説明

情報処理システムおよび情報処理方法

【課題】タブレット型コンピュータにおける、文字入力を容易にする情報処理システムおよび情報処理方法を提供する。
【解決手段】本発明の情報処理方法は、(a)ユーザによる手書き文字入力を受け付けるステップと、(b)受け付けた手書き文字について文字認識を行い、文字を識別するステップと、(c)識別された文字をノート・アプリケーションソフトウェアによって提供される第2のディスプレイ領域に表示するステップと、(d)識別された文字に対応するテキスト文字を生成するステップと、(e)ディスプレイ領域に表示された文字および生成されたテキスト文字を格納するステップとを含む。タブレット型コンピュータは、文字認識に応答して、受け付けた手書き文字の変換候補および受け付けた手書き文字を含む文章表現を予測変換候補としてタブレット型コンピュータの第1のディスプレイ領域に表示し、表示された予測変換候補の一つが選択されたことに応答して文字を識別する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、文字入力を容易にする情報処理システムおよび情報処理方法に関する。より詳細に言えば、本発明は、タブレット型コンピュータにおいて実行されるノート・アプリケーションソフトウェアにおいて、文字入力を容易にする情報処理システムおよび情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、タブレット型コンピュータが普及して、人々のライフスタイルが大きく変化している。例えば、タブレット型コンピュータのユーザは、電子メールを送受信し、インターネットにアクセスして様々な情報を検索し、電子書籍を読み、映像や音楽を視聴する。ユーザは、これらの行為をどの場所でも(例えば、自宅、オフィス、あるいは街中)行うことができる。
【0003】
ある種のタブレット型コンピュータは、スイッチやボタンをほとんど有さず、タッチパネル式のディスプレイを有している。ユーザは、指および/またはスタイラスペンでディスプレイをタッチすることにより、ほとんどの操作を行うことができる。また、タブレット型コンピュータは、セルラーネットワークまたは無線LANを介してネットワークに接続することができる。
【0004】
ユーザは、タブレット型コンピュータ上で様々なアプリケーションソフトウェアを使用することができる。これらのアプリケーションソフトウェアは、ネットワークを介してダウンロードすることができる。アプリケーションソフトウェアは、仕事に使用することができる業務用アプリケーションを含む。
【0005】
ノート・アプリケーションソフトウェアが、業務用アプリケーションとして知られている。ノート・アプリケーションソフトウェアは、ユーザがノートにメモをとるごとく使用される。つまり、ユーザは、紙製のノートと同じ感覚でソフトウェアを使用することができる。
【0006】
ノート・アプリケーションソフトウェアは、複数の入力インターフェースを提供する。例えば、複数の入力インターフェースは、スタイラスペンによる手書き入力インターフェースおよびディスプレイに表示されるキーボードを使用する入力インターフェースを含む。キーボードを使用する入力インターフェースは、タブレット型コンピュータによって標準機能として提供されることが知られている。手書き入力インターフェースには2種類ある。1つのタイプは、手書き入力を文字認識して、該当する文字に置換して表示する入力インターフェースであり、もう1つのタイプは、手書き入力をそのままの筆跡で表示する入力インターフェースである。
【0007】
手書き文字認識に関しては、従来から多くの改良がなされてきたが(特許文献1、2参照)、ノート・アプリケーションソフトウェアの使い勝手を向上させる必要性は、ますます高まっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−308484号公報
【特許文献2】特開平6−332610号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ユーザが紙製のノートにメモをとる場面を想像すると、複数の言語(例えば、日本語、英語、中国語など)を使用する場面や図や表を使用する場面がある。ユーザは、これらの場面でノート・アプリケーションソフトウェアを使用する場合、紙製のノートにメモをとるのと同じ、あるいはそれ以上の使い勝手を望む。
【0010】
しかしながら、タブレット型コンピュータにおける従来のノート・アプリケーションソフトウェアは、ユーザが満足する使い勝手を提供しなかった。例えば、貧弱な文字認識の精度、不十分な入力のサポート機能、および柔軟性のない入力(所望の位置に描けない)という欠点があった。
【0011】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、タブレット型コンピュータにおいて実行されるノート・アプリケーションソフトウェアにおいて、文字入力を容易にする情報処理システムおよび情報処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するために、本発明は、タブレット型コンピュータにおいて実行されるノート・アプリケーションソフトウェアにおいて使用される、文字入力を容易にする情報処理方法を提供する。該タブレット型コンピュータが実行する前記方法は、(a)ユーザによる手書き文字入力を受け付けるステップと、(b)前記受け付けた手書き文字について文字認識を行い、文字を識別するステップであって、前記タブレット型コンピュータは、該文字認識に応答して、1つまたは複数の前記受け付けた手書き文字の変換候補および前記受け付けた手書き文字を含む文章表現を予測変換候補として前記タブレット型コンピュータの第1のディスプレイ領域に表示し、前記表示された予測変換候補の一つが選択されたことに応答して前記文字を識別する、ステップと、(c)前記識別された文字をノート・アプリケーションソフトウェアによって提供される第2のディスプレイ領域に表示するステップと、(d)前記識別された文字に対応するテキスト文字を生成するステップと、(e)前記ディスプレイ領域に表示された文字および前記生成されたテキスト文字を格納するステップとを含むことを特徴する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、タブレット型コンピュータにおいて実行されるノート・アプリケーションソフトウェアにおいて、文字入力を容易にする情報処理システムおよび情報処理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係るタブレット型コンピュータのシステム構成図である。
【図2】ノート・アプリケーションソフトウェアの概観を示す図である。
【図3A】本発明に係るキーボード入力インターフェースを示す図である。
【図3B】本発明に係るキーボード入力インターフェースを示す図である。
【図4A】本発明に係る第1の手書き入力インターフェースを示す図である。
【図4B】本発明に係る第1の手書き入力インターフェースを示す図である。
【図4C】本発明に係る第1の手書き入力インターフェースを示す図である。
【図4D】本発明に係る第1の手書き入力インターフェースを示す図である。
【図5A】本発明に係る第2の手書き入力インターフェースを示す図である。
【図5B】本発明に係る第2の手書き入力インターフェースを示す図である。
【図6】タブレット型コンピュータにおいて実行されるノート・アプリケーションソフトウェアのプログラム・モジュールを示す図である。
【図7】本発明に係るキーボード入力インターフェースを介した文字入力のフロー図である。
【図8】本発明に係る第1の手書き入力インターフェースを介した文字入力のフロー図である。
【図9】本発明に係る第2の手書き入力インターフェースを介した文字入力のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の例示的な実施形態について詳細に説明する。
【0016】
(システム構成)
図1は、ノート・アプリケーションソフトウェアが実行されるタブレット型コンピュータ100のシステム構成図である。
【0017】
タブレット型コンピュータ100は、制御部101、主記憶部102、補助記憶部103、インターフェース(I/F)部104、表示部105、認識結果DB106、辞書DB107、および個人別履歴DB108を備える。これらの構成要素101〜108はバス120で相互に接続されており、制御部101によって各構成要素102〜108は統括して制御される。また、タブレット型コンピュータ100は、スタイラスペン160または指を介してユーザ入力を受けることができる。図1では、スタイラスペン160は、タブレット型コンピュータ100と有線で接続されていないことを示すために、破線の矢印で示されている。
【0018】
制御部101は、中央処理装置(CPU)とも呼ばれ、各構成要素102〜108の制御やデータの演算を行う。制御部101は、補助記憶部103に格納されている各種プログラム・モジュールを主記憶部102に読み出して実行する。主記憶部102は、メインメモリとも呼ばれ、タブレット型コンピュータ100が受信した各種データ、コンピュータ実行可能な命令および当該命令による演算処理後のデータなどを記憶する。
【0019】
補助記憶部103は、ハードディスク(HDD)などの記憶装置であり、データやプログラムを長期的に保存するために使用される。主記憶部102は、補助記憶部103よりも記憶容量が相対的に小さいため、一時的なデータの記憶や演算処理などに使用されるのに対し、補助記憶部103は、必要なデータや情報の長期的な記憶のために使用される。つまり、制御部101がプログラムを実行してデータの演算を行う場合には、補助記憶部103から必要なデータやプログラムを主記憶部102に読み出し、演算結果のデータを長期的に記憶するには制御部101が補助記憶部103に演算結果のデータを書き込むこととなる。
【0020】
インターフェース(I/F)部104は、手書き文字入力用のスタイラスペン160との間でデータを送受信する際のインターフェースの役割を果たす。タブレット型コンピュータ100の外部から受信したデータは、主記憶部102に一時的に記憶される。また、インターフェース部104は、ユーザより各種コマンドや入力データを受け付けるインターフェース(アプリケーションプログラムなど)を表示部105に提供する。表示部105は、タブレット型コンピュータ100によって処理されるデータや上記インターフェースを表示する。
【0021】
認識結果DB106は、タブレット型コンピュータ100によって認識された、ユーザ入力の筆跡情報(ストロークデータ)と当該筆跡情報に結合された1つまたは複数の文字列情報(テキストデータ)を格納する。ストロークデータおよびテキストデータのセットは、属性情報(ノートの識別子、ページ番号、行番号、位置など)と関連付けられている。
【0022】
辞書DB107は、ノート・アプリケーションソフトウェアにおいて使用される、複数の言語の辞書およびその言語の慣用表現の辞書を格納する。複数の言語は、左から右に文字を書く複数の言語(日本語、英語、中国語、韓国語など)を含み、特定の言語に限定されない。これらの辞書は、タブレット型コンピュータ100に予め内蔵されていても良いし、ネットワーク経由でダウンロードされても良い。また、これらの辞書は、タブレット型コンピュータ100で稼動するアプリケーションで使用することができる管理情報などをメタデータとして保有する(例えば、使用頻度に応じた優先順位の情報、など)。この管理情報を使用することにより、タブレット型コンピュータ100は、言葉や表現の順位付けを行って、当該順位にしたがってユーザに提示することができる。
【0023】
個人別履歴DB108は、以前に入力された筆跡情報(ストロークデータ)および対応するテキストベースの文字、並びに辞書DB107に格納されている辞書や慣用表現の使用履歴をユーザ別に保存するデータベースである。このデータベースの利用は、文字認識の精度向上につながりうる。つまり、ノート・アプリケーションソフトウェアは、各ユーザの筆跡の特徴に基づいて、ユーザの意図する文字を迅速かつ適切に提供することができる。
【0024】
スタイラスペン160は、ノート・アプリケーションソフトウェアによって提供される入力欄に文字を描画可能なものであれば、周知の任意のスタイラスペンを利用することができる。
【0025】
図6は、タブレット型コンピュータ100において実行されるノート・アプリケーションソフトウェアのプログラム・モジュールを示す。プログラム・モジュールは、ユーザからの命令(入力)や特定の発生イベントに応答して制御部101によって主記憶部102上で実行される。このプログラム・モジュールは、手書き文字認識モジュール601、文章検索モジュール602、ネットワークサービスモジュール603、予測変換モジュール604、および暗号化モジュール605を含む。
【0026】
手書き文字認識モジュール601は、ユーザによって入力された手書き文字の筆跡情報(入力のタイミング情報やストロークの開始位置情報など含む)に基づいて最も高い尤度を持つ文字の候補を辞書DB107から推定し、推定された文字を画面の所定の領域に表示する。もし、推定された文字の候補が誤記であるとユーザによって判断された場合、ユーザの要求に応答して、手書き文字認識モジュール601は、相対的に高い尤度を持つ1つまたは複数の候補を辞書DB107から推定して表示する。
【0027】
文章検索モジュール602は、認識結果DB106に記憶されているテキストベースの文字列データを検索する機能を提供する。ユーザによって入力された手書き文字は、認識結果DB106に、筆跡情報(ストロークデータ)および1つまたは複数の対応するテキストベースの文字列データのセットとして格納される。タブレット型コンピュータ100は、文章検索モジュール217を使用し、1つまたは複数の文字列データを検索することができる。
【0028】
ネットワークサービスモジュール603は、電子メール送受信機能、SNSへのアクセス機能、およびインターネットなどのネットワーク上に存在する情報をダウンロードして保存し、またネットワークに対して各種データをアップロードして共有するための機能を提供する。タブレット型コンピュータ100は、ユーザによって作成されたノート(すなわち、ファイル)をネットワークサービスモジュール218経由でネットワークに送信し、当該ネットワークから提供される各種アプリケーションによるサービスを利用することができる。
【0029】
予測変換モジュール604は、ユーザによって入力された文字に対応する、その文字の変換候補や入力された文字を含む、よく使われる文章表現(つまり、後続の文字列)を予測して提示する機能を提供する。この機能は、例えば、文字を入力する時に一部の文字を入力するとその入力された文字に基づいて予想される変換後の語句や後続の文字列を提供する。予測変換モジュール604は、辞書DB107に格納されているデータを用いて予測変換を行う。
【0030】
暗号化モジュール605は、ノート・アプリケーションソフトウェアを使用して作成されたそれぞれのノート(つまり、ファイル)ごとに暗号化することができるモジュールである。このノート・アプリケーションでは周知の暗号化技術を用いる。それぞれのノートを暗号化することにより、他のユーザにネットワーク経由でノートを送信する際およびタブレット型コンピュータ100が第三者の手に渡ってしまった際のセキュリティを高めることが可能となる。
【0031】
(ノート・アプリケーションの概観)
図2は、ノート・アプリケーションソフトウェアの概観を示す。このノート・アプリケーションは、ユーザが紙製のノートにメモをとるのと同じ感覚で入力した文字・図形などを扱うことができる。
【0032】
参照番号201は、各種モードを表す。各種モード201は、手書き入力モード、消去モードおよびキーボード入力モードを含む。手書き入力モードは、スタイラスペンまたは指を使用する入力モードである。消去モードは、ノート・アプリケーションに描画された文字・図形などを消去するモードである。キーボード入力モードは、各種言語に対応したキーボードを表示し、ユーザから入力を受け付けるモードである。
【0033】
参照番号202は、入力された文字が表示される入力フィールドを示す。入力フィールド202は、スタイラスペンまたは指を使用してノート内の所望の場所に移動されることができ、ユーザは、移動した場所に入力文字を表示することができる。
【0034】
参照番号203は、入力インターフェースを示す。入力インターフェース203は、手書き入力インターフェースおよびキーボード入力インターフェースを含む。手書き入力インターフェースは、スタイラスペンまたは指による入力を介して入力することができるインターフェースである。キーボード入力インターフェースは、入力用キーボードを介して入力することができるインターフェースである。
【0035】
また、入力フィールド202は、入力インターフェース203を介して入力された文字(ストロークデータ)を表示する。入力フィールド202に表示される文字は、当該ストロークデータをベジエ補間して得られるビットマップデータとすることができる。ストロークデータは、文字の形をコンピュータ上で表現するためのデータ形式の一つを意味し、点(x,y)の配列で筆跡情報を表現する。そして、この点の情報に基づいてベジエ曲線を求めて補間を行うことによって、ビットマップデータが得られる。
【0036】
なお、ユーザは、入力インターフェース203を使用することなく、ディスプレイに表示されるノートに直接文字や図形を描画することができる。紙製のノートを使用する場合、ユーザは文字だけでなく図を描くこともある。このため、このノート・アプリケーションソフトウェアは、ユーザが直接描画することができる機能も有している。直接描画された図形はビットマップデータとして表示され、対応するストロークデータが認識結果DB106保存される。図などは検索用のテキストデータを含まない場合もあるため、当該テキストデータは保存されない場合もある。
【0037】
(入力インターフェース)
以下、図3〜図5を参照して、ノート・アプリケーションソフトウェアにおいて使用可能な入力インターフェースを説明する。
【0038】
図3は、タブレット型コンピュータ100に標準で実装されている周知のキーボード入力インターフェースの一例を示す。図3(a)は、アルファベットおよび記号を入力するためのキーボードの一例を示し、図3(b)は、仮名文字および記号を入力するためのキーボードの一例を示す。このノート・アプリケーションソフトウェアは、文字を左から右に書く複数の言語(日本語、英語、中国語、韓国語など)に対応する。例えば、中国語を入力する場合は、ユーザは、図3(a)に示すキーボードを使用して、中国語の発音であるピンイン(pinyin)を入力し、所望の漢字を選択する。韓国語を入力する場合は、ユーザは、他のキーボードを使用して、子音字や母音字を選択する。
【0039】
図3(a)および図3(b)のキーボードを使用して入力された文字は、入力フィールド202にストロークデータをベジエ補間して得られるビットマップデータとして表示される。タブレット型コンピュータ100は、入力フィールド202に表示される文字を文字認識し、対応するテキスト文字を識別する。タブレット型コンピュータ100は、入力フィールド202に表示される文字に対応するストロークデータおよび対応するテキスト文字を認識結果DB106に格納する。認識結果DB106に格納されたテキスト文字は、ユーザによる所望の文章の検索の際に使用される。
【0040】
次に、図4および図5を参照して2種類の手書き入力インターフェースを説明する。
【0041】
図4は、第1の手書き入力インターフェースを示す。図4(a)は、入力フィールド202、第1の入力領域401および第1の機能ボタン402を含む。第1の入力領域401は、領域が1文字ずつ区切られており、スタイラスペンまたは指による入力を受け付ける。第1の機能ボタン402は、第1の手書き入力インターフェースで使用される様々な機能(例えば、文字の削除、数字および記号入力キーボード呼び出し、改行、入力モード切り替え、スペース入力、他のキーボード呼び出し)を実行するためのボタンを提供する。
【0042】
第1の入力領域401に入力された文字は、手書き文字認識モジュール601によって文字認識され、最も高い尤度を持つ文字に置き換えられる。図4(b)は、第1の入力領域401に文字入力した表示画面の一例を示す。変換候補403は、第1の入力領域401に入力された文字に対応する予測変換の候補を示す。図4(c)は、第1の入力領域401に文字入力した表示画面の他の例を示す。この例では、文字「DESIGN」が第1の入力領域401に入力され、変換候補403に入力文字に対応する予測変換の候補が示されている。
【0043】
より詳細に言えば、最も高い尤度を持つ文字は、ストロークデータとして形成される。そのストロークデータに基づいてベジエ補間が行われることによってビットマップデータが作成されて、入力フィールド202にビットマップデータが表示される。そして、ストロークデータについては、入力フィールド202に表示されず、主記憶部102に一時的に保存され、認識結果DB106に格納される時に使用される。また、入力フィールド202に表示される文字(ビットマップデータ)が消去される場合、主記憶部102に保存されているストロークデータもあわせて消去される。
【0044】
ここで、「予測変換の候補」とは、入力された文字の変換後の文字、および入力された文字を含む、よく使われる文章表現を指す。タブレット型コンピュータ100は、手書き文字認識モジュール601を使用して入力された文字の文字認識を行い、辞書DB107を使用して認識された文字について予測変換の候補を選択する。
【0045】
予測変換の言語は、辞書DB107に格納されている言語に依存する。本明細書においては、日本語および英語の例を説明したが、他の言語についても実装することが可能である。実装可能な言語は、左から右に文字を書く言語(例えば、中国語、韓国語など)である。
【0046】
図4(d)は、入力領域401に入力された文字に誤記がある場合に、当該誤記を修正する入力インターフェースの一例を示す。誤記がある場合、ユーザが誤記を含む領域をタッチすることにより、修正候補の一覧404が表示される。この場合、手書き文字認識モジュール601が、ユーザによって入力された文字に対応する複数の候補となる文字を表示する。
【0047】
図5は、第2の手書き入力インターフェースを示す。図5(a)は、第2の入力領域501、第2の機能ボタン502、および入力フィールド202を含む。第2の入力領域501は、第1の入力領域401と異なり、1文字ごとの領域として区切られておらず、入力された文字をそのままの形で受け付ける。受け付けられた文字は、入力フィールド202にストロークデータをベジエ補間して得られるビットマップデータとして表示される。また、タブレット型コンピュータ100は、文字間のスペースなどの情報に基づいて第2の入力領域501に入力された文字を1文字ずつ分離し、手書き文字認識モジュール601を使用してそれぞれの文字について文字認識を行い、対応するテキスト文字を識別する。識別されたテキスト文字は、主記憶部102に一時的に記憶され、所定のタイミングでストロークデータとともに認識結果DB106に格納される。図4を参照して説明がされたように、入力フィールド202にビットマップデータが表示され、対応するストロークデータは主記憶部102に保存される。
【0048】
第2の機能ボタン502は、第2の手書き入力インターフェースで使用される様々な機能(例えば、文字の削除、入力フィールドの移動、改行、他のキーボード呼び出し)を実行するためのボタンを示す。図5(b)は、第2の機能ボタン502を介して改行ボタンが選択された後の表示画面の一例を示す。入力フィールド202は、直前に入力された文字の次の行に移動しており、第2の入力領域501には何も入力されていない。
【0049】
(処理フロー)
図7は、図3の周知のキーボード入力インターフェースを使用して文字を入力する処理のフロー図である。ステップS701において、所望のキーボード入力インターフェースが選択される。例えば、図3(a)のアルファベットおよび記号を入力するためのキーボードが選択され、および代替で、図3(b)の仮名文字および記号を入力するためのキーボードが選択される。
【0050】
ステップS702において、選択されたキーボードを用いて文字入力が行われる。ステップS703において、入力された文字が入力フィールド202にビットマップデータとして表示される。ステップS704において、本処理フローが終了する時に入力フィールド202に表示された文字に対応するストロークデータおよび対応するテキストデータが認識結果DB106に格納される。この場合、認識結果DB106には、ノートの識別子、ページ番号、行番号および位置などの属性情報、並びにストロークデータおよび検索用のテキスト文字が一緒に格納される。
【0051】
図8は、図4の第1の手書き入力インターフェースを使用して文字を入力する処理のフロー図である。この処理フローは、文字入力が終了するまで繰り返される。
【0052】
ステップS801にて、第1の入力領域401内の1文字ずつ区切られている領域に文字が入力される。例えば、図4(b)に示されるように文字が入力される。ステップS802にて、タブレット型コンピュータ100は、手書き文字認識モジュール601を使用して文字認識を行い、入力された文字を最も高い尤度を持つ文字に置き換える。
【0053】
ステップS803にて、タブレット型コンピュータ100は、辞書DB107を参照して、置き換えられた文字に基づいて予測変換を行う。具体的に言えば、タブレット型コンピュータ100は、図4(b)(c)に示すように、置き換えられた文字の変換候補や当該文字を含む、よく使われる文章表現を予測して、ディスプレイに表示する。
【0054】
ステップS804にて、予測変換によって表示された変換候補および文章表現から1つ文字列が選択されると、タブレット型コンピュータ100は、選択された文字列を入力フィールド202に表示する。また、タブレット型コンピュータ100は、入力フィールド202に表示された文字列に対応するテキストベースの文字列を識別し、主記憶部102に一時的に記憶する。その後、再び、ステップS801に処理が戻る。
【0055】
なお、本処理フローが終了する時、入力フィールド202に表示されている文字に対応するストロークデータおよび主記憶部102に記憶されているテキストベースの文字が認識結果DB106に格納されることは上述の実施形態と同様である。この場合、認識結果DB106には、ノートの識別子、ページ番号、行番号および位置などの属性情報が一緒に格納される。
【0056】
図9は、図5の第2の手書き入力インターフェースを使用して文字を入力する処理のフロー図である。
【0057】
ステップS901にて、第2の入力領域501に文字が入力される。ステップS902にて、タブレット型コンピュータ100は、手書き文字認識モジュール601を使用して、入力された文字に基づいて最も高い尤度を持つ文字を推定する。この推定が行われる際、タブレット型コンピュータ100は、文字間のスペースなどの情報に基づいて第2の入力領域501に入力された文字を1文字ずつ分離し、手書き文字認識モジュール601を使用してそれぞれの文字について文字認識を行い、対応するテキスト文字を識別する。推定された文字は、テキスト形式で主記憶部102に一時的に記憶される。
【0058】
ステップS903にて、タブレット型コンピュータ100は、入力された文字をビットマップデータとして入力フィールド202に表示する。ステップS904にて、タブレット型コンピュータ100は、入力フィールド202に表示されている文字に対応するストロークデータおよび主記憶部102に記憶されている文字のテキストデータを認識結果DB106に格納する。この場合、認識結果DB106には、ノートの識別子、ページ番号、行番号および位置などの属性情報が一緒に格納される。
【0059】
(その他の実施形態)
図8のステップS802および図9のステップS902における文字認識が行われる際、タブレット型コンピュータ100は、個人別履歴DB108を検索して、入力された文字の筆跡情報に対応する文字を識別することができる。個人別履歴DB108は、以前に入力されたユーザの筆跡情報(ストロークデータ)および対応する文字のセットを格納する。つまり、上記で説明した認識結果DB106への格納の際に、個人別履歴DB108にもデータの格納が行われる。このため、タブレット型コンピュータ100は、より高い精度の文字認識を行うことができる。タブレット型コンピュータ100が個人別履歴DB108を参照しながら筆跡情報の照合を行う場合、タブレット型コンピュータ100は、個人別履歴DB108の筆跡情報を基準にして、ユーザ入力された筆跡情報を必要に応じて拡大または縮小させつつ、あるいは、少しずつずらしながら照合を行う。
【0060】
(まとめ)
上述の実施形態で説明した方法、機能および手段は、コンピュータ実施可能なプログラムとして実装することも可能であり、また、当該プログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な記録媒体として実施することも可能である。
【0061】
上記で説明した実施形態はあくまでも例示であり、本発明は上記の実施形態に限定されることはなく、様々な変形が可能である。すなわち、特許請求の範囲に記載された技術的思想に基づくものである限り、その変形は本発明の技術範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0062】
100 タブレット型コンピュータ
106 認識結果DB
107 辞書DB
108 個人別履歴DB
160 スタイラスペン
201 各種モード
202 入力フィールド
203 入力インターフェース
401 第1の入力領域
402 第1の機能ボタン
403 変換候補
404 修正候補の一覧
501 第2の入力領域
502 第2の機能ボタン
601 手書き文字認識モジュール
602 文章検索モジュール
603 ネットワークサービスモジュール
604 予測変換モジュール
605 暗号化音声認識モジュール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タブレット型コンピュータにおいて実行されるノート・アプリケーションソフトウェアにおいて使用される、文字入力を容易にする情報処理方法であって、
該タブレット型コンピュータが実行する前記方法は、
(a)ユーザによる手書き文字入力を受け付けるステップと、
(b)前記受け付けた手書き文字について文字認識を行い、文字を識別するステップであって、前記タブレット型コンピュータは、該文字認識に応答して、1つまたは複数の前記受け付けた手書き文字の変換候補および前記受け付けた手書き文字を含む文章表現を予測変換候補として前記タブレット型コンピュータの第1のディスプレイ領域に表示し、前記表示された予測変換候補の一つが選択されたことに応答して前記文字を識別する、ステップと、
(c)前記識別された文字をノート・アプリケーションソフトウェアによって提供される第2のディスプレイ領域に表示するステップと、
(d)前記識別された文字に対応するテキスト文字を生成するステップと、
(e)前記ディスプレイ領域に表示された文字および前記生成されたテキスト文字を格納するステップと
を含むことを特徴する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−98891(P2012−98891A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−245580(P2010−245580)
【出願日】平成22年11月1日(2010.11.1)
【出願人】(305060039)株式会社タクラム・デザイン・エンジニアリング (7)
【Fターム(参考)】