説明

情報処理装置、その表示制御方法、およびコンピュータが実行するためのプログラム

【課題】ディスプレイの仕様情報をカスタマイズする場合に、PCメーカーおよびディスプレイメーカーの両者のフレキシビリティを向上させることが可能な情報処理装置を提供することを目的とする。
【解決手段】複数のディスプレイ毎に、前記仕様情報をカスタマイズするための修正情報を登録したテーブルと、前記情報処理装置の起動時に、前記ディスプレイから前記仕様情報を読み出し、読み出した仕様情報中の識別情報に対応する修正情報が前記テーブルに存在する場合は、前記読み出した仕様情報を、前記対応する修正情報に基づいてカスタマイズし、当該カスタマイズした仕様情報を前記メモリの参照エリアに書き込むBIOSと、前記メモリの前記参照エリアに記憶された仕様情報に基づいて、前記ディスプレイを制御するディスプレイ・ドライバ手段と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、情報処理装置、その表示制御方法、およびコンピュータが実行するためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
パソコン用のディスプレイは、DDC(Display Data Channel)機能を備えたものが多い。かかるDDC機能は、コンピュータシステム上で自動環境設定機能、いわゆるプラグ&プレイ方式を実現するためのDDC規格において規定される機能である。DDC規格によると、コンピュータとディスプレイモニタ間においてデータを交換する際の信号ラインとその手順が規定されている。つまり、DDC規格を支援するディスプレイをコンピュータに接続した場合、該コンピュータはディスプレイとのDDC通信により、ディスプレイからプラグ&プレイに必要なディスプレイに関する情報(以下、EDID(Extended Display Identification DATA)という)を取り出すことが可能となる。
【0003】
このEDIDは、ディスプレイ内部の例えばEEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)等の不揮発性メモリに記憶されており、製造者/製品ID、ディスプレイの仕様、支援タイミング等の情報が含まれる。コンピュータシステムにおいて、ディスプレイに画像を表示するには、そのディスプレイの解像度等の情報が必要となる。このようなディスプレイの解像度や、メーカー名といった、ディスプレイ固有の情報をEDID情報と呼ぶ。また、EDIDをディスプレイから取得するための通信方式をDDC(Display Data Channel)通信と呼び、DDC通信用のインタフェースをDDCインタフェースと呼ぶ。
【0004】
EDIDは、カスタマイズ可能なフィールドを備えている。PCメーカーは、EDIDをカスタマイズしたい場合、EDIDはディスプレイの製造時にEEPROMに書き込まれるため、ディスプレイの製造時にディスプレイメーカーにカスタマイズを指示する必要がある。このため、PCメーカーは、各PC機種について、ディスプレイを複数のディスプレイメーカーから提供されている場合は、PC機種およびディスプレイメーカー毎にEDIDのカスタマイズを指示する必要がある。
【0005】
他方、ディスプレイメーカーは、ディスプレイを複数のPCメーカーや複数のPC機種に提供している場合は、PCメーカーおよびその機種毎にEDIDをカスタマイズして、EEPROMに書き込む必要があるため、フレキシビリティが悪く、EDIDの管理が複雑となっている。このように、現状では、EDIDをカスタマイズする場合に、PCメーカーおよびディスプレイメーカーの両者にとってフレキシビリティが悪く、かつ、EDIDの管理が複雑となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3544734号公報
【特許文献2】特開平11−231994号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、ディスプレイの仕様情報をカスタマイズする場合に、PCメーカーおよびディスプレイメーカーの両者のフレキシビリティを向上させることが可能な情報処理装置、その表示制御方法、およびコンピュータが実行するためのプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、ディスプレイからその仕様情報を読み出し、読み出した仕様情報に基づいて前記ディスプレイを制御する情報処理装置であって、参照エリアを有するメモリと、複数のディスプレイ毎に、前記仕様情報をカスタマイズするための修正情報を登録したテーブルと、前記情報処理装置の起動時に、前記ディスプレイから前記仕様情報を読み出し、読み出した仕様情報中の識別情報に対応する修正情報が前記テーブルに存在するか否かを判定し、前記読み出した仕様情報中の識別情報に対応する修正情報が前記テーブルに存在する場合は、前記読み出した仕様情報を、前記対応する修正情報に基づいてカスタマイズし、当該カスタマイズした仕様情報を前記メモリの参照エリアに書き込むBIOSと、前記メモリの前記参照エリアに記憶された仕様情報に基づいて、前記ディスプレイを制御するディスプレイ・ドライバ手段と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記テーブルは、前記BIOSに設けられたことが望ましい。
【0010】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記修正情報は、前記ディスプレイのクロック周波数を含むことが望ましい。
【0011】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記修正情報は、前記ディスプレイの製造者名を含むことが望ましい。
【0012】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記BIOSは、前記読み出した仕様情報中の識別情報に対応する修正情報が前記テーブルに存在しない場合は、前記読み出した仕様情報をそのまま前記メモリの参照エリアに書き込むことが望ましい。
【0013】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記BIOSは、前記読み出した仕様情報中の識別情報に対応する修正情報が前記テーブルに存在しない場合は、前記メモリの参照エリアを空にし、前記ディスプレイ・ドライバ手段は、前記参照エリアに前記仕様情報がない場合は、前記ディスプレイから仕様情報を読み出して、当該読み出した仕様情報に基づいて、前記ディスプレイを制御することが望ましい。
【0014】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記仕様情報は、EDID(Extended Display Identification Data)であることが望ましい。
【0015】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記情報処理装置はノート型パーソナルコンピュータであり、前記ディスプレイはLCDであることが望ましい。
【0016】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、ディスプレイからその仕様情報を読み出し、読み出した仕様情報に基づいて前記ディスプレイを制御する情報処理装置の表示制御方法であって、前記情報処理装置は、参照エリアを有するメモリと、複数のディスプレイ毎に、前記仕様情報をカスタマイズするための修正情報を登録したテーブルと、BIOSと、ディスプレイ・ドライバ手段と、を備え、前記表示制御方法は、前記BIOSが、前記情報処理装置の起動時に、前記ディスプレイから前記仕様情報を読み出し、読み出した仕様情報中の識別情報に対応する修正情報が前記テーブルに存在するか否かを判定し、前記読み出した仕様情報中のディスプレイ名に対応する識別情報が前記テーブルに存在する場合は、前記読み出した仕様情報を、前記対応する修正情報に基づいてカスタマイズし、当該カスタマイズした仕様情報を前記メモリの参照エリアに書き込む工程と、前記ディスプレイ・ドライバ手段が、前記メモリの前記参照エリアに記憶された仕様情報に基づいて、前記ディスプレイを制御する工程と、を含むことを特徴とする。
【0017】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、ディスプレイからその仕様情報を読み出し、読み出した仕様情報に基づいて前記ディスプレイを制御する情報処理装置に搭載されるプログラムであって、前記情報処理装置は、参照エリアを有するメモリと、複数のディスプレイ毎に、前記仕様情報をカスタマイズするための修正情報を登録したテーブルと、BIOSと、ディスプレイ・ドライバ手段と、を備え、前記プログラムは、前記BIOSが、前記情報処理装置の起動時に、前記ディスプレイから前記仕様情報を読み出し、読み出した仕様情報中の識別情報に対応する修正情報が前記テーブルに存在するか否かを判定し、前記読み出した仕様情報中の識別情報に対応する修正情報が前記テーブルに存在する場合は、前記読み出した仕様情報を、前記対応する修正情報に基づいてカスタマイズし、当該カスタマイズした仕様情報を前記メモリの参照エリアに書き込む工程と、前記ディスプレイ・ドライバ手段が、前記メモリの前記参照エリアに記憶された仕様情報に基づいて、前記ディスプレイを制御する工程と、をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ディスプレイからその仕様情報を読み出し、読み出した仕様情報に基づいて前記ディスプレイを制御する情報処理装置であって、参照エリアを有するメモリと、複数のディスプレイ毎に、前記仕様情報をカスタマイズするための修正情報を登録したテーブルと、前記情報処理装置の起動時に、前記ディスプレイから前記仕様情報を読み出し、読み出した仕様情報中のディスプレイ名に対応する修正情報が前記テーブルに存在するか否かを判定し、前記読み出した仕様情報中の識別情報に対応する修正情報が前記テーブルに存在する場合は、前記読み出した仕様情報を、前記対応する修正情報に基づいてカスタマイズし、当該カスタマイズした仕様情報を前記メモリの参照エリアに書き込むBIOSと、前記メモリの前記参照エリアに記憶された仕様情報に基づいて、前記ディスプレイを制御するディスプレイ・ドライバ手段と、を備えているので、ディスプレイの仕様情報をカスタマイズする場合に、PCメーカーおよびディスプレイメーカーの両者のフレキシビリティを向上させることが可能な情報処理装置を提供することが可能になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、実施の形態に係るノートPCの外観構成を示す図である。
【図2】図2は、図1のノートPCの概略のハードウェア構成例を示す図である。
【図3】図3は、LCDの制御に関連するノートPCの要部構成を示す模式図である。
【図4】図4は、BIOSの起動時の処理の概略を説明するためのフローである。
【図5】図5は、EDIDのカスタマイズの具体例を説明するための模式図である。
【図6】図6は、実施の形態2において、LCDの制御に関連するノートPCの要部構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る情報処理装置、その表示制御方法、およびコンピュータが実行するためのプログラムの実施の形態について説明する。本発明の構成要素は、本明細書の図面に一般に示してあるが、様々な構成で広く多様に配置し設計してもよいことは容易に理解できる。したがって、本発明の装置、方法、およびプログラムの実施の形態についての以下のより詳細な説明は、特許請求の範囲に示す本発明の範囲を限定するものではなく、単に本発明の選択した実施の形態の一例を示すものであって、本明細書の特許請求の範囲に示す本発明と矛盾無く装置、システムおよび方法についての選択した実施の形態を単に示すものである。当業者は、特定の細目の1つ以上が無くても、はたは他の方法、部品、材料でも本発明を実現できることが理解できる。以下の実施の形態では、一例として、本発明に係る情報処理装置としてノートPCについて説明し、また、本発明に係るディスプレイとしてLCD(Liquid Crystal Display)について説明する。
【0021】
(実施の形態1)
図1は、本発明に係る情報処理装置を適用したノートPCの外観構成を示す斜視図である。図1に示すように、ノートPC1は、ノートPC本体(本体側筐体)10と表示部(ディスプレイ側筐体)30とから構成されている。ノートPC本体10は、表面にキーボードやタッチパッド等の入力部11を備え、内部に複数の電子デバイスを収容している。キーボードやタッチパッドは、ユーザが各種のコマンドやデータ等を入力するときに操作される。表示部30は、その一辺を回動中心として、一対のヒンジ27を介し、ノートPC本体10に対して回動(開閉)可能に構成されている。表示部30には、LCD31が設けられており、LCD31には、ノートPC本体10からの指令に応じて、各種の情報が表示される。
【0022】
図2は、図1のノートPCの概略のハードウェア構成例を示す図である。ノートPC1は、同図に示すように、CPU12、CPUブリッジ13、システム・メモリ14、ビデオ・コントローラ15、LCD31、I/Oブリッジ17、無線モジュール18、HDD(Hard Disk)19、ROM20、I/Oコントローラ21、入力部11、エンベデットコントローラ22、パワーコントローラ23、DC−DCコンバータ24、バッテリ25、およびACアダプタ26等を備えている。なお、CPUブリッジ13とI/Oブリッジ17の機能を1つのチップで構成することにしてもよい。
【0023】
CPU12は、CPUブリッジ13およびI/Oブリッジ17を介して接続されたHDD19に格納されたOS51によりPC全体の制御を行うとともに、HDD19に格納された各種のプログラムに基づいて処理を実行する機能を司る。ROM20は、BIOS41やデータ等を格納している。システム・メモリ14は、例えば、RAMで構成されており、CPU12による各種プログラムの実行時にワークエリアとして利用されるメモリ機能を有している。
【0024】
LCD31は、液晶表示パネル、バックライト(不図示)、バックライトを駆動するインバータ(不図示)、液晶表示パネルを駆動するドライバ回路、LCD31のEDIDを格納したEEPROM32を備えている。なお、EDIDを格納する媒体は、EEPROMに限られるものではなく他の記録媒体でもよい。LCD31は、CPU12の各種の処理に伴うメニュー、ステータス、表示遷移等を表示する機能を有している。ビデオ・コントローラ15は、CPU12の制御に従って、インバータを制御してバックライトの輝度を調整したり、また、ビデオ信号をドライバ回路に送出して、LCD31の表示を制御する。無線モジュール13は、インターネット等のネットワークに接続したり、赤外線で他の機器との通信を接続する機能を司る。
【0025】
入力部11は、文字、コマンド等を入力する各種キーより構成されるキーボードや画面上のカーソルを移動させたり、各種メニューを選択するスライスパッドを備えている。I/Oコントローラ21は、入力部11の入力操作を検出して、CPU12に出力する。
【0026】
HDD19は、例えば、Windows(登録商標)XP、Vista、7等のノートPC1全体の制御を行うためのOS51、周辺機器類をハードウェア操作するための各種ドライバ52、特定業務に向けられた他のアプリケーションプログラム53等を記憶する機能を有する。
【0027】
ACアダプタ26は、商用電源に接続して、AC電圧をDC電圧に変換してDC−DCコンバータ24に出力する。DC−DCコンバータ24は、ACアダプタ26から供給されるDC電圧を所定の電圧に変換して各部に電力を供給し、また、バッテリ25の充電を行う。バッテリ25は、DC−DCコンバータ24により充電され、充電した電圧を各部に供給する。バッテリ25は、ACアダプタ26が商用電源に接続されていない場合に使用される。パワーコントローラ23は、DC−DCコンバータ24の動作を制御する。エンベデッドコントローラ22は、バッテリ25の動作を制御する。
【0028】
図3は、LCD31の制御に関連するノートPC1の要部構成を示す模式図である。LCD31は、EEPROM32にEDIDを格納している。EDIDは、Header infomation、Basic display parameters、Chromaticity coordinates、Established timing I、Established timing II、Manufacture’s reserved timing、Standard timing Identification等のフィールドと、DTD1〜4のフィールドと、チエックサムのフィールド等を備えている(図5参照)。
【0029】
BIOS41は、ビデオBIOSおよびシステムBIOSとして機能する。BIOS41は、LCD31のEDIDをカスタマイズするためのEDIDテーブル42を備えている。EDIDテーブル42は、LCDメーカーから提供される可能性のある複数のLCD毎に、EDIDをカスタマイズするためのEDID修正情報を格納している(図5参照)。
【0030】
BIOS41は、システムの起動時に、DDC通信を使用してビデオ・コントローラ15を解して、LCD31からEDIDを読み出す。BIOS41は、EDIDテーブル42を参照して、読み出したEDIDの識別情報、例えば、Panel Nameに対応するEDID修正情報が存在するか否かを判定する。BIOS41は、読み出したEDIDの識別情報と対応するEDID修正情報が存在する場合は、読み出したEDIDを対応するEDID修正情報でカスタマイズして、カスタマイズしたEDIDをシステム・メモリ14の参照エリア14aに書き込む。また、BIOS41は、読み出したEDIDの識別情報と対応するEDID修正情報が存在しない場合は、DefaultのEDIDを(読み出したEDIDをそのまま)システム・メモリ14の参照エリア14aに書き込む。
【0031】
ディスプレイ・ドライバ52aは、システム・メモリ14の参照エリア14aに書き込まれたEDID(カスタマイズしたEDIDはたはDefaultのEDID)を使用して、ビデオ・コントローラ15を介してLCD31を制御する。
【0032】
図4は、BIOS41の起動時の処理の概略を説明するためのフローである。同図において、まず、BIOS41は、システムの起動時に、LCD31のEEPROM32からEDIDを読み出し(ステップS1)、読み出したEDIDのDTD4のPanel Nameに対応するEDID修正情報がEDIDテーブル42に存在するか否かを判定する(ステップS2)。
【0033】
読み出したEDIDのDTD4のPanel Nameに対応するEDID修正情報が
EDIDテーブル42に存在する場合には(ステップS2の「Yes」)、BIOS41は、読み出したEDIDを対応するEDID修正情報に基づいてカスタマイズし、カスタマイズしたEDIDを、システム・メモリ14の参照エリア14aに書き込む(ステップS3)。
【0034】
他方、読み出したEDIDのDTD4のPanel Nameに対応するEDID修正情報がEDIDテーブル42に存在しない場合には(ステップS2の「No」)、BIOS41は、読み込んだEDIDをそのままシステム・メモリ14の参照エリア14aに書き込む(ステップS4)。その後、OS51を起動する(ステップS5)。ディスプレイ・ドライバ52aは、システム・メモリ14の参照エリア14aに書き込まれたEDID(カスタマイズしたEDIDはたはDefaultのEDID)を使用してLCD31の制御を行う。なお、ここでは、EDIDテーブル42と照合するために、EDID中の識別情報としてPanel Nameを使用することとしたが、本発明はこれに限られるものではなく、例えば、Panel NameとMaker Nameを使用することにしてもよい。
【0035】
図5は、EDIDのカスタマイズの具体例を説明するための模式図である。同図では、PCメーカーに、LCD31として、Panel Name=”AAA12345”、”AAA67890”等のパネルがLCDメーカーから供給される場合を一例として説明する。
【0036】
同図において、LCD31のEDIDには、ID=”AA1(Maker ID)”、DTD1=”垂直同期周波数60Hz Timing(クロック周波数72.3MHz)”、DTD2=”Blank”、DTD3=”AAA(Maker Name)”、DTD4=”AAA12345(Panel Name)”、“CheckSum”が設定されている。
【0037】
例えば、PCメーカーは、どのLCDサプライヤのLCDについても、Maker IDを”BB1”に、Maker Nameを、”XYZPad Display”にカスタマイズしたいと思っている(”XYZ−Pad Display”をLCD31に表示するため)。また、ノートPC1は、LCD31からの不要輻射ノイズを低減するために、Panel Name=AAA12345のLCDは、垂直同期周波数60Hz Timingではクロック周波数を69.3MHzとすることが有効であることを実験等で確認しており、垂直同期周波数60Hz Timingではクロック周波数を69.3MHzにカスタマイズしたいと思っている。
【0038】
また、ノートPC1は、垂直同期周波数50Hz Timingで駆動する低消費電力モードを備えているので、垂直同期周波数50Hz Timingでのクロック周波数を57,75Mhzにカスタマイズしたいと思っている。同様に、Panel Name=”AAA67890”のLCDの場合は、垂直同期周波数60Hz Timingではクロック周波数を75.2MHz、垂直同期周波数50Hz Timingでのクロック周波数を62.65Mhzにカスタマイズしたいと思っている。そこで、以下のようにEDIDテーブル42を構成している。
【0039】
EDIDテーブル42は、EDID修正情報0、1・・・を格納している。EDID修正情報0は、ID=”BB1(Maker ID)”、DTD1=垂直同期周波数60Hz Timing(クロック周波数69.3MHz)、DTD2=垂直同期周波数50Hz Timing(クロック周波数57.75MHz)、DTD3=”XYZPad Display(Maker Name)”、DTD4=”AAA12345(Panel Name)”、”Checksum”が記録されている。また、EDIDカスタマイズ情報1は、ID=”BB1(Maker ID)”、DTD1=垂直同期周波数60Hz Timing(クロック周波数75.2MHz)、DTD2=垂直同期周波数50Hz Timing(クロック周波数62.65MHz)、DTD3=”XYZPad Display(Maker Name)”、DTD4=”AAA67890(Panel Name)”、”Checksum”が記録されている。
【0040】
BIOS41は、システムの起動時に、LCD31のEEPROM32からEDIDを読み出し(図4のステップS1)、読み出したEDIDのDTD4のPanel Name=”AAA12345”と一致するPanel NameのEDID修正情報がEDIDテーブル42にあるか否かを判断し(図4のステップS2)。読み出したEDIDのDTD4のPanel Name=”AAA12345”と一致するEDID修正情報0があるので(図4のステップS2の「Yes」)、EDIDのID=”AA1(Maker ID)”、DTD1=”垂直同期周波数60Hz Timing(クロック周波数72.3MHz)”、DTD2=”Blank”、DTD3=”AAA(Maker Name)”、”Cheksum”を、EDID修正情報0のID=”BB1(Maker ID)”、DTD1=垂直同期周波数60Hz Timing(クロック周波数69.3MHz)、DTD2=垂直同期周波数50Hz Timing(クロック周波数57.75MHz)、DTD3=”XYZPad Display(Maker Name)”、”Checksum”に変更してシステム・メモリ14の参照エリア14aに書き込む。ディスプレイ・ドライバ52aは、システム・メモリ14の参照エリア14aに書き込まれた、カスタマイズされたEDIDを使用してLCD31の制御を行う。
【0041】
これにより、ノートPC1では、LCD31にMaker Nameとして、”XYZPad Display”を表示することが可能となる。また、LCD31を、垂直同期周波数60Hz Timingではクロック周波数を69.3MHzで駆動することができ、不要輻射ノイズを低減することができる。また、LCD31を垂直同期周波数50Hz Timing(クロック周波数57.75MHz)でも駆動することが可能となる。
【0042】
以上説明したように、実施の形態1によれば、参照エリア14aを有するシステム・メモリ14と、複数のLCD毎に、EDIDをカスタマイズした修正EDIDを記録したEDIDテーブル42を有し、ノートPC1の起動時に、LCD31からEDIDを読み出し、EDIDテーブル42を参照して、読み出したEDID中の識別情報(例えば、Panel Name)に対応するEDID修正情報が存在するか否かを判定し、存在する場合には、読み出したEDIDを当該対応するEDID修正情報に基づいてカスタマイズして、カスタマイズしたEDIDをシステム・メモリ14の参照エリア14aに書き込むBIOS41と、システム・メモリ14の参照エリア14aに書き込まれたEDIDに基づいて、LCD31を制御するディスプレイ・ドライバ52aを備えているので、EDIDをカスタマイズする場合に、PCメーカーおよびLCDサプライヤの両者のフレキシビリティを向上させ、かつ、EDIDの管理を容易とすることが可能となる。
【0043】
付言すると、従来はLCDメーカー毎にEDIDを変更(HW若しくはFWの変更)しなければならないものを、本実施の形態では、ノートPC本体のBIOSで変更することとしているので、LCDメーカーの標準EDIDや他社用EDIDを有するLCDを使うことができ、LCDメーカーのフレキシビリティを向上させることが可能となる。また、EDIDのカスタマイズをBIOS上で行うため、同じEDIDを持つLCDでもシステム毎のカスタマイズが可能となる(異なる機種間で、同じEDIDを有するLCDを使用する場合でも、機種毎にEDIDのカスタマイズが可能となる)。さらに、ディスプレイ・ドライバの変更は最小限はたは既存の実装をそのまま使うことができる。
【0044】
また、EDID修正情報は、ノートPC1の不要輻射ノイズを低減させるLCD31のクロック周波数を含むこととしたので、簡単にノートPC1の不要輻射ノイズを低減することが可能となる。
【0045】
また、EDID修正情報はメーカー名を含むこととしたので、簡単にカスタマイズしたメーカー名を表示等することが可能となる。
【0046】
また、BIOS41は、LCD31から読み出したEDID中の識別情報に対応するEDID修正情報がEDIDテーブル42に存在しない場合には、読み出したEDIDをそのままシステム・メモリ14の参照エリア14aに書き込むこととしたので、EDIDをカスタマイズしない場合でも、ディスプレイ・ドライバ52aはシステム・メモリ14の参照エリア14aを参照することで、LCD31を制御することが可能となる。
【0047】
(実施の形態2)
図6は、実施の形態2において、LCD31の制御に関連するノートPC1の要部構成を示す模式図である。図6において、図3と同等機能を有する部位には同一の符号を付し、異なる点についてのみ説明する。
【0048】
実施の形態1では、LCD31から読み出したEDIDのPanel Nameに対応するEDID修正情報がEDIDテーブル42に存在しない場合には、読み出したEDIDをそのままシステム・メモリ14の参照エリア14aに書き込む構成としている。これに対して、実施の形態2では、LCD31から読み出したEDIDのPanel Nameに対応するEDID修正情報がEDIDテーブル42に存在しない場合には、ディスプレイ・ドライバ52aは、LCD31からEDIDを読み出して、読み出したEDIDに基づいて、LCD31を制御する。
【0049】
図6において、BIOS41は、システムの起動時に、LCD31からEDIDを読み出し、読み出したEDIDのPanel Nameと対応するEDID修正情報がEDIDテーブル42にあるか否かを判定する。BIOS41は、読み出したEDIDのPanel Nameに対応するEDID修正情報がEDIDテーブル42にある場合には、読み出したEDIDを対応するEDID修正情報に基づいてカスタマイズし、カスタマイズしたEDIDをシステム・メモリ14の参照エリア14aに書き込む。他方、BIOS41は、読み出したEDIDのPanel Nameに対応するEDID修正情報がEDIDテーブル42にない場合は、システム・メモリ14の参照エリア14aを空にする。
【0050】
ディスプレイ・ドライバ32は、システム・メモリ14の参照エリア14aにEDIDがある場合は、システム・メモリ14の参照エリア14aのEDIDに基づいて、LCD31を制御する。ディスプレイ・ドライバ32は、システム・メモリ14の参照エリア14aが空の場合には、DDC通信により、ビデオ・コントローラ15を介してLCD31からEDIDを読み出し、読み出したEDIDに基づいて、LCD31を制御する。
【0051】
なお、上記実施の形態1,2では、ディスプレイとして、LCDを使用することとしたが本発明はこれに限られるものではなく、例えば、プラズマ、有機EL、LED、CRT等の他のディスプレイを使用することにしてもよい。また、上記実施の形態では、本発明に係る情報処理装置の一例として、ノートPCについて説明したが、本発明は、これに限られるものではなく、例えば、デスクトップPC、PDA、携帯端末、デジタルカメラ等の情報処理装置にも適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明に係る情報処理装置、その表示制御方法、およびコンピュータが実行するためのプログラムは、ディスプレイの仕様情報をカスタマイズする場合に有用である。
【符号の説明】
【0053】
1 ノートPC
10 パソコン本体部
11 入力部
12 CPU
13 CPUブリッジ
14 システム・メモリ
15 ビデオ・コントローラ
16 インバータ
17 I/Oブリッジ
18 無線モジュール
19 HDD(ハードディスク)
20 ROM
21 I/Oコントローラ
22 エンベデットコントローラ
23 パワーコントローラ
24 DC−DCコンバータ
25 バッテリ
26 ACアダプタ
27 ヒンジ
30 表示部
31 LCD
41 BIOS
42 EDIDテーブル
51 OS
52 ドライバ
52a ディスプレイ・ドライバ
53 アプリケーション

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイからその仕様情報を読み出し、読み出した仕様情報に基づいて前記ディスプレイを制御する情報処理装置であって、
参照エリアを有するメモリと、
複数のディスプレイ毎に、前記仕様情報をカスタマイズするための修正情報を登録したテーブルと、
前記情報処理装置の起動時に、前記ディスプレイから前記仕様情報を読み出し、読み出した仕様情報中の識別情報に対応する修正情報が前記テーブルに存在するか否かを判定し、前記読み出した仕様情報中のディスプレイ名に対応する修正情報が前記テーブルに存在する場合は、前記読み出した仕様情報を、前記対応する修正情報に基づいてカスタマイズし、当該カスタマイズした仕様情報を前記メモリの参照エリアに書き込むBIOSと、
前記メモリの前記参照エリアに記憶された仕様情報に基づいて、前記ディスプレイを制御するディスプレイ・ドライバ手段と、
を備えたことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記テーブルは、前記BIOSに設けられたことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記修正情報は、前記ディスプレイのクロック周波数を含むことを特徴とする請求項1はたは請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記修正情報は、前記ディスプレイの製造者名を含むことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記BIOSは、前記読み出した仕様情報中の識別情報に対応する修正情報が前記テーブルに存在しない場合は、前記読み出した仕様情報をそのまま前記メモリの参照エリアに書き込むことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記BIOSは、前記読み出した仕様情報中の識別情報に対応する修正情報が前記テーブルに存在しない場合は、前記メモリの参照エリアを空にし、
前記ディスプレイ・ドライバ手段は、前記参照エリアに前記仕様情報がない場合は、前記ディスプレイから仕様情報を読み出して、当該読み出した仕様情報に基づいて、前記ディスプレイを制御することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記仕様情報は、EDID(Extended Display Identification Data)であることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記情報処理装置はノート型パーソナルコンピュータであり、前記ディスプレイはLCDであることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項9】
ディスプレイからその仕様情報を読み出し、読み出した仕様情報に基づいて前記ディスプレイを制御する情報処理装置の表示制御方法であって、
前記情報処理装置は、
参照エリアを有するメモリと、複数のディスプレイ毎に、前記仕様情報をカスタマイズするための修正情報を登録したテーブルと、BIOSと、ディスプレイ・ドライバ手段と、
を備え、
前記表示制御方法は、
前記BIOSが、前記情報処理装置の起動時に、前記ディスプレイから前記仕様情報を読み出し、読み出した仕様情報中の識別情報に対応する修正情報が前記テーブルに存在するか否かを判定し、前記読み出した仕様情報中の識別情報に対応する修正情報が前記テーブルに存在する場合は、前記読み出した仕様情報を、前記対応する修正情報に基づいてカスタマイズし、当該カスタマイズした仕様情報を前記メモリの参照エリアに書き込む工程と、
前記ディスプレイ・ドライバ手段が、前記メモリの前記参照エリアに記憶された仕様情報に基づいて、前記ディスプレイを制御する工程と、
を含むことを特徴とする情報処理装置の表示制御方法。
【請求項10】
ディスプレイからその仕様情報を読み出し、読み出した仕様情報に基づいて前記ディスプレイを制御する情報処理装置に搭載されるプログラムであって、
前記情報処理装置は、
参照エリアを有するメモリと、複数のディスプレイ毎に、前記仕様情報をカスタマイズするための修正情報を登録したテーブルと、BIOSと、ディスプレイ・ドライバ手段と、
を備え、
前記プログラムは、
前記BIOSが、前記情報処理装置の起動時に、前記ディスプレイから前記仕様情報を読み出し、読み出した仕様情報中の識別情報に対応する修正情報が前記テーブルに存在するか否かを判定し、前記読み出した仕様情報中の識別情報に対応する修正情報が前記テーブルに存在する場合は、前記読み出した仕様情報を、前記対応する修正情報に基づいてカスタマイズし、当該カスタマイズした仕様情報を前記メモリの参照エリアに書き込む工程と、
前記ディスプレイ・ドライバ手段が、前記メモリの前記参照エリアに記憶された仕様情報に基づいて、前記ディスプレイを制御する工程と、
をコンピュータに実行させることを特徴とするコンピュータが実行可能なプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−133677(P2012−133677A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−286676(P2010−286676)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【出願人】(505205731)レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド (292)
【復代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
【Fターム(参考)】