説明

微細パターン形成方法及び露光装置

【課題】露光後の熱反応型レジストの再酸化を抑制でき、現像差の減少を抑制して微細パターンを正確に形成できる微細パターン形成方法及び露光装置を提供すること。
【解決手段】本発明の微細パターン形成方法は、基材上に設けられ、加熱により還元反応する熱反応型レジスト材料を含んでなるレジスト層にパターンを形成する微細パターン形成方法であって、レジスト層の所定の領域を加熱還元する加熱期間と、不活性雰囲気下又は還元性雰囲気下において、レジスト層の所定の領域を冷却する冷却期間と、を含む還元工程と、レジスト層を現像する現像工程と、を具備することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくともレジスト層、基材を含んでなるインプリント原版へのレーザーによる精密露光を可能とする微細パターン形成方法、露光装置、及びナノインプリント用モールドに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体、光学・磁気記録等の分野において高密度化、高集積化等の要求が高まるにつれ、数百nm〜数十nm程度以下の微細パターン加工技術が必須となっている。そこで、これら微細パターン加工を実現するためにマスク・ステッパー、露光、レジスト材料等の各工程の要素技術が盛んに研究されている。
【0003】
例えば、マスク・ステッパーの工程においては、位相シフトマスクと呼ばれる特殊なマスクを用い、光に位相差を与え、干渉の効果により 微細パターン加工精度を高める技術や、ステッパー用レンズとウエハーとの間に液体を充填し、レンズを通過した光を大きく屈折させることにより、微細パターン加工を可能にする液浸技術などが検討されている。しかしながら、前者ではマスク開発に莫大なコストが必要なことや、後者では高価な装置が必要になることなど製造コストの削減は非常に困難である。
【0004】
一方、レジスト材料においても多くの検討が進められている。現在、最も一般的なレジスト材料は、紫外光、電子線、X線などの露光光源に反応する光反応型有機レジスト(以下、フォトレジストともいう。)である(例えば、特許文献1、非特許文献1参照)。
【0005】
露光に用いられるレーザー光において、通常レンズで絞り込まれたレーザー光の強度は、ガウス分布形状を示す。このときスポット径は1/eで定義される。一般的にフォトレジストの反応は、E=hν(E:エネルギー、h:プランク定数、ν:波長)で表されるエネルギーを吸収することによって反応が開始される。したがってその反応は、光の強度には強く依存せず、むしろ光の波長に依存するため、光の照射された部分(露光マーク)は、ほぼ全て反応が生じることになる。したがってフォトレジストを使った場合は、スポット径に対して忠実に露光されることになる。
【0006】
光反応型有機レジストを用いる方法は、数百nm程度の微細なパターンを形成するには非常に有効な方法ではあるが、光反応を用いたフォトレジストを用いるため、さらに微細なパターンを形成するには、原理的に必要とされるパターンより小さなスポットで露光する必要がある。このため、露光光源として波長が短いKrFやArFレーザー等を使用せざるを得ない。しかしながら、これらの光源装置は非常に大型でかつ高価なため、製造コスト削減の観点からは不向きである。
【0007】
一方、ガウス分布を持つレーザー光を物体に照射すると、物体の温度もレーザー光の強度分布と同じガウス分布を示す。このときある温度以上で反応するレジスト、すなわち、熱反応型レジストを使うと、所定温度以上になった部分のみ反応が進むため、スポット径より小さな範囲を露光することが可能となる。すなわち、露光光源を短波長化することなく、スポット径よりも微細なパターンを形成することが可能となるので、熱反応型レジストを使うことで、露光光源波長の影響を小さくすることができる。
【0008】
このような熱反応型レジストは露光による反応として以下のような幾つかのタイプに分類することができる。
(1)露光によるレーザー光照射により照射部のレジストが昇華、爆発し溝や穴を形成するタイプ
(2)露光によるレーザー光照射により照射部のレジストの酸化を進行させ、酸化度の違いにより酸やアルカリに対する溶解性の違いを利用して溝や穴を形成するタイプ
(3)露光によるレーザー光照射により照射部のレジストの還元を進行させ、酸化度の違いにより酸やアルカリに対する溶解性の違いを利用して溝や穴を形成するタイプ
【0009】
(1)のタイプのレジストの露光方法の1つとしてレジスト層に対して不活性な気体を前記レジスト層上で移動させながらレーザー光を照射する方法が提案されている(特許文献2参照)。不活性な気体を吹きつけることによりレーザー光で吹き飛ばされたレジスト層からなる異物を除去すると同時に、レーザー加熱により除去される周囲のレジスト材料の変質を防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2007−144995号公報
【特許文献2】特開2009−276632号公報
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】(株)情報機構発刊 「最新レジスト材料」 P.59−P.76
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところで、金属酸化物を加熱して還元反応により酸化度を変化させるタイプ(3)のレジストには、分解反応が所定の温度で非常に急峻に 発生する材料が存在する。このような材料はレーザー光照射により加熱された際に所定温度以上に昇温された部分のみが急激に還元され所定の温度に到達しなかった部分は全く還元反応が進行しないため、酸やアルカリ等で現像差を大きくすることが可能となり、溝や穴の幅や長さを正確に制御することが可能と考えられる。
【0013】
しかしながら、レーザー照射後に熱反応型レジストが冷却される過程において、レーザー照射により所定の温度以上にさらされ還元された部分の再酸化が進行し、酸やアルカリ等による現像差が小さくなってしまうため溝や穴の形状が得られない、又は乱れる等が発生する問題があった。
【0014】
本発明は、かかる点に鑑みて為されたものであり、露光後の熱反応型レジストの再酸化を抑制でき、現像差の減少を抑制して微細パターンを正確に形成できる微細パターン形成方法及び露光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者らは、かかる課題を解決すべく鋭意検討し実験を重ねた結果、レーザー照射によって加熱された熱反応型レジスト材料近傍の酸素濃度を一定値以下とする、あるいは還元性ガスの濃度をある一定値以上にすることにより、所定の温度以上に昇温されて還元された熱反応型レジスト(金属酸化物)の酸化度を冷却後においても維持することが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。本発明は、具体的には、以下のとおりである。
【0016】
本発明の微細パターン形成方法は、基材上に設けられ、加熱により還元反応する熱反応型レジスト材料を含んでなるレジスト層にパターンを形成する微細パターン形成方法であって、前記レジスト層の所定の領域を加熱還元する加熱期間と、不活性雰囲気下又は還元性雰囲気下において、前記レジスト層の前記所定の領域を冷却する冷却期間と、を含む還元工程と、前記レジスト層を現像する現像工程と、を具備することを特徴とする。
【0017】
本発明の微細パターン形成方法においては、前記冷却期間において、前記不活性雰囲気として前記レジスト層近傍の酸素濃度が、0vol%から5vol%の範囲となるようにすることが好ましい。
【0018】
本発明の微細パターン形成方法においては、前記冷却期間において、前記不活性雰囲気として前記レジスト層近傍の不活性ガス 濃度が、95vol%から100vol%の範囲となるようにすることが好ましい。
【0019】
本発明の微細パターン形成方法においては、前記不活性ガスが、窒素、二酸化炭素、ヘリウム、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン、及びフルオロカーボンからなる群から選択された少なくとも1つであることが好ましい。
【0020】
本発明の微細パターン形成方法においては、前記冷却期間において、前記還元性雰囲気として前記レジスト層近傍の還元性ガス 濃度が10vol%から100vol%の範囲となるようにすることが好ましい。
【0021】
本発明の微細パターン形成方法においては、前記冷却期間において、前記還元性雰囲気として前記レジスト層近傍の還元性ガス 濃度が10vol%から100vol%の範囲であり、かつ酸素濃度が0vol%から8vol%の範囲とすることが好ましい。
【0022】
本発明の微細パターン形成方法においては、前記還元性ガスが、水素、一酸化炭素、二酸化硫黄、アンモニア、ホルムアルデヒド、炭素数1〜炭素数5の飽和炭化水素ガス、及び炭素数1〜炭素数5の不飽和炭化水素ガスからなる群から選択された少なくとも1つであることが好ましい。
【0023】
本発明の微細パターン形成方法においては、前記熱反応型レジスト材料が無機レジスト材料であることが好ましい。
【0024】
本発明の微細パターン形成方法においては、前記基材がロール状又は平板状であることが好ましい。
【0025】
本発明の露光装置は、基材と、前記基材上に設けられ、加熱により還元反応する熱反応型レジスト材料を含んでなるレジスト層と、を有する被加工材料に微細パターンを形成する露光装置であって、前記被加工材料を収容する露光室と、前記露光室内の前記被加工材料の前記レジスト層の所定の領域にレーザー光を照射する照射部と、前記露光室内の酸素を排出する排気手段と、前記排気手段により前記露光室内の酸素濃度を制御する制御部とを具備し、前記被加工材料の前記レジスト層の所定の領域にレーザー光を照射してから、所定の冷却期間、前記露光室内を減圧して酸素濃度を0vol%から5vol%の範囲とすることを特徴とする。
【0026】
本発明の露光装置は、基材と、前記基材上に設けられ、加熱により還元反応する熱反応型レジスト材料を含んでなるレジスト層と、を有する被加工材料に微細パターンを形成する露光装置であって、前記被加工材料を収容する露光室と、前記露光室内の前記被加工材料の前記レジスト層の所定の領域にレーザー光を照射する照射部と、前記露光室内の酸素を排出する排気手段と、前記露光室内に不活性ガス又は還元性ガスを供給するガス供給部と、前記排気手段及び前記ガス供給部により前記露光室内の酸素濃度を制御する制御部とを具備し、前記被加工材料の前記レジスト層の所定の領域にレーザー光を照射してから、所定の冷却期間、 前記露光室内を不活性雰囲気又は還元性雰囲気にすることを特徴とする。
【0027】
本発明の露光装置においては、酸素吸着剤を用いて前記露光室内の酸素濃度を低減することすることが好ましい。
【0028】
本発明のナノインプリント用モールドは、上記微細パターン形成方法を用いて得られたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、露光後の熱反応型レジストの再酸化を抑制でき、現像差の減少を抑制して微細パターンを正確に形成できる 微細パターン形成方法及び露光装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施の形態に係る露光装置の一例を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る露光装置の他の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
本実施の形態に係る微細パターン形成方法においては、基材上に設けられ、加熱により還元反応する熱反応型レジスト材料を含んでなるレジスト層にパターンを形成する。この微細パターン形成方法は、レジスト層の所定の領域の熱反応型レジスト材料を加熱により還元反応して酸化度を減少させる 還元工程と、還元工程を経たレジスト層を現像する現像工程とを具備する。還元工程は、上記レジスト層の所定の領域を加熱して還元反応させる加熱期間t1と、不活性雰囲気下、又は還元性雰囲気下において、還元されたレジスト層の所定の領域を冷却する冷却期間t2とを含む。
【0032】
本実施の形態に係る微細パターン形成方法においては、還元工程において、不活性雰囲気下、又は還元性雰囲気下において、加熱により還元されたレジスト層を冷却することにより、還元後のレジスト層が再酸化されることが抑制される。したがって、加熱によって還元された熱反応型レジスト材料と、未反応の熱反応型レジスト材料と、の間において、酸化度の差に由来する現像工程における現像差の減少を抑制することができ、微細パターンを正確に形成することが可能となる。
【0033】
以下、上記微細パターン形成方法に用いられる露光装置及び微細パターン形成方法の一実施の形態について詳細に説明する。なお、以下の実施の形態においては、本発明に係る微細パターン形成方法を露光装置に適用した例について説明するが、本発明に係る微細パターン形成方法は、少なくとも 加熱によってレジスト層の所定の領域の熱反応型レジスト材料を還元するものであれば露光装置に限定されず、各種装置において適用可能である。
【0034】
図1は、本発明の実施の形態に係る露光装置の一例を示す図である。
図1に示すように、本実施の形態に係る露光装置1は、内部に空間を有するチャンバー11(露光室)と、チャンバー11内に 配置され、被加工部材としての平板基材12にレーザー光を照射するレーザーピックアップユニット13(レーザー光照射部)とを備える。平板基材12は、基材(不図示)と、この基材上に設けられ、熱反応型レジスト材料を含んでなるレジスト層(不図示)とを有し、このレジスト層にレーザーピックアップユニット13からレーザー光が照射される。また、平板基材12は、真空吸着などによりスピンドルモーター14と接続されており、これにより露光時における平板基材12の回転数、線速度を精度良く制御できるように構成されている。
【0035】
レーザーピックアップユニット13は、反射光をモニターして平板基材12のレジスト層(不図示)の所定の領域にオートフォーカスをかけてレーザー光を照射し、平板基材12のレジスト層(不図示)の所定の領域を露光する。また、レーザーピックアップユニット13は1軸制御ステージ15に搭載されている。1軸制御ステージ15は、レーザーピックアップユニット13を平板基材12の回転中心を通る直線上で往復動させる機能を有する。
【0036】
チャンバー11には、バルブ16を介して不活性ガス又は還元性ガスを供給するガス供給源17が接続され、チャンバー11内に不 活性ガス又は還元性ガスを供給可能に構成されている。また、チャンバー11には、バルブ18を介してチャンバー11内の酸素を排出する真空ポンプ19が接続され、この真空ポンプ19によりチャンバー11内の酸素を排出可能に構成されている。
【0037】
また、露光装置1は、チャンバー11内の各種ガス濃度及び減圧度を制御する制御部20を備える。この制御部20は、バルブ16及びガス供給源17とそれぞれ接続され、バルブ16のバルブ開度及びガス供給源17から供給される不活性ガス又は還元性ガスの種類及び供給量を制御する。また、制御部20は、バルブ18及び真空ポンプ19とそれぞれ接続され、バルブ18のバルブ開度及び真空ポンプ19によるチャンバー11内からの酸素排出量を制御する。
【0038】
このように、露光装置1においては、少なくともレーザー光が平板基材12上に照射される位置はチャンバー11で覆われている。チャンバー11内(以下、露光室内ともいう)の酸素濃度は、制御部20により、バルブ16、バルブ18、真空ポンプ19を適宜動作させることで調整することができる。露光装置1においては、制御部20により、これらのバルブ16、ガス供給源17、バルブ18、真空ポンプ19を制御してチャンバー11内の平板基材12のレジスト層の周囲の酸素を低減した状態、若しくは不活性ガスを所定の濃度とした状態(不活性雰囲気)、又は還元性ガスを所定の濃度とした状態(還元性雰囲気)で露光を行う。
【0039】
チャンバー11内の酸素濃度の制御の一例としてはバルブ16を閉じ、バルブ18を開けて真空ポンプ19によりチャンバー11内の気体(酸素)の排出を行い、チャンバー11内の圧力を低下させることで実現できる。また一度真空ポンプ19でチャンバー11内を真空に引いた後、バルブ16を開いてガス供給源17から窒素などの不活性ガス充填することでも酸素濃度を調整することができる。また、バルブ16を開いて窒素などの不活性ガスを流入させながら真空ポンプ19で排気を行っても酸素濃度を調整してもよい。さらに、真空ポンプ19を取り外し、バルブ16を開けて不活性ガスを流入させてバルブ18を開いてチャンバー11内の酸素をチャンバー11外へ排出することでもチャンバー11内の酸素濃度を調整することができる。この場合、チャンバー11内に圧力がかかることがないため非常に簡素な構造にすることができ装置の小型化等の観点から好ましい。
【0040】
本発明の実施の形態の他の1例に係る露光装置2を図2に示す。
図2に示すように、露光装置2は、内部に空間を有するチャンバー21と、チャンバー21内に配置され、被加工部材としてのスリーブ基材22にレーザー光を照射するレーザーピックアップユニット23とを備える。スリーブ基材22は、円柱形の基材(不図示)とこの基材の外周面に設けられ、熱反応型レジスト材料を含んでなるレジスト層(不図示)とを有し、このレジスト層にレーザーピックアップユニット23からレーザー光が照射される。スリーブ基材22は、3つ爪チャッキングなどの方法によりスピンドルモーター24と接続されている。これにより、露光時のスリーブ基材22の回転数、線速度を精度良く制御して回転することができる。レーザーピックアップユニット23は、反射光をモニターしてスリーブ基材22のレジスト層(不図示)にオートフォーカスをかけてレーザー光を照射し、スリーブ基材22のレジスト層(不図示)を露光する。レーザーピックアップユニット23は、1軸制御ステージ25に搭載されている。1軸制御ステージ25は、レーザーピックアップユニット23をスリーブ基材22の回転中心を通る直線上で往復動させる機能を有する。
【0041】
チャンバー21には、バルブ26を介して不活性ガス又は還元性ガスを供給するガス供給源27が接続され、チャンバー21内に不 活性ガス又は還元性ガスを供給可能に構成されている。また、チャンバー21には、バルブ28を介してチャンバー21内の酸素を排出する真空ポンプ29が接続されており、この真空ポンプ29によりチャンバー21内の酸素を排出可能に構成されている。
【0042】
また、露光装置2は、チャンバー21内の各種ガス濃度及び減圧度を制御する制御部30を備える。この制御部30は、バルブ26及びガス供給源27とそれぞれ接続され、バルブ26のバルブ開度及びガス供給源27から供給される不活性ガス又は還元性ガスの種類及び供給量を制御する。また、制御部30は、バルブ28及び真空ポンプ29とそれぞれ接続され、バルブ28のバルブ開度及び真空ポンプ29によるチャンバー21内からの酸素排出量を制御する。
【0043】
このように、露光装置2においては、少なくともレーザー光がスリーブ基材22上に照射される位置はチャンバー21で覆われている。チャンバー21内(以下、露光室内ともいう)の酸素濃度は、制御部30により、バルブ26、ガス供給源27、バルブ28、真空ポンプ29を適宜動作させることで調整することができる。露光装置2においては、制御部20により、これらのバルブ26、ガス供給源27、バルブ28、真空ポンプ29を制御してチャンバー21内のスリーブ基材22のレジスト層の周囲の酸素を低減した状態、若しくは不活性ガスを所定の濃度とした状態(不活性雰囲気)、又は還元性ガスを所定の濃度とした状態(還元性雰囲気)で露光を行う。
【0044】
チャンバー21内の酸素濃度を調整の一例としてはバルブ26を閉じ、バルブ28を開けて真空ポンプ29によりチャンバー21内の気体(酸素)の排気を行い、チャンバー21内の圧力を低下させることで実現できる。また一度チャンバー21内を真空に引いた後、バルブ26を開いて窒素などの不活性な気体を充填することでも酸素濃度を調整することができる。また、真空ポンプ29を取り外し、バルブ26を開けて不活性気体を流入させてバルブ28を開いてチャンバー21内の酸素をチャンバー21外へ排出することでもチャンバー21内の酸素濃度を調整することができる。この場合、チャンバー21に圧力がかかることがないため非常に簡素な構造にすることができ装置の小型化等の観点から好ましい。
【0045】
本発明において、チャンバー11、21内(露光室内)の酸素濃度を下げるために用いる不活性ガスとしては、化学反応性を持たない不活性な気体であれば特に限定されず、例えば、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン等の希ガス類や窒素、二酸化炭素の無機ガスあるいは、フルオロカーボン等が挙げられる。これらのガスを単独で用いても良いし、2種以上 混合しても良い。これらの不活性ガスの中でも、窒素、二酸化炭素、ヘリウム、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン、及びフルオロカーボンからなる群から選ばれた少なくとも1つの不活性ガスが好ましく、価格や安全性、入手容易性を考えると、アルゴン、窒素、二酸化炭素からなる群から選ばれた少なくとも1つの不活性ガスがより好ましい。なお、不活性ガスの濃度範囲は、95vol%以上100vol%以下であればよく、99vol%以上100vol%以下であることが好ましく、99.5vol%以上100vol%以下であることがより好ましい。不活性ガスの濃度が高くなるにつれ酸素の濃度が低下することで、再酸化抑制効果が高くなる。
【0046】
本実施の形態に係る露光装置1、2では、平板基材12及びスリーブ基材22の回りがチャンバー11、21で覆われているので、酸素濃度を下げるため、酸素吸着 剤を用いてチャンバー11、21内(露光室内)の酸素濃度を下げてもよい。酸素吸着剤として、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルミニウム、チタン、鉄などの 金属を室温で又は加熱することで酸素吸着剤(酸素ゲッター)として吸着させても良いし、アルデヒド基を有する化合物や不飽和基を有する鎖状炭化水素系重合物などの有機系化合物でもよい。アルデヒド基を有する化合物として、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブタナール、ペンタナール、ヘキサナール等が挙げられる。また、アロース、タロース、グロース、グルコース、アルトロース、マンノース、ガラクトース、イドース、リボース、リキソース、アラビノース、アピオースなどの糖類を用いてもよい。不飽和基を有する鎖状炭化水素系重合物としては、液状ブタジエンオリゴマー、液状イソプレンオリゴマー、スクアレン、液状アセチレンオリゴマー、液状ペンタジエンオリゴマー、液状オリゴエステルアクリレート、液状ブテンオリゴマー、液状スチレンブタジエンゴム、液状ニトリルゴム、液状クロロプレンオリゴマー等の各種分子量のポリマーを挙げることができる。
【0047】
本実施の形態に係る露光装置1、2のレジスト層周囲の酸素濃度の範囲として、0vol%以上5vol%以下であればよく、0vol%以上1vol%以下が好ましく、0vol%以上0.5vol%以下であることがより好ましく、0vol%以上0.1vol%以下であることがさらに好ましく、0vol%以上0.01vol%以下であることが最も好ましい。酸素濃度が5vol%を超える場合は、レジスト材料への酸素の接触確率が高くなり再酸化が生じやすくなり、再酸化抑制効果が低い。一方、酸素濃度が下がることで、レジスト材料への酸素の接触確率が低下してより再酸化がより抑制される。しかし、大幅に酸素 濃度を下げるためには装置面でコストアップが避けられないため上記範囲の酸素濃度が好ましい範囲である。
【0048】
本発明においては、レジスト層周囲の還元性ガスを所定の濃度とした還元性雰囲気で露光してもよい。図1に示す露光装置1においては、真空ポンプ19を取り外し、バルブ16を開として還元性ガスを流入させてバルブ18を開いてチャンバー11内の酸素をチャンバー11外へ排出することでもチャンバー11内(露光室内)の還元性ガスの濃度を調整することができる。なお、図2に示す露光装置2においても同様にして還元性ガスの濃度を調整することができる。
【0049】
本発明に使用し得る還元性ガスとしては、例えば水素、一酸化炭素、二酸化硫黄、アンモニアなどの無機ガスあるいは、ホルムアルデヒド、炭素数1〜炭素数5の飽和炭化水素ガス、炭素数1〜炭素数5の不飽和炭化水素ガスや都市ガスなどでも良く、例えばメタン、エタン、エチレン、アセチレン、プロパン、プロピレン、ブタン、ブテン、ペンタン、ペンチンなどが挙げられる。もちろんこれらのガスを単独で用いても良いし、2種以上混合しても良い。これらの還元性ガスの中でも、水素、一酸化炭素、二酸化硫黄、アンモニア、ホルムアルデヒド、メタン、エタン、プロパン、ブタンといった炭素数1〜炭素数5の飽和炭化水素ガス及び炭素数1〜炭素数5の不飽和炭化水素ガスからなる群から選ばれた少なくとも1つの還元性ガスが好ましく、価格や安全性、入手容易性を考えると、水素、一酸化炭素、二酸化硫黄、メタン、エタン、プロパン、及びブタンからなる群から選ばれた少なくとも1つの還元性ガスなどが好ましい。中でも、一酸化炭素、メタンがより好ましい。
【0050】
本発明に使用し得る還元性ガスの濃度範囲として、10vol%以上100vol%以下であればよく、30vol%以上100vol%以下であることが好ましく、50vol%以上100vol%以下であることがより好ましく、80vol%以上100vol%以下であることがさらに好ましく、90vol%以上100vol%以下であることが最も好ましい。さらには、還元性ガス雰囲気に含まれる酸素の濃度を低下させることで、再酸化を効果的に抑制することが可能である。したがって、本発明においては、還元性雰囲気であり且つ、酸素の濃度が0vol%以上8vol%以下であり、0vol%以上5vol%以下であることがより好ましく、0vol%以上1vol%以下であることがさらに好ましく、0vol%以上0.1vol%以下であることが最も好ましい。以上、本発明における不活性雰囲気および還元性雰囲気について記載したが、安全上、装置上の観点から不活性雰囲気の方が好ましい。
【0051】
なお、レジスト層の周囲が不活性雰囲気及び又は還元性雰囲気であるとは、上記の通り露光装置1、2のチャンバー11、21内(露光室内)の雰囲気(不活性ガス濃度又は還元性ガス濃度)を制御することで達成できるが、レジスト層に不活性気体及び又は還元性ガスを吹き付け、局所的にレジスト層近傍の雰囲気(不活性ガス濃度又は還元性ガス濃度)を制御してもよい。
【0052】
以上、不活性雰囲気及び又は還元性雰囲気を達成するための説明を行ったが、装置のガス導入口は、用いるガスの数に応じて、複数個設けることも可能であるし、複数種類を混合したガスボンベ(混合ガスボンベ)を用いて、装置のガス導入口を1個にすることも可能である。
【0053】
レジスト層を露光するレーザーピックアップユニット13、23に用いるレーザー光の波長としては、150nm以上550nm以下が好ましい。また露光装置1、2の小型化および入手の容易さの観点からは半導体レーザーを使用することが好ましい。波長は350nm以上550nm以下であることが好ましい。波長が350nmより短い場合、レーザー光の出力が小さくなりレジスト層を露光することができない。一方、波長が550nmより長い場合、レーザー光のスポット径を500nm以下にすることが出来ず小さな露光部を形成することが出来ない。
【0054】
一方スポットサイズを小さくして小さな露光部を形成するためにはガスレーザーを使用することが好ましい。特にXeF、XeCl、KrF、ArF、Fのガスレーザーは波長が351nm、308nm、248nm、193nm、157nmと短く非常に小さなスポットサイズに集光することができるため好ましい。
【0055】
露光用レーザーとしてNd:YAGレーザーの2倍波、3倍波、4倍波を用いることができる。Nd:YAGレーザーの2倍波、3倍波、4倍波の波長はそれぞれ532nm、355nm、266nmであり、小さなスポットサイズを得ることが出来る。
【0056】
本発明に係る露光装置1、2においては、基材と、この基材上に設けられ、加熱により還元反応する熱反応型レジスト材料を含んでなるレジスト層とを有する被加工部材としての平板基材12、スリーブ基材22にレーザー光で露光する。本発明に係る露光装置1、2に使用する熱反応型レジスト材料としては、加熱により還元反応するものであって、所謂、熱リソグラフィーに使用する熱反応型レジスト材料であればよく、無機レジスト材料が好ましい。
【0057】
尚、本発明に係る露光装置1、2は、特に、加熱により還元され大気中で冷却した場合に再酸化が発生するような無機レジスト材料、例えばCuO、Co、BaOなどの無機レジスト材料を熱反応型レジスト材料に用いた被加工部材のレーザー露光する場合に有効である。
【0058】
レジスト層の膜厚としては5nm以上1μm以下が好ましい。レジスト層の膜厚が薄すぎる場合、照射されたレーザー光をレジスト層が十分に吸収できないため、還元されるのに必要な温度にまで昇温されなくなってしまう。このため露光によるパターンニングがうまくできない。レジスト層の膜厚が厚すぎる場合、厚み方向に温度分布が形成されレジスト層の上下で還元される領域が異なってしまう。このため、正確なパターンニングができない。以上のことから、レジスト層の膜厚としては5nm以上1μm以下であり、好ましくは5nm以上500nm以下で、より好ましくは5nm以上100nm以下で、最も好ましくは10nm以上100nm以下である。
【0059】
レジスト層(膜)の成膜は蒸着、スパッタリング、CVD等の気相法により行うことが好ましい。レジスト膜の組成の調整、膜厚の均一性、成膜レートの観点等からスパッタリングが特に好ましい。
【0060】
次に、上記実施の形態に係る露光装置1を用いた露光工程の概略について説明する。
まず、平板基材12をスピンドルモーター14と接続してチャンバー11内に配置する。次に、制御部20により、ガス供給源17からの不活性ガス及び還元性ガスの供給量、並びに真空ポンプ19によるチャンバー11内からの酸素の排出量を制御して、チャンバー11内を不活性雰囲気又は還元性雰囲気に制御する。次に、スピンドルモーター14により平板基材12を回転させながら、軸制御ステージ15によりレーザーピックアップユニット13を移動させて平板基材12の所定の領域にレーザー光を所定の加熱期間t1に亘って照射する。次に、チャンバー11を不活性雰囲気又は還元性雰囲気とした状態で、平板基材12のレーザー光が照射された領域を所定の冷却期間t2冷却する。最後に、冷却後の平板基材12をチャンバー11内から取り出すことにより露光工程が完了する。なお、露光装置2の動作についても同様にして露光工程を行うことができる。
【0061】
なお、上述した露光装置1を用いた露光工程においては、レーザーピックアップユニット13によるレーザー光の照射前にチャンバー11内を不活性雰囲気又は還元性雰囲気としたが、チャンバー11内の雰囲気は、少なくとも加熱によって還元された熱反応型レジスト材料の再酸化を抑制できる範囲でれば、レーザー光照射後、又はレーザー光照射中に制御してもよい。
【0062】
このように、本実施の形態に係る露光装置1、2においては、平板基材12又はスリーブ基材22のレジスト層の熱反応型レジスト材料が、レーザー光による加熱によって部分的に還元された後の冷却期間t2においても熱反応型レジスト材料の周囲の酸素濃度が低い状態、若しくは不活性ガスを所定の濃度とした状態(不活性雰囲気)、又は還元性ガスを所定の濃度とした状態(還元性雰囲気)となる。その結果、露光後の熱反応型レジスト材料の再酸化が抑制され、露光後の酸溶液やアルカリ溶液で現像する際の現像差の減少を抑制することが可能となり、微細パターンを形成することが可能となる。
【0063】
本発明においては、さらに、レジスト層と基材の間にエッチング層を設けることができる。一般に、光学材料やフィルム等では、微細パターンのアスペクト比(溝の深さを溝の開口幅で除した値)が高いものが要求され、時にはアスペクト比が10以上のものが求められることもある。しかしながら、膜厚方向の溝の深さは、レジスト層の厚さがそのまま深さ方向の溝の深さになるため、深く溝を形成するためには、レジスト層の膜厚を厚くする必要がある。しかし、膜厚が厚くなることにより、露光による膜厚方向への均一性が失われてしまい、結果として、深さ方向だけでなく、膜面方向の微細パターンの加工精度も低下してしまう。
【0064】
微細パターン形状とともに溝の深さも深くしたパターンを形成したい場合には、これらレジスト層の下に形成したい溝深さ分の厚みの膜、すなわちエッチング層を予め成膜しておき、該エッチング層の上にレジスト層を成膜した積層体を得た後、先ずはレジスト層のみを露光・現像してレジスト層にパターン形状を付与する。引き続きパターン付与されたレジスト層をマスクとして用い、下層のエッチング層に深い溝を形成する方法が考えられる。この方法を用いることで、必要に応じたアスペクト比を作製することができるため、応用面での展開を広げることができる。
【0065】
また、本発明において、エッチング層としては、レジスト層をマスクとして、フッ素系ガスを用いたドライエッチングによりエッチング処理され、所望パターンを付与される層であるため、フッ素系ガスを用いたドライエッチングで容易にエッチングされる被エッチング材料であることが好ましい。
【0066】
本発明におけるエッチング層に用いられる被エッチング材料は、特に制限はなく、例えばSi、Ta、Ge、Te、及びP並びにそれらの酸化物、窒化物、炭化物、及び硫 化物や、Mo、W、Taのシリサイド等が挙げられ、特に成膜の容易性、経時安定性、強度、コスト等の観点から、Si、Ta及びそれらの酸化物、窒化物、炭化物が好ましく、Si並びにその酸化物、窒化物、及び炭化物がさらに好ましい。エッチング層は、ドライエッチングにより異方性や等方性エッチングが可能で、なおかつ平坦性を有している、また熱反応型レジスト材料や基材との密着性が高いものが好ましい。例えばスパッタリング法を用いてエッチング層を形成した場合、平坦化には、スパッタリング時の圧力を下げることが効果的であり、密着性向上には、基板を逆スパッタ処理することや、膜の応力を低減する処理を施すことや、新たに密着層を導入することなどが効果的な方法として挙げられる。
【0067】
上記のドライエッチング工程に用いられる装置としては、真空中でドライエッチングガスが導入でき、プラズマが形成でき、エッチング処理ができるものであれば特に制限はないが、市販のドライエッチング装置、RIE装置、ICP装置などを用いることができる。ドライエッチング処理を行うガス種、時間、電力などは、熱反応型レジスト材料の種類、エッチング層の種類、エッチング層の厚み、エッチング層のエッチングレートなどによって適宜決定しうる。例えば、CF、CHF、C、C、C、C、C10、C、C10、CH、CCl、NF、SF、CFBr等のフルオロカーボンやそれらの混合ガス、さらにこれらガスにAr、O、H、N、CO等のガスを混合したものなどが挙げられる。また、必要に応じて、F以外のハロゲン系ガスであるHBr、HBr、HCl、HI、BBr、BCI、CI、SiCl等やそれらの混合ガス、さらにこれらのガスにAr、O、H、N、CO等のガスを混合したものなども用いることができる。さらに前述の熱反応型レジスト材料と被エッチング材料は、アモルファス状態または微結晶状態であることが好ましい。
【0068】
レジスト層は、成膜、露光、現像の工程を経て微細パターンを形成できるが、成膜の段階で、アモルファス状態または微結晶状態が好ましい。これは、露光部又は未露光部に粗大な結晶粒子が存在すると、現像によって溶解する部分と溶解しない部分の境界が粗大な結晶粒子に影響されて不明瞭になりやすく、明瞭で均一なパターンが得にくくなるためである。したがって、本発明において、レジスト材料は、アモルファス状態または微結晶状態であることが好ましい。なお、本発明においては、溶解する部分と溶解しない部分の境界を不明瞭で、不均一にしない程度の結晶状態を微結晶と呼ぶ。
【0069】
さらに、エッチング層においても、上記と同様の理由により、積層時の界面が不明瞭になることを防ぐために、さらにはドライエッチング時にドライエッチングされる部分とされない部分の境界が不明瞭になることを防ぐために、被エッチング材料は、アモルファス状態または微結晶状態が好ましい。この場合も、境界を不明瞭で、不均一にしない程度の結晶状態を微結晶と呼ぶ。
【0070】
本発明に係る熱反応型レジスト材料、被エッチング材料において、該アモルファス状態および微結晶状態にするため、選択された熱反応型レジスト材料、被エッチング材料に他の元素を添加してもよい。本発明において添加できる元素は、Al、Si、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Mo、Zr、Zn、Ga、Ru、Pd、Ag、Cd、Hf、Ta、W、Pt、Au、C、Bが好適であるが、その他の元素であっても微細パターンを形成する熱反応型レジスト特性やドライエッチング特性を大幅に低下させない程度の添加の場合は、特に制限はない。さらには、本発明において、レジスト特性やドライエッチング特性を大幅に低下させない程度の添加の場合は、成膜時に窒素や酸素を加えることもアモルファス状態または微結晶状態にするためには有効である。
【0071】
本発明に係るナノインプリント用モールドは、上記微細パターン形成方法により製造することができる。このナノインプリント用モールドは、例えば、露光装置1、2を用いて熱反応型レジスト材料を含んでなるレジスト層が形成された被加工部材を露光した後、現像処理をして未露光部のレジストを除去する工程を行うことにより製造することができる。現像処理においては、酸溶液、アルカリ溶液、錯形成剤などを用いることができる。酸溶液としては、塩酸、硫酸、硝酸、燐酸、酢酸、シュウ酸、フッ酸、硝酸アンモニウムなどを用いることができ、アルカリ溶液としては、水酸化ナ トリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、アンモニア、TMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)を用いることができる。錯形成剤としては、シュウ酸、エチレンジアミン4酢酸及びその塩などの溶液などの一般的な溶液を単独又は混合溶液として用いることができる。また、現像液中に過酸化水素や過酸化マンガンなどの電位 調整剤などを加えることも可能である。さらに、現像液中に界面活性剤などを添加して現像性を向上させることも可能である。また、レジスト材料によっては、まず酸現像液で 現像した後に、アルカリ現像液で現像してもよい。
【0072】
(実施例)
次に、本発明の効果を明確にするために行った実施例に基づいて本発明を詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施例及び比較例によって何ら限定されるものではない。まず、本実施例に用いた評価法について説明する。
【0073】
(LER)
LER(line edge roughness)は、パターンの乱れを表す指標で、パターンの壁面に出来た凹凸の大きさを表す。LERの導出は、現像後のレジストの表面SEM(走査型電子顕微鏡)観察を行い、得られた像をSEMI International Standardsに記載のSEMI P47−0307に従い導出した。LERの値は7nmを超えるとエッジが非常に不明瞭になり、明瞭なパターン形状が得られない。
【0074】
[実施例1]
φ2インチのガラス平板基材上にスパッタリング法により熱反応型レジスト材料であるCuOレジストを20nm成膜した。本サンプルをチャンバー内でスピンドルモーターに直結されたステージ上に中心を一致させて吸着チャッキングした。サンプルをセット後、チャンバー内を10Pa以下まで真空引きした。この時チャンバー内のO濃度は0.01vol%であった。露光には波長405nmの半導体レーザー、対物レンズのN.A.は0.85のピックアップを用いた。この時スポットサイズは430nmであった。出射されたレーザー光はサンプル表面で反射され、この反射光強度をモニターして対物レンズの位置を調整しレジスト層上でレーザー光がスポットサイズとなるようオートフォーカスをかけた。スピンドルモーターを回転させ線速度7m/sにてレーザー光をDC照射した。この時レーザー光の出力は8mW、ラジアル方向の送りピッチは250nm、スパイラル露光で幅2mmの露光を行った。
【0075】
続いて、上記露光機によって露光された熱反応型レジストの現像を行った。現像にはウエット工程による現像を適用した。現像液は水にシュウ酸アンモニウム0.3wt.%、過酸化水素0.2wt.%、界面活性剤0.1wt.%(商品名アデカトールSO−135)を添加した水溶液を用いた。現像時間は4分とした。
【0076】
このように現像された熱反応型レジスト(レジスト層)を、SEM(走査型電子顕微鏡)にて表面形状を観察したところ、下記表1に記載の通りLERが4nmで、非常にエッジが明瞭な溝形状が形成されていることを確認した。
【0077】
[実施例2]
φ2インチの平板ガラス基板上にスパッタリング法により熱反応型レジスト材料であるCuOレジストを20nm成膜した。本サンプルをチャンバー内でスピンドルモーターに直結されたステージ上に中心を一致させて吸着チャッキングした。サンプルをセット後、チャンバー内を0.1Paまで真空引きしたのち、純度99.999%のNガスを流入する操作を3回繰り返し、最終的にチャンバー内圧力を10Paとした。この時チャンバー内のO濃度は0.03vol%であった。露光には実施例1と同じピックアップを用いオートフォーカスをかけた。スピンドルモーターを回転させ線速度7m/sにてレーザー光をDC照射した。この時レーザー光の出力は8mW、ラジアル方向の送りピッチは250nm、スパイラル露光で幅2mmの露光を行った。
【0078】
続いて、上記露光機によって露光された熱反応型レジストの現像を行った。現像にはウエット工程による現像を適用した。現像は実施例1と同様に行った。
【0079】
このように現像された熱反応型レジスト(レジスト層)を、SEM(走査型電子顕微鏡)にて表面形状を観察したところ、下記表1に記載の通りLERが3nmで、非常にエッジが明瞭な溝形状が形成されていることを確認した。
【0080】
[実施例3]
φ2インチのガラス平板基材上にスパッタリング法により熱反応型レジスト材料であるCoレジストを20nm成膜した。本サンプルをチャンバー内でスピンドルモーターに直結されたステージ上に中心を一致させて吸着チャッキングした。サンプルをセット後、チャンバーに純度99.999%の窒素ガスを流入させながら真空ポンプで排気を行いチャンバー内圧力を10Paとした。1時間後、チャンバー内のO濃度は0.2vol%であった。 露光には実施例1と同じピックアップを用いオートフォーカスをかけた。スピンドルモーターを回転させ線速度7m/sにてレーザー光をDC照射した。この時レーザー光の出力は8mW、ラジアル方向の送りピッチは350nm、スパイラル露光で幅2mmの露光を行った。
【0081】
続いて、上記露光機によって露光された熱反応型レジストの現像を行った。現像にはウエット工程による現像を適用した。現像 液は3.4wt.%のシュウ酸水溶液に、過酸化水素2wt.%を添加した水溶液を用いた。現像時間は15分とした。
【0082】
このように現像された熱反応型レジスト(レジスト層)を、SEM(走査型電子顕微鏡)にて表面形状を観察したところ、下記表1に記載の通りLERが4nmで、非常にエッジが明瞭な溝形状が形成されていることを確認した。
【0083】
[実施例4]
φ2インチのガラス平板基材上にスパッタリング法により熱反応型レジスト材料であるBaOレジストを20nm成膜した。本サンプルをチャンバー内でスピンドルモーターに直結されたステージ上に中心を一致させて吸着チャッキングした。サンプルをセット後、排気用の弁を開き、チャンバーに純度99.999%の窒素ガスを 流入させて放置した。2時間後、チャンバー内のO濃度は0.09vol%であった。露光には実施例1と同じピックアップを用いオートフォーカスをかけた。スピンドルモーターを回転させ線速度7m/sにてレーザー光をDC照射した。この時レーザー光の出力は8mW、ラジアル方向の送りピッチは250nm、 スパイラル露光で幅2mmの露光を行った。
【0084】
続いて、上記露光機によって露光された熱反応型レジストの現像を行った。現像にはウエット工程による現像を適用した。現像 液はpH1の塩酸水溶液を用いた。現像時間は1分とした。
【0085】
このように現像された熱反応型レジスト(レジスト層)を、SEM(走査型電子顕微鏡)にて表面形状を観察したところ、下記表1に記載の通りLERが7nmで、非常にエッジが明瞭な溝形状が形成されていることを確認した。
【0086】
[実施例5]
φ2インチのガラス平板基材上にスパッタリング法により順にSiOを250nm、CuOレジストを20nm成膜した。本サンプルをチャンバー内でスピンドルモーターに直結されたステージ上に中心を一致させて吸着チャッキングした。サンプルをセット後、排気用の弁を開き、チャンバーに純度99.999%の窒素ガスを 流入させて放置した。2時間後、チャンバー内のO濃度は0.09vol%であった。露光には実施例1と同じピックアップを用いオートフォーカスをかけた。スピンドルモーターを回転させ線速度7m/sにてレーザー光をDC照射した。この時レーザー光の出力は8mW、ラジアル方向の送りピッチは250nm、 スパイラル露光で幅2mmの露光を行った。
【0087】
続いて、上記露光機によって露光された熱反応型レジストの現像を行った。現像にはウエット工程による現像を適用した。現像液は水にシュウ酸アンモニウム0.3wt.%、過酸化水素0.2wt.%、界面活性剤0.1wt.%(商品名アデカトールSO−135)を添加した水溶液を用いた。現像時間は4分とした。現像を行ったサンプルをSFによるドライエッチングを行った。(ドライエッチング条件)
【0088】
このようにドライエッチングされた熱反応型レジスト(レジスト層)とエッチング層を、SEM(走査型電子顕微鏡)にて表面形状を観察したところ、下記表1に記載の通りLERが5nmで、非常にエッジが明瞭な溝形状が形成されていることを確認した。
【0089】
[実施例6]
φ80mm長さ100mmのガラス円筒基板上にスパッタリング法によりCuOレジストを20nm成膜した。本サンプルをチャンバー内でスピンドルモーターに直結した。サンプルをセット後、排気用の弁を開き、チャンバーに純度99.999%の窒素ガスを流入させて放置した。2時間後、チャンバー内のO濃度は0.06vol%であった。露光には実施例1と同じピックアップを用いオートフォーカスをかけた。スピンドルモーターを回転させ線速度7m/sにてレーザー光をDC照射した。この時レーザー光の出力は8mW、円筒基材長手方向の送りピッチは250nm、スパイラル露光で幅2mmの露光を行った。
【0090】
続いて、上記露光機によって露光された熱反応型レジストの現像を行った。現像にはウエット工程による現像を適用した。現像液は水にシュウ酸アンモニウム0.3wt.%、過酸化水素0.2wt.%、界面活性剤0.1wt.%(商品名アデカトールSO−135)を添加した水溶液を用いた。現像時間は4分とした。
【0091】
このように現像された熱反応型レジストが微細構造を形成しているガラス円筒基材からUV樹脂とPETフィルムを用い微細 形状の転写を行った。転写サンプルをSEM(走査型電子顕微鏡)にて表面形状を観察したところ、下記表1に記載の通りLERが5nmで、非常にエッジが明瞭な溝形状が形成されていることを確認した。
【0092】
[実施例7]
実施例2で用いた窒素ガスをアルゴンガスに変えた以外は全て同じ条件で検討を行った。チャンバー槽内のO濃度は0.03vol%であった。
【0093】
この時、熱反応型レジスト(レジスト層)を、SEM(走査型電子顕微鏡)にて表面形状を観察したところ、下記表1に記載の通りLERが3nmで、非常にエッジが明瞭な溝形状が形成されていることを確認した。
【0094】
[実施例8]
実施例2で用いた窒素ガスをメタンに変えた以外は全て同じ条件で検討を行った。チャンバー槽内のメタン濃度は99.9vol%であった。
【0095】
この時、熱反応型レジスト(レジスト層)を、SEM(走査型電子顕微鏡)にて表面形状を観察したところ、下記表1に記載の通りLERが5nmで、非常にエッジが明瞭な溝形状が形成されていることを確認した。
【0096】
[実施例9]
φ2インチのガラス平板基材上にスパッタリング法により熱反応型レジスト材料であるCuOレジストを20nm成膜した。本サンプルをチャンバー内でスピンドルモーターに直結されたステージ上に中心を一致させて吸着チャッキングした。サンプルをセット後、排気用の弁を開き、チャンバーに還元性ガスとして純度99.9%の一酸化炭素ガスを流入させて放置した。2時間後、チャンバー内の一酸化炭素の濃度は95.5vol%であった。露光には実施例1と同じピックアップを用いオートフォーカスをかけた。スピンドルモーターを回転させ線速度7m/sにてレーザー光をDC照射した。この時レーザー光の出力は8mW、ラジアル方向の送りピッチは250nm、 スパイラル露光で幅2mmの露光を行った。
【0097】
続いて、上記露光機によって露光された熱反応型レジストの現像を行った。現像にはウエット工程による現像を適用した。現像液は水にシュウ酸アンモニウム0.3wt.%、過酸化水素0.2wt.%、界面活性剤0.1wt.%(商品名アデカトールSO−135)を添加した水溶液を用いた。現像時間は4分とした。
【0098】
このように現像された熱反応型レジスト(レジスト層)を、SEM(走査型電子顕微鏡)にて表面形状を観察したところ、下記表1に記載の通りLERが4nmで、非常にエッジが明瞭な溝形状が形成されていることを確認した。
【0099】
[比較例1]
φ2インチのガラス平板基材上にスパッタリング法によりCuOレジストを20nm成膜した。本サンプルをチャンバー内でスピンドルモーターに直結されたステージ上に中心を一致させて吸着チャッキングした。チャッキングの後大気中にて露光を行った。露光には実施例1と同じピックアップを用いオートフォーカスをかけた。スピンドルモーターを回転させ線速度7m/sにてレーザー光をDC照射した。この時レーザー光の出力は8mW、ラジアル方向の送りピッチは250nm、 スパイラル露光で幅2mmの露光を行った。
【0100】
続いて、上記露光機によって露光された熱反応型レジストの現像を行った。現像にはウエット工程による現像を適用した。現像液は水にシュウ酸アンモニウム0.3wt.%、過酸化水素0.2wt.%、界面活性剤0.1wt.%(商品名アデカトールSO−135)を添加した水溶液を用いた。現像時間は4分とした。
【0101】
このように現像された熱反応型レジスト(レジスト層)を、SEM(走査型電子顕微鏡)にて表面形状を観察したところ、下記表1に記載の通りLERが9nmで、エッジの凹凸が大きく不明瞭な溝形状が形成されていることを確認した。
【0102】
[比較例2]
φ2インチのガラス平板基材上にスパッタリング法によりCuOレジストを20nm成膜した。本サンプルをチャンバー内でスピンドルモーターに直結されたステージ上に中心を一致させて吸着チャッキングした。サンプルをセット後、チャンバー内を5×10Paまで真空引きした。この時O濃度はおよそ10vol%であった。露光には波長405nmの半導体レーザー、対物レンズのN.A.は0.85のピックアップを用いた。この時スポットサイズは430nmであった。出射されたレーザー光はサンプル表面で反射され、この反射光強度をモニターして対物レンズの位置を調整しレジスト層上でレーザー光がスポットサイズとなるようオートフォーカスをかけた。スピンドルモーターを回転させ線速度7m/sにてレーザー光をDC照射した。この時レーザー光の出力は8mW、ラジアル方向の送りピッチは250nm、スパイラル露光で幅2mmの露光を行った。
【0103】
続いて、上記露光機によって露光された熱反応型レジストの現像を行った。現像にはウエット工程による現像を適用した。現像 液は水にシュウ酸アンモニウム0.3wt.%、過酸化水素0.2wt.%、界面活性剤0.1wt.%(商品名アデカトールSO−135)を添加した水溶液を用いた。現像時間は4分とした。
【0104】
このように現像された熱反応型レジスト(レジスト層)を、SEM(走査型電子顕微鏡)にて表面形状を観察したところ、下記表1に記載の通りLERが9nmで、エッジの凹凸が大きく不明瞭な溝形状が形成されていることを確認した。
【0105】
【表1】

【0106】
表1に示すように、チャンバー内を減圧して酸素濃度を低減した場合(実施例1)、及びチャンバー内を減圧して窒素置換した場合(実施例2)、窒素を導入しながらチャンバー内の酸素を排出した場合(実施例3)の何れもLERが良好であった。また、窒素気流下で露光した場合(実施例4〜実施例6)、チャンバー内を減圧してアルゴン置換した場合(実施例7)もLERが良好であった。また、還元性ガスとして、メタンを用いた場合には、不活性ガスと同様にLERが良好であり(実施例8)、一酸化炭素気流下で露光した場合には、不活性ガスを用いた実施例1〜実施例7の場合と比較して、相対的に酸素濃度が高かったがLERは良好であった(実施例9)。これは、一酸化炭素により、レジスト材料の酸化が抑制されたためと考えられる。一方、酸素濃度が高い場合には、LERが増大した。これは、露光後の冷却期間において、露光部のレジスト材料が酸化されたため、現像差が 低減したためと考えられる(比較例1及び比較例2)。
【0107】
以上説明したように、上記実施の形態に係る露光装置1、2によれば、被加工部材のレジスト層の近傍の酸素濃度の低減又は還元性ガス濃度を所定範囲とすることにより、レーザー光照射後のレジスト層の再酸化を抑制できるので、露光後においても良好な微細パターンを形成することが可能となる。これにより、1μm以下の周期的な溝や穴を正確に形成できるので、ワイヤグリッド偏光子やモスアイ型反射防止膜等の光学デバイスの形成が可能となる。
【0108】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。上記実施の形態において、添付図面に図示されている大きさや形状などについては、これに限定されず、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0109】
本発明は、露光後の熱反応型レジストの再酸化を抑制でき、現像差の減少を抑制して微細な露光パターンを正確に形成できるという効果を有し、特に、1μm以下の周期的な溝や穴を有するワイヤグリッド偏光子や、モス型反射防止膜等の光学デバイスの形成に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0110】
1、2 露光装置
11、21 チャンバー
12 平板基材
13、23 レーザーピックアップユニット
14、24 スピンドルモーター
15、25 1軸制御ステージ
16、18、26、28 バルブ
17、27 ガス供給源
19、29 真空ポンプ
20、30 制御部
22 スリーブ基材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上に設けられ、加熱により還元反応する熱反応型レジスト材料を含んでなるレジスト層にパターンを形成する微細パターン 形成方法であって、
前記レジスト層の所定の領域を加熱還元する加熱期間と、不活性雰囲気下又は還元性雰囲気下において、前記レジスト層の前記所定の領域を冷却する冷却期間と、を含む還元工程と、前記レジスト層を現像する現像工程と、を具備することを特徴とする微細パターン形成方法。
【請求項2】
前記冷却期間において、前記不活性雰囲気として、前記レジスト層近傍の酸素濃度が、0vol%から5vol%の範囲となるようにすることを特徴とする請求項1記載の微細パターン形成方法。
【請求項3】
前記冷却期間において、前記不活性雰囲気として、前記レジスト層近傍の不活性ガス濃度が、95vol%から100vol%の範囲となるようにすることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の微細パターン形成方法。
【請求項4】
前記不活性ガスが、窒素、二酸化炭素、ヘリウム、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン、及びフルオロカーボンからなる群から選択された少なくとも1つであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の微細パターン形成方法。
【請求項5】
前記冷却期間において、前記還元性雰囲気として前記レジスト層近傍の還元性ガス濃度が10vol%から100vol%の範囲となるようにすることを特徴とする請求項1記載の微細パターン形成方法。
【請求項6】
前記冷却期間において、前記還元性雰囲気として前記レジスト層近傍の還元性ガス濃度が10vol%から100vol%の範囲であり、かつ酸素濃度が0vol%から8vol%の範囲とすることを特徴とする請求項1記載の微細パターン形成方法。
【請求項7】
前記還元性ガスが、水素、一酸化炭素、二酸化硫黄、アンモニア、ホルムアルデヒド、炭素数1〜炭素数5の飽和炭化水素ガス、及び炭素数1〜炭素数5の不飽和炭化水素ガスからなる群から選択された少なくとも1つであることを特徴とする請求項5又は請求項6記載の微細パターン形成方法。
【請求項8】
前記熱反応型レジスト材料が無機レジスト材料であることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載の微細パターン形成方法。
【請求項9】
前記基材がロール状又は平板状であることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれかに記載の微細パターン形成方法。
【請求項10】
基材と、前記基材上に設けられ、加熱により還元反応する熱反応型レジスト材料を含んでなるレジスト層と、を有する被加工材料に微細パターンを形成する露光装置であって、前記被加工材料を収容する露光室と、前記露光室内の前記被加工材料の前記レジスト層の所定の領域にレーザー光を照射する照射部と、前記露光室内の酸素を排出する排気手段と、前記排気手段により前記露光室内の酸素濃度を制御する制御部とを具備し、前記被加工材料の前記レジスト層の所定の領域にレーザー光を照射してから、所定の冷却期間、前記露光室内を減圧して酸素濃度を0vol%から5vol%の範囲とすることを特徴とする露光装置。
【請求項11】
基材と、前記基材上に設けられ、加熱により還元反応する熱反応型レジスト材料を含んでなるレジスト層と、を有する被加工材料に微細パターンを形成する露光装置であって、前記被加工材料を収容する露光室と、前記露光室内の前記被加工材料の前記レジスト層の所定の領域にレーザー光を照射する照射部と、前記露光室内の酸素を排出する排気手段と、前記露光室内に不活性ガス又は還元性ガスを供給するガス供給部と、前記排気手段及び前記ガス供給部により前記露光室内の酸素濃度を制御する制御部とを具備し、前記被加工材料の前記レジスト層の所定の領域にレーザー光を照射してから、所定の冷却期間、前記露光室内を不活性雰囲気又は還元性雰囲気にすることを特徴とする露光装置。
【請求項12】
酸素吸着剤を用いて前記露光室内の酸素濃度を低減することすることを特徴とする請求項10又は請求項11記載の露光装置。
【請求項13】
請求項1から請求項9のいずれかに記載の微細パターン形成方法を用いて得られたことを特徴とするナノインプリント用モールド。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−49177(P2012−49177A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−187230(P2010−187230)
【出願日】平成22年8月24日(2010.8.24)
【出願人】(000000033)旭化成株式会社 (901)
【Fターム(参考)】