説明

情報処理装置、情報処理方法及びそのプログラム

【課題】圧縮された元画像ファイルから表示用の展開画像データと画質調整用の展開画像データとへ展開する展開処理に要する時間をより短縮することができる。
【解決手段】圧縮された元画像データを、画像ファイルの画質の調整に用いるAPF情報41aの生成に用いると共に表示に用いる展開画像データ44aに展開し、この展開した展開画像データ44aを画像保持部44が記憶し、この記憶した展開画像データ44aに基づいてAPF情報41aを生成すると共に、この記憶した展開画像データ44aに基づいて画像を表示する。このように、展開した展開画像データ44aを記憶しておき、表示用の展開画像データと画質調整用の展開画像データとを共用とするため、APF情報41aの生成用の画像展開と表示用の画像展開とを別々に行う必要がない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法及びそのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、情報処理装置としては、撮影機器ごとの特徴を予め調べその撮影機器に応じた色補正などを含む画像データ処理内容を記憶しておき、画像データを撮影した機器の情報を画像ファイルから取得し、取得した情報に基づいてその撮影機器に対応する画像データ処理を画像データに対して行い印刷することにより撮影機器特有の癖が印刷結果に表れてしまうのを抑制するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−165647号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、情報処理装置では、蛍光灯下で撮影することにより青色側によった色合いになるなどの色かぶり状態で圧縮保存された画像データや、逆光で撮影し圧縮保存された画像データなどを、展開(解凍)して画像データの内容を解析し画質を補正する画質補正情報を生成し、この情報を用いて画像データを補正して印刷することにより、色かぶり画像や逆光画像をよりきれいな画像として印刷することがある。このような場合、画質補正情報を生成する際に圧縮された画像データを展開処理する必要がある。また、ユーザに選択させる際の表示画像を得る際に画像データを展開処理することがある。画像を表示するタイミングと印刷処理するタイミングとが異なることなどがあり、画質調整情報の生成用の画像データの展開処理と表示用の画像データの展開処理とを別々に行っており、表示用の展開画像データと画質調整用の展開画像データとの展開処理に時間がかかる問題があった。
【0004】
本発明は、このような課題に鑑みなされたものであり、圧縮された元画像ファイルから表示用の展開画像データと画質調整用の展開画像データとへ展開する展開処理に要する時間をより短縮することができる情報処理装置、情報処理方法及びそのプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の目的を達成するために以下の手段を採った。
【0006】
本発明の情報処理装置は、
印刷に用いられる情報を処理する情報処理装置であって、
画像を表示する表示手段と、
情報を記憶可能な記憶手段と、
所定形式で圧縮された元画像データを、印刷用の画像データの画質を調整する画質調整情報の生成に用いると共に前記表示手段への表示に用いる展開画像データに展開可能なデータ展開手段と、
前記展開画像データに基づいて前記画質調整情報を生成する情報生成手段と、
前記元画像データを前記展開画像データに展開するよう前記データ展開手段を制御し、該展開された展開画像データを記憶するよう前記記憶手段を制御し、該記憶された展開画像データに基づいて前記画質調整情報を生成するよう前記情報生成手段を制御し、前記記憶された展開画像データに基づいて画像を表示するよう前記表示手段を制御する制御手段と、
を備えたものである。
【0007】
この情報処理装置では、所定形式で圧縮された元画像データを、印刷用の画像データの画質を調整する画質調整情報の生成に用いると共に表示に用いる展開画像データに展開し、この展開した展開画像データを記憶し、この記憶した展開画像データに基づいて画質調整情報を生成し、この記憶した展開画像データに基づいて画像を表示する。このように、展開した展開画像データを記憶しておき、表示用の展開画像データと画質調整用の展開画像データとを共用とするため、画質調整情報の生成用の画像展開と表示用の画像展開とを別々に行う必要がない。したがって、圧縮された元画像ファイルから表示用の展開画像データと画質調整用の展開画像データとへ展開する展開処理に要する時間をより短縮することができる。
【0008】
本発明の情報処理装置において、前記データ展開手段は、前記情報生成手段が前記画質調整情報を生成するのに適したサイズの前記展開画像データに前記元画像データを展開するものとしてもよい。一般に、画質調整情報の生成は、蛍光灯下で撮影することにより青色側によった色合いになるなどの色かぶり状態の画像データを補正するパラメータや逆光で撮影した逆光状態の画像データを補正するパラメータなど複数のパラメータを求めることが多く、各々のパラメータに適した色空間へ変換する処理などがあり比較的時間を要する。ここでは、画質調整情報の生成に適した展開画像データに展開するため、比較的迅速に画質調整情報を生成することができる。
【0009】
本発明の情報処理装置において、元画像データの印刷指示をユーザから取得可能な印刷指示取得手段、を備え、前記制御手段は、前記印刷指示取得手段による印刷指示の取得に先んじて、前記元画像データを前記展開画像データに展開すると共に前記画質調整情報を生成して記憶手段に記憶するよう前記データ展開手段と前記情報生成手段と前記記憶手段とを制御するものとしてもよい。こうすれば、ユーザの印刷指示に備えて印刷に必要な画質調整情報を生成しておくため、印刷指示から印刷処理の実行までの時間を一層短縮することができる。
【0010】
本発明の情報処理装置において、前記制御手段は、前記展開した展開画像データに基づいて画質調整情報を生成し該生成した画質調整情報を前記元画像データに対応付けて前記記憶手段に記憶する処理を複数の元画像データに対して行うよう前記データ展開手段と前記情報生成手段と前記記憶手段とを制御するものとしてもよい。こうすれば、複数の元画像データに対応する画質調整情報を生成しておき、複数の元画像のうちいずれかが選択されても画質調整情報をすぐ用いることができるため、その後の画質調整情報を用いた処理を迅速に行うことができる。
【0011】
本発明の情報処理装置は、元画像データの選択指示をユーザから取得可能な選択指示取得手段、を備え、前記制御手段は、前記指示取得手段による前記選択指示の取得に先んじて前記元画像データを前記展開画像データに展開し記憶するよう前記データ展開手段と前記記憶手段とを制御し、前記指示取得手段が前記選択指示を取得すると前記選択指示され前記記憶されている展開画像データに基づいて前記画質調整情報を生成するよう前記情報生成手段を制御するものとしてもよい。こうすれば、元画像データの選択指示前に展開画像データに展開するため、すぐに画像を表示することができるし、印刷指示されると予期される選択指示された元画像データの画質調整情報を生成するため、比較的確実に画質調整情報を利用することができる。
【0012】
本発明の情報処理装置は、印刷媒体に画像を印刷可能な印刷手段、を備え、前記データ展開手段は、前記印刷媒体への印刷に適したサイズの印刷用画像データに前記元画像データを展開可能であり、前記制御手段は、前記情報生成手段が生成した前記画質調整情報を記憶するよう前記記憶手段を制御し、該記憶された画質調整情報を用いて前記印刷用画像データの画質を調整し、該調整後の印刷用画像データを用いて印刷するよう前記印刷手段を制御するものとしてもよい。こうすれば、画質調整情報を反映した印刷用画像データの印刷を行うことができる。
【0013】
本発明の情報処理方法は、
印刷用のデータを処理する情報処理装置を利用した情報処理方法であって、
(a)所定形式で圧縮された元画像データを、印刷用の画像データの画質を調整する画質調整情報の生成に用いると共に画像表示に用いる展開画像データに展開するステップと、
(b)前記ステップ(a)で展開した前記展開画像データに基づいて前記画質調整情報を生成するステップと、
(c)前記ステップ(a)で展開した前記展開画像データに基づいて画像を表示出力するステップと、
を含むものである。
【0014】
この情報処理方法では、所定形式で圧縮された元画像データを、印刷用の画像データの画質を調整する画質調整情報の生成に用いると共に表示に用いる展開画像データに展開し、この展開した展開画像データに基づいて画質調整情報を生成し、この展開した展開画像データに基づいて画像を表示する。このように、表示用の展開画像データと画質調整用の展開画像データとに共用とするため、画質調整情報の生成用の画像展開と表示用の画像展開とを行う必要がない。したがって、圧縮された元画像ファイルから表示用の展開画像データと画質調整用の展開画像データとへ展開する展開処理に要する時間をより短縮することができる。なお、この情報処理方法において、上述した情報処理装置の種々の態様を採用してもよいし、また、上述した情報処理装置の各機能を実現するようなステップを追加してもよい。
【0015】
本発明のプログラムは、上述した情報処理方法の各ステップを1又は複数のコンピュータに実現させるためのものである。このプログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体(例えばハードディスク、ROM、FD、CD、DVDなど)に記録されていてもよいし、伝送媒体(インターネットやLANなどの通信網)を介してあるコンピュータから別のコンピュータへ配信されてもよいし、その他どのような形で授受されてもよい。このプログラムを一つのコンピュータに実行させるか又は複数のコンピュータに各ステップを分担して実行させれば、上述した情報処理方法の各ステップが実行されるため、情報処理方法と同様の作用効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に本発明を具現化した一実施形態について説明する。図1は本発明の一実施形態であるプリンタ20の構成の概略を示す構成図であり、図2はプリンタ20のコントローラ21の機能構成の一例を示すブロック図である。本実施形態のプリンタ20は、装置全体の制御を司るコントローラ21と、携帯用の記憶媒体であるメモリカード12をスロット25aに装着・取外し可能であるリーダライタ25と、記録紙Sへ画像を印刷処理する印刷機構26と、接続された外部機器との間で情報の入出力が可能なインタフェース(I/F)28と、ユーザへ情報を表示可能でありユーザの指示を入力可能である操作パネル30と、を備えている。コントローラ21やリーダライタ25、印刷機構26、I/F28、操作パネル30は、バス29によって電気的に接続されている。コントローラ21は、CPU22を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、各種処理プログラムを記憶したROM23と、一時的にデータを記憶するRAM24とを備えている。印刷機構26は、図示しないが、各色のインクに圧力をかけ、この加圧されたインクを記録紙Sに吐出して印刷処理を実行するインクジェット方式の機構である。なお、インクへ圧力をかける機構は、圧電素子の変形によるものとしてもよいしヒータの熱による気泡の発生によるものとしてもよい。操作パネル30は、ユーザがプリンタ20に対して各種の指示を入力するためのデバイスであり、各種の指示に応じた文字や画像が表示される表示部32や、各種操作を行う操作部34が設けられている。表示部32は、カラー画像を表示する液晶パネルにより構成されており、320×240ドットのQVGAのサイズの画像を配置して表示するよう設計されている。操作部34には、ユーザが処理や文字等を選択するカーソルなどを移動させるときに押下されるカーソルキー34aや処理選択などを決定するときに押下される決定キー34bなどが配置されている。メモリカード12は、データの書き込み及び消去可能な不揮発性のメモリであり、デジタルカメラなどの撮影装置により撮影された複数の画像ファイルなどが保存されている。この画像ファイルは、例えばExif(登録商標)形式などのファイルであり、所定形式(例えばJPEG形式)で圧縮された元画像データとこの元画像データの付加情報(撮影日時や撮影モードなど)とが格納されている。
【0017】
また、コントローラ21には、図2に示すように、機能構成として、操作部34からの指令などを入力するGUI(Graphical User Interface)入力部40と、画像ファイルの画質の調整に用いられるAPF(Auto Photo Fine)情報41aを管理するAPF情報管理部41と、メモリカード12に圧縮されて記憶された元画像データを展開画像データ44aや印刷用画像データに展開する画像展開部42と、画像ファイルに格納された画像データに関する情報を画像ファイルから取得する画像情報取得部43と、画像展開部42で展開した展開画像データ44aをRAM24の所定領域に記憶保持する画像保持部44と、画像保持部44で記憶された展開画像データ44aに基づいて表示部32に画像表示出力するGUI表示部45と、画像情報取得部43で取得した情報と展開画像データ44aの内容を解析してAPF情報41aを生成するAPF情報生成部46と、APF情報41aを用いて印刷用画像データの画質を調整する自動調整処理部47と、画質調整された印刷用画像データを印刷機構26により印刷出力する印刷処理部49とを備えている。
【0018】
GUI入力部40は、ユーザからの入力として、表示部32に表示されている画像の選択指令や、操作部34の操作によりユーザが指定した設定に関する情報であるユーザ指定補正情報、選択した画像を印刷する印刷指令などユーザからの指令を入力し、入力した情報をAPF情報管理部41へ送る処理を行う。ユーザ指定補正情報には、印刷用画像データにAPF情報41aを反映させて印刷を行うか否かの情報やAPF情報41aに付加情報を反映させて印刷を行うか否かの情報を含む自動補正モード情報や、夜景撮影や人物撮影など撮影内容を指定するシーン情報、画像の明るさ・彩度・コントラスト・シャープネスを指定する、明るさ指定情報、彩度指定情報、コントラスト指定情報、シャープネス指定情報、印刷用紙の種類を指定する用紙指定情報などが含まれている。APF情報管理部41は、画像データの画質調整に用いられる複数のパラメータを含むAPF情報41aを画像ファイルに対応付けて管理する機能を有し、GUI入力部40で入力した情報に基づいて、元画像データの展開指令を画像展開部42へ送ったり、APF情報41aの生成指令をAPF情報生成部46へ送ったり、APF情報生成部46で生成されたAPF情報41aを記憶消去したりする処理を行う。
【0019】
画像展開部42は、APF情報管理部41やAPF情報生成部46からの指令に基づいて、メモリカード12へアクセスし選択され圧縮保存されている元画像データを、APF情報41aの生成処理と表示部32への表示処理に用いる展開画像データ44aや印刷機構26の印刷処理に用いる印刷用画像データに展開(解凍)し、展開した展開画像データ44aを画像保持部44へ、印刷用画像データを自動調整処理部47へ送る処理を行う。この画像展開部42は、展開画像データ44aに展開する際には、APF情報生成部46によりAPF情報41aを生成するのに適したサイズに展開するよう設定されている。ここでは、QVGAのサイズの画像に展開する。また、画像展開部42は、APF情報管理部41からの指令に基づいて、展開画像データ44aからAPF情報41aに含まれるパラメータに適した色空間(例えばRGBやYUVなど)で表現されたサンプリング用画像データへの変換処理も行う。画像情報取得部43は、メモリカード12に保存された画像ファイルに含まれる付加情報を画像ファイルから取得する処理を行う。付加情報には、撮影日時や撮影機種名、撮影モード(夜景モードなど撮影装置の設定値)、絞り値、色空間、画素数、圧縮モードなどの情報が含まれている。画像保持部44は、画像展開部42で展開した展開画像データ44aをRAM24の所定領域に保持する処理を行う。ここでは、表示部32に表示可能な画像の数以上(例えば18個など)の画像データを保持するものとした。なお、予め定められた記憶領域に空きがなくなると、古い画像データから消去するよう設定されている。GUI表示部45は、展開画像データ44aを表示用の画像データとして表示部32へ出力する処理を行う。なお、表示部32と異なる表示サイズの表示装置(例えばテレビなど)に画像を表示させる際には、出力先の表示装置の大きさに合わせて展開画像データ44aをリサイズする処理も行う。
【0020】
APF情報生成部46は、少なくとも画像展開部42で展開した展開画像データ44aに基づいてAPF情報41aを生成し、この生成したAPF情報41aをAPF情報管理部41へ送る処理を行う。APF情報41aには複数のパラメータが含まれることから、このAPF情報生成部46は、各々のパラメータに適した色空間などで表現されたサンプリング用画像データへ展開画像データ44aを変換するよう画像展開部42に指令する処理を行い、このサンプリング画像データの内容を解析することによりAPF情報41aのパラメータを求め、求めたパラメータを含むAPF情報41aを生成する。このAPF情報生成部46は、GUI入力部40で入力したユーザ指定補正情報の内容や画像情報取得部43で取得した画像データの付加情報の内容を反映してAPF情報41aを生成することも可能である。例えば、APF情報生成部46は、ユーザ指定補正情報に含まれる明るさ指定や彩度指定の内容を反映させたり、ユーザ指定補正情報の自動補正モード情報に付加情報の内容を反映させる設定が含まれているときなどには付加情報の内容(撮影モードなど)を反映させたりしてAPF情報41aを生成する。自動調整処理部47は、画像展開部42が展開した印刷用画像データにAPF情報41aを反映させる処理を行う。印刷処理部49は、印刷用画像データを印刷機構26で印刷可能な印刷データへ変換し印刷機構26を駆動して印刷処理を実行する処理を行う。
【0021】
次に、こうして構成された本実施形態のプリンタ20の動作について説明する。ここでは、メモリカード12に保存された複数の画像ファイルを表示部32に表示し、表示された画像のうち1つをユーザが選択したあと印刷指令する場合について主に説明する。図3は、プリンタ20のCPU22により実行される画像表示印刷処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、スロット25aにメモリカード12が装着されたあと実行される。CPU22は、上述したGUI入力部40やAPF情報管理部41、画像展開部42、画像情報取得部43、画像保持部44、GUI表示部45、APF情報生成部46、自動調整処理部47、印刷処理部49の各機能を利用して以下の処理を行う。このルーチンを開始すると、まず、CPU22は、メモリカード12から表示部32へ表示する画像ファイルを取得する(ステップS100)。ここでは、表示部32へ6個の縮小画像を表示するようになっており、メモリカード12に記憶された順番に画像ファイルを読み出すものとした。
【0022】
次に、CPU22は、画像展開部42に、取得した画像ファイルに含まれる元画像データをAPF情報41aの生成に適したサイズの展開画像データ44aに展開させ(ステップS110)、得られた展開画像データ44aを画像保持部44に記憶させる(ステップS120)。次に、画像データの展開が終了したか否かを、表示する画像(ここでは6個の画像)が全て展開されたか否かに基づいて判定し(ステップS130)、画像データの展開が終了していないときにはステップS100以降の処理を繰り返し、画像データの展開が終了したときには、GUI表示部45に展開画像データ44aの画像を表示部32へ表示出力させる(ステップS140)。図4は、表示部32に表示される画像選択画面80の説明図である。画像選択画面80は、各画像ファイルのサムネイル画像を横3枚、縦2段となるよう画像ファイルの画像80a〜80fを配置し、カーソルキー34aの押下に伴いカーソル81が移動し、図示しないページ切替キーの押下に伴い次ページや前ページの画像選択画面80を表示するよう設定されている。
【0023】
次に、CPU22は、表示している画像が選択されたか否かをGUI入力部40が画像選択指令を入力したか否かに基づいて判定する(ステップS150)。ここでは、画像選択画面80で決定キー34bが押下されるとカーソル81がある画像が選択されたものとし、操作部34からコントローラ21へこの選択画像の画像選択指令を出力するものとした。表示している画像が選択されていないときには、画像選択画面80が次ページや前ページに切り替えられたか否かをページ切替キーが押下されたか否かに基づいて判定し(ステップS160)、画像選択画面80が切り替えられていないときには、ステップS150以降の処理を行う。即ち、画像が選択されず画面も切り替えられていないときにはそのまま待機する。一方、画像選択画面80が切り替えられたときには、ステップS100以降の処理を行う。なお、このとき、既に展開画像データ44aが保持されている画像ファイルについては、ステップS100〜S120の処理を省略することができる。
【0024】
一方、ステップS150で表示している画像が選択されたときには、CPU22は、ユーザによるユーザ指定補正情報の入力を待ち、入力されたユーザ指定補正情報をGUI入力部40に入力させ(ステップS170)、画像情報取得部43に、選択された画像ファイルに含まれる付加情報を取得させる(ステップS180)。次に、選択された画像の展開画像データ44aがあるか否かを判定し(ステップS190)。通常、表示に用いている展開画像データ44aはRAM24に記憶されているはずであることから、選択された画像の展開画像データ44aがあると判定され、APF情報生成部46に、既にRAM24に保持されている展開画像データ44aと、ユーザ指定補正情報と付加情報とに基づいてAPF情報41aを生成させる(ステップS200)。このように、表示用の展開画像データとAPF情報41aの生成用の展開画像データとを共用とし、メモリカード12にアクセスして元画像データを展開画像データに展開する回数を低減することにより表示処理及びAPF情報41aの生成処理の全体の時間を短縮するのである。なお、何らかの理由で展開画像データ44aがないときには、上述したステップS110と同様に、元画像ファイルを展開画像データ44aに展開し(ステップS210)、ステップS200で、APF情報41aを生成させる。
【0025】
ステップS200でAPF情報41aを生成したあと、CPU22は、APF情報管理部41に、生成したAPF情報41aを画像ファイルに対応づけてRAM24の所定領域に記憶させ(ステップS220)、印刷指令があったか否かを、GUI入力部40が印刷指令を入力したか否かに基づいて判定する(ステップS230)。ここでは、画像選択画面80で画像が選択され、ユーザによるユーザ指定補正情報の入力後に決定キー34bが押下されると選択中の画像ファイルが印刷指令されるものとし、操作部34からコントローラ21へこの選択画像ファイルの印刷指令を出力するものとした。印刷指令がないときには、画像の選択が解除されたか否かを図示しない戻りキーが押下されたか否かに基づいて判定し(ステップS240)、画像選択が解除されていないときには、ステップ230以降の処理を行う。即ち、印刷指令されず選択解除もされないときにはそのまま待機する。一方、画像選択が解除されたときには、ステップS150以降の処理を行う。即ち画像の選択処理や画像の表示処理を行う。
【0026】
一方、ステップS230で印刷指令があったときには、CPU22は、画像展開部42にユーザ指定補正情報に含まれる用紙サイズに合わせたサイズとなるように印刷用画像データに展開させ(ステップS250)、自動調整処理部47にAPF情報41aに基づいて印刷用画像データを補正させ(ステップS260)、印刷処理部49に印刷用画像データから印刷機構26で印刷可能な印刷データへ変換させ印刷機構26を駆動させて印刷データを出力させる(ステップS270)。次に、CPU22は、この画像表示印刷処理が終了したか否かを、図示しない終了キーがユーザに押下されたか否かに基づいて判定し(ステップS280)、画像表示印刷処理が終了していないときには、ステップS150以降の処理を実行し、画像表示印刷処理が終了したときには、そのままこのルーチンを終了する。このように、例えば、色かぶり写真や逆光写真などの元画像データに対してAPF情報41aを用いてよりきれいな写真となるように印刷処理を行うのである。
【0027】
ここで、本実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態の表示部32が本発明の表示手段に相当し、RAM24が本発明の記憶手段に相当し、画像展開部42が本発明のデータ展開手段に相当し、APF情報生成部46が本発明の情報生成手段に相当し、CPU22が本発明の制御手段に相当し、GUI入力部40が印刷指示取得手段及び選択指示取得手段に相当し、印刷機構26が印刷手段に相当する。また、APF情報41aが本発明の画質調整情報に相当し、記録紙Sが本発明の印刷媒体に相当する。なお、本実施形態では、プリンタ20の動作を説明することにより本発明の情報処理方法の一例も明らかにしている。
【0028】
以上詳述した本実施形態のプリンタ20によれば、所定形式(例えばJPEG形式)で圧縮された元画像データを、APF情報41aの生成に用いると共に表示に用いる展開画像データ44aに展開し、この展開した展開画像データ44aをRAM24に記憶し、この記憶した展開画像データ44aに基づいてAPF情報41aを生成し、この記憶した展開画像データ44aに基づいて画像を表示する。このように、展開した展開画像データ44aを記憶しておき、表示用の展開画像データと画質調整用の展開画像データとを共用とするため、APF情報41aの生成用の画像展開と表示用の画像展開とを別々に行う必要がない。したがって、圧縮された元画像ファイルから表示用の展開画像データと画質調整用の展開画像データとへ展開する展開処理に要する時間をより短縮することができる。また、画像情報取得部43は、APF情報生成部46がAPF情報41aを生成するのに適したサイズの展開画像データ44aに元画像データを展開するため、比較的迅速にAPF情報41aを生成することができる。更に、GUI入力部40による印刷指示の取得に先んじて、元画像データを展開画像データ44aに展開すると共にAPF情報41aを生成して画像保持部44に記憶させるため、印刷指示から印刷処理の実行までの時間を一層短縮することができる。更にまた、GUI入力部40による選択指示の取得に先んじて元画像データを展開画像データ44aに展開しRAM24に記憶し、GUI入力部40が選択指示を取得すると選択指示され記憶されている展開画像データ44aに基づいてAPF情報41aを生成させるため、すぐに画像を表示することができるし、印刷指示されると予期される元画像データのAPF情報41aを生成するため、比較的確実にAPF情報41aを利用することができる。そして、APF情報生成部46が生成したAPF情報41aをRAM24に記憶し、この記憶されたAPF情報41aを用いて印刷用画像データの画質を調整し、この調整後の印刷用画像データを用いて印刷するため、APF情報41aを反映した画像ファイルの印刷を行うことができる。
【0029】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0030】
例えば、上述した実施形態では、APF情報生成部46に、APF情報41aを生成するのに適したサイズの展開画像データ44aに元画像データを展開させるものとしたが、表示するのに適したサイズの展開画像データ44aに元画像データを展開させてもよい。こうしても、APF情報41aの生成用の画像展開と表示用の画像展開とを別々に行う必要がないため、圧縮された元画像ファイルから表示用の展開画像データと画質調整用の展開画像データとへ展開する展開処理に要する時間をより短縮することができる。
【0031】
上述した実施形態では、QVGAサイズの展開画像データ44aに元画像データを展開しこの展開画像データ44aに基づいてAPF情報41aを生成すると共に表示部32に表示するものとしたが、展開するサイズはQVGAサイズに限られない。また、表示部32がQVGAサイズの画像を配列して表示するものとしたが、他のサイズにリサイズして表示するものとしてもよい。上述した実施形態では、APF情報41aの生成用の展開画像データのサイズと表示部32への表示用の展開画像データのサイズとが同じものとしたが、APF情報41aの生成用の展開画像データのサイズと表示部32への表示用の展開画像データのサイズとが異なる場合は、APF情報41aの生成用か表示部32への表示用かのいずれかの展開画像データのサイズとしてもよい。なお、一般に、最良のAPF情報41aを得るための展開画像データのサイズと、表示部32に表示する画像の展開画像データのサイズとは異なることがあり、双方を最良のものとしようとすると、それぞれの展開処理を行わなければならないが、その後の印刷処理への影響が大きいAPF情報41aの生成を優先して処理することが好ましい。
【0032】
上述した実施形態では、ステップS240で画像の選択が解除されたとき、即ち1つの画像ファイルが選択されるたびに、展開画像データ44aに基づいてAPF情報41aを生成しこの生成したAPF情報41aを元画像データに対応付けてRAM24に記憶するものとしたが、複数の画像を選択可能とし、APF情報41aを元画像データに対応付けてRAM24に記憶する処理を複数の元画像データに対して行うものとしてもよい。こうすれば、複数の元画像データに対応するAPF情報41aを生成しておき、複数の元画像のうちいずれかが印刷指示されてもAPF情報41aをすぐ用いることができるため、その後のAPF情報41aを用いた処理を迅速に行うことができる。
【0033】
上述した実施形態では、ユーザによる画像の選択後であって印刷指示がされる前にAPF情報41aを生成するものとしたが、ユーザによる画像の選択に先んじてAPF情報41aを生成するものとしてもよい。また、元画像データを展開画像データ44aに展開しこの展開処理後に表示部32に画像を表示し画像を選択可能とするものとしたが、先に画像ファイルのファイル名などを表示して画像ファイルを選択可能とし、この表示中に、元画像データから展開画像データ44aへの展開処理やAPF情報41aの生成処理を行うものとしてもよい。
【0034】
上述した実施形態では、プリンタ20を本発明の情報処理装置として説明したが、スキャナを備えたマルチファンクションプリンタや、FAXなどに適用してもよい。また、印刷機構26は、インクジェット方式としたが、電子写真方式のレーザプリンタや、熱転写方式のプリンタや、ドットインパクト方式のプリンタとしてもよいし、これらのモノクロプリンタとしてもよい。また、プリンタ20の態様で本発明を説明したが、情報処理方法の態様としてもよいし、この方法のプログラムの態様としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】プリンタ20の構成の概略を示す構成図である。
【図2】コントローラ21の機能構成の一例を示すブロック図である。
【図3】画像表示印刷処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【図4】表示部32に表示される画像選択画面80の説明図である。
【符号の説明】
【0036】
12 メモリカード、20 プリンタ、21 コントローラ、22 CPU、23 ROM、24 RAM、25 リーダライタ、25a スロット、26 印刷機構、28 I/F、29 バス、30 操作パネル、32 表示部、34 操作部、34a カーソルキー、34b 決定キー、40 GUI入力部、41 APF情報管理部、41a APF情報、42 画像展開部、43 画像情報取得部、44 画像保持部、44a 展開画像データ、45 GUI表示部、46 APF情報生成部、47 自動調整処理部、49 印刷処理部、80 画像選択画面、81 カーソル、80a〜80f 画像、S 記録紙。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷に用いられる情報を処理する情報処理装置であって、
画像を表示する表示手段と、
情報を記憶可能な記憶手段と、
所定形式で圧縮された元画像データを、印刷用の画像データの画質を調整する画質調整情報の生成に用いると共に前記表示手段への表示に用いる展開画像データに展開可能なデータ展開手段と、
前記展開画像データに基づいて前記画質調整情報を生成する情報生成手段と、
前記元画像データを前記展開画像データに展開するよう前記データ展開手段を制御し、該展開された展開画像データを記憶するよう前記記憶手段を制御し、該記憶された展開画像データに基づいて前記画質調整情報を生成するよう前記情報生成手段を制御し、前記記憶された展開画像データに基づいて画像を表示するよう前記表示手段を制御する制御手段と、
を備えた情報処理装置。
【請求項2】
前記データ展開手段は、前記情報生成手段が前記画質調整情報を生成するのに適したサイズの前記展開画像データに前記元画像データを展開する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の情報処理装置であって、
元画像データの印刷指示をユーザから取得可能な印刷指示取得手段、を備え、
前記制御手段は、前記印刷指示取得手段による印刷指示の取得に先んじて、前記元画像データを前記展開画像データに展開すると共に前記画質調整情報を生成して記憶手段に記憶するよう前記データ展開手段と前記情報生成手段と前記記憶手段とを制御する、情報処理装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記展開した展開画像データに基づいて画質調整情報を生成し該生成した画質調整情報を前記元画像データに対応付けて前記記憶手段に記憶する処理を複数の元画像データに対して行うよう前記データ展開手段と前記情報生成手段と前記記憶手段とを制御する、
請求項1〜3のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の情報処理装置であって、
元画像データの選択指示をユーザから取得可能な選択指示取得手段、を備え、
前記制御手段は、前記指示取得手段による前記選択指示の取得に先んじて前記元画像データを前記展開画像データに展開し記憶するよう前記データ展開手段と前記記憶手段とを制御し、前記指示取得手段が前記選択指示を取得すると前記選択指示され前記記憶されている展開画像データに基づいて前記画質調整情報を生成するよう前記情報生成手段を制御する、情報処理装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の情報処理装置であって、
印刷媒体に画像を印刷可能な印刷手段、を備え、
前記データ展開手段は、前記印刷媒体への印刷に適したサイズの印刷用画像データに前記元画像データを展開可能であり、
前記制御手段は、前記情報生成手段が生成した前記画質調整情報を記憶するよう前記記憶手段を制御し、該記憶された画質調整情報を用いて前記印刷用画像データの画質を調整し、該調整後の印刷用画像データを用いて印刷するよう前記印刷手段を制御する、情報処理装置。
【請求項7】
印刷に用いられる情報を処理する情報処理装置を利用した情報処理方法であって、
(a)所定形式で圧縮された元画像データを、印刷用の画像データの画質を調整する画質調整情報の生成に用いると共に画像表示に用いる展開画像データに展開するステップと、
(b)前記ステップ(a)で展開した前記展開画像データに基づいて前記画質調整情報を生成するステップと、
(c)前記ステップ(a)で展開した前記展開画像データに基づいて画像を表示出力するステップと、
を含む情報処理方法。
【請求項8】
請求項7に記載の情報処理方法の各ステップを1以上のコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−122773(P2008−122773A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−307804(P2006−307804)
【出願日】平成18年11月14日(2006.11.14)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】