微細構造シート製造方法及び装置
【課題】表面に規則的な微細凹凸パターンを正確に形成することができる微細構造シート製造方法及び装置を提供する。
【解決手段】基材シートWの表面に紫外線硬化樹脂Rを塗布し、パターンローラ30に密着させて、紫外線を照射することにより、基材シートWの表面に微細凹凸パターンを転写形成する場合において、ニップ点における紫外線硬化樹脂の粘度を10mPa・s以上、100mPa・s以下にするとともに、パターンローラ30に対する紫外線硬化樹脂の接触角を40°以下にする。これにより、ニップ時にパターンローラ30の各凹部に空気が入り込むのを防止でき、パターンローラ30の表面に形成された凹凸の形状を正確に基材シートに転写することができる。
【解決手段】基材シートWの表面に紫外線硬化樹脂Rを塗布し、パターンローラ30に密着させて、紫外線を照射することにより、基材シートWの表面に微細凹凸パターンを転写形成する場合において、ニップ点における紫外線硬化樹脂の粘度を10mPa・s以上、100mPa・s以下にするとともに、パターンローラ30に対する紫外線硬化樹脂の接触角を40°以下にする。これにより、ニップ時にパターンローラ30の各凹部に空気が入り込むのを防止でき、パターンローラ30の表面に形成された凹凸の形状を正確に基材シートに転写することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微細構造シート製造方法及び装置に係り、特に表面に規則的な微細凹凸パターンが形成された凹凸状シートを連続的に製造する微細構造シート製造方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
表面に規則的な微細凹凸パターンが形成された微細構造シートとして、集光シートや拡散シートなどが知られている。
【0003】
このような凹凸状シートは、連続走行される基材シートの表面に紫外線硬化樹脂を塗布し、この基材シートを規則的な凹凸パターンが形成されたパターンローラとニップローラとで挟むことにより、パターンローラの凹凸パターンを樹脂に転写させ、この状態で基材シートに紫外線を照射して樹脂を硬化させた後、基材シートをパターンローラから剥離させることにより製造される(たとえば、特許文献1〜3参照)。
【0004】
このような方法で製造される微細構造シートは、パターンローラの表面に形成する凹凸のパターンによって、その表面に形成される凹凸パターンを種々の形状パターンに変えることができる。たとえば、軸と平行なV字状の溝を周方向に一定ピッチで形成すると、シート表面には、幅方向に一様な断面三角形状の凸部がシートの長手方向に沿って一定ピッチで形成される。また、四角錐状(ピラミッド状)の凹部を軸方向及び周方向に一定ピッチで形成すると、シート表面には、図3及び図4に示すように、四角錐状の凸部が幅方向及び長手方向に規則的に形成される。
【特許文献1】特開平11−262958号公報
【特許文献2】特開平11−300768号公報
【特許文献3】特開2006−327055号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、四角錐状の凹部が軸方向及び周方向に一定ピッチで形成されたパターンローラの場合、ニップ時にパターンローラの各凹部に空気が入り込むと、凹部の形状を樹脂に正確に転写することができないという欠点がある。すなわち、このようなパターンローラの場合、凹部に空気の逃げ場がないため、一度凹部内に空気が入り込むと、空気が凹部内に残存し、この結果、凹部内に樹脂を満たすことができなくなり(空気を樹脂で置換できなくなり)、図13に示すように、頂部が欠損した形状の凸部が形成されるという問題が生じていた。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、表面に規則的な微細凹凸パターンを正確に形成することができる微細構造シート製造方法及び装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、前記目的を達成するために、帯状可撓性の基材シートの表面に放射線硬化樹脂を塗布し、ニップローラを介して該基材シートの表面をパターンローラに密着させ、該パターンローラに密着された状態の基材シートに放射線を照射して、その表面に塗布された前記放射線硬化樹脂を硬化させた後、剥離ローラを介して前記放射線硬化樹脂が硬化した基材シートを前記パターンローラから剥離して、表面に微細凹凸パターンが形成された微細構造シートを連続的に製造する微細構造シート製造方法であって、前記パターンローラの表面に所定形状の凹部が幅方向及び周方向に一定ピッチで形成されている場合において、前記基材シートの表面を前記ニップローラを介して前記パターンローラに密着させる際、前記基材シートの表面に塗布されている前記放射線硬化樹脂の粘度を10mPa・s以上、100mPa・s以下にするとともに、前記パターンローラに対する前記放射線硬化樹脂の接触角を40°以下にすることを特徴とする微細構造シート製造方法を提供する。
【0008】
請求項1に係る発明によれば、基材シートの表面に塗布された放射線硬化樹脂の粘度が10mPa・s以上、100mPa・s以下、パターンローラに対する接触角が40°以下の状態にされて、基材シートがニップローラを介してパターンローラに密着(ニップ)される。これにより、表面に所定形状の凹部が幅方向及び周方向に一定ピッチで形成されたパターンローラを用いた場合であっても、ニップ時にパターンローラの各凹部に空気が入り込むのを防止でき、パターンローラの表面に形成された凹凸の形状を正確に基材シートに転写することができる。すなわち、放射線硬化樹脂の粘度を下げて流動性を高くするとともに、パターンローラに対する放射線硬化樹脂の接触角を小さくして濡れ性を上げることにより、ニップ時にパターンローラの各凹部に空気が流入するのを有効に防止でき、パターンローラの各凹部に放射線硬化樹脂を満たすことができる(凹部内の空気を樹脂で置換することができる)。これにより、パターンローラの表面に形成された凹凸の形状を基材シートの表面に塗布された放射線硬化樹脂に正確に転写することができる。
【0009】
請求項2に係る発明は、前記目的を達成するために、前記ニップローラを介して前記パターンローラに密着される直前の前記基材シートの表面に熱風を吹き付けることにより、前記放射線硬化樹脂の粘度を10mPa・s以上、100mPa・s以下にすることを特徴とする請求項1に記載の微細構造シート製造方法を提供する。
【0010】
請求項2に係る発明によれば、ニップローラを介してパターンローラに密着される直前の基材シートの表面に熱風を吹き付けることにより、放射線硬化樹脂の粘度が、10mPa・s以上、100mPa・s以下にされる。
【0011】
請求項3に係る発明は、前記目的を達成するために、前記パターンローラ及び/又はニップローラを加熱することにより、前記放射線硬化樹脂の粘度を10mPa・s以上、100mPa・s以下にすることを特徴とする請求項1に記載の微細構造シート製造方法を提供する。
【0012】
請求項3に係る発明によれば、パターンローラ及び/又はニップローラを加熱することにより、ニップ時における放射線硬化樹脂の粘度が、10mPa・s以上、100mPa・s以下にされる。
【0013】
請求項4に係る発明は、前記目的を達成するために、前記パターンローラに親水化処理剤を塗布することにより、前記パターンローラに対する前記放射線硬化樹脂の接触角を40°以下にすることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の微細構造シート製造方法を提供する。
【0014】
請求項4に係る発明によれば、パターンローラに親水化処理剤を塗布することにより、パターンローラに対する放射線硬化樹脂の接触角が40°以下にされる。
【0015】
請求項5に係る発明は、前記目的を達成するために、前記パターンローラに放射線を照射することにより、前記パターンローラに対する前記放射線硬化樹脂の接触角を40°以下にすることを特徴とする請求項1、2、3又は4に記載の微細構造シート製造方法を提供する。
【0016】
請求項5に係る発明によれば、パターンローラに放射線を照射することにより、パターンローラに対する放射線硬化樹脂の接触角が40°以下にされる。
【0017】
請求項6に係る発明は、前記目的を達成するために、帯状可撓性の基材シートの表面に放射線硬化樹脂を塗布し、ニップローラを介して該基材シートの表面をパターンローラに密着させ、該パターンローラに密着された状態の基材シートに放射線を照射して、その表面に塗布された前記放射線硬化樹脂を硬化させ、剥離ローラを介して前記放射線硬化樹脂が硬化した基材シートを前記パターンローラから剥離して、表面に微細凹凸パターンが形成された微細構造シートを連続的に製造する微細構造シート製造装置において、表面に所定形状の凹部が幅方向及び周方向に一定ピッチで形成されるとともに、その表面に親水化処理剤が塗布された前記パターンローラと、前記ニップローラを介して前記パターンローラに密着される基材シートを加熱して、該基材シートの表面に塗布された前記放射線硬化樹脂の粘度を低下させる加熱手段と、を備えたことを特徴とする微細構造シート製造装置を提供する。
【0018】
請求項6に係る発明によれば、パターンローラの表面に親水化処理剤が塗布されるとともに、ニップローラを介してパターンローラに密着される基材シートが加熱手段によって加熱される。このように、パターンローラの表面に親水化処理剤を塗布することにより、パターンローラに対する放射線硬化樹脂の接触角を小さくして濡れ性を上げることができる。また、ニップローラを介してパターンローラに密着される基材シートを加熱することにより、ニップ時における放射線硬化樹脂の粘度を低くして流動性を高くすることができる。そして、このように放射線硬化樹脂の粘度を低くして流動性を上げ、かつ、ニップロールに対する接触角を小さくして濡れ性を上げることにより、ニップ時にパターンローラの各凹部に空気が流入するのを有効に防止でき、パターンローラの各凹部に放射線硬化樹脂を満たすことができる。これにより、パターンローラの表面に形成された凹凸の形状を基材シートの表面に塗布された放射線硬化樹脂に正確に転写することができる。
【0019】
請求項7に係る発明は、前記目的を達成するために、帯状可撓性の基材シートの表面に放射線硬化樹脂を塗布し、ニップローラを介して該基材シートの表面をパターンローラに密着させ、該パターンローラに密着された状態の基材シートに放射線を照射して、その表面に塗布された前記放射線硬化樹脂を硬化させ、剥離ローラを介して前記放射線硬化樹脂が硬化した基材シートを前記パターンローラから剥離して、表面に微細凹凸パターンが形成された微細構造シートを連続的に製造する微細構造シート製造装置において、表面に所定形状の凹部が幅方向及び周方向に一定ピッチで形成された前記パターンローラと、前記パターンローラの表面に放射線を照射して、該パターンローラに対する前記放射線硬化樹脂の濡れ性を向上させる放射線照射手段と、前記ニップローラを介して前記パターンローラに密着される基材シートを加熱して、該基材シートの表面に塗布された前記放射線硬化樹脂の粘度を低下させる加熱手段と、を備えたことを特徴とする微細構造シート製造装置を提供する。
【0020】
請求項7に係る発明によれば、パターンローラの表面に放射線が照射されるとともに、ニップローラを介してパターンローラに密着される基材シートが加熱手段によって加熱される。このように、パターンローラの表面に放射線を照射することにより、パターンローラの表面が活性化され、パターンローラに対する放射線硬化樹脂の接触角を小さくして濡れ性を上げることができる。また、ニップローラを介してパターンローラに密着される基材シートを加熱することにより、ニップ時における放射線硬化樹脂の粘度を低くして流動性を高くすることができる。そして、このように放射線硬化樹脂の粘度を低くして流動性を上げ、かつ、ニップロールに対する接触角を小さくして濡れ性を上げることにより、ニップ時にパターンローラの各凹部に空気が流入するのを有効に防止でき、パターンローラの各凹部に放射線硬化樹脂を満たすことができる。これにより、パターンローラの表面に形成された凹凸の形状を基材シートの表面に塗布された放射線硬化樹脂に正確に転写することができる。
【0021】
請求項8に係る発明は、前記目的を達成するために、前記加熱手段は、前記ニップローラを介して前記パターンローラに密着される直前の前記基材シートの表面に熱風を吹き付ける手段であることを特徴とする請求項6又は7に記載の微細構造シート製造装置を提供する。
【0022】
請求項8に係る発明によれば、ニップローラを介してパターンローラに密着される直前の基材シートの表面に熱風を吹き付けることによって、基材シートの表面に塗布された放射線硬化樹脂が加熱され、その粘度が下げられる。
【0023】
請求項9に係る発明は、前記目的を達成するために、前記加熱手段は、前記ニップローラ又は前記パターンローラを加熱する手段であることを特徴とする請求項6又は7に記載の微細構造シート製造装置を提供する。
【0024】
請求項9に係る発明によれば、ニップローラ又はパターンローラを加熱することによって、基材シートの表面に塗布された放射線硬化樹脂が加熱され、その粘度が下げられる。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係る微細構造シート製造方法及び装置によれば、表面に規則的な微細凹凸パターンを正確に形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、添付図面に従って本発明に係る微細構造シート製造方法及び装置を実施するための最良の形態について説明する。
【0027】
図1は、本発明に係る微細構造シート製造装置の一実施形態の概略構成図である。
【0028】
同図に示すように本実施の形態の微細構造シート製造装置10は、基材シートWを供給する供給部12、基材シートWの表面に紫外線硬化樹脂Rを塗布する塗布部14、基材シートWの表面に塗布された紫外線硬化樹脂Rを乾燥させる乾燥部16、基材シートWの表面に塗布された紫外線硬化樹脂Rに微細凹凸パターンを転写する転写部18、基材シートWの表面に形成された微細凹凸パターンの欠陥検査を行う欠陥検査部20、基材シートWの表面に保護フィルムを供給する保護フィルム供給部22、製造された微細構造シートを巻き取る巻取部24で構成されている。各部の間には、ガイドローラG、G、…が配置されており、供給部12から繰り出された基材シートWは、このガイドローラG、G、…によってガイドされながら各部に搬送され、その搬送過程で各部において連続的に各種処理が施されて、表面に微細凹凸パターンが形成される。
【0029】
基材シートWは、ロール状に巻回されて供給部12にセットされ、供給部12から順次繰り出される。
【0030】
供給部12と塗布部14との間には、第1のサクションドラム26が設けられている。この第1のサクションドラム26は、基材シートWを吸引保持するとともに、所定の周速度で回転駆動することにより、基材シートWを連続走行させる手段である。なお、基材シートWの吸引保持は、ドラムの外周面に形成された多数の孔からの吸引による構成でもよく、ドラムの外周面に形成された複数の溝により保持する構成(グルーブドサクションドラム)でもよい。
【0031】
第1のサクションドラム26の下流には、除塵機28が設けられており、基材シートWは、この除塵機28を通過する過程で、その表面に付着している塵埃等が取り除かれる。なお、除塵機28には、図示のように、粘着ローラに基材シートWを巻き掛ける形式のもの他、静電除塵された乾燥エアを吹き付ける形式のもの等、各種公知の形式の除塵機を採用することができる。
【0032】
塗布部14は、搬送される基材シートWの表面に連続的に紫外線硬化樹脂Rを塗布する。この塗布部14は、紫外線硬化樹脂Rを供給する液供給源(不図示)と、液供給装置(不図示)と、塗布ヘッド14Cと、塗布の際に基材シートWを巻き掛けて支持する支持ローラ14Dと、液供給源より塗布ヘッド14Cまで紫外線硬化樹脂Rを供給するための図示しない配管等により構成される。なお、塗布ヘッド14Cとしては、ダイコータ(エクストルージョン方式のコータ)の塗布ヘッドが採用されている。
【0033】
乾燥部16は、塗布部14で塗布された紫外線硬化樹脂Rを乾燥させ、溶剤分を蒸発させる。この乾燥部16は、4つのトンネル状の乾燥装置16A〜16Dを備えており、この4つの乾燥装置16A〜16Dを通過する過程で基材シートWは、その表面に塗布された紫外線硬化樹脂Rが乾燥され、溶剤分が蒸発する。
【0034】
なお、乾燥部16は、基材シートWに塗布された紫外線硬化樹脂Rを均一に乾燥させることができるものであれば、公知の各種方式のものを採用することができる。たとえば、ヒータによる輻射加熱方式のものや、熱風循環方式のもの、遠赤外線方式のもの、真空方式のもの等を採用してもよい。
【0035】
なお、本実施の形態において、各乾燥装置16A〜16Dは、個別に温度設定ができるようにされている。
【0036】
転写部18は、紫外線硬化樹脂Rが塗布された基材シートの表面にパターンローラを密着させ、その状態で基材シートに紫外線を照射することにより、そのパターンローラの表面に形成された凹凸パターンを紫外線硬化樹脂Rに転写させる。この転写部18は、図2に示すように、パターンローラ30、ニップローラ32、硬化用紫外線照射装置34、剥離ローラ36、加熱装置38、活性化用紫外線照射装置40等で構成される。
【0037】
パターンローラ30は、その外周面(表面)に規則的な微細凹凸パターンが形成されている。基材シートWに塗布された紫外線硬化樹脂Rには、このパターンローラ30の表面に形成された微細凹凸パターンが転写される。したがって、このパターンローラ30の表面に形成される微細構造パターンは、製造する微細構造シートに対応して形成され、その微細構造シートの表面に形成される微細凹凸パターンを反転した形状とされる。
【0038】
ここで、本実施の形態の微細構造シート製造装置10では、図3、図4に示すように、表面に四角錐状(ピラミッド状)の凸部が幅方向及び長手方向に規則的に配列された微細構造シートを製造するものとする(図3は図4を拡大した図)。このような微細構造シートは、たとえば平板レンズに用いられる。
【0039】
この場合、図5に示すように、パターンローラ30の表面には、これに対応した四角錐状(ピラミッド状)の凹部30Aが幅方向及び周方向に一定ピッチで規則的に形成される。
【0040】
なお、このようなパターンローラ30は、表面の微細凹凸パターンの精度、機械的強度、真円度等を有することが求められる。このため、金属製とすることが好ましい。
【0041】
また、パターンローラ30の外周面に形成する微細凹凸パターンの形成方法としては、パターンローラ30の表面にフォトエッチング、電子線描画、レーザー加工等で直接凹凸を形成する方法を採用することができる。
【0042】
また、薄い金属製の板状体の表面にフォトエッチング、電子線描画、レーザー加工、光造形法等で凹凸を形成し、この板状体をローラの周囲に巻き付けて固定することにより、パターンローラ30を形成することもできる。
【0043】
この他、金属より加工しやすい素材の表面にフォトエッチング、電子線描画、レーザー加工、光造形法等で凹凸を形成し、この形状の反転型を電鋳等により形成して薄い金属製の板状体を作成し、この板状体をローラの周囲に巻き付けて固定することにより、パターンローラ30を形成することもできる。特に反転型を電鋳等により形成する場合には、1つの原盤(マザー)より複数の同一形状の板状体が得られるという特長がある。
【0044】
また、パターンローラ30は、基材シートWの走行に同期して回転駆動することが好ましい。本実施の形態では、図示しない回転駆動手段に駆動されて、パターンローラ30は、図示の矢印方向(時計方向(CW))に回転する。
【0045】
ニップローラ32は、パターンローラ30と対になって基材シートWを押圧しながらローラ成形加工するもので、所定の機械的強度、真円度等を有することが求められる。このニップローラ32は、その表面の縦弾性係数(ヤング率)が小さ過ぎると、ローラ成形加工が不十分となり、大き過ぎると、ゴミ等の異物の巻き込みに敏感に反応し欠点が生じやすくなることから、表面の縦弾性係数を適宜な値にすることが好ましい。
【0046】
なお、ニップローラ32は、基材シートWの走行に同期して回転駆動することが好ましい。本実施の形態では、図示しない回転駆動手段に駆動されて、ニップローラ32は、図示の矢印方向(反時計方向(CCW))に回転する。
【0047】
また、パターンローラ30とニップローラ32との間に所定の挟圧力を付与するべく、パターンローラ30とニップローラ32のいずれかに加圧手段を設けることが好ましい。
【0048】
同様にパターンローラ30とニップローラ32との隙間(クリアランス)を正確に制御できるような微調整手段を、パターンローラ30とニップローラ32のいずれかに設けることが好ましい。
【0049】
硬化用紫外線照射装置34は、ニップローラ32の下流側においてパターンローラ30に対向して設けられ、パターンローラ30に密着された状態の基材シートWに対して紫外線を照射する。この硬化用紫外線照射装置34から照射された紫外線は、基材シートWを透過して、その表面に塗布された樹脂層を硬化させる。
【0050】
このような硬化用紫外線照射装置34としては、たとえば、基材シートWの幅と略同一長さの円柱状の紫外線ランプを採用することができる。また、この円柱状の紫外線ランプを複数本平行に設けることもでき、この紫外線ランプの背面に反射板を設けることもできる。
【0051】
なお、硬化用紫外線照射装置34は、基材シートWの表面に塗布された樹脂の硬化特性に応じた波長の紫外線を照射できるものとし、基材シートWの搬送速度に応じた量の紫外線を照射できるようにすることが好ましい。
【0052】
また、パターンローラ30の表面の微細凹凸パターンが基材シートWの表面に転写形成される前の塗布層に紫外線が照射されないようにすることが好ましい。
【0053】
剥離ローラ36は、パターンローラ30と対になってパターンローラ30から基材シートWを剥離させるもので、所定の機械的強度、真円度等を有することが求められる。剥離箇所において、パターンローラ30の周面上に巻き掛けられた基材シートWを回転するパターンローラ30と剥離ローラ36とで挟みながら、基材シートWをパターンローラ30から剥離させて剥離ローラ36に巻き掛ける。この動作を確実に行うため、剥離ローラ36を回転駆動することが好ましい。本実施の形態では、図示しない回転駆動手段に駆動されて、剥離ローラ36は、図示の矢印方向(反時計方向(CCW))に回転する。
【0054】
なお、硬化により樹脂等の温度が上昇するような場合には、剥離時に剥離ローラ36に冷却手段を設け、基材シートWを冷却させて剥離する構成としてもよい。
【0055】
また、図示は省略したが、パターンローラ30のニップ点(本実施の形態では3時の位置)から剥離点(本実施の形態では9時の位置)までの間に複数のバックアップローラを対向して設け、この複数のバックアップローラとパターンローラ30とで基材シートWを押圧しながら硬化処理を行う構成としてもよい。
【0056】
加熱装置38は、熱風を噴射する手段によって構成されており、パターンローラ30に密着される直前の基材シートWの表面に熱風を吹き付けて、ニップ点(パターンローラ30とニップローラ32とで挟圧される地点)における紫外線硬化樹脂Rを加熱する。この加熱装置38は、ニップ点における紫外線硬化樹脂Rの粘度を低下させる目的で設置されており、加熱により粘度を低下させて、基材シートWの表面に塗布された紫外線硬化樹脂Rの流動性を高めている。
【0057】
このようにニップ点における紫外線硬化樹脂Rの流動性を高めることにより、ニップ時にパターンローラ30の各凹部30A、30A、…に空気が入り込むのを防止でき、パターンローラ30の微細凹凸パターンを正確に紫外線硬化樹脂Rに転写することができる(凹部30A、30A、…内の空気を紫外線硬化樹脂Rで置換することができる。)。そして、このような効果を奏させるためには、ニップ点における紫外線硬化樹脂Rの粘度を10mPa・s以上、100mPa・s以下にする。したがって、加熱装置38は、ニップ点における紫外線硬化樹脂Rの粘度が、10mPa・s以上、100mPa・s以下になるように、その熱風の噴射が制御される。
【0058】
活性化用紫外線照射装置40は、剥離ローラ36の下流側においてパターンローラ30に対向して設けられ、パターンローラ30の表面(外周面)に紫外線を照射する。この活性化用紫外線照射装置40は、パターンローラ30の表面を活性化させることにより、パターンローラ30に対する紫外線硬化樹脂Rの接触角を小さくして、濡れ性を上げる目的で設置される。
【0059】
このようにパターンローラ30に対する紫外線硬化樹脂Rの濡れ性を上げることにより、ニップ時にパターンローラ30の各凹部30A、30A、…に空気が入り込むのを防止でき、パターンローラ30の微細凹凸パターンを正確に紫外線硬化樹脂Rに転写することができる。そして、このような効果を奏させるためには、ニップ点において、パターンローラ30に対する紫外線硬化樹脂Rの接触角が40°以下になるようにする。なお、ここでの接触角は、パターンローラ30と同じ構造、処理の板の上に紫外線硬化樹脂Rを滴下して測定したときの値として定義される。
【0060】
なお、このような活性化用紫外線照射装置40としては、上記硬化用紫外線照射装置34と同様に、たとえば、基材シートWの幅と略同一長さの円柱状の紫外線ランプを採用することができる。また、この円柱状の紫外線ランプを複数本平行に設けることもでき、この紫外線ランプの背面に反射板を設けることもできる。
【0061】
また、活性化用紫外線照射装置40は、パターンローラ30の活性化に必要な波長の紫外線を照射できるものとし、パターンローラ30の回転速度に応じた量の紫外線を照射できるようにすることが好ましい。
【0062】
また、パターンローラ30の表面の微細凹凸パターンが基材シートWの表面に転写形成される前の塗布層に紫外線が照射されないようにすることが好ましい。
【0063】
転写部18は以上のように構成される。基材シートWは、この転写部18を搬送される過程で、その表面に塗布された紫外線硬化樹脂Rに微細凹凸パターンが連続的に転写形成される。この作用は次のとおりである。
【0064】
乾燥部16を通過した基材シートWは、ニップローラ32を介してパターンローラ30に密着される。
【0065】
この際、基材シートWは、加熱装置38から熱風が吹き付けられ、表面に塗布された紫外線硬化樹脂Rが加熱される。これにより、紫外線硬化樹脂Rの粘度が下げられ、流動性が高める。
【0066】
一方、この基材シートWが密着されるパターンローラ30は、活性化用紫外線照射装置40から紫外線が照射されて、その表面が活性化される。これにより、パターンローラ30に対する紫外線硬化樹脂Rの接触角が下げられ、濡れ性が上げられる。
【0067】
このように、ニップ点における紫外線硬化樹脂Rの流動性を高め、パターンローラ30に対する紫外線硬化樹脂Rの濡れ性を上げることにより、ニップ時にパターンローラ30の各凹部30Aに空気が流入するのを防止できる。
【0068】
ニップローラ32を介してパターンローラ30に密着された基材シートWは、そのパターンローラ30に密着された状態のまま搬送され、硬化用紫外線照射装置34から紫外線が照射される。これにより、表面に塗布された紫外線硬化樹脂Rが硬化する。
【0069】
紫外線硬化樹脂Rが硬化した基材シートWは、剥離ローラ36を介してパターンローラ30から剥離され、次工程へと搬送される。
【0070】
このように本実施の形態の微細構造シート製造装置の転写部18では、空気の流入を防止して基材シートWをパターンローラに密着させるので、パターンローラ表面の微細凹凸パターンを正確に紫外線硬化樹脂Rに転写することができる。
【0071】
転写部18で表面に微細凹凸パターンが形成された基材シートWは、欠陥検査部20に搬送される。
【0072】
欠陥検査部20は、基材シートWの表面に形成された微細凹凸パターンの欠陥を検査する。この欠陥検査部20は、各種公知の検査装置を用いることができる。たとえば、基材シートWの表面を電子カメラで撮像し、得られた画像を解析することにより、欠陥を検査する装置を用いることができる。
【0073】
欠陥検査部20の下流側には、基材シートWの張力を制御するためのダンサーローラユニット50が設けられている。このダンサーローラユニット50は、一対の固定ローラ50A、50Aと、その一対の固定ローラ50A、50Aの間に設けられた移動ローラ50Bとによって構成されている。そして、移動ローラ50Bの昇降動作により基材シートWの張力が制御されるようになっている。
【0074】
ダンサーローラユニット50の下流側には、第2のサクションドラム52が設けられている。この第2のサクションドラム52は、前記第1のサクションドラム26と同様に、基材シートWを吸引保持するとともに、所定の周速度で回転駆動することにより、基材シートWを連続走行させる。
【0075】
第2のサクションドラム52の下流側には、エッジ位置制御装置(エッジポジションコントローラ)54が設けられている。このエッジ位置制御装置54は、連続走行している基材シートWの幅方向の端部位置を検出して基材シートWの幅方向位置を制御する。
【0076】
このエッジ位置制御装置54は、一対の固定ローラ54A、54Bと、その一対の固定ローラ54A、54Bの間に設けられた一対の傾斜ローラ54C、54Dによって構成され、図示しないエッジ位置センサ(たとえば、レーザ方式の位置センサ)の検出結果に基づいて、基材シートWの幅方向位置が正規の位置になるように、傾斜ローラ54C、54Dを傾斜させることにより、基材シートWの幅方向位置を制御する。
【0077】
エッジ位置制御装置54の下流側には巻取部24が設けられており、製造された微細構造シートは、この巻取部24でロール状に巻き取られて回収される。
【0078】
保護フィルム供給部22は、この巻取部24に隣接して設けられており、巻取部24に巻き取られる微細構造シートの表面に保護フィルムHを供給する。微細構造シートは、この保護フィルム供給部22から供給される保護フィルムHが、表面に重ねられた状態でロール状に巻き取られる。
【0079】
本実施の形態の微細構造シート製造装置10は以上のように構成される。
【0080】
次に、本発明に適用される各材料について説明する。基材シートWとしては、樹脂フィルム、紙(レジンコーティッド紙、合成紙、等)、金属箔(アルミニウムウェブ等)等を使用できる。樹脂フィルムの材質としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリエステル、ポリオレフィン、アクリル、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアミド、PET(ポリエチレンテレフタレート)、二軸延伸を行ったポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミドイミド、ポリイミド、芳香族ポリアミド、セルロースアシレート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースダイアセテート等の公知のものが使用できる。これらのうち、特に、ポリエステル、セルロースアシレート、アクリル、ポリカーボネート、ポリオレフィンが好ましく使用できる。
【0081】
基材シートWの幅としては、0. 1〜3mが、基材シートWの長さとしては、100〜10000mが、基材シートWの厚さとしては、1〜300μmのものがそれぞれ一般的に採用される。ただし、これ以外のサイズの適用も妨げられるものではない。
【0082】
これらの基材シートWは、あらかじめコロナ放電、プラズマ処理、易接着処理、熱処理、除塵処理などを行っておいてもよい。基材シートWの表面粗さRaはカットオフ値0.25mmにおいて3〜10nmが好ましい。
【0083】
また、基材シートWには、あらかじめ接着層等の下地層を設け乾燥硬化させたもの、裏面に他の機能層があらかじめ形成されたもの、等を用いてもよい。同様に、基材シートWとして1層構成のもののみならず、2層以上の構成のものも採用できる。また、基材シートWは、光が透過できるような透明体、半透明体であることが好ましい。
【0084】
本発明に使用可能な樹脂は、(メタ)アクロイル基、ビニル基やエポキシ基などの反応性基含有化合物と、紫外線などの紫外線照射にて該反応性基含有化合物を反応させうるラジカルやカチオン等の活性種を発生する化合物を含有するものが使用できる。
【0085】
特に硬化の速さからは、(メタ)アクロイル基、ビニル基などの不飽和基を含有する反応性基含有化合物(モノマ−)と、光によりラジカルを発生する光ラジカル重合開始剤の組み合わせが好ましい。中でも(メタ)アクリレ−ト、ウレタン(メタ)アクリレ−ト、エポキシ(メタ)アクリレ−ト、ポリエステル(メタ)アクリレ−トなどの(メタ)アクロイル基含有化合物が好ましい。
【0086】
この(メタ)アクロイル基含有化合物としては(メタ)アクロイル基が1個あるいは2個以上含有した化合物を用いることができる。また、上記のアクロイル基、ビニル基などの不飽和基を含有する反応性基含有化合物(モノマ−)は必要に応じて、単独で用いても、複数種を混合して用いても良い。
【0087】
このような、(メタ)アクロイル基含有化合物としては、たとえば、(メタ)アクロイル基含有化合物を1個だけ含有する単官能モノマ−としてイソボルニル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、4−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリン、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、へキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0088】
更に芳香環を有する単官能モノマ−として、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシ−2−メチルエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、4−フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、3−(2−フェニルフェニル)−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、エチレンオキシドを反応させたp−クミルフェノールの(メタ)アクリレート、2−ブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、4−ブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2,4−ジブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2,6−ジブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2,4,6−トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、2,4,6−トリブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0089】
このような、芳香を有する環単官能モノマ−の市販品としては、アロニックスM113、M110、M101、M102、M5700、TO−1317(以上、東亞合成(株)製)、ビスコート#192、#193、#220、3BM(以上、大阪有機化学工業(株)製)、NKエステルAMP−10G、AMP−20G(以上、新中村化学工業(株)製)、ライトアクリレートPO−A、P−200A、エポキシエステルM−600A、ライトエステルPO(以上、共栄社化学(株)製)、ニューフロンティアPHE、CEA、PHE−2、BR−30、BR−31、BR−31M、BR−32(以上、第一工業製薬(株)製)等が挙げられる。
【0090】
また、(メタ)アクリロイル基を分子中に2つ有する不飽和モノマーとしては、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレートなどのアルキルジオールジアクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレートなどのポリアルキレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンメタノールジアクリレート等が挙げられる。
【0091】
ビスフェノール骨格をもつ不飽和モノマ−としては、エチレンオキシド付加ビスフェノールA(メタ)アクリル酸エステル、エチレンオキシド付加テトラブロモビスフェノールA(メタ)アクリル酸エステル、プロピレンオキシド付加ビスフェノールA(メタ)アクリル酸エステル、プロピレンオキシド付加テトラブロモビスフェノールA(メタ)アクリル酸エステル、ビスフェノールAジグリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸とのエポキシ開環反応で得られるビスフェノールAエポキシ(メタ)アクリレート、テトラブロモビスフェノールAジグリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸とのエポキシ開環反応で得られるテトラブロモビスフェノールAエポキシ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFジグリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸とのエポキシ開環反応で得られるビスフェノールFエポキシ(メタ)アクリレート、テトラブロモビスフェノールFジグリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸とのエポキシ開環反応で得られるテトラブロモビスフェノールFエポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0092】
このような構造を有する不飽和モノマ−の市販品としては、ビスコート#700、#540(以上、大阪有機化学工業(株)製)、アロニックスM−208、M−210(以上、東亞合成(株)製)、NKエステルBPE−100、BPE−200、BPE−500、A−BPE−4(以上、新中村化学(株)製)、ライトエステルBP−4EA、BP−4PA、エポキシエステル3002M、3002A、3000M、3000A(以上、共栄社化学(株)製)、KAYARAD R−551、R−712(以上、日本化薬(株)製)、BPE−4、BPE−10、BR−42M(以上、第一工業製薬(株)製)、リポキシVR−77、VR−60、VR−90、SP−1506、SP−1506、SP−1507、SP−1509、SP−1563(以上、昭和高分子(株)製)、ネオポールV779、ネオポールV779MA(日本ユピカ(株)製)等が挙げられる。
【0093】
更に、3官能以上の(メタ)アクリレート不飽和モノマ−としては、3価以上の多価アルコールの(メタ)アクリレート、たとえばトリメチロールプロパンリト(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリオキシエチル(メタ)アクリレート、トリス(2−アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート等が挙げられ、市販品としては、アロニックスM305、M309、M310、M315、M320、M350、M360、M408(以上、東亞合成(株)製、ビスコート#295、#300、#360、GPT、3PA、#400(以上、大阪有機化学工業(株)製)、NKエステルTMPT、A−TMPT、A−TMM−3、A−TMM−3L、A−TMMT(以上、新中村化学(株)製)、ライトアクリレートTMP−A、TMP−6EO−3A、PE−3A、PE−4A、DPE−6A(以上、共栄社化学(株)製、KAYARAD PET−30、GPO−303、TMPTA、TPA−320、DPHA、D−310、DPCA−20、DPCA−60(以上、日本化薬(株)製)等が挙げられる。
【0094】
加えてウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを配合してもよい。ウレタン(メタ)アクリレートとしては、たとえばポリエチレングリコール、ポリテトラメチルグリコール等のポリエーテルポリオール;コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、テトラヒドロ(無水)フタル酸、ヘキサヒドロ(無水)フタル酸等の二塩基酸とエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等のジオールの反応によって得られるポリエステルポリオール;ポリε−カプロラクトン変性ポリオール;ポリメチルバレロラクトン変性ポリオール;エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等のアルキルポリオール;エチレンオキシド付加ビスフェノールA、プロピレンオキシド付加ビスフェノールA等のビスフェノールA骨格アルキレンオキシド変性ポリオール;エチレンオキシド付加ビスフェノールF、プロピレンオキシド付加ビスフェノールF等のビスフェノールF骨格アルキレンオキシド変性ポリオール、又はそれらの混合物とトリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の有機ポリイソシアネートと2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートから製造されるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー等が挙げられる。ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、本発明の硬化性組成物の粘度を適度に保つ上で好ましい。
【0095】
これらウレタン(メタ)アクリレートの市販品のモノマーとしては、たとえばアロニックスM120、M−150、M−156、M−215、M−220、M−225、M−240、M−245、M−270(以上、東亞合成(株)製)、AIB、TBA、LA、LTA、STA、ビスコート#155、IBXA、ビスコート#158、#190、#150、#320、HEA、HPA、ビスコート#2000、#2100、DMA、ビスコート#195、#230、#260、#215、#335HP、#310HP、#310HG、#312(以上、大阪有機化学工業(株)製)、ライトアクリレートIAA、L−A、S−A、BO−A、EC−A、MTG−A、DMP−A、THF−A、IB−XA、HOA、HOP−A、HOA−MPL、HOA−MPE、ライトアクリレート3EG−A、4EG−A、9EG−A、NP−A、1,6HX−A、DCP−A(以上、共栄社化学(株)製)、KAYARADTC−110S、HDDA、NPGDA、TPGDA、PEG400DA、MANDA、HX−220、HX−620(以上、日本化薬(株)製)、FA−511A、512A、513A(以上、日立化成(株)製)、VP(BASF製)、ACMO、DMAA、DMAPAA(以上、興人(株)製)等が挙げられる。
【0096】
ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、(a)ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート、(b)有機ポリイソシアネート及び(c)ポリオールの反応物として得られるものであるが、(a)ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートと(b)有機ポリイソシアネートを反応させた後、次いで(c)ポリオールを反応させた反応物であることが好ましい。
【0097】
以上の不飽和モノマ−は単独で用いても良く、必要に応じて複数種を混合して用いても良い。
【0098】
光ラジカル重合開始剤としては、たとえばアセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、キサントン、フルオレノン、べンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド、エチル−2,4,6−トリメチルベンゾイルエトキシフェニルォスフィンオキシドなどが挙げられる。
【0099】
光ラジカル重合開始剤の市販品としては、たとえばIrgacure184、369、651、500、819、907、784、2959、CGI1700、CGI1750、CGI11850、CG24−61、Darocurl116、1173(以上、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)、LucirinLR8728、8893X(以上BASF社製)、ユベクリルP36(UCB社製)、KIP150(ランベルティ社製)等が挙げられる。これらの中で、液状で溶解しやすく、高感度という観点からはLucirinLR8893Xが好ましい。
【0100】
光ラジカル重合開始剤は全組成物中に、0.01〜10重量%、特に0.5〜7重量%配合されるのが好ましい。配合量の上限は組成物の硬化特性や硬化物の力学特性および光学特性、取り扱い等の点からこの範囲が好ましく、配合量の下限は、硬化速度の低下防止の点からこの範囲が好ましい。
【0101】
本発明の組成物には更に光増感剤を配合することができ、当該光増感剤としては、たとえばトリエチルアミン、ジエチルアミン、N−メチルジエタノールアミン、エタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル等が挙げられ、市販品としては、たとえばユベクリルP102、103、104、105(以上、UCB社製)等が挙げられる。
【0102】
更にまた、上記成分以外に必要に応じて各種添加剤として、たとえば酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、シランカップリング剤、塗面改良剤、熱重合禁止剤、レベリング剤、界面活性剤、着色剤、保存安定剤、可塑剤、滑剤、溶媒、フィラー、老化防止剤、濡れ性改良剤、離型剤等を必要に応じて配合することができる。
【0103】
ここで、酸化防止剤としては、たとえばIrganox1010、1035、1076、1222(以上、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)、Antigen P、3C、FR、GA−80(住友化学工業(株)製)等が挙げられ、紫外線吸収剤としては、たとえばTinuvin P、234、320、326、327、328、329、213(以上、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)、Seesorb102、103、110、501、202、712、704(以上、シプロ化成(株)製)等が挙げられ、光安定剤としては、たとえばTinuvin 292、144、622LD(以上、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)、サノールLS770(三共(株)製)、Sumisorb TM−061(住友化学工業(株)製)等が挙げられ、シランカップリング剤としては、たとえばγ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリメトキシシラン、市販品として、SH6062、6030(以上、東レ・ダウ コーニング・シリコーン(株)製)、KBE903、603、403(以上、信越化学工業(株)製)等が挙げられ、塗面改良剤としては、たとえばジメチルシロキサンポリエーテル等のシリコーン添加剤や、非イオン性フルオロ界面活性剤が挙げられ、シリコーン添加剤の市販品としてはDC−57、DC−190(以上、ダウ コーニング社製)、SH−28PA、SH−29PA、SH−30PA、SH−190(以上、東レ・ダウ コーニング・シリコーン(株)製)、KF351、KF352、KF353、KF354(以上、信越化学工業(株)製)、L−700、L−7002、L−7500、FK−024−90(以上、日本ユニカー(株)製)、非イオン性フルオロ界面活性剤の市販品としてはFC-430、FC-171(以上 3M(株))、メガファックF-176、F-177、R-08、F780(以上 大日本インキ(株)製)等が挙げられ、離型剤としてはプライサーフA208F(第一工業製薬(株)製)等が挙げられる。
【0104】
本発明の樹脂液の粘度調整のための有機溶剤としては、樹脂液と混合した時に、析出物や相分離、白濁などの不均一がなく混合できるものであればよく、たとえば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプチルケトン、エタノール、プロパノール、ブタノール、2−メトキシエタノール、シクロヘキサノール、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、トルエンなどが挙げられ、必要に応じてこれらを複数種混合して用いてもよい。
【0105】
有機溶剤を添加した場合は、製品の製造工程中にて、有機溶剤を乾燥、蒸発する工程が必要になるが、蒸発残りの溶剤が大量に製品に残留した場合、製晶の機械物性が劣化したり、製品として使用中に有機溶剤が蒸発、拡散し、悪臭や健康に悪影響を及ぼす懸念がある。このため、有機溶剤としては、高沸点のものは残留溶剤量が多くなり好ましくない。
【0106】
ただし、あまりに低沸点の場合は、激しく蒸発するため、面状が荒れたり、乾燥時の気化熱により組成物表面に結露水が付着して、この跡が面状欠陥になったり、蒸気濃度が高くなり引火等の危険が増す。
【0107】
したがって、有機溶剤の沸点としては50°C以上、150°C以下が好ましく、70°C以上、120°C以下がより好ましい。素材の溶解性や、沸点の観点から、有機溶剤としてはメチルエチルケトン(bp.79.6°C)、1−プロパノール(bp.97.2°C)などが好ましい。
【0108】
本発明の樹脂液に添加される有機溶剤の添加量は、溶剤の種類や、溶剤添加前の樹脂の粘度にもよるが、充分に塗布性が改善されるためには、10重量%以上、40重量%以下の範囲であり、好ましくは15重量%以上、30重量%以下の範囲である。有機溶剤の添加量があまり少量だと、粘度低減の効果や塗布量アップの効果が小さく、塗布性が充分に改良されない。
【0109】
しかし、樹脂を多く希釈しすぎると、粘度が低すぎて基材シートの上で液が流動してムラが発生したり、基材シートの裏面に液が回るなどの問題が発生する。また、乾燥工程において充分に乾燥しきれず、製品中に有機溶剤が多量に残留してしまい、製品機能の劣化や、製品使用中に揮発して悪臭を発生したり、健康への悪影響を及ぼす懸念が生じる。
【0110】
本発明の樹脂液は、前記の各成分を常法により混合して製造することができ、必要に応じて加熱溶解により製造できる。このようにして調製される樹脂液の粘度は、通常10〜50000mPa・s/25°Cである。
【0111】
次に、図1に戻って、本実施の形態の微細構造シート製造装置10の作用について説明する。
【0112】
供給部12から繰り出された基材シートWは、第1のサクションドラム26を介して除塵機28に搬送され、その表面に付着した塵埃が取り除かれる。
【0113】
除塵機28で塵埃が取り除かれた基材シートWは、次に塗布部14に搬送され、その塗布部14で表面に紫外線硬化樹脂Rが塗布される。
【0114】
紫外線硬化樹脂Rが塗布された基材シートWは、次に乾燥部16に搬送され、その乾燥部16で表面に塗布された紫外線硬化樹脂Rが乾燥され、溶剤分が蒸発する。
【0115】
乾燥部16を通過した基材シートWは、次に転写部18に搬送され、その転写部18で表面に微細凹凸パターンが転写形成される。
【0116】
ここで、転写部18は、次のように、基材シートWの表面に微細凹凸パターンを転写形成する。
【0117】
乾燥部16を通過した基材シートWは、ニップローラ32を介してパターンローラ30に密着される。
【0118】
この際、基材シートWは、加熱手段38から熱風が吹き付けられ、表面に塗布された紫外線硬化樹脂Rが加熱される。これにより、紫外線硬化樹脂Rの粘度が下げられ、流動性が高める。
【0119】
一方、この基材シートWが密着されるパターンローラ30は、活性化用紫外線照射装置40から紫外線が照射されて、その表面が活性化される。これにより、パターンローラ30に対する紫外線硬化樹脂Rの接触角が下げられ、濡れ性が上げられる。
【0120】
このように、ニップ点における紫外線硬化樹脂Rの流動性を高め、パターンローラ30に対する紫外線硬化樹脂Rの濡れ性を上げることにより、ニップ時にパターンローラ30の各凹部30Aに空気が流入するのを防止できる。
【0121】
ニップローラ32を介してパターンローラ30に密着された基材シートWは、そのパターンローラ30に密着された状態のまま搬送され、硬化用紫外線照射装置34から紫外線が照射される。これにより、表面に塗布された紫外線硬化樹脂Rが硬化する。
【0122】
紫外線硬化樹脂Rが硬化した基材シートWは、剥離ローラ36を介してパターンローラ30から剥離される。
【0123】
このように、転写部18は、紫外線硬化樹脂Rが塗布された基材シートWの表面にパターンローラ30を密着させ、その状態で紫外線を照射することにより、紫外線硬化樹脂Rを硬化させて、基材シートWの表面に微細凹凸パターンを転写形成する。
【0124】
パターンローラ30から剥離された基材シートWは、次に欠陥検査部20に搬送され、その表面に転写形成された微細凹凸パターンの欠陥が検査される。これにより、欠陥部分の排除が容易となる。
【0125】
欠陥検査が行われた基材シートWは、ダンサーローラユニット50、第2のサクションドラム52、エッジ位置制御装置54を介して巻取部24に搬送される。そして、その表面に保護フィルム供給部22から供給される保護フィルムHが重ねられて、ロール状に巻き取られる。
【0126】
以上説明したように、本実施の形態の微細構造シート製造装置10によれば、転写部18において、基材シートWをニップする際、紫外線硬化樹脂Rの流動性を高めるとともに、パターンローラ30に対する紫外線硬化樹脂Rの濡れ性を上げているので、パターンローラ30の各凹部30Aに空気が入り込むのを防止することができ、パターンローラ30の微細凹凸パターンを正確に基材シートWの表面に転写形成することができる。
【0127】
なお、本実施の形態では、ニップ点において、紫外線硬化樹脂Rの流動性を高める方法として、パターンローラ30に密着される直前の基材シートWの表面に加熱装置38から熱風を吹き付けることにより、紫外線硬化樹脂Rを加熱し、その流動性を高める方法を用いているが、紫外線硬化樹脂Rの流動性を高める方法は、これに限定されるものではない。
【0128】
この他、たとえば、パターンローラ30とニップローラ32の少なくとも一方を加熱することにより、紫外線硬化樹脂Rを加熱して、その流動性を高める方法を用いることができる。
【0129】
この場合、パターンローラ30とニップローラ32を加熱する方法としては、たとえば、図6に示すようにパターンローラ30とニップローラ32を外部からヒータ60、62で加熱する方法を用いることができる。また、図示しないが、この他、パターンローラ30とニップローラ32とにヒータを埋め込み、このヒータによってパターンローラ30とニップローラを加熱する方法や、パターンローラ30とニップローラ32とをジャケット構造とし、恒温槽によって一定温度に制御された温水をパターンローラ30内とニップローラ32内とに循環させることにより、パターンローラ30とニップローラ32を加熱する方法などを用いることができる。
【0130】
なお、この場合も基材シートWの表面に塗布されている放射線硬化樹脂の粘度が、10mPa・s以上、100mPa・s以下になるように、パターンローラ30とニップローラ32のローラ温度を制御するものとする。
【0131】
また、本実施の形態では、パターンローラ30に対する放射線硬化樹脂の濡れ性を上げる方法として、パターンローラ30の表面に活性化用紫外線照射装置40から紫外線を照射し、パターンローラ30の表面を活性化させる方法を用いているが、パターンローラ30に対する放射線硬化樹脂の濡れ性を上げる方法は、これに限定されるものではない。
【0132】
この他、たとえば、パターンローラ30の表面をコロナ処理やプラズマ処理等することにより、パターンローラ30の表面を活性化させて、パターンローラ30に対する放射線硬化樹脂の濡れ性を上げる方法を用いてもよい。
【0133】
また、パターンローラ30の表面に親水化処理剤を塗布して親水化を施すことにより、パターンローラ30に対する放射線硬化樹脂の濡れ性を上げる方法を用いてもよい。この場合、たとえば、図7に示すように、親水化処理剤70が貯留された槽72の中にパターンローラ30を浸漬し、回転させて全面を濡らした後、引き上げて、50〜70℃程度の恒温室で乾燥させることにより、パターンローラ30の表面を親水化することができる。
【0134】
さらに、放射線硬化樹脂に親水化処理剤を添加して、親水化を施すことにより、パターンローラ30に対する放射線硬化樹脂の濡れ性を上げる方法を用いてもよい。この場合、たとえば、紫外線放射樹脂の入った容器の中にプロペラ羽根のついた攪拌機を設置し、回転させながら親水化処理剤を添加する。
【0135】
なお、本発明では、親水性を付与することのできる表面活性剤を親水化処理剤というものとする。この場合、たとえば、n−ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの如きアニオン性界面活性剤、n−ドデシルトリメチルアンモニウムクロライドの如きカチオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリエチレングリコールモノ−パラ−ノニルフェニルエーテルの如き非イオン性界面活性剤、ポリエチレングリコール、エチレングリコール、及びグリセリン等を親水化処理剤として用いることができる。
【0136】
また、パターンローラ30を一定温度に保温することにより、パターンローラ30に対する放射線硬化樹脂の濡れ性を上げる方法を用いてもよい。
【0137】
さらに、これらの各方法を複合的に組み合わせて使用することにより、パターンローラ30に対する放射線硬化樹脂の濡れ性を上げる方法を用いてもよい。たとえば、放射線硬化樹脂に親水化処理剤を添加するとともに、パターンローラ30に紫外線を照射して活性化させることにより、パターンローラ30に対する放射線硬化樹脂の濡れ性を上げるようにしてもよい。
【0138】
なお、この場合もパターンローラ30に対する放射線硬化樹脂の接触角が40°以下になるように、上記各処理を行うものとする。
【0139】
また、本実施の形態では、四角錐状の凸部が基材シートWの幅方法及び長手方向に一定ピッチで規則的に配列された微細凹凸パターンを転写形成する場合を例に説明したが、転写形成する微細凹凸パターンは、これに限定されるものではない。たとえば、図8に示すように、頂部に稜線を有する寄棟形状の凸部が基材シートWの幅方法及び長手方向に一定ピッチで規則的に配列された微細凹凸パターンを転写形成する場合や、図9に示すように、円錐状の凸部が基材シートWの幅方法及び長手方向に一定ピッチで規則的に配列された微細凹凸パターンを転写形成する場合にも同様に本発明を適用することができる。すなわち、本発明は、凸部が基材シートWの幅方法及び長手方向に一定ピッチで規則的に配列された微細凹凸パターンを転写形成する場合すべてに適用することができる。この場合、パターンローラ30の表面には、基材シートWに転写形成する凸部を反転した形状の凹部が、幅方向及び周方向に一定ピッチで形成される。
【0140】
また、本実施の形態では、基材シートWの表面に塗布する樹脂として、紫外線硬化樹脂を用いているが、本発明で使用可能な樹脂は、放射線を照射して硬化する樹脂であれば、これに限定されるものではない。
【0141】
以上、本発明に係る微細構造シート製造装置の一実施形態ついて説明したが、本発明は上記実施形態の例に限定されるものではなく、各種の態様を採り得る。たとえば、本実施形態の例では、ローラ状のパターンローラ30を使用して、基材シートWの表面に微細凹凸パターンを転写する態様について説明したが、エンドレスベルト等の表面に微細凹凸パターンが形成されたものを使用して、基材シートWの表面に微細凹凸パターンを転写する態様とすることもできる。このようなベルトであっても、円柱状のローラと同様に作用し、同様の効果が得られるからである。
【実施例】
【0142】
以下に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0143】
図1に示した微細構造シート製造装置10を使用して、ニップ点における紫外線硬化樹脂Rの粘度及びパターンローラに対する紫外線硬化樹脂Rの接触角を変えて微細構造シートの製造を行った。
【0144】
ここで、ニップローラには、図5に示すように、四角錐状の凹部が幅方向及び周方向に規則的に配列されたものを使用し、図3及び図4に示すように、四角錐状の凸部(縦横比1.0、頂角90°、高さ25μm、幅50μm)が幅方向及び長手方向に規則的に配列された微細構造シートを製造した。
【0145】
また、紫外線硬化樹脂Rの粘度及びパターンローラに対する紫外線硬化樹脂Rの接触角を変える方法として、図10の表に示すように、(1)パターンローラの温度、(2)基材シートの表面に吹き付ける熱風の吸気量、(3)パターンローラへの親水化処理の有無、(4)活性化用の紫外線照射の有無の各種条件を変えることにより行った。
【0146】
なお、基材シートには、幅400mm、厚さ180μmのPETフィルムを使用し、5m/minの搬送速度(ライン速度)で搬送して、連続的に微細構造シートを製造した。また、硬化用の紫外線の照射量は、1000mJ/cm2とした。また、パターンローラには、外径350mm、幅400mmのパターンローラを使用し、ニップローラには、外径80mm、幅400mmのニップローラを使用した。
【0147】
以上のような条件で製造した各微細構造シートの面状を検査した。検査結果を図11の表に示す。
【0148】
この表から明らかなように、ニップ点における放射線硬化樹脂の粘度が、100mPa・s以下、パターンローラに対する放射線硬化樹脂の接触角が、40°以下の条件においては、欠陥を生じることなく微細構造シートを製造することができることが確認できた(ニップ点における放射線硬化樹脂の粘度が100mPa・s、パターンローラに対する放射線硬化樹脂の接触角が40°の条件では、一部に頂点の欠損が確認されたが、製品としては問題のないレベルである。)。
【0149】
上記と同じ製造条件で図8に示すような寄棟状の凸部(縦横比1.5、頂角90°、高さ25μm、幅50μm)が幅方向及び長手方向に規則的に配列された微細構造シートを製造し、その面状を検査した。検査結果を図12の表に示す。
【0150】
この表から明らかなように、寄棟状の微細凹凸パターンを形成する場合においても、ニップ点における放射線硬化樹脂の粘度を100mPa・s以下、パターンローラに対する放射線硬化樹脂の接触角を40°以下とすることにより、欠陥を生じることなく微細構造シートを製造することができることが確認できる(ニップ点における放射線硬化樹脂の粘度が100mPa・s、パターンローラに対する放射線硬化樹脂の接触角が40°の条件では、一部に頂点の欠損が確認されたが、製品としては問題のないレベルである。)。
【0151】
また、このことから形成する微細凹凸パターンの形状に関わらず本発明を適用することが確認できた。
【図面の簡単な説明】
【0152】
【図1】微細構造シート製造装置の概略構成図
【図2】転写部の概略構成図
【図3】微細構造シートの構成を示す斜視図
【図4】図3に示す微細構造シートの一部を拡大した斜視図
【図5】パターンローラの表面を拡大した斜視図
【図6】転写部の他の実施の形態の概略構成図
【図7】パターンローラの親水化処理方法の概略図
【図8】微細構造シートの他の実施の形態の構成を示す斜視図
【図9】微細構造シートの他の実施の形態の構成を示す斜視図
【図10】微細構造シートの製造条件を示す表
【図11】四角錐状の微細凹凸パターンの微細構造シートの製造結果の表
【図12】寄棟状の微細凹凸パターンの微細構造シートの製造結果の表
【図13】頂部に欠損が生じた微細凹凸パターンを示す斜視図
【符号の説明】
【0153】
10…微細構造シート製造装置、12…供給部、14…塗布部、16…乾燥部、18…転写部、20…欠陥検査部、22…保護フィルム供給部、24…巻取部、30…パターンローラ、32…ニップローラ、34…硬化用紫外線照射装置、36…剥離ローラ、38…加熱装置、40…活性化用紫外線照射装置、W…基材シート、R…紫外線硬化樹脂
【技術分野】
【0001】
本発明は、微細構造シート製造方法及び装置に係り、特に表面に規則的な微細凹凸パターンが形成された凹凸状シートを連続的に製造する微細構造シート製造方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
表面に規則的な微細凹凸パターンが形成された微細構造シートとして、集光シートや拡散シートなどが知られている。
【0003】
このような凹凸状シートは、連続走行される基材シートの表面に紫外線硬化樹脂を塗布し、この基材シートを規則的な凹凸パターンが形成されたパターンローラとニップローラとで挟むことにより、パターンローラの凹凸パターンを樹脂に転写させ、この状態で基材シートに紫外線を照射して樹脂を硬化させた後、基材シートをパターンローラから剥離させることにより製造される(たとえば、特許文献1〜3参照)。
【0004】
このような方法で製造される微細構造シートは、パターンローラの表面に形成する凹凸のパターンによって、その表面に形成される凹凸パターンを種々の形状パターンに変えることができる。たとえば、軸と平行なV字状の溝を周方向に一定ピッチで形成すると、シート表面には、幅方向に一様な断面三角形状の凸部がシートの長手方向に沿って一定ピッチで形成される。また、四角錐状(ピラミッド状)の凹部を軸方向及び周方向に一定ピッチで形成すると、シート表面には、図3及び図4に示すように、四角錐状の凸部が幅方向及び長手方向に規則的に形成される。
【特許文献1】特開平11−262958号公報
【特許文献2】特開平11−300768号公報
【特許文献3】特開2006−327055号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、四角錐状の凹部が軸方向及び周方向に一定ピッチで形成されたパターンローラの場合、ニップ時にパターンローラの各凹部に空気が入り込むと、凹部の形状を樹脂に正確に転写することができないという欠点がある。すなわち、このようなパターンローラの場合、凹部に空気の逃げ場がないため、一度凹部内に空気が入り込むと、空気が凹部内に残存し、この結果、凹部内に樹脂を満たすことができなくなり(空気を樹脂で置換できなくなり)、図13に示すように、頂部が欠損した形状の凸部が形成されるという問題が生じていた。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、表面に規則的な微細凹凸パターンを正確に形成することができる微細構造シート製造方法及び装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、前記目的を達成するために、帯状可撓性の基材シートの表面に放射線硬化樹脂を塗布し、ニップローラを介して該基材シートの表面をパターンローラに密着させ、該パターンローラに密着された状態の基材シートに放射線を照射して、その表面に塗布された前記放射線硬化樹脂を硬化させた後、剥離ローラを介して前記放射線硬化樹脂が硬化した基材シートを前記パターンローラから剥離して、表面に微細凹凸パターンが形成された微細構造シートを連続的に製造する微細構造シート製造方法であって、前記パターンローラの表面に所定形状の凹部が幅方向及び周方向に一定ピッチで形成されている場合において、前記基材シートの表面を前記ニップローラを介して前記パターンローラに密着させる際、前記基材シートの表面に塗布されている前記放射線硬化樹脂の粘度を10mPa・s以上、100mPa・s以下にするとともに、前記パターンローラに対する前記放射線硬化樹脂の接触角を40°以下にすることを特徴とする微細構造シート製造方法を提供する。
【0008】
請求項1に係る発明によれば、基材シートの表面に塗布された放射線硬化樹脂の粘度が10mPa・s以上、100mPa・s以下、パターンローラに対する接触角が40°以下の状態にされて、基材シートがニップローラを介してパターンローラに密着(ニップ)される。これにより、表面に所定形状の凹部が幅方向及び周方向に一定ピッチで形成されたパターンローラを用いた場合であっても、ニップ時にパターンローラの各凹部に空気が入り込むのを防止でき、パターンローラの表面に形成された凹凸の形状を正確に基材シートに転写することができる。すなわち、放射線硬化樹脂の粘度を下げて流動性を高くするとともに、パターンローラに対する放射線硬化樹脂の接触角を小さくして濡れ性を上げることにより、ニップ時にパターンローラの各凹部に空気が流入するのを有効に防止でき、パターンローラの各凹部に放射線硬化樹脂を満たすことができる(凹部内の空気を樹脂で置換することができる)。これにより、パターンローラの表面に形成された凹凸の形状を基材シートの表面に塗布された放射線硬化樹脂に正確に転写することができる。
【0009】
請求項2に係る発明は、前記目的を達成するために、前記ニップローラを介して前記パターンローラに密着される直前の前記基材シートの表面に熱風を吹き付けることにより、前記放射線硬化樹脂の粘度を10mPa・s以上、100mPa・s以下にすることを特徴とする請求項1に記載の微細構造シート製造方法を提供する。
【0010】
請求項2に係る発明によれば、ニップローラを介してパターンローラに密着される直前の基材シートの表面に熱風を吹き付けることにより、放射線硬化樹脂の粘度が、10mPa・s以上、100mPa・s以下にされる。
【0011】
請求項3に係る発明は、前記目的を達成するために、前記パターンローラ及び/又はニップローラを加熱することにより、前記放射線硬化樹脂の粘度を10mPa・s以上、100mPa・s以下にすることを特徴とする請求項1に記載の微細構造シート製造方法を提供する。
【0012】
請求項3に係る発明によれば、パターンローラ及び/又はニップローラを加熱することにより、ニップ時における放射線硬化樹脂の粘度が、10mPa・s以上、100mPa・s以下にされる。
【0013】
請求項4に係る発明は、前記目的を達成するために、前記パターンローラに親水化処理剤を塗布することにより、前記パターンローラに対する前記放射線硬化樹脂の接触角を40°以下にすることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の微細構造シート製造方法を提供する。
【0014】
請求項4に係る発明によれば、パターンローラに親水化処理剤を塗布することにより、パターンローラに対する放射線硬化樹脂の接触角が40°以下にされる。
【0015】
請求項5に係る発明は、前記目的を達成するために、前記パターンローラに放射線を照射することにより、前記パターンローラに対する前記放射線硬化樹脂の接触角を40°以下にすることを特徴とする請求項1、2、3又は4に記載の微細構造シート製造方法を提供する。
【0016】
請求項5に係る発明によれば、パターンローラに放射線を照射することにより、パターンローラに対する放射線硬化樹脂の接触角が40°以下にされる。
【0017】
請求項6に係る発明は、前記目的を達成するために、帯状可撓性の基材シートの表面に放射線硬化樹脂を塗布し、ニップローラを介して該基材シートの表面をパターンローラに密着させ、該パターンローラに密着された状態の基材シートに放射線を照射して、その表面に塗布された前記放射線硬化樹脂を硬化させ、剥離ローラを介して前記放射線硬化樹脂が硬化した基材シートを前記パターンローラから剥離して、表面に微細凹凸パターンが形成された微細構造シートを連続的に製造する微細構造シート製造装置において、表面に所定形状の凹部が幅方向及び周方向に一定ピッチで形成されるとともに、その表面に親水化処理剤が塗布された前記パターンローラと、前記ニップローラを介して前記パターンローラに密着される基材シートを加熱して、該基材シートの表面に塗布された前記放射線硬化樹脂の粘度を低下させる加熱手段と、を備えたことを特徴とする微細構造シート製造装置を提供する。
【0018】
請求項6に係る発明によれば、パターンローラの表面に親水化処理剤が塗布されるとともに、ニップローラを介してパターンローラに密着される基材シートが加熱手段によって加熱される。このように、パターンローラの表面に親水化処理剤を塗布することにより、パターンローラに対する放射線硬化樹脂の接触角を小さくして濡れ性を上げることができる。また、ニップローラを介してパターンローラに密着される基材シートを加熱することにより、ニップ時における放射線硬化樹脂の粘度を低くして流動性を高くすることができる。そして、このように放射線硬化樹脂の粘度を低くして流動性を上げ、かつ、ニップロールに対する接触角を小さくして濡れ性を上げることにより、ニップ時にパターンローラの各凹部に空気が流入するのを有効に防止でき、パターンローラの各凹部に放射線硬化樹脂を満たすことができる。これにより、パターンローラの表面に形成された凹凸の形状を基材シートの表面に塗布された放射線硬化樹脂に正確に転写することができる。
【0019】
請求項7に係る発明は、前記目的を達成するために、帯状可撓性の基材シートの表面に放射線硬化樹脂を塗布し、ニップローラを介して該基材シートの表面をパターンローラに密着させ、該パターンローラに密着された状態の基材シートに放射線を照射して、その表面に塗布された前記放射線硬化樹脂を硬化させ、剥離ローラを介して前記放射線硬化樹脂が硬化した基材シートを前記パターンローラから剥離して、表面に微細凹凸パターンが形成された微細構造シートを連続的に製造する微細構造シート製造装置において、表面に所定形状の凹部が幅方向及び周方向に一定ピッチで形成された前記パターンローラと、前記パターンローラの表面に放射線を照射して、該パターンローラに対する前記放射線硬化樹脂の濡れ性を向上させる放射線照射手段と、前記ニップローラを介して前記パターンローラに密着される基材シートを加熱して、該基材シートの表面に塗布された前記放射線硬化樹脂の粘度を低下させる加熱手段と、を備えたことを特徴とする微細構造シート製造装置を提供する。
【0020】
請求項7に係る発明によれば、パターンローラの表面に放射線が照射されるとともに、ニップローラを介してパターンローラに密着される基材シートが加熱手段によって加熱される。このように、パターンローラの表面に放射線を照射することにより、パターンローラの表面が活性化され、パターンローラに対する放射線硬化樹脂の接触角を小さくして濡れ性を上げることができる。また、ニップローラを介してパターンローラに密着される基材シートを加熱することにより、ニップ時における放射線硬化樹脂の粘度を低くして流動性を高くすることができる。そして、このように放射線硬化樹脂の粘度を低くして流動性を上げ、かつ、ニップロールに対する接触角を小さくして濡れ性を上げることにより、ニップ時にパターンローラの各凹部に空気が流入するのを有効に防止でき、パターンローラの各凹部に放射線硬化樹脂を満たすことができる。これにより、パターンローラの表面に形成された凹凸の形状を基材シートの表面に塗布された放射線硬化樹脂に正確に転写することができる。
【0021】
請求項8に係る発明は、前記目的を達成するために、前記加熱手段は、前記ニップローラを介して前記パターンローラに密着される直前の前記基材シートの表面に熱風を吹き付ける手段であることを特徴とする請求項6又は7に記載の微細構造シート製造装置を提供する。
【0022】
請求項8に係る発明によれば、ニップローラを介してパターンローラに密着される直前の基材シートの表面に熱風を吹き付けることによって、基材シートの表面に塗布された放射線硬化樹脂が加熱され、その粘度が下げられる。
【0023】
請求項9に係る発明は、前記目的を達成するために、前記加熱手段は、前記ニップローラ又は前記パターンローラを加熱する手段であることを特徴とする請求項6又は7に記載の微細構造シート製造装置を提供する。
【0024】
請求項9に係る発明によれば、ニップローラ又はパターンローラを加熱することによって、基材シートの表面に塗布された放射線硬化樹脂が加熱され、その粘度が下げられる。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係る微細構造シート製造方法及び装置によれば、表面に規則的な微細凹凸パターンを正確に形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、添付図面に従って本発明に係る微細構造シート製造方法及び装置を実施するための最良の形態について説明する。
【0027】
図1は、本発明に係る微細構造シート製造装置の一実施形態の概略構成図である。
【0028】
同図に示すように本実施の形態の微細構造シート製造装置10は、基材シートWを供給する供給部12、基材シートWの表面に紫外線硬化樹脂Rを塗布する塗布部14、基材シートWの表面に塗布された紫外線硬化樹脂Rを乾燥させる乾燥部16、基材シートWの表面に塗布された紫外線硬化樹脂Rに微細凹凸パターンを転写する転写部18、基材シートWの表面に形成された微細凹凸パターンの欠陥検査を行う欠陥検査部20、基材シートWの表面に保護フィルムを供給する保護フィルム供給部22、製造された微細構造シートを巻き取る巻取部24で構成されている。各部の間には、ガイドローラG、G、…が配置されており、供給部12から繰り出された基材シートWは、このガイドローラG、G、…によってガイドされながら各部に搬送され、その搬送過程で各部において連続的に各種処理が施されて、表面に微細凹凸パターンが形成される。
【0029】
基材シートWは、ロール状に巻回されて供給部12にセットされ、供給部12から順次繰り出される。
【0030】
供給部12と塗布部14との間には、第1のサクションドラム26が設けられている。この第1のサクションドラム26は、基材シートWを吸引保持するとともに、所定の周速度で回転駆動することにより、基材シートWを連続走行させる手段である。なお、基材シートWの吸引保持は、ドラムの外周面に形成された多数の孔からの吸引による構成でもよく、ドラムの外周面に形成された複数の溝により保持する構成(グルーブドサクションドラム)でもよい。
【0031】
第1のサクションドラム26の下流には、除塵機28が設けられており、基材シートWは、この除塵機28を通過する過程で、その表面に付着している塵埃等が取り除かれる。なお、除塵機28には、図示のように、粘着ローラに基材シートWを巻き掛ける形式のもの他、静電除塵された乾燥エアを吹き付ける形式のもの等、各種公知の形式の除塵機を採用することができる。
【0032】
塗布部14は、搬送される基材シートWの表面に連続的に紫外線硬化樹脂Rを塗布する。この塗布部14は、紫外線硬化樹脂Rを供給する液供給源(不図示)と、液供給装置(不図示)と、塗布ヘッド14Cと、塗布の際に基材シートWを巻き掛けて支持する支持ローラ14Dと、液供給源より塗布ヘッド14Cまで紫外線硬化樹脂Rを供給するための図示しない配管等により構成される。なお、塗布ヘッド14Cとしては、ダイコータ(エクストルージョン方式のコータ)の塗布ヘッドが採用されている。
【0033】
乾燥部16は、塗布部14で塗布された紫外線硬化樹脂Rを乾燥させ、溶剤分を蒸発させる。この乾燥部16は、4つのトンネル状の乾燥装置16A〜16Dを備えており、この4つの乾燥装置16A〜16Dを通過する過程で基材シートWは、その表面に塗布された紫外線硬化樹脂Rが乾燥され、溶剤分が蒸発する。
【0034】
なお、乾燥部16は、基材シートWに塗布された紫外線硬化樹脂Rを均一に乾燥させることができるものであれば、公知の各種方式のものを採用することができる。たとえば、ヒータによる輻射加熱方式のものや、熱風循環方式のもの、遠赤外線方式のもの、真空方式のもの等を採用してもよい。
【0035】
なお、本実施の形態において、各乾燥装置16A〜16Dは、個別に温度設定ができるようにされている。
【0036】
転写部18は、紫外線硬化樹脂Rが塗布された基材シートの表面にパターンローラを密着させ、その状態で基材シートに紫外線を照射することにより、そのパターンローラの表面に形成された凹凸パターンを紫外線硬化樹脂Rに転写させる。この転写部18は、図2に示すように、パターンローラ30、ニップローラ32、硬化用紫外線照射装置34、剥離ローラ36、加熱装置38、活性化用紫外線照射装置40等で構成される。
【0037】
パターンローラ30は、その外周面(表面)に規則的な微細凹凸パターンが形成されている。基材シートWに塗布された紫外線硬化樹脂Rには、このパターンローラ30の表面に形成された微細凹凸パターンが転写される。したがって、このパターンローラ30の表面に形成される微細構造パターンは、製造する微細構造シートに対応して形成され、その微細構造シートの表面に形成される微細凹凸パターンを反転した形状とされる。
【0038】
ここで、本実施の形態の微細構造シート製造装置10では、図3、図4に示すように、表面に四角錐状(ピラミッド状)の凸部が幅方向及び長手方向に規則的に配列された微細構造シートを製造するものとする(図3は図4を拡大した図)。このような微細構造シートは、たとえば平板レンズに用いられる。
【0039】
この場合、図5に示すように、パターンローラ30の表面には、これに対応した四角錐状(ピラミッド状)の凹部30Aが幅方向及び周方向に一定ピッチで規則的に形成される。
【0040】
なお、このようなパターンローラ30は、表面の微細凹凸パターンの精度、機械的強度、真円度等を有することが求められる。このため、金属製とすることが好ましい。
【0041】
また、パターンローラ30の外周面に形成する微細凹凸パターンの形成方法としては、パターンローラ30の表面にフォトエッチング、電子線描画、レーザー加工等で直接凹凸を形成する方法を採用することができる。
【0042】
また、薄い金属製の板状体の表面にフォトエッチング、電子線描画、レーザー加工、光造形法等で凹凸を形成し、この板状体をローラの周囲に巻き付けて固定することにより、パターンローラ30を形成することもできる。
【0043】
この他、金属より加工しやすい素材の表面にフォトエッチング、電子線描画、レーザー加工、光造形法等で凹凸を形成し、この形状の反転型を電鋳等により形成して薄い金属製の板状体を作成し、この板状体をローラの周囲に巻き付けて固定することにより、パターンローラ30を形成することもできる。特に反転型を電鋳等により形成する場合には、1つの原盤(マザー)より複数の同一形状の板状体が得られるという特長がある。
【0044】
また、パターンローラ30は、基材シートWの走行に同期して回転駆動することが好ましい。本実施の形態では、図示しない回転駆動手段に駆動されて、パターンローラ30は、図示の矢印方向(時計方向(CW))に回転する。
【0045】
ニップローラ32は、パターンローラ30と対になって基材シートWを押圧しながらローラ成形加工するもので、所定の機械的強度、真円度等を有することが求められる。このニップローラ32は、その表面の縦弾性係数(ヤング率)が小さ過ぎると、ローラ成形加工が不十分となり、大き過ぎると、ゴミ等の異物の巻き込みに敏感に反応し欠点が生じやすくなることから、表面の縦弾性係数を適宜な値にすることが好ましい。
【0046】
なお、ニップローラ32は、基材シートWの走行に同期して回転駆動することが好ましい。本実施の形態では、図示しない回転駆動手段に駆動されて、ニップローラ32は、図示の矢印方向(反時計方向(CCW))に回転する。
【0047】
また、パターンローラ30とニップローラ32との間に所定の挟圧力を付与するべく、パターンローラ30とニップローラ32のいずれかに加圧手段を設けることが好ましい。
【0048】
同様にパターンローラ30とニップローラ32との隙間(クリアランス)を正確に制御できるような微調整手段を、パターンローラ30とニップローラ32のいずれかに設けることが好ましい。
【0049】
硬化用紫外線照射装置34は、ニップローラ32の下流側においてパターンローラ30に対向して設けられ、パターンローラ30に密着された状態の基材シートWに対して紫外線を照射する。この硬化用紫外線照射装置34から照射された紫外線は、基材シートWを透過して、その表面に塗布された樹脂層を硬化させる。
【0050】
このような硬化用紫外線照射装置34としては、たとえば、基材シートWの幅と略同一長さの円柱状の紫外線ランプを採用することができる。また、この円柱状の紫外線ランプを複数本平行に設けることもでき、この紫外線ランプの背面に反射板を設けることもできる。
【0051】
なお、硬化用紫外線照射装置34は、基材シートWの表面に塗布された樹脂の硬化特性に応じた波長の紫外線を照射できるものとし、基材シートWの搬送速度に応じた量の紫外線を照射できるようにすることが好ましい。
【0052】
また、パターンローラ30の表面の微細凹凸パターンが基材シートWの表面に転写形成される前の塗布層に紫外線が照射されないようにすることが好ましい。
【0053】
剥離ローラ36は、パターンローラ30と対になってパターンローラ30から基材シートWを剥離させるもので、所定の機械的強度、真円度等を有することが求められる。剥離箇所において、パターンローラ30の周面上に巻き掛けられた基材シートWを回転するパターンローラ30と剥離ローラ36とで挟みながら、基材シートWをパターンローラ30から剥離させて剥離ローラ36に巻き掛ける。この動作を確実に行うため、剥離ローラ36を回転駆動することが好ましい。本実施の形態では、図示しない回転駆動手段に駆動されて、剥離ローラ36は、図示の矢印方向(反時計方向(CCW))に回転する。
【0054】
なお、硬化により樹脂等の温度が上昇するような場合には、剥離時に剥離ローラ36に冷却手段を設け、基材シートWを冷却させて剥離する構成としてもよい。
【0055】
また、図示は省略したが、パターンローラ30のニップ点(本実施の形態では3時の位置)から剥離点(本実施の形態では9時の位置)までの間に複数のバックアップローラを対向して設け、この複数のバックアップローラとパターンローラ30とで基材シートWを押圧しながら硬化処理を行う構成としてもよい。
【0056】
加熱装置38は、熱風を噴射する手段によって構成されており、パターンローラ30に密着される直前の基材シートWの表面に熱風を吹き付けて、ニップ点(パターンローラ30とニップローラ32とで挟圧される地点)における紫外線硬化樹脂Rを加熱する。この加熱装置38は、ニップ点における紫外線硬化樹脂Rの粘度を低下させる目的で設置されており、加熱により粘度を低下させて、基材シートWの表面に塗布された紫外線硬化樹脂Rの流動性を高めている。
【0057】
このようにニップ点における紫外線硬化樹脂Rの流動性を高めることにより、ニップ時にパターンローラ30の各凹部30A、30A、…に空気が入り込むのを防止でき、パターンローラ30の微細凹凸パターンを正確に紫外線硬化樹脂Rに転写することができる(凹部30A、30A、…内の空気を紫外線硬化樹脂Rで置換することができる。)。そして、このような効果を奏させるためには、ニップ点における紫外線硬化樹脂Rの粘度を10mPa・s以上、100mPa・s以下にする。したがって、加熱装置38は、ニップ点における紫外線硬化樹脂Rの粘度が、10mPa・s以上、100mPa・s以下になるように、その熱風の噴射が制御される。
【0058】
活性化用紫外線照射装置40は、剥離ローラ36の下流側においてパターンローラ30に対向して設けられ、パターンローラ30の表面(外周面)に紫外線を照射する。この活性化用紫外線照射装置40は、パターンローラ30の表面を活性化させることにより、パターンローラ30に対する紫外線硬化樹脂Rの接触角を小さくして、濡れ性を上げる目的で設置される。
【0059】
このようにパターンローラ30に対する紫外線硬化樹脂Rの濡れ性を上げることにより、ニップ時にパターンローラ30の各凹部30A、30A、…に空気が入り込むのを防止でき、パターンローラ30の微細凹凸パターンを正確に紫外線硬化樹脂Rに転写することができる。そして、このような効果を奏させるためには、ニップ点において、パターンローラ30に対する紫外線硬化樹脂Rの接触角が40°以下になるようにする。なお、ここでの接触角は、パターンローラ30と同じ構造、処理の板の上に紫外線硬化樹脂Rを滴下して測定したときの値として定義される。
【0060】
なお、このような活性化用紫外線照射装置40としては、上記硬化用紫外線照射装置34と同様に、たとえば、基材シートWの幅と略同一長さの円柱状の紫外線ランプを採用することができる。また、この円柱状の紫外線ランプを複数本平行に設けることもでき、この紫外線ランプの背面に反射板を設けることもできる。
【0061】
また、活性化用紫外線照射装置40は、パターンローラ30の活性化に必要な波長の紫外線を照射できるものとし、パターンローラ30の回転速度に応じた量の紫外線を照射できるようにすることが好ましい。
【0062】
また、パターンローラ30の表面の微細凹凸パターンが基材シートWの表面に転写形成される前の塗布層に紫外線が照射されないようにすることが好ましい。
【0063】
転写部18は以上のように構成される。基材シートWは、この転写部18を搬送される過程で、その表面に塗布された紫外線硬化樹脂Rに微細凹凸パターンが連続的に転写形成される。この作用は次のとおりである。
【0064】
乾燥部16を通過した基材シートWは、ニップローラ32を介してパターンローラ30に密着される。
【0065】
この際、基材シートWは、加熱装置38から熱風が吹き付けられ、表面に塗布された紫外線硬化樹脂Rが加熱される。これにより、紫外線硬化樹脂Rの粘度が下げられ、流動性が高める。
【0066】
一方、この基材シートWが密着されるパターンローラ30は、活性化用紫外線照射装置40から紫外線が照射されて、その表面が活性化される。これにより、パターンローラ30に対する紫外線硬化樹脂Rの接触角が下げられ、濡れ性が上げられる。
【0067】
このように、ニップ点における紫外線硬化樹脂Rの流動性を高め、パターンローラ30に対する紫外線硬化樹脂Rの濡れ性を上げることにより、ニップ時にパターンローラ30の各凹部30Aに空気が流入するのを防止できる。
【0068】
ニップローラ32を介してパターンローラ30に密着された基材シートWは、そのパターンローラ30に密着された状態のまま搬送され、硬化用紫外線照射装置34から紫外線が照射される。これにより、表面に塗布された紫外線硬化樹脂Rが硬化する。
【0069】
紫外線硬化樹脂Rが硬化した基材シートWは、剥離ローラ36を介してパターンローラ30から剥離され、次工程へと搬送される。
【0070】
このように本実施の形態の微細構造シート製造装置の転写部18では、空気の流入を防止して基材シートWをパターンローラに密着させるので、パターンローラ表面の微細凹凸パターンを正確に紫外線硬化樹脂Rに転写することができる。
【0071】
転写部18で表面に微細凹凸パターンが形成された基材シートWは、欠陥検査部20に搬送される。
【0072】
欠陥検査部20は、基材シートWの表面に形成された微細凹凸パターンの欠陥を検査する。この欠陥検査部20は、各種公知の検査装置を用いることができる。たとえば、基材シートWの表面を電子カメラで撮像し、得られた画像を解析することにより、欠陥を検査する装置を用いることができる。
【0073】
欠陥検査部20の下流側には、基材シートWの張力を制御するためのダンサーローラユニット50が設けられている。このダンサーローラユニット50は、一対の固定ローラ50A、50Aと、その一対の固定ローラ50A、50Aの間に設けられた移動ローラ50Bとによって構成されている。そして、移動ローラ50Bの昇降動作により基材シートWの張力が制御されるようになっている。
【0074】
ダンサーローラユニット50の下流側には、第2のサクションドラム52が設けられている。この第2のサクションドラム52は、前記第1のサクションドラム26と同様に、基材シートWを吸引保持するとともに、所定の周速度で回転駆動することにより、基材シートWを連続走行させる。
【0075】
第2のサクションドラム52の下流側には、エッジ位置制御装置(エッジポジションコントローラ)54が設けられている。このエッジ位置制御装置54は、連続走行している基材シートWの幅方向の端部位置を検出して基材シートWの幅方向位置を制御する。
【0076】
このエッジ位置制御装置54は、一対の固定ローラ54A、54Bと、その一対の固定ローラ54A、54Bの間に設けられた一対の傾斜ローラ54C、54Dによって構成され、図示しないエッジ位置センサ(たとえば、レーザ方式の位置センサ)の検出結果に基づいて、基材シートWの幅方向位置が正規の位置になるように、傾斜ローラ54C、54Dを傾斜させることにより、基材シートWの幅方向位置を制御する。
【0077】
エッジ位置制御装置54の下流側には巻取部24が設けられており、製造された微細構造シートは、この巻取部24でロール状に巻き取られて回収される。
【0078】
保護フィルム供給部22は、この巻取部24に隣接して設けられており、巻取部24に巻き取られる微細構造シートの表面に保護フィルムHを供給する。微細構造シートは、この保護フィルム供給部22から供給される保護フィルムHが、表面に重ねられた状態でロール状に巻き取られる。
【0079】
本実施の形態の微細構造シート製造装置10は以上のように構成される。
【0080】
次に、本発明に適用される各材料について説明する。基材シートWとしては、樹脂フィルム、紙(レジンコーティッド紙、合成紙、等)、金属箔(アルミニウムウェブ等)等を使用できる。樹脂フィルムの材質としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリエステル、ポリオレフィン、アクリル、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアミド、PET(ポリエチレンテレフタレート)、二軸延伸を行ったポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミドイミド、ポリイミド、芳香族ポリアミド、セルロースアシレート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースダイアセテート等の公知のものが使用できる。これらのうち、特に、ポリエステル、セルロースアシレート、アクリル、ポリカーボネート、ポリオレフィンが好ましく使用できる。
【0081】
基材シートWの幅としては、0. 1〜3mが、基材シートWの長さとしては、100〜10000mが、基材シートWの厚さとしては、1〜300μmのものがそれぞれ一般的に採用される。ただし、これ以外のサイズの適用も妨げられるものではない。
【0082】
これらの基材シートWは、あらかじめコロナ放電、プラズマ処理、易接着処理、熱処理、除塵処理などを行っておいてもよい。基材シートWの表面粗さRaはカットオフ値0.25mmにおいて3〜10nmが好ましい。
【0083】
また、基材シートWには、あらかじめ接着層等の下地層を設け乾燥硬化させたもの、裏面に他の機能層があらかじめ形成されたもの、等を用いてもよい。同様に、基材シートWとして1層構成のもののみならず、2層以上の構成のものも採用できる。また、基材シートWは、光が透過できるような透明体、半透明体であることが好ましい。
【0084】
本発明に使用可能な樹脂は、(メタ)アクロイル基、ビニル基やエポキシ基などの反応性基含有化合物と、紫外線などの紫外線照射にて該反応性基含有化合物を反応させうるラジカルやカチオン等の活性種を発生する化合物を含有するものが使用できる。
【0085】
特に硬化の速さからは、(メタ)アクロイル基、ビニル基などの不飽和基を含有する反応性基含有化合物(モノマ−)と、光によりラジカルを発生する光ラジカル重合開始剤の組み合わせが好ましい。中でも(メタ)アクリレ−ト、ウレタン(メタ)アクリレ−ト、エポキシ(メタ)アクリレ−ト、ポリエステル(メタ)アクリレ−トなどの(メタ)アクロイル基含有化合物が好ましい。
【0086】
この(メタ)アクロイル基含有化合物としては(メタ)アクロイル基が1個あるいは2個以上含有した化合物を用いることができる。また、上記のアクロイル基、ビニル基などの不飽和基を含有する反応性基含有化合物(モノマ−)は必要に応じて、単独で用いても、複数種を混合して用いても良い。
【0087】
このような、(メタ)アクロイル基含有化合物としては、たとえば、(メタ)アクロイル基含有化合物を1個だけ含有する単官能モノマ−としてイソボルニル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、4−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリン、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、へキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0088】
更に芳香環を有する単官能モノマ−として、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシ−2−メチルエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、4−フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、3−(2−フェニルフェニル)−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、エチレンオキシドを反応させたp−クミルフェノールの(メタ)アクリレート、2−ブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、4−ブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2,4−ジブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2,6−ジブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2,4,6−トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、2,4,6−トリブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0089】
このような、芳香を有する環単官能モノマ−の市販品としては、アロニックスM113、M110、M101、M102、M5700、TO−1317(以上、東亞合成(株)製)、ビスコート#192、#193、#220、3BM(以上、大阪有機化学工業(株)製)、NKエステルAMP−10G、AMP−20G(以上、新中村化学工業(株)製)、ライトアクリレートPO−A、P−200A、エポキシエステルM−600A、ライトエステルPO(以上、共栄社化学(株)製)、ニューフロンティアPHE、CEA、PHE−2、BR−30、BR−31、BR−31M、BR−32(以上、第一工業製薬(株)製)等が挙げられる。
【0090】
また、(メタ)アクリロイル基を分子中に2つ有する不飽和モノマーとしては、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレートなどのアルキルジオールジアクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレートなどのポリアルキレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンメタノールジアクリレート等が挙げられる。
【0091】
ビスフェノール骨格をもつ不飽和モノマ−としては、エチレンオキシド付加ビスフェノールA(メタ)アクリル酸エステル、エチレンオキシド付加テトラブロモビスフェノールA(メタ)アクリル酸エステル、プロピレンオキシド付加ビスフェノールA(メタ)アクリル酸エステル、プロピレンオキシド付加テトラブロモビスフェノールA(メタ)アクリル酸エステル、ビスフェノールAジグリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸とのエポキシ開環反応で得られるビスフェノールAエポキシ(メタ)アクリレート、テトラブロモビスフェノールAジグリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸とのエポキシ開環反応で得られるテトラブロモビスフェノールAエポキシ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFジグリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸とのエポキシ開環反応で得られるビスフェノールFエポキシ(メタ)アクリレート、テトラブロモビスフェノールFジグリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸とのエポキシ開環反応で得られるテトラブロモビスフェノールFエポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0092】
このような構造を有する不飽和モノマ−の市販品としては、ビスコート#700、#540(以上、大阪有機化学工業(株)製)、アロニックスM−208、M−210(以上、東亞合成(株)製)、NKエステルBPE−100、BPE−200、BPE−500、A−BPE−4(以上、新中村化学(株)製)、ライトエステルBP−4EA、BP−4PA、エポキシエステル3002M、3002A、3000M、3000A(以上、共栄社化学(株)製)、KAYARAD R−551、R−712(以上、日本化薬(株)製)、BPE−4、BPE−10、BR−42M(以上、第一工業製薬(株)製)、リポキシVR−77、VR−60、VR−90、SP−1506、SP−1506、SP−1507、SP−1509、SP−1563(以上、昭和高分子(株)製)、ネオポールV779、ネオポールV779MA(日本ユピカ(株)製)等が挙げられる。
【0093】
更に、3官能以上の(メタ)アクリレート不飽和モノマ−としては、3価以上の多価アルコールの(メタ)アクリレート、たとえばトリメチロールプロパンリト(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリオキシエチル(メタ)アクリレート、トリス(2−アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート等が挙げられ、市販品としては、アロニックスM305、M309、M310、M315、M320、M350、M360、M408(以上、東亞合成(株)製、ビスコート#295、#300、#360、GPT、3PA、#400(以上、大阪有機化学工業(株)製)、NKエステルTMPT、A−TMPT、A−TMM−3、A−TMM−3L、A−TMMT(以上、新中村化学(株)製)、ライトアクリレートTMP−A、TMP−6EO−3A、PE−3A、PE−4A、DPE−6A(以上、共栄社化学(株)製、KAYARAD PET−30、GPO−303、TMPTA、TPA−320、DPHA、D−310、DPCA−20、DPCA−60(以上、日本化薬(株)製)等が挙げられる。
【0094】
加えてウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを配合してもよい。ウレタン(メタ)アクリレートとしては、たとえばポリエチレングリコール、ポリテトラメチルグリコール等のポリエーテルポリオール;コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、テトラヒドロ(無水)フタル酸、ヘキサヒドロ(無水)フタル酸等の二塩基酸とエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等のジオールの反応によって得られるポリエステルポリオール;ポリε−カプロラクトン変性ポリオール;ポリメチルバレロラクトン変性ポリオール;エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等のアルキルポリオール;エチレンオキシド付加ビスフェノールA、プロピレンオキシド付加ビスフェノールA等のビスフェノールA骨格アルキレンオキシド変性ポリオール;エチレンオキシド付加ビスフェノールF、プロピレンオキシド付加ビスフェノールF等のビスフェノールF骨格アルキレンオキシド変性ポリオール、又はそれらの混合物とトリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の有機ポリイソシアネートと2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートから製造されるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー等が挙げられる。ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、本発明の硬化性組成物の粘度を適度に保つ上で好ましい。
【0095】
これらウレタン(メタ)アクリレートの市販品のモノマーとしては、たとえばアロニックスM120、M−150、M−156、M−215、M−220、M−225、M−240、M−245、M−270(以上、東亞合成(株)製)、AIB、TBA、LA、LTA、STA、ビスコート#155、IBXA、ビスコート#158、#190、#150、#320、HEA、HPA、ビスコート#2000、#2100、DMA、ビスコート#195、#230、#260、#215、#335HP、#310HP、#310HG、#312(以上、大阪有機化学工業(株)製)、ライトアクリレートIAA、L−A、S−A、BO−A、EC−A、MTG−A、DMP−A、THF−A、IB−XA、HOA、HOP−A、HOA−MPL、HOA−MPE、ライトアクリレート3EG−A、4EG−A、9EG−A、NP−A、1,6HX−A、DCP−A(以上、共栄社化学(株)製)、KAYARADTC−110S、HDDA、NPGDA、TPGDA、PEG400DA、MANDA、HX−220、HX−620(以上、日本化薬(株)製)、FA−511A、512A、513A(以上、日立化成(株)製)、VP(BASF製)、ACMO、DMAA、DMAPAA(以上、興人(株)製)等が挙げられる。
【0096】
ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、(a)ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート、(b)有機ポリイソシアネート及び(c)ポリオールの反応物として得られるものであるが、(a)ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートと(b)有機ポリイソシアネートを反応させた後、次いで(c)ポリオールを反応させた反応物であることが好ましい。
【0097】
以上の不飽和モノマ−は単独で用いても良く、必要に応じて複数種を混合して用いても良い。
【0098】
光ラジカル重合開始剤としては、たとえばアセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、キサントン、フルオレノン、べンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド、エチル−2,4,6−トリメチルベンゾイルエトキシフェニルォスフィンオキシドなどが挙げられる。
【0099】
光ラジカル重合開始剤の市販品としては、たとえばIrgacure184、369、651、500、819、907、784、2959、CGI1700、CGI1750、CGI11850、CG24−61、Darocurl116、1173(以上、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)、LucirinLR8728、8893X(以上BASF社製)、ユベクリルP36(UCB社製)、KIP150(ランベルティ社製)等が挙げられる。これらの中で、液状で溶解しやすく、高感度という観点からはLucirinLR8893Xが好ましい。
【0100】
光ラジカル重合開始剤は全組成物中に、0.01〜10重量%、特に0.5〜7重量%配合されるのが好ましい。配合量の上限は組成物の硬化特性や硬化物の力学特性および光学特性、取り扱い等の点からこの範囲が好ましく、配合量の下限は、硬化速度の低下防止の点からこの範囲が好ましい。
【0101】
本発明の組成物には更に光増感剤を配合することができ、当該光増感剤としては、たとえばトリエチルアミン、ジエチルアミン、N−メチルジエタノールアミン、エタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル等が挙げられ、市販品としては、たとえばユベクリルP102、103、104、105(以上、UCB社製)等が挙げられる。
【0102】
更にまた、上記成分以外に必要に応じて各種添加剤として、たとえば酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、シランカップリング剤、塗面改良剤、熱重合禁止剤、レベリング剤、界面活性剤、着色剤、保存安定剤、可塑剤、滑剤、溶媒、フィラー、老化防止剤、濡れ性改良剤、離型剤等を必要に応じて配合することができる。
【0103】
ここで、酸化防止剤としては、たとえばIrganox1010、1035、1076、1222(以上、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)、Antigen P、3C、FR、GA−80(住友化学工業(株)製)等が挙げられ、紫外線吸収剤としては、たとえばTinuvin P、234、320、326、327、328、329、213(以上、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)、Seesorb102、103、110、501、202、712、704(以上、シプロ化成(株)製)等が挙げられ、光安定剤としては、たとえばTinuvin 292、144、622LD(以上、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)、サノールLS770(三共(株)製)、Sumisorb TM−061(住友化学工業(株)製)等が挙げられ、シランカップリング剤としては、たとえばγ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリメトキシシラン、市販品として、SH6062、6030(以上、東レ・ダウ コーニング・シリコーン(株)製)、KBE903、603、403(以上、信越化学工業(株)製)等が挙げられ、塗面改良剤としては、たとえばジメチルシロキサンポリエーテル等のシリコーン添加剤や、非イオン性フルオロ界面活性剤が挙げられ、シリコーン添加剤の市販品としてはDC−57、DC−190(以上、ダウ コーニング社製)、SH−28PA、SH−29PA、SH−30PA、SH−190(以上、東レ・ダウ コーニング・シリコーン(株)製)、KF351、KF352、KF353、KF354(以上、信越化学工業(株)製)、L−700、L−7002、L−7500、FK−024−90(以上、日本ユニカー(株)製)、非イオン性フルオロ界面活性剤の市販品としてはFC-430、FC-171(以上 3M(株))、メガファックF-176、F-177、R-08、F780(以上 大日本インキ(株)製)等が挙げられ、離型剤としてはプライサーフA208F(第一工業製薬(株)製)等が挙げられる。
【0104】
本発明の樹脂液の粘度調整のための有機溶剤としては、樹脂液と混合した時に、析出物や相分離、白濁などの不均一がなく混合できるものであればよく、たとえば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプチルケトン、エタノール、プロパノール、ブタノール、2−メトキシエタノール、シクロヘキサノール、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、トルエンなどが挙げられ、必要に応じてこれらを複数種混合して用いてもよい。
【0105】
有機溶剤を添加した場合は、製品の製造工程中にて、有機溶剤を乾燥、蒸発する工程が必要になるが、蒸発残りの溶剤が大量に製品に残留した場合、製晶の機械物性が劣化したり、製品として使用中に有機溶剤が蒸発、拡散し、悪臭や健康に悪影響を及ぼす懸念がある。このため、有機溶剤としては、高沸点のものは残留溶剤量が多くなり好ましくない。
【0106】
ただし、あまりに低沸点の場合は、激しく蒸発するため、面状が荒れたり、乾燥時の気化熱により組成物表面に結露水が付着して、この跡が面状欠陥になったり、蒸気濃度が高くなり引火等の危険が増す。
【0107】
したがって、有機溶剤の沸点としては50°C以上、150°C以下が好ましく、70°C以上、120°C以下がより好ましい。素材の溶解性や、沸点の観点から、有機溶剤としてはメチルエチルケトン(bp.79.6°C)、1−プロパノール(bp.97.2°C)などが好ましい。
【0108】
本発明の樹脂液に添加される有機溶剤の添加量は、溶剤の種類や、溶剤添加前の樹脂の粘度にもよるが、充分に塗布性が改善されるためには、10重量%以上、40重量%以下の範囲であり、好ましくは15重量%以上、30重量%以下の範囲である。有機溶剤の添加量があまり少量だと、粘度低減の効果や塗布量アップの効果が小さく、塗布性が充分に改良されない。
【0109】
しかし、樹脂を多く希釈しすぎると、粘度が低すぎて基材シートの上で液が流動してムラが発生したり、基材シートの裏面に液が回るなどの問題が発生する。また、乾燥工程において充分に乾燥しきれず、製品中に有機溶剤が多量に残留してしまい、製品機能の劣化や、製品使用中に揮発して悪臭を発生したり、健康への悪影響を及ぼす懸念が生じる。
【0110】
本発明の樹脂液は、前記の各成分を常法により混合して製造することができ、必要に応じて加熱溶解により製造できる。このようにして調製される樹脂液の粘度は、通常10〜50000mPa・s/25°Cである。
【0111】
次に、図1に戻って、本実施の形態の微細構造シート製造装置10の作用について説明する。
【0112】
供給部12から繰り出された基材シートWは、第1のサクションドラム26を介して除塵機28に搬送され、その表面に付着した塵埃が取り除かれる。
【0113】
除塵機28で塵埃が取り除かれた基材シートWは、次に塗布部14に搬送され、その塗布部14で表面に紫外線硬化樹脂Rが塗布される。
【0114】
紫外線硬化樹脂Rが塗布された基材シートWは、次に乾燥部16に搬送され、その乾燥部16で表面に塗布された紫外線硬化樹脂Rが乾燥され、溶剤分が蒸発する。
【0115】
乾燥部16を通過した基材シートWは、次に転写部18に搬送され、その転写部18で表面に微細凹凸パターンが転写形成される。
【0116】
ここで、転写部18は、次のように、基材シートWの表面に微細凹凸パターンを転写形成する。
【0117】
乾燥部16を通過した基材シートWは、ニップローラ32を介してパターンローラ30に密着される。
【0118】
この際、基材シートWは、加熱手段38から熱風が吹き付けられ、表面に塗布された紫外線硬化樹脂Rが加熱される。これにより、紫外線硬化樹脂Rの粘度が下げられ、流動性が高める。
【0119】
一方、この基材シートWが密着されるパターンローラ30は、活性化用紫外線照射装置40から紫外線が照射されて、その表面が活性化される。これにより、パターンローラ30に対する紫外線硬化樹脂Rの接触角が下げられ、濡れ性が上げられる。
【0120】
このように、ニップ点における紫外線硬化樹脂Rの流動性を高め、パターンローラ30に対する紫外線硬化樹脂Rの濡れ性を上げることにより、ニップ時にパターンローラ30の各凹部30Aに空気が流入するのを防止できる。
【0121】
ニップローラ32を介してパターンローラ30に密着された基材シートWは、そのパターンローラ30に密着された状態のまま搬送され、硬化用紫外線照射装置34から紫外線が照射される。これにより、表面に塗布された紫外線硬化樹脂Rが硬化する。
【0122】
紫外線硬化樹脂Rが硬化した基材シートWは、剥離ローラ36を介してパターンローラ30から剥離される。
【0123】
このように、転写部18は、紫外線硬化樹脂Rが塗布された基材シートWの表面にパターンローラ30を密着させ、その状態で紫外線を照射することにより、紫外線硬化樹脂Rを硬化させて、基材シートWの表面に微細凹凸パターンを転写形成する。
【0124】
パターンローラ30から剥離された基材シートWは、次に欠陥検査部20に搬送され、その表面に転写形成された微細凹凸パターンの欠陥が検査される。これにより、欠陥部分の排除が容易となる。
【0125】
欠陥検査が行われた基材シートWは、ダンサーローラユニット50、第2のサクションドラム52、エッジ位置制御装置54を介して巻取部24に搬送される。そして、その表面に保護フィルム供給部22から供給される保護フィルムHが重ねられて、ロール状に巻き取られる。
【0126】
以上説明したように、本実施の形態の微細構造シート製造装置10によれば、転写部18において、基材シートWをニップする際、紫外線硬化樹脂Rの流動性を高めるとともに、パターンローラ30に対する紫外線硬化樹脂Rの濡れ性を上げているので、パターンローラ30の各凹部30Aに空気が入り込むのを防止することができ、パターンローラ30の微細凹凸パターンを正確に基材シートWの表面に転写形成することができる。
【0127】
なお、本実施の形態では、ニップ点において、紫外線硬化樹脂Rの流動性を高める方法として、パターンローラ30に密着される直前の基材シートWの表面に加熱装置38から熱風を吹き付けることにより、紫外線硬化樹脂Rを加熱し、その流動性を高める方法を用いているが、紫外線硬化樹脂Rの流動性を高める方法は、これに限定されるものではない。
【0128】
この他、たとえば、パターンローラ30とニップローラ32の少なくとも一方を加熱することにより、紫外線硬化樹脂Rを加熱して、その流動性を高める方法を用いることができる。
【0129】
この場合、パターンローラ30とニップローラ32を加熱する方法としては、たとえば、図6に示すようにパターンローラ30とニップローラ32を外部からヒータ60、62で加熱する方法を用いることができる。また、図示しないが、この他、パターンローラ30とニップローラ32とにヒータを埋め込み、このヒータによってパターンローラ30とニップローラを加熱する方法や、パターンローラ30とニップローラ32とをジャケット構造とし、恒温槽によって一定温度に制御された温水をパターンローラ30内とニップローラ32内とに循環させることにより、パターンローラ30とニップローラ32を加熱する方法などを用いることができる。
【0130】
なお、この場合も基材シートWの表面に塗布されている放射線硬化樹脂の粘度が、10mPa・s以上、100mPa・s以下になるように、パターンローラ30とニップローラ32のローラ温度を制御するものとする。
【0131】
また、本実施の形態では、パターンローラ30に対する放射線硬化樹脂の濡れ性を上げる方法として、パターンローラ30の表面に活性化用紫外線照射装置40から紫外線を照射し、パターンローラ30の表面を活性化させる方法を用いているが、パターンローラ30に対する放射線硬化樹脂の濡れ性を上げる方法は、これに限定されるものではない。
【0132】
この他、たとえば、パターンローラ30の表面をコロナ処理やプラズマ処理等することにより、パターンローラ30の表面を活性化させて、パターンローラ30に対する放射線硬化樹脂の濡れ性を上げる方法を用いてもよい。
【0133】
また、パターンローラ30の表面に親水化処理剤を塗布して親水化を施すことにより、パターンローラ30に対する放射線硬化樹脂の濡れ性を上げる方法を用いてもよい。この場合、たとえば、図7に示すように、親水化処理剤70が貯留された槽72の中にパターンローラ30を浸漬し、回転させて全面を濡らした後、引き上げて、50〜70℃程度の恒温室で乾燥させることにより、パターンローラ30の表面を親水化することができる。
【0134】
さらに、放射線硬化樹脂に親水化処理剤を添加して、親水化を施すことにより、パターンローラ30に対する放射線硬化樹脂の濡れ性を上げる方法を用いてもよい。この場合、たとえば、紫外線放射樹脂の入った容器の中にプロペラ羽根のついた攪拌機を設置し、回転させながら親水化処理剤を添加する。
【0135】
なお、本発明では、親水性を付与することのできる表面活性剤を親水化処理剤というものとする。この場合、たとえば、n−ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの如きアニオン性界面活性剤、n−ドデシルトリメチルアンモニウムクロライドの如きカチオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリエチレングリコールモノ−パラ−ノニルフェニルエーテルの如き非イオン性界面活性剤、ポリエチレングリコール、エチレングリコール、及びグリセリン等を親水化処理剤として用いることができる。
【0136】
また、パターンローラ30を一定温度に保温することにより、パターンローラ30に対する放射線硬化樹脂の濡れ性を上げる方法を用いてもよい。
【0137】
さらに、これらの各方法を複合的に組み合わせて使用することにより、パターンローラ30に対する放射線硬化樹脂の濡れ性を上げる方法を用いてもよい。たとえば、放射線硬化樹脂に親水化処理剤を添加するとともに、パターンローラ30に紫外線を照射して活性化させることにより、パターンローラ30に対する放射線硬化樹脂の濡れ性を上げるようにしてもよい。
【0138】
なお、この場合もパターンローラ30に対する放射線硬化樹脂の接触角が40°以下になるように、上記各処理を行うものとする。
【0139】
また、本実施の形態では、四角錐状の凸部が基材シートWの幅方法及び長手方向に一定ピッチで規則的に配列された微細凹凸パターンを転写形成する場合を例に説明したが、転写形成する微細凹凸パターンは、これに限定されるものではない。たとえば、図8に示すように、頂部に稜線を有する寄棟形状の凸部が基材シートWの幅方法及び長手方向に一定ピッチで規則的に配列された微細凹凸パターンを転写形成する場合や、図9に示すように、円錐状の凸部が基材シートWの幅方法及び長手方向に一定ピッチで規則的に配列された微細凹凸パターンを転写形成する場合にも同様に本発明を適用することができる。すなわち、本発明は、凸部が基材シートWの幅方法及び長手方向に一定ピッチで規則的に配列された微細凹凸パターンを転写形成する場合すべてに適用することができる。この場合、パターンローラ30の表面には、基材シートWに転写形成する凸部を反転した形状の凹部が、幅方向及び周方向に一定ピッチで形成される。
【0140】
また、本実施の形態では、基材シートWの表面に塗布する樹脂として、紫外線硬化樹脂を用いているが、本発明で使用可能な樹脂は、放射線を照射して硬化する樹脂であれば、これに限定されるものではない。
【0141】
以上、本発明に係る微細構造シート製造装置の一実施形態ついて説明したが、本発明は上記実施形態の例に限定されるものではなく、各種の態様を採り得る。たとえば、本実施形態の例では、ローラ状のパターンローラ30を使用して、基材シートWの表面に微細凹凸パターンを転写する態様について説明したが、エンドレスベルト等の表面に微細凹凸パターンが形成されたものを使用して、基材シートWの表面に微細凹凸パターンを転写する態様とすることもできる。このようなベルトであっても、円柱状のローラと同様に作用し、同様の効果が得られるからである。
【実施例】
【0142】
以下に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0143】
図1に示した微細構造シート製造装置10を使用して、ニップ点における紫外線硬化樹脂Rの粘度及びパターンローラに対する紫外線硬化樹脂Rの接触角を変えて微細構造シートの製造を行った。
【0144】
ここで、ニップローラには、図5に示すように、四角錐状の凹部が幅方向及び周方向に規則的に配列されたものを使用し、図3及び図4に示すように、四角錐状の凸部(縦横比1.0、頂角90°、高さ25μm、幅50μm)が幅方向及び長手方向に規則的に配列された微細構造シートを製造した。
【0145】
また、紫外線硬化樹脂Rの粘度及びパターンローラに対する紫外線硬化樹脂Rの接触角を変える方法として、図10の表に示すように、(1)パターンローラの温度、(2)基材シートの表面に吹き付ける熱風の吸気量、(3)パターンローラへの親水化処理の有無、(4)活性化用の紫外線照射の有無の各種条件を変えることにより行った。
【0146】
なお、基材シートには、幅400mm、厚さ180μmのPETフィルムを使用し、5m/minの搬送速度(ライン速度)で搬送して、連続的に微細構造シートを製造した。また、硬化用の紫外線の照射量は、1000mJ/cm2とした。また、パターンローラには、外径350mm、幅400mmのパターンローラを使用し、ニップローラには、外径80mm、幅400mmのニップローラを使用した。
【0147】
以上のような条件で製造した各微細構造シートの面状を検査した。検査結果を図11の表に示す。
【0148】
この表から明らかなように、ニップ点における放射線硬化樹脂の粘度が、100mPa・s以下、パターンローラに対する放射線硬化樹脂の接触角が、40°以下の条件においては、欠陥を生じることなく微細構造シートを製造することができることが確認できた(ニップ点における放射線硬化樹脂の粘度が100mPa・s、パターンローラに対する放射線硬化樹脂の接触角が40°の条件では、一部に頂点の欠損が確認されたが、製品としては問題のないレベルである。)。
【0149】
上記と同じ製造条件で図8に示すような寄棟状の凸部(縦横比1.5、頂角90°、高さ25μm、幅50μm)が幅方向及び長手方向に規則的に配列された微細構造シートを製造し、その面状を検査した。検査結果を図12の表に示す。
【0150】
この表から明らかなように、寄棟状の微細凹凸パターンを形成する場合においても、ニップ点における放射線硬化樹脂の粘度を100mPa・s以下、パターンローラに対する放射線硬化樹脂の接触角を40°以下とすることにより、欠陥を生じることなく微細構造シートを製造することができることが確認できる(ニップ点における放射線硬化樹脂の粘度が100mPa・s、パターンローラに対する放射線硬化樹脂の接触角が40°の条件では、一部に頂点の欠損が確認されたが、製品としては問題のないレベルである。)。
【0151】
また、このことから形成する微細凹凸パターンの形状に関わらず本発明を適用することが確認できた。
【図面の簡単な説明】
【0152】
【図1】微細構造シート製造装置の概略構成図
【図2】転写部の概略構成図
【図3】微細構造シートの構成を示す斜視図
【図4】図3に示す微細構造シートの一部を拡大した斜視図
【図5】パターンローラの表面を拡大した斜視図
【図6】転写部の他の実施の形態の概略構成図
【図7】パターンローラの親水化処理方法の概略図
【図8】微細構造シートの他の実施の形態の構成を示す斜視図
【図9】微細構造シートの他の実施の形態の構成を示す斜視図
【図10】微細構造シートの製造条件を示す表
【図11】四角錐状の微細凹凸パターンの微細構造シートの製造結果の表
【図12】寄棟状の微細凹凸パターンの微細構造シートの製造結果の表
【図13】頂部に欠損が生じた微細凹凸パターンを示す斜視図
【符号の説明】
【0153】
10…微細構造シート製造装置、12…供給部、14…塗布部、16…乾燥部、18…転写部、20…欠陥検査部、22…保護フィルム供給部、24…巻取部、30…パターンローラ、32…ニップローラ、34…硬化用紫外線照射装置、36…剥離ローラ、38…加熱装置、40…活性化用紫外線照射装置、W…基材シート、R…紫外線硬化樹脂
【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状可撓性の基材シートの表面に放射線硬化樹脂を塗布し、ニップローラを介して該基材シートの表面をパターンローラに密着させ、該パターンローラに密着された状態の基材シートに放射線を照射して、その表面に塗布された前記放射線硬化樹脂を硬化させた後、剥離ローラを介して前記放射線硬化樹脂が硬化した基材シートを前記パターンローラから剥離して、表面に微細凹凸パターンが形成された微細構造シートを連続的に製造する微細構造シート製造方法であって、
前記パターンローラの表面に所定形状の凹部が幅方向及び周方向に一定ピッチで形成されている場合において、
前記基材シートの表面を前記ニップローラを介して前記パターンローラに密着させる際、前記基材シートの表面に塗布されている前記放射線硬化樹脂の粘度を10mPa・s以上、100mPa・s以下にするとともに、前記パターンローラに対する前記放射線硬化樹脂の接触角を40°以下にすることを特徴とする微細構造シート製造方法。
【請求項2】
前記ニップローラを介して前記パターンローラに密着される直前の前記基材シートの表面に熱風を吹き付けることにより、前記放射線硬化樹脂の粘度を10mPa・s以上、100mPa・s以下にすることを特徴とする請求項1に記載の微細構造シート製造方法。
【請求項3】
前記パターンローラ及び/又はニップローラを加熱することにより、前記放射線硬化樹脂の粘度を10mPa・s以上、100mPa・s以下にすることを特徴とする請求項1に記載の微細構造シート製造方法。
【請求項4】
前記パターンローラに親水化処理剤を塗布することにより、前記パターンローラに対する前記放射線硬化樹脂の接触角を40°以下にすることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の微細構造シート製造方法。
【請求項5】
前記パターンローラに放射線を照射することにより、前記パターンローラに対する前記放射線硬化樹脂の接触角を40°以下にすることを特徴とする請求項1、2、3又は4に記載の微細構造シート製造方法。
【請求項6】
帯状可撓性の基材シートの表面に放射線硬化樹脂を塗布し、ニップローラを介して該基材シートの表面をパターンローラに密着させ、該パターンローラに密着された状態の基材シートに放射線を照射して、その表面に塗布された前記放射線硬化樹脂を硬化させ、剥離ローラを介して前記放射線硬化樹脂が硬化した基材シートを前記パターンローラから剥離して、表面に微細凹凸パターンが形成された微細構造シートを連続的に製造する微細構造シート製造装置において、
表面に所定形状の凹部が幅方向及び周方向に一定ピッチで形成されるとともに、その表面に親水化処理剤が塗布された前記パターンローラと、
前記ニップローラを介して前記パターンローラに密着される基材シートを加熱して、該基材シートの表面に塗布された前記放射線硬化樹脂の粘度を低下させる加熱手段と、
を備えたことを特徴とする微細構造シート製造装置。
【請求項7】
帯状可撓性の基材シートの表面に放射線硬化樹脂を塗布し、ニップローラを介して該基材シートの表面をパターンローラに密着させ、該パターンローラに密着された状態の基材シートに放射線を照射して、その表面に塗布された前記放射線硬化樹脂を硬化させ、剥離ローラを介して前記放射線硬化樹脂が硬化した基材シートを前記パターンローラから剥離して、表面に微細凹凸パターンが形成された微細構造シートを連続的に製造する微細構造シート製造装置において、
表面に所定形状の凹部が幅方向及び周方向に一定ピッチで形成された前記パターンローラと、
前記パターンローラの表面に放射線を照射して、該パターンローラに対する前記放射線硬化樹脂の濡れ性を向上させる放射線照射手段と、
前記ニップローラを介して前記パターンローラに密着される基材シートを加熱して、該基材シートの表面に塗布された前記放射線硬化樹脂の粘度を低下させる加熱手段と、
を備えたことを特徴とする微細構造シート製造装置。
【請求項8】
前記加熱手段は、前記ニップローラを介して前記パターンローラに密着される直前の前記基材シートの表面に熱風を吹き付ける手段であることを特徴とする請求項6又は7に記載の微細構造シート製造装置。
【請求項9】
前記加熱手段は、前記ニップローラ又は前記パターンローラを加熱する手段であることを特徴とする請求項6又は7に記載の微細構造シート製造装置。
【請求項1】
帯状可撓性の基材シートの表面に放射線硬化樹脂を塗布し、ニップローラを介して該基材シートの表面をパターンローラに密着させ、該パターンローラに密着された状態の基材シートに放射線を照射して、その表面に塗布された前記放射線硬化樹脂を硬化させた後、剥離ローラを介して前記放射線硬化樹脂が硬化した基材シートを前記パターンローラから剥離して、表面に微細凹凸パターンが形成された微細構造シートを連続的に製造する微細構造シート製造方法であって、
前記パターンローラの表面に所定形状の凹部が幅方向及び周方向に一定ピッチで形成されている場合において、
前記基材シートの表面を前記ニップローラを介して前記パターンローラに密着させる際、前記基材シートの表面に塗布されている前記放射線硬化樹脂の粘度を10mPa・s以上、100mPa・s以下にするとともに、前記パターンローラに対する前記放射線硬化樹脂の接触角を40°以下にすることを特徴とする微細構造シート製造方法。
【請求項2】
前記ニップローラを介して前記パターンローラに密着される直前の前記基材シートの表面に熱風を吹き付けることにより、前記放射線硬化樹脂の粘度を10mPa・s以上、100mPa・s以下にすることを特徴とする請求項1に記載の微細構造シート製造方法。
【請求項3】
前記パターンローラ及び/又はニップローラを加熱することにより、前記放射線硬化樹脂の粘度を10mPa・s以上、100mPa・s以下にすることを特徴とする請求項1に記載の微細構造シート製造方法。
【請求項4】
前記パターンローラに親水化処理剤を塗布することにより、前記パターンローラに対する前記放射線硬化樹脂の接触角を40°以下にすることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の微細構造シート製造方法。
【請求項5】
前記パターンローラに放射線を照射することにより、前記パターンローラに対する前記放射線硬化樹脂の接触角を40°以下にすることを特徴とする請求項1、2、3又は4に記載の微細構造シート製造方法。
【請求項6】
帯状可撓性の基材シートの表面に放射線硬化樹脂を塗布し、ニップローラを介して該基材シートの表面をパターンローラに密着させ、該パターンローラに密着された状態の基材シートに放射線を照射して、その表面に塗布された前記放射線硬化樹脂を硬化させ、剥離ローラを介して前記放射線硬化樹脂が硬化した基材シートを前記パターンローラから剥離して、表面に微細凹凸パターンが形成された微細構造シートを連続的に製造する微細構造シート製造装置において、
表面に所定形状の凹部が幅方向及び周方向に一定ピッチで形成されるとともに、その表面に親水化処理剤が塗布された前記パターンローラと、
前記ニップローラを介して前記パターンローラに密着される基材シートを加熱して、該基材シートの表面に塗布された前記放射線硬化樹脂の粘度を低下させる加熱手段と、
を備えたことを特徴とする微細構造シート製造装置。
【請求項7】
帯状可撓性の基材シートの表面に放射線硬化樹脂を塗布し、ニップローラを介して該基材シートの表面をパターンローラに密着させ、該パターンローラに密着された状態の基材シートに放射線を照射して、その表面に塗布された前記放射線硬化樹脂を硬化させ、剥離ローラを介して前記放射線硬化樹脂が硬化した基材シートを前記パターンローラから剥離して、表面に微細凹凸パターンが形成された微細構造シートを連続的に製造する微細構造シート製造装置において、
表面に所定形状の凹部が幅方向及び周方向に一定ピッチで形成された前記パターンローラと、
前記パターンローラの表面に放射線を照射して、該パターンローラに対する前記放射線硬化樹脂の濡れ性を向上させる放射線照射手段と、
前記ニップローラを介して前記パターンローラに密着される基材シートを加熱して、該基材シートの表面に塗布された前記放射線硬化樹脂の粘度を低下させる加熱手段と、
を備えたことを特徴とする微細構造シート製造装置。
【請求項8】
前記加熱手段は、前記ニップローラを介して前記パターンローラに密着される直前の前記基材シートの表面に熱風を吹き付ける手段であることを特徴とする請求項6又は7に記載の微細構造シート製造装置。
【請求項9】
前記加熱手段は、前記ニップローラ又は前記パターンローラを加熱する手段であることを特徴とする請求項6又は7に記載の微細構造シート製造装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2008−246864(P2008−246864A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−91522(P2007−91522)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
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