説明

患者のコンピュータ断層撮影画像データセットの作成および照射システム

【課題】構成に複雑さが殆どなく、有利に製造可能な腫瘍患者のCT画像データセットの作成および照射システムを提供する。
【解決手段】X線源2およびX線検出器3を収容しシステム軸線4の周りを移動する回転枠と、回転枠の回転中に動的に調整可能な絞りを有するX線管2と、X線管2から出射するX線を測定する複数の検出素子を有するX線検出器3と、計算および制御ユニット9と、X線管2が回転枠の回転中に一定のファン角を有するX線ファンビームをX線検出器3に向けて放射し、X線検出器3の測定データからコンピュータ断層撮影画像データセットが算出される画像化用の第1の動作モードと、画像化に用いられたX線管2の使用のもとに回転枠の回転中にシステム軸線4に対して垂直方向の向きに関して変化する狭幅のX線ファンビームが放射され、X線ファンビームが回転枠の回転位置に関係なく患者7内の腫瘍の個所に向けられて保たれる照射用の第2の動作モードとを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1の動作モード、自動的な照射計画、およびX線源により腫瘍患者を照射するための第2の動作モードにおけるコンピュータ断層撮影(CT)画像データの作成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
患者のCT画像化と治療照射とが複合化された類似のシステムは公知である(例えば、特許文献1参照)。この治療照射−画像化複合システムは、少なくとも1つのX線管および少なくとも1つの対向するX線検出器を備えたスキャナを有し、X線管およびX線検出器は回転枠(=ガントリ)に固定され、患者のスキャンのために患者の周りを回転され、一方患者はシステム軸線に沿って移動可能な患者用寝台によってスキャン領域を通して移動される。付加的に、別の照射装置がガントリの外部に、しかしガントリのスキャン平面内に取付けられ、これが患者の治療照射に用いられる。これによって患者は姿勢変更なしにCTスキャナによってスキャンされ、引続いて直接的に患者移動の必要なしに治療照射を施される。
【0003】
「TomoTerapy」社からこれと同じ装置が知られており、この装置は従来のCT装置を含み、治療照射のための付加的な直線加速器を補充されているので、この場合にもスキャンプロセスと照射との間に新たな患者移動が必要とされない。
【0004】
このような装置は製造費用が高価であり、両基本装置の組み合わせによって大きな占有スペースを必要とし、そのために市場での定着はこれまで相当に僅かである。
【特許文献1】米国特許出願公開第2003/0048868号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、構成に複雑さが殆どなく、それによって有利に製造することができる腫瘍患者のCT画像データセットの作成および照射システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は請求項1による方法の特徴によって解決される。本発明の実施態様は従属請求項および以下の説明に示されている
【0007】
本発明者は、従来のCTスキャナに基づいて治療処置も行なうことが可能であり、このためには例えば独国特許出願公開第19950794号明細書に記載されているような可変絞り調整を使用することが必要であることを認識した。このためにシステムは2つの異なる動作モードを有することが必要であり、第1の動作モードが画像作成に用いられ、引続いて計算ユニットにおいて患者の算出されたボリューム表示に基づいて腫瘍が識別され、患者の構造を考慮して照射計画が自動的に実行され、引続いて第2の動作モードにおいて同一のX線管の使用のもとで治療照射が算出された照射計画に基づいて実行される。
【0008】
補足するに、この種の腫瘍識別およびそれに続く照射は、造影剤または腫瘍の対放射線感度増強剤によって支援される。
【0009】
この基本思想に従って、本発明者は、
少なくとも1つのX線源および少なくとも1つの対向するX線検出器を収容しシステム軸線の周りを移動する1つの回転枠と、
回転枠の回転中に動的に調整可能な絞りを有するX線源としての少なくとも1つのX線管と、
X線管から出射するX線を測定するために平面状に配置された複数の検出素子を有する少なくとも1つのX線検出器と、
計算および制御ユニットと、
少なくとも1つのX線管が回転枠の回転中に一定のファン角を有するX線ファンビームをX線検出器に向けて放射し、X線検出器の測定データからCT画像データセットが算出される画像化用の第1の動作モードと、
画像化に用いられた少なくとも1つのX線管の使用のもとに回転枠の回転中にシステム軸線に対して垂直方向の向きに関して変化する狭幅のX線ファンビームが放射され、このX線ファンビームが回転枠の回転位置に関係なく患者内の少なくとも1つの腫瘍の個所に向けられて保持される照射用の第2の動作モードと、
を備えている腫瘍患者のCT画像データセットの作成および照射システムを提案する。
【0010】
付加的に、既に述べたように、患者に、腫瘍特有の造影剤または対電離放射線感度増強剤が投与されるとよい。これらの薬剤に関しては例えば国際公開第2000−69473号パンフレット、国際公開第96−11023号パンフレットおよび米国特許出願公開第2003/003054号明細書を参照されたい。
【0011】
本発明に従って、第2の動作モードにおけるX線ファンビームの移動が連続的な絞り調整によって行なわれるとよい。これによって、腫瘍が偏心して位置していても治療ビームが腫瘍だけに向けられて保たれるように、ビーム方向をガントリ回転中に変化させることができる。
【0012】
改善された変形においては、治療ビームの今の視野に応じて投影内で幅狭くまたは幅広く作用し得る少なくとも1つの腫瘍がビームの相応の幅適合化によって選択的に命中され得るように、付加的にX線ファンビームの幅も照射中に調整される。
【0013】
腫瘍組織における選択的な線量適用の改善の他の可能性は、第2の動作モードにおいて
加速電圧が回転中に変化させられることによって達成される。この加速電圧の変化によって、浸透深さおよび最大のエネルギー付与(energy deposition;エネルギーデポジションとも呼ばれている)の深さも変化するので、これを、患者に対する相対的な少なくとも1つの腫瘍の位置および患者を通るビームの実際の経路に適合させることができる。このようにして、ビームの浸透深さが比較的僅かであり、最大のエネルギー付与が腫瘍の中心に起きるように、患者の健全組織を通る経路が短くされると同時に、ビームのX線エネルギーが低減される。ビームがガントリの回転によって患者の他の側にも移動し、その結果腫瘍に到達する前に健全組織を通る長い経路を進まなければならない場合には加速電圧が高められ、それによって浸透深さが増大し、同時に健全組織に付与されるエネルギーが減少する。この調整は最大のエネルギー付与が腫瘍の中心に起きるように行なわれるべきである。
【0014】
事前に求められたCTボリュームデータによる既知の吸収係数に基づいて、照射計画において、最適な結果を得るためにどのガントリ角で、すなわちどの照射角で、どのX線エネルギーが使用されなければならないかを比較的簡単に定めることができる。
【0015】
この措置に付加してまたは単独でも、適用されたX線エネルギーをスペクトル前置フィルタの使用によっても変化させることができるので、これによって患者内の腫瘍の位置に基づく所望の浸透深さへのエネルギースペクトルの付加的な適合可能性が得られる。
【0016】
付加的に、健全な組織への過大なエネルギー付与を回避するために、第2の動作モードにおけるガントリ回転中に線量率が変化される。線量率の変化は管電流の変化によって行なうことができ、あるいはパルス化された管電流の場合にはパルス幅の変化によって行なうことができる。
【0017】
一般に治療照射のための陽極負担は比較的高いので、第1の動作モードの期間中には、最終的に非常に良好な画像化を生じるX線管陽極における小さい焦点を使用すると有利である。一方、第2の動作モードでは陽極材料の負担が少ない大きな焦点が使用されるとよい。治療照射の範囲における幅広い焦点に起因する若干の不鮮明なX線経路はそれほど重要ではない。
【0018】
単一のX線管の代わりに、ガントリに別のX線管を取付けられている場合も本発明の範囲内に属する。この別のX線管は相応のX線検出器と関連して高速の改善された画像化に用いることができる。しかしながら、治療中の照射時間を減らすために、この第2のX線管を専ら付加的な治療用放射線源として設計することも可能である。この管の場合にも、可変絞り制御を設けるか、または加速電圧の制御、スペクトルフィルタおよび線量率変化を使用することができる。可変絞り制御を有する第2の照射源を同じ照射平面における他の腫瘍の同時照射に用いることができるので、同時に並行して2つの局部的に離れて同じ照射平面内に位置する腫瘍が照射される。
【0019】
補足するに、コンピュータ断層撮影との組み合わせで腫瘍の位置測定を改善するために、付加的に回転枠上に陽電子放出断層撮影(PET)用検出器または単光子放出コンピュータ断層撮影(SPECT)用検出器を設けることもできる。
【0020】
CT画像化と治療照射との間の具体的な動作経過に関して、本発明者は、一方では、システムに、患者を回転枠に対して相対的に逐次にシステム軸線方向に移動させる動作プログラムが存在し、逐次の各システム軸線位置において第1の動作モードで画像評価と少なくとも1つの腫瘍の位置の自動認識とが行なわれ、引続いて患者の測定された構造に基づいて測定された部分に関する自動的な照射計画が実行され、それに次いで第2の動作モードで、スキャンされた部分の算出された照射データにより少なくとも1つの腫瘍の照射が行なわれることを提案する。従って、この変形において患者は推定された腫瘍の領域内でスキャンされ、この領域内に腫瘍が認識される場合、この領域に関する照射計画が実行され、引続いてz方向への移動なしにまずこの平面における照射がその実行された照射計画に基づいて行なわれる。その後にシステム軸線方向における移動が行なわれるので、患者の新たな横断面がシステムのスキャン範囲および治療範囲に存在し、腫瘍全体が照射され、かつ表示内に他の腫瘍が発見されなくなるまで反復して方法が続行される。
【0021】
システムに、患者を第1の動作モードで回転枠に対して相対的に連続的にシステム軸線方向に移動させて完全なスパイラルスキャンを実行する動作プログラムが存在し、引続いて画像評価と少なくとも1つの腫瘍の位置の自動認識とが行なわれるようにすることも可能である。その後患者の測定された構造に基づいて自動的な照射計画が実行され、それに次いで第2の動作モードで、算出された照射データにより少なくとも1つの腫瘍の連続的な照射が行なわれる。
【0022】
両方法においては、CTスキャンと治療照射との間で患者の移動が必要でないので、位置測定された腫瘍も高い位置信頼性で照射中に想定位置に存在する。もちろん、検査中における患者の動きによる誤差または検査の合間における移動に関する信頼性は前述の方法に比べて若干少ないと思われる。
【0023】
更に、本発明によれば、治療のためのX線使用中に並行してこのX線の吸収をX線検出器で測定し、腫瘍の動きを測定データから検出する動作プログラムが存在する。これは、例えばキモグラムの様式で行なうことができ、あるいは並行に画像を再構成し、得られた断層画像から腫瘍移動を検出することができる。これらの情報が存在する場合、実際に検出された腫瘍移動を絞り調整および/または照射パラメータ(例えば電圧または線量率)の修正に利用する動作プログラムが存在するとよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明の付加的な特徴および利点は以下における図面に基づく有利な実施例の説明からもたらされる。ここでは本発明の理解のために必要な特徴のみが示されている。
【0025】
以下において図面に基づいて本発明を更に詳細に説明する。
図1は腫瘍患者のCT画像データセットの作成および照射システムを示し、
図2は第1の動作モードにおける図1によるシステムを断面図で示し、
図3は第2の動作モードにおける図1のシステムを断面図で示し、
図4は異なる浸透深さおよび異なる放射エネルギーの際の異なるエネルギー付与の表示を示す。
【0026】
図面では次の参照符号が使用されている。1:腫瘍患者のCT画像データセットの作成および照射システム、2:X線管、3:X線検出器、4:システム軸線、5:ハウジング、6:移動可能な患者用寝台、7:患者、7.1:腫瘍、8:ガントリにおける開口、9:計算および制御ユニット、10:データおよび制御線、11:回転枠、12:検出モジュール、13:制御モジュール、14:再構成モジュール、15:計画モジュール、16:X線ファンビーム、17:認識モジュール、d:浸透深さ、Prg1〜Prgn:プログラム、Ux:加速電圧、φ:ファン角。
【0027】
図1は、本発明による腫瘍患者のCT画像データセットの作成および照射システム1を示す。このシステムはハウジング5を備え、ハウジング5内には回転枠つまりガントリがあり、これにはX線管2およびこれに向かい合うX線検出器3が固定されている。患者7は、回転枠の中心における開口8を通してシステム軸線4に沿って長手方向に移動可能な患者用寝台6により開口8の範囲内に送り込まれ、新たな位置決めを必要とすることなしに、スキャンされ、同じX線管により治療照射される。制御、データ収集および治療計画は、データおよび制御線10を介して照射システムおよび移動可能な寝台に接続されている計算および制御ユニット9によって行なわれる。本発明による個々の方法ステップの実施はプログラムPrg1〜Prgnによって実行され、計算および制御ユニット9内で実現されている。
【0028】
本発明を具体的に説明するために、図2において複合システムのハウジング5の断面が概略的に示されている。ハウジング5内には回転枠11があり、回転枠11にはX線管2が対向するX線検出器3とともに配置されている。X線管は焦点2.1を有し、ファン角φを有するX線ファンビーム16が焦点2.1から出射してX線検出器3に入射する。このX線検出器3は単列検出器であるが、しかし多列検出器が使用されることも好ましい。患者7はシステム軸線4に沿って移動可能である患者用寝台6上にいる。ここでは患者7には模範例として腫瘍7.1が示されている。X線管2およびX線検出器3の回転によって、X線検出器3に入射するX線の吸収値の収集により一般に知られているように患者7のボリューム表示が再構成される。X線管2およびX線検出器3の回転を表現するために、点線にて同じX線管−X線検出器システムがもう一度異なった回転角で示されている。このための参照符号は右肩にダッシュ(’)を付されている。
【0029】
図2の下部範囲には付加的に計算および制御ユニット9が概略的に示されている。計算および制御ユニット9は、この第1の動作モードにおいて、検出器データの取得およびデータ収集を行うための検出モジュール12とシステムの回転および全体制御を実行する制御モジュール13とを作動させる。これに加えて、制御モジュール13と検出モジュール12との間のデータ線を介して、X線管−X線検出器システムのその都度の角度位置が収集されたデータに関連づけて再現される。全てのデータが収集されたならば、これらのデータは画像再構成つまり患者のボリュームデータの再構成を行なう再構成モジュール14に伝達される。この動作モードでは、本システムは従来技術から知られている簡単なコンピュータ断層撮影装置に相当する。
【0030】
再構成モジュール14によるボリュームデータ再構成の終了後、ボリュームデータは患者内の腫瘍7.1の位置をボリュームデータセットに基づいて決定する自動認識モジュール17に伝達される。引続いて、この腫瘍7.1の位置が患者の他のボリュームデータと一緒に、自動的な照射計画を実行する計画モジュール15に伝達される。
【0031】
図3に概略的に示されているこのシステムの第2の動作モードにおいては、計画モジュール15が放射線治療の計算を行ない、今や制御に必要なデータを制御モジュール13に引き渡す。制御モジュール13は今や患者7、特に腫瘍7.1の照射を実施する。
【0032】
この場合に、図3において分かるように、著しく束線化されたX線ファンビーム16が発生され、X線ファンビーム16は、ガントリの回転方向に関係なく常に正確に患者7内の腫瘍7.1の実際の位置に合わせられ、その幅が焦点2.1から見た投影に対応して調整される。さらに、図3においては、焦点2.1が図2におけるよりも著しく大きく形成されているので、X線管2の陽極の連続負荷時にも、高い線量率に起因して予定よりも早い陽極消耗が発生することはない。
【0033】
もちろん、この治療照射の際には、X線管の現在の回転角に依存して異なる加速電圧が設定される。X線ビーム16の所望のX線硬度を達成するために、その都度変化する厚みを有する付加的なスペクトルフィルタをX線入口に挿入することができる。管電流の変化またはパルス幅の変化による線量変調も実現することができる。
【0034】
放射エネルギーの変化およびそれにつながるX線浸透深さに依存した異なるエネルギー付与に関して、浸透深さdに亘って付与されたエネルギーJ/cm3の経過が描かれている次の図4を参照する。異なる加速電圧U1〜U3についてのエネルギー付与の3つの図示されたグラフは、もちろん若干誇張された表示で、大きくなる放射エネルギーにともなってどのように浸透深さが変化するかを示す。組織に付与されたエネルギー、つまり治療に有効な線量は、種々の断層深さで適用されるので、加速電圧の相応の変化とそれによるX線スペクトルのエネルギー分布とによって治療用の線量もその都度種々の浸透深さへ送り出すことができる。
【0035】
本発明の上述の特徴は、その都度述べた組み合わせのみならず、本発明の範囲を逸脱することなく、他の組み合わせまたは単独でも可能である。
【0036】
従って、全体として、本発明においては、腫瘍患者のCT画像データセットの作成および照射システムが示されている。このシステムは、少なくとも1つのX線源および少なくとも1つの対向するX線検出器を収容するまさに1つの回転枠を備え、X線管は回転枠の回転中に動的に調整可能な絞りを装備している。更に、このシステムは、X線管が回転枠の回転中に一定のファン角を有するX線ファンビームをX線検出器に向けて放射し、X線検出器の測定データからCT画像データセットが算出される第1の動作モードを有する。更に、このシステムは、第1の動作モードにおいて用いられた少なくとも1つのX線管の使用のもとに回転枠の回転中にシステム軸線に対して垂直方向の向きに関して変化する狭幅のX線ファンビームが放射され、このX線ファンビームが回転枠の回転位置に関係なく患者内の少なくとも1つの腫瘍の個所に向けられて保たれる第2の動作モードを有する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】腫瘍患者のCT画像データセットの作成および照射システムを示す概略図
【図2】第1の動作モードにおける図1のシステムの断面図
【図3】第2の動作モードにおける図1のシステムの断面図
【図4】異なる浸透深さおよび異なる放射エネルギーの際の異なるエネルギー付与を示すダイアグラム
【符号の説明】
【0038】
1 腫瘍患者のCT画像データセットの作成および照射システム
2 X線管
3 X線検出器
4 システム軸線
5 ハウジング
6 移動可能な患者用寝台
7 患者
7.1 腫瘍
8 ガントリにおける開口
9 計算および制御ユニット
10 データおよび制御線
11 回転枠
12 検出モジュール
13 制御モジュール
14 再構成モジュール
15 計画モジュール
16 X線ファンビーム
17 認識モジュール
d 浸透深さ
Prg1〜Prgn プログラム
Ux 加速電圧
φ ファン角

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのX線源(2)および少なくとも1つの対向するX線検出器(3)を収容しシステム軸線(4)の周りを移動する1つの回転枠と、
回転枠の回転中に動的に調整可能な絞り(2.2)を有するX線源としての少なくとも1つのX線管(2)と、
X線管(2)から出射するX線を測定するために平面状に配置された複数の検出素子を有する少なくとも1つのX線検出器(3)と、
計算および制御ユニット(9)と、
少なくとも1つのX線管(2)が回転枠の回転中に一定のファン角(φ)を有するX線ファンビームをX線検出器(3)に向けて放射し、X線検出器(3)の測定データからコンピュータ断層撮影画像データセットが算出される画像化用の第1の動作モードと、
画像化に用いられた少なくとも1つのX線管(2)の使用のもとに回転枠の回転中にシステム軸線(4)に対して垂直方向の向きに関して変化する狭幅のX線ファンビームが放射され、このX線ファンビームが回転枠の回転位置に関係なく患者(7)内の少なくとも1つの腫瘍(7.1)の個所に向けられて保たれる照射用の第2の動作モードと、
を備えていることを特徴とする患者のコンピュータ断層撮影画像データセットの作成および照射システム。
【請求項2】
患者(7)が照射中に少なくとも1つの腫瘍(7.1)の表示のための造影剤を有することを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項3】
患者(7)が照射中に少なくとも1つの腫瘍(7.1)の対放射線感度増強剤を有することを特徴とする請求項1乃至2の1つに記載のシステム。
【請求項4】
第2の動作モードにおけるX線ファンビームの移動が連続的な絞り調整によって行なわれることを特徴とする請求項1乃至3の1つに記載のシステム。
【請求項5】
第2の動作モードにおけるX線ファンビームはシステム軸線(4)に対して垂直方向の幅に関しても絞り調整によって変化させられることを特徴とする請求項1乃至4の1つに記載のシステム。
【請求項6】
第2の動作モードにおいて、浸透深さおよびエネルギー付与を患者(7)内の少なくとも1つの腫瘍(7.1)の位置に合わせるために、加速電圧が回転中に変化させられることを特徴とする請求項1乃至5の1つに記載のシステム。
【請求項7】
X線管(2)が、使用されたX線スペクトルの変化のために動作中にX線経路に挿入可能である少なくとも1つのスペクトル前置フィルタを有することを特徴とする請求項1乃至6の1つに記載のシステム。
【請求項8】
第2の動作モードにおいて、健全な組織の被曝を少なくするために線量率が回転中に変化されることを特徴とする請求項1乃至7の1つに記載のシステム。
【請求項9】
第1の動作モードにおいて、第2の動作モードにおけるよりも小さい焦点(2.1)がX線管(2)に存在することを特徴とする請求項1乃至8の1つに記載のシステム。
【請求項10】
回転枠に付加的に第2の照射源が取付けられていることを特徴とする請求項1乃至9の1つに記載のシステム。
【請求項11】
第2の照射源はX線源(2)であり、これは他の腫瘍の同時照射のために合わせられ得る可変絞り制御を有することを特徴とする請求項10記載のシステム。
【請求項12】
回転枠は付加的に陽電子放出断層撮影用検出器または単光子放出コンピュータ断層撮影用検出器を有することを特徴とする請求項1乃至11の1つに記載のシステム。
【請求項13】
患者を回転枠に対して相対的に逐次にシステム軸線方向に移動させる動作プログラムが存在し、逐次の各システム軸線位置において第1の動作モードで画像評価と少なくとも1つの腫瘍(7.1)の位置の自動認識とが行なわれ、引続いて患者(7)の測定された構造に基づいて測定された部分に関する自動的な照射計画が実行され、それに次いで第2の動作モードで、スキャンされた部分の算出された照射データにより少なくとも1つの腫瘍の照射が行なわれることを特徴とする請求項1乃至12の1つに記載のシステム。
【請求項14】
患者(7)を第1の動作モードで回転枠に対して相対的に連続的にシステム軸線方向に移動させて完全なスパイラルスキャンを行なう動作プログラムが存在し、画像評価と少なくとも1つの腫瘍(7.1)の位置の自動認識とが行なわれ、引続いて患者(7)の測定された構造に基づいて自動的な照射計画が実行され、それに次いで第2の動作モードで、算出された照射データにより少なくとも1つの腫瘍(7.1)の連続的な照射が行なわれることを特徴とする請求項1乃至13の1つに記載のシステム。
【請求項15】
治療のためのX線使用中に並行してこのX線の吸収をX線検出器(3)で測定し、腫瘍(7.1)の移動を検出する動作プログラムが存在することを特徴とする請求項1乃至14の1つに記載のシステム。
【請求項16】
実際に検出された腫瘍(7.1)の移動を絞り調整および/または照射パラメータの修正に利用する動作プログラムが存在することを特徴とする請求項1乃至15の1つに記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−297095(P2006−297095A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−114362(P2006−114362)
【出願日】平成18年4月18日(2006.4.18)
【出願人】(390039413)シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト (2,104)
【氏名又は名称原語表記】Siemens Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Wittelsbacherplatz 2, D−80333 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】