説明

情報処理装置、情報処理方法、および情報処理システム

【課題】広告コンテンツを視聴した可能性の高い人を特定し、その人に情報を提供することができるようにする。
【解決手段】サイネージ端末の前方に形成された視聴エリアに携帯端末が存在していることが検出され、その状態が一定の時間続いた場合、配信サーバ1が管理する各携帯端末のユーザの視聴履歴に、サイネージ端末に表示させている広告コンテンツのIDが登録される。同じ広告コンテンツのIDが視聴履歴に複数登録されている場合、その広告コンテンツを携帯端末のユーザが既に視聴したものとして判断され、配信サーバ1から携帯端末に対して、広告コンテンツの関連情報が送信される。本発明は、デジタルサイネージのシステムに適用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法、および情報処理システムに関し、特に、広告コンテンツを視聴した可能性の高い人を特定し、その人に情報を提供することができるようにした情報処理装置、情報処理方法、および情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルサイネージが普及しつつある。デジタルサイネージは、駅のホームやビルの壁面などの公衆の場所に設置された大型のディスプレイに向けてネットワークを経由してサーバから動画などの情報を配信し、広告を提供する手法である。
【0003】
デジタルサイネージには、ポスターなどを用いた従来の広告手法と較べて、より大きい広告効果を得ることができる、あるいは、広告内容をリアルタイムで変更することができるなどのメリットがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−3740号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ディスプレイの近くにいて広告コンテンツを視聴した人が誰であるのかを特定することができれば、広告コンテンツを視聴した人にだけ、その広告コンテンツによって宣伝されるものと同じ商品やサービスについての情報を提供したりすることができ、より大きな広告効果を得ることができるものと考えられる。例えば、広告コンテンツを見てある商品の存在をはじめて知った人に、その商品の詳細な情報を提供することができれば、商品に対する認知度をさらに高めることができる。
【0006】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、広告コンテンツを視聴した可能性の高い人を特定し、その人に情報を提供することができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の情報処理装置は、ネットワークを介して接続される複数の表示装置に広告コンテンツを送信し、表示させる配信手段と、それぞれの前記表示装置の近傍に設置され、携帯端末による外部の装置との通信を中継する中継装置と前記ネットワークを介して通信を行い、前記中継装置が管理する通信可能範囲に存在する前記携帯端末を検出する検出手段と、前記携帯端末が前記通信可能範囲に所定の時間存在し続けていることが前記検出手段により検出される毎に、前記広告コンテンツの識別情報を前記携帯端末のユーザの視聴履歴に登録する登録手段と、前記携帯端末のユーザの視聴履歴に前記広告コンテンツの識別情報が複数登録されている場合、前記広告コンテンツに関連する情報である関連情報を前記携帯端末に送信する送信手段とを備える。
【0008】
前記登録手段には、前記携帯端末が前記中継装置を中継した通信を行っていない状態で前記通信可能範囲に前記所定の時間存在し続けていることが前記検出手段により検出される毎に、前記広告コンテンツの識別情報を前記携帯端末のユーザの視聴履歴に登録させることができる。
【0009】
前記送信手段には、前記携帯端末のユーザの視聴履歴に登録されている前記広告コンテンツの複数の識別情報が、それぞれ、異なる前記中継装置が管理する通信可能範囲に、前記携帯端末が前記所定の時間存在し続けていることが検出されたときに登録された識別情報である場合に前記関連情報を送信させることができる。
【0010】
前記中継装置は、前記携帯端末による無線LAN通信を中継する装置、または、前記携帯端末による携帯電話回線を介して行われる通信を中継する装置であるようにすることができる。
【0011】
本発明の情報処理方法は、ネットワークを介して接続される複数の表示装置に広告コンテンツを送信して表示させ、それぞれの前記表示装置の近傍に設置され、携帯端末による外部の装置との通信を中継する中継装置と前記ネットワークを介して通信を行い、前記中継装置が管理する通信可能範囲に存在する前記携帯端末を検出し、前記携帯端末が前記通信可能範囲に所定の時間存在し続けていることを検出する毎に、前記広告コンテンツの識別情報を前記携帯端末のユーザの視聴履歴に登録し、前記携帯端末のユーザの視聴履歴に前記広告コンテンツの識別情報が複数登録されている場合、前記広告コンテンツに関連する情報である関連情報を前記携帯端末に送信するステップを含む。
【0012】
本発明の情報処理システムは、広告コンテンツの配信を行う第1の情報処理装置と、POSシステムを構成する複数のクライアント装置と接続されるサーバ装置である第2の情報処理装置とからなる。
【0013】
前記第1の情報処理装置は、ネットワークを介して接続される複数の表示装置に広告コンテンツを送信し、表示させる配信手段と、それぞれの前記表示装置の近傍に設置され、携帯端末による外部の装置との通信を中継する第1の中継装置と前記ネットワークを介して通信を行い、前記第1の中継装置が管理する第1の通信可能範囲に存在する前記携帯端末を検出するとともに、前記クライアント装置の近傍に設置され、前記携帯端末による外部の装置との通信を中継する第2の中継装置と前記ネットワークを介して通信を行い、前記第2の中継装置が管理する第2の通信可能範囲に存在する前記携帯端末を検出する検出手段と、前記携帯端末が前記第1の通信可能範囲に所定の時間存在し続けていることが前記検出手段により検出される毎に、前記広告コンテンツの識別情報を前記携帯端末のユーザの視聴履歴に登録する登録手段と、前記携帯端末のユーザの視聴履歴に前記広告コンテンツの識別情報が複数登録されている場合、前記広告コンテンツの識別情報と前記携帯端末の識別情報とを前記第2の情報処理装置に送信するとともに、前記携帯端末が前記第2の通信可能範囲に存在していることが前記検出手段により検出された場合、前記携帯端末の識別情報を前記第2の情報処理装置に送信する送信手段とを備える。
【0014】
また、前記第2の情報処理装置は、前記携帯端末のユーザの視聴履歴に前記広告コンテンツの識別情報が複数登録されているときに前記第1の情報処理装置から送信されてきた前記広告コンテンツの識別情報と前記携帯端末の識別情報を対応付けて記憶する記憶手段と、前記携帯端末が前記第2の通信可能範囲に存在していることが検出されたときに前記第1の情報処理装置から送信されてきた前記携帯端末の識別情報に対応付けて前記記憶手段に記憶されている前記広告コンテンツの識別情報に基づいて、前記携帯端末のユーザにサービスを提供する対象の商品を特定する特定手段と、前記特定手段により特定された前記対象の商品の購入が前記クライアント装置において入力されたとき、前記サービスの内容に応じて前記クライアント装置を制御する制御手段とを備える。
【0015】
前記第1の情報処理装置には、前記携帯端末のユーザの視聴履歴に前記広告コンテンツの識別情報が複数登録されている場合、前記広告コンテンツに関連する情報である関連情報を前記携帯端末に送信する関連情報送信手段をさらに設けることができる。
【0016】
本発明の情報処理装置または情報処理方法においては、ネットワークを介して接続される複数の表示装置に広告コンテンツを送信し、表示させることが行われ、それぞれの前記表示装置の近傍に設置され、携帯端末による外部の装置との通信を中継する中継装置と前記ネットワークを介して通信が行われ、前記中継装置が管理する通信可能範囲に存在する前記携帯端末が検出される。また、前記携帯端末が前記通信可能範囲に所定の時間存在し続けていることが検出される毎に、前記広告コンテンツの識別情報が前記携帯端末のユーザの視聴履歴に登録され、前記携帯端末のユーザの視聴履歴に前記広告コンテンツの識別情報が複数登録されている場合、前記広告コンテンツに関連する情報である関連情報が前記携帯端末に送信される。
【0017】
本発明の情報処理システムの第1の情報処理装置においては、ネットワークを介して接続される複数の表示装置に広告コンテンツを送信し、表示させることが行われ、それぞれの前記表示装置の近傍に設置され、携帯端末による外部の装置との通信を中継する第1の中継装置と前記ネットワークを介して通信が行われ、前記第1の中継装置が管理する第1の通信可能範囲に存在する前記携帯端末が検出されるとともに、クライアント装置の近傍に設置され、前記携帯端末による外部の装置との通信を中継する第2の中継装置と前記ネットワークを介して通信が行われ、前記第2の中継装置が管理する第2の通信可能範囲に存在する前記携帯端末が検出される。また、前記携帯端末が前記第1の通信可能範囲に所定の時間存在し続けていることが検出される毎に、前記広告コンテンツの識別情報が前記携帯端末のユーザの視聴履歴に登録され、前記携帯端末のユーザの視聴履歴に前記広告コンテンツの識別情報が複数登録されている場合、前記広告コンテンツの識別情報と前記携帯端末の識別情報とが第2の情報処理装置に送信されるとともに、前記携帯端末が前記第2の通信可能範囲に存在していることが検出された場合、前記携帯端末の識別情報が前記第2の情報処理装置に送信される。
【0018】
また、本発明の情報処理システムの前記第2の情報処理装置においては、前記携帯端末のユーザの視聴履歴に前記広告コンテンツの識別情報が複数登録されているときに前記第1の情報処理装置から送信されてきた前記広告コンテンツの識別情報と前記携帯端末の識別情報が対応付けて記憶される。前記携帯端末が前記第2の通信可能範囲に存在していることが検出されたときに前記第1の情報処理装置から送信されてきた前記携帯端末の識別情報に対応付けて記憶されている前記広告コンテンツの識別情報に基づいて、前記携帯端末のユーザにサービスを提供する対象の商品が特定され、特定された前記対象の商品の購入が前記クライアント装置において入力されたとき、前記サービスの内容に応じて前記クライアント装置が制御される。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、広告コンテンツを視聴した可能性の高い人を特定し、その人に情報を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態に係る情報処理システムの構成例を示す図である。
【図2】図1の配信サーバのハードウェア構成例を示すブロック図である。
【図3】図1の配信サーバの機能構成例を示すブロック図である。
【図4】無線LAN APの処理について説明するフローチャートである。
【図5】サイネージ端末に広告コンテンツを送信する配信サーバの処理について説明するフローチャートである。
【図6】IPTVに広告コンテンツを送信する配信サーバの処理について説明するフローチャートである。
【図7】IPTVに広告コンテンツを送信する配信サーバの処理について説明する、図6に続くフローチャートである。
【図8】広告コンテンツの送信順の例を示す図である。
【図9】本発明の他の実施形態に係る情報処理システムの構成例を示す図である。
【図10】図9の配信サーバの機能構成例を示すブロック図である。
【図11】図9の管理サーバの機能構成例を示すブロック図である。
【図12】配信サーバの処理について説明するフローチャートである。
【図13】管理サーバの処理について説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
<第1の実施の形態>
[情報処理システムの構成例]
図1は、本発明の一実施形態に係る情報処理システムの構成例を示す図である。
【0022】
図1の情報処理システムは、配信サーバ1と無線LAN AP(Local Area Network Access Point)6−1乃至6−3とが、インターネットなどよりなるネットワーク5を介して接続されることによって構成される。配信サーバ1には、図示せぬネットワークを介してコンテンツDB(Data Base)2、加入者情報DB3、および関連情報DB4が接続される。
【0023】
また、LANケーブルなどを介して、無線LAN AP6−1にはサイネージ端末7−1が接続され、無線LAN AP6−2にはサイネージ端末7−2が接続され、無線LAN AP6−3にはIPTV(Internet Protocol Television)8が接続される。無線LAN AP6−1はサイネージ端末7−1の近くに設置され、無線LAN AP6−2はサイネージ端末7−2の近くに設置され、無線LAN AP6−3はIPTV8の近くに設置される。
【0024】
サイネージ端末7−1はLCD(Liquid Crystal Display)やプラズマディスプレイなどよりなる表示装置である。サイネージ端末7−1は無線LAN AP6−1との通信機能も有しており、無線LAN AP6−1から送信されてきた、例えば動画のコンテンツである広告コンテンツを再生し、表示する。
【0025】
サイネージ端末7−1の前方には、サイネージ端末7−1が表示する広告コンテンツを視聴可能なエリアとして、半径5メートルなどの範囲に視聴エリアAが形成される。無線LAN AP6−1が出力する電波は、視聴エリアAとほぼ同じ範囲に届くようにその電界強度と向きが制御される。
【0026】
無線LANによる通信機能が搭載された携帯電話機などの携帯端末のユーザは、視聴エリアAでは、サイネージ端末7−1により表示される広告コンテンツを視聴することができるとともに、無線LAN AP6−1を経由してネットワーク5上の装置と通信を行うことができることになる。
【0027】
サイネージ端末7−2は、サイネージ端末7−1と同様の構成を有する表示装置であり、無線LAN AP6−2との通信機能を有する。サイネージ端末7−2の前方には、サイネージ端末7−2が表示する広告コンテンツを視聴可能なエリアである視聴エリアAが形成される。無線LAN AP6−2が出力する電波は、視聴エリアAとほぼ同じ範囲に届くようにその電界強度と向きが制御される。
【0028】
無線LANによる通信機能が搭載された携帯端末のユーザは、視聴エリアAでも、サイネージ端末7−2により表示される広告コンテンツを視聴することができるとともに、無線LAN AP6−2を経由してネットワーク5上の装置と通信を行うことができる。
【0029】
IPTV8は、配信サーバ1から送信され、ネットワーク5、無線LAN AP6−3を介して供給された広告コンテンツを再生し、表示する。IPTV8は、ユーザによる操作に応じて配信サーバ1にアクセスし、広告コンテンツ以外の、映画やアニメーションなどの動画コンテンツの再生、表示も行う。
【0030】
IPTV8が広告コンテンツを表示している場合、IPTV8の前方には、IPTV8が表示する広告コンテンツを視聴可能なエリアである視聴エリアAが形成される。無線LAN AP6−3が出力する電波は、視聴エリアAとほぼ同じ範囲に届くようにその電界強度と向きが制御される。
【0031】
無線LANによる通信機能が搭載された携帯端末のユーザは、視聴エリアAでも、IPTV8により表示される広告コンテンツを視聴することができるとともに、無線LAN AP6−3を経由してネットワーク5上の装置と通信を行うことができる。
【0032】
図1の例においては、無線LAN APがルータ機能をも有しており、配信サーバ1から送信されてきた広告コンテンツが無線LAN APを経由して送信されるものとしているが、サイネージ端末7−1,7−2やIPTV8がネットワーク5に直接接続され、配信サーバ1から直接、それらの装置に対して広告コンテンツの送信が行われるようにしてもよい。また、サイネージ端末、IPTVの数は図1に示すものに限られない。IPTVに替えて、ネットワーク5を介して送信されてくるコンテンツを再生する機能を有するPCなどの装置が設けられるようにしてもよい。
【0033】
このような構成を有する情報処理システムにおいては、広告コンテンツの視聴エリアに携帯端末の通信可能範囲が形成されていることを利用して、視聴エリアに存在するユーザが特定され、各ユーザの広告コンテンツの視聴履歴が配信サーバ1により管理される。
【0034】
例えば、コンテンツDB2に記憶されている広告コンテンツXを配信サーバ1が送信し、駅の構内、ビルの壁面などの不特定の人の目に付く場所に設置されているサイネージ端末7−1,7−2に広告コンテンツXを繰り返し表示させている場合について説明する。
【0035】
サイネージ端末7−2の近くに設置されている無線LAN AP6−2により、視聴エリアAに携帯端末11が存在していることが検出され、その状態が一定の時間続いた場合、配信サーバ1は、無線LAN AP6−2から送信されてきた端末IDにより識別される携帯端末11のユーザの視聴履歴に、サイネージ端末7−2に表示させている広告コンテンツXのIDを登録する。
【0036】
携帯端末11の端末IDは、携帯端末11を携帯しているユーザが視聴エリアAに入ったときに無線LAN AP6−2により取得され、配信サーバ1に対して送信される。端末IDは、携帯端末11の無線LANモジュールに設定されているMAC(Media Access Control)アドレスなどの識別情報である。後述するように、加入者情報DB3には各携帯端末のユーザの情報が記憶されており、端末IDに基づいて、その端末IDにより識別される携帯端末のユーザを特定することができるようになされている。
【0037】
また、矢印#1に示すように携帯端末11のユーザが移動したことによって、視聴エリアAに携帯端末11が存在していることが無線LAN AP6−1により検出され、その状態が一定の時間続いた場合、配信サーバ1は、無線LAN AP6−1から送信されてきた端末IDにより識別される携帯端末11のユーザの視聴履歴に、サイネージ端末7−1に表示させている広告コンテンツXのIDを登録する。
【0038】
配信サーバ1は、同じ広告コンテンツXのIDが携帯端末11のユーザの視聴履歴に複数(視聴エリアAでの滞在に応じて登録された分と、視聴エリアAでの滞在に応じて登録された分)登録されていることを検出した場合、広告コンテンツXを携帯端末11のユーザが既に視聴したものとして判断する。
【0039】
すなわち、この例においては、ある視聴エリアに一定の時間存在し続けていることが1回検出されただけではそこで視聴できる広告コンテンツを視聴したものとしては判断されず、同じ広告コンテンツを視聴できる視聴エリアに一定の時間存在し続けていることが2回検出されたときに、その広告コンテンツを視聴したものとして判断されることになる。
【0040】
一定の時間存在し続けていることが検出された1つ目の視聴エリアと2つ目の視聴エリアが異なるエリアである場合に、広告コンテンツを視聴したものとして判断されるようにしてもよい。広告コンテンツのIDを視聴履歴に登録する際に、一定の時間存在し続けていることが検出された視聴エリアの情報(視聴エリアの近くに設置されているサイネージ端末のID、無線LAN APのID)も登録されるようになされている場合、どこで視聴したのかを特定することが可能になる。
【0041】
配信サーバ1は、広告コンテンツXを視聴したものとして判断したユーザが使う携帯端末11に対して、広告コンテンツXの関連情報を送信する。
【0042】
例えば、配信サーバ1が送信するそれぞれの広告コンテンツには、広告コンテンツが紹介する商品やサービスの詳細な情報が掲載されたWebサイトのURL(Uniform Resource Locator)が関連情報として設定されている。関連情報は関連情報DB4に予め記憶されており、それを送信するとき配信サーバ1により読み出される。
【0043】
配信サーバ1は、URLなどの関連情報を、ネットワーク5、無線LAN AP6−1を介して送信したり、図示せぬメールサーバを制御し、携帯電話回線のネットワークを介して、電子メールまたはSMS(Short Message Service)によって送信したりする。関連情報を電子メールやSMSにより送信する場合に用いられる携帯端末11の電子メールアドレスや電話番号などの情報は、例えば加入者情報DB3に記憶されている。
【0044】
このように、同じ広告コンテンツを視聴できる視聴エリアに一定の時間存在していることが例えば2回といった複数回検出されたときにその広告コンテンツを視聴したものとして判断するようにしたため、広告コンテンツを実際に視聴した可能性のより高いユーザを特定することができる。また、特定したユーザに対して、広告コンテンツに関連する情報を提供することができる。
【0045】
携帯端末11のユーザは、関連情報として配信サーバ1から送信されてきたURLに基づいてWebサイトを表示させることによって、自分が視聴エリアAや視聴エリアAで視聴した広告コンテンツによって紹介されている商品やサービスの詳細な情報を確認することができる。
【0046】
配信サーバ1が管理しているWebサイトを指定するURLが、ユーザが広告コンテンツを視聴した場所を表すサイネージ端末の情報、ユーザの識別情報、または、SMSなどによって送信した送信日時の情報が付加された形で関連情報として送信されるようにしてもよい。例えば、関連情報として送信されるURLである「www.○○○.jp/ABC」のうちの「ABC」の部分は、ユーザの識別情報などと紐付けされた情報である。
【0047】
これにより、配信サーバ1は、どのユーザが関連情報に基づいてアクセスしてきたのかを特定することが可能になる。また、配信サーバ1は、特定した結果から、広告コンテンツの視聴者数、関連情報に対してアクションを起こしたユーザの数等の、広告効果を測定することが可能になる。
【0048】
関連情報として提供される情報はURLに限られない。広告コンテンツにより紹介されている商品に関連のある静止画、動画、音楽データなどの他の情報が提供されるようにしてもよい。
【0049】
視聴エリアAにおいて携帯端末12が検出され、その後、矢印#2の先に示すように視聴エリアAにおいて携帯端末12が検出された場合も基本的に同様の処理が行われる。
【0050】
例えば、IPTV8と無線LAN AP6−3は携帯端末12のユーザの自宅に設置されている装置である。携帯端末12のユーザが外出中に視聴エリアAに入り、帰宅して視聴エリアAに入った場合を想定する。サイネージ端末7−2においては、配信サーバ1から送信されてきた広告コンテンツXの表示が行われている。
【0051】
視聴エリアAに携帯端末12が存在していることが無線LAN AP6−2により検出され、その状態が一定の時間続いた場合、配信サーバ1は、無線LAN AP6−2から送信されてきた端末IDにより識別される携帯端末12のユーザの視聴履歴に、サイネージ端末7−2に表示させている広告コンテンツXのIDを登録する。
【0052】
また、配信サーバ1は、IPTV8によりアクセスが行われた場合、視聴エリアAに携帯端末が存在するか否かを検出する。携帯端末12のユーザが帰宅して視聴エリアAに入った場合、携帯端末12の端末IDが無線LAN AP6−3により取得され、配信サーバ1に対して送信される。配信サーバ1は、無線LAN AP6−3から送信されてきた端末IDに基づいて、視聴エリアAに携帯端末12が存在していることを検出する。
【0053】
配信サーバ1は、携帯端末12のユーザの視聴履歴を参照し、IDが登録されている広告コンテンツXをIPTV8に送信して表示させる。これにより、携帯端末12のユーザは、外出中に視聴エリアAで視聴した広告コンテンツXを自宅でも視聴することになる。
【0054】
携帯端末12が視聴エリアAに一定の時間存在し続けている場合、配信サーバ1は広告コンテンツXのIDを携帯端末12のユーザの視聴履歴に登録する。携帯端末12のユーザの視聴履歴には、広告コンテンツXのIDが、視聴エリアAでの滞在に応じて登録された分と、視聴エリアAでの滞在に応じて登録された分との複数登録されることになる。
【0055】
また、配信サーバ1は、広告コンテンツXのIDが複数登録されていることから、広告コンテンツXを携帯端末12のユーザが既に視聴したものとして判断する。配信サーバ1は、広告コンテンツXの関連情報を関連情報DB4から読み出し、携帯端末12に送信する。
【0056】
このように、図1の情報処理システムにおいては、IPTV8を使って広告コンテンツを視聴したユーザの携帯端末12に対しても関連情報が提供される。
【0057】
配信サーバ1の処理の詳細についてはフローチャートを参照して後述する。
【0058】
[配信サーバ1の構成例]
図2は、配信サーバ1のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【0059】
CPU(Central Processing Unit)21、ROM(Read Only Memory)22、RAM(Random Access Memory)23は、バス24により相互に接続されている。
【0060】
バス24には、さらに、入出力インタフェース25が接続されている。入出力インタフェース25には、キーボード、マウスなどよりなる入力部26、ディスプレイ、スピーカなどよりなる出力部27が接続される。また、入出力インタフェース25には、ハードディスクや不揮発性のメモリなどよりなる記憶部28、ネットワークインタフェースなどよりなる通信部29が接続される。
【0061】
通信部29は、CPU21による制御に従って、ネットワーク5を介して無線LAN AP6−1乃至6−3と通信を行う。また、通信部29は、CPU21による制御に従って、コンテンツDB2、加入者情報DB3、関連情報DB4にアクセスし、各種の情報を読み出す。コンテンツDB2、加入者情報DB3、関連情報DB4が記憶部28内に構築されるようにしてもよい。
【0062】
図3は、配信サーバ1の機能構成例を示すブロック図である。
【0063】
図3に示す機能部のうちの少なくとも一部は、図2の記憶部28に記憶されているプログラムがCPU21により実行されることによって実現される。
【0064】
図3に示すように、配信サーバ1においては、広告コンテンツ配信部51、位置検出部52、登録部53、視聴判定部54、および関連情報送信部55が実現される。
【0065】
広告コンテンツ配信部51は、サイネージ端末7−1,7−2に広告コンテンツを表示させる場合、通信部29を制御してコンテンツDB2にアクセスし、コンテンツDB2に記憶されている広告コンテンツと、その送信を管理する情報である管理情報を読み出す。
【0066】
コンテンツDB2には、複数の広告コンテンツとともに、どの広告コンテンツを、いつ、どのサイネージ端末に送信するのかを表す情報である管理情報が記憶されている。送信する広告コンテンツは、広告コンテンツの識別情報であるコンテンツIDにより表される。また、広告コンテンツの送信先とするサイネージ端末は、例えばそれぞれのサイネージ端末の近くに設置されている無線LAN APの識別情報であるAPIDにより表される。コンテンツID、送信時刻、APIDを対応付けることによって構成される管理情報は、例えば、配信サーバ1の管理者により予め登録されている。
【0067】
広告コンテンツ配信部51は、コンテンツDB2から読み出した管理情報に従って、広告コンテンツをサイネージ端末7−1,7−2(サイネージ端末7−1,7−2が接続されている無線LAN AP6−1,6−2)にネットワーク5を介して送信する。サイネージ端末7−1,7−2を対象にした広告コンテンツの送信は、例えば、全ての端末に同じ広告コンテンツを送信するサイマル放送の形式で行われる。
【0068】
広告コンテンツ配信部51は、例えばアクセスが行われたことに応じてIPTV8に広告コンテンツを表示させる場合、IPTV8のユーザ(携帯端末12のユーザ)に関する情報を加入者情報DB3から読み出す。
【0069】
加入者情報DB3には、それぞれの携帯端末のユーザに関する情報である加入者情報が記憶されている。携帯端末のユーザがIPTVサービスの加入者でもある場合、ユーザが所有して自宅に設置しているIPTVの識別情報、無線LAN APのAPIDも加入者情報として記憶されている。加入者情報には、各ユーザの携帯端末の端末IDと対応付けて、滞在している視聴エリアの情報、視聴エリアの滞在時間の情報、広告コンテンツの視聴履歴の情報、ユーザの年代等の加入者属性情報、ユーザの名前等の加入者情報が含まれる。
【0070】
例えば、広告コンテンツ配信部51は、加入者属性情報に基づいてIPTV8のユーザの年代を特定し、その年代を対象にするものとして予め設定されている広告コンテンツをIPTV8(IPTV8が接続されている無線LAN AP6−3)に送信する。
【0071】
また、広告コンテンツ配信部51は、IPTV8のユーザの視聴履歴に基づいて、IPTV8のユーザが外出先の視聴エリアで視聴した可能性のある広告コンテンツを特定し、特定した広告コンテンツをIPTV8に送信する。
【0072】
広告コンテンツ配信部51は、広告コンテンツの送信先を表すAPIDと、送信した広告コンテンツのコンテンツIDを登録部53に出力する。ここでは、広告コンテンツの送信先の情報として無線LAN APのIDを用いるものとしたが、サイネージ端末7−1,7−2またはIPTV8のIDを用いるようにしてもよい。
【0073】
位置検出部52は、各携帯端末の位置を検出する。例えば、位置検出部52は、APIDと、通信可能範囲に存在する端末として検出された携帯端末の端末IDが無線LAN APから送信されてきた場合、端末IDにより識別される携帯端末が、端末ID等を送信してきた無線LAN APが近くに設置された視聴エリアに存在(滞在)しているものとして検出する。
【0074】
また、位置検出部52は、同じ視聴エリアの滞在時間が一定の時間を経過した場合、無線LAN APから送信されてきたAPIDと端末IDを出力する。位置検出部52から出力されたAPIDと端末IDは登録部53と視聴判定部54に供給される。
【0075】
IPTV8に広告コンテンツを送信する場合、位置検出部52は、視聴エリアAに存在する携帯端末の検出を無線LAN AP6−3に行わせ、無線LAN AP6−3により検出された、視聴エリアAに存在する携帯端末の端末IDを広告コンテンツ配信部51に出力する。位置検出部52から供給された端末IDに基づいて、IPTV8のユーザに関する情報を加入者情報DB3から読み出すことが広告コンテンツ配信部51により行われる。
【0076】
登録部53は、広告コンテンツ配信部51と位置検出部52から供給された情報に基づいて、加入者情報DB3に記憶されている、ある視聴エリアに一定の時間存在し続けていた携帯端末のユーザの視聴履歴にそのユーザが視聴した可能性のある広告コンテンツのコンテンツIDを登録する。具体的には、登録部53は、位置検出部52から供給された端末IDにより識別される携帯端末のユーザの視聴履歴に、位置検出部52から供給されたAPIDと同じAPIDとともに広告コンテンツ配信部51から供給されたコンテンツIDを登録する。
【0077】
単に、ある視聴エリアに一定の時間滞在していることが検出された場合に更新するのではなく、携帯端末が無線LAN APを経由して通信を行っていない状態で一定の時間滞在していることが検出された場合に視聴履歴を更新するようにしてもよい。携帯端末を使って通信を行わずに視聴エリアに一定の時間滞在し続けているということは、通信を行っている場合と較べてユーザが広告コンテンツを視聴している可能性が高いと考えられるから、これにより、視聴履歴の信頼性を高めることが可能になる。
【0078】
視聴判定部54は、加入者情報DB3に記憶されている、位置検出部52から供給された端末IDにより識別される携帯端末のユーザの視聴履歴を参照し、同じ広告コンテンツのコンテンツIDが複数登録されているか否かを確認する。
【0079】
視聴判定部54は、同じ広告コンテンツのコンテンツIDが視聴履歴に複数登録されていることを確認した場合、そのコンテンツIDにより識別される広告コンテンツをユーザが既に視聴したものとして判定する。
【0080】
視聴判定部54は、ユーザが既に視聴したものとして判定した広告コンテンツのコンテンツIDと、関連情報の送信先の情報を関連情報送信部55に出力する。送信先の情報は、関連情報を電子メールやSMSにより送信する場合には携帯端末のメールアドレスや電話番号等の加入者情報DB3に記憶されている情報であり、無線LAN APを経由して送信する場合にはAPIDである。
【0081】
関連情報送信部55は、視聴判定部54から供給されたコンテンツIDに基づいて、そのコンテンツIDにより識別される広告コンテンツの関連情報を関連情報DB4から読み出し、通信部29を制御して、送信先として指定された携帯端末に送信する。
【0082】
[情報処理システムの動作]
ここで、図4のフローチャートを参照して無線LAN AP6−1の処理について説明する。
【0083】
ステップS1において、無線LAN AP6−1は、ネットワーク5を介して配信サーバ1から送信されてきた広告コンテンツを受信する。
【0084】
ステップS2において、無線LAN AP6−1は広告コンテンツをサイネージ端末7−1に出力し、再生させる。
【0085】
ステップS3において、無線LAN AP6−1は視聴エリアAを対象として携帯端末の検出を行い、携帯端末が存在するか否かを判定する。
【0086】
携帯端末が存在するとステップS3において判定した場合、ステップS4において、無線LAN AP6−1は、自身に割り当てられたAPIDと、検出した携帯端末の端末IDを配信サーバ1に送信する。
【0087】
ステップS5において、無線LAN AP6−1は、携帯端末が視聴エリアAの外に移動したか否かを判定する。
【0088】
携帯端末が視聴エリアAの外に移動したとステップS5において判定した場合、ステップS6において、無線LAN AP6−1は、通信可能範囲の外に移動したことを表す情報を配信サーバ1に送信する。
【0089】
ステップS6において情報の送信が行われた場合、ステップS3において携帯端末が存在しないと判定された場合、または、ステップS5において携帯端末が移動していないと判定された場合、ステップS1以降の処理が繰り返される。
【0090】
なお、無線LAN AP6−2においても同様の処理が行われる。また、通信可能範囲に存在する携帯端末の検出が配信サーバ1により指示されたときに行われるようになっている点を除いて、無線LAN AP6−3においても、無線LAN AP6−1,6−2の処理と同様の処理が行われる。
【0091】
次に、図5のフローチャートを参照して、サイネージ端末7−1,7−2に広告コンテンツを送信する配信サーバ1の処理について説明する。
【0092】
ステップS11において、配信サーバ1の広告コンテンツ配信部51は、管理情報に従って、広告コンテンツをサイネージ端末7−1,7−2に送信する。ここで送信された広告コンテンツが無線LAN AP6−1,6−2を経由してサイネージ端末7−1,7−2に出力され、再生される(図4のステップS2)。
【0093】
ステップS12において、位置検出部52は、APIDと端末IDが無線LAN AP6−1または6−2から送信されてきたか否かを判定し、送信されてこないと判定した場合、ステップS11に戻り、以上の処理を繰り返す。
【0094】
一方、APIDと端末IDが送信されてきたとステップS12において判定した場合、ステップS13において、位置検出部52は、無線LAN AP6−1または6−2により検出された携帯端末の、視聴エリアの滞在時間を計測する。
【0095】
ステップS14において、位置検出部52は、視聴エリアの滞在時間が一定の時間を経過したか否かを判定する。例えば、送信した広告コンテンツの1回の再生時間と同じ時間が経過した場合、一定の時間を経過したと判定される。
【0096】
視聴エリアの滞在時間が一定の時間を経過していないとステップS14において判定した場合、ステップS15において、位置検出部52は、携帯端末が視聴エリアの外に移動したことを表す情報が無線LAN AP6−1または6−2から送信されてきたか否かを判定する。
【0097】
ステップS15において、視聴エリアの外に携帯端末が移動したことを表す情報が送信されてきていないと判定された場合、ステップS13に戻り、滞在時間の計測が続けられる。また、移動したことを表す情報が送信されてきたと判定された場合、ステップS11以降の処理が繰り返される。
【0098】
視聴エリアの滞在時間が一定の時間を経過したとステップS14において判定された場合、ステップS16において、登録部53は、位置検出部52から供給された端末IDにより識別される携帯端末のユーザの視聴履歴に、位置検出部52から供給されたAPIDと同じAPIDとともに広告コンテンツ配信部51から供給されたコンテンツIDを登録する。
【0099】
ステップS17において、視聴判定部54は、位置検出部52から供給された端末IDにより識別される携帯端末のユーザの視聴履歴を参照し、そのユーザが広告コンテンツを視聴したか否かを判定する。
【0100】
上述したように、ここでは、同じ広告コンテンツのコンテンツIDが視聴履歴に複数登録されている場合、そのコンテンツIDにより識別される広告コンテンツをユーザが既に視聴したものとして判定される。
【0101】
ユーザが広告コンテンツを視聴したとステップS17において判定された場合、ステップS18において、関連情報送信部55は、視聴判定部54から供給されたコンテンツIDにより識別される広告コンテンツの関連情報を携帯端末に送信する。
【0102】
関連情報を受信した携帯端末においては、例えば、ユーザが視聴した広告コンテンツによって紹介されていた商品等の詳細な情報の表示が行われる。
【0103】
関連情報の送信が行われた後、または、ステップS17において広告コンテンツが視聴されていないと判定された場合、ステップS11以降の処理が繰り返される。
【0104】
以上の処理により、視聴エリアで広告コンテンツを視聴したユーザは、関連情報の提供を受けることができ、商品等の詳細な情報を確認することができる。
【0105】
次に、図6および図7のフローチャートを参照して、IPTV8に広告コンテンツを送信する配信サーバ1の処理について説明する。
【0106】
この処理は、例えば、IPTV8からアクセスが行われたときに開始される。映画などの動画コンテンツを視聴することがユーザにより指示されたとき、IPTV8から配信サーバ1に対してアクセスが行われる。配信サーバ1が提供するIPTVサービスにおいては、映画などの動画コンテンツの開始前や合間に、広告コンテンツの再生が行われる。
【0107】
ステップS31において、位置検出部52は、アクセスがあったIPTV8の近くに設置されている無線LAN AP6−3を制御し、視聴エリアAを対象として携帯端末の検出を行わせる。
【0108】
ステップS32において、位置検出部52は、視聴エリアAに携帯端末が存在するか否かを判定し、端末IDが無線LAN AP6−3から送信されてこないことから、視聴エリアAに携帯端末が存在しないと判定した場合、ステップS31以降の処理を繰り返す。
【0109】
一方、端末IDが無線LAN AP6−3から送信されてきたことから、視聴エリアAに携帯端末が存在するとステップS32において判定した場合、ステップS33において、広告コンテンツ配信部51は、IPTV8のユーザの視聴履歴を加入者情報DB3から読み出し、広告コンテンツのコンテンツIDが登録されているか否かを判定する。
【0110】
例えば、IPTV8のユーザ(視聴エリアAに存在する携帯端末のユーザ)が、広告コンテンツの表示が行われているサイネージ端末7−2の前方に形成された視聴エリアAに過去に一定の時間以上滞在していた場合、読み出された視聴履歴にはその広告コンテンツのコンテンツIDが登録されている。
【0111】
広告コンテンツのコンテンツIDが視聴履歴に登録されているとステップS33において判定した場合、ステップS34において、広告コンテンツ配信部51は、視聴履歴に登録されているコンテンツIDにより識別される、IPTV8のユーザが視聴した可能性のある広告コンテンツをIPTV8に送信する。
【0112】
図8は、広告コンテンツの送信順の例を示す図である。
【0113】
図8の上段に示すように、ある動画コンテンツの送信の開始前に、広告コンテンツであるCM#1,#2,#3,#4をその順に送信するように設定されていた場合について説明する。
【0114】
この場合において、IPTV8のユーザの視聴履歴にCM#XのコンテンツIDが登録されていたとき、CM#Xの送信が最初に行われ、その後、設定されていたとおりに広告コンテンツの送信が行われる。
【0115】
図6のステップS35以降の処理は、基本的に、図5を参照して説明したステップS13以降の処理と同様の処理である。すなわち、ステップS35において、位置検出部52は、無線LAN APにより検出された携帯端末の、視聴エリアAの滞在時間を計測する。
【0116】
ステップS36において、位置検出部52は、視聴エリアAの滞在時間が一定の時間を経過したか否かを判定する。
【0117】
視聴エリアAの滞在時間が一定の時間を経過していないとステップS36において判定した場合、ステップS37において、位置検出部52は、携帯端末が視聴エリアAの外に移動したことを表す情報が無線LAN AP6−3から送信されてきたか否かを判定する。
【0118】
ステップS37において、視聴エリアの外に携帯端末が移動したことを表す情報が送信されてきていないと判定された場合、ステップS35に戻り、滞在時間の計測が続けられる。また、移動したことを表す情報が送信されてきたと判定された場合、ステップS31以降の処理が繰り返される。
【0119】
視聴エリアの滞在時間が一定の時間を経過したとステップS36において判定された場合、ステップS38において、登録部53は、IPTV8のユーザの視聴履歴に、IPTV8に表示させていた広告コンテンツ(ステップS34の処理で送信された広告コンテンツ)のコンテンツIDを登録する。
【0120】
コンテンツIDが視聴履歴に登録された場合、IPTV8のユーザの視聴履歴には同じ広告コンテンツのコンテンツIDが複数登録されていることになるから、その広告コンテンツについてはIPTV8のユーザが既に視聴したものとして視聴判定部54により判定される。IPTV8のユーザが既に視聴したものとして判定された広告コンテンツのコンテンツIDと、IPTV8のユーザの携帯端末を指定する送信先の情報が関連情報送信部55に供給される。
【0121】
ステップS39において、関連情報送信部55は、視聴判定部54から供給されたコンテンツIDにより識別される広告コンテンツの関連情報をIPTV8のユーザの携帯端末に送信する。携帯端末ではなく、IPTV8に関連情報が送信されるようにしてもよい。ステップS39において関連情報の送信が行われた後、ステップS31以降の処理が繰り返される。
【0122】
一方、ステップS33において、広告コンテンツのコンテンツIDが視聴履歴に登録されていないと判定された場合、ステップS40において、広告コンテンツ配信部51は、管理情報に従って広告コンテンツを送信したり、加入者属性情報に基づいて選択した広告コンテンツをIPTV8に送信したりする。
【0123】
ステップS41において、位置検出部52は、無線LAN AP6−3により検出された携帯端末の、視聴エリアAの滞在時間を計測し、ステップS42において、一定の時間を経過したか否かを判定する。
【0124】
視聴エリアAの滞在時間が一定の時間を経過していないとステップS42において判定した場合、ステップS43において、位置検出部52は、携帯端末が視聴エリアAの外に移動したことを表す情報が無線LAN AP6−3から送信されてきたか否かを判定する。
【0125】
ステップS43において、視聴エリアAの外に携帯端末が移動したことを表す情報が送信されてきていないと判定された場合、ステップS41に戻り、滞在時間の計測が続けられる。また、移動したことを表す情報が送信されてきたと判定された場合、ステップS31以降の処理が繰り返される。
【0126】
視聴エリアAの滞在時間が一定の時間を経過したとステップS42において判定された場合、ステップS44において、登録部53は、IPTV8のユーザの視聴履歴に、IPTV8に表示させていた広告コンテンツ(ステップS41で送信した広告コンテンツ)のコンテンツIDを登録する。視聴履歴にコンテンツIDが登録された後、ステップS31以降の処理が繰り返される。
【0127】
以上の処理により、外出先の視聴エリアで広告コンテンツを一度視聴したユーザは、自宅のIPTV8でも同じ広告コンテンツを視聴することができ、さらに、関連情報の提供を受けることができる。
【0128】
なお、視聴エリアAに存在する複数の携帯端末がステップS31の処理により検出され、検出された携帯端末の中に、視聴履歴にコンテンツIDが既に登録されているユーザの携帯端末と、視聴履歴にコンテンツIDが登録されていないユーザの携帯端末がある場合、視聴履歴にコンテンツIDが既に登録されている方のユーザに合わせて、そのユーザが視聴した可能性のある広告コンテンツの再生が行われるようにしてもよい。
【0129】
<第2の実施の形態>
[情報処理システムの構成例]
図9は、本発明の他の実施形態に係る情報処理システムの構成例を示す図である。図9に示す構成のうち、図1に示す構成に対応する構成には同じ符号を付してある。
【0130】
図9の情報処理システムは、配信サーバ1と無線LAN AP101−1乃至101−3とがネットワーク5を介して接続されることによって構成される。
【0131】
配信サーバ1には、図示せぬネットワークを介して、コンテンツDB2、加入者情報DB3、関連情報DB4の他に、POSシステム(Point Of Sale)のサーバである管理サーバ104が接続される。図9の情報処理システムは、広告コンテンツの視聴履歴を管理し、広告コンテンツを視聴したユーザに応じた処理を行うことをPOSのシステムに適用したものである。
【0132】
サイネージ端末102−1の近くに設置される無線LAN AP101−1はサイネージ端末102−1に接続され、サイネージ端末102−2の近くに設置される無線LAN AP101−2はサイネージ端末102−2に接続される。無線LAN AP101−3は、POSシステムのクライアントであるPOSレジスタ端末103の近くに設置される。図9の例においてはPOSレジスタ端末を1台しか示していないが、実際には、無線LAN APとともに、複数のPOSレジスタ端末が設けられる。
【0133】
サイネージ端末102−1はLCDやプラズマディスプレイなどよりなる表示装置である。サイネージ端末102−1は無線LAN AP101−1との通信機能も有しており、無線LAN AP101−1から送信されてきた広告コンテンツを再生し、表示する。
【0134】
サイネージ端末102−1の前方には、サイネージ端末102−1が表示する広告コンテンツを視聴可能なエリアである視聴エリアA11が形成される。無線LAN AP101−1が出力する電波は、視聴エリアA11とほぼ同じ範囲に届くようにその電界強度と向きが制御される。
【0135】
サイネージ端末102−2は、サイネージ端末102−1と同様の構成を有する表示装置であり、無線LAN AP101−2との通信機能をも有する。サイネージ端末102−2の前方には、サイネージ端末102−2が表示する広告コンテンツを視聴可能なエリアである視聴エリアA12が形成される。無線LAN AP101−2が出力する電波は、視聴エリアA12とほぼ同じ範囲に届くようにその電界強度と向きが制御される。
【0136】
POSレジスタ端末103は、商品のバーコードを読み取るリーダーが設けられた端末である。販売する商品のバーコードを読み取ったとき、読み取った商品のIDを管理サーバ104に送信するとともに、管理サーバ104による制御に従って、商品の代金を表示するなどの精算処理を行う。POSレジスタ端末103の近くに設置された無線LAN AP101−3が出力する電波は、POSレジスタ端末103において商品を購入しようとする顧客が店員によるレジ入力が終わるのを待つ位置を含む半径5メートルなどの範囲であるエリアA13に届くようにその電界強度と向きが制御される。
【0137】
このような構成からなる情報処理システムにおいては、広告コンテンツの視聴エリアに携帯端末の通信可能範囲が形成されていることを利用して、視聴エリアに存在するユーザが特定され、各ユーザの広告コンテンツの視聴履歴が配信サーバ1において管理されるようになされている。また、広告コンテンツの視聴履歴に基づいて、店舗で購入する商品の代金の割引などのサービスが提供されるようになされている。
【0138】
無線LAN AP101−1、サイネージ端末102−1は、店舗Sの外であり、駅の構内、ビルの壁面などの不特定の人の目に付く場所に設置された装置である。一方、破線で囲んで示すように、無線LAN AP101−2,101−3、サイネージ端末102−2、およびPOSレジスタ端末103は、スーパーマーケットや百貨店などの、ある同じ店舗である店舗Sの中に設置された装置である。
【0139】
POSレジスタ端末103と無線LAN AP101−3が店舗Sの出口付近に設置されているものとすると、サイネージ端末102−2と無線LAN AP101−2は、例えば、店舗Sの入口から出口に向かう経路上の、ある商品が陳列されている位置の近くに設置されているものである。
【0140】
店舗Sで販売されている商品yを紹介する広告コンテンツである広告コンテンツYを配信サーバ1が送信し、サイネージ端末102−1と102−2に広告コンテンツYを繰り返し表示させている場合について説明する。サイネージ端末102−2は商品yが陳列されている位置の近くに設置されている。店舗Sの顧客からすると、サイネージ端末102−2には、自分の目の前に陳列されている商品yを紹介する広告コンテンツが表示されることになる。
【0141】
店舗Sの外に設置された無線LAN AP101−1により、視聴エリアA11に携帯端末11が存在していることが検出され、その状態が一定の時間続いた場合、配信サーバ1は、無線LAN AP101−1から送信されてきた端末IDにより識別される携帯端末11のユーザの視聴履歴に、サイネージ端末102−1に表示させている広告コンテンツYのIDを登録する。
【0142】
また、矢印#11に示すように携帯端末11のユーザが店舗Sの中に入り、商品yが陳列されている位置の近くに形成された視聴エリアA12に携帯端末11が存在していることが無線LAN AP101−2により検出され、その状態が一定の時間続いた場合、配信サーバ1は、無線LAN AP101−2から送信されてきた端末IDにより識別される携帯端末11のユーザの視聴履歴に、サイネージ端末102−2に表示させている広告コンテンツYのIDを登録する。
【0143】
配信サーバ1は、広告コンテンツYのIDが携帯端末11のユーザの視聴履歴に複数登録されていることを検出した場合、広告コンテンツYを携帯端末11のユーザが既に視聴したものとして判断する。
【0144】
この例においても、ある視聴エリアに一定の時間存在し続けていることが1回検出されただけではそこで視聴できる広告コンテンツを視聴したものとしては判断されず、同じ広告コンテンツを視聴できる視聴エリアに一定の時間存在し続けていることが2回検出されたときに、その広告コンテンツを視聴したものとして判断されることになる。
【0145】
配信サーバ1は、携帯端末11に対して、広告コンテンツYの関連情報を送信する。広告コンテンツYのIDが携帯端末11のユーザの視聴履歴に複数登録されていることが検出された直後に関連情報が送信されるものとすると、サイネージ端末102−2に表示されている広告コンテンツYを視聴し、広告コンテンツYによって紹介されている、目の前に陳列されている商品yを購入しようかどうかを考えているユーザに対して関連情報が提供されることになる。
【0146】
店舗Sの外に設置されたサイネージ端末102−1に広告コンテンツYを表示させることによって、商品yの存在を認知させることができる。また、店舗Sの中の、商品yの陳列位置の近くに設置されたサイネージ端末102−2に広告コンテンツYを表示させることによって、商品yに対する興味を喚起させることができる。
【0147】
また、広告コンテンツYのIDが携帯端末11のユーザの視聴履歴に複数登録されていることを検出した場合、配信サーバ1は、広告コンテンツYのIDと携帯端末11の端末IDを管理サーバ104に送信する。
【0148】
管理サーバ104は、配信サーバ1から送信されてきた広告コンテンツYのIDに基づいて、代金の割引などの所定のサービスの対象にする商品として商品yを特定する。また、管理サーバ104は、配信サーバ1から送信されてきた携帯端末11の端末IDを、サービスを提供するユーザが使う携帯端末のIDとして管理する。
【0149】
矢印#12に示すように携帯端末11のユーザがPOSレジスタ端末103の近くに移動し、エリアA13に携帯端末11が存在していることが無線LAN AP101−3により検出された場合、配信サーバ1は、無線LAN AP101−3から送信されてきた携帯端末11の端末IDを管理サーバ104に送信する。
【0150】
携帯端末11の端末IDが配信サーバ1から送信されてきた場合、管理サーバ104は、サービスを提供するユーザがエリアA13にいることを検出する。また、管理サーバ104は、POSレジスタ端末103から送信されてくる情報に基づいて、サービスの対象にする商品yのレジ入力(商品yのバーコードの読み取り)が行われたことを検出した場合、商品yの代金として割引後の代金を表示するようにPOSレジスタ端末103を制御する。
【0151】
以上の処理により、携帯端末11のユーザは、店舗Sの外で商品yの広告コンテンツを視聴し、店舗Sの中で同じ広告コンテンツを視聴し、その広告コンテンツによって紹介されている商品yを購入しようとするときに、サービスを受けることができることになる。
【0152】
このように、広告コンテンツの視聴履歴を、POSシステムにおいてサービスを提供することに用いることも可能である。
【0153】
なお、ここでは、顧客に提供されるサービスが代金の割引である場合について説明したが、景品のプレゼントなどの他のサービスが提供されるようにしてもよい。この場合、レジ入力が終わるのを待っている顧客が、サービスを受けることができる顧客であることを表す情報が管理サーバ104による制御に従ってPOSレジスタ端末103の表示部に表示され、その表示を確認した店員により、サービスの提供が行われる。
【0154】
配信サーバ1と管理サーバ104の処理の詳細についてはフローチャートを参照して後述する。
【0155】
[配信サーバ1と管理サーバ104の構成例]
図10は、図9の配信サーバ1の機能構成例を示すブロック図である。
【0156】
図9の配信サーバ1は図2に示すハードウェア構成と同じ構成を有する。また、管理サーバ104も配信サーバ1と同じハードウェア構成を有する。以下、適宜、図2に示す配信サーバ1の構成を、管理サーバ104の構成として引用して説明する。
【0157】
図10に示すように、配信サーバ1においては、広告コンテンツ配信部51、位置検出部52、登録部53、視聴判定部54、関連情報送信部55、および通信制御部111が実現される。図10に示す構成のうち、図3に示す構成に対応する構成には同じ符号を付してある。重複する説明については適宜省略する。
【0158】
広告コンテンツ配信部51は、サイネージ端末102−1,102−2に広告コンテンツを表示させる場合、コンテンツDB2に記憶されている広告コンテンツと、その送信を管理する管理情報を読み出す。広告コンテンツ配信部51は、コンテンツDB2から読み出した管理情報に従って、広告コンテンツをサイネージ端末102−1,102−2にネットワーク5を介して送信する。
【0159】
広告コンテンツ配信部51は、広告コンテンツの送信先を表すAPIDと、送信した広告コンテンツのコンテンツIDを登録部53に出力する。
【0160】
位置検出部52は、各携帯端末の位置を検出する。例えば、位置検出部52は、APIDと、通信可能範囲に存在する端末として検出された携帯端末の端末IDが無線LAN APから送信されてきた場合、端末IDにより識別される携帯端末が、端末ID等を送信してきた無線LAN APが近くに設置された視聴エリアに滞在しているものとして検出する。
【0161】
また、位置検出部52は、同じ視聴エリアの滞在時間が一定の時間を経過した場合、無線LAN APから送信されてきたAPIDと端末IDを出力する。位置検出部52から出力されたAPIDと端末IDは登録部53、視聴判定部54、および通信制御部111に供給される。
【0162】
登録部53は、広告コンテンツ配信部51と位置検出部52から供給された情報に基づいて、加入者情報DB3に記憶されている、ある視聴エリアに一定の時間存在し続けていた携帯端末のユーザの視聴履歴にそのユーザが視聴した可能性のある広告コンテンツのコンテンツIDを登録する。
【0163】
視聴判定部54は、加入者情報DB3に記憶されている、位置検出部52から供給された端末IDにより識別される携帯端末のユーザの視聴履歴を参照し、同じ広告コンテンツのコンテンツIDが複数登録されているか否かを確認する。
【0164】
視聴判定部54は、同じ広告コンテンツのコンテンツIDが視聴履歴に複数登録されていることを確認した場合、そのコンテンツIDにより識別される広告コンテンツをユーザが既に視聴したものとして判定する。視聴判定部54は、ユーザが既に視聴したものとして判定した広告コンテンツのコンテンツIDと、関連情報の送信先の情報を関連情報送信部55に出力する。
【0165】
また、視聴判定部54は、ユーザが既に視聴したものとして判定した広告コンテンツのコンテンツIDと、そのユーザの携帯端末の端末IDを通信制御部111に出力する。
【0166】
関連情報送信部55は、視聴判定部54から供給されたコンテンツIDに基づいて、そのコンテンツIDにより識別される広告コンテンツの関連情報を関連情報DB4から読み出し、通信部29を制御して、送信先として指定された携帯端末に送信する。
【0167】
通信制御部111は管理サーバ104と通信を行い、視聴判定部54から供給されたコンテンツIDと端末IDを管理サーバ104に送信する。通信制御部111から送信されたコンテンツIDは、サービスの対象にする商品を特定するために管理サーバ104により用いられ、端末IDは、サービスを提供するユーザを特定するために管理サーバ104により用いられる。
【0168】
また、通信制御部111は、POSレジスタ端末103の近くに設置された無線LAN AP101−3のAPIDとともに、ある携帯端末の端末IDが位置検出部52から供給された場合、その端末IDを管理サーバ104に送信する。通信制御部111により送信された端末IDは、エリアA13にいるユーザがサービスを提供するユーザであるのかを判断するために管理サーバ104により用いられる。
【0169】
図11は、管理サーバ104の機能構成例を示すブロック図である。
【0170】
図11に示す機能構成のうちの少なくとも一部は、管理サーバ104のCPU21(図2)により所定のプログラムが実行されることによって実現される。
【0171】
図11に示すように、管理サーバ104においては、通信制御部121、登録部122、特定部123、および制御部124が実現される。
【0172】
通信制御部121は、配信サーバ1と通信を行い、配信サーバ1から送信されてきた情報を受信する。通信制御部121は、サービスの対象にする商品を特定するための情報として送信されてきたコンテンツIDと、サービスを提供するユーザを特定するための情報として送信されてきた端末IDを登録部122に出力する。
【0173】
また、通信制御部121は、エリアA13にいるユーザがサービスを提供するユーザであるのかを判断するための情報として送信されてきた端末IDを特定部123に出力する。
【0174】
登録部122は、通信制御部121から供給されたコンテンツIDと端末IDを対応付けて記憶部28に記憶させる。
【0175】
特定部123は、通信制御部121から端末IDが供給された場合、供給された端末IDと対応付けて記憶部28に記憶されているコンテンツIDを読み出し、読み出したコンテンツIDに基づいて、サービスの対象にする商品のIDを特定する。特定部123は、コンテンツIDと、広告コンテンツによって紹介されている商品のIDを対応付けた情報を管理している。特定部123は、特定した商品のIDを制御部124に出力する。
【0176】
制御部124は、図示せぬネットワークを介してPOSレジスタ端末103と通信を行い、特定部123から供給された商品のIDと同じIDの商品のレジ入力がPOSレジスタ端末103において行われたことを検出した場合、その商品の代金を割り引くことをPOSレジスタ端末103に指示する。制御部124による指示に応じて、POSレジスタ端末103においては商品の割引が行われ、例えば割引後の代金が表示される。
【0177】
[情報処理システムの動作]
ここで、図12のフローチャートを参照して図10の配信サーバ1の処理について説明する。
【0178】
図12の処理と並行して、無線LAN AP101−1と101−2においては図4を参照して説明した処理と同様の処理が行われる。また、無線LAN AP101−3においては、エリアA13を対象として携帯端末の検出を行い、エリアA13に存在する携帯端末の端末IDを配信サーバ1に対して送信する処理が行われる。
【0179】
ステップS101において、配信サーバ1の広告コンテンツ配信部51は、管理情報に従って、広告コンテンツをサイネージ端末102−1,102−2に送信する。
【0180】
ステップS102において、位置検出部52は、APIDと端末IDが無線LAN AP101−1または101−2から送信されてきたか否かを判定し、送信されてこないと判定した場合、ステップS101に戻り、以上の処理を繰り返す。
【0181】
一方、APIDと端末IDが送信されてきたとステップS102において判定した場合、ステップS103において、位置検出部52は、無線LAN AP101−1または101−2により検出された携帯端末の、視聴エリアの滞在時間を計測する。
【0182】
ステップS104において、位置検出部52は、視聴エリアの滞在時間が一定の時間を経過したか否かを判定する。
【0183】
視聴エリアの滞在時間が一定の時間を経過していないとステップS104において判定した場合、ステップS105において、位置検出部52は、携帯端末が視聴エリアの外に移動したことを表す情報が無線LAN AP101−1または101−2から送信されてきたか否かを判定する。
【0184】
ステップS105において、視聴エリアの外に携帯端末が移動したことを表す情報が送信されてきていないと判定された場合、ステップS103に戻り、滞在時間の計測が続けられる。また、移動したことを表す情報が送信されてきたと判定された場合、ステップS101以降の処理が繰り返される。
【0185】
視聴エリアの滞在時間が一定の時間を経過したとステップS104において判定された場合、ステップS106において、登録部53は、位置検出部52から供給された端末IDにより識別される携帯端末のユーザの視聴履歴に、位置検出部52から供給されたAPIDと同じAPIDとともに広告コンテンツ配信部51から供給されたコンテンツIDを登録する。
【0186】
ステップS107において、視聴判定部54は、位置検出部52から供給された端末IDにより識別される携帯端末のユーザの視聴履歴を参照し、そのユーザが広告コンテンツを視聴したか否かを判定する。
【0187】
ユーザが広告コンテンツを視聴したとステップS107において判定された場合、ステップS108において、関連情報送信部55は、視聴判定部54から供給されたコンテンツIDにより識別される広告コンテンツの関連情報を携帯端末に送信する。ユーザが広告コンテンツを視聴したと判定された場合、視聴判定部54から関連情報送信部55に対しては送信先の情報とコンテンツIDが供給され、視聴判定部54から通信制御部111に対しては端末IDとコンテンツIDが供給される。
【0188】
ステップS109において、通信制御部111は、視聴判定部54から供給された端末IDとコンテンツIDを管理サーバ104に送信する。
【0189】
ステップS110において、位置検出部52は、POSレジスタ端末103の近くに設置された無線LAN AP101−3から端末IDが送信されてきたか否かを判定する。
【0190】
無線LAN AP101−3から端末IDが送信されてきたとステップS110において判定された場合、ステップS111において、通信制御部111は、位置検出部52により受信され、供給された端末IDを管理サーバ104に送信する。
【0191】
ステップS111において端末IDが送信された場合、ステップS107において広告コンテンツをユーザが視聴していないと判定された場合、または、ステップS110において無線LAN AP101−3から端末IDが送信されてきていないと判定された場合、ステップS101に戻り、以上の処理が繰り返される。
【0192】
次に、図13のフローチャートを参照して、管理サーバ104の処理について説明する。図13の処理は、図12の配信サーバ1の処理と並行して行われる。
【0193】
ステップS121において、管理サーバ104の通信制御部121は、サービスの対象にする商品を特定するための情報としてのコンテンツIDと、サービスを提供するユーザを特定するための情報としての端末IDが配信サーバ1から送信されてきたか否かを判定し、送信されてきたと判定するまで待機する。
【0194】
コンテンツIDと端末IDが配信サーバ1から送信されてきたとステップS121において判定した場合、ステップS122において、通信制御部121は、コンテンツIDと端末IDを受信し、登録部122に出力する。
【0195】
ステップS123において、登録部122は、通信制御部121から供給されたコンテンツIDと端末IDを対応付けて記憶部28に記憶させる。
【0196】
ステップS124において、通信制御部121は、POSレジスタ端末103の近くにいるユーザを特定するための情報としての端末IDが配信サーバ1から送信されてきたか否かを判定し、送信されてこないと判定した場合、ステップS121に戻り、以上の処理を繰り返す。
【0197】
一方、端末IDが配信サーバ1から送信されてきたとステップS124において判定した場合、ステップS125において、通信制御部121は、端末IDを受信し、特定部123に出力する。
【0198】
ステップS126において、特定部123は、通信制御部121から供給された端末IDと対応付けて記憶部28に記憶されているコンテンツIDを読み出し、読み出したコンテンツIDに基づいて、サービスの対象にする商品のIDを特定する。特定部123は、特定した商品のIDを制御部124に出力する。
【0199】
ステップS127において、制御部124は、サービスの対象にする商品のレジ入力がPOSレジスタ端末103において行われたか否かを判定し、レジ入力が行われたと判定した場合、ステップS128において、サービスを提供するようにPOSレジスタ端末103を制御する。
【0200】
ステップS128においてサービスが提供された後、または、ステップS127においてサービスの対象にする商品のレジ入力が行われていないと判定された場合、ステップS121に戻り、それ以降の処理が繰り返される。
【0201】
以上の処理により、広告コンテンツの視聴履歴を、POSシステムにおいてサービスを提供することに用いることができる。
【0202】
<変形例>
以上においては、広告コンテンツの視聴エリアやPOSレジスタ端末103の近くに形成されたエリアにいる携帯端末の検出が無線LAN APにより行われるものとしたが、携帯電話回線の基地局であるフェムトセル基地局により行われるようにしてもよい。
【0203】
フェムトセル基地局は、半径数メートルから数十メートルといった比較的狭い範囲を対象にしたセルであるフェムトセルの基地局であり、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)モデム、ONU(Optical Network Unit)などの、ブロードバンド回線の終端装置に接続される。
【0204】
この場合、図1の無線LAN AP6−1乃至6−3に替えてフェムトセル基地局がそれぞれ設置され、図9の無線LAN AP101−1乃至101−3に替えてフェムトセル基地局がそれぞれ設置される。対象の通信可能範囲に携帯端末が入ったことがフェムトセル基地局により検出された場合、検出された携帯端末のIDと、フェムトセル基地局のIDとが配信サーバ1に送信され、各携帯端末のユーザの位置を特定するために用いられる。
【0205】
これによっても、それぞれの視聴エリアに存在するユーザ(携帯端末のユーザ)を特定することができ、ユーザ毎の広告コンテンツの視聴履歴を管理することが可能になる。
【0206】
また、図9の情報処理システムにおいては、配信サーバ1と管理サーバ104が別々の装置によって実現されるものとしたが、1台の装置によってそれらの機能が実現されるようにしてもよい。
【0207】
上述した図1または図8の配信サーバ1の各機能は、1台の装置によって実現されるようにしてもよいし、複数の装置によって実現されるようにしてもよい。
【0208】
本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0209】
1 配信サーバ, 2 コンテンツDB, 3 加入者情報DB, 4 関連情報DB, 5 ネットワーク, 6−1乃至6−3 無線LAN AP, 7−1,7−2 サイネージ端末, 8 IPTV, 11,12 携帯端末, 51 広告コンテンツ配信部, 52 位置検出部, 53 登録部, 54 視聴判定部, 55 関連情報送信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して接続される複数の表示装置に広告コンテンツを送信し、表示させる配信手段と、
それぞれの前記表示装置の近傍に設置され、携帯端末による外部の装置との通信を中継する中継装置と前記ネットワークを介して通信を行い、前記中継装置が管理する通信可能範囲に存在する前記携帯端末を検出する検出手段と、
前記携帯端末が前記通信可能範囲に所定の時間存在し続けていることが前記検出手段により検出される毎に、前記広告コンテンツの識別情報を前記携帯端末のユーザの視聴履歴に登録する登録手段と、
前記携帯端末のユーザの視聴履歴に前記広告コンテンツの識別情報が複数登録されている場合、前記広告コンテンツに関連する情報である関連情報を前記携帯端末に送信する送信手段と
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記登録手段は、前記携帯端末が前記中継装置を中継した通信を行っていない状態で前記通信可能範囲に前記所定の時間存在し続けていることが前記検出手段により検出される毎に、前記広告コンテンツの識別情報を前記携帯端末のユーザの視聴履歴に登録する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記送信手段は、前記携帯端末のユーザの視聴履歴に登録されている前記広告コンテンツの複数の識別情報が、それぞれ、異なる前記中継装置が管理する通信可能範囲に、前記携帯端末が前記所定の時間存在し続けていることが検出されたときに登録された識別情報である場合に前記関連情報を送信する
請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記中継装置は、前記携帯端末による無線LAN通信を中継する装置、または、前記携帯端末による携帯電話回線を介して行われる通信を中継する装置である
請求項1,2、または3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
ネットワークを介して接続される複数の表示装置に広告コンテンツを送信して表示させ、
それぞれの前記表示装置の近傍に設置され、携帯端末による外部の装置との通信を中継する中継装置と前記ネットワークを介して通信を行い、前記中継装置が管理する通信可能範囲に存在する前記携帯端末を検出し、
前記携帯端末が前記通信可能範囲に所定の時間存在し続けていることを検出する毎に、前記広告コンテンツの識別情報を前記携帯端末のユーザの視聴履歴に登録し、
前記携帯端末のユーザの視聴履歴に前記広告コンテンツの識別情報が複数登録されている場合、前記広告コンテンツに関連する情報である関連情報を前記携帯端末に送信する
ステップを含む情報処理方法。
【請求項6】
広告コンテンツの配信を行う第1の情報処理装置と、POSシステムを構成する複数のクライアント装置と接続されるサーバ装置である第2の情報処理装置とからなる情報処理システムにおいて、
前記第1の情報処理装置は、
ネットワークを介して接続される複数の表示装置に広告コンテンツを送信し、表示させる配信手段と、
それぞれの前記表示装置の近傍に設置され、携帯端末による外部の装置との通信を中継する第1の中継装置と前記ネットワークを介して通信を行い、前記第1の中継装置が管理する第1の通信可能範囲に存在する前記携帯端末を検出するとともに、前記クライアント装置の近傍に設置され、前記携帯端末による外部の装置との通信を中継する第2の中継装置と前記ネットワークを介して通信を行い、前記第2の中継装置が管理する第2の通信可能範囲に存在する前記携帯端末を検出する検出手段と、
前記携帯端末が前記第1の通信可能範囲に所定の時間存在し続けていることが前記検出手段により検出される毎に、前記広告コンテンツの識別情報を前記携帯端末のユーザの視聴履歴に登録する登録手段と、
前記携帯端末のユーザの視聴履歴に前記広告コンテンツの識別情報が複数登録されている場合、前記広告コンテンツの識別情報と前記携帯端末の識別情報とを前記第2の情報処理装置に送信するとともに、前記携帯端末が前記第2の通信可能範囲に存在していることが前記検出手段により検出された場合、前記携帯端末の識別情報を前記第2の情報処理装置に送信する送信手段と
を備え、
前記第2の情報処理装置は、
前記携帯端末のユーザの視聴履歴に前記広告コンテンツの識別情報が複数登録されているときに前記第1の情報処理装置から送信されてきた前記広告コンテンツの識別情報と前記携帯端末の識別情報を対応付けて記憶する記憶手段と、
前記携帯端末が前記第2の通信可能範囲に存在していることが検出されたときに前記第1の情報処理装置から送信されてきた前記携帯端末の識別情報に対応付けて前記記憶手段に記憶されている前記広告コンテンツの識別情報に基づいて、前記携帯端末のユーザにサービスを提供する対象の商品を特定する特定手段と、
前記特定手段により特定された前記対象の商品の購入が前記クライアント装置において入力されたとき、前記サービスの内容に応じて前記クライアント装置を制御する制御手段と
を備える情報処理システム。
【請求項7】
前記第1の情報処理装置は、前記携帯端末のユーザの視聴履歴に前記広告コンテンツの識別情報が複数登録されている場合、前記広告コンテンツに関連する情報である関連情報を前記携帯端末に送信する関連情報送信手段をさらに備える
請求項6に記載の情報処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−78014(P2011−78014A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−229810(P2009−229810)
【出願日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【出願人】(501275178)ソフトバンクBB株式会社 (112)
【Fターム(参考)】