説明

情報処理装置および制御方法

【課題】 指紋センサに異常が発生した場合、および指紋センサとの通信状態に異常が発生した場合に適切に指紋センサの電源を切ることができる情報処理装置を提供する。
【解決手段】 HDD208と、指紋センサ21と、プログラムと指紋センサ21との通信状態を監視するCPU201またはBIOS−ROM210とを備えており、通信状態が異常であると判別した場合、指紋センサ21の電源を切る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、指紋センサに異常が発生した場合、および指紋センサとの通信状態に異常が発生した場合に適切に指紋センサの電源を切ることができる情報処理装置および制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術では、指紋データ生成装置内の異常検出部で電源を監視し、電圧の異常状態を指紋データ生成装置の異常状態として対策を行っている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−192456号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上述した技術であると、静電気などの影響により、電源だけでなく、指紋データ生成装置の内部回路や本体装置との情報通信に異常が発生する不具合に関しては、対応できない問題がある。
【0004】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、指紋センサに異常が発生した場合、および指紋センサとの通信状態に異常が発生した場合に適切に指紋センサの電源を切ることができる情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本願発明の一態様によれば、内部記憶手段と、指紋イメージを検出する指紋センサと、前記内部記憶手段に記憶されているプログラムと前記指紋センサとの通信状態を監視する監視制御手段とを備えた情報処理装置であって、前記監視制御手段は、前記通信状態が異常であると判別した場合、前記指紋センサの電源を切ることを特徴とする情報処理装置が提供される。このため、指紋センサに異常が発生した場合、および指紋センサとの通信状態に異常が発生した場合に適切に指紋センサの電源を切ることができる。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、指紋センサに異常が発生した場合、および指紋センサとの通信状態に異常が発生した場合に適切に指紋センサの電源を切ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。
【0008】
図1は、本発明の一実施形態に係る情報処理装置であるノート型コンピュータを示す外観図である。
【0009】
図1に示すように、コンピュータ10は、コンピュータ本体と、ディスプレイユニット12とから構成されている。ディスプレイユニット12にはLCD(Liquid CrystalDisplay)からなる表示装置が組み込まれており、そのLCDの表示画面121はディスプレイユニット12のほぼ中央に位置されている。
【0010】
ディスプレイユニット12は、コンピュータ10に対して解放位置と閉塞位置との間を回動自在に取り付けられている。コンピュータ10の本体側は薄い箱形の筐体を有しており、その上面にはパワーボタン114、LED表示部(表示手段)220、キーボード111、パームレスト上にはタッチパッド112、左右2つのボタン113a、113b、および指紋センサ21等が配置されている。
【0011】
図2は、コンピュータ10のシステム構成を示したブロック図である。
【0012】
コンピュータ10は、CPU201、チップセット202、主メモリ203、グラフィクスコントローラ204、専用バス1、I/Oコントローラ207、LPCバス2、ハードディスクドライブ(HDD)208、CD/DVDドライブ209、BIOS−ROM210、エンベデッドコントローラ/キーボードコントローラIC(EC/KBC)211、論理和回路222、電源スイッチ(SW)214、指紋センサ21、指紋センサ初期化回路223等が設けられている。
【0013】
CPU201は、コンピュータ10の動作を制御するために設けられたプロセッサであり、ハードディスクドライブ(HDD)208から主メモリ203にロードされたオペレーティングシステム(オペレーションシステム)およびアプリケーションプログラム/ユーティリティプログラムを実行する。また、CPU201は、BIOS−ROM210に格納されたBIOS(Basic Input Output System)も実行する。指紋センサ21は、過電流を検知する過電流検知回路を備えている。また、指紋センサ21による指紋認証処理は、専用のアプリケーション等によって行われる。
【0014】
ホストブリッジ202は、CPU201のローカルバスとPCIバス1との間を双方向で接続するブリッジデバイスである。グラフィクスコントローラ204はコンピュータ10のディスプレイモニタとして使用されるLCDの表示画面(表示手段)121を制御する。通信デバイス205はPCIデバイスの1つであり、例えばインターネットなどのコンピュータネットワークへの接続のために使用される。I/Oコントローラ207もPCIデバイスの1つであり、ここにはハードディスクドライブ(HDD)208およびCD/DVDドライブ209を制御するためのIDEコントローラなどが内蔵されている。
【0015】
エンベデッドコントローラ/キーボードコントローラIC(EC/KBC)211は、電力管理のためのエンベデッドコントローラと、キーボード111を制御するためのキーボードコントローラとが集積された1チップマイクロコンピュータである。このエンベデッドコントローラ/キーボードコントローラIC(EC/KBC)211は、電源コントローラ214と共同して、ユーザによるパワーボタン114の操作に応じてコンピュータ10をパワーオン/パワーオフする機能を有している。
【0016】
論理和回路222は、指紋センサ21が備える過電流検出回路21aからの信号(例えば、異常時H、正常時Lを出力)と、制御監視手段からの通信状態の異常信号(例えば、異常時H、正常時Lを出力)とを入力し、どちらかの信号が異常である場合は、電源SW214により、指紋センサ21の電源を切る信号(電源遮断信号)を出力する。なお、制御監視手段は、HDD208等に記憶されているアプリケーションやBIOS−ROM210に記憶されているBIOSプログラムであり、例えばUSB等を介して指紋センサ21と通信を行っている。また、制御監視手段は、ハード的には、CPU201、BIOS−ROM210、チップセット202、206、および主メモリ203が該当する。
【0017】
図3は、本発明に係る情報処理を適用した情報処理の制御方法を示したフローチャートである。
【0018】
CPU201は、チップセット202、206等を介して指紋センサ21との通信状態をモニタしており、ステップS10で、指紋センサ21との通信が可能であるか(通信状態に異常がないか)を判別する。ステップS10で、通信が不可と判別された場合は、CPU201は、ステップS12で、EC/KBC211に対して出力ピンに例えばH出力(通信状態の異常信号)の信号を出すように命令する。ステップS14で、前述のH出力を受けた論理和回路222は、電源SW214を介して指紋センサ21の電源を切る。指紋センサ21の電源が切られた後は、ステップS15で、一定期間経過後、CPU201は、EC/KBC211の出力ピンに例えばL出力(通信状態の正常信号)の信号を出すように命令し、前述のL出力を受けた論理和回路222は、電源SW214を介して指紋センサ21の電源をONする。続いてステップS16で、コンピュータ10が再起動することにより、ステップS18で、再び、指紋センサ21との通信が可能であるか(通信状態に異常がないか)を判別する。電源のON信号を受け、ステップS22で、指紋センサ初期化回路223は、指紋センサ21の初期化を行い、起動させる。
【0019】
図4は、指紋センサ21が備える過電流検出回路21aからの信号に基づく情報処理の制御方法を示したフローチャートである。
【0020】
ステップS30で、指紋センサ21の過電流検出回路21aは、過電流(または回路異常)を検出すると、例えばH出力(過電流検出)の信号をEC/KBC211に送る。その後、ステップS14に遷移し、上述した処理と同様に指紋センサ21に電源を切る。なお、論理和回路222は、安全性向上のために、EC/KBC211または指紋センサ21の過電流検出回路21aのいずれか一方から通信状態の異常信号であるH出力を受けると、電源SW214を介して指紋センサ21の電源を切るように設定されている。もちろん、EC/KBC211および指紋センサ21の過電流検出回路21aの両方からH出力を受けないと電源が切れないようにしてもよい。さらに、上述したステップS20に係る電源ON処理も同様に、安全性向上のために、EC/KBC211および指紋センサ21の過電流検出回路21aの両方からL出力(正常信号)を受けないと、電源ON処理をしないように設定されているが、もちろん、EC/KBC211または指紋センサ21の過電流検出回路21aのいずれか一方からのL出力を受けて、指紋センサ21の電源をONするようにすることも可能である。
【0021】
なお、上述した指紋センサ21の電源を切る処理の際に、CPU201によって、表示手段であるLED表示部220を例えば赤く点灯(または点滅)させたり、LCDの表示画面121に指紋センサ21の異常を示す表示を表示させたりすることもできる。
【0022】
以上より、指紋センサーの通信異常、ハード的な過電流検出や回路異常となった場合でも、安全に指紋センサの電源を切ることができ、信頼性の高いシステムを提供できる。
【0023】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態に係る情報処理装置であるノート型コンピュータを示す外観図。
【図2】コンピュータのシステム構成を示したブロック図。
【図3】本発明に係る情報処理を適用した情報処理の制御方法を示したフローチャート。
【図4】指紋センサが備える過電流検出回路からの信号に基づく情報処理の制御方法を示したフローチャート。
【符号の説明】
【0025】
10…コンピュータ、12…ディスプレイユニット、20…USB端子、21…指紋センサ、21a…過電流検出回路、111…キーボード、112…タッチパッド、113a、113b…ボタン、114…パワーボタン、121…LCD、201…CPU、202…チップセット、203…主メモリ、204…グラフィクスコントローラ、207…I/Oコントローラ、208…ハードディスクドライブ、209…CD/DVDドライブ、210…BIOS−ROM、211…キーボードコントローラIC、214…電源コントローラ、220…LED、221…不揮発性メモリ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部記憶手段と、
指紋イメージを検出する指紋センサと、
前記内部記憶手段に記憶されているプログラムと前記指紋センサとの通信状態を監視する監視制御手段とを備えた情報処理装置であって、
前記監視制御手段は、前記通信状態が異常であると判別した場合、前記指紋センサの電源を切ることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理装置において、
前記指紋センサは過電流検出手段を備えており、前記監視制御手段は、前記過電流検出手段が異常を検出した場合、前記指紋センサの電源を切ることを特徴とする情報処理装置。
【請求項3】
請求項1に記載の情報処理装置において、
前記プログラムは、前記内部記憶手段に記憶されているアプリケーション及び/又はBIOSプログラムであることを特徴とする情報処理装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載の情報処理装置において、
前記監視制御手段からの情報を表示する表示手段をさらに備え、
前記監視制御手段によって、異常を検出した場合は、前記表示手段に異常状態であることを表示することを特徴とする情報処理装置。
【請求項5】
請求項1または2に記載の情報処理装置において、
前記監視制御手段により指紋センサの電源が切られた場合、前記監視制御手段は、前記過電流検出手段からの検出情報および前記通信状態が正常であると判別した場合に、前記指紋センサを起動することを特徴とする情報処理装置。
【請求項6】
内部記憶手段と、指紋イメージを検出する指紋センサとを備えた情報処理装置の制御方法であって、
前記内部記憶手段に記憶されているプログラムと前記指紋センサとの通信状態を監視する監視制御ステップと、
前記監視制御ステップによって、前記通信状態が異常であると判別した場合は、前記指紋センサの電源を切る電源制御ステップと、
を含むことを特徴とする情報処理装置の制御方法。
【請求項7】
請求項6に記載の情報処理装置の制御方法において、
前記指紋センサは過電流検出手段を備えており、前記過電流検出手段が異常を検出した場合、前記指紋センサの電源を切ることを特徴とする情報処理装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−301817(P2006−301817A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−120399(P2005−120399)
【出願日】平成17年4月18日(2005.4.18)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】