説明

急速熱処理のためのガス冷却クランプ

【課題】半導体基板の熱処理後、冷却ガスにより急速に基板の冷却を行う。
【解決手段】本発明は、半導体の熱処理装置や半導体基板を熱的に冷却する方法に関する。本発明の一特徴によれば、ガス冷却クランプと関連する方法が記載され、自由分子レジームで一様な熱伝導によって基板の冷却を行う。ガス冷却クランプはそれらの間に間隙を有する複数の突起を備えたクランピングプレートを含み、間隙の距離即ち深さは、冷却ガスの平均自由行程と関連する。ガス冷却クランプは、更に、冷却ガスの熱移動係数を制御するために、複数の間隙内の冷却ガスの背圧を制御する圧力制御システムを含む。冷却ガスの熱移動係数は、当初、圧力の関数であり、実質的に間隙距離に独立である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して半導体の熱処理システムに関し、特に、基板を冷却する装置及び方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
シリコーンウエハの熱処理は、現代のマイクロエレクトロニクス装置の製造に重要である。その過程は、シリサイド情報、インプラントアニ―ル、酸化、拡散ドライブイン(diffusion drive−in)及び化学的気相成長法(CVD)を含むその処理は、従来の低温熱処理技術を使用して実行される。その一方、いくつかのドーパント活性化処理は、比較的、短時間の間、実質的により高温で処理される。そのような短時間の高温処理は、しばしば、急速熱処理(RTP)あるいはスパイクアニ−ルと呼ばれている。多くのマイクロエレクトロニクス回路では、1ミクロン以下の形状や、数百オングストローム以下の接合深さを要求される。処理中に、より制御の度合いを大きくするばかりでなく、ドーパントの側方及び下方両方への拡散を制限するために、高温処理の継続時間を最小にすることが望ましい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
処理時間を最小にする一つのやり方は、シングル−ウエハRTPシステムのような熱処理システムを使用する。半導体ウエハの急速熱処理は、超大規模集積回路(VLSI)及び極超大規模集積回路(ULSI)の電子装置の製造技術を提供する。しかし、急速熱処理の熱の要求を満たすには、いくつかの課題がある。例えば、典型的には、温度変化の最中、ウエハを横切る温度の均一性ばかりでなく、水温の変化を早くすることが望まれる。
【0004】
従来のRTPシステムでの重要な実行上の制限の一つ(例 熱供給あるいは時間によって、ウエハは約950℃以上になる。)は、水を急速に冷却することである。典型的な最近のシステムは、ほとんど放射冷却に依存しており、1000℃では約22.7mW/cmCだけの最大熱移動係数(HTC)を有する。このような動作を改善するために、ガス伝導冷却が必要とされる。ガス伝導冷却の問題は、ウエハを横断して均一に冷却することである。さらに、スパイクアニ−ルに対して、スパイク温度に達するや否や、急速に冷却ガスによる伝導を開始することが必要とされる。
横断して均一な温度を提供するばかりでなく、処理中、水温を容易に調整する能力が技術的に要求される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のいくつかの特徴の基本的な理解をするために、本発明の簡単な要約を以下に示す。この要約は、本発明の広範囲の概観ではない。本発明のかぎとなる、あるいは限界的な要素を特定し、本発明の範囲の輪郭を描こうとするものでもない。その目的は、後述される、より詳細な説明の前置きとして、単純な形式で発明のいくつかの概念を示すことである。
【0006】
本発明は、水とクランプ内との間のギャップ(間隙)内の背圧制御を示すガス冷却クランプによって、従来技術の問題を克服する。上記間隙は、ギャップ内にギャップの体積を非常に小さく(例えば、約1ミクロン以下)作られる。小さなガスの体積は、急速な反応時間(例えば、約10mS)を提供し、それによって、迅速に、水の冷却を作動し、あるいは非作動とすることを可能にする。例えば、約1トールから約100トールまで圧力を変えることによって、熱移動係数(HTC)は、約2mW/cmより小さな値から約400mW/cmより大きな値まで制御できる。さらに、小間隙を設置することによって、ガス伝導は、実質的に自由分子レジーム(regime)内で行われ、そこで熱伝導は間隙に対して独立であり、初期的には、ウエハの横断方向に実質的に均一である、圧力に依存する。
【0007】
さらに、ガス冷却クランプによって提供される急速な冷却に対して、ホットウォールへの熱伝導は、ガス伝導を使用する本発明によって、増加される。ガス伝導は、ウエハ表面での、装置の構造によって起こる放射の変化の感度を、減少させるのに役立つ。しかしながら、意義のあるガス伝導をするために、熱い表面とウエハ間(例 約1mm以下)の小間隙が必要とされる。残念ながら、粘性による伝導は、1/(間隙)に比例するので、温度の均一性は、ウエハを横断するように均一な間隙を維持することに依存する。しかし、加熱中、ウエハは、例えば、0.5mm程度、変形し、ゆがむ。本発明は、クランプ表面にウエハをクランプし、それによって、加熱中のウエハの平面性を保証することによって、この問題を解決する。
【0008】
それ故、本発明は、冷却チャック表面への、後部の、自由分子レジームのガス伝導の急速な作動を、有利に提供する。さらに、自由分子レジームの伝導を達成することによって、冷却は、最初、圧力によって決定され、それによって、スパイク温度に急速熱処理中に達するや否や、急速で均一なランプダウン率を可能にする。さらに、クランピング機能は、ランプアップ中のウエハの平面性を保証し、それによって、熱処理過程での急速で均一な温度ランプアップを可能にする。
【0009】
本発明は、半導体の熱処理装置及び半導体基板を熱的に冷却する方法を対象とするものである。熱処理装置は、基板を横断するように、概して均一な方法で基板を効率的にクランプし、冷却するように操作可能であり、それによってプロセス制御を可能にするものである。本発明の1特徴にしたがって、ガス冷却クランプが開示され、これはクランプ上の基板を、効率的にかつ均一にクランプし、冷却することを提供する。例えば、ガス冷却クランプは、ガードリングとクランピングプレートを含み、ガス冷却クランプが真空にされる時、クランピングプレートは概して半導体基板とガードリングを支持し、クランプするように操作可能である。
【0010】
一例では、クランピングプレートは、複数の突起を含み、該複数の突起は、基板と、ガードリングと、クランピングプレート間の第1の距離を維持するために、操作可能である。例えば、複数の突起は、突起間に複数の谷間を形成し、そこにガスが流れることができる。例えば、冷却ガスは、処理室雰囲気内からのような環境から上記谷間に導かれる。
【0011】
本発明の他の例示的特徴によれば、クランピングプレートは、1以上の分布した溝を含み、該1以上の溝は、複数の谷間を接続するようになされ、上記冷却ガスは、上記複数の谷間をより急速に流れるように操作可能である。基板と、ガードリングと、クランピングプレートとを分離する距離は、例えば、基板と、ガードリングと、クランピングプレート間の熱伝導が、概して、自由分子レジームであることが可能であるような、大きさにされる。しかし、溝は実質的に上記間隙より大きく、ガスが粘性レジームで流れることを可能にし、それによって、冷却レジームへの急速な移行を容易にする。ガス冷却クランプは、さらに、基板と関連する温度検出センサを含む。
【0012】
本発明の他の例示的特徴によれば、クランピングプレートは、ベース板上を浮動するように操作可能であり、クランピングプレートの平面性は基板の平面性に関連する。例えば、クランピングプレートは、中央部分、周辺部分、及び中間部分を含み、中央部分は基板と関連し、ガードリングは周辺部分と関連し、そして、基板とガードリング双方は、中間部分と関連する。例えば、中間部は等温ガスケットを含み、該等温ガスケットは、ウエハの周辺部で熱が均一となることを容易にするため、基板とガードリング間で熱が移動するように操作可能である。
【0013】
本発明の他の例示的特徴によれば、熱処理システムでの基板の冷却方法が開示され、該熱処理システムはガス冷却クランプを含んでいる。上記方法は、冷却位置へ基板を下げることを含み、基板は、概して、クランピングプレート上の複数の突起上に置かれる。続いて、複数の突起によって定められた複数の谷間を介して真空に引かれ、冷却ガスが複数の谷間中に吸い込まれ、そして基板は、実質的にクランピングプレートにクランプされる。
本発明の他の例示的特徴によれば、上記谷間あるいは間隙と関連して背圧が制御され、概して、均一な圧力が基板の表面を横断して維持され、上記基板とガードリングは、それらからクランピングプレートへ、自由分子レジームでの熱伝導によって冷却される。
【0014】
本発明の他の例示的特徴によれば、基板と関連して温度が測定され、クランピングプレートの複数の谷間中に吸い込まれた冷却ガスの圧力が、少なくとも部分的に、測定された温度に基づいて制御され、それによって、基板とクランピングプレート間の上記分子レジームでの熱伝導が増大させることができる。
【0015】
前記及び関連する目的を達成するために、本発明は後に完全に述べられる特徴を含み、特に特許請求の範囲に指摘されている。以下の記載と付属の図面は、本発明のある実施形態を詳細に説明している。しかしながら、これらの実施形態は、本発明の原理が使われる種々のやり方の中の、いくつかを説明するものである。本発明の他の目的、利点、及び新規な特徴は、図面に従って考えられる時、本発明の以下の詳細な記載から明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明は、ガス冷却クランプ及び関連するシステム並びに急速熱処理(RTP)システムを改善するいくつかの発明の特徴を組み込む方法に対して指示するものである。特に、本発明のガス冷却クランプは、例えば、スパイクアニールにおいてピーク温度に達した後、
ウエハ基板を急速にかつ均一に冷却する能力を増加させる。したがって、本発明は、図面に関して記載されており、参照番号は、全図にわたって同じ要素を引用するために使用されている。これら特徴の記述は、単に例示的であり、制限的な意味で使用されていないことが理解されるべきである。以下の記載で、説明の目的のために多くの特別な細部は、本発明の完全な理解を提供するために、説明されている。しかしながら、本発明がこれら特別な細部がなくても当業者にとって明らかであろう。
【0017】
本発明は、ウエハとクランプ間の間隙内の背圧制御を示すガス冷却クランプによって、従来技術の問題を克服する。上記間隙は、非常に小さく作られる(例 約5ミクロン未満、例えば1ミクロン以下)ので、間隙内のガスの体積を小さくする。小さいガスの体積は、早いレスポンスタイム(例 約10mSのオーダーで)を提供し、それによって、迅速にウエハの冷却を作動あるいは非作動とすることを可能にする。例えば、約1トールから約100トールまで圧力を変えることによって、熱移動係数(HTC:heat transfer coefficient)は、約2mW/cmCから約400mW/cmC以上まで制御できる。さらに、小間隙を確率することによって、ガスの条件はガス間隙あるいは大きさに独立であり、ウエハを横断する実質的に均一にすることができる、初期の圧力に依存する。
【0018】
図1は、本発明における例示的なガス冷却クランプ100を示し、該ガス冷却クランプはその上に基板105を支持し、冷却するように操作可能である。例えば、基板105は、概して直径D、頂面(第1表面)107を特徴とし、該頂面は、それと関連して、第1表面領域(未図示)を有する。本発明のガス冷却クランプ100は、ガードリング110を含み、該ガードリングは、それと関連して、概して、内径ID、外径OD、及び第2表面領域(未図示)を有する頂面(第2表面)112によって特徴付けられる。ガードリング110は、概して、基板105と同軸である。例えば、ガードリング110の内径IDは、基板105の径Dより大きく、上記ガードリングは、後述のように、基板105の熱処理中、サーマルエッジ効果(thermal edge effects)を最小とするように操作可能である。図1のガス冷却クランプ100は、単に顕微鏡的に描かれているが、続く図(図2A、2Bその他)は、例示的にガス冷却クランプを拡大して、詳細に説明するのに提供されている。
【0019】
本発明の図1のガス冷却クランプ100は、さらに、頂面(第3表面)117、及び反対に位置する底面(第4表面)118(例 図2Bに描かれている第3と第4の表面)を有するクランピングプレートを含んでいる。例えば、クランピングプレート115は、中央部120、周辺部122、及びそれらの間に位置する中間部124を含み、上記中央部は基板と関連し、上記周辺部はガードリングと関連し、そして、上記中間部は基板及びガードリングと関連する。図2Bに描かれているように、例えば、クランピングプレート115は、3つの非連続部分115A〜115Cからなり、上記3つの部分は、それぞれ上記クランピングプレートの中央部120、周辺部122、および中間部124と関連している。例えば、クランピングプレートの中央部120、周辺部122、および中間部124は、物理的に別個の部分であり得、上記中央部、周辺部および中間部は、さらに、互いに所定の距離、離れている(未図示)。
【0020】
図2Aは、図1のガス冷却クランプ100の部分125の拡大断面図を示し、本発明のいくつかの例示的特徴が、より詳細に描かれている。本発明の一つの例示的特徴に従えば、図2Aは、クランピングプレート115の中央部120、周辺部122および中間部124を示しており、中央部、周辺部および中間部は、物理的に別個で、クランピングプレートの個々の部分である。本発明の他の特徴に従えば、図1のクランピングプレ−ト115は、支持プレート130をさらに含み、上記支持プレートは、概して、クランピングプレート115の底面118と関連する頂面(第5表面)132、及び反対側に位置する底面(第6表面)134によって特徴付けられている。例えば、支持プレート130の頂面132は、概して、クランピングプレート115の底面118に面しており、支持プレート130と上記クランピングプレートは、互いに熱的に結合している。クランピングプレート115の底面118へ、支持プレート130を熱的に結合する一つの例示的方法は、ろう付けによって達成されるものであり、上記クランピングプレートの底面118は金属化され、支持プレートの頂面132へ真空ろう付けされる。支持プレート130は、例えば、金属のような、良好な熱伝導率である材料から構成される。例となる支持プレート130は、アルミニュウム、銅、あるいは良好な熱伝導率の他の合金である。
【0021】
さらに図2Aは、支持プレート130を示し、上記クランピングプレートの中間部124は、さらに等温ガスケット135を含む。図2Bは、図2Aに示された上記ガス冷却クランプ100の部分125の一部137の拡大断面図であり、クランピングプレート115の中間部124が、より詳細に描かれている。等温ガスケット135は、概して、頂面(第7表面)138及び反対側の底面(第8表面)139によって特徴付けられており、上記等温ガスケットの頂面は、基板105の部分及びガードリング110の部分に、熱的に接するように操作可能である。さらに、等温ガスケット135は、熱処理中、ガードリングと基板間で熱が移動するように操作可能であり、それによって後に、より詳細に記載されているように、エッジ効果を最小にする。例えば、上記等温ガスケット135は、基板105の熱伝導率と類似した熱伝導率を有する物質、例えば、シリコーン(Si)あるいはシリコーンカーバイド(Sic)から構成される。
【0022】
本発明の他の特徴に従えば、図3の部分断面図に示されるように、クランピングプレート115は、図2Bのクランピングプレートの頂面117から、概して、外方に伸びる複数の突起を含んでいる。複数の突起140は、クランピングプレート115の中央部120、周辺部122及び中間部124と関連している。図3を参照すると、複数の突起140は、クランピングプレートの頂面117から、概して、第1の距離D突出している。したがって、複数の突起140は、概して、それらの間の複数の谷間を定めており、上記複数の突起は、例えば、互いに第2の距離D離れていて、それによって複数の谷間の幅を規定している。第2の距離Dは、概して、基板の厚さ(未図示)以下であり、それによってクランピング中、基板の機械的離反は、より詳細に後述するように、極めて減少する。また、上記の強調された例示的大きさの範囲で、ウエハの表面温度での突起による効果は、最小である。例えば、第2の距離Dは、約100ミクロン以下である。
【0023】
本発明の他の特徴によれば、複数の突起140は、マイクロエレクトロメカニカルシステム(microelectoromechanical system:MEMS)による構造からなる。例えば、クランピングプレート115は、シリコーンあるいはセラミック材料のような、典型的にMEMS微小構造を形成するのに使用される材料からなる。例えば、複数の突起140は、複数の突起と基板間の熱伝導が最小である材料から構成される。例えば、複数の突起140は、その比熱が比較的小さい二酸化シリコーン(SiO)からなる。
【0024】
MEMS微小構造は、クランピングプレート115の頂面117を横切って、正確な制御と、一貫した寸法の完全さ(consistent dimensional integrity)を提供し、複数の突起140は、第3表面からクランピングプレートを横切って、概して一貫した第1距離D延びている。例えば、図4Aは、複数の、実質的に、円柱形あるいは方形であり、クランピングプレート115の頂面上に形成されているアイランド147を含む突起140を説明している。複数の突起140は、図1、2Aおよび図3の、基板105、ガードリング110の底面112、および等温ガスケット135の底面139と接触する。それによって、突起の接触領域を決める。好ましくは、突起の接触領域(未図示)は、基板105の底表面領域と、ガードリング110の底表面領域との合計の、約5%未満である。例えば、図4の複数のアイランドは、約10ミクロン以下の径であり、アイランドを介して直接、基板105や、ガードリング110への熱伝導は、実質的に小さい。最も好ましくは、上記突起の接触領域(未図示)は、基板105の表面領域とガードリング110の表面領域との合計の、5%未満である。
【0025】
クランピングプレート115の頂面117から延びる複数の突起140は、一様な形状で、順序よく配列されているように図に示されているが、また、複数の突起の他の配列が、考えられ、そして、突起の如何なる形状あるいは配列、あるいは他の代替物が、本発明の範囲に入るものと考えられる。例えば、複数の突起140は、クランピングプレート115の頂面117の所定の粗さによって決めることが可能であり、その場合、複数の突起は、クランピングプレートの頂面を横切って、概して一貫した第1の距離D、外方へ延びる。再び図3において、複数の突起140は、例えば更に、その上にシリコーンニトライド(Si)層のような保護被覆148を含んでもよい。保護被覆148は、例えば、低放射性を有し、基板(未図示)からクランピングプレート115の方へ放射される熱は、基板の加熱中、保護被覆から反射される。他の例にしたがって、保護被覆148は実質的に硬質であり、基板(未図示)とクランピングプレート115の間に不活性インターフェースを形成し、上記保護被覆は、通常、上記クランピングプレートからの汚染の可能性を減少させる。さらに、他の例によれば、保護被覆148は、上記基板(未図示)がクランピングプレート115と上記基板との間のインターフェース149上を側方へスライドするように、一般に、操作可能であり、そして、保護被覆は、複数の突起140とぴったり合い、それによって、1以上の鋭い端部156をまるくする。
【0026】
図4Bは、例となる突起140を示し、上記保護被覆148は、通常、1以上の鋭い端部156を丸くし、それによって、丸くなった突起157とする。この丸くなった突起157は、例えば、クランピングプレート115に対して基板105の熱運動(例 熱膨張あるいは熱収縮)の間、滑らせる特性の利点を提供する。例えば、突起140についての基板105の熱運動158は、突起140によって基板105上に力Fを生じる。この力Fは、少なくとも部分的には、突起の分布によって変わる。例えば、鋭い端部156は、図3に示すように、多くは大きな力Fを生じようとし、基板105は突起140の鋭い端部で、側方へ向かおうとする。
【0027】
ストレスフラクチャ(stress fractures)は、基板105に現れ、例えば、もし力Fが基板の降伏強さを超えるならば、それによって基板への汚染および/あるいは損傷を引き起こす可能性がある。他方、図4Bの丸い端部157は、丸い端部上の力を拡散することによって、おおむね基板105上への力Fを制限する。基板105上の力Fを制限することは、クランピングプレート115に関して、より自由に基板を離したり、あるいは引き付けたりすることを可能にし、それによって突起140で側方への結合を、大体、制限する。
【0028】
本発明の他の特徴によれば、図4Cに図示するように、複数の突起140は、複数の低熱伝導率レール196を含む。例えば、複数の低熱伝導率レール196は、クランピングプレート115の頂面117を横切って径方向に延びており、クランピングプレート115上で、基板(未図示)を支持するように操作可能である。複数の低熱伝導率レール196は、例えば、基板と接触する複数の突起140の多くの端部197を最小化することによって、通常、基板(未図示)を引っ掻く可能性を最小にする。基板(未図示)と接触する多くの端部197を最小化することは、基板がその処理中に離れたり、引き付けたりする時、多くの突起140に関して基板(未図示)をよりスライドすることを可能にする。
【0029】
本発明の他の特徴によれば、基板(未図示)と複数の突起140の間の機械的圧力は、少なくとも部分的に、基板とクランピングプレート115の間の接触熱伝導率を決定し、接触熱伝導率は、通常、低い機械的圧力で減少する。さらに、複数の突起140は、複数の低熱伝導率レール196を含み、突起の接触領域(未図示)は、好ましくは基板(未図示)の全底面の表面領域(未図示)の40%より大きい。
【0030】
上記現象は、接触HTCおよび種々の接触領域に対するウエハのストレスの割合を図示する図4Eに関連して、より完全に理解されるであろう。例えば、低接触領域比(例 約0.05未満のAR)で、接触HTC(グラフ197A)は、突起とウエハ間での小接触領域により、小さくなる。低い接触HTCが望ましい(その結果、熱伝導は、初期的にガスの熱伝導によって示される)と同時に、そのような小領域に対するウエハへのストレス(グラフ197B)の比が、高いのは好ましくない。
【0031】
上記領域接触比は増加するので(例 全ての突起の内の突起接触領域は全ウエハ領域のより大きな部分である)、接触HTCは、増加し始め、最大値に達して、再び減少し、そして、増加する領域、また、突起上の単位領域につき減少する接触圧力により起こるトレード−オフを反映する。この範囲で(約0.05から0.3までのARの間で)、接触HTCはパッシブであり、ガス伝導HTC(圧力変化によりターンオフされる)のように、「ターンオフ」であることはできないので、接触HTCが、クランプの冷却を困難にするか、又は、より制御されないターンオフにする程の大きさは好ましくない。より大きな接触領域比で、例えば、約0.4以上で、ストレスは無視でき、接触HTCは再び実質的に低くなり、その結果、冷却の活性化/非活性化は、冷却ガスの背圧によって最初に影響される。ここで留意すべきは、上の例で、近似値モデルにより所望のAR値は、約0.4以上であった。しかしながら、より詳細な試験によれば、上記AR値は表面形態の関数であり、変わりうることがわかった。更なる試験で、一般的に接触HTCは、より急速に降下し、所望のAR値は約0.2以上であることが見出された。
【0032】
本発明の他の例示的特徴によれば、図4Dには例示的突起140が図示されており、この突起は、そこに1以上の脚198と、1以上の空所199を含んでいる。1以上の空所199は、概して、基板(未図示)からクランピングプレート115への熱伝導路を制限することによって、クランピングプレート115への熱伝導を減少させる。当業者には理解されるように、突起を介しての熱伝導は、1以上の脚198による熱伝導に、一般的に、制限される長所がある。
【0033】
図2Bを再度参照すると、本発明の他の例示的特徴によれば、クランピングプレート115の中央部120に設けられた複数の突起140、周辺部122、および中間部124は、クランピングプレートの頂面117から、基板105の底面107およびガードリングの底面112まで、また、等温ガスケット135の底面139まで、図3の第1距離Dを維持するように操作可能であり、そして、更に複数の谷間145内のガス流(未図示)を許容するように操作可能である。そこで、ガス冷却クランプは、基板およびガードリングからクランピングプレートへ、冷却ガス(未図示)の自由分子レジームでの熱伝導により、熱伝導を操作可能である。例えば、自由分子レジームでの熱伝導を許容するために、第1距離Dは、おおむね5ミクロン以下である。好ましくは、クランピングプレート115の頂面117から、基板105およびクランピングプレート110の底面107および112までの第1距離Dは、それぞれ、およそ1ミクロン未満である。
【0034】
一般的に、二つの物体間の距離を横切る冷却ガスの熱移動係数(HTC)の振舞いは、3通りの操作レジーム、すなわち、粘性レジーム、自由分子レジーム、遷移レジームの一つに該当する。粘性レジームでは、熱移動係数(HTC)は間隙距離と冷却ガスの熱伝導率の関数であり、一般的には、冷却ガス圧(以下で、ガスの背圧として言及される)に独立である。自由分子レジームでは、HTCは、ガスの背圧および冷却ガスの分子重量の関数であるが、間隙距離に対して独立である。自由分子レジームは、実質的に数ミクロン(例 約3〜5ミクロン)以下の距離(例 第1距離D)で達成される。更に、遷移レジームは、粘性レジームと上記分子レジーム間の円滑な補間を特徴とする。
【0035】
本発明によって特徴付けられるような、自由分子レジームでのガスを介しての熱伝導は、いくつかの独特な長所を提供する。例えば、冷却ガスの平均自由行程のオーダーで、間隙(例 第1距離D)を維持することによって、ウエハを横断するガスは、実質的に間隙距離に無関係であり、それどころか、当初、背圧の関数であり、それによって、ウエハを一様に、空間的に横切るように冷却する。さらに、間隙距離は非常に小さいので、それに関連する体積は、また、非常に小さく、それによって、背圧を変えることによって、急速にウエハの冷却を達成する。このように、本発明は、スパイクアニール温度に達するや否や、ウエハを急速に冷却することを可能にする。
【0036】
図5は、第1距離Dが1ミクロンと2ミクロンであるときの、窒素の背圧対HTCの振舞いを示す図である。HTCが大部分、ガスの背圧の関数である自由分子レジームが、本発明の実施形態の0から250トールの範囲でのガス圧力で見られる。この時、第1距離Dは1ミクロンであり、あるいは第1距離Dが冷却ガスの平均自由行程(MFP)未満である。HTCが当初、第1距離Dの関数である粘性レジームは、ガスの背圧が約250トールより大きい時、あるいは第1距離Dが冷却ガス(この図には示されていない)の平均自由行程(MFP)より大きい時に見られる。これら二つのレジーム間で、遷移レジームが見られる。
【0037】
図5は、さらに、自由分子レジームで、冷却ガスがガスの背圧を調整することによって、当初、制御されてもよく、しかし、第1距離Dは、より高圧でHTCでの役割を果たす。例えば、第1距離Dが1ミクロンに比して2ミクロンでは、冷却ガスの熱伝導率は、約250〜275トールで自由分子レジームから粘性レジームへ、移り始める。そのため、第1距離Dは、大気圧から実質的な真空圧(例 20トール未満)まで圧力が変化する時、一定である関係にある。しかし、実質的真空と約250トール間で圧力を制御することによって、上記HTCは、間隙距離のわずかな変化に独立である背圧によって、当初、制御される。それゆえ、ウエハを横断する一様な冷却が維持される。
【0038】
本発明の他の例示的特徴によれば、図6に示すように、クランピングプレート115は、1以上のガス分配溝150を含み、上記ガス分配溝はそれらの間を冷却ガス(未図示)が流れるようになされ、また、冷却ガスの圧力(背圧)の調整は、急速に行われる。図7Aに示すように、ガス分配溝150は、おおよそ第3距離D、クランピングプレート115へ延びており、各ガス分配溝は、少なくとも上記クランピングプレートの中央部120と関連する図3の複数の谷間145の少なくとも一つを横切っている。たとえば、第3距離Dは、約100ミクロン以下であり、ガス分配溝150内の冷却ガスの流れは、粘性レジームになる。さらに、(谷間145に比べて)ガス分配溝の意義のある、より大きな第3距離Dは、クランピングプレート115から冷却ガスを排気する応答時間を急速にする。
【0039】
ガス分配溝150は、さらにクランピングプレート115の頂面117と、幅Wで同一平面であることを特徴とする。ガス分配溝150の幅Wは、好ましくは100ミクロン未満であり、あるいはクランピングプレート115上に置かれる基板105の厚さ(未図示)である。その結果、熱伝導は、上述と同様な理由で、基板の底面107を横切って実質的に一様である。他の例示的特徴によれば、各ガス分配溝150の幅は、おおよそ第3距離Dに等しい。
【0040】
実質的に大きい(例 突起140間の谷間145に比べて)ガス分配溝150を有することによって、そこを流れるガス流は、粘性レジームであり、与えられた圧力で自由分子レジームでの流量率より約50倍大きい。ガス分配溝150を介する冷却ガスの早い流量率は、基板を冷却する早いターンオンを容易にする。それにもかかわらず、上記溝の全表面領域は、谷間145でのウエハとの接触領域に比べて非常に小さい。この点において、図7Aはスケールを示しておらず(説明の目的で描かれている)、むしろ溝150間の多くの谷間145は、全く実質的である。例えば、溝の距離151は焼く1cm以下であり、突起140は約10ミクロン以下の径であり、おおよそ90以上の突起が溝間に存在する。
他の実施形態によれば、図4Dに図示される空所199は、概して、突起140を介して冷却ガスが流れるようにし、それによって、さらに基板(未図示)を冷却する早いターンオンを容易にする。
【0041】
したがって、複数のガス分配溝150が備えられ、該複数のガス分配溝はクランピングプレート115から冷却ガスをポンピングする反応時間を、かなり減少させるように操作可能である。例えば、図6に示すように、複数のガス分配溝150は、クランピングプレート115の中央部152から径方向に放射状であり、上記ガス分配溝は、上記クランピングプレートの頂面117での配置が、複数のガス分配溝の少なくとも一つから約5mm以内にあるように、パターン化される。好ましくは、上記溝間の距離151は、約1cm以下である。複数のガス分配溝150は、径方向に延びるように描かれているが、溝の配置には多くのやり方や、溝の数を変えることがあり、そのような変形は本発明の範囲に収まるものと考えられることは理解されるべきである。さらに、図7Bに示すように、溝150の深さDは、種々の突起140間で距離Dと略同じである。
【0042】
図8Aおよび8Bによれば、クランプ内の冷却ガス流の例が図示されている。図8Aおよび8Bの冷却ガス153は、例えば、酸素、水素、ヘリウム、アルゴン、および窒素のような1以上の実質的に熱伝導ガスを含み、冷却ガスは、概して、図1のガス冷却クランプ100を含む処理室(未図示)のような環境155に供給される。そのため、冷却ガス153は、ガス冷却クランプ100を介して環境155(未図示の処理室内から)から導入され、適当なポンプ(未図示)へ出される。
【0043】
本発明の他の例示的特徴によれば、図1のガス冷却クランプ100は、頂面(第9表面)162を有するベースプレート160と、反対側にある頂面(第10表面)164を含み、上記ベースプレートの頂面は、概して、支持プレート130の底面134に面している。本発明のさらに他の例示的特徴によれば、クランピングプレート115の中央部120、周辺部122、および中間部124は、ベースプレート160に関して独立して、垂直方向に平行移動するように操作可能である。その結果、クランピングプレートは基板105の平面に一致するように操作可能である。例えば、図2Aに示すように、1以上のO−リング165が、クランピングプレート115の中央部120、周辺部122、および中間部124の各々に設けられる。
【0044】
1以上のO−リング165は、さらに支持プレート130の底面134およびベースプレート160の頂面162に設けられる。例えば、1以上のO−リング165は、概して、規格に準拠したものであり、それによって、クランピングプレート115の中央部120、周辺部122、および中間部124は、1以上のO−リングのコンプライアンスに関連して、独立して垂直方向に平行移動可能なように操作可能である。当業者であれば理解されるように、クランピングプレート115の中央部120、周辺部122、および中間部124を独立して垂直方向に移動可能にすることは、クランピングプレートを、基板105の表面の平面性(未図示)に関連させることを可能にする。
【0045】
図1を再び参照すると、例えば、ベースプレート160は、さらに1以上の流体導管168を含み、該流体導管は、水のような冷却流体(未図示)を、ベースプレートの底面164と支持プレート130の底面134の間に流すことを可能にするように操作可能である。冷却流体(未図示)は、それによって熱的に、ベースプレート160と支持プレート130を連結する。ベースプレート160は、例えば、さらに金属のような熱伝導度のよい材料から構成される。ベースプレート160に使用される好ましい金属は、アルミニュウム、銅、あるいは他の良熱伝導度を有する合金を含む。本発明の他の例示的特徴によれば、1以上のO−リング165は、当業者であれば理解されるように、冷却流体(未図示)が冷却ガス(未図示)と接触しないように分離する。
【0046】
図1は、本発明の例示的特徴をさらに図示しており、ガス冷却クランプ100は、さらに、放散プレート170を含む。放散プレート170は、頂面(第11表面)172と反対側の底面(第12表面)173を含み、上記放散プレートの頂面はベースプレート160の底面164から第4距離D離れている。さらに放散プレート170は、例えば、1以上の第2導管175を含み、該1以上の第2導管は、概して、ベースプレート160の底面164の方へ冷却ガス(未図示)の流れを向けるように操作可能であって、当業者に理解されるように、それによって、ベースプレート160に衝突させ、冷却する。
【0047】
図8Aおよび8Bを参照すると、本発明の他の例示的特徴が説明されており、ガス導管178が備えられ、該ガス導管は複数の谷間145の少なくとも一つに操作可能に連結される。例えば、ガス導管178は、周辺のガス分配溝154のような、ガス分配溝の一つに連結され、上記ガス導管は複数の谷間145を真空にするように、真空ポンプ(未図示)に連結される。ガス導管178は、大きい流量がガス導管に達成されるような大きさである。例えば、図8Bは、クランピングプレート115の中央部120、周辺部122、および中間部124を互いに接続できる放射状のガス導管を説明しており、そこでは冷却ガスは、支持プレート130を介して流れ、複数の放射状のガス導管は、概して、大流量の冷却ガスを可能にする。
【0048】
再び図1を参照すると、本発明の他の例示的特徴によれば、複数のリフトピン180がクランピングプレート115に操作可能に結合されており、複数のリフトピン180は、クランピングプレート115に隣接した処理位置181と、クランピングプレート115(例 クランピングプレート上、約1−2mm)上の通常のローディング位置(未図示)の間の基板105を、垂直方向に平衡移動するように操作可能である。例えば、3個のリフトピン180は、ローディング位置(未図示)と処理位置181間の基板105を、垂直方向に移動させるクランピングプレート115に操作可能に連結される。
【0049】
図9は、図1のガス冷却クランプ100の拡大部182を説明しており、例示的リフトピン180の部分断面図が示されている。例えば、複数のリフトピン180は、複数の空気圧作動ピン184を含み、該空気圧作動ピン184は、作動圧(未図示)が複数のリフトピン180と関連するアクチュエータ186に仕向けられる時、クランピングプレート115に対して線形移動可能なように操作可能である。例えば、ローディング位置(未図示)にある時、ピン184はクランピングプレート115から垂直方向に伸びるように操作可能であり、ピンのチップ188は、基板105に接触し、支持するように操作可能である。ピン184は、さらに、図1に示すように、クランピングプレート115の第3表面117と接触して、基板105をセットするように操作可能である。
【0050】
例えば、ピン184は、石英、シリコーンカーバイド、あるいはセラミック材料からなり、それらは熱処理中、ピンから基板への汚染が最小である。さらに、ピン184は、概して小径(例 1あるいは2mm)であり、ピンが処理位置にある時、ガス冷却クランプ100内のピンによって占める体積Vを大きく制限する大きさである。処理位置にある間に、ピン184によって占められる体積Vを最小にすることは有利であり、当業者に理解されるように、背圧を早く変更できる。
【0051】
本発明の他の例示的特徴によれば、図1に示されるように、ガス冷却クランプ100は、基板105と関連する位置192で、1以上の温度Tを測定するように操作可能な温度センサ190を含む。図10は図1のガス冷却クランプ100の部分拡大図193を示しており、例示的温度センサ190の部分断面図が示されている。例えば、温度センサ190は、パイロメータからなり、該パイロメータは、クランピングプレート115の第3表面117の開口194を介して、表面105の温度Tを測定する。
【0052】
温度センサ190は、例えば、最小体積の空洞195を有するパイロメータからなり、パイロメータは基板の温度を、小さい開口194を介して測定する。開口の体積を最小にすることは有利であり、当業者に理解されるように、背圧が早く変更できる。代わりに、温度センサ190は、クランピングプレート115内へ挿入される光学ロッド(未図示)を、さらに使用する光学的パイロメータから構成されてもよい。その結果、ファイバー光学ロッドは最小の体積を占める。
【0053】
図11Aを参照すると、ガス冷却クランプ100のブロック図および関連するシステム200が示され、ガス冷却クランプは、さらに1以上のバルブ205を含む。1以上のバルブ205は、種々のモードでガス冷却クランプ100を介して冷却ガス215を、選択的に1以上の真空ポンプ210により、排気することを可能とする。例えば、1以上のバルブ205は、急作動ソレノイドバルブ(fast-acting solenoid valves)あるいはポペットバルブのような、1以上の自動バルブ(例 バルブ205A)からなり、一例では、1以上の自動バルブは、約20ms未満のレスポンスタイムを有する。ガス冷却クランプ100に適用される真空が、急速に適用されるので、そのような早いレスポンスタイムは、有利である。
【0054】
本発明の他の例示的特徴によれば、ガス冷却クランプを制御するシステム200は、1以上の真空ポンプ210A−210B、ガス供給225、および1以上のバルブ205A−205Cに操作可能に連結されるコントローラ220を含む。ガス冷却クランプ100に適用される真空を制御することは、冷却ガスによる熱伝導の量を有利に制御する。例えば、約250トール未満の低圧、および約5ミクロン未満の間隙距離で、上記HTCは、当初圧力によって決定される。そのため、背圧を制御するバルブ205Aは、ガス冷却クランプを急速に変化する状態にすることを可能にする(例 冷却条件)。それゆえ、コントローラ220は、基板105とガス冷却クランプ100の間の圧力を、図11Bのチャートのように1以上のバルブ205によって、制御するように操作可能である。
【0055】
本発明は、また、半導体基板を熱処理する方法を指向するものである。例示的方法が、一連の作動あるいは事象として説明され、記載されているけれども、いくつかのステップが本発明にしたがって、ここに記載され、示されていることと別の他のステップと、異なる順序および/あるいは同時に起こるので、本発明は、そのような作動あるいは事象の説明の順序によって制限されないことが、理解されるであろう。さらに、説明されていないステップが、本発明にしたがう手順で実行されることが要求される。その上、本方法が説明され、記述されたシステムばかりでなく、説明されない他のシステムと関連して実行されてもよい。
【0056】
最初に、本発明の方法300は、図12の例示的システムと関連して論じられる。システム400は、ここに記載するものに類似のガス冷却クランプ404上に、選択的におかれる基板402を含む。基板402は、また、熱源406の近くにある。基板402とクランプ404の間の距離408は小さく(例 約1μm)、適当な圧力(例 0.1トール<P<100トール)での自由分子レジームでのガス伝導を可能とする。熱源406と基板402間の距離410は、比較的、大きく(例 約1mmあるいはそれ以上)、基板の熱は比較的、高い圧力で起こる(例 約1気圧)。背圧を制御することによって(図11Aおよび11Bと関連して上述したように)、システム400は有利な方法で加熱から冷却への変化を急速にする。
【0057】
図13は、半導体基板を冷却する例示的方法300を説明する。行為305において、基板は、リフトピンがローディング位置にある時、複数のリフトピン上に置かれる。例えば、複数のピンがローディング位置にある時、複数のピンがクランピングプレートの表面から伸びている。本発明の例示的特徴によれば、ホルダーがローディング位置にある時、
複数のピンはクランピングプレートの頂面から微小距離(例 1mm未満)伸びている。それから行為310で、ピンは低められ、基板はクランピングプレートの頂面から伸びている複数の突起上に置かれるようにされる。そして、ガードリングが、クランピングプレート上の基板の周囲を囲む。本発明の例示的特徴によれば、複数の突起は、クランピングプレートの表面から、10ミクロン未満(例 約1ミクロン)の距離のような、第1距離伸びている。
【0058】
真空あるいは非常に低い背圧(例 約0.1トール)が、行為315で加えられ、基板、ガードリング、クランピングプレート間の背圧は、基板およびガードリングが、クランピングプレートに実質的にクランプされるように保持される。さらに、行為315において加えられる真空は、複数の突起によって定められる複数の谷間に冷却ガスを導き、そこで冷却ガスは、概して、第1圧力で維持される。行為320で、基板は加熱され、そこで基板からの熱は、第1圧力での冷却ガスを介して移動しない。行為320で、クランピングプレートと関連する支持プレート上に冷却流体を流すことによってなどして、クランピングプレートは冷却される。行為330で、ポンプは、概して第2の背圧(例 約100トール)を適用し、第2の圧力は、概して自由分子状態で冷却ガスを維持する。そのような圧力は、例えば、図11Aのバルブ205Aを閉めることによって維持される。行為335で、基板は、自由分子レジームでクランピングプレートへ熱を移動させ、冷却される。
【0059】
本発明の例示的特徴によれば、行為340において、基板上の1以上の位置と関連して温度が測定される。もし行為345でなされた決定が、プロセスが所定の時間内に冷却しないことであれば、例えば、第2の圧力が本発明の温度にしたがって修正される。行為350で、真空は停止されるかあるいは減少され、そして真空が開放され、それによって、基板の冷却が中止される。本方法は、行為355を含み、リフトピンはローディング位置に上げられ、基板はクランピングプレートの第3表面から持ち上げられる。
【0060】
本発明は、好ましい実施形態に関連して示され、記述されているが、等価な修正や変更が、この明細書や図面を読み、理解すると、当業者に起こることは明白である。特に、上述した要素(アッセンブリ、装置、回路等)によって達成される種々の機能に関連して、そのような要素を記述するために使用された用語(関連する「手段」を含む)は、たとえ、本発明の例示的実施形態を説明した機能を達成する開示の構造に、構造的に等価でないとしても、もし他に示されなくても、記述された要素(すなわち、機能的に等価であるもの)の特定の機能を達成するいかなる要素も、対応するものである。さらに、本発明の特殊な特徴がいくつかの実施形態の一つのみに開示されたとしても、そのような特徴は、与えられたあるいは特殊な用途に望ましいあるいは有利である他の実施形態の1つ以上の他の特徴と一緒にされてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】図1は、本発明の1つの特徴による例示的なガス冷却クランプを説明する断面図である。
【図2A】図2Aは、本発明の特徴による図1の例示的ガス冷却クランプの拡大部分断面図である。
【図2B】図2Bは、本発明の特徴による図2Aの例示的ガス冷却クランプの拡大部分断面図である。
【図3】図3は、本発明の特徴による複数の突起を有する例示的ガス冷却クランプの部分断面図である。
【図4】図4は、本発明の特徴による複数の突起を含む例示的クランピングプレートの平面図である。
【図5】図5は、本発明の特徴による分子および粘性状態での、例示的にガスの熱移動係数を説明するグラフである。
【図6】図6は、本発明の特徴による複数のガス分配溝を含む例示的クランピングプレートの平面図である。
【図7A】図7Aは、ガス分配溝を説明する例示的なクランピングプレートの部分断面図である。
【図7B】図7Bは、本発明の特徴による溝の深さと突起の距離間の例示的な関係を説明をする、単純化された例示的なクランピングプレートの部分断面図である。
【図8】図8のAおよびBは、本発明の特徴による、クランピングプレートとベースプレートを介する冷却ガスの流れを説明する部分断面図である。
【図9】図9は、本発明の一つの特徴による例示的なリフトピンの部分断面図である。
【図10】図10は、本発明の一つの特徴による例示的な温度センサの部分断面図である。
【図11A】図11Aは、本発明の特徴による例示的なガス冷却クランプのシステムレベルのブロック図である。
【図11B】図11Bは、本発明の他の例示的特徴による図11Aのバルブ配置を説明する図である。
【図12】図12は、本発明によるガス冷却クランプを使用する単純化された熱処理システムを説明する部分断面図である。
【図13】図13は、本発明による半導体基板を熱処理するための例となる方法を説明するフローチャート図である。
【符号の説明】
【0062】
100 ガス冷却クランプ
105 基板
110 ガードリング
115 クランピングプレート
120 中央部
122 周辺部
124 中間部
130 支持プレート
140 突起
148 保護被覆

【特許請求の範囲】
【請求項1】
その頂面に複数の突起を有し、基板がその上に置かれる時に、それらの間の複数の間隙と間隙距離とを定めるクランピングプレート備え、上記間隙距離はそこにある冷却ガスの平均自由行程と関連しており、
第1圧力と第2圧力間の複数の間隙内で、冷却ガスの背圧を制御可能にする圧力制御システムを備え、冷却ガスの熱移動係数は、当初、上記第1圧力と第2圧力間の圧力の関数である、ことを特徴とする基板を冷却するためのガス冷却クランプ。
【請求項2】
間隙距離は、冷却ガスの平均自由行程に等しいか、又は、平均自由行程未満である請求項1に記載の基板を冷却するためのガス冷却クランプ。
【請求項3】
冷却ガスの背圧は、自由分子レジームにある冷却ガスを介して、基板とクランピングプレート間の熱伝導を生み出すために所定の範囲内に維持され、そして、冷却ガスの熱移動係数は、当初、圧力の関数であり、実質的に間隙距離に独立である請求項1に記載の基板を冷却するためのガス冷却クランプ。
【請求項4】
クランピングプレートは、さらにその頂面に形成され、それぞれ1以上の複数の間隙を横切る1以上のガス分配溝を含み、上記1以上のガス分配溝は、そこを通る冷却ガス流が粘性レジームにあるような上記間隙より実質的に大きく、それによって基板の冷却が急速に開始されるようにする、請求項1に記載の基板を冷却するためのガス冷却クランプ。
【請求項5】
基板表面領域に対する複数の突起の接触領域の比は、約0.2以上である請求項1に記載の基板を冷却するためのガス冷却クランプ。
【請求項6】
上記複数の突起は、複数のレールを含み、そして、上記レールは、そこを通る複数の空所とレールを支持する複数の脚構造を設けるように構成されている、請求項1に記載の基板を冷却するためのガス冷却クランプ。
【請求項7】
上記クランピングプレートは、さらに、
基板がある上の中央部と、
周辺部と、
上記中央部と周辺部との間に配置され、上記基板の部分と関連する中間部と、を含む請求項1に記載の基板を冷却するためのガス冷却クランプ。
【請求項8】
基板が上記クランピングプレートの中央部にある時、基板と略同一平面で基板を取り囲むガードリングを備え、上記ガードリングはクランピングプレートの周辺部の上に位置し、エッジ効果による基板への熱の非均一性を最小にするように配置される、請求項7に記載の基板を冷却するためのガス冷却クランプ。
【請求項9】
上記クランピングプレートの中間部に位置する等温ガスケットをさらに含み、ガードリングと基板間の一様な熱移動を容易にするように操作可能な請求項8に記載の基板を冷却するためのガス冷却クランプ。
【請求項10】
上記クランピングプレートの下部に、熱的に結合される支持プレートをさらに含む請求項1に記載の基板を冷却するためのガス冷却クランプ。
【請求項11】
上記支持プレートの下部にあるベースプレートを更に含み、該ベースプレートは、ベースプレートと支持プレートの間で、冷却流体が一様に流れるように操作可能な1以上の流体導管を含む、請求項10に記載の基板を冷却するためのガス冷却クランプ。
【請求項12】
上記ベースプレートの下部に、離れて設けられる放散プレートをさらに含み、該放散プレートは、上記ベースプレートの方へ冷却流体の流れを一様に向けるように操作可能な1以上の第2流体導管を含む、請求項11に記載の基板を冷却するためのガス冷却クランプ。
【請求項13】
上記クランピングプレートは、上記支持プレートに面するその底面と関連して1以上のO−リングを含み、該O−リングは上記クランピングプレートの垂直方向の移動するように操作可能である、請求項1に記載の基板を冷却するためのガス冷却クランプ。
【請求項14】
上記中央部、周辺部、および中間部は上記クランピングプレートの分離された部分であり、上記中央部、周辺部、および中間部は、独立に垂直方向に平行移動可能であるように操作可能である、請求項7に記載の基板を冷却するためのガス冷却クランプ。
【請求項15】
基板の径より大きい内径を有するガードリングと、
クランピングプレートは、その上に基板の支持のための頂面を有し、さらに、基板を支持する中央部、ガードリングを支持する周辺部、中央部と周辺部の中間に位置し、基板の周囲エッジ部とガードリングの内径部とを支持する中間部とを含み、
上記クランピングプレートの中央部の少なくとも頂面に複数の突起を設け、上記複数の突起は、基板がその上に置かれる時に、それらの間の複数の間隙と間隙距離とを定め、上記間隙距離はそこにある冷却ガスの平均自由行程と関連しており、
第1圧力と第2圧力間の複数の間隙内で、冷却ガスの背圧を制御可能にする圧力制御システムを備え、冷却ガスの熱移動係数は、当初、上記第1圧力と第2圧力間の圧力の関数である、基板を選択的に冷却するガス冷却クランプ。
【請求項16】
間隙距離は、冷却ガスの平均自由行程に等しいか、又は、平均自由行程未満である請求項15に記載の基板を冷却するためのガス冷却クランプ。
【請求項17】
冷却ガスの背圧は、自由分子レジームにある冷却ガスを介して、基板とクランピングプレート間の熱伝導を生み出すために所定の範囲内に維持され、そして、冷却ガスの熱移動係数は、当初、圧力の関数であり、実質的に間隙距離に独立である請求項15に記載の基板を冷却するためのガス冷却クランプ。
【請求項18】
クランピングプレートは、さらにその頂面に形成され、それぞれ1以上の複数の間隙を横切る1以上のガス分配溝を含み、上記1以上のガス分配溝は、そこを通る冷却ガス流が粘性レジームにあるような上記間隙より実質的に大きく、それによって基板の冷却が急速に開始されるようにする、請求項15に記載の基板を冷却するためのガス冷却クランプ。
【請求項19】
基板表面領域に対する複数の突起の接触領域の比は、約0.2以上である請求項15に記載の基板を冷却するためのガス冷却クランプ。
【請求項20】
上記複数の突起は、複数のレールを含み、そして、上記レールは、そこを通る複数の空所とレールを支持する複数の脚構造を設けるように構成されている、請求項1に記載の基板を冷却するためのガス冷却クランプ。
【請求項21】
上記クランピングプレートの中間部に位置する等温ガスケットをさらに含み、ガードリングと基板間の一様な熱移動を容易にするように操作可能な請求項15に記載の基板を冷却するためのガス冷却クランプ。
【請求項22】
上記クランピングプレートの下部に、熱的に結合される支持プレートをさらに含む請求項15に記載の基板を冷却するためのガス冷却クランプ。
【請求項23】
上記支持プレートの下部にあるベースプレートを更に含み、該ベースプレートは、ベースプレートと支持プレートの間で、冷却流体が一様に流れるように操作可能な1以上の流体導管を含む、請求項22に記載の基板を冷却するためのガス冷却クランプ。
【請求項24】
上記ベースプレートの下部に、離れて設けられる放散プレートをさらに含み、該放散プレートは、上記ベースプレートの方へ冷却流体の流れを一様に向けるように操作可能な1以上の第2流体導管を含む、請求項23に記載の基板を冷却するためのガス冷却クランプ。
【請求項25】
上記クランピングプレートは、上記支持プレートに面するその底面と関連して1以上のO−リングを含み、該O−リングは上記クランピングプレートの垂直方向の移動するように操作可能である、請求項1に記載の基板を冷却するためのガス冷却クランプ。
【請求項26】
上記中央部、周辺部、および中間部は、上記クランピングプレートの分離された部分であり、上記中央部、周辺部、および中間部は、独立に垂直方向に平行移動可能であるように操作可能である、請求項15に記載の基板を冷却するためのガス冷却クランプ。
【請求項27】
上記複数の突起は、その上に形成される保護層を有するMEMSの配列をさらに含み、保護層はその構造と関連して角部を丸くする、請求項15に記載の基板を冷却するためのガス冷却クランプ。
【請求項28】
圧力制御システムと複数の間隙のうちの少なくとも一つとの間に連結される流体導管を更に含み、該流体導管は、複数の間隙内に冷却ガスの背圧の範囲で流体圧力システムに応答するようにする、請求項15に記載の基板を冷却するためのガス冷却クランプ。
【請求項29】
突起を有する表面に基板を置き、上記基板はその間に間隙を設け、上記基板と、上記間隙内で冷却ガスの平均自由行程と関連する表面との間に、間隙距離を設け、
上記間隙内の冷却ガスの圧力を制御し、上記間隙内の冷却ガスの熱移動係数が、第1に圧力の関数であり、実質的に間隙距離に独立である、基板の冷却方法。
【請求項30】
上記圧力の制御は、第1熱移動係数を得るために、間隙内の冷却ガスの第1圧力を得、第1熱移動係数より大きい第2熱移動係数を得るために、間隙内の第1圧力より大きい冷却ガスの第2圧力を得ることを含む請求項29に記載の方法。
【請求項31】
上記第1圧力は、約0トールであり、上記第1熱移動係数は、約0であり、そして、上記第2圧力は、約100トールと約250トールの間にある請求項30に記載の方法。
【請求項32】
基板が置かれている表面は、さらに、それぞれ1以上の複数の間隙を横切る1以上のガス分配溝を含み、上記1以上のガス分配溝は、そこを通る冷却ガス流が粘性レジームにあるような上記間隙より実質的に大きく、それによって基板の冷却が急速に開始されるようにする、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
間隙内の圧力制御は、1以上のガス分配溝により、ガスを介して、冷却ガスを流すことを含む請求項32の方法。

【図1】
image rotate

image rotate

【図3】
image rotate

image rotate

image rotate

image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

image rotate

image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

image rotate

image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公表番号】特表2007−524997(P2007−524997A)
【公表日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−509529(P2006−509529)
【出願日】平成16年3月29日(2004.3.29)
【国際出願番号】PCT/US2004/009891
【国際公開番号】WO2004/088732
【国際公開日】平成16年10月14日(2004.10.14)
【出願人】(500266634)アクセリス テクノロジーズ インコーポレーテッド (101)
【Fターム(参考)】