説明

情報処理システム、そのシステムを構成する送信装置及び受信装置

【課題】蓄電装置の受取及び交換の対象車両を特定する情報処理システムと、そのシステムを構成する送信装置及び受信装置を提供する。
【解決手段】情報処理システムは、第1の車両10と、第1の車両以外の車両20と、センタ30と、から構成される。第1の車両10は、目的地110に到着できないと判断された場合、センタ30に蓄電装置の交換要求信号を送信する。センタ30は第1の車両10から交換要求信号を受信した場合、第1の車両以外の車両20の蓄電装置の蓄電量を取得する。センタ30は蓄電装置の交換条件を満している第1の車両以外の車両20を交換対象車両20aとみなし、第1の車両10及び交換対象車両20aに蓄電装置交換ステーション100の位置情報を送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は蓄電装置の受取及び交換の対象車両を特定する情報処理システムと、そのシステムを構成する送信装置及び受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
運転者が電気自動車を運転している場合、バッテリの残存容量がなくなってしまうことを避けるために、蓄電装置を交換する方法が知られている。例えば、バッテリの残電気容量が所定値まで低下したとき、バッテリスタンドにおいて充電されたバッテリと交換する技術が開示されている(例えば、特許文献1を参照。)。これより、電気自動車のバッテリ切れを回避することができ、運転者は安心して電気自動車を運転することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−102110号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、蓄電装置の蓄電量や、蓄電装置の種類等、蓄電装置に対する運転者のニーズは多種多様であり、それらのニーズを満たす蓄電装置をバッテリスタンドで準備するのには限界があった。
【0005】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、その目的の一つは、運転者のニーズにより合った蓄電装置の受取及び交換が可能な情報処理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために本発明にかかる情報処理システムは、第1の車両が前記第1の車両以外の車両から蓄電装置の受け取りを要求する要求信号をセンタに送る第1の手段と、前記センタが前記第1の車両以外の車両の蓄電装置の蓄電量を取得する第2の手段と、前記要求信号が前記センタに送られた場合、前記蓄電量に基づいて前記第1の車両が蓄電装置を受け取る対象車両を特定する第3の手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、運転者のニーズにより合った蓄電装置を受取及び交換をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかる情報処理システムの概略を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施形態にかかる情報処理システムの構成を示す図である。
【図3】図1に示した各車両の各種情報を示す表である。
【図4】図1に示した第1の車両が実行する制御フローチャートである。
【図5】図1に示したセンタが実行する制御フローチャートである。
【図6】第1の車両10と交換対象車両20aとが蓄電装置を交換した場合の各車両の距離情報を示す表である。
【図7】第1の車両の蓄電装置と蓄電装置交換ステーションの蓄電装置との交換を示す図である。
【図8】本発明の第2の実施形態にかかる情報処理システムの概略を示す図である。
【図9】本発明の第2の実施形態にかかる第1の車両以外の車両が実行する制御フローチャートである。
【図10】本発明の変形例にかかる情報処理システムの概略を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の第1の実施形態にかかる情報処理システムについて図面を参照しながら説明する。
<情報処理システムの概略>
はじめに本発明の第1の実施形態にかかる情報処理システムの概略を、図1を参照しながら説明する。情報処理システムは、図1に示すように、第1の車両10と、第1の車両以外の車両20のうちの交換対象車両20a及び非交換対象車両20b1(20b2。)と、センタ30と、から構成される。
【0010】
第1の車両10は、目的地110に向かっていると想定し、目的地110に到着できないと判断された場合、センタ30に蓄電装置の交換要求信号を送信する。センタ30は第1の車両10から交換要求信号を受信した場合、第1の車両以外の車両20の蓄電装置の蓄電量を取得する。センタ30は蓄電装置の交換条件を満たしている第1の車両以外の車両20を交換対象車両20aとみなし、第1の車両10及び交換対象車両20aに蓄電装置交換ステーション100の位置情報を送信することで、蓄電装置の交換を支援する。
【0011】
次に、本発明の第1の実施形態にかかる情報処理システムの第1の車両10、第1の車両以外の車両20及びセンタ30の構成について図2を参照しながら説明する。
<第1の車両10の構成>
第1の車両10は、本発明の実施形態において蓄電装置の交換を要求する車両であり、車両ECU11と、送受信装置12と、位置情報検出装置13と、経路算出装置14と、蓄電装置15と、蓄電量管理装置16と、を備える。
【0012】
車両ECU(車両制御装置)11は、周知のマイクロコンピュータを含む電気回路であり、送受信装置12、位置情報検出装置13、経路算出装置14、蓄電装置15、及び蓄電量管理装置16と信号の交換が可能となるように電気的に接続されている。車両ECU11は、送受信装置12を通して所定の情報(例えば、第1の車両10の位置情報、目的地情報及び蓄電装置の蓄電量等。)を第1の車両以外の車両20及びセンタ30に送るとともに、第1の車両以外の車両20及びセンタ30から送信された所定の情報(例えば、蓄電装置交換ステーションの位置情報等。)を受け取るようになっている。
【0013】
送受信装置12は、例えば車両に着脱可能なカーナビゲーションや持ち運び可能な携帯電話端末が挙げられる。送受信装置12は、第1の車両10と接続可能となっている。ここで、「接続可能」とは「送受信装置12は第1の車両10と所定の情報(例えば、第1の車両10の位置情報、目的地情報及び蓄電装置の蓄電量等。)に関する信号の交換をするために電気的に接続することが可能」であることを意味する。
【0014】
位置情報検出装置13は、例えば全世界測位衛星システム(Global Positioning System:GPS。)受信機であり、複数の人工衛星から発信される電波であるGPS情報を受信することにより、第1の車両10の位置情報を所定時間の周期で検出するようになっている。このように検出された第1の車両10の位置を地図上の道路位置に対応させるように補正するマップマッチング法を用いることにより、位置情報検出装置13は、精度良く第1の車両10の位置情報を検出するようになっている。位置情報検出装置13は、道路交通情報通信システム(VICS。)を介して、渋滞情報、所要時間、事故・故障車、工事情報、速度規制・車線規制情報等を取得し、車両の走行時間等を算出する際に参照してもよい。また、位置情報検出装置13は、携帯電話等のインターネットを介して、経路上及び移動先等の天気情報を取得し、蓄電装置の放電時間の算出に参照してもよい。
【0015】
経路算出装置14は、例えばカーナビゲーションであり、CD−ROM、ハードディスク(HDD。)及びインターネット等を介して、道路形状及び起伏情報等の道路地図情報を受け取る手段を備えている。運転者が目的地を設定すると、GPSで受信した現在地情報と、運転者が設定した目的地と、道路地図情報と、から目的地までの最適経路を選択して、選択した最適経路を運転者に案内するようになっている。
【0016】
蓄電装置15は、例えばバッテリとキャパシタ等があり、繰り返し使用することができる電池である。バッテリは電極での化学反応によって電気エネルギーを蓄える。バッテリは通常の充電装置を用いることにより数時間程度の充電時間で満充電できる。また、専用の急速充電装置を用いる場合、数十分程度の充電時間で充電できるが、バッテリは高温になり電解液が劣化し寿命を縮めることを防ぐために80%までの充電しか行わないことが一般的である。
【0017】
一方、キャパシタは電極間に電位差を設けることによってイオン分子が電荷を蓄える。キャパシタとバッテリとを比較すると、キャパシタは短時間で充放電が行えるが、充電できる電圧が数V程度となるため高電圧が必要ならば直列接続が必要となる。
【0018】
蓄電装置の充電時間が長時間かかる場合、蓄電装置の交換は短時間で行えるため特に有効である。
【0019】
蓄電量管理装置16は、蓄電装置15の蓄電量を計測及び管理する装置である。蓄電量管理装置16は、例えば満充電時に蓄電装置15の開放端子電圧Vから推定できる残存蓄電量を基準値として、この基準値を蓄電装置15の放電時や充電時の電流Iに基づいて放電や充電に応じて増減する容量分を補正していくようにして蓄電装置15の蓄電量を推定するようになっている。
【0020】
蓄電装置15の蓄電量は、走行に使用されるだけではなく車両内外システムを制御するために蓄電量を消費するようになっている。例えば、走行必要蓄電量(純粋に走行に利用できる蓄電量)の他に、夜間用必要蓄電量(夜間走行中に走行以外で必要な蓄電量:ランプやメータ類の点灯等)及び快適性必要蓄電量(走行中に車両を走行させる以外に必要な蓄電量:エアーコンディショナーやオーディオ類の使用等)が挙げられる。また、蓄電装置の消費量は走行距離、時刻及び気温等の外的要因によって変動するようになっている。
<第1の車両以外の車両20の構成>
第1の車両以外の車両20は交換対象車両20a及び非交換対象車両20bに分けられる。センタ30が第1の車両10と蓄電装置15を交換する条件を満たしていると判断した場合、第1の車両以外の車両20を交換対象車両20aと特定する。一方、センタ30が第1の車両10と蓄電装置15を交換する条件を満たしていないと判断した場合、第1の車両以外の車両20を非交換対象車両20bと特定する。
【0021】
第1の車両以外の車両20(交換対象車両20a及び非交換対象車両20b。)の構成は、第1の車両10の構成と同様とする。第1の車両以外の車両20の各種装置21〜26は第1の車両10の各種装置11〜16に対応する。
<センタ30の構成>
センタ30は、センタECU31と、送受信装置32と、交換車両特定装置33と、記憶装置34と、を備える。
【0022】
センタECU31は、送受信装置32、交換車両特定装置33、記憶装置34と信号の交換が可能となるように電気的に接続されている。センタECU31は、送受信装置32を通して第1の車両10及び第1の車両以外の車両20から所定の情報(例えば、第1の車両10からの蓄電装置15の交換要求信号或いは第1の車両10及び第1の車両以外の車両20の位置情報等。)を受け取るとともに、所定の情報(例えば、蓄電装置交換ステーションの位置情報等。)を第1の車両10及び第1の車両以外の車両20へ送信するようになっている。
【0023】
交換車両特定装置33は、第1の車両10と蓄電装置の交換する対象車両を特定する。交換車両特定装置33は、第1の車両10及び第1の車両以外の車両20の現在地、目的地、蓄電装置の蓄電量、蓄電量から算出した走行可能距離等を考慮して、複数の車両のうちから対象車両を特定する。
【0024】
記憶装置34は、蓄電装置を交換において交換要求を受ける側の運転者に与えるポイントを格納する。
【0025】
一般的に、蓄電装置の交換要求を受ける側の運転者は時間をかけてまで蓄電装置の交換をすることにメリットがないことがある。また、現在使用している蓄電装置より交換対象の蓄電装置が古い場合等、交換対象となる蓄電装置の型式、使用年数、充電回数及び蓄電量によって、蓄電装置の交換要求を受ける側の運転者は蓄電装置の交換に抵抗感を抱くことがある。このような状況であれば、蓄電装置の交換要求を受ける側の運転者は、交換要求に従わないことが起こりうるため、蓄電装置を交換することを促すために、蓄電装置の交換によりポイントを与える。運転者は付与されたポイントを優先道路の使用及び買い物でのサービス等に使用することができる。
【0026】
以下、図1に示すように第1の車両10が第1の車両10の目的地110へ走行し、第1の車両以外の車両20がそれぞれの目的地(交換対象車両20aは交換対象車両の目的地120。)へ走行している状況を想定しながら、情報処理システムの制御について説明する。また、各車両の各種情報(現在位置、蓄電装置の蓄電量等)について、図3の各種情報テーブルtbl1に示している。
【0027】
情報処理システムが行う制御について図4及び図5に示したフローチャートと図3に示した各種情報テーブルtbl1とを参照しながら説明する。
【0028】
先ず、運転者が電気自動車である第1の車両10を運転し始め、希望する目的地を設定すると、車両ECU11は図4に示した蓄電装置交換プログラムを開始してステップ400に進む。車両ECU11は位置情報検出装置13から第1の車両10の現在地情報を取得する。車両ECU11はステップ405に進み、位置情報検出装置13から第1の車両10の目的地110までの距離情報を取得する。例えば、図3に示す現在地は緯度43°04′N、経度139°46′Eであり、目的地までの距離は10kmである。車両ECU11は第1の車両10の目的地110までの距離情報を取得すると、ステップ405に進む。
【0029】
次に、車両ECU11は、蓄電量管理装置16から蓄電装置15の蓄電量を取得する。図3に例として10%とパーセント表示しているが、蓄電量の表示方法は発電量(W)に充電時間(h)を乗じた数値(例えば、2kWh。)であってもよい。ここで示している蓄電量は、前述したように総蓄電量から夜間用必要蓄電量及び快適性必要蓄電量を減じた走行必要蓄電量である。車両ECU11は、第1の車両10の蓄電量を取得するとステップ415に進み、取得した蓄電量から第1の車両10の走行可能距離を算出し、図3で示しているように、走行可能距離は5kmである。車両ECU11は、経路算出装置14で取得した走行予定経路の状況(例えば、道路形状や起伏等。)を考慮して、蓄電装置15の消費量を推定し、走行可能距離を算出する。
【0030】
車両ECU11は、ステップ420に進み、第1の車両10から近い距離に設置されている複数の蓄電装置交換ステーション100を取得する。車両ECU11は蓄電装置を交換する蓄電装置交換ステーションを複数取得することにより、蓄電装置を交換できる候補の場所を増やし(地域を拡大し)、蓄電装置の交換対象車両の候補を多く抽出することができる。例えば、図1に示したように、車両ECU11は、第1の車両10から500m〜2kmの間に設置されている3台の蓄電装置交換ステーション(100a、100b1及び100b2。)の位置情報及び蓄電装置交換ステーションまでの距離を取得する。
【0031】
ここで、車両ECU11はステップ425に進み、第1の車両10が目的地110まで到達可能であるかを判断する。具体的には、ステップ405で取得した現在地から目的地110までの距離とステップ415で取得した走行可能距離とを比較する。走行可能距離が目的地までの距離を上回っている場合、車両ECU11はステップ400に戻り、再び現在地情報を取得する。
【0032】
一方、図3に示したように、現在地から目的地110までの距離が10kmであって、走行可能距離が5kmの場合、車両ECU11は第1の車両10の目的地110まで到達できないと判断し、ステップ430に進む。車両ECU11は、センタに対して蓄電装置の交換要求信号を第1の車両10の現在地、目的地、蓄電装置15の蓄電量及び蓄電装置交換ステーション100までの距離及び位置情報を送受信装置12から送信する。
【0033】
ここから、制御の主体をセンタ30に代えて、図5に示すようにセンタ30が実行する制御フローチャートについて説明する。センタECU31は、ステップ500である蓄電装置15の交換要求信号を受信したかを監視する。センタECU31は交換要求信号を受信していないと判断したとき、所定時間後に交換要求信号を受信したかを監視する。センタECU31は蓄電装置15の交換要求信号を受信したと判断したとき、ステップ510に進む。
【0034】
センタECU31は交換要求信号とともに受信した、第1の車両10の現在地、目的地、蓄電装置15の蓄電量、蓄電装置交換ステーション100までの距離及び位置情報を取得する。また、センタECU31は第1の車両10以外の複数の第1の車両以外の車両20からも、第1の車両以外の車両20の現在地、目的地、蓄電装置25の蓄電量、蓄電装置交換ステーション100までの距離及び位置情報を取得する。第1の車両以外の車両20は第1の車両10と同様に図4に示した制御フローチャートを実行している。すなわち、車両ECU11がステップ400で取得した現在地情報と、ステップ405で取得した目的地情報と、ステップ405で取得した蓄電量と、ステップ405で取得した現在地から蓄電装置交換ステーションまでの距離情報及び位置情報と、を第1の車両以外の車両20の車両ECU21も同様に第1の車両以外の車両20の各種情報を取得している。
【0035】
具体的には、図3に示したように、センタ30は第1の車両以外の車両20(交換対象車両20a及び複数の非交換対象車両20b。)の現在地情報(41°02′N、140°02′E等。)、目的地までの距離(3km等。)、蓄電量(40%等。)、蓄電装置交換ステーションまでの距離(1km等。)を受信する。センタECU31は第1の車両10及び複数の第1の車両以外の車両20の各種情報を取得するとステップ520に進み、第1の車両10の蓄電装置15と蓄電装置を交換する候補車両を検索する。
【0036】
候補車両の検索例として、センタECU31は複数の車両からそれぞれの車両に近い(或いはそれぞれの車両の目的地への経路上に近い等。)複数の蓄電装置交換ステーションの位置情報を取得している。センタECU31は第1の車両10が送った蓄電装置交換ステーションと複数の第1の車両以外の車両20が送った蓄電装置交換ステーションとが一致しているか否かを判断する。例えば、図1において第1の車両10が送った複数の蓄電装置交換ステーションのうち蓄電装置交換ステーション100aがあり、第1の車両以外の車両20(交換対象車両20a)が送った複数の蓄電装置交換ステーションのうち蓄電装置交換ステーション100aがあった場合、第1の車両以外の車両20(交換対象車両20a)を交換の候補車両のうちの1台と判断する。センタECU31は前述の処理を所定距離の範囲内にいる第1の車両以外の車両20に対して繰り返し行う。
【0037】
センタECU31は蓄電装置交換の候補車両の検索を終えると、ステップ530に進み、交換車両特定装置33が蓄電装置の交換の対象車両を特定できたかどうかを監視する。図6の蓄電装置交換ステーションにおける車両の距離情報tbl2を参照しながら、複数ある第1の車両以外の車両20から交換対象車両20aと特定する方法について考える。ここで、前述の候補車両の検索で示したように、第1の車両10と第1の車両以外の車両20(交換対象車両20a)とがそれぞれ送信した蓄電装置交換ステーションのうち、蓄電装置交換ステーション(100a)が一致したとする。
【0038】
まず、センタECU31は第1の車両10及び第1の車両以外の車両20(交換対象車両20a)が蓄電装置交換ステーション100aに到着したときを想定する。ここで、センタECU31がステップ510で取得した走行可能距離及び蓄電装置交換ステーションまでの距離情報から、蓄電装置交換ステーションに到着したときの蓄電装置の蓄電量から走行可能距離を算出する。例えば、図6に示しているように、第1の車両10の走行可能距離は4km、第1の車両以外の車両20(交換対象車両20a)の走行可能距離は19kmである。
【0039】
センタECU31は、それぞれの蓄電装置を交換することによって、走行可能距離を交換後の蓄電装置の蓄電量から算出し、交換後の走行可能距離と蓄電装置交換ステーションにおける目的地までの距離とを比較する。図6に示すように、第1の車両10及び第1の車両以外の車両20(交換対象車両20a)の交換後の走行可能距離はそれぞれ19km、4km、蓄電装置交換ステーションにおける目的地までの距離はそれぞれ9km、2kmである。
【0040】
センタECU31は、第1の車両10及び第1の車両以外の車両20(交換対象車両20a)のそれぞれが蓄電装置を交換した後において、蓄電装置交換ステーションからそれぞれの目的地まで到達できるか判断する。センタECU31はそれぞれの車両が目的地に到達できる場合、第1の車両以外の車両20(交換対象車両20a)を交換対象車両20aと特定する。図6に示すように、第1の車両10および第1の車両以外の車両20(交換対象車両20a)は、走行可能距離(19km及び4km)が蓄電装置交換ステーション100aにおける目的地までの距離(9km及び2km)より大きいので、第1の車両以外の車両20を交換対象車両20aと特定する。交換対象車両20aが特定された場合、センタECU31はステップ540に進み、送受信装置32を介して蓄電装置15を交換する蓄電装置交換ステーション100aの位置情報を第1の車両10及び交換対象車両20aに送信する。
【0041】
車両ECU11は、図4に示したように、ステップ430の各種情報をセンタ30に送信した後、ステップ435に進む。車両ECU11は、蓄電装置15を交換する蓄電装置交換ステーション100aの位置情報を受信したか否かを監視し、蓄電装置交換ステーション100aの位置情報を受信するとステップ440に進む。車両ECU11は、経路算出装置14に蓄電装置交換ステーション100aへ誘導させる処理を行う。
【0042】
車両ECU11は、第1の車両10を蓄電装置交換ステーション100aまで誘導し、到着後、ステップ445に進み、蓄電装置15が交換されたか否かを監視する。蓄電装置15が交換されると、車両ECU11はステップ450に進み、センタ30に蓄電装置の交換が行われたことを示す蓄電装置交換終了信号を送信する。車両ECU11は、蓄電装置交換終了信号を送った後に、蓄電装置交換制御プログラムを終了する。
【0043】
センタECU31は、図5に示すように、ステップ540において蓄電装置交換ステーション100aの位置を第1の車両10及び交換対象車両20aに送信するとステップ550に進む。センタECU31は、第1の車両10及び交換対象車両20aから蓄電装置の交換が行われたことを示す交換終了信号を受信したか否かを監視する。交換終了信号を受信すると、センタECU31はステップ560に進み、蓄電装置を交換したことのインセンティブであるポイントを計算し、交換対象車両20aのポイントを加算して記憶装置34に格納する。
【0044】
一方、センタECU31はステップ530において、蓄電装置15の交換の対象車両を特定できなかった場合、ステップ570に進む。センタECU31は蓄電装置交換ステーション100の蓄電装置の在庫情報を取得し、ステップ580に進む。例えば、図7に示すように、蓄電装置交換ステーション100aは蓄電装置3個を保管しており、蓄電装置交換ステーション100bは蓄電装置の保管はない。この場合、センタECU31は蓄電装置の在庫のある蓄電交換ステーション100aの位置情報を第1の車両10に送信する。以下、ステップ540において、蓄電装置15を交換する蓄電装置交換ステーション100aの位置を通知した後と同様の処理が行われ、蓄電装置の交換が終了すると蓄電装置交換プログラムを終了する。
【0045】
この情報処理システムによれば、蓄電装置の交換要求信号を受信したセンタが、交換車両のそれぞれが目的地に到達できるように交換車両を特定する。以上のように、運転者のニーズにより合った第1の車両10に最適な蓄電装置と交換させることができる。
【0046】
次に、本発明の第2実施形態に係る情報処理システムについて説明する。
【0047】
第2実施形態に係る情報処理システムは、第1実施形態に係るセンタが備える蓄電装置の交換支援に代えて、第1の車両10及び第1の車両以外の車両20がセンタを介すことなく、車々間で通信することにより蓄電装置の交換を成立させる点において、第1実施形態と相違している。第2実施形態に係る情報処理システムによれば、第1の車両10が蓄電装置15の交換要求信号を第1の車両以外の車両20に送り、第1の車両以外の車両20が蓄電装置の交換条件を満たしているならば、蓄電装置を交換する蓄電装置交換ステーション100aの位置情報を第1の車両10に送信することで、蓄電装置の交換を成立させることができる。以下、第2実施形態につき、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0048】
図4に示したように、第1の車両10の車両ECU11が目的地110まで到達することができないと判断した場合、ステップ430において、蓄電装置の交換要求信号を第1の車両以外の車両20のうちの交換候補車両に送信する。車両ECU11は交換要求信号とともに現在地、目的地、蓄電量、蓄電装置交換ステーションまでの距離及び位置情報を送信する。前述する第1の車両以外の車両20のうちの交換候補車両とは、例えば、第1の車両10の周囲半径10kmの第1の車両以外の車両20が考えられる。
【0049】
第1の車両以外の車両20のうちの交換候補車両に制御の主体がかわり、図9に示したように、交換候補車両の車両ECU31はステップ700において、蓄電装置15の交換要求信号を受信したか否かを判断する。車両ECU31は交換要求信号を受信した場合、ステップ710に進み、位置情報検出装置22から交換候補車両の現在位置情報を取得する。車両ECU31はステップ720に進み、経路算出装置23から蓄電装置交換ステーション100を経由して目的地120までの走行距離を算出する。
【0050】
車両ECU31は、ステップ730及びステップ740において、蓄電装置管理装置25から蓄電装置25の蓄電量を取得し、取得した蓄電量から走行可能距離を算出する。
【0051】
車両ECU31は、ステップ750に進み、交換候補車両が交換要求車両(第1の車両10)の蓄電量を使用して目的地120まで到達可能であるか否かを判断する。これより、交換候補車両が交換後の蓄電装置を使用することにより目的地に到達できなくなることを避けることができる。また、車両ECU31は、ステップ760に進み、交換要求車両(第1の車両10)が交換候補車両の蓄電量を使用して目的地110まで到達可能であるか否かを判断する。これより、交換要求車両(第1の車両10)が交換後の蓄電装置を使用することにより目的地に到達できなくなることを避けることができる。
【0052】
両者が蓄電装置の交換後に目的地へ到着できると判断された場合、ステップ770に進み、車両ECU31は蓄電装置交換ステーション100aの位置情報を交換要求車両(第1の車両10)に送信する。その後は、第1実施形態と同様に処理される。ただし、図4に示されるように、ステップ450の交換終了信号はセンタへ送信する。
【0053】
一方、ステップ750において、交換候補車両が目的地120に到達できない場合、及び交換要求車両(第1の車両10)が目的地110に到達できない場合、車両ECU31はステップ780に進み、蓄電装置交換ステーション100の蓄電装置在庫情報を取得する。車両ECU31は、蓄電装置在庫情報を取得すると、ステップ790に進み、蓄電装置の在庫のある蓄電装置交換ステーション100aの位置情報を第1の車両10に通知する。
【0054】
この車々間通信を用いた情報処理システムによれば、センタを介すことなく、それぞれの車両の間で蓄電装置の交換の交渉をすることができる。
【0055】
なお、本発明は上記各実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。
【0056】
例えば、上記各実施形態によれば、第1の車両10と第1の車両以外の車両20とが蓄電装置を交換することとしたが、第1の車両10が第1の車両以外の車両20から蓄電装置を受け取るのみで第1の車両以外の車両20に差し出さなくてもよい。
【0057】
更に、上記各実施形態によれば、第1の車両10、第1の車両以外の車両20及びセンタ30は送受信装置を備えているが、送受信装置をそれぞれ受信装置と送信装置とに独立して備えていてもよい。
【0058】
更に、上記各実施形態によれば、蓄電装置の交換候補車両(交換対象車両)を走行中の車両としたが、図10に示すように、交換対象車両20aは走行していなくても、休日しか乗らない車両及び昼間には乗らない車両を交換対象車両20aとしてもよい。また、駐車場に駐車して次の走行までに時間がある車両及び次の目的地まで蓄電装置の蓄電量が余っている車両を交換対象車両20aとしてもよい。
【0059】
更に、上記各実施形態によれば、車両間での蓄電装置の交換としたが、二輪車、自転車、ロボット及び電化製品等、蓄電装置を用いて作動する装置ならば如何なる装置であってもよい。
【0060】
更に、上記各実施形態において、交換対象車両20aが複数検出される場合、センタECU31は交換対象車両20aの蓄電装置交換ステーション100までの距離、交換後の走行可能距離及び蓄電装置交換ステーションにおける目的地までの距離等を基準により交換対象車両20aを特定してもよい。また、それぞれの車両の表示装置を通じて、運転者に交換するか否かの判断を選択させるようにし、最も早く交換する許可を返信した運転者の車両を交換対象車両20aとしてもよい。
【0061】
更に、上記各実施形態において、交換対象車両20aが検出されず、周辺の蓄電装置交換ステーション100が蓄電装置の保管がない場合、センタECU31は蓄電装置充電ステーションに車両を誘導してもよい。ただし、情報が更新されることにより、交換対象車両20aが検出されれば、蓄電装置の交換へ変更するようにしてもよい。また、蓄電装置を交換する車両が、蓄電装置を交換しても目的地まで到着できないが、目的地に到着するための不足の蓄電量を充電ステーションで充電することにより目的地まで到着できると判断された場合、蓄電装置の交換を実行し、その後蓄電装置の充電を行いようにしてもよい。
【0062】
更に、上記各実施形態において、第1の車両以外の車両20が蓄電装置の交換条件を満たしたとしても、運転状況によって蓄電装置を交換したくない場合が考えられる。これより、運転者が交換要求を受け入れるか否かを選択することができるように、車両の表示装置等に差し出しを許可する差し出し許可スイッチを設けてもよい。また、蓄電装置の型式、年式、容量及び相性等の違いによって、蓄電装置の交換ができない場合、第1の車両以外の車両20を交換候補車両及び交換対象車両としない。
【0063】
また、運転者がポイント獲得に対するモチベーションを向上させるために、ポイント獲得状況をインターネットなどの媒体でランキング発表してもよい。また、ポイントを買い物等で使用できる形態(例えば、現金、商品券及び電子マネー)に交換してもよい。或いは、米国などで実施されているHOV(High-Occupancy Vehicles)レーン及びバス専用レーン等の「許可された車両だけが通行できる専用レーン」を通行できる権利をポイントに応じて付与してもよい。このように、運転者に「有限な道路資源を有効に活用する経路」を選択させるために、獲得したポイントを運転者にとって生活で使い易い形態に変更できるようにしておくことが好適である。
【符号の説明】
【0064】
10…第1の車両、13…位置情報検出装置、14…経路算出装置、15…蓄電装置、16…蓄電情報管理装置、20…第1の車両以外の車両、20a…交換対象車両、20b1(20b2)…非交換対象車両、23…位置情報検出装置、24…経路算出装置、25…蓄電装置、26…蓄電情報管理装置、30…センタ、33…交換車両特定装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の車両が前記第1の車両以外の車両から蓄電装置の受け取りを要求する要求信号をセンタに送る第1の手段と、
前記センタが前記第1の車両以外の車両の蓄電装置の蓄電量を取得する第2の手段と、
前記蓄電装置の受け取りを要求する要求信号がセンタに送られた場合、前記蓄電量に基づいて前記第1の車両が蓄電装置を受け取る対象車両を特定する第3の手段と、を備える情報処理システム。
【請求項2】
前記第1の手段は、第1の車両が前記第1の車両以外の車両と蓄電装置を交換することを要求する要求信号をセンタに送る手段であり、
前記第3の手段は、前記蓄電装置を交換することを要求する要求信号がセンタに送られた場合、前記蓄電量に基づいて前記第1の車両と蓄電装置を交換する対象車両を特定する手段である請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記第1の車両の現在地から前記第1の車両の目的地までの走行距離を取得する第4の手段と、を更に含み、
前記第3の手段は、更に前記蓄電量と前記第1の車両の目的地までの走行距離との比較に基づいて対象車両を特定する手段である請求項1及び請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記第1の車両の蓄電装置の蓄電量を取得する第5の手段と、
前記第1の車両の目的地までの走行距離と前記第1の車両の蓄電装置の蓄電量とを比較して前記第1の車両が目的地まで到達できるか否かを判断する第6の手段と、を更に含み、
前記第1の手段は、更に前記第1の車両が目的地まで到達できるか否かの判断に基づいてセンタに対して要求信号を送る手段である請求項3に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記第1の車両の蓄電装置の蓄電量から前記第1の車両の走行可能距離を算出する第7の手段を更に含み、
前記第6の手段は、前記第1の車両の走行距離と前記第1の車両の走行可能距離とを比較して前記第1の車両が目的地まで到達できるか否かを判断する手段である請求項4に記載の情報処理システム。
【請求項6】
第1の車両と接続可能な送信装置であって、第1の車両の蓄電装置の蓄電量を第1の車両以外の車両に対して送信する送信装置。
【請求項7】
前記送信装置は更に前記第1の車両の位置情報を前記第1の車両以外の車両に対して送信する請求項6に記載の送信装置。
【請求項8】
前記送信装置は更に前記第1の車両以外の車両に対して蓄電装置の受取要求を送信する請求項6及び請求項7に記載の送信装置。
【請求項9】
第1の車両と接続可能な受信装置であって、前記第1の車両以外の車両の蓄電装置の蓄電量を受信する受信装置。
【請求項10】
前記受信装置は更に前記第1の車両以外の車両の位置情報を受信する請求項9に記載の受信装置。
【請求項11】
前記受信装置は更に前記第1の車両以外の車両から蓄電装置の受取要求を受信する請求項9及び請求項10に記載の受信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−152018(P2012−152018A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−8874(P2011−8874)
【出願日】平成23年1月19日(2011.1.19)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】