説明

微小カーボン単分子膜の形成方法及び表面コーティング方法並びにコーティング体

【課題】 微小カーボンの単分子膜を簡便且つ効率的に形成することができる微小カーボン単分子膜の形成方法を提供する。
【解決手段】 微小カーボンを液体溶媒に単分子状態で分散させた微小カーボン分散液を基材上に展開し、乾燥して微小カーボン単分子膜を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーボンナノチューブなどの微小カーボンの単分子膜を簡便に且つ効率的に形成することができる微小カーボン単分子膜の形成方法及び表面コーティング方法並びにコーティング体に関する。
【背景技術】
【0002】
カーボンナノチューブ(以下CNTと略記する)は、その機能性から各種の電子・電気デバイスとしての有効性を期待されているが、CNTは表面原子のファンデルワールス力が強く、単一のチューブが複数の強固な束になったバンドル構造が形成されてしまうことが知られている。束としての不確定性から性能がブロードな値を示し、単一チューブで想定される高度な感度を示すまでには至らず、デバイスとしての標準化を困難にしており、実用的な利用上の弊害となっている。
【0003】
そこで、現在、CNTの単一な分散を行うべく種々の試みがなされており、その解決策のひとつとして本発明者は、両性の界面活性剤を使用することを提案している(特許文献1、2等参照)が、完全に単一チューブに分散させるのは困難であり、完全に単一に分散させた分散物の挙動について正確に把握された報告はない。
【0004】
【特許文献1】WO2004/060798号公報
【特許文献2】WO2005/110594号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑み、微小カーボンの単分子膜を簡便且つ効率的に形成することができる微小カーボン単分子膜の形成方法及び表面コーティング方法並びにコーティング体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成する本発明の第1の態様は、微小カーボンを液体溶媒に単分子状態で分散させた微小カーボン分散液を基材上に展開し、乾燥して微小カーボン単分子膜を形成することを特徴とする微小カーボン単分子膜の形成方法にある。
【0007】
かかる第1の態様では、微小カーボンを単分子状態で分散させた微小カーボン分散液は、基材上に展開する、すなわち、注ぐ、滴下、流下、塗布などの方法により微小カーボン分散液で基材表面を濡らし、必要に応じて過剰の微小カーボン分散液を除去した後、乾燥することにより、基材表面に微小カーボン単分子膜が容易に形成できる。
【0008】
本発明の第2の態様は、第1の態様に記載の微小カーボン単分子膜の形成方法において、前記微小カーボン分散液が、両電子イオン対を有する両性分子を含有することを特徴とする微小カーボン単分子膜の形成方法にある。
【0009】
かかる第2の態様では、両電子イオン対を有する両性分子を含有させることにより、単分子状態で微小カーボンを分散させた微小カーボン分散液を比較的容易に形成できる。
【0010】
本発明の第3の態様は、第2の態様に記載の微小カーボン単分子膜の形成方法において、乾燥して微小カーボン単分子膜を形成する工程の途中で水洗して両性分子を除去することを特徴とする微小カーボン単分子膜の形成方法にある。
【0011】
かかる第3の態様では、両性分子を含有する微小カーボン分散液を用いた微小カーボン単分子膜を水洗することにより、両性分子を除去した微小カーボン単分子膜を得ることができる。
【0012】
本発明の第4の態様は、微小カーボンを液体溶媒に単分子状態で分散させた微小カーボン分散液を水面に展開し、水面に展開された微小カーボン単分子膜を基材に転写し、乾燥して微小カーボン単分子膜を形成することを特徴とする微小カーボン単分子膜の形成方法にある。
【0013】
かかる第4の態様では、微小カーボン分散液を水面に展開する、すなわち、例えば、微小カーボン分散液を水中に滴下することにより、水面に微小カーボン単分子膜が展開され、これを基材に転写して乾燥することにより微小カーボン単分子膜を容易に得ることができる。
【0014】
本発明の第5の態様は、第4の態様に記載の微小カーボン単分子膜の形成方法において、前記微小カーボン分散液が、両電子イオン対を有する両性分子を含有することを特徴とする微小カーボン単分子膜の形成方法にある。
【0015】
かかる第5の態様では、両電子イオン対を有する両性分子を含有させることにより、単分子状態で微小カーボンを分散させた微小カーボン分散液を比較的容易に形成できる。
【0016】
本発明の第6の態様では、第1〜5の何れかの態様に記載の微小カーボン単分子膜の形成方法において、乾燥して微小カーボン単分子膜を形成する工程の途中で磁場又は電圧を印加して微小カーボンが配向した微小カーボン単分子配向膜とすることを特徴とする微小カーボン単分子膜の形成方法にある。
【0017】
かかる第6の態様では、乾燥して微小カーボン単分子膜を形成する工程の途中で磁場又は電圧を印加することにより、微小カーボンが配向した微小カーボン単分子配向膜を得ることができる。
【0018】
本発明の第7の態様は、第1〜6の何れかの態様に記載の微小カーボン単分子膜の形成方法において、前記基材をプラスチックフィルムとし、当該プラスチックフィルムと前記微小カーボン単分子膜との積層体とすることを特徴とする微小カーボン単分子膜の形成方法にある。
【0019】
かかる第7の態様では、プラスチックフィルムからなる基材上に微小カーボン単分子膜を形成することにより、プラスチックフィルムと微小カーボン単分子膜との積層体を得ることができる。
【0020】
本発明の第8の態様は、プラスチックフィルム材料溶液を注型した注型フィルム上に、微小カーボンを液体溶媒に単分子状態で分散させた微小カーボン分散液を展開し、乾燥してプラスチックフィルムと微小カーボン単分子膜との積層体を形成することを特徴とする微小カーボン単分子膜の形成方法にある。
【0021】
かかる第8の態様では、注型した注型フィルム上に微小カーボン単分子膜を形成することにより、プラスチックフィルムと微小カーボン単分子膜との積層体を得ることができる。
【0022】
本発明の第9の態様は、第8の態様に記載の微小カーボン単分子膜の形成方法において、前記微小カーボン分散液が、両電子イオン対を有する両性分子を含有することを特徴とする微小カーボン単分子膜の形成方法にある。
【0023】
かかる第9の態様では、両電子イオン対を有する両性分子を含有させることにより、単分子状態で微小カーボンを分散させた微小カーボン分散液を比較的容易に形成できる。
【0024】
本発明の第10の態様では、第9の態様に記載の微小カーボン単分子膜の形成方法において、乾燥して微小カーボン単分子膜を形成する工程の途中で水洗して両性分子を除去することを特徴とする微小カーボン単分子膜の形成方法にある。
【0025】
かかる第10の態様では、両性分子を含有する微小カーボン分散液を用いた微小カーボン単分子膜を水洗することにより、両性分子を除去した微小カーボン単分子膜を得ることができる。
【0026】
本発明の第11の態様は、第8〜10の何れかの態様に記載の微小カーボン単分子膜の形成方法において、注型フィルムが半硬化状態の際に前記微小カーボン分散液を導入することを特徴とする微小カーボン単分子膜の形成方法にある。
【0027】
かかる第11の態様では、注型フィルムが半硬化状態の際に前記微小カーボン分散液を導入することにより、プラスチックフィルムと微小カーボン単分子膜との接合状態がさらに良好な積層体となる。
【0028】
本発明の第12の態様は、第8〜11の何れかの態様に記載の微小カーボン単分子膜の形成方法において、前記注型フィルムを連続的に形成し、前記積層体を巻き取りながら連続的に製造することを特徴とする微小カーボン単分子膜の形成方法にある。
【0029】
かかる第12の態様では、注型フィルムからなるプラスチックフィルムと微小カーボン単分子膜との積層体を連続的に製造することができる。
【0030】
本発明の第13の態様は、連続的に製造されるプラスチックフィルム上に、微小カーボンを液体溶媒に単分子状態で分散させた微小カーボン分散液を展開し、乾燥してプラスチックフィルムと微小カーボン単分子膜との積層体を連続的に形成することを特徴とする微小カーボン単分子膜の形成方法にある。
【0031】
かかる第13の態様では、連続的に製造されるプラスチックフィルム上に微小カーボン単分子膜を形成することにより、プラスチックフィルムと微小カーボン単分子膜との積層体を連続的に製造することができる。
【0032】
本発明の第14の態様は、第13の態様に記載の微小カーボン単分子膜の形成方法において、前記微小カーボン分散液が、両電子イオン対を有する両性分子を含有することを特徴とする微小カーボン単分子膜の形成方法にある。
【0033】
かかる第14の態様では、両電子イオン対を有する両性分子を含有させることにより、単分子状態で微小カーボンを分散させた微小カーボン分散液を比較的容易に形成できる。
【0034】
本発明の第15の態様は、第14の態様に記載の微小カーボン単分子膜の形成方法において、乾燥して微小カーボン単分子膜を形成する工程の途中で水洗して両性分子を除去することを特徴とする微小カーボン単分子膜の形成方法にある。
【0035】
かかる第15の態様では、両性分子を含有する微小カーボン分散液を用いた微小カーボン単分子膜を水洗することにより、両性分子を除去した微小カーボン単分子膜を得ることができる。
【0036】
本発明の第16の態様は、第13〜15の何れかの態様に記載の微小カーボン単分子膜の形成方法において、前記プラスチックフィルムが半硬化状態の際に前記微小カーボン分散液を導入することを特徴とする微小カーボン単分子膜の形成方法にある。
【0037】
かかる第16の態様では、プラスチックフィルムが半硬化状態の際に微小カーボン単分子膜を形成することにより、プラスチックフィルムと微小カーボン単分子膜との接合状態がさらに良好な積層体とすることができる。
【0038】
本発明の第17の態様は、転写用基材上に、微小カーボンを液体溶媒に単分子状態で分散させた微小カーボン分散液を展開し、乾燥してプラスチックフィルムと微小カーボン単分子膜を形成し、この微小カーボン単分子膜上にプラスチックフィルムを形成し、前記転写用基材を除去することにより積層体を形成することを特徴とする微小カーボン単分子膜の形成方法にある。
【0039】
かかる第17の態様では、微小カーボン単分子膜を転写用基材上に形成し、この上にプラスチックフィルムを形成して微小カーボン単分子膜を転写し、転写用基材を除去することにより、プラスチックフィルムと微小カーボン単分子膜との積層体を比較的簡単に得ることができる。
【0040】
本発明の第18の態様は、第17の態様に記載の微小カーボン単分子膜の形成方法において、前記微小カーボン分散液が、両電子イオン対を有する両性分子を含有することを特徴とする微小カーボン単分子膜の形成方法。
【0041】
かかる第18の態様では、両電子イオン対を有する両性分子を含有させることにより、単分子状態で微小カーボンを分散させた微小カーボン分散液を比較的容易に形成できる。
【0042】
本発明の第19の態様は、第18の態様に記載の微小カーボン単分子膜の形成方法において、乾燥して微小カーボン単分子膜を形成する工程の途中で水洗して両性分子を除去することを特徴とする微小カーボン単分子膜の形成方法にある。
【0043】
かかる第19の態様では、両性分子を含有する微小カーボン分散液を用いた微小カーボン単分子膜を水洗することにより、両性分子を除去した微小カーボン単分子膜を得ることができる。
【0044】
本発明の20の態様は、第17〜19の何れかの態様に記載の微小カーボン単分子膜の形成方法において、前記転写用基材が、樹脂又はガラスからなることを特徴とする微小カーボン単分子膜の形成方法にある。
【0045】
かかる第20の態様では、樹脂又はガラス製の転写用基材上に微小カーボン単分子膜をに形成し、この上にプラスチックフィルムを形成して微小カーボン単分子膜を転写し、転写用基材を除去することにより、プラスチックフィルムと微小カーボン単分子膜との積層体を比較的簡単に得ることができる。
【0046】
本発明の第21の態様では、第17〜20の何れかの態様に記載の微小カーボン単分子膜の形成方法において、前記プラスチックフィルムが注型フィルムであることを特徴とする微小カーボン単分子膜の形成方法にある。
【0047】
かかる21の態様では、微小カーボン単分子膜を転写用基材上に形成し、この上に注型によりプラスチックフィルムを形成して微小カーボン単分子膜を転写し、転写用基材を除去することにより、プラスチックフィルムと微小カーボン単分子膜との積層体を比較的簡単に得ることができる。
【0048】
本発明の第22の態様は、第7〜21の何れかに記載の微小カーボン単分子膜の形成方法において、前記積層体を加熱圧着処理することを特徴とする微小カーボン単分子膜の形成方法にある。
【0049】
かかる第22の態様では、積層体を加熱圧着処理することにより、プラスチックフィルムと微小カーボン単分子膜との接合がより強固になる。
【0050】
本発明の第23の態様は、第7〜22の何れかの態様に記載の微小カーボン単分子膜の形成方法において、前記プラスチックフィルムの光透過率が90%以上であることを特徴とする微小カーボン単分子膜の形成方法にある。
【0051】
かかる第23の態様では、プラスチックフィルムの光透過率が90%以上であるので、微小カーボン単分子膜との積層体は、少なくとも光透過率が80%となる。
【0052】
本発明の第24の態様は、第4又は5の態様において、前記基材が紙、木、繊維、布又はプラスチックの板状体であり、微小カーボン単分子膜を前記板状体の表面コーティングとすることを特徴とする微小カーボン単分子膜の形成方法にある。
【0053】
かかる第24の態様では、紙、木、繊維、布又はプラスチックの板状体の表面に微小カーボン単分子膜からなる表面コーティングを形成できる。
【0054】
本発明の第25の態様は、第1〜24の何れかの態様に記載の微小カーボン単分子膜の形成方法において、前記微小カーボンがカーボンナノチューブであることを特徴とする微小カーボン単分子膜の形成方法にある。
【0055】
かかる第25の態様では、カーボンナノチューブの単分子膜を形成することができる。
【0056】
本発明の第26の態様は、微小カーボンを液体溶媒に単分子状態で分散させた微小カーボン分散液を水面に展開し、水面に形成した微小カーボン単分子膜を基材に転写し、乾燥して表面コーティング層とすることを特徴とする表面コーティング方法にある。
【0057】
かかる第26の態様では、微小カーボン分散液を水面に展開する、すなわち、例えば、微小カーボン分散液を水中に滴下することにより、水面に微小カーボン単分子膜が展開され、これを基材に転写して乾燥することにより微小カーボン単分子膜による表面コーティング層とすることができる。
【0058】
本発明の第27の態様は、第26の態様に記載の表面コーティング方法において、前記微小カーボン分散液が、両電子イオン対を有する両性分子を含有することを特徴とする表面コーティング方法にある。
【0059】
かかる第27の態様では、両電子イオン対を有する両性分子を含有させることにより、単分子状態で微小カーボンを分散させた微小カーボン分散液を比較的容易に形成できる。
【0060】
本発明の第28の態様は、第26又は27の態様に記載の表面コーティング方法において、前記基材が紙、木、繊維、布又はプラスチックであることを特徴とする表面コーティング方法にある。
【0061】
かかる第28の態様では、紙、木、繊維、布又はプラスチックからなる基材の表面に表面コーティングを容易に形成できる。
【0062】
本発明の第29の態様は、第26〜28の何れかの態様に記載の表面コーティング方法において、前記微小カーボン単分子膜を前記基材により掬い取ることにより転写することを特徴とする表面コーティング方法にある。
【0063】
かかる第29の態様では、基材により水面の微小カーボン単分子膜を掬い取ることにより、基材に表面コーティングを容易に形成することができる。
【0064】
本発明の第30の態様は、微小カーボンを液体溶媒に単分子状態で分散させた微小カーボン分散液を水面に展開して得た微小カーボン単分子膜を基材の表面に転写して表面コーティングとしたことを特徴とするコーティング体にある。
【0065】
かかる第30の態様では、微小カーボン分散液を水面に展開した微小カーボン単分子膜を基材に転写して表面コーティングを有するコーティング体を得ることができる。
【0066】
本発明の第31の態様は、第30の態様に記載のコーティング体において、前記微小カーボン分散液が、両電子イオン対を有する両性分子を含有することを特徴とするコーティング体にある。
【0067】
かかる第31の態様では、両電子イオン対を有する両性分子を含有させることにより、単分子状態で微小カーボンを分散させた微小カーボン分散液を比較的容易に形成できる。
【0068】
本発明の第32の態様は、第30又は31の態様に記載のコーティング体において、前記基材が紙、木、繊維、布又はプラスチックであることを特徴とするコーティング体にある。
【0069】
かかる第32の態様では、紙、木、繊維、布又はプラスチックからなる基材の表面に表面コーティングを有するコーティング体を容易に形成できる。
【0070】
本発明の第33の態様は、第30〜32の何れかの態様のコーティング体において、前記微小カーボン単分子膜を前記基材により掬い取ることにより転写することを特徴とするコーティング体にある。
【0071】
かかる第33の態様では、水面の微小カーボン単分子膜を基材で掬い取ることにより容易に転写し、コーティング体とすることができる。
【発明の効果】
【0072】
本発明によれば、微小カーボン単分子膜を種々の基材、水面などに比較的容易に形成できるので、これにプラスチックフィルムを積層して積層体とすることもでき、また、種々の基材に転写することにより表面コーティングを行うこともでき、今までにないコーティング体を得ることもできるという効果を奏する。
【0073】
ここで、微小カーボン単分子膜は、微小カーボンの特性により、導電性を有するので、導電性コーティング、帯電防止などの種々の用途に適用できる。また、微小カーボン単分子膜は、微小カーボンの特性から、表面硬度が高いので、耐擦過傷性が高く、傷の付き難い表面コーティングとすることができ、各種用途に適用可能である。さらに、微小カーボン単分子膜は、可視光の波長サイズ以下の微小カーボンによると透明性が確保できるので、透明性を生かした各種用途にも適用できる。
【0074】
また、微小カーボン単分子膜は、微小カーボンを配向させた状態で形成でき、微小カーボンの配向により、例えば、配向方向と配向方向に交差する方向とで電気特性が異なるような微小カーボン単分子膜を形成することができるので、これを用いて種々の用途に適用可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0075】
本発明で用いる微小カーボンとは、ナノからマイクロサイズの微小カーボンをいう。ここで、ナノからマイクロサイズの微小カーボンとは、径が10-6〜10-9mのオーダー、長さが10-4〜10-9m(好適には10-6〜10-9m)のオーダーであるカーボンをいい、例えばナノカーボンである。ナノカーボンとは、10-9mのオーダーであるカーボンをいい、好適には、カーボンナノチューブ(単層・二層・多層タイプ、カップスタック型)、カーボンナノファイバー、カーボンナノホーン、黒鉛又はフラーレンを挙げることができる。本発明の微小カーボンは、ナノからマイクロサイズのカーボンに該当する少なくとも一種のカーボンを含有することを意味し、例えば、ナノからマイクロサイズのすべてのサイズを含有することや、ナノからマイクロサイズ以外のカーボンを含有しないことを意味するものではない。また、カーボンナノチューブ(CNTと表記することがある)とは、単層及び多層(二層以上)を含み、グラファイト層の乱れたカーボンナノファイバーも包含する。
【0076】
本発明では、このような微小カーボンを単分子状態で分散させた微小カーボン分散液を用いる。ここで、微小カーボン分散液とは、微小カーボンを液体媒体に、必要に応じて分散剤により分散させたものであり、単分子状態で分散させたとは微小カーボンを一つ一つ分離して分散させた状態をいう。すなわち、微小カーボン、例えば、カーボンナノチューブは、通常、複数本が凝集したバンドルと呼ばれる状態で存在し、一般的な分散液ではバンドル状態のままであるが、本発明では単分子状態、例えばカーボンナノチューブが一本、一本分離したアンバンドル状態で分散した分散液を用いる。
【0077】
このような微小カーボン分散液を得る方法は特に限定されないが、本発明では、特に、特定の分散剤を用い、ボールミルなどの物理的な粉砕方法を併用することで初めて単分子状態の分散液が得られることが確認された。
【0078】
微小カーボン分散液が単分子状態で分散されているか否かの判断は、通常は困難であるが、本発明では微小カーボン分散液が確実に単分子状態で分散されたものであることを容易に判断する手法を確立した。すなわち、単分子状態で分散した微小カーボン分散液1は、当該分散液を水中に滴下した場合、滴下された液滴が水中ではその周囲に拡散せず、鉛直方向上方のみに直線上に上昇し且つ水面の一点から周囲に膜状に拡散し、単分子膜を形成するという、特異な拡散現象を示すことが確認された。したがって、水中に滴下してこのような拡散現象を示さないで、水中で周囲に拡散してしまうものは単分子状態での分散液ではない。
【0079】
このような単分子状態で分散した微小カーボン分散液の特異な拡散現象の様子を図1に示す。図1(a)に示すように、微小カーボン分散液1を水中に滴下すると、液滴1aは、容器に湛えられた水2の中を鉛直下方に沈み、浮力と重量とがバランスしたところで停止する。この状態で、液滴1aからその周囲には微小カーボンは拡散しない。次いで、図1(b)に示すように、液滴1a中の微小カーボンは液滴1aから鉛直方向上方に直線状に上昇し、水面2aの中心点から水面2a上を周囲に拡散する。このように液滴1a中の微小カーボンが全て拡散した結果、図1(c)に示すように、液滴が消滅し、水面2a上には微小カーボン単分子膜3が形成される。
【0080】
このような微小カーボン分散液は、好適には、分散剤として両性分子を用い、ボールミルなどの物理的な粉砕又は電場、磁場、超音波、光励起等の外部応力を併用することにより得ることができる。
【0081】
本発明の微小カーボン分散剤を得るために好適に用いることができる分散剤としては、両性分子としては、単分子状態での分散液を得ることができるものであれば特に限定されないが、具体的には、2−メタクリロイルオキシエチルホスホコリンのポリマーやポリペプチドなどの両性高分子、3−(N,N’−ジメチルステアリルアンモニオ)プロパンスルホネート、3−(N,N’−ジメチルミリスチルアンモニオ)プロパンスルホネート、3−[(3−コールアミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−1−プロパンスルホネート、3−[(3−コールアミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−2−ヒドロキシプロパンスルホネート、n−ドデシル−N,N’−ジメチル−3−アンモニオ−1−プロパンスルホネート、n−ヘキサデシル−N,N’−ジメチル−3−アンモニオ−1−プロパンスルホネート、n−オクチルホスホコリン、n−ドデシルホスホコリン、n−テトラデシルホスホコリン、n−ヘキサデシルホスホコリン、ジメチルアルキルベタイン、パーフルオロアルキルベタイン、レシチンなどの両性高分子(両性界面活性剤を含む)などを挙げることができる。
【0082】
これらの両性分子に所望により安定剤、例えばグリセロール、多価アルコール、ポリビニルアルコール、アルキルアミンなどの水素結合を形成する物質を加えて分散剤としてもよい。
【0083】
また、分散剤としては、WO2004/060798号公報やWO2005/110594号公報に記載した各種界面活性剤、例えば、リン脂質系界面活性剤及び非リン脂質系活性剤、特に好適には両性界面活性剤(両性イオン界面活性剤)を用いることができる。
【0084】
また、本発明の微小カーボン分散液とするための液体媒体は、使用する分散剤との組み合わせで、微小カーボンを単分子状態で分散させ得るものであれば特に限定されず、例えば、水性溶媒、例えば、水、アルコール、これらの組み合わせ、非水性溶媒(油性溶媒)、例えば、シリコンオイル、四塩化炭素、クロロホルム、トルエン 、アセトン、これらの組み合わせを挙げることができるが、非水性溶媒が好適である。
【0085】
本発明では、単分子状態で分散した微小カーボン分散剤を用いることにより、微小カーボン単分子膜を容易に形成することができる。すなわち、単分子状態で分散した微小カーボン分散液は、各種基材上に展開し、乾燥することにより、容易に微小カーボン単分子膜を得ることができる。ここで、基材上に展開するとは、分散液を薄く引き延ばすことをいい、簡便には、基材上に分散液を注ぎ、余分な分散液を除去して基材の表面のみを濡らした状態とすればよい。これにより、単分子状態で分散した分散液の微小カーボンが分子状態で基材の表面に並んで微小カーボン単分子膜が形成される。勿論、単分子膜を形成するための最適量の分散液のみを基材上に導入して展開するようにしてもよい。
【0086】
ここで、単分子膜とは、微小カーボンが単分子状態で、すなわち、厚さ方向には実質的に重ならないで平面方向に並んで形成された膜をいい、カーボンナノチューブを用いると、配向して並んだ単分子膜となる。
【0087】
このような基材上への展開の様子を図2に示す。図2(a)に示すように、微小カーボン分散液11を基材12上に注ぎ、図2(b)に示すように、余分な微小カーボン分散液を除去することにより、図2(c)に示すように、基材12上に微小カーボン単分子膜13を形成することができる。
【0088】
このように基材12上に形成された微小カーボン単分子膜は、液体溶媒を乾燥することにより、強固な微小カーボン膜となるが、乾燥前、乾燥途中、乾燥後において、水や有機溶媒で洗浄することにより、分散液中に含有されていた分散剤などを容易に除去することができる。
【0089】
ここで、基材としては、特に限定されず、用途に応じて選定することができるが、プラスチックフィルム(シートを含む)、ガラス基板など微小カーボン分散液を吸収しない素材が好ましい。また、基材上に形成した微小カーボン単分子膜は、基材をプラスチックフィルムとした場合には、そのままプラスチックフィルムと微小カーボン単分子膜との積層体として各種用途に使用することができる。
【0090】
また、基材上に形成した微小カーボン単分子膜は、基材上から他の基材に容易に転写することができる。例えば、ガラス基板などの上に形成した微小カーボン単分子膜上に注型プラスチック材料を注型したり、熱可塑性プラスチックを溶融状態で塗布したりしてプラスチックフィルムを設けることにより、微小カーボン単分子膜をその表面に設けたプラスチックフィルムに転写することもできる。
【0091】
図3は、微小カーボン単分子膜を注型フィルムに転写して積層体とする手順の一例を示す。図3(a)は、図2に示すように、基材12上に微小カーボン単分子膜13を形成した後、その上に注型プラスチック材料21を注型した状態を示す。注型後、図3(b)に示すように、注型プラスチックフィルム21Aが形成された後、図3(c)に示すように、注型プラスチックフィルム21Aを基材12から剥がすことにより、微小カーボン単分子膜13が注型プラスチックフィルム21Aに転写し、注型プラスチックフィルム21Aと微小カーボン単分子膜13との積層体31を得ることができる。
【0092】
また、上述したように、水面上に形成した微小カーボン単分子膜は容易に基材に転写又は掬い取ることができる。
【0093】
図4には、水面上に形成した微小カーボン単分子膜を基材に転写する(掬い取る)手順の一例を示す。図4(a)、(b)に示すように、水面2a上に形成された微小カーボン単分子膜3上に、基材4を密着させた後、基材4を上昇させることにより、基材4に微小カーボン単分子膜3を転写する(掬い取る)ことができる。
【0094】
このような微小カーボン単分子膜の転写(掬い取り)は、図5(a)に示すように、水面2aに微小カーボン単分子膜3を形成した後、基材4Aを水中に沈め(予め水中に沈めておいてもよい)、基材4Aにより微小カーボン単分子膜3を下側から掬い取って、図5(b)に示すように、基材4A上に微小カーボン単分子膜3を転写することもできる。
【0095】
このように微小カーボン単分子膜を転写する基材としては特に限定されず、紙、木、繊維、布又はプラスチックなど各種素材のものを用いることができる。
【0096】
また、このように水面に微小カーボン単分子膜3を形成した場合、微小カーボン分散液中に界面活性剤などの分散剤が含有されている場合には、水中に拡散し、微小カーボン単分子膜3を水洗した場合と同様になる。
【0097】
さらに、水面上に微小カーボン単分子膜3を形成する手法は、例えば、上述したように単分子状態で分散した微小カーボン分散液を水中に滴下すればよいが、周知のラングミュア・ブロジェット膜(LB膜)の溶液面上への展開方法を適用することができ、これにより微小カーボン単分子膜を溶液面上に容易に形成することができる。
【0098】
本発明の微小カーボン単分子膜の形成方法によると、例えば、微小カーボン単分子膜とプラスチックフィルムとの積層体を連続的に製造することができる。
【0099】
図6にはその製造例の一例を説明する概略図を示す。図6(a)、(b)に示すように、微小カーボン分散液11を、連続的に押出し成形されるプラスチックフィルム22上に連続的に展開し、乾燥することのより微小カーボン単分子膜13とし、図6(c)に示すように、プラスチックフィルム22と微小カーボン単分子膜13との積層体32を巻き取る。
【0100】
このような積層体32は、微小カーボン単分子膜13を他の基材等に転写するための素材として使用することができ、また、微小カーボン単分子膜13を有する積層体32として、プラスチックフィルム22を他の基材等に貼付するなどして使用することができる。
【0101】
また、積層体32として使用する際に、微小カーボン単分子膜13とプラスチックフィルム22との接合を強固にするために、加熱状態で加圧処理するなどすることができる。又は、プラスチックフィルム22が加熱された半溶融状態で微小カーボン単分子膜13を設けることにより、接合を強固にするようにしてもよい。
【0102】
このような積層体の連続製造は、注型によっても行うことができる。図7は積層体の製造例の他の例を説明する概略図を示す。図7(a)に示すように、製造基板41上に注型プラスチック材料21を注型して注型プラスチックフィルム21Aを連続的に製造しながら、図7(b)に示すように、その上に微小カーボン分散液11を展開し、乾燥して微小カーボン単分子膜13とすることにより、図7(c)に示すように、注型プラスチックフィルム21Aと微小カーボン単分子膜13との積層体33とし、これを巻き取るようにしてもよい。
【0103】
このような積層体33は、微小カーボン単分子膜13を他の基材等に転写するための素材として使用することができ、また、微小カーボン単分子膜13を有する積層体33として、注型プラスチックフィルム21Aを他の基材等に貼付するなどして使用することができる。
【0104】
また、積層体33として使用する際に、微小カーボン単分子膜13と注型プラスチックフィルム21Aとの接合を強固にするために、加熱状態で加圧処理するなどすることができる。又は、注型プラスチックフィルム21Aが半乾燥状態で微小カーボン単分子膜13を設けることにより、接合を強固にするようにしてもよい。
【0105】
さらに、積層体32,33を微小カーボン単分子膜を転写するための素材として使用する場合、所定のパターンを有する対象物に、所定パターンの領域のみに転写するようにして使用することもできる。
【0106】
本発明方法において使用するプラスチックフィルムなどのプラスチック素材は用途に応じて選択するものであり、特に限定されない。例えば、透明性に重点をおいた積層体を製造するための透明性樹脂としては、アクリル樹脂(PMMA)、ポリスチレン、ポリカーボネート(PC)、PAc、ポリオレフィン系樹脂等を挙げることができ、特に環状オレフィン・コポリマー(COC)を挙げることができる。
【0107】
本発明方法で形成される微小カーボン単分子膜は、微小カーボンが単分子状態で並ぶことにより形成されるので、ある意味では配向状態であることが、乾燥して微小カーボン単分子膜を形成する工程の途中で磁場又は電圧を印加して微小カーボンをさらに良好に配向させて微小カーボン単分子配向膜とすることもできる。このような配向膜とすることにより、導電性などの方向性を付与することができる。
【0108】
また、微小カーボン単分子配向膜を製造する方法としては、上述したような積層体32、33を製造する際に一方向に延伸することにより、延伸方向に沿って配向させることもできる。
【0109】
以上、微小カーボン単分子膜の形成方法として説明したが、特に図5に示したような微小カーボン単分子膜の転写(掬い取り)は、表面コーティング法とすることもできる。例えば、紙、木、繊維、布又はプラスチックなど各種素材の基材で水面に形成された微小カーボン単分子膜を掬い取ることにより、基材の表面をコーティングすることができ、また、表面に微小カーボン単分子膜を有するコーティング体とすることができる。
【0110】
また、基材がプラスチック成形体の場合には、成形金型内に上述したような微小カーボン単分子膜を有する積層体を配置しておくことにより、表面に微小カーボン単分子膜を有するプラスチック成形体を製造することができる。
【0111】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例】
【0112】
環状オレフィン・コポリマー(COC)である商品名:TOPAS(thermoplastic olefin polymer of amorphous structure; Polyplastics社製)3gを、30mLシクロヘキサンに溶かし、約1%(w/v)のTOPAS溶液を調製した。
【0113】
カーボンナノチューブが単分子状態で分散した分散液(カーボンナノチューブの含有量約1%(w/v)、両性界面活性剤を用い、ボールミルで12時間粉砕したもの)をガラス製のシャーレ上にキャストし、余分な分散液を除去した後、室温で乾燥した。この後、この上に上述したように調製したTOPAS溶液で塗装した。
【0114】
シクロヘキサンが完全に蒸発した後、注型膜をシャーレから剥がし、TOPASからなるベースフィルムの表面上にCNTの単分子膜が転写された積層体を形成した。
【0115】
(試験例)
実施例で製造した単分子膜の物性を評価した。
導電性:表面電気抵抗は2〜10kΩであった。
透明度:可視光〜近赤外の範囲では 光透過性が84%より大きかった(>84)
紫外範囲では、光透過性が30%未満(<30%)であった。
硬度:6Hの鉛筆の鋭い先端で擦ったが傷がつかなかったので、鉛筆硬度6H相当以上の表面硬度があることが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】単分子状態で分散した微小カーボン分散液の特異な拡散現象の様子を表す図である。
【図2】微小カーボン分散液の基材上への展開の様子を表す図である。
【図3】微小カーボン単分子膜を注型フィルムに転写して積層体とする手順の一例を示す図である。
【図4】水面上に形成した微小カーボン単分子膜を基材に転写する手順の一例を示す図である。
【図5】水面上に形成した微小カーボン単分子膜を基材に転写する手順の他の例を示す図である。
【図6】積層体の製造例の一例を説明する概略図である。
【図7】積層体の製造例の他の例を説明する概略図である。
【符号の説明】
【0117】
1 微小カーボン分散液
1a 液滴
2 水
2a 水面
3 微小カーボン単分子膜
4 基材
4A 基材
11 微小カーボン分散液
12 基材
13 微小カーボン単分子膜
21 注型プラスチック材料
21A 注型プラスチックフィルム
22 プラスチックフィルム
31、32、33 積層体
41 製造基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
微小カーボンを液体溶媒に単分子状態で分散させた微小カーボン分散液を基材上に展開し、乾燥して微小カーボン単分子膜を形成することを特徴とする微小カーボン単分子膜の形成方法。
【請求項2】
請求項1に記載の微小カーボン単分子膜の形成方法において、前記微小カーボン分散液が、両電子イオン対を有する両性分子を含有することを特徴とする微小カーボン単分子膜の形成方法。
【請求項3】
請求項2に記載の微小カーボン単分子膜の形成方法において、乾燥して微小カーボン単分子膜を形成する工程の途中で水洗して両性分子を除去することを特徴とする微小カーボン単分子膜の形成方法。
【請求項4】
微小カーボンを液体溶媒に単分子状態で分散させた微小カーボン分散液を水面に展開し、水面に展開された微小カーボン単分子膜を基材に転写し、乾燥して微小カーボン単分子膜を形成することを特徴とする微小カーボン単分子膜の形成方法。
【請求項5】
請求項4に記載の微小カーボン単分子膜の形成方法において、前記微小カーボン分散液が、両電子イオン対を有する両性分子を含有することを特徴とする微小カーボン単分子膜の形成方法。
【請求項6】
請求項1〜5の何れかに記載の微小カーボン単分子膜の形成方法において、乾燥して微小カーボン単分子膜を形成する工程の途中で磁場又は電圧を印加して微小カーボンが配向した微小カーボン単分子配向膜とすることを特徴とする微小カーボン単分子膜の形成方法。
【請求項7】
請求項1〜6の何れかに記載の微小カーボン単分子膜の形成方法において、前記基材をプラスチックフィルムとし、当該プラスチックフィルムと前記微小カーボン単分子膜との積層体とすることを特徴とする微小カーボン単分子膜の形成方法。
【請求項8】
プラスチックフィルム材料溶液を注型した注型フィルム上に、微小カーボンを液体溶媒に単分子状態で分散させた微小カーボン分散液を展開し、乾燥してプラスチックフィルムと微小カーボン単分子膜との積層体を形成することを特徴とする微小カーボン単分子膜の形成方法。
【請求項9】
請求項8に記載の微小カーボン単分子膜の形成方法において、前記微小カーボン分散液が、両電子イオン対を有する両性分子を含有することを特徴とする微小カーボン単分子膜の形成方法。
【請求項10】
請求項9に記載の微小カーボン単分子膜の形成方法において、乾燥して微小カーボン単分子膜を形成する工程の途中で水洗して両性分子を除去することを特徴とする微小カーボン単分子膜の形成方法。
【請求項11】
請求項8〜10の何れかに記載の微小カーボン単分子膜の形成方法において、注型フィルムが半硬化状態の際に前記微小カーボン分散液を導入することを特徴とする微小カーボン単分子膜の形成方法。
【請求項12】
請求項8〜11の何れかに記載の微小カーボン単分子膜の形成方法において、前記注型フィルムを連続的に形成し、前記積層体を巻き取りながら連続的に製造することを特徴とする微小カーボン単分子膜の形成方法。
【請求項13】
連続的に製造されるプラスチックフィルム上に、微小カーボンを液体溶媒に単分子状態で分散させた微小カーボン分散液を展開し、乾燥してプラスチックフィルムと微小カーボン単分子膜との積層体を連続的に形成することを特徴とする微小カーボン単分子膜の形成方法。
【請求項14】
請求項13に記載の微小カーボン単分子膜の形成方法において、前記微小カーボン分散液が、両電子イオン対を有する両性分子を含有することを特徴とする微小カーボン単分子膜の形成方法。
【請求項15】
請求項14に記載の微小カーボン単分子膜の形成方法において、乾燥して微小カーボン単分子膜を形成する工程の途中で水洗して両性分子を除去することを特徴とする微小カーボン単分子膜の形成方法。
【請求項16】
請求項13〜15の何れかに記載の微小カーボン単分子膜の形成方法において、前記プラスチックフィルムが半硬化状態の際に前記微小カーボン分散液を導入することを特徴とする微小カーボン単分子膜の形成方法。
【請求項17】
転写用基材上に、微小カーボンを液体溶媒に単分子状態で分散させた微小カーボン分散液を展開し、乾燥してプラスチックフィルムと微小カーボン単分子膜を形成し、この微小カーボン単分子膜上にプラスチックフィルムを形成し、前記転写用基材を除去することにより積層体を形成することを特徴とする微小カーボン単分子膜の形成方法。
【請求項18】
請求項17に記載の微小カーボン単分子膜の形成方法において、前記微小カーボン分散液が、両電子イオン対を有する両性分子を含有することを特徴とする微小カーボン単分子膜の形成方法。
【請求項19】
請求項18に記載の微小カーボン単分子膜の形成方法において、乾燥して微小カーボン単分子膜を形成する工程の途中で水洗して両性分子を除去することを特徴とする微小カーボン単分子膜の形成方法。
【請求項20】
請求項17〜19の何れかに記載の微小カーボン単分子膜の形成方法において、前記転写用基材が、樹脂又はガラスからなることを特徴とする微小カーボン単分子膜の形成方法。
【請求項21】
請求項17〜20の何れかに記載の微小カーボン単分子膜の形成方法において、前記プラスチックフィルムが注型フィルムであることを特徴とする微小カーボン単分子膜の形成方法。
【請求項22】
請求項7〜21の何れかに記載の微小カーボン単分子膜の形成方法において、前記積層体を加熱圧着処理することを特徴とする微小カーボン単分子膜の形成方法。
【請求項23】
請求項7〜22の何れかに記載の微小カーボン単分子膜の形成方法において、前記プラスチックフィルムの光透過率が90%以上であることを特徴とする微小カーボン単分子膜の形成方法。
【請求項24】
請求項4又は5において、前記基材が紙、木、繊維、布又はプラスチックの板状体であり、微小カーボン単分子膜を前記板状体の表面コーティングとすることを特徴とする微小カーボン単分子膜の形成方法。
【請求項25】
請求項1〜24の何れかに記載の微小カーボン単分子膜の形成方法において、前記微小カーボンがカーボンナノチューブであることを特徴とする微小カーボン単分子膜の形成方法。
【請求項26】
微小カーボンを液体溶媒に単分子状態で分散させた微小カーボン分散液を水面に展開し、水面に形成した微小カーボン単分子膜を基材に転写し、乾燥して表面コーティング層とすることを特徴とする表面コーティング方法。
【請求項27】
請求項26に記載の表面コーティング方法において、前記微小カーボン分散液が、両電子イオン対を有する両性分子を含有することを特徴とする表面コーティング方法。
【請求項28】
請求項26又は27に記載の表面コーティング方法において、前記基材が紙、木、繊維、布又はプラスチックであることを特徴とする表面コーティング方法。
【請求項29】
請求項26〜28の何れかに記載の表面コーティング方法において、前記微小カーボン単分子膜を前記基材により掬い取ることにより転写することを特徴とする表面コーティング方法。
【請求項30】
微小カーボンを液体溶媒に単分子状態で分散させた微小カーボン分散液を水面に展開して得た微小カーボン単分子膜を基材の表面に転写して表面コーティングとしたことを特徴とするコーティング体。
【請求項31】
請求項30に記載のコーティング体において、前記微小カーボン分散液が、両電子イオン対を有する両性分子を含有することを特徴とするコーティング体。
【請求項32】
請求項30又は31に記載のコーティング体において、前記基材が紙、木、繊維、布又はプラスチックであことを特徴とするコーティング体。
【請求項33】
請求項30〜32の何れかにおいて、前記微小カーボン単分子膜を前記基材により掬い取ることにより転写することを特徴とするコーティング体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2008−201635(P2008−201635A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−41494(P2007−41494)
【出願日】平成19年2月21日(2007.2.21)
【出願人】(504173471)国立大学法人 北海道大学 (971)
【Fターム(参考)】