説明

情報処理機器、およびワイヤレス通信機器の電池寿命管理方法

【課題】ワイヤレス通信機器の電池寿命が想定外で短くなる場合にオペレータに通知する。
【解決手段】情報処理機器1は、下位のワイヤレス通信機器から無線回線を介してデータを受信する通信部10と、通信部10の受信状況を基にワイヤレス通信機器の累積動作回数を測定する動作回数測定部11と、測定した累積動作回数または累積動作時間を、ワイヤレス通信機器の想定電池寿命から決定された予定の累積動作回数または累積動作時間と比較する電池寿命演算部14と、測定した累積動作回数または累積動作時間が予定の累積動作回数または累積動作時間よりも多いときに、ワイヤレス通信機器の累積動作回数または累積動作時間が予定よりも多いことをオペレータに通知するオペレータ通知部15とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤレスセンサなどのようにデータを無線回線を介して送信するワイヤレス通信機器の電池寿命を、上位の情報処理機器が管理する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
流量計や温湿度計などのセンサ機器では、省配線によるコストダウンや遠隔地からの監視・制御を行なうために、従来の有線接続に替わって、電波を利用したワイヤレス通信機能が利用されることがある(例えば特許文献1参照)。図6はこのようなワイヤレス通信機能を利用した従来のワイヤレス計測システムの構成を示すブロック図である。ワイヤレス計測システムは、一般に、リレーノードやゲートウェイノードなどの親ノードである情報処理機器1と、末端のリーフノードであるワイヤレス通信機器2とから構成される。ワイヤレス通信機器2から無線送信されるデータは、情報処理機器1を通じてデータベース3へ蓄積される。
【0003】
ワイヤレス通信機器2は、ネットワークの末端にあるノードで、通信を行なう回数も情報処理機器1に比べて少ない。そのため、電力消費量も情報処理機器1に比べて小さいことが特長である。また、ワイヤレス計測機器に対しては信号線と同時に給電線もなくすことが望まれている。したがって、ワイヤレス通信機器2は、電源として電池を利用する構成となる場合が多い。図7(A)、図7(B)はワイヤレス通信機器2の具体例を示す図である。図7(A)の例では、センサ4と電池式ワイヤレス通信機器2aとが別体となっている。図7(B)の例では、ワイヤレス通信機器はセンサを内部に備えたセンサ一体型電池式ワイヤレス通信機器2bとなっている。
【0004】
このように、ワイヤレス通信機器2は、電源として電池を利用していることが多い。このため、動作可能な時間に制約があった。そこで、特許文献1に開示されたシステムでは、ワイヤレス通信機器2の動作周期を情報処理機器1から変更可能にして臨機応変な運用を実現することにより、ワイヤレス通信機器2の消費電力を抑制するようにしていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−132577号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示されたシステムでは、例えば過剰に短い動作周期を設定してしまうといった理由から、ワイヤレス通信機器の電池寿命がシステムの運用者などの意に反して短くなる可能性があった。想定外で電池寿命が短くなる場合は、ワイヤレスでの利用だけに保守作業の実施が困難であるケースが多く、実用性が著しく低下する。
【0007】
また、大規模な制御システムでは、複数の計測対象がある。したがって、計測対象に応じてワイヤレス通信機器の動作周期を変えることがあるので、複数のワイヤレス通信機器の動作周期は必ずしも全てが同一の動作周期とは限らない。個々のワイヤレス通信機器についても常に一定の動作周期であるとは限らない。このような運用の実情により、複数のワイヤレス通信機器の電池寿命は機器毎に異なるため、通常は別々のタイミングで電池交換を行なうか、電池寿命に至らない機器も含めて一度の保守作業で全て電池交換してしまうことになる。別々のタイミングで電池交換を行なう場合は、交換作業が多くなるという問題点があり、一度の保守作業で全てのワイヤレス通信機器の電池交換を行なう場合は、電池寿命に至らない機器の電池まで交換するため、エネルギーロスが発生するという問題点があった。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、ワイヤレス通信機器の電池寿命が想定外で短くなる場合にオペレータに通知できるようにすることを目的とする。
また、本発明は、ワイヤレス通信機器の電池寿命が想定外で短くなる場合に想定どおりの電池寿命に近づけるようにすることを目的とする。
また、本発明は、同じタイミングで、かつ概ね妥当な交換時期と判断できる状況で、複数のワイヤレス通信機器の電池交換を行なえるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の情報処理機器は、下位のワイヤレス通信機器から無線回線を介してデータを受信する通信手段と、この通信手段の受信状況を基に前記ワイヤレス通信機器の累積動作回数または累積動作時間を測定する第1の測定手段と、この第1の測定手段が測定した累積動作回数または累積動作時間を、前記ワイヤレス通信機器の想定電池寿命から決定された予定の累積動作回数または累積動作時間と比較する比較手段と、前記第1の測定手段が測定した累積動作回数または累積動作時間が前記予定の累積動作回数または累積動作時間よりも多いときに、前記ワイヤレス通信機器の累積動作回数または累積動作時間が予定よりも多いことをオペレータに通知する通知手段とを備えることを特徴とするものである。
また、本発明の情報処理機器は、下位のワイヤレス通信機器から無線回線を介してデータを受信する通信手段と、この通信手段の受信状況を基に前記ワイヤレス通信機器の累積動作回数または累積動作時間を測定する第1の測定手段と、この第1の測定手段が測定した累積動作回数または累積動作時間を、前記ワイヤレス通信機器の想定電池寿命から決定された予定の累積動作回数または累積動作時間と比較する比較手段と、前記第1の測定手段が測定した累積動作回数または累積動作時間が前記予定の累積動作回数または累積動作時間よりも多いときに、前記ワイヤレス通信機器の動作周期下限値を大きくする動作周期設定手段とを備えることを特徴とするものである。
【0010】
また、本発明の情報処理機器の1構成例は、さらに、前記ワイヤレス通信機器の電池交換時点からの経過時間を測定する第2の測定手段を備え、前記比較手段は、前記経過時間に応じて前記予定の累積動作回数または累積動作時間を決定することを特徴とするものである。
また、本発明の情報処理機器の1構成例において、前記通知手段は、前記第1の測定手段が測定した累積動作回数または累積動作時間が前記予定の累積動作回数または累積動作時間よりも少ないときに、前記ワイヤレス通信機器の累積動作回数または累積動作時間が予定よりも少ないことをオペレータに通知することを特徴とするものである。
また、本発明の情報処理機器の1構成例において、前記動作周期設定手段は、前記第1の測定手段が測定した累積動作回数または累積動作時間が前記予定の累積動作回数または累積動作時間よりも少ないときに、前記ワイヤレス通信機器の動作周期下限値を小さくすることを特徴とするものである。
【0011】
また、本発明の情報処理機器は、下位のワイヤレス通信機器から無線回線を介してデータを受信する通信手段と、この通信手段の受信状況を基に前記ワイヤレス通信機器の累積動作回数または累積動作時間を測定する測定手段と、この測定手段が測定した累積動作回数または累積動作時間に基づき各ワイヤレス通信機器の電池交換タイミングを推定する電池寿命演算手段と、この電池寿命演算手段の推定結果に基づいて、電池交換タイミングが一致するように各ワイヤレス通信機器の動作周期を修正する動作周期設定手段とを備えることを特徴とするものである。
また、本発明の情報処理機器の1構成例において、前記動作周期設定手段は、前記動作周期の修正量が予め規定された許容範囲内であるワイヤレス通信機器についてのみ前記動作周期の修正を行い、前記動作周期の修正量が許容範囲外であるワイヤレス通信機器を前記動作周期の修正の対象外とすることを特徴とするものである。
【0012】
また、本発明のワイヤレス通信機器の電池寿命管理方法は、下位のワイヤレス通信機器から無線回線を介してデータを受信する情報処理機器が、前記受信の状況を基に前記ワイヤレス通信機器の累積動作回数または累積動作時間を測定する第1の測定手順と、前記情報処理機器が前記第1の測定手順で測定した累積動作回数または累積動作時間を、前記ワイヤレス通信機器の想定電池寿命から決定された予定の累積動作回数または累積動作時間と比較する比較手順と、前記第1の測定手順で測定した累積動作回数または累積動作時間が前記予定の累積動作回数または累積動作時間よりも多いときに、前記ワイヤレス通信機器の累積動作回数または累積動作時間が予定よりも多いことをオペレータに通知する通知手順とを備えることを特徴とするものである。
また、本発明のワイヤレス通信機器の電池寿命管理方法は、下位のワイヤレス通信機器から無線回線を介してデータを受信する情報処理機器が、前記受信の状況を基に前記ワイヤレス通信機器の累積動作回数または累積動作時間を測定する第1の測定手順と、前記情報処理機器が前記第1の測定手順で測定した累積動作回数または累積動作時間を、前記ワイヤレス通信機器の想定電池寿命から決定された予定の累積動作回数または累積動作時間と比較する比較手順と、前記第1の測定手順で測定した累積動作回数または累積動作時間が前記予定の累積動作回数または累積動作時間よりも多いときに、前記情報処理機器が前記ワイヤレス通信機器の動作周期下限値を大きくする動作周期設定手順とを備えることを特徴とするものである。
【0013】
また、本発明のワイヤレス通信機器の電池寿命管理方法の1構成例は、さらに、前記情報処理機器が前記ワイヤレス通信機器の電池交換時点からの経過時間を測定する第2の測定手順を備え、前記予定の累積動作回数または累積動作時間は、前記経過時間に応じて決定されることを特徴とするものである。
また、本発明のワイヤレス通信機器の電池寿命管理方法の1構成例において、前記通知手順は、前記第1の測定手順で測定した累積動作回数または累積動作時間が前記予定の累積動作回数または累積動作時間よりも少ないときに、前記ワイヤレス通信機器の累積動作回数または累積動作時間が予定よりも少ないことをオペレータに通知することを特徴とするものである。
また、本発明のワイヤレス通信機器の電池寿命管理方法の1構成例において、前記動作周期設定手順は、前記第1の測定手順で測定した累積動作回数または累積動作時間が前記予定の累積動作回数または累積動作時間よりも少ないときに、前記ワイヤレス通信機器の動作周期下限値を小さくすることを特徴とするものである。
【0014】
また、本発明のワイヤレス通信機器の電池寿命管理方法は、下位のワイヤレス通信機器から無線回線を介してデータを受信する情報処理機器が、前記受信の状況を基に前記ワイヤレス通信機器の累積動作回数または累積動作時間を測定する測定手順と、前記情報処理機器が前記測定手順で測定した累積動作回数または累積動作時間に基づき各ワイヤレス通信機器の電池交換タイミングを推定する電池寿命演算手順と、前記情報処理機器が前記電池寿命演算手順の推定結果に基づいて、電池交換タイミングが一致するように各ワイヤレス通信機器の動作周期を修正する動作周期設定手順とを備えることを特徴とするものである。
また、本発明のワイヤレス通信機器の電池寿命管理方法の1構成例において、前記動作周期設定手順は、前記動作周期の修正量が予め規定された許容範囲内であるワイヤレス通信機器についてのみ前記動作周期の修正を行い、前記動作周期の修正量が許容範囲外であるワイヤレス通信機器を前記動作周期の修正の対象外とすることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ワイヤレス通信機器の累積動作回数または累積動作時間を測定し、測定した累積動作回数または累積動作時間を、ワイヤレス通信機器の想定電池寿命から決定された予定の累積動作回数または累積動作時間と比較し、測定した累積動作回数または累積動作時間が予定の累積動作回数または累積動作時間よりも多いときに、ワイヤレス通信機器の累積動作回数または累積動作時間が予定よりも多いことをオペレータに通知することにより、オペレータは、ワイヤレス通信機器の電池寿命が想定よりも短くなることを認識することができる。
【0016】
また、本発明では、ワイヤレス通信機器の累積動作回数または累積動作時間を測定し、測定した累積動作回数または累積動作時間を、ワイヤレス通信機器の想定電池寿命から決定された予定の累積動作回数または累積動作時間と比較し、測定した累積動作回数または累積動作時間が予定の累積動作回数または累積動作時間よりも多いときに、ワイヤレス通信機器の動作周期下限値を大きくすることにより、ワイヤレス通信機器の動作周期が短くなり過ぎないように制限をかけることができ、ワイヤレス通信機器の電池寿命を想定どおりの電池寿命に近づけるようにすることができる。
【0017】
また、本発明では、測定した累積動作回数または累積動作時間が予定の累積動作回数または累積動作時間よりも少ないときに、ワイヤレス通信機器の累積動作回数または累積動作時間が予定よりも少ないことをオペレータに通知することにより、オペレータは、ワイヤレス通信機器の電池寿命が想定よりも長くなることを認識することができる。
【0018】
また、本発明では、測定した累積動作回数または累積動作時間が予定の累積動作回数または累積動作時間よりも少ないときに、ワイヤレス通信機器の動作周期下限値を小さくすることにより、ワイヤレス通信機器の動作周期を短くすることの制約を緩和することができる。
【0019】
また、本発明では、ワイヤレス通信機器の累積動作回数または累積動作時間を測定し、測定した累積動作回数または累積動作時間に基づき各ワイヤレス通信機器の電池交換タイミングを推定し、この推定結果に基づいて、電池交換タイミングが一致するように各ワイヤレス通信機器の動作周期を修正することにより、同じタイミングで、かつ概ね妥当な交換時期と判断できる状況で、複数のワイヤレス通信機器の電池交換を行なえるようにすることができる。その結果、本発明では、ワイヤレス通信機器の保守作業を行い易くし、保守作業の回数を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る情報処理機器の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係るワイヤレス通信機器の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る情報処理機器の動作回数管理処理を示すフローチャートである。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る情報処理機器の構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係る情報処理機器の電池交換時期管理処理を示すフローチャートである。
【図6】従来のワイヤレス計測システムの構成を示すブロック図である。
【図7】図6のワイヤレス計測システムのワイヤレス通信機器の具体例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[発明の原理1]
発明者は、ワイヤレス通信機器の過去の累積動作回数あるいは累積動作時間を測定し、この測定結果をワイヤレス通信機器の予め想定した電池寿命に対応した累積動作回数あるいは累積動作時間の進度と比較すれば、オペレータの想定通りの電池寿命が得られるかどうかの推定が可能であることに着眼した。この推定に関する一連の処理については、親ノード側の情報処理機器で実行するのが現実的である。また上記の着眼点に伴い、オペレータの想定通りの電池寿命が得られないという推定結果が得られた場合に、ワイヤレス通信機器の動作周期について何らかの対策を自動的に行なえば、想定通りの電池寿命に近づけることが可能であることにも、発明者は想到した。
【0022】
[発明の原理2]
また、発明者は、ワイヤレス通信機器の過去の累積動作回数あるいは累積動作時間を測定し、この測定結果と同じ進度で使用される場合のワイヤレス通信機器の電池交換時期を予測すれば、複数のワイヤレス通信機器の中から電池交換のタイミング(保守作業のタイミング)が合致するものを探し出すことが可能であることに着眼した。また、この着眼点に伴い、ワイヤレス通信機器の動作周期について何らかの対策を自動的に行なえば、より高い確率で電池交換のタイミング(保守作業のタイミング)を合わせることが可能であることにも、発明者は想到した。これらの一連の処理については、複数のワイヤレス通信機器を管理する親ノード側の情報処理機器で実行するのが現実的である。
【0023】
[第1の実施の形態]
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は本発明の第1の実施の形態に係る情報処理機器の構成を示すブロック図、図2はワイヤレス通信機器の構成を示すブロック図である。本実施の形態は、上記発明の原理1に基づくものである。本実施の形態においても、ワイヤレス計測システムの全体構成は従来と同様であるので、図6の符号を用いて説明する。
【0024】
情報処理機器1は、ワイヤレス通信機器2と無線回線を介して通信を行う通信部10と、各ワイヤレス通信機器2の電池交換時点からの累積動作回数をワイヤレス通信機器2毎に測定する動作回数測定部11と、各ワイヤレス通信機器2の電池交換時点からの経過時間をワイヤレス通信機器2毎に測定する経過時間測定部12と、動作回数測定部11および経過時間測定部12の測定結果をワイヤレス通信機器2毎に記憶する記憶部13と、動作回数測定部11が測定した累積動作回数を、ワイヤレス通信機器2の想定電池寿命から決定された予定の累積動作回数と比較する比較手段となる電池寿命演算部14と、動作回数測定部11が測定した累積動作回数と予定の累積動作回数との比較結果をオペレータに通知するオペレータ通知部15と、動作回数測定部11が測定した累積動作回数と予定の累積動作回数との比較結果に基づいてワイヤレス通信機器2の動作周期下限値を設定する動作周期設定部16とから構成される。
【0025】
通信部10は、ワイヤレス通信機器2から無線回線を介して計測データを受信すると、この計測データをデータベース3に格納する。また、通知部10は、オペレータからワイヤレス通信機器2の動作周期の設定指示値を受け取ると、この設定指示値をワイヤレス通信機器2に送信する。
【0026】
動作回数測定部11は、通信部10がワイヤレス通信機器2から計測データを受信すると、このワイヤレス通信機器2の累積動作回数を1増やす。なお、累積動作回数は、ワイヤレス通信機器2の電池交換時点から測定されるものである。保守作業でワイヤレス通信機器2の電池が交換されると、電池交換が実施されたことをオペレータが情報処理機器1に通知する。動作回数測定部11は、この通知時点から当該ワイヤレス通信機器2の累積動作回数の測定を開始する。経過時間測定部12は、同通知時点から当該ワイヤレス通信機器2の経過時間の測定を開始する。
【0027】
記憶部13がワイヤレス通信機器2毎に記憶する累積動作回数、経過時間は、それぞれ動作回数測定部11、経過時間測定部12の測定結果に応じて随時更新される。なお、累積動作回数および経過時間は情報処理機器1の電源オン/オフ状態の如何に関わらず記憶されることが必要なので、記憶部13は不揮発性メモリであることが望ましい。
【0028】
ワイヤレス通信機器2は、情報処理機器1と無線回線を介して通信を行う通信部20と、ワイヤレス通信機器2の主要処理部の動作周期を設定する動作周期設定部21と、動作周期の下限値等を記憶する記憶部22と、ワイヤレス通信機器2の各構成に電力を供給する電池23とから構成される。
【0029】
図2では、温度や湿度、流量などの状態量を計測するセンサ部について明示していないが、センサ部はワイヤレス通信機器2の内部にあってもよいし、外部にあってもよい。
通信部20は、センサ部から動作周期毎に計測データを取得し、取得した計測データを無線回線を介して情報処理機器1に送信する。ワイヤレス通信機器2の主要処理部とは、ワイヤレス通信機器2にとって重要で、消費電力も大きい処理を行う手段のことを意味し、図2の例では通信部20が主要処理部となる。
【0030】
動作周期設定部21は、後述のように通信部20の動作周期を設定する。動作周期の具体的な設定方法としては、設定した動作周期の駆動信号(クロック)を生成すればよい。通信部20は、クロックに応じて動作周期毎に動作する。クロックを供給する代わりに、電池23から通信部20に供給する電源電圧を駆動信号に応じてオン/オフし、通信部20を動作周期毎に動作させるようにしてもよい。
【0031】
次に、情報処理機器1が行う、ワイヤレス通信機器2の動作回数管理処理について説明する。図3は動作回数管理処理を示すフローチャートである。ここでは、ワイヤレス通信機器2の動作周期を規定するパラメータをTとし、情報処理機器1からパラメータTの値として与えられる設定指示値をTXとし、情報処理機器1から与えられるパラメータTの下限値をTLとする。
【0032】
情報処理機器1の動作回数測定部11は、通信部10がワイヤレス通信機器2からの計測データを受信すると(図3ステップS100)、記憶部13に記憶されている当該ワイヤレス通信機器2の累積動作回数Nrを1増やす(ステップS101)。
【0033】
次に、情報処理機器1の電池寿命演算部14には、ワイヤレス通信機器2の電池交換時点からの経過時間Yに対応してオペレータが想定する累積動作回数Ni(Y)が予め設定されている。累積動作回数Ni(Y)は、ワイヤレス通信機器2の電池寿命がオペレータの想定どおりの寿命になることを目的として定められた、経過時間Yの時点におけるワイヤレス通信機器2の望ましい累積動作回数である。この累積動作回数Ni(Y)は、経過時間Yの増加に伴って刻々と増加していくことになる。そこで、電池寿命演算部14には、例えば経過時間Yに対応した累積動作回数Ni(Y)を計算するための計算式を予め設定しておけばよい。
【0034】
電池寿命演算部14は、ワイヤレス通信機器2の現時点までの累積動作回数Nrおよび経過時間Yの値を記憶部13から取得し、取得した累積動作回数Nrを、経過時間Yの時点における望ましい累積動作回数Ni(Y)と比較する(図3ステップS102)。電池寿命演算部14は、累積動作回数Nrが望ましい累積動作回数Ni(Y)より多い場合(ステップS102においてYes)、ワイヤレス通信機器2の累積動作回数Nrが予定より多いことを通知する必要有りと判定する。電池寿命演算部14の判定結果に応じて、オペレータ通知部15は、ワイヤレス通信機器2の累積動作回数が予定より多いことを情報処理機器1のオペレータに通知する(ステップS103)。
【0035】
情報処理機器1の動作周期設定部16は、ワイヤレス通信機器2の累積動作回数Nrが予定より多いと判定された場合、動作周期下限値TLが小さ過ぎる設定で運用されていたと判断し、このワイヤレス通信機器2の動作周期下限値TLを予め規定された変更幅ΔTだけ大きくする処理を行なう。すなわち、動作周期設定部16は、次式のような処理を行なう。
if Nr>Ni(Y) then TL←TL+ΔT ・・・(1)
【0036】
通信部10は、動作周期設定部16が新たに設定した動作周期下限値TLを、ステップS102で判定対象とされたワイヤレス通信機器2に送信する(ステップS104)。
ワイヤレス通信機器2の動作周期設定部21は、通信部20を通じて情報処理機器1から動作周期下限値TLを受け取ると、この動作周期下限値TLを記憶部22に格納する。そして、動作周期設定部21は、ワイヤレス通信機器2の現在の動作周期Tと動作周期下限値TLとを比較し、現在の動作周期Tが動作周期下限値TLより小さい場合、動作周期TをTLとする。すなわち、動作周期設定部21は、次式のような下限処理を行う。
if T<TL then T←TL ・・・(2)
【0037】
また、動作周期設定部21は、通信部20を通じて情報処理機器1から動作周期Tの設定指示値TXを受け取ったときに、設定指示値TXが動作周期下限値TL以上の場合、動作周期TをTXとし、設定指示値TXが動作周期下限値TLより小さい場合、動作周期TをTLとする。すなわち、動作周期設定部21は、次式のような下限処理を行う。
if TX<TL then T←TL else T←TX ・・・(3)
【0038】
動作周期設定部21は、式(2)または式(3)のような下限処理をした動作周期Tを通信部20に対して設定する。このように、本実施の形態では、情報処理機器1からワイヤレス通信機器2に対して動作周期下限値TLを送信することにより、動作周期下限値TLを下回るような短い動作周期Tが設定されないようにワイヤレス通信機器自身が動作周期Tを制限する。
【0039】
次に、情報処理機器1の電池寿命演算部14は、ワイヤレス通信機器2の累積動作回数Nrが望ましい累積動作回数Ni(Y)より少ない場合(図3ステップS105においてYes)、ワイヤレス通信機器2の累積動作回数Nrが予定より少ないことを通知する必要有りと判定する。電池寿命演算部14の判定結果に応じて、オペレータ通知部15は、ワイヤレス通信機器2の累積動作回数が予定より少ないことを情報処理機器1のオペレータに通知する(ステップS106)。
【0040】
動作周期設定部16は、ワイヤレス通信機器2の累積動作回数Nrが予定より少ないと判定された場合、動作周期下限値TLが大き過ぎる設定で運用されていたと判断し、このワイヤレス通信機器2の動作周期下限値TLを予め規定された変更幅ΔTだけ小さくする処理を行なう。すなわち、動作周期設定部16は、次式のような処理を行なう。
if Nr<Ni(Y) then TL←TL−ΔT ・・・(4)
【0041】
通信部10は、動作周期設定部16が新たに設定した動作周期下限値TLを、ステップS105で判定対象とされたワイヤレス通信機器2に送信する(ステップS107)。
動作周期下限値TLを受け取ったワイヤレス通信機器2の動作は、上記のとおりである。
【0042】
情報処理機器1の電池寿命演算部14とオペレータ通知部15と動作周期設定部16とは、ステップS102〜S107の処理をワイヤレス通信機器2毎に行なう。
また、ステップS102,S103,S105,S106の処理は、図3に示したように常時実行していても問題ないが、ワイヤレス通信機器2の通常の電池寿命の長さを考慮すれば、常時実行する必要はなく、ワイヤレス通信機器2の予め想定した電池寿命を例えば50分割した程度の間隔で実行するのが現実的である。例えば、ワイヤレス通信機器2の予め想定した電池寿命が1年であれば、1週間毎にステップS102,S103,S105,S106の処理を実行する程度になる。このとき、処理実行時点までの経過時間Yに応じてワイヤレス通信機器2の望ましい累積動作回数Ni(Y)が決まることは言うまでもない。
【0043】
また、ステップS103,S106の通知処理では、ステップS102,S105で判定対象としたワイヤレス通信機器2の名称や識別番号等をオペレータに通知してもよいし通知しなくてもよい。ステップS103,S106の通知方法としては、液晶ディスプレイによる表示やLEDの点灯等の方法がある。
【0044】
また、オペレータに必ず通知しなければならないのは、ワイヤレス通信機器2の累積動作回数が予定より多いときであり、ステップS106は必須の処理ではない。ステップS106を実行せず、ステップS103のみ実行する場合の通知方法としては、例えばアラーム通知を行なうLEDの点灯等の方法がある。
【0045】
また、ステップS104,S107の処理を常時実行すると、動作周期下限値TLがすぐに異常値に到達してしまうので、適切な間隔をおいて実行しなければならない。具体的には、ステップS103,S106の処理と同様に、ワイヤレス通信機器2の予め想定した電池寿命を例えば50分割した程度の間隔で実行するのが現実的である。
【0046】
また、動作周期下限値TLが異常値にならないように、動作周期下限値TLの変更可能幅についても安全のための変更可能幅上限値TL_H、変更可能幅下限値TL_L(TL_H>0、TL_L<0)を与えるべきである。つまり、動作周期設定部16は、ステップS104の複数回の実行による動作周期下限値TLの初期値からの変更幅が、今回の実行によって変更可能幅上限値TL_Hより大きくなると判断した場合、ステップS104を実行しない。また、動作周期設定部16は、ステップS107の複数回の実行による動作周期下限値TLの初期値からの変更幅(負値)が、今回の実行によって変更可能幅下限値TL_Lより小さくなると判断した場合、ステップS107を実行しない。
【0047】
本実施の形態によれば、オペレータは、ワイヤレス通信機器2の電池寿命が想定よりも短くなることを認識することができる。また、本実施の形態では、ワイヤレス通信機器2の動作周期が短くなり過ぎないように制限をかけることができ、ワイヤレス通信機器2の電池寿命を想定どおりの電池寿命に近づけるようにすることができる。
【0048】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。図4は本発明の第2の実施の形態に係る情報処理機器の構成を示すブロック図である。本実施の形態は、上記発明の原理2に基づくものである。本実施の形態においても、ワイヤレス計測システムの全体構成は従来と同様であるので、図6の符号を用いて説明する。また、ワイヤレス通信機器2の構成は第1の実施の形態と同様であるので、図2の符号を用いる。
【0049】
本実施の形態の情報処理機器1は、通信部10と、動作回数測定部11と、経過時間測定部12と、記憶部13と、動作回数測定部11が測定した累積動作回数に基づき各ワイヤレス通信機器2の電池交換タイミングを推定する電池寿命演算部14aと、電池寿命演算部14aの推定結果に基づいてオペレータへの情報通知を行なうオペレータ通知部15aと、電池寿命演算部14aの推定結果に基づいて電池交換タイミングが一致するように各ワイヤレス通信機器2の動作周期を修正する動作周期設定部16aとから構成される。
通信部10と動作回数測定部11と経過時間測定部12と記憶部13の動作は、第1の実施の形態と同じである。
【0050】
次に、情報処理機器1が行う、ワイヤレス通信機器2の電池交換時期管理処理について説明する。図5は電池交換時期管理処理を示すフローチャートである。ここでは、親ノード側の情報処理機器1で、3個のワイヤレス通信機器2−1,2−2,2−3を管理しているものとする。説明を簡単にするため、各ワイヤレス通信機器2−1,2−2,2−3が1回の動作で消費する電力量は全く同一であるものとする。すなわち、動作した回数だけで電池寿命を比較することが可能であり、動作時間や消費電力に関する補正は不要なものとする。また、各ワイヤレス通信機器2−1,2−2,2−3は、例えば情報処理機器1から動作周期の設定指示値TXを受け取ることにより動作周期が変更されるため、常に一定の動作周期で動作している訳ではない。しかし、ここでは、各ワイヤレス通信機器2−1,2−2,2−3は、多くの時間帯でそれぞれ標準動作周期T1,T2,T3で動作しているものとする。
【0051】
情報処理機器1の動作回数測定部11は、通信部10がワイヤレス通信機器2からの計測データを受信すると(図5ステップS200)、記憶部13に記憶されている当該ワイヤレス通信機器2の累積動作回数Nrを1増やす(ステップS201)。ここでは、ワイヤレス通信機器2−1,2−2,2−3の累積動作回数NrをそれぞれNr1,Nr2,Nr3とする。
【0052】
次に、情報処理機器1の電池寿命演算部14aには、ワイヤレス通信機器2の電池が寿命に至るまでに実行可能なワイヤレス通信機器2の最大累積動作回数NLが予め設定されている。各ワイヤレス通信機器2−1,2−2,2−3の最大累積動作回数NLは同一であるものとする。
【0053】
電池寿命演算部14aは、ワイヤレス通信機器2の電池交換時期を予測するタイミングであるかどうかを判定する(ステップS202)。電池交換時期を予測するタイミングは、Nr/NL>0.8が成立した時点、すなわちワイヤレス通信機器2−1,2−2,2−3のいずれかの累積動作回数Nrが最大累積動作回数NLの80%を越えた時点とする。ここでは、ワイヤレス通信機器2−1の累積動作回数Nr1が最大累積動作回数NLの80%を越えたものとする。このとき、Nr2/NL=0.73であり、Nr3/NL=0.76であったとする。
【0054】
なお、ステップS202の判定処理を行なう理由は、ワイヤレス通信機器2の残り動作時間が十分に残っている間は、後述のように各ワイヤレス通信機器2の電池交換タイミングを一致させる運用を優先せず、ワイヤレス通信機器2の残り動作時間が少なくなってから、電池交換タイミングを一致させる処理を開始するためである。
【0055】
次に、電池寿命演算部14aは、各ワイヤレス通信機器2−1,2−2,2−3の予想される電池寿命までの残り動作時間TX1,TX2,TX3を推定する(ステップS203)。残り動作時間TX1,TX2,TX3は、それぞれ以下のように推定される。
TX1=T1(NL−Nr1) ・・・(5)
TX2=T2(NL−Nr2) ・・・(6)
TX3=T3(NL−Nr3) ・・・(7)
【0056】
このように残り動作時間を推定することは、各ワイヤレス通信機器2の電池交換タイミングを推定していることになる。
情報処理機器1の動作周期設定部16aは、各ワイヤレス通信機器2−1,2−2,2−3の電池交換のタイミングが一致するように、各ワイヤレス通信機器2−1,2−2,2−3の標準動作周期T1,T2,T3を修正する(ステップS204)。具体的には、電池交換タイミングが最も遅いワイヤレス通信機器2(残り動作時間が最も長いワイヤレス通信機器2)と同じ電池交換タイミングになるように、電池交換タイミングが最も遅いものより早いワイヤレス通信機器2(残り動作時間が短いワイヤレス通信機器2)の標準動作周期を修正すればよい。
【0057】
ここでは、ワイヤレス通信機器2−2の残り動作時間TX2が最も長かったとする。この場合、他のワイヤレス通信機器2−1,2−3の残り動作時間TX1,TX3がこの残り動作時間TX2に一致するように標準動作周期T1,T3を次式のように修正すればよい。
T1←TX2/(NL−Nr1)
=T2(1.0−Nr2/NL)/(1.0−Nr1/NL) ・・・(8)
T3←TX2/(NL−Nr3)
=T2(1.0−Nr2/NL)/(1.0−Nr3/NL) ・・・(9)
【0058】
Nr1/NL=0.801、Nr2/NL=0.73、Nr3/NL=0.76とすると、、具体的には、以下のような数値になる。
T1←T2(1.0−Nr2/NL)/(1.0−Nr1/NL)=1.357T2
・・・(10)
T3←T2(1.0−Nr2/NL)/(1.0−Nr3/NL)=1.125T2
・・・(11)
【0059】
動作周期設定部16aは、修正した標準動作周期T1,T3を、通信部10を通じてワイヤレス通信機器2−1,2−3に送信する(ステップS204)。
ワイヤレス通信機器2−1の動作周期設定部21は、通信部20を通じて情報処理機器1から標準動作周期T1の値を受け取ると、この標準動作周期T1の値を記憶部22に格納し、動作周期T=T1を通信部20に対して設定する。情報処理機器1から標準動作周期T3の値を受け取ったワイヤレス通信機器2−3も同様に動作周期T=T3の設定を行なう。
【0060】
なお、情報処理機器1の動作周期設定部16aは、ワイヤレス通信機器2の標準動作周期の修正量が予め規定された許容範囲内である場合のみ、ステップS204の標準動作周期修正処理を行い、標準動作周期の修正量が許容範囲外であるワイヤレス通信機器2については標準動作周期を修正しない。実用上は、標準動作周期の初期値に対して例えば1.5倍以内の修正であれば、許容範囲内であると判定する。このように許容範囲を規定することにより、標準動作周期の大きな修正は行なわないようにする。運用上は、標準動作周期の修正量が許容範囲外のワイヤレス通信機器2を、標準動作周期修正処理の対象外として、他のワイヤレス通信機器2と電池交換のタイミングを一致させないものとするか、あるいは標準動作周期を許容範囲まで修正して、その上で、電池交換のタイミングを最も早いものに合わせるかの、いずれかにすればよい。
標準動作周期の修正量が許容範囲外であるワイヤレス通信機器2が複数存在する場合には、これらのワイヤレス通信機器2の中でも電池交換タイミングの不一致がある。電池交換のタイミングを最も早いものに合わせることは、これらのワイヤレス通信機器2のうち、電池交換のタイミングが最も早い、すなわち残り動作時間が最も短いものと自身の残り動作時間が一致するように標準動作周期を短くすることを意味する。
【0061】
以上のように、本実施の形態によれば、各ワイヤレス通信機器2の電池交換タイミングの推定結果に基づいて、電池交換タイミングが一致するように各ワイヤレス通信機器2の動作周期を修正することにより、同じタイミングで、かつ概ね妥当な交換時期と判断できる状況で、複数のワイヤレス通信機器2の電池交換を行なえるようにすることができる。その結果、本実施の形態では、ワイヤレス通信機器2の保守作業を行い易くし、保守作業の回数を減らすことができる。
【0062】
なお、オペレータ通知部15aは、動作周期設定部16aが電池交換タイミングを一致させた各ワイヤレス通信機器2の名称や識別番号等を情報処理機器1のオペレータに通知するようにしてもよいし、これらのワイヤレス通信機器2が電池交換タイミングに達したときに、すなわち残り動作時間が0になったときに、これらのワイヤレス通信機器2の名称や識別番号等をオペレータに通知するようにしてもよい。これにより、オペレータは、一度の保守作業で電池交換可能なワイヤレス通信機器2を知ることができ、またその電池交換タイミングを知ることができる。
【0063】
さらに、オペレータ通知部15aは、標準動作周期修正処理の対象外となったワイヤレス通信機器2の名称や識別番号等をオペレータに通知するようにしてもよいし、このワイヤレス通信機器2が電池交換タイミングに達したときに、ワイヤレス通信機器2の名称や識別番号等をオペレータに通知するようにしてもよい。標準動作周期修正処理の対象外となったワイヤレス通信機器2の電池交換タイミングは、他のワイヤレス通信機器2の電池交換タイミングよりも早い時期に訪れる。オペレータは、早めに電池交換が必要なワイヤレス通信機器2を知ることができ、またその電池交換タイミングを知ることができる。
【0064】
第1、第2の実施の形態では、ワイヤレス通信機器2の累積動作回数を測定し、この累積動作回数を基に処理を行なったが、情報処理機器1はワイヤレス通信機器2の累積動作時間を測定するようにしてもよい。その場合の実施の形態は、第1、第2の実施の形態における累積動作回数を、累積動作時間に置換したものに相当する。第1の実施の形態では、累積動作回数Ni(Y)の代わりに、経過時間Yの時点におけるワイヤレス通信機器2の望ましい累積動作時間を用い、第2の実施の形態では、最大累積動作回数NLの代わりに、ワイヤレス通信機器2の電池が寿命に至るまでの最大累積動作時間を用いることは言うまでもない。
【0065】
ワイヤレス通信機器2の累積動作時間を測定するには、情報処理機器1の通信部10がワイヤレス通信機器2からの計測データを受信したときに、ワイヤレス通信機器2が1回動作したものと見なし、この1回の動作あたりの既知の平均動作時間を、記憶部13に記憶されている当該ワイヤレス通信機器2の累積動作時間に加算すればよい。
【0066】
第1、第2の実施の形態の情報処理機器1の通信部10を除く構成は、CPU、記憶装置およびインタフェースを備えたコンピュータと、これらのハードウェア資源を制御するプログラムによって実現することができる。情報処理機器1のCPUは、記憶装置に格納されたプログラムに従って第1、第2の実施の形態で説明した処理を実行する。
同様に、第1、第2の実施の形態のワイヤレス通信機器2の通信部20および電池23を除く構成は、CPUおよび記憶装置を備えたコンピュータと、これらのハードウェア資源を制御するプログラムによって実現することができる。ワイヤレス通信機器2のCPUは、記憶装置に格納されたプログラムに従って第1、第2の実施の形態で説明した処理を実行する。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、ワイヤレス通信機器の電池寿命を管理する技術に適用することができる。
【符号の説明】
【0068】
1…情報処理機器、2…ワイヤレス通信機器、3…データベース、10…通信部、11…動作回数測定部、12…経過時間測定部、13…記憶部、14,14a…電池寿命演算部、15,15a…オペレータ通知部、16,16a…動作周期設定部、20…通信部、21…動作周期設定部、22…記憶部、23…電池。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下位のワイヤレス通信機器から無線回線を介してデータを受信する通信手段と、
この通信手段の受信状況を基に前記ワイヤレス通信機器の累積動作回数または累積動作時間を測定する第1の測定手段と、
この第1の測定手段が測定した累積動作回数または累積動作時間を、前記ワイヤレス通信機器の想定電池寿命から決定された予定の累積動作回数または累積動作時間と比較する比較手段と、
前記第1の測定手段が測定した累積動作回数または累積動作時間が前記予定の累積動作回数または累積動作時間よりも多いときに、前記ワイヤレス通信機器の累積動作回数または累積動作時間が予定よりも多いことをオペレータに通知する通知手段とを備えることを特徴とする情報処理機器。
【請求項2】
下位のワイヤレス通信機器から無線回線を介してデータを受信する通信手段と、
この通信手段の受信状況を基に前記ワイヤレス通信機器の累積動作回数または累積動作時間を測定する第1の測定手段と、
この第1の測定手段が測定した累積動作回数または累積動作時間を、前記ワイヤレス通信機器の想定電池寿命から決定された予定の累積動作回数または累積動作時間と比較する比較手段と、
前記第1の測定手段が測定した累積動作回数または累積動作時間が前記予定の累積動作回数または累積動作時間よりも多いときに、前記ワイヤレス通信機器の動作周期下限値を大きくする動作周期設定手段とを備えることを特徴とする情報処理機器。
【請求項3】
請求項1または2記載の情報処理機器において、
さらに、前記ワイヤレス通信機器の電池交換時点からの経過時間を測定する第2の測定手段を備え、
前記比較手段は、前記経過時間に応じて前記予定の累積動作回数または累積動作時間を決定することを特徴とする情報処理機器。
【請求項4】
請求項1記載の情報処理機器において、
前記通知手段は、前記第1の測定手段が測定した累積動作回数または累積動作時間が前記予定の累積動作回数または累積動作時間よりも少ないときに、前記ワイヤレス通信機器の累積動作回数または累積動作時間が予定よりも少ないことをオペレータに通知することを特徴とする情報処理機器。
【請求項5】
請求項2記載の情報処理機器において、
前記動作周期設定手段は、前記第1の測定手段が測定した累積動作回数または累積動作時間が前記予定の累積動作回数または累積動作時間よりも少ないときに、前記ワイヤレス通信機器の動作周期下限値を小さくすることを特徴とする情報処理機器。
【請求項6】
下位のワイヤレス通信機器から無線回線を介してデータを受信する通信手段と、
この通信手段の受信状況を基に前記ワイヤレス通信機器の累積動作回数または累積動作時間を測定する測定手段と、
この測定手段が測定した累積動作回数または累積動作時間に基づき各ワイヤレス通信機器の電池交換タイミングを推定する電池寿命演算手段と、
この電池寿命演算手段の推定結果に基づいて、電池交換タイミングが一致するように各ワイヤレス通信機器の動作周期を修正する動作周期設定手段とを備えることを特徴とする情報処理機器。
【請求項7】
請求項6記載の情報処理機器において、
前記動作周期設定手段は、前記動作周期の修正量が予め規定された許容範囲内であるワイヤレス通信機器についてのみ前記動作周期の修正を行い、前記動作周期の修正量が許容範囲外であるワイヤレス通信機器を前記動作周期の修正の対象外とすることを特徴とする情報処理機器。
【請求項8】
下位のワイヤレス通信機器から無線回線を介してデータを受信する情報処理機器が、前記受信の状況を基に前記ワイヤレス通信機器の累積動作回数または累積動作時間を測定する第1の測定手順と、
前記情報処理機器が前記第1の測定手順で測定した累積動作回数または累積動作時間を、前記ワイヤレス通信機器の想定電池寿命から決定された予定の累積動作回数または累積動作時間と比較する比較手順と、
前記第1の測定手順で測定した累積動作回数または累積動作時間が前記予定の累積動作回数または累積動作時間よりも多いときに、前記ワイヤレス通信機器の累積動作回数または累積動作時間が予定よりも多いことをオペレータに通知する通知手順とを備えることを特徴とするワイヤレス通信機器の電池寿命管理方法。
【請求項9】
下位のワイヤレス通信機器から無線回線を介してデータを受信する情報処理機器が、前記受信の状況を基に前記ワイヤレス通信機器の累積動作回数または累積動作時間を測定する第1の測定手順と、
前記情報処理機器が前記第1の測定手順で測定した累積動作回数または累積動作時間を、前記ワイヤレス通信機器の想定電池寿命から決定された予定の累積動作回数または累積動作時間と比較する比較手順と、
前記第1の測定手順で測定した累積動作回数または累積動作時間が前記予定の累積動作回数または累積動作時間よりも多いときに、前記情報処理機器が前記ワイヤレス通信機器の動作周期下限値を大きくする動作周期設定手順とを備えることを特徴とするワイヤレス通信機器の電池寿命管理方法。
【請求項10】
請求項8または9記載のワイヤレス通信機器の電池寿命管理方法において、
さらに、前記情報処理機器が前記ワイヤレス通信機器の電池交換時点からの経過時間を測定する第2の測定手順を備え、
前記予定の累積動作回数または累積動作時間は、前記経過時間に応じて決定されることを特徴とするワイヤレス通信機器の電池寿命管理方法。
【請求項11】
請求項8記載のワイヤレス通信機器の電池寿命管理方法において、
前記通知手順は、前記第1の測定手順で測定した累積動作回数または累積動作時間が前記予定の累積動作回数または累積動作時間よりも少ないときに、前記ワイヤレス通信機器の累積動作回数または累積動作時間が予定よりも少ないことをオペレータに通知することを特徴とするワイヤレス通信機器の電池寿命管理方法。
【請求項12】
請求項9記載のワイヤレス通信機器の電池寿命管理方法において、
前記動作周期設定手順は、前記第1の測定手順で測定した累積動作回数または累積動作時間が前記予定の累積動作回数または累積動作時間よりも少ないときに、前記ワイヤレス通信機器の動作周期下限値を小さくすることを特徴とするワイヤレス通信機器の電池寿命管理方法。
【請求項13】
下位のワイヤレス通信機器から無線回線を介してデータを受信する情報処理機器が、前記受信の状況を基に前記ワイヤレス通信機器の累積動作回数または累積動作時間を測定する測定手順と、
前記情報処理機器が前記測定手順で測定した累積動作回数または累積動作時間に基づき各ワイヤレス通信機器の電池交換タイミングを推定する電池寿命演算手順と、
前記情報処理機器が前記電池寿命演算手順の推定結果に基づいて、電池交換タイミングが一致するように各ワイヤレス通信機器の動作周期を修正する動作周期設定手順とを備えることを特徴とするワイヤレス通信機器の電池寿命管理方法。
【請求項14】
請求項13記載のワイヤレス通信機器の電池寿命管理方法において、
前記動作周期設定手順は、前記動作周期の修正量が予め規定された許容範囲内であるワイヤレス通信機器についてのみ前記動作周期の修正を行い、前記動作周期の修正量が許容範囲外であるワイヤレス通信機器を前記動作周期の修正の対象外とすることを特徴とするワイヤレス通信機器の電池寿命管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−183485(P2010−183485A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−27200(P2009−27200)
【出願日】平成21年2月9日(2009.2.9)
【出願人】(000006666)株式会社山武 (1,808)
【Fターム(参考)】