説明

情報処理装置、プログラム、記録媒体および情報処理システム

【課題】電子ペンの筆記データに対して、半自動でユーザが所望する処理を行う。
【解決手段】ユーザにより付加された属性情報を伴う、電子ペン100の筆記データを受信する受信部310と、上記属性情報を伴う上記筆記データから、文字列または図形を認識し、上記筆記データに伴う上記属性情報を、上記文字列または上記図形に対応付ける認識部350と、上記文字列または上記図形と、上記文字列または上記図形に対応付けられた上記属性情報とに基づいて、上記ユーザが所望する情報を検索する検索部360と、上記ユーザが所望する情報を、表示用のデータに加工する加工370部と、上記表示用のデータを表示する表示部380とを備える情報処理装置300を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、プログラム、記録媒体および情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
情報処理装置への入力手段として、電子ペンが知られている。電子ペンは、例えば電磁誘導方式や、抵抗膜方式、赤外線・超音波方式、アノト(登録商標)方式などにより、ユーザの筆記を情報処理装置に入力する手段である。手書きにより直感的な入力が可能であることや、レシーバ(不要な場合もある)を含めても軽量で、持ち運びが容易であることが利点である。
【0003】
上記のような電子ペンによって情報処理装置に入力されるユーザの筆記データは、一般には筆記が行われた位置を示す座標情報である。この座標情報に対して、例えばOCR(Optical Character Reader)の処理を行うことによって、情報処理装置において処理可能な文字列に変換することができる。
【0004】
ユーザは、このように変換された文字列に対して、情報処理装置を用いて様々な操作を行うことができる。例えば、文書としてファイルを作成したり、メモした言葉の意味を調べるために検索のキーワードとして用いたりといった操作が考えられる。
【0005】
そのため、電子ペンを含む情報処理システムにおいて、ユーザの筆記データを情報処理装置に入力するだけでなく、入力後の情報処理装置における操作をも容易にするための技術が開発されている。例えば特許文献1には、電子ペンを、ジョイスティックやマウスといった補助入力装置の機能としても使用する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−122659号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上述したように、電子ペンは、持ち運びが容易であることが利点の一つである。そのため、ユーザが、電子ペンとレシーバのみを持ち歩いて筆記を行ってデータを蓄積し、時間が経過した後でデータを情報処理装置に取り込む場合も多いと考えられる。このような場合、例えば、筆記データを情報処理装置に取り込んだ際にどのような処理をしようと考えていたかが、時間の経過によってわからなくなってしまうという問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、電子ペンの筆記データに対して、半自動的にユーザが所望する処理を行うことが可能な、新規かつ改良された情報処理装置、プログラム、記録媒体および情報処理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、ユーザにより付加された属性情報を伴う、電子ペンの筆記データを受信する受信部と、上記属性情報を伴う上記筆記データから、文字列または図形を認識し、上記筆記データに伴う上記属性情報を、上記文字列または上記図形に対応付ける認識部と、上記文字列または上記図形と、上記文字列または上記図形に対応付けられた上記属性情報とに基づいて、上記ユーザが所望する情報を検索する検索部と、上記ユーザが所望する情報を、表示用のデータに加工する加工部と、上記表示用のデータを表示する表示部とを備える情報処理装置が提供される。
【0010】
かかる構成により、電子ペンの筆記データから認識された文字列または図形に対して、筆記データが情報処理装置に受信された際に、ユーザによる別途の操作を伴わずに、ユーザが所望する処理を行うことができる。
【0011】
上記認識部は、上記受信部によって上記属性情報を伴う筆記データが受信された場合、自動的に、上記文字列または上記図形の認識と、上記文字列または上記図形への上記属性情報の対応付けを行い、上記検索部は、上記文字列または上記図形に対応付けられた上記属性情報が存在する場合、自動的に、上記ユーザが所望する情報を検索してもよい。
【0012】
上記検索部は、上記属性情報の種類に対応する種類の情報を検索してもよい。
【0013】
上記情報処理装置は、ユーザの操作を受け付ける入力部をさらに備え、上記検索部は、上記属性情報の種類に対応する複数の種類の情報のうち、上記入力部が受け付けた上記ユーザの操作により指定された種類の情報を検索してもよい。
【0014】
上記情報処理装置は、ネットワークと通信を行う通信部をさらに備え、上記検索部は、上記通信部を介して、上記ネットワーク上の情報から、上記ユーザが所望する情報を検索してもよい。
【0015】
上記情報処理装置は、情報を格納する記憶部をさらに備え、上記検索部は、上記記憶部に格納された情報から、上記ユーザが所望する情報を検索してもよい。
【0016】
上記検索部は、上記ユーザが所望する情報として、上記文字列に関連する文字情報を検索してもよい。
【0017】
上記検索部は、上記ユーザが所望する情報として、上記図形に類似する画像情報を検索してもよい。
【0018】
上記検索部は、上記ユーザが所望する情報として、上記図形を分解した図形要素情報を検索し、上記加工部は、上記図形要素情報を結合して、整形された上記図形の情報を生成してもよい。
【0019】
上記検索部は、上記ユーザが所望する情報として、上記図形の領域に含まれる文字列に関連する画像情報を検索してもよい。
【0020】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、電子ペンと、上記電子ペンの筆記データを、ユーザにより付加された属性情報とともに送信するレシーバと、上記属性情報を伴う上記筆記データを受信する受信部と、上記属性情報を伴う上記筆記データから、文字列または図形を認識し、上記筆記データに伴う上記属性情報を、上記文字列または上記図形に対応付ける認識部と、上記文字列または上記図形と、上記文字列または上記図形に対応付けられた上記属性情報とに基づいて、上記ユーザが所望する情報を検索する検索部と、上記ユーザが所望する情報を、表示用のデータに加工する加工部と、上記表示用のデータを表示する表示部とを備える情報処理装置と、を含む、情報処理システムが提供される。
【0021】
また、上記課題を解決するために、本発明のさらに別の観点によれば、ユーザにより付加された属性情報を伴う、電子ペンの筆記データを受信するステップと、上記属性情報を伴う上記筆記データから、文字列または図形を認識し、上記筆記データに伴う上記属性情報を、上記文字列または上記図形に対応付けるステップと、上記文字列または上記図形と、上記文字列または上記図形に対応付けられた上記属性情報とに基づいて、上記ユーザが所望する情報を検索するステップと、上記ユーザが所望する情報を、表示用のデータに加工するステップと、上記表示用のデータを表示するステップと、を、コンピュータに実行させるためのプログラムが提供される。
【0022】
また、上記課題を解決するために、本発明のさらに別の観点によれば、ユーザにより付加された属性情報を伴う、電子ペンの筆記データを受信するステップと、上記属性情報を伴う上記筆記データから、文字列または図形を認識し、上記筆記データに伴う上記属性情報を、上記文字列または上記図形に対応付けるステップと、上記文字列または上記図形と、上記文字列または上記図形に対応付けられた上記属性情報とに基づいて、上記ユーザが所望する情報を検索するステップと、上記ユーザが所望する情報を、表示用のデータに加工するステップと、上記表示用のデータを表示するステップと、を、コンピュータに実行させるためのプログラムを格納した、コンピュータにより読み取り可能な記録媒体が提供される。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように本発明によれば、電子ペンの筆記データに対して、容易にユーザが所望する処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施形態に係る情報処理システムの概要を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る電子ペンの機能構成の一例を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係る電子ペンにおける、切替スイッチの実装例を示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係る電子ペンにおける、切替スイッチの別の実装例を示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係るレシーバの機能構成の一例を示す図である。
【図6】本発明の実施形態に係る電子ペンからレシーバに送られる信号の例を示す図である。
【図7】本発明の実施形態に係るレシーバにおける、切替スイッチの実装例を示す図である。
【図8】本発明の実施形態に係る情報処理装置の機能構成の一例を示す図である。
【図9】本発明の第1の実施形態に係る情報処理システムにおいて、ユーザが行う筆記の例を示す図である。
【図10】同実施形態に係る情報処理装置によって表示される画面の一例を示す図である。
【図11】同実施形態に係る情報処理装置によって表示される画面の別の例を示す図である。
【図12】本発明の第2の実施形態に係る情報処理システムにおいて、ユーザが行う筆記の例を示す図である。
【図13】同実施形態に係る情報処理装置によって表示される画面の一例を示す図である。
【図14】同実施形態に係る情報処理装置によって表示される画面の別の例を示す図である。
【図15】本発明の第3の実施形態に係る情報処理システムにおいて、ユーザが行う筆記の例を示す図である。
【図16】同実施形態に係る情報処理装置によって表示される画面の一例を示す図である。
【図17】本発明の第4の実施形態に係る情報処理システムにおいて、ユーザが行う筆記の例を示す図である。
【図18】同実施形態に係る情報処理装置によって表示される画面の一例を示す図である。
【図19】同実施形態に係る情報処理装置によって表示される画面の別の例を示す図である。
【図20】本発明の第5の実施形態に係る情報処理装置の処理を示すフローチャートである。
【図21】同実施形態に係る情報処理装置の処理のうち、画像検索処理を示すフローチャートである。
【図22】同実施形態に係る情報処理装置によって表示される画面の一例を示す図である。
【図23】同実施形態に係る情報処理装置によって表示される画面の別の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0026】
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
1.実施形態の共通構成
1−1.情報処理システム
1−2.電子ペンおよびレシーバ
1−2−1.電子ペンによって属性情報を付加する場合
1−2−2.レシーバによって属性情報を付加する場合
1−3.情報処理装置
2.第1の実施形態
3.第2の実施形態
4.第3の実施形態
5.第4の実施形態
6.第5の実施形態
7.補足
【0027】
<1.実施形態の共通構成>
[1−1.情報処理システム]
図1は、本発明の実施形態に係る情報処理システム10の概要を示す図である。情報処理システム10は、電子ペン100、レシーバ200、および情報処理装置300からなる。
【0028】
電子ペン100は、筆記を行うユーザによって保持される。ユーザが筆記を行っている間、電子ペン100は、ペン先に備えられた超音波発信素子110および赤外線発信素子120により、超音波信号および赤外線信号を発信する。
【0029】
レシーバ200は、電子ペン100から発信される超音波信号および赤外線信号を受信し、電子ペン100の座標を特定して筆記データを生成する。ここで、筆記データとは、ユーザが電子ペン100で筆記した筆跡のデータである。
【0030】
また、レシーバ200は、筆記データに属性情報を付加する。ここで、属性情報とは、筆記データを情報処理装置300に取り込んで利用する際に、ユーザが筆記データに対して行いたい処理を示す付加的な情報である。属性情報を伴う筆記データはレシーバ200に蓄積されてもよい。
【0031】
上記の属性情報としては、例えば、「検索キーワードとして利用」、「類似した図形を検索」、「図として整形」、「文字または図形としてそのまま利用」などが考えられる。このような属性情報を付加するためのユーザの操作は、電子ペン100またはレシーバ200によって受け付けられる。
【0032】
情報処理装置300は、レシーバ200と接続されて、属性情報を伴う筆記データを取り込む、例えばPC(Personal Computer)である。ユーザが電子ペン100を用いて筆記を行っている間、レシーバ200と情報処理装置300とは接続されていなくてもよい。この場合、属性情報を伴う筆記データはレシーバ200に蓄積され、ユーザが一連の筆記を終えた後、レシーバ200が情報処理装置300に接続された際に一括して情報処理装置300に取り込まれる。
【0033】
さらに、情報処理装置300は、属性情報を伴う筆記データに対して、様々な処理を行う。例えば、情報処理装置300は、座標情報として取り込まれた筆記データから、OCR等の処理により文字列や図形を認識する。情報処理装置300はさらに、属性情報に基づいて、識別された文字列をキーワードとした情報の検索や、識別された図形の編集を行う。
【0034】
なお、上記で説明した情報処理システム10においては、電子ペン100は赤外線・超音波方式を用い、レシーバ200は情報処理装置300と分離している。しかし、電子ペン100には、電磁誘導方式、抵抗膜方式、アノト(登録商標)方式などの他の方式が用いられてもよい。また、レシーバ200は、電子ペン100の方式に応じて異なった構成となり、また情報処理装置300と一体となったものでもよい。
【0035】
[1−2.電子ペンおよびレシーバ]
(1−2−1.電子ペンによって属性情報を付加する場合)
本発明の実施形態においては、属性情報を付加するためのユーザの操作は、電子ペン100またはレシーバ200によって受け付けられる。ここではまず、属性情報を付加するためのユーザの操作が、電子ペン100によって受け付けられる場合について説明する。
【0036】
図2は、本発明の実施形態に係る電子ペン100の機能構成の一例を示す図である。電子ペン100は、例えば赤外線・超音波方式の場合、超音波発信素子110、赤外線発信素子120、属性切替部130、属性記憶部140、属性送信部150、およびインク160を備える。
【0037】
超音波発信素子110は、超音波信号を発信する、例えばスピーカである。赤外線発信素子120は、赤外線信号を発信する、例えばLED(Light Emitting Diode)である。超音波信号および赤外線信号は、ユーザが電子ペン100を用いて筆記を行っている間のみ発信されるようにしてもよい。
【0038】
属性切替部130は、属性情報を切り替えるためのユーザの操作を受け付ける。この属性切替部130は、例えば電子ペン100に設けられたスイッチとして実装することができる。以下で、図3および図4を参照してその例について説明する。
【0039】
図3は、本発明の実施形態に係る電子ペン100において、属性切替部130をボタン式の切替スイッチ130Aとして実装した電子ペン100Aを示す図である。切替スイッチ130Aには、それぞれが属性に対応するボタンが設けられ、ユーザは、所望の属性に対応する切替スイッチ130Aのボタンを押下して筆記を行う。
【0040】
図4は、本発明の実施形態に係る電子ペン100において、属性切替部130をスライド式の切替スイッチ130Bとして実装した電子ペン100Bを示す図である。切替スイッチ130Bには、それぞれが属性に対応するポジションが設けられ、ユーザは、所望の属性に対応するポジションに切替スイッチ130Bをスライドさせて筆記を行う。
【0041】
なお、属性切替部130は、上記の例の他にも、例えば回転式のスイッチや、単一のボタンの押下回数に応じて切り替えるスイッチなど、既知の様々な形のスイッチとして実装することができる。また、属性切替部130は、電子ペン100の傾きや振動などを検知するセンサとして実装することもできる。
【0042】
また、以下の実施形態の説明では特に言及しないが、ユーザが筆記データを「文字または図形としてそのまま利用」したい場合、すなわち属性を指定しない場合も、上記の属性切替部130による切替の対象となる。つまり、例えば上記で説明した切替スイッチ130A,130Bには、以下の実施形態の説明で言及される属性に対応するボタンまたはポジションに加えて、「属性を指定しない」ことに対応するボタンまたはポジションが設けられてもよい。
【0043】
再び図2を参照して、属性記憶部140は、属性切替部130が受け付けたユーザの操作によって切り替えられた属性情報を記憶する。属性記憶部140は、例えばフラッシュメモリ等の小型の記憶装置によって実装されてもよい。また、例えば属性切替部130が機械的な仕組みによりその位置を保持することが可能なスイッチである場合には、その位置が保持されることをもって属性記憶部140に代えてもよい。
【0044】
属性送信部150は、選択されている属性情報を、筆記データに付加して送信する。属性送信部150は、超音波発信素子110および赤外線発信素子120とは別に設けられた無線通信デバイスとして実装されてもよい。また、属性送信部150は、超音波発信素子110または赤外線発信素子120が発信する信号に、属性情報を示す所定の変化を与えるためのデバイスであってもよい。
【0045】
インク160は、電子ペン100による紙への筆記を行う。インク160は、属性切替部130等の要素とは関係なく実装できるが、筆記の色を変えるための既知の方法により、属性切替部130によって切り替えられた属性に応じて異なった色となるようにすることもできる。
【0046】
図5は、本発明の実施形態に係るレシーバ200の機能構成の一例を示す図である。レシーバ200は、例えば赤外線・超音波方式の場合、超音波受信素子210A,210B、赤外線受信素子220、属性受信部230、位置検出部240、記憶部250、登録処理部260、送信部270を備える。
【0047】
超音波受信素子210A,210Bは、電子ペン100が発信した超音波信号を受信する、例えばマイクである。赤外線受信素子220は、電子ペン100が発信した赤外線信号を受信する、例えばフォトダイオードである。
【0048】
属性受信部230は、電子ペン100からの属性情報を受信する。この属性受信部230は、超音波受信素子210A,210B、および赤外線受信素子220とは別に設けられた無線通信デバイスとして実装されてもよい。また、超音波受信素子210A,210B、および赤外線受信素子220と組み合わせて実装されてもよい。
【0049】
位置検出部240は、超音波受信素子210A,210B、および赤外線受信素子220が受信した超音波信号および赤外線信号から、電子ペン100の座標を特定し、筆記データを生成する。以下で、図6を参照して、属性受信部230および位置検出部240が行う処理の例について説明する。
【0050】
図6は、本発明の実施形態に係る電子ペン100からレシーバ200に送られる、属性情報を含む信号の例を示す図である。レシーバ200は、電子ペン100の超音波発信素子110から発信される超音波信号を、超音波受信素子210A,211Bで受信し、また、電子ペン100の赤外線発信素子120から発信された赤外線信号を、赤外線受信素子220で受信する。
【0051】
図示されている赤外線・超音波方式においては、赤外線受信素子220が電子ペン100からの赤外線信号を受信する時刻と、超音波受信素子210A,211Bが電子ペン100からの超音波信号を受信する時刻には、電子ペン100の位置に応じて、時間差t1およびt2が生じる。レシーバ200の位置検出部240は、この時間差t1およびt2と、超音波受信素子210A,211Bの既知の間隔R0とによって、超音波受信素子210A,211Bのそれぞれから電子ペン100までの距離R1,R2を算出し、これにより電子ペン100の位置を特定する。
【0052】
ここで、電子ペン100の属性送信部150は、例えば、本来のパルス信号p1に、特定の属性情報が付加されていることを示すパルス信号p2を付加したパターンの赤外線信号を、赤外線発信素子120に発信させることができる。この場合、レシーバ200の属性受信部230は、赤外線受信素子220が受信した赤外線信号のパターンが、パルス信号p2を含む場合に、筆記データに付加された属性情報を受信したと判断する。
【0053】
上記と同様に属性情報を送受信する処理を、電子ペン100の超音波発信素子110が発信する超音波信号において行うことも可能である。また、電子ペン100に、アノト(登録商標)方式などの、信号に変化を加えることが可能な他の方式が用いられる場合、その方式において送受信される信号において、同様の処理を行うことも可能である。
【0054】
再び図5を参照して、記憶部250は、属性情報を伴う筆記データ、および必要に応じて、レシーバ200の機能を実現するためのプログラムを格納する、例えばROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などの記憶装置である。
【0055】
登録処理部260は、位置検出部240が生成した筆記データに、属性受信部230が受信した属性情報を対応させ、記憶部250に格納する。
【0056】
送信部270は、記憶部250に格納された、属性情報を伴う筆記データを、情報処理装置300に向けて送信する、例えばUSB(Universal Serial Bus)、LAN(Local Area Network)等の有線または無線の通信インタフェースである。
【0057】
ここで、位置検出部240、登録処理部260は、専用のハードウェアによって実装されてもよく、またソフトウェアを適宜組み合わせて実装されてもよい。ソフトウェアによって実装される場合、CPU(Central Processing Unit)が、記憶部250に格納されたプログラムを実行することによって各部の機能が実現される。
【0058】
(1−2−2.レシーバによって属性情報を付加する場合)
次に、属性情報を付加するためのユーザの操作が、レシーバ200によって受け付けられる場合について説明する。この場合、電子ペン100は、属性切替部130、属性記憶部140、属性送信部150を備える必要がなく、通常用いられる電子ペンと同様の構成とすることができる。一方、レシーバ200の属性受信部230は、属性情報を付加するためのユーザの操作を受け付けるインタフェースとして実装される。
【0059】
図7は、本発明の実施形態に係るレシーバ200において、属性受信部230をボタン式の切替スイッチ230Aとして実装したレシーバ200Aを示す図である。切替スイッチ230Aには、それぞれが属性に対応するボタンが設けられ、ユーザは、所望の属性に対応する切替スイッチ230Aのボタンを押して筆記を行う。
【0060】
なお、上記の場合の属性受信部230は、電子ペン100の属性切替部130と同様に、既知の様々な形のスイッチとして実装することができる。また、レシーバ200Aは、表示画面235を備え、そこに選択された属性情報が表示されるようにしてもよい。
【0061】
[1−3.情報処理装置]
本発明の実施形態においては、属性情報を伴う筆記データが、レシーバ200から情報処理装置300に送信される。情報処理装置300は、属性情報に基づいて、筆記データに対して様々な処理を行う。
【0062】
図8は、本発明の実施形態に係る情報処理装置300の機能構成の一例を示す図である。情報処理装置300は、例えば、受信部310、記憶部320、ネットワーク通信部330、入力部340、認識部350、検索部360、加工部370、表示部380および制御部390を備える。
【0063】
受信部310は、レシーバ200から送信された筆記データおよび属性情報を受信する、例えばUSB、LAN等の有線または無線の通信インタフェースである。
【0064】
記憶部320は、情報処理装置300における一連の処理に用いられるデータや、情報処理装置300の機能を実現するためのプログラムを格納する、例えばROM、RAMなどの記憶装置、HDD(Hard Disk Drive)などの二次記憶装置、または光ディスクや半導体メモリ等のリムーバブル記憶媒体を適宜組み合わせたものである。
【0065】
ネットワーク通信部330は、ネットワークと情報の送受信を行う、例えばインターネットに接続されたLAN等の有線または無線の通信インタフェースであって、必要に応じて備えられる。入力部340は、ユーザによる情報処理装置300への操作を受け付ける、例えばマウス、キーボード等のデバイスである。
【0066】
認識部350は、受信部310が受信した筆記データから文字列や図形を認識する。また、認識部350は、筆記データに伴う属性情報を、認識された文字列や図形に対応付ける。
【0067】
検索部360は、認識部350が認識した文字列や図形と、文字列および図形に対応付けられた属性情報に基づいて、ユーザが所望する情報の検索処理を行う。検索処理は、例えばネットワーク通信部330を介して行うインターネット検索でもよく、また記憶部320に格納されたファイルなどのデータを検索するローカル検索でもよい。
【0068】
加工部370は、検索部360が検索した情報を、表示用のデータに加工する。表示部380は、加工部370が加工したデータを表示する、情報処理装置300自体に備えられたモニタなどの表示装置、または情報処理装置300に接続された外部の表示装置に表示をさせるためのデバイスである。
【0069】
制御部390は、認識部350、検索部360、加工部370および表示部380を制御する。この制御部390は、受信部310によって属性情報を伴う筆記データが受信された場合、自動的に、認識部350に認識および対応付けの処理を行わせてもよい。また、制御部390は、認識部350によって認識された文字列や図形に、属性情報が対応付けられている場合、自動的に、検索部360に検索処理を行わせてもよい。
【0070】
ここで、認識部350、検索部360、加工部370、表示部380および制御部390は、専用のハードウェアによって実装されてもよく、またソフトウェアを適宜組み合わせて実装されてもよい。ソフトウェアによって実装される場合、CPUが、記憶部320に格納されたプログラム、またはネットワーク通信部330を介してネットワークから取得したプログラムを実行することによって各部の機能が実現される。
【0071】
<2.第1の実施形態>
本発明の第1の実施形態においては、筆記データに「検索キーワード」という属性情報が付加される。この「検索キーワード」という属性情報は、「筆記した単語をキーワードとして、検索処理を行う」ということを意味する。すなわち、属性「検索キーワード」を指定して筆記を行ったユーザは、その筆記データを情報処理装置300に取り込んだ際に、当該属性で筆記された部分の単語で検索処理を行うことを所望していると考えられる。
【0072】
図9は、本発明の第1の実施形態に係る情報処理システム10において、ユーザが行う筆記の例を示す図である。通常筆記部分401において、ユーザは属性を指定せずに筆記を行っている。
【0073】
ここで、例えば筆記した「Air Mass」という言葉の意味を知りたいと考えた場合、ユーザは、属性「検索キーワード」を指定し、属性筆記部分403のアンダーラインを筆記する。その後、次に意味を知りたい言葉が出てくるまで、ユーザは再び属性を指定せずに筆記を行う。
【0074】
この後、情報処理装置300に筆記データが取り込まれた場合、認識部350により、属性「検索キーワード」でアンダーラインを引かれた「Air Mass」が、検索キーワード405として認識される。
【0075】
なお、検索キーワード405を必ずしも属性「検索キーワード」のアンダーラインによって指定する必要はない。言葉そのものを属性「検索キーワード」で筆記してもよいし、アンダーラインの代わりに囲み線等を筆記してもよい。
【0076】
図10は、本発明の第1の実施形態において、筆記データをレシーバ200から情報処理装置300に取り込んだ場合に、表示部380により表示される画面の一例を示す図である。ここで、アプリケーションウインドウ407は、履歴領域409、筆記データ表示領域411などにより構成される。
【0077】
この場合、情報処理装置300の認識部350は、例えばOCRの処理によって認識された文字列が、属性「検索キーワード」を伴う筆記データによるものである場合に、この文字列を検索キーワードとして抽出する。
【0078】
次に、検索部360は、認識部350が抽出した検索キーワードに基づいて、キーワード検索処理を行う。キーワード検索処理は、例えばネットワーク通信部330を介して行うインターネット検索でもよく、また記憶部320に格納されたファイルなどのデータを検索するローカル検索でもよい。
【0079】
また、加工部370は、認識部350が抽出した検索キーワードの情報を加工して、キーワードリスト413の表示用データを生成する。制御部390は、表示部380に、加工部370が生成したキーワードリスト413と、検索キーワードが抽出され、キーワード検索処理が行われたことをユーザに通知するダイアログ415とをさらに表示させる。
【0080】
図11は、上記の場合で、さらに、ダイアログ415の「結果の表示」ボタンが押下され、検索結果ウインドウ417が表示された状態の画面の一例を示す図である。この検索結果ウインドウ417は、筆記データ表示領域411の該当するキーワード表示部分や、キーワードリスト413の該当するキーワード表示部分419が、ポインタでクリックされた場合に表示されるようにしてもよい。
【0081】
ここで、検索結果ウインドウ417は、例えば検索部360によりインターネット検索が行われた場合であれば、検索結果のページを表示したブラウザウインドウである。また、検索部360によりローカル検索が行われた場合であれば、検索されたファイル等を表示したアプリケーションウインドウである。
【0082】
さらに、他の日付にユーザが筆記した検索キーワードに対する検索結果は、履歴領域409に表示されている日付をクリックすることで、上記の場合と同様に閲覧することができる。
【0083】
<3.第2の実施形態>
本発明の第2の実施形態においては、筆記データに「図記入」という属性情報が付加される。この「図記入」という属性情報は、「筆記した図形について、類似画像の検索処理を行う」ということを意味する。すなわち、属性「図記入」を指定して筆記を行ったユーザは、その筆記データを情報処理装置300に取り込んだ際に、当該属性で筆記された図形に類似する画像を検索することを所望していると考えられる。
【0084】
図12は、本発明の第2の実施形態に係る情報処理システム10において、ユーザが行う筆記の例を示す図である。通常筆記部分501において、ユーザは属性を指定せずに筆記を行っている。
【0085】
ここで、例えば太陽のイラストを配置したいと考えた場合、ユーザは、属性「図記入」を指定し、属性筆記部分503として、ユーザがイメージする太陽のイラストに近い図形を筆記する。その後、次に図を配置したい箇所が出てくるまで、ユーザは再び属性を指定せずに筆記を行う。
【0086】
この後、情報処理装置300に筆記データが取り込まれた場合、属性「図記入」で描かれた太陽のイラストに近い図形が、検索対象図形505として認識される。
【0087】
なお、検索対象図形505を必ずしも属性「図記入」で筆記することによって指定する必要はない。属性を指定せずに筆記した図形を、属性「図記入」で筆記した線で囲む等してもよい。
【0088】
図13は、本発明の第2の実施形態において、筆記データをレシーバ200から情報処理装置300に取り込んだ場合に、表示部380により表示される画面の一例を示す図である。ここで、アプリケーションウインドウ507は、履歴領域509、筆記データ表示領域511などにより構成される。
【0089】
この場合、情報処理装置300の認識部350は、属性「図記入」を伴う筆記データによって認識される図形を、検索対象図形として抽出する。
【0090】
次に、検索部360は、認識部350が抽出した検索対象図形に基づいて、類似画像の検索処理を行う。類似画像の検索処理は、例えばネットワーク通信部330を介して行うインターネット類似画像検索でもよく、また記憶部320に格納された画像ファイルを検索するローカル類似画像検索でもよい。
【0091】
また、加工部370は、検索部360が検索した類似画像の情報を加工して、検索画像リスト513の表示用データを生成する。加工部370は例えば、検索された類似画像をサムネイル化したり、表示領域に合わせてサイズを調整したりといった処理を行う。制御部390は、表示部380に、加工部370が生成した検索画像リスト513と、検索対象図形が抽出され、類似画像の検索処理が行われたことをユーザに通知するダイアログ515とをさらに表示させる。
【0092】
図14は、上記の場合で、さらに、ダイアログ515の「結果の表示」ボタンが押下され、検索結果ウインドウ517が表示された状態の画面の一例を示す図である。この検索結果ウインドウ517は、筆記データ表示領域511の該当する図形表示部分519や、検索画像リスト513の該当する画像が、ポインタでクリックされた場合に表示されるようにしてもよい。
【0093】
ここで、検索結果ウインドウ517は、例えば検索部360によりインターネット類似画像検索が行われた場合であれば、検索結果の画像群を表示したブラウザウインドウである。また、検索部360によりローカル類似画像検索が行われた場合であれば、検索された画像ファイルを表示したアプリケーションウインドウである。
【0094】
さらに、他の日付にユーザが筆記した検索対象図形に対する検索結果は、履歴領域509に表示されている日付をクリックすることで、上記の場合と同様に閲覧することができる。
【0095】
<4.第3の実施形態>
本発明の第3の実施形態においては、筆記データに「図記入」という属性情報が付加される。この「図記入」という属性情報は、「筆記した図形について、整形を行う」ということを意味する。すなわち、属性「図記入」を指定して筆記を行ったユーザは、その筆記データを情報処理装置300に取り込んだ際に、当該属性で筆記された図形を整形することを所望していると考えられる。
【0096】
図15は、本発明の第3の実施形態に係る情報処理システム10において、ユーザが行う筆記の例を示す図である。例えば回路図を描きたいと考えた場合、ユーザは、属性「図記入」を指定し、属性筆記部分603として、ユーザがイメージする回路図を筆記する。
【0097】
この後、情報処理装置300に筆記データが取り込まれた場合、属性「図記入」で描かれた回路図が、整形対象図形605として認識される。
【0098】
なお、整形対象図形605を必ずしも属性「図記入」で筆記することによって指定する必要はない。属性を指定せずに筆記した図形を、属性「図記入」で筆記した線で囲む等してもよい。
【0099】
図16は、本発明の第3の実施形態において、筆記データをレシーバ200から情報処理装置300に取り込んだ場合に、表示部380により表示される画面の一例を示す図である。ここで、アプリケーションウインドウ607は、履歴領域609、筆記データ表示領域611などにより構成される。
【0100】
この場合、情報処理装置300の認識部350は、属性「図記入」を伴う筆記データによって認識される図形を、整形対象図形として抽出する。
【0101】
次に、検索部360は、認識部350が抽出した整形対象図形を適宜切り分け、切り分けた各部分を置き換えるための図形要素を検索する。ここで、図形要素とは、直線、円弧、二次曲線等の、図形を構成する所定の種類の要素である。検索部360は、整形対象図形を図形要素の集合として精度よく近似できるように、整形対象図形を適切な要素に切り分け、切り分けた各部分を検索された図形要素に置き換える。
【0102】
また、加工部370は、検索部360が検索した図形要素を再度結合して、整形済図形613の表示用データを生成する。さらに、制御部390は、表示部380に表示されている筆記データ表示領域611のうち、整形対象図形の部分を、加工部370が生成した整形済図形613に置き換えて表示させる。
【0103】
ここで、整形済図形613がポインタによってクリックされた場合、制御部390は、表示部380に、整形済図形を編集するための画像編集アプリケーションウインドウ615をさらに表示させる。
【0104】
さらに、他の日付にユーザが筆記した検索対象図形に対する検索結果は、履歴領域609に表示されている日付をクリックすることで、上記の場合と同様に閲覧することができる。
【0105】
<5.第4の実施形態>
本発明の第4の実施形態においては、筆記データに「図記入」という属性情報が付加される。この「図記入」という属性情報は、「指定した領域に筆記された文字列をキーワードとして、画像の検索処理を行う」ということを意味する。すなわち、属性「図記入」を指定して筆記を行ったユーザは、その筆記データを情報処理装置300に取り込んだ際に、当該属性で指定した領域に筆記された文字列をキーワードとして画像を検索することを所望していると考えられる。
【0106】
図17は、本発明の第4の実施形態に係る情報処理システム10において、ユーザが行う筆記の例を示す図である。通常筆記部分701において、ユーザは属性を指定せずに筆記を行っている。
【0107】
ここで、例えば、検索した太陽の画像を配置したいと考えた場合、ユーザは、属性「図記入」を指定し、属性筆記部分703として、画像を配置したい領域を筆記する。さらにユーザは、領域内に「太陽」という文字列を筆記する。この文字列部分については、属性「図記入」で筆記してもよいし、その他の属性または属性なしで筆記してもよい。その後、次に画像を検索したい箇所が出てくるまで、ユーザは再び属性を指定せずに筆記を行う。
【0108】
この後、情報処理装置300に筆記データが取り込まれた場合、「太陽」という文字列を含む属性「図記入」で描かれた領域が、検索対象領域705として認識される。
【0109】
図18は、本発明の第4の実施形態において、筆記データをレシーバ200から情報処理装置300に取り込んだ場合に、表示部380により表示される画面の一例を示す図である。ここで、アプリケーションウインドウ707は、履歴領域709、筆記データ表示領域711などにより構成される。
【0110】
この場合、情報処理装置300の認識部350は、属性「図記入」を伴う筆記データによって認識される図形を検索対象領域とし、検索対象領域の外周を取り除いた部分に対してOCR等の処理を行って文字列を認識する。
【0111】
次に、検索部360は、認識部350が認識した、検索対象領域に含まれる文字列をキーワードとして、画像検索処理を行う。画像検索処理は、例えばネットワーク通信部330を介して行うインターネット画像検索でもよく、また記憶部320に格納された画像ファイルを検索するローカル画像検索でもよい。
【0112】
また、加工部370は、検索部360が検索した画像の情報を加工して、検索画像リスト713の表示用データを生成する。加工部370は例えば、検索された画像をサムネイル化したり、表示領域に合わせてサイズを調整したりといった処理を行う。制御部390は、表示部380に、加工部370が生成した検索画像リスト713と、検索対象領域が抽出され、類似画像の検索処理が行われたことをユーザに通知するダイアログ717とをさらに表示させる。また、加工部370はさらに、検索キーワードリスト715の表示用データを生成し、制御部390は、表示部380に検索キーワードリスト715を表示させてもよい。
【0113】
図19は、上記の場合で、さらに、ダイアログ717の「結果の表示」ボタンが押下され、検索結果ウインドウ719が表示された状態の画面の一例を示す図である。この検索結果ウインドウ719は、筆記データ表示領域711の該当する画像表示部分721や、検索画像リスト713または検索キーワードリスト715の該当する画像が、ポインタでクリックされた場合に表示されるようにしてもよい。
【0114】
ここで、検索結果ウインドウ719は、例えば検索部360によりインターネット画像検索が行われた場合であれば、検索結果の画像群を表示したブラウザウインドウである。また、検索部360によりローカル画像検索が行われた場合であれば、検索された画像ファイルを表示したアプリケーションウインドウである。
【0115】
さらに、他の日付にユーザが筆記した検索対象領域に含まれる文字列に対する検索結果は、履歴領域709に表示されている日付をクリックすることで、上記の場合と同様に閲覧することができる。
【0116】
<6.第5の実施形態>
本発明の第5の実施形態においては、筆記データに「キーワード検索」または「図記入」という属性情報が付加される。ここで、「検索キーワード」という属性情報は、「筆記した単語をキーワードとして、検索処理を行う」ということを意味する。また、「図記入」という属性情報は、「筆記した図形について、類似画像の検索処理を行う」または「筆記した図形について、整形を行う」のいずれかを意味する。筆記を行うユーザは、上記の2つの属性情報のうち、所望のものを適宜選択して指定する。
【0117】
図20は、本発明の第5の実施形態に係る情報処理装置300の処理を示すフローチャートである。まず、受信部310が、レシーバ200から、属性情報を伴う筆記データを受信する(ステップS101)。次に、認識部350が、筆記データから文字列または図形を認識し、筆記データに伴う属性情報をこの文字列または図形に対応付ける(ステップS103)。
【0118】
ここで、認識部350によって認識された文字列が、属性「検索キーワード」に対応付けられた場合(ステップS105)、制御部390は、検索部360に、認識された文字列を検索キーワードとして、検索処理を行わせる(ステップS107)。
【0119】
一方、認識部350によって認識された図形が、属性「図記入」に対応付けられた場合(ステップS109)、認識された一連の図形について、検索部360などにより画像検索処理が行われる(ステップS111)。画像検索処理については後述する。
【0120】
上記のように、検索部360は、文字列または図形に対応付けられた属性情報の種類に対応する種類の情報を検索する。
【0121】
上記で、検索部360によっていずれかの検索処理が行われた場合(ステップS107、ステップS111)、制御部390は、検索部360が検索した結果を記憶部320に格納する(ステップS113)。
【0122】
ここで、認識部350が認識すべき次の筆記データがある場合(ステップS115)、再度認識部350によって属性情報を伴う筆記データの認識が行われる(ステップS103)。
【0123】
上記のステップS115において、次の処理対象がない場合、制御部390は、加工部370に、検索に用いた文字列および図形の一覧の表示用データを作成させ(ステップS117)、表示部380に、検索に用いた文字列および図形の一覧と、検索が行われたことを示すダイアログとを表示させる(ステップS119)。
【0124】
図21は、本発明の第5の実施形態に係る情報処理装置300の処理のうち、画像検索処理を示すフローチャートである。まず、制御部390が、表示部380に、図形検索処理の対象が認識されたことを示す確認ダイアログを表示させる(ステップS201)。
【0125】
ここで、入力部340によって、ユーザが処理を続行する旨の指示が取得された場合(ステップS203)、制御部390は、検索部360に、認識部350によって認識された図形の類似画像検索と、認識部350によって認識された図形を置き換える図形要素検索の両方を行わせる(ステップS205)。制御部390はさらに、表示部380に、検索部360の検索結果の一部をサンプルとして含む選択ダイアログを表示させる(ステップS207)。
【0126】
さらにここで、入力部340によって、ユーザが類似画像の検索処理を行うことを所望する旨の指示が取得された場合(ステップS209)、制御部390は、検索部360の検索結果のうち、類似画像検索の結果を画像検索の結果に設定する(ステップS211)。
【0127】
一方、入力部340によって、ユーザが図形の整形処理を行うことを所望する旨の指示が取得された場合(ステップS213)、制御部390は、検索部360の検索結果のうち、図形要素検索の結果を画像検索の結果に設定する(ステップS215)。
【0128】
また、上記のステップS201またはステップS205で表示されるダイアログにおいて、入力部340によって、ユーザがダイアログを閉じることを所望する旨の指示が取得された場合、制御部390は、検索部360に検索処理を行わせることなく、画像検索処理を終了する。
【0129】
上記の処理により、結果として、検索部360は、入力部340が受け付けたユーザの操作により指定された種類の情報を検索したことになる。
【0130】
図22は、上記のステップS201において、表示部380により表示される画面の一例を示す図である。ここで、アプリケーションウインドウ807は、履歴領域809、筆記データ表示領域811などにより構成され、確認ダイアログ813が表示される。
【0131】
図23は、上記のステップS205において、表示部380により表示される画面の一例を示す図である。選択ダイアログ815は、検索部360によって検索された、類似画像検索と図形要素のそれぞれのサンプル、および、いずれかの処理を選択するためのラジオボタン等を含む。
【0132】
<7.補足>
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0133】
例えば、上記実施形態では、ユーザが電子ペンまたはレシーバに設けられたスイッチを操作することにより、筆記データの属性を指定することとしたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、属性を指定せずに筆記が行われていても、記号等の特定の形状が認識された場合、それをもって属性が指定されていると判断してもよい。
【0134】
また、例えば、上記実施形態では、情報処理装置の検索部は単純にインターネット検索またはローカル検索等を行うこととしたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、インターネット検索の場合にはインターネット上の辞書サービスを優先して検索したり、ローカル検索の場合には特定のユーザが作成したファイルを優先して検索したりして、ユーザの求める結果に近い検索結果が優先して表示されるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0135】
10 情報処理システム
100 電子ペン
200 レシーバ
300 情報処理装置
310 受信部
320 記憶部
330 通信部
340 入力部
350 認識部
360 検索部
370 加工部
380 表示部
390 制御部
405 検索キーワード
413 キーワードリスト
505 検索対象図形
513 検索画像リスト
605 整形対象図形
613 整形済図形
705 検索対象領域
713 検索画像リスト
813 確認ダイアログ
815 選択ダイアログ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザにより付加された属性情報を伴う、電子ペンの筆記データを受信する受信部と;
前記属性情報を伴う前記筆記データから、文字列または図形を認識し、前記筆記データに伴う前記属性情報を、前記文字列または前記図形に対応付ける認識部と;
前記文字列または前記図形と、前記文字列または前記図形に対応付けられた前記属性情報とに基づいて、前記ユーザが所望する情報を検索する検索部と;
前記ユーザが所望する情報を、表示用のデータに加工する加工部と;
前記表示用のデータを表示する表示部と;
を備える、情報処理装置。
【請求項2】
前記認識部は、前記受信部によって前記属性情報を伴う前記筆記データが受信された場合、自動的に、前記文字列または前記図形の認識と、前記文字列または前記図形への前記属性情報の対応付けを行う、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記検索部は、前記文字列または前記図形に対応付けられた前記属性情報が存在する場合、自動的に、前記文字列または前記図形に対応付けられた前記属性情報とに基づいて、前記ユーザが所望する情報を検索する、
請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記検索部は、前記属性情報の種類に対応する種類の情報を検索する、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
ユーザの操作を受け付ける入力部をさらに備え、
前記検索部は、前記属性情報の種類に対応する複数の種類の情報のうち、前記入力部が受け付けた前記ユーザの操作により指定された種類の情報を検索する、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
ネットワークと通信を行う通信部をさらに備え、
前記検索部は、前記通信部を介して、前記ネットワーク上の情報から、前記ユーザが所望する情報を検索する、
請求項1〜5のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
情報を格納する記憶部をさらに備え、
前記検索部は、前記記憶部に格納された情報から、前記ユーザが所望する情報を検索する、
請求項1〜6のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記検索部は、前記ユーザが所望する情報として、前記文字列に関連する文字情報を検索する、
請求項1〜7のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記検索部は、前記ユーザが所望する情報として、前記図形に類似する画像情報を検索する、
請求項1〜8のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記検索部は、前記ユーザが所望する情報として、前記図形を分解した図形要素情報を検索し、
前記加工部は、前記図形要素情報を結合して、整形された前記図形の情報を生成する、
請求項1〜9のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記検索部は、前記ユーザが所望する情報として、前記図形の領域に含まれる文字列に関連する画像情報を検索する、
請求項1〜10のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項12】
電子ペンと;
前記電子ペンの筆記データを、ユーザにより付加された属性情報とともに送信するレシーバと;
前記属性情報を伴う前記筆記データを受信する受信部と、前記属性情報を伴う前記筆記データから、文字列または図形を認識し、前記筆記データに伴う前記属性情報を、前記文字列または前記図形に対応付ける認識部と、前記文字列または前記図形と、前記文字列または前記図形に対応付けられた前記属性情報とに基づいて、前記ユーザが所望する情報を検索する検索部と、前記ユーザが所望する情報を、表示用のデータに加工する加工部と;
前記表示用のデータを表示する表示部とを備える情報処理装置と;
を含む、情報処理システム。
【請求項13】
ユーザにより付加された属性情報を伴う、電子ペンの筆記データを受信するステップと;
前記属性情報を伴う前記筆記データから、文字列または図形を認識し、前記筆記データに伴う前記属性情報を、前記文字列または前記図形に対応付けるステップと;
前記文字列または前記図形と、前記文字列または前記図形に対応付けられた前記属性情報とに基づいて、前記ユーザが所望する情報を検索するステップと;
前記ユーザが所望する情報を、表示用のデータに加工するステップと;
前記表示用のデータを表示するステップと;
を、コンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項14】
ユーザにより付加された属性情報を伴う、電子ペンの筆記データを受信するステップと;
前記属性情報を伴う前記筆記データから、文字列または図形を認識し、前記筆記データに伴う前記属性情報を、前記文字列または前記図形に対応付けるステップと;
前記文字列または前記図形と、前記文字列または前記図形に対応付けられた前記属性情報とに基づいて、前記ユーザが所望する情報を検索するステップと;
前記ユーザが所望する情報を、表示用のデータに加工するステップと;
前記表示用のデータを表示するステップと;
を、コンピュータに実行させるためのプログラムを格納した、コンピュータにより読み取り可能な記録媒体。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2011−197744(P2011−197744A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−60869(P2010−60869)
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】