説明

患者介護管理システムおよび方法

【課題】運転環境に応じた適切な手順にて患者介護装置を運転するための方法等を提供する。
【解決手段】本発明は患者介護装置を運転するための方法等であって、ポンプである前記患者介護装置のメモリ内に格納されている複数の構成データ・ベースから1つの構成データ・ベースを活性化し、前記複数の構成データ・ベースの各々は患者介護を提供するための選択された運転モードを定義し、該各運転モードは前記患者介護装置を運転するためのパラメータを定義する少なくとも1つの手順を含み、前記患者介護装置を前記活性化された構成データ・ベースに基づいて動作するように構成し、前記手順を前記活性化された構成データ・ベースから選択し、前記患者介護装置を該選択された手順で定義された運転パラメータに基づいて運転する、手順を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的に医療施設内の患者介護管理システムおよび方法に係わり、詳細には分散ネットワークからの情報を統合し、患者介護装置の動作特性を変更するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
保健医療分野では、投薬量の誤り発生率の低減および、患者介護の全体的質の改善に多くの注意が払われている。投薬の誤りはしばしば、患者が間違った治療薬を受け取ったり、正しい治療薬の投与量を間違ったり、正しい治療薬の正しい投与量を間違った時刻に投与したり、またはその治療薬が他の薬と有害な副作用を起こしたりすることで発生している。
【0003】
多くの薬は、介護地点またはその近くでプログラム可能輸液ポンプを用いて患者が使用するように施薬されており、これらの輸液ポンプは例えば米国特許第5,713,856号、エガース(Eggers)その他に付与、および米国特許第5,041,086号、ケーニッヒ(Koenig)その他に付与に開示されていて、両者共に此処に挙げることで参照されている。エガースその他は、患者に対して介護を提供し患者の状態を監視することの可能な、モジュール型患者介護システムを開示している。エガースのシステムは、1つの中央制御モジュールを用いて多数の基本モジュールの制御並びに監視を行っており、基本モジュールには1台または複数台の輸液ポンプおよび患者監視装置が含まれる。
【0004】
今日ほとんどの病院は、コンピュータ・システムを備えた薬局を有し、処方箋の入力、準備および追尾、薬品在庫の管理、薬品不適合のチェック、および処方箋注文書およびラベルの印字を行っている。典型的に、1人の患者に対して投薬されるべき1つまたは複数の薬物輸液は、その患者の主治医によって施薬されている。薬局は輸液を主治医の処方箋に基づいて準備し、その輸液を点滴(IV)バッグ、注射器またはその他の容器に収納する。印字ラベルは容器の内容、その治療薬の施薬対象である患者、処方箋を出した主治医、配送指示そして/またはその処方箋に関するその他の情報を識別している。このラベルは一般的に人間が識別可能な文字でタイプまたは印刷されている。ラベル上に情報を符号化するためにバーコードが使用される場合もある。
【0005】
ラベルが貼付された後、その容器は患者の居る場所まで運ばれて、エガースその他により開示された様な、臨床輸液ポンプシステムに動作可能な状態で取り付けられる。次に看護婦または介添人が、ラベルの投薬データに基づいて輸液システムをプログラムするが、これは典型的に手動で輸液パラメータをキーボードまたはキーパッドを用いて入力する。これに代わって、データ入力エラーを低減するためにバーコード読みとり機の導入を模索しているシステムもあり、このバーコード読みとり機は符号化されたデータをポンプ・システムに薬品ラベルまたは処方箋発注書から読み取る。データは、例えば輸液速度、総輸液予定量(VTBI:total volume to be infused)および、エガースその他が記述している様な多チャンネルまたはモジュラー・システムの場合ではどのチャンネルまたはポンプ・モジュールが使用されているかを含む。
【0006】
米国特許第5,153,827号、コートレ(Coutre)その他に付与、は中央薬局データ・ベースからの薬剤輸液パラメータを具備した輸液装置を提供するためのシステムを開示している。特定治療用の輸液投入パラメータが中央薬局データ・ベースから機械読みとり可能ラベルに印字され、これは次に患者の場所まで運ばれて、臨床輸液装置の中に読み取られる。コートレのシステムは、ポンプをプログラムするために使用される全ての情報が機械読みとり可能ラベルから読み取られるか、または使用者によって手動で入力されることを必要とする。従って、コートレの輸液システムは病院内の他の情報源、またはシステム自体の持つ情報を利用していない。
【0007】
米国特許第5,781,442号、エングレソン(Engleson)その他に付与は、患者介護管理システムを開示しており、これは患者データを受け取り、報告を生成または表示するための種々の入出力装置を有するコンピュータのネットワークを含む。開示されているシステムは、患者に現在施療されている介護管理を監視し、自動的に記録を更新して必要に応じて警報を発する。使用例では、患者と薬物識別情報とが臨床端末に読み込まれて、中央コンピュータに通信され、そこでデータが処理される。次に、この中央コンピュータは運転パラメータをこの端末に送信し、端末は輸液ポンプをこの運転パラメータに従ってプログラムする。
【0008】
本技術分野における近年の進歩にもかかわらず、本技術分野において医療装置の効率的かつ正確なプログラミングを容易にし、一方で処方された治療が、特定場所そして/または特定の特性に関する施設および部門の指針に適合することを保証するシステムに対する必要性が残っている。
【0009】
(発明の概要)
本発明は一般的に患者情報を種々の情報源から展開して、患者がより良い質の介護を受け、介護提供者の資産がより効率的に使用されそして労働コストの削減が、現在手動でなされているいくつかの処理を自動的に行うことでなされることを含む。データ転送手段は典型的に1つのネットワーク内、または複数のネットワーク内のネットワークで行われ、いくつかのデータはデータ形式を変換する入出力関門を通って入力および出力される。本発明の1つの好適な実施例は、病院ネットワークに接続されたモジュール式患者介護装置であって、その装置の能力および運転パラメータがネットワーク内のその位置の関数として変更されるものである。
【0010】
本発明によれば、患者介護装置および患者固有の情報をその装置に転送するための手段を含む、患者介護システムが提供されている。この装置は複数の構成データ・ベースを格納するためのメモリを含み、各々のデータ・ベースは装置運転パラメータの複数の識別可能グループで構成されている。患者固有情報を装置に転送することにより、複数の構成データ・ベースから特定の構成データ・ベースを、少なくとも患者固有情報に基づいて選択することが可能となる。本発明の患者介護システムはまた、好適にコンピュータ・ネットワークおよび装置とネットワークとの間を通信するための手段とを含む。
【0011】
更に、本発明によれば患者介護装置が患者に対して薬物を投与するようにプログラムするための方法も提供しており、これは薬物を患者に投与するための第1手順を識別する手順ポインタを含む、符号化されたラベルの印刷;そのラベルを薬物が入っている容器に貼り付け;その容器を患者介護装置に移送し;そのポインタを、メモリ内に第1手順を含む患者介護システムに入力し;第1手順に基づいて薬物を患者に投与するように、患者介護システムの機能ユニットをプログラムすることを含む。
【0012】
本発明の性質並びに詳細をより良く理解するために、添付図を参照して以下の詳細説明を行う。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に基づく患者介護管理システムの模式図である。
【図2】本発明に基づくインタフェース・ユニットの模式図である。
【図3】本発明に基づく構成データ・ベースを図示する模式図である。
【図4】本発明のインタフェース・ユニットでサポートされる多数の異なる輸液型式を図示するブロック図である。
【図5】本発明の1つの実施例に基づく、特定の輸液手順を実行するように、輸液システムをプログラミングするための処理ステップを図示する。
【図6】本発明の患者介護管理システムの別の実施例の模式図である。
【図7】本発明の1つの実施例に基づく、1人の患者のプログラム・モジュールに関連して使用される処理ステップを図示する。 全ての図面を通して同一参照番号は対応する部品を参照している。
【実施例】
【0014】
図1は本発明の1つの実施例に基づく、患者介護管理システムの一般的な図である。図1において患者介護装置12は病院ネットワーク10に接続されており、このネットワークは薬局管理システム34および病院情報システム・サーバ30を含む。各要素、12、30および34は、ネットワーク10に伝送チャンネル32で接続されている。伝送チャンネル32は任意の有線または無線伝送チャンネル、例えば802.11無線ローカルエリア・ネットワーク(LAN)である。本発明の好適な実施例では、ネットワーク10はまた病院全体に渡って種々の部署に配置されているコンピュータ・システムも含む。例えば、図1のネットワーク10はオプションとして、入院部門36、会計部門38、生物医学工学部門40、臨床検査部42、中央備品供給部44、1つまたは複数のユニット局コンピュータ、そして/または医学的意志決定支援システム48を含む。
患者介護装置12は好適に、米国特許第5,713,856号、エガースその他に付与の中で開示されているものと類似のシステムを含み、前記特許は此処に挙げることで参照されている。これに代わって、その他の患者介護装置、例えばポンプ、複数の生理的モニタ(例えば、体温、血圧、心電図、脳波図、脈拍オキシメータ、およびその他の患者モニタ)治療装置、およびその他の薬物投与装置が、此処に示すやり方に従って利用できるであろう。患者介護装置12は好適に、高度プログラム・モジュール14、これはまたインタフェース・ユニット14とも呼ばれる、を含みこれは1つまたは複数の機能モジュール16、18、20、22に接続されている。インタフェース・ユニット14は中央処理ユニット(CPU)50を含み、これは例えば随意アクセス・メモリ(RAM)58の様なメモリ、および1つまたは複数のインタフェース装置、例えば使用者インタフェース装置54、符号化データ入力装置60、ネットワーク接続器52、および追加モジュールまたは装置と通信するための補助インタフェース62を含む。インタフェース・ユニット14はまた好適に、必ずしも必要というわけでは無いが、ソフトウェアおよびデータを格納するための、主不揮発記憶ユニット56、好適にハードディスク・ドライブと、上記要素を相互接続するための1つまたは複数の内部バス64を含む。
【0015】
典型的な実施例において、使用者インタフェース装置54は情報を使用者に対して表示するためのタッチスクリーンであり、使用者がスクリーン上に定義された領域に触れることで情報を入力することが可能である。これに代わって、使用者インタフェース装置54は情報を表示および入力するための任意の手段、例えばモニタ、プリンタ、キーボード、ソフトキー、マウス、トラックボールそして/または光ペンを含むことが可能である。符号化データ入力装置60は好適にバーコード読みとり機であり、バーコード符号型式で印刷されたデータを読み取って解釈することが可能である。これに代わってデータ入力装置60は、符号化データをコンピュータに入力するための任意の装置、例えば磁気ストリップ、PCMCIAスマート・カード、無線周波数カード、メモリ・スティック、CD、DVD、またはその他の任意のアナログ式またはディジタル式記憶媒体が可能である。データ入力装置60のその他の例として、音声起動または認識装置または携帯型個人用データ補助装置(PDA:personal data assistant)が含まれる。使用されるインタフェース装置の型式に依存して、使用者インタフェース装置54および符号化データ入力装置60は同一装置となるはずである。これに代わって、図1の中では符号化データ入力装置60がインタフェース・ユニット14の中に配置されているように示されているが、当業者には理解されるように、データ入力装置60を薬局管理システム34の中に統合することも、または外部に置いて薬局管理システム34とRS−232シリアル・インタフェースまたはその他の任意の適切な通信手段を介して通信することも可能である。補助インタフェース62は好適にRS−232通信インタフェースであるが、プリンタ、患者モニタ、輸液ポンプまたはその他の医療機器のような周辺装置と通信するためのその他の任意の手段を、本発明の範囲から逸脱することなく使用できる。
【0016】
ネットワーク接続器52は好適に、T1接続、統合ディジタル・ネットワーク(ISDN)、ディジタル加入者線(DSL)モデムまたは有線モデムのような直接ネットワーク接続である。これに代わって、任意の直接または間接ネットワーク接続も使用可能であり、これらに限定するわけではないが、電話機モデム、MIBシステム、RS232インタフェース、補助インタフェース、光リンク、赤外線リンク、無線周波数リンク、マイクロ波リンク、またはELANS接続が含まれる。
【0017】
機能モジュール16、18、20、22は患者に対して介護を提供したり、または患者の状態を監視するための任意の装置である。本発明の好適な実施例では、機能モジュール16、18、20、22の少なくとも1つは、薬剤またはその他の輸液を患者に投与するための点滴薬剤輸液ポンプの様な、薬剤輸液ポンプである。此処での説明の目的で、機能モジュール16を薬剤輸液ポンプとする。各々の機能モジュール18、20、22は任意の患者治療または監視装置であって、これらに限定するわけではないが、薬剤輸液ポンプ、注射器ポンプ、PCAポンプ、硬膜外ポンプ、腸ポンプ、血圧監視モニタ、脈拍オキシメータ、EKGモニタ、体温モニタまたは頭蓋内圧モニタが含まれる。これに代わって、機能モジュール18、20そして/または22はプリンタ、スキャナ、またはその他の任意の周辺入出力装置であっても構わない。
【0018】
各々の機能モジュール16、18、20、22は直接または間接的にインタフェース・ユニット14と通信し、インタフェース・ユニット14と共に装置12の全体監視および制御を行う。好適な実施例において、機能モジュール16、18、20、22は物理的かつ電気的に直列形式で、図1およびエガースその他の例で詳細に示されているように、インタフェース・ユニット14の一端または両端と接続されている。しかしながら当業者には理解されるように、本発明の範囲から逸脱することなく機能モジュールをインタフェース・ユニットに接続するためのその他の手段が存在する。これもまた理解されるように、十分なプログラム可能性および接続性を有するポンプまたはモニタの様な装置は、個別のインタフェース・ユニットを用いずに直接ネットワークと通信することが可能である。上記のように、追加の医療機器または周辺装置を患者介護装置12に1つまたは複数の補助インタフェース62を介して接続することが可能である。
【0019】
各々の機能モジュール16、18、20、22は典型的に、モジュール固有構成部品76、マイクロプロセッサ70、情報を記憶するための揮発メモリ72および不揮発メモリ74を含む。4つの機能モジュールが図1に示されているが、任意の個数の装置を直接または間接的に中央コンピュータ14に接続できる。此処に記述されている機能モジュールの数量および型式は図示を意図したものであって、本発明の範囲を制限するものではない。モジュール固有構成部品76は、例えば薬剤輸液ポンプ・モジュール16用のポンプ機構の様な個別のモジュールを運転するために必要な任意の構成部品を含む。
【0020】
各々の機能モジュールは典型的に、少なくともいくつかのレベルの独立運転が可能であるが、インタフェース・ユニット14は装置12の全体的な運転を監視し制御する。例えば、以下に更に詳細に説明されるように、インタフェース・ユニット14はプログラム指令を機能モジュール16、18、20、22に提供し、各モジュールの状態を監視する。
【0021】
本発明の好適な実施例において、患者介護装置12はいくつかの異なるモード、またはパーソナリティーで運転することが可能であり、各々のパーソナリティーは構成データ・ベースで定義される。個々の構成データ・ベースは、少なくとも部分的に、患者固有情報、例えば患者の場所、年齢、物理的特性、または医学的特性により選択されたデータ・ベースである。医学的特性には、これらに限定されるわけではないが、患者の診断、治療処方箋、治療履歴、治療記録、患者介護提供者識別子、生理的特性または心理的特性が含まれる。此処で使用されるように、患者固有情報はまた介護提供者情報(例えば、主治医識別子)または、病院内または病院コンピュータ・ネットワーク内での患者介護装置10の場所も含む。患者介護情報はインタフェース装置52、54、60および62を通して入力され、ネットワーク10内の任意の場所、例えば薬局34、入院部門36、臨床検査部42などから入力される。
【0022】
種々のデータ源相互間のデータは、既存技術を用いてネットワーク互換データに変換することが可能で、医療装置とネットワーク間での情報の移動は種々の手段で実現することが出来る。例えば、患者介護装置12とネットワーク10とは、自動化された相互通信そして/または手動による相互通信を介して通信できる。自動化された相互通信は連続的または間欠的に、直接ネットワーク接続54(図1参照)を通して、またはこれに代わるRS232リンク、MIBシステム、BLUETOOTH(アムテル社、サンノゼ、カリフォルニア(Amtel Corp., San Jose, CA))の様なRFリンク、IRリンク、WLANS、ディジタル・ケーブル・システム、電話機モデムまたはその他の通信手段を通して行えるはずである。患者介護装置12とネットワーク10との間の手動相互通信には、間欠的または周期的に物理的にデータをシステム間で転送することが含まれ、例えば使用者インタフェース装置54、符号化データ入力装置60、バーコード、コンピュータ・ディスク、携帯型データ支援装置、メモリ・カード、または任意のその他のデータ記憶媒体を用いて行われる。好適に、通信手段は可能な限り多数の分散されたデータ源から、データ接続に関して双方向である。意志決定はネットワーク10内の種々の場所で発生しうる。例えば、これに限定するわけではないが、決定はHISサーバ30、意志決定支援48、医局またはユニット局46、または患者介護装置12自身の中で行うことができる。
【0023】
図2を参照すると、本発明の好適な実施例において、患者介護装置のインタフェース・ユニット14は複数の構成データ・ベース200、202、204および206を含む。この構成データ・ベースは好適にインタフェース・ユニット14のメモリ56内に格納されているが、1つまたは複数のデータ・ベースを機能モジュール16、18、20、22の中に格納することも可能である。当業者には理解されるように、メモリ56は好適に内部ハードディスクであるが、恒久的または取り外し可能記憶媒体、これらに限定するわけではないがCD−ROM、EEPROM、フロッピー(登録商標)ディスク、テープ、外部ハードディスク、メモリ・カード等も使用できる。オプションとして構成データ・ベース200、202、204、206の一部をRAM58の様な揮発メモリの中に格納することも可能である。
【0024】
各々の構成データ・ベース200、202、204、206は好適に、それぞれの猪子を識別するためのユニークなデータ・ベース識別子、またはポインタ、210、212、214、216を含む。各データ・ベース200、202、204、206は複数のフィールドを含み、これは例えば、利用可能な処置手順、薬品ライブラリー情報、モジュール運転限界、規則集、装置特性および患者介護装置12に関する特定運転パラメータを定義するためのその他の情報を定義する。各々の構成データ・ベース200、202、204、206は、患者介護装置12用の、特定の運転環境または、パーソナリティーを定義する。個別の構成データ・ベースは処置場所固有(例えば、集中治療室[ICU]、新生児集中治療室[NICU]、小児科、癌科など)、疾病状態固有(頭蓋内圧管理、骨髄移植など)、使用者固有(LPN、RN、主治医など)であり、またはその他の論理的理由に基づき生成される。例えば、本発明の1つの実施例によれば、患者介護装置12がICUの中に配置されている場合には構成データ・ベース200を用い、装置12がNICUの中に配置されている場合は構成データ・ベース202を用いる。各々のデータ・ベース200および202は、それぞれ特定の運転パラメータ、処置手順、機能などを含み、これらは装置12を病院内のそのユニット内の患者に対して使用するように設定する。
【0025】
図2は各データ・ベースが同一種類および情報型式を含むように示されているが、データ・ベースはそれらが含む情報の型式および量の点でかなり変動することは注意されたい。種々の構成データ・ベースの各々は、選択されると、少なくとも或る程度は装置12の運転環境を定義し、多数の値順または初期設定運転パラメータのグループを含む。
【0026】
図3は本発明に基づくサンプル構成データ・ベース204を更に詳細に表している。構成データ・ベース204は複数の手順232、234、236、238、240から成る手順モジュール230を含む。各手順は初期設定運転パラメータの複数のフィールドを含む。場合によっては、輸液手順は、定義された全ての初期設定パラメータと共に、完全で詳細な輸液指令を含むことが可能である。他の輸液手順は、介護場所で使用者により要求された追加データ入力と共に部分的に定義されたパラメータを有する場合もある。例えば、図3の232の手順Aは、初期設定運転パラメータ値のフィールドと、薬剤輸液ポンプを制御するためのその他のデータを含む。この例のフィールドは薬品名称300、濃度304、容器サイズ308、公称投与(dose)速度312、初期ボーラス(bolus)316、最大投与速度320、最小投与速度324、最大累積投与量328、薬物不適合性332およびIDフィールド、手順記録を識別または「呼び出す」ための記録ポインタ336を含む。各フィールドは典型的に、記憶された初期設定パラメータを含み、これは集合的に特定の輸液手順を定義する。いくつかのフィールド、例えば薬物不適合性332は、他データ・ベースまたは関連情報を含む薬物ライブラリの参照またはリンクを含む。共通に使用されるデータ・ライブラリへのこの様な参照は、データを手順そして/または構成データ・ベースの間で共有することを可能とし、重複記憶および入力を不要とするのでデータ・ベース情報の効率的な更新が可能となる。同様に、全ての手順を各構成データ・ベースの中に格納する必要はない。むしろ、異なる構成データ・ベースからの手順を主データ・ベースまたはライブラリの中に保存し、各々個別の構成データ・ベースにはこのライブラリに格納されている特定手順への参照リンクを持たせることが可能である。この様な構成は好都合であるが、それは同一手順が重複して格納されることを回避し、ライブラリ情報の更新を容易にするからである。
【0027】
その様な1つの手順が選択される際には、何らかの情報が提供されなければならない。例えば、装置12がネットワークに問い合わせて、自動的に例えば患者の体重の様なデータを入院部門36内の患者の電子記録から、臨界投薬量パラメータを薬局システム34から獲得し、検査部42の最新試験結果と二重チェックをかけて処方された薬剤が禁忌を示していないか確認することが出来る。薬剤処方ラベル上に符号化された情報の薬局システム34との二重チェックもまた自動的に行われる。これに代わって、使用者が患者の体重や総投薬量を直接装置の中に入力し、自動的に選択されたパラメータと確認することも可能である。本発明の1つの実施例では、薬物に固有な手順に含まれる情報は、「薬物ライブラリ」内の情報の上位集合である。その結果、使用者が薬物名を選択すると、記録内の或るパラメータが適用される。その様なパラメータには典型的に薬物名称、限界投薬量、投薬単位量、場合によっては濃度および容器サイズが含まれる。使用者は欠落しているデータ、例えば患者の体重、薬物量、希釈剤体積、投薬速度、総投薬量を入力または読み取り入力し、自動的に選択されたパラメータを指示に従って確認する。
【0028】
典型的に異なる手順は、異なるフィールドそして/または異なるパラメータ値を含む。従って、手順B234は手順A232に比べて追加フィールドを含むはずであり、此処でその追加フィールドは1つまたはいくつかの異なる輸液型式、例えば一次/二次輸液、多チャンネル協調輸液、複数回投与手順(図4参照)を実施するための指令そして/またはパラメータを定義する。これに代わって、手順B234は手順A232と同じフィールドを含み、複数フィールドの1つの中の1またはいくつかのパラメータの項のみが異なる場合もある。例えば、両手順が薬品ドパーミンの輸液に関するものであり、1つの手順が400mg/250mLの濃度値304を有し、一方もう一つは800mg/mLの濃度値304を有する場合もあり得る。
【0029】
再び図3を参照すると、データ・ベース204の規則集モジュール250は規則そして/またはアルゴリズムを含み、これはデータ・ベース内の特定パラメータ定義の支援に使用できる。例えば、規則集モジュール250は、最大許容輸液速度またはいくつかのその他のパラメータを、ネットワーク10内の他の情報源から得られたデータ、例えば患者の年齢、体重または入院部門36からの治療履歴または検査部42からの結果に基づいて修正変更するアルゴリズムを含むことが出来る。規則集モジュール250内のその他の規則集は、ポンプ・モジュール16内の特定事象、例えば輸液ラインの閉塞等の発生に応じて警報または勧告を提供する。
【0030】
モジュール250内の更に別の規則集は、1つまたは複数の機能モジュールからの測定値を用いて、他の機能モジュールの運転を修正するアルゴリズムを含む。例えば、モジュール250は頭部損傷患者の血圧および頭蓋内圧を監視し、結果として生じる還流圧力を計算する規則集を含む。従ってシステムはその使用者に対して、還流圧力が定められた範囲外に低下した際に注意を促し、血圧を上げるかまたは頭蓋内圧を下げるように治療剤の輸液速度を調整するように勧告する。
【0031】
データ・ベース204のポンプ制限モジュール260は、輸液ポンプ・モジュール16と、必要で有ればインタフェース・ユニット14に接続されているその他のポンプの全体的運転限界を定義する。ポンプ制限モジュール260は典型的に少なくとも3つのフィールド、ライン内空気(AIL)制限262、最大速度264、および最大圧力268を含む。各々の構成データ・ベース200、202、204、206のポンプ制限モジュール260は潜在的に異なるパラメータおよび値を含むので、モジュール260は個別の構成データ・ベース200、202、204、206が作動中に、装置14が運転される運転特性またはモードを定める支援を行う。
【0032】
AIL制限262は患者に接続された輸液ライン内空気量の許容可能限界を定める。許容可能AIL限界は個々の患者または病院内の個々の場所で異なるはずである。例えば、50μLの許容限界は小児患者に設定されるかも知れないし、一方100−200μLの限界は一般成人患者に用いられ、500μLは手術室そして/または外傷性患者に用いられる。
【0033】
最大速度264は、特定構成データ・ベース20のもとで運転されている輸液ポンプに対する、最大許容輸液速度を定める。此処でも定められた最大速度264値は患者クラス、属性、場所などで異なるはずである。例えば、小児患者へのヘパリン投与最大速度は10ユニット/Kg/hrに設定されるかも知れないが、成人患者は500−1000ユニット/hrの限界を有する。
【0034】
構成データ・ベース204の機能可能/不能モジュール270は、どの個別の輸液型式、または機能がシステム14の使用者に対して、構成データ・ベース204が作動された際に利用可能であるかを定める。本発明の好適な実施例において、患者介護システム14は広範囲のその様な機能、水分補給および静脈開放保持(KVO:keep-vein-open)用途の単純一次輸液から、複雑な多チャンネル投薬用途までを支援できる。図4は本発明の1つの実施例に基づく患者介護システム14で支援される、種々の機能または輸液型式の幾つかを図示している。これらの機能は、これらに限定するわけではないが、薬剤計算402、一次/二次404、遅延開始(Del Start)406、多重投薬408、総合非経口的栄養法(TPN:Total Parenteral Nutrition)、多重ステップ412、および多重チャンネル協調輸液(MCCI:Multi-Channel Coordinated Infusion)414を含む。先に述べたように、各々のこれらの機能または輸液型式は、手順モジュール230内に格納されている個々の手順により実行される。上記の機能は以下に手短に説明されている;各々に関する更に詳細な説明は、米国特許第5,713,856号を参照されたい。
【0035】
薬剤計算402は、患者の体重、時間単位、および薬剤濃度に基づき速度または投薬量の様な、薬剤輸液パラメータの計算を可能とする機能である。例えば、システムの薬剤計算機能は使用者が下記のいずれかを行うことを可能とする:所望の薬剤投薬量を入力し、輸液ポンプ機能ユニット・マイクロプロセッサが、所望の投薬量を実現するための正しい流速を計算するか;所望の流速を入力し、ポンプ機能ユニットが対応する薬剤投与量を計算するか;または、所望の注射および期間を入力するとポンプ機能ユニットがボーラス速度とVTBLとを計算する。システムは付加的に小児薬剤計算機能424を含み、これは使用者が、例えば流速、投薬量、および希釈液体積を入力することを可能とする。これらの使用者が入力したパラメータから、システムは選択された投薬量と流速に一致する薬剤濃度が得られる、希釈剤と混合される薬剤量を計算する。薬剤計算402機能に関する更に詳細は、米国特許第5,713,856号に記載されている。
【0036】
典型的に、薬剤計算402モジュールは輸液速度データの精度を確保するために使用され、此処では使用者は輸液プログラム・データの少なくとも一部を手動で、例えばタッチスクリーンまたはキーボードを通して入力する。例えば、薬剤計算402は構成データ・ベース内に格納されているような薬剤固有手順と一緒に使用される。これに代わって、薬剤計算402機能を符号化されたラベルで識別された記憶されている手順と組み合わせて使用し、欠落しているパラメータ値を計算したりまたは新たな値を再計算させることも可能である。(例えば、処方箋が標準手順値と差がある場合。)
【0037】
一次/二次404機能は一次輸液を二次輸液液剤と一緒に利用する手順を使用することを可能とする。歴史的に、二次抗生剤を具備した一次輸液は一次および二次速度とVTBIを入力することによりプログラムされていた。本発明では、使用者は単に適切な抗生剤処方計画を輸液手順リストから選択するだけで、適切なパラメータが自動的に検索される。従って使用者は単にパラメータを確認して輸液を開始すれば良い。
【0038】
遅延開始406は輸液手順またはその他の処置の開始を、特定時間または特定の日数遅らせる。これに代わって、開始を或る特定の事象が発生するまで遅らせることも可能である。この様な事象には、これらに限定するわけではないが、測定された致命的兆候またはその他の生理学的パラメータに応答したインタフェース・ユニットからの信号、他のモジュールによる処置段階の完了、またはネットワーク10を介しシステム14で受信された信号またはデータが含まれる。
【0039】
多重投薬408は長期間に渡って1種類の薬剤を多重に投薬することを可能とする。多重投薬408機能を組み込んだ手順は典型的に輸液速度、投薬間隔、投薬数および開始時刻に関するパラメータを含む。構成データ・ベース内に格納されている他の全ての手順と同様に、格納されている多重投薬408手順は、その手順識別子(初期設定手順値からの違いに関する指令を具備していたりまたは具備していない)を含む符号化された薬剤ラベルを単にスキャンして構成データ・ベースから選択または起動される。
【0040】
TPN410は、当業者には知られている標準または特別しつらえ傾斜およ暫減手順を用いた総非経口的栄養供給を提供する。例えば、2500カロリーを8時間の間に供給するための典型的TPN手順は、最初は低速度で6から7時間の間は暫増を伴う供給を行い、徐々に減らして輸液を完了する方法を与える。
【0041】
多重ステップ412は、手順中で種々の速度/容積で薬剤を提供できると言う点でTPN410に類似している。標準430は標準多重ステップ手順を定義し、これは異なる患者でも差が無いように共通的に使用される。特別しつらえ432は特定の状況に対して特別にしつらえられた多重ステップ供給手順を定める。例えば、特別しつらえ多重ステップ手順はストレス試験中に心拍数を増加させるためのドブタミンを供給するために使用される。この様な手順は典型的に、薬剤を患者に長時間に渡って供給するプロフィールを変化させ、患者体重または年齢が個別のプロフィールを選択するための要因として用いられる。当業者は多数の特別しつらえて、多重ステップ手順を定義して使用することが可能である。
【0042】
MCCI414は多重投薬408そして/または遅延開始406機能と共に、多重モジュール、またはチャンネルから輸液される異なる溶媒を含む、複雑な協調輸液をプログラムするために使用される。図5は、本発明に基づく典型的な多重チャンネル協調輸液を手動で設定するための処理フローを図示する。ステップ500で、インタフェース・ユニットに表示された運転メニューからMCCI414機能を選択した後、使用者は保守速度/容積を入力するように促される502。次に使用者はフラッシュを所望するか否か問い合わせを受ける504。所望する場合、使用者はフラッシュ容積および期間を、ステップ508に行く前にステップ506で入力するように促される。フラッシュが不要の場合、またはフラッシュ容積および期間が入力された後、使用者は連続または間欠投薬を選択するように促される508。次に使用者は保守設定を確認するように促される510。続いて使用者は協調輸液用に使用されるチャンネルをステップ512で選択する。ステップ514は使用者に対して多重投薬を所望するか否か問い合わせる。そのチャンネルに対して多重投薬が使用される場合、使用者はステップ516で多重投薬パラメータを入力する;多重投薬が使用されない場合、使用者はステップ518で遅延開始時刻を入力するように促される。希釈520が使用される場合、使用者は希釈速度または容積を入力するように促される522。そのチャンネルに対する全てのパラメータが入力された後、使用者はステップ524で追加の輸液/チャンネルが使用されるか否か問い合わせられる。その場合、全てのチャンネルの構成が終わるまでステップ512−520が繰り返される。全チャンネルが構成されると、使用者はMCCIを開始するように促される526。
【0043】
本発明の好適な実施例によれば、図5に示されるいくつかまたは全ての処理ステップ、および入力されるべき値は構成データ・ベース内に格納されている手順により定義される。この様な場合、図5のステップは手順識別子を含む符号化されたラベルを単にスキャン読み取りしたり、またはこれに代わって所望する手順をメニューから選択し、そのパラメータ値を変更することで置き換えることが出来る。
【0044】
当業者には理解されるように、図4に示される機能および輸液型式は本発明の図示を意図したものであり、患者介護装置14は此処に説明されているもの以外のまたは異なる機能を支援することが可能である。
【0045】
本発明の好適な実施例において、図6に示されるように複数の患者介護装置12が1つのフロアーでのローカル・エリア・ネットワーク(LAN)またはユニット・サーバを介して結合されている。例えば、NICUサーバ610を有する新生児集中介護ユニット(NICU)では、複数の臨床患者介護装置650、652、654および656がユニット・サーバ610へのLAN620を通して接続されている。同様のネットワーク・サーバを病院全体、例えば小児科612、集中介護室(ICU)614、手術室(OR)616および癌科618、に用意することも可能である。ユニット・サーバ610は個別与ニットに対する構成データ・ベースを含むはずである。患者介護装置12内の構成データ・ベースは、ユニット・サーバからダウンロードする事により周期的に更新出来る。これに代わって、個々の構成データ・ベースを患者介護システム650、652、654または656での使用に向けて選択されたように、サーバからダウンロードする事も可能である。更に別の代替案は、ユニットまたは部署固有構成データ・ベースを用意し、システムが動作可能状態で部署LANに接続された際に患者介護システム650、652、654、656の中に自動的にダウンロードされる。いずれの場合も、ユニット・サーバ610、612、614、616、618内に格納された構成データ・ベース情報のいくつかまたは全てを用意することにより、データ・ベースの管理および更新が容易になる。米国特許第5,718,442号、エングレソン(Engleson)その他へ付与、これは此処に挙げることで参照されている、は臨床治療装置を病院ネットワーク、または複数ネットワークのネットワークに接続するためのシステムを記述しており、これは本発明で使用するのに適している。
【0046】
本発明の更に別の代替実施例では、患者介護装置12はネットワーク10に直接接続されていない。むしろ、情報はデータ入力装置60、使用者インタフェース54、補助インタフェース62またはその他の通信手段を用いて、間接的にネットワーク10に接続されている。この様な通信手段は、これに限定するわけではないが、RS232リンク、MIBシステム、IRリンク、WLANS、携帯型データ支援装置、メモリ・カード、携帯型記憶媒体または任意のその他の好適な通信手段を含む。間接通信はまた、例えば従来型音声またはデータ電話システムまたはセルラ電話機のいずれかによるモデムを用いて実現できる。1つの例では、個人用データ支援装置の様な携帯型コンピュータを用いて、データ・ベース情報そして/または輸液指令を薬局システム34から患者介護装置12へ転送するために使用できる。直接および間接通信の種々の使用可能な手段は、情報を連続的または周期的に患者介護装置とネットワーク10内のその他のシステム(例えば、薬局システム34、ユニット局サーバ46、検査部42等)との間で転送することを可能とする。
【0047】
再び図1を参照すると、患者介護装置12が如何にしてネットワーク10と接続または通信しているかに拘わらず、本発明の機能は、情報が少なくとも時折、ネットワーク10内の種々の部署およびシステムとの間で伝送され、患者介護装置12の機能がその他のシステムから受信した情報により変えられることである。この様な分散型、協調介護システムは資産の効率的利用と患者介護の質の改善をもたらすが、それはシステム内の種々の情報源の統合を最大化しまた利用することにより、また人間のエラーの機会を制限することにより行われる。先に説明したように、患者介護装置12がそのパーソナリティーを他の情報源から受信した情報に基づいて如何にして変えるかの1例は、特定の、処置場所固有(例えば、NICU、小児科、ICU、手術室、癌科等)、装置12の動作環境を定める、特定構成データ・ベースを選択することである。同様に、薬局34からの処方箋情報、患者治療履歴、薬物不適合性等、は装置12をプログラムしまたデータ入力エラーを最少とするために利用される。
【0048】
患者介護装置12とネットワーク10サーバ内の種々の部署またはユニット36、38、40、42、44、46、48との間のその他の通信は、介護の全体的な品質を強化する。例えば、生物医学工学部門(Biomed40)との通信は、装置12の安全性および効果性を保証し、資産の効率的利用を最適化する。資産位置確認は装置に対してそれらのシリアル番号および位置を問い合わせることで成し遂げられる。先に述べたように、装置12の位置はその装置のネットワークへの接続またはそれ自身、およびそのネットワークへの位置を識別するための何らかのその他の手段により、自動的に決定できる。予防保全手続きおよび装置診断は遠隔的にまた使用者からは見えないように実施出来る。問題が発生すると、大局的装置挙動の診断的分析が遠隔的に行える。この情報はまた運転を継続したまま品質管理装置として収集することが出来る。装置利用データを収集し装置の最適配分を行うことが可能である。製品更新または保守手続きの時期が来ると、装置使用者インタフェース上に警告が配信されて、差し迫った必要性を表示する。同様に資源の利用もまた中央備品供給部44から管理される。それらはまた生物医学工学部門グループと同様の効果から利益が得られる。治療装置の位置および使用はこのデータに基づいて監視よび最適化出来る。
【0049】
患者が最初に入院部門に入院を許可された際に、その患者に関する種々のデータが病院の情報システムの中に入力され、患者の性別、身長、体重、病状、薬物アレルギー等を含む。この情報は治療装置12により使用出来て、使用者に対して潜在的問題、例えば医薬品副作用、不適合投薬計画および見込みのない薬剤処方箋などを忠告出来る。これらはプロンプトとして介護設備に直接表示されたり、または所定のパラメータを超えて使用することを素早く制限することで表れる。患者監視の応用では、推奨警報制限値、監視周期性などを含んでいても良い。
【0050】
会計部門38は治療装置の使用、特にその使用に関する証拠文書、または特定薬剤の投薬に関する情報に頼っており、顧客に対する請求を効果的にしている。種々の取り組みをそれらの発生源とは独立して追跡出来る能力は、それらの相互チェック方法を提供し、結果的に効率改善をもたらす。
【0051】
ユニット局46、例えば個々の病院ユニット内の看護婦室、内のネットワーク接続されたコンピュータ端末は介護提供者が、分散型協調介護ネットワーク10の中に接続された任意の場所から遠隔的に、介護のコースおよび患者の生命兆候にアクセスすることを可能としている。介護のパラメータ(流速、PCAパラメータ、投薬量、監視間隔、警報制限値など)は、ネットワーク内の任意の位置から、必要な認証を用いて変更することが出来る。装置読み取り値履歴、輸液現場監視および背圧読み取り値、同様に輸液および改訂されたパラメータおよび監視制限値、は遠隔的に見直すことが可能である。
【0052】
非制限的例として、本発明に基づく患者介護システムの使用について、処方された処置を1人の患者に対して提供するための患者介護装置12を構築する手順を参照して、以下に更に詳細に説明されている。
【0053】
ほとんどの病院は一般的に、薬物療法の公認様式を有しており、それは治療薬剤が典型的にどの様に使用されるかを定めている。本発明に基づく患者介護管理システムが最初に確立されると、病院委員会が形成されてその処方書が如何にして患者介護装置12に適用されるかが決定される。構成定義(例えば、例えばICU、NICU、小児科、癌科、手術室などの様な病院ユニットによる)が合意され、薬剤および典型的輸液手順が確立される。加えて、全てのぎりぎりの限界、またはガード・レイル、条件が定義される。この情報は薬剤ライブラリ・エディタおよび構成管理プログラム、輸液管理システム例えば(アラリス・医療システム、サンディエゴ、カリフォルニア)に入力される。
【0054】
全ての定義が完了すると、構成が開放される。次に指示によってポンプは、構成データ・ベースをそれらのいくつかのポンプまたは全ての中に転送する事により更新される。データ・ベース情報の転送は典型的にネットワーク転送チャンネル34を介して行われる。これに代わってデータ・ベースは取り外し可能媒体、携帯型コンピュータ、個人データ支援装置、または任意のその他の患者介護装置12へ情報を転送するための適切な手段を用いて、ダウンロード/更新できる。
【0055】
治療が正しい患者に施行されることを保証することが本システムの主要な要素である。病院に入院すると全ての患者には典型的に識別番号(患者ID)および関連する腕輪が発行される。腕輪上または腕輪の内部に患者IDがテキスト形式および符号化形式で印字されている。符号化IDには種々のオプションが存在する。例えば、腕輪はバーコード、磁気ストリップ、または符号化識別情報を記憶できる任意のその他の手段を利用できる。所望する構成データ・ベースもまた腕輪の上に記録することができる。例えば、子供は小児科構成データ・ベースが使用される識別子を具備した腕輪を持っているはずである。
【0056】
本発明の1つの実施例に基づく特定の構成データ・ベースを用いて、装置を構築する際に含まれる処理ステップが図7に示されている。装置12の電源が投入され700、内部システム・チェック704が実行された後、装置は使用者インタフェース54上に、現患者そして/または現位置に関する情報が表示される708。本発明の1つの実施例では、この情報は装置の最終使用から呼び出される。これに代わって、装置の位置そして/または患者識別子は、ネットワーク10そして/または病院内のLAN接続を通して受診された情報により決定できる。例えば、図5を参照するとLAN620によりNICU610内のサーバに接続された装置650は、そのサーバからBed1の配置されるべきとの情報を受信し、特定の患者はそのベッドに計画される。従って、装置650はその情報を初期設定患者および位置として利用する。これに代わって、装置650が自動的にその病院内での位置を、センサまたはその他のその位置をユニークに決定する手段を用いて決定することも可能である。センサは此処では広い意味で装置の位置をセンスまたは検出するための任意の装置または手順として定義されており、これに限定する訳ではないが、ネットワーク受容器またはポート・アドレス、ネットワーク・アダプタ、プログラムされた位置命令、位置を示す病院記録、IRセンサまたはタグ、RFセンサまたはタグ、磁気センサまたはタグ、または装置650の位置を検出するためのその他の任意の手段を含む。
【0057】
ステップ712で装置は使用者にその患者の情報が正しいか否かを問い合わせる。その患者が装置にとって新たな患者である場合、または情報が欠けているかまたは正しくない場合、使用者は患者IDをステップ716で入力する。患者IDは典型的に入力装置60を使用して、例えば、患者識別情報を含む患者の符号化された腕輪をスキャン読み取りする事により入力される。これに代わって、患者IDをキーボード、キーパッド、またはその他のインタフェース装置54を使用して手動で入力することも可能である。現在の構成データ・ベースが欠落しているか、または正しくない場合720、使用者は適切な構成データ・ベース(例えば位置、患者、主治医など)を選択するように促される。これに代わって、適切な構成データ・ベースIDを患者の識別腕輪からシステムの中にスキャンして読み取ったり、または患者識別子、位置またはその他の患者固有情報がひとたび装置12の中に入力されていると、メモリまたはネットワーク10内の別の位置から自動的に読み取ることも可能である。
【0058】
主治医がIVを注文すると、その注文は典型的に最初に薬局(此処で、それは病院の薬局システム34に入力される)に送られる。ほとんどの病院は薬局コンピュータ・システムを含み、これは既に与えた薬剤と、同様に将来処方されるそれらの記録とを保守することが出来る。ほとんどの市販の薬局システムは、処方箋入力/薬剤調剤処理手順の一環として有害な薬物相互作用をチェックすることが可能である。
【0059】
本発明の好適な実施例によれば、注文が入力された後処方箋が準備される。その薬剤が薬局内で調剤されて供給される場合、その処方された薬剤が準備され容器の中に収納される。続いて薬局システム34は病院薬局ソフトウェアからの輸液注文をラベル上に、符号化されたメッセージと添付のテキストと共に翻訳する。このラベルは好適に少なくとも下記の情報を含む:患者ID、輸液手順指示、必要で有れば輸液手順偏差または偏差分、および輸液の予定時間。このラベルは処方箋がユニット看護婦室に転送される前に薬剤容器に貼り付けられる。薬剤は好適に薬局から看護婦室まで、病院の人間によりまたは薬剤配送キャビネットに入れられて、看護婦室の近くまで輸送される。これに代わって、薬剤をロボット・システム、例えばPYXISシステム(ピクシス社(Pyxis Corporation)サンディエゴ、カリフォルニア)を用いて輸送する事も可能である。薬剤がユニット看護婦室から配布される場合は、同一型式のラベルが看護婦室で印字されて薬剤容器に貼り付けられる。
【0060】
適切な時刻に、ラベルを貼られた薬剤容器は患者のいる場所に持って行かれる。バーコード読み取り機(またはその他のデータ入力装置)を使用して符号化された薬剤ラベル、患者の符号化されたID腕輪および介護器具のIDバッジ、およびオプションとして補助処方箋情報または、ラベルまたは添付指令の上に印字された治療装置構成指令(構成データ・ベースIDを含む)をスキャンして読み取る。スキャン読み取りされた情報はメモリ58の中に格納され、一方装置12は最初にスキャンされたデータを比較して、薬剤ラベル上の患者情報に対応する患者同一性を確認し、処方箋は適切な時刻に投薬される。正しい患者、処方箋および時刻が認証された後、装置12は起動中の構成データ・ベースから、容器ラベル上で識別された手順またはその他のプログラム情報を呼び戻す。初期設定パラメータ値は処方箋内に含まれた全ての偏差情報に基づいて調整される。使用者は、タッチ・パッド、バーコード読み取り機、または任意のその他の適切な手段を用いて、欠落しているまたは不完全データを入力するように促される。オプションとして、データのいくつかはネットワーク10または、適切な部署サーバーから、入力された患者ID、介護機器ID、使用者指令などに基づいて自動的に得ることができる。全ての要求された設定の入力がなされると、中央ユニット14はそれらの値を、シリアルにまたは1つまたは複数グループとして、確認のために使用者に表示する。全ての情報が入力され確認されると、インタフェース・ユニットは、処方された処置を実施するために機能モジュールをプログラムする。
【0061】
処方箋ラベルまたは、その他の処置指令が多重手順およびその他の指令を識別することは注意されたい。多重手順(または単一複雑手順)は、装置12で実施されるべき複数の動作を定義する。例えば、処方箋ラベルまたは処方箋指令は、多重チャンネルおよび輸液溶液を含む多重チャンネル協調輸液手順を識別する。加えて、同一指令は機能モジュールまたは補助装置をプログラミングするための手順(または詳細命令)を識別し、患者の生理的パラメータ、例えば血圧、心拍数、酸素飽和量、呼吸数など監視する。インタフェース・ユニット14は測定されたパラメータを監視し、動作中の規則集およびその他の構成指令に依存して、生理的監視装置から受信された信号に基づいて輸液パラメータを修正することが可能である。その様なフィードバック・システムは薬剤の点滴、麻酔の管理、または血圧の調整に有用であろう。
【0062】
本発明の種々の実施例を説明してきた。記述は例示を目的としたものであり、制限するものではない。従って当業者には、記述された本発明に対して添付の特許請求の範囲から逸脱することなく改変を加えうることは明らかであろう。
【0063】
本出願は米国特許出願、出願番号第09/379,212号、1999年8月23日出願の継続出願であり、この第09/379,212号出願は米国特許第5,941,846号、名称「モジュール式患者介護システム内の電力接続方法および装置」、1997年7月9日申請の継続出願であり、これは米国特許第5,713,856号、名称「モジュール式患者介護システム」、1995年3月13日申請の継続出願である。これらの関連出願は此処に挙げることで全体を参照されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者介護装置を運転するための方法であって:
ポンプである前記患者介護装置のメモリ内に格納されている複数の構成データ・ベースから1つの構成データ・ベースを活性化し、前記複数の構成データ・ベースの各々は患者介護を提供するための選択された運転モードを定義し、該各運転モードは前記患者介護装置を運転するためのパラメータを定義する少なくとも1つの手順を含み;
前記患者介護装置を前記活性化された構成データ・ベースに基づいて動作するように構成し;
前記手順を前記活性化された構成データ・ベースから選択し;
前記患者介護装置を該選択された手順で定義された運転パラメータに基づいて運転する、手順を含む前記方法。
【請求項2】
患者介護装置を制御するための方法であって:
薬剤投与手順識別子を含む符号化されたラベルを印刷し;
そのラベルを薬剤が入れられている容器に貼り付け;
該容器を前記患者介護装置に搬送し;
前記手順識別子を前記患者介護装置の中に入力し;
患者介護装置内のメモリから、前記識別子で識別された患者介護を提供するための選択された運転モードを示す、複数の投薬パラメータおよび初期設定値を含む特定手順を読み出し;
該特定手順に基づいて前記患者介護装置を制御する、手順を含む前記方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−87970(P2011−87970A)
【公開日】平成23年5月6日(2011.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−3275(P2011−3275)
【出願日】平成23年1月11日(2011.1.11)
【分割の表示】特願2002−568155(P2002−568155)の分割
【原出願日】平成14年2月25日(2002.2.25)
【出願人】(505403186)ケアフュージョン 303、インコーポレイテッド (69)
【Fターム(参考)】