有する循環弁を備える。フレームセルは対向する連結部を備え、連結部が相互に向かって張引されると連結部は第1の安定した平衡状態から不安定な平衡状態を経て第2の安定した平衡状態に遷移する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は血管系における装置、システム、及び使用方法に関する。本発明は特に自然な弁の交換及び増強のうち少なくともいずれか一方のための装置、システム、及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
血管系の弁は様々な要因により損傷を受け、且つ/又は罹患する。例えば、損傷を受け、且つ/又は罹患した心臓弁は、関係する1つ以上の弁、及び損傷を受け、且つ/又は罹患した弁により妨害される血流の量によって分類される。もっともありふれた心臓弁疾患は僧帽弁及び大動脈弁に生じる。三尖弁及び肺動脈弁の疾患は極めて稀である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
大動脈弁は左心室から大動脈へ流入する血流を規制する。大動脈は酸素を含んだ血液を身体に供給する主動脈である。従って、大動脈弁の疾患は個体の健康に重大な影響力を有する。上記疾患の例は大動脈弁逆流及び大動脈弁狭窄症を含む。
【0004】
大動脈弁逆流は大動脈弁閉鎖不全症とも呼ばれる。これは拡幅した、或いは弱化した大動脈弁から左心室に血液が逆流して流入する状態である。もっとも深刻な態様において、大動脈弁逆流は弁尖に穴を残す感染により生じる。大動脈弁逆流の兆候は数年間にわたって現れない。兆候が現れるのは、左心室が血液の逆流を補償すべく妥協のない大動脈弁に対してより激しく活動する必要があることによる。
【0005】
大動脈弁狭窄症は大動脈弁が狭小となることや、閉塞することである。大動脈弁狭窄症は大動脈の弁尖が堆積物により覆われたときに生じる。堆積物は弁尖の形状を変化させ、弁を通過する血流を減少させる。更に、左心室は血液の逆流を補償すべく妥協のない大動脈弁に対してより激しく活動する必要がある。長期間にわたる過剰な活動により心筋は弱化する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施例において、自然の弁交換及び/又は増強のための装置、システム、及び方法が開示される。例えば、装置は体腔における機能不全の弁(即ち、大動脈弁、僧帽弁、三尖弁、肺動脈弁、及び/又は静脈弁)を交換することに使用される。実施例における弁は、相互に向かって張引されると第1の安定した平衡状態から不安定な平衡状態を経て第2の安定した平衡状態に遷移する連結部を備えたフレームセルを形成するフレーム部を有する弁フレームを備える。本発明の実施例において、心臓疾患及び静脈弁疾患のうち少なくともいずれか一方を有する患者の自然の弁の機能を増強又は交換することが補助される。
【0007】
後述する図面は公知の番号の振り方に従う。最初の1つの数字又は複数の数字は図面の番号に対応し、残部の数字は図面における要素を示す。異なる図面間における類似の要素は類似の番号を使用して示す。例えば110は図1における要素「10」を示し、図2における類似の要素は210と示される。後述の記載から分かるように、ここで開示される様々な実施例において示される要素は付加、交換、及び/又は除去が可能であり、これにより本発明による弁及び/又はシステムの多数の付加的な実施例が得られる。付加的に、後述の記載から分かるように、図示の要素の比や寸法は本発明の実施例を示すことを意図したものであり、これらに限定されるものではない。
【0008】
本発明の様々な実施例が図示される。通常循環弁は例えば体腔内における自然な心臓弁(即ち、大動脈弁)の交換や増強のために体腔の流体通路内に移植され、体腔を通過する体液の流れを一方向に規制する。
【0009】
本発明による実施例において、循環弁は第1の安定した平衡状態に自ら拡張する弁フレームを備える。弁フレームの第1の安定した平衡状態は循環弁の完全に配備された状態に対する部分的に配備された状態である。この部分的に配備された状態において、所望の移植位置に対する循環弁の位置はステントが小さく圧縮された非配備状態から拡張するときに自己拡張型ステントにおいて生じるステント短縮及び/又はステントジャンプを補正すべく調整される。付加的に、配備を完了するに先立って循環弁を部分的に配備された状態とすることにより、動脈弁の移植時に生じ得るが配備システムを押圧する心室からの流出により生じる運動に起因する調整が可能となる。
【0010】
ここで使用されるように、弁フレームの部分的に配備された状態は、非配備状態(即ち、弁が体外にあるときの弁フレームの状態)と、配備状態(即ち、弁が体内に残されるときの弁フレームの状態)との間にある。循環弁の構造体は第1の安定した平衡状態から不安定な平衡状態を経て第2の安定した平衡状態に遷移し、循環弁を配備する。
【0011】
様々な実施例において、弁フレームを部分的に配備された状態におくことにより、循環弁は最終的な配備に先立って所望の位置により好適に位置される。本発明による循環弁のこの段階を経る配備は、完全に配備されるに先立って循環弁の位置を調整できるように中間の配備状態にて一時的に保留することにより得られる効果を奏することなく配備される循環弁とは対称的である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明による一実施例における心臓弁を示す図。
【図2】本発明による一実施例におけるフレームセルを示す図。
【図3】本発明による一実施例におけるフレームセルの連結部及び追従性を備えた区分を示す図。
【図4A】本発明による一実施例における非配備状態の心臓弁を示す図。
【図4B】本発明による一実施例における配備状態の図4Aの心臓弁を示す図。
【図5】本発明による一実施例における心臓弁を示す図。
【図6】本発明による一実施例におけるフレームセル及びロック機構を示す図。
【図7】本発明による一実施例におけるフレームセル及び配備機構を示す図。
【図8A】本発明の実施例における心臓弁を備えたシステムを示す断面図。
【図8B】本発明の実施例における心臓弁を備えたシステムを示す断面図。
【図8C】本発明の一実施例において心臓弁を備えたシステムと共に使用されるバルーンカテーテルを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図面の寸法は実寸ではない。
図1は本発明による一実施例における心臓弁100を示す図である。循環弁100は弁フレーム102と、弁フレーム102に連結される弁尖104とを備える。弁フレーム102はフレームセル108を形成するフレーム部106を更に備える。フレームセル108は第1の安定した平衡状態から不安定な平衡状態を経て第2の安定した平衡状態に遷移する連結部110を備える。一実施例において、ここで開示されるようにこの遷移は1つ以上の連結部110が相互に向かって張引されたときに生じる。
【0014】
弁フレーム102は基端部112及び先端部114を備える長尺状の管状構造体を有する。本発明による一実施例において、フレームセル108は弁フレーム102の基端部112及び先端部114の両者が得られるように位置される。即ち、フレームセル108の部分は弁フレーム102の基端部112及び先端部114を形成する。付加的な実施例において、本発明によるフレームセル108は弁フレーム102の基端部112及び先端部114の間に位置される(即ち、フレームセル108の部分はフレーム102の基端部112及び先端部114のうち少なくともいずれか一方を形成しない)。別例において、本発明によるフレームセル108は弁フレーム102の基端部112か先端部114のいずれか一方に位置される。別の組み合わせも可能である。
【0015】
様々な実施例において、連結部110はフレーム部106の多数の様々な位置に位置される。例えば、連結部110はフレーム部106に沿ってフレーム部106に対して同じ位置に位置される。従って、フレームセル108が2つの連結部110を備える場合に、これらは鏡のイメージの関係により相互に対向して位置される。図1にこの態様において第1の安定した平衡状態にある循環弁100は示される。ここで開示されるように、これに代えて連結部110はフレーム部106に沿ってフレーム部106に対して異なる位置に位置されてもよい。
【0016】
付加的な実施例において、連結部110は連結部110が第1の安定した平衡状態から第2の安定した平衡状態に遷移すると弁フレーム102の周囲の寸法(即ち、長さ)が延びるようにフレーム部106に位置される。即ち、連結部110は連結部110が第2の安定した平衡状態に遷移すると弁フレーム102の寸法が径方向に大きくなるようにフレーム部106に位置される。一実施例において、弁フレーム102の周囲の寸法は、連結部110の遷移においてフレームセル108が形状を変化させると大きくなる。ここで開示されるように、周囲の寸法が変化すると、弁フレーム102の長手方向の寸法に変化が生じる。
【0017】
上述したように、図1は弁フレーム102の連結部110が第1の安定した平衡状態にあることを示す。様々な実施例において、この第1の安定した平衡状態は、弁フレーム102を部分的に配備された状態におく。ここで使用されるように、弁フレームの部分的に配備された状態は非配備状態(即ち、弁が体外にあるときの弁フレームの状態)と、配備状態(即ち、弁が体内に残されるときの弁フレームの状態)との間にある。ここで開示されるように、弁フレーム102は連結部110が第2の安定した平衡状態に遷移するまで部分的に配備された状態に保持される。一実施例において、第1の安定した平衡状態にある弁フレーム102は配備された状態の80乃至95%である。配備された状態の別のパーセンテージも可能である(即ち、配備された状態の90%)。
【0018】
様々な実施例において、フレームセル108は1つ以上の連結部110を備える。図1に示すように、フレームセル108は2つの連結部110を備える。付加的な実施例において、弁フレーム102の各フレームセル108には連結部110は不要である。即ち、フレームセル108は連結部110を備えない。従って、一実施例において弁フレーム102は全てのフレームセル108が連結部110を備えるものではないように構成される。
【0019】
連結部110を有さないフレームセル108は弁フレーム102と一体的に形成され、弁100の動作に対して好適なフレーム102に対する構造的特徴を得られる。例えば、連結部110を有さないフレームセル108は径方向においてより大きな可撓性を有し、これにより移植部位における物理的変化をより好適に収納できる。実施例において、上記構造体の例は、弾性的な径方向の圧力を含むが、これに限定されるものではない。フレーム部106は少なくとも部分的に弾性的な径方向の圧力を得られる曲がりくねった湾曲部を有する。フレームセル108(連結部110を含むか含まない)のその他の形状及び構成も可能である。
【0020】
様々な実施例において、弁フレーム102は自己拡張型である。自己拡張型フレームの例は設定温度又は設定温度範囲にて形状を変化させる温度に反応する記憶合金から形成されるものを含む。これに代えて、自己拡張型フレームはバネ力を有するものを含む。好適な材料の例は、医療グレードステンレス鋼(例、316L)、チタン、タンタル、白金合金、ニオブ合金、コバルト合金、アルギン酸塩や、これらの組み合わせを含むが、これらに限定されるものではない。形状記憶材料の例は体内において不活性である形状記憶プラスチック、ポリマ、及び熱可塑性材料を含む。通常ニチノールとして公知の比率のニッケル及びチタンからなる曲がりくねった形状を有する形状記憶合金も可能な材料である。その他の材料も可能である。
【0021】
様々な実施例において、フレーム部106は長さ部分に沿って類似の、且つ/又は異なる断面形状を有する。断面形状における類似点及び/又は相違点は弁フレーム102及び/又はフレームセル108の各部から導き出される1つ以上の所望の機能に基づく。断面形状の例は、矩形、非平面形状、丸みを帯びた形状(即ち、円形、卵形、及び/又は楕円形)、多角形、アーチ型、及び管状を含む。その他の断面形状も可能である。
【0022】
循環弁100は1つ以上の放射線不透過性を備えたマーカ(即ち、タブ、スリーブ、溶接部)を更に備える。例えば、1つ以上の弁フレーム102は放射線不透過性を備えた材料から形成される。放射線不透過性を備えたマーカは弁フレーム102に沿って一箇所以上に取り付けられ、且つ/又はコーティングされる。放射線不透過性を備えた材料の例は金、タンタル、及び白金を含むが、これらに限定されるものではない。1つ以上の放射線不透過性を備えたマーカの位置は、移植中に弁100の位置、及び配向に関する情報が得られるように選択される。
【0023】
循環弁100は弁100を通過する流体の一方向の流れのための可逆的にシール可能な開口部が形成された表面を有する弁尖104を更に備える。例えば、弁尖104は弁100のルーメンを通過する流体流を計測し制御できるように弁フレーム102に連結される。本実施例において、弁100は二重尖構造(bi-leaflet configuration)のための2つの弁尖104を備える。後述するように、1つの弁尖構造、三重弁尖構造、及び/又は多弁尖構造も可能である。弁尖104はそれぞれ弁フレーム102に連結され、弁尖104は液体が循環弁100のルーメンを一方向に流れるように開放状態及び閉鎖状態の間を繰り返して遷移する。
【0024】
一実施例において、弁尖104は自己移植の材料、同種異系の材料や、異種移植片材料から派生する。後述するように、異種移植片材料(例、心臓弁)の源はブタ、馬、ヒツジ等の哺乳動物の源を含むが、これらに限定されるものではない。弁尖104の形成に使用される付加的な生物由来物質は、例えば小腸粘膜下組織(SIS)、羊膜組織や、臍静脈等の、移植された静脈、心膜、大腿筋膜、採取された心臓弁、膀胱、静脈壁、様々なコラーゲンタイプ、エラスチン、腸粘膜下組織、及び脱細胞化された基底膜物質を含むが、これらに限定されるものではない。
【0025】
これに代えて、弁尖104は合成材料から形成されてもよい。可能な合成材料は、拡張型ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリスチレン−ポリイソブチレン−ポリスチレン(SIBS)、ポリウレタン、区分されたポリ(カーボネート−ウレタン)、ポリエステル、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、絹、ウレタン、レーヨン、ケイ素等を含むが、これらに限定されるものではない。付加的な実施例において、合成材料はステンレス鋼(例、316L)及びニチノール等の金属も含む。これらの合成材料は、織物、編み物、鋳造物や、その他の公知の物理的な流体透過性又は不透過性の構造物である。付加的に、メッキ金属(例、金、白金、ロジウム)は弁尖104材料に組み込まれ(即ち、サンドウィッチ構造)、これにより配置後の弁尖104を視認できる。
【0026】
後述するように、弁100は任意の数の表面処理又は材料処理により、処理され、且つ/又はコーティングされる。上記処置の例は、血栓形成を調整する生物活性剤、細胞の内方成長、細胞の組織間連結部の成長(throughgrowth )、及び内皮細胞増殖を促進する生物活性剤、感染に対して抵抗する生物活性剤、及び石灰化を低減する生物活性剤を含むが、これらに限定されるものではない。
様々な実施例において、フレームセル108はフレームセル108の角部118及び連結部110間を延びる追従性を備えた区分116を更に備える。追従性を備えた区分116は、連結部110が第1の安定した状態から不安定な状態を経て第2の安定した状態に遷移すると、角部118から弾性的に屈曲するか、偏向する。偏向した状態における追従性を備えた区分116は、第2の安定した平衡状態において連結部110を保持することを補助する。
【0027】
一実施例において、連結部110及び追従性を備えた区分116の組み合わせにより、追従性を備えた機構が得られる。フレームセル108において使用される双安定の追従性を備えた機構はその運動範囲内において2つの安定した平衡状態を含む。本実施例において、これらは第1の安定した平衡状態及び第2の安定した平衡状態、並びにこれらの間に位置される不安定な平衡状態である。本発明において使用される双安定の機構はセル108の連結部110が各平衡状態において安定した状態を保持するために電力の入力を必要としない。安定した平衡の状態は、基本的に不安定な平衡状態が得られない場合にフレームセル108の連結部110及び追従性を備えた区分116が復帰する最小限の位置エネルギーに対する位置である。
【0028】
図2は第1の安定した平衡状態222から不安定な平衡状態224を経て第2の安定した平衡状態226に遷移する連結部210及び追従性を備えた区分216を示す。一実施例において、この遷移は連結部210が相互に向かって張引されると生じる。この圧力がどのように連結部210及び追従性を備えた区分216に作用されるかを示す実施例を後述する。
【0029】
図2は連結部210及び追従性を備えた区分216の遷移の図示に付加的に、連結部210及び追従性を備えた区分216の平衡状態226に対する平衡状態222の位置を示すグラフ230も示す。グラフ230に示すように、連結部210及び追従性を備えた区分216の第1の安定した平衡状態222及び第2の安定した平衡状態226は、軌跡の位置エネルギーの最小値(等しいか、等しくない)に位置され、不安定な平衡状態224は2つの状態222及び226の間に位置される。グラフ230は連結部210及び追従性を備えた区分216の弾性により、第1の安定した平衡状態222とは離間した形状に変化することによって、不安定な平衡状態224を克服するために十分な圧力が供給されない限り第2の安定した平衡状態226に遷移するものではないことを更に示す。
【0030】
図2は第1の安定した平衡状態222と比較して第2の安定した平衡状態226においてフレームセル208の長手方向の長さ228がどれだけ大きいかも示す。後述するように、フレームセル208の長手方向の長さ228により、フレームセル208が使用される弁の周囲の長さが延びることが補助される。
【0031】
後述するように、セル208の連結部210及び追従性を備えた区分216の形状及び設計により、第1の安定した平衡状態222の第2の安定した平衡状態226に対する値は変化する。例えば、とりわけ角部218及び/又は追従性を備えた区分216の湾曲部及びアーチ部の径の長さ等の設計は、第1の安定した平衡状態222の第2の安定した平衡状態226に対する値に影響を付与する。各フレームセル208における連結部210の数、位置、及び形状も、第1の安定した平衡状態222の第2の安定した平衡状態226に対する値に影響を付与する。異なる要素(即ち、連結部210及び追従性を備えた区分216)の部分206の断面形状、及び/又は相互に対する寸法の変化によっても第1の安定した平衡状態222の第2の安定した平衡状態226に対する値に影響が付与される。
【0032】
本発明による様々な実施例において、連結部は多数の異なる形状を有する。例えば、図2に示す連結部210はループ形状を有し、フレーム部206は閉鎖した湾曲部を形成すべくフレーム部206にわたって湾曲する。一実施例において、フレーム部206は1回以上フレーム部206にわたって湾曲する。
【0033】
別例において、連結部を形成するフレーム部は部分的に開いた形状を有する。図3は部分的に開いた形状の連結部310を示す。図示のようにフレーム部306はループ全体より短く延びる湾曲部334を含む。
【0034】
図4A及び4Bは本発明による付加的な実施例における弁400を示す図である。弁400は弁フレーム402及び弁フレーム402に連結される弁尖404を備える。後述するように、弁フレーム402は連結部410を有するフレームセル408を形成するフレーム部406を更に備える。図4Aは非配備状態における弁400を示し、図4Bは配備状態(即ち、連結部410が第2の安定した平衡状態426にある)における弁400を示す。図示のように、連結部410は湾曲部434を備えた部分的に開いた形状を有する。
【0035】
図4A及び4Bに示す連結部410は、弁フレーム402によって形成される開口部435を更に備える。一実施例において、弁フレーム402によって形成される開口部435は弁フレーム402の連結部410を第1の安定した平衡状態から不安定な平衡状態を経て第2の安定した平衡状態に前進させることに使用可能である。ここで開示されるように、一実施例において、1つ以上の連結部410が相互に向かって張引されるとこの遷移は生じる。
【0036】
弁フレーム402は基端部412及び先端部414を備える長尺状の管状構造体を有する。一実施例において、本発明によるフレームセル408は弁フレーム402の基端部412及び先端部414の両者が得られるように位置される。ここで開示されるように、別の形状も可能である。
【0037】
図示のように、連結部410は連結部410が第2の安定した平衡状態に遷移すると弁フレーム402の周囲の寸法(即ち、長さ)が延びるようにフレーム部406に位置される。即ち、連結部410は連結部410が第2の安定した平衡状態に遷移すると弁フレーム402の寸法が径方向に大きくなるようにフレーム部406に位置される。一実施例において、弁フレーム402の周囲の寸法は、連結部410の遷移においてフレームセル408が形状を変化させると大きくなる。ここで開示されるように、周囲の寸法が変化すると、弁フレーム402の長手方向の寸法に変化が生じる。
【0038】
ここで開示されるように、様々な実施例において、弁フレーム402は自己拡張型である。ここで開示されるように、様々な実施例において、フレーム部406はその長さ部分にわたって類似の、及び/又は異なる断面形状を更に有する。ここで開示されるように、循環弁400は1つ以上の放射線不透過性を備えたマーカ(即ち、タブ、スリーブ、溶接部)を更に備える。
【0039】
図5は本発明による付加的な実施例における弁500を示す図である。弁500は弁フレーム502及び弁フレーム502に連結される弁尖504を備える。ここで開示されるように、弁フレーム502は連結部510を有するフレームセル508を形成するフレーム部506を更に備える。図示のように、フレームセル508は弁フレーム502の基端部512及び先端部514に位置されるが、全てのフレームセル508が連結部510を備えるわけではない。付加的に、フレームセル508の複数の連結部510はフレーム部506に沿って相互に対して異なる位置を有する。
【0040】
図5はフレームセル508間を延びる所定のフレーム設計540を形成するフレーム部506を有する弁フレーム502を更に示す。図示のように、所定のフレーム設計540及びフレームセル508は異なる形状を有する。所定のフレーム設計540の選択は多数の要因に基づく。上記要因は、特に弁500が移植される位置、弁500の寸法、弁500の弁フレーム502を形成することに使用される材料を含むが、これらに限定されるものではない。その他の有用なフレーム設計の例は、発明の名称が「経皮的弁、システム、及び方法」である米国特許出願第60/899444号明細書(弁護士書類番号07−00015P)に開示されるものを含む。
【0041】
図6は本発明の付加的な実施例においてフレームセル608がロック機構644を備えることを示す。様々な実施例において、ロック機構644はフレームセル608が第2の安定した平衡状態から遷移することを防止すべく係合する。図示のように、本実施例におけるロック機構644はロックするように係合する第1の係合部646及び第2の係合部648を備える。
【0042】
一実施例において、第1の係合部646及び第2の係合部648は、フレームセル608が不安定な平衡状態624から第2の安定した平衡状態626に遷移すると、フレームセル608にて相互にロックすべく係合する。図示のように、フレームセル608の第1の係合部646は複数の連結部610のうち1つ(即ち、第1の連結部)から延び、第2の係合部648はフレームセル608の別の連結部610(即ち、第2の連結部)から延びる。これに代えて、係合部はフレームセル608の追従性を備えた区分616の部分から延びてもよい。様々な実施例において、ロック機構644により、第2の状態626は軌跡の位置エネルギーの最小値以外となり、これにより、フレームセル608は第1の安定した平衡状態622に確実に復帰しなくなる。
【0043】
フレームセル608と共に使用されるロック機構644は多数の様々な形状及び構成を取り得る。例えば、ロック機構644の第1の係合部646はボール先端部を有するシャフトを備える。第2の係合部648はシャフトのボール先端部を受容しロックするソケットを有する。これに代えて、ロック機構644の第1の係合部646はフックを有するシャフトを備えてもよい。第2の係合部648はフレームセル608をロックすべくフックを受容しフックと係合するループや部材区分を有する。一実施例において、第2の係合部648のループは、フックに対向しフックと機能的に並べられる連結部610のループか、フレーム部606の一部である。
【0044】
図7は連結部710を第1の安定した平衡状態722から不安定な平衡状態724を経て第2の安定した平衡状態726に遷移させることに使用される配備機構750を示す。図示のように配備機構750は連結部710を相互に対して張引すべく圧力を作用させることに使用される。第2の安定した平衡状態726に至ると、配備機構750はフレームセル708の連結部710から取り払われる。
【0045】
本実施例において、配備機構750はルーメン754及びルーメン754を通過して延びる配備スレッド756を有する押圧管752を備える。押圧管752は複数の連結部710のうち第1の連結部に隣接する先端部758を含む。配備スレッド756はルーメン754から延び、第1の連結部710から横断して位置される第2の連結部710を通過してループを形成する。張引力760が配備スレッド756を通じて作用され、且つ/又は張引力762が押圧管752を通じて作用され、連結部710が相互に対して張引されるように圧力が作用される。
【0046】
第2の安定した平衡状態726に至ると、配備スレッド756はスレッド756の第1の端部を張引し、スレッド756の第2の端部に連結部710を通過させることにより、取り払われる。スレッド756及び押圧管752は続いてフレームセル708から取り払われる。スレッド756をフレーム連結部710から取り払う別の方法も可能である。
【0047】
様々な実施例において、配備スレッド756は多数の異なる構造体を有する。例えば、配備スレッド756はモノフィラメント(即ち、材料の1本のストランド)である。これに代えて、配備スレッド756は多くのストランドの構造体を有してもよい。例えば、多数のストランドを有する配備スレッド756は編み込んだ構造体、組紐にした構造体、及び/又は捻った構造体を有する。これらの構造体の組み合わせも可能である。
【0048】
配備スレッド756は更に配備スレッド756が1つ以上の層に包囲されるコア部を有する多層構造体を有してもよい。配備スレッド756のコア部及び層は様々な所望の特性を有する異なる材料及び/又は同じ材料から形成される。付加的に、配備スレッド756は必ずしも「層」を構成しないコーティングを更に備える(即ち、塗布される層に埋め込まれるか、組み込まれる材料)。上記層及びコーティングのうち少なくともいずれか一方により、配備スレッド756は特に、硬度及び/又は潤滑性等の特性を付与される。
【0049】
配備スレッド756は多数の材料から形成される。上記材料は引っ張りに抵抗するために十分な引っ張り強度及び降伏点を有し、これにより本発明によるフレームセルはここで開示されるように配備可能である。上記材料の例は、ナイロン、アセタール、Pebax(登録商標)、PEEK、PTFE、ポリアミド、ポリピロル、Kevlar(登録商標)等のポリマを含むが、これらに限定されるものではない。これに代えて、配備スレッド756はステンレス鋼、エルジロイ(登録商標)、ニチノール、チタン等の金属及び合金のうち少なくともいずれか一方から形成されてもよい。その他のポリマ、金属、及び/又は合金も可能である。スレッド756は親水性皮膜等の円滑な材料によりコーティングされてもよい。配備スレッド756の材料はここで開示されるように1つ以上の構造物の上記材料の組み合わせを更に含む。
【0050】
押圧管752は多数の異なる材料から形成される。材料は、PVC、PE、POC、PET、ポリアミド、混合物、及びこれらのブロック共重合体等の金属、合金、及びポリマを含む。付加的に、押圧管752はここで開示されるように配備スレッド756がルーメン754を長手方向に摺動できるように、且つ押圧力762を作用させるために十分なコラム強さを有するように、十分な壁の厚み及びルーメン径を有する。
【0051】
図8A及び8Bは本発明の実施例におけるシステム866を示す断面図である。ここで開示されるように、システム866は長尺状搬送カテーテル868に対して連結される循環弁800を備える。システム866は後退可能なシース870を更に備える。循環弁800はシース870及び搬送カテーテル868の間に解放自在に位置される。例えば、図8Aは実施例において弁800を非配備状態に解放自在に保持すべく後退可能なシース870が搬送カテーテル868の少なくとも一部の周囲に位置されることを示す。図8Bは実施例においてシース870が搬送カテーテル868に対して後退され、これにより弁800が部分的に配備された状態に延びることができることを示す。
【0052】
実施例において、搬送カテーテル868は基端部874及び先端部876を有する長尺状本体872を備える。ルーメン878は基端部874及び先端部876を通じて延びる。一実施例において、ルーメン878は循環弁800を脈管系に位置させるように案内するガイドワイヤを受容する。
【0053】
様々な実施例において、長尺状搬送カテーテル868は先端チップ880を更に備える。様々な実施例において、先端チップ880は円錐形を有し、チップ880はチップ880の基端部と比較して搬送カテーテル868の先端部876近傍においてより小さな径を有する。先端チップ880は後退可能なシース870の先端部が解放自在に着座する凹部リップ882を更に備える。一実施例において、後退可能なシース870を凹部リップ882に着座させることにより、弁800はその非配備状態に保持されることが補助される。
【0054】
後退可能なシース870は搬送カテーテル868に対して長手方向に移動(即ち、摺動)するため、循環弁800は非配備状態から第1の安定した平衡状態に拡張可能である。一実施例において、シース870の基端部884を搬送カテーテル868の基端部886に対して張引することにより後退可能なシース870を搬送カテーテル868に対して移動可能である。
【0055】
ここで開示されるように、システム866は配備機構として押圧管852及び配備スレッド856を更に備える。図示のように、押圧管852はシース870及び搬送カテーテル868の間に位置される。押圧管852は基端部888を更に備え、基端部888から管852はシース870及び搬送カテーテル868に対して長手方向に移動可能である。ここで開示されるように、一実施例において、基端部888により、使用者は管852を通じて押圧力を連結部810に対して作用させることができる。様々な実施例において、配備スレッド856は押圧管852のルーメン854から延び、配備スレッド856及び押圧管852の少なくとも先端部859の両者はフレームセル808の連結部810と解放自在に係合する。
【0056】
図8Bに示すように、且つここで開示されるように、循環弁800は後退可能なシース870が弁800に対して後退された後に第1の安定した平衡状態に延びる。図示のように押圧管852はその第1の安定した平衡状態において弁800と屈曲する。更に図示のように押圧管852は第1の連結部810と隣接し、配備スレッド856はフレームセル808の第2の連結部810を通じてループを形成する。ここで開示されるように、配備スレッド856及び押圧管852のうち少なくともいずれか一方により作用される圧力は弁800を第1の安定した平衡状態から第2の安定した平衡状態に遷移させることに使用可能である。
【0057】
実施例におけるシステム866は後退可能なシースの一部を形成する拡張可能なフィルタを更に備える。上記実施例は発明の名称が「経皮的弁、システム、及び方法」である米国特許出願明細書に開示されており、その全体がここで開示されたものとする。
【0058】
搬送カテーテル868、後退可能なシース870はそれぞれ多数の材料から形成される。材料は、PVC、PE、POC、PET、ポリアミド、混合物、及びこれらのブロック共重合体等のポリマを含む。付加的に、ここで開示されるように、搬送カテーテル868及び後退可能なシース870はそれぞれ構造物が相互に対して長手方向に摺動でき、且つ循環弁800を圧縮された状態に保持できるような壁厚及び内径を有する。
【0059】
ここで開示されるように、押圧管852及び配備スレッド856の間に圧力を作用させることにより、フレームセル808は第2の安定した平衡状態(即ち、配備状態)に遷移可能である。フレームセル808を第2の安定した平衡状態(即ち、配備状態)に遷移させる付加的なアプローチも可能である。例えば、2つ以上の配備スレッドが連結部を第2の安定した平衡状態に遷移させるべく各フレームセルに対して使用されてもよい。これに代えて、フレームセルはステントの基端部にて後退可能なシースに隣接し、配備スレッドは連結部を第2の安定した平衡状態に遷移させることに使用されてもよい。その他の構造物も可能である。
【0060】
付加的な実施例において、弁800を脈管系内において配備状態に着座させることはバルーンカテーテルを使用して弁800を径方向に拡張させることによって補助される。例えば、図8Cは押圧管及び配備スレッドが弁フレーム802から取り払われた後の弁800を示す。膨張可能なバルーン894を有するバルーンカテーテル892は弁800のルーメンに位置される。バルーン894は膨張装置896によってバルーン892と連通するカテーテルルーメン898を通じて供給される流体により膨張される。一実施例において、バルーン894は「犬の骨」形状を有し、バルーンの球状端部は弁800のフレームセル808と並べられる。バルーン892は弁フレーム802に接触し、弁フレーム802を径方向に拡張して弁800を確実に配備する。
【0061】
付加的な実施例において、循環弁800は弁フレーム802の周囲に位置されるシール材料801を更に備える。一実施例において、移植されると、組織、シール材料801は液体により膨張し、弁フレーム802と、弁800が移植される組織との間の容積を占め、これにより循環弁800の外側の周囲の液体の漏れを防止する。
【0062】
シール材料801に対して様々な好適な材料が可能である。例えば、シール材料801は、多糖、タンパク質、及び生体適合性を備えたジェルを含む通常のクラスの材料から選択可能である。これらのポリマ材料の具体的な例は、ポリエチレンオキシド(poly(ethylene oxide))(PEO)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ(ビニルピロリドン)(PVP)、ポリ(エチルオキサゾリン)(poly(ethyloxazoline))(PEOX)、ポリアミノ酸、疑似ポリアミノ酸、及びポリエチルオキサゾリンからの派生物の他、これらの相互の共重合体や、その他の水溶性ポリマ又は不溶性ポリマを含むが、これらに限定されるものではない。
【0063】
多糖の例は、アルギン酸塩、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、デキストラン、硫酸デキストラン、ヘパリン、ヘパリン硫酸、ヘパラン硫酸、キトサン、ジェランガム、キサンタンゴム、グァーガム、水溶性セルロース派生物、及びカラギナンを含む。タンパク質の例はゼラチン、コラーゲン、エラスチン、ゼイン、及びアルブミンからの派生物を含むが、天然の源か組み替え型の源から形成される。
【0064】
ここで開示される実施例における弁は、1つ以上の体腔内において弁構造体を交換し、補完し、或いは増強することに使用される。例えば、本発明の実施例における弁は、心臓の大動脈弁、肺動脈弁、及び/又は僧帽弁等の心臓の機能不全の心臓弁を交換することに使用される。一実施例において、自然の心臓弁は本発明による循環弁を移植するに先立って位置に保持されても(即ち、弁形成術により)、取り払われてもよい。
【0065】
付加的に、ここで開示されるように弁を有するシステムを位置させる工程は、侵襲性を最小限に抑えた経皮経管的技術を使用して患者の心臓血管系にシステムを案内する工程を含む。例えば、ガイドワイヤは所定の位置を含む患者の脈管系内に位置される。ここで開示される弁を備える本発明によるシステムはガイドワイヤを伝って位置され、システムは弁を所定の位置に、又は所定の位置に隣接して位置させるべく前進される。ここで開示されるように、一実施例において、カテーテル及び弁のうち少なくともいずれか一方の放射線不透過性を備えたマーカは弁の配置の補助に使用される。
【0066】
ここで開示されるように、弁はシステムから様々な方法により所定の位置に位置される。一実施例において、本発明による弁はいかなる数の脈管系の位置に位置されてもよい。例えば、弁は患者の主大動脈内に位置される。一実施例において、主大動脈は大動脈を含むが、これに限定されるものではない。付加的に、本発明による弁は肺動脈弁の交換及び増強のうち少なくともいずれか一方のために肺動脈内に、及び僧帽弁の交換及び増強のうち少なくともいずれか一方のために左心房及び左心室の間に等、心臓のその他の主動脈内、及び/又は心臓自体の内部に位置されてもよい。循環弁は下肢の静脈にも移植可能である(例、腸骨の伏在静脈、大腿骨の伏在静脈、大伏在静脈、膝窩の伏在静脈、及び浅伏在静脈)。その他の位置も可能である。
【0067】
ここで開示されるように、循環弁は段階的に位置される。第1の段階において、弁は後退可能なシースにより非配備状態(即ち、圧縮された状態)に保持される。後退可能なシースは移動され(即ち、シースを後退させる)、これにより弁は非配備状態から径方向に第1の安定した平衡状態に拡張される。ここで開示されるように、弁フレームの連結部は第1の安定した平衡状態から不安定な平衡状態を経て第2の安定した平衡状態に遷移される。付加的な実施例において、循環弁は膨張可能なバルーンにより更に径方向に拡張され、循環弁を配備状態に設定する。
【0068】
移植されると、弁は弁及び体腔壁間の逆流を防止し、弁を堅固に位置させ、弁の移動を防止するために十分に体腔壁に接触する。上述した弁は弁を適切な位置に保持しつつ体腔の径の変化を収容するために十分な可撓性及び弾性を更に示す。ここで開示されるように、弁は弁を通過するか弁の周囲の逆流の容量を低減すべく腔と係合する。しかしながら、弁と体腔との間に、且つ/又は弁尖を通過する漏れ又は流体流はいくらか生じるものといえる。
【0069】
本発明について詳細に上述したが、当業者であれば、本発明の主旨及び範囲から逸脱することなく、変更及び変形が可能であることは理解されるであろう。例えば、ここで開示される張引機構は断面寸法を最大に拡張すべく、その他のタイプの自己拡張型ステントの1つの弁フレーム、及び/又は複数の弁フレームを機械的に拡張することに使用される。従って、前述した明細書中に記載の事項及び添付の図面は例示のためにのみ提供されるもので限定するものではない。本発明の実際の範囲は後述する特許請求の範囲により画定され、特許請求の範囲は均等物の全範囲に権利を付与することを意図される。付加的に、当業者は本明細書を通読することにより、ここで開示される本発明の変形も本発明の範囲内に含まれることを理解するであろう。
【0070】
上記詳細な説明において、本発明を簡潔に開示するために様々な特徴が実施例においてグループ化された。これらの開示の方法は本発明の実施例が各請求項に明示的に記載されるより多くの特徴に対する要求を意図することを反映させたものとして解釈されるべきではない。むしろ、特許請求の範囲は進歩的な主要部が上述した単一の実施例の全ての特徴に満たないことを反映する。従って特許請求の範囲はここで発明を実施するための形態に組み込まれ、各請求項は個別の実施例に基づくものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する連結部を備えたフレームセルを形成するフレーム部を有する弁フレームと、連結部が相互に向かって張引されると連結部は第1の安定した平衡状態から不安定な平衡状態を経て第2の安定した平衡状態に遷移することと、
該弁フレームに連結される弁尖とを備えることを特徴とする循環弁。
【請求項2】
前記第1の安定した平衡状態及び第2の安定した平衡状態は、不安定な平衡状態が得られない場合にフレームセルの連結部が復帰する位置エネルギーの対応する最小値の位置であることを特徴とする請求項1に記載の循環弁。
【請求項3】
前記フレーム部は連結部を第2の安定した平衡状態に保持することを補助する追従性を備えた区分を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の循環弁。
【請求項4】
前記フレームセルは弁フレームの先端部及び基端部のうち少なくともいずれか一方に位置されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の循環弁。
【請求項5】
前記フレーム部はフレームセル間を延びる所定のフレーム構造体を有し、所定のフレーム構造体と、フレームセルとは異なる形状を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の循環弁。
【請求項6】
前記フレームセルは同フレームセルが第2の安定した平衡状態から遷移することを防止すべく係合するロック機構を備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の循環弁。
【請求項7】
前記ロック機構は連結部が不安定な平衡状態から第2の安定した平衡状態に遷移するとフレームセルの第2の連結部から延びる第2の係合部と係合する、第1の連結部から延びる第1の係合部を備えることを特徴とする請求項6に記載の循環弁。
【請求項8】
前記第1の安定した平衡状態は配備された状態の80乃至95%であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の循環弁。
【請求項9】
長尺状搬送カテーテルと、
同長尺状搬送カテーテルの少なくとも一部の周囲に位置される後退可能なシースと、同後退可能なシースは長尺状搬送カテーテルに対して長手方向に移動することと、
該長尺状搬送カテーテル及び後退可能なシースの間に位置される循環弁と、同循環弁は対向する複数の連結部を備えたフレームセルを形成する複数のフレーム部を有する弁フレーム及び同弁フレームに連結された弁尖を含むことと、
該長尺状搬送カテーテル及び後退可能なシースの間をフレームセルの連結部に向かって長手方向に延びる複数の配備スレッドとを備え、同配備スレッドにより圧力が作用されることにより連結部は第1の安定した平衡状態から不安定な平衡状態を経て第2の安定した平衡状態に遷移することを特徴とするシステム。
【請求項10】
前記後退可能なシースは長尺状搬送カテーテルに対して長手方向に移動するため、循環弁は非配備状態から第1の安定した平衡状態に遷移できることを特徴とする請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記第1の安定した平衡状態は第2の安定した平衡状態の80乃至95%であることを特徴とする請求項9又は10に記載のシステム。
【請求項12】
前記長尺状搬送カテーテル及び後退可能なシースの間を長手方向に延び、連結部のうち少なくとも1つと隣接する押圧管を備え、前記配備スレッドは押圧管を通じてフレ―ムセルの連結部に延び、これにより圧力が配備スレッド及び押圧管の間の連結部に作用されることを特徴とする請求項9乃至11のいずれか一項に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【公表番号】特表2010−534509(P2010−534509A)
【公表日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−518180(P2010−518180)
【出願日】平成20年7月16日(2008.7.16)
【国際出願番号】PCT/US2008/008651
【国際公開番号】WO2009/014617
【国際公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【出願人】(500332814)ボストン サイエンティフィック リミテッド (627)
【Fターム(参考)】