説明

心臓病治療用医薬組成物

本発明は、国際的に認知された医薬品製造規格に従って生産される、心臓組織生成に関与する細胞と、少なくとも1つの製薬学的に許容し得る賦形剤とを含む医薬組成物、該医薬組成物の製造方法および該医薬組成物を収容した容器を備える医薬組成物投与キットに関するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、必要とする個体に医薬組成物を送達することにより心臓病障害または障害の素因を処置することに関する。特に、本発明は心臓組織生成に関与する細胞と、少なくとも1つの製薬学的に許容し得る賦形剤とを含む医薬組成物を開示する。この医薬組成物は、国際的に認知された医薬品製造規格に従って生産される細胞の生存および世界中の場所への輸送を可能にするとともに、医療従事者によるレシピエントへの送達操作も容易にし得る容器に収容される。
【背景技術】
【0002】
再生細胞療法は、例えば、罹患器官の形態および機能を回復するために、または生理的修復機序の障害により、組織再構築が必要となるほど器官が損傷する疾患と関連付けられる。心臓は末端分化器官である。したがって、心臓発作等で見受けられる心筋細胞の大量損失は不可逆的損傷を引き起こす故に修復が必要となる。また、心臓病は世界の主要な死亡原因の1つであり、心臓修復のための細胞療法は、最も重要且つ大きな課題となっている。
【0003】
従来の細胞療法の臨床経験は成体幹細胞を改変のない状態で送達することに基づく。第1世代の生物製剤は、容易に利用可能な細胞型として識別される未感作のヒト幹細胞である。特定の個体は未感作のヒト幹細胞の送達によって病状が改善されることが分かっている。ヒトの心臓における未感作細胞の移植分野における最新技術は、とりわけAbdel-Latif A. et al. 'Adult bone marrow-derived cells for cardiac repair: a systematic review and meta-analysis.' Arch Intern Med. (2007) 167:989-997(非特許文献1)によるレビューおよびその引用文献に記載されている。臨床結果の改善を期待して第2世代の幹細胞治療の概念が生み出された。これは、未感作の幹細胞の心臓生成能力を向上させてから当該幹細胞を患者に送達するという概念である。
【0004】
細胞の心臓生成能力を改善する手法を見出すために、基礎研究では、まずマウス胚性幹細胞(以下、「mESC」)を使用して心臓分化に関係する複雑なシグナリング経路の解読が行われた。この研究が後の心臓形成物質の同定につながった。心臓形成物質は、細胞と接触することにより該細胞の心臓形成細胞への分化能を向上させる物質である。心臓形成細胞は中間表現型の細胞である。即ち、この細胞は心臓組織生成に関与するが、完全には分化されていない。心臓再生分野における基礎研究の重要なマイルストーンが、以下の文献に開示されている。
Behfar et al. 'Derivation of a cardiopoietic population from human mesenchymal stem yields progeny', Nature Clin. Pract., Cardiovasc. Med. (2006) 3: S78-S82(非特許文献2)、Behfar et al., 'Cardiopoietic programming of embryonic cells for tumor-free repairs', J. Exp. Med. (2007) 204: 405-420(非特許文献3)、国際公開第2006/015127号(特許文献1)、米国特許出願公開第2008/0019944号(特許文献2)および国際公開第2009/151907号(特許文献3)(特許文献1〜3はすべてMayo Foundation for Medical Education and Researchが出願人であり、Terzic A.およびBehfar A.が発明者である)。
【0005】
上記の著者、出願人および発明者らは、mESCを、いわゆる心臓形成物質の「カクテル」、即ち溶液に溶けた心臓形成因子を含有する組成物と接触させて培養すれば、mESCが心臓組織生成に関与する細胞への分化を開始することができることを示した。国際公開第2006/015127号に開示されているように、mESC由来の心臓形成細胞を慢性的に梗塞させたネズミ心臓に送達すると心臓修復が達成される可能性がある。したがって、心臓組織再生におけるmESC由来の心臓形成細胞の有用性が認められるようになった。しかしながら、これらの基礎的な研究結果を治療的用途に転用するにあたっては、ESCに関連する腫瘍化の危険性により安全性の問題が生じる。更に、これらの実験は、実験室環境でマウスを用いて行われたものでありmESC由来の心臓形成細胞は、細胞物から採取され、実験用チューブ内の培地に懸濁され、同施設内で直ちに使用されていた。
【0006】
成体幹細胞治療は腫瘍化の危険性がないと考えられている。非特許文献2には、腫瘍化の危険性についての報告のない、心臓形成細胞への誘導に適した幹細胞源の同定が開示されている。特許文献2には、間葉系幹細胞から得られる心臓形成細胞が記載されている。
【0007】
上記の著者、出願人および発明者らは、ヒト成人間葉系幹細胞の心臓形成細胞への分化が心臓形成因子のカクテルを使用して達成され得ることも開示している(特許文献3)。
【0008】
ヒトの心臓における細胞移植の分野の従来技術は、とりわけ非特許文献1によるレビューおよびその引用文献に記載されている。Behfar et al. 'Guided stem cell cardiopoietic: Discovery and translation' J. Mol. and Cell. Cardiology (2008) 45: 523-529(非特許文献4)による別のレビューでは、心臓形成細胞を心臓再生に使用する概念も論じられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第2006/015127号パンフレット
【特許文献2】米国特許出願公開第2008/0019944号明細書
【特許文献3】国際公開第2009/151907号パンフレット
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Abdel-Latif A. et al. 'Adult bone marrow-derived cells for cardiac repair: a systematic review and meta-analysis.' Arch Intern Med. (2007) 167:989-997
【非特許文献2】Behfar et al. 'Derivation of a cardiopoietic population from human mesenchymal stem yields progeny', Nature Clin. Pract., Cardiovasc. Med. (2006) 3: S78-S82
【非特許文献3】Behfar et al., 'Cardiopoietic programming of embryonic cells for tumor-free repairs', J. Exp. Med. (2007) 204: 405-420
【非特許文献4】Behfar et al. 'Guided stem cell cardiopoietic: Discovery and translation' J. Mol. and Cell. Cardiology (2008) 45: 523-529
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
実験室から臨床への移行は、通常、製薬産業にとっての大きな課題である。本発明においては、心臓組織生成に関与する細胞の生物学的特徴の故に、また該当する人物が製造施設の敷地付近にいない場合も細胞が送達されるまでこれらの特徴を維持する絶対的な必要性があることから、特に、この課題の克服が困難となっている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、心臓組織生成に関与する細胞と少なくとも1つの製薬学的に許容し得る賦形剤とを含む医薬組成物を、国際的に認知された医薬品製造規格に従って工業的に生産する方法、ならびに心臓組織生成に関与する細胞の特徴、それらの細胞の生存および世界中の場所への輸送、医療従事者によるレシピエントへの送達操作の利便性等を維持しながら様々な用途に対応する細胞の保存および包装方法を開示することにより、上記の課題を解決するものである。
【0013】
(定義)
以下、本明細書に記載した用語において、括弧内の用語は別段の定めがない限り、以下の定義を有するものとする。
【0014】
「BMMSC」とは、骨髄間葉系幹細胞を意味する。「hBMMSC」とは、ヒト起源のBMMSCを意味する。
【0015】
「心臓形成細胞」は、中間表現型細胞である。即ち、心臓組織生成に関与するが、完全には分化されていない。心臓形成細胞は、Nkx2.5およびMEF2Cの核移行ならびに筋節タンパク質の欠如によって特徴づけられる(非特許文献2参照)。心臓形成細胞は増殖能を保持する。心臓形成細胞は、例えばヒト成人間葉系幹細胞、ヒト胚性幹細胞(生産によりヒト胚破壊が生起しないことを条件とする)、胚様幹細胞、人工多能性幹細胞、または他の任意の適した起源等の幹細胞から誘導することができる。
【0016】
「心臓形成カクテル」または「カクテル」とは、少なくとも2種の心臓形成物質を含有する組成物を意味する。
【0017】
「心臓形成物質」は、細胞と接触することにより該細胞の心臓形成細胞への分化能を向上させる物質である。
【0018】
「合流点」とは、細胞が一定の容量内で最大量まで増殖した状態を意味する。この時点で他の細胞と接触しても、細胞の増殖は阻害される。
【0019】
「有効量」とは、医薬組成物の、所望の治療的もしくは生理的効果または結果を得るのに十分な量を意味する。かかる効果または結果としては、心臓組織の修復、維持、再生、強化または心臓機能の改善が挙げられる。望ましい治療的効果と共に望ましくない効果が生じることもある。それ故、実施者は、潜在的な利点と危険性のバランスをとりながら、適切な「有効量」を決定する。この量は被験者によって異なる可能性があり、例えば被験者の年齢、全身状態、遺伝的・後天的変異性や投与様式等によって異なる可能性がある。したがって、正確な「有効量」が特定できない可能性もある。しかしながら、個々の症例の適切な「有効量」であれば、当業者なら医薬組成物の投与工程の前に、またはその途中で、例えば医薬組成物の送達中に望ましくない効果が生じない範囲で許容される最大量を送達することにより、有効量を決定することができるであろう。
【0020】
「賦形剤」とは、薬物の活性成分の担体として使用される不活性物質である。多くの場合、「活性」物質は人体への投与および人体による吸収が容易に実現できない可能性がある。そのような場合は、当該物質は、賦形剤に溶解するか、賦形剤と混合してもよい。賦形剤は、それ自体の単回服薬の使用だけでなく、製造プロセスにおける関係活性成分の取扱いを容易にするために使用してもよい。投与経路および剤形に応じて、様々な賦形剤が使用可能である。活性成分を安定化させるために、賦形剤を添加して活性成分が「活性な」状態を維持するとともに、同様に重要なこととして、当該製品がそれ自体の有効保存期間により、他の製品に対する競争力を獲得するのに十分長い期間にわたって安定な状態を維持することも保証する。
【0021】
「増殖能」とは、本明細書の範囲では細胞数の増加を意味する。
【0022】
本明細書の範囲では、「生存率」とは、トリパンブルー色素を取り込まないことにより細胞膜の完全性を証明する細胞の特徴を意味する。
【0023】
「被験者」、「レシピエント」および「患者」という用語は、本明細書では相互に置き換え可能に使用し、特に明記しない限り本明細書に開示する医薬組成物を用いた心臓病または心臓障害の治療を必要とするヒトまたは哺乳類を指すものとする。ここで言う被験者には、そのような心臓病または心臓障害の危険性があるヒトまたは哺乳類も含まれる。
【0024】
本明細書で使用する単数形の「a」、「an」および「the」は文脈上明らかに矛盾しない限り複数形の場合も含むものとする。したがって、例えば「a stem cell」という記載は単一の細胞だけでなく2つ以上の細胞が存在する場合も含み、「an agent」または「a reagent」という記載は単一の作用物質または試薬だけでなく2つ以上の作用物質または試薬が存在する場合も含み、「the invention」または「an invention」という記載は発明の1つまたは複数の態様を含み、以下同様に単数形の表現は複数形の表現も含むものとする。
【0025】
別段の定めがない限り、本明細書で使用するすべての科学技術用語は、当業者が一般に理解するところと同じ意味を有するものとする。本発明の実施または試験においては本明細書に記載したのと同様の、または対応する方法および材料を使用することができるが、以下では適切な方法および材料について説明する。
【0026】
以下の詳細な説明には、添付の特許請求の範囲に記載した各請求項の主題の完全な理解が得られるように、様々な詳細を記載した。しかしながら、各請求項の主題はこれらの具体的な詳細が与えられなくても実施可能であることは、当業者には理解されるであろう。一方、本発明の主題が不明瞭になるのを避けるため、周知の方法、手順、構成要素等については説明を省略した。
【0027】
本発明は、心臓組織生成に関与する細胞と、少なくとも1つの製薬学的に許容し得る賦形剤とを含む医薬組成物に関するものである。心臓組織生成に関与する細胞は、国際的に認知された医薬品製造規格に従って生産されることが好ましい。最も好ましくは、製薬学的に許容し得る賦形剤は保存溶液である。保存溶液は、−196℃〜0℃の温度における凍結保存を可能にする保存溶液および0℃〜+40℃の温度における保存を可能にする保存溶液を含む群から選択されることが好ましい。保存溶液は、イオン、pH緩衝液、非透過物、コロイドおよび代謝物質、ジメチルスルホキシド(DMSO)、グリセロール、スクロース、血清アルブミン、トレハロース、またはこれらの任意の組合せを含み得る保存溶液であることが好ましい。イオンは、Na、K、Ca2+、Mg2+、Cl、およびこれらのイオンの組合せからなる群から選択されることが好ましい。pH緩衝液は、HPO、HCO、4‐(2‐ヒドロキシエチル)‐1‐ピペラジンエタンスルホン酸(HEPES)、およびこれらの混合物からなる群から選択されることが好ましい。非透過物は、ラクトビオネート、スクロース、マンニトール、グルコース、およびこれらの組合せからなる群から選択されることが好ましい。コロイドはデキストラン40であることが好ましい。代謝物質は、アデノシン、グルタチオン、およびこれらの組合せからなる群から選択されることが好ましい。少なくとも1つの製薬学的に許容し得る賦形剤は、更に増殖因子、サイトカイン、器官形成シグナリングに関係するタンパク質、医薬、血小板溶解物、血清、同位体、細胞の生体内(in vivo)追跡手段、希釈剤、潤滑剤、基質または骨格材料、およびこれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1つの成分を含むことが好ましい。
【0028】
好ましくは、心臓組織生成に関与する細胞は、幹細胞とすることも、幹細胞から誘導される心臓組織生成に関与する細胞とすることもできる。幹細胞は、成体幹細胞、胚性幹細胞、人工多能性幹(iPS)細胞、MIAMI細胞(多系統誘導性細胞(Marrow-Isolated Adult Multilineage Inducible cells))、常在性心臓幹細胞(resident cardiac stem cell)、植物幹細胞、またはこれらの任意の組合せからなる群から選択されることが好ましい。幹細胞は、骨髄、脂肪組織、臍帯血、羊水、月経液、血液からなる群から選択される適切な組織源から採取される間葉系幹細胞であることが好ましい。心臓組織生成に関与する細胞は、哺乳類細胞であることが好ましい。哺乳類細胞は、ヒト、ネコ、イヌ、ブタ、ウマ、マウス、ラット、ハムスターおよび他の哺乳類からなる群から選択されることが好ましい。前記細胞は、自己細胞、同種異系細胞、異種細胞、またはこれらの任意の組合せであることが好ましい。
【0029】
心臓組織生成に関与する細胞は、心臓形成細胞であることが好ましい。好ましくは、心臓形成細胞は、例えばヒト成人間葉系幹細胞、ヒト胚性幹細胞(生産によりヒト胚破壊が生起しないことを条件とする)、胚様幹細胞、人工多能性幹細胞、常在性心臓幹細胞もしくは他の任意の適した起源、またはこれらの組合せを含む幹細胞から誘導することができる。
【0030】
本発明の医薬組成物は、心臓筋細胞、造血細胞、血管内皮前駆細胞、脂肪芽細胞、脂肪細胞、軟骨芽細胞、軟骨細胞、骨芽細胞、骨細胞、神経芽細胞および神経細胞を含む(ただしこれらに限定されない)非心臓形成細胞を、検出可能なレベルで有しないことが好ましい。非心臓形成細胞の合計含有量は総細胞数の0%〜50%、特に総細胞数の0%〜15%であることが好ましい。非心臓形成細胞の各種含有量は、それぞれ総細胞数の0%〜50%、特に総細胞数の0%〜15%であることが好ましい。
【0031】
本発明はまた、虚血性心筋症、急性心筋梗塞、慢性心筋梗塞、非虚血性心不全、虚血性心不全、先天性心筋症、またはこれらの組合せの治療に使用するための医薬組成物にも関する。
【0032】
本発明はまた、医薬組成物の製造方法にも関する。この方法は、心臓組織生成に関与する細胞源となり得る細胞を取得する工程と;前記細胞を、心臓組織生成に関与する細胞の取得が可能となる条件下で培養する工程と;前記関与細胞を採取する工程と;前記関与細胞に少なくとも1つの製薬学的に許容し得る賦形剤を添加する工程とを備える。
【0033】
本発明の方法は、本発明の方法は国際的に認知された医薬品製造企画に従って実施され、本方法の任意の工程において品質管理操作を実施するために、サンプルを採取する工程を含む。最も好ましくは、本発明の方法は、国際的に認知された医薬品製造規格に従って実行され、活性物質の品質管理を実施するために、細胞培養の最終段階でサンプルを採取する工程を含む。
【0034】
活性物質の品質管理基準は、同一性試験、均質性試験、純度試験、およびこれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1つの試験を含むことが好ましい。心臓組織生成に関与する細胞が心臓形成細胞である場合に、心臓形成細胞の同一性は、Nkx2.5、Tbx5、MEF2C、GATA4、GATA6、Mesp1、FOG1、FOG2、Flk1、およびこれらのホモログからなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子について観察される、発現レベルの増加に対応することが好ましい。遺伝子発現の増加は、qPCR法により基準と比較して少なくとも2倍であることが判定されることが好ましい。心臓組織生成に関与する細胞が心臓形成細胞である場合に、心臓形成細胞の同一性は、基準と比較して、Nkx2.5、Tbx5、MEF2C、GATA4、GATA6、Mesp1、FOG1、FOG2、Flk1およびそれらのホモログからなる群から選択される少なくとも1つのポリペプチド種の存在が観察され、更にNkx2.5もしくはMEF2Cまたはその両方が前記心臓形成細胞の核に移行したことをもって満足されたものとみなされることが好ましい。観察される少なくとも1つのポリペプチド種の存在は、抗Nkx2.5抗体、抗Tbx5抗体、抗MEF2C抗体、抗GATA4抗体、抗GATA6抗体、抗Mesp1抗体、抗FOG1抗体、抗FOG2抗体、抗Flk1抗体、およびそれらの相同物からなる群から選択される少なくとも1つの抗体を用いた免疫標識によって示されることが好ましい。均質性は、所与のサンプル中少なくとも50%が心臓形成細胞である場合に満足されることが好ましい。均質性は、所与のサンプル中少なくとも50%、特に少なくとも85%が心臓形成細胞である場合に満足されることが好ましい。採取した細胞中の間葉系幹細胞の存在は、CD105、CD90、CD133、CD105、CD166、CD29およびCD44からなる群から選択される表面マーカーに対する抗体の陽性免疫標識と、CD14、CD34およびCD45からなる群から選択される表面マーカーに対する抗体で検出可能な免疫標識の欠如とによって示されることが好ましい。純度は、CD34、FABP4、オステオカルシン、ネスチン、Sox9およびMYH7遺伝子ならびにそれらのホモログの発現レベルの増加が、基準と比較して2倍以上になると満足されなくなることが好ましい。遺伝子発現の増加は、qPCR法により基準と比較して判定することが好ましい。純度は、心筋細胞、造血細胞、血管内皮前駆細胞、脂肪芽細胞、脂肪細胞、軟骨芽細胞、軟骨細胞、骨芽細胞骨細胞、神経芽細胞および神経細胞を含む(ただしこれらに限定されない)非心臓形成細胞の数(免疫標識で示される)が増加すると満足されなくなることが好ましい。参照は、非心臓形成細胞からなることが好ましい。参照は、心臓形成物質の不存在下で培養された細胞からなることが好ましい。培養条件は、バイオリアクタを使用する工程を含み、該バイオリアクタを使用する工程は、前記細胞を粒子上または基質上に固定化またはカプセル化する工程と、細胞培養基が該粒子または基質の層を通過するようにさせる工程とを含むことが好ましい。
【0035】
本発明はまた、心臓病障害または障害の素因の処置方法にも関する。本方法では、上記の医薬組成物が個体に有効量だけ送達される。個体は、心臓血管系の機能不全を示す個体であることが好ましい。個体は、虚血性心筋症、心筋梗塞、虚血性心不全もしくは非虚血性心不全、先天性心筋症、またはこれらの組合せに罹患した個体であることが好ましい。
【0036】
医薬組成物は、心筋内投与、心臓内投与、冠動脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、腹腔内投与、子宮内投与、非経口投与または全身投与からなる群から選択される投与経路を使用して送達されることが好ましい。前記医薬組成物は、カテーテルもしくはシリンジ、またはこれらの組合せを使用して心筋内注射されることが好ましい。
【0037】
心臓組織生成に関与する細胞の由来源となり得る細胞は、以下の物質からなる群から選択可能な少なくとも1つの心臓形成物質と接触させることができる:TGF‐β1、TGF‐β2、TNF‐α、BMP‐1、BMP‐2、BMP‐4、BMP‐6、FGF‐2、FGF‐4、FGF‐5、FGF‐12、FGF‐13、FGF‐15、FGF‐20、白血病抑制因子(LIF)、VEGF‐A、VEGF‐C、インスリン様増殖因子1(IGF‐1)、インターロイキン6(IL‐6)、アクチビン‐A、α‐トロンビン、レチノイン酸、カルジオトロフィン1、カルジオゲノールC、およびこれらの組合せ。
【0038】
多種多様な心臓形成カクテルが使用可能である。以下のリストは限定的なものではないが、例えば、ある実施形態においては、TGFβ‐1、BMP4、α‐トロンビン、カルジオトロフィン、およびIL‐6からなる群から選択される化合物と、カルジオゲノールC、およびレチノイン酸からなる群から選択される化合物とを含む心臓形成物質カクテルを使用することができる。他のカクテルは、TGFβ‐1、BMP4、α‐トロンビン、カルジオトロフィン、およびカルジオゲノールCを含むことができる。また、他のカクテルは、FGF‐2、IGF‐1、アクチビン‐A、TNF‐α、FGF‐4、LIF、VEGF‐A、およびそれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含むことができる。これらのカクテルは、FGF‐2、IGF1、およびアクチビン‐Aを含んでもよい。他の好ましいカクテルは、アクチビン‐A、FGF‐2、IL‐6、IGF‐1、およびレチノイン酸を含む。他のカクテルは、TNF‐α、FGF‐4、LIFおよびVEGF‐Aからなる群から選択される少なくとも1つの化合物を欠いていてもよい。
【0039】
下記の化合物のうちの1つがカクテル中に存在する場合は、それぞれ下記の量を使用することができる:TGFβ‐1:1ml当たり1〜5ng、BMP4:1ml当たり1〜10ng、カルジオトロフィン:1ml当たり0.5〜5ng、α‐トロンビン:1ml当たり0.5〜5単位、カルジオゲノールC:50〜500nM、FGF‐2:1ml当たり1〜10ng、IGF1:1ml当たり10〜100ng、アクチビン‐A:1ml当たり1〜50ng、TNF‐α:1ml当たり1〜50ng、FGF‐4:1ml当たり1〜20ng、IL‐6:1ml当たり10〜100ng、LIF:1ml当たり1〜10単位、VEGF‐A:1ml当たり1〜50ng、レチノイン酸:1ml当たり0.1〜1.0μM。
【0040】
あるカクテルタイプは、組換えTGFβ‐1(2.5ng/ml)、BMP4(5ng/ml)、カルジオトロフィン(1ng/ml)、カルジオゲノールC(100nM)を含み、これらを組み合わせて使用する。特に好ましいカクテルは、上記化合物に加えて、α‐トロンビン(1U/ml)、FGF‐2(10ng/ml)、IGF‐1(50ng/ml)およびアクチビン‐A(5ng/ml)を含む。
【0041】
他の好ましいカクテルは、組換えTGFβ‐1(2.5ng/ml)、BMP4(5ng/ml)、アクチビン‐A(5ng/ml)、FGF‐2(10ng/ml)、IL‐6(100ng/ml)、因子IIa(hα‐トロンビン、1U/ml)、IGF1(50ng/ml)およびレチノイン酸(1μM)を含み、これらを組み合わせて使用する。
【0042】
上記カクテルは、ウシ胎仔血清、ヒト血清、血小板溶解物、血小板由来増殖因子、およびこれらの混合物からなる群から選択される化合物と、選択された化合物とを含有する培地中で希釈することができる。
【0043】
本発明はまた、医薬組成物の投与キットであり、前記医薬組成物を収容した容器を備えるキットにも関する。容器は生体適合性容器であり、該生体適合性容器は、細胞の生存および世界中の輸送を可能にし、医療従事者がレシピエントへの送達を行う際の取扱いを容易にすることができることが好ましい。容器は密閉されることが好ましい。容器は、賦形剤および保存条件に適合することが好ましい。容器は、密閉ガラス容器であることが好ましい。容器は、穿刺可能なセプタムキャップを有することが好ましい。穿刺可能なセプタムキャップは、容器から流体を引き出すためのルアー作動バルブを含むバイアルアダプタを装着可能であることが好ましい。穿刺可能なセプタムキャップは、針を貫通させることができることが好ましい。医薬組成物は、凍結保存に適した密閉容器に保管されることが好ましい。容器内の医薬組成物の有効保存期間は、少なくとも48時間、特に少なくとも72時間であることが好ましい。前記キットは、少なくとも1つのカテーテルを更に備えることが好ましい。前記キットは、少なくとも1つのシリンジを備えることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】対照群(n=8)と治療群(n=9)に無作為に割り当てた被験者について測定した、左室(LV)拡張末期容積(LVEDV;パネルA)、LV収縮末期容積(LVESV;パネルB)およびLV駆出分画率(LVEF;パネルC)のベースラインにおける測定結果とその6ヶ月後の測定結果とを示すグラフである。結果はベースラインに対して正規化した。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0045】
製造の開始:
患者の腸骨稜から採取した最低品質基準を満足するヒト骨髄サンプルを、37℃/5% COインキュベータ中の175cmフラスコ内で培養し、BMMSCを純化する。最低品質基準には、ドナーの陰性血清検査(少なくともHIV1/2、梅毒、HBV、HCV)、採取場所と製造場所の間の骨髄輸送温度管理、総体積、血栓の存在および体積の記録ならびに細菌汚染がないことの記録が含まれる。24時間後にフラスコから骨髄および細胞残屑を慎重に取り除く。付着したBMMSCをリン酸緩衝食塩水(PBS)で洗浄し、培地を加えて培養を再開し、4〜6日ごとに培地を取り替えながら初代継代P0まで培養を続ける。
【0046】
P0(コロニーから細胞層への初期増殖):
初代継代(P0)を行ってコロニーを解離させ、これらを増殖させて単分子層を形成させる。細胞を175cmフラスコに1対1の割合で播種し、最長6日間増殖させ、単分子層を形成させる。次の継代タイミングは、合流点によって決定する。この工程は、BMMSCが検出可能なコロニーの不存在下でも自発的に単分子層を形成する場合は省略することができる。この工程は、同様の継代に「P0」+順序を示す文字を継代番号として付けながら、少なくとも50×10個の細胞が得られるまで続ける。播種時の細胞密度や合流点を起点とする各継代の細胞密度等のパラメータを定義する。ある継代で得られる細胞の数により、収率の最適化および接触阻害の回避に有効な、播種で使用すべき容器サイズを決定する。P0フェーズの工程内管理試験は、細胞数およびパーセント生存率を含む。
【0047】
P1(心臓形成カクテル処置の開始):
細胞を培地および心臓形成カクテル中で5日間培養する。心臓形成カクテルとしては、例えば特許文献1、特許文献2、非特許文献2等に記載されているカクテルを使用することができる。
【0048】
P2(心臓形成カクテル処置の終了):
心臓形成カクテルを含有する培地を廃棄する。培養物は、この時点で心臓形成細胞を含有する。培養物を継代し、新しい容器に播種する。新しい容器の培地は、必要に応じて追加的な増殖フェーズを許容するものとする。
【0049】
P3(増殖および採取):
これ以降の継代には「P3」+順序を示す文字を継代番号として付ける。細胞の継代は最適な合流点に達したときに行い、600×10〜1200×10個の細胞が得られるまで繰り返す。この基準が満足されたときに細胞を採取する。この工程は、最終的なトリプシン処理工程と、その後に続く遠心分離による洗浄および濃縮工程とを含む。最終洗浄は、細胞保存溶液中で行う。好適には、利用する保存溶液は器官および生物組織保存用の標準的な水性冷蔵保存液、例えばBioLifeSolutions社(ワシントン州ボセル)のHypoThermosol-FRS(登録商標)と同様であってよい。
【0050】
次いで、細胞濃縮物を生体適合性容器(本例ではTypeI(Ph.Eur.)のガラス瓶)に移し、この容器に保存溶液を総体積10ml、細胞濃度が60×10〜120×10cells/mlに達するまで加える。これにより本発明の医薬組成物の製造が完了する。
【0051】
医薬組成物の出荷基準は、典型的には細胞の同一性、均質性および純度と、偶発的な汚染がないこと(無菌状態であること、エンドトキシンが低レベルであること、その工程によってマイコプラズマが付加されないこと)を保証する、製造パラメータとの組合せを含む。
【0052】
本発明の範囲から逸脱しない限り、心臓形成物質を使用しない心臓形成細胞の他の生産方法も考案され得ることに留意されたい。
【0053】
本例では、保存培地をBioLifeSolutions社(ワシントン州ボセル)のHypoThermosol-FRS(登録商標)とする。HypoThermosol-FRSは、イオン(Na:100mM、K:42.5mM、Ca2+:0.05mM、Mg2+:5mM、Cl:17.1mM)と、pH緩衝液(HPO:10mM、HCO:5mM、HEPES:25mM)と、細胞膨張を抑制する非透過物(ラクトビオネート:100mM、スクロース:20mM、マンニトール:20mM)と、コロイド(デキストラン40:6%)と、代謝物質(グルコース:5mM、アデノシン:2mM、グルタチオン:3mM)とを含有する。
【0054】
本発明によれば、医薬組成物の保存は、ジメチルスルホキシド(DMSO)中の凍結保存によって実施してもよい。これにより、有効保存期間を更に長くする(1週間以上になる)利点がもたらされる。ただし、輸送温度を適切に制御したドライアイス輸送であることを条件とする。
【0055】
賦形剤がHypoThermosol-FRSである本発明の医薬組成物の実施形態によれば、容器内の医薬品の有効保存期間は少なくとも72時間である。特筆すべきこととして、総細胞数1200×10の細胞体積は約8ミリリットル、心筋内注射にとって望ましい最大体積は約10ミリリットルである。つまり、HypoThermosol-FRSの方が細胞体積よりも量が少なくなるが、これらの量の差は僅か数ミリリットルの範囲に収まることになる。
【0056】
驚くべきことに、これほど少ない量のHypoThermosol-FRSであっても医薬組成物にとって非常に重要な72時間という有効保存期間が十分維持されることが分かった。これにより、すべての出荷基準が満足されることを保証し、医薬組成物を世界中のあらゆる場所に出荷し、レシピエントに送達するのに十分な時間が与えられることになる。
【0057】
医薬組成物の出荷基準(同一性):
心臓形成細胞は、陽性発現によって同定され、該当する場合は、Nkx2.5、MEF2CおよびGATA‐4を含めた初期心臓分化に関するいくつかのマーカーの核移行によって同定される。医薬組成物に含有される心臓形成細胞の同一性は、リアルタイム定量RT‐PCR(qPCR)で測定した結果、MEF2Cおよび/またはTbx5の発現レベルが参照基準と比較して少なくとも2倍増加し、且つそのような発現レベルが有効保存期間にわたって維持されることにより肯定される。
【0058】
この好ましい実施形態において、以下の表1、表2および表3は、初期心臓分化マーカーの発現が、医薬組成物をその最終的な容器に保管してから14日間維持されたこと、ならびに、かかる細胞の生存率および増殖が少なくとも5日間維持されたことを示している。このことは、本明細書に記載の製造方法によって実現される固有の能力により、心臓形成物質に曝露した細胞の同一性を確保し、それらの所期の用途に適した状態に維持することが可能となることを証明している。
【0059】
【表1】

【0060】
【表2】

【0061】
【表3】

【0062】
表4および表5は、更に、本発明の医薬組成物が単独で規定される細胞濃度収率に限定されないことを示している。更に言えば、細胞生存率および増殖能を様々な細胞濃度において維持することが本明細書に記載した医薬組成物の顕著な特徴である。
【0063】
【表4】

【0064】
【表5】

【0065】
医薬組成物の放出基準(均質性):
この好ましい実施形態において説明する本発明の医薬組成物中に含まれる心臓形成細胞の割合を決定するために、細胞のアリコートに対し、MEF2CおよびCD105に対する抗体を用いて二重免疫標識を行った後、DAPIを使用して核染色を行う。この目的は、DAPI染色した核の数によって与えられるカウント細胞総数により、心臓形成細胞(MEF2Cの核染色)と間葉系幹細胞(CD105陽性)の割合を判定することにある。qPCRによる同一性試験を通過した患者由来心臓形成細胞の分析(MEF2C:2.8±0.6倍の増加、Tbx5:2.2±0.6倍の増加)から、96±2%の細胞が心臓形成細胞であることが示された。また、カウントした100%の細胞がCD105陽性であった。CD34の発現レベルの増加が見られないこと、造血細胞および血管内皮前駆細胞(「純度」の段落参照)のマーカーが確認されないことを考え合わせると、100%の細胞が間葉系幹細胞であること、または間葉系幹細胞から誘導されたものであることを示している。
【0066】
医薬組成物の放出基準(純度):
本発明の好ましい実施形態に従って実施される純度試験の目的は、心臓形成細胞およびBMMSCと異なる細胞タイプが、医薬組成物中に存在しないことを判定することにある。純度基準に対応するための選択法はqPCRである。純度試験のqPCR法を開発する際に採用したアプローチは、適切なマーカーの同定、特異的なプライマーおよびプローブセットの設計、増幅曲線および溶融ピークの分析、並びに市販の陽性対照RNAの同定等である。通常、いずれも骨髄中に存在する血液生成表現型および内皮原種表現型の欠如は、医薬組成物中に検出可能なレベルのCD34発現細胞が存在しないことにより判定される。医薬組成物中の脂肪芽細胞、軟骨芽細胞、骨芽細胞または神経芽細胞の欠如は、それぞれ検出可能なレベルのFABP4発現細胞、Sox9発現細胞、オステオカルシン発現細胞およびネスチン発現細胞が存在しないことにより判定される。成熟心筋細胞の除去は、医薬組成物中に検出可能なレベルのMYH7発現細胞が存在しないことにより評価される。
【0067】
本明細書に記載する本発明の医薬組成物の好ましい実施形態を、虚血性心不全を有するヒトにおいて、有効量である1200×10個の細胞を、専用のカテーテルを使用して生存可能でない心筋の境界域に心内膜注射したところ満足な結果が得られた。
【0068】
本発明に係る心臓形成細胞を含有する医薬組成物の実現可能性、安全性および有効性は、前向き、無作為、非盲検、逐次並行2群間比較、多施設共同臨床試験にて評価した。
【0069】
虚血性心筋症に続発する慢性心不全を呈する被験者を、対照群または治療群に無作為に割り当てた。対照群は、適切な標準治療を受けた。治療群は適切な標準治療に加えて、心臓形成細胞を含有する医薬組成物の投与を受けた。
【0070】
心臓形成細胞を含有する医薬組成物を、MyoStar(登録商標)インジェクションカテーテル(Biologics Delivery Systems社(米国カリフォルニア州))を使用して梗塞領域の境界域に心内膜注射した。この梗塞領域を取り囲む、最大20箇所の梗塞部位に最大1.2×10個の細胞を単回注射手順にて注射した。
【0071】
この試験に参加した17人の被験者(治療群:9人、対照群:8人)につき、左室(LV)機能の2次元心エコー評価を、ベースラインとその6か月後の2回にわたって実施した。心機能は、ベースラインから細胞注射後6か月後までのLV拡張末期容積(LVEDV)、LV収縮末期容積(LVESV)およびLV駆出分画率(LVEF)の変化を測定することにより評価した。これら3つの重要なパラメータについて、治療群では本発明の医薬組成物が心機能(図1)に陽性効果を示す傾向が観察された。当業者である医師なら、これらの結果がもたらす重要な予後的・治療的意義を理解するであろう。
【0072】
(他の実施形態)
以上、発明の詳細な説明と共に本発明について説明したが、上記の説明は本発明の単なる例示にすぎず、本発明の範囲を限定するものではないことを理解されたい。本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によって定義されるものである。特許請求の範囲には他の態様、利点および修正も含まれる。
【0073】
特に、本明細書に記載した医薬組成物は、その保管条件および有効保存期間を含めて、骨髄間葉系幹細胞(BMMSC)から誘導される自己心臓形成細胞の使用法、即ちBMMSCから調製した医薬組成物をBMMSCを採取した個体と同じ個体に使用する方法を示す好ましい一実施形態にすぎない。本発明の範囲は自己由来のBMMSCに限定されるものではなく、由来源を問わない任意の幹細胞の使用を包含する。心臓組織生成に関与する細胞の取得元となり得る細胞(以下、本段では「起源細胞」と呼ぶ。)は、同種異系であっても、異種であってもよい。起源細胞は骨髄バンクとは異なる手段によって取得してもよい。起源細胞は胚幹細胞であってもよいが、それらを獲得することによりヒト胚破壊が生起しないことを条件とする。起源細胞は、形質転換、細胞再プログラミング、またはiPSから外来遺伝子を除去する他の方法を含めた任意の手段によって取得される人工多能性幹(iPS)細胞のような胚様幹細胞とすることもできる。起源細胞は、MIAMI細胞、常在性心臓幹細胞、植物幹細胞、またはこれらの任意の組合せとすることもできる。本発明は特定の製剤成分、製造方法、生物学的材料または試薬、投与計画等に限定されるものではなく、これらの製剤成分、製造方法等は様々なものが考案されてもよい。
【0074】
更なる一実施形態において、本明細書に記載した医薬組成物は追加的な構成要素を含んでいてもよく、例えば心臓形成物質、増殖因子(線維芽細胞増殖因子、胎盤増殖因子、血管内皮細胞増殖因子等)、サイトカイン、即ち器官形成シグナリングに関係するタンパク質、分子構造体、ex vivoで改変された非心臓形成細胞、医薬、血小板溶解物、または骨格材料(コラーゲン、ラミニン、他の任意の細胞外基質タンパク質等)を含んでいてもよい。
【0075】
更なる一実施形態において、本明細書に記載したキットは、国際特許出願第PCT/EP2010/055869号、台湾特許出願第099113613号、米国特許出願第61/312371号、ベルギー国特許出願第2009/0271号、国際特許出願第PCT/EP2010/055856号、台湾特許出願第099113627号、またはベルギー国特許出願第2009/0272号に記載のカテーテルを含んでいてもよい。
【0076】
更なる一実施形態において、本明細書に記載のキットは追加的な構成要素を含むことができ、例えば本発明の医薬組成物の冷凍、凍結、凍結保存、凍結乾燥、ガラス化、融解、再水和、洗浄、選別、濃縮、ろ過、凍結乾燥、遠心分離、再懸濁、サンプリングまたは分取に適したバッグ、または膜を含んでいてもよい。
【0077】
更なる一実施形態において、本明細書に記載のキットは熱モニタリング装置、誤動作防止装置、または無線周波数同定装置を含んでいてもよい。
【0078】
なお、本明細書で使用した用語は、特定の実施形態を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではないことを理解されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
心臓組織生成に関与する細胞と、少なくとも1つの製薬学的に許容し得る賦形剤とを含む医薬組成物。
【請求項2】
心臓組織生成に関与する細胞は、国際的に認知された医薬品製造規格に従って生産される請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記少なくとも1つの製薬学的に許容し得る賦形剤は、保存溶液である請求項1または2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記保存溶液は、−196℃〜0℃の温度における凍結保存を可能にする保存溶液、および0℃〜+40℃の温度における保存を可能にする保存溶液からなる群から選択される請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記保存溶液は、イオン、pH緩衝液、非透過物、コロイドおよび代謝物質、ジメチルスルホキシド(DMSO)、グリセロール、スクロース、血清アルブミン、トレハロース、またはこれらの任意の組合せを含む保存溶液である請求項3または4に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記イオンは、Na、K、Ca2+、Mg2+、Cl、および前記イオンの組合せからなる群から選択される請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記pH緩衝液は、HPO、HCO、4‐(2‐ヒドロキシエチル)‐1‐ピペラジンエタンスルホン酸(HEPES)、およびこれらの混合物からなる群から選択される請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記非透過物は、ラクトビオネート、スクロース、マンニトール、グルコース、およびこれらの組合せからなる群から選択される請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記コロイドはデキストラン40である請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記代謝物質は、アデノシン、グルタチオン、およびこれらの組合せからなる群から選択される請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記少なくとも1つの製薬学的に許容し得る賦形剤は、増殖因子、サイトカイン、器官形成シグナリングに関係するタンパク質、医薬、血小板溶解物、血清、同位体、細胞のin vivo追跡手段、希釈剤、潤滑剤、基質または骨格材料、およびこれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1つの成分を含む請求項1〜10のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記心臓組織生成に関与する細胞は幹細胞である請求項1〜11のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記心臓組織生成に関与する細胞は幹細胞に由来する請求項1〜12のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記幹細胞は、成体幹細胞、胚性幹細胞、人工多能性幹(iPS)細胞、MIAMI細胞、常在性心臓幹細胞、植物幹細胞、またはこれらの任意の組合せからなる群から選択される請求項12または13に記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記幹細胞は、骨髄、脂肪組織、臍帯血、羊水、月経液、血液からなる群から選択される適切な組織源から採取される間葉系幹細胞である請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項16】
前記心臓組織生成に関与する細胞は哺乳類細胞である請求項1〜15のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項17】
前記哺乳類細胞は、ヒト、ネコ、イヌ、ブタ、ウマ、マウス、ラット、ハムスター、および他の哺乳類からなる群から選択される請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項18】
前記細胞は、自己細胞、同種異系細胞、異種細胞、またはこれらの任意の組合せである請求項1〜17のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項19】
前記心臓組織生成に関与する細胞は、ヒト成人間葉系幹細胞、ヒト胚性幹細胞(生産によりヒト胚破壊が生起しないことを条件とする)、胚様幹細胞、人工多能性幹細胞、常在性心臓幹細胞、もしくは他の任意の適した起源、またはこれらの組合せに由来する心臓形成細胞である請求項1〜18のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項20】
非限定的に心臓筋細胞、造血細胞、血管内皮前駆細胞、脂肪芽細胞、脂肪細胞、軟骨芽細胞、軟骨細胞、骨芽細胞、骨細胞、神経芽細胞および神経細胞を含む非心臓形成細胞を検出可能なレベルで含有しない請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項21】
非心臓形成細胞の合計含有量が総細胞数の0%〜50%、好ましくは総細胞数の0%〜15%である請求項20に記載の医薬組成物。
【請求項22】
非心臓形成細胞の各種含有量が総細胞数の0%〜50%、好ましくは総細胞数の0%〜15%である請求項20に記載の医薬組成物。
【請求項23】
虚血性心筋症、急性心筋梗塞、慢性心筋梗塞、非虚血性心不全、虚血性心不全、先天性心筋症、またはこれらの組合せの治療に使用するための請求項1〜22のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項24】
請求項1〜23のいずれか一項に記載の医薬組成物の製造方法であり、
心臓組織生成に関与する細胞源となる細胞を取得する工程と、
前記細胞を、心臓組織生成に関与する細胞の取得が可能となる条件下で培養する工程と、
前記関与細胞を採取する工程と、
前記関与細胞に少なくとも1つの製薬学的に許容し得る賦形剤を添加する工程とを備える方法。
【請求項25】
心臓組織生成に関与する細胞源となる前記細胞を、以下の物質からなる群から選択される少なくとも1つの心臓形成物質で構成された心臓形成カクテルと接触させる請求項24に記載の方法。
アクチビン‐A;α‐トロンビン;アンギオポエチン;BMP‐1、BMP‐2、BMP‐4、BMP‐5、BMP‐6等の骨形成タンパク質(BMP);カルジオトロフィン1;カルジオゲノールC;上皮細胞増殖因子(EGF);エリスロポエチン(EPO);FGF‐1、FGF‐2、FGF‐4、FGF‐5、FGF‐12、FGF‐13、FGF‐15、FGF‐20等の線維芽細胞増殖因子(FGF);顆粒球コロニー刺激因子(G‐CSF);顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM‐CSF);増殖分化因子‐9(GDF‐9);肝細胞増殖因子(HGF);IGF1、IGF2等のインスリン様増殖因子(IGF);ミオスタチン(GDF‐8);NT‐3、NT‐4、NT‐1等のニューロトロフィン;神経増殖因子(NGF);PDGF‐β、PDGF‐AA、PDGF‐BB等の血小板由来増殖因子(PDGF);トロンボポエチン(TPO);TGF‐(トランスフォーミング増殖因子α);TGF‐β1、TGF‐β2、TGF‐β3等のトランスフォーミング増殖因子β(TGF‐β);VEGF‐A、VEGF‐C等のVEGF(血管内皮細胞増殖因子);TNF‐α;白血病抑制因子(LIF);インターロイキン6(IL‐6);レチノイン酸;C SDF‐1(ストロマ細胞由来因子1);BDNF(脳由来神経栄養因子);ペリオスチン;アンギオテンシンII;Flt3リガンド;グリア細胞由来神経栄養因子;インスリン様増殖因子結合タンパク質3;インスリン様増殖因子結合タンパク質5;インターロイキン3;インターロイキン8;ミッドカイン;プロゲステロン;プトレシン;幹細胞因子;TGFα;Wntl;Wnt3a;Wnt5a;カスパーゼ‐4;ケモカインリガンド1;ケモカインリガンド2;ケモカインリガンド5;ケモカインリガンド7;ケモカインリガンド11;ケモカインリガンド20;ハプトグロビン;レクチン;コレステロール25‐ヒドロキシラーゼ;シンタキシン8;シンタキシン11;セルロプラスミン;補体成分1;補体成分3;インテグリンα6;リソソーム酸性リパーゼ1;β‐2ミクログロブリン;ユビキチン;マクロファージ遊走阻止因子;コフィリン;シクロフィリンA;FKBP12;NDPK;プロフィリン1;シスタチンC;カルサイクリン;スタニオカルシン1;PGE2;mpCCL2;IDO;iNOS;HLA‐G5;M‐CSF;PIGF;MCP‐1;細胞外基質分子;CCL2(MCP‐1);CCL3(MIP‐1α);CCL4(MIP‐1β);CCL5(RANTES);CCL7(MCP‐3);CCL20(MIP‐3α);CCL26(エオタキシン‐3);CX3CL1(フラクタルカイン);CXCL5(ENA‐78);CXCL11(i‐TAC);CXCL1(GROα);CXCL2(GROβ);CXCL8(IL‐8);CCL10(IP‐10);およびこれらの組合せ。
【請求項26】
前記心臓形成カクテルは、ウシ胎仔血清、ヒト血清、血小板溶解物、血小板由来増殖因子およびそれらの混合物からなる群から選択される化合物と、(カクテル1)TGFβ‐1、BMP‐4、α‐トロンビン、カルジオトロフィン1およびIL‐6からなる群から選択される化合物、ならびにカルジオゲノールCおよびレチノイン酸からなる群から選択される化合物;(カクテル2)TGFβ‐1、BMP‐4、α‐トロンビン、カルジオトロフィン1、IL‐6、レチノイン酸およびカルジオゲノールC;(カクテル3)アクチビン‐A、FGF‐2、IL‐6、IGF1およびレチノイン酸;(カクテル4)TGF‐β1、TGF‐β2、TNF‐α、BMP‐1、BMP‐2、BMP‐4、BMP‐6、FGF‐2、FGF‐4、FGF‐5、FGF‐12、FGF‐13、FGF‐15、FGF‐20、白血病抑制因子、VEGF‐A、VEGF‐C、インスリン様増殖因子1、インターロイキン6(IL‐6)、アクチビン‐A、α‐トロンビン、レチノイン酸、カルジオトロフィン1、カルジオゲノールCおよびそれらの組合せからなる群から選択される化合物とを含有する培地中で希釈される請求項24または25に記載の方法。
【請求項27】
国際的に認知された医薬品製造規格に従って実行される、任意の工程において品質管理操作を実施するためにサンプルを採取する工程を含む請求項24〜26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
国際的に認知された医薬品製造規格に従って実行される、活性物質の品質管理を実施するために細胞培養の最終工程でサンプルを採取する工程を含む請求項24〜27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
活性物質の品質管理基準は、同一性試験、均質性試験、純度試験、およびこれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1つの試験を含む請求項24〜28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
心臓組織生成に関与する細胞が心臓形成細胞である場合に、前記心臓形成細胞の同一性は、Nkx2.5、Tbx5、MEF2C、GATA4、GATA6、Mesp1、FOG1、FOG2、Flk1、およびこれらのホモログからなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子について観察される発現レベルの増加に対応する請求項24〜29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記遺伝子発現の増加は、qPCR法により基準と比較して少なくとも2倍であることが判定される請求項30に記載の方法。
【請求項32】
心臓組織生成に関与する細胞が心臓形成細胞である場合に、前記心臓形成細胞の同一性は、基準と比較して、Nkx2.5、Tbx5、MEF2C、GATA4、GATA6、Mesp1、FOG1、FOG2、Flk1、およびこれらのホモログからなる群から選択される少なくとも1つのポリペプチド種の存在が観察され、更にNkx2.5もしくはMEF2Cまたはその両方が前記心臓形成細胞の核に移行したことをもって満足されたものとみなされる請求項24〜31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
観察される前記少なくとも1つのポリペプチド種の存在は、抗Nkx2.5、抗Tbx5、抗MEF2C、抗GATA4、抗GATA6、抗Mesp1、抗FOG1、抗FOG2、抗Flk1、およびこれらのホモログからなる群から選択される少なくとも1つの抗体の免疫標識によって示される請求項32に記載の方法。
【請求項34】
均質性は、所与のサンプル中少なくとも50%が心臓形成細胞である場合に満足される請求項24〜33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
均質性は、所与のサンプル中少なくとも50%、好ましくは少なくとも85%が心臓形成細胞である場合に満足される請求項34に記載の方法。
【請求項36】
採取した細胞中の間葉系幹細胞の存在は、CD105、CD90、CD133、CD105、CD166、CD29およびCD44からなる群から選択される表面マーカーに対する抗体の陽性免疫標識と、CD14、CD34およびCD45からなる群から選択される表面マーカーに対する抗体で検出可能な免疫標識の欠如とによって示される請求項24〜35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記純度は、CD34、FABP4、オステオカルシン、ネスチン、Sox9およびMYH7遺伝子ならびにそれらのホモログの発現レベルの増加が基準と比較して2倍以上になると満足されなくなる請求項24〜36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記遺伝子発現の増加はqPCR法により参照と比較して判定される請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記参照は非心臓形成細胞からなる請求項31、37または38に記載の方法。
【請求項40】
前記参照は心臓形成物質の不存在下で培養された細胞からなる請求項39に記載の方法。
【請求項41】
培養条件はバイオリアクタを使用する工程を含み、該バイオリアクタを使用する工程は、前記細胞を粒子上または基質上に固定化またはカプセル化する工程と、細胞培養基が該粒子または基質の層を通過するようにさせる工程とを含む請求項24〜40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
心臓病障害または障害の素因の処置方法であり、請求項1〜22のいずれか一項に記載の医薬組成物が個体に有効量だけ送達される方法。
【請求項43】
前記個体は心臓血管系の機能不全を示す個体である請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記個体は虚血性心筋症、心筋梗塞、虚血性心不全もしくは非虚血性心不全、先天性心筋症、またはこれらの組合せに罹患した個体である請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記医薬組成物は、心筋内投与、心臓内投与、冠動脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、腹膜内投与、子宮内投与、非経口投与、または全身投与からなる群から選択される投与経路を使用して送達される請求項42〜44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記医薬組成物は、カテーテルもしくはシリンジ、またはこれらの組合せを使用して心筋内送達される請求項42〜45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
請求項1〜22のいずれか一項に記載の医薬組成物の投与キットであり、前記医薬組成物を収容した容器を備えるキット。
【請求項48】
前記容器は生体適合性容器であり、該生体適合性容器は細胞の生存および世界中の輸送を可能にし、医療提供者もしくは医療従事者がレシピエントへの送達を行う際の取扱いを容易にすることができる請求項47に記載のキット。
【請求項49】
前記容器は密閉されている請求項46または48に記載のキット。
【請求項50】
前記容器は、前記賦形剤および保存条件に適合する請求項46〜49のいずれか一項に記載のキット。
【請求項51】
前記容器は密閉ガラス容器である請求項46〜50のいずれか一項に記載のキット。
【請求項52】
前記容器は穿刺可能なセプタムキャップを有する請求項46〜51のいずれか一項に記載のキット。
【請求項53】
前記穿刺可能なセプタムキャップは、前記容器から流体を引き出すためのルアー作動バルブを含むバイアルアダプタを装着可能である請求項52に記載のキット。
【請求項54】
前記穿刺可能なセプタムキャップは針を貫通させることができる請求項53に記載のキット。
【請求項55】
前記医薬組成物は凍結保存に適した密閉容器に保管される請求項46〜54のいずれか一項に記載のキット。
【請求項56】
前記容器内の医薬組成物の有効保存期間は少なくとも48時間である請求項46〜55のいずれか一項に記載のキット。
【請求項57】
前記容器内の医薬組成物の有効保存期間は少なくとも72時間である請求項46〜56のいずれか一項に記載のキット。
【請求項58】
少なくとも1つのカテーテルを更に備える請求項46〜57のいずれか一項に記載のキット。
【請求項59】
少なくとも1つのシリンジを更に備える請求項46〜58のいずれか一項に記載のキット。
【請求項60】
虚血性心筋症、急性心筋梗塞、慢性心筋梗塞、非虚血性心不全、虚血性心不全、先天性心筋症、またはこれらの組合せの治療のための、請求項1〜22のいずれか一項に記載の医薬組成物の製造における、心臓組織生成に関与する細胞の使用。

【図1】
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【公表番号】特表2012−527432(P2012−527432A)
【公表日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−511301(P2012−511301)
【出願日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際出願番号】PCT/EP2010/057004
【国際公開番号】WO2010/133686
【国際公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【出願人】(511281903)カーディオ3 バイオサイエンシズ エスエイ (2)
【氏名又は名称原語表記】CARDIO3 BIOSCIENCES SA
【Fターム(参考)】