説明

微量アミン関連受容体(TAAR)に対するリガンドとしての新規2−イミダゾール

本発明は、式(I)[式中、X−Rは、−CH−であり、且つY−Rは、−CH(低級アルコキシ)−、−CH(低級アルキル)−、−O−、−S−、−S(O)−、−S(O)−もしくはCH−であるか;又はX−Rは、−NH−であり、且つY−Rは、−CH(低級アルキル)−もしくはCH−であり;Arは、フェニル又はナフチルであり、それらの環は、場合により、ハロゲン、低級アルコキシ、低級アルキルよりなる群から選択される1個又は2個の置換基で、又はハロゲンで置換されている低級アルキルで置換されている]で示される化合物及びその薬学的に許容しうる酸付加塩に関する。式Iの化合物は、微量アミン関連受容体(TAAR)、特にTAAR1に対して良好な親和性を有することが見出された。この化合物は、うつ病、不安障害、双極性障害、注意欠陥多動性障害(ADHD)、ストレス関連障害、精神障害、例えば統合失調症、神経疾患、例えばパーキンソン病、神経変性障害、例えばアルツハイマー病、癲癇、片頭痛、高血圧、薬物乱用及び代謝障害、例えば摂食障害、糖尿病、糖尿病合併症、肥満、脂質異常症、エネルギー消費及び同化の異常、体温ホメオスタシスの異常及び機能不全、睡眠障害及び概日リズムの障害、ならびに心臓血管障害の処置のために使用しうる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、式I:
【0002】
【化1】


[式中、
X−Rは、−CH−であり、且つ
Y−Rは、−CH(低級アルコキシ)−、−CH(低級アルキル)−、−O−、−S−、−S(O)−、−S(O)−もしくは−CH−であるか;又は
X−Rは、−NH−であり、且つ
Y−Rは、−CH(低級アルキル)−もしくは−CH−であり;
Arは、フェニル又はナフチルであり、それらの環は、場合により、ハロゲン、低級アルコキシ、低級アルキルよりなる群から選択される1個もしくは2個の置換基で、又はハロゲンで置換されている低級アルキルで置換されている]で示される化合物及びその薬学的に許容しうる酸付加塩(ただし、下記:
2−フェネチル−1H−イミダゾール塩酸塩、
2−(3,4−ジクロロ−フェノキシメチル)−1H−イミダゾール塩酸塩、
2−(2−クロロ−フェノキシメチル)−1H−イミダゾール塩酸塩、
2−(2,3−ジクロロ−フェノキシメチル)−1H−イミダゾール、
ベンジル−(1H−イミダゾール−2−イル)−アミン、
(4−クロロ−ベンジル)−(1H−イミダゾール−2−イル)−アミン、及び
(2−クロロ−ベンジル)−(1H−イミダゾール−2−イル)−アミン
の化合物を除く)に関する。
【0003】
公知の化合物は、例えば、以下に示す参照文献に記載されているか、又は公共の化学ライブラリーに含まれている。
A:2−フェネチル−1H−イミダゾール塩酸塩(CAS 84694-97-3)B:2−(3,4−ジクロロ−フェノキシメチル)−1H−イミダゾール塩酸塩(CAS 43111-25-7)
C:2−(2−クロロ−フェノキシメチル)−1H−イミダゾール塩酸塩(CAS 29786-72-9)
D:2−(2,3−ジクロロ−フェノキシメチル)−1H−イミダゾール(CAS 87477-48-3)
E:ベンジル−(1H−イミダゾール−2−イル)−アミン(CAS 14700-66-4)
F:(4−クロロ−ベンジル)−(1H−イミダゾール−2−イル)−アミン(CAS 21714-30-7)
G:(2−クロロ−ベンジル)−(1H−イミダゾール−2−イル)−アミン(CAS 21722-18-9)
【0004】
本発明は、全てのラセミ混合物、全てのそれらの対応する鏡像異性体及び/又は光学異性体を包含する。
【0005】
更に、式Iの化合物の全ての互変異性形態もまた、本発明に包含される。
【0006】
式Iの化合物は、微量アミン関連受容体(TAAR)、特にTAAR1に対して良好な親和性を有することが見出された。この化合物は、うつ病、不安障害、双極性障害、注意欠陥多動性障害(ADHD)、ストレス関連障害、精神障害、例えば統合失調症、神経疾患、例えばパーキンソン病、神経変性障害、例えばアルツハイマー病、癲癇、片頭痛、高血圧、薬物乱用及び代謝障害、例えば摂食障害、糖尿病、糖尿病合併症、肥満、脂質異常症、エネルギー消費及び同化の異常、体温ホメオスタシスの異常及び機能不全、睡眠障害及び概日リズムの障害、ならびに心臓血管障害の処置のために使用しうる。
【背景技術】
【0007】
古典的な生体アミン(セロトニン、ノルエピネフリン、エピネフリン、ドパミン、ヒスタミン)は、中枢及び末梢神経系において、神経伝達物質として重要な役割を果たす[1]。それらの合成及び貯蔵ならびに放出後のそれらの分解及び再取り込みは、厳重に制御されている。生体アミンのレベルの不均衡は、多くの病的状態下における変容した脳機能の原因であることが知られている[2〜5]。内因性アミン化合物の第二のクラス、いわゆる微量アミン(TA)は、構造、代謝及び亜細胞局在に関して古典的な生体アミンと有意に重なり合う。TAは、p−チラミン、β−フェニルエチルアミン、トリプタミン及びオクトパミンを包含し、それらは、哺乳類の神経系に、一般に、古典的な生体アミンよりも低いレベルで存在する[6]。
【0008】
それらの制御不全は、統合失調症及びうつ病のような種々の精神病[7]及び注意欠陥多動性障害、片頭痛、パーキンソン病、薬物乱用及び摂食障害のような他の状態[8,9]に関連している。
【0009】
長い間、TA特異的受容体は、ヒト及び他の哺乳類のCNSにおける解剖的に別個の高親和性TA結合部位に基づいて仮説が立てられてきたのみであった[10,11]。したがって、TAの薬理学的な効果は、古典的な生体アミンの周知の機関を通して、それらの放出を開始させ、それらの再取り込みを疎外することにより、又はそれらの受容体システムと「交差反応する」ことにより、媒介されると思われていた[9,12,13]。この観点は、GPCRの新規なファミリーのいくつかの構成員、微量アミン関連受容体(TAAR)の最近の同定に伴って、有意に変更された[7,14]。ヒトでは9個のTAAR遺伝子(3個の偽遺伝子を含む)があり、マウスでは16個の遺伝子(1個の偽遺伝子を含む)がある。TAAR遺伝子は、イントロンを含まず(1つの例外として、TAAR2は1個のイントロンを含む)、同一の染色体セグメント上に互いに隣り合って位置している。受容体遺伝子の系統発生的関係は、詳細なGPCR薬物団類似性比較及び薬理学的データのとおり、これらの受容体が3個の別々のサブファミリーを形成することを示唆している[7,14]。TAAR1は、ヒトと齧歯類との間で高度に保存されている4個の遺伝子(TAAR1〜4)の第一のサブクラス中のものである。TAは、Gαを通してTAAR1を活性化する。TAの制御不全は、うつ病、精神病、注意欠陥多動性障害、薬物乱用、パーキンソン病、片頭痛、摂食障害、代謝障害のような種々の疾患の原因論に貢献することが示された。したがって、TAAR1リガンドは、これらの疾患の処置に高い活性を有する。
【0010】
このため、微量アミン関連受容体についての知識を増やすことに広く関心がもたれている。
【0011】
【表1】

【0012】
本発明の目的は、式Iの新規な化合物ならびに、微量アミン関連受容体への親和性に関連する疾患の処置用の医薬の製造のための式Iの化合物及びそれらの薬学的に許容しうる塩の使用、式Iの範囲内の新規な特定化合物、それらの製造、本発明による化合物に基づく医薬及びそれらの製造ならびに、うつ病、不安障害、双極性障害、注意欠陥多動性障害、ストレス関連障害、精神障害、例えば統合失調症、神経疾患、例えばパーキンソン病、神経変性障害、例えばアルツハイマー病、癲癇、片頭痛、高血圧、薬物乱用及び代謝障害、例えば摂食障害、糖尿病、糖尿病合併症、肥満、脂質異常症、エネルギー消費及び同化の異常、体温ホメオスタシスの異常及び機能不全、睡眠障害及び概日リズムの障害、ならびに心臓血管障害のような疾病の抑制及び予防における式Iの化合物の使用である。
【0013】
本発明の化合物を使用する好ましい適応症は、うつ病、精神病、パーキンソン病、不安及び注意欠陥多動性障害(ADHD)である。
【0014】
本明細書で使用する、用語「低級アルキル」は、1〜7個の炭素原子を含む飽和の直鎖又は分岐鎖の基、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、i−ブチル、2−ブチル、t−ブチル等を意味する。好ましいアルキル基は、1〜4個の炭素原子を有する基である。
【0015】
本明細書で使用する、用語「低級アルコキシ」は、アルキル残基が上で定義されたとおりであり、酸素原子を介して結合している基を意味する。
【0016】
本明細書で使用する、用語「ハロゲンで置換されている低級アルキル」は、少なくとも1個の水素原子がハロゲン置き換えられている、上で定義されたとおりのアルキル基、例えば、CF、CHF、CHF、CHCF、CHCHCF、CHCFCF等を意味する。
【0017】
用語「ハロゲン」は、塩素、ヨウ素、フッ素及び臭素を意味する。
【0018】
用語「薬学的に許容しうる酸付加塩」は、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、クエン酸、ギ酸、フマル酸、マレイン酸、酢酸、コハク酸、酒石酸、メタン−スルホン酸、p−トルエンスルホン酸等のような、無機酸及び有機酸との塩を包含する。
【0019】
式Iの好ましい化合物は、X−RがCHである化合物である。このような化合物は:
2−[2−(3−クロロ−フェニル)−2−メトキシ−エチル]−1H−イミダゾール又は
2−(2,3−ジクロロ−フェニルスルファニルメチル)−1H−イミダゾール
である。
【0020】
更に好ましいものは、X−RがNHである化合物、例えば、以下の化合物:
(3−クロロ−ベンジル)−(1H−イミダゾール−2−イル)−アミン
(3,4−ジクロロ−ベンジル)−(1H−イミダゾール−2−イル)−アミン
(2,3−ジクロロ−ベンジル)−(1H−イミダゾール−2−イル)−アミン
(RS)−(1H−イミダゾール−2−イル)−(1−フェニル−エチル)−アミン
(1H−イミダゾール−2−イル)−(3−メチル−ベンジル)−アミン
(3−フルオロ−ベンジル)−(1H−イミダゾール−2−イル)−アミン
(RS)−(1H−イミダゾール−2−イル)−(1−o−トリル−エチル)−アミン
(RS)−[1−(2,3−ジクロロ−フェニル)−エチル]−(1H−イミダゾール−2−イル)−アミン
(1H−イミダゾール−2−イル)−ナフタレン−2−イルメチル−アミン、又は
(RS)−[1−(2−クロロ−フェニル)−エチル]−(1H−イミダゾール−2−イル)−アミン
である。
【0021】
更に好ましいものは、Y−RがCHである化合物、例えば、以下の化合物:
(3−クロロ−ベンジル)−(1H−イミダゾール−2−イル)−アミン
(3,4−ジクロロ−ベンジル)−(1H−イミダゾール−2−イル)−アミン
(2,3−ジクロロ−ベンジル)−(1H−イミダゾール−2−イル)−アミン
(1H−イミダゾール−2−イル)−(3−メチル−ベンジル)−アミン
(3−フルオロ−ベンジル)−(1H−イミダゾール−2−イル)−アミン、又は
(1H−イミダゾール−2−イル)−ナフタレン−2−イルメチル−アミン
である。
【0022】
本発明の更なる実施態様は、Y−Rが、−CH(低級アルキル)又は−CH(低級アルコキシ)である式Iの化合物、例えば、以下の化合物:
2−[2−(3−クロロ−フェニル)−2−メトキシ−エチル]−1H−イミダゾール
(RS)−(1H−イミダゾール−2−イル)−(1−フェニル−エチル)−アミン
(RS)−(1H−イミダゾール−2−イル)−(1−フェニル−プロピル)−アミン
(RS)−(1H−イミダゾール−2−イル)−(1−o−トリル−エチル)−アミン
(RS)−[1−(2,3−ジクロロ−フェニル)−エチル]−(1H−イミダゾール−2−イル)−アミン、又は
(RS)−[1−(2−クロロ−フェニル)−エチル]−(1H−イミダゾール−2−イル)−アミン
である。
【0023】
本発明のまた更なる実施態様は、Y−Rが−O−である式Iの化合物、例えば、以下の化合物:
2−(2,3−ジフルオロ−フェノキシメチル)−1H−イミダゾール
である。
【0024】
本発明の更なる実施態様は、Y−Rが、−S−、−S(O)−又は−S(O)である式Iの化合物、例えば、以下の化合物:
2−(2,3−ジクロロ−フェニルスルファニルメチル)−1H−イミダゾール
2−(2,3−ジクロロ−ベンゼンスルフィニルメチル)−1H−イミダゾール、又は
2−(2,3−ジクロロ−ベンゼンスルホニルメチル)−1H−イミダゾール
である。
【0025】
本発明の式Iの化合物及びそれらの薬学的に許容しうる塩は、当該技術において既知の方法、例えば、下記に記載の方法であって、
a)式II:
【0026】
【化2】


で示される化合物を、式I:
【0027】
【化3】


(式中、定義は、上記のとおりである)で示される化合物へ脱保護すること、又は、
b)式V:
【0028】
【化4】


で示される化合物を、式II−1:
【0029】
【化5】


で示される化合物へアルキル化して、次いで工程a)に従って、式I−1:
【0030】
【化6】


(式中、Arは、上で定義されたとおりである)で示される化合物へ脱保護すること、又は、
c)式III−3:
【0031】
【化7】


で示される化合物と、式IV−2:
【0032】
【化8】


で示される化合物を反応させて、式II−2:
【0033】
【化9】


で示される化合物とし、工程a)に従って、式I−2:
【0034】
【化10】


(式中、Arは、上で定義されたとおりである)で示される化合物へ脱保護すること;又は、
d)式III−3:
【0035】
【化11】


で示される化合物と、式IV−3:
【0036】
【化12】


で示される化合物を反応させて、式II−3:
【0037】
【化13】


で示される化合物とし、工程a)に従って、式I−3:
【0038】
【化14】


(式中、Arは、上で定義されたとおりである)で示される化合物へ脱保護すること;又は、
e)式II−3:
【0039】
【化15】


で示される化合物を、式II−4又はII−5:
【0040】
【化16】


で示される化合物へ酸化し、工程a)に従って、式I−4又はI−5:
【0041】
【化17】


(式中、Arは、上で定義されたとおりである)で示される化合物へ脱保護すること、又は、
f)式VI:
【0042】
【化18】


で示される化合物を、式I−6:
【0043】
【化19】


(式中、Rは、水素又は低級アルキルであり、更なる定義は、上で定義されたとおりである)で示される化合物へ還元すること;又は、
g)式VI−1:
【0044】
【化20】


で示される化合物を、式RMgHal(式中、Hal及びArは、上で定義されたとおりである)の化合物と反応させて、式I−6:
【0045】
【化21】


(式中、Rは、低級アルキルであり、更なる定義は、上で定義されたとおりである)で示される化合物とすること、
所望であれば、得られた化合物を、薬学的に許容しうる酸付加塩に変換することを含む方法により製造することができる。
【0046】
式Iの化合物は、上記の方法の変形例及び以下のスキーム1〜5に従って製造しうる。出発物質は、市販されているか、そうでない場合には化学文献に公知であるか、又はこの技術分野で周知の方法に従って調製しうる。
【0047】
手順A
C−C結合化合物の合成
【0048】
【化22】

【0049】
工程A:2−メチル−1−トリチルイミダゾール(III)の縮合は、始めに、−78℃〜−40℃で1〜8時間、THF又はジエチルエーテルのような溶媒中、場合によりテトラメチルエチレンジアミン又はペンタメチルジエチレントリアミンなどのキレート化アミンの存在下に、n−BuLi、sec−BuLi、t−BuLi又はフェニルリチウムなどの塩基で、2−メチル−1−トリチルイミダゾールを脱プロトン化し、次いで、−78℃〜室温で2〜24時間、同じ溶媒中で対応するアルデヒド(IV)とアニオンを反応させることにより達成することができる。
【0050】
好ましい条件は、THF中でペンタメチルジエチレントリアミンの存在下の−78℃で6時間のn−BuLiでの脱プロトン化と、その後の−78℃〜>室温で一晩のIVとの反応である。
【0051】
工程B:アルコール(V)のアルキル化は、−78℃〜室温で、30分〜2時間、THF、DMF、DMSO、トルエン又は1,2−ジメトキシエタンのような好適な溶媒中で相間移動触媒(テトラアルキルアンモニウム塩)の存在下、ヒドロキシル基を、NaH、KH,n−BuLi、KOtBu、KOH又は水性NaOH及びKOHなどの塩基で脱プロトン化し、続いてハロゲン化アルキルを添加することにより達成することができる。
【0052】
好ましい条件は、室温で1時間のTHF中のNaHでの脱プロトン化及び、室温で一晩のヨウ化アルキルでのアルキル化である。
【0053】
工程C:式I−1を得るためのトリチル基の開裂は、CHCl、CHCl、THF、MeOH、EtOH又はHOのような溶媒中、0〜60℃で、HCl、HSOもしくはHPOなどの鉱酸又はCFCOOH、CHClCOOH、HOAcもしくはp−トルエンスルホン酸などの有機酸で達成することができる。
【0054】
好ましい条件は、還流下、1〜3時間のEtOH中の2N HClである。
【0055】
手順B
C−O結合化合物の合成
【0056】
【化23】

【0057】
工程A:アルコール(III−2)の対応する塩化物(III−3)への変換は、トルエン、ベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、ジオキサン、THF又はジエチルエーテルのような溶媒中、0℃〜50℃で1〜6時間、適切な場合には、トリエチルアミン又はピリジンなどの有機塩基の存在下に、チオニルクロリド、p−トルエンスルホニルクロリド、メタンスルホニルクロリド、シアヌルクロリド、CCl/トリフェニルホスフィン、水性又は気体状HClで処理することにより達成することができる。
【0058】
好ましい条件は、0℃で1時間の、トルエン中のトリエチルアミンの存在下、チオニルクロリドでの処理である。
【0059】
工程B:2−クロロメチル−1−トリチル−1H−イミダゾール(III−3)でのIV−2のアルキル化は、室温〜120℃で、1〜24時間、アセトン、DMF、DMSO、アセトニトリル、トルエン、EtOH、MeOHのような溶媒中のKCO、CsCO、NaCO、NaHCO、水性NaOH、KOH、LiOH、NaH、NaOMe、NaOEt又はトリエチルアミンなどの塩基を使用して、そして場合により適切な場合には、臭化テトラブチルアンモニウムのような相間移動触媒又はクラウンエーテル、ヨウ化テトラブチルアンモニウムもしくはヨウ化カリウムのような添加剤を使用して達成することができる。
【0060】
好ましい条件は、80℃で5時間のDMF中のKCOである。
【0061】
工程C:式I−2の化合物へのトリチル基の開裂は、CHCl、CHCl、THF、MeOH、EtOH又はHOのような溶媒中、0〜60℃で、HCl、HSOもしくはHPOなどの鉱酸又はCFCOOH、CHClCOOH、HOAcもしくはp−トルエンスルホン酸などの有機酸で達成することができる。
【0062】
好ましい条件は、還流下、1〜3時間のEtOH中の2N HClである。
【0063】
手法C
C−S結合化合物の合成
【0064】
【化24】

【0065】
工程A:2−クロロメチル−1−トリチル−1H−イミダゾール(III−3)でのIV−3のアルキル化は、室温〜120℃で、1〜24時間、アセトン、DMF、DMSO、アセトニトリル、トルエン、EtOH、MeOHのような溶媒中のKCO、CsCO、NaCO、NaHCO、水性NaOH、KOH、LiOH、NaH、NaOMe、NaOEt又はトリエチルアミンなどの塩基、そして場合により、適切な場合には、臭化テトラブチルアンモニウムのような相間移動触媒又はクラウンエーテル、ヨウ化テトラブチルアンモニウムもしくはヨウ化カリウムのような添加剤を用いて達成することができる。
【0066】
好ましい条件は、80℃で5時間のDMF中のKCOである。
【0067】
工程B:式II−3の化合物のトリチル基の開裂は、CHCl、CHCl、THF、MeOH、EtOH又はHOのような溶媒中、0〜60℃で、HCl、HSOもしくはHPOなどの鉱酸又はCFCOOH、CHClCOOH、HOAcもしくはp−トルエンスルホン酸などの有機酸で達成することができる。
【0068】
好ましい条件は、還流下、1〜3時間のEtOH中の3N HClである。
【0069】
工程C:式II−3のチオエーテルの対応するスルホキシド(II−4)への酸化は、0℃〜還流温度で、CHCl、ジクロロエタン、トルエン、アセトニトリル、MeOHのような溶媒中、mCPBA、2−ヨードキシ安息香酸イソプロピル、オキソン又は過ヨウ素酸ナトリウムなどの酸化剤により達成することができる。
【0070】
好ましい条件は、0℃〜室温で1〜5時間の、CHCl中の1当量のmCPBAである。
【0071】
工程D:式II−3のチオエーテルの対応するスルホン(II−5)への酸化は、0℃〜還流温度で、CHCl、ジクロロエタン、トルエン、アセトニトリル、THF、アセトン、MeOHのような溶媒中、mCPBA、H又はオキソンのような酸化剤により達成することができる。
【0072】
好ましい条件は、0℃〜室温で1〜5時間の、CHCl中の2当量のmCPBAである。
【0073】
手順D
N−C結合化合物の合成
【0074】
【化25】

【0075】
は、水素又は低級アルキルである。
【0076】
工程A:アリールアルデヒド又はアリールケトン(IV−4)と2−アミノイミダゾール硫酸塩(III−4)との間のイミン形成は、ジクロロメタン又は1,2−ジクロロエタンのような塩素化有機溶媒中、室温又は溶媒の還流温度のような高温でトリエチルアミン又はエチルジイソプロピルアミンなどの有機塩基と組み合わせたTi(OiPr)又はZnClなどのルイス酸により達成することができる。アリールアルデヒドが使用される場合、好ましい条件は、室温で約16時間の、ジクロロメタン中のTi(OiPr)及びトリエチルアミンである。アリールケトンが使用される場合、好ましい条件は、還流下、約16時間の、1,2−ジクロロエタン中のTi(OiPr)及びトリエチルアミンである。
【0077】
工程B:式I−6の対応するアミンを与えるイミンの還元は、エタノール又はメタノールのようなアルコール系溶媒中、水素化ホウ素ナトリウムなどの金属水素化物還元剤を使用して、あるいはジエチルエーテル、ジオキサン又はテトラヒドロフランのようなエーテル性溶媒中、室温又は溶媒の還流温度のような高温で、水素化ホウ素リチウムまたは水素化リチウムアルミニウムなどの金属水素化物還元剤を使用することにより達成することができる。
【0078】
好ましい条件は、室温で約2〜4時間の、エタノール中の水素化ホウ素ナトリウムである。
【0079】
手順E
N−C結合化合物の別途合成
【0080】
【化26】

【0081】
は、低級アルキルである。
【0082】
工程A:アリールアルデヒド(IV−5)と2−アミノイミダゾール硫酸塩(III−4)との間のイミン形成は、ジクロロメタン又は1,2−ジクロロエタンのような塩素化有機溶媒中、室温又は溶媒の還流温度のような高温で、トリエチルアミン又はエチルジイソプロピルアミンなどの有機塩基と組み合わせたTi(OiPr)又はZnClなどのルイス酸により達成することができる。
【0083】
好ましい条件は、室温で約16時間の、ジクロロメタン中のTi(OiPr)及びトリエチルアミンである。
【0084】
工程B:有機金属剤をイミンに求核付加して式I−6のアミン化合物を得ることは、ジエチルエーテル、ジオキサンもしくはテトラヒドロフランのようなエーテル性溶媒又はトルエンのような炭化水素溶媒中、室温又は溶媒の還流温度のような高温で、スカンジウムトリフレートなどのルイス酸触媒の存在下に、グリニャール試薬又は有機リチウム試薬を用いて達成することができる。
好ましい条件は、室温で約2時間の、エーテルとトルエンの混合物中の臭化アルキルマグネシウム及びスカンジウムトリフレートである。
【0085】
化合物の単離及び精製
本明細書に記載の化合物及び中間体の単離及び精製は、所望ならば、任意の好適な分離又は精製手法、例えば、濾過、抽出、結晶化、カラムクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、厚層クロマトグラフィー、分取低圧もしくは高圧液体クロマトグラフィー又はこれらの手法の組み合わせにより達成することができる。好適な分離及び単離手法の具体的な例証は、以下の本明細書における調製及び実施例を参照することにより得ることができる。しかしながら、他の同等の分離又は単離手法も、当然に使用しうる。式Iのキラル化合物のラセミ混合物は、キラルHPLCを用いて分離することができる。
【0086】
式Iの化合物の塩
式Iの化合物は、塩基性であり、対応する酸付加塩に変換しうる。この変換は、少なくとも化学量論量の適切な酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等及び、有機酸、例えば酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、リンゴ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸等での処理により達成される。典型的には、遊離塩基を、ジエチルエーテル、酢酸エチル、クロロホルム、エタノール又はメタノール等のような不活性有機溶媒に溶解し、同様の溶媒中で酸を加える。温度は、0℃〜50℃の間に維持する。得られた塩は、自然に析出するか又は、より極性の低い溶媒で、溶媒から析出させうる。
【0087】
式Iの塩基性化合物の酸付加塩は、少なくとも化学量論的に当量の適切な塩基、例えば水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、アンモニア等で処理することにより、対応する遊離塩基に変換しうる。
【0088】
式Iの化合物及びそれらの薬学的に使用しうる付加塩は、有益な薬理学的な特性を有する。具体的には、本発明の化合物は、微量アミン関連受容体(TAAR)、特にTAAR1に良好な親和性を有することが見出されている。
【0089】
化合物は、以下に示される試験に従って詳しく調べた。
【0090】
材料及び方法
TAAR発現プラスミドの構築及び安定にトランスフェクトされた細胞系
発現プラスミドを構築するために、ヒト、ラット及びマウスTAAR1のコード配列を、基本的にLindemannらが記述しているようにして、ゲノムDNAから増幅した[14]。エキスパンドハイフィデリティPCRシステム(Expand High Fidelity PCR System)(Roche Diagnostics)を、1.5mM Mg2+と共に使用し、精製したPCR生成物を、製造者の指示に従って、pCR2.1-TOPOクローニングベクター(Invitrogen)にクローン化した。PCR生成物は、pIRESneo2ベクター(BD Clontech, Palo Alto, California)にサブクローン化し、発現ベクターは、株細胞に導入する前に配列検証した。
【0091】
HEK293細胞(ATCC#CRL-1573)を、基本的にLindemann ら (2005)が記述しているようにして培養した。安定にトランスフェクトされた株細胞を生成するために、HEK293細胞を、製造者の指示に従って、Lipofectamine2000(Invitrogen)と共にTAARコード配列を含有するpIRESneo2発現プラスミド(上記)でトランスフェクトし、トランスフェクションの24時間後に、培養培地に1mg/ml G418(Sigma, Buchs, Switzerland)を補足した。約10日間の培養期間の後、クローンを単離し、展開し、次いで、製造者が提供した非アセチル化EIA手順に従って、cAMP Biotrak Enzymeイムノアッセエイ(EIA)System(Amersham)を用いて、微量アミン(全ての化合物は、Sigmaから購入)への応答性について試験した。15継代に亘る培養期間の間、安定なEC50を示したモノクローナル株細胞を、その後の全ての試験に使用した。
【0092】
膜調製及び放射性リガンドの結合
コンフルエンスの細胞を、Ca2+及びMg2+なしで、10mM EDTAを含有する氷冷リン酸緩衝塩水ですすぎ、1000rpmで4℃で5分間遠心分離してペレット化した。次いで、ペレットを氷冷リン酸緩衝塩水で2回洗浄し、細胞ペレットを液体窒素に浸漬することにより直ちに凍結させ、使用するまで−80℃で保存した。その後、細胞ペレットを、10mM EDTAを含む20mlのHEPES−NaOH(20mM)、pH7.4中に懸濁し、Polytron (PT 3000, Kinematica)を用いて、10,000rpmで10秒間ホモジナイズした。ホモジネートを、48,000xgで4℃で30分間遠心分離し、ペレットを、0.1mM EDTAを含む20mlのHEPES−NaOH(20mM)、pH7.4(緩衝液A)中に再懸濁し、Polytronを用いて、10,000rpmで10秒間均質化した。次いで、ホモジネートを、4℃で48,000xgで30分間遠心し、ペレットを、20mlの緩衝液A中に再懸濁し、Polytronを用いて、10,000rpmで10秒間ホモジナイズした。タンパク質濃度を、Pierce(Rockford, IL)の方法により決定した。その後、ホモジネートを、48,000xgで4℃で10分間遠心分離し、200でMgCl(10mM)及びCaCl(2mM)を含むHEPES−NaOH(20mM)、pH7.0(緩衝液B)中に再懸濁し、Polytronを用いて、10,000rpmで10秒間ホモジナイズした。
【0093】
結合アッセイは、最終容積1mlで、4℃で30分間のインキュベーション時間で行った。放射性リガンド[H]−rac−2−(1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフチル)−2−イミダゾリンを、計算されたK値の60nMと等しい濃度で使用して、全添加放射性リガンド濃度の約0.1%で、全結合の約70〜80%を示す特異的結合の結合物を得た。非特異的結合は、適切な非標識リガンド(10μM)の存在下に結合された[H]−rac−2−(1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフチル)−2−イミダゾリンの量として規定した。競合リガンドを、広範囲の濃度(10pM〜30μM)で試験した。アッセイにおける最終ジメチルスルホキシド濃度は2%であり、それは、放射性結合に影響を与えなかった。各々の実験は、2回ずつ行った。全てのインキュベーションは、UniFilter-96プレート(Packard Instrument Company)及びポリエチレンイミン0.3%中で少なくとも2時間予備浸漬したガラスフィルターGF/Cを通しての高速濾過ならびにFiltermate 96 Cell Harvester(Packard Instrument Company)を用いることにより終了した。次いで、管とフィルターを、冷緩衝液Bの1mlアリコートで3回洗浄した。フィルターを乾燥させずに、Ultima gold(45μl/ウェル、Packard Instrument Company)に浸漬し、結合放射能活性を、TopCount Microplate & Scintillation Counter(Packard Instrument Company)でカウントした。
【0094】
好ましい化合物は、TAAR1についてマウスで、下表に示されるように、K<1.0μMの範囲のK値(μM)を示す。
【0095】
【表2】

【0096】
式Iの化合物及び式Iの化合物の薬学的に許容される塩は、医薬として、例えば、医薬製剤の形態で使用することができる。医薬製剤は、例えば、錠剤、コーティング錠、糖衣錠、硬及び軟ゼラチンカプセル剤、液剤、乳剤又は懸濁剤の剤形で、経口投与することができる。しかし投与はまた、例えば坐剤の剤形で直腸内に、例えば注射液の剤形で非経口的に行うこともできる。
【0097】
式Iの化合物は、医薬製剤を製造するため、薬学的に不活性な無機又は有機担体と共に製剤化することができる。乳糖、トウモロコシデンプン又はそれらの誘導体、タルク、ステアリン酸又はそれらの塩などが、例えば、錠剤、コーティング錠、糖衣錠及び硬ゼラチンカプセル剤のためのそのような担体として使用することができる。軟ゼラチンカプセル剤のための適切な担体は、例えば、植物油、ロウ、脂肪、半固体及び液体ポリオール類等である。しかし、活性物質の性質に応じて、軟ゼラチンカプセル剤の場合は、通常担体を必要としない。溶剤及びシロップ剤の製造に適切な担体は、例えば、水、ポリオール類、グリセリン、植物油等である。坐剤に適切な担体は、例えば、天然又は硬化油、ロウ、脂肪、半液体又は液体のポリオール等である。
【0098】
更に、製剤は、保存剤、可溶化剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、甘味料、着色料、着香剤、浸透圧を変化させる塩、緩衝剤、マスキング剤又は酸化防止剤を含むことができる。それらは、その他の治療上有用な物質も更に含有することができる。
【0099】
式Iの化合物又は薬学的に許容されるその塩及び治療上不活性な担体を含有する医薬もまた、式Iの化合物及び/又は薬学的に許容される酸付加塩の1種以上と、所望により、他の治療上有用な物質の1種以上とを、治療上不活性な担体の1種以上と共に、調製することを含む調製方法と同様に、本発明の目的である。
【0100】
本発明の最も好ましい適応症は、中枢神経系の疾患を含むものであり、例えば、うつ病、精神病、パーキンソン病、不安及び注意欠陥多動性障害(ADHD)の治療又は予防である。
【0101】
用量は、広い範囲内で変えることができ、当然それぞれの特定の症例における個別の要求に適合させなければならない。経口投与の場合、成人用の用量は、一般式Iの化合物1日当たり約0.01mg〜約1000mg、又は薬学的に許容されるその塩の対応する量で変えることができる。1日量を、1回量として又は分割量として投与してよく、加えて、必要性が示される場合、上限を超えることもできる。
【0102】
錠剤の処方(湿式顆粒化)
品目 成分 mg/錠剤
5mg 25mg 100mg 500mg
1.式Iの化合物 5 25 100 500
2.無水乳糖DTG 125 105 30 150
3.Sta-Rx 1500 6 6 6 30
4.微晶質セルロース 30 30 30 150
5.ステアリン酸マグネシウム 1 1 1 1
合計 167 167 167 831
【0103】
製造手順
1.品目1、2、3及び4を混合し、精製水と共に造粒する。
2.顆粒を50℃で乾燥させる。
3.顆粒を適切な微粉砕装置に通す。
4.品目5を加え、3分間混合し、適切な成形機で圧縮する。
【0104】
0
カプセルの処方
品目 成分 mg/カプセル
5mg 25mg 100mg 500mg
1.式Iの化合物 5 25 100 500
2.含水乳糖 159 123 148 −−−
3.トウモロコシデンプン 25 35 40 70
4.タルク 10 15 10 25
5.ステアリン酸マグネシウム 1 2 2 5
合計 200 200 300 600
【0105】
製造手順
1.品目1、2及び3を適切なミキサーで30分間混合する。
2.品目4及び5を加え、3分間混合する。
3.適切なカプセルに充填する。
【0106】
実験
下記の実施例は本発明を説明するが、本発明の範囲を制限するものではない。
【0107】
実施例1
2−[2−(3−クロロ−フェニル)−2−メトキシ−エチル]−1H−イミダゾール
a) 1−(3−クロロ−フェニル)−2−(1−トリチル−1H−イミダゾール−2−イル)−エタノール
【0108】
【化27】

【0109】
THF(15ml)中の2−メチル−1−トリチルイミダゾール(1g;CAS 23593-68-2)の撹拌し冷却した溶液(−78℃、アセトン/ドライアイス浴)に、ペンタメチルジエチレン−トリアミン(0.64ml)をアルゴン雰囲気下、加えた。次にn−BuLi溶液(2.0ml;ヘキサン類中1.6M)を10分間かけて滴下した。反応混合物はすぐに暗赤色の小型スラリーに変わった。次に混合物を−40℃と−50℃の間の温度で6時間撹拌した。−78℃に再び冷却した後、THF(5ml)中の3−クロロベンズアルデヒド(0.86g)の溶液を5分間滴下した。混合物を一晩撹拌し、室温までゆっくりと温めた。清澄な黄色の溶液をEtOAc(30ml)で希釈し、HOで洗浄した。水相をEtOAcで逆抽出した。合わせた有機物をHO及びブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;勾配CHCl→CHCl/MeOH 92:8)により精製して、1−(3−クロロ−フェニル)−2−(1−トリチル−1H−イミダゾール−2−イル)−エタノール(1.04g)を明黄色の無定形の固体として得た。MS(ISP):243.3([Trt])。
【0110】
b) 2−[2−(3−クロロ−フェニル)−2−メトキシ−エチル]−1−トリチル−1H−イミダゾール
【0111】
【化28】

【0112】
室温で、THF(5ml)中の1−(3−クロロ−フェニル)−2−(1−トリチル−1H−イミダゾール−2−イル)−エタノール(0.34g)の撹拌した溶液に、NaH(33mg;鉱油中分散体55%)をアルゴン雰囲気下、一度に加えた。室温で1時間撹拌した後、MeI(0.07ml)を加え、室温での撹拌を17時間続けた。混合物をEtOAcで希釈し、HOで洗浄した。水相をEtOAcで逆抽出した。合わせた有機物をHO及びブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;勾配:シクロヘキサン→シクロヘキサン/EtOAc 1:1)により単離し、2−[2−(3−クロロ−フェニル)−2−メトキシ−エチル]−1−トリチル−1H−イミダゾール(0.25g)を明黄色の無定形の固体として得た。MS 479.0([M+H])。
【0113】
c) 2−[2−(3−クロロ−フェニル)−2−メトキシ−エチル]−1H−イミダゾール
【0114】
【化29】

【0115】
室温で、エタノール(2ml)中の2−[2−(3−クロロ−フェニル)−2−メトキシ−エチル]−1−トリチル−1H−イミダゾール(0.24g)の撹拌した懸濁液に、2N HCl(3ml)をアルゴン雰囲気下、加えた。混合物を加熱還流した。撹拌を3時間続けた。混合物を室温に冷まし、濃縮すると、明黄色の固体が残った。これをHOに取り、4N NaOHを加えてpH=12にした。生成物をCHCl/MeOH 4:1で抽出した。合わせた有機物をMgSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;勾配:CHCl→CHCl/MeOH 9:1)により精製して、2−[2−(3−クロロ−フェニル)−2−メトキシ−エチル]−1H−イミダゾール(0.11mg)を明黄色のガム状物として得た。MS 237.1([M+H])。
【0116】
実施例2
2−(2,3−ジフルオロ−フェノキシメチル)−1H−イミダゾール
a) 2−クロロメチル−1−トリチル−1H−イミダゾール
【0117】
【化30】

【0118】
トルエン(160ml)中の(1−トリチル−1H−イミダゾール−2−イル)−メタノール(9.92g;CAS 102152-03-4)の懸濁液を、アルゴン雰囲気下、0℃に冷却し、トリエチルアミン(8.1ml)で処理した。次にチオニルクロリド(2.96ml)を滴下した。反応混合物を0℃で1時間撹拌し、次に氷冷HO 500mlで処理した。混合物をEtOAcで抽出した。有機層をHOで洗浄し、MgSOで乾燥させ、濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;溶離剤:CHCl/MeOH 95:5)により精製して、2−クロロメチル−1−トリチル−1H−イミダゾール(2.73g)をオフホワイトの固体として得た。MS 359.0([M+H])。
【0119】
b) 2−(2,3−ジフルオロ−フェノキシメチル)−1−トリチル−1H−イミダゾール
【0120】
【化31】

【0121】
室温で、DMF(5ml)中の2,3−ジフルオロフェノール(109mg)の撹拌した溶液に、アルゴン雰囲気下、2−クロロメチル−1−トリチル−1H−イミダゾール(200mg)及び炭酸カリウム(193mg)を加えた。混合物を80℃に加熱し、撹拌を一晩続けた。褐色の懸濁液を室温に冷まし、EtOAcで希釈して、1N NaOHで洗浄した。水相をEtOAcで逆抽出した。合わせた有機物をHO及びブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;勾配:シクロヘキサン→シクロヘキサン/EtOAc 55:45)により精製して、2−(2,3−ジフルオロ−フェノキシメチル)−1−トリチル−1H−イミダゾール(240mg)を明黄色のガム状物として得た。MS(ISP):453.0([M+H])。
【0122】
c) 2−(2,3−ジフルオロ−フェノキシメチル)−1H−イミダゾール
【0123】
【化32】

【0124】
室温で、エタノール(2ml)中の2−(2,3−ジフルオロ−フェノキシメチル)−1−トリチル−1H−イミダゾール(230mg)の撹拌した懸濁液に、アルゴン雰囲気下、2N HCl(3ml)を加えた。混合物を加熱還流し、撹拌を5時間続けた。反応混合物を室温に冷まし、濃縮すると、オフホワイトの固体が残った。これをNaCO飽和水溶液にとり、CHCl/MeOH 9:1で抽出した。合わせた有機物をMgSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;勾配:CHCl→CHCl/MeOH 9:1)により精製して、2−(2,3−ジフルオロ−フェノキシメチル)−1H−イミダゾール(108mg)をオフホワイトの固体として得た。MS 210.9([M+H])。
【0125】
実施例3
2−(2,3−ジクロロ−フェニルスルファニルメチル)−1H−イミダゾール
a) 2−(2,3−ジクロロ−フェニルスルファニルメチル)−1−トリチル−1−イミダゾール
【0126】
【化33】

【0127】
実施例2.bと同様にして、2−クロロメチル−1−トリチル−1H−イミダゾールを、2,3−ジクロロベンゼンチオールと反応させて、2−(2,3−ジクロロ−フェニルスルファニルメチル)−1−トリチル−1−イミダゾールを得た。オフホワイトの固体。MS(ISP):243.3([Trt])。
【0128】
b) 2−(2,3−ジクロロ−フェニルスルファニルメチル)−1H−イミダゾール
【0129】
【化34】

【0130】
EtOH(4ml)中の、2−(2,3−ジクロロ−フェニルスルファニルメチル)−1−トリチル−1−イミダゾール(100mg)の溶液を、3N HCl(4ml)で処理し、100℃に3時間加熱した。反応混合物を濃縮し、水にとった。KCOを加えることにより溶液を塩基性にし、次にCHCl/MeOH 4:1で抽出した。合わせた有機層をMgSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;勾配:CHCl→CHCl/MeOH 95:5)により精製して、2−(2,3−ジクロロ−フェニルスルファニルメチル)−1H−イミダゾール(48mg)を白色の固体として得た。
【0131】
実施例4
2−(2,3−ジクロロ−ベンゼンスルフィニルメチル)−1H−イミダゾール
a) 2−(2,3−ジクロロ−ベンゼンスルフィニルメチル)−1−トリチル−1H−イミダゾール
【0132】
【化35】

【0133】
CHCl/MeOH中の2−(2,3−ジクロロ−フェニルスルファニルメチル)−1−トリチル−1−イミダゾール(260mg;実施例3.a)の溶液を、0℃に冷却し、アルゴン雰囲気下、メタ−クロロ過安息香酸(89mg)で処理した。反応混合物を室温で20時間撹拌し、次にCHClで希釈し、1N NaOHで洗浄した。有機層をMgSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィーにより精製して、2−(2,3−ジクロロ−ベンゼンスルフィニルメチル)−1−トリチル−1H−イミダゾール(204mg)を白色の固体として得た。MS 517.3([M+H])。
【0134】
b) 2−(2,3−ジクロロ−ベンゼンスルフィニルメチル)−1H−イミダゾール
【0135】
【化36】

【0136】
実施例3.bと同様にして、2−(2,3−ジクロロ−ベンゼンスルフィニルメチル)−1−トリチル−1H−イミダゾールを、2−(2,3−ジクロロ−ベンゼンスルフィニルメチル)−1H−イミダゾールに変換した。白色の固体。MS 275.0([M+H])。
【0137】
実施例5
2−(2,3−ジクロロ−ベンゼンスルホニルメチル)−1H−イミダゾール
【0138】
【化37】

【0139】
CHCl/MeOH中の2−(2,3−ジクロロ−フェニルスルファニルメチル)−1−トリチル−1−イミダゾール(260mg;実施例3.a)の溶液を、0℃に冷却し、アルゴン雰囲気下、メタ−クロロ過安息香酸(448mg)で処理した。反応混合物を室温で2日間撹拌し、次にCHClで希釈し、1N NaOHで洗浄した。有機層をMgSOで乾燥させ、濾過して、濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィーにより精製して、2−(2,3−ジクロロ−ベンゼンスルホニルメチル)−1H−イミダゾール(6mg)を白色の固体として得た。MS(ISP):291.0([M+H])。
【0140】
実施例6
(3−クロロ−ベンジル)−(1H−イミダゾール−2−イル)−アミン
【0141】
【化38】

【0142】
ジクロロメタン(10ml)中の3−クロロベンズアルデヒド(0.16ml、1.4mmol)の溶液に、2−アミノイミダゾール硫酸塩(0.19g、0.7mmol)、オルトチタン酸テトライソプロピル(0.51ml、1.7mmol)及びトリエチルアミン(0.19ml、1.4mmol)を順次加えた。反応混合物を室温で16時間撹拌し、次に減圧下で濃縮した。残留物をエタノール(5ml)に取り、次に水素化ホウ素ナトリウム(54mg、1.4mmol)を加えた。反応混合物を室温で3時間撹拌し、次に水の添加によりクエンチした。室温で更に15分撹拌した後、反応混合物を濾過し、フィルターケーキをエタノールで洗浄した。濾液を減圧下で濃縮し、残留物をシリカゲルのクロマトグラフィー(溶離剤:メタノール/ジクロロメタン 0:100〜10:90)により精製して、標記化合物をオフホワイト色の固体(87mg、30%)として得た;MS(ISP):208.7([M+H])。
【0143】
実施例6と同様にして以下を得た。
【0144】
実施例7
(3,4−ジクロロ−ベンジル)−(1H−イミダゾール−2−イル)−アミン
【0145】
【化39】

【0146】
ジクロロメタン中の3,4−ジクロロベンズアルデヒド、2−アミノイミダゾール硫酸塩、オルトチタン酸テトライソプロピル及びトリエチルアミンから出発し、次にエタノール中の水素化ホウ素ナトリウムで処理した。MS(ISP):246.1([{37Cl}M+H])、244.1([{37Cl、35Cl}M+H])、242.1([{35Cl}M+H])。
【0147】
実施例8
(2,3−ジクロロ−ベンジル)−(1H−イミダゾール−2−イル)−アミン
【0148】
【化40】

【0149】
ジクロロメタン中の2,3−ジクロロベンズアルデヒド、2−アミノイミダゾール硫酸塩、オルトチタン酸テトライソプロピル及びトリエチルアミンから出発し、次にエタノール中の水素化ホウ素ナトリウムで処理した。MS(ISP):246.1([{37Cl}M+H])、244.1([{37Cl、35Cl}M+H])、242.1([{35Cl}M+H])。
【0150】
実施例9
(RS)−(1H−イミダゾール−2−イル)−(1−フェニル−エチル)−アミン
【0151】
【化41】

【0152】
1,2−ジクロロエタン(5ml)中のアセトフェノン(0.19ml、1.63mmol)の溶液に、2−アミノイミダゾール硫酸塩(0.22g、0.84mmol)、オルトチタン酸テトライソプロピル(0.60ml、2.05mmol)及びトリエチルアミン(0.23ml、1.66mmol)を順次加えた。反応混合物を90℃で6時間撹拌し、次に減圧下で濃縮した。残留物をエタノール(5ml)に取り、次に水素化ホウ素ナトリウム(64mg、1.69mmol)を加えた。反応混合物を室温で2時間撹拌し、次に水の添加によりクエンチした。室温で更に15分撹拌した後、反応混合物を濾過し、フィルターケーキをエタノールで洗浄した。濾液を減圧下で濃縮し、残留物をシリカゲルのクロマトグラフィー(溶離剤:メタノール/ジクロロメタン 0:100〜10:90)により精製して、標記化合物を褐色のガム状物(30mg、10%)として得た;MS(ISP):188.4([M+H])。
【0153】
実施例6と同様にして以下を得た。
【0154】
実施例10
(1H−イミダゾール−2−イル)−(4−メトキシ−ベンジル)−アミン
【0155】
【化42】

【0156】
ジクロロメタン中の4−メトキシベンズアルデヒド、2−アミノイミダゾール硫酸塩、オルトチタン酸テトライソプロピル及びトリエチルアミンから出発し、次にエタノール中の水素化ホウ素ナトリウムで処理した。MS(ISP):204.3([M+H])。
【0157】
実施例11
(1H−イミダゾール−2−イル)−(3−メチル−ベンジル)−アミン
【0158】
【化43】

【0159】
ジクロロメタン中の3−メチルベンズアルデヒド、2−アミノイミダゾール硫酸塩、オルトチタン酸テトライソプロピル及びトリエチルアミンから出発し、次にエタノール中の水素化ホウ素ナトリウムで処理した。MS(ISP):188.4([M+H])。
【0160】
実施例12
(2−フルオロ−ベンジル)−(1H−イミダゾール−2−イル)−アミン
【0161】
【化44】

【0162】
ジクロロメタン中の2−フルオロベンズアルデヒド、2−アミノイミダゾール硫酸塩、オルトチタン酸テトライソプロピル及びトリエチルアミンから出発し、次にエタノール中の水素化ホウ素ナトリウムで処理した。MS(ISP):192.3([M+H])。
【0163】
実施例13
(1H−イミダゾール−2−イル)−(4−メチル−ベンジル)−アミン
【0164】
【化45】

【0165】
ジクロロメタン中の4−メチルベンズアルデヒド、2−アミノイミダゾール硫酸塩、オルトチタン酸テトライソプロピル及びトリエチルアミンから出発し、次にエタノール中の水素化ホウ素ナトリウムで処理した。MS(ISP):188.4([M+H])。
【0166】
実施例14
(1H−イミダゾール−2−イル)−(3−メトキシ−ベンジル)−アミン
【0167】
【化46】

【0168】
ジクロロメタン中の3−メトキシベンズアルデヒド、2−アミノイミダゾール硫酸塩、オルトチタン酸テトライソプロピル及びトリエチルアミンから出発し、次にエタノール中の水素化ホウ素ナトリウムで処理した。MS(ISP):204.1([M+H])。
【0169】
実施例15
(1H−イミダゾール−2−イル)−(2−メトキシ−ベンジル)−アミン
【0170】
【化47】

【0171】
ジクロロメタン中の2−メトキシベンズアルデヒド、2−アミノイミダゾール硫酸塩、オルトチタン酸テトライソプロピル及びトリエチルアミンから出発し、次にエタノール中の水素化ホウ素ナトリウムで処理した。MS(ISP):204.3([M+H])。
【0172】
実施例16
(3−フルオロ−ベンジル)−(1H−イミダゾール−2−イル)−アミン
【0173】
【化48】

【0174】
ジクロロメタン中の3−フルオロベンズアルデヒド、2−アミノイミダゾール硫酸塩、オルトチタン酸テトライソプロピル及びトリエチルアミンから出発し、次にエタノール中の水素化ホウ素ナトリウムで処理した。MS(ISP):192.3([M+H])。
【0175】
実施例17
(1H−イミダゾール−2−イル)−(2−メチル−ベンジル)−アミン
【0176】
【化49】

【0177】
ジクロロメタン中の2−メチルベンズアルデヒド、2−アミノイミダゾール硫酸塩、オルトチタン酸テトライソプロピル及びトリエチルアミンから出発し、次にエタノール中の水素化ホウ素ナトリウムで処理した。MS(ISP):188.4([M+H])。
【0178】
実施例18
(1H−イミダゾール−2−イル)−(3−トリフルオロメチル−ベンジル)−アミン
【0179】
【化50】

【0180】
ジクロロメタン中の3−(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒド、2−アミノイミダゾール硫酸塩、オルトチタン酸テトライソプロピル及びトリエチルアミンから出発し、次にエタノール中の水素化ホウ素ナトリウムで処理した。MS(ISP):242.3([M+H])。
【0181】
実施例19
(2,6−ジメチル−ベンジル)−(1H−イミダゾール−2−イル)−アミン
【0182】
【化51】

【0183】
ジクロロメタン中の2,6−ジメチルベンズアルデヒド、2−アミノイミダゾール硫酸塩、オルトチタン酸テトライソプロピル及びトリエチルアミンから出発し、次にエタノール中の水素化ホウ素ナトリウムで処理した。MS(ISP):202.4([M+H])。
【0184】
実施例20
(RS)−(1H−イミダゾール−2−イル)−(1−フェニル−プロピル)−アミン
【0185】
【化52】

【0186】
a) (1H−イミダゾール−2−イル)−[1−フェニル−メタ−(E)−イリデン]−アミン
【0187】
【化53】

【0188】
ジクロロメタン(15ml)中のベンズアルデヒド(1.92ml、18.8mmol)の溶液に、2−アミノイミダゾール硫酸塩(3.77g、14.3mmol)、オルトチタン酸テトライソプロピル(6.83ml、23.3mmol)及びトリエチルアミン(3.90ml、2.81mmol)を順次加えた。反応混合物を室温で16時間撹拌し、次に減圧下で濃縮した。残留物を酢酸エチル及び水に取り、混合物を濾過した。濾液相を分離し、有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して、標記化合物を黄色の固体(3.03g、95%)として得て、それを次の工程で更に精製しないで使用した;MS(ISP):172.1([M+H])。
【0189】
b) (RS)−(1H−イミダゾール−2−イル)−(1−フェニル−プロピル)−アミン
【0190】
【化54】

【0191】
トルエン(6ml)中の(1H−イミダゾール−2−イル)−[1−フェニル−メタ−(E)−イリデン]−アミン(0.19ml、1.63mmol)の溶液に、スカンジウムトリフラート(59mg、0.12mmol)を加えた。次にエチルマグネシウムブロミドのエーテル溶液(0.97ml、3M、2.91mmol)を滴下し、反応混合物を室温で2時間撹拌し、次に塩化アンモニウム飽和水溶液を加えてクエンチした。混合物をエーテルで2回抽出し、有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させて、減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルのクロマトグラフィー(溶離剤:メタノール/ジクロロメタン 0:100〜10:90)により精製し、標記化合物を褐色のガム状物(67mg、29%)として得た;MS(ISP):202.4([M+H])。
【0192】
実施例9と同様にして以下を得た:
【0193】
実施例21
(RS)−(1H−イミダゾール−2−イル)−(1−o−トリル−エチル)−アミン
【0194】
【化55】

【0195】
ジクロロメタン中の2−メチル−アセトフェノン、2−アミノイミダゾール硫酸塩、オルトチタン酸テトライソプロピル及びトリエチルアミンから出発して、次にエタノール中の水素化ホウ素ナトリウムで処理した。MS(ISP):202.3([M+H])。
【0196】
実施例22
(RS)−[1−(2,3−ジクロロ−フェニル)−エチル]−(1H−イミダゾール−2−イル)−アミン
【0197】
【化56】

【0198】
ジクロロメタン中の2,3−ジクロロ−アセトフェノン、2−アミノイミダゾール硫酸塩、オルトチタン酸テトライソプロピル及びトリエチルアミンから出発して、次にエタノール中の水素化ホウ素ナトリウムで処理した。MS(ISP):260.1([{37Cl}M+H])、258.0([{37Cl35Cl}M+H])、256.2([{35Cl}M+H])。
【0199】
実施例6と同様にして以下を得た:
【0200】
実施例23
(1H−イミダゾール−2−イル)−ナフタレン−1−イルメチル−アミン
【0201】
【化57】

【0202】
ジクロロメタン中の1−ナフトアルデヒド、2−アミノイミダゾール硫酸塩、オルトチタン酸テトライソプロピル及びトリエチルアミンから出発して、次にエタノール中の水素化ホウ素ナトリウムで処理した。MS(ISP):224.3([M+H])。
【0203】
実施例24
(1H−イミダゾール−2−イル)−ナフタレン−2−イルメチル−アミン
【0204】
【化58】

【0205】
ジクロロメタン中の2−ナフトアルデヒド、2−アミノイミダゾール硫酸塩、オルトチタン酸テトライソプロピル及びトリエチルアミンから出発して、次にエタノール中の水素化ホウ素ナトリウムで処理した。MS(ISP):224.3([M+H])。
【0206】
実施例25
(2,6−ジクロロ−ベンジル)−(1H−イミダゾール−2−イル)−アミン
【0207】
【化59】

【0208】
ジクロロメタン中の2,6−ジクロロベンズアルデヒド、2−アミノイミダゾール硫酸塩、オルトチタン酸テトライソプロピル及びトリエチルアミンから出発して、次にエタノール中の水素化ホウ素ナトリウムで処理した。MS(ISP):246.2([{37Cl}M+H])、244.2([{37Cl35Cl}M+H])、242.1([{37Cl}M+H])。
【0209】
実施例26
(3,4−ジフルオロ−ベンジル)−(1H−イミダゾール−2−イル)−アミン
【0210】
【化60】

【0211】
ジクロロメタン中の3,4−ジフルオロベンズアルデヒド、2−アミノイミダゾール硫酸塩、オルトチタン酸テトライソプロピル及びトリエチルアミンから出発して、次にエタノール中の水素化ホウ素ナトリウムで処理した。MS(ISP):210.1([M+H])。
【0212】
実施例27
(2,3−ジフルオロ−ベンジル)−(1H−イミダゾール−2−イル)−アミン
【0213】
【化61】

【0214】
ジクロロメタン中の2,3−ジフルオロベンズアルデヒド、2−アミノイミダゾール硫酸塩、オルトチタン酸テトライソプロピル及びトリエチルアミンから出発して、次にエタノール中の水素化ホウ素ナトリウムで処理した。MS(ISP):210.1([M+H])。
【0215】
実施例28
(2−クロロ−6−エチル−ベンジル)−(1H−イミダゾール−2−イル)−アミン
【0216】
【化62】

【0217】
ジクロロメタン中の2−クロロ−6−エチルベンズアルデヒド、2−アミノイミダゾール硫酸塩、オルトチタン酸テトライソプロピル及びトリエチルアミンから出発して、次にエタノール中の水素化ホウ素ナトリウムで処理した。MS(ISP):238.0([{37Cl}M+H])、236.1([{35Cl}M+H])。
【0218】
実施例9と同様にして下記を得た:
【0219】
実施例29
(RS)−[1−(2−クロロ−フェニル)−エチル]−(1H−イミダゾール−2−イル)−アミン
【0220】
【化63】

【0221】
ジクロロメタン中の2−クロロ−アセトフェノン、2−アミノイミダゾール硫酸塩、オルトチタン酸テトライソプロピル及びトリエチルアミンから出発して、次にエタノール中の水素化ホウ素ナトリウムで処理した。MS(ISP):224.1([{37Cl}M+H])、222.2([{35Cl}M+H])。
【0222】
実施例A〜G
加えて、下記の既知化合物を、上記手順と同様の手順を使用してTAAR1アゴニストとして調製した:
A:2−フェネチル−1H−イミダゾール塩酸塩(CAS 84694-97-3)
B:2−(3,4−ジクロロ−フェノキシメチル)−1H−イミダゾール塩酸塩(CAS 43111-25-7)
C:2−(2−クロロ−フェノキシメチル)−1H−イミダゾール塩酸塩(CAS 29786-72-9)
D:2−(2,3−ジクロロ−フェノキシメチル)−1H−イミダゾール(CAS 87477-48-3)
E:ベンジル−(1H−イミダゾール−2−イル)−アミン(CAS 14700-66-4)
F:(4−クロロ−ベンジル)−(1H−イミダゾール−2−イル)−アミン(CAS 21714-30-7)
G:(2−クロロ−ベンジル)−(1H−イミダゾール−2−イル)−アミン(CAS 21722-18-9)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化64】


[式中、
X−Rは、−CH−であり、且つ
Y−Rは、−CH(低級アルコキシ)−、−CH(低級アルキル)−、−O−、−S−、−S(O)−、−S(O)−もしくは−CH−であるか;又は
X−Rは、−NH−であり、且つ
Y−Rは、−CH(低級アルキル)−もしくは−CH−であり;
Arは、フェニル又はナフチルであり、それらの環は、場合により、ハロゲン、低級アルコキシ、低級アルキルよりなる群から選択される1個もしくは2個の置換基で、又はハロゲンで置換されている低級アルキルで置換されている]で示される化合物及びその薬学的に許容しうる酸付加塩(ただし、下記:
2−フェネチル−1H−イミダゾール塩酸塩、
2−(3,4−ジクロロ−フェノキシメチル)−1H−イミダゾール塩酸塩、
2−(2−クロロ−フェノキシメチル)−1H−イミダゾール塩酸塩、
2−(2,3−ジクロロ−フェノキシメチル)−1H−イミダゾール、
ベンジル−(1H−イミダゾール−2−イル)−アミン、
(4−クロロ−ベンジル)−(1H−イミダゾール−2−イル)−アミン、及び
(2−クロロ−ベンジル)−(1H−イミダゾール−2−イル)−アミン
の化合物を除く)。
【請求項2】
X−RがCHである、請求項1記載の式Iの化合物。
【請求項3】
化合物が、
2−[2−(3−クロロ−フェニル)−2−メトキシ−エチル]−1H−イミダゾール、又は
2−(2,3−ジクロロ−フェニルスルファニルメチル)−1H−イミダゾールである、
請求項2記載の式Iの化合物。
【請求項4】
X−RがNHである、請求項1記載の式Iの化合物。
【請求項5】
化合物が、
(3−クロロ−ベンジル)−(1H−イミダゾール−2−イル)−アミン
(3,4−ジクロロ−ベンジル)−(1H−イミダゾール−2−イル)−アミン
(2,3−ジクロロ−ベンジル)−(1H−イミダゾール−2−イル)−アミン
(RS)−(1H−イミダゾール−2−イル)−(1−フェニル−エチル)−アミン
(1H−イミダゾール−2−イル)−(3−メチル−ベンジル)−アミン
(3−フルオロ−ベンジル)−(1H−イミダゾール−2−イル)−アミン
(RS)−(1H−イミダゾール−2−イル)−(1−o−トリル−エチル)−アミン
(RS)−[1−(2,3−ジクロロ−フェニル)−エチル]−(1H−イミダゾール−2−イル)−アミン
(1H−イミダゾール−2−イル)−ナフタレン−2−イルメチル−アミン、又は
(RS)−[1−(2−クロロ−フェニル)−エチル]−(1H−イミダゾール−2−イル)−アミンである、
請求項4記載の式Iの化合物。
【請求項6】
Y−RがCHである、請求項1記載の式Iの化合物。
【請求項7】
化合物が、
(3−クロロ−ベンジル)−(1H−イミダゾール−2−イル)−アミン
(3,4−ジクロロ−ベンジル)−(1H−イミダゾール−2−イル)−アミン
(2,3−ジクロロ−ベンジル)−(1H−イミダゾール−2−イル)−アミン
(1H−イミダゾール−2−イル)−(3−メチル−ベンジル)−アミン
(3−フルオロ−ベンジル)−(1H−イミダゾール−2−イル)−アミン、又は
(1H−イミダゾール−2−イル)−ナフタレン−2−イルメチル−アミンである、
請求項6記載の式Iの化合物。
【請求項8】
Y−Rが、−CH(低級アルキル)−又は−CH(低級アルコキシ)−である、請求項1記載の式Iの化合物。
【請求項9】
化合物が、
2−[2−(3−クロロ−フェニル)−2−メトキシ−エチル]−1H−イミダゾール
(RS)−(1H−イミダゾール−2−イル)−(1−フェニル−エチル)−アミン
(RS)−(1H−イミダゾール−2−イル)−(1−フェニル−プロピル)−アミン
(RS)−(1H−イミダゾール−2−イル)−(1−o−トリル−エチル)−アミン
(RS)−[1−(2,3−ジクロロ−フェニル)−エチル]−(1H−イミダゾール−2−イル)−アミン、又は
(RS)−[1−(2−クロロ−フェニル)−エチル]−(1H−イミダゾール−2−イル)−アミンである、
請求項8記載の式Iの化合物。
【請求項10】
Y−Rが−O−である、請求項1記載の式Iの化合物。
【請求項11】
化合物が、2−(2,3−ジフルオロ−フェノキシメチル)−1H−イミダゾールである、請求項10記載の式Iの化合物。
【請求項12】
Y−Rが、−S−、−S(O)−又は−S(O)−である、請求項1記載の式Iの化合物。
【請求項13】
化合物が、
2−(2,3−ジクロロ−フェニルスルファニルメチル)−1H−イミダゾール
2−(2,3−ジクロロ−ベンゼンスルフィニルメチル)−1H−イミダゾール、又は
2−(2,3−ジクロロ−ベンゼンスルホニルメチル)−1H−イミダゾールである、
請求項12記載の式Iの化合物。
【請求項14】
式Iの化合物の製造方法であって、
a)式II:
【化65】


で示される化合物を、式I:
【化66】


(式中、定義は、上記のとおりである)で示される化合物へ脱保護すること、又は、
b)式V:
【化67】


で示される化合物を、式II−1:
【化68】


で示される化合物へアルキル化し、次いで工程a)に従って、式I−1:
【化69】


(式中、Arは、上で定義されたとおりである)で示される化合物へ脱保護すること、又は、
c)式III−3:
【化70】


で示される化合物と、式IV−2:
【化71】


で示される化合物を反応させて、式II−2:
【化72】


で示される化合物とし、工程a)に従って、式I−2:
【化73】


(式中、Arは、上で定義されたとおりである)で示される化合物へ脱保護すること;又は、
d)式III−3:
【化74】


で示される化合物と、式IV−3:
【化75】


で示される化合物を反応させて、式II−3:
【化76】


で示される化合物とし、工程a)に従って、式I−3:
【化77】


(式中、Arは、上で定義されたとおりである)で示される化合物へ脱保護すること;又は、
e)式II−3:
【化78】


で示される化合物を、式II−4又はII−5:
【化79】


で示される化合物へ酸化し、工程a)に従って、式I−4又はI−5:
【化80】


(式中、Arは、上で定義されたとおりである)で示される化合物へ脱保護すること;又は、
f)式VI:
【化81】


で示される化合物を、式I−6:
【化82】


(式中、Rは、水素又は低級アルキルであり、更なる定義は、上で定義されたとおりである)で示される化合物へ還元すること;又は、
g)式VI−1:
【化83】


で示される化合物を、式RMgHal(式中、Hal及びArは、上で定義されたとおりである)の化合物と反応させて、式I−6:
【化84】


(式中、Rは、低級アルキルであり、更なる定義は、上で定義されたとおりである)で示される化合物とすること;
所望であれば、得られた化合物を、薬学的に許容しうる酸付加塩に変換することを含む方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法により、又は同等の方法により製造される、請求項1記載の式Iの化合物。
【請求項16】
式Iの化合物、並びに
2−フェネチル−1H−イミダゾール塩酸塩、
2−(3,4−ジクロロ−フェノキシメチル)−1H−イミダゾール塩酸塩、
2−(2−クロロ−フェノキシメチル)−1H−イミダゾール塩酸塩、
2−(2,3−ジクロロ−フェノキシメチル)−1H−イミダゾール、
ベンジル−(1H−イミダゾール−2−イル)−アミン、
(4−クロロ−ベンジル)−(1H−イミダゾール−2−イル)−アミン、及び
(2−クロロ−ベンジル)−(1H−イミダゾール−2−イル)−アミン
の1つ以上の化合物を含有する医薬。
【請求項17】
うつ病、不安障害、双極性障害、注意欠陥多動性障害、ストレス関連障害、精神障害、統合失調症、神経疾患、パーキンソン病、神経変性障害、アルツハイマー病、癲癇、片頭痛、高血圧、薬物乱用及び代謝障害、摂食障害、糖尿病、糖尿病合併症、肥満、脂質異常症、エネルギー消費及び同化の異常、体温ホメオスタシスの異常及び機能不全、睡眠障害及び概日リズムの障害、ならびに心臓血管障害の処置のための、請求項16に記載の医薬。
【請求項18】
うつ病、精神病、パーキンソン病、不安及び注意欠陥多動性障害(ADHD)の処置のための、請求項1〜13に記載の1つ以上の化合物を含有する、請求項17記載の医薬。
【請求項19】
うつ病、不安障害、双極性障害、注意欠陥多動性障害、ストレス関連障害、精神障害、統合失調症、神経疾患、パーキンソン病、神経変性障害、アルツハイマー病、癲癇、片頭痛、高血圧、薬物乱用及び代謝障害、摂食障害、糖尿病、糖尿病合併症、肥満、脂質異常症、エネルギー消費及び同化の異常、体温ホメオスタシスの異常及び機能不全、睡眠障害及び概日リズムの障害、ならびに心臓血管障害の処置のための医薬を製造するための、請求項1記載の式Iの化合物、並びに
2−フェネチル−1H−イミダゾール塩酸塩、
2−(3,4−ジクロロ−フェノキシメチル)−1H−イミダゾール塩酸塩、
2−(2−クロロ−フェノキシメチル)−1H−イミダゾール塩酸塩、
2−(2,3−ジクロロ−フェノキシメチル)−1H−イミダゾール、
ベンジル−(1H−イミダゾール−2−イル)−アミン、
(4−クロロ−ベンジル)−(1H−イミダゾール−2−イル)−アミン、及び
(2−クロロ−ベンジル)−(1H−イミダゾール−2−イル)−アミン
の使用。
【請求項20】
明細書中で先に記載の発明。

【公表番号】特表2010−513238(P2010−513238A)
【公表日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−540708(P2009−540708)
【出願日】平成19年12月3日(2007.12.3)
【国際出願番号】PCT/EP2007/063153
【国際公開番号】WO2008/071574
【国際公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】