説明

情報処理システム

【課題】ストレージ装置が記憶しているデータを、バックアップ装置に適切に取得させることが可能な情報処理システムを提供すること。
【解決手段】このシステムは、データを生成する情報処理装置1〜3と、情報処理装置により生成されたデータを記憶するストレージ装置4と、バックアップ処理部(処理部)50を有するバックアップ装置5と、を含む。処理部50は、共有ディスク装置4に記憶されているデータを送信することを要求する読出要求情報と、バックアップ処理部を表す特定情報と、を共有ディスク装置4へ送信する。共有ディスク装置4は、バックアップホスト5から読出要求情報を受信した場合、共有ディスク装置4に記憶されているデータをバックアップホスト5へ送信するか否かを、受信した特定情報に基づいて決定する。処理部50は、送信した読出要求情報に応じて受信したデータを記憶装置6に記憶させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ストレージ装置に記憶されているデータを他の記憶装置に記憶させる情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の情報処理装置と、各情報処理装置により生成されたデータを記憶する記憶領域(例えば、論理ボリューム)が複数形成されたストレージ装置と、を含む情報処理システムが知られている。この種の情報処理システムの一つとして、特許文献1に記載の情報処理システムにおいては、ストレージ装置は、記憶領域と、情報処理装置を特定する装置特定情報と、を対応付けて記憶している。
【0003】
ストレージ装置は、情報処理装置から読出要求情報を受信した場合、その読出要求情報によりデータを読み出す対象となっている記憶領域と、その情報処理装置を特定する装置特定情報と、が対応付けて記憶されているとき、その記憶領域にて記憶されているデータを読み出す。そして、ストレージ装置は、読み出したデータをその情報処理装置へ送信する。これによれば、記憶領域毎にその記憶領域にて記憶されているデータを取得することが可能な情報処理装置を設定することができる。
【特許文献1】特開2001−14261号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記ストレージ装置に記憶されているデータと同一のデータを、他の記憶装置にも記憶させるために、バックアップ装置を上記情報処理システムに適用することが考えられる。このバックアップ装置は、記憶装置を備える。更に、バックアップ装置は、バックアップ処理用プログラムを実行することによりストレージ装置へ読出要求情報を送信し、その送信した読出要求情報に応じて受信したデータを記憶装置に記憶させるバックアップ処理を実行する。
【0005】
この場合、バックアップ装置がストレージ装置に記憶されているデータを取得することができるように、ストレージ装置は、バックアップ装置を特定する装置特定情報と、すべての記憶領域のそれぞれと、を対応付けて記憶する。これによれば、バックアップ装置は、ストレージ装置に記憶されているすべてのデータを取得することができる。従って、バックアップ装置は、バックアップ処理を実行することができる。
【0006】
ところで、このような構成によれば、バックアップ装置が、バックアップ処理用プログラム以外のプログラムを実行する場合、そのプログラムの処理によって、ストレージ装置に記憶されているデータが不正に取得されてしまう虞があった。
【0007】
このため、本発明の目的は、上述した課題である「ストレージ装置が記憶しているデータを、バックアップ装置に適切に取得させることができないこと」を解決可能な情報処理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するため本発明の一形態である情報処理システムは、
データを生成する情報処理装置と、上記情報処理装置により生成されたデータを記憶するストレージ装置と、記憶装置を備えるとともに上記ストレージ装置に記憶されているデータを送信することを要求する読出要求情報を当該ストレージ装置へ送信し当該送信した読出要求情報に応じて受信したデータを当該記憶装置に記憶させるバックアップ処理を実行するバックアップ処理部を有するバックアップ装置と、を含む。
【0009】
更に、
上記バックアップ処理部は、上記読出要求情報とともに、当該バックアップ処理部を表す特定情報を送信するように構成され、
上記ストレージ装置は、上記バックアップ装置から上記読出要求情報を受信した場合、当該ストレージ装置に記憶されているデータを当該バックアップ装置へ送信するか否かを当該バックアップ装置から受信した特定情報に基づいて決定するように構成される。
【0010】
また、本発明の他の形態であるアクセス制御プログラムは、
情報処理装置により生成されたデータを記憶するストレージ装置に、
記憶装置を備えるとともに上記ストレージ装置に記憶されているデータを送信することを要求する読出要求情報を当該ストレージ装置へ送信し当該送信した読出要求情報に応じて受信したデータを当該記憶装置に記憶させるバックアップ処理を実行するバックアップ処理部を有するバックアップ装置から送信された情報に基づいて当該ストレージ装置に記憶されているデータを当該バックアップ装置へ送信するアクセス制御手段を実現させるためのプログラムである。
【0011】
更に、上記アクセス制御手段は、
上記ストレージ装置が上記バックアップ装置から上記読出要求情報を受信した場合、当該ストレージ装置に記憶されているデータを当該バックアップ装置へ送信するか否かを当該バックアップ装置から受信した特定情報に基づいて決定するように構成される。
【0012】
また、本発明の他の形態である情報処理方法は、
記憶装置を備えるバックアップ装置が、情報処理装置により生成されたデータを記憶するストレージ装置に記憶されているデータを送信することを要求する読出要求情報を当該ストレージ装置へ送信し当該送信した読出要求情報に応じて受信したデータを当該記憶装置に記憶させるバックアップ処理を実行するバックアップ処理工程を含む方法である。
【0013】
更に、
上記バックアップ処理工程は、上記読出要求情報とともに、当該バックアップ処理工程を表す特定情報を送信する工程を含み、
上記ストレージ装置が、上記バックアップ装置から上記読出要求情報を受信した場合、当該ストレージ装置に記憶されているデータを当該バックアップ装置へ送信するか否かを当該バックアップ装置から受信した特定情報に基づいて決定するアクセス制御工程を含む。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、以上のように構成されることにより、ストレージ装置が記憶しているデータを、バックアップ装置に適切に取得させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の一形態である情報処理システムは、
データを生成する情報処理装置と、上記情報処理装置により生成されたデータを記憶するストレージ装置と、記憶装置を備えるとともに上記ストレージ装置に記憶されているデータを送信することを要求する読出要求情報を当該ストレージ装置へ送信し当該送信した読出要求情報に応じて受信したデータを当該記憶装置に記憶させるバックアップ処理を実行するバックアップ処理部を有するバックアップ装置と、を含む。
【0016】
更に、
上記バックアップ処理部は、上記読出要求情報とともに、当該バックアップ処理部を表す特定情報を送信するように構成され、
上記ストレージ装置は、上記バックアップ装置から上記読出要求情報を受信した場合、当該ストレージ装置に記憶されているデータを当該バックアップ装置へ送信するか否かを当該バックアップ装置から受信した特定情報に基づいて決定するように構成される。
【0017】
これによれば、バックアップ処理部によってバックアップ装置から読出要求情報が送信された場合に、ストレージ装置に記憶されているデータをバックアップ装置へ送信させることができる。一方、バックアップ装置のうちのバックアップ処理部以外の機能によってバックアップ装置から読出要求情報が送信された場合に、ストレージ装置に記憶されているデータがバックアップ装置へ送信されることを防止することができる。
このように、ストレージ装置が記憶しているデータを、バックアップ装置に適切に取得させることができる。
【0018】
この場合、
上記バックアップ装置は、上記記憶装置に記憶されているデータを記憶することを要求する書込要求情報を上記ストレージ装置へ送信するリストア処理部を有し、
上記リストア処理部は、上記書込要求情報とともに、当該リストア処理部を表す特定情報を送信するように構成され、
上記ストレージ装置は、上記バックアップ装置から上記書込要求情報を受信した場合、当該ストレージ装置にデータを記憶させるか否かを当該バックアップ装置から受信した特定情報に基づいて決定するように構成されることが好適である。
【0019】
これによれば、バックアップ装置のうちのリストア処理部以外の機能によってバックアップ装置から書込要求情報が送信された場合に、ストレージ装置に新たにデータが記憶されることを防止することができる。この結果、ストレージ装置に記憶されていたデータが上書きされることにより消去されることを防止することができる。
【0020】
この場合、
上記情報処理装置は、上記バックアップ処理の実行を要求するバックアップ要求情報を上記バックアップ処理部へ送信するように構成され、
上記バックアップ処理部は、上記バックアップ要求情報に応じて上記読出要求情報を上記ストレージ装置へ送信するように構成されることが好適である。
【0021】
この場合、
上記情報処理装置は、キー情報を生成し、当該生成したキー情報を上記ストレージ装置及び上記バックアップ処理部のそれぞれへ送信するように構成され、
上記バックアップ処理部は、上記情報処理装置から受信したキー情報を上記特定情報として用いるように構成され、
上記ストレージ装置は、
上記バックアップ装置から上記読出要求情報を受信した場合において、上記情報処理装置から受信したキー情報と当該バックアップ装置から受信した特定情報とが対応しているときに当該ストレージ装置に記憶されているデータを当該バックアップ装置へ送信すると決定し、一方、当該キー情報と当該特定情報とが対応していないときに当該データを当該バックアップ装置へ送信しないと決定するように構成されることが好適である。
【0022】
これによれば、特定情報として、情報処理装置によって生成されたキー情報が用いられる。従って、ストレージ装置が受信したキー情報と同一の特定情報が、バックアップ装置のうちのバックアップ処理部以外の機能によって送信される可能性をより一層低減することができる。この結果、バックアップ装置のうちのバックアップ処理部以外の機能によってバックアップ装置から読出要求情報が送信された場合に、ストレージ装置に記憶されているデータがバックアップ装置へ送信されることをより一層確実に防止することができる。
【0023】
この場合、
上記情報処理装置は、前回生成したキー情報と異なるキー情報を生成するように構成されることが好適である。
【0024】
これによれば、ストレージ装置が受信したキー情報と同一の特定情報が、バックアップ装置のうちのバックアップ処理部以外の機能によって送信される可能性をより一層低減することができる。
【0025】
この場合、
上記ストレージ装置は、
上記情報処理装置から受信したキー情報を記憶するとともに、当該記憶しているキー情報と上記バックアップ装置から受信した特定情報とに基づいて当該ストレージ装置に記憶されているデータを当該バックアップ装置へ送信するか否かを決定するように構成され、且つ、上記バックアップ処理の実行が完了した後に上記記憶されているキー情報を消去するように構成されることが好適である。
【0026】
これによれば、バックアップ処理の実行が完了した後に、ストレージ装置が受信したキー情報と同一の特定情報が、バックアップ装置のうちのバックアップ処理部以外の機能によって送信された場合であっても、記憶しているキー情報と特定情報とは対応していないと判定される。この結果、バックアップ装置のうちのバックアップ処理部以外の機能によってバックアップ装置から読出要求情報が送信された場合に、ストレージ装置がストレージ装置に記憶されているデータをバックアップ装置へ送信することをより一層確実に防止することができる。
【0027】
この場合、上記情報処理システムは、
上記情報処理装置を複数含み、
上記ストレージ装置には、上記複数の情報処理装置の少なくとも1つに対応付けられた記憶領域が複数形成され、
上記ストレージ装置は、
上記バックアップ装置から上記読出要求情報を受信した場合において、上記記憶領域にて記憶されているデータを当該バックアップ装置へ送信するか否かを、当該記憶領域に対応付けられた上記情報処理装置から受信したキー情報に基づいて決定するように構成されることが好適である。
【0028】
例えば、ストレージ装置が任意の記憶領域にて記憶されているデータの送信の可否を、任意の情報処理装置から受信したキー情報に基づいて決定するように構成されている場合、すべての記憶領域にて記憶されているデータの送信の可否が、1つの情報処理装置が送信したキー情報によって決定され得る。従って、すべての記憶領域にて記憶されているデータが不正に取得される可能性が比較的高い。
【0029】
これに対し、上記構成によれば、任意の記憶領域にて記憶されているデータの送信の可否は、その記憶領域に対応付けられた情報処理装置が送信したキー情報のみによって決定される。この結果、すべての記憶領域にて記憶されているデータが不正に取得される可能性を低減することができる。
【0030】
また、本発明の他の形態であるアクセス制御プログラムは、
情報処理装置により生成されたデータを記憶するストレージ装置に、
記憶装置を備えるとともに上記ストレージ装置に記憶されているデータを送信することを要求する読出要求情報を当該ストレージ装置へ送信し当該送信した読出要求情報に応じて受信したデータを当該記憶装置に記憶させるバックアップ処理を実行するバックアップ処理部を有するバックアップ装置から送信された情報に基づいて当該ストレージ装置に記憶されているデータを当該バックアップ装置へ送信するアクセス制御手段を実現させるためのプログラムである。
【0031】
更に、上記アクセス制御手段は、
上記ストレージ装置が上記バックアップ装置から上記読出要求情報を受信した場合、当該ストレージ装置に記憶されているデータを当該バックアップ装置へ送信するか否かを当該バックアップ装置から受信した特定情報に基づいて決定するように構成される。
【0032】
この場合、
上記アクセス制御手段は、
上記ストレージ装置が上記バックアップ装置から上記読出要求情報を受信した場合において、上記情報処理装置から受信したキー情報と当該バックアップ装置から受信した特定情報とが対応しているときに当該ストレージ装置に記憶されているデータを当該バックアップ装置へ送信すると決定し、一方、当該キー情報と当該特定情報とが対応していないときに当該データを当該バックアップ装置へ送信しないと決定するように構成されることが好適である。
【0033】
また、本発明の他の形態である情報処理方法は、
記憶装置を備えるバックアップ装置が、情報処理装置により生成されたデータを記憶するストレージ装置に記憶されているデータを送信することを要求する読出要求情報を当該ストレージ装置へ送信し当該送信した読出要求情報に応じて受信したデータを当該記憶装置に記憶させるバックアップ処理を実行するバックアップ処理工程を含む方法である。
【0034】
更に、
上記バックアップ処理工程は、上記読出要求情報とともに、当該バックアップ処理工程を表す特定情報を送信する工程を含み、
上記ストレージ装置が、上記バックアップ装置から上記読出要求情報を受信した場合、当該ストレージ装置に記憶されているデータを当該バックアップ装置へ送信するか否かを当該バックアップ装置から受信した特定情報に基づいて決定するアクセス制御工程を含む。
【0035】
この場合、上記情報処理方法は、
上記情報処理装置が、キー情報を生成し、当該生成したキー情報を上記ストレージ装置及び上記バックアップ処理部のそれぞれへ送信する工程を含み、
上記バックアップ処理工程は、上記情報処理装置から受信したキー情報を上記特定情報として用いるように構成され、
上記アクセス制御工程は、
上記ストレージ装置が、上記バックアップ装置から上記読出要求情報を受信した場合において、上記情報処理装置から受信したキー情報と当該バックアップ装置から受信した特定情報とが対応しているときに当該ストレージ装置に記憶されているデータを当該バックアップ装置へ送信すると決定し、一方、当該キー情報と当該特定情報とが対応していないときに当該データを当該バックアップ装置へ送信しないと決定するように構成されることが好適である。
【0036】
上述した構成を有する、アクセス制御プログラム、又は、情報処理方法、の発明であっても、上記情報処理システムと同様の作用を有するために、上述した本発明の目的を達成することができる。
【0037】
以下、本発明に係る、情報処理システム、アクセス制御プログラム、及び、情報処理方法、の実施形態について図1〜図8を参照しながら説明する。
【0038】
<実施形態>
図1に示したように、実施形態に係る情報処理システムは、複数の業務ホスト(情報処理装置)1〜3と、共有ディスク装置(ストレージ装置)4と、バックアップホスト(バックアップ装置)5と、バックアップ用記憶装置6と、ファイバ・チャネル・ファブリック7と、を含む。
【0039】
ファイバ・チャネル・ファブリック7は、ファイバ・チャネル・スイッチを含む。業務ホスト1〜3、共有ディスク装置4、及び、バックアップホスト5のそれぞれは、ファイバ・チャネル・ファブリック7に接続されている。このような構成により、業務ホスト1〜3、共有ディスク装置4、及び、バックアップホスト5は、ファイバ・チャネル・ファブリック7を介して互いに通信可能となっている。即ち、業務ホスト1〜3、共有ディスク装置4、及び、バックアップホスト5は、SAN(Storage Area Network)に接続されている、と言うことができる。
【0040】
また、業務ホスト1〜3及びバックアップホスト5は、ネットワーク(本例では、ローカル・エリア・ネットワーク)8に接続されている。従って、業務ホスト1〜3及びバックアップホスト5は、ネットワーク8を介して互いに通信可能となっている。
【0041】
各業務ホスト1〜3は、図示しないCPU(Central Processing Unit)及び記憶装置(本例では、RAM(Random Access Memory)及びハードディスク装置(HDD(Hard Disk Drive)))等を備える。各業務ホスト1〜3は、CPUが記憶装置に記憶されたプログラムを実行することにより、後述する機能を実現する。
【0042】
なお、本明細書において、業務ホスト1は「ホストA」とも表記され、業務ホスト2は「ホストB」とも表記され、業務ホスト3は「ホストY」とも表記される。
【0043】
また、共有ディスク装置4は、図示しないHDDを複数備えるディスクアレイ装置である。また、共有ディスク装置4には、図示しない管理装置が接続されている。共有ディスク装置4には、複数の論理ボリューム(記憶領域)431〜433が形成されている。
なお、本明細書において、論理ボリューム431は「VA」とも表記され、論理ボリューム432は「VB」とも表記され、論理ボリューム433は「VY」とも表記される。
【0044】
また、共有ディスク装置4は、図示しないCPU及びRAM等を含むアダプタを備える。共有ディスク装置4は、このCPUがRAMに記憶されているプログラム(ファームウェア)を実行することにより、後述する機能を実現する。
【0045】
バックアップホスト5は、図示しないCPU及び記憶装置等を備える。バックアップホスト5は、CPUが記憶装置に記憶されたプログラムを実行することにより、後述する機能を実現する。更に、バックアップホスト5には、バックアップ用記憶装置6が接続されている。バックアップ用記憶装置6は、本例では、HDDである。
なお、本明細書において、バックアップホスト5は「ホストZ」とも表記される。
【0046】
次に、プログラムを実行することによって実現される各業務ホスト1〜3の機能について説明する。
各業務ホスト1〜3の機能は、バックアップ・リストア要求部10,20,30と、業務アプリケーション処理部(業務AP部)11,21,31と、を含む。
【0047】
バックアップ・リストア要求部10,20,30は、時刻を表す情報に基づいて乱数を生成し、生成した乱数に基づいてアクセスキー(キー情報)を生成する。これにより、バックアップ・リストア要求部10,20,30は、前回生成したアクセスキーと異なるアクセスキーを生成する。更に、バックアップ・リストア要求部10,20,30は、共有ディスク装置4へ、キー設定要求情報を送信する。
【0048】
ここで、キー設定要求情報は、アクセスキーと、論理ボリュームを特定する論理ボリューム特定情報と、を含む情報であって、アクセスキーと論理ボリューム特定情報とを対応付けて記憶することを要求する情報である。
【0049】
また、バックアップ・リストア要求部10,20,30は、バックアップ要求情報又はリストア要求情報と、アクセスキーと、を、ネットワーク8を介してバックアップホスト5へ送信する。
【0050】
ここで、バックアップ要求情報は、論理ボリューム特定情報を含む情報であって、論理ボリューム特定情報により特定される論理ボリュームにて共有ディスク装置4に記憶されているデータをバックアップ用記憶装置6に記憶させる(バックアップ処理を実行する)ことを要求する情報である。
【0051】
また、リストア要求情報は、論理ボリューム特定情報を含む情報であって、バックアップ用記憶装置6に記憶されているデータを論理ボリューム特定情報により特定される論理ボリュームにて共有ディスク装置4に記憶させる(リストア処理を実行する)ことを要求する情報である。
【0052】
また、バックアップ・リストア要求部10,20,30は、図2に示した、自ホストが管理する論理ボリュームを特定する論理ボリューム特定情報と、アクセスキーと、からなる組を少なくとも1つ含むアクセスキー管理表101,201,301を記憶装置に記憶させている。
【0053】
なお、本例では、論理ボリュームVAを特定する論理ボリューム特定情報は「VA」と表記され、論理ボリュームVBを特定する論理ボリューム特定情報は「VB」と表記され、論理ボリュームVCを特定する論理ボリューム特定情報は「VC」と表記され、論理ボリュームVYを特定する論理ボリューム特定情報は「VY」と表記される。
【0054】
更に、ホストAを特定するホスト特定情報は「HA」と表記され、ホストBを特定するホスト特定情報は「HB」と表記され、ホストYを特定するホスト特定情報は「HY」と表記される。
また、アクセスキーKAは「KA」と表記される。
【0055】
更に、バックアップ・リストア要求部10,20,30は、アクセスキーを生成した場合、記憶装置に記憶されているアクセスキー管理表101,201,301を、生成したアクセスキーにより更新する。
【0056】
また、バックアップ・リストア要求部10,20,30は、バックアップホスト5からバックアップ完了情報又はリストア完了情報を受信した場合、アクセスキー管理表101,201,301からアクセスキーを消去するとともに、キー解除要求情報を共有ディスク装置4へ送信する。
【0057】
ここで、キー解除要求情報は、論理ボリューム特定情報を含む情報であって、論理ボリューム特定情報に対応付けて記憶されているアクセスキーを消去することを要求する情報である。
【0058】
業務アプリケーション処理部11,21,31は、データ(例えば、顧客情報等)を生成する。
また、業務アプリケーション処理部11,21,31は、書込要求情報を共有ディスク装置4へ送信する。ここで、書込要求情報は、上記生成されたデータと、自ホストが管理する論理ボリュームを特定する論理ボリューム特定情報と、を含み、そのデータを自ホストが管理する論理ボリュームにて記憶することを要求する情報である。
【0059】
また、業務アプリケーション処理部11,21,31は、自ホストが管理する論理ボリュームを特定する論理ボリューム特定情報を含みその論理ボリュームにて共有ディスク装置4に記憶されているデータを送信することを要求する読出要求情報を共有ディスク装置4へ送信する。
即ち、業務アプリケーション処理部11,21,31は、自ホストが管理する論理ボリュームを使用している。
【0060】
次いで、プログラムを実行することによって実現される共有ディスク装置4の機能について説明する。
共有ディスク装置4の機能は、入出力制御部40と、アクセス制御部41と、論理ボリューム制御部42と、を含む。
入出力制御部40は、ファイバ・チャネル・ファブリック7の制御を行う。
【0061】
アクセス制御部41は、図3に示した、論理ボリューム特定情報と、業務ホストを特定するホスト特定情報と、アクセスキーと、からなる組を複数(論理ボリュームの数と同数だけ)含む論理ボリュームアクセス制御表411をRAMに記憶させている。
即ち、各論理ボリュームは、業務ホスト1〜3及びバックアップホスト5の1つに対応付けられている。
【0062】
なお、論理ボリュームアクセス制御表411に含まれる組を構成する論理ボリューム特定情報及びホスト特定情報は、管理者が管理装置を用いて情報を入力することにより予め設定されている。
【0063】
本例では、ホスト特定情報は、ANSI(米国規格協会)のX3T11分科会により標準化されたファイバ・チャネル・インタフェースにて定義されたNode_Nameである。
【0064】
アクセス制御部41は、アクセスキー更新部412と、アクセス判定部413と、を含む。
アクセスキー更新部412は、キー設定要求情報を受信した場合において、そのキー設定要求情報に含まれる論理ボリューム特定情報と、そのキー設定要求情報を送信してきたホストを特定するホスト特定情報と、を含む組が論理ボリュームアクセス制御表411に含まれているとき、その組を構成するアクセスキーをキー設定要求情報に含まれるアクセスキーに更新する。即ち、アクセスキー更新部412は、受信したアクセスキーをRAMに記憶させる。また、論理ボリュームアクセス制御表411にて論理ボリューム特定情報と対応付けられたホスト特定情報により特定されるホストから送信されたアクセスキーのみが、その論理ボリューム特定情報に対応付けて記憶される、と言うことができる。
【0065】
アクセスキー更新部412は、キー解除要求情報を受信した場合において、そのキー解除要求情報に含まれる論理ボリューム特定情報と、そのキー解除要求情報を送信してきたホストを特定するホスト特定情報と、を含む組が論理ボリュームアクセス制御表411に含まれているとき、その組を構成するアクセスキーを消去する(予め設定された情報(本例では、「未設定」を表す情報)に設定する)。
【0066】
アクセス判定部413は、読出要求情報を受信した場合、その読出要求情報に含まれる論理ボリューム特定情報により特定される論理ボリュームにて記憶されているデータを、その読出要求情報を送信してきたホストへ送信するか否かを決定する。
【0067】
具体的には、アクセス判定部413は、上記論理ボリューム特定情報と、上記ホストを特定するホスト特定情報と、を含む組が論理ボリュームアクセス制御表411に含まれているとき、上記データを上記ホストへ送信すると決定する。
【0068】
また、アクセス判定部413は、上記組が論理ボリュームアクセス制御表411に含まれていない場合、上記論理ボリューム特定情報とともに組を構成するアクセスキーを取得する。そして、アクセス判定部413は、読出要求情報とともに受信したアクセスキーと取得したアクセスキーとが対応(本例では、一致)しているとき、上記データを上記ホストへ送信すると決定する。
【0069】
一方、アクセス判定部413は、受信したアクセスキーと取得したアクセスキーとが対応していないとき、又は、読出要求情報とともにアクセスキーを受信しなかったとき、上記データを上記ホストへ送信しないと決定する。
【0070】
アクセス制御部41は、アクセス判定部413により上記データを上記ホストへ送信すると決定された場合、上記データを読み出し、読み出したデータを上記ホストへ送信する。
【0071】
同様に、アクセス判定部413は、書込要求情報を受信した場合、その書込要求情報に含まれる論理ボリューム特定情報により特定される論理ボリュームにて、その書込要求情報に含まれるデータを記憶させるか否かを決定する。
【0072】
具体的には、アクセス判定部413は、上記論理ボリューム特定情報と、上記ホストを特定するホスト特定情報と、を含む組が論理ボリュームアクセス制御表411に含まれているとき、上記データを記憶させると決定する。
【0073】
また、アクセス判定部413は、上記組が論理ボリュームアクセス制御表411に含まれていない場合、上記論理ボリューム特定情報とともに組を構成するアクセスキーを取得する。そして、アクセス判定部413は、書込要求情報とともに受信したアクセスキーと取得したアクセスキーとが一致しているとき、上記データを記憶させると決定する。
【0074】
一方、アクセス判定部413は、受信したアクセスキーと取得したアクセスキーとが対応していないとき、又は、書込要求情報とともにアクセスキーを受信しなかったとき、上記データを記憶させないと決定する。
【0075】
アクセス制御部41は、アクセス判定部413により上記データを記憶させると決定された場合、上記データを上記論理ボリュームにて記憶させる。
論理ボリューム制御部42は、論理ボリューム431〜433の制御を行う。
【0076】
次に、プログラムを実行することによって実現されるバックアップホスト5の機能について説明する。
バックアップホスト5の機能は、バックアップ・リストア処理部(バックアップ処理部及びリストア処理部)50と、業務アプリケーション処理部51と、を含む。
【0077】
バックアップ・リストア処理部50は、バックアップ・リストア要求部10,20,30からバックアップ要求情報及びアクセスキーを受信した場合、そのバックアップ要求情報に含まれる論理ボリューム特定情報を含む読出要求情報と、受信したアクセスキーと、を共有ディスク装置4へ送信する。なお、アクセスキーは、バックアップ・リストア処理部50を表す特定情報である、と言うことができる。
【0078】
これにより、共有ディスク装置4は、受信した読出要求情報に基づいて上記論理ボリューム特定情報にて記憶されているデータを読み出し、読み出したデータをバックアップ・リストア処理部50へ送信する。
【0079】
そして、バックアップ・リストア処理部50は、送信した読出要求情報に応じて共有ディスク装置4からデータを受信し、受信したデータをバックアップ用記憶装置6に記憶させる。このようにして、バックアップ・リストア処理部50は、バックアップ処理を実行する。更に、バックアップ・リストア処理部50は、バックアップ処理の実行が完了(終了)した時、ネットワーク8を介して、要求元(バックアップ要求情報の送信元)のバックアップ・リストア要求部10,20,30へ、バックアップ完了情報を送信する。
【0080】
一方、バックアップ・リストア処理部50は、バックアップ・リストア要求部10,20,30からリストア要求情報及びアクセスキーを受信した場合、そのリストア要求情報に含まれる論理ボリューム特定情報とバックアップ用記憶装置6に記憶されているデータとを含む書込要求情報と、受信したアクセスキーと、を共有ディスク装置4へ送信する。
【0081】
これにより、共有ディスク装置4は、受信した書込要求情報に基づいて上記データを上記論理ボリューム特定情報により特定される論理ボリュームにて記憶する。
このようにして、バックアップ・リストア処理部50は、リストア処理を実行する。更に、バックアップ・リストア処理部50は、リストア処理の実行が完了(終了)した時、ネットワーク8を介して、要求元のバックアップ・リストア要求部10,20,30へ、リストア完了情報を送信する。
【0082】
業務アプリケーション処理部51は、業務アプリケーション処理部11,21,31と同様の機能を有する。
【0083】
次に、図4〜図7を参照しながら、論理ボリューム431(VA)にて共有ディスク装置4に記憶されているデータを、業務ホスト1(ホストA)がバックアップホスト5を用いて、バックアップ用記憶装置6に記憶させる(バックアップさせる)際の情報処理システムの作動について説明する。
【0084】
各業務ホスト1〜3のCPUは、図4にフローチャートにより示したバックアップ要求プログラムを、バックアップ処理の実行を指示する指示情報がユーザにより入力されると、実行するようになっている。
【0085】
いま、ユーザが、論理ボリューム431(VA)に記憶されているデータをバックアップさせるためのバックアップ処理の実行を指示する指示情報を、業務ホスト1に入力した場合を想定して説明を続ける。
【0086】
この場合、業務ホスト1のCPUは、ステップA1にてアクセスキーKAを生成する。次いで、CPUは、ステップA2にて、生成したアクセスキーKAによりアクセスキー管理表101を更新する(生成したアクセスキーKAをアクセスキー管理表101に登録する)。
【0087】
次いで、CPUは、ステップA3にて、生成したアクセスキーKAと、論理ボリューム431を特定する論理ボリューム特定情報(VA)と、を含むキー設定要求情報を、ファイバ・チャネル・ファブリック7を介して共有ディスク装置4へ送信する。
これにより、後述するように、共有ディスク装置4は、アクセスキーKAを論理ボリュームアクセス制御表411に登録する。
【0088】
次に、CPUは、ステップA4にて、ネットワーク8を介して、アクセスキーKAと、論理ボリューム431を特定する論理ボリューム特定情報(VA)を含むバックアップ要求情報と、をバックアップホスト5(のバックアップ・リストア処理部50)へ送信する。
次いで、CPUは、ステップA5にて、バックアップ完了情報を受信するまで待機する。
【0089】
一方、バックアップホスト5のCPUは、図5にフローチャートにより示したバックアップ処理プログラムを、バックアップホスト5の起動時に実行するようになっている。なお、図5のプログラムの処理が実行されることは、バックアップ処理工程の機能が達成されることに対応している。
【0090】
バックアップホスト5のCPUは、ステップB1にて、バックアップ要求情報を受信するまで待機する。
【0091】
この状態においては、バックアップホスト5のCPUは、業務ホスト1からバックアップ要求情報を受信する。従って、CPUは、「Yes」と判定してステップB2に進み、バックアップ処理を実行する。
具体的には、CPUは、受信したバックアップ要求情報に含まれる論理ボリューム特定情報(VA)を含む読出要求情報と、受信したアクセスキーKAと、を共有ディスク装置4へ送信する。
【0092】
これにより、後述するように、共有ディスク装置4は、論理ボリューム431にて記憶されているデータを読み出し、読み出したデータをバックアップホスト5へ送信する。
次いで、バックアップホスト5のCPUは、そのデータを受信し、受信したデータをバックアップ用記憶装置6に記憶させる。このようにして、バックアップ処理が実行される。
【0093】
そして、CPUは、ステップB3にて、ネットワーク8を介して、業務ホスト1へバックアップ完了情報を送信する。次いで、CPUは、ステップB1に戻り、ステップB1〜ステップB3の処理を繰り返し実行する。
【0094】
この状態においては、業務ホスト1は、バックアップ完了情報を受信する。従って、業務ホスト1のCPUは、ステップA5にて「Yes」と判定してステップA6に進む。そして、CPUは、論理ボリューム特定情報(VA)を含むキー解除要求情報を共有ディスク装置4へ送信する。
【0095】
これにより、後述するように、共有ディスク装置4は、論理ボリューム特定情報(VA)とともに組を構成しているアクセスキーを論理ボリュームアクセス制御表411から削除(消去)する。即ち、バックアップ処理の実行が完了した後に、共有ディスク装置4のアダプタのRAMに記憶されているアクセスキーが消去される。
【0096】
次いで、業務ホスト1のCPUは、ステップA7にて、論理ボリューム特定情報(VA)とともに組を構成しているアクセスキーをアクセスキー管理表101からも削除する。
そして、CPUは、このプログラムの実行を終了する。
【0097】
なお、業務ホスト1のCPUは、リストア処理の実行を要求するため、図4のバックアップ要求プログラムと同様のリストア要求プログラムを実行するようになっている。更に、バックアップホスト5のCPUは、リストア処理を実行するため、図5のバックアップ処理プログラムと同様のリストア処理プログラムを実行するようになっている。
【0098】
一方、共有ディスク装置4のアダプタのCPUは、図6にフローチャートにより示したアクセスキー更新プログラムを、共有ディスク装置4の起動時に実行するようになっている。従って、このCPUは、ステップC1にて、キー設定要求情報又はキー解除要求情報を受信するまで待機する。
【0099】
いま、上述したように、業務ホスト1のCPUがアクセスキーKAと、論理ボリューム特定情報(VA)と、を含むキー設定要求情報を共有ディスク装置4へ送信した(図4のステップA3)場合について説明する。
【0100】
この場合、共有ディスク装置4は、上記キー設定要求情報を受信する。従って、共有ディスク装置4のアダプタのCPUは、ステップC1にて「Yes」と判定してステップC2に進む。
【0101】
そして、CPUは、受信したキー設定要求情報を送信してきたホスト(ここでは、業務ホスト1)を特定するホスト特定情報(本例では、Node_Name)を取得する。更に、CPUは、取得したホスト特定情報(HA)と、受信したキー設定要求情報に含まれる論理ボリューム特定情報(VA)と、を含む組が論理ボリュームアクセス制御表411に含まれている(存在する)か否かを判定する。
【0102】
いま、論理ボリュームアクセス制御表411が、図8に示した組を含んでいる場合を想定して説明を続ける。即ち、論理ボリュームアクセス制御表411は、論理ボリューム特定情報(VA)と、ホスト特定情報(HA)と、アクセスキーとしての「未設定」と、からなる組を含む。
【0103】
従って、論理ボリューム特定情報(VA)と、ホスト特定情報(HA)と、を含む組が論理ボリュームアクセス制御表411に含まれているから、CPUは、「Yes」と判定してステップC3に進む。
【0104】
次いで、CPUは、キー設定要求情報を受信したか否かを判定する。この状態においては、CPUは、「Yes」と判定してステップC4に進む。
そして、CPUは、上記組を構成するアクセスキーをキー設定要求情報に含まれるアクセスキーKAに更新(設定)する。これにより、論理ボリュームアクセス制御表411は、図3に示した状態となる。
【0105】
次いで、CPUは、ステップC5にて、アクセプト処理を行う。本例では、アクセプト処理は、キー設定要求情報又はキー解除要求情報を送信してきたホストへ、アクセスキーの設定又は削除が完了した旨を表す情報を送信する処理である。
【0106】
そして、CPUは、ステップC1へ戻り、ステップC1〜ステップC7の処理を繰り返し実行する。
【0107】
次に、上述したように、業務ホスト1のCPUが論理ボリューム特定情報(VA)を含むキー解除要求情報を共有ディスク装置4へ送信した(図4のステップA6)場合について説明する。
【0108】
この場合、CPUがステップC3に進んだとき、CPUは、「No」と判定してステップC6に進む。
そして、CPUは、受信したキー解除要求情報に含まれる論理ボリューム特定情報(VA)と、そのキー解除要求情報を送信してきたホストを特定するホスト特定情報(HA)と、を含む組を構成するアクセスキーKAを論理ボリュームアクセス制御表411から消去する。これにより、論理ボリュームアクセス制御表411は、図8に示した状態となる。
【0109】
また、キー設定要求情報又はキー解除要求情報を送信してきたホストを特定するホスト特定情報と、受信したキー設定要求情報又はキー解除要求情報に含まれる論理ボリューム特定情報と、を含む組が論理ボリュームアクセス制御表411に含まれていない場合(例えば、業務ホスト2から論理ボリューム特定情報(VA)を含むキー設定要求情報を受信した場合)、CPUは、ステップC2にて「No」と判定してステップC7へ進み、リジェクト処理を行う。
【0110】
本例では、リジェクト処理は、キー設定要求情報又はキー解除要求情報を送信してきたホストへ、アクセスキーの設定又は削除を実行不能である旨を表す情報を送信する処理である。
【0111】
一方、共有ディスク装置4のアダプタのCPUは、図7にフローチャートにより示したアクセス判定プログラム(アクセス制御プログラム)を、共有ディスク装置4の起動時に実行するようになっている。なお、図7のプログラムの処理が実行されることは、アクセス制御工程及びアクセス制御手段の機能が達成されることに対応している。
【0112】
このCPUは、ステップD1にて、読出要求情報又は書込要求情報を受信するまで待機する。
【0113】
いま、論理ボリュームアクセス制御表411が、図3に示した状態となっている場合を想定する。
更に、この場合において、業務ホスト1が、論理ボリューム特定情報(VA)を含むアクセス要求情報(読出要求情報又は書込要求情報)を共有ディスク装置4へ送信した場合について説明する。
【0114】
この場合、共有ディスク装置4のアダプタのCPUは、ステップD1にて「Yes」と判定してステップD2に進む。
【0115】
そして、CPUは、受信したアクセス要求情報を送信してきたホスト(ここでは、業務ホスト1)を特定するホスト特定情報(本例では、Node_Name)を取得する。更に、CPUは、取得したホスト特定情報(HA)と、受信したアクセス要求情報に含まれる論理ボリューム特定情報(VA)と、を含む組が論理ボリュームアクセス制御表411に含まれているか否かを判定する。
【0116】
上記仮定に従えば、CPUは、「Yes」と判定してステップD3に進み、アクセス許可処理を行う。
本例では、アクセス許可処理は、アクセス要求情報が読出要求情報である場合、論理ボリューム特定情報により特定される論理ボリュームにて記憶されているデータを読み出し、読み出したデータを要求元(読出要求情報の送信元)のホストへ送信する処理である。また、アクセス許可処理は、アクセス要求情報が書込要求情報である場合、書込要求情報に含まれるデータを、論理ボリューム特定情報により特定される論理ボリュームにて記憶させる処理である。
【0117】
そして、CPUは、ステップD1へ戻り、ステップD1〜ステップD6の処理を繰り返し実行する。
【0118】
次に、バックアップホスト5が、論理ボリューム特定情報(VA)を含む読出要求情報と、アクセスキーKAと、を共有ディスク装置4へ送信した(図5のステップB2)場合について説明する。
この場合、共有ディスク装置4のアダプタのCPUは、ステップD2にて「No」と判定してステップD4に進む。
【0119】
CPUは、アクセス要求情報とともにアクセスキーを受信したか否かを判定する。
この状態においては、CPUは、アクセスキーKAを受信している。従って、CPUは、「Yes」と判定してステップD5に進む。
【0120】
そして、CPUは、アクセス要求情報に含まれる論理ボリューム特定情報(VA)とともに組を構成するアクセスキーKAを論理ボリュームアクセス制御表411から取得する。更に、CPUは、アクセス要求情報とともに受信したアクセスキーKAと取得したアクセスキーKAとが一致しているか否かを判定する。
【0121】
この状態においては、受信したアクセスキーKAと取得したアクセスキーKAとは一致している。従って、CPUは、「Yes」と判定してステップD3に進む。
【0122】
一方、共有ディスク装置4がバックアップホスト5からアクセス要求情報のみを受信した(即ち、アクセスキーを受信しなかった)場合、CPUは、ステップD4にて「No」と判定してステップD6に進む。そして、CPUは、アクセス禁止処理を行う。本例では、アクセス禁止処理は、論理ボリュームへのアクセスが禁止された旨を表す情報を要求元(アクセス要求情報の送信元)のホストへ送信する処理である。
即ち、論理ボリュームにて記憶されているデータがバックアップホスト5へ送信されることが防止される。また、論理ボリュームにて新たにデータが記憶されることも防止される。
【0123】
また、例えば、バックアップホスト5が論理ボリューム特定情報(VA)を含むアクセス要求情報と、アクセスキーKAと異なるアクセスキーKBと、を共有ディスク装置4へ送信した場合、共有ディスク装置4のアダプタのCPUは、ステップD5にて「No」と判定してステップD6へ進む。
【0124】
以上、説明したように、本発明による情報処理システムの実施形態によれば、バックアップ・リストア処理部50によってバックアップホスト5から読出要求情報が送信された場合に、共有ディスク装置4に記憶されているデータをバックアップホスト5へ送信させることができる。一方、バックアップホスト5のうちのバックアップ・リストア処理部50以外の機能によってバックアップホスト5から読出要求情報が送信された場合に、共有ディスク装置4に記憶されているデータがバックアップホスト5へ送信されることを防止することができる。
このように、共有ディスク装置4が記憶しているデータを、バックアップホスト5に適切に取得させることができる。
【0125】
また、上記実施形態においては、業務ホスト1〜3によって生成されたアクセスキーに基づいて、共有ディスク装置4に記憶されているデータをバックアップホスト5へ送信するか否かが決定される。従って、共有ディスク装置4が業務ホスト1〜3から受信したアクセスキー(特定情報)と同一の特定情報が、バックアップホスト5のうちのバックアップ・リストア処理部50以外の機能によって送信される可能性をより一層低減することができる。
【0126】
この結果、バックアップホスト5のうちのバックアップ・リストア処理部50以外の機能によってバックアップホスト5から読出要求情報が送信された場合に、共有ディスク装置4に記憶されているデータがバックアップホスト5へ送信されることをより一層確実に防止することができる。
【0127】
また、上記実施形態においては、業務ホスト1〜3は、前回生成したアクセスキーと異なるアクセスキーを生成する。これによれば、共有ディスク装置4が受信したアクセスキーと同一のアクセスキーが、バックアップホスト5のうちのバックアップ・リストア処理部50以外の機能によって送信される可能性をより一層低減することができる。
【0128】
更に、上記実施形態においては、バックアップ処理の実行が完了した後に、論理ボリュームアクセス制御表411からアクセスキーが消去される。これによれば、バックアップ処理の実行が完了した後に、共有ディスク装置4が受信したアクセスキーと同一のアクセスキーが、バックアップホスト5のうちのバックアップ・リストア処理部50以外の機能によって送信された場合であっても、論理ボリュームアクセス制御表411内のアクセスキーと送信されたアクセスキーとは対応していないと判定される。
【0129】
この結果、バックアップホスト5のうちのバックアップ・リストア処理部50以外の機能によってバックアップホスト5から読出要求情報が送信された場合に、共有ディスク装置4が共有ディスク装置4に記憶されているデータをバックアップホスト5へ送信することをより一層確実に防止することができる。
【0130】
また、上記実施形態においては、任意の論理ボリューム(記憶領域)にて記憶されているデータの送信の可否は、その論理ボリュームに対応付けられたホスト(即ち、論理ボリュームアクセス制御表411にて、その論理ボリュームを特定する論理ボリューム特定情報と組を構成するホスト特定情報により特定されるホスト)が送信したアクセスキーのみによって決定される。この結果、すべての論理ボリュームにて記憶されているデータが不正に取得される可能性を低減することができる。
【0131】
また、上記実施形態は、リストア処理を行う場合もバックアップ処理を行う場合と同様に作動するように構成されている。これによれば、バックアップホスト5のうちのバックアップ・リストア処理部50以外の機能によってバックアップホスト5から書込要求情報が送信された場合に、共有ディスク装置4に新たにデータが記憶されることを防止することができる。この結果、共有ディスク装置4に記憶されていたデータが上書きされることにより消去されることを防止することができる。
【0132】
なお、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、上記実施形態は、業務ホスト1〜3とバックアップホスト5との間の通信を、ネットワーク8を介して行うように構成されていたが、ファイバ・チャネル・ファブリック7を介して行うように構成されていてもよい。
【0133】
また、上記実施形態においては、共有ディスク装置4は、記憶媒体として複数のHDDを備えていたが、1つのHDDのみを備えていてもよく、HDDに代えて磁気テープ等の他の記憶媒体を備えていてもよい。
【0134】
更に、上記実施形態においては、バックアップ用記憶装置6は、HDDであったが、磁気テープ等の他の記憶媒体であってもよい。また、バックアップ用記憶装置6は、CPU等を備える情報処理装置であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0135】
本発明は、SANに接続されたストレージ装置に記憶されているデータを他の記憶装置に記憶させるバックアップシステム等に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0136】
【図1】本発明の実施形態に係る情報処理システムの概略構成を表す図である。
【図2】図1に示した業務ホストの記憶装置に記憶されているアクセスキー管理表を示した図である。
【図3】図1に示した共有ディスク装置のアダプタのRAMに記憶されている論理ボリュームアクセス制御表を示した図である。
【図4】図1に示した業務ホストのCPUが実行するバックアップ要求プログラムを示したフローチャートである。
【図5】図1に示したバックアップホストのCPUが実行するバックアップ処理プログラムを示したフローチャートである。
【図6】図1に示した共有ディスク装置のアダプタのCPUが実行するアクセスキー更新プログラムを示したフローチャートである。
【図7】図1に示した共有ディスク装置のアダプタのCPUが実行するアクセス判定プログラムを示したフローチャートである。
【図8】図1に示した共有ディスク装置のアダプタのRAMに記憶されている論理ボリュームアクセス制御表を示した図である。
【符号の説明】
【0137】
1〜3 業務ホスト
4 共有ディスク装置
5 バックアップホスト
6 バックアップ用記憶装置
7 ファイバ・チャネル・ファブリック
8 ネットワーク
10,20,30 バックアップ・リストア要求部
101,201,203 アクセスキー管理表
11,21,31 業務アプリケーション処理部
40 入出力制御部
41 アクセス制御部
411 論理ボリュームアクセス制御表
412 アクセスキー更新部
413 アクセス判定部
42 論理ボリューム制御部
431〜433 論理ボリューム
50 バックアップ・リストア処理部
51 業務アプリケーション処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データを生成する情報処理装置と、前記情報処理装置により生成されたデータを記憶するストレージ装置と、記憶装置を備えるとともに前記ストレージ装置に記憶されているデータを送信することを要求する読出要求情報を当該ストレージ装置へ送信し当該送信した読出要求情報に応じて受信したデータを当該記憶装置に記憶させるバックアップ処理を実行するバックアップ処理部を有するバックアップ装置と、を含む情報処理システムであって、
前記バックアップ処理部は、前記読出要求情報とともに、当該バックアップ処理部を表す特定情報を送信するように構成され、
前記ストレージ装置は、前記バックアップ装置から前記読出要求情報を受信した場合、当該ストレージ装置に記憶されているデータを当該バックアップ装置へ送信するか否かを当該バックアップ装置から受信した特定情報に基づいて決定するように構成された情報処理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理システムであって、
前記バックアップ装置は、前記記憶装置に記憶されているデータを記憶することを要求する書込要求情報を前記ストレージ装置へ送信するリストア処理部を有し、
前記リストア処理部は、前記書込要求情報とともに、当該リストア処理部を表す特定情報を送信するように構成され、
前記ストレージ装置は、前記バックアップ装置から前記書込要求情報を受信した場合、当該ストレージ装置にデータを記憶させるか否かを当該バックアップ装置から受信した特定情報に基づいて決定するように構成された情報処理システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の情報処理システムであって、
前記情報処理装置は、前記バックアップ処理の実行を要求するバックアップ要求情報を前記バックアップ処理部へ送信するように構成され、
前記バックアップ処理部は、前記バックアップ要求情報に応じて前記読出要求情報を前記ストレージ装置へ送信するように構成された情報処理システム。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の情報処理システムであって、
前記情報処理装置は、キー情報を生成し、当該生成したキー情報を前記ストレージ装置及び前記バックアップ処理部のそれぞれへ送信するように構成され、
前記バックアップ処理部は、前記情報処理装置から受信したキー情報を前記特定情報として用いるように構成され、
前記ストレージ装置は、
前記バックアップ装置から前記読出要求情報を受信した場合において、前記情報処理装置から受信したキー情報と当該バックアップ装置から受信した特定情報とが対応しているときに当該ストレージ装置に記憶されているデータを当該バックアップ装置へ送信すると決定し、一方、当該キー情報と当該特定情報とが対応していないときに当該データを当該バックアップ装置へ送信しないと決定するように構成された情報処理システム。
【請求項5】
請求項4に記載の情報処理システムであって、
前記情報処理装置は、前回生成したキー情報と異なるキー情報を生成するように構成された情報処理システム。
【請求項6】
請求項4又は請求項5に記載の情報処理システムであって、
前記ストレージ装置は、
前記情報処理装置から受信したキー情報を記憶するとともに、当該記憶しているキー情報と前記バックアップ装置から受信した特定情報とに基づいて当該ストレージ装置に記憶されているデータを当該バックアップ装置へ送信するか否かを決定するように構成され、且つ、前記バックアップ処理の実行が完了した後に前記記憶されているキー情報を消去するように構成された情報処理システム。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の情報処理システムであって、
前記情報処理装置を複数含み、
前記ストレージ装置には、前記複数の情報処理装置の少なくとも1つに対応付けられた記憶領域が複数形成され、
前記ストレージ装置は、
前記バックアップ装置から前記読出要求情報を受信した場合において、前記記憶領域にて記憶されているデータを当該バックアップ装置へ送信するか否かを、当該記憶領域に対応付けられた前記情報処理装置から受信したキー情報に基づいて決定するように構成された情報処理システム。
【請求項8】
情報処理装置により生成されたデータを記憶するストレージ装置に、
記憶装置を備えるとともに前記ストレージ装置に記憶されているデータを送信することを要求する読出要求情報を当該ストレージ装置へ送信し当該送信した読出要求情報に応じて受信したデータを当該記憶装置に記憶させるバックアップ処理を実行するバックアップ処理部を有するバックアップ装置から送信された情報に基づいて当該ストレージ装置に記憶されているデータを当該バックアップ装置へ送信するアクセス制御手段を実現させるためのアクセス制御プログラムであって、
前記アクセス制御手段は、
前記ストレージ装置が前記バックアップ装置から前記読出要求情報を受信した場合、当該ストレージ装置に記憶されているデータを当該バックアップ装置へ送信するか否かを当該バックアップ装置から受信した特定情報に基づいて決定するように構成されたアクセス制御プログラム。
【請求項9】
請求項8に記載のアクセス制御プログラムであって、
前記アクセス制御手段は、
前記ストレージ装置が前記バックアップ装置から前記読出要求情報を受信した場合において、前記情報処理装置から受信したキー情報と当該バックアップ装置から受信した特定情報とが対応しているときに当該ストレージ装置に記憶されているデータを当該バックアップ装置へ送信すると決定し、一方、当該キー情報と当該特定情報とが対応していないときに当該データを当該バックアップ装置へ送信しないと決定するように構成されたアクセス制御プログラム。
【請求項10】
記憶装置を備えるバックアップ装置が、情報処理装置により生成されたデータを記憶するストレージ装置に記憶されているデータを送信することを要求する読出要求情報を当該ストレージ装置へ送信し当該送信した読出要求情報に応じて受信したデータを当該記憶装置に記憶させるバックアップ処理を実行するバックアップ処理工程を含む情報処理方法であって、
前記バックアップ処理工程は、前記読出要求情報とともに、当該バックアップ処理工程を表す特定情報を送信する工程を含み、
前記ストレージ装置が、前記バックアップ装置から前記読出要求情報を受信した場合、当該ストレージ装置に記憶されているデータを当該バックアップ装置へ送信するか否かを当該バックアップ装置から受信した特定情報に基づいて決定するアクセス制御工程を含む情報処理方法。
【請求項11】
請求項10に記載の情報処理方法であって、
前記情報処理装置が、キー情報を生成し、当該生成したキー情報を前記ストレージ装置及び前記バックアップ処理部のそれぞれへ送信する工程を含み、
前記バックアップ処理工程は、前記情報処理装置から受信したキー情報を前記特定情報として用いるように構成され、
前記アクセス制御工程は、
前記ストレージ装置が、前記バックアップ装置から前記読出要求情報を受信した場合において、前記情報処理装置から受信したキー情報と当該バックアップ装置から受信した特定情報とが対応しているときに当該ストレージ装置に記憶されているデータを当該バックアップ装置へ送信すると決定し、一方、当該キー情報と当該特定情報とが対応していないときに当該データを当該バックアップ装置へ送信しないと決定するように構成された情報処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−211585(P2009−211585A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−55780(P2008−55780)
【出願日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】